(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-25
(45)【発行日】2022-11-02
(54)【発明の名称】継手の誤差調整機構および継手
(51)【国際特許分類】
E01D 19/12 20060101AFI20221026BHJP
E21D 11/04 20060101ALI20221026BHJP
E01D 21/00 20060101ALI20221026BHJP
【FI】
E01D19/12
E21D11/04 A
E01D21/00 Z
(21)【出願番号】P 2017200479
(22)【出願日】2017-10-16
【審査請求日】2020-09-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】505413255
【氏名又は名称】阪神高速道路株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】592155832
【氏名又は名称】ユニタイト株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000186898
【氏名又は名称】昭和コンクリート工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136098
【氏名又は名称】北野 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100137246
【氏名又は名称】田中 勝也
(74)【代理人】
【識別番号】100148356
【氏名又は名称】西村 英人
(72)【発明者】
【氏名】大島 克仁
(72)【発明者】
【氏名】西野 元庸
(72)【発明者】
【氏名】松原 喜之
(72)【発明者】
【氏名】新名 勉
(72)【発明者】
【氏名】谷口 惺
(72)【発明者】
【氏名】輿石 正己
(72)【発明者】
【氏名】小林 顕
(72)【発明者】
【氏名】宮田 勝治
(72)【発明者】
【氏名】陶 昭男
(72)【発明者】
【氏名】国井 優嗣
(72)【発明者】
【氏名】大坪 考志
【審査官】小倉 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-142280(JP,A)
【文献】特開2014-148870(JP,A)
【文献】特開2010-189918(JP,A)
【文献】特開2005-105767(JP,A)
【文献】特開2003-172099(JP,A)
【文献】特開2002-030610(JP,A)
【文献】特開平08-210095(JP,A)
【文献】特開2018-119333(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01D 19/12
E21D 11/04
E01D 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のコンクリート部材に埋め込まれる第1部材と、
前記第1のコンクリート部材に接続されるべき第2のコンクリート部材に埋め込まれ、前記第1部材と結合可能な第2部材と、を備え、
前記第1部材は、
鋼からなり、第1の端部を含むように前記第1のコンクリート部材から突出する突出領域を有する第1の軸部材と、
前記突出領域を含む露出領域を露出するように、前記第1の軸部材の外周面を、間隔を空けて取り囲むシースと、
前記第1の軸部材の外周面と前記シースとの間に配置されたプレグラウト材と、
前記突出領域に隣接する前記露出領域の外周面側を取り囲むように配置され、前記シースよりも弾性係数が小さい緩衝材と、を含み、
前記第2部材は、前記第1の軸部材の前記突出領域と結合可能な第2部材結合部を含
み、
前記緩衝材は、前記露出領域側の前記シースの端部と前記第1の軸部材との間に形成される開口部を封止しており、
前記第1部材は、前記シースの外周面と前記緩衝材の外周面とを液密に接続する接続材をさらに含み、
前記第1の軸部材と前記緩衝材とが接触し、
前記緩衝材および前記接続材は、前記第1の軸部材の長手方向において、前記第1の端部側に向けて同じ位置にまで延びている、コンクリート部材同士を接続する継手の誤差調整機構。
【請求項2】
第1のコンクリート部材に埋め込まれる第1部材と、
前記第1のコンクリート部材に接続されるべき第2のコンクリート部材に埋め込まれ、前記第1部材と結合可能な第2部材と、を備え、
前記第1部材は、
鋼からなり、第1の端部を含むように前記第1のコンクリート部材から突出する突出領域を有する第1の軸部材と、
前記突出領域を含む露出領域を露出するように、前記第1の軸部材の外周面を、間隔を空けて取り囲むシースと、
前記第1の軸部材の外周面と前記シースとの間に配置されたプレグラウト材と、
前記突出領域に隣接する前記露出領域の外周面側を取り囲むように配置され、前記シースよりも弾性係数が小さい緩衝材と、を含み、
前記第2部材は、前記第1の軸部材の前記突出領域と結合可能な第2部材結合部を含み、
前記緩衝材は、前記露出領域側の前記シースの端部と前記第1の軸部材との間に形成される開口部を封止しており、
前記第1部材は、
前記シースの外周面と前記緩衝材の外周面とを液密に接続する接続材と、
前記第1の軸部材の外周面と前記緩衝材との間に配置され、前記第1の軸部材の外周面と前記緩衝材との間の液密性を確保するとともに、前記露出領域側の前記シースの端部と前記第1の軸部材との間に形成される開口部を封止する液密部材と、をさらに含み、
前記緩衝材、前記接続材および前記液密部材は、前記第1の軸部材の長手方向において、前記第1の端部側に向けて同じ位置にまで延びている、コンクリート部材同士を接続する継手の誤差調整機構。
【請求項3】
前記液密部材は樹脂テープである、請求項
2に記載のコンクリート部材同士を接続する継手の誤差調整機構。
【請求項4】
前記液密部材は樹脂リングである、請求項
2に記載のコンクリート部材同士を接続する継手の誤差調整機構。
【請求項5】
前記接続材は樹脂テープである、請求項
1から請求項4のいずれか1項に記載のコンクリート部材同士を接続する継手の誤差調整機構。
【請求項6】
前記接続材は熱収縮チューブである、請求項
1から請求項4のいずれか1項に記載のコンクリート部材同士を接続する継手の誤差調整機構。
【請求項7】
前記緩衝材の自然内径は、前記緩衝材が取り囲む前記露出領域の外径よりも小さい、請求項1
から請求項6のいずれか1項に記載のコンクリート部材同士を接続する継手の誤差調整機構。
【請求項8】
前記第1の軸部材と前記シースとの間の前記間隔は4mm以上である、請求項1
から請求項7のいずれか1項に記載のコンクリート部材同士を接続する継手の誤差調整機構。
【請求項9】
前記第1の軸部材の径方向における前記緩衝材の厚みは、前記第1の軸部材と前記シースとの間の前記間隔よりも1mm以上大きい、請求項1
から請求項8のいずれか1項に記載のコンクリート部材同士を接続する継手の誤差調整機構。
【請求項10】
前記第1部材は、前記第2部材に結合する側とは反対側に、前記第1部材と前記第2部材とを互いに引き合うように緊結させる緊結構造をさらに含む、請求項1
から請求項9のいずれか1項に記載のコンクリート部材同士を接続する継手の誤差調整機構。
【請求項11】
前記緊結構造は、前記第1の軸部材の第2の端部の外周面に形成されたねじ部に螺合するように配置されるナットを含む、請求項
10に記載のコンクリート部材同士を接続する継手の誤差調整機構。
【請求項12】
請求項1
から請求項11のいずれか1項に記載のコンクリート部材同士を接続する継手の誤差調整機構を備える、継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、継手の誤差調整機構および継手に関するものであり、より特定的にはコンクリート部材同士を接続するための継手の誤差調整機構および継手に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンクリート部材であるプレキャストコンクリートブロックは、たとえば橋梁の床版として使用することができる。橋梁の床版を構築する手法の一つとして、鋼製の桁上にプレキャストコンクリートブロックを敷き詰めるように並べて配置し、隣り合うプレキャストコンクリートブロックの隙間にコンクリートを打設して一体化する方法が知られている。
【0003】
より具体的には、たとえば端面から一部が突出するようにループ状継手をプレキャストコンクリートブロックに埋め込む。そして、隣り合うプレキャストコンクリートブロック同士を、ループ状継手を利用して接続するとともに、隣り合うプレキャストコンクリートブロックの隙間にコンクリートを打設して一体化する(たとえば、特許文献1~3参照)。しかし、上記ループ状継手を用いた方法では、ループ状継手内への補強鉄筋の設置や、隙間へのコンクリートの打設など、作業現場での作業が多くなるという問題がある。これに対し、互いに接続されるコンクリート部材のそれぞれに、互いに接続可能な部材を配置しておく継手構造が提案されている(たとえば、特許文献4参照)。これにより、作業現場での作業量を低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-26088号公報
【文献】特開2010-236258号公報
【文献】特開2009-264040号公報
【文献】特開2015-17359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献4に記載の継手構造では、施工誤差の許容量が小さい。作業現場での作業を容易にする観点から、施工誤差の許容量が大きいことが好ましい。
【0006】
そこで、作業現場での作業量を低減するとともに、施工誤差の許容量を大きくすることが可能な継手の誤差調整機構および継手を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に従ったコンクリート部材同士を接続する継手の誤差調整機構は、第1のコンクリート部材に埋め込まれる第1部材と、第1のコンクリート部材に接続されるべき第2のコンクリート部材に埋め込まれ、第1部材と結合可能な第2部材と、を備える。第1部材は、鋼からなり、第1の端部を含むように第1のコンクリート部材から突出する突出領域を有する第1の軸部材と、突出領域を含む露出領域を露出するように、第1の軸部材の外周面を、間隔を空けて取り囲むシースと、第1の軸部材の外周面とシースとの間に配置されたプレグラウト材と、突出領域に隣接する露出領域の外周面側を取り囲むように配置され、シースよりも弾性係数が小さい緩衝材と、を含む。第2部材は、第1の軸部材の突出領域と結合可能な第2部材結合部を含む。
【発明の効果】
【0008】
上記継手の誤差調整機構によれば、作業現場での作業量を低減するとともに、施工誤差の許容量を大きくすることが可能な継手の誤差調整機構を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1における継手の構造を示す概略断面図である。
【
図2】実施の形態1の第1部材を拡大して示す概略断面図である。
【
図6】実施の形態1における床版の構造を示す概略断面図である。
【
図7】実施の形態2における継手の構造を示す概略断面図である。
【
図8】実施の形態2の第1部材を拡大して示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本願発明の実施形態の説明]
最初に本願発明の実施態様を列記して説明する。本願のコンクリート部材同士を接続する継手の誤差調整機構は、第1のコンクリート部材に埋め込まれる第1部材と、第1のコンクリート部材に接続されるべき第2のコンクリート部材に埋め込まれ、第1部材と結合可能な第2部材と、を備える。第1部材は、鋼からなり、第1の端部を含むように第1のコンクリート部材から突出する突出領域を有する第1の軸部材と、突出領域を含む露出領域を露出するように、第1の軸部材の外周面を、間隔を空けて取り囲むシースと、第1の軸部材の外周面とシースとの間に配置されたプレグラウト材と、突出領域に隣接する露出領域の外周面側を取り囲むように配置され、シースよりも弾性係数が小さい緩衝材と、を含む。第2部材は、第1の軸部材の突出領域と結合可能な第2部材結合部を含む。
【0011】
本願のコンクリート部材同士を接続する継手の誤差調整機構は、第1のコンクリート部材に埋め込まれる第1部材と、第2のコンクリート部材に埋め込まれ、第1部材と結合可能な第2部材とを備える。そのため、第1部材と第2部材とを結合することにより、第1のコンクリート部材と第2のコンクリート部材とを容易に接続することができる。また、第1部材のシースと第1の軸部材との間には、プレグラウト材が配置されている。そのため、施工後の時間の経過によって、プレグラウト材が硬化し、第1の軸部材と第1のコンクリート部材とが一体化する。その結果、作業現場での作業量を低減することができる。また、第1部材において第1のコンクリート部材から突出する突出領域に隣接する領域(第1のコンクリート部材の端面付近に埋め込まれる第1部材の領域)の外周面を取り囲むように、シースよりも弾性係数が小さい緩衝材が配置される。そのため、第1のコンクリート部材に対して、第1部材の突出領域を、第1の軸部材の軸方向に交差する方向にある程度動かすことができる。その結果、第1部材および第2部材相互の施工誤差の許容量を大きくすることができる。このように、本願のコンクリート部材同士を接続する継手の誤差調整機構によれば、作業現場での作業量を低減するとともに、施工誤差の許容量を大きくすることができる。
【0012】
上記継手の誤差調整機構において、上記緩衝材は、上記露出領域側のシースの端部と第1の軸部材との間に形成される開口部を封止していてもよい。このようにすることにより、緩衝材を、プレグラウト材の漏出抑制にも活用し、部品点数を低減することができる。
【0013】
上記継手の誤差調整機構において、第1部材は、シースの外周面と緩衝材の外周面とを液密に接続する接続材をさらに含んでいてもよい。このようにすることにより、シースと緩衝材との間からプレグラウト材が漏出することを抑制することができる。
【0014】
上記継手の誤差調整機構において、接続材は樹脂テープであってもよい。また、上記継手の誤差調整機構において、接続材は熱収縮チューブであってもよい。樹脂テープや熱収縮チューブは、上記接続材として好適である。
【0015】
上記継手の誤差調整機構において、第1の軸部材と緩衝材とが接触していてもよい。このようにすることにより、簡易な構造にて施工誤差の許容量を大きくすることができる。
【0016】
上記継手の誤差調整機構において、第1部材は、第1の軸部材の外周面と緩衝材との間に配置され、第1の軸部材の外周面と緩衝材との間の液密性を確保するとともに、露出領域側のシースの端部と第1の軸部材との間に形成される開口部を封止する液密部材をさらに含んでいてもよい。このようにすることにより、液密部材によって、プレグラウト材の漏出を抑制することができる。
【0017】
上記継手の誤差調整機構において、液密部材は樹脂テープであってもよい。また、上記継手の誤差調整機構において、液密部材は樹脂リングであってもよい。樹脂テープや樹脂リングは、上記液密部材として好適である。
【0018】
上記継手の誤差調整機構において、緩衝材の自然内径は、緩衝材が取り囲む露出領域の外径よりも小さくてもよい。このようにすることにより、緩衝材の固定が容易となる。なお、緩衝材の自然内径とは、緩衝材に外部から力を加えない状態における緩衝材の内径を意味する。
【0019】
上記継手の誤差調整機構において、第1の軸部材とシースとの間の上記間隔は4mm以上であってもよい。このようにすることにより、十分な量のプレグラウト材を保持することが容易となる。
【0020】
上記継手の誤差調整機構において、第1の軸部材の径方向における緩衝材の厚みは、第1の軸部材とシースとの間の上記間隔よりも1mm以上大きくてもよい。このようにすることにより、施工誤差の許容量を大きくすることが容易となる。
【0021】
上記継手の誤差調整機構において、第1部材は、第2部材に結合する側とは反対側に、第1部材と第2部材とを互いに引き合うように緊結させる緊結構造をさらに含んでいてもよい。このようにすることにより、第1のコンクリート部材および第2のコンクリート部材に圧縮力を付与するとともに、第1のコンクリート部材と第2のコンクリート部材とを強固に接続することができる。
【0022】
上記継手の誤差調整機構において、緊結構造は、第1の軸部材の第2の端部の外周面に形成されたねじ部に螺合するように配置されるナットを含んでいてもよい。このようにすることにより、簡易な構造により上記緊結構造を構成することができる。
【0023】
本願の継手は、上記本願のコンクリート部材同士を接続する継手の誤差調整機構を備える。上記継手の誤差調整機構を備えることにより、本願の継手によれば、作業現場での作業量を低減するとともに、施工誤差の許容量を大きくすることができる。
【0024】
[本願発明の実施形態の詳細]
次に、本発明にかかる継手の誤差調整機構および継手の実施の形態を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
【0025】
(実施の形態1)
まず、
図1~
図6を参照して、実施の形態1における継手の誤差調整機構および継手について説明する。
図1および
図2を参照して、実施の形態1における誤差調整機構を備える継手1は、第1のコンクリート部材91に埋め込まれる第1部材10と、第1のコンクリート部材91に接続されるべき第2のコンクリート部材92に埋め込まれ、第1部材10と結合可能な第2部材30とを備える。
【0026】
第1部材10は、鋼からなり、第1の端部11Aを含むように第1のコンクリート部材91から突出する突出領域11Bを有する第1の軸部材11と、突出領域11Bを含む露出領域11Cを露出するように、第1の軸部材11の外周面を、間隔を空けて取り囲むシース12と、第1の軸部材11の外周面とシース12との間に配置されたプレグラウト材13と、突出領域11Bに隣接する露出領域11Cの外周面側を取り囲むように配置され、シース12よりも弾性係数が小さい緩衝材14と、を含む。
【0027】
第1の軸部材11は、中実円筒状(棒状)の形状を有する。すなわち、第1の軸部材11の長手方向に垂直な断面は円形である。第1の軸部材11は、一方の端部である第1の端部11Aと、他方の端部である第2の端部11Dとを有する。第1の軸部材11の外周面と第1の端部11Aとが交差する領域には、第1の端部11Aに近づくにしたがって外径が徐々に小さくなる領域である面取り部が形成されている。第1の軸部材11の外周面の第2の端部11Dを含む領域には、らせん状の溝であるねじ溝が形成されたねじ部11Eが配置されている。
【0028】
シース12は、たとえばポリエチレンなどの樹脂からなる。シース12は、中空円筒状の形状を有する。シース12の内径および外径は、シース12の長手方向において増大と減少とを繰り返す。シース12から第1の端部11Aおよび第2の端部11Dが突出するように、シース12内を第1の軸部材11が貫通する。第1の端部11A側においてシース12から露出する第1の軸部材11の領域が、露出領域11Cである。
【0029】
シース12の内周面と第1の軸部材11の外周面との間の空間を充填するように、プレグラウト材13が配置されている。プレグラウト材は、たとえば流動性を有するエポキシ樹脂である。
【0030】
第1の軸部材11の露出領域11Cであって、突出領域11Bに隣接する領域の外周面には、液密部材としての樹脂テープ21が巻き付けられている。樹脂テープ21は、たとえば両面ブチルテープである。すなわち、露出領域11Cであって、第1のコンクリート部材91に埋め込まれた領域には、樹脂テープ21が巻き付けられている。
【0031】
樹脂テープ21の外周側に接触するように、緩衝材14が配置されている。緩衝材14は、中空円筒状(環状)の形状を有する。第1の軸部材11は、緩衝材14を貫通している。緩衝材14は、たとえばクロロプレンゴムからなるスポンジなどのスポンジゴムである。緩衝材14は、たとえば両面テープである樹脂テープ21により、第1の軸部材11の外周面に固定されている。樹脂テープ21は、第1の軸部材11の外周面と緩衝材14との間に配置され、第1の軸部材11の外周面と緩衝材14との間の液密性を確保している。その結果、緩衝材14および樹脂テープ21は、露出領域11C側のシース12の端部と第1の軸部材11との間に形成される開口部を封止している。露出領域11C側のシース12の端面と、緩衝材14のシース12側の端面とは接触している。
【0032】
シース12の外周面と緩衝材14の外周面とを液密に接続するように、接続材としての樹脂テープ15が配置されている。樹脂テープ15としては、たとえばブチルテープを採用することができる。樹脂テープ15は、互いに接触するシース12の端面と緩衝材14の端面との接続部の外周側を被覆するように巻き付けられている。樹脂テープ15は、シース12の外周側から緩衝材14の外周側にまで延在するように配置されている。樹脂テープ15は、たとえば内周側に配置され、基材テープの両側の主面に粘着層を有する両面テープと、両面テープの外周側に配置され、基材テープの一方の主面に粘着層を有する片面テープとを含んでいてもよい。
【0033】
シース12から見て緩衝材14が配置される側とは反対側の第1の軸部材11の外周面を取り囲むように、第1樹脂リング16が配置されている。第1樹脂リング16は、中空円筒状(環状)の形状を有する。第1樹脂リング16は、中空円筒状の本体部16Aと、本体部16Aの一方の端部側に配置され、本体部16Aよりも内径の大きい第1突出部16Bと、本体部16Aの他方の端部側に配置され、本体部16Aよりも外径の小さい第2突出部16Cとを含む。本体部16Aおよび第2突出部16Cの内周面には、第1の軸部材11のねじ部11Eに対応するらせん状のねじ溝が形成されている。そして、本体部16Aおよび第2突出部16Cの内周面と第1の軸部材11の外周面とが接触するように、第1樹脂リング16は第1の軸部材11の外周側にねじ込まれて固定されている。本体部16Aの一方の端面のうち第1突出部16Bの内周側の領域が、シース12の緩衝材14が配置される側とは反対側の端面に接触する。その結果、第1樹脂リング16の本体部16Aは、シース12の緩衝材14が配置される側とは反対側の端部と第1の軸部材11との間に形成される開口部を封止している。これにより、プレグラウト材13の漏出が抑制されている。
【0034】
第1樹脂リング16の本体部16Aには、注入口16Dが形成されている。注入口16Dは、第1樹脂リング16の外周面において開口し、径方向に延びる第1領域16Eと、第1領域16Eに接続され、第1樹脂リング16の軸方向に延び、端面において開口する第2領域16Fとを含む。注入口16Dは、第1の軸部材11の外周面とシース12との間の空間に連通する。これにより、第1樹脂リング16の外周面側から、注入口16Dを介して、プレグラウト材13を第1の軸部材11の外周面とシース12との間の空間に注入することが可能となっている。第1領域16Eを取り囲む壁面には、らせん状のねじ溝が形成されていてもよい。これにより、プレグラウト材13の注入に用いるグリスニップルの取り付けや、注入完了後の蓋の取付が容易となる。一方、シース12の緩衝材14に接触する側の端部付近であって、樹脂テープ15に覆われる領域には、シース12を径方向に貫通する排出口12Dが形成されている。排出口12Dは、シース12の外周面と、シース12と第1の軸部材11の外周面との間の空間とを連通する貫通孔である。第1樹脂リング16の外周面側から、注入口16Dを介して注入されたプレグラウト材13のうち余剰部分を、排出口12Dを介して排出することができる。その後、排出口12Dは、樹脂テープ15により封止される。また、排出口12Dは設けず、プレグラウト材13の余剰部分を注入口16の反対側に位置するシース12Dの端部と第1の軸部材11の外周面との間から排出した後、緩衝材14を配置し封止することもできる。
【0035】
第1樹脂リング16の第1突出部16Bは、シース12の外径に対応する内径を有している。その結果、第1突出部16Bは、シース12の外周面に接触して、当該外周面を取り囲む。第1突出部16Bの外周面とシース12の外周面とを液密に接続するように、熱収縮チューブ17が配置されている。熱収縮チューブ17は、中空円筒状の形状を有する。熱収縮チューブ17は、第1突出部16Bの外周面に接触する領域からシース12の外周面に接触する領域にまで延在する。熱収縮チューブ17の内周面と、第1突出部16Bの外周面およびシース12の外周面とが接触する。熱収縮チューブ17は、上記領域に対応する領域に配置された後、加熱されることによって外径および内径が収縮することで、上記位置に固定される。なお、熱収縮チューブ17に代えて、樹脂テープが採用されてもよい。
【0036】
第1部材10は、第1の支持板18と、第1の座金19と、第1のナット20とをさらに含む。第1の支持板18は、中央部に厚み方向に貫通する貫通孔を有する平板状の形状を有する。第1の支持板18は、たとえば鋼などの金属からなる。第1の支持板18の貫通孔は、第1樹脂リング16の第2突出部16Cの外径に対応する直径の円筒状の形状を有する。第1の支持板18は、一方の主面が第1樹脂リング16の本体部16Aの第2突出部16C側の端面に接触し、貫通孔を取り囲む壁面が第2突出部16Cの外周面に接触するように配置される。
【0037】
第1の座金19は、中央部に厚み方向に貫通する貫通孔を有する円盤状の形状を有する。この貫通孔を第1の軸部材11が貫通し、一方の主面が第1の支持板18のシース12とは反対側の主面に接触するように、第1の座金19は配置される。第1の座金19は、鋼などの金属からなる。
【0038】
第1のナット20は、六角柱(多角柱)状の形状を有し、軸方向に貫通する円筒状の貫通孔が形成された形状を有する。第1のナット20は、たとえば鋼などの金属からなる。第1のナット20の貫通孔を取り囲む壁面には、第1の軸部材11のねじ部11Eに対応するらせん状のねじ溝が形成されている。第1のナット20の貫通孔を取り囲む壁面と第1の軸部材11の外周面とが接触するように、第1のナット20は第1の軸部材11の外周側にねじ込まれて固定されている。
【0039】
図1を参照して、第1のコンクリート部材91には、外部に連通する連通空間91Bが形成されている。連通空間91Bを規定する壁面91Cには、第1の支持板18の形状に対応する形状を有する凹部91Dが形成されている。そして、第1の支持板18が凹部91Dに嵌め込まれるように、第1部材10は配置される。その結果、第1の座金19、第1のナット20および第1の軸部材11の第2の端部11Dは、連通空間91B内に位置する。
【0040】
また、第1のコンクリート部材91の外壁面である第1の接触面91Aから、第1の軸部材11の突出領域11Bが突出する。シース12の外周面の樹脂テープ15に取り囲まれる領域と熱収縮チューブ17に取り囲まれる領域に挟まれた領域を取り囲むように、複数の(ここでは3つの)フープ筋51が配置される。フープ筋51は、鋼などの金属からなる。このような状態となるように、所望の第1のコンクリート部材91の形状に対応する内部空間を有する枠型内に第1部材10が配置された状態でコンクリートが打設されることにより、第1部材10は第1のコンクリート部材91中に埋め込まれる。
【0041】
一方、第2部材30は、第2の軸部材31と、第2の支持板32と、第2の座金33と、第2のナット34と、第2部材結合部40とを含む。第2の軸部材31の一方の端部側に第2部材結合部40が配置され、他方の端部側に第2の支持板32、第2の座金33および第2のナット34が配置される。
【0042】
第2の支持板32は、中央部に厚み方向に貫通する貫通孔を有する平板状の形状を有する。第2の支持板32は、たとえば鋼などの金属からなる。第2の支持板32の貫通孔は、第2の軸部材31の外径に対応する直径の円筒状の形状を有する。第2の支持板32は、上記貫通孔を第2の軸部材31が貫通するように、第2の軸部材31に対して固定されている。
【0043】
第2の座金33は、中央部に厚み方向に貫通する貫通孔を有する円盤状の形状を有する。この貫通孔を第2の軸部材31が貫通し、一方の主面が第2の支持板32の第2部材結合部40とは反対側の主面に接触するように、第2の座金33は配置される。第2の座金33は、鋼などの金属からなる。
【0044】
第2のナット34は、六角柱(多角柱)状の形状を有し、軸方向に貫通する円筒状の貫通孔が形成された形状を有する。第2のナット34は、たとえば鋼などの金属からなる。第2のナット34の貫通孔を取り囲む壁面には、第2の軸部材31の外周面に形成されたねじ溝に対応するらせん状のねじ溝が形成されている。第2のナット34の貫通孔を取り囲む壁面と第2の軸部材31の外周面とが接触するように、第2のナット34は第2の軸部材31の外周側にねじ込まれて固定されている。
【0045】
第2部材結合部40は、円筒状の形状を有する小径部41と、小径部41に接続され、小径部よりも直径の大きい円筒状の形状を有する大径部42と、を含むケースと、支持部材43と、くさび部材44と、ばね部材45と、を含む。
【0046】
小径部41には、小径部の中心軸に中心軸が一致する円筒状の凹部41Aが形成されている。凹部41Aに第2の軸部材31の一方の端部が進入することにより、第2の軸部材31に対してケースが固定されている。大径部42には、大径部42の中心軸に中心軸が一致する円筒状の凹部42Aが形成されている。凹部42A内に、支持部材43と、くさび部材44と、ばね部材45とが配置される。
【0047】
図1および
図5を参照して、ばね部材45は、たとえば円環状の形状を有する皿ばねである。
図1および
図4を参照して、くさび部材44は、中心軸を含むように形成される貫通孔を有する円錐台状の形状を有する。くさび部材44には、周方向に並べて複数のスリット44Aが形成されている。スリット44Aが形成されることにより、くさび部材44は、貫通孔の径が変化するように変形可能となっている。
図1および
図3を参照して、支持部材43は、支持部材43の中心軸に中心軸が一致する円錐台状の貫通孔が形成された中空円筒状の形状を有する。支持部材43の貫通孔は、くさび部材44の形状に対応する形状を有する。
【0048】
ばね部材45、くさび部材44および支持部材43は、それぞれの貫通孔の中心軸が一致するようにこの順に積み重ねられた状態で、大径部42の凹部42A内に、ばね部材45が第2の軸部材31に近い側となるように配置される。
【0049】
図1を参照して、第2の軸部材31において第2の支持板32が設置される領域と第2部材結合部40に接続される領域とに挟まれる領域の外周面を取り囲むように、複数の(ここでは3つの)フープ筋51が配置される。フープ筋51は、鋼などの金属からなる。そして、第2のコンクリート部材92の外壁面である第2の接触面92Aにおいて大径部42の凹部42Aが露出するように、所望の第2のコンクリート部材92の形状に対応する内部空間を有する枠型内に第2部材30が配置された状態でコンクリートが打設されることにより、第2部材30は第2のコンクリート部材92中に埋め込まれる。
【0050】
第1部材10が埋め込まれた第1のコンクリート部材91と、第2部材30が埋め込まれた第2のコンクリート部材92とが準備され、第1部材10と第2部材30とが結合されることにより、第1のコンクリート部材91と第2のコンクリート部材92とが接続される。具体的には、
図1を参照して、第1のコンクリート部材91の第1の接触面91Aと第2のコンクリート部材92の第2の接触面92Aとが接触し、第1部材10を構成する第1の軸部材11の突出領域11Bが、第2部材30を構成する第2部材結合部40の支持部材43、くさび部材44およびばね部材45の貫通孔を貫通するように第2部材結合部40内に進入する。このとき、突出領域11Bの進入により、くさび部材44は、ばね部材45側に押し付けられつつ貫通孔の径が大きくなるように変形する。その後、ばね部材45によりくさび部材44は支持部材43に押し付けられる向きの力を受け、貫通孔の径が小さくなるように変形する。そのため、突出領域11Bがくさび部材44によって径方向の力を受けて拘束される。その結果、第2部材結合部40が第1部材10の第1の軸部材11と結合されることにより、第1のコンクリート部材91と第2のコンクリート部材92とが接続される。
【0051】
さらに、本実施の形態の継手1においては、上記接続の完了後、第1部材10と第2部材30とを互いに引き合うように緊結させることができる。具体的には、上記接続の完了後、第1のナット20を周方向に回転させることにより、第1の軸部材11に対して軸方向に引張応力を付与することができる。第1のナット20は、第1部材10と第2部材30とを互いに引き合うように緊結させる緊結構造を構成する。これにより、第1のコンクリート部材91および第2のコンクリート部材92に対して圧縮力を付与するとともに、第1のコンクリート部材91と第2のコンクリート部材92とを強固に接続することができる。プレグラウト材13は、時間の経過とともに硬化し、第1の軸部材11と第1のコンクリート部材91とが一体化する。
【0052】
本実施の形態の継手1は、第1のコンクリート部材91に埋め込まれる第1部材10と、第2のコンクリート部材92に埋め込まれ、第1部材10と結合可能な第2部材30とを備える。そのため、第1部材10と第2部材30とを結合することにより、第1のコンクリート部材91と第2のコンクリート部材92とを容易に接続することができる。また、第1部材10のシース12と第1の軸部材11との間には、プレグラウト材13が配置されている。そのため、施工後の時間の経過によって、プレグラウト材13が硬化し、第1の軸部材11と第1のコンクリート部材91とが一体化する。その結果、作業現場での作業量を低減することができる。また、第1部材10において第1のコンクリート部材91から突出する突出領域11Bに隣接する領域(第1のコンクリート部材91の端面付近に埋め込まれる第1部材10の領域)の外周面を取り囲むように、シース12よりも弾性係数が小さい緩衝材14が配置される。そのため、第1部材10の突出領域11Bを、第1の軸部材11の軸方向に交差する方向にある程度動かすことができる。その結果、施工誤差の許容量を大きくすることができる。このように、本実施の形態の継手1は、作業現場での作業量を低減するとともに、施工誤差の許容量を大きくすることが可能な継手となっている。
【0053】
なお、上記実施の形態において、樹脂テープ15に代えて、接続材として熱収縮チューブが採用されてもよい。また、上記実施の形態において、樹脂テープ21を省略し、第1の軸部材11と緩衝材14とが接触するようにしてもよい。このようにすることにより、簡易な構造にて施工誤差の許容量を大きくすることができる。また、上記実施の形態において、緩衝材14の自然内径は、緩衝材14が取り囲む露出領域11Cの外径よりも小さくてもよい。このようにすることにより、緩衝材14の固定が容易となる。
【0054】
また、上記実施の形態において、第1の軸部材11とシース12との間の間隔は4mm以上であることが好ましい。これにより、十分な量のプレグラウト材13を保持することが容易となる。また、上記実施の形態において、第1の軸部材11の径方向における緩衝材14の厚みは、第1の軸部材11とシース12との間の間隔よりも1mm以上大きいことが好ましい。これにより、施工誤差の許容量を大きくすることが容易となる。
【0055】
次に、上記継手1の用途の1つとして、継手1を用いて橋梁の床版を構築する方法について説明する。
図6を参照して、橋梁の床版100は、鋼製の桁80上に構築される。床版100は、複数のプレキャストコンクリートブロック90を含む。プレキャストコンクリートブロック90は、直方体状の形状を有する。プレキャストコンクリートブロック90の一の外壁面から突出領域11Bが突出するように第1部材10が複数埋め込まれるとともに、上記一の外壁面とは反対側の外壁面において大径部42の凹部42Aが露出するように第2部材30が複数埋め込まれる。そして、鋼製の桁80上にプレキャストコンクリートブロック90を敷き詰め、隣り合うプレキャストコンクリートブロック90の一方を上記第1のコンクリート部材91、他方を第2のコンクリート部材92として、隣り合うプレキャストコンクリートブロック90同士を接続する。その後、連通空間91Bに対応する連通空間90Bにおいて露出する第1のナット20(
図1、
図2参照)を回転させて第1部材10と第2部材30とを互いに引き合うように緊結させる。これにより、作業現場での作業量を低減し、かつ施工誤差の許容量を大きくしつつ、床版100を構築することができる。
【0056】
(実施の形態2)
次に、他の実施の形態である実施の形態2の継手について説明する。
図7~
図8および
図1~
図2を参照して、実施の形態2の誤差調整機構を備える継手1は、基本的には実施の形態1の場合と同様の構造を有し、同様の効果を奏する。しかし、実施の形態2の誤差調整機構を備える継手1は、第1部材10の露出領域11C近傍における構造において、実施の形態1の場合とは異なっている。
【0057】
図7および
図8を参照して、第1の軸部材11の露出領域11Cであって、突出領域11Bに隣接する領域の外周面を取り囲むように、第2樹脂リング22が配置されている。第2樹脂リング22は、たとえばポリエチレンなどの樹脂からなっている。第2樹脂リング22は、環状の形状を有する。第2樹脂リング22は、環状の本体部22Aと、本体部22Aから軸方向に突出し、本体部よりも内径が大きい領域である突出部22Bとを含む。本体部22Aの内周面において露出領域11Cの外周面に接触するように、第2樹脂リング22は第1の軸部材11に対して固定されている。露出領域11Cであって、第1のコンクリート部材91に埋め込まれた領域には、第2樹脂リング22が配置されている。第2樹脂リング22の突出部22Bは、第1緩衝材23の外周面を取り囲む。
【0058】
第2樹脂リング22の突出部22Bとシース12の外周面との間には、円環状の形状を有する第1緩衝材23が配置される。第1緩衝材23は、たとえばクロロプレンゴムからなるスポンジなどのスポンジゴムである。
【0059】
第2樹脂リング22の突出部22Bの外周面とシース12の外周面とを液密に接続するように、樹脂テープ25が配置されている。樹脂テープ25は、たとえばビニールテープである。樹脂テープ25に代えて、熱収縮チューブを採用してもよい。
【0060】
樹脂テープ25の外周面を取り囲む領域から第2樹脂リング22の本体部22Aの外周面を取り囲む領域にまで延在するように、中空円筒状の形状を有する第2緩衝材24が配置される。第2緩衝材24は、たとえばクロロプレンゴムからなるスポンジなどのスポンジゴムである。
【0061】
第2緩衝材24の外周面とシース12の外周面とを液密に接続するように、樹脂テープ26が配置されている。樹脂テープ26は、たとえばビニールテープである。樹脂テープ26に代えて、熱収縮チューブを採用してもよい。
【0062】
すなわち、実施の形態2の継手1においては、第1部材10は、第1の軸部材11の外周面と第2緩衝材24との間に配置され、第1の軸部材11の外周面と第2緩衝材24との間の液密性を確保するとともに、露出領域11C側のシース12の端部と第1の軸部材11との間に形成される開口部を封止する液密部材としての第2樹脂リング22を含んでいる。
【0063】
本実施の形態においては、第1部材10において第1のコンクリート部材91から突出する突出領域11Bに隣接する領域(第1のコンクリート部材91の端面付近に埋め込まれる第1部材10の領域)の外周面を取り囲むように、シース12よりも弾性係数が小さい第2緩衝材24が配置される。そのため、第1部材10の突出領域11Bを、第1の軸部材11の軸方向に交差する方向にある程度動かすことができる。その結果、本実施の形態の構造によっても、実施の形態1の場合と同様に、作業現場での作業量を低減するとともに、施工誤差の許容量を大きくすることができる。
【0064】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、どのような面からも制限的なものではないと理解されるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって規定され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本願の継手の誤差調整機構および継手は、作業現場での作業量の低減や、施工誤差の許容量を大きくすることが求められるコンクリート部材を接続するための継手の誤差調整機構および継手に、特に有利に適用され得る。
【符号の説明】
【0066】
1 継手
10 第1部材
11 第1の軸部材
11A 第1の端部
11B 突出領域
11C 露出領域
11D 第2の端部
11E ねじ部
12 シース
12D 排出口
13 プレグラウト材
14 緩衝材
15 樹脂テープ
16 第1樹脂リング
16A 本体部
16B 第1突出部
16C 第2突出部
16D 注入口
16E 第1領域
16F 第2領域
17 熱収縮チューブ
18 第1の支持板
19 第1の座金
20 第1のナット
21 樹脂テープ
22 第2樹脂リング
22A 本体部
22B 突出部
23 第1緩衝材
24 第2緩衝材
25,26 樹脂テープ
30 第2部材
31 第2の軸部材
32 第2の支持板
33 第2の座金
34 第2のナット
40 第2部材結合部
41 小径部
41A 凹部
42 大径部
42A 凹部
43 支持部材
44 くさび部材
44A スリット
45 ばね部材
51 フープ筋
80 桁
90 プレキャストコンクリートブロック
90B 連通空間
91 第1のコンクリート部材
91A 第1の接触面
91B 連通空間
91C 壁面
91D 凹部
92 第2のコンクリート部材
92A 第2の接触面
100 床版