(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-25
(45)【発行日】2022-11-02
(54)【発明の名称】建築板、および施工構造
(51)【国際特許分類】
E04F 13/08 20060101AFI20221026BHJP
【FI】
E04F13/08 M
E04F13/08 E
(21)【出願番号】P 2018141397
(22)【出願日】2018-07-27
【審査請求日】2021-06-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000110860
【氏名又は名称】ニチハ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】高橋 信儀
【審査官】山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-265955(JP,A)
【文献】特開2011-102504(JP,A)
【文献】特開2017-137733(JP,A)
【文献】特開平09-144268(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0060878(US,A1)
【文献】特開昭64-083756(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 13/08
E04F 13/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方側の第1側面と、他方側の第2側面を有すると共に、表面側に意匠面を有する建築板であって、
前記意匠面と前記第1側面との境界である第1端辺から、前記意匠面と前記第2側面との境界である第2端辺に向かって延びると共に、前記第1側面と交差して、前記意匠面に形成された接合目地面と、
前記第2端辺から前記第1端辺に向かって延びると共に、前記接合目地面が前記第1側面と交差する角度よりも大きな角度で、前記第2側面と交差して、前記意匠面に形成された傾斜目地面と、を備え、
前記第1端辺は、前記第2端辺に対して、表面側に偏倚していることを特徴とする建築板。
【請求項2】
前記意匠面は、前記接合目地面の前記第2端辺側の端部から表面側に向かって、前記接合目地面が前記第1側面と交差する角度よりも大きな角度で、前記接合目地面と交差して延びる立上り傾斜面を有することを特徴とする請求項1に記載の建築板。
【請求項3】
前記接合目地面は、前記第1端辺側に面取りを有することを特徴とする請求項1に記載の建築板。
【請求項4】
前記傾斜目地面において、前記第2端辺側の傾斜角度と前記第1端辺側の傾斜角度は異なり、
前記傾斜目地面の前記第2端辺側の前記接合目地面を基準とした傾斜角度が、前記傾斜目地面の前記第1端辺側の前記接合目地面を基準とした傾斜角度よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の建築板。
【請求項5】
前記意匠面は、前記意匠面の内方に内側目地を備え、
前記内側目地は、前記第1端辺側から前記第2端辺側に向かって所定の距離を有して延びる内底面と、
前記内底面よりも前記第1端辺側にあり、前記第1端辺側に向かって所定の距離を有して延びる第1傾斜面と、
前記内底面の前記第2端辺側の端部から表面側に向かって、前記内底面と交差して延びる第2傾斜面を備えることを特徴とする請求項1に記載の建築板。
【請求項6】
前記内側目地は、前記内底面の前記第1端辺側の端部から表面側とは反対の方向に延びると共に、前記内底面及び前記第1傾斜面と交差する内側面を更に備え、
前記内底面と前記内側面の境界である第3端辺は、前記第1傾斜面と前記内側面との境界であ
る第4端辺に対して、表面側に偏倚し、
前記内側面と前記第1傾斜面とによって、表面側に開いた空隙が形成されることを特徴とする請求項5に記載の建築板。
【請求項7】
2つの建築板を、上下に隣合わせて構造躯体に施工した建築板の施工構造であって、
前記建築板は、上下に隣合わせた際に、下側に位置する第1側面と、上側に位置する第2側面を有すると共に、表面側に意匠面を有し、
更に前記建築板は、前記意匠面と前記第1側面との境界である第1端辺から、前記意匠面と前記第2側面との境界である第2端辺に向かって延びると共に、前記第1側面と交差して、前記意匠面に形成された接合目地面と、
前記第2端辺から、前記第1端辺に向かって延びると共に、前記接合目地面が前記第1側面と交差する角度よりも大きな角度で、前記第2側面と交差して、前記意匠面に形成された傾斜目地面と、を備え、
上側の前記建築板と下側の前記建築板の接合部には、前記上側の建築板の前記接合目地面と、前記下側の建築板の前記傾斜目地面により接合目地が形成されており、
前記接合目地において、前記上側の建築板の前記第1端辺は、前記下側の建築板の前記第2端辺に対して、表面側に偏倚しており、
前記上側の建築板の前記第1側面と前記下側の建築板の前記第2側面は対向しており、
前記上側の建築板の前記第1側面と前記下側の建築板の前記傾斜目地面とによって、表面側に開いた空隙が形成されていることを特徴とする建築板の施工構造。
【請求項8】
前記建築板は、前記意匠面の内方に内側目地を備え、
前記内側目地は、前記第1端辺側から前記第2端辺側に向かって所定の距離を有して延びる内底面と、
前記内底面よりも前記第1端辺側にあり、前記第1端辺側に向かって所定の距離を有して延びる第1傾斜面と、
前記内底面の前記第2端辺側の端部から表面側に向かって、前記内底面と交差して延びる第2傾斜面と、
前記内底面の前記第1端辺側の端部から表面側とは反対の方向に延びると共に、前記内底面及び前記第1傾斜面と交差する内側面と、を備え、
前記内底面と前記内側面の境界である第3端辺は、前記第1傾斜面と前記内側面との境界であ
る第4端辺に対して、表面側に偏倚し、
前記内側面と前記第1傾斜面とによって、表面側に開いた空隙が形成されていることを特徴とする請求項7に記載の建築板の施工構造。
【請求項9】
前記接合目地に形成された前記空隙と、前記内側目地に形成された前記空隙は、断面視形状が同じであることを特徴とする請求項8に記載の施工構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の外壁を構成する建築板、及び建築板を上下に隣合わせた建築板の施工構造に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物の外壁を構成する建築板として、窯業系サイディングボードや金属系サイディングボードなどが用いられる。建築板の表面には、意匠性を向上させるために、目地部と凸部とを有する意匠面を設けられることがあり、複数の建築板を上下左右に施工することにより、意匠性の高い外壁が構成される。
【0003】
建築板は一般に、上下に施工した時に板の継ぎ目が目立たないようにするため、上側建築板の意匠面下端と下側建築板の意匠面上端とが一致するよう設計されている。
【0004】
しかし、下地面の不陸等により、上側建築板の意匠面下端と下側建築板の意匠面上端がずれて、上下の建築板の継ぎ目が目立つことがある。上側建築板の意匠面下端が屋外側に突出した場合には影ができ、特に目立つ。
【0005】
そこで、特許文献1、2には、上側建築板の意匠面下端の厚み寸法(裏面までの距離)と下側建築板の意匠面上端の厚み寸法を異ならせ、上側建築板の意匠面下端と下側建築板の意匠面上端を前後にずらすことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2006-265955号公報
【文献】特開2008-133701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上側建築板の意匠面下端が屋外側にずれた場合、上側建築板の突出した部分による影が下側建築板に形成され、上下の建築板の継ぎ目が目立つ。
【0008】
下側建築板の意匠面上端が屋外側にずれた場合、下側建築板の意匠面上端から裏面側に延びた上側面に水が溜まり、建築板の継ぎ目に水が入りやすくなるので止水性が悪くなる。
【0009】
本発明は、このような事情のもとで考え出されたものであり、その目的は、上下に施工した時に、板の継ぎ目が目立ちにくく、かつ止水性に優れた建築板、および板の施工構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様によると、一方側の第1側面と、他方側の第2側面を有すると共に、表面側に意匠面を有する建築板が提供される。この建築板は、接合目地面と傾斜目地面とを備える。接合目地面は、意匠面と第1側面との境界である第1端辺から、意匠面と第2側面との境界である第2端辺に向かって延びると共に、第1側面と交差して、意匠面に形成されている。傾斜目地面は、第2端辺から第1端辺に向かって延びると共に、接合目地面が第1側面と交差する角度よりも大きな角度で、第2側面と交差して、意匠面に形成されている。そして、第1端辺は、第2端辺に対して、表面側に偏倚している。
【0011】
第1の態様の建築板を、他方が上側、一方が下側となるよう上下に施工すると、上側の建築板の第1側面と、下側の建築板の第2側面が対向する。第1端辺は、第2端辺に対して表面側に偏倚しているので、上側に施工された建築板の第1端辺は、下側に施工された建築板の第2端辺と当接せず、上側の建築板の第1端辺が屋外側に偏倚する。しかし、上側の建築板と下側の建築板の接続部には、上側の建築板の接合目地面と下側の建築板の傾斜目地面により、上側の建築板の接合目地面を目地底面とした接合目地が形成される。そのため、屋外側に偏倚した上側の建築板の第1端辺は、接合目地の目地底面の下端辺となり、目立ちにくくなる。また、屋外側に偏倚した上側の建築板の第1端辺は、下側の建築板の傾斜目地面と対向するので、屋外側に偏倚した上側の建築板の第1端辺により形成される影は小さくなり、より目立ちにくくなる。
【0012】
更に、施工後、上側の建築板を流下する雨水は、上側の建築板の接合目地面と、下側の建築板の傾斜目地面に沿って流れる。ここで、上側の建築板の接合目地面と、下側の建築板の傾斜目地面とは離れて対向し、上下板の継ぎ目は、上側の建築板の第1端辺よりも屋内側に形成されるので、上下板の継ぎ目に雨水が侵入しにくく、止水性に優れる。
【0013】
以上のように、本発明の第1の態様による建築板は、上下に施工した時に、上下板の継ぎ目が目立ちにくく、かつ止水性に優れた建築板を実現するのに適する。
【0014】
本発明の第2の態様による建築板は、第1の態様に加え、意匠面は、接合目地面の第2端辺側の端部から表面側に向かって、接合目地面が第1側面と交差する角度よりも大きな角度で、接合目地面と交差して延びる立上り傾斜面を有する。
【0015】
立上り傾斜面を有すると、意匠面は凹凸に富み、上下板の継ぎ目が目立ちにくくなるので好ましい。また、立上り傾斜面から接合目地面への雨水の流下も問題は無い。更に、接合目地は上下に傾斜面を有する形状となり、施工後の壁の外観が良くなるので好ましい。
【0016】
本発明の第3の態様による建築板は、第1の態様に加え、接合目地面は、第1端辺側に面取りを有する。面取り形状としては、傾斜形状、円弧形状、多角形状などが例示される。
【0017】
接合目地面が第1端辺側に面取りを有すると、建築板を上下に施工した際に、上側の建築板の第1端辺の上側が面取り形状となるので、下側の建築板の傾斜目地面に形成される影が薄くなり、より目立ちにくくなるので好ましい。
【0018】
本発明の第4の態様による建築板は、第1の態様に加え、傾斜目地面において、第2端辺側の傾斜角度と第1端辺側の傾斜角度が異なる。傾斜目地面において、第2端辺側の接合目地面を基準とした傾斜角度は、第1端辺側の接合目地面を基準とした傾斜角度よりも大きい。
【0019】
傾斜目地面において、第2端辺側の接合目地面を基準とした傾斜角度が、第1端辺側の接合目地面を基準とした傾斜角度よりも大きいと、建築板を上下に施工した際に、上側の建築板の第1側面と下側の建築板の第2端辺側の傾斜目地面により形成される隙間が小さくなり、該隙間が目立ちにくくなるので好ましい。傾斜目地面において、第1端辺側の接合目地面を基準とした傾斜角度が、立上り傾斜面の接合目地面を基準とした傾斜角度と類似すると、接合目地の上下の傾斜面は類似し、バランスが良いので好ましい。
【0020】
本発明の第5の態様による建築板は、第1の態様に加え、意匠面は、意匠面の内方に内側目地を有する。内側目地は、第1端辺側から第2端辺側に向かって所定の距離を有して延びる内底面と、内底面よりも第1端辺側にあり、第1端辺側に向かって所定の距離を有して延びる第1傾斜面と、内底面の第2端辺側の端部から表面側に向かって、内底面と交差して延びる第2傾斜面を備える。
【0021】
意匠面の内方に内側目地を有すると、意匠面は凹凸に富み、上下板の継ぎ目が目立ちにくくなるので好ましい。また、施工後の壁の外観が良くなるので好ましい。
【0022】
本発明の第6の態様による建築板は、第5の態様に加え、内側目地は、内底面の第1端辺側の端部から表面側とは反対の方向に延びると共に、内底面及び第1傾斜面と交差する内側面を更に備える。そして、内底面と内側面の境界である第3端辺は、第1傾斜面と内側面との境界である第4端辺に対して、表面側に偏倚している。また、内側面と第1傾斜面とによって、表面側に開いた空隙が形成される。
【0023】
内側目地においても、第3端辺が屋外側に偏倚することにより、影が形成される。接合目地の影も、上側の建築板の第1端辺が屋外側に偏倚することにより形成されるので、内側目地に形成される影と接合目地に形成される影は類似する。そのため、上下板の継ぎ目はより目立ちにくくなり、好ましい。
【0024】
接合目地面と内底面の断面視形状が同じであり、かつ傾斜目地面と第1傾斜面の断面視形状が同じであると、接合目地の影と内側目地の影は同じとなり、上下板の継ぎ目はより目立ちにくくなるので好ましい。接合目地面と内底面が、第1端辺側に面取りを有すると、接合目地と内側目地に形成される影は薄くなるので、より好ましい。
【0025】
本発明の第7の態様によると、2つの建築板を、上下に隣合わせて構造躯体に施工した建築板の施工構造が提供される。
【0026】
建築板は、上下に隣合わせた際に、下側に位置する第1側面と、上側に位置する第2側面と、表面側に意匠面と、接合目地面と、傾斜目地面と、を備える。
【0027】
接合目地面は、意匠面と第1側面との境界である第1端辺から、意匠面と第2側面との境界である第2端辺に向かって延びると共に、第1側面と交差して、意匠面に形成されている。傾斜目地面は、第2端辺から第1端辺に向かって延びると共に、接合目地面が第1側面と交差する角度よりも大きな角度で、第2側面と交差して、意匠面に形成されている。
【0028】
上側の建築板と下側の建築板の接合部には、上側の建築板の接合目地面と、下側の建築板の傾斜目地面により接合目地が形成されている。そして、接合目地において、上側の建築板の第1端辺は、下側の建築板の第2端辺に対して、表面側に偏倚している。また、接合目地において、上側の建築板の第1側面と下側の建築板の第2側面は対向しており、上側の建築板の第1側面と下側の建築板の傾斜目地面とによって、表面側に開いた空隙が形成されている。
【0029】
この施工構造において、上側の建築板の第1端辺は、下側の建築板の第2端辺に対して表面側に偏倚している。しかし、上側の建築板の第1端辺は、接合目地の目地底面の下端辺となり、目立ちにくい。また、上側の建築板の第1端辺は、下側の建築板の傾斜目地面と対向するので、屋外側に偏倚した上側の建築板の第1端辺により形成される影は小さく、より目立ちにくい。
【0030】
更に、上側の建築板の第1側面と下側の建築板の第2側面は対向するとともに、上側の建築板の第1側面と下側の建築板の傾斜目地面とによって、表面側に開いた空隙が形成されている。そのため、上下板の継ぎ目は、上側の建築板の第1端辺よりも屋内側に形成されている。よって、上側の建築板を流下する雨水は、上側の建築板の接合目地面から下側の建築板の傾斜目地面に流れ、上側の建築板の接合目地面よりも屋外側にある上下板の継ぎ目には流れにくく、止水性に優れる。
【0031】
以上のように、本発明の第7の態様による建築板の施工構造は、上下板の継ぎ目が目立ちにくく、かつ止水性に優れる。
【0032】
本発明の第8の態様による建築板の施工構造は、第7の態様に加え、建築板は、意匠面の内方に内側目地を備える。内側目地は、第1端辺側から第2端辺側に向かって所定の距離を有して延びる内底面と、内底面よりも第1端辺側にあり、第1端辺側に向かって所定の距離を有して延びる第1傾斜面と、内底面の第2端辺側の端部から表面側に向かって、内底面と交差して延びる第2傾斜面と、内底面の第1端辺側の端部から表面側とは反対の方向に延びると共に、内底面及び第1傾斜面と交差する内側面と、を備える。そして、内底面と内側面の境界である第3端辺は、第1傾斜面と内側面との境界である第4端辺に対して、表面側に偏倚し、内側面と第1傾斜面とによって、表面側に開いた空隙が形成されている。
【0033】
この施工構造において、内側目地においても、第3端辺が屋外側に偏倚することにより、影が形成される。接合目地の影も、上側の建築板の第1端辺が屋外側に偏倚することにより形成されるので、内側目地に形成される影と接合目地に形成される影は類似する。そのため、上下板の継ぎ目はより目立ちにくくなり、好ましい。
【0034】
本発明の第9の態様による建築板の施工構造は、第8の態様に加え、接合目地に形成された空隙と、内側目地に形成された空隙は、断面視形状が同じである。そのため、接合目地の影と内側目地の影は同じとなり、上下板の継ぎ目はより目立ちにくくなるので好ましい。接合目地面と内底面が、第1端辺側に面取りを有すると、接合目地と内側目地に形成される影は薄くなるので、より好ましい。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、上下に施工した時に、板の継ぎ目が目立ちにくく、かつ止水性に優れた建築板、および板の施工構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る外壁板の左端部分の拡大正面図である。
【
図2】本発明の実施の形態1に係る外壁板の上下断面図である。
【
図3】本発明の実施の形態1に係る外壁板を上下に施工した接合構造を示す図である。
【
図4】
図3に示す接合構造において、水の侵入が防止される状況について説明する図である。
【
図5】本発明の実施の形態2に係る外壁板の左端部分の拡大正面図である。
【
図6】本発明の実施の形態2に係る外壁板の上下断面図である。
【
図7】本発明の実施の形態2に係る外壁板を上下に施工した接合構造を示す図である。
【
図8】本発明の実施の形態3に係る外壁板の上下断面図である。
【
図9】本発明の実施の形態3に係る外壁板を上下に施工した接合構造を示す図である。
【
図10】本発明の実施の形態4に係る外壁板の上下断面図である。
【
図11】本発明の実施の形態4に係る外壁板を上下に施工した接合構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明を具体化した実施の形態1~4を、図面を参照しつつ説明する。なお、
図1において、垂直上方向を上と表示し、垂直下方向を下と表示し、水平右方向を右と表示し、水平左方向を左と表示する。また、
図1において、紙面手前を表面とし、紙面奥を裏面とする。そして、
図2以降の各図に示す方向は、
図1に対応させて表示する。
【0038】
(実施の形態1)
実施の形態1の建築板は、セメントを含む窯業系材料からなる外壁板1Aである。この外壁板1Aは、左右方向に長い略矩形状をなし、例えば、縦寸法が455~1000mm、横寸法が1800~3030mmである。
【0039】
外壁板1Aは、例えば、上下合決り構造のものである。
図1、
図2に示すように、上端縁には隣接する外壁板1Aと重ね合わされる接合部として、裏面側で上方に突出した下実部7Aを有する。下端縁には隣接する外壁板1Aと重ね合わせられる接合部として、裏面側が凹んだ上実部6Aを有する。
【0040】
図3に示すように、下側の外壁板1Aの下実部7Aに、上側の外壁板1Aの上実部6Aが重ね合わせられることにより、上下の外壁板1Aは接合されるようになっている。また、下実部7Aには左右方向に断面視ビード状のコーキングCが形成されており、下実部7Aの上に上実部6Aを重ね合わせると、コーキングCが潰れ、外壁板1Aの接合部分を水密な状態とするようになっている。
【0041】
図2に示すように、外壁板1Aは、上下方向において、一方側である下側に下側面3Aを、他方側である上側に上側面4Aを有する。本実施の形態1では、下側面3Aが第1側面であり、上側面4Aが第2側面である。
図3に示すように外壁板1A、1Aを上下に重ね合わせると、上側の建築板1Aの下側面3Aと下側の建築板1Aの上側面4Aは対向し、上下板の継ぎ目が形成されるようになっている。
【0042】
外壁板1Aは、左右方向においても両側に左、右側面を有している。
図1では、左側の左側面5Aのみが記され、右側面は図示しない。本実施の形態1の場合、左、右側面は、上記した下側面3A及び上側面4Aのような接合部としての上下の実部を有していないが、下側面3A及び上側面4Aと同様に左右方向に延びた実部を有する構成とすることもできる。
【0043】
また、外壁板1Aは、表面側に意匠面2Aを有する。意匠面2Aは、外壁板1Aを施工した際に外壁の屋外側の面であり、外壁板1Aの模様や柄を構成する部分である。本実施の形態1では、意匠面2Aは、上下方向において、下側面3Aの表面側の端部から上側面4Aの表面側の端部までの領域を占め、左右方向において、左側面5Aの表面側の端部から右側面の表面側の端部までの領域を占めている。
【0044】
意匠面2Aと下側面3Aとの境界は、下側面3Aが形成する平面の表面側の端部である下端辺31aである。意匠面2Aと上側面4Aとの境界は、上側面4Aが形成する平面の表面側の端部である上端辺41aである。本実施の形態1では、下端辺31aが第1端辺であり、上端辺41aが第2端辺である。
【0045】
同様に、意匠面2Aと左側面5Aとの境界は、左側面5Aが形成する平面の表面側の端部である左端辺51aであり、図示しないが、意匠面2Aと右側面との境界は、右側面が形成する平面の表面側の端部である右端辺である。
【0046】
意匠面2Aは、下側面3A側に接合目地面21Aを備えると共に、上側面4A側に傾斜目地面27Aを備える。
接合目地面21Aは下端辺31aに沿って、外壁板1Aを左右に左端辺51aから右端辺まで形成されている。本実施の形態1の場合、接合目地面21Aは、下側面3Aと直交している。
傾斜目地面27Aは上端辺41aに沿って、外壁板1Aを左右に左端辺51aから右端辺まで形成されている。
【0047】
また、意匠面2Aには、左右方向に複数の溝状の横目地12Aと、上下方向に複数の溝状の縦目地13Aを有している。横目地12Aが内側目地であり、外壁板1Aを左右に左端辺51aから右端辺まで横断しており、外壁板1Aにおいて上下に3本、接合目地面21A及び傾斜目地面27Aと平行に形成されている。
縦目地13Aは、3本の横目地12A、接合目地面21A及び傾斜目地面27Aの間に一定間隔で形成されている。
【0048】
これら接合目地面21A、傾斜目地面27A、横目地12A及び縦目地13Aによって区画された領域が凸部11Aとなっている。凸部11Aは左右方向に長い略矩形状であり、
図1に示すように、上下左右に複数並ぶようになっている。
【0049】
接合目地面21Aは、上下方向に所定の長さの幅を有している。接合目地面21Aの上下寸法と表面形状は、後述する内底面25Aと同じとなっている。
【0050】
接合目地面21Aの上端側には、意匠面2Aの最も下側に位置する凸部11Aの壁面となる立上り傾斜面22Aが位置している。
立上り傾斜面22Aは、接合目地面21Aの上端辺41a側の端部から表面側に向かって延びている。立上り傾斜面22Aが接合目地面21Aに対して交差する角度、即ち、立上り傾斜面22Aと接合目地面21Aとが外壁板1Aの外側に成す角度2Xは、接合目地面21Aが下側面3Aに対して交差する角度、即ち、接合目地面21Aと下側面3Aとが外壁板1Aの内側に成す角度1Xよりも大きく設定されている。
本実施の形態1の場合、接合目地面21Aと下側面3Aが交差する角度1Xは90°、立上り傾斜面22Aと接合目地面21Aが交差する角度2Xは130°となっている。なお、立上り傾斜面22Aの上下寸法と表面形状は、後述する第2傾斜面26Aと同じとなっている。
【0051】
傾斜目地面27Aは、上下方向に所定の長さの幅を有する、上下方向に対して傾斜した面である。本実施の形態1の場合、傾斜目地面27Aは、上端辺側に形成された上側傾斜目地面271Aと、下端辺側に形成された下側傾斜目地面272Aにより構成されている。
【0052】
上側傾斜目地面271Aは、上端辺41aから下斜め表面側に向かって延びている。上側傾斜目地面271Aの下端辺側の端部、即ち、表面側の端辺は、接合目地面21Aと同一平面上に位置する。
上側傾斜目地面271Aが上側面4Aに対して交差する角度、即ち、上側傾斜目地面271Aと上側面4Aとが外壁板1Aの内側に成す角度4Xは、接合目地面21Aが下側面3Aと成す角度1Xよりも大きく設定されている。
本実施の形態1の場合、上側傾斜目地面271Aと上側面4Aが交差する角度4Xは165°となっている。
【0053】
下側傾斜目地面272Aは、意匠面2Aの最も上側に位置する凸部11Aの壁面を形成する面であり、上側傾斜目地面271Aの下端辺側の端部から下斜め表面側に向かって延びている。上下方向の面、即ち、接合目地面21Aに平行な面を基準とした場合、下側傾斜目地面272Aの傾斜角度は、上側傾斜目地面271Aの傾斜角度と異なるように設定されている。
本実施の形態1の場合、接合目地面21Aに平行な面を基準とした上側傾斜目地面271Aの傾斜角度6Yは75°であり、下側傾斜目地面272Aの傾斜角度5Yは50°である。
【0054】
なお、接合目地面21Aを基準とした立上り傾斜面22Aの傾斜角度1Yは、下側傾斜目地面272Aの傾斜角度5Yと同じであり、50°となっている。
【0055】
上側傾斜目地面271Aの上下寸法と表面形状は、後述する上側第1傾斜面231Aと同じとなっている。また、下側傾斜目地面272Aの上下寸法と表面形状は、後述する下側第1傾斜面232Aと同じとなっている。
【0056】
図2に示すように、下端辺31aから裏面までの寸法t1は、上端辺41aから裏面までの寸法t2よりも大きくなっている。そのため、下端辺31aは、上端辺41aよりも表面側に偏倚している。
【0057】
横目地12Aは、
図3に示す様に、本実施の形態1の外壁板1Aが上下方向に接合された際に形成する接合部の外観と略同様な形状を構成している。即ち、横目地12Aは、接合目地面21Aに対応する内底面25Aと、下側面3Aに対応する内側面24Aと、傾斜目地面27Aに対応する第1傾斜面23Aと、立上り傾斜面22Aに対応する第2傾斜面26Aとを有する。
【0058】
内底面25Aは、上下に接合目地面21Aと同じ寸法の幅を有している。
【0059】
内側面24Aは、内底面25Aの下端辺31a側の端部である目地前端辺61aから下側面3Aと平行に裏面側へ延びている。また、内側面24Aは、内底面25Aと直交している。なお、本実施の形態1では、目地前端辺61aが第3端辺である。
【0060】
第1傾斜面23Aは、内底面25Aよりも下端辺31a側にあり、下端辺31a側に向かって所定の距離を有して延びている。本実施の形態1では、第1傾斜面23Aは、上側第1傾斜面231Aと下側第1傾斜面232Aにより構成され、それぞれが、傾斜目地面27Aの上側傾斜目地面271Aと下側傾斜目地面272Aに対応している。即ち、上側第1傾斜面231Aが上端辺41a側に形成されており、下側第1傾斜面232Aが下端辺31a側に形成されている。
【0061】
上側第1傾斜面231Aは、内側面24Aの最も裏面側である目地後端辺71aから、下斜め表面側に向かって延びている。上側第1傾斜面231Aと内側面24Aが交差する角度は、例えば15°となっている。この角度は、外壁板1Aが上下方向に接合された際に、上側傾斜目地面271Aと下側面3A形成する角度と略同じとなっている。
なお、本実施の形態1では、目地後端辺71aが第4端辺である。
【0062】
下側第1傾斜面232Aは、凸部11Aの上側の壁面を形成する面であり、上側第1傾斜面231Aの下端辺側の端部から下斜め表面側に向かって延びている。下側第1傾斜面232Aの傾斜角度は、上側第1傾斜面231Aの傾斜角度と異なるようになっている。
本実施の形態1の場合、上側第1傾斜面231Aの接合目地面21Aを基準とした傾斜角度3Yは75°、下側第1傾斜面232Aの接合目地面21Aを基準とした傾斜角度2Yは50°となっている。
【0063】
第2傾斜面26Aは、凸部11Aの下側の壁面を形成する面であり、内底面25Aの上端辺側の端部から上斜め表面側に向かって延びている。
本実施の形態1の場合、第2傾斜面26Aが内底面25Aに対して交差する角度、即ち、第2傾斜面26Aと内底面25Aとが外壁板1Aの外側に成す角度3Xは130°であり、立上り傾斜面22Aと接合目地面21Aとが外壁板1Aの外側に成す角度2Xと同じとなっている。
また、本実施の形態1の場合、第2傾斜面26Aの接合目地面21Aを基準とした傾斜角度4Yは50°であり、下側第1傾斜面232Aの接合目地面21Aを基準とした傾斜角度2Yと同じとなっている。
【0064】
図2に示すように、内底面25Aと内側面24Aの境界である目地前端辺61aから裏面までの寸法t3は、第1傾斜面23Aと内側面24Aとの境界である目地後端辺71aから裏面までの寸法t4よりも大きくなっている。そのため、目地前端辺61aは、目地後端辺71aよりも表面側に偏倚している。
【0065】
本実施の形態1の場合、目地前端辺61aから裏面までの寸法t3は、下端辺31aから裏面までの寸法t1と同じとなっている。また、目地後端辺71aから裏面までの寸法t4は、上端辺41aから裏面までの寸法t2と同じとなっている。
【0066】
横目地12Aには、内側面24Aと第1傾斜面23Aによって、表面側に開いた空隙121aが形成されるようになっている。そのため、目地前端辺61aと第1傾斜面23Aは対向するが当接しない構成となっている。
【0067】
縦目地13Aは、上下に延びた縦底面28Aと、凸部11Aの右側の壁面を形成する面であり、縦底面28Aの左側端部から左斜め表面側に向かって延びた左傾斜面29Aと、凸部11Aの左側の壁面を形成する面であり、縦目地底面28Aの右側端部から右斜め表面側に向かって延びた右傾斜面30Aとからなる。
なお、外壁板1Aにおいて、縦目地13Aは外壁板1Aを上下に上端辺41aから下端辺31aまで横断せず、凸部11Aにより区切られるようになっている。
【0068】
そして、本実施の形態1の場合、外壁板1Aの構造躯体への施工は、例えば、次のように行うことができる。
まず、外壁板1Aを、下側面3Aが下側、上側面4Aが上側となるよう構造躯体に取り付ける。
【0069】
次に、構造躯体に取り付けた外壁板1Aの上側に、別の外壁板1Aを取り付ける。この際に、
図3に示すように、構造躯体に取り付けた外壁板1Aの下実部7Aに、別の外壁板1Aの上実部6Aが重ね合うように取り付ける。コーキングCは上実部6Aにより潰される。
【0070】
ここで、外壁板1Aの上端辺41aから傾斜目地面27Aが延びており、下端辺31aから接合目地面21Aが延びている。そのため、外壁板1A、1Aの上下接続部には、下側の外壁板1Aの傾斜目地面27Aと、上側の外壁板1Aの接合目地面21Aにより接合目地14Aが形成されるようになっている。接続目地14Aにおいて、上側の外壁板1Aの接合目地面21Aが目地底面となり、上側の建築板1Aの下側面3Aと下側の建築板1Aの上側面4Aが対向し、当接するようになっている。
【0071】
意匠面2Aと下側面3Aとの境界である下端辺31aは、意匠面2Aと上側面4Aとの境界である上端辺41aよりも表面側に偏倚している。そのため、接合目地14Aには、上側の建築板1Aの下側面3Aと下側の建築板1Aの傾斜目地面27Aとによって、表面側に開いた空隙141aが形成されるようになっている。また、上側の建築板1Aの下端辺31aは、下側の建築板1Aの傾斜目地面27Aと当接せず、上側の建築板1Aと下側の建築板1Aの継ぎ目は、上側の建築板1Aの下端辺31aよりも裏面側に形成される構成となっている。
【0072】
以後、同じ作業を繰り返すことにより、外壁板1Aを上下に隣合わせて構造躯体に施工した建築板の施工構造が構築される。また、この施工構造において、上下の外壁板1A、1Aの接続部には、接続目地14Aが形成されるようになっている。
【0073】
本実施の形態1の場合では、外壁板1Aを、下側面3Aが下側、上側面4Aが上側となるよう構造躯体に取り付けると、上側の外壁板1Aと下側の外壁板1Aの接続部には、上側の外壁板1Aの接合目地面21Aと下側の外壁板1Aの傾斜目地面27Aにより、上側の外壁板1Aの接合目地面21Aを目地底面とした接合目地14Aが形成されるようになっている。
【0074】
上側の外壁板1Aの下端辺31aは、下側の外壁板1Aの上端辺41aよりも表面側に偏倚するが、上側の外壁板1Aの下端辺31aが接合目地14Aの底面の下端辺となるようになっているので、目立ちにくい。
【0075】
また、表面側に偏倚した上側の外壁板1Aの下端辺31aは、下側の外壁板1Aの傾斜目地面27Aと対向するようになっているので、上側の外壁板1Aの下端辺31aにより形成される影は小さくなり、目立ちにくい。
【0076】
更に、雨水等の水滴Wは、
図4に示すように、上側の外壁板1Aの接合目地面21Aと、下側の外壁板1Aの傾斜目地面27Aに沿って流れる。ここで、上側の外壁板1Aの接合目地面21Aと、下側の外壁板1Aの傾斜目地面27Aとは空隙141aを挟んで離れるようになっており、上下板の継ぎ目は上側の外壁板1Aの下端辺31aよりも裏面側に形成されるようになっているので、上下板の継ぎ目に雨水が侵入しにくく、止水性に優れる。
【0077】
なお、空隙141aを構成する上側傾斜目地面271Aの傾斜角度6Yを、下側傾斜目地面272Aの傾斜角度5Yよりも大きくしているので、上側傾斜目地面271Aと接合目地面21Aとの距離は近くなり、空隙141aが目立ちにくい。
【0078】
また、下側傾斜目地面272Aの傾斜角度5Yが、立上り傾斜面22Aの傾斜角度1Yと同じとなっているので、接合目地14Aの上下の傾斜面は同じとなり、意匠性に優れる。
【0079】
更に、本実施の形態1の場合、外壁板1Aは、意匠面2Aの内方に、内底面25Aと第1傾斜面23Aを有する横目地12Aを備える。内底面25Aの上下寸法及び表面形状は、接合目地面21Aと同じとなっており、第1傾斜面23Aの上下寸法及び表面形状は、傾斜目地面27Aと同じとなっている。また、目地前端辺61aから裏面までの寸法t3は、下端辺31aから裏面までの寸法t1と同じとなっており、目地後端辺71aから裏面までの寸法t4は、上端辺41aから裏面までの寸法t2と同じとなっている。そのため、空隙121aと空隙141aは同じ形状となり、横目地12Aと接合目地14Aは同じ形状となるので、横目地12Aに形成される影と接合目地14Aに形成される影は同じとなり、板の継ぎ目は目立ちにくい。
【0080】
以上のように、外壁板1Aは、その使用状態において、板の継ぎ目が目立ちにくく、かつ高い止水性を実現するのに適する。
【0081】
(実施の形態2)
実施の形態2の外壁板は、
図5及び
図6に示す外壁板1Bである。この外壁板1Bは、接合目地面21Bと内底面25Bの形状が外壁板1Aと異なる。また、第1側面3Bと内側面24Bの厚さ方向の寸法は、接合目地面21Bと内底面25Bの形状変更に伴い、下側面3Aと内側面24Aよりも小さくなっている。他の構成は、外壁板1Aと同じとなっており、外壁板1Aと同じ符号を付してある。
【0082】
本実施の形態2の場合も、接合目地面21Bは下端辺31bに沿って、外壁板1Bを左右に左端辺51aから右端辺まで形成されており、上下方向に所定の長さの幅を有する。
しかし、接合目地面21Bが下端辺31b側に面取り211Bを有することが実施の形態1と異なる。本実施の形態2の場合、接合目地面21Bは、上端辺側に形成された上側接合目地面212Bと、下端辺側に形成された面取り211Bにより構成されている。
【0083】
上側接合目地面212Bは、立上り傾斜面22Aの下端辺31b側の端部から下方向に垂直に延びている。
本実施の形態2の場合、下側面3Bに平行な面を基準とした上側接合目地面212Bの傾斜角度5Xは90°、上側接合目地面212Bと立上り傾斜面22Aとが外壁板1Bの外側に成す角度2Xは130°となっている。
【0084】
面取り211Bは、意匠面2Bの最も下側に位置し、上側接合目地面212Bの下端辺側の端部から下斜め裏面側にある下側面3Bの表面側の下端辺31bに向かって延びており、傾斜形状である。本実施の形態2では、面取り211Bの左右位置及び左右寸法は、傾斜目地面27Aと同じとなっている。
【0085】
図6に示すように、外壁板1Bの下端辺31bから裏面までの寸法t5は、外壁板1Bの上端辺41aから裏面までの寸法t6よりも大きくなっている。そのため、下端辺31bは、上端辺41aよりも表面側に偏倚している。
【0086】
内底面25Bは目地前端辺61bに沿って、外壁板1Bを左右に左端辺51aから右端辺まで形成されており、上下方向に所定の長さの幅を有することは実施の形態1と同じである。
しかし、内底面25Bが目地前端辺61b側に面取り251Bを有することが実施の形態1と異なる。本実施の形態2の場合、内底面25Bは、上端辺側に形成された上側内底面252Bと、下端辺側に形成された面取り251Bにより構成されている。
【0087】
上側内底面252Bは、第2傾斜面26Aの下端辺31b側の端部から下方向に垂直に延びており、上側接合目地面212Bと同一平面上に位置する。
本実施の形態2の場合、上側内底面252Bと第2傾斜面26Aとが外壁板1Bの外側に成す角度3Xは、上側接合目地面212Bと立上り傾斜面22Aとが外壁板1Bの外側に成す角度2Xとなっており、130°である。
【0088】
面取り251Bは、上側内底面252Bの下端辺側の端部から下斜め裏面側にある内側面24Bの表面側の目地前端辺61bに向かって延びており、傾斜形状である。本実施の形態2では、面取り251Bの上側内底面252Bに対する傾斜角度は、面取り211Bの上側接合目地面212Bに対する傾斜角度と同じとなっている。また、面取り251Bの左右位置及び左右寸法は、横目地内で対向する第1傾斜面23Aと同じとなっている。
【0089】
更に、
図6に示すように、目地前端辺61bから裏面までの寸法t7は、下端辺31bから裏面までの寸法t5と同じとなっている。また、目地後端辺71aから裏面までの寸法t8は、上端辺41aから裏面までの寸法t6と同じとなっている。
【0090】
よって、目地前端辺61bから裏面までの寸法t7は、目地後端辺71aから裏面までの寸法t8よりも大きくなっている。そのため、目地前端辺61bは、目地後端辺71aよりも表面側に偏倚している。また、横目地12Bには、内側面24Bと第1傾斜面23Aによって、表面側に開いた空隙121bが形成されるようになっている。そのため、目地前端辺61bと第1傾斜面23Aは対向するが当接しない。
【0091】
本実施の形態2の場合も、
図7に示すように、外壁板1Bを下側面3Bが下側、上側面4Aが上側となるよう構造躯体に取り付けると、上側の外壁板1Bと下側の外壁板1Bの接続部には、上側の外壁板1Bの接合目地面21Bと下側の外壁板1Bの傾斜目地面27Aにより、上側の外壁板1Bの接合目地面21Bを目地底面とした接合目地14Bが形成されるようになっている。
【0092】
上側の外壁板1Bの下端辺31bは、下側の外壁板1Bの上端辺41aよりも表面側に偏倚するが、上側の外壁板1Bの下端辺31bが接合目地14Bの底面の下端辺となるようになっているので、目立ちにくい。
【0093】
また、表面側に偏倚した上側の外壁板1Bの下端辺31bは、下側の外壁板1Bの傾斜目地面27Aと対向するようになっているので、表面側に偏倚した上側の外壁板1Bの下端辺31bにより形成される影は小さくなり、目立ちにくい。
【0094】
本実施の形態2では、接合目地面21Bの下端辺31b側に面取り211Bを備えるようになっているので、下端辺31bにより形成される影は、外壁板1Aの下端辺31aにより形成される影よりも目立ちにくい。
【0095】
更に、接合目地14Bには、上側の建築板1Bの下側面3Bと下側の建築板1Bの傾斜目地面27Aとによって、表面側に開いた空隙141bが形成されるようになっている。上側の外壁板1Bの接合目地面21Bと、下側の外壁板1Bの傾斜目地面27Aとは空隙141bを挟んで離れており、上下板の継ぎ目は上側の外壁板1Bの下端辺31bよりも裏面側に形成されるようになっているので、上下板の継ぎ目に雨水が侵入しにくく、止水性に優れる。
【0096】
更に、本実施の形態2の場合も、外壁板1Bは、意匠面2Bの内方に、内底面25Bと、第1傾斜面23Aを有する横目地12Bを備える。内底面25Bは、接合目地面21Bと上下寸法及び表面形状が同じとなっており、第1傾斜面23Aは、傾斜目地面27Aと上下寸法及び表面形状が同じとなっている。また、目地前端辺61bから裏面までの寸法t7は、下端辺31bから裏面までの寸法t5と同じとなっており、目地後端辺71aから裏面までの寸法t8は、上端辺41aから裏面までの寸法t6と同じとなっている。そのため、空隙121bと空隙141bは同じ形状となり、横目地12Bと接合目地14Bは同じ形状となるので、横目地12Bに形成される影と接合目地14Bに形成される影は同じとなり、板の継ぎ目は目立ちにくい。
【0097】
なお、内底面25Bの目地前端辺61b側も面取り251Bとなっているので、目地前端辺61bにより形成される影は、外壁板1Aの目地前端辺61aにより形成される影よりも目立ちにくい。
【0098】
また、上側接合目地面212Bに平行な面を基準とした上側傾斜目地面271Aの傾斜角度6Yを、上側接合目地面212Bに平行な面を基準とした下側傾斜目地面272Aの傾斜角度5Yよりも大きくしているので、上側傾斜目地面271Aと接合目地面21Bとの距離は近くなり、空隙141bが目立ちにくい。
【0099】
更に、上側接合目地面212Bに平行な面を基準とした下側傾斜目地面272Aの傾斜角度5Yが、上側接合目地面212Bに平行な面を基準とした立上り傾斜面22Aの傾斜角度1Yと同じとなっているので、接合目地14Bの上下の傾斜面は同じとなり、意匠性に優れる。
【0100】
以上のように、外壁板1Bも、その使用状態において、板の継ぎ目が目立ちにくく、かつ高い止水性を実現するのに適する。
【0101】
(実施の形態3)
実施の形態3の外壁板は、
図8に示す外壁板1Cである。この外壁板1Cは、接合目地面21Cの形状が外壁板1Aと異なる。また、下側面3Cの厚さ方向の寸法は、接合目地面21Cの形状変更に伴い、接合目地面21Aよりも小さくなっている。他の構成は、外壁板1Aと同じとなっており、外壁板1Aと同じ符号を付してある。
【0102】
本実施の形態3の場合も、接合目地面21Cは下端辺31cに沿って、外壁板1Bを左右に左端辺から右端辺まで形成されており、上下方向に所定の長さの幅を有する。
しかし、接合目地面21Cが下端辺31c側に面取り211Cを有することが実施の形態1と異なる。本実施の形態3の場合、接合目地面21Cは、上端辺側に形成された上側接合目地面212Cと、下端辺側に形成された面取り211Cにより構成されている。
【0103】
上側接合目地面212Cは、立上り傾斜面22Aの下端辺31c側の端部から下方向に垂直に延びている。
本実施の形態3の場合、下側面3Cに平行な面を基準とした上側接合目地面212Cの傾斜角度6Xは90°、上側接合目地面212Cと立上り傾斜面22Aとが外壁板1Cの外側に成す角度2Xは130°となっている。
【0104】
面取り211Cは、意匠面2Cの最も下側に位置し、上側接合目地面212Cの下端辺側の端部から下斜め裏面側にある下側面3Cの表面側の下端辺31cに向かって延びており、断面視で円弧形状である。本実施の形態3では、面取り211Cの左右位置及び左右寸法は、傾斜目地面27Aと同じとなっている。
【0105】
図8に示すように、外壁板1Cの下端辺31cから裏面までの寸法t9は、外壁板1Cの上端辺41aから裏面までの寸法t10よりも大きくなっている。そのため、下端辺31cは、上端辺41aよりも表面側に偏倚している。
【0106】
また、
図8に示すように、目地前端辺61aから裏面までの寸法t11は、下端辺31cから裏面までの寸法t9と同じとなっている。また、目地後端辺71aから裏面までの寸法t12は、上端辺41aから裏面までの寸法t10と同じとなっている。
【0107】
本実施の形態3の場合も、
図9に示すように、外壁板1Cを下側面3Cが下側、上側面4Aが上側となるよう構造躯体に取り付けると、上側の外壁板1Cと下側の外壁板1Cの接続部には、上側の外壁板1Cの接合目地面21Cと下側の外壁板1Cの傾斜目地面27Aにより、上側の外壁板1Cの接合目地面21Cを目地底面とした接合目地14Cが形成されるようになっている。
【0108】
上側の外壁板1Cの下端辺31cは、下側の外壁板1Cの上端辺41aよりも表面側に偏倚するが、上側の外壁板1Cの下端辺31cが接合目地14Cの底面の下端辺となっているので、目立ちにくい。
【0109】
また、表面側に偏倚した上側の外壁板1Cの下端辺31cは、下側の外壁板1Cの傾斜目地面27Aと対向するようになっているので、表面側に偏倚した上側の外壁板1Cの下端辺31cにより形成される影は小さくなり、目立ちにくい。
【0110】
外壁板1Cでは、接合目地面21Cの下端辺31c側に面取り211Cを備えるようになっているので、下端辺31cにより形成される影は、外壁板1Aの下端辺31aにより形成される影よりも目立ちにくい。
【0111】
更に、接合目地14Cには、上側の建築板1Cの下側面3Cと下側の建築板1Cの傾斜目地面27Aとによって、表面側に開いた空隙141cが形成されるようになっている。上側の外壁板1Cの接合目地面21Cと、下側の外壁板1Cの傾斜目地面27Aとは空隙141cを挟んで離れるようになっており、上下板の継ぎ目は上側の外壁板1Cの下端辺31cよりも裏面側に形成されるようになっているので、上下板の継ぎ目に雨水が侵入しにくく、止水性に優れる。
【0112】
更に、外壁板1Cは、意匠面2Cの内方に横目地12Aを有し、横目地12Aには影が形成されるようになっている。横目地12Aに形成される影は、接合目地14Cに形成される影よりも目立つので、上下板の継ぎ目が目立ちにくくなる。
【0113】
なお、上側接合目地面212Cに平行な面を基準とした上側傾斜目地面271Aの傾斜角度6Yを、上側接合目地面212Cに平行な面を基準とした下側傾斜目地面272Aの傾斜角度5Yよりも大きくしているので、下側の外壁板の上側傾斜目地面271Aと、上側の外壁板の接合目地面21Cとの距離は近くなり、空隙141cが目立ちにくい。
【0114】
また、上側接合目地面212Cに平行な面を基準とした下側傾斜目地面272Aの傾斜角度5Yが、上側接合目地面212Cに平行な面を基準とした立上り傾斜面22Aの傾斜角度1Yと同じとなっているので、接合目地14Cの上下の傾斜面は同じとなり、意匠性に優れる。
【0115】
以上のように、外壁板1Cも、その使用状態において、板の継ぎ目が目立ちにくく、かつ高い止水性を実現するのに適する。
【0116】
(実施の形態4)
実施の形態4の外壁板は、
図10に示す外壁板1Dである。この外壁板1Dは、傾斜目地面27Bと第1傾斜面23Bの形状が外壁板1Aと異なる。また、上側面4Bの厚さ方向の寸法は、傾斜目地面27Bの形状変更に伴い、上側面4Aよりも大きくなっている。内側面24Cの厚さ方向の寸法は、第1傾斜面23Bの形状変更に伴い、内側面24Aよりも小さくなっている。他の構成は、外壁板1Aと同じとなっており、外壁板1Aと同じ符号を付してある。
【0117】
本実施の形態4の場合も、傾斜目地面27Bは、上下方向に所定の長さの幅を有する、上下方向に対して傾斜した面である。
しかし、傾斜目地面27Bは、上端辺41bから下斜め表面側に向かって、傾斜角度の変化が無く延びていることが実施の形態1と異なる。本実施の形態4の場合、傾斜目地面27Bと上側面4Bとが外壁板1Dの内側に成す角度7Xは、接合目地面21Aが下側面3Aと成す角度1Xよりも大きく設定されている。
本実施の形態4の場合、傾斜目地面27Bと上側面4Bが交差する角度7Xは140°、接合目地面21Aが下側面3Aと成す角度1Xは90°となっている。
【0118】
接合目地面21Aに平行な面を基準とした傾斜目地面27Bの傾斜角度8Yは、接合目地面21Aに平行な面を基準とした立上り傾斜面22Aの傾斜角度1Yと同じとなっており、一例として50°である。
【0119】
図10に示すように、外壁板1Dの下端辺31aから裏面までの寸法t13は、外壁板1Dの上端辺41bから裏面までの寸法t14よりも大きくなっている。そのため、下端辺31aは、上端辺41bよりも表面側に偏倚している。
【0120】
本実施の形態4の場合も、第1傾斜面23Bは、上下方向に所定の長さの幅を有する、上下方向に対して傾斜した面である。また、第1傾斜面23Bの上下寸法と表面形状は、傾斜目地面27Bと同じとなっている。
しかし、第1傾斜面23Bは、内側面24Cの裏面側の端部71bから下斜め表面側に向かって、傾斜角度の変化が無く延びていることが実施の形態1と異なる。
本実施の形態4の場合、第1傾斜面23Bと内側面24Cが交差する角度は40°、接合目地面21Aに平行な面を基準とした第1傾斜面23Bの傾斜角度7Yは50°となっている。
【0121】
更に、
図10に示すように、目地前端辺61aから裏面までの寸法t15は、下端辺31aから裏面までの寸法t13と同じとなっている。また、目地後端辺71bから裏面までの寸法t16は、上端辺41bから裏面までの寸法t14と同じとなっている。
【0122】
よって、目地前端辺61aから裏面までの寸法t15は、目地後端辺71bから裏面までの寸法t16よりも大きくなっている。そのため、目地前端辺61aは、目地後端辺71bよりも表面側に偏倚している。また、横目地12Cには、内側面24Cと第1傾斜面23Bによって、表面側に開いた空隙121cが形成されるようになっている。そのため、目地前端辺61aと第1傾斜面23Bは対向するが当接しない構成となっている。
【0123】
本実施の形態4の場合も、
図11に示すように、外壁板1Dを下側面3Aが下側、上側面4Bが上側となるよう構造躯体に取り付けると、上側の外壁板1Dと下側の外壁板1Dの接続部には、上側の外壁板1Dの接合目地面21Aと下側の外壁板1Dの傾斜目地面27Bにより、上側の外壁板1Dの接合目地面21Aを目地底面とした接合目地14Dが形成されるようになっている。
【0124】
上側の外壁板1Dの下端辺31aは、下側の外壁板1Dの上端辺41bよりも表面側に偏倚するが、上側の外壁板1Dの下端辺31aが接合目地14Dの底面の下端辺となるようになっているので、目立ちにくい。
【0125】
また、表面側に偏倚した上側の外壁板1Dの下端辺31aは、下側の外壁板1Dの傾斜目地面27Bと対向するようになっているので、表面側に偏倚した上側の外壁板1Dの下端辺31aにより形成される影は小さくなり、目立ちにくい。
【0126】
更に、接合目地14Dには、上側の建築板1Dの下側面3Aと下側の建築板1Dの傾斜目地面27Bとによって、表面側に開いた空隙141dが形成されるようになっている。上側の外壁板1Dの接合目地面21Aと、下側の外壁板1Dの傾斜目地面27Bとは空隙141dを挟んで離れており、上下板の継ぎ目は上側の外壁板1Dの下端辺31aよりも裏面側に形成されるようになっているので、上下板の継ぎ目に雨水が侵入しにくく、止水性に優れる。
【0127】
更に、本実施の形態4の場合も、外壁板1Dは、意匠面2Dの内方に、内底面25Aと、第1傾斜面23Bを有する横目地12Cを備える。内底面25Aは、接合目地面21Aと上下寸法及び表面形状が同じとなっており、第1傾斜面23Bは、傾斜目地面27Bと上下寸法及び表面形状が同じとなっている。また、目地前端辺61aから裏面までの寸法t15は、下端辺31aから裏面までの寸法t13と同じとなっており、目地後端辺71bから裏面までの寸法t16は、上端辺41bから裏面までの寸法t14と同じとなっている。そのため、空隙121cと空隙141dは同じ形状となり、横目地12Cと接合目地14Dは同じ形状となるので、横目地12Cに形成される影と接合目地14Dに形成される影は同じとなり、板の継ぎ目は目立ちにくい。
【0128】
また、接合目地面21Aに平行な面を基準とした傾斜目地面27Bの傾斜角度8Yが、接合目地面21Aに平行な面を基準とした立上り傾斜面22Aの傾斜角度1Yと同じとなっているので、接合目地14Dの上下の傾斜面は同じとなり、意匠性に優れる。
【0129】
以上のように、外壁板1Dも、その使用状態において、板の継ぎ目が目立ちにくく、かつ高い止水性を実現するのに適する。
【0130】
本発明は上記実施の形態1~4に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できる。
【0131】
例えば、面取りは多角形状であっても良い。また、接合目地面の面取りを、外壁材を左右に横断するよう設けても良い。更に、凸部は外壁材を左右に横断する形状であっても良いし、縦目地部を有さない構成であっても良い。更に、意匠面は内方に横目地を備えない形状であっても良い。
【符号の説明】
【0132】
1A~1D…外壁板
2A~2D…意匠面
3A~3C…下側面
4A~4B…上側面
5A…左側面
6A…上実部
7A…下実部
11A…凸部
12A~12C…横目地
13A…縦目地
14A~14D…接合目地
21A~21C…接合目地面
211B~211C…面取り
212B~212C…上側接合目地面
22A…立上り傾斜面
23A~23B…第1傾斜面
231A…上側第1傾斜面
232A…下側第1傾斜面
24A~24C…内側面
25A~25B…内底面
251B…面取り
252B…上側内底面
26A…第2傾斜面
27A~27B…傾斜目地面
271A…上側傾斜目地面
272A…下側傾斜目地面
28A…縦底面
29A…左傾斜面
30A…右傾斜面
31a~31c…下端辺
41a~41b…上端辺
51a~51b…左端辺
61a~61b…目地前端辺
71a~71b…目地後端辺
121a~121c…横目地の空隙
141a~141d…接合目地の空隙
C…コーキング
W…水滴