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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-25
(45)【発行日】2022-11-02
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/03 20060101AFI20221026BHJP
   H05K 7/14 20060101ALI20221026BHJP
【FI】
H05K5/03 A
H05K7/14 F
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018074802
(22)【出願日】2018-04-09
(65)【公開番号】P2019186366
(43)【公開日】2019-10-24
【審査請求日】2021-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100119987
【氏名又は名称】伊坪 公一
(72)【発明者】
【氏名】渡部 信隆
(72)【発明者】
【氏名】武田 泰明
(72)【発明者】
【氏名】冨士井 俊彦
【審査官】五貫 昭一
(56)【参考文献】
【文献】特開平8-145019(JP,A)
【文献】特開2018-19012(JP,A)
【文献】特開平11-13718(JP,A)
【文献】特開2003-222603(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-0683224(KR,B1)
【文献】実開平6-79186(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/03
H05K 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板と、
前記回路基板を内部に収容し、かつ、前記回路基板に当接するための複数の第1の当接部を有するケースと、
前記回路基板に当接するための複数の第2の当接部を有するカバーと、
前記カバーに設けられた引掛部と、
前記ケースに設けられた前記引掛部に対応した受部と、を備え、
前記引掛部が前記受部と係合することによって、前記ケースに前記カバーが嵌合し、かつ、前記ケースの前記複数の第1の当接部及び前記カバーの前記複数の第2の当接部が前記回路基板を挟持して固定し、
前記引掛部は、弾性変形可能な材料から形成され、前記引掛部が前記受部と係合した状態において、前記引掛部の弾性変形に起因する反力による付勢力により前記カバーは前記ケースに嵌り、前記カバーの複数の第2の当接部により回路基板に対して押圧力がかかる、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記引掛部は、略コの字形状を有する請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記引掛部が前記受部に係合したときの前記ケースの側部の前記カバーに対向する面と前記カバーの側部の前記ケースに対向する面との間の干渉を防止するためのクリアランスを、前記ケースの側部の前記カバーに対向する面と前記カバーの側部の前記ケースに対向する面との間に設けた請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記ケースの前記複数の第1の当接部のそれぞれの内部及び前記カバーの前記複数の第2の当接部のそれぞれの内部に空洞が形成された請求項1~3のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記引掛部と前記カバーの前記複数の第の当接部のうちの前記引掛部に最も近い第の当接部との間の最短距離は、前記最も近い第の当接部の寸法より小さい請求項1~のいずれか一項に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載された電子制御ユニット(ECU)等の電子機器は、マイクロコンピュータ等の素子が設けられた回路基板と、回路基板が配置されるケースと、ケースと共に収容空間を形成するカバーと、を備える。回路基板は、ケースに配置された後にねじを介してケースに固定される(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-189371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、電子機器の薄型化の要求がますます高くなっている。ねじによって回路基板をケースに固定する場合、カバーをケースに取り付けたときにねじの頭がカバーに干渉するために電子機器の薄型化が困難になる。また、ねじによって回路基板をケースに固定する場合、電子機器が薄くなるに従ってねじ穴の深さを確保するのが困難になる。さらに、ねじによって回路基板をケースに固定する場合、ねじがケースの底面から突出するおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、薄型化が容易な電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による電子機器は、回路基板と、回路基板を内部に収容し、かつ、回路基板に当接するための複数の第1の当接部を有するケースと、回路基板に当接するための複数の第2の当接部を有するカバーと、ケースとカバーの一方に設けられた引掛部と、ケースとカバーの他方に設けられた引掛部に対応した受部と、を備え、引掛部が受部と係合することによって、ケースにカバーが嵌合し、かつ、ケースの複数の第1の当接部及びカバーの複数の第2の当接部が回路基板を挟持して固定することを特徴とする。
【0007】
好適には、引掛部が受部に係合したときのケースとカバーとの間の干渉を防止するためのクリアランスを、ケースとカバーとの間に設ける。
【0008】
好適には、ケースの複数の第1の当接部のそれぞれの内部及びカバーの複数の第2の当接部のそれぞれの内部に空洞が形成される。
【0009】
好適には、引掛部とケースの複数の第1の当接部のうちの引掛部に最も近い第1の当接部との間の最短距離は、最も近い第1の当接部の寸法より小さい。
【0010】
好適には、引掛部は、弾性変形可能な材料によって構成され、引掛部が受部に係合してカバーがケースに固定された状態で弾性変形の反力により生じた付勢力によってカバーの複数の第2の当接部に回路基板に対する押圧力が付与される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、電子機器を容易に薄型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明による電子機器1の分解斜視図である。
図2図1のカバー3の背面からの斜視図である。
図3】本発明による電子機器1の前方斜視図である。
図4】本発明による電子機器1の後方斜視図である。
図5】本発明による電子機器1の上面図である。
図6図5のI-I断面図である。
図7図5のII-II断面図である。
図8図1の回路基板2の固定を説明するための図である。
図9図1の回路基板2の固定を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明による電子機器の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。本実施の形態において、発明による電子機器は、ECU等の電子機器として実現される。
図1は、本発明による電子機器1の分解斜視図である。図1において、電子機器1は、回路基板2と、カバー3と、ケース4と、を備える。
【0014】
回路基板2は、矩形であり、ケース4の内部に収納される。本実施の形態では、回路基板2は、マイクロコンピュータ等の素子(図示せず)と、ケーブルの先端に設けられた相手側コネクタを抜き差しするためのコネクタ2aと、とが設けられている。コネクタ2aは、回路基板2に設けられた素子と電気的に接続するための端子を保持する。
【0015】
カバー3は、樹脂等の弾性変形可能な材料で構成される。図2は、図1のカバー3の背面からの斜視図である。カバー3は、側部に設けられた四つの係合爪3aと、回路基板2に当接するためにケース4に向かって突出した四つのボス3bと、を有する。四つの係合爪3aは、カバー3の四隅にそれぞれ設けられ、略コの字形状を有する。すなわち、係合爪3aは、一端がカバー3の側部に連結されるとともに-z方向に延伸する延伸部分3a-1と、一端が延伸部分3a-1の他端に連結されるとともに+x方向に延伸する延伸部分3a-2と、一端がカバー3の側部に連結されるとともに-z方向に延伸して延伸部分3a-2の他端に連結される延伸部分3a-3と、を有する。係合爪3aは、引掛部の一例である。四つのボス3bは、カバー3の四隅にそれぞれ設けられ、略円柱形状を有する。四つのボス3bは、複数の第2の当接部の一例である。
【0016】
ケース4は、アルミダイカスト等の金属材料又は樹脂等の弾性変形可能な材料で構成され、カバー3と共に回路基板2の収容空間を形成する。ケース4は、四つの係合爪3aに対応するように側部に設けられた四つの爪受片4aと、ボス3bにそれぞれ対応するようにカバー3に向かって突出する四つのボス4bと、を有する。四つの爪受片4aは、カバー3の四隅にそれぞれ設けられ、係合爪3aが対応する爪受片4aに係合できるように係合爪3aの形状に対応する突起形状を有する。爪受片4aは、受部の一例である。四つのボス4bは、ケース4の四隅にそれぞれ設けられ、略円柱形状を有する。四つのボス4bは、複数の第1の当接部の一例である。
【0017】
本実施の形態では、ボス3bと対応するボス4bの中心軸は同一であり、係合爪3aが対応する爪受片4aと係合することによって、ケース4にカバー3が嵌合し、かつ、ケース4のボス4b及びカバー3の対応するボス3bが回路基板2を挟持して固定する。
【0018】
図3は、本発明による電子機器1の前方斜視図であり、図4は、本発明による電子機器1の後方斜視図であり、図5は、本発明による電子機器1の上面図であり、図6は、図5のI-I断面図である。係合爪3aが対応する爪受片4aに係合したときに、カバー3のケース4に対向する面と、ケース4のカバー3に対向する面とが接触する場合、回路基板2の厚さ、ボス3bの高さ及びボス4bの厚さの少なくとも一つのばらつきが原因でカバー3とケース4との間に干渉が生じることがある。本実施の形態では、図3図4及び図6に示すように、係合爪3aが対応する爪受片4aに係合したときのカバー3とケース4との間の干渉を防止するための間隔Δのクリアランスが、電子機器1の全周に亘ってカバー3とケース4との間に設けられる。
【0019】
図7は、図5のII-II断面図である。図7に示すように、係合爪3aが対応する爪受片4aに係合してカバー3がケース4に固定された状態で弾性変形の反力により生じた付勢力Fによってボス3bに-z方向の回路基板2に対する押圧力(以下、「回路基板2に対する押圧力」)が付与される。これによって、ボス3b及び対応するボス4bは、回路基板2を挟持して固定する。
【0020】
本実施の形態では、図7に示すように、四つのボス3bのそれぞれの内部に空洞3b’が形成されるとともに四つのボス4bのそれぞれの内部に空洞4b’が形成される。また、本実施の形態では、図7に示すように、係合爪3aと当該係合爪3aに最も近いボス3bとの間の最短距離aは、当該ボス3bの径bより小さい。径bは、最も近い第の当接部の寸法の一例である。
【0021】
図8及び図9は、図1の回路基板2の固定を説明するための図である。図8に示すようにカバー3を矢印A方向(-z方向)に移動させると、係合爪3aの延伸部分3a-2が対応する爪受片4aに当接するとともに係合爪3aの延伸部分3a-1,3a-3が弾性変形した後に図9に示すような状態となる。その後、図7に示すように係合爪3aが対応する爪受片4aに係合する。
【0022】
本実施の形態によれば、係合爪3aが対応する爪受片4aと係合することによって、ケース4にカバー3が嵌合し、かつ、ケース4のボス4b及びカバー3の対応するボス3bが回路基板2を挟持して固定するので、回路基板2を、ねじを使用することなく電子機器1内で固定することができる。したがって、電子機器1を容易に薄型化することができるとともに電子機器1の製造コストの削減及び電子機器1の軽量化が可能になる。また、ボス3bと対応するボス4bの中心軸は同一であるので、ボス3bと対応するボス4bとがずれることによって回路基板2が撓んで歪みが発生するおそれがなくなる。
【0023】
また、カバー3とケース4との間にクリアランスを設けることによって、係合爪3aが対応する爪受片4aに係合したときのカバー3とケース4との間の干渉を防止する。これによって、回路基板2に対する押圧力の低下を防止することができる。
【0024】
ボス3bの内部に空洞3b’を形成することによって、カバー3を成形する際にボス3bが変形するのを防止することができる。また、ボス3bの内部に空洞3b’を形成することによって、ボス3bは、回路基板2に対する押圧力を回路基板2に対して均一に付与するのに十分な平面度を確保することができる。
【0025】
同様に、ボス4bの内部に空洞4b’を形成することによって、ケース4を成形する際にボス4bが変形するのを防止することができる。また、ボス4bの内部に空洞4b’を形成することによって、ボス4bは、回路基板2に対する押圧力を回路基板2に対して均一に付与するのに十分な平面度を確保することができる。
【0026】
また、係合爪3aと当該係合爪3aに最も近いボス3bとの間の最短距離aを当該ボス3bの径bより小さくすることによって、係合爪3aが対応する爪受片4aに係合したときにカバー3が撓まなくなる。したがって、押圧力がカバー3の撓みによって吸収されなくなるので、回路基板2に対する押圧力の低下を防止することができる。
【0027】
さらに、係合爪3aを弾性変形可能な材料によって構成することによって、回路基板2を電子機器1内で固定するのに十分な回路基板2に対する押圧力を確保することができる。
【0028】
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、幾多の変更及び変形が可能である。例えば、係合爪3aの形状を、略コの字形状以外の形状にし、爪受片4aが係合爪3aの形状に対応する突起形状を有するようにしてもよい。また、ボス3b及びボス4bの代わりに、略四角柱形状等の他の形状の当接部を設けてもよい。また、四つのボス3b以外の一つ以上の追加のボスをカバー3に形成するとともにそのボスに対応する追加のボスをケース4に形成してもよい。さらに、係合爪3aをケース4の側部に設けるとともに爪受片4aをカバー3に設けてもよい。
【符号の説明】
【0029】
1 電子機器
2 回路基板
2a コネクタ
3 カバー
3a 係合爪
3b,4b ボス
3b’,4b’ 空洞
4 ケース
4a 爪受片
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9