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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-25
(45)【発行日】2022-11-02
(54)【発明の名称】植物による有用タンパク質の生産方法
(51)【国際特許分類】
   C12P 21/02 20060101AFI20221026BHJP
   C07K 14/415 20060101ALI20221026BHJP
   A01H 5/00 20180101ALI20221026BHJP
   A01H 6/82 20180101ALI20221026BHJP
   A01H 6/14 20180101ALI20221026BHJP
   A01H 6/46 20180101ALI20221026BHJP
   A01H 6/54 20180101ALI20221026BHJP
【FI】
C12P21/02 C ZNA
C07K14/415
A01H5/00 A
A01H6/82
A01H6/14
A01H6/46
A01H6/54
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018553684
(86)(22)【出願日】2017-09-29
(86)【国際出願番号】 JP2017035383
(87)【国際公開番号】W WO2018100866
(87)【国際公開日】2018-06-07
【審査請求日】2020-09-25
(31)【優先権主張番号】P 2016233319
(32)【優先日】2016-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000253503
【氏名又は名称】キリンホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小原 一朗
(72)【発明者】
【氏名】大川 博志
【審査官】小林 薫
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-504317(JP,A)
【文献】特表2009-528025(JP,A)
【文献】特開2015-154769(JP,A)
【文献】国際公開第2014/147869(WO,A1)
【文献】特開2001-190267(JP,A)
【文献】特開平08-037970(JP,A)
【文献】特開平07-135869(JP,A)
【文献】経済産業省、第2回植物機能を活用した高度モノ作り基盤技術開発/植物利用高付加価値植物質製造基盤技術開発プロジェクト事後評価検討会、評価報告書(案)、[online], 2015, [retrieved on 2017-12-13], <URL:http://www.meti.go.jp/policy/tech_evaluation/c00/C0000000H23/111206_syokubutsu2/111206_syokubutsu2.htm>
【文献】Nature Biotechnology, 1999, Vol.17, No.5, pp.466-469
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 1/00- 7/08
C12N 15/00-15/90
C07K 1/00-19/00
C12P 1/00-41/00
A01H 1/00-17/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器内において、有用タンパク質の生産が可能な植物体であって安定な遺伝子組換え植物体全体の50%以上を、培養期間を通じて液体培地に浸漬させたまま培養し、植物体を増殖させ前記有用タンパク質の生産を遺伝子組換え植物体の液体培地常時浸漬部位で行わせ、増殖させた植物体の液体培地常時浸漬部位から前記有用タンパク質を抽出または分離する工程を含み、植物体が苗である、植物による有用タンパク質の生産方法。
【請求項2】
生産される有用タンパク質が、医療用タンパク質または産業用タンパク質である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
タンパク質が構成的発現プロモーターを用い発現されるものである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
使用する植物種が、ジャガイモ、レタス、タバコ、トマト、イネ、オオムギ、コムギ、ダイズ、およびトウモロコシからなる群より選択されるいずれかである、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
植物体の培養および増殖を、無菌化した容器内において行う、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
容器が、袋型培養槽である、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の参照】
【0001】
本願は、先行する日本国特許出願である特願2016-233319号(出願日:2016年11月30日)に基づくものであって、その優先権の利益を主張するものであり、その開示内容全体は参照することによりここに組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、植物による物質の生産方法に関する。すなわち、本発明は、植物を液体浸漬状態で継続的に培養することにより、安定的かつ効率的に有用タンパク質を生産する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
植物バイオテクノロジーの進展に伴い、植物の一次代謝および二次代謝の機能を利用した各種の有用物質の生産およびその検討が盛んに行われている。
【0004】
従来、有用タンパク質などの有用物質は、微生物等の生物材料からの分離精製、大型発酵槽を使用した微生物の大量培養や、動物細胞大量培養などの技術、および遺伝子組換え技術などを利用して、生産が行われている。ところがこれらの技術には、多額の設備投資が必要である他、高いランニングコストや動物由来病原体や大腸菌由来毒素等の混入リスクがあるなど、依然として課題が残るものであった。
【0005】
植物を用いた生産によれば、動物由来病原体や大腸菌由来毒素等の混入リスクが無く、従来からの食経験から安全が保証されている場合も多い。さらに、従来から食用に用いられてきた植物を使用すれば、生産された有用タンパク質を分離精製することなく、有用タンパク質が蓄積された植物自体または果実等その部分を直接、摂取させることも可能である。このため、植物を物質生産に活用することへの期待が高まっている。
【0006】
植物体による物質生産法としては、圃場や温室での栽培や室内での固体培地培養が一般的に知られている(例えば、国際公開公報WO2015/156340号パンフレット(特許文献1))。圃場や温室での栽培のためには大量の種子や苗を準備する必要があり、生育ステージによって苗のポットを移動させたり、植え替えたりといった作業が必要となる。また植物体が遺伝子組換え体であったり、アグロバクテリウムによる一過性発現を用いたりする場合には、隔離圃場や閉鎖系温室等の環境への拡散防止策がとられた設備や手間が必要となる。一方、室内での固体培地培養では一般的に人手で継代増殖作業を行う必要があるため、大量の有用物質生産のためには、植物体の増殖のために多額の人件費がかかるといった課題がある。
【0007】
また、植物細胞培養を利用した有用物質の生産技術も、従来より検討されている。
例えば、特表2008-525454号公報(特許文献2)には、抗体を製造するように遺伝子改変された植物細胞を、懸濁培養により増殖させ、抗体を生産するシステムが提案されている。しかしながら、植物では分化した組織や器官で特異的に有用物質の生産及び蓄積を行うことが知られている。二次代謝産物でいえば、例えばオウレンのベルべリンは根茎に、ムラサキのシコニンは根に特異的に蓄積されるし、タンパク質の例では、種子に貯蔵タンパク質として蓄積されること等が知られている。従って、脱分化した培養細胞を用いた場合は、植物組織の場合よりも、有用タンパク質の生産効率において劣る問題がある。
【0008】
また、アグロバクテリウム・リゾジェネス(Agrobacterium rhizogenes、または、Rhizobium rhizogenes)を利用して植物に毛状根を生成・増殖させて有用物質を生産することも従来試みられてきた(日本農芸化学会誌 Vol. 65 (1991) No. 7, P.1127-1128(非特許文献1))。この方法は、根特異的に生産される有用物質の生産に適しているとされるが、汎用性に欠け、扱いも手間がかかるため、実用化された事例はほとんど知られていない。
【0009】
さらに最近、「一時的液体浸漬培養系」を用いた有用物質の生産方法について報告がされている(特表2013-504317号公報(特許文献3))。「一時的液体浸漬培養系」については、例えば、H.Etienne等による文献(Plant cell, Tissue and Organ Culture 69, pp.215-231, 2002(非特許文献2))に詳しく報告がされており、植物苗の増殖法として広く利用されている。しかしながら、このような一時的液体浸漬培養系を用いて植物を増殖し有用タンパク質を大量生産する場合、多数の特殊な培養容器等の設備や手間が必要であり、あまり汎用性の高い手段ではない。
【0010】
一方で、植物体の液体培養による大量増殖に関する技術としては、過去に、バレイショでの種イモ生産等の種苗分野の応用例の報告が僅かにあるのみであり(特許第2904924号公報(特許文献4))、本発明者らの知る限り、これをさらに有用物質の生産に応用させた例は知られていない。
【0011】
以上のように、植物による有用タンパク質の生産効率の向上を達成しうる手段の提供が引き続き望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】国際公開公報WO2015/156340号パンフレット
【文献】特表2008-515454号公報(又は、国際公開公報WO2006/040764号パンフレット)
【文献】特表2013-504317号公報(又は、国際公開公報WO2011/030083号パンフレット)
【文献】特許第2904924号公報
【非特許文献】
【0013】
【文献】日本農芸化学会誌 Vol. 65 (1991) No. 7, P.1127-1128
【文献】Plant cell, Tissue and Organ Culture 69, pp.215-231, 2002
【発明の概要】
【0014】
本発明者らは今般、植物体を液体浸漬状態で培養することによって、単位容器空間あたりの有用タンパク質生産量が高まりを効率的に生産できることを発見した。さらに、このとき、一連の過程を、液体浸漬培養条件下において実施することによって、増殖された植物体における総タンパク量当たりの目的タンパク量の比率が予想外にも高まることを見出した。このように、一連の過程を、液体浸漬培養条件下において、継続した培養を行うことにより、有用タンパク質の生産をより一層効率的に行うことに成功した。このために、温室栽培で実施するような植え替えや、苗のポットの移動が不要となり、作業全体が簡便となり作業効率を高めることができた。さらに、液体浸漬培養により植物体の成長速度を速めることで、時間的な生産効率をも高めることができた。
【0015】
また、有用物質生産に遺伝子組換え植物体を用いる場合には特別に許可を得ない限りは規制により閉鎖系に封じ込める必要がある。本発明者等による手法によれば、一連の過程を液体浸漬培養条件のみで実現可能であることから、閉鎖系または準閉鎖系での培養による物質生産を、簡便かつ容易にすることができる。例えば、本発明者等の手法で使用されうる袋型培養槽のような培養槽を用いた場合には、個々の袋が閉鎖系であるために、遺伝子組換え植物体の封じ込めが、一層、簡便かつ容易であった。
【0016】
本発明はこれらの知見に基づくものである。
【0017】
よって、本発明は、液体培養条件において、植物を用いて、有用な物質である目的タンパク質を、安定的かつ、効率的に生産する方法を提供することをその目的とする。
【0018】
すなわち、本発明によれば、以下の発明が提供される。
【0019】
<1> 容器内において、有用タンパク質の生産が可能な植物体の少なくとも一部を、液体培地に浸漬させたまま培養し、植物体を増殖させることを含む、植物による有用タンパク質の生産方法。
【0020】
<2> 植物体が、有用タンパク質の生産が可能なように改変された植物体である、前記<1>の方法。
【0021】
<3> 植物体が、安定な遺伝子組換え植物である、前記<1>または<2>の方法。
【0022】
<4> 生産される有用タンパク質が、医療用タンパク質または産業用タンパク質である、前記<1>~<3>のいずれかの方法。
【0023】
<5> タンパク質が構成的発現プロモーターを用い発現されるものである、前記<1>~<4>のいずれかの方法。
【0024】
<6> 増殖させた植物体から、有用タンパク質を抽出または分離する工程をさらに含む、前記<1>~<5>のいずれかの方法。
【0025】
<7> 使用する植物種が、ジャガイモ、レタス、タバコ、トマト、イネ、オオムギ、コムギ、ダイズ、およびトウモロコシからなる群より選択されるいずれかである、前記<1>~<6>のいずれかの方法。
【0026】
<8> 植物体の培養および増殖を、無菌化した容器内において行う、前記<1>~<7>のいずれかの方法。
【0027】
<9> 容器が、袋型培養槽である、前記<1>~<8>のいずれかの方法。
【0028】
<10> 複数の容器を用いて植物を大量培養して、有用タンパク質を大量生産する、前記<1>~<9>のいずれかの方法。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、植物を用いて、目的とする有用タンパク質を効率的に生産することができる。すなわち、本発明によれば、温室栽培や固体培地培養等と比較して、所要資源、労力、時間などの観点を総合して、目的タンパク質の生産効率を高めることができる。換言すると、本発明によれば、植物体を液体浸漬状態で培養することによって、単位容器空間あたりの有用タンパク質生産量を高めることができる。その結果、本発明によれば、生産コストの低減を図ることができる。また、本発明の方法によれば、一連の過程を、液体浸漬培養条件下において実施することにより、植物体における総タンパク質量当たりの目的タンパク質含量の比率を大幅に高めることができる。その結果、本発明によれば、抽出コストの低減が期待でき、有用タンパク質の生産をより一層効率的に行うことが可能となる。このため、本発明による方法は、目的タンパク質の実生産上有用なタンパク生産法であるといえる。
【0030】
また本発明によれば、温室栽培で実施するような植え替えや、苗のポットの移動が不要となり、作業全体が簡便となり作業効率を高めることができる。さらに、液体浸漬培養により植物体の成長速度を速めることで、時間的な生産効率をも高めることができる。
【0031】
これらのことから、本発明によれば、目的とする物質の生産をより効率的かつ低コスト、かつ安全に行うことが可能である。また、遺伝子組換え体は規制により閉鎖系に封じ込めることが必要であるが、袋型培養槽のような容器を用いた場合には、個々の容器を閉鎖系とできるために、遺伝子組換え体の封じ込めが容易であり、より一層、簡便に作業を実施できる。
【0032】
さらに、適切なプロモーターを選択して発現・蓄積部位を限定することができれば、生産された有用タンパク質の分離精製も比較的容易である場合が多い。また、従来より食用に用いられてきた植物部位を使用すれば、分離精製することなく、有用タンパク質が生産され蓄積した植物自体またはその部分を直接、摂取させることも可能である。本発明によれば、これらの点も容易に実現可能であるといえる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】実施例1で行った実験結果を示す。具体的には、培養方法の違いによる植物体(ばれいしょ)の成長量の比較を示す。
図2】実施例2で行った実験結果を示す。具体的には、液体培地量の違いによる植物体(ばれいしょ)の成長量の比較を示す。
図3】実施例2で行った実験結果を示す。具体的には、袋型培養槽あたりのGUS生産量を示す。
図4】実施例3で行った実験結果を示す。具体的には、袋型培養槽の気相部と液相部のGUS活性(葉)を示す。
図5】実施例3で行った実験結果を示す。具体的には、袋型培養槽の気相部と液相部のGUS活性(茎)を示す。
図6】実施例4で行った実験結果を示す。具体的には、液体浸漬培養と土耕のGUS活性(葉)を示す。
図7】実施例5で行った実験結果を示す。具体的には、培養方法の違いによる同一容器での植物体(レタス)の成長量の比較を示す。
図8】実施例5で行った実験結果を示す。具体的には、培養方法の違いによるGUS活性の比較を示す。
図9】実施例5で行った実験結果を示す。具体的には、同一容器あたりのGUS生産量(4週間)を示す。
図10】実施例5で行った実験結果を示す。具体的には、培養方法の違いによるトランスフェリン含有量の比較を示す。
図11】実施例5で行った実験結果を示す。具体的には、同一容器あたりのトランスフェリン生産量(4週間)を示す。
図12】使用状態における単一の容器(袋型培養槽)の一例を示す。
図13】培養袋(袋型培養槽)を用いて有用タンパク質を大量生産している状態の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0035】
本発明は、前記したように、容器内において、有用タンパク質の生産が可能な植物体の少なくとも一部を、液体に浸漬させたまま培養して、植物体を増殖させることを含む、植物による有用タンパク質の生産方法に関する。
本発明の好ましい態様によれば、この方法は、液体培養条件下にて行われる。
【0036】
ここで有用タンパク質の生産には、目的遺伝子として有用タンパク質をコードする遺伝子を導入し、その発現により有用タンパク質を得ること、および、目的遺伝子の発現により特定の遺伝子発現を制御することで、目的の有用タンパク質の生産量を増加させること等が包含される。
【0037】
本発明において使用される植物は、有用タンパク質の生産が可能な植物である。したがって、本発明で使用可能な植物は、有用タンパク質を生産可能なように遺伝子組換え技術などにより遺伝的に改変された植物や、有用タンパク質を生産するように改変されたウイルスベクターが導入された植物等のように、有用タンパク質の生産が可能なように改変された植物体や、有用タンパク質の生産が可能な特性をもった天然の植物や、そのような特性を保持するように育種された品種などであってもよい。
【0038】
本発明の好ましい態様によれば、植物は、有用タンパク質の生産が可能なように改変された植物であり、特に好ましい態様としては、安定な遺伝子組換え植物である。
【0039】
本発明で用いることができる植物種としては、有用タンパク質の生産が可能なものであれば特に制限はない。望ましくは、植物種としては、アグロバクテリウム法やパーティグルガン法などによる形質転換が可能な植物であり、目的遺伝子を安定発現する植物である。例えば、双子葉植物と単子葉植物が挙げられる。具体的には、双子葉植物としては、ナス科植物(ジャガイモ(ばれいしょ)、タバコ、ベンサミアナタバコ、トマト等)、アブラナ科植物(ルッコラ、コマツナ、ミズナ、カラシナ、シロイズナズナ等)、キク科植物(レタス、アーティチョーク等)、マメ科植物(アルファルファ、ダイズ等)、アカザ科植物(ホウレンソウ、テンサイ等)、シソ科植物(シソ、バジル等)、セリ科植物(ニンジン、ミツバ等)、ウリ科(メロン、スイカ、キュウリ、カボチャ等)、アオイ科植物(ワタ等)、が挙げられる。また単子葉植物としては、イネ科植物(イネ、コムギ、オオムギ、トウモロコシ等)、サトイモ科(サトイモ、コンニャク等)、ユリ科(タマネギ、ネギ、アスパラガス等)が挙げられる。また、形質転換に用いる植物としては必ずしも野生型である必要ではなく、遺伝子組換え植物も使用することが可能である。例えば、有用タンパク質として糖タンパク質を想定した場合に、ヒト型の糖転移酵素を発現する組換え植物などを形質転換に用いることもできる。
【0040】
本発明の好ましい態様によれば、用いられる植物種は、ジャガイモ、レタス、タバコ、トマト、イネ、オオムギ、コムギ、ダイズ、およびトウモロコシからなる群より選択されるいずれかであり、より好ましくは、ジャガイモ、レタス、タバコ、およびイネからなる群より選択されるいずれかである。
【0041】
なお本発明において「植物体」とは、植物の器官、部分、および部位を意味し、例えば、葉、茎、根(不定根を含む)、芽(不定芽を含む)、花弁、子葉、胚軸、葯、胚(不定胚を含む)、種子、実、地下茎、塊根、塊茎、球根など、およびそれらの一部が含まれる。このとき、典型的には、「植物体」は、植物体から分離しても分枝、伸長するような改変部位(例えば、毛状根培養における毛状根)は包含されない意味で使用される。換言すると、「植物体」は、典型的には、植物体であって毛状根を除く(または毛状根のみを除く)ものであることができる。好ましくは、「植物体」は、脱分化した細胞、細胞塊(カルス)、分化した植物の器官、組織、部分および/または部位を意味する。
【0042】
本発明においては、植物体の少なくとも一部を、液体培地に浸漬させた状態で培養する。
【0043】
ここでいう「少なくとも一部」とは、植物体の全体を含む他、前記した植物の器官、部分、および部位のいずれか、またはその組合せの他に、植物の器官、部分、および部位の一部である場合も包含される。
【0044】
ここで「液体培地」とは、植物を良好に増殖するための、植物の増殖に必須の炭素源、窒素源等の栄養素を含み、浸透圧およびpHが適宜調整された液体であって、植物組織培養技術において公知の液体基本培地またはその改変培地、または一部成分を削除した培地であることができる。そのような公知の培地の例としては、Whiteの培地(植物細胞工学入門(学会出版センター)p20~p36に記載)、Hellerの培地(Heller R, Bot. Biol. Veg. Paris 14 1-223(1953))、SH培地(SchenkとHildebrandtの培地)、MS培地(MurashigeとSkoogの培地)(植物細胞工学入門(学会出版センター)p20~p36に記載)、LS培地(LinsmaierとSkoogの培地)(植物細胞工学入門(学会出版センター)p20~p36に記載)、Gamborg培地、B5培地(植物細胞工学入門(学会出版センター)p20~p36に記載)、MB培地、および、WP培地(Woody Plant:木本類用)等の基本培地が挙げられる。
【0045】
液体培地のpHは、植物にあわせて適宜調整することができるが、5.0~6.5が好ましい。
【0046】
液体培地の使用量は、培養期間を通じて植物体の少なくとも一部が浸漬される状態が継続できる量であれば良く、容器の大きさにあわせて適宜調整できるが、後の実施例に記載するように、液体に浸漬された状態の方が有用タンパク質の生産上有利であるため、多い方が好ましい。例えば、植物体の全体の50%以上、より好ましくは75%以上が培養期間を通じて浸漬されるような量で、液体培地を使用するのが好ましい。
【0047】
本発明において、使用する植物体が、有用タンパク質の生産が可能なように遺伝的に改変された植物体である場合、目的遺伝子を導入することにより得られたものであることが好ましい。通常、目的遺伝子は、目的遺伝子を含む発現可能な核酸構築物として、植物体に導入される。
【0048】
本発明において、目的遺伝子とは、植物またはその部分に導入する遺伝子を意味する。目的遺伝子としては、植物に導入された結果、当該植物の遺伝的形質を変化させ得るものであれば特に限定されるものではなく、導入される植物以外の生物由来の遺伝子であってもよく、人工的に作製した遺伝子であってもよい。人工的に作製した遺伝子としては、例えば、2種類以上の遺伝子をつなぎ合わせたキメラ遺伝子であってもよく、いずれかの生物が有する遺伝子を変異させた変異遺伝子であってもよい。変異遺伝子としては、例えば、遺伝子を構成するDNAの塩基配列のうちの一部の塩基を欠損させたものであってもよく、置換させたものであってもよい。また、該塩基配列の途中に部分塩基配列を挿入したものであってもよい。
【0049】
目的遺伝子を植物内で過剰発現させるには、該遺伝子を適当なプロモーターの下流に機能的に連結し、得られた核酸構築物を公知の手法によって植物細胞に導入すればよい。本発明の好ましい態様によれば、構成的発現プロモーターを用いることができる。このような構成的発現プロモーターとしては、例えば、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)の35Sプロモーター、イネのアクチンプロモーターやElongation factor 1βプロモーター、トウモロコシのユビキチンプロモーターなどを挙げることができるが、これらに限定されず、目的の組織にあわせて選択し使用すればよい。また、目的遺伝子を過剰発現させ、有用タンパク質を特定のオルガネラに蓄積させる、あるいは細胞外に分泌させることもでき、そのために適当なシグナルペプチドを付与することも可能である。
【0050】
目的遺伝子はまた、好適には、マーカー遺伝子、場合により、レポーター遺伝子とともにベクターに組み込まれる。マーカー遺伝子としては、カナマイシン耐性遺伝子(nptII)、ハイグロマイシン耐性遺伝子(hptI)、ブレオマイシン耐性遺伝子等の薬剤耐性遺伝子を挙げることができる。植物体での発現位置を確認するためのレポーター遺伝子としては、ルシフェラーゼ遺伝子、GUS(βグルクロニダーゼ)遺伝子、GFP(緑色蛍光タンパク質)、RFP(赤色蛍光タンパク質)等を挙げることができる。したがって、本発明の発現可能な核酸構築物は、プロモーターや、マーカー遺伝子、レポーター遺伝子などともに目的遺伝子を含むことができる。
【0051】
目的遺伝子を含む発現可能な核酸構築物を、植物細胞へ導入する手法としては、例えば、アグロバクテリウム法、パーティクルガン法、ウイスカー法、フローラルディップ法等がある。
【0052】
アグロバクテリウム法を例に、導入手法を以下に説明する。
アグロバクテリウム法では、目的遺伝子を含む発現可能な核酸構築物を含むアグロバクテリウム菌を、植物に接種する。接種に使用するアグロバクテリウム菌の調製方法は以下の通りである。
【0053】
使用可能なアグロバクテリウムとしては、含有する核酸構築物を植物細胞に導入させることができる微生物であれば特に限定されるものではないが、例えば、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens、または、Rhizobium radiobacter)またはアグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes、または、Rhizobium rhizogenes)が挙げられる。好ましくはアグロバクテリウム・ツメファシエンスである。
【0054】
目的遺伝子を含む発現可能な核酸構築物を含むアグロバクテリウムは、従来公知の何れの手法を用いて作製することができる。
【0055】
例えば、アグロバクテリウムが有するTiプラスミドのT-DNA領域と相同組み換え可能なプラスミドに、標的遺伝子等を組み込んだ標的遺伝子組み換え中間ベクターを作製し、該標的遺伝子組み換え中間ベクターをアグロバクテリウムに導入してもよい。また、アグロバクテリウム法において汎用されているバイナリーベクターに標的遺伝子等を組み込んだ標的遺伝子バイナリーベクターをアグロバクテリウムに導入してもよい。
【0056】
すなわち、本発明でいう発現可能な核酸構築物とは、アグロバクテリウムを感染させた植物内で目的遺伝子を発現可能なように設計された核酸による構築物のことであり、例えば、このような核酸構築物としては、目的遺伝子を含むベクター、プラスミド等をいう。
【0057】
バイナリーベクターの具体例として、pBI系ベクター(例えば、pRiceFOX)、pPZP系ベクター(Plant Molecular Biology 25(6): 989-94. (1994))、pCAMBIA系ベクター(ベクター骨格:pPZPベクター)、pSMA系ベクター(Plant Cell Reports 19: 448-453. (2000))を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0058】
本発明において、有用タンパク質の生産が可能なように改変された植物体としては、安定な(stable)遺伝子組換え植物の植物体の他、ウイルスベクターが導入された植物体等が挙げられるが、好ましくは、遺伝子組換え植物、すなわち、安定な遺伝子組換え植物である。
【0059】
なおここで、安定な(stable)遺伝子組換え植物とは、安定形質転換体をいい、前記した遺伝子組換え植物の遺伝子導入手法に従って得られた植物体を、一定の代数、継代し、所定のマーカー等を指標にして選抜を繰り返して、導入された遺伝子が植物体全体で安定して保持されるようになった植物をいう。
【0060】
本発明における目的遺伝子としては、その発現により有用物質としてのタンパク質が得られる遺伝子であり、そのような有用タンパク質として、医療用タンパク質、産業用タンパク質などが挙げられる。
【0061】
医療用タンパク質としては、治療用タンパク質と診断タンパク質に分類され、治療用タンパク質としては、ペプチド、ワクチン、抗体、酵素、ホルモン(好ましくはペプチドホルモン)などが例示され、より具体的には、ワクチンとして使用されるウイルスタンパク質、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、エリスロポエチン(EPO)、トロンボポエチン等の造血因子、上皮成長因子(EGF)、インスリン様成長因子(IGF)、トランスフォーミング成長因子(TGF)、神経成長因子(NGF)、塩基性繊維芽細胞増殖因子(bFGF)、血小板由来成長因子(PDGF)のような成長因子、インターフェロン、インターロイキン(IL)-1やIL-6等のサイトカイン、モノクローナル抗体またはその断片、組織プラスミノーゲン活性化因子(TPA)、ウロキナーゼ、血清アルブミン、血液凝固第VIII因子、レプチン、インシュリン、幹細胞成長因子(SCF)などが例示される。なおここでは治療用には、予防用も含む意味で使用されている。また、診断タンパク質としては、抗体、酵素、ホルモン等が例示される。
【0062】
ワクチンとして使用されるウイルスタンパク質として好ましくは、ウイルス様粒子(VLP)の構成タンパク質が挙げられる。VLPの構成タンパク質は単一のタンパク質でもよいし、1つ以上のタンパク質を含んでもよい。ウイルスとしては、インフルエンザウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヒトC型肝炎ウイルス(HCV)、ヒトB型肝炎ウイルス(HBV)などが挙げられ、インフルエンザウイルスのVLPの構成タンパク質としてはインフルエンザヘマグルチニン(HA)タンパク質などが例示される。
【0063】
産業用タンパク質とは、食品、飼料、化粧品、繊維、洗剤、化学品などに用いられるタンパク質であり、ペプチド、酵素、機能性タンパク質が例示される。具体的には、プロテアーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、アミラーゼ、アルブミン、ペプチダーゼ、ルシフェラーゼ、ラクタマーゼ、コラーゲン、ゼラチン、ラクトフェリン、トランスフェリン、クラゲ緑色蛍光タンパク質(GFP)、βグルクロニダーゼ(GUS)などが例示される。
【0064】
本発明においては、液体培地に浸漬させた植物体の少なくとも一部を、浸漬させたまま培養し、植物体として増殖させる。すなわち、本発明においては、浸漬させた植物体を培養する際には、培地への接触を間欠的に繰り返すようなことは行わず、継続的に培地に浸漬させる。
【0065】
本発明の方法を実施する環境条件
本発明の方法は、植物体の液体培養を継続的に実施できるような環境で行うことが望ましい。
したがって、植物体の液体培地液体無菌もしくはそれに準じる環境であることが好ましい。
【0066】
本発明の方法を実施する場合の温度、湿度、二酸化炭素濃度、光照射などの条件については、植物体が生育し、増殖可能な条件であれば、特に制限はない。
【0067】
例えば、温度条件としては、植物の種類や使用する部位にもよるが、通常10℃以上、好ましくは20℃以上であり、また、通常40℃以下、好ましくは30℃以下であることができる。
【0068】
また湿度条件は、好ましくは50%以上であり、また、通常100%以下である。
【0069】
二酸化炭素の濃度条件は、通常300ppm以上、好ましくは500ppm以上であり、また、通常5000ppm以下、好ましくは3000ppm以下であることができる。
【0070】
光照射条件については、暗所または明所を適宜選択できる。明所条件において使用される光源としては、特に制限されないが、太陽光、蛍光灯、LED、冷陰極蛍光ランプ(CCFL、HEFL)、無機・有機EL等を例示することができる。
【0071】
光強度としては、光合成有効光量子束密度(PPFD)等を測定することで評価できる。PPFDとは、光合成に有効な可視領域400~700nmの光の単位時間、単面積当たりの光量子数で表され、単位は、μmol・m-2・s-1である。PPFDは、通常2000μmol・m-2・s-1以下、好ましくは、1500μmol・m-2・s-1以下、さらに好ましくは、1000μmol・m-2・s-1以下で実施される。ここで、PPFDは、光量子計などを用いて測定することができる。
【0072】
植物体の増殖時間については、通常30から90日であるが、植物種や投入する植物体や液体培地の量、その他環境条件等により異なり、容器内での植物体の増殖量や老化の有無等を考慮して適宜調整が可能である。
【0073】
抽出/分離工程
本発明においてはさらに、得られた植物体から、目的とする有用タンパク質を、増殖させた植物体もしくは液体培地から抽出し、または分離する工程をさらに含むことができる。すなわち、増殖させた植物体もしくは液体培地から目的タンパク質を含む画分を取得し、目的タンパク質を適当な方法により分離・精製することが好ましい。なお、目的タンパク質をコードする目的遺伝子を含む核酸構築物には、例えば、精製のためのタグ配列や植物細胞外への分泌のためのシグナル配列を含んでもよい。
【0074】
タンパク質の抽出を行う場合に用いる抽出液は公知の緩衝液、例えばGlycine緩衝液、Citrate緩衝液、Acetate緩衝液、Succinate緩衝液、Malate緩衝液、MES緩衝液、PIPES緩衝液、MOPS緩衝液、リン酸緩衝液、TES緩衝液、Hepes緩衝液、Tricine緩衝液、Tris緩衝液、Bicine緩衝液、Glycylglycine緩衝液、TAPS緩衝液、ホウ酸緩衝液などを使用することが出来る。タンパク質の抽出の際には、公知のプロテアーゼ阻害剤、例えばbenzamide, PMSF, AEBSF, antipain, chymostatin, leupeptin, pepstatin A, phsphramidon, aprotinin, EDTAなどを使用することが出来る。タンパク質の抽出の際には、公知の酸化防止剤を用いることが可能であり、例えば、DTT、GSH、β-メルカプトエタノール、TCEP、システイン、メルカプトエチルアミン、メルカプトプロピオン酸などが挙げられる。また界面活性剤は公知の界面活性剤を用いることが可能であり、例えば、TritonX-100、NP-40、Tween 20、CHAPS、CTAB、コール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、SDSなどが挙げられる。タンパク質抽出のための植物の破砕方法は公知の方法を用いることが可能であり、例えばビーズ式破砕装置、ミキサー、超音波破砕装置などによる破砕が可能である。
【0075】
本発明において、精製は、公知の手法により行うことが可能である。例えば、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、固定化金属アフィニティークロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィーおよびハイドロキシアパタイトクロマトグラフィーなどが挙げられ、これらを適宜組み合わせて用いても良い。
【0076】
経口摂取型ワクチンなどを用途とする場合には、得られた植物体をそのまま乾燥粉末化する等加工して使用することができる。
【0077】
培養容器
本発明の方法は、容器内において実施する。容器内において実施すると、無菌もしくはそれに準じる環境を保持し易い。すなわち、ここで培養容器とは、室内に培養槽を配置したような培養室自体や水耕栽培可能な温室自体などを含まない意味で使用される。好ましくは、無菌化した培養容器内で実施するのがよく、より好ましくは、フィルター等で無菌化した空気等ガスの導入部と排出部を有する容器内での実施が望ましい。
本発明の方法は、好ましくは、袋型培養槽内において行うのがよい。
【0078】
また本発明の方法は、好ましくは、液体浸漬培養用の容器(または、培養槽)である。このような液体浸漬培養用の容器については蒸気やガンマ線などによる滅菌が可能な素材、例えばポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタラート製等であり、袋型、ボックス型など様々な形態の培養槽が可能であるが、これらに限定されるものではない。
【0079】
本発明においては、そのような培養槽として、100~数100Lを超えるような大型の培養槽を利用してもよいが、その代わりに、20Lを下回るような小型の培養槽を利用し、必要に応じてそれを多数用意して実施することが好ましい。
【0080】
このような小型の培養槽として、折りたたまれた状態から展開することで自立可能なように構成された袋型の培養槽(培養袋)が好ましい。このような培養槽の好ましい例として、以下に述べるような袋型培養槽が挙げられる。すなわち、本発明の方法は、好ましくは、このような袋型培養槽内において行うのがよい。
【0081】
袋型培養槽の例
好ましい袋型培養槽(培養袋)およびそのような培養槽を使用した大量生産設備の例を図12および図13にそれぞれ例示する。
【0082】
図において、培養袋1は、軟質樹脂の一例として、PET(ポチエチレンテレフタレート)及びCPP(無軸延伸ポリプロピレン)の複合フィルム(厚さは一例として100μm)を素材とし、そのフィルムを縦長でかつ底部にガゼット2が設けられた底ガゼットタイプの袋形状に成形することにより作製される。培養袋1の素材に用いられる樹脂には、植物の培養に必要な光の波長域に対して透過性を有するものが選択される。培養袋1の上端はその全幅に亘って開口部とされ、その開口部分を除く培養袋1の周囲は密封されている。ガゼット2が折り畳まれた状態から培養袋1を展開することにより、培養袋1の底部が一定の大きさに拡大する。それにより、培養袋1には自立性が生じ、支持手段を用いることなく培養袋1を並べ置くことが可能である。また、非使用時にはガゼット2を折り畳むことにより、比較的狭いスペースにて多数の培養袋1を保管することができる。
【0083】
培養袋1の側面には、単一の下部ポート3と、二つの上部ポート4とが取り付けられている。これらのポート3、4は培養袋1の内部にガスを導入し、あるいは培養袋1からガスを排気するためのものである。ポート3、4は一例としてポリプロピレン樹脂を素材とする成形品を培養袋1に接着することにより設けられる。ポート3、4は例えばチューブ類を接続可能な形状に形成される。さらに、上部ポート4の上端から培養袋1の上端までの領域は、培養袋1内に培地や植物材料を収容した後に培養袋1を密封するための封止部として機能する。
【0084】
培養袋1を滅菌するためのオートクレーブ処理に耐え得るものであれば、培養袋1及びポート3、4の材質は適宜に変更可能である。培養袋1の容量は、培地と植物材料とを収容した単一の培養袋1を作業者が持ち上げることができる範囲であれば適宜に設定されてよい。本形態では、培養袋1の容量が最大でも12L(リットル)、好ましくは8Lに設定され、その内部に収容される培地と浸漬された植物材料は、両者を合計して培養袋1の容量の6割程度、すなわち、培養袋1の容量が12Lの場合は7Lを目安とし、培養袋1の容量が8Lの場合は5Lを目安として設定される。
【0085】
図13は、植物の生産過程における培養袋1の使用例を示し、これは大量生産設備の例である。図12はその使用状態における単一の培養袋1の一例を示している。図12に示すように、本形態では、所定の培養室10内に保管棚11が設置される。培養室10は、温度、湿度、照明といった植物の培養環境を構成する各種の物理パラメータを管理可能な培養スペースとして区分されている。
【0086】
保管棚11の各段には多数の培養袋1が並べて設置される。図12により詳しく示したように、各培養袋1には、フィルタ濾過等により滅菌された培地12と植物材料13とが収容され、各培養袋1の上端の開口部はヒートシールといった密封方法を用いて無菌状態で密封されている。培地12の上方は気相部14が確保されている。培地12には、植物材料13の種類とその生産工程とに応じて、適切な組成の液体培地が適宜に選択して使用される。培養袋1の下部ポート3には通気用のチューブ15及びフィルタ16が接続され、一方の上部ポート4にも通気用のチューブ17及びフィルタ18が接続され、他方の上部ポート4にはフィルタ19が接続される。チューブ15、17から培養袋1内には所定のガス、例えば空気又は二酸化炭素が導入され、それと引き換えにフィルタ19から培養袋1内のガスが排気される。ただし、上部ポート4のそれぞれが排気用に利用されてもよい。また、下部ポート3から所定のガスが液体培地中に通気されるよう、培養袋1の底面からの下部ポート3の配置位置と培地量とが調整されることが望ましい。液体培地中に通気されることにより、植物体へ所定のガスが効率的に供給され、さらには液体培地中又は植物体の撹拌効果も期待できる。ガス通気量は植物の種類や増殖法により適宜に選択されてよいが、好ましくは50~100mL/分である。チューブ15、17は、それらの絡み付き等を防ぐために、クリップ20等を用いて培養袋1の適宜の位置に固定される。
【0087】
なお上記したとおり、上記の袋型培養槽およびそれを用いた設備は、共に本発明の方法を実施する環境である培養槽または培養室の例示である。
【0088】
すなわち、本発明の一つの好ましい態様によれば、本発明による方法は、複数の容器を用いて植物を大量培養し有用タンパク質を大量生産する方法であることができる。
【実施例
【0089】
以下において、本発明を下記の実施例によって詳細に説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0090】
(実施例1) 固体培地と液体培地での植物増殖量及び有用タンパク質生産量の比較
植物体培養法による成長速度の比較を行うため、プラントボックスにて固体培養法と液体培養法でのジャガイモ植物体の成長量の比較を行った。
【0091】
植物材料とその形質転換:
植物としては、ばれいしょ(Solanum tuberosum L.)の品種「サッシー」の組織培養苗を用いた。
【0092】
形質転換方法としては、アグロバクテリウム法を採用した。アグロバクテリウム法は、アグロバクテリウム株であるAgrobacterium tumefaciens LBA4404(タカラバイオ株式会社より入手、製品コード9115)に、植物形質転換用ベクターとしてカリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーターの下流にβ-グルクロニダーゼ遺伝子(GUS遺伝子)が組み込まれたもので、選抜マーカー遺伝子としてカナマイシン耐性遺伝子を保有するものを、エレクトロポレーション法(例えば、BIO-RAD社製 Gene Pulser IIのPulse条件を25μF、200Ω、2.25kV)により導入して使用した。
【0093】
ジャガイモの形質転換は、文献[門馬、植物組織培養7:57-63(1990)]の記載に従い実施した。
【0094】
ジャガイモ品種「サッシー」(ジャパンポテト社)から得られたマイクロチューバーを2~3mmにスライスし、アグロバクテリウム感染用の材料とした。これを上記のアグロバクテリウムの菌液に浸した後、滅菌済みの濾紙上に置いて過剰のアグロバクテリウムを除いた。シャーレ内のMS培地(Zeatin 1ppm, IAA 0.1ppm, アセトシリンゴン100μM、及び寒天0.8%を含む)上に置き、培養は3日間25℃、16時間照明(光量子束密度32μE/m2s)/8時間無照明の条件下で行った。
【0095】
ついで、アセトシリンゴンの代わりにカルベニシリン250ppmを含んだ培地で1週間培養した。その後、さらに選抜マーカーの抗生物質であるカナマイシン50ppmを含む培地上に移し、2週間ごとに継代した。この間に不定芽が形成し、シュートを生じた。
【0096】
伸張したシュートをカルベニシン250ppm及びカナマイシン100ppmを含み、植物生長調節物質を含まないMS培地に置床した。発根したシュートをカナマイシン耐性の生長した植物体の中から外来遺伝子としてカナマイシン耐性遺伝子を含有する個体を、PCR(条件:95℃5分、(95℃30秒、55℃30秒、72℃1分)を30回、72℃10分)を行うことによって検出し、該再分化植物体が形質転換植物体であることを確認した。
ここで、カナマイシン耐性遺伝子の配列を特異的に増幅するプライマーとして、TAAAGCACGAGGAAGCGGT(配列番号1)、及びGCACAACAGACAATCGGCT(配列番号2)を用いた。
【0097】
以上のようにして、β-グルクロニダーゼ遺伝子が導入されたジャガイモの形質転換植物体3系統を取得した。実験には得られた3系統のうち、代表的な系統としてpKT19-1を使用した。
【0098】
培養方法:
ジャガイモのin vitro培養条件は以下の通りである。
培養容器はプラントボックス(株式会社三商より入手)を使用した。得られた形質転換植物体は、固体培地にて頂芽を用いて継代した。固体培地は、MS培地(スクロース3%を添加し、pH5.8)に寒天0.8%を加えたものを使用した。
【0099】
液体培地の場合には、MS培地(スクロース3%を添加し、pH5.8)を使用した。袋型培養槽で生育させる場合には、改変MS培地(リン酸二水素カリウム量を3倍量に、塩化カルシウム量を4倍量に改変)にショ糖20g/Lと0.02ppmのベンジルアミノプリンを加えてpH5.8に調整した液体培地を使用した。
【0100】
有用タンパク質の生産量検証方法:
有用タンパク質であるβ-グルクロニダーゼの生産量を示す指標として、β-グルクロニダーゼ(GUS)活性を以下のように測定した。
【0101】
新鮮重約30mgのサンプルと抽出バッファー1mlを2mlチューブに入れを、ミキサーミル MM300(retsch社製)にて4度にて破砕した。抽出バッファーの組成は、25 mM リン酸バッファー(pH 7.0)、10mM EDTA、10mM DTT、0.1% TritonX-100であった。破砕後、チューブを遠心分離(15,000rpm,10分,4度)して上清をタンパク質抽出液として得た。もしくは新鮮重1gに対して1mlの抽出バッファーを加えて、乳棒・乳鉢にて破砕した破砕液をガーゼでろ過し、得られたろ液を遠心分離(3000rpm,4度,20分)して上清をタンパク質抽出液として得た。
【0102】
タンパク質抽出液のタンパク質濃度はRC DCプロテインアッセイキットII(BIO RAD社製)を使用し、牛血清アルブミンを用いた検量線により定量した。
【0103】
GUS活性の測定は、反応溶液として抽出バッファー150μlに、粗酵素液2μl及び基質として5mMの4-メチルウンベリフェリル-β-D-グルクロニド50μlを添加し、発生する蛍光を測定して行った。
【0104】
結果:
結果は下記の通りであった。
【0105】
2週間の培養後の新鮮重量増加量を比較すると、固体培養法は0.8g、液体培養法は3.8gであり、液体培養法の方が4.8倍の増加量となった。このデータから、植物体の成長には個体培養法よりも液体培養法の方が適していることが示された(図1)。
【0106】
(実施例2) 液体培地量による植物増殖量および有用タンパク質生産量の比較
次に、異なる液体培地量での成長量の比較を行った。
用いた植物材料、有用タンパク質の生産量検証方法および液体培地組成は実施例1と同様であった。
【0107】
植物の培養方法:
袋型培養槽(8L容)に、プラントボックスで固体培地を用いて約2か月培養した約2gの植物体を、1Lの液体培地に入れたもの(1L区)と、4Lの液体培地に入れたもの(4L区)で、GUSを発現する遺伝子組換えジャガイモの成長を40日間培養後に比較した。
【0108】
結果:
結果は下記の通りであった。
40日間の培養後の新鮮重量を比較すると、1L区では139g、4L区では576gとなり、その収穫量は4.1倍であった(図2)。この際、1L区も4L区もいずれも良好に成長し、1L区では主に液体培地の液面より上部(気相部)への成長が、4L区では主に液体培地内(液相部)への成長が認められた。
【0109】
またこのとき、袋型培養槽あたりのGUS生産量は、1L区では269521μmol/min,4L区では1248768μmol/minとなり、その生産量は5.0倍となった(図3)。
【0110】
液体に植物体を常に浸漬させた培養方法は、組織のガラス化(ビトリフィケーション)が生じ、増殖後の馴化に難があることから、植物苗の増殖法としては一般的には避けられてきた。しかし、有用タンパク質の生産にあたっては、植物苗の増殖と異なり、馴化工程を考慮した強健さは不要であるため、植物体の液体浸漬培養が可能であり、単位培養容積あたりの収穫量を高められることが示された。
【0111】
(実施例3) 植物体の液体浸漬部と気相部での総タンパク質量あたりの有用タンパク質含量の比較
【0112】
実施例1および2と同じGUSを発現する組換えジャガイモ植物体を、袋型培養槽を用いて40日間液体浸漬培養し、液体培地に常時浸漬していた部分(液相部)と液面より上部に成長した部分(気相部)の葉および茎における総タンパク質あたりのGUS活性を比較した。諸条件は実施例1および2と同様とした。
【0113】
結果:
結果は下記の通りであった。
液体培地に常時浸漬していた液相部は気相部よりも、総タンパク質あたりのGUS活性が高かった。すなわち、葉では気相部で315.8μmol/min/mg proteinに対し、液相部が700.8μmol/min/mg proteinであり、液相部で2.2倍高い値となった(図4)。
【0114】
さらに茎では気相部が626.3μmol/min/mg proteinに対して、液相部が1075.1μmol/min/mg proteinであり、液相部が1.7倍高い値となった(図5)。
この結果から、有用タンパク質生産には液体に浸漬させた状態での培養が適していることが示された。
【0115】
(実施例4) 液体浸漬培養と土耕栽培での有用タンパク質生産量の比較
上記実施例3で確認された液体浸漬培養時の葉でのGUS活性値と、同じ組換え植物を土耕栽培した場合と葉比較した。ジャガイモの温室での土耕栽培条件は以下の通りであった。
得られた形質転換植物体の頂芽を固体培地にて継代し、14週経過したin vitro苗を園芸用土(コンパル高級園芸用土、スミリン農産工業株式会社)に馴化し、4週間温室にて育成した。
【0116】
結果:
結果は下記の通りであった。
液体浸漬培養の葉と比較して、土耕栽培の葉では総タンパク質あたりのGUS活性が123.9μmol/min/mg proteinに低下した(図6)。このことからも今回達成された液体浸漬培養による有用タンパク質生産は産業上有用な方法であることが確認できた。
【0117】
(実施例5) リーフレタスの固体培養と液体浸漬培養での有用タンパク質生産量の比較
リーフレタスにおける植物体培養法による有用タンパク質生産量の比較を行うため、固体培養法と液体浸漬培養法での比較を行った。
【0118】
植物材料とその形質転換:
植物としては、リーフレタス(Lactuca sativa)の品種「グリーンウェーブ」の組織培養苗を用いた。
【0119】
形質転換方法としては、アグロバクテリウム法を採用した。アグロバクテリウム法は、アグロバクテリウム株であるAgrobacterium tumefaciens LBA4404(タカラバイオ株式会社より入手、製品コード9115)に、植物形質転換用ベクターとしてカリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーターの下流にβ-グルクロニダーゼ遺伝子(GUS遺伝子)、またはトランスフェリン遺伝子が組み込まれたもので、選抜マーカー遺伝子としてハイグロマイシン耐性遺伝子を保有するものを、エレクトロポレーション法(例えば、BIO-RAD社製 Gene Pulser IIのPulse条件を25μF、200Ω、2.25kV)により導入して使用した。
【0120】
リーフレタスの形質転換は、文献[形質転換プロトコール(植物編)、田部井豊編、化学同人]の記載に従い実施した。
【0121】
リーフレタス品種「グリーンウェーブ」から得られた緑葉を約5mmx5mmにメスで切断し、アグロバクテリウム感染用の材料とした。これを上記のアグロバクテリウムの菌液に浸した後、滅菌済みの濾紙上に置いて過剰のアグロバクテリウムを除いた。シャーレ内のMS培地(BA 1ppm,NAA 0.1ppm,アセトシリンゴン100μM、及びゲルライト0.3%を含む)上に置き、培養は3日間、25℃、暗所の条件下で行った。
【0122】
ついで、除菌薬剤カルベニシリン250ppmおよび選抜マーカーの抗生物質であるハイグロマイシン25ppmを含む培地上に移し、2週間ごとに継代した。この間に不定芽が形成し、シュートを生じた。
【0123】
伸張したシュートをカルベニシン250ppm及びハイグロマイシン25ppmを含み、植物生長調節物質を含まないMS培地に置床した。発根したシュート(植物体)の中からハイグロマイシン耐性遺伝子を含有する個体を、PCR(条件:95℃3分、(95℃20秒、62℃15秒、72℃30秒)を35回、72℃5分)を行うことによって検出し、該再分化植物体が形質転換植物体であることを確認した。
ここで、ハイグロマイシン耐性遺伝子の配列を特異的に増幅するプライマーとして、CGGAAGTGCTTGACATTGG(配列番号3)、及びAGAAGAAGATGTTGGCGACC(配列番号4)を用いた。
【0124】
以上のようにして、β-グルクロニダーゼ遺伝子またはトランスフェリン遺伝子が導入されたリーフレタスの形質転換植物体を取得した
【0125】
培養方法:
リーフレタスのin vitro培養条件は以下の通りである。
培養容器はプラントボックス(株式会社三商より入手)を使用した。得られた形質転換
植物体は、固体培地にて頂芽を用いて継代した。固体培地は、MS培地(スクロース3%
を添加し、pH5.8)に寒天0.8%を加えたものを使用した。
液体培地の場合には、MS培地(スクロース3%及びBA0.02ppm、ジベレリン0.001ppmを添加し、pH5.8)を使用した。
【0126】
有用タンパク質の生産量検証方法(GUS):
有用タンパク質であるβ-グルクロニダーゼの生産量を示す指標として、β-グルクロ
ニダーゼ(GUS)活性を以下のように測定した。
【0127】
新鮮重約100mgのサンプルとと抽出バッファー300μLを3mlチューブに加えマルチビーズショッカー(安井器械株式会社)にて破砕した。抽出バッファーの組成は、20mM Tris-HCL、1% Triton×-100であった。破砕後、チューブを遠心分離(15,000rpm、4℃、10分)して、上清をタンパク質抽出液として得た。
【0128】
タンパク質抽出液のタンパク質濃度はTaKaRa Bradford Protein Assay Kit(TakaRa)を使用し、牛血清アルブミンを用いた検量線により定量した。
【0129】
GUS活性の測定は、実施例1と同様に行った。すなわち、反応溶液として抽出バッファー150μlに、粗酵素液2μl及び基質として5mMの4-メチルウンベリフェリル-β-D-グルクロニド50μlを添加し、発生する蛍光を測定して行った。
【0130】
有用タンパク質の生産量検証方法(トランスフェリン):
有用タンパク質であるトランスフェリンの生産量を以下のように測定した。
【0131】
サンプルとして新鮮重約100mgに対し抽出バッファー300μLを3mlチューブに加えマルチビーズショッカー(安井器械株式会社)にて破砕した。抽出バッファーの組成は、20mM Tris-HCL、1% Triton×-100であった。破砕後、チューブを遠心分離(15,000rpm、4℃、10分)して、上清をタンパク質抽出液として得た。
【0132】
タンパク質抽出液のタンパク質濃度はTaKaRa Bradford Protein Assay Kit(TakaRa)を使用し、牛血清アルブミンを用いた検量線により定量した。
【0133】
抽出液中のトランスフェリン含有量は、市販ELISAを使用して測定した(Human Transferrin ELISA Kit, Bethyl Laboratories Inc., E88‐128)。抽出液はキット内のBufferで1,000倍に希釈して供試した。
【0134】
結果:
結果は下記の通りであった。
【0135】
4週間の培養後の新鮮重量増加量を比較すると、固体培養法は0.6g、液体培養法は
12.9gであり、液体培養法の方が21.5倍の増加量となった。このデータから、植物体の成長には個体培養法よりも液体培養法の方が適していることが示された(図7)。
【0136】
総タンパク質あたりのGUS活性は、固体培養の葉での90.0μmol/min/mg proteinに対して、液体浸漬培養の葉では248.7μmol/min/mg proteinと2.8倍に上昇した(図8)。
【0137】
4週間培養後の培養容器あたりのGUS生産量を比較すると、固体培養法は0.4mmol/min、液体浸漬培養法は13.7mmol/minであり、液体浸漬培養法の方が34.1倍の増加量となった(図9)。
【0138】
一方、総タンパク質あたりのトランスフェリン含有量は、固体培養の葉での2.5μg/mg proteinに対して、液体浸漬培養の葉では4.3μg/mg proteinと1.7倍に上昇した(図10)。
【0139】
さらに、4週間培養後の培養容器あたりのトランスフェリン生産量を比較すると、固体培養法は16.6μg、液体浸漬培養法は315.1μgであり、液体浸漬培養法の方が19.0倍の増加量となった(図11)。
【0140】
液体に植物体を常に浸漬させた培養方法は、組織のガラス化(ビトリフィケーション)が生じ、増殖後の馴化に難があることから、植物苗の増殖法としては一般的には避けられてきた。しかし、有用タンパク質の生産にあたっては、植物苗の増殖と異なり、馴化工程を考慮した強健さは不要であるため、植物体の液体浸漬培養が可能であり、単位培養容積あたりの収穫量を高められることが示された。
【符号の説明】
【0141】
1 培養袋
2 ガゼット
3 下部ポート
4 上部ポート
10 培養室(培養スペース)
11 保管棚
12 培地
13 植物材料
24 分岐管路
25 マニホールド
26 チューブ継ぎ手
27 開閉弁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【配列表】
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