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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-25
(45)【発行日】2022-11-02
(54)【発明の名称】可変抵抗回路
(51)【国際特許分類】
   H03H 7/24 20060101AFI20221026BHJP
   H03K 5/08 20060101ALI20221026BHJP
【FI】
H03H7/24
H03K5/08 E
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018230990
(22)【出願日】2018-12-10
(65)【公開番号】P2020096233
(43)【公開日】2020-06-18
【審査請求日】2021-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】赤穂 直史
【審査官】石田 昌敏
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-181579(JP,A)
【文献】特開2009-044527(JP,A)
【文献】特開2014-033383(JP,A)
【文献】特開平05-122010(JP,A)
【文献】特開2008-206129(JP,A)
【文献】特開2010-171113(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H 7/24-7/27
H03K 5/08
H03C 8/00-10/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ノード及び第2ノードと;
前記第1ノードと前記第2ノードとの間でn列並列(ただしnは3以上の整数)に接続されており、それぞれ、2i-1r(ただしi=1、2、…、n)のオン抵抗値を持つ第1列~第n列の第1スイッチと;
第1列~第n列の第1スイッチと前記第2ノードとの間にそれぞれ接続されており、それぞれ、2i-1rのオン抵抗値を持つ第1列~第n列の第2スイッチと;
前記第1スイッチと前記第2スイッチに挟まれた位置で、第j列と第j+1列(ただしj=1、2、…、n-1)との間に接続されており、それぞれ、2r+2j-1rのオン抵抗値を持つ第3スイッチと;
前記第1スイッチと前記第2スイッチに挟まれた位置で、第k列と第k+1列(ただしk=2、3、…、n-1)との間に接続されており、それぞれ、2k-1rのオン抵抗値を持つ第4スイッチと;
nビットのデジタル入力信号に応じて前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、前記第3スイッチ、及び、前記第4スイッチをそれぞれオン/オフさせる制御部と;
を有することを特徴とする可変抵抗回路。
【請求項2】
前記制御部は、前記デジタル入力信号の第Pビットが第1論理値を取る最上位のビットであるとき、第P列の第1スイッチをオンして他列の第1スイッチをいずれもオフすることを特徴とする請求項1に記載の可変抵抗回路。
【請求項3】
前記制御部は、前記デジタル入力信号の第Qビットが第1論理値を取る最下位のビットであるとき、第Q列の第2スイッチをオンして他列の第2スイッチをいずれもオフすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の可変抵抗回路。
【請求項4】
前記制御部は、第j列と第j+1列との間に接続された第3スイッチを、前記デジタル入力信号の第jビットが第1論理値を取るときにオンして第2論理値を取るときにオフすることを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の可変抵抗回路。
【請求項5】
前記制御部は、第k列と第k+1列との間に接続された第4スイッチを、前記デジタル入力信号の第kビットが第1論理値を取るときにオフして第2論理値を取るときにオンすることを特徴とする請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の可変抵抗回路。
【請求項6】
前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、前記第3スイッチ、並びに、前記第4スイッチは、いずれもトランジスタであることを特徴とする請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の可変抵抗回路。
【請求項7】
前記第1ノードと前記第2ノード相互間の合成抵抗値は、前記デジタル入力信号のビット切替毎に2r刻みで変化することを特徴とする請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の可変抵抗回路。
【請求項8】
第1列~第n列の第1スイッチ及び第2スイッチ相互間にそれぞれ接続されており、それぞれ、2i-1Rの抵抗値を持つ第1列~第n列の抵抗をさらに有し、
第j列と第j+1列との間に接続された第3スイッチは、第j列の抵抗の高電位端と第j+1列の抵抗の低電位端との間に接続されており、
第k列と第k+1列との間に接続された第4スイッチは、第k列の抵抗の低電位端と第k+1列の抵抗の低電位端との間に接続されている、
ことを特徴とする請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の可変抵抗回路。
【請求項9】
前記第1ノードと前記第2ノード相互間の合成抵抗値は、前記デジタル入力信号のビット切替毎にR+2r刻みで変化することを特徴とする請求項8に記載の可変抵抗回路。
【請求項10】
オフセットリペア用の可変抵抗として、請求項1~請求項9のいずれか一項に記載の可変抵抗回路を有することを特徴とするオフセット設定回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書中に開示されている発明は、可変抵抗回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタル信号に応じて抵抗値を任意に調整することのできる可変抵抗回路が種々提案されている。
【0003】
なお、上記に関連する従来技術の一例としては、特許文献1を挙げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-181579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の可変抵抗回路では、精度や面積について改善の余地があった。
【0006】
本明細書中に開示されている発明は、本願の発明者により見出された上記課題に鑑み、高精度かつ省面積な可変抵抗回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで本明細書中に開示されている可変抵抗回路は、第1ノード及び第2ノードと;前記第1ノードと前記第2ノードとの間でn列並列(ただしnは3以上の整数)に接続されており、それぞれ、2i-1r(ただしi=1、2、…、n)のオン抵抗値を持つ第1列~第n列の第1スイッチと;第1列~第n列の第1スイッチと前記第2ノードとの間にそれぞれ接続されており、それぞれ、2i-1rのオン抵抗値を持つ第1列~第n列の第2スイッチと;前記第1スイッチと前記第2スイッチに挟まれた位置で、第j列と第j+1列(ただしj=1、2、…、n-1)との間に接続されており、それぞれ、2r+2j-1rのオン抵抗値を持つ第3スイッチと;前記第1スイッチと前記第2スイッチに挟まれた位置で、第k列と第k+1列(ただしk=2、3、…、n-1)との間に接続されており、それぞれ、2k-1rのオン抵抗値を持つ第4スイッチと;nビットのデジタル入力信号に応じて前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、前記第3スイッチ、及び、前記第4スイッチをそれぞれオン/オフさせる制御部と;を有する構成(第1の構成)とされている。
【0008】
また、上記第1の構成から成る可変抵抗回路において、前記制御部は、前記デジタル入力信号の第Pビットが第1論理値を取る最上位のビットであるとき、第P列の第1スイッチをオンして他列の第1スイッチをいずれもオフする構成(第2の構成)にするとよい。
【0009】
また、上記第1または第2の構成から成る可変抵抗回路において、前記制御部は、前記デジタル入力信号の第Qビットが第1論理値を取る最下位のビットであるとき、第Q列の第2スイッチをオンして他列の第2スイッチをいずれもオフする構成(第3の構成)にするとよい。
【0010】
また、上記第1~第3いずれかの構成から成る可変抵抗回路において、前記制御部は、第j列と第j+1列との間に接続された第3スイッチを、前記デジタル入力信号の第jビットが第1論理値を取るときにオンして第2論理値を取るときにオフする構成(第4の構成)にするとよい。
【0011】
また、上記第1~第4いずれかの構成から成る可変抵抗回路において、前記制御部は、第k列と第k+1列との間に接続された第4スイッチを、前記デジタル入力信号の第kビットが第1論理値を取るときにオフして第2論理値を取るときにオンする構成(第5の構成)にするとよい。
【0012】
また、上記第1~第5いずれかの構成から成る可変抵抗回路において、前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、前記第3スイッチ、並びに、前記第4スイッチは、いずれもトランジスタである構成(第6の構成)にするとよい。
【0013】
また、上記第1~第6いずれかの構成から成る可変抵抗回路において、前記第1ノードと前記第2ノード相互間の総抵抗値は、前記デジタル入力信号のビット切替毎に2r刻みで変化する構成(第7の構成)にするとよい。
【0014】
また、上記第1~第6いずれかの構成から成る可変抵抗回路は、第1列~第n列の第1スイッチ及び第2スイッチ相互間にそれぞれ接続されており、それぞれ、2i-1Rの抵抗値を持つ第1列~第n列の抵抗をさらに有し、第j列と第j+1列との間に接続された第3スイッチは、第j列の抵抗の高電位端と第j+1列の抵抗の低電位端との間に接続されており、第k列と第k+1列との間に接続された第4スイッチは、第k列の抵抗の低電位端と第k+1列の抵抗の低電位端との間に接続された構成(第8の構成)にするとよい。
【0015】
また、上記第8の構成から成る可変抵抗回路において、前記第1ノードと前記第2ノード相互間の総抵抗値は、前記デジタル入力信号のビット切替毎にR+2r刻みで変化する構成(第9の構成)にするとよい。
【0016】
また、本明細書中に開示されているオフセット設定回路は、オフセットリペア用の可変抵抗として、上記第1~第9いずれかの構成から成る可変抵抗回路を有する構成(第10の構成)とされている。
【発明の効果】
【0017】
本明細書中に開示されている発明によれば、高精度かつ省面積な可変抵抗回路を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】可変抵抗回路の比較例を示す図
図2】比較例におけるデジタル入力信号と総抵抗値との関係を示す図
図3】可変抵抗回路の第1実施形態を示す図
図4】第1実施形態におけるデジタル入力信号とスイッチ状態との関係を示す図
図5】第1実施形態におけるデジタル入力信号と総抵抗値との関係を示す図
図6】可変抵抗回路の第2実施形態を示す図
図7】第2実施形態におけるデジタル入力信号とスイッチ状態との関係を示す図
図8】第2実施形態におけるデジタル入力信号と総抵抗値との関係を示す図
図9】オフセット設定回路の一構成例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0019】
<比較例>
まず、可変抵抗回路の新規な実施形態の説明に先立ち、これと対比される比較例について簡単に説明しておく。図1は、可変抵抗回路の比較例を示す図である。本比較例の可変抵抗回路100は、スイッチ110及び抵抗111を並列接続した第1並列段と、スイッチ120及び抵抗121~122を並列接続した第2並列段と、スイッチ130及び抵抗131~134を並列接続した第3並列段と、スイッチ140及び抵抗141~148を並列接続した第4並列段と、を有し、これらをノード101とノード102との間に直列接続して成る。
【0020】
なお、抵抗111、抵抗121~122、抵抗131~134、及び、抵抗141~148は、いずれも同一の抵抗値(8R)を持つ。従って、抵抗121~122の合成抵抗値は4R(=8R//2)であり、抵抗131~134の合成抵抗値は2R(=8R//4)であり、抵抗141~148の合成抵抗値はR(=8R//8)である。
【0021】
また、可変抵抗回路100は、4ビットのデジタル入力信号DINに応じて、スイッチ110~140をそれぞれオン/オフさせる制御部150を有する。例えば、DIN=1d(0001b)であるときには、スイッチ140がオフされて他のスイッチがいずれもオンされる。このとき、各スイッチのオン抵抗値を0Ωと仮定すると、可変抵抗回路100の合成抵抗値Rtotal(=ノード101及び102相互間の合成抵抗値)は、Rtotal=Rとなる。また、例えば、DIN=7d(0111b)であるときには、スイッチ110がオンされて他のスイッチがいずれもオフされる。このとき、Rtotal=7Rとなる。このようなスイッチ制御により、合成抵抗値Rtotalを15段階に切り替えることが可能となる。
【0022】
ただし、スイッチ110~140それぞれのオン抵抗値は、実際には0Ωでない。そのため、合成抵抗値Rtotalには、図2のように、スイッチ110~140それぞれのオン抵抗値に応じた誤差Δ(=実際値(実線)と理想値(破線)との乖離)が生じる。誤差Δは、スイッチ110~140それぞれのオン/オフ状態に応じて変動するので、デジタル入力信号DINに対する合成抵抗値Rtotalの線形性を悪化させる要因となる。
【0023】
なお、スイッチ110~140として用いられるトランジスタを大型化すれば、それぞれのオン抵抗値を下げられるが、背反として可変抵抗回路100の面積が大きくなってしまう。以下では、このような課題を解消することのできる新規な実施形態を提案する。
【0024】
<第1実施形態>
図3は、可変抵抗回路の第1実施形態を示す図である。本実施形態の可変抵抗回路10は、ノード11と、ノード12と、スイッチ1(1)~1(n)(ただしnは3以上の整数)と、スイッチ2(1)~2(n)と、スイッチ3(1)~3(n-1)と、スイッチ4(2)~4(n-1)と、制御部5と、を有する。
【0025】
スイッチ1(1)~1(n)それぞれの第1端は、いずれも、ノード11に接続されている。スイッチ1(1)~1(n)それぞれの第2端は、それぞれ、スイッチ2(1)~2(n)それぞれの第1端に接続されている。スイッチ2(1)~2(n)それぞれの第2端は、いずれも、ノード12に接続されている。
【0026】
上記したスイッチ1(1)~1(n)は、ノード11とノード12との間でn列並列に接続された第1列~第n列の第1スイッチに相当する。なお、第i列(ただし、i=1、2、…、n)のスイッチ1(i)は、2i-1rのオン抵抗値を持つ。例えば、スイッチ1(1)、1(2)及び1(3)のオン抵抗値は、それぞれ、1r、2r及び4rである。
【0027】
また、スイッチ2(1)~2(n)は、スイッチ1(1)~1(n)とノード12との間にそれぞれ接続された第1列~第n列の第2スイッチに相当する。なお、第i列のスイッチ2(i)は、2i-1rのオン抵抗値を持つ。例えば、スイッチ2(1)、2(2)及び2(3)のオン抵抗値は、それぞれ、1r、2r及び4rである。
【0028】
スイッチ3(1)の第1端は、スイッチ1(2)及び2(2)相互間の接続ノードに接続されており、スイッチ3(1)の第2端は、スイッチ1(1)及び2(1)相互間の接続ノードに接続されている。スイッチ3(2)~スイッチ3(n-1)についても、これと同様である。
【0029】
より一般化して述べると、スイッチ3(j)(ただしj=1、2、…、n-1)の第1端は、スイッチ1(j+1)及び2(j+1)相互間の接続ノードに接続されており、スイッチ3(j)の第2端は、スイッチ1(j)及び2(j)相互間の接続ノードに接続されている。
【0030】
このスイッチ3(j)は、スイッチ1及び2に挟まれた位置で、第j列と第j+1列との間に接続された第3スイッチに相当する。なお、スイッチ3(j)は、2r+2j-1rのオン抵抗値を持つ。例えば、スイッチ3(1)、3(2)及び3(3)のオン抵抗値は、それぞれ、3r(=2r+1r)、6r(=4r+2r)、及び、12r(=8r+4r)である。
【0031】
スイッチ4(2)の第1端は、スイッチ1(3)及び2(3)相互間の接続ノードに接続されており、スイッチ4(2)の第2端は、スイッチ1(2)及び2(2)相互間の接続ノードに接続されている。スイッチ4(3)~スイッチ4(n-1)についても、これと同様である。
【0032】
より一般化して述べると、スイッチ4(k)(ただしk=2、3、…、n-1)の第1端は、スイッチ1(k+1)及び2(k+1)相互間の接続ノードに接続されており、スイッチ4(k)の第2端は、スイッチ1(k)及び2(k)相互間の接続ノードに接続されている。
【0033】
このスイッチ4(k)は、スイッチ1及び2に挟まれた位置で、第k列と第k+1列との間に接続された第4スイッチに相当する。なお、スイッチ4(k)は、2k-1rのオン抵抗値を持つ。例えば、スイッチ4(2)及び4(3)のオン抵抗値は、それぞれ、2r及び4rである。
【0034】
なお、スイッチ3及び4のペア性を鑑み、第1列と第2列との間にダミーのスイッチ4(1)を設けておき、これを常時オフとしてもよい。
【0035】
上記のスイッチ1(1)~1(n)、スイッチ2(1)~2(n)、スイッチ3(1)~3(n-1)、並びに、スイッチ4(2)~4(n-1)は、いずれもトランジスタを用いて構成すればよい。
【0036】
制御部5は、nビットのデジタル入力信号DINに応じて、制御信号S1(1)~S1(n)、制御信号S2(1)~S2(n)、制御信号S3(1)~S3(n-1)、並びに、制御信号S4(2)~S4(n-1)を生成し、スイッチ1(1)~1(n)、スイッチ2(1)~2(n)、スイッチ3(1)~3(n-1)、並びに、スイッチ4(2)~4(n-1)をそれぞれオン/オフさせる。
【0037】
以下、デジタル入力信号DINのLSB[least significant bit]を第1ビットと定義し、MSB[most significant bit]を第nビットと定義した上で、制御部5のスイッチ制御アルゴリズムについて詳述する。
【0038】
スイッチ1(1)~1(n)のオン/オフ制御に着目すると、制御部5は、デジタル入力信号DINの第Pビット(ただしPは1、2、…、nのいずれか)が第1論理値(例えば論理値「1」)を取る最上位のビットであるとき、第P列のスイッチ1(P)をオンして他列のスイッチ1をいずれもオフする。
【0039】
スイッチ2(1)~2(n)のオン/オフ制御に着目すると、制御部5は、デジタル入力信号DINの第Qビット(ただしQは1、2、…、nのいずれか)が第1論理値(例えば論理値「1」)を取る最下位のビットであるとき、第Q列のスイッチ2(Q)をオンして他列のスイッチ2をいずれもオフする。
【0040】
スイッチ3(1)~3(n-1)のオン/オフ制御に着目すると、制御部5は、デジタル入力信号DINの第jビットが第1論理値(例えば論理値「1」)を取るときにスイッチ3(j)をオンし、第2論理値(例えば論理値「0」)を取るときにスイッチ3(j)をオフする。
【0041】
スイッチ4(2)~4(n-1)のオン/オフ制御に着目すると、制御部5は、デジタル入力信号DINの第kビットが第1論理値(例えば論理値「1))を取るときにスイッチ4(k)をオフし、第2論理値(例えば論理値「0」)を取るときにスイッチ4(k)をオンする。
【0042】
図4は、第1実施形態におけるデジタル入力信号DINとスイッチ1~4それぞれのオン/オフ状態及び合成抵抗値Rtotalとの関係を示す図である。なお、本図では、デジタル入力信号DINを3ビットとし、スイッチ1(1)~1(3)、スイッチ2(1)~2(3)、スイッチ3(1)及び3(2)、並びに、スイッチ4(2)のオン/オフ状態が示されている。
【0043】
DIN=1d(001b)である場合、論理値「1」を取る最上位のビットは、第1ビットである。従って、制御部5は、スイッチ1(1)をオンしてスイッチ1(2)及び1(3)をいずれもオフする。また、DIN=1d(001b)である場合、論理値「1」を取る最下位のビットは、第1ビットである。従って、制御部5は、スイッチ2(1)をオンしてスイッチ2(2)及び2(3)をいずれもオフする。従って、ノード11及び12相互間は、スイッチ1(1)及び2(1)を介して導通される。その結果、ノード11及び12相互間の合成抵抗値Rtotalは、2r(=1r+1r)となる。なお、この場合、スイッチ3(1)及び3(2)、並びに、スイッチ4(2)のオン/オフ状態は不問であるが、先のスイッチ制御アルゴリズムに従うと、スイッチ3(1)及び4(2)がオンされ、スイッチ3(2)がオフされる。
【0044】
DIN=2d(010b)である場合、論理値「1」を取る最上位のビットは、第2ビットである。従って、制御部5は、スイッチ1(2)をオンしてスイッチ1(1)及び1(3)をいずれもオフする。また、DIN=2d(010b)である場合、論理値「1」を取る最下位のビットは、第2ビットである。従って、制御部5は、スイッチ2(2)をオンしてスイッチ2(1)及び2(3)をいずれもオフする。従って、ノード11及び12相互間は、スイッチ1(2)及び2(2)を介して導通される。その結果、ノード11及び12相互間の合成抵抗値Rtotalは、4r(=2r+2r)となる。なお、この場合、スイッチ3(1)及び3(2)、並びに、スイッチ4(2)のオン/オフ状態は不問であるが、先のスイッチ制御アルゴリズムに従うと、スイッチ3(2)がオンされ、スイッチ3(1)及び4(2)がオフされる。
【0045】
DIN=3d(011b)である場合、論理値「1」を取る最上位のビットは、第2ビットである。従って、制御部5は、スイッチ1(2)をオンしてスイッチ1(1)及び1(3)をいずれもオフする。また、DIN=3d(011b)である場合、論理値「1」を取る最下位のビットは、第1ビットである。従って、制御部5は、スイッチ2(1)をオンして、スイッチ2(2)及び2(3)をいずれもオフする。また、デジタル入力信号DINの第1ビットが論理値「1」なので、制御部5は、スイッチ3(1)をオンする。従って、ノード11及び12相互間は、スイッチ1(2)、3(1)及び2(1)を介して導通される。その結果、ノード11及び12相互間の合成抵抗値Rtotalは、6r(=2r+3r+1r)となる。なお、この場合、スイッチ3(2)及び4(2)のオン/オフ状態は不問であるが、先のスイッチ制御アルゴリズムに従うと、スイッチ3(2)がオンされ、スイッチ4(2)がオフされる。
【0046】
DIN=4d(100b)である場合、論理値「1」を取る最上位のビットは、第3ビットである。従って、制御部5は、スイッチ1(3)をオンしてスイッチ1(1)及び1(2)をいずれもオフする。また、DIN=4d(100b)である場合、論理値「1」を取る最下位のビットは、第3ビットである。従って、制御部5は、スイッチ2(3)をオンしてスイッチ2(1)及び2(2)をいずれもオフする。従って、ノード11及び12相互間は、スイッチ1(3)及び2(3)を介して導通される。その結果、ノード11及び12相互間の合成抵抗値Rtotalは、8r(=4r+4r)となる。なお、この場合、スイッチ3(1)及び3(2)、並びに、スイッチ4(2)のオン/オフ状態は不問であるが、先のスイッチ制御アルゴリズムに従うと、スイッチ4(2)がオンされ、スイッチ3(1)及び3(2)がオフされる。
【0047】
DIN=5d(101b)である場合、論理値「1」を取る最上位のビットは、第3ビットである。従って、制御部5は、スイッチ1(3)をオンしてスイッチ1(1)及び1(2)をいずれもオフする。また、DIN=5d(101b)である場合、論理値「1」を取る最下位のビットは、第1ビットである。従って、制御部5は、スイッチ2(1)をオンしてスイッチ2(2)及び2(3)をいずれもオフする。また、デジタル入力信号DINの第1ビットが論理値「1」であり、第2ビットが論理値「0」であるので、制御部5は、スイッチ3(1)及び4(2)をオンしてスイッチ3(2)をオフする。従って、ノード11及び12相互間は、スイッチ1(3)、4(2)、3(1)及び2(1)を介して導通される。その結果、ノード11及び12相互間の合成抵抗値Rtotalは、10r(=4r+2r+3r+1r)となる。
【0048】
DIN=6d(110b)である場合、論理値「1」を取る最上位のビットは、第3ビットである。従って、制御部5は、スイッチ1(3)をオンしてスイッチ1(1)及び1(2)をいずれもオフする。また、DIN=6d(110b)である場合、論理値「1」を取る最下位のビットは、第2ビットである。従って、制御部5は、スイッチ2(2)をオンして、スイッチ2(1)及び2(3)をいずれもオフする。また、デジタル入力信号DINの第2ビットが論理値「1」なので、制御部5は、スイッチ3(2)をオンしてスイッチ4(2)をオフする。従って、ノード11及び12相互間は、スイッチ1(3)、3(2)及び2(2)を介して導通される。その結果、ノード11及び12相互間の合成抵抗値Rtotalは、12r(=4r+6r+2r)となる。なお、この場合、スイッチ3(1)のオン/オフ状態は不問であるが、先のスイッチ制御アルゴリズムに従うと、スイッチ3(1)がオフされる。
【0049】
DIN=7d(111b)である場合、論理値「1」を取る最上位のビットは、第3ビットである。従って、制御部5は、スイッチ1(3)をオンしてスイッチ1(1)及び1(2)をいずれもオフする。また、DIN=7d(111b)である場合、論理値「1」を取る最下位のビットは、第1ビットである。従って、制御部5は、スイッチ2(1)をオンして、スイッチ2(2)及び2(3)をいずれもオフする。また、デジタル入力信号DINの第1ビット及び第2ビットがいずれも論理値「1」なので、制御部5は、スイッチ3(1)及び3(2)をオンしてスイッチ4(2)をオフする。従って、ノード11及び12相互間は、スイッチ1(3)、3(2)、3(1)及び2(1)を介して導通される。その結果、ノード11及び12相互間の合成抵抗値Rtotalは、14r(=4r+6r+3r+1r)となる。
【0050】
図5は、第1実施形態におけるデジタル入力信号DINと合成抵抗値Rtotalとの関係を示す図である。本図で示したように、ノード11及び12相互間の合成抵抗値Rtotalは、先の比較例(図2)と異なり、デジタル入力信号DINのビット切替毎(インクリメント毎)に、2r刻みで誤差なく均一に変化する。このように、第1実施形態の可変抵抗回路10であれば、合成抵抗値Rtotalの精度を高めることが可能となる。
【0051】
また、第1実施形態の可変抵抗回路10において、スイッチ1(1)~1(n)、スイッチ2(1)~2(n)、スイッチ3(1)~3(n-1)、及び、スイッチ4(2)~4(n-1)は、比較例(図2)のスイッチ110~140と異なり、それぞれのオン抵抗値を下げる必要がなく、むしろ、所望の合成抵抗値Rtotalを得るべく、それぞれに適切なオン抵抗値が設定されている。そのため、各スイッチとして用いられるトランジスタのサイズについては、これを大幅に縮小することができる。さらに、第1実施形態の可変抵抗回路10であれば、比較例(図2)で用いられていた多数の抵抗110、121~122、131~134、及び、141~148も不要となる。以上より、可変抵抗回路10の省面積化を実現することが可能となる。
【0052】
<第2実施形態>
図6は、可変抵抗回路の第2実施形態を示す図である。本実施形態の可変抵抗回路10は、先出の第1実施形態(図3)をベースとしつつ、スイッチ1(1)~1(n)とスイッチ2(1)~2(n)との相互間に、抵抗6(1)~6(n)がそれぞれ挿入されている。なお、第i列の抵抗6(i)は、2i-1Rの抵抗値を持つ。例えば、抵抗6(1)、6(2)及び6(3)の抵抗値は、それぞれ、1R、2R及び4Rである。抵抗6(1)~6(n)としては、ゲートに一定のバイアス電圧(=オン電圧)が印加されたトランジスタを用いてもよいし、或いは、ポリシリコン抵抗などの抵抗素子を用いてもよい。
【0053】
次に、抵抗6(1)~6(n)とスイッチ3(1)~3(n-1)、及び、スイッチ4(2)~スイッチ4(n-1)との接続関係について述べる。
【0054】
スイッチ3(j)は、抵抗6(j)の高電位端(=スイッチ1(j)との接続ノード)と、抵抗6(j+1)の低電位端(=スイッチ2(j+1)との接続ノード)との間に接続されている。
【0055】
スイッチ4(k)は、抵抗6(k)の低電位端(=スイッチ2(k)との接続ノード)と、抵抗6(k+1)の低電位端(=スイッチ2(k+1)との接続ノード)との間に接続されている。
【0056】
図7は、第2実施形態におけるデジタル入力信号DINとスイッチ1~4それぞれのオン/オフ状態及び合成抵抗値Rtotalとの関係を示す図である。本図では、先の図4と同じく、デジタル入力信号DINを3ビットとし、スイッチ1(1)~1(3)、スイッチ2(1)~2(3)、スイッチ3(1)及び3(2)、並びに、スイッチ4(2)のオン/オフ状態が示されている。ただし、各スイッチのオン/オフ状態自体は、先の図4と何ら変わらないので、重複した説明を割愛し、以下では、抵抗6(1)~6(3)の挿入に伴う合成抵抗値Rtotoalの変化について、重点的に説明する。
【0057】
DIN=1d(001b)である場合、ノード11とノード12との間は、スイッチ1(1)、抵抗6(1)、及び、スイッチ2(1)を介して導通される。その結果、合成抵抗値Rtotalは、R+2r(=1r+1R+1r)となる。
【0058】
DIN=2d(010b)である場合、ノード11とノード12との間は、スイッチ1(2)、抵抗6(2)、及び、スイッチ2(2)を介して導通される。その結果、合成抵抗値Rtotalは、2(R+2r)(=2r+2R+2r)となる。
【0059】
DIN=3d(011b)である場合、ノード11とノード12との間は、スイッチ1(2)、抵抗6(2)、スイッチ3(1)、抵抗6(1)、及び、スイッチ2(1)を介して導通される。その結果、合成抵抗値Rtotalは、3(R+2r)(=2r+2R+3r+1R+1r)となる。
【0060】
DIN=4d(100b)である場合、ノード11とノード12との間は、スイッチ1(3)、抵抗6(3)、及び、スイッチ2(3)を介して導通される。その結果、合成抵抗値Rtotalは、4(R+2r)(=4r+4R+4r)となる。
【0061】
DIN=5d(101b)である場合、ノード11とノード12との間は、スイッチ1(3)、抵抗6(3)、スイッチ4(2)、スイッチ3(1)、抵抗6(1)、及び、スイッチ2(1)を介して導通される。その結果、合成抵抗値Rtotalは、5(R+2r)(=4r+4R+2r+3r+1R+1r)となる。
【0062】
DIN=6d(110b)である場合、ノード11とノード12との間は、スイッチ1(3)、抵抗6(3)、スイッチ3(2)、抵抗6(2)、及び、スイッチ2(2)を介して導通される。その結果、合成抵抗値Rtotalは、6(R+2r)(=4r+4R+6r+2R+2r)となる。
【0063】
DIN=7d(111b)である場合、ノード11とノード12との間は、スイッチ1(3)、抵抗6(3)、スイッチ3(2)、抵抗6(2)、スイッチ3(1)、抵抗6(1)、及び、スイッチ2(1)を介して導通される。その結果、合成抵抗値Rtotalは、7(R+2r)(=4r+4R+6r+2R+3r+1R+1r)となる。
【0064】
図8は、第2実施形態におけるデジタル入力信号DINと合成抵抗値Rtotalとの関係を示す図である。本図で示したように、ノード11及び12相互間の合成抵抗値Rtotalは、デジタル入力信号DINのビット切替毎(インクリメント毎)に、R+2r刻みで誤差なく均一に変化する。このように、先の第1実施形態と同様、第2実施形態の可変抵抗回路10においても、合成抵抗値Rtotalの精度を高めることができる。
【0065】
<オフセット設定回路>
図9は、これまでに説明してきた可変抵抗回路10が適用されるオフセット設定回路の一構成例を示す図である。本図のオフセット設定回路20は、電流源21及び22と、可変抵抗23及び24(それぞれ、抵抗値R1及びR2)と、PMOSFET[P-channel type metal-oxide-semiconductor field effect transistor]25及び26と、オペアンプ30(またはコンパレータと理解してもよい)と、を有する。
【0066】
PMOSFET25のゲートには入力信号IN1が入力される。PMOSFET26のゲートには入力信号IN2が入力される。PMOSFET25及び26それぞれのドレインは、接地端に接続されている。PMOSFET25のソースは、可変抵抗23の第1端に接続されている。PMOSFET26のソースは、可変抵抗24の第1端に接続されている。電流源21及び22それぞれの第1端は、電源端に接続されている。電流源21及び可変抵抗23それぞれの第2端は、オペアンプ30の非反転入力端(+)に接続されている。電流源22の及び可変抵抗24それぞれの第2端は、オペアンプ30の反転入力端(-)に接続されている。オペアンプ30の出力端から出力信号OUTが出力される。
【0067】
可変抵抗23の両端間には、電流源21から供給される電流I1に応じたオフセット電圧V1(=I1×R1)が生じる。従って、オペアンプ30の非反転入力端(+)には、IN1+Vth1+V1(ただしVth1はPMOSFET25のオンスレッショルド電圧)が入力される。
【0068】
また、可変抵抗24の両端間には、電流源22から供給される電流I2に応じたオフセット電圧V2(=I2×R2)が生じる。従って、オペアンプ30の反転入力端(-)には、IN2+Vth2+V2(ただしVth2はPMOSFET26のオンスレッショルド電圧)が入力される。
【0069】
ここで、Vth1=Vth2である場合、オペアンプ30には、オフセット電圧V1及びV2に応じた入力オフセット(=V1-V2)が与えられることになる。このようにして付与されるオペアンプ30の入力オフセットは、可変抵抗23及び24それぞれの抵抗値R1及びR2に応じて、任意に調整(リペア)することができる。特に、可変抵抗23及び24として、これまでに説明してきた可変抵抗回路10を適用することにより、オフセットリペアの線形性を高めることが可能となる。
【0070】
<その他の変形例>
なお、本明細書中に開示されている種々の技術的特徴は、上記実施形態のほか、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本明細書中に開示されている可変抵抗回路は、例えば、オフセットリペア用の可変抵抗として利用することが可能である。
【符号の説明】
【0072】
1(1)~1(n) 第1スイッチ
2(1)~2(n) 第2スイッチ
3(1)~3(n-1) 第3スイッチ
4(2)~4(n-1) 第4スイッチ
5 制御部
6(1)~6(n) 抵抗
10 可変抵抗回路
11 第1ノード
12 第2ノード
20 オフセット設定回路
21、22 電流源
23、24 可変抵抗
25、26 NMOSFET
30 オペアンプ(またはコンパレータ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9