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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-25
(45)【発行日】2022-11-02
(54)【発明の名称】連結片
(51)【国際特許分類】
   E06B 1/60 20060101AFI20221026BHJP
【FI】
E06B1/60
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018223099
(22)【出願日】2018-11-29
(65)【公開番号】P2020084659
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】300088186
【氏名又は名称】株式会社エクセルシャノン
(73)【特許権者】
【識別番号】390018717
【氏名又は名称】旭化成建材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100202692
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 吉文
(72)【発明者】
【氏名】高田 和規
(72)【発明者】
【氏名】福士 義一
(72)【発明者】
【氏名】中島 久則
(72)【発明者】
【氏名】冨田 直哉
(72)【発明者】
【氏名】倉橋 竜一
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-071257(JP,A)
【文献】実開昭54-062327(JP,U)
【文献】実開昭48-054432(JP,U)
【文献】実開昭49-119136(JP,U)
【文献】特開2002-161669(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/00- 1/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建造物の窓を規定する矩形固定枠に、該矩形固定枠の内周面に対向する平坦な外面を有し、該外面の両側縁の各々には、該外面から直立し次いで幅方向内側に突出して、長手方向に延在し且つ幅方向内側に開口した溝を規定している、横断面形状がL字状である係止突起が形成されている窓枠部材を連結するための連結片にして、
該係止突起間に収容され且つ該溝の幅よりも小さい厚さを有する平坦な基部と、該基部の所定縁から直立する起立部と、該起立部の上端縁から延出する延出部とを備え、
該延出部の下面の高さは該係止突起の上面の高さに対応しており、
該基部には1個の円形開口が形成されており、該延出部には1個の円形開口が形成されており、
該基部に形成されている該円形開口を通してねじ部材を該窓枠部材に螺着することによって該窓枠部材に連結され、該延出部に形成されている該円形開口を通してねじ部材を該矩形固定枠に螺着することによって該矩形固定枠に連結され、
該矩形固定枠に連結していない状態で且つ該円形開口を通して該窓枠部材に螺着される該ねじ部材が弛緩されている状態においては、該ねじ部材を旋回中心として、該延出部が該係止突起の片方を超えて該外面から延出する作用位置と該延出部が該係止突起の該片方を超えて延出することなく該外面の幅内に位置する非作用位置との間を旋回自在であ
該作用位置に旋回されると該起立部が該係止突起の該片方の内側縁に近接乃至当接し、該非作用位置に旋回されると該基部の特定縁が該係止突起の他方によって規定されている該溝の底面に当接する、
ことを特徴とする連結具。
【請求項2】
該作用位置に旋回されると、該基部の該特定縁に隣接する隣接縁が該係止突起の該他方によって規定されている該溝の底面に当接すると共に該隣接縁の反対側に位置する対向縁が該係止突起の該片方によって規定されている該溝の底面に当接する、請求項記載の連結片。
【請求項3】
建造物の窓を規定する矩形固定枠に、該矩形固定枠の内周面に対向する平坦な外面を有し、該外面の両側縁の各々には、該外面から直立し次いで幅方向内側に突出して、長手方向に延在し且つ幅方向内側に開口した溝を規定している、横断面形状がL字状である係止突起が形成されている窓枠部材を連結するための連結片にして、
該係止突起間に収容され且つ該溝の幅よりも小さい厚さを有する平坦な基部と、該基部の所定縁から直立する起立部と、該起立部の上端縁から延出する延出部とを備え、
該延出部の下面の高さは該係止突起の上面の高さに対応しており、
該基部には1個の円形開口が形成されており、該延出部には1個の円形開口が形成されており、
該基部に形成されている該円形開口を通してねじ部材を該窓枠部材に螺着することによって該窓枠部材に連結され、該延出部に形成されている該円形開口を通してねじ部材を該矩形固定枠に螺着することによって該矩形固定枠に連結され、
該矩形固定枠に連結していない状態で且つ該円形開口を通して該窓枠部材に螺着される該ねじ部材が弛緩されている状態においては、該ねじ部材を旋回中心として、該延出部が該係止突起の片方を超えて該外面から延出する作用位置と該延出部が該係止突起の該片方を超えて延出することなく該外面の幅内に位置する非作用位置との間を旋回自在であり、
該基部には円弧状に延在する弧状開口が形成されており、該非作用位置に位置している状態おいて該弧状開口の片端部を通してねじ部材が該窓枠部材に螺着され、該弧状開口の片端を通して該窓枠部材に螺着される該ねじ部材が弛緩されている状態で該非作用位置から該作用位置に旋回されると該ねじ部材が該弧状開口の他端部に位置する
ことを特徴とする連結片。
【請求項4】
建造物の窓を規定する矩形固定枠に、該矩形固定枠の内周面に対向する平坦な外面を有し、該外面の両側縁の各々には、該外面から直立し次いで幅方向内側に突出して、長手方向に延在し且つ幅方向内側に開口した溝を規定している、横断面形状がL字状である係止突起が形成されている窓枠部材を連結するための連結片にして、
該係止突起間に収容され且つ該溝の幅よりも小さい厚さを有する平坦な基部と、該基部の所定縁から直立する起立部と、該起立部の上端縁から延出する延出部とを備え、
該延出部の下面の高さは該係止突起の上面の高さに対応しており、
該基部には1個の円形開口が形成されており、該延出部には1個の円形開口が形成されており、
該基部に形成されている該円形開口を通してねじ部材を該窓枠部材に螺着することによって該窓枠部材に連結され、該延出部に形成されている該円形開口を通してねじ部材を該矩形固定枠に螺着することによって該矩形固定枠に連結され、
該矩形固定枠に連結していない状態で且つ該円形開口を通して該窓枠部材に螺着される該ねじ部材が弛緩されている状態においては、該ねじ部材を旋回中心として、該延出部が該係止突起の片方を超えて該外面から延出する作用位置と該延出部が該係止突起の該片方を超えて延出することなく該外面の幅内に位置する非作用位置との間を旋回自在であり、
該基部には半円形状の片端部から解放された他端まで幅が漸次広くなる開放開口が形成されており、該非作用位置に位置している状態においてはねじ部材が該開放開口から離隔されて該窓枠部材に螺着され、該開放開口から離隔されて該窓枠部材に螺着される該ねじ部材が弛緩されている状態で該非作用位置から該作用位置に旋回されると該ねじ部材が該開放開口の片端部に位置する
ことを特徴とする連結片。
【請求項5】
建造物の窓を規定する矩形固定枠に、該矩形固定枠の内周面に対向する平坦な外面を有し、該外面の両側縁の各々には、該外面から直立し次いで幅方向内側に突出して、長手方向に延在し且つ幅方向内側に開口した溝を規定している、横断面形状がL字状である係止突起が形成されている窓枠部材を連結するための連結片にして、
該係止突起間に収容され且つ該溝の幅よりも小さい厚さを有する平坦な基部と、該基部の所定縁から直立する起立部と、該起立部の上端縁から延出する延出部とを備え、
該延出部の下面の高さは該係止突起の上面の高さに対応しており、
該基部には1個の円形開口が形成されており、該延出部には1個の円形開口が形成されており、
該基部に形成されている該円形開口を通してねじ部材を該窓枠部材に螺着することによって該窓枠部材に連結され、該延出部に形成されている該円形開口を通してねじ部材を該矩形固定枠に螺着することによって該矩形固定枠に連結され、
該矩形固定枠に連結していない状態で且つ該円形開口を通して該窓枠部材に螺着される該ねじ部材が弛緩されている状態においては、該ねじ部材を旋回中心として、該延出部が該係止突起の片方を超えて該外面から延出する作用位置と該延出部が該係止突起の該片方を超えて延出することなく該外面の幅内に位置する非作用位置との間を旋回自在であり、
該基部には片面側において突出し他面側において没入する円形エンボスが形成されている
ことを特徴とする連結片。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建造物の窓を規定する矩形固定枠に窓枠部材を連結するための連結片に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、木造建造物の矩形固定枠(即ち、一対の木製管柱又は間柱、木製窓台及び木製まぐさから構成された矩形固定枠)とこれに固定された窓枠との組み合わせが開示されている。窓枠を構成する上窓枠部材及び両側窓枠部材は矩形固定枠の内周面に対向する平坦な外面を有し、この外面の両側縁の各々には、外面から直立し次いで内側に突出して、長手方向に延在し且つ内側に開口した溝を規定している、横断面形状がL字状である係止突起が形成されている。そして、かような窓枠部材を矩形固定枠の所定位置に固定するために連結片が利用されている。かかる連結片は、係止突起間に収容される平坦な基部とこの基部の所定縁から直立する起立部と起立部の上端縁から延出する延出部とを備えている。基部の厚さは溝の幅よりも小さく、延出部の下面の高さは係止突起の上面の高さに対応している。基部には2個の円形開口が形成されており、これらの円形開口を通してねじ部材を窓枠部材に螺着することによって連結片が窓枠部材に連結され、係止突起の片方を超えて延出する延出部には1個の円形開口が形成されており、この円形開口を通してねじ部材を矩形固定枠に螺着することによって連結片が矩形固定枠に連結され、かくして矩形固定枠体に窓枠部材が連結される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-71257号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
而して、上記特許文献1に開示されている連結片には、次のとおりの解決すべき問題が存在する。窓枠部材を実際の建築現場に搬送する際には、窓枠部材の外面に形成されている一対の係止突起間に連結片の基部を位置付けて連結片を窓枠部材と組み合わせて搬送することが望まれるが、連結片を窓枠部材に組み合わせると連結片の延出部は窓枠部材の外面の幅内に位置することなく一対の係止突起の片方を超えて延出する。それ故に、連結片の延出部が他の窓枠部材に干渉する等に起因して、連結片が組み合わされた多数の窓枠部材をコンパクトに集積することができない。
【0005】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、主たる技術的課題は、連結片の延出部が窓枠部材の外面に形成されている一対の係止突起を超えて延出することなく、連結片の全体を窓枠部材の外面の幅内に位置せしめることができ、それ故に連結片が組み合わされた窓枠部材を充分コンパクトに集積することを可能にする、新規且つ改良された連結片を提供することである。
【0006】
本発明の他の技術的課題は、上記主たる技術的課題の達成に加えて、連結片の全体を窓枠部材の外面の幅内に位置せしめた状態においても、連結片の基部に配設されている複数個の開口の全てに関連せしめてねじ部材を窓枠部材に螺着することができ、窓枠部材に螺着すべきねじ部材を別個に搬送する必要がなく、また窓枠部材に螺着された複数個のねじ部材を窓枠部材から離脱することなく単に弛緩状態にせしめるだけで連結片をその延出部が窓枠部材の外面に形成されている一対の係止突起を超えて延出する作用位置に旋回することができる、新規且つ改良された連結片を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の第一の局面によれば、上記主たる技術的課題を達成することができる連結片として、
建造物の窓を規定する矩形固定枠に、該矩形固定枠の内周面に対向する平坦な外面を有し、該外面の両側縁の各々には、該外面から直立し次いで幅方向内側に突出して、長手方向に延在し且つ幅方向内側に開口した溝を規定している、横断面形状がL字状である係止突起が形成されている窓枠部材を連結するための連結片にして、
該係止突起間に収容され且つ該溝の幅よりも小さい厚さを有する平坦な基部と、該基部の所定縁から直立する起立部と、該起立部の上端縁から延出する延出部とを備え、
該延出部の下面の高さは該係止突起の上面の高さに対応しており、
該基部には1個の円形開口が形成されており、該延出部には1個の円形開口が形成されており、
該基部に形成されている該円形開口を通してねじ部材を該窓枠部材に螺着することによって該窓枠部材に連結され、該延出部に形成されている該円形開口を通してねじ部材を該矩形固定枠に螺着することによって該矩形固定枠に連結され、
該矩形固定枠に連結していない状態で且つ該円形開口を通して該窓枠部材に螺着される該ねじ部材が弛緩されている状態においては、該ねじ部材を旋回中心として、該延出部が該係止突起の片方を超えて該外面から延出する作用位置と該延出部が該係止突起の該片方を超えて延出することなく該外面の幅内に位置する非作用位置との間を旋回自在であ
該作用位置に旋回されると該起立部が該係止突起の該片方の内側縁に近接乃至当接し、該非作用位置に旋回されると該基部の特定縁が該係止突起の他方によって規定されている該溝の底面に当接する、
ことを特徴とする連結具が提供される。
【0009】
好ましくは、該作用位置に旋回されると該起立部が該係止突起の該片方の内側縁に近接乃至当接し、該非作用位置に旋回されると該基部の特定縁が該係止突起の他方によって規定されている該溝の底面に当接する
【0010】
本発明の第二の局面によれば、上記他の技術的課題を達成することができる連結片として、
建造物の窓を規定する矩形固定枠に、該矩形固定枠の内周面に対向する平坦な外面を有し、該外面の両側縁の各々には、該外面から直立し次いで幅方向内側に突出して、長手方向に延在し且つ幅方向内側に開口した溝を規定している、横断面形状がL字状である係止突起が形成されている窓枠部材を連結するための連結片にして、
該係止突起間に収容され且つ該溝の幅よりも小さい厚さを有する平坦な基部と、該基部の所定縁から直立する起立部と、該起立部の上端縁から延出する延出部とを備え、
該延出部の下面の高さは該係止突起の上面の高さに対応しており、
該基部には1個の円形開口が形成されており、該延出部には1個の円形開口が形成されており、
該基部に形成されている該円形開口を通してねじ部材を該窓枠部材に螺着することによって該窓枠部材に連結され、該延出部に形成されている該円形開口を通してねじ部材を該矩形固定枠に螺着することによって該矩形固定枠に連結され、
該矩形固定枠に連結していない状態で且つ該円形開口を通して該窓枠部材に螺着される該ねじ部材が弛緩されている状態においては、該ねじ部材を旋回中心として、該延出部が該係止突起の片方を超えて該外面から延出する作用位置と該延出部が該係止突起の該片方を超えて延出することなく該外面の幅内に位置する非作用位置との間を旋回自在であり、
該基部には円弧状に延在する弧状開口が形成されており、該非作用位置に位置している状態おいて該弧状開口の片端部を通してねじ部材が該窓枠部材に螺着され、該弧状開口の片端を通して該窓枠部材に螺着される該ねじ部材が弛緩されている状態で該非作用位置から該作用位置に旋回されると該ねじ部材が該弧状開口の他端部に位置する、
ことを特徴とする連結片が提供される。
また、本発明の第三の局面によれば、上記主たる技術的課題を達成することができる連結片として、
建造物の窓を規定する矩形固定枠に、該矩形固定枠の内周面に対向する平坦な外面を有し、該外面の両側縁の各々には、該外面から直立し次いで幅方向内側に突出して、長手方向に延在し且つ幅方向内側に開口した溝を規定している、横断面形状がL字状である係止突起が形成されている窓枠部材を連結するための連結片にして、
該係止突起間に収容され且つ該溝の幅よりも小さい厚さを有する平坦な基部と、該基部の所定縁から直立する起立部と、該起立部の上端縁から延出する延出部とを備え、
該延出部の下面の高さは該係止突起の上面の高さに対応しており、
該基部には1個の円形開口が形成されており、該延出部には1個の円形開口が形成されており、
該基部に形成されている該円形開口を通してねじ部材を該窓枠部材に螺着することによって該窓枠部材に連結され、該延出部に形成されている該円形開口を通してねじ部材を該矩形固定枠に螺着することによって該矩形固定枠に連結され、
該矩形固定枠に連結していない状態で且つ該円形開口を通して該窓枠部材に螺着される該ねじ部材が弛緩されている状態においては、該ねじ部材を旋回中心として、該延出部が該係止突起の片方を超えて該外面から延出する作用位置と該延出部が該係止突起の該片方を超えて延出することなく該外面の幅内に位置する非作用位置との間を旋回自在であり、
該基部には半円形状の片端部から解放された他端まで幅が漸次広くなる開放開口が形成されており、該非作用位置に位置している状態においてはねじ部材が該開放開口から離隔されて該窓枠部材に螺着され、該開放開口から離隔されて該窓枠部材に螺着される該ねじ部材が弛緩されている状態で該非作用位置から該作用位置に旋回されると該ねじ部材が該開放開口の片端部に位置する、
ことを特徴とする連結片が提供される。
【0011】
本発明の第四の局面によれば、上記主たる技術的課題を達成することができる連結片として、
建造物の窓を規定する矩形固定枠に、該矩形固定枠の内周面に対向する平坦な外面を有し、該外面の両側縁の各々には、該外面から直立し次いで幅方向内側に突出して、長手方向に延在し且つ幅方向内側に開口した溝を規定している、横断面形状がL字状である係止突起が形成されている窓枠部材を連結するための連結片にして、
該係止突起間に収容され且つ該溝の幅よりも小さい厚さを有する平坦な基部と、該基部の所定縁から直立する起立部と、該起立部の上端縁から延出する延出部とを備え、
該延出部の下面の高さは該係止突起の上面の高さに対応しており、
該基部には1個の円形開口が形成されており、該延出部には1個の円形開口が形成されており、
該基部に形成されている該円形開口を通してねじ部材を該窓枠部材に螺着することによって該窓枠部材に連結され、該延出部に形成されている該円形開口を通してねじ部材を該矩形固定枠に螺着することによって該矩形固定枠に連結され、
該矩形固定枠に連結していない状態で且つ該円形開口を通して該窓枠部材に螺着される該ねじ部材が弛緩されている状態においては、該ねじ部材を旋回中心として、該延出部が該係止突起の片方を超えて該外面から延出する作用位置と該延出部が該係止突起の該片方を超えて延出することなく該外面の幅内に位置する非作用位置との間を旋回自在であり、
該基部には片面側において突出し他面側において没入する円形エンボスが形成されている、
ことを特徴とする連結片が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明の第一の局面、第三の局面及び第四の局面によって提供される連結片によれば、連結片の全体が窓枠部材の外面の幅内に位置する状態で窓枠部材に連結片を組み合すことができ、それ故に連結片が組み合わされた窓枠部材を充分コンパクトに集積することができる。
【0013】
また、本発明の第二の局面によって提供される連結片によれば、連結片の全体が窓枠部材の幅内に位置する状態、即ち連結片が非作用位置に位置せしめられている状態においても、基部に形成されている複数個の開口の全てに関連せしめてねじ部材を窓枠部材に螺着することができ、窓枠部材に螺着すべきねじ部材を別個に搬送する必要がなく、また窓枠部材に螺着された複数個のねじ部材を窓枠部材から離脱することなく単に弛緩状態にせしめるだけで連結片をその延出部が窓枠部材の外面に形成されている一対の係止突起を超えて延出する作用位置に旋回することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に従って構成された連結片の好適実施形態を使用して、木造建造物の矩形固定枠を規定しているまぐさに上窓部材を連結する様式を示す簡略図。
図2図1に図示する連結片の平面図。
図3図1に図示する連結片の側面図。
図4図1に図示する連結片と窓枠部材との関係を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の連結片の好適実施形態を図示している添付図面を参照して、更に詳述する。
【0016】
図1を参照して説明すると、番号2で示す本発明に従って構成された連結片の好適実施形態を使用して、窓枠を構成する上窓枠部材4が木造建造物の矩形固定枠を構成する木製まぐさ6に連結されている。まぐさ6は横断面形状が長方形で、図1において紙面に垂直な方向に延在している。矩形固定枠の上側内周面を規定するまぐさ6の下面8は実質上水平に延在する平坦面である。硬質塩化ビニル樹脂の如く適宜の合成樹脂から形成することができる上窓枠部材4もまぐさ6と平行に図1において紙面に垂直な方向に延在している。それ自体は周知の形態でよい上窓枠部材4は、まぐさ6の下面に対向する平坦な外面10を有する。そして外面10の両側縁の各々には、外面10から直立し次いで幅方向内側に突出するL字形状の係止突起12a及び12bが形成されている。係止突起12a及び12bは長手方向に延在し且つ幅方向内側に開口する溝14a及び14bを規定している。連結片2は上窓枠部材6の長手方向(図1において紙面に垂直な方向)に間隔をおいて複数個配置されている。連結片2とまぐさ6の下面8との間には木製ブロック16が介在されている。連結片2を使用して上窓枠部材4をまぐさ6に連結すること自体は当業者には周知であるので、上窓枠部材4及びまぐさ6の詳細については本明細においては説明を省略する。
【0017】
図1と共に図2及び図3を参照して説明を続けると、ステンレス鋼板の如き適宜の金属板から形成することができる連結片2は、基部18、起立部20及び延出部22を備えている。基部18は全体として略変形多角形状の平板であり、起立部20は基部18の所定縁から直立しており、延出部22は起立部20の上端縁から、基部20から離隔する方向に延出している。
【0018】
連結片2の基部20の厚さt(図3)は、上記窓枠部材4の係止突起12a及び12bが規定する溝14a及び14bの幅w(図1)よりも幾分小さい。基部18は特定縁24、この特定縁24に隣接する隣接縁26、及び隣接縁26の反対側に位置する対向縁28を有する。隣接縁26と対向縁28は相互に平行に延びている。基部18には1個の円形開口30が形成されていることが重要である。図示の実施形態においては、基部18には、更に、弧状開口32及び開放開口34も形成されている。弧状開口32は円形開口30の中心点を中心とする円弧形状に延在している。開放開口34は半円形状であり片端部から解放された他端まで延在しており、片端部から他端に向けて幅が漸次増大せしめられている。基部18には、円形開口30と弧状開口32との間に位置するエンボス36も形成されている。このエンボス36は表面(図3において右側面)側において突出し裏面(図3において左側面)側において募入する円形状である。かようなエンボス36を形成することによって、連結片2の製造工程において複数個の連結片2の主部18が密着した状態で積層され分離が困難になることが回避される。所望ならば、表面側において没入し裏面側において突出する円形状のエンボスを形成することもできる。
【0019】
図2を参照することによって明確に理解されるとおり、連結片2の起立部20は基部18における上記隣接縁26及び対向縁28と平行に延びており、その全長に渡って起立高さh(図3)は一定である。起立部20の上端縁から図2及び図3において下方に延出する延出部22は略長方形状の先端側片角部に略直角三角形状状の切欠を形成した平板状である。延出部22は基部10と平行に延出している。延出部22には1個の円形開口38が形成されている。延出部22の下面(図3において左側面)の高さh1(図3)は、上記上窓枠部材4のおける係止突起12a及び12bの上面の高さh2(図1)に対応、更に詳しくは上記上窓枠部材4のおける係止突起12a及び12bの上面の高さh2よりも若干大きい。
【0020】
図4を参照して説明を続けると、上窓枠部材4と共に連結片2を出荷する際には、連結片2の基部18を上窓枠部材4の外面10上に載置して係止突起12aと係止突起12bとの間に配置し、図4に実線で示す非作用位置に位置付ける。この非作用位置おいては、基部18の特定縁24が係止突起12a及び12bの他方、即ち係止突起12b、によって規定される溝14bの底面に当接せしめられる。そして、円形開口30を通してねじ部材40を上窓枠部材4に螺着し、弧状開口32の片端部を通してねじ部材42を上窓枠部材4に螺着し、そして更に開放開口34の開放端から離隔するがこれに隣接した位置で上窓枠部材4にねじ部材44を螺着し、かくして上窓枠部材4に連結片2を固定する。非作用位置に位置付けられた連結片2の延出部22はその一部が係止突条12a上に位置するが、係止突起12aを超えて延出することはなく、連結片2はその全体が上窓枠部材4の幅内に位置する。従って、連結片2、特にその延出部22、によって阻害されることなく、連結片2が固定された多数の上窓枠部材6をコンパクトに集積して建設現場に搬送することができる。また、連結片2を上窓枠部材4に連結するためのねじ部材40、42及び44は上窓枠部材4に螺着された状態で建設現場に搬送されるので、ねじ部材40、42及び44を紛失してしまう虞がない。
【0021】
建設現場において連結片2を使用して上窓枠部材4をまぐさ6に連結する際には、必要に応じてねじ部材40、42及び44を弛緩して、ねじ部材40を中心として連結片2を図4に二点鎖線で示す作用位置まで矢印で示す方向に旋回せしめ、しかる後に必要に応じてねじ部材40、42及び44を締め付ける。連結片2が作用位置に位置付けられると、基部18の隣接縁26が係止突起12bによって規定されている溝14bの底面に当接すると共に基部18の対向縁28が係止突起12aによって規定されている溝14aの底面に当接する。そして、連結片2の起立部20が係止突起12aの内側縁に近接乃至当接して係止突起12aと平行に延びる状態になり、延出部22は係止突起12aを超えて延出する。しかる後に、まぐさ6に対して上窓枠部材4を所要とおりに位置付け、連結片2の延出部22に形成されている円形開口38を通してねじ部材46をまぐさ6に螺着する(図1を参照されたい)。
【0022】
以上、添付図面を参照して本発明に従って構成された連結片の好適実施形態について詳述したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能であることが多言を要しない。例えば、上窓枠部材6に関連せしめて本発明に従って構成された連結片2を説明したが、他の窓枠部材、例えば管柱乃至間柱、に連結される側窓枠部材、にも本発明に従って構成された連結片を適用することができる。
【符号の説明】
【0023】
2:連結片
4:上窓枠部材(窓枠部材)
6:まぐさ(矩形固定枠)
10:上窓枠部材の外面
12a:係止突起
12b:係止突起
14a:溝
14b:溝
18:基部
20:起立部
22:延出部
24:特定縁
26:隣接縁
28:対向縁
30:円形開口
32:弧状開口
34:開放開口
36:エンボス
38:円形開口
図1
図2
図3
図4