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特許7164990蓋、蓋ユニット、インク容器及びインクが収容されたインク容器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-25
(45)【発行日】2022-11-02
(54)【発明の名称】蓋、蓋ユニット、インク容器及びインクが収容されたインク容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/12 20060101AFI20221026BHJP
   B65D 25/42 20060101ALI20221026BHJP
   B41J 2/175 20060101ALI20221026BHJP
   B60K 15/05 20060101ALI20221026BHJP
   F02M 37/00 20060101ALI20221026BHJP
【FI】
B65D47/12 200
B65D25/42 C
B41J2/175 101
B60K15/05 A
F02M37/00 321B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018148933
(22)【出願日】2018-08-07
(65)【公開番号】P2020023344
(43)【公開日】2020-02-13
【審査請求日】2021-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000137823
【氏名又は名称】株式会社ミマキエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100104329
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 卓治
(74)【代理人】
【識別番号】100134599
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 和之
(74)【代理人】
【識別番号】100177149
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 浩義
(72)【発明者】
【氏名】千野 走
【審査官】佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-230691(JP,A)
【文献】特開2015-107660(JP,A)
【文献】特開2003-054269(JP,A)
【文献】特開2017-030804(JP,A)
【文献】米国特許第08083107(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/12
B65D 25/42
B41J 2/175
B60K 15/05
F02M 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被収容物を収容するタンクの蓋であって、
貫通孔を備え、第1軸を回転軸とした回転により前記タンクに取り付けられる蓋本体と、
前記タンクの外部に接続され前記被収容物が流れる流路管が取り付け可能であり、前記貫通孔を塞ぎ、かつ、前記第1軸と一致する第2軸を回転軸として前記蓋本体に対して相対回転可能な回転体と、
を備え
前記貫通孔は、円形であり、
前記蓋本体は、前記貫通孔が設けられた天板と、前記天板の外周縁と繋がっており、前記タンクと係合することで前記蓋本体が前記タンクに取り付けられる筒状の側部と、を備え、
前記回転体は、円板形状であり、前記天板における前記貫通孔の周縁部を間に挟む径方向に張り出した一対のフランジを備え、
前記一対のフランジの間に前記回転体における前記円板形状の部位を取り囲むように設けられたリング状の弾性体を更に備え、
前記一対のフランジの間隔は、前記天板の厚さと前記弾性体の厚さとの合計よりも長い、
蓋。
【請求項2】
前記回転体は、前記蓋本体に対して360度回転可能である、
請求項1に記載の蓋。
【請求項3】
前記蓋本体が回転により前記タンクに取りつけられたときに、前記タンクの端部が、前記一対のフランジのうちの前記タンク側のフランジに押し付けられる、
請求項1又は2に記載の蓋。
【請求項4】
前記タンクは、インクジェットプリンタに用いられるインクボトルである、
請求項1からのいずれか1項に記載の蓋。
【請求項5】
請求項1からのいずれか1項に記載の蓋と、
前記被収容物が通る中空孔を備え、前記回転体に取り付けられ、前記流路管に接続される中空部材と、
を備える蓋ユニット。
【請求項6】
請求項5に記載の蓋ユニットと、前記蓋ユニットにより開口部が閉塞されるインクボトルとを備え、
前記蓋ユニットは、前記中空部材とは別に、前記インクボトルの内部への異物の侵入を防止しつつ空気を相通させるフィルタを備える、
インク容器。
【請求項7】
請求項6に記載のインク容器と、前記インク容器に収容されたインクとを備える、
インクが収容されたインク容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクボトル、燃料タンクなどの各種タンクの蓋蓋ユニット、インク容器及びインクが収容されたインク容器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、燃料タンクに回転により取り付けられ、燃料タンクの開口を塞ぐ蓋(ニップル30)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5613484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の蓋は、燃料の流路を形成する流路管である樹脂チューブ40が取り付けられる。当該蓋を、樹脂チューブ40を取り付けた状態で、燃料タンクに取り付けようとした場合、当該蓋の回転により樹脂チューブがねじれてしまう虞がある。このように、従来の蓋では、タンクへの取り付けが好適でなかった。
【0005】
本発明は、好適にタンクに取り付け可能な蓋蓋ユニット、インク容器及びインクが収容されたインク容器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の観点に係る蓋は、
被収容物を収容するタンクの蓋であって、
貫通孔を備え、第1軸を回転軸とした回転により前記タンクに取り付けられる蓋本体と、
前記タンクの外部に接続され前記被収容物が流れる流路管が取り付け可能であり、前記貫通孔を塞ぎ、かつ、前記第1軸と一致する第2軸を回転軸として前記蓋本体に対して相対回転可能な回転体と、
を備える。
【0007】
上記構成によれば、蓋本体を回転させ、回転体を回転させない態様で、蓋をタンクに取りつけることができ、これにより、流路管(樹脂性の可撓性チューブなど)のねじれなどを防止でき、蓋を好適にタンクに取り付けることができる。
【0008】
前記回転体は、前記蓋本体に対して360度回転可能である、
ようにしてもよい。
【0009】
上記構成によれば、回転体を回転させない態様で蓋本体を複数回転させることでき、蓋を好適にタンクに取り付けることができる。
【0010】
前記貫通孔は、円形であり、
前記蓋本体は、前記貫通孔が設けられた天板と、前記天板の外周縁と繋がっており、前記タンクと係合することで前記蓋本体が前記タンクに取り付けられる筒状の側部と、を備え、
前記回転体は、円板形状であり、前記天板における前記貫通孔の周縁部を間に挟む径方向に張り出した一対のフランジを備える、
ようにしてもよい。
【0011】
上記構成によれば、簡便な構成により回転体を蓋本体に対して相対回転可能とすることができる。
【0012】
前記蓋本体が回転により前記タンクに取りつけられたときに、前記タンクの端部が、前記一対のフランジのうちの前記タンク側のフランジに押し付けられる、
ようにしてもよい。
【0013】
上記構成によれば、蓋がタンクに取り付けられたあと、回転体が回転しまうことを防止できる。
【0014】
前記タンクは、インクジェットプリンタに用いられるインクボトルである、
ようにしてもよい。
【0015】
上記構成によれば、蓋を好適にインクボトルに取り付けることができる。
【0016】
本発明の第2の観点に係る蓋ユニットは、
上記蓋と、
前記被収容物が通る中空孔を備え、前記回転体に取り付けられ、前記流路管に接続される中空部材と、
を備える。
【0017】
上記構成によれば、蓋ユニットを好適にタンクに取り付けることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、好適にタンクに取り付け可能な蓋蓋ユニット、インク容器及びインクが収容されたインク容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施の形態の蓋ユニット及びインクボトルの斜視図。
図2図1の蓋ユニットの平面図。
図3図2のA-A断面図。
図4図1の蓋ユニットを分解した各部材の断面図。
図5】蓋ユニットをインクボトルに取り付ける際の態様を示す平面図。
図6】蓋ユニットをインクボトルに取り付けた後の状態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明をインクジェットプリンタ用のインクボトル100をフタする蓋ユニット200に適用した実施の形態について説明する。
【0021】
(インクボトル100の構成)
本実施の形態のインクボトル100(図1参照)は、合成樹脂等により形成され、柔軟性を有する。インクボトル100は、インクジェットプリンタに供給されるインクを収容するタンクである。インクボトル100内のインクの残量が少なくなると、インクが入った新しいインクボトル100に交換される。インクボトル100は、インクの出入口となる開口111を備える円筒状の上部110を備える。上部110は、開口111の他、蓋ユニット200の後述の蓋210と螺合する雄ネジ部112をその外周面に備える。
【0022】
(蓋ユニット200の構成)
本実施の形態の蓋ユニット200は、図1図4に示すように、蓋210と、第1流路形成部220と、第2流路形成部230と、フィルタ240と、を備える。蓋ユニット200は、インクボトル100に取り付けられ、開口111を覆いフタする。
【0023】
蓋210は、蓋ユニット200のうち、インクボトル100の開口111を覆い、インクボトル100をフタする部分である。蓋210は、全体として一端閉口の筒形状を有するスクリューキャップである。つまり、蓋210は、インクボトル100に回転により取り付けられる。蓋210は、蓋本体211と、弾性体212と、回転体213と、を有する。
【0024】
蓋本体211は、合成樹脂等により一体的に単一の部材として形成されている。蓋本体211は、天板211Aと、側壁211Bと、凸部211Cと、雌ネジ部211Dと、を備える。蓋本体211は、蓋210をインクボトル100に取り付ける際、回転操作される部分でもある(詳細は後述)。
【0025】
天板211Aは、中央に円形の貫通孔211AAを備えるドーナツ板の形状に形成されている。貫通孔211AAの中心軸は、蓋210の回転軸と一致している。側壁211Bは、天板211Aの外周縁部から下方に延びた筒形状に形成されている。
【0026】
凸部211Cは、側壁211Bの外周面に形成されており、当該外周面から突出している。凸部211Cは、蓋本体211を回転させる際に指が引っ掛かりやすいよう、上下方向に延びている。なお、凸部211Cの数は、ここでは4個だが、8個、12個等であってもよい。雌ネジ部211Dは、側壁211Bの内周面に形成されており、インクボトル100の雄ネジ部112と螺合する。
【0027】
弾性体212は、中央に貫通孔212Aを備えるドーナツ板形状に形成されている。弾性体212は、天然ゴム又は合成ゴムにより形成されている。弾性体212は、蓋本体211内に配置される。詳細は後述するが、弾性体212は、回転体213に関連して配置されている。
【0028】
回転体213は、全体として、円板形状に形成されている。回転体213は、円板部材213Aと、円柱部材213Bと、3つのネジ213Cと、を備える。回転体213は、蓋本体211に回転可能に取り付けられている。
【0029】
円板部材213Aは、合成樹脂等により、円板形状に形成されている。円柱部材213Bは、円柱部分213BAと、当該円柱部分213BAの下端から径方向外側に張り出したフランジ213BBと、を備え、全体として円板形状に形成されている。円柱部材213Bは、合成樹脂等により単一の部材として一体的に形成されている。
【0030】
円板部材213Aは、蓋本体211の上方に配置されている。円柱部材213Bは、蓋本体211の内部に配置されている。円柱部材213Bの円柱部分213BAは、弾性体212の貫通孔212Aを通り、蓋本体211の天板211Aに形成された貫通孔211AAに下から入り込んでいる。この状態で、円板部材213Aが、円柱部材213B(円柱部分213BA)の上面にネジ213Cにより固定されている。
【0031】
円板部材213Aの直径は、円柱部分213BAの直径よりも大きい。従って、円板部材213Aの外周縁部213AAは、円柱部分213BAから径方向外側にはみ出している。外周縁部213AAの外径(円板部材213Aの直径)とフランジ213BBの外径は、蓋本体211の貫通孔211AAの直径よりも大きい。従って、外周縁部213AAとフランジ213BBとは、蓋本体211の天板211Aにおける貫通孔211AAを画定する縁(貫通孔211AAの周縁部)を挟んで対向する一対のフランジ(回転体213における外側には張り出した一対のフランジ)を構成している。弾性体212は、フランジ213BBと天板211Aとの間に配置されている。
【0032】
前記一対のフランジで天板211Aにおける貫通孔211AAの縁を挟むこと(当該縁が一対のフランジの間に入り込むこと)により、回転体213が蓋本体211から脱落しないように蓋本体211に取り付けられている。回転体213の円柱部分213BAの直径は、貫通孔211AAの直径よりもわずかに小さい。さらに、一対のフランジ(外周縁部213AAとフランジ213BB)の間隔は、天板211A及び弾性体212の合計の厚さよりも大きい(一対のフランジは、天板211Aを、間隔を開けて挟む)。従って、回転体213は、上下方向に移動可能である。蓋210をインクボトル100に取り付けていないとき、回転体213は、自重により下方位置(円板部材213Aが天板211Aに載った状態)に位置する。前記のような構造により、回転体213は、蓋本体211に対して相対回転可能である。回転体213は、蓋本体211の貫通孔211AAの中心軸、及び、蓋本体211の回転軸(中心軸でもある)(第1軸)と一致する軸(第2軸)を回転軸(回転体213の中心を通る中心軸でもある)として相対回転可能である。なお、円柱部分213BAの外周面と貫通孔211AAの内周面とが摺動可能に接する形状に回転体213を形成してもよい。円柱部分213BAの外周面の全面が貫通孔211AAの内周面に接して摺動すると、摺動による摩擦が向上し、摺動ロスが生じる虞がある。そこで、円柱部分213BAの外周面と、貫通孔211AAの内周面とに間隔を設け、前記外周面及び内周面のいずれか一方に、前記外周面及び内周面の他方に接する又は近接する凸部を複数設けるようにしてもよい。例えば、平面視したときに120度間隔に3つ、又は、90度間隔に4つ凸部を設ける。このような凸部により摺動ロスを軽減しつつ、回転体213の蓋本体211に対する位置合わせを行える。回転体213は、蓋本体211の貫通孔211AAを塞ぐように設けられている。
【0033】
さらに回転体213は、第1貫通孔213P、第2貫通孔213Q、第3貫通孔213Rを備える。各貫通孔は、円形に形成されている。
【0034】
第1貫通孔213Pは、円板部材213Aに形成された貫通孔213APと円柱部材213Bの円柱部分213BAに形成された貫通孔213BPとにより形成されている。第1貫通孔213Pには、インクボトル100に収容されているインクをインクジェットプリンタに供給するための第1インク流路(詳細は後述するが、第1流路形成部220などにより形成される)が通る。
【0035】
第2貫通孔213Qは、円板部材213Aに形成された貫通孔213AQ(図示せず)と円柱部材213Bの円柱部分213BAに形成された貫通孔213BQ(図示せず)とにより形成されている。前記のインクジェットプリンタには、インクを循環させる方式が採用されており、第2貫通孔213Qには、インクジェットプリンタからのインクをインクボトル100に戻すための第2インク流路(詳細は後述するが、第2流路形成部230などにより形成される)が通る。
【0036】
第3貫通孔213Rは、円板部材213Aに形成された貫通孔213ARと円柱部材213Bの円柱部分213BAに形成された貫通孔213BRとにより形成されている。第3貫通孔213Rには、フィルタ240の下部が嵌め込まれている。
【0037】
第1流路形成部220は、チューブ部材221と、ナット222と、を備える。チューブ部材221は、コネクタ221Aとチューブ221Bとを備える中空部材である。両者とも円筒形状であるが、コネクタ221Aの方が内径及び外径が大きい。コネクタ221Aとチューブ221Bとは、合成樹脂等により同軸に一体的に形成されている。コネクタ221Aは、チューブ221Bの上端に繋がっている。
【0038】
コネクタ221Aには、インクジェットプリンタ(インクボトル100の外部)に接続されている、合成樹脂性で可撓性のチューブT1(インクの流路管)が接続される。ここでは、チューブT1が、コネクタ221Aの内部に嵌め込まれる。なお、コネクタ221Aは、チューブT1を接続できる構造を有すればよく、その構造は任意である。例えば、コネクタ221Aは、チューブT1が抜けないよう、当該チューブT1を挟み込む機構を有してもよい。例えば、コネクタ221Aは、ニップル形状に形成されてもよい。コネクタ221AにチューブT1が接続されることで、回転体213にコネクタ221Aを介してチューブT1が接続されたことになる。
【0039】
コネクタ221Aの外径は、第1貫通孔213Pの直径よりも大きく、コネクタ221Aは、円板部材213A上に配置され、チューブ221Bは、第1貫通孔213P内を通り、蓋本体211の下方に達している。チューブ221Bは、蓋210がインクボトル100に取り付けられたときに、その先端がインクボトル100の底近傍に達する長さに形成されている。チューブ221Bの外周面にはネジが切ってあり、ナット222と螺合する。当該螺合により、コネクタ221Aとナット222とが回転体213を上下方向から挟み込み、チューブ部材221が回転体213に固定される。
【0040】
コネクタ221Aに接続されたチューブT1の内部と、チューブ部材221の内部(中空孔)とは、連通しており、インクの流路としての第1インク流路を構成する。当該第1インク流路は、インクボトル100内のインクを、インクジェットプリンタに供給する供給路である。
【0041】
第2流路形成部230は、チューブ部材231と、ナット232と、を備える。チューブ部材231は、コネクタ231Aと、チューブ231Bとを備える。第2流路形成部230の構造は、第1流路形成部220と同じ構造であるので、詳細な説明を省略する。コネクタ231Aには、インクジェットプリンタに接続されている、合成樹脂性で可撓性のチューブT2(インクの流路管)が接続される。チューブT2の内部とチューブ部材231の内部(中空孔)とは、連通しており、インクの流路としての第2インク流路を構成する。当該第2インク流路は、インクジェットプリンタから戻ってくるインクを、インクボトル100に供給する供給路である。第2インク流路は、第1インク流路とともに、インクの循環路を構成する。コネクタ231AにチューブT2が接続されることで、回転体213にコネクタ231Aを介してチューブT2が接続されたことになる。
【0042】
フィルタ240は、インクボトル100の内部に入る空気を通し、埃などの異物を通さないように形成されている。フィルタ240は、焼結金属フィルタ、不織布などであればよい。フィルタ240の下部が、第3貫通孔213Rに嵌め込まれ、フィルタ240は回転体213に固定されている。
【0043】
(蓋ユニット200の作用効果)
蓋ユニット200は、チューブT1及びT2がコネクタ221A及び231Aのそれぞれに接続されたまま、インクボトル100に取り付けることができる。具体的に、第1流路形成部220のチューブ部材221と、第2流路形成部230のチューブ部材231とをインクボトル100に挿入した状態で、蓋210をインクボトル100の上部110に被せる。その後、図5に示すように、蓋210の蓋本体211を回転させる。回転体213は蓋本体211に相対回転可能なので、ユーザは蓋本体211を回転させるときに、回転体213を手で押さえて回転させないようにする(図5参照)。蓋本体211を回転させることで、蓋本体211の雌ネジ部211Dと、インクボトル100の雄ネジ部112とが螺合し(図6参照)、蓋ユニット200はインクボトル100に取り付けられる。従来は、回転体213を設けず、蓋に直接チューブT1及びT2を接続していた。このような場合、蓋の取り付け時の回転によりチューブT1及びT2との接続部分も回転してしまい、チューブT1及びT2がねじれたり、絡まったりすることがある。この実施の形態では、インクジェットプリンタに接続されたチューブT1及びT2が接続された回転体213を回転させず、蓋本体211を回転させて蓋ユニット200をインクボトル100に取り付けることができるので、チューブT1及びT2がねじれたり、絡まったりすることを防止できる。
【0044】
また、一対のフランジ(外周縁部213AAとフランジ213BB)が、蓋本体211の天板211Aを挟むことにより、簡便な構造により、かつ、安価に、回転体213を蓋本体211に回転可能に取り付けることができる。さらに、一対のフランジの間隔を、天板211Aの厚み(さらに、弾性体212を含めた厚み)よりも大きくすることで、回転体213が蓋本体211等に接触する部分が少なく回転しやすくなっている。これにより、蓋ユニット200を、回転体213を回転させずに、インクボトル100に取り付けることが容易である。
【0045】
図6に示すように、蓋ユニット200がインクボトル100に取り付けられたとき、インクボトル100の上端は、円柱部材213B(フランジ213BB)の下面に当接し、回転体213を蓋本体211に対して相対的に上方に押し上げる。この押し上げにより、フランジ213BBは、インクボトル100の上端と蓋本体211の天板211Aとにより挟み込まれる(図6参照)。これにより、インクボトル100の上端が回転体213に押し付けられ、蓋本体211の内周面(雌ネジ部211Dなど)とインクボトル100の上部110の外周面(雄ネジ部112など)との間の空間と、インクボトル100の内部との連通を遮断し、この部分について密閉できる。これにより、前記空間を経由した異物の進入等を防止できる。また、フランジ213BBとインクボトル100の上端又は蓋本体211の天板211Aとの摩擦力により、蓋ユニット200がインクボトル100に取り付けられた後の、回転体213の蓋本体211に対する回転を防止でき、上記同様、チューブT1及びT2がねじれたり、絡まったりすることを防止できる。なお、フランジ213BBと天板211Aとの摩擦力は、ここでは、弾性体212を介した摩擦力であるが、弾性体212を設けず、フランジ213BBと天板211Aとが直接接触するようにしてもよい。また、フランジ213BBとインクボトル100の上端との間に弾性体を設けるようにしてもよい。さらに、図6等に示すように、一対のフランジ(外周縁部213AAとフランジ213BB)のうち、下側のフランジ(インクボトル100の上端が当たる方のフランジ)の外径が、外周縁部213AAの外径(円板部材213Aの直径)よりも大きくなっている。これにより、下側のフランジの面積が大きくなっており、インクボトル100の上端が下側のフランジに確実に当たるようになっている。
【0046】
上記では、回転体213のフランジ213BBと、蓋本体211の天板211Aとの間には弾性体212が介在している。この弾性体212により、フランジ213BBが天板211Aに作用する力を吸収できる。
【0047】
また、フィルタ240により異物の侵入を防止しつつ、インクボトル100内にフィルタ240を介して空気が入ることが可能なので、例えば、インクボトル100内のインク量が減ったときに、インクボトル100内の内圧が下がって、インクボトル100が凹んでしまう、インクが逆流してしまうなどの不都合を防止できる。
【0048】
(変形例)
本発明は、上記実施の形態に限定されない。上記実施の形態について種々の変形を適用してもよい。以下に、変形例を例示するが、各変形例の少なくとも一部同士を組み合わせてもよい。
【0049】
(変形例1)
蓋本体211及び回転体213の回転軸は、上記のような上下方向に延びた軸に限らず、水平方向に延びた軸であってもよい。つまり、インクボトル100の開口は、上ではなく、左右方向等に向いたものであってもよい。
【0050】
(変形例2)
蓋本体211は、上記のようなネジによる螺合ではなく、例えば、バヨネット式など360度未満の回転により、インクボトル100に取り付けられるものであってもよい。回転体213は、上記のような360度回転可能(複数周回転可能)ではなく、ある角度の範囲で回転するものであってもよい。
【0051】
(変形例3)
インクの流路を構成する部材は、上記に限らず、種々の部材を適用できる。回転体213は、例えば、外部(インクジェットプリンタなど)に接続されたインクの流路管(インクが流れる管であり、上記ではチューブ部材221など)が取り付け可能なもの(インクの流路管を直接取り付け可能な構造のものでもよいし、チューブ部材221などを介して取り付け可能な構造でもよい)であればよい。例えば、回転体213の縁に切り欠きを設けて、そこにインクの流路管を通してもよい。チューブ部材221などのインクの流路の中心軸は、回転体213の回転軸に平行でなくてもよい。
【0052】
(変形例4)
回転体213は、ボールベアリング等を介して蓋本体211に回転可能に取り付けられてもよい。回転体213を構成する部材は、インクの流路を形成する部材と一体的に形成されてもよい。例えば、チューブ部材221と円板部材213Aとを一体成形してもよい。また、前記インクの流路を形成する部材は、回転体213からインクジェットプリンタなどの外部側に延びる管状部材であってもよい。回転体213の一対のフランジ(外周縁部213AAとフランジ213BB)のいずれか一方は、上記のような円環状(連続的な形状)ではなく、周方向に沿って不連続に配置された複数のフランジから構成されてもよい。また、円板部材213Aの直径を小さくし、外周縁部213AAが円柱部分213BAから径方向外側にはみださないようにしてもよい。つまり、回転体213の一対のフランジのうち、上側のフランジを省略してもよい(この場合、蓋本体211は、回転体213の下側のフランジであるフランジ213BBにより支持される)。回転体213は、蓋本体211の貫通孔211AAを上又は下から覆うことで当該貫通孔211AAを塞ぐものであってもよい。
【0053】
(変形例5)
本発明は、インクボトル100以外の他のタンクに適用してもよい。例えば、液体燃料(ガソリンなど)を入れるタンクの蓋ないし蓋ユニットに本発明を適用してもよい。このような場合、フィルタ240用の第3貫通孔213Rなどを設けなくてもよい。第1流路形成部220及び第1貫通孔213Pと、第2流路形成部230及び第2貫通孔213Qと、のうちのいずれかを設けなくてもよい。タンクは、外部に供給される被収容物を収容するもの(初期状態で満タンのもの)であっても、外部から供給される被収容物を収容するもの(初期状態で空のもの)であってもよい。タンクは、液体を被収容物として収容するものの他、粉体を収容するものであってもよい。チューブT1などは、金属等から構成されてもよい。
【符号の説明】
【0054】
100 インクボトル
110 上部
111 開口
200 蓋ユニット
210 蓋
211 蓋本体
211A 天板
211AA 貫通孔
211B 側壁
212 弾性体
213 回転体
213A 円板部材
213AA 外周縁部
213B 円柱部材
213BB フランジ
220 第1流路形成部
221 チューブ部材
221A コネクタ
221B チューブ
230 第2流路形成部
231 チューブ部材
231A コネクタ
231B チューブ
240 フィルタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6