(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-25
(45)【発行日】2022-11-02
(54)【発明の名称】工作機械
(51)【国際特許分類】
B23B 15/00 20060101AFI20221026BHJP
B23Q 7/04 20060101ALI20221026BHJP
【FI】
B23B15/00 A
B23Q7/04 L
(21)【出願番号】P 2018033083
(22)【出願日】2018-02-27
【審査請求日】2020-12-21
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 〔公開事由〕 博覧会名:メカトロテックジャパン2017 開催日 :2017年10月18日~2017年10月21日 〔公開事由〕 博覧会名:2017部品加工機フェアin大阪 開催日 :2017年12月15日~2017年12月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】591014835
【氏名又は名称】高松機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092727
【氏名又は名称】岸本 忠昭
(74)【代理人】
【識別番号】100146891
【氏名又は名称】松下 ひろ美
(72)【発明者】
【氏名】浅井 隆平
【審査官】小川 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-155968(JP,A)
【文献】特開2006-007364(JP,A)
【文献】実開平04-106102(JP,U)
【文献】特開2001-105203(JP,A)
【文献】国際公開第2018/008120(WO,A1)
【文献】特開2012-121077(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 15/00
B23Q 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工域にて被加工物を加工する加工装置と、前記被加工物を前記加工域に搬送する被加工物搬送装置と、を具備する工作機械において、
前記加工装置は、加工装置本体の主軸部に回転自在に支持された主軸と、前記主軸と一体的に回動される主軸チャック手段と、前記主軸チャック手段に装着された前記被加工物に前記加工域にて作用して加工を施すための加工手段と、を備え、
前記被加工物搬送装置は、前記主軸部の上方にて前記主軸の軸方向に対して実質上垂直な方向に延びる走行レールと、前記走行レールに移動自在に支持されたローダとを備え、前記ローダは、前記走行レールに支持された走行台と、前記走行台に前記主軸の前記軸方向に実質上平行な方向に移動自在に支持された移動台と、前記移動台に上下方向に昇降動自在に支持された昇降ロッドと、前記昇降ロッドの下端部に装着されたローダヘッドと、を備えており、
前記ローダヘッドは、上下方向に間隔をおいて配設され且つ前記主軸チャック手段に対向するように同じ向きに配置された第1及び第2ローダチャック手段を有し、前記第1及び第2ローダチャック手段は、2つ又は3つのローダチャック爪を有し、前記2つ又は3つのローダチャック爪は、閉状態となって前記被加工物を保持し、開状態となって前記被加工物の保持を開放するように構成されており、
更に、前記第1ローダチャック手段の2つの特定ローダチャック爪の前記開状態における幅方向の間隔は、前記加工域にて加工された加工済み被加工物の外径よりも大きくなるように設定されており、
前記被加工物を前記加工装置の前記主軸チャック手段に装着するときには、前記第1ローダチャック手段が前記開状態に保持され且つ前記第2ローダチャック手段が前記閉状態に保持されて前記被加工物を保持する状態において、前記ローダヘッドが下方に移動されて前記第1ローダチャック手段が前記加工装置の前記主軸チャック手段に対向する受渡し位置に位置付けられ、前記受渡し位置にて前記第1ローダチャック手段が前記閉状態に、前記加工装置の前記主軸チャック手段が開状態になることによって、前記加工域にて加工された前記加工済み被加工物が前記主軸チャック手段から受け渡され、前記加工済み被加工物の受け渡しの後に、前記ローダヘッドが前記受渡し位置から後方に後退した第1後退位置に位置付けられることを特徴とする工作機械。
【請求項2】
前記第1ローダチャック手段は、周方向に間隔をおいて配設された第1~第3ローダチャック爪を有し、前記第2及び第3ローダチャック爪は下側に配置され、前記第1ローダチャック爪は前記第2及び第3ローダチャック爪の間の中央上方に配置され、前記第2及び前記第3ローダチャック爪の前記開状態における前記幅方向の間隔は、前記加工済み被加工物の外径よりも大きくなるように設定されていることを特徴とする請求項1に記載の工作機械。
【請求項3】
前記第1ローダチャック手段は、前記主軸チャック手段に対向する第1旋回角度位置と、前記第1旋回角度位置から後側に回動した第2旋回角度位置との間を旋回自在に支持部材に装着されており、
更に、前記第2ローダチャック手段は、周方向に間隔をおいて配設された第1~第3ローダチャック爪を有し、前記第2ローダチャック手段の前記第2及び第3ローダチャック爪は下側に配置され、前記第2ローダチャック手段の前記第1ローダチャック爪は、前記第2ローダチャック手段の前記第2及び第3ローダチャック爪間の中央上方に配置され、前記第2ローダチャック手段の前記第2及び第3ローダチャック爪の前記開状態における幅方向の間隔は、加工前の被加工物の外径よりも大きくなるように設定されており、
前記加工済み被加工物を前記加工装置の前記主軸チャック手段の上方に搬送するときには、前記第1ローダチャック手段が前記閉状態に保持されて前記加工済み被加工物を保持した状態で前記第2旋回角度位置に保持され且つ前記第2ローダチャック手段が前記開状態に保持され、かかる状態において、前記第2ローダチャック手段に保持された前記被加工物を前記加工装置の前記主軸チャック手段に装着する装着位置から前記ローダヘッドが上方に移動されることを特徴とする請求項1又は2に記載の工作機械。
【請求項4】
前記加工装置の前記主軸チャック手段に関連してチャック開閉シリンダ機構が設けられ、前記チャック開閉シリンダ機構に関連してそのピストンの移動を検知するための移動検知手段が設けられ、前記移動検知手段は、前記チャック開閉シリンダ機構の前記ピストンと一体的に移動する被検知部材と、前記被検知部材までの距離の変化を検知するための距離変化検知手段とから構成され、前記距離変化検知手段は、前記被検知部材までの距離変化に基づいて前記加工装置の前記主軸チャック手段による前記加工済み被加工物の解除を検知し、前記主軸チャック手段による前記加工済み被加工物の保持解除の開始動作に基づいて前記ローダヘッドが前記受渡し位置から前記第1後退位置に向けて移動されることを特徴とする請求項1に記載の工作機械。
【請求項5】
前記被加工物搬送装置の前記第2ローダチャック手段に関連して、前記被加工物を前記加工装置の前記主軸チャック手段に押し付けるためのプッシャー手段が設けられ、前記プッシャー手段は、前記第2ローダチャック手段に保持された前記被加工物に作用する作用状態と、前記被加工物から後退して作用しない非作用状態とになるように構成されており、
前記ローダヘッドが
装着位置から後退した第2後退位置から前記装着位置に向けて前進すると、前記プッシャー手段が前記非作用状態から前記作用状態になり、前記被加工物は、前記プッシャー手段に押された状態でもって前記第2ローダチャック手段に保持され、その後前記装着位置まで移動すると、前記第2ローダチャック手段が前記開状態になることを特徴とする請求項1に記載の工作機械。
【請求項6】
加工域にて被加工物を加工する加工装置と、前記被加工物を前記加工域に搬送する被加工物搬送装置と、を具備する工作機械において、
前記加工装置は、加工装置本体の主軸部に回転自在に支持された主軸と、前記主軸と一体的に回動される主軸チャック手段と、前記主軸チャック手段に装着された前記被加工物に前記加工域にて作用して加工を施すための加工手段と、を備え、
前記被加工物搬送装置は、前記主軸部の上方にて前記主軸の軸方向に対して実質上垂直な方向に延びる走行レールと、前記走行レールに移動自在に支持されたローダとを備え、前記ローダは、前記走行レールに支持された走行台と、前記走行台に前記主軸の前記軸方向に実質上平行な方向に移動自在に支持された移動台と、前記移動台に上下方向に昇降動自在に支持された昇降ロッドと、前記昇降ロッドの下端部に装着されたローダヘッドと、を備えており、
前記ローダヘッドは、上下方向に間隔をおいて配設され且つ前記主軸チャック手段に対向するように同じ向きに配置された第1及び第2ローダチャック手段を有し、前記第1及び第2ローダチャック手段は、2つ又は3つのローダチャック爪を有し、前記2つ又は3つのローダチャック爪は、閉状態となって前記被加工物を保持し、開状態となって前記被加工物の保持を開放するように構成されており、
更に、前記第1ローダチャック手段は、前記主軸チャック手段に対向する第1旋回角度位置と、前記第1旋回角度位置から後側に回動した第2旋回角度位置との間を旋回自在であり、また前記第2ローダチャック手段の2つの特定ローダチャック爪の前記開状態における幅方向の間隔は、加工前の被加工物の外径よりも大きくなるように設定されており、
加工済み被加工物を前記加工装置の前記主軸チャック手段の上方に搬送するときには、前記第1ローダチャック手段が前記閉状態に保持されて前記加工済み被加工物を保持した状態で前記第2旋回角度位置に保持され且つ前記第2ローダチャック手段が前記開状態に保持され、かかる状態において、前記第2ローダチャック手段に保持された前記被加工物を前記加工装置の前記主軸チャック手段に装着する装着位置から前記ローダヘッドが上方に移動されることを特徴とする工作機械。
【請求項7】
前記第2ローダチャック手段は、周方向に間隔をおいて配設された第1~第3ローダチャック爪を有し、前記第2及び第3ローダチャック爪は下側に配置され、前記第1ローダチャック爪は前記第2及び第3ローダチャック爪の間の中央上方に配置され、前記第2及び前記第3ローダチャック爪の前記開状態における前記幅方向の間隔は、前記加工前の被加工物の外径よりも大きくなるように設定されていることを特徴とする請求項6に記載の工作機械。
【請求項8】
加工域にて被加工物を加工する加工装置と、前記被加工物を前記加工域に搬送する被加工物搬送装置と、を具備する工作機械において、
前記加工装置は、加工装置本体の主軸部に回転自在に支持された主軸と、前記主軸と一体的に回動される主軸チャック手段と、前記主軸チャック手段に装着された前記被加工物に前記加工域にて作用して加工を施すための加工手段と、を備え、
前記被加工物搬送装置は、前記主軸部の上方にて前記主軸の軸方向に対して実質上垂直な方向に延びる走行レールと、前記走行レールに移動自在に支持されたローダと、を備え、前記ローダは、前記走行レールに支持された走行台と、前記走行台に前記主軸の前記軸方向に実質上平行な方向に移動自在に支持された移動台と、前記移動台に上下方向に昇降動自在に支持された昇降ロッドと、前記昇降ロッドの下端部に装着されたローダヘッドと、を備え、前記ローダヘッドは、上下方向に間隔をおいて配設された第1及び第2ローダチャック手段を有しており、
また、前記第1及び第2ローダチャック手段は複数のローダチャック爪を有し、前記複数のローダチャック爪は、閉状態となって前記被加工物を保持し、開状態となって前記被加工物の保持を開放するように構成されており、
更に、前記加工装置の前記主軸チャック手段に関連してチャック開閉シリンダ機構が設けられ、前記チャック開閉シリンダ機構に関連してそのピストンの移動を検知するための移動検知手段が設けられ、前記移動検知手段は、前記チャック開閉シリンダ機構の前記ピストンと一体的に移動する被検知部材と、前記被検知部材までの距離の変化を検知するための距離変化検知手段とから構成され、前記距離変化検知手段は、前記被検知部材までの距離変化に基づいて前記加工装置の前記主軸チャック手段による加工済み被加工物の保持解除を検知し、前記主軸チャック手段による前記加工済み被加工物の保持解除の開始動作に基づいて前記ローダヘッドが
受渡し位置から後退移動されることを特徴とする工作機械。
【請求項9】
前記加工装置には、前記被加工物を加工する第1及び第2加工域が設けられ、前記第1及び第2加工域に対応して第1及び第2主軸、第1及び第2主軸チャック手段並びに第1及び第2加工手段が設けられ、前記第1及び第2主軸チャック手段は横方向に間隔をおいて配置され、前記第1及び第2主軸チャック手段の中間上方には被加工物を反転させるための被加工物反転装置が設けられ、前記被加工物搬送装置は、前記第1及び第2主軸チャック手段の上方においてこれらにわたって設けられていることを特徴とする
請求項1~8のいずれかに記載の工作機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工域に被加工物を搬送するための被加工物搬送装置を備えた工作機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、被加工物を順次加工する工作機械として、加工域にて被加工物を加工する加工装置と、この加工装置の加工域に被加工物を搬送する被加工物搬送装置を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このような従来の工作機械の一例を
図11に示す。
図11に示す工作機械202(例えば、NC旋盤)は、被加工物(図示せず)を加工する加工装置204と、被加工物を反転する被加工物反転装置206と、加工装置204に被加工物を搬送する被加工物搬送装置208とを備えている。 加工装置204は加工装置本体210を備え、この加工装置本体210の中央部には、第1及び第2主軸部212,213が設けられ、第1及び第2主軸部212,213に第1及び第2主軸214,215が回転自在に支持され、第1及び第2主軸214,215に第1及び第2主軸チャック手段216,217が取り付けられ、加工すべき被加工物は、第1及び第2主軸チャック手段216,217に装着される。
【0003】
被加工物反転装置206は、横方向に間隔をおいて配置された第1及び第2反転チャック手段218,219を備えている。例えば、第1主軸チャック手段216に装着された状態で、被加工物の一端側に第1加工手段220により加工(例えば、切削加工)が施され、その後被加工物反転装置206により一端側と他端側とが反転され、他方の第2主軸チャック手段217に装着された状態で、被加工物の他端側に第2加工手段221により加工(例えば、切削加工)が施され、このようにして被加工物の両端側が加工される。
【0004】
被加工物搬送装置208は、横方向に延びる走行レール222と、走行レール222に移動自在に支持されたローダ224とを備え、前記ローダ224のローダヘッド226は、上下方向に間隔をおいて配設された第1及び第2ローダチャック手段228,229を有し、第1及び第2ローダチャック手段228,229が後ろを向いた状態(
図11に示す状態)から下を向いた状態へ旋回可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来より、工作機械の加工効率を高める方法として、被加工物搬送装置208の走行レール222に沿って往復動されるローダ224の走行速度や加速度を上げることで、被加工物搬送装置208の搬送サイクルの短縮化を図り、この搬送サイクルを短くすることにより加工効率の改善が図られてきた。しかしながら、ローダ224の走行速度や加速度の向上による搬送サイクルの短縮化には限界があった。
【0007】
本発明の第1の目的は、被加工物を主軸チャック手段からローダヘッドに受け渡す動作に関連して搬送サイクルの短縮化を図ることができる工作機械を提供することである。
【0008】
また、本発明の第2の目的は、主軸チャック手段から取り外した被加工物を上方に搬送する動作に関連して搬送サイクルの短縮化を図ることができる工作機械を提供することである。
【0009】
更に、本発明の第3の目的は、主軸チャック手段の開動作に関連して搬送サイクルの短縮化を図ることができる工作機械を提供することである。
【0010】
更にまた、本発明の第4の目的は、被加工物を主軸チャック手段に装着する装着動作に関連して搬送サイクルの短縮化を図ることができる工作機械を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1発明の工作機械は、上述した第1の目的に対応して、加工域にて被加工物を加工する加工装置と、前記被加工物を前記加工域に搬送する被加工物搬送装置と、を具備する工作機械において、
前記加工装置は、加工装置本体の主軸部に回転自在に支持された主軸と、前記主軸と一体的に回動される主軸チャック手段と、前記主軸チャック手段に装着された前記被加工物に前記加工域にて作用して加工を施すための加工手段と、を備え、
前記被加工物搬送装置は、前記主軸部の上方にて前記主軸の軸方向に対して実質上垂直な方向に延びる走行レールと、前記走行レールに移動自在に支持されたローダとを備え、前記ローダは、前記走行レールに支持された走行台と、前記走行台に前記主軸の前記軸方向に実質上平行な方向に移動自在に支持された移動台と、前記移動台に上下方向に昇降動自在に支持された昇降ロッドと、前記昇降ロッドの下端部に装着されたローダヘッドと、を備えており、
前記ローダヘッドは、上下方向に間隔をおいて配設され且つ前記主軸チャック手段に対向するように同じ向きに配置された第1及び第2ローダチャック手段を有し、前記第1及び第2ローダチャック手段は、2つ又は3つのローダチャック爪を有し、前記2つ又は3つのローダチャック爪は、閉状態となって前記被加工物を保持し、開状態となって前記被加工物の保持を開放するように構成されており、
更に、前記第1ローダチャック手段の2つの特定ローダチャック爪の前記開状態における幅方向の間隔は、前記加工域にて加工された加工済み被加工物の外径よりも大きくなるように設定されており、
前記被加工物を前記加工装置の前記主軸チャック手段に装着するときには、前記第1ローダチャック手段が前記開状態に保持され且つ前記第2ローダチャック手段が前記閉状態に保持されて前記被加工物を保持する状態において、前記ローダヘッドが下方に移動されて前記第1ローダチャック手段が前記加工装置の前記主軸チャック手段に対向する受渡し位置に位置付けられ、前記受渡し位置にて前記第1ローダチャック手段が前記閉状態に、前記加工装置の前記主軸チャック手段が開状態になることによって、前記加工域にて加工された前記加工済み被加工物が前記主軸チャック手段から受け渡され、前記加工済み被加工物の受け渡しの後に、前記ローダヘッドが前記受渡し位置から後方に後退した第1後退位置に位置付けられることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の第2発明の工作機械は、上述した第2の目的に対応して、加工域にて被加工物を加工する加工装置と、前記被加工物を前記加工域に搬送する被加工物搬送装置と、を具備する工作機械において、
前記加工装置は、加工装置本体の主軸部に回転自在に支持された主軸と、前記主軸と一体的に回動される主軸チャック手段と、前記主軸チャック手段に装着された前記被加工物に前記加工域にて作用して加工を施すための加工手段と、を備え、
前記被加工物搬送装置は、前記主軸部の上方にて前記主軸の軸方向に対して実質上垂直な方向に延びる走行レールと、前記走行レールに移動自在に支持されたローダとを備え、前記ローダは、前記走行レールに支持された走行台と、前記走行台に前記主軸の前記軸方向に実質上平行な方向に移動自在に支持された移動台と、前記移動台に上下方向に昇降動自在に支持された昇降ロッドと、前記昇降ロッドの下端部に装着されたローダヘッドと、を備えており、
前記ローダヘッドは、上下方向に間隔をおいて配設され且つ前記主軸チャック手段に対向するように同じ向きに配置された第1及び第2ローダチャック手段を有し、前記第1及び第2ローダチャック手段は、2つ又は3つのローダチャック爪を有し、前記2つ又は3つのローダチャック爪は、閉状態となって前記被加工物を保持し、開状態となって前記被加工物の保持を開放するように構成されており、
更に、前記第1ローダチャック手段は、前記主軸チャック手段に対向する第1旋回角度位置と、前記第1旋回角度位置から後側に回動した第2旋回角度位置との間を旋回自在であり、また前記第2ローダチャック手段の2つの特定ローダチャック爪の前記開状態における幅方向の間隔は、加工前の被加工物の外径よりも大きくなるように設定されており、
加工済み被加工物を前記加工装置の前記主軸チャック手段の上方に搬送するときには、前記第1ローダチャック手段が前記閉状態に保持されて前記加工済み被加工物を保持した状態で前記第2旋回角度位置に保持され且つ前記第2ローダチャック手段が前記開状態に保持され、かかる状態において、前記第2ローダチャック手段に保持された前記被加工物を前記加工装置の前記主軸チャック手段に装着する装着位置から前記ローダヘッドが上方に移動されることを特徴とする。
【0013】
更に、本発明の第3発明の工作機械は、上記第3の目的に対応して、加工域にて被加工物を加工する加工装置と、前記被加工物を前記加工域に搬送する被加工物搬送装置と、を具備する工作機械において、
前記加工装置は、加工装置本体の主軸部に回転自在に支持された主軸と、前記主軸と一体的に回動される主軸チャック手段と、前記主軸チャック手段に装着された前記被加工物に前記加工域にて作用して加工を施すための加工手段と、を備え、
前記被加工物搬送装置は、前記主軸部の上方にて前記主軸の軸方向に対して実質上垂直な方向に延びる走行レールと、前記走行レールに移動自在に支持されたローダと、を備え、前記ローダは、前記走行レールに支持された走行台と、前記走行台に前記主軸の前記軸方向に実質上平行な方向に移動自在に支持された移動台と、前記移動台に上下方向に昇降動自在に支持された昇降ロッドと、前記昇降ロッドの下端部に装着されたローダヘッドと、を備え、前記ローダヘッドは、上下方向に間隔をおいて配設された第1及び第2ローダチャック手段を有しており、
また、前記第1及び第2ローダチャック手段は複数のローダチャック爪を有し、前記複数のローダチャック爪は、閉状態となって前記被加工物を保持し、開状態となって前記被加工物の保持を開放するように構成されており、
更に、前記加工装置の前記主軸チャック手段に関連してチャック開閉シリンダ機構が設けられ、前記チャック開閉シリンダ機構に関連してそのピストンの移動を検知するための移動検知手段が設けられ、前記移動検知手段は、前記チャック開閉シリンダ機構の前記ピストンと一体的に移動する被検知部材と、前記被検知部材までの距離の変化を検知するための距離変化検知手段とから構成され、前記距離変化検知手段は、前記被検知部材までの距離変化に基づいて前記加工装置の前記主軸チャック手段による加工済み被加工物の保持解除を検知し、前記主軸チャック手段による前記加工済み被加工物の保持解除の開始動作に基づいて前記ローダヘッドが受渡し位置から後退移動されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の第1発明の工作機械によれば、被加工物搬送装置のローダのローダヘッドには、上下方向に間隔をおいて且つ主軸チャック手段に対向するように第1及び第2ローダチャック手段が配設され、この第1ローダチャック手段の2つの特定ローダチャック爪の開状態における幅方向の間隔は、加工済み被加工物の外径よりも大きくなるように設定されているので、加工された被加工物を主軸チャック手段からローダヘッドに受け渡すときには、第1ローダチャック手段が開状態に保持され且つ第2ローダチャック手段が閉状態に保持されて被加工物を保持する状態において、ローダヘッドを下方に移動させて2つの特定ローダチャック爪間を主軸チャック手段に保持された加工済み被加工物を相対的に通過させることにより、開状態の第1ローダチャック手段を受渡し位置に位置付けることができる。そして、この受渡し位置にて第1ローダチャック手段を閉状態にすることにより、加工域にて加工された加工済み被加工物を主軸チャック手段からローダヘッドの第1ローダチャック手段に受け渡すことができ、これによって、被加工物をローダヘッドに受け渡す動作に関連して搬送サイクルの短縮化を図ることができる。
【0016】
また、本発明の第2発明の工作機械によれば、被加工物搬送装置のローダのローダヘッドには、上下方向に間隔をおいて且つ主軸チャック手段に対向するように第1及び第2ローダチャック手段が配設され、第1ローダチャック手段は、主軸チャック手段に対向する第1旋回角度位置と、この第1旋回角度位置から後側に回動した第2旋回角度位置との間を旋回自在であり、また第2ローダチャック手段の2つの特定ローダチャック爪の開状態における幅方向の間隔は、加工前の被加工物の外径よりも大きくなるように設定されている。そして、被加工物(加工前のもの)を主軸チャック手段に装着した後に加工済み被加工物を加工装置の主軸チャック手段の上方に搬送するときには、第1ローダチャック手段が加工済み被加工物を保持した状態で第2旋回角度位置に保持され且つ第2ローダチャック手段が開状態に保持されるので、被加工物を加工装置の主軸チャック手段に装着する装着位置からそのままローダヘッドを上方に移動させ、第2ローダチャック手段の2つの特定ローダチャック爪間を主軸チャック手段に保持された被加工物を相対的に通過させることにより、開状態の第2ローダチャック手段を主軸チャック手段の上方に移動させることができ、これによって、主軸チャック手段から取り外した被加工物を上方に搬送する動作に関連して搬送サイクルの短縮化を図ることができる。
【0017】
更に、本発明の第3発明の工作機械によれば、加工装置の主軸チャック手段に関連してチャック開閉シリンダ機構が設けられ、このチャック開閉シリンダ機構に関連してそのピストンの移動を検知するための移動検知手段が設けられ、移動検知手段は、ピストンと一体的に移動する被検知部材と、この被検知部材までの距離の変化を検知するための距離変化検知手段とから構成されているので、被検知部材までの距離変化に基づいて加工装置の主軸チャック手段による加工済み被加工物の保持解除の開始動作を検知することができ、この保持解除の開始動作に基づいてローダヘッドを受渡し位置から後退移動させることにより、主軸チャック手段の開動作に関連して搬送サイクルの短縮化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に従う工作機械の一例としてのNC旋盤の主要部を示す斜視図。
【
図2】
図1のNC旋盤に装備された被加工物搬送装置のローダヘッドを示す簡略図であって、
図2(a)は基本状態を示し、
図2(b)は旋回状態を示し、(c)は折畳状態を示す簡略図。
【
図4】
図1のNC旋盤における主軸及びそれに関連する構成を示す断面図。
【
図5】
図1に示すNC旋盤において実行される被加工物搬送サイクルを示すフローチャート。
【
図6】
図5に示す被加工物搬送サイクルにおけるローダヘッドの下降移動を説明するための簡略図。
【
図7】
図6に示すローダヘッドの下降移動における被加工物と第1及び第2ローダチャック手段との関係を示す簡略説明図。
【
図8】
図5に示す被加工物搬送サイクルにおけるローダヘッドの前進移動を説明するための簡略図。
【
図9】
図5に示す被加工物搬送サイクルにおけるローダヘッドの上昇動作を説明するための簡略図。
【
図10】
図9に示すローダヘッドの上昇移動における被加工物と第1及び第2ローダチャック手段との関係を示す簡略説明図。
【
図11】従来のNC旋盤の一例の主要部を示す斜視図。
【
図12】
図11に示す従来のNC旋盤において実行される被加工物搬送サイクルを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して、本発明に従う工作機械の一例としてのNC旋盤の一実施形態について説明する。
図1において、工作機械の一例としての図示のNC旋盤2は、被加工物(図示せず)に所要の加工を施す加工装置4と、被加工物を反転させるための被加工物反転装置6と、被加工物を所要の通りに搬送するための被加工物搬送装置8と、を備えている。
【0021】
加工装置4は、工場の床面等に設置される加工装置本体10(所謂、ベッド本体)を備え、この加工装置本体10の横方向(X軸方向)中央部には、一対の主軸部、即ち第1及び第2主軸部12,13が間隔をおいて平行に配設され、第1及び第2主軸部12,13の各々に第1及び第2主軸14,15が回転自在に支持され、これら第1及び第2主軸14,15の各々に第1及び第2主軸チャック手段16,17が取り付けられている。第1及び第2主軸14,15はそれぞれ前後方向(Z軸方向)に延びると共に、横方向に並んで配置され、主軸モータ(図示せず)で所定方向に回転駆動される。第1及び第2主軸チャック手段16,17の各々は、周方向に間隔をおいて配設された3つの第1及び第2主軸チャック爪18,19を有している。例えば、後述するチャック開閉シリンダ機構20(
図4参照)により3つの第1主軸チャック爪18(又は第2主軸チャック爪19)が径方向外方に移動すると、第1主軸チャック手段16(又は第2主軸チャック手段17)が開状態となって被加工物の保持を解除し、またこれら3つの第1主軸チャック爪18(第2主軸チャック爪19)が径方向内方に移動すると、第1主軸チャック手段16(又は第2主軸チャック手段17)が閉状態となって被加工物を保持する。
【0022】
加工装置本体4の両側部には、被加工物を加工するための加工手段としての第1及び第2タレット22,23が配設されている。第1主軸14(第1チャック手段16)に対応してその外側に第1タレット22が配設され、第2主軸15(第2チャック手段17)に対応してその外側に第2タレット23が配設されている。第1及び第2タレット22,23には、周方向に間隔をおいて複数の第1及び第2工具取付部24,25が設けられ、これら第1及び第2工具取付部24,25に被加工物に加工を施すための加工工具(図示せず)が取り付けられる。加工装置本体10の左右両側部には、第1及び第2移動テーブル26,27が前後方向(Z軸方向)及び横方向(X軸方向)に移動自在に装着され、これら第1及び第2移動テーブル26,27に第1及び第2タレット22,23が割出回転可能に搭載されている。
【0023】
この加工装置4においては、第1主軸部12に対応して第1タレット22が設けられ、第1主軸部12の第1主軸チャック手段16に把持された被加工物には、第1加工域において第1タレット22の複数の第1工具取付部24に装着された加工工具(図示せず)により所要の加工(例えば、切削加工)が施され、また第2主軸部13に対応して第2タレット23が設けられ、第2主軸部13の第1主軸チャック手段17に把持された被加工物には、第2加工域において第2タレット23の複数の第2工具取付部25に装着された加工工具(図示せず)により所要の加工(例えば、切削加工)が施される。
【0024】
被加工物反転装置6は、被加工物搬送装置8の一部(具体的には、後述する走行レール28)に反転装置本体部(図示せず)が取り付けられ、この反転装置本体部に一対の反転チャック手段、即ち第1及び第2反転チャック手段30,31が装着されている。第1及び第2反転チャック手段30,31は、第1及び第2主軸部12,13の第1及び第2主軸14,15の中間上方に上下方向(Y軸方向)に間隔をおいて配置され、被加工物の把持及びその解除を行うように構成されている。これら第1及び第2反転チャック手段30,31は、正面を向いた状態と互いに対面する状態との間で姿勢変換可能とされると共に、第2反転チャック手段31が上下方向に移動可能に構成されている。
【0025】
この被加工物反転装置6においては、被加工物の反転は次のようにして行われる。即ち、第1及び第2反転チャック手段30,31は互いに離隔して正面を向いた状態で待機し(待機状態)、この待機状態にて第1反転チャック手段30が被加工物搬送装置8(具体的には、後述するローダ32)から被加工物を受け取る。次に、第1及び第2反転チャック手段30,31は対面姿勢へ切り替わり(対面状態)、第2反転チャック手段31が第1反転チャック手段30へ向かって下降し、第1反転チャック手段30から被加工物を受け取る。その後、第2反転チャック手段31が元の位置まで上昇し、第1及び第2反転チャック手段30,31が共に正面を向いた待機状態へ戻る。このようにして被加工物が第1反転チャック手段30から第2反転チャック手段31に受け渡され、この受け渡しにより、被加工物の一端と他端との反転が行われる。
【0026】
次に、
図1とともに
図2及び
図3を参照して、被加工物搬送装置8について説明する。図示の被加工物搬送装置8は、加工装置本体10の上方に横方向(X軸方向)に架設された走行レール28と、走行レール28に沿って移動自在に支持されたローダ32とを備え、この走行レール28は、第1及び第2主軸部12,13の上方にて第1及び第2主軸14,15に対して実質上垂直な方向に延びている。ローダ32は、走行レール28に沿って移動する走行台34と、走行台34に前後方向(Z軸方向)へ移動可能に支持された移動台36と、この移動台36に上下方向(Y軸方向)に昇降可能に装着された昇降ロッド38と、昇降ロッド38の下端部に装着されたローダヘッド40とから構成されている。
【0027】
ローダヘッド40には、被加工物を把持するための2つのローダチャック手段、即ち第1及び第2ローダチャック手段42,43が上下方向に間隔をおいて配設され、この実施形態では、第1ローダチャック手段42が被加工物を取り外すアンローダ用チャック手段として機能し、第2ローダチャック手段43が被加工物を装着するローダ用チャック手段として機能する。この形態では、第1及び第2ローダチャック手段42,43は、周方向に間隔をおいて配設された3つの第1及び第2ローダチャック爪44,45(
図3においてそれぞれ2つ示す)を有し、これら第1ローダチャック手段42(又は第2ローダチャック手段43)が第1ローダチャック駆動機構(又は第2ローダチャック駆動機構)(図示せず)により径方向内方に移動することにより、第1ローダチャック手段42(又は第2ローダチャック手段43)が閉状態になって被加工物を保持し、また径方向外方に移動することにより、第1ローダチャック手段42(又は第2ローダチャック手段43)が開状態となって被加工物の保持を解除する。
【0028】
ローダヘッド40は、昇降ロッド38の下端部に装着された支持部材46を有し、第1及び第2ローダチャック手段42,43は、
図2に示すように、各々が独立してこの支持部材46に旋回可能に支持装着されている。これにより、本実施形態におけるローダヘッド40は、第1及び第2ローダチャック手段42,43(具体的には、それらの第1及び第2チャック面48,49)が共に後ろを向いた状態(
図1及び
図2(a)に示す状態であって、第1及び第2ローダチャック手段42,43が第1旋回角度位置に位置する状態)から、第1及び第2ローダチャック手段42,43が共に旋回して下を向いた旋回状態(
図2(b)に示す状態であって、第1及び第2ローダチャック手段42,43が第1旋回角度位置から下方に90度旋回した第2旋回角度位置に位置する状態)と、第1ローダチャック手段42のみが旋回して第1ローダチャック手段42が下を向き、第2ローダチャック手段43が後ろを向いた状態(
図2(c)に示す状態であって、第1ローダチャック手段42が第2旋回角度位置に位置し、第2ローダチャック手段43が第1旋回角度位置に位置する状態)と、選択的に状態を変化させることができる。
【0029】
図3を参照して更に説明すると、支持部材46は、一対の第1及び第2支持部材48,49を有し、第1支持部材48に第1ローダチャック手段42が装着され、第2支持部材49に第2ローダチャック手段43が装着されている。第1ローダチャック手段42は、第1連結部材50を介して第1ローダシリンダ機構52の出力軸54に接続されており、この第1連結部材50が第1回転軸56を介して第1支持部材48に旋回自在に装着されている。また、第2ローダチャック手段43は、第2連結部材51を介して第2ローダシリンダ機構53の出力軸55に接続されており、この第2連結部材51が第2回転軸57を介して第2支持部材49に旋回自在に装着されている。
【0030】
このように構成されているので、
図2(a)に示す状態から第1ローダシリンダ機構52の第1出力軸54が上方へ退避すると、第1連結部材50が第1ローダチャック手段42と共に第1回転軸56を中心として
図3において時計方向に旋回し、第1ローダチャック手段42が下向きの状態、即ち、
図2(b)及び(c)に示す状態となる。この状態で第1ローダシリンダ機構52の第1出力軸54が下方へ進出すると、第1連結部材50は時計方向と反対方向に旋回し、第1ローダチャック手段42が後向きの状態、即ち
図2(a)に示す状態へ戻る。ここで、第1回転軸56は横方向に延びており、これは第1及び第2ローダチャック手段42,43の並び方向である上下方向(縦方向)に対して垂直且つ第1ローダチャック手段42の第1チャック面48と水平な方向である。
【0031】
同様に、
図2(a)及び(c)に示す状態において、第2ローダシリンダ機構53の出力軸55が上方へ退避すると、第2連結部材51が第2ローダチャック手段43と共に第2回転軸57を中心として
図3において時計方向に旋回し、第2ローダチャック手段42が下向きの状態、即ち
図2(b)に示す状態となる。この状態で第2シリンダ機構53の出力軸55が下方へ進出すると、第2連結部材51が時計方向と反対方向へ旋回し、第2ローダチャック手段43が後向きの状態、即ち
図2(a)及び(c)に示す状態へ戻る。なお、第1連結部材50、 第1ローダシリンダ機構52、第1回転軸56が第1旋回手段を構成し、また第2連結部材51、第2ローダシリンダ機構53、第2回転軸57が第2旋回手段を構成する。
【0032】
この実施形態では、第1ローダチャック手段42の旋回中心線(第1回転軸56の中心軸線)と第2ローダチャック手段43の旋回中心線(第2回転軸57の中心軸線)とは一致しており、これにより
図2(a)に示す状態と
図2(b)に示す状態とにおいて、第1及び第2ローダチャック手段42,43の相対位置は一定となる。
【0033】
このように構成された工作機械2においては、例えば、次のようにして被加工物の一端側及び他端側に所望の加工が施される。即ち、加工前の被加工物(未加工の被加工物)が第2ローダチャック手段43に把持されて第1主軸部12の第1主軸チャック16へ供給され、この第1チャック手段16に保持された被加工物(図示せず)の一端側が第1タレット22に装着された加工工具(図示せず)により加工される。
【0034】
このように一端側が加工された被加工物(片側加工済み被加工物)は、第1ローダチャック手段42に保持されて被加工物反転装置6の第1反転チャック手段30へ搬送され、上述のようにして第1反転チャック手段30から第2反転チャック手段31へ受け渡されて被加工物の一端と他端とが反転される。
【0035】
このように反転された片面加工済み被加工物は、第2反転チャック手段31に保持され、この第2反転チャック手段31から第2主軸部13の第2主軸チャック手段17へ搬送され、被加工物の加工された一端側が第2主軸チャック手段17に保持され、被加工物の未加工の他端側が、第2タレット25に装着された加工工具(図示せず)により加工される。このようにして加工された被加工物(両側加工済み被加工物)は、第1ローダチャック手段42に保持されて第2主軸チャック手段17から機外へ搬送されて排出される。
【0036】
次に、
図4~
図10を参照して、上述した被加工物搬送装置8の搬送サイクルについて説明する。ここでは、搬送サイクルの特徴部分の流れの理解を容易にするため、2つの被加工物P1が第1及び第2主軸チャック手段16,17によりそれぞれ保持されると共に、両側加工済み被加工物(図示せず)が第1ローダチャック手段42により保持されている状態から説明をする。
【0037】
この搬送サイクルでは、被搬送物搬送装置8のローダヘッド40が原点に戻る。この原点は、例えば加工装置本体10の側方に配置された給排装置(図示せず)の上方の位置であり、この原点位置に位置付けられる。
【0038】
次に、このローダヘッド40は被加工物給排位置へ移動して、ここで第1ローダチャック手段42が保持していた両側加工済み被加工物を給排装置へ渡すと共に、給排装置から加工前の被加工物P0を第2ローダチャック手段43で受け取る。その後、ローダヘッド40はこの原点を通過して第1主軸部12の上方に位置する第1中間位置まで移動する。次いで、ローダヘッド40は、第1ローダチャック手段42が第1主軸チャック手段16と対向する受渡し位置まで下降し、この受渡し位置において、第1主軸チャック手段16とローダ32の第1ローダチャック手段42との間で被加工物(片側加工済み被加工物)の受け渡しが行なわれる。
【0039】
この被加工物の取出し動作に関連して、次の通りにして搬送サイクルの短縮化が図られている。本実施形態の搬送サイクルを示す
図5と従来の搬送サイクルを示す
図12を対比させて説明する。従来の工作機械202(
図11に示すNC旋盤)では、ローダヘッド226は、第1中間位置から下方に第1後退位置(被加工物を第1主軸チャック手段216から受け取った後に取り外すために後退する位置)まで降下し(ステップS101)、次いで、ローダヘッド226が、この第1後退位置から前進して受渡し位置(第1主軸チャック手段216と対向し且つ第1主軸チャック手段216に保持された片側加工済み被加工物を保持可能な位置)に位置付けられる(ステップS102)。
【0040】
そして、この受渡し位置において第1ローダチャック手段228が閉状態になり(ステップ103)、被加工物の加工された片端側が第1ローダチャック手段228に保持され、次いで、第1主軸チャック手段216が開状態になり(ステップS104)、このようにして片端側が加工された被加工物の受け渡しが行われ、その後ローダヘッド226が第1後退位置まで後退して被加工物の第1主軸チャック手段216からの取外しが行われる(ステップS105)。
【0041】
これに対して、本実施形態では、ローダヘッド40は、予め受渡し位置(換言すると、装着位置)の上方の第1中間位置に位置し、
図6及び
図7に示すように、この第1中間位置(
図6に実線で示すとともに
図7に示す位置)から矢印62(
図6)で示す下方に受渡し位置(
図6に一点鎖線で示す位置)に直接的に位置付けられる(ステップS1)。そして、この受渡し位置において第1ローダチャック手段42が閉状態になり(ステップS2)、被加工物P1の加工された片端側が第1ローダチャック手段42に保持され、次いで、第1主軸チャック手段16が開状態になり(ステップS3)、このようにして片端側が加工された被加工物P1の受け渡しが行われ、その後ローダヘッド40が第1後退位置まで後退して被加工物P1の第1主軸チャック手段42からの取外しが行われる(ステップS4)。このように本実施形態では、従来行われていたローダヘッド40の第1主軸チャック手段16に向けての前進移動(従来の搬送サイクルにおけるステップS102)を省略することができ、これにより、搬送サイクルのサイクル時間を短縮化することができる。
【0042】
そして、この搬送サイクルの短縮化を可能とするために、次のように構成することが重要である。
図7を参照して、この実施形態では、第1ローダチャック手段42の3つのローダチャック爪44、即ち第1~第3ローダチャック爪44a,44b,44cは、周方向に間隔をおいて配置され、第1ローダチャック爪44aが上側に、第2及び第3ローダチャック爪44b,44cが下側に配置され、第1ローダチャック手段44aは第2及び第3ローダチャック手段44b,44cの中央上方に配設されている。
【0043】
更に、このような配置状態において、第1ローダチャック手段42の開状態(
図6及び
図7に示す状態)における第2及び第3ローダチャック爪44b,44c(2つの特定ローダチャック手段を構成する)間の幅方向の間隔W1(
図7参照)は、第1加工域にて加工された加工済み被加工物P1の外径(D1)よりも大きくなるようにする(D1<W1)ことが重要であり、このように構成することにより、ローダヘッド40が受渡し位置に向けて下降するときに、第1ローダチャック手段42の第2及び第3ローダチャック爪44b,44cは、第1主軸チャック手段16に保持された被加工物P1(片端側加工済み被加工物)の両側を通過することが可能となり、これにより、ローダヘッド40を第1中間位置から降下させて受渡し位置に直接的に位置付けることができる。
【0044】
尚、第1ローダチャック手段42が2つのローダチャック爪から構成される場合、この2つのローダチャック爪が2つの特定ローダチャック爪を構成し、第1ローダチャック手段42の開状態におけるローダチャック爪間の幅方向の間隔が第1加工域にて加工された加工済み被加工物P1の外径よりも大きくなるように設定される。
【0045】
また、本実施形態では、被加工物P1のこの取外し動作に関連して次のように構成され、このように構成することによって、搬送サイクルのサイクル時間の更なる短縮化が図られている。
図4を参照して、チャック開閉シリンダ機構20に関連して支持ハウジング66が設けられ、この支持ハウジング66にL字状取付ブラケット68を介して移動検知手段70が取り付けられている。この移動検知手段70は、被検知部材72までの距離を計測してその変化を検知するためのレーザ検知手段74(距離変化検知手段を構成する)から構成され、このレーザ検知手段74、レーザ光を照射する照射素子(図示せず)と、レーザ光を受光する受光素子(図示せず)とを含んでいる。レーザ検知手段74(発光素子)からのレーザ光は、取付ブラケット68の開口(図示せず)を通して被検知部材72に導かれ、この被検知部材72からの反射レーザ光がこの開口を通してレーザ検知手段74(受光素子)に受光され、この反射レーザ光を利用して被検知部材72移動を検知する。
【0046】
このことに関連して、第1主軸チャック手段16に関連してチャック開閉シリンダ機構20が設けられ、このチャック開閉シリンダ機構20のピストン(図示せず)に移動伝達機構76(その一端側が、端部ハウジング66に収容されている)が支持され、このピストンの移動が移動伝達機構76を介して第1主軸チャック手段16の3つの第1主軸チャック爪18に伝達されるように構成されている。チャック開閉シリンダ機構20により移動伝達機構76が後側(
図4において左方)に移動すると、
図4の上側半分に示すように、3つの第1主軸チャック爪18が径方向内方に移動して被加工物P0を保持し、またこの移動伝達機構76が前側(
図4において右方)に移動すると、
図4の下側半分に示すように、3つの第1主軸チャック爪18が径方向外方に移動して被加工物P0の保持を解除する。
【0047】
このチャック開閉シリンダ機構20のピストン(図示せず)には突出ロッド78が固定され、この突出ロッド78におけるシリンダ78から突出する先端部に被検知部材72が取り付けられている。従って、チャック開閉シリンダ機構20のピストン(図示せず)が移動して第1主軸チャック手段16が開動作を開始すると、この開動作の開始とともに被検知部材72が前側(
図4において右方)に移動し、またチャック開閉シリンダ機構20のピストン(図示せず)が移動して第1主軸チャック手段16が閉動作を開始すると、この閉動作の開始とともに被検知部材72が後側(
図4において左方)に移動し、この被検知部材72までの距離の変化を検知することによって、第1主軸チャック手段16の開動作の開始及び閉動作の開始を検知することができる。
【0048】
この実施形態では、レーザ検知手段74が被検知部材72までの距離の変化により第1主軸チャック手段16の開動作の開始を検知すると、ローダヘッド40が受渡し位置から第1後退位置に向けて後退移動するように構成されている。即ち、従来の工作機械202では、第1主軸チャック手段216が開状態となったことを検知するように構成され、この開状態となったことを検知した後にローダヘッド226が受渡し位置から第1後退位置に向けて後退移動を開始していたが、この実施形態では、上述したように第1主軸チャック手段16の開動作の開始によりローダヘッド40が受渡し位置から第1後退位置に向けて後退開始され、従って、この後退移動の開始を従来よりも早く行うことができ、これにより、搬送サイクルのサイクル時間の短縮化を図ることができる。
【0049】
このようにローダヘッド40が第1後退位置に位置付けられると、第1主軸チャック手段16に保持されて第1加工域にて加工された被加工物は、この第1主軸1チャック手段16から取り外されて第1ローダチャック手段42に受け渡され、その後、次の加工前の被加工物P0が第1主軸チャック手段16に装着されてこの被加工物P0に対する加工が行われ、この加工前の被加工物P0の搬送に関連して搬送サイクルの短縮化が図られている。
【0050】
従来の工作機械202においては、
図12に示すように、ローダヘッド226が第2後退位置(第2ローダチャック手段229が第1主軸チャック手段216と対向する装着位置から後方に後退した位置であって、ローダヘッド226が第1後退位置より下方に位置する位置)に位置付けられ(ステップS106)、次いで、この第2後退位置から前進移動して装着位置に位置付けられる(ステップS107)。
【0051】
そして、第2ローダチャック手段229が開状態になり(ステップS108)、続いて被加工物を第1主軸チャック手段216に押し付けるためのプッシャー手段(図示せず)が作用状態となり(ステップS109)、これにより、第2ローダチャック手段229側の被加工物P0がプッシャー手段によって第1主軸チャック手段216に押し付けられ、この押し付けられた状態にて第1主軸チャック手段216が閉状態になり(ステップS110)、このようにして被加工物P0がローダヘッド226の第2ローダチャック手段229から第1主軸チャック手段216に受け渡される。その後、プッシャー手段(図示せず)が非作用状態となり(ステップS111)、ローダヘッド226が第1中間位置まで上昇し、このようにして被加工物P0の第1主軸チャック手段216への装着が行われ、しかる後に、第1主軸チャック手段216に保持された被加工物P0に対する加工が行われる。
【0052】
これに対して、本実施形態では、
図5に示すように、ローダヘッド40が第1後退位置から第2後退位置(第2ローダチャック手段43が第1主軸チャック手段16と対向する装着位置から後方に後退した位置であって、ローダヘッド40が第1後退位置より下方に位置する位置)に位置付けられ(ステップS5)、次いで、この第2後退位置から前進移動して装着位置に位置付けられるとともに、この前進移動の際にプッシャー手段82(
図8参照)が作用状態に保持される(ステップS6)。
【0053】
ここでプッシャー手段82について概説すると、プッシャー手段82は、被加工物P0(P1)に作用する押圧部材84と、この押圧部材84を被加工物P0(P1)に向けて押圧するエアシリンダ機構86とを備え、非作用状態では
図6に示すように押圧部材84が後退して第2ローダチャック手段43に保持された被加工物P0に作用することがなく、作用状態では
図8に示すようにエアシリンダ機構86の作用によって押圧部材84が第2ローダチャック手段43に保持された被加工物(P0)に弾性的に作用する。
【0054】
このように構成されているので、ローダヘッド40の前進移動の際にプッシャー手段82が作用状態になる(ステップS6)と、エアシリンダ機構86のエア圧力がプッシャー手段82の押圧部材84に作用し、この押圧部材84は第2ローダチャック手段43に保持された被加工物P0にエア圧力で押圧された作用状態に保持される。
【0055】
このようにしてローダヘッド40が装着位置に位置付けられると、
図9に示すように、第2ローダチャック手段42が開となるとともに、第1ローダチャック手段42が第1旋回角度位置(
図6及び
図8に示す旋回角度位置)から下方に第2旋回角度位置(
図9に示す旋回角度位置)に旋回される(ステップS7)。このように第2ローダチャック手段42が開状態になる(詳細には、第2ローダチャック手段42による保持が解除される)と、この開示動作の開始とともにプッシャー手段82の押圧部材84により被加工物P0が第1主軸チャック手段16に押し付けられる。
【0056】
従来の工作機械202においては、上述したように、ローダヘッド226が装着位置に位置付けられた後に、第2ローダチャック手段229が開状態になり、その後にプッシャー手段(図示せず)が作用状態になって被加工物の第1主軸チャック手段216へ押し付けるようになるが、この実施形態では、ローダヘッド40の装着位置に向けての前進移動の開始とともにプッシャー手段82が作用状態となり、このローダヘッド40が装着位置に位置付けられた後に、第2ローダチャック手段43が開状態になって被加工物P0の保持が解除された時点で被加工物P0が第1主軸チャック手段16に押し付けられ、これによって、被加工物P1の押付け開始時点を早め、搬送サイクルのサイクル時間の短縮化を図ることができる。
【0057】
その後、第2ローダチャック手段43に付設されたプッシャー手段82が非作用状態となり(ステップS9)、その後ローダヘッド40が第1中間位置まで上昇され、このように搬送することにより、搬送サイクルの短縮化を図ることができる。
【0058】
従来の工作機械202では、プッシャー手段(図示せず)が非作用状態になった後にローダヘッド226が第2後退位置まで後退し、その後第1中間位置まで上昇されるが、本実施形態では、プッシャー手段82が非作用状態になった後にその状態でもってローダヘッド40が第1中間位置まで上昇され、このように搬送することにより、従来行われていたローダヘッド40の第2後退位置に向けての後退移動を省略することができ、これにより、搬送サイクルのサイクル時間を短縮化することができる。
【0059】
そして、この搬送サイクルの短縮化を可能とするために、この実施形態においては、次のように構成することが重要である。
図10を参照して、第2ローダチャック手段43の3つのローダチャック爪45、即ち第1~第3ローダチャック爪45a,45b,45cは、周方向に間隔をおいて配置され、第1ローダチャック爪45aが上側に、第2及び第3ローダチャック爪45b,45cが下側に配置され、第1ローダチャック手爪45aは第2及び第3ローダチャック爪45b,45cの中央上方に配設されている。
【0060】
更に、このような配置状態において、第2ローダチャック手段43の開状態(
図9及び
図10に示す状態)における第2及び第3ローダチャック爪45b,45c(2つの特定ローダチャック爪を構成する)間の幅方向の間隔W2(
図10参照)は、未加工の被加工物P0の外径(D0)よりも大きくなるようにする(D0<W2)ことが重要であり、このように構成することにより、ローダヘッド40が第1中間位置に向けて上昇するときに、第2ローダチャック手段43の第2及び第3ローダチャック爪45b,45cは、第1主軸チャック手段16に保持された被加工物P0(加工前の被加工物)の両側を通過することが可能となり、これにより、ローダヘッド40を装着位置から上昇させて第1中間位置に直接的に位置付けることができる。また、第2ローダチャック手段43の上述した構成に加えて、第1ローダチャック手段42が第2旋回角度位置に保持されるので、この第1ローダチャック手段42に保持された被加工物P1は、下方に延びる状態に保たれ、これによって、ローダヘッド40が第1中間位置に向けて上昇するときに、この被加工物P1が第1主軸チャック手段16及びこれに保持された被加工物P0(加工前の被加工物)に接触乃至当接することがない。
【0061】
尚、第2ローダチャック手段43が2つのローダチャック爪から構成される場合、この2つのローダチャック爪が2つの特定ローダチャック爪を構成し、第2ローダチャック手段43の開状態におけるローダチャック爪間の幅方向の間隔が加工前の被加工物P0の外径よりも大きくなるように設定される。
【0062】
上述したようにローダヘッド40が第1中間位置、受渡し位置、第1後退位置、第2後退位置及び装着位置を通して移動して第1中間位置に戻り、このように移動する間に、加工前の被加工物P0の一端側に第1加工域において加工が施されるが、これと同様に、ローダヘッド40が第2中間位置、受渡し位置、第1後退位置、第2後退位置及び装着位置を通して移動して第2中間位置に戻り、このように移動する間に、一端側加工済み被加工物P1の他端側に第2加工域において加工が施され、一端側加工済み被加工物P1の搬送動作などは、上述した加工前の被加工物P0の搬送動作などと実質上同一である。
以上、本発明に従う工作機械の一例としてのNC旋盤の一実施形態について添付図面を参照して説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されず、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能である。
【0063】
例えば、上述した実施形態においては、加工工具(図示せず)を取り付ける第1及び第2工具取付部24,25が周方向に複数配設された第1及び第2タレット22,23を備えたNC旋盤2(工作機械)に適用して説明したが、このような構成に限定されず、例えば第1及び第2櫛歯型刃物台を備えたNC旋盤にも同様に適用することができる。
【0064】
また、例えば、上述した実施形態では、2つの主軸部(第1及び第2主軸部12,14)及び2つのタレット(第1及び第2タレット24,25)を備えた形態のNC旋盤2(工作機械)に適用して説明したが、このような構成に限定されず、1つの主軸部及び1つのタレット(又は櫛歯型刃物台)を備えた形態のものにも同様に適用することができる。
【0065】
更に、上述した実施形態では、第2ローダチャック手段43の開動作と第1ローダチャック手段42の第2旋回角度位置への位置付けとを同時に行って同時に終了するように説明しているが、第1ローダチャック手段42の第2旋回角度位置への位置付けに要する時間が第2ローダチャック手段43の開動作の時間よりも長いことが多く、このような場合、第1ローダチャック手段の第2旋回角度位置への位置付け動作は、後のステップS8の主軸チャック手段16の閉動作まで跨がるようになり、或いは前のステップS6のプッシャー手段82の作用動作から後のステップS8の主軸チャック手段16の閉動作まで跨がるようになる。
【0066】
更にまた、上述した実施形態では、被加工物を主軸チャック手段からローダヘッドに受け渡す動作、主軸チャック手段から取り外した被加工物を上方に搬送する動作、被加工物を主軸チャック手段から取り外す動作及び被加工物を主軸チャック手段に装着する動作の4つの動作に関連して搬送サイクルのサイクル時間の短縮化を図っているが、これら4つの動作の全てに関連して搬送サイクルの短縮を図る必要はなく、これら4つの動作のうちの任意の1つの動作、任意の2つの動作、又は任意の3つの動作に関連して搬送サイクルの短縮化を図るようにしてもよい。
【符号の説明】
【0067】
2 NC旋盤
4,204 加工装置
6,206 被加工物反転装置
8,208 被加工物搬送装置
12,13,212,213 主軸部
16,17,216,217 主軸チャック手段
22,23 タレット
28,222 走行レール
32,224 ローダ
40,226 ローダヘッド
42,43,228,229 ローダチャック手段
P0,P1 被加工物