IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ボーグワーナー インコーポレーテッドの特許一覧

<>
  • 特許-圧力リリーフ弁調整特徴 図1
  • 特許-圧力リリーフ弁調整特徴 図2A
  • 特許-圧力リリーフ弁調整特徴 図2B
  • 特許-圧力リリーフ弁調整特徴 図3
  • 特許-圧力リリーフ弁調整特徴 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-25
(45)【発行日】2022-11-02
(54)【発明の名称】圧力リリーフ弁調整特徴
(51)【国際特許分類】
   F16K 17/06 20060101AFI20221026BHJP
【FI】
F16K17/06 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017505607
(86)(22)【出願日】2015-07-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2017-08-17
(86)【国際出願番号】 US2015042170
(87)【国際公開番号】W WO2016025150
(87)【国際公開日】2016-02-18
【審査請求日】2018-03-07
【審判番号】
【審判請求日】2020-09-23
(31)【優先権主張番号】62/035,414
(32)【優先日】2014-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500124378
【氏名又は名称】ボーグワーナー インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100093861
【弁理士】
【氏名又は名称】大賀 眞司
(74)【代理人】
【識別番号】100129218
【弁理士】
【氏名又は名称】百本 宏之
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・ダブリュ・クランプ
【合議体】
【審判長】窪田 治彦
【審判官】関口 哲生
【審判官】長馬 望
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-336650(JP,A)
【文献】実表昭57-67160(JP,U)
【文献】特開平11-257514(JP,A)
【文献】登録実用新案第3174222(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K17/00-17/168
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンドレスループ動力伝達部材の油圧テンショナ用圧力リリーフ弁(10)を組立てる方法であって、
ハウジング(12)によって画定された弁座(16)に向かって、そして、弁座(16)から移動するために、
前記ハウジング(12)によって画定された流体通路(14)内部に往復逆止弁部材(18)を挿入するステップと、
前記往復逆止弁部材(18)を前記弁座(16)に向かって付勢するように前記ハウジング(12)内部に付勢バネ(20)を挿入するステップと、
フィードバック制御システム(44)に応答してバネリテーナ(22)を前記流体通路(14)内部で可変深さに駆動させて、前記付勢バネ(20)の付勢力を調整するステップであって、
当該バネリテーナ(22)は、
端部表面(24)と、前記ハウジング(12)の内部表面(28)と係合可能な円筒部(26)と、を有する本体と、
前記ハウジング(12)内に形成された内部ねじ型壁(12b)と対を成して係合可能な外部ねじ型表面(22b)と、
スタンプ型カップ構成とローレット型プラグと、
工具収容開口と、
を備え、
前記工具収容開口と相補的な形状のチップを収容し、当該チップを有する回転式駆動工具によって前記バネリテーナは前記流体流路内で駆動され、
前記フィードバック制御システム(44)は、前記ハウジング(12)内部の0.4~2.0mmを含む深さまで内方に前記バネリテーナ(22)を駆動させるために前記回転式駆動工具と通信するとともに、目標予備荷重バネ抵抗力が達成されたときを決定するセンサを含み、
当該目標予備荷重バネ抵抗力は、前記往復逆止弁部材(18)が前記弁座(16)から移動できるように、圧力リリーフ弁(10)のリリーフ圧力値に影響を及ぼす公差を補償し、前記リリーフ圧力値が所定の目標リリーフ圧力値に対して所定の範囲内にあるようにする値である、前記ステップと、
前記目標予備荷重バネ抵抗力が達成された場合、前記フィードバック制御システム(44)が前記バネリテーナの前記駆動を停止させるステップと、
前記弁座(16)から遠く対向する前記ハウジング(12)の端部(32)に位置した弁キャップ(30)で前記バネリテーナ(22)、前記付勢バネ(20)、及び前記往復逆止弁部材(18)を取り囲むステップと、
を有し、
前記往復逆止弁部材(18)が、前記所定の目標リリーフ圧力値において、前記弁座(16)から移動できるような構造に、前記ハウジング(12)が形成され、
前記所定の目標リリーフ圧力値に基づいた特性を有するように前記付勢バネ(20)が選択される、
前記方法。
【請求項2】
前記フィードバック制御システム(44)は、前記センサとして、圧力センサ及び電流センサのうちの少なくとも一つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
測定されたリリーフ圧力値が前記所定の目標リリーフ圧力値に対して前記所定の範囲内にある場合を決定するように組み立てられた圧力リリーフ弁(10)をテストするステップ、
前記測定されたリリーフ圧力値が前記所定の目標リリーフ圧力値に対して前記所定の範囲内にある場合には、前記組み立てられた圧力リリーフ弁(10)を採択するステップ、
前記測定されたリリーフ圧力値が前記所定の目標リリーフ圧力値に対して前記所定の範囲未満の場合には、前記所定の目標リリーフ圧力値に対して前記所定の範囲内の測定されたリリーフ圧力値を達成するために、前記バネリテーナ(22)を前記ハウジング(12)に対してより内方へ駆動させるように前記組み立てられた圧力リリーフ弁(10)を再加工するステップ、及び
前記測定されたリリーフ圧力値が前記所定の目標リリーフ圧力値に対して前記所定の範囲を超過する場合には、前記組み立てられた圧力リリーフ弁(10)を拒否するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
弁座(16)を有する流体通路(14)を画定するハウジング(12)、前記弁座(16)と係合可能な往復逆止弁部材(18)、前記往復逆止弁部材(18)を前記弁座(16)に向かって正常に加圧するための付勢バネ(20)を有する圧力リリーフ弁(10)を組み立てる方法であって、
前記弁座(16)に向かって、そして、前記弁座(16)から移動するために、前記流体通路(14)内部に前記往復逆止弁部材(18)を位置させるステップ、
前記往復逆止弁部材(18)を前記弁座(16)から遠く移動できるようにするための特性を有する前記付勢バネ(20)を選択するステップ、
前記往復逆止弁部材(18)を前記弁座(16)に向かって加圧するために、前記流体通路(14)内に前記付勢バネ(20)を挿入するステップ、
フィードバック制御システム(44)に応答してバネリテーナ(22)を前記流体通路(14)内部で可変深さに駆動させ、前記付勢バネ(20)の付勢力を調整するステップであって、
当該バネリテーナ(22)は、
端部表面(24)と、前記ハウジング(12)の内部表面(28)と係合可能な円筒部(26)と、を有する本体と、
前記ハウジング(12)内に形成された内部ねじ型壁(12b)と対を成して係合可能な外部ねじ型表面(22b)と、
スタンプ型カップ構成とローレット型プラグと、
工具収容開口と、
を備え、
前記工具収容開口と相補的な形状のチップを収容し、当該チップを有する回転式駆動工具によって前記バネリテーナは前記流体流路内で駆動され、
前記フィードバック制御システム(44)は、前記ハウジング(12)内部の0.4~2.0mmを含む深さまで内方に前記バネリテーナ(22)を駆動させるために、前記回転式駆動工具と通信するとともに、目標予備荷重バネ抵抗力が達成されたときを決定するセンサを含み、
当該目標予備荷重バネ抵抗力は、前記往復逆止弁部材(18)が前記弁座(16)から移動できるように、圧力リリーフ弁(10)のリリーフ圧力値に影響を及ぼす公差を補償し、前記リリーフ圧力値が所定の目標リリーフ圧力値に対して所定の範囲内にあるようにする値である、前記ステップと、
前記目標予備荷重バネ抵抗力が達成された場合、前記バネリテーナの前記駆動を停止するステップ、
測定されたリリーフ圧力値が前記所定の目標リリーフ圧力値に対して前記所定の範囲内にある場合を決定するように組み立てられた圧力リリーフ弁(10)をテストするステップ、
前記測定されたリリーフ圧力値が前記所定の目標リリーフ圧力値に対して前記所定の範囲内にある場合には、前記組み立てられた圧力リリーフ弁(10)を採択するステップ、
前記測定されたリリーフ圧力値が前記目標リリーフ圧力値に対して前記所定の範囲未満の場合には、前記所定の目標リリーフ圧力値に対して前記所定の範囲内の測定されたリリーフ圧力値を達成するために、前記バネリテーナ(22)を前記ハウジング(12)に対してより内方へ駆動させるように前記組み立てられた圧力リリーフ弁(10)を再加工するステップ
前記測定されたリリーフ圧力値が前記所定の目標リリーフ圧力値に対して前記所定の範囲を超過する場合には、前記圧力リリーフ弁(10)を拒否するステップ、及び
前記弁座(16)から遠く対向する前記ハウジング(12)の端部(32)に位置した弁キャップ(30)で前記バネリテーナ(22)、前記付勢バネ(20)、及び前記往復逆止弁部材(18)を取り囲むステップを含み、
前記往復逆止弁部材(18)が、前記所定の目標リリーフ圧力値において、前記弁座(16)から移動できるような構造に前記ハウジング(12)が形成されている、
前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイミングチェーンによって経験される最大荷重を減少させるための圧力リリーフ弁を有する油圧テンショナ(hydraulic tensioner)に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧テンショナは、通常的に可撓性エンドレスルーフ動力伝達チェーンの緩いスライド上に使用され、使用中にチェーンの伸びを補正して、チェーン上に所望の張力を維持することができる。油圧テンショナは、一般的に、ハウジング、及びこのハウジング内に形成されたピストン孔内に摺動可能に収容されるピストンを含む。オイル圧力がピストン孔の内部壁面によって画定された油圧チャンバに供給される。チェーン内の張力が増加し、チェーンがピストンに増加された力を与えるとき、油圧チャンバ内のオイル圧力が増加するので、チェーンの過度な引張を防止するように油圧テンショナの性能を向上させるための圧力リリーフ弁が必要である。現在産業の圧力リリーフ弁は、油圧テンショナ下位構成要素の設計に基づいた固定されたポップオフ(pop off)圧力またはクラッキング圧力を含む。ポップオフ圧力の範囲は、組み立て中に下位構成要素の公差ビルドアップに関連されている。現在、圧力リリーフ弁のコストを減らすために、好ましいものよりも公差が増加され、ポップオフ圧力範囲がより広くなった低コスト製造工程が使用される。圧力リリーフ弁を有する油圧テンショナは、米国特許第8,197,369号;米国特許第7,618,339号;米国特許第6,810,907号;米国特許第5,707,309号;米国特許第5,700,213号;米国特許出願第2013/0017913号;米国特許出願第2008/0015069号;米国特許出願第2003/0195070号;及び米国特許出願第2003/0166428号に既に開示されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
油圧テンショナは、チェーンのようなエンドレスルーフ動力伝達部材上に張力を維持するために使用され得る。油圧テンショナは、チェーンとの相互作用から加えられる力にさらされることができる。外部チェーン力は、油圧テンショナのハウジング内部の流体に作用して流体圧力の好ましくない増加をもたらす。流体圧力の好ましくない増加は、圧力リリーフ弁によって緩和され、チェーンの過度な引張を防止することができる。被駆動構成要素は、組み立てられた圧力リリーフ弁のポップオフ圧力値またはリリーフ圧力値範囲を制御するのに使用され得る。圧力リリーフ弁は、流体通路及び弁座を画定するハウジング、弁座に向かって、そして、弁座から遠く移動するために流体通路内部に位置した往復逆止弁部材、及び往復逆止弁部材を弁座に向かって正常に付勢するバネシートを含むことができる。圧力リリーフ弁は、フィードバック制御システムに応答して可変深さにハウジングの流体通路内部に組み立てられたバネリテーナ(spring retainer)を含むことができる。フィードバック制御システムは、圧力リリーフ弁の組み立て中に付勢バネに印加された予備荷重力(preload force)に対応するフィードバック制御信号を提供することができる。バネリテーナは、組み立て中に組み立てられたバネの付勢力を自動に調整することができ、組み立てられた圧力リリーフ弁のリリーフ圧力値に影響を及ぼす公差を補償し、リリーフ圧力値が往復逆止弁部材を弁座から遠く駆動させるための所定の目標リリーフ圧力値に対して所定の範囲内にあるようにより厳格に制御することができるようにする。
【0004】
圧力リリーフ弁は、チェーンのようなエンドレスルーフ動力伝達部材上に張力を維持するための油圧テンショナに組み立てられ得る。油圧テンショナは、チェーンとの相互作用から加えられる力にさらされ得る。外部チェーン力は、油圧テンショナのハウジング内の流体に作用して流体圧力の好ましくない増加をもたらす。増加された流体圧力は、圧力リリーフ弁によって緩和され、チェーンの過度な引張を防止することができる。前記方法は、ハウジングによって画定された弁座に向かって、そして、弁座から遠く移動するためにハウジングによって画定された流体通路内部に往復逆止弁部材を挿入するステップ、ハウジング内部にバネを挿入し、往復逆止弁部材を弁座に向かって正常に付勢するステップ、及びハウジングの流体通路内部でバネリテーナを可変深さに駆動させるステップを含むことができる。バネリテーナは、組み立てられたバネの付勢力を自動に調整して、組み立てられた圧力リリーフ弁のリリーフ圧力値に影響を及ぼす公差を補償し、リリーフ圧力値が往復逆止弁部材を弁座から遠く移動できるようにするための所定の目標リリーフ圧力値に対して所定の範囲内にあるようにより厳格に制御できるようにするために、フィードバック制御システムに応答して駆動され得る。
【0005】
圧力リリーフ弁は、弁座を有する流体通路を画定するハウジング、弁座と係合可能な往復逆止弁部材、往復逆止弁部材を弁座に向かって正常に加圧するための付勢バネを有することができる。圧力リリーフ弁は、弁座に向かって、そして、弁座から遠く移動するために流体通路内部に往復逆止弁部材を位置させるステップ、往復逆止弁部材を弁座から遠く移動できるようにするための目標リリーフ圧力値に基づいた特性を有する付勢バネを選択するステップ、往復逆止弁部材を弁座に向かって加圧するために流体通路内に付勢バネを挿入するステップ、及び組み立てられたバネの付勢力を自動に調整して、組み立てられた圧力リリーフ弁のリリーフ圧力値に影響を及ぼす公差を補償し、リリーフ圧力値が所定の目標リリーフ圧力値に対して所定の範囲内にあるようにより厳格に制御できるようにするために、フィードバック制御システムに応答して可変深さにハウジングの流体通路内部でバネリテーナを駆動させるステップを含む工程によって組み立てられ得る。
【0006】
圧力リリーフ弁を組立てる工程は、組み立てられた圧力リリーフ弁をテストして、測定されたリリーフ圧力値が所定の目標リリーフ圧力値に対して所定の範囲内にある場合を決定するステップ、測定されたリリーフ圧力値が所定の目標リリーフ圧力値に対して所定の範囲内にある場合に組み立てられたリリーフ圧力弁を採択するステップ;測定されたリリーフ圧力値が目標リリーフ圧力値に対して所定の範囲未満の場合に予め所定の目標リリーフ圧力値に対して所定の範囲内の測定されたリリーフ圧力値を達成するために、バネリテーナをハウジングに対してさらに内方へ駆動させるように組み立てられた圧力リリーフ弁を再加工するステップ;及び測定されたリリーフ圧力値が所定の目標リリーフ圧力値に対して所定の範囲を超過する場合に圧力リリーフ弁を拒否するステップを更に含むことができる。
【0007】
本発明の他の適用例は、本発明を実施するために考慮される最善の形態に対する次の説明を添付された図面と関連して読むときに、当業者に明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本明細書における説明は、添付された図面を参照して提供され、ここで類似する番号は、数個の図面にわたって類似する部分を指称する。
図1】組み立てられたバネの付勢力を自動に調整して、組み立てられた圧力リリーフ弁のリリーフ圧力値に影響を及ぼす公差を補償し、リリーフ圧力値が往復逆止弁部材を圧力リリーフ弁の弁座から遠く駆動させるための所定の目標リリーフ圧力値に対して所定の範囲内にあるように制御できるようにするために、フィードバック制御システムに応答して可変深さに圧入嵌合(press-fit)されるバネリテーナを示す圧力リリーフ弁の断面図であり;
図2A】組み立て中にバネリテーナを駆動させるために、フィードバック制御システムと通信する可変深さプレス工具を示す図1の圧力リリーフ弁の断面図であり;
図2B】ハウジングの相補的なねじ型内部表面と螺合可能な外部ねじ型表面を有し、組み立て中にバネリテーナを駆動させるために、フィードバック制御システムと通信する回転駆動工具によって可変深さに駆動されるバネリテーナを示す圧力リリーフ弁の断面図であり;
図3図2A及び図2Bの圧力リリーフ弁を組み立て、組み立てられた圧力リリーフ弁をテストして、測定された圧力リリーフ値が所定の目標リリーフ圧力値に対して所定の範囲内にある場合を決定して、フィードバック制御システムが、測定された値が所定の範囲内にある場合には組み立てられた圧力リリーフ弁を採択し、測定された値が所定の範囲未満の場合には組み立てられた圧力リリーフ弁を再加工し、測定された値が所定の範囲を超過する場合には組み立てられた圧力リリーフ弁を拒否できるようにするための単純化された制御図面であり;
図4】往復逆止弁部材を圧力リリーフ弁の弁座から遠く駆動させるための7つの目標リリーフ圧力値範囲を示すグラフであって、それぞれの圧力値範囲は、公称目標圧力値の-10%以内の低圧力値及び公称目標圧力値の+10%以内の高圧力値を有し、ここで圧力リリーフ弁は、共通のハウジング、往復弁部材及びバネリテーナを私用する一方、特定目標圧力範囲に対して選択され、図1図3に示したように組み立てられた異なるバネを使用して組み立てられ得る。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1図3は、チェーンのようなエンドレスルーフ動力伝達部材用油圧テンショナを示している。油圧テンショナは、チェーンとの相互作用によって加えられる力にさらされる。チェーンの外力は、油圧テンショナのハウジング内部の流体に作用して、好ましくない増加された流体圧力を生成することができる。圧力リリーフ弁10は、所定の目標値を超過する流体圧力を排出して、動力伝達部材またはチェーンの過度な引張を防止するように提供され得る。図1に最もよく示されたように、圧力リリーフ弁10は、流体通路14及び弁座16を画定するハウジング12を含むことができる。弁座16は、圧力リリーフ弁10用入口として作用することができ、流体通路14は、入口を介して油圧テンショナ内に位置した高圧チャンバと選択的に流体連通することができる。組み立てられた圧力リリーフ弁10は、弁座16に向かって、そして、弁座16から遠く移動するために、流体通路14の内部に位置した往復逆止弁部材18を含むことができる。往復逆止弁部材18は、油圧テンショナ内に位置した高圧チャンバにさらされた表面領域34を有するボール状の逆止弁部材を含むことができる。圧力リリーフ弁10は、往復逆止弁部材18を弁座16に向かって正常に付勢するバネ20を含むことができる。バネ20は、往復逆止弁部材18に力を作用させて往復逆止弁部材18が弁座16に対して完全に安着され得るようにする。高圧チャンバ内の圧力が所定の限界を超過するとき、圧力はバネ20の力を打ち勝って油圧テンショナ内の圧力緩和のために、逆止弁部材18を弁座16から遠く駆動させることができる。圧力リリーフ弁10は、可変深さにハウジング12の流体通路14内部に組み立てられたバネリテーナ22を更に含むことができる。
【0010】
バネリテーナ22は、組み立てられたバネ20の付勢力を自動に調整して、組み立てられた圧力リリーフ弁のリリーフ圧力値に影響を及ぼす公差を補償し、リリーフ圧力値が往復逆止弁部材18を弁座16から遠く駆動させるための所定の目標リリーフ圧力値に対して所定の範囲内にあるようにより厳格に制御できるようにするために、油圧テンショナ内のフィードバック制御システムに応答して可変深さに駆動され得る。非制限的な例として、所定の範囲は、所定の目標リリーフ圧力値の±5%、±10%、±15%の範囲、またはこれらの間の任意の範囲から選択され得る。非制限的な例として、リリーフ圧力値に影響を及ぼす公差は、ハウジング12の深さ、バネ20の様々なバネ特性(長さ、バネ直径、ワイヤ直径、材質など)、ハウジング12の入口幾何学的構造、及び/または弁座16の幾何学的構造を含むことができる。弁座の幾何学的構造は、往復逆止弁部材18に作用する有効圧力領域を生成する。図1図3に示された圧力リリーフ弁10は、圧力リリーフ弁10の組み立て中に目標リリーフ圧力値に対して調整することにより、個々構成要素の個別公差のより大きい発散を収容することができる。
【0011】
これから図1を参照すると、バネリテーナ22は、ハウジング12の流体通路14の内部に圧入嵌合されることができ、端部表面24、及びハウジング12の内部表面28と係合可能な円筒部26を有する本体を含むことができる。円筒部26は、流体通路14内部のバネ20及び往復逆止弁部材18から遠く延びられ得る。バネリテーナ22は、深絞型(deeply drawn)またはスタンプ型カップ構成を含むことができる。非制限的な例として、バネリテーナ22は、スプリットピン、円型プラグ、またはローレット型プラグを含むことができる。バネリテーナ22は、このバネリテーナ22に対して作用するバネの運動によって生成された磨耗に耐えるように硬化され得る。バネリテーナ22の加圧深さは、予備荷重バネ力を調整するために圧力リリーフ弁10の組み立て中に変更される。圧力リリーフ弁10のハウジング12は、第1の端部32及び第2の端部36を含むことができる。流体通路14は、第1及び第2の端部32、36の間に延びられ得る。弁座16及び往復逆止弁部材18は、油圧テンショナ内に位置した高圧チャンバと流体連通するように第2の端部36に位置することができる。圧力リリーフ弁10は、弁座16の反対側に遠く位置したハウジング12の第1の端部32を閉鎖する弁キャップ30を含むことができる。弁キャップ30は、ハウジング12の流体通路14内部のバネリテーナ22、バネ20、及び往復逆止弁部材18を取り囲むことができる。非制限的な例として、キャップ30は、往復逆止弁部材18を弁座16から遠く駆動させるための所定の目標リリーフ圧力値に対して異なる圧力範囲を有する圧力リリーフ弁などを区別するようにカラーまたはレーザーバーコードを含むことができる。
【0012】
非制限的な例として、バネ20は、往復逆止弁部材18を弁座16から遠く移動できるようにするために、所定の範囲内の目標リリーフ圧力値を提供する付勢力に基づいた特性を有することができる。ハウジング12は、目標リリーフ圧力値に基づいた入口幾何学的構造を有することもできる。入口幾何学的構造は、ハウジング12の第2の端部36で可変され得る。
【0013】
これから図2A図2B及び図3を参照すると、圧力リリーフ弁10は、エンドレスルーフ動力伝達部材用油圧テンショナ内に組み立てられ得る。エンドレスルーフ動力伝達部材は、油圧テンショナ内部の作動流体に力を印加することができる。外力は、作動流体に作用して、好ましくないように流体圧力を増加させることができる。増加された流体圧力は、所定の目標圧力リリーフ値打ちを超過するときに、圧力リリーフ弁によって緩和され得る。組み立て方法は、ハウジング12によって画定された弁座16に向かって、そして、弁座16から遠く移動するために、ハウジング12によって画定された流体通路14内部に往復逆止弁部材18を挿入するステップ102、往復逆止弁部材18を弁座16に向かって正常に付勢するようにハウジング12内部にバネ20を挿入するステップ104、及び組み立てられたバネの付勢力を自動に調整して、組み立てられた圧力リリーフ弁のリリーフ圧力値に影響を及ぼす公差を補償し、リリーフ圧力値が往復逆止弁部材18を弁座16から遠く移動できるようにするための所定の目標リリーフ圧力値に対して所定の範囲内にあるようにより厳格に制御できるようにするために、フィードバック制御システム44に応答して可変深さにハウジング12の流体通路14内部でバネリテーナ22を駆動させるステップ106を含むことができる。非制限的な例として、所定の範囲は、所定の目標リリーフ圧力値に対して±5%、±10%、±15%またはこれらの間の任意の所望の範囲であり得る。バネリテーナ22を駆動させるステップ106は、ハウジングの流体通路14内部にバネリテーナ22を圧入嵌合するか、またはハウジング12a内にねじ型壁12bが形成されたバネリテーナ22aの外部ねじ型表面22bと螺合させるステップを更に含むことができる。
【0014】
前記方法は、流体通路14及び弁座16を画定するハウジング12を形成するステップを更に含むことができる。ハウジング12は、往復逆止弁部材18を弁座16から遠く移動できるようにするための所定の目標リリーフ圧力値に基づいた入口幾何学的構造を有するように形成され得る。前記方法は、往復逆止弁部材18を弁座16から遠く移動できるようにするための所定の目標リリーフ圧力値に基づいた特性を有するバネ20を選択するステップを更に含むことができる。バネ20の長さは、バネリテーナ22によって可変され、往復逆止弁部材18を弁座16から遠く移動できるようにするための所定の目標リリーフ圧力値を達成するために、予備荷重バネ力を提供することができる。前記方法は、バネリテーナ22をハウジング12に対して内方に駆動させ、ハウジング12の弁座16とバネリテーナ22との間に往復逆止弁部材18及びバネ20を挿入するステップ106を含むことができる。前記方法は、組み立てられたバネ20の付勢力を自動に調整して、組み立てられた圧力リリーフ弁のリリーフ圧力値に影響を及ぼす公差を補償し、リリーフ圧力値が、非制限的な例として、所定の目標リリーフ圧力値に対して±10%の範囲のような所定の範囲内にあるように制御できるようにするために、バネ抵抗力と相関するフィードバック制御システム44からのフィードバック信号に応答してバネリテーナ22の挿入運動を停止させるステップを更に含むことができる。
【0015】
これから図2A及び図2Bを参照すると、圧力リリーフ弁10は、ポップオフまたはリリーフ圧力値のより厳格な公差を提供しながら、構成要素のコスト減少及び構成要素のより大きい分散公差を許容する可変深さに駆動されるバネリテーナ22を有することができる。また、圧力リリーフ弁10は、同一のハウジング、弁部材、バネリテーナ及びキャップを使用する一方、ポップオフまたは目標リリーフ圧力に基づいて選択された異なる作動特性を有するバネを使用して、所定のリリーフ圧力値の範囲を提供することができる。図2Aに示されたように、バネリテーナ22は、組み立てされる構成要素の公差に応じて可変深さに圧入嵌合され得る。非制限的な例として、バネリテーナ22が圧力リリーフ弁10のハウジング12の第1の端部32に対して同一平面になるように圧入嵌合されるときには、圧力リリーフ弁10が最大バネ力、ハウジング12の最小長さ、及び最小有効圧力表面領域34に対して調整することができ、バネリテーナ22がハウジング12の第1の端部32に対して最大深さに圧入嵌合されるときには、圧力リリーフ弁10は、最小バネ力、ハウジング12の最大長さ、及び最大有効圧力表面領域34に対して調整することができる。組み立ての間に、バネリテーナ22は、輪郭型チップ(contoured tip)42を有する可変深さプレス工具40を使用して包括的に約0.4ミリメートル(mm)~約2.0ミリメートル(mm)の深さ範囲にハウジング12内に圧入嵌合され得る。非制限的な例として、バネリテーナ22は、約0.1ミリメートル(mm)増分の可変深さに加圧され得る。組み立て中により大きい公差を許容するために、バネリテーナ22を公称深さに駆動させることが好ましい。フィードバック制御システム44は、ハウジング12内部で可変深さプレス工具40でバネリテーナ22の圧入嵌合を制御することができる。非制限的な例として、可変深さプレス工具は、油圧、空気圧、または電気サーボ被駆動プレスを含むことができる。フィードバック制御システム44は、圧力リリーフ弁10の組み立て中に予備荷重バネ抵抗力と関連した所定のパラメータを測定するための、非制限的な例として、圧力センサまたは電流センサのようなセンサ46を更に含むことができ、可変深さプレス工具40の挿入が停止され得るとき、すなわち目標予備荷重バネ抵抗力が達成されたときを決定するように、フィードバック制御システム44にフィードバックを提供することができる。フィードバック制御システム44は、圧力センサまたは電流センサを含むことができる。非制限的な例として、センサ46は、油圧または空気圧プレス工具を制御するフィードバック制御システム44に対する圧力を測定することができ、センサ46は、電気サーボ被駆動プレス工具を制御するフィードバック制御システム44に対する電流を測定することができる。
【0016】
図2Bに示されたように、バネリテーナ22aは、ハウジング12a内に形成された内部ねじ型壁12bと対を成して係合可能な外部ねじ型表面22bを含むことができる。ハウジング12aは、バネリテーナ22aを収容するための流体通路14aを形成することができる。バネリテーナ22aは、工具収容開口22cを含むことができる。組み立て中に、バネリテーナ22aは、このバネリテーナ22aの工具収容開口22cとその形状が相補的なチップ42aを有する回転式駆動工具40aを使用して、ハウジング12内に駆動され得る。ハウジング12a内部で回転式駆動工具40aによるバネリテーナ22aの駆動は、バネリテーナ22aの駆動が停止され得るとき、すなわち目標予備荷重バネ抵抗力が達成されたときを決定するためのセンサ46aを有するフィードバック制御システム44aの前記説明を含むことができる。
【0017】
図3に最もよく示されたように、前記方法は、流体流れ中に組み立てられた圧力リリーフ弁10のリリーフ圧力を測定するために、組み立てられた圧力リリーフ弁10をテストするステップ108及び測定された圧力リリーフ値が所定の目標リリーフ圧力値に対して所定の範囲内にある場合を決定するステップ110をまた含むことができる。前記方法は、測定されたリリーフ圧力値が所定の目標リリーフ圧力値に対して所定の範囲内にある場合には、組み立てられた圧力リリーフ弁を採択するステップ112、測定されたリリーフ圧力値が所定の目標リリーフ圧力値に対して所定の範囲未満の場合には、所定の目標リリーフ圧力値に対して所定の範囲内の測定されたリリーフ圧力値を達成するために、バネリテーナ22をハウジング12に対してより内方へ駆動させるように組み立てられた圧力リリーフ弁を再加工するために、駆動ステップ106へのリターン分岐を提供する問い合わせステップ114、及び測定されたリリーフ圧力値が所定の目標リリーフ圧力値に対して所定の範囲を超過する場合には、組み立てられた圧力リリーフ弁を拒否するステップ116を含むことができる。フィードバック制御システム44は、バネリテーナ22、22aをハウジング12、12aに対してより内方へ駆動させることにより、組み立てられた圧力リリーフ弁の再加工を制御するように可変深さプレス工具40または回転式駆動工具40aと通信することができる。
【0018】
前記方法は、バネリテーナ22をハウジング12内に挿入する間にバネ20と係合可能な端部表面24及びハウジング12の内部表面28と係合可能な円筒部26を有するバネリテーナ22を形成するステップを含むことができる。ハウジング12は、第1の端部32及び第2の端部36を含むことができる。弁座16及び往復逆止弁部材18は、第2の端部36に位置することができる。前記方法は、弁座16から遠く対向するハウジング12の第1の端部32に位置した弁キャップ30でハウジング12内のバネリテーナ22、バネ20及び往復逆止弁部材18を取り囲むステップを含むことができる。
【0019】
圧力リリーフ弁10は、弁座16を有する流体通路14を画定するハウジング12、弁座16と係合可能な往復逆止弁部材18、及び往復逆止弁部材18を弁座16に向かって正常に加圧するための付勢バネ20を有することができる。圧力リリーフ弁10は、弁座16に向かって、そして、弁座16から遠く移動するために、流体通路14内に往復逆止弁部材18を配置するステップ、往復逆止弁部材18を弁座16から遠く移動できるようにするための目標リリーフ圧力値に基づいた特性を有する付勢バネ20を選択するステップ、往復逆止弁部材18を弁座16に向かって加圧するために、流体通路14内に付勢バネ20を挿入するステップ、及び組み立てられたバネ20の付勢力を自動に調整して、組み立てられた圧力リリーフ弁10のリリーフ圧力値に影響を及ぼす公差を補償し、リリーフ圧力値が所定の目標リリーフ圧力値の所定の範囲内にあるように制御できるようにするために、フィードバック圧力に応答して可変深さにハウジング12の流体通路14内部でバネリテーナ22を駆動させるステップを含む工程によって組み立てられ得る。前記工程は、測定されたリリーフ圧力値が所定の目標リリーフ圧力値に対して所定の範囲内にある場合を決定するように組み立てられた圧力リリーフ弁10をテストするステップ、測定されたリリーフ圧力値が所定の目標リリーフ圧力値に対して所定の範囲内にある場合には、組み立てられた圧力リリーフ弁10を採択するステップ、測定されたリリーフ圧力値が目標リリーフ圧力値に対して所定の範囲未満の場合には、所定の目標リリーフ圧力値に対して所定のリリーフ圧力内の測定されたリリーフ圧力値を達成するために、バネリテーナ22をハウジング12に対してより内方へ駆動させるように組み立てられた圧力リリーフ弁10を再加工するステップ、及び測定されたリリーフ圧力値が所定の目標リリーフ圧力値に対して所定の範囲を超過する場合には、圧力リリーフ弁10を拒否するステップを含むことができる。
【0020】
これから図4を参照すると、グラフは、前記図1図3に対して説明したように、圧力リリーフ弁10において具現され得る7つの異なるリリーフ圧力弁アセンブリーに対するX軸上の7つの個別リリーフ圧力値範囲210、220、230、240、250、260、270を示している。リリーフ圧力範囲210、220、230、240、250、260、270の各々は、Y軸上に示された、往復逆止弁部材18を弁座16から遠く駆動させるための公称目標リリーフ圧力値210a、220a、230a、240a、250a、260a、270aの±5%、±10%、±15%またはこれらの間の任意の所望の範囲、または“ポップ-オフ範囲”以内の値を含むことができる。非制限的な例として、組み立てられた圧力リリーフ弁10は、低いか高い所定のリリーフ圧力値210b、210c;220b、220c;230b、230c;240b、240c;250b、250c;260b、260c;270b、270c)の範囲を有することができる。各リリーフ圧力値範囲210、220、230、240、250、260、270は、目標圧力値、低圧力値、及び高圧力値210a、210b、210c;220a、220b、220c;230a、230b、230c;240a、240b、240c;250a、250b、250c;260a、260b、260c;270a、270b、270cを含む。非制限的な例として、低圧力値及び高圧力値は、往復逆止弁部材18を弁座16から遠く駆動させるために、要求される所定の公称または目標リリーフ圧力値210a、220a、230a、240a、250a、260a、270aの±10%以内であることができ、低圧力値210b、220b、230b、240b、250b、260b、270bは、対応する目標圧力値210a、220a、230a、240a、250a、260a、270aの-10%以内であり、高圧力値210c、220c、230c、240c、250c、260c、270cは、対応する目標圧力値210a、220a、230a、240a、250a、260a、270aの+10%以内である。非制限的な例として、目標リリーフ圧力値範囲のうち、範囲210に対応する最低リリーフ圧力弁は、包括的に約186.3~約227.7のポンド/平方インチ(psi)の間であり、最大リリーフ圧力弁は、包括的に約1139.4~約1392.6ポンド/平方インチ(psi)の間である。非制限的な例として、図4に示されたように、リリーフ圧力値範囲210、220、230、240、250、260、270は、示された様々な例示的な弁において約±15%の圧力値だけ分離され得る。所望の圧力値範囲を異なるようにすることは、より効率的なタイミング駆動システムのための油圧テンショナ調整可能性(tunability)をより高めることができるようにする。
【0021】
現在最も実用的で好ましい実施形態であると見なされるものに関連して本発明を説明したが、本発明は、開示された実施形態に限定されるものではなく、むしろ、添付された特許請求の範囲の思想及び範囲内に含まれる様々な変形及び同等の配列を含むことを意図し、その範囲は、法によって許容されるこのようなすべての変形及び同等の構成を含むように最も広く解釈されるべきことが理解されるべきである。

図1
図2A
図2B
図3
図4