(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-25
(45)【発行日】2022-11-02
(54)【発明の名称】スイッチの断線検出装置
(51)【国際特許分類】
G01R 31/54 20200101AFI20221026BHJP
【FI】
G01R31/54
(21)【出願番号】P 2018039280
(22)【出願日】2018-03-06
【審査請求日】2021-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】592055554
【氏名又は名称】ヒースト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083404
【氏名又は名称】大原 拓也
(72)【発明者】
【氏名】岡野 宗徳
【審査官】島▲崎▼ 純一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-003270(JP,A)
【文献】特開2001-337761(JP,A)
【文献】特開平11-168367(JP,A)
【文献】実開昭60-013476(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1および第2の接点接続端子を有する制御部を備え、上記第1接点接続端子は入力端子であって第1配線を介して無電圧スイッチが備える一対の無電圧接点のうちの一方の接点が接続され、上記第2接点接続端子は出力端子であって第2配線を介して上記無電圧接点のうちの他方の接点が接続されており、上記制御部は、上記第1接点接続端子に入力される信号に基づいて上記無電圧スイッチのオンオフや
、上記
第1配線および上記第2配線を含む接続配線の断線を検出する機能を有し、上記一対の無電圧接点に対して並列にコンデンサが接続され、上記第1配線に上記コンデンサとともに微分回路を構成する抵抗素子が接続されており、
上記制御部は、上記第2接点接続端子より上記第2配線を介して上記無電圧スイッチに向けて断線検出用のテストアウトのパルスを送信し、上記第1配線を介して上記第1接点接続端子に戻されるテストインの信号に、上記テストアウトのパルスの立ち上がりエッジもしくは立ち下がりエッジが含まれている場合には上記
接続配線が断線していないと判定し、含まれていない場合には上記
接続配線が断線していると判定するスイッチの断線検出装置において、
上記第1配線が上記抵抗素子を介してグランドに接続されており、上記テストアウトのパルスには上記微分回路の時定数τよりも2倍以上長いパルス幅を有する正パルスが用いられ、上記制御部は、上記パルス幅内で上記微分回路の時定数τの2倍以上を経過した時点における上記テストインの信号の電圧値がLowと判断される閾値以下である場合には上記無電圧スイッチがオフであると判定し、上記テストインの信号の電圧値がHighと判断される閾値以上である場合には上記無電圧スイッチがオンであると判定することを特徴とするスイッチの断線検出装置。
【請求項2】
第1および第2の接点接続端子を有する制御部を備え、上記第1接点接続端子は入力端子であって第1配線を介して無電圧スイッチが備える一対の無電圧接点のうちの一方の接点が接続され、上記第2接点接続端子は出力端子であって第2配線を介して上記無電圧接点のうちの他方の接点が接続されており、上記制御部は、上記第1接点接続端子に入力される信号に基づいて上記無電圧スイッチのオンオフや
、上記
第1配線および上記第2配線を含む接続配線の断線を検出する機能を有し、上記一対の無電圧接点に対して並列にコンデンサが接続され、上記第1配線に上記コンデンサとともに微分回路を構成する抵抗素子が接続されており、
上記制御部は、上記第2接点接続端子より上記第2配線を介して上記無電圧スイッチに向けて断線検出用のテストアウトのパルスを送信し、上記第1配線を介して上記第1接点接続端子に戻されるテストインの信号に、上記テストアウトのパルスの立ち上がりエッジもしくは立ち下がりエッジが含まれている場合には上記
接続配線が断線していないと判定し、含まれていない場合には上記
接続配線が断線していると判定するスイッチの断線検出装置において、
上記第1配線が上記抵抗素子を介して正電源に接続されており、上記テストアウトのパルスには上記微分回路の時定数τよりも2倍以上長いパルス幅を有する負パルスが用いられ、上記制御部は、上記パルス幅内で上記微分回路の時定数τの2倍以上を経過した時点における上記テストインの信号の電圧値がHighと判断される閾値以上である場合には上記無電圧スイッチがオフであると判定し、上記テストインの信号の電圧値がLowと判断される閾値以下である場合には上記無電圧スイッチがオンであると判定することを特徴とするスイッチの断線検出装置。
【請求項3】
第1および第2の接点接続端子を有する制御部を備え、上記第1接点接続端子は入力端子であって第1配線を介して無電圧スイッチが備える一対の無電圧接点のうちの一方の接点が接続され、上記第2接点接続端子は出力端子であって第2配線を介して上記無電圧接点のうちの他方の接点が接続されており、上記制御部は、上記第1接点接続端子に入力される信号に基づいて上記無電圧スイッチのオンオフや
、上記
第1配線および上記第2配線を含む接続配線の断線を検出する機能を有し、上記一対の無電圧接点に対して並列にコンデンサが接続され、上記第1配線に上記コンデンサとともに微分回路を構成する抵抗素子が接続されており、
上記制御部は、上記第2接点接続端子より上記第2配線を介して上記無電圧スイッチに向けて断線検出用のテストアウトのパルスを送信し、上記第1配線を介して上記第1接点接続端子に戻されるテストインの信号に、上記テストアウトのパルスの立ち上がりエッジもしくは立ち下がりエッジが含まれている場合には上記
接続配線が断線していないと判定し、含まれていない場合には上記
接続配線が断線していると判定するスイッチの断線検出装置において、
上記第1配線が上記抵抗素子を介して正電源に接続されており、上記テストアウトのパルスには正パルスが用いられ、上記制御部は、上記正パルスの後縁の立ち下がり時点から上記微分回路の時定数τの2倍以上を経過した時点における上記テストインの信号の電圧値がHighと判断される閾値以上である場合には上記無電圧スイッチがオフであると判定し、上記テストインの信号の電圧値がLowと判断される閾値以下である場合には上記無電圧スイッチがオンであると判定することを特徴とするスイッチの断線検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチ特には無電圧スイッチの断線検出装置に関し、さらに詳しく言えば、構成が簡素でありながら信頼性の高いスイッチの断線検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図9に示すように、機械的な可動片によりオンオフする例えば押しボタンスイッチやリレースイッチ等の無電圧スイッチ1(以下、単に「スイッチ」と言うことがある)は、通常、オンオフの判定機能を有する制御部2に接続されて使用される。制御部2には、多くの場合、CPU(中央演算処理ユニット)やマイクロコンピュータが用いられる。
【0003】
スイッチ1は一対の無電圧接点(以下、単に「接点」と言うことがある)1a,1bを備え、そのうちの一方の接点1aは接続配線3aを介して制御部2の接点接続端子Pinに接続されるとともに、他方の接点1bは接続配線3bを介して制御部2のグランドGNDに接続される。
【0004】
この例において、一方の接続配線3a側は抵抗素子R1を介して装置内の電源電圧Vccにプルアップされる。なお、接続配線3a,3bを区別する必要がない場合には、総称として接続配線3と言う。
【0005】
これによれば、接点1a,1b間が開放でスイッチオフの場合、制御部2の接点接続端子PinはHighレベルとなり、これに対して、接点1a,1b間が閉じられたスイッチオンの場合には、制御部2の接点接続端子PinはLowレベルとなる。
【0006】
ここで問題なのは、接続配線3が断線している場合(接続配線が接点や端子から外れている場合を含む)、スイッチ1が押されて接点1a,1b間が導通になっても、制御部2の接点接続端子PinのレベルはHighのままでLowに転じないことである。
【0007】
制御部2のマイクロコンピュータは、接点接続端子PinがHighレベルの場合、スイッチ1がオフでHighレベルなのか、接続配線3の断線によってHighレベルなのか区別できない。
【0008】
特に、スイッチ1から出力されるオンオフ信号によって動作する機器が安全に関わる装置である場合、信頼性の観点から断線チェックは必須であり、そのための方法として、抵抗分圧方式が多用されている。この技術について
図10を参照して説明する。
【0009】
抵抗分圧方式では、スイッチ1の接点1a,1bを接続配線3a,3bを介して制御部2のシリアルインタフェースであるSCIaとSCIbとに接続するにあたって、3つの抵抗素子R1,R2,R3と、2つのA/D変換器4a,4bを用いる。
【0010】
一方の接続配線3a側を抵抗素子R1を介して制御部2内部の電源電圧Vccにプルアップするとともに、接点1a,1bと並列に抵抗素子R2を接続し、他方の接続配線3bを抵抗素子R3を介して制御部2のグランドGNDに接続してプルダウンする。
【0011】
一方のA/D変換器4aは、接続配線3aに現れるアナログ電圧Vaをデジタル信号に変換して制御部2のシリアルインタフェースSCIa経由でマイクロコンピュータに報告する。同様に、他方のA/D変換器4bは、接続配線3bに現れるアナログ電圧Vbをデジタル信号に変換して制御部2のシリアルインタフェースSCIb経由でマイクロコンピュータに報告する。
【0012】
ここで、Vcc=3(V)で,R1=R2=R3であるとして、スイッチ1がオフで断線していない場合、接続配線3a,3bに現れるアナログ電圧Va,Vbは次の値となる。
Va=3×(R2+R3)/(R1+R2+R3)=3×2/3=2(V)
Vb=3×R3/(R1+R2+R3)=3×1/3=1(V)
【0013】
これに対して、スイッチ1がオンで断線していない場合には、
Va=Vb=3×R3/(R1+R3)=3×1/2=1.5(V)
になる。
【0014】
このようなVa,Vbの出方により、制御部(マイクロコンピュータ)2はスイッチ1のオンオフ状態を知ることができる。
【0015】
この制御系において、接続配線3(3a,3b)が断線すると、スイッチ1がオン、オフのいずれの場合でも、Va=3(V),Vb=0(V)に固定される。
【0016】
これにより、制御部2は接続配線3に断線有りと判定することができる(類例として、特許文献1-3参照)。なお、A/D変換器に代えて、コンパレータにより接続配線3a,3bに現れる電圧Va,Vbを監視する方法もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【文献】特開2002-233046号公報
【文献】特開2003-115881号公報
【文献】特開2017-044638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら、上記抵抗分圧方式には、制御部(マイクロコンピュータ)の他に、外付け部品としてA/D変換器やコンパレータ等を必要とするため、回路が複雑になりコストが高くなる。
【0019】
また、A/D変換器やコンパレータ等の外付け搭載部品自体が故障するおそれがある。この意味で搭載部品は少ない方がよい。さらには、Vcc→R1→R2→R3→GNDへと電流が常に流れるため、消費電流を考慮すべき電池駆動による装置においては、電池寿命が短くなる、という問題もある。
【0020】
そこで、本発明の課題は、構成が簡素でありながら信頼性の高いスイッチの断線検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記した課題を解決するため、第1の発明は、第1および第2の接点接続端子を有する制御部を備え、上記第1接点接続端子は入力端子であって第1配線を介して無電圧スイッチが備える一対の無電圧接点のうちの一方の接点が接続され、上記第2接点接続端子は出力端子であって第2配線を介して上記無電圧接点のうちの他方の接点が接続されており、上記制御部は、上記第1接点接続端子に入力される信号に基づいて上記無電圧スイッチのオンオフや、上記第1配線および上記第2配線を含む接続配線の断線を検出する機能を有し、上記一対の無電圧接点に対して並列にコンデンサが接続され、上記第1配線に上記コンデンサとともに微分回路を構成する抵抗素子が接続されており、
上記制御部は、上記第2接点接続端子より上記第2配線を介して上記無電圧スイッチに向けて断線検出用のテストアウトのパルスを送信し、上記第1配線を介して上記第1接点接続端子に戻されるテストインの信号に、上記テストアウトのパルスの立ち上がりエッジもしくは立ち下がりエッジが含まれている場合には上記接続配線が断線していないと判定し、含まれていない場合には上記接続配線が断線していると判定するスイッチの断線検出装置において、
上記第1配線が上記抵抗素子を介してグランドに接続されており、上記テストアウトのパルスには上記微分回路の時定数τよりも2倍以上長いパルス幅を有する正パルスが用いられ、上記制御部は、上記パルス幅内で上記微分回路の時定数τの2倍以上を経過した時点における上記テストインの信号の電圧値がLowと判断される閾値以下である場合には上記無電圧スイッチがオフであると判定し、上記テストインの信号の電圧値がHighと判断される閾値以上である場合には上記無電圧スイッチがオンであると判定することを特徴としている。
【0022】
第2の発明は、第1および第2の接点接続端子を有する制御部を備え、上記第1接点接続端子は入力端子であって第1配線を介して無電圧スイッチが備える一対の無電圧接点のうちの一方の接点が接続され、上記第2接点接続端子は出力端子であって第2配線を介して上記無電圧接点のうちの他方の接点が接続されており、上記制御部は、上記第1接点接続端子に入力される信号に基づいて上記無電圧スイッチのオンオフや、上記第1配線および上記第2配線を含む接続配線の断線を検出する機能を有し、上記一対の無電圧接点に対して並列にコンデンサが接続され、上記第1配線に上記コンデンサとともに微分回路を構成する抵抗素子が接続されており、
上記制御部は、上記第2接点接続端子より上記第2配線を介して上記無電圧スイッチに向けて断線検出用のテストアウトのパルスを送信し、上記第1配線を介して上記第1接点接続端子に戻されるテストインの信号に、上記テストアウトのパルスの立ち上がりエッジもしくは立ち下がりエッジが含まれている場合には上記接続配線が断線していないと判定し、含まれていない場合には上記接続配線が断線していると判定するスイッチの断線検出装置において、
上記第1配線が上記抵抗素子を介して正電源に接続されており、上記テストアウトのパルスには上記微分回路の時定数τよりも2倍以上長いパルス幅を有する負パルスが用いられ、上記制御部は、上記パルス幅内で上記微分回路の時定数τの2倍以上を経過した時点における上記テストインの信号の電圧値がHighと判断される閾値以上である場合には上記無電圧スイッチがオフであると判定し、上記テストインの信号の電圧値がLowと判断される閾値以下である場合には上記無電圧スイッチがオンであると判定することを特徴としている。
【0023】
また、第3の発明は、第1および第2の接点接続端子を有する制御部を備え、上記第1接点接続端子は入力端子であって第1配線を介して無電圧スイッチが備える一対の無電圧接点のうちの一方の接点が接続され、上記第2接点接続端子は出力端子であって第2配線を介して上記無電圧接点のうちの他方の接点が接続されており、上記制御部は、上記第1接点接続端子に入力される信号に基づいて上記無電圧スイッチのオンオフや、上記第1配線および上記第2配線を含む接続配線の断線を検出する機能を有し、上記一対の無電圧接点に対して並列にコンデンサが接続され、上記第1配線に上記コンデンサとともに微分回路を構成する抵抗素子が接続されており、
上記制御部は、上記第2接点接続端子より上記第2配線を介して上記無電圧スイッチに向けて断線検出用のテストアウトのパルスを送信し、上記第1配線を介して上記第1接点接続端子に戻されるテストインの信号に、上記テストアウトのパルスの立ち上がりエッジもしくは立ち下がりエッジが含まれている場合には上記接続配線が断線していないと判定し、含まれていない場合には上記接続配線が断線していると判定するスイッチの断線検出装置において、
上記第1配線が上記抵抗素子を介して正電源に接続されており、上記テストアウトのパルスには正パルスが用いられ、上記制御部は、上記正パルスの後縁の立ち下がり時点から上記微分回路の時定数τの2倍以上を経過した時点における上記テストインの信号の電圧値がHighと判断される閾値以上である場合には上記無電圧スイッチがオフであると判定し、上記テストインの信号の電圧値がLowと判断される閾値以下である場合には上記無電圧スイッチがオンであると判定することを特徴としている。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、ほとんど故障することのないコンデンサと抵抗素子による微分回路を用いるだけでよく、しかも、1回のテストアウトのパルスごとに断線検出とスイッチのオンオフ検出の両方を行うことができるため、簡素な構成でありながら信頼性の高い断線検出装置が得られる。
【0028】
また、テストアウトのパルスを送出するときのみ電流が消費されることから、従来の抵抗分圧方式と比べて消費電流が少なくて済み、特に電池駆動式の場合、電池の長寿命化がはかれる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るスイッチの断線検出装置を示す模式図。
【
図2】上記第1実施形態において、(a)正常時と断線時の各テストイン信号を示す波形図、(b)正常時のテストイン信号の詳細を示す拡大波形図。
【
図3】上記第1実施形態において、(a)断線がなくスイッチがオンされた時のテストイン信号を示す波形図、(b)テストイン信号の波形によりスイッチのオンオフを判定する態様を説明する波形図。
【
図4】上記第1実施形態の動作を示すフローチャート。
【
図5】本発明の第2実施形態に係るスイッチの断線検出装置を示す模式図。
【
図6】上記第2実施形態において、(a)正常時、断線時およびスイッチオン時の各テストイン信号を示す波形図、(b)テストイン信号の波形によりスイッチのオンオフを判定する態様を説明する波形図。
【
図7】本発明の第3実施形態に係るスイッチの断線検出装置を示す模式図。
【
図8】上記第3実施形態において、(a)正常時、断線時およびスイッチオン時の各テストイン信号を示す波形図、(b)テストイン信号の波形によりスイッチのオンオフを判定する態様を説明する波形図。
【
図9】無電圧スイッチの基本的な構成を示す模式図。
【
図10】スイッチの断線検出装置の従来例を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
次に、
図1ないし
図8により、本発明のいくつかの実施形態について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0031】
図1に示すように、本発明の第1実施形態においても、無電圧スイッチ(以下、単にスイッチと言うことがある)1の一方の接点1aは接続配線3aを介して制御部2の一方の接点接続端子Pinに接続され、他方の接点1bは接続配線3bを介して制御部2の他方の接点接続端子Poutに接続される。
【0032】
無電圧スイッチ1は、機械的な可動片によりオンオフする例えば押しボタンスイッチやリレースイッチ等である。また、制御部2には、信号の生成・送出・判定機能等を有するマイクロコンピュータが用いられる。図示しないが、制御部2には液晶パネル等の表示装置やブザー等の警報装置が接続されるか、もしくは内蔵される。
【0033】
この第1実施形態において、接点接続端子Pin側の接続配線3aは抵抗素子R1を介して当該断線検出装置内の電源電圧Vccにプルアップされており、この抵抗素子R1と微分回路を構成するコンデンサC1が接点1a,1bに対して並列に接続される。
【0034】
制御部2の接点接続端子Poutから断線検出用のテストアウト(TestOut)のパルス(好ましくは矩形波)がスイッチ1に向けて送信される。この実施形態において、テストアウトのパルスは微分回路(C1,R1)が持つ時定数τよりも十分に長いパルス幅を有する負パルスである。このテストアウトのパルスは所定の時間間隔で繰り返し送信される。
【0035】
接続配線3(3a,3b)に断線がなく、かつ、スイッチ1がオフ(開)の場合、テストアウトのパルスは、コンデンサC1を経て接続配線3aを通ってテストイン(TestIn)信号として接点接続端子Pinに戻る。
【0036】
したがって、
図2(a)に示すように、接続配線3に断線がなく、かつ、スイッチ1がオフであれば、テストイン信号には微分回路(C1,R1)による過渡応答波形(この実施形態ではテストアウトパルスの立ち下がりエッジの部分)が現れる。これに対して、接続配線3が断線している場合(接続配線が接点や端子から外れている場合を含む)には、テストイン信号には微分回路(C1,R1)による過渡応答波形が現れない。これによって、制御部2は断線の有無を判定する。
【0037】
図2(b)のテストイン信号のエッジ部分の詳細図を参照して、テストイン信号は、テストアウトの負のパルスにより、Vcc電圧(例えば3V)から一時的に0Vまで下がるが、コンデンサC1と抵抗素子R1にて求まる時定数τが経過した時点でVccの63%の電圧まで復帰する。さらに時間が経過して、例えば、時定数τの5倍以上の時間が経過した時点では計算上、電圧はVccの99%まで復帰する。
【0038】
次に、
図3を参照して、スイッチ1のオンオフ判定について説明する。接続配線3(3a,3b)に断線がない状態でスイッチ1がオン(閉)の場合には、
図3(a)に示すように、テストアウトのパルスがそのままテストイン信号として接点接続端子Pinに戻る。すなわち、テストアウトのパルスが出力されている間、テストイン信号は0Vとなる。これに対して、スイッチ1がオフの場合には、テストイン信号は、
図2(b)で説明したように過渡応答を示し、例えば、時定数τの5倍以上の時間が経過した時点で電圧はVccの99%まで復帰する。
【0039】
したがって、
図3(b)に示すように、テストインの信号の立ち下がりエッジから、微分回路(C1,R1)の時定数τよりも十分に時間が経過した時点(好ましくは時定数τの2倍以上)で接点接続端子Pinの電圧値がLowと判断される閾値以下の場合にはスイッチオン、これに対してHighと判断される閾値以上の場合にはスイッチオフと判定する。
【0040】
ここで、
図4に示されているフローチャートにしたがって、上記第1実施形態の動作について説明する。
【0041】
テストアウトのパルスは所定の基本周期ごとに接点接続端子Poutから繰り返し出力される。なお、テストアウトのパルス幅は、微分回路(C1,R1)の時定数τに対して十分に長く設定されている(この例では、時定数τの5倍)。
【0042】
制御部2は、まず、ステップST101でテストアウト信号の検出基本周期を監視し、検出基本周期の時間が経過すると、ステップST102で、テストアウトのパルス(負のパルス)の出力を開始し、続くステップST103で、所定時間が経過したかを判断する。所定時間とは、テストアウトのパルス幅内で微分回路(C1,R1)の時定数τを十分に経過しており後縁の立ち上がりエッジの直前付近の時間が好ましい。
【0043】
所定時間が経過した時点のステップST104で、これまでの時間内にテストイン信号に立ち下がりエッジが検出されたかどうかを判断する。その判断がYESで、立ち下がりエッジが検出された場合には、ステップST105で、現在のテストイン信号の電圧はHigh(制御部2がHighと判断する閾値以上)かどうかを判断する。
【0044】
その結果がYESでテストイン信号の電圧はHighである場合、スイッチはオフ(開)であるから、ステップST106aで、スイッチ検出フラグを「OFF」に設定する。これに対して、テストイン信号の電圧がLow(例えば0V)である場合、スイッチはオン(閉)であるから、ステップST106bで、スイッチ検出フラグを「ON」に設定する。
【0045】
ステップST106a,106bのいずれかを処理した後、ステップST107で、断線エラーフラグを「OFF」に設定し、次段のステップST108で、テストアウト信号の送信を終了させる。テストアウトのパルスの後縁が立ち上がった時点で送信終了となる。
【0046】
なお、上記ステップST104の判断がNOで、テストイン信号に立ち下がりエッジが検出されない場合には断線状態が検出されたと判断し、ステップST104aに移行して断線エラーフラグを「ON」に設定する。
【0047】
テストアウト信号の送信が終了すると、ステップST109で、断線エラーフラグが「ON」であるかどうかを判断する。断線エラーフラグが「ON」でない場合には、ステップST110で、スイッチ検出フラグが「ON」であるかどうかを判断する。
【0048】
その結果、スイッチ検出フラグが「ON」でなく「OFF」の場合には、ステップST111aで、スイッチはオフ(開)であるとして非検出処理を行い、スイッチ検出フラグが「ON」の場合には、ステップST111bで、スイッチはオン(閉)であるとして検出処理を行う。また、上記ステップST109で、断線エラーフラグが「ON」になっている場合には、ステップST111cで、断線有りとするエラー処理を行う。これらの各処理は、図示しない表示装置や警報装置、スイッチにより動作する機器等に出力される。
【0049】
次に、
図5,
図6により、本発明の第2実施形態について説明する。上記第1実施形態では、接点接続端子Pin側が抵抗素子R1によりVccにプルアップされているが、この第2実施形態では、接点接続端子Pin側が抵抗素子R1によりグランドGNDにプルダウンされている。
【0050】
図6(a)に示すように、この第2実施形態において、接点接続端子Poutより出力されるテストアウトのパルスは正の矩形波である。
【0051】
接続配線3(3a,3b)が断線していない正常時(ただし、スイッチ1はオフ状態)には、テストイン信号として微分回路(C1,R1)による過渡応答波形(前縁の立ち上がりエッジに生ずるヒゲ状の微分波形)が接点接続端子Pinに戻る。断線時には、過渡応答波形は現れない。断線がなくスイッチ1がオン(閉)の場合には、テストアウトのパルスがそのまま接点接続端子Pinに戻る。
【0052】
図6(b)を参照して、スイッチ1のオンオフ検出については、テストインの信号の立ち上がりエッジから、微分回路(C1,R1)の時定数τよりも十分長い時間(例えば時定数τの2倍以上)が経過した時点でのテストインの信号の電圧を検出し、その電圧がLowであればスイッチオフ(開)、Highであればスイッチオン(閉)と判定する(上記第1実施形態とは逆の判定)。
【0053】
次に、
図7,
図8により、本発明の第3実施形態について説明する。この第3実施形態においても、上記第1実施形態と同じく、接点接続端子Pin側が抵抗素子R1によりVccにプルアップされているが、接点接続端子Poutより出力されるテストアウトのパルスが正の矩形波である点で上記第1実施形態と異なる。
【0054】
この第3実施形態によれば、
図8(a)に示すように、接点接続端子Poutより出力されるテストアウトのパルスが正の矩形波であるため、接続配線3(3a,3b)が断線していない正常時(ただし、スイッチ1はオフ状態)には、テストイン信号として微分回路(C1,R1)による過渡応答である微分波形がテストアウトパルスの後縁のタイミングで発生し、接点接続端子Pinに戻る。この場合、前縁に現れるVccを超えようとする微分波形は、保護ダイオードD1で吸収されるので無視される。
【0055】
また、断線時には、後縁の過渡応答波形は現れない。スイッチ1がオン(閉)の場合には、テストアウトのパルスがそのまま接点接続端子Pinに戻る。
【0056】
図8(b)を参照して、スイッチ1のオンオフ検出については、テストインの信号の立ち下がりエッジから、微分回路(C1,R1)の時定数τよりも十分長い時間(例えば時定数τの2倍以上)が経過した時点でのテストインの信号の電圧を検出し、その電圧がLowであればスイッチオン(閉)、Highであればスイッチオフ(開)と判定する(上記第1実施形態と同じ判定となる)。
【0057】
以上説明した各実施形態から分かるように、本発明によれば、ほとんど故障することのないコンデンサと抵抗素子による微分回路を用いるだけでよく、しかも、1回のテストアウトのパルスごとに断線検出とスイッチのオンオフ検出の両方を行うことができるため、簡素な構成でありながら信頼性の高い断線検出装置が得られる。
【0058】
また、テストアウトのパルスを送出するときのみ電流が消費されることから、従来の抵抗分圧方式と比べて消費電流が少なくて済み、特に電池駆動式の場合、電池の長寿命化がはかれる。
【符号の説明】
【0059】
1 無電圧スイッチ
1a,1b 接点
2 制御部
3(3a,3b) 接続配線
C1 コンデンサ
R1 抵抗素子
Pin 接点接続端子(入力側)
Pout 接点接続端子(出力側)