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特許7165059コントラスト及び輝度が高められた画素を有する光電子デバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-25
(45)【発行日】2022-11-02
(54)【発明の名称】コントラスト及び輝度が高められた画素を有する光電子デバイス
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/48 20100101AFI20221026BHJP
   H01L 33/24 20100101ALI20221026BHJP
   H01L 33/32 20100101ALI20221026BHJP
   H01L 33/62 20100101ALI20221026BHJP
   H01L 33/50 20100101ALI20221026BHJP
   H01L 33/58 20100101ALI20221026BHJP
   H01L 33/54 20100101ALI20221026BHJP
   H01L 33/60 20100101ALI20221026BHJP
   G09F 9/33 20060101ALI20221026BHJP
【FI】
H01L33/48
H01L33/24
H01L33/32
H01L33/62
H01L33/50
H01L33/58
H01L33/54
H01L33/60
G09F9/33
【請求項の数】 36
(21)【出願番号】P 2018568196
(86)(22)【出願日】2017-06-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-09-19
(86)【国際出願番号】 FR2017051671
(87)【国際公開番号】W WO2018002485
(87)【国際公開日】2018-01-04
【審査請求日】2020-05-19
(31)【優先権主張番号】1656170
(32)【優先日】2016-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】515113307
【氏名又は名称】アルディア
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】デュポン,ティファンヌ
(72)【発明者】
【氏名】スカリニェッラ,シルビア
(72)【発明者】
【氏名】ドルネル,エルバン
(72)【発明者】
【氏名】ジベール,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ジレー,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ユゴン,ザビエル
(72)【発明者】
【氏名】グーアウディエール,ファビエンヌ
【審査官】村井 友和
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/001200(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第105593999(CN,A)
【文献】特開2013-231151(JP,A)
【文献】国際公開第2003/012884(WO,A1)
【文献】特開2012-204349(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する第1の表面及び第2の表面を有する基板と、
前記第1の表面から前記第2の表面に延びて、互いに電気的に絶縁された半導体又は導電性の第1の部分を前記基板に画定する側方の電気絶縁性素子と、
前記第1の部分毎に設けられ、前記第1の表面に置かれて前記第1の部分と電気的に結合されている一群の発光ダイオードと、
少なくとも前記発光ダイオードの発光波長領域で少なくとも部分的に透明であり、前記発光ダイオードの全てを覆う導電性の電極層と、
第1の誘電体材料を含む保護層であって、少なくとも前記発光ダイオードと前記保護層内に設けられ得る発光体との発光波長領域で少なくとも部分的に透明な、封止層及び発光体層の少なくとも1つである前記保護層と、
前記保護層に少なくとも部分的に延びて、前記一群の発光ダイオードを囲むか又は前記一群の発光ダイオードと対向する第2の部分を前記保護層に画定している壁と
を備えており、
前記壁は、
前記第1の誘電体材料とは異なる少なくとも1つの第2の材料であって、空気、金属、半導体材料、金属合金、並びに、少なくとも前記発光ダイオード及び前記発光体の発光波長領域で部分的に透明な材料を有する群に含まれる前記少なくとも1つの第2の材料を含んでいるか、或いは、
少なくとも前記発光ダイオード及び前記発光体の発光波長領域で不透明な又は反射する層で覆われた少なくとも前記発光ダイオード及び前記発光体の発光波長領域で少なくとも部分的に透明な材料で形成されたコアを含んでいることを特徴とする光電子デバイス。
【請求項2】
各発光ダイオードは、少なくとも1つのワイヤ状、円錐形又はテーパ状の半導体部材を有しており、前記半導体部材は、前記半導体部材の最上部及び/又は少なくとも側面の一部で前記発光ダイオードの放射光の大部分を供給することができる少なくとも1つの活性層を有するシェルで覆われていることを特徴とする請求項1に記載の光電子デバイス。
【請求項3】
前記保護層は、各発光ダイオードを囲んでいることを特徴とする請求項1又は2に記載の光電子デバイス。
【請求項4】
前記保護層は前記発光ダイオードを囲んでいないことを特徴とする請求項1又は2に記載の光電子デバイス。
【請求項5】
前記壁は、少なくとも前記保護層の厚さ全体に亘って延びていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1つに記載の光電子デバイス。
【請求項6】
前記壁の少なくとも1つは、前記保護層の厚さより小さい厚さの固体ブロックを有していることを特徴とする請求項1~5のいずれか1つに記載の光電子デバイス。
【請求項7】
前記保護層は発光体を有していることを特徴とする請求項1~6のいずれか1つに記載の光電子デバイス。
【請求項8】
前記保護層は、単結晶の発光体を有していることを特徴とする請求項1~6のいずれか1つに記載の光電子デバイス。
【請求項9】
少なくとも前記発光ダイオード及び前記発光体の発光波長領域で少なくとも部分的に透明な材料で形成され、前記保護層を覆い、前記基板に機械的に結合された板を更に備えていることを特徴とする請求項1~8のいずれか1つに記載の光電子デバイス。
【請求項10】
前記板は、前記保護層から離隔して配置されていることを特徴とする請求項9に記載の光電子デバイス。
【請求項11】
前記保護層の厚さより大きい高さを有し、前記板と接し、前記基板に置かれている追加の壁を更に備えていることを特徴とする請求項9又は10に記載の光電子デバイス。
【請求項12】
前記発光ダイオードの周りで前記電極層を覆う導電層を更に備えていることを特徴とする請求項1~11のいずれか1つに記載の光電子デバイス。
【請求項13】
前記基板は、好ましくはシリコン、ゲルマニウム、炭化シリコン、GaN若しくはGaAsのようなIII-V 族化合物、又はZnO で形成されていることを特徴とする請求項1~12のいずれか1つに記載の光電子デバイス。
【請求項14】
前記半導体部材は、III-V 族化合物、特に窒化ガリウム又はII-VI 族化合物から主に夫々形成されていることを特徴とする請求項2に記載の光電子デバイス。
【請求項15】
表示画面又は投影デバイスであることを特徴とする請求項1~14のいずれか1つに記載の光電子デバイス。
【請求項16】
前記発光ダイオードによって放射される放射光を少なくとも部分的に吸収及び/又は反射することができるフィルタを前記保護層上に更に備えていることを特徴とする請求項1~15のいずれか1つに記載の光電子デバイス。
【請求項17】
前記発光ダイオードによって放射される放射光を少なくとも部分的に吸収及び/又は反射することができるフィルタを前記板上に更に備えていることを特徴とする請求項9に記載の光電子デバイス。
【請求項18】
前記壁は前記基板の一部に相当することを特徴とする請求項1~17のいずれか1つに記載の光電子デバイス。
【請求項19】
光電子デバイスを製造する方法であって、
a) 対向する第1の表面及び第2の表面を有する基板に、前記第1の表面から前記第2の表面に延びて、互いに電気的に絶縁された半導体又は導電性の第1の部分を前記基板に画定する側方の電気絶縁性素子を形成する工程、
b) 前記第1の部分毎に、前記第1の表面に置かれて前記第1の部分と電気的に結合されている一群の発光ダイオードを形成する工程、
c) なくとも前記発光ダイオードの発光波長領域で少なくとも部分的に透明であり、前記発光ダイオードの全てを覆う導電性の電極層を形成する工程、及び
d) 前記電極層を覆う第1の誘電体材料の保護層であって、少なくとも前記発光ダイオードの発光波長領域及び前記保護層に設けられ得る発光体の発光波長領域で少なくとも部分的に透明な、封止層及び発光体層の少なくとも1つである前記保護層と、前記保護層に少なくとも部分的に延びて、前記一群の発光ダイオードを囲むか又は前記一群の発光ダイオードと対向する第2の部分を前記保護層に画定する壁とを形成する工程
を有し、
前記壁は、
前記第1の誘電体材料とは異なる少なくとも1つの第2の材料であって、空気、金属、半導体材料、金属合金、並びに、少なくとも前記発光ダイオード及び前記発光体の発光波長領域で部分的に透明な材料を有する群に含まれる前記少なくとも1つの第2の材料を含んでいるか、或いは、
少なくとも前記発光ダイオード及び前記発光体の発光波長領域で不透明な又は反射する層で覆われた少なくとも前記発光ダイオード及び前記発光体の発光波長領域で少なくとも部分的に透明な材料で形成されたコアを含んでいることを特徴とする方法。
【請求項20】
各発光ダイオードは、少なくとも1つのワイヤ状、円錐形又はテーパ状の半導体部材を有しており、前記半導体部材は、前記半導体部材の最上部及び/又は少なくとも側面の一部で前記発光ダイオードの放射光の大部分を供給することができる少なくとも1つの活性層を有するシェルで覆われていることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記保護層は、各発光ダイオードを囲んでいることを特徴とする請求項19又は20に記載の方法。
【請求項22】
前記保護層は前記発光ダイオードを囲んでいないことを特徴とする請求項19又は20に記載の方法。
【請求項23】
前記壁は、少なくとも前記保護層の厚さ全体に亘って延びていることを特徴とする請求項19~22のいずれか1つに記載の方法。
【請求項24】
前記壁の少なくとも1つは、前記保護層の厚さより小さい厚さの固体ブロックを有していることを特徴とする請求項19~23のいずれか1つに記載の方法。
【請求項25】
前記保護層は発光体を有することを特徴とする請求項19~24のいずれか1つに記載の方法。
【請求項26】
前記保護層は、単結晶の発光体を有することを特徴とする請求項19~25のいずれか1つに記載の方法。
【請求項27】
少なくとも前記発光ダイオード及び前記発光体の発光波長領域で少なくとも部分的に透明な材料で形成され、前記保護層を覆う板を前記基板に機械的に結合することを特徴とする請求項19~26のいずれか1つに記載の方法。
【請求項28】
前記板を、前記保護層から離隔して配置することを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記保護層の厚さより大きい高さを有し、前記板と接し、前記基板に置かれる追加の壁を形成することを特徴とする請求項27又は28に記載の方法。
【請求項30】
前記発光ダイオードの周りで前記電極層を覆う導電層を形成することを特徴とする請求項19~29のいずれか1つに記載の方法。
【請求項31】
前記基板を、シリコン、ゲルマニウム、炭化シリコン、GaN 若しくはGaAsのようなIII-V 族化合物、又はZnO で形成することを特徴とする請求項19~30のいずれか1つに記載の方法。
【請求項32】
前記半導体部材を、III-V 族化合物、特に窒化ガリウム又はII-VI 族化合物から主に夫々形成することを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項33】
前記光電子デバイスは、表示画面又は投影デバイスであることを特徴とする請求項19~32のいずれか1つに記載の方法。
【請求項34】
前記発光ダイオードによって放射される放射光を少なくとも部分的に吸収及び/又は反射することができるフィルタを前記保護層上に形成することを特徴とする請求項19~33のいずれか1つに記載の方法。
【請求項35】
前記発光ダイオードによって放射される放射光を少なくとも部分的に吸収及び/又は反射することができるフィルタを前記板上に形成することを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項36】
前記壁は前記基板の一部に相当することを特徴とする請求項19~35のいずれか1つに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光ダイオード、特に無機材料で形成された発光ダイオードを備えた光電子デバイス、例えば表示画面又は画像投影デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
以下III-V 族化合物と称される少なくとも1つのIII 族元素及び1つのV 族元素、特に窒化ガリウム(GaN) 、窒化ガリウムインジウム(GaInN) 及び窒化ガリウムアルミニウム(GaAlN) を主に含む半導体層の積層体を有する半導体材料に基づく発光ダイオードを備えた光電子デバイス、特に表示画面又は投影デバイスがある。
【0003】
画像の画素は、表示画面によって表示されるか、投影デバイスによって投影される画像の単位素子に相当する。光電子デバイスがモノクロ画像表示画面又はモノクロ画像投影デバイスである場合、光電子デバイスは一般に画像の各画素を表示するために単一の光源又は画像画素を備えている。光電子デバイスがカラー画像表示画面又はカラー画像投影デバイスである場合、光電子デバイスは一般に、各画像画素を表示するために、実質的に単一色(例えば赤、緑及び青)で光放射線を夫々放射する表示サブ画素とも称される少なくとも3つの発光素子及び/又は光強度調整素子を備えている。3つの表示サブ画素によって放射される放射線を重ね合わせることにより、表示画像の画素に対応する色付けの感覚が観察者に与えられる。この場合、画像画素を表示するために使用される3つの表示サブ画素によって形成される集合体が表示画面又は投影デバイスの表示画素と称される。
【0004】
三次元の半導体素子、例えばマイクロワイヤ、ナノワイヤ、円錐形素子又は円錐台形素子から形成された発光ダイオードを備えた光電子デバイスの形成が知られている。そのため、発光ダイオードは三次元の発光ダイオードと称される。
【0005】
まだ公開されていない国際特許出願第PCT/FR2015/053754 号には、表示画素を有する三次元の発光ダイオードを備えた光電子デバイス、特に表示画面又は投影デバイスが記載されている。三次元の発光ダイオードを使用することにより、平面の半導体層の積層により得られた発光ダイオードと比較して、各表示サブ画素によって放射され得る最大光強度を高めることが可能になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
表示画素を有する電子デバイスの設計には多くの制約を考慮すべきであり、つまり、
光電子デバイスの発光表面領域の光強度と、観察方向に垂直に投影されるこの表面の面積との比率として定められる輝度は可能な限り高くあるべきである;
極白色点と極黒色点との光強度比として定められるコントラストは可能な限り高くあるべきである;及び
発光ダイオードによって生じる熱は効率的に放出されるべきである。
【0007】
表示画素が三次元の発光ダイオードを有する場合、これらの制約を全て満たすのは難しい場合がある。
【0008】
実施形態の目的は、三次元の発光ダイオードを備えた上記の光電子デバイス、特に表示画面又は投影デバイスの欠点の全て又は一部を克服することである。
【0009】
実施形態の別の目的は、光電子デバイスの輝度を高めることである。
【0010】
実施形態の別の目的は、光電子デバイスのコントラストを高めることである。
【0011】
実施形態の別の目的は、光電子デバイスの光源によって生じる熱の放出を高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
従って、実施形態は、対向する第1の表面及び第2の表面を有する基板と、前記第1の表面から前記第2の表面に延びて、互いに電気的に絶縁された半導体又は導電性の第1の部分を前記基板に画定する側方の電気絶縁性素子と、前記第1の部分毎に設けられ、前記第1の表面に置かれて前記第1の部分と電気的に結合されている発光ダイオードの組立体と、前記発光ダイオードの全てを覆って少なくとも部分的に透明な導電性の電極層と、少なくとも前記発光ダイオードと第1の誘電体材料を含む保護層内に設けられ得る発光体との発光波長領域で少なくとも部分的に透明な、前記電極層を覆う前記保護層と、前記保護層に少なくとも部分的に延びて、前記発光ダイオードの組立体を囲むか又は前記組立体と対向する第2の部分を前記保護層に画定している壁とを備えており、前記壁は、前記第1の誘電体材料とは異なる少なくとも1つの第2の材料であって、空気、金属、半導体材料、金属合金、少なくとも前記発光ダイオード及び前記発光体の発光波長領域で部分的に透明な材料、並びに少なくとも前記発光ダイオード及び前記発光体の発光波長領域で不透明な又は反射する層で覆われた少なくとも前記発光ダイオード及び前記発光体の発光波長領域で少なくとも部分的に透明な材料で形成されたコアを有する群に含まれる前記少なくとも1つの第2の材料を含んでいることを特徴とする光電子デバイスを提供する。
【0013】
実施形態によれば、各発光ダイオードは、少なくとも1つのワイヤ状、円錐形又はテーパ状の半導体素子を有しており、前記半導体素子は、前記半導体素子の最上部及び/又は少なくとも側面の一部で前記発光ダイオードの放射線の大部分を供給することができる少なくとも1つの活性層を有するシェルと一体化しているか又は前記シェルで覆われている。
【0014】
実施形態によれば、前記保護層は、各発光ダイオードを囲んでいる。
【0015】
実施形態によれば、前記保護層は前記発光ダイオードを囲んでいない。
【0016】
実施形態によれば、前記壁は、前記保護層の厚さ全体に亘って少なくとも部分的に延びている。
【0017】
実施形態によれば、前記壁の少なくとも1つは、空気が充填された開口部によって連続している固体ブロックを有している。
【0018】
実施形態によれば、前記保護層は発光体を有している。
【0019】
実施形態によれば、前記保護層は、単結晶の発光体を有している。
【0020】
実施形態によれば、前記光電子デバイスは、少なくとも前記発光ダイオード及び前記発光体の発光波長領域で少なくとも部分的に透明な材料で形成され、前記保護層を覆い、前記基板に機械的に結合された板を更に備えている。
【0021】
実施形態によれば、前記板は、空気膜又は部分真空膜によって前記保護層から分離されている。
【0022】
実施形態によれば、前記光電子デバイスは、前記保護層の厚さより大きい高さを有し、前記板と接し、前記基板に置かれている追加の壁を更に備えている。
【0023】
実施形態によれば、前記光電子デバイスは、各組立体の発光ダイオードの周りで前記電極層を覆う導電層を更に備えている。
【0024】
実施形態によれば、前記基板は、シリコン、ゲルマニウム、炭化シリコン、GaN若しくはGaAsのようなIII-V 族化合物、又はZnO で形成されている。
【0025】
実施形態によれば、各半導体素子は、III-V 族化合物、特に窒化ガリウム又はII-VI 族化合物から主に形成されている。
【0026】
実施形態によれば、前記光電子デバイスは、表示画面又は投影デバイスである。
【0027】
実施形態によれば、前記光電子デバイスは、前記発光ダイオードによって放射される放射線を少なくとも部分的に吸収及び/又は反射することができるフィルタを前記保護層上に更に備えている。
【0028】
実施形態によれば、前記光電子デバイスは、前記発光ダイオードによって放射される放射線を少なくとも部分的に吸収及び/又は反射することができるフィルタを前記板上に更に備えている。
【0029】
実施形態によれば、前記壁は前記基板の一部に相当する。
【0030】
実施形態は、光電子デバイスを製造する方法であって、a) 対向する第1の表面及び第2の表面を有する基板に、前記第1の表面から前記第2の表面に延びて、互いに電気的に絶縁された半導体又は導電性の第1の部分を前記基板に画定する側方の電気絶縁性素子を形成する工程、b) 前記第1の部分毎に、前記第1の表面に置かれて前記第1の部分と電気的に結合されている発光ダイオードの組立体を形成する工程、c) 前記第1の部分毎に、前記発光ダイオードの全てを覆って少なくとも部分的に透明な導電性の電極層を形成する工程、及びd) 少なくとも前記発光ダイオードの発光波長領域、及び前記電極層を覆う保護層に設けられ得る発光体の発光波長領域で少なくとも部分的に透明な第1の誘電体材料の前記保護層と、前記保護層に少なくとも部分的に延びて、前記発光ダイオードの組立体を囲むか又は前記組立体と対向する第2の部分を前記保護層に画定する壁とを形成する工程を有し、前記壁は、前記第1の誘電体材料とは異なる少なくとも1つの第2の材料であって、空気、金属、半導体材料、金属合金、少なくとも前記発光ダイオード及び前記発光体の発光波長領域で部分的に透明な材料、並びに少なくとも前記発光ダイオード及び前記発光体の発光波長領域で不透明な又は反射する層で覆われた少なくとも前記発光ダイオード及び前記発光体の発光波長領域で少なくとも部分的に透明な材料で形成されたコアを有する群に含まれる前記少なくとも1つの第2の材料を含んでいることを特徴とする方法を更に提供する。
【0031】
実施形態によれば、各発光ダイオードは、少なくとも1つのワイヤ状、円錐形又はテーパ状の半導体素子を有しており、前記半導体素子は、前記半導体素子の最上部及び/又は少なくとも側面の一部で前記発光ダイオードの放射線の大部分を供給することができる少なくとも1つの活性層を有するシェルと一体化しているか又は前記シェルで覆われている。
【0032】
実施形態によれば、前記保護層は、各発光ダイオードを囲んでいる。
【0033】
実施形態によれば、前記保護層は前記発光ダイオードを囲んでいない。
【0034】
実施形態によれば、前記壁は、前記保護層の厚さ全体に亘って少なくとも部分的に延びている。
【0035】
実施形態によれば、前記壁の少なくとも1つは、空気が充填された開口部によって連続している固体ブロックを有している。
【0036】
実施形態によれば、前記保護層は発光体を有する。
【0037】
実施形態によれば、前記保護層は、単結晶の発光体を有する。
【0038】
実施形態によれば、前記方法では、少なくとも前記発光ダイオード及び前記発光体の発光波長領域で少なくとも部分的に透明な材料で形成され、前記保護層を覆う板を前記基板に機械的に結合する。
【0039】
実施形態によれば、前記板を、空気膜又は部分真空膜によって前記保護層から分離する。
【0040】
実施形態によれば、前記方法では、前記保護層の厚さより大きい高さを有し、前記板と接し、前記基板に置かれる追加の壁を形成する。
【0041】
実施形態によれば、前記方法では、各組立体の発光ダイオードの周りで前記電極層を覆う導電層を形成する。
【0042】
実施形態によれば、前記基板を、シリコン、ゲルマニウム、炭化シリコン、GaN 若しくはGaAsのようなIII-V 族化合物、又はZnO で形成する。
【0043】
実施形態によれば、各半導体素子を、III-V 族化合物、特に窒化ガリウム又はII-VI 族化合物から主に形成する。
【0044】
実施形態によれば、前記光電子デバイスは、表示画面又は投影デバイスである。
【0045】
実施形態によれば、前記方法では、前記発光ダイオードによって放射される放射線を少なくとも部分的に吸収及び/又は反射することができるフィルタを前記保護層上に形成する。
【0046】
実施形態によれば、前記方法では、前記発光ダイオードによって放射される放射線を少なくとも部分的に吸収及び/又は反射することができるフィルタを前記板上に形成する。
【0047】
実施形態によれば、前記壁は前記基板の一部に相当する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
前述及び他の特徴及び利点を、添付図面を参照して本発明を限定するものではない特定の実施形態について以下に詳細に説明する。
【0049】
図1図1A、1Bおよび1Cは夫々、発光ダイオードを備えた光電子デバイスの実施形態を部分的に簡略化した平面図、前断面図及び底面図である。
図2図2A~2Cは、図1A~1Cに示された光電子デバイスを製造する方法の実施形態の連続的な工程で得られた構造を示す図である。
図3図3A及び3Bは、図1A~1Cに示された光電子デバイスを製造する方法の実施形態の連続的な工程で得られた構造を示す図である。
図4図4A~4Eは、図1A~1Cに示された光電子デバイスを製造する方法の実施形態の連続的な工程で得られた構造を示す図である。
図5図5A~5Dは、図1A~1Cに示された光電子デバイスを製造する方法の実施形態の連続的な工程で得られた構造を示す図である。
図6】発光ダイオードを備えた光電子デバイスの他の実施形態の図1Bと同様の図である。
図7】発光ダイオードを備えた光電子デバイスの他の実施形態の図1Bと同様の図である。
図8】発光ダイオードを備えた光電子デバイスの他の実施形態の図1Bと同様の図である。
図9】発光ダイオードを備えた光電子デバイスの他の実施形態の図1Bと同様の図である。
図10】発光ダイオードを備えた光電子デバイスの他の実施形態の図1Bと同様の図である。
図11】発光ダイオードを備えた光電子デバイスの他の実施形態の図1Bと同様の図である。
図12】発光ダイオードを備えた光電子デバイスの他の実施形態の図1Bと同様の図である。
図13】発光ダイオードを備えた光電子デバイスの他の実施形態の図1Bと同様の図である。
図14】発光ダイオードを備えた光電子デバイスの他の実施形態の図1Bと同様の図である。
図15】発光ダイオードを備えた光電子デバイスの他の実施形態の図1Bと同様の図である。
図16】発光ダイオードを備えた光電子デバイスの他の実施形態の図1Bと同様の図である。
図17】発光ダイオードを備えた光電子デバイスの他の実施形態の図1Bと同様の図である。
図18】発光ダイオードを備えた光電子デバイスの他の実施形態の図1Bと同様の図である。
図19】発光ダイオードを備えた光電子デバイスの他の実施形態の図1Bと同様の図である。
図20】発光ダイオードを備えた光電子デバイスの他の実施形態の図1Bと同様の図である。
図21】発光ダイオードを備えた光電子デバイスの他の実施形態の図1Bと同様の図である。
図22】発光ダイオードを備えた光電子デバイスの他の実施形態の図1Bと同様の図である。
図23】発光ダイオードを備えた光電子デバイスの他の実施形態の図1Bと同様の図である。
図24】発光ダイオードを備えた光電子デバイスの他の実施形態の図1Bと同様の図である。
図25】発光ダイオードを備えた光電子デバイスの他の実施形態の図1Bと同様の図である。
図26図26A ~26D は、図23に示された光電子デバイスを製造する方法の実施形態の連続的な工程で得られた構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
明瞭化のために、同一の要素は様々な図面において同一の参照番号で示されており、更に様々な図面は正しい縮尺で示されていない。更に、記載された実施形態の理解に有用な要素のみが示され記載されている。特に、発光ダイオードを備えた光電子デバイスを制御するためのデバイスは、当業者に知られており、以下に記載されない。以下の記載では、「実質的に」、「約」及び「の程度」という用語は、該当する値のプラスマイナス10%の許容値を示すために本明細書に使用されている。
【0051】
以下に記載される実施形態は、三次元の半導体素子、例えばマイクロワイヤ、ナノワイヤ、円錐形素子又はテーパ状素子から形成された発光ダイオードを備えた光電子デバイス、特に表示画面又は投影デバイスに関する。以下の記載では、マイクロワイヤ又はナノワイヤから形成された発光ダイオードに関する実施形態が述べられている。しかしながら、このような実施形態は、マイクロワイヤ又はナノワイヤ以外の三次元素子、例えばピラミッド状の三次元素子に関して実施されてもよい。
【0052】
更に、以下の記載では、マイクロワイヤ又はナノワイヤを少なくとも部分的に囲むシェルを夫々有する発光ダイオードに関する実施形態が述べられる。しかしながら、これらの実施形態は、マイクロワイヤ若しくはナノワイヤの高さに沿って又はマイクロワイヤ若しくはナノワイヤの最上部に活性領域が配置されている発光ダイオードに関して実施されてもよい。
【0053】
「マイクロワイヤ」又は「ナノワイヤ」という用語は、好ましい方向に細長い形状の三次元構造を表し、このような三次元構造は、5nm~5μm、好ましくは50nm~2.5 μmの範囲内の小寸法と称される少なくとも2つの寸法と、小寸法の最大の少なくとも1倍、好ましくは少なくとも5倍、更に好ましくは少なくとも10倍の大寸法と称される第3の寸法とを有する。ある実施形態では、小寸法は、約1μm以下であってもよく、好ましくは100 nm~1μmの範囲内であってもよく、更に好ましくは100 nm~300 nmの範囲内であってもよい。ある実施形態では、夫々のマイクロワイヤ又はナノワイヤの高さは500 nm以上であってもよく、好ましくは1μm~50μmの範囲内であってもよい。
【0054】
以下の記載では、「ワイヤ」という用語は「マイクロワイヤ」又は「ナノワイヤ」を意味すべく使用されている。好ましくは、ワイヤの好ましい方向に垂直な面における断面の重心を通るワイヤの中線が実質的に直線であり、以下ワイヤの「軸芯」と称される。
【0055】
実施形態によれば、互いに電気的に絶縁された基板部分に分割された基板、例えば導電性基板又は半導体基板を有し、基板の前面に形成された発光ダイオードの組立体を表示サブ画素毎に有する集積回路を備えた光電子デバイス、特に表示画面又は投影デバイスを提供する。発光ダイオードの各組立体は、1つの発光ダイオード又は並列に組み立てられた複数の発光ダイオードを有している。発光ダイオードの並列接続は、発光ダイオードのアノードが互いに接続され、発光ダイオードのカソードが互いに接続されていることを意味する。基本発光ダイオードの各組立体は、アノード及びカソードを有する一般的な発光ダイオードに相当する。光電子デバイスは、輝度及び/又はコントラストを高めるための手段を更に備えている。
【0056】
図1A~1Cは、
- 下面14及び対向する上面16を有する導電性基板又は半導体基板12であって、上面16が少なくとも発光ダイオードの組立体のレベルで好ましくは平坦である導電性基板又は半導体基板12と、
- 基板12の下面14と上面16との間に延びて、基板12を導電性部分又は半導体部分20に分割する電気絶縁性素子18と、
- 下面14に接する複数の導電性パッド22(各導電性部分又は半導体部分20が導電性パッド22の内の1つに接する)と、
- ワイヤの成長を有利にする成長パッド24であって、導電性部分又は半導体部分20の1つで上面16に夫々接し、各画素の活性面を覆う成長層と取り替えられてもよい成長パッド24と、
- 成長パッド24の1つに夫々接する複数のワイヤ26であって、成長パッド24と接する下方部分28及び下方部分28と繋がる上方部分30とを夫々有するワイヤ26と、
- 基板12の上面16、及び各ワイヤ26の下方部分28の側面に延びる絶縁層32と、
- 各ワイヤ26の上方部分30を覆う半導体層の積層体を有するシェル34と、
- 基本発光ダイオードの発光波長領域内で少なくとも部分的に透明であり、各シェル34を覆う電極を形成し、ワイヤ26間の絶縁層32に亘って延びている導電層36と、
- ワイヤ26間の電極層36を覆うが、ワイヤ26に亘って延びないかワイヤ26の側面の一部のみに亘って延びない導電層38であって、電極層36及び絶縁層32に設けられている開口部39を通って導電性部分又は半導体部分20の1つに更に接するか、又は変形例として、絶縁層32のみに設けられた開口部39を通って電極層36を介して導電性部分又は半導体部分20の1つに更に電気的に結合されている導電層38と、
- 基本発光ダイオードの発光波長で少なくとも部分的に透明であって、構造全体を覆って、特に各ワイヤ26を完全に覆い、変形例として設けられない、保護層とも称される封止層40と、
- 封止層40に延びて、各導電性部分又は半導体部分20に置かれているワイヤ26の各組立体D を囲んで、封止層40の材料とは異なる材料から形成された壁42と
を備えた光電子デバイス10、特に表示画面及び投影デバイスの実施形態を示す。
【0057】
実施形態によれば、パッシベーション層とも称される絶縁層が、封止層40と導電層38との間、封止層40と導電層38で覆われていない電極層36の一部との間、及び壁42と導電層38との間に更に配置されてもよい。
【0058】
各ワイヤ26及び関連するシェル34は基本発光ダイオードを形成する。同一の導電性部分又は半導体部分20に配置された基本発光ダイオードは、発光ダイオードの組立体D を形成する。従って、各組立体D は、並列に接続された複数の基本発光ダイオードを有している。組立体D 毎の基本発光ダイオードの数は、1~数万の範囲内であってもよく、典型的には25~1,000 の範囲内であってもよい。組立体D 毎の基本発光ダイオードの数は組立体毎に異なってもよい。電極層36及び封止層40は、基本発光ダイオードの発光波長領域で少なくとも部分的に透明である。
【0059】
光電子デバイス10の各表示サブ画素Pix は、導電性部分又は半導体部分20の1つと、この導電性部分又は半導体部分20に置かれている発光ダイオードの組立体D とを有している。図1A及び図1Bでは、表示サブ画素Pix 間の分離が点線44で概略的に示されている。実施形態によれば、平面図で各表示サブ画素Pix によって占める表面積は、3μm×3μm~約100,000 μm2 の範囲内であってもよく、典型的には25μm2 ~6,400 μm2 の範囲内であってもよい。
【0060】
各基本発光ダイオードは、ワイヤを少なくとも部分的に覆うシェルから形成されている。組立体D の基本発光ダイオードの展開表面積は、組立体D を有する表示サブ画素の表面積より大きい。従って、表示サブ画素によって供給され得る最大光強度は、二次元の無機発光ダイオード技術を用いて形成された表示サブ画素の最大光強度より大きくてもよい。
【0061】
実施形態によれば、基板12はモノリシック半導体基板である。半導体基板12は、例えばシリコン、ゲルマニウム又はGaAsのようなIII-V 族化合物で形成された基板である。基板12は単結晶シリコン基板であることが好ましい。
【0062】
半導体基板12をドープして、電気抵抗率を金属の抵抗率に近い抵抗率まで、好ましくは数メガオームセンチメートルより低く下げることが好ましい。基板12は、5×1016atoms/cm3~2×1020atoms/cm3 、好ましくは1×1019atoms/cm3 ~2×1020atoms/cm3 、例えば5×1019atoms/cm3 の範囲内のドーパント濃度で高濃度にドープされた半導体基板であることが好ましい。光電子デバイス製造方法の初め、基板12の厚さは275 μm~1,500 μmの範囲内であり、好ましくは725 μmである。光電子デバイスが形成され、以下に更に詳細に記載される薄層化工程の後、基板12の厚さは0μm~100 μmの範囲内である。シリコン基板12の場合、P型のドーパントの例としてホウ素(B) 又はインジウム(In)があり、N型のドーパントの例としてリン(P) 、ヒ素(As)又はアンチモン(Sb)がある。基板12はN型にリンでドープされていることが好ましい。シリコン基板12の下面14は(100) 表面又は(111) 表面であってもよい。
【0063】
成長アイランドとも称される成長パッド24は、ワイヤ26の成長を促す材料から形成されている。成長パッドの側面及び成長パッドで覆われていない基板部分の表面を保護して、成長パッドの側面及び成長パッドで覆われていない基板部分の表面でワイヤが成長することを防ぐための処理を施してもよい。この処理として、成長パッドの側面に誘電性領域を形成し、ワイヤを誘電性領域で成長させずに、誘電性領域を基板の最上部及び/又は内部に延ばし、成長パッドの対毎に対の成長パッドの一方をその対の他方の成長パッドに結合してもよい。前記誘電性領域は成長パッド24の上側に連続してもよい。変形例として、成長パッド24がサブ画素毎に基板12の上面16を覆う成長層と置き換えられてもよく、このようにして、画素の表面積より小さい表面積に相当する各画素の活性面が画定され、各成長層は絶縁性トレンチ18の上側に延びない。そのため、不要な位置でのワイヤの成長を防ぐべく、誘電体層が成長層の上側に形成され得る。
【0064】
例として、成長パッド24を形成する材料は、元素の周期表のIV列、V 列若しくはVI列の遷移金属、元素の周期表のIV列、V 列若しくはVI列の遷移金属の窒化物、炭化物若しくはホウ化物、又はこれらの化合物の組合せであってもよい。
【0065】
例として、成長パッド24は、窒化アルミニウム(AlN )、ホウ素(B )、窒化ホウ素(BN)、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN )、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN )、ハフニウム(Hf)、窒化ハフニウム(HfN )、ニオブ(Nb)、窒化ニオブ(NbN )、ジルコニウム(Zr)、ホウ化ジルコニウム(ZrB2)、窒化ジルコニウム(ZrN )、炭化シリコン(SiC )、炭窒化タンタル(TaCN)、MgxNyの形態の窒化マグネシウム(ここでxは約3であり、yは約2であり、例えばMg3N2 の形態の窒化マグネシウム)、窒化マグネシウムガリウム(MgGaN )、タングステン(W )、窒化タングステン(WN)、又はこれらの組合せから形成されてもよい。
【0066】
変形例として、ゲルマニウムパッドは、第2の成長層で覆われた成長パッド、又は第2の成長層で覆われた第1の成長層を有する成長構造と取り替えられてもよい。例として、第2の成長層は、元素の周期表のIV列、V 列若しくはVI列の遷移金属、元素の周期表のIV列、V 列若しくはVI列の遷移金属の窒化物、炭化物若しくはホウ化物、又はこれらの化合物の組合せであってもよい。第2の成長層は第1の成長層から形成されてもよい。例えば、第2の窒化物成長層は、エピタキシによって形成された窒化アルミニウム層からエピタキシによって形成されてもよい。このような成長構造を製造する方法は、2016年6月28日に出願された仏国特許出願第FR1656008 号に記載されており、この特許出願は参照によって本明細書に組み込まれる。
【0067】
絶縁層32は、誘電体材料、例えば酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(SixNy、ここでxは約3であり、yは約4であり、例えばSi3N4 )、酸窒化シリコン(SiOxNy、ここでxは約1/2 であってもよく、yは約1であってもよく、例えばSi2ON2)、酸化アルミニウム(Al2O3) 、酸化ハフニウム(HfO2)又はダイヤモンドから形成されてもよい。例として、絶縁層32の厚さは、5nm~1μmの範囲内であり、例えば約30nmである。
【0068】
ワイヤ26は、少なくとも1つの半導体材料から少なくとも部分的に形成されている。半導体材料は、シリコン、ゲルマニウム、炭化シリコン、III-V 族化合物、II-VI 族化合物、又はこれらの化合物の組み合わせであってもよい。
【0069】
ワイヤ26は、III-V 族化合物、例えばIII-N 化合物を主に含む半導体材料から少なくとも部分的に形成されてもよい。III 族元素の例として、ガリウム(Ga)、インジウム(In)又はアルミニウム(Al)が挙げられる。III-N 化合物の例として、GaN 、AlN 、InN 、InGaN 、AlGaN 又はAlInGaN が挙げられる。他のV 族元素、例えばリン又はヒ素が使用されてもよい。一般に、III-V 族化合物内の元素は異なるモル分率で組み合わせられてもよい。
【0070】
ワイヤ26は、II-VI 族化合物を主に含む半導体材料から少なくとも部分的に形成されてもよい。II族元素の例として、IIA 族元素、特にベリリウム(Be)及びマグネシウム(Mg)、並びにIIB 族元素、特に亜鉛(Zn)及びカドミウム(Cd)が挙げられる。VI族元素の例として、VIA 族元素、特に酸素(O) 及びテルル(Te)が挙げられる。II-VI 族化合物の例として、ZnO 、ZnMgO 、CdZnO 又はCdZnMgO が挙げられる。一般に、II-VI 族化合物内の元素は異なるモル分率で組み合わせられてもよい。
【0071】
ワイヤ26はドーパントを含んでもよい。例として、III-V 族化合物に関して、ドーパントは、例えばマグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)若しくは水銀(Hg)であるP型II族ドーパント、例えば炭素(C) であるP型IV族ドーパント、又は例えばシリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、セレン(Se)、硫黄(S) 、テルビウム(Tb)若しくはスズ(Sn)であるN型IV族ドーパントを含む群から選択されてもよい。
【0072】
ワイヤ26の断面形状は異なってもよく、例えば楕円形、円形又は多角形、特に三角形、矩形、正方形若しくは六角形であってもよい。例として、図1Aでは、ワイヤは六角形の断面で示されている。ワイヤの断面又はこのワイヤ上に成膜された層の断面の「直径」又は「平均直径」という用語は、例えばワイヤの断面と同一の表面積を有する円盤の直径に相当する、この断面における対象の構造の表面積に関する量を示すと理解すべきである。各ワイヤ26の平均直径は50nm~5μmの範囲内であってもよい。各ワイヤ26の高さは250 nm~50μmの範囲内であってもよい。各ワイヤ26は、上面16に実質的に垂直な軸芯に沿って細長い半導体構造を有してもよい。各ワイヤ26は一般的な円筒状であってもよい。2つの隣り合うワイヤ26の軸芯は、0.5 μm~10μm、好ましくは1.5 μm~5μm離れてもよい。例として、ワイヤ26は特に六角形の網目状に規則的に分散してもよい。
【0073】
例として、各ワイヤ26の下方部分28は、基板12と同一の導電型、例えばN型で、例えばシリコンでドープされるか、又は基板12の導電型と反対の導電型でドープされたIII-N 化合物、例えば窒化ガリウムで主に形成されてもよい。下方部分28は、100 nm~25μmの範囲内であってもよい高さに沿って延びている。
【0074】
例として、各ワイヤ26の上方部分30は、III-N 化合物、例えばGaN から少なくとも部分的に形成されている。上方部分30は、N型にドープされてもよく、場合によっては下方部分28ほど高濃度にドープされなくてもよく、又は意図的にドープされなくてもよい。上方部分30は、100 nm~25μmの範囲内であってもよい高さに沿って延びている。
【0075】
シェル34は、
- 関連するワイヤ26の上方部分30を覆う活性層、
- 下方部分28の導電型と反対の導電型を有して活性層を覆う中間層、及び
- 中間層を覆って、電極層36で覆われている接合層
を特に含む複数の層の積層体を有してもよい。
【0076】
活性層は、基本発光ダイオードによる放射線の大部分が放射される層である。実施例によれば、活性層は、多重量子井戸のような、電荷担体を閉じ込めるための手段を有してもよい。活性層は、例えば、厚さが5~20nm(例えば8nm)のGaN 層及び厚さが1~15nm(例えば2.5 nm)のInGaN 層を交互に形成することにより得られる。GaN 層は、例えばN型又はP型にドープされてもよい。別の実施例によれば、活性層は、例えば厚さが10nmより大きい単一のInGaN 層を有してもよい。
【0077】
例えばP型でドープされた中間層は、半導体層又は半導体層の積層体に相当してもよく、P-N 接合又はP-I-N 接合を可能にし、活性層は、P-N 接合又はP-I-N 接合のP型の中間層及びN型の上方部分30間に配置されている。
【0078】
接合層は、半導体層又は半導体層の積層体に相当してもよく、中間層及び電極層36間のオーミック接触を可能にする。例として、接合層は、一又は複数の半導体層が変性するまで各ワイヤ26の下方部分28のドーピング型と反対のドーピング型で非常に高濃度にドープされてもよく、例えば1020atoms/cm3 以上の濃度でP型にドープされてもよい。
【0079】
半導体層の積層体は、活性層内の電気担体の十分な分散を保証するために、三元合金、例えば窒化アルミニウムガリウム(AlGaN) 又は窒化アルミニウムインジウム(AlInN) から形成されて活性層及び中間層に接する電子障壁層を含んでもよい。
【0080】
電極層36は、各ワイヤ26の活性層にバイアスをかけて発光ダイオードによって放射される電磁放射線を通すことが可能である。電極層36を形成する材料は、基本発光ダイオードの発光波長で少なくとも部分的に透明な導電性材料、例えばインジウムスズ酸化物(つまりITO )、アルミニウム亜鉛酸化物、ガリウム亜鉛酸化物及び/又はインジウム亜鉛酸化物又はグラフェンであってもよい。例として、電極層36の厚さは、5nm~200 nmの範囲内であり、好ましくは20nm~100 nmの範囲内である。
【0081】
導電層38は、例えばアルミニウム、銅、金、ルテニウム又は銀で形成された金属層に相当するか、又は、例えばチタン-アルミニウム、シリコン-アルミニウム、チタン-ニッケル-銀、銅又は亜鉛で形成された金属層の積層体に相当することが好ましい。例として、導電層38の厚さは、20nm~3,000 nmの範囲内であり、好ましくは400 nm~800 nmの範囲内である。導電層38はワイヤ間のみに存在し、ワイヤの放射面を覆わない。導電層38によって、電流が流れている間の抵抗損失が減少し得る。導電層38は、発光ダイオードによって基板に向かって放射される光線を外側に向かって反射する反射体機能を更に有する。
【0082】
封止層40は、基本発光ダイオードの発光波長で少なくとも部分的に透明な絶縁材料で形成されている。封止層40が発光ダイオードの組立体D の最上部で電極層36を好ましくは完全に覆うように、封止層40の最大の厚さは250 nm~50μmの範囲内である。封止層40は、ワイヤ間の空間を完全に充填してもよい。変形例として、封止層40はワイヤの形状を有してもよい。封止層40は、少なくとも部分的に透明な無機材料から形成されてもよい。例として、無機材料は、SiOx(ここでxは1~2の間の実数である)又はSiOyNz(ここでy及びzは0~1の間の実数である)の形態の酸化シリコン、及び酸化アルミニウム、例えばAl2O3 を含む群から選択されている。封止層40は、少なくとも部分的に透明な有機材料から形成されてもよい。例として、封止層40は、シリコーンポリマー、エポキシドポリマー、アクリルポリマー又はポリカーボネートである。
【0083】
電気絶縁性素子18は、基板12の厚さ全体に亘って延びて、絶縁材料、例えば酸化物、特に酸化シリコン又は絶縁ポリマーが充填されたトレンチを有してもよい。変形例として、各トレンチ18の壁は絶縁層で覆われており、トレンチの残りの部分には、半導体又は導電性材料、例えばポリシリコンが充填されている。別の変形例によれば、電気絶縁性素子18は、基板12の深さ全体に亘って延びている、基板12の極性型と反対の極性型のドープ領域を有している。例として、各トレンチ18の幅は1μmより大きく、特に1μm~10μmの範囲内であり、例えば約2μmである。図1B及び図1Cでは、電気絶縁性素子18は、基板12の導電性部分又は半導体部分20毎に、基板12の導電性部分又は半導体部分20を画定する1つのトレンチを有している。例として、各導電性部分又は半導体部分20を電気的に絶縁するために対の隣り合うトレンチが設けられてもよく、1対の隣り合うトレンチ18の2つのトレンチ18間の距離は例えば5μmより大きく、例えば約6μmである。
【0084】
一般に、これほど薄いトレンチは、選択されたエッチング及び絶縁の技術に応じて、約10マイクロメートルと約100 マイクロメートルとの間で深さを限定して単に形成され得る。従って、電気絶縁性素子18が露出するまで、基板12を薄層化すべきである。
【0085】
基板12を薄層化するために、剛性材料で形成されたハンドルが封止層40に一時的又は最終的に接合されてもよい。ハンドルが封止層40に最終的に接合される場合、ハンドルは、基本発光ダイオードの発光波長領域内で少なくとも部分的に透明な材料で形成されている。このような材料は、ガラス、特にホウケイ酸ガラス、例えばパイレックス(登録商標)として知られているガラス、又はサファイアであってもよい。薄層化後、基板の裏面14を処置してもよく、その後、接合が一時的である場合、ハンドルが外されてもよい。
【0086】
各導電性パッド22は、裏面14を覆う層又は層の積層体に相当してもよい。変形例として、絶縁層が裏面14を部分的に覆ってもよく、各導電性パッド22は、この絶縁層にエッチングされた開口部を通って関連する導電性部分又は半導体部分20と接する。
【0087】
図1Bに示されているように、各壁42は、導電層38から封止層40の厚さH 全体に亘って延びている。変形例として、各壁42の高さは、封止層40の厚さH より小さくてもよく、又は大きくてもよい。本実施形態では、各壁42の高さはワイヤ26の高さ以上であってもよい。各壁42の幅は、隣り合う組立体D の2つの基本発光ダイオード間の最小距離以下であることが好ましい。各壁42の幅L は0.5 μm~12μmの範囲内であってもよい。
【0088】
壁42が設けられているため、光電子デバイス10のコントラストが高められ得ることが有利である。更に壁42は、特に基板12の上面16に垂直な観察方向に沿って、光電子デバイス10の輝度を高めることが可能である。
【0089】
実施形態によれば、各壁42は、固体材料又は複数の固体材料のブロック43から形成されている。
【0090】
実施形態によれば、各壁42は反射壁を有している。実施形態によれば、壁42は、優れた熱伝導体の材料、例えば金属又は金属合金、例えばCu、Ag、CuAg、CuSnAg、CuNi、CuNiAu、Al、ZnAl又はAlCuで形成されている。そのため、壁42は更に、発光ダイオードの動作中に生じる熱を基板12に向かって放出することを容易にする。変形例として、各壁42は反射層で覆われたコア、例えば金属コアを有してもよい。
【0091】
実施形態によれば、各壁42は不透明な壁を有している。例として、各壁42は、黒色樹脂層で覆われたコアを有してもよい。この樹脂は、基本発光ダイオードの発光スペクトルと、発光体が設けられている場合には発光体の発光スペクトルとを含むスペクトル領域に亘る電磁放射線を吸収できることが好ましい。別の実施形態によれば、各壁42は可視光線に部分的に透明な樹脂で形成されている。
【0092】
実施形態によれば、壁42は、完全には黒色樹脂で形成されていない。
【0093】
実施形態によれば、各壁42は、反射壁、例えばTiO2粒子を含むポリマーを有している。
【0094】
図1Bは、壁42を基板12の上面16に実質的に垂直な実質的に平行な側壁で示している。変形例として、側壁42が基板12の上面16に対して傾き、基板12からの側壁42の距離が増加するにつれて互いに接近してもよい。このため、光電子デバイス10の輝度を、特に基板12の上面16に垂直な観察方向に沿って高めることが可能になる。
【0095】
光電子デバイス10は、封止層40内又は封止層40上に発光体とも称される光輝性材料を更に備えてもよい。発光体が発光ダイオードによって放射される光によって励起されると、発光体は、発光ダイオードによって放射される光の波長とは異なる波長で光を放射することができる。実施形態によれば、発光体は、特にワイヤ26間で分散している。発光体が封止層40内に埋め込まれている場合、発光体の少なくとも一部がワイヤ26間で分散しているように、発光体の平均直径が選択されていることが好ましい。発光体の直径が1nm~1,000 nmの範囲内であることが好ましい。
【0096】
光輝性材料は、300 ~500 nm、好ましくは380 ~480 nmの範囲内の波長を有する光励起下で400 ~700 nmの範囲内の波長で光を発するアルミン酸塩、ケイ酸塩、窒化物、フッ化物又は硫化物であってもよい。
【0097】
光輝性材料は、以下の式(1)に応じたアルミン酸塩、特にイットリウムアルミニウムガーネットであることが好ましい。
(Y3-xR1 x)(Al5-yR2 y)O12 (1)
ここで、R1及びR2は、希土類元素、アルカリ土類元素及び遷移金属を含む元素から独立して選択され、x及びyは夫々独立して0~1.5 の範囲内であり、好ましくは0~1の範囲内である。R1及びR2は、セリウム、サマリウム、ガドリニウム、シリコン、バリウム、テルビウム、ストロンチウム、クロム、プラセオジム及びガリウムを含む群から独立して選択されることが好ましい。
【0098】
所望の波長領域で光を吸収して放射する窒化物の例として、CaAlSiN3:Eu 、(Ca,Sr)AlSiN3:Eu、Ca2Si5N8:Eu 又は(Ca,Sr)Si5N8:Eu が挙げられ得る。
【0099】
所望の波長領域で光を吸収して放射するフッ化物の例として、式K2MF6:Mn(ここでMはSi、Ge、Sn又はTiであってもよい)のフッ化物が挙げられ得る。
【0100】
所望の波長領域で光を吸収して放射する硫化物の例として、CaS:Eu、SrCa:Eu 、(Sr,Ca)S:Eu 及びSrGa2S4:Euが挙げられ得る。
【0101】
所望の波長領域で光を吸収して放射するアルミン酸塩の例として、Y3Al5O12:Ce 、(Y,Gd)3Al5O12:Ce、Tb3Al5O12、(Y,Tb)3Al5O12、Lu3Al5O12:Ce及びY3(Al,Ga)5O12が挙げられ得る。
【0102】
所望の波長領域で光を吸収して放射するケイ酸塩の例として、(Sr,Ba)2SiO4:Eu 、Sr2SiO4:Eu、Ba2SiO4:Eu、Ca2SiO4:Eu、Ca3SiO5:Eu及びSr3SiO5:Euが挙げられ得る。
【0103】
実施形態によれば、発光体は、量子ドット又は量子井戸のような、量子を空間の少なくとも1つの方向に閉じ込め得る半導体材料を含んでもよい。
【0104】
封止層40が発光体を有する場合、様々な発光体が発光ダイオードの組立体D に応じて設けられてもよい。
【0105】
図6は、光電子デバイス10の全ての要素を備え、表示サブ画素Pix 毎に封止層40上に光学フィルタ53を更に備えた光電子デバイス52の別の実施形態を示す。光学フィルタ53は壁42のみに設けられていないことが好ましい。各光学フィルタ53は、基本発光ダイオードによって放射される放射線を吸収及び/又は反射することができる1つの層、2つの層又は3以上の層を有してもよい。実施形態によれば、光学フィルタ53は、発光体が設けられている場合に表示サブ画素に関連付けられている発光体の発光スペクトル領域で透明である。各光学フィルタ53は、感光性であろうとなかろうと、少なくとも1つの着色ポリマーを含んでもよく、又は、ダイクロイックフィルタを形成する誘電体層の積層体を含んでもよい。
【0106】
レンズが封止層40上に設けられてもよい。例として、サブ画素毎又はサブ画素組立体毎に1つのレンズが設けられてもよい。
【0107】
実施形態によれば、光電子デバイス10は、参照によって本明細書に組み込まれる仏国特許出願第13/59413号に記載されている方法に従って少なくとも部分的に形成されている。
【0108】
光電子デバイス10を製造する方法の実施形態は、以下を有してもよい。
【0109】
(1) 電気絶縁性素子18毎に、前面16の側の基板12に開口部をエッチングする工程
反応性イオンエッチングタイプのエッチング、例えばDRIEエッチングによって開口部を形成してもよい。開口部の深さは、以下に記載する薄膜化工程の後、基板12の目標とする厚さより大きい。例として、開口部の深さは10μm~200 μmの範囲内であり、例えば約35μm又は60μmである。
【0110】
(2) 例えば熱酸化法によって開口部の側壁に、例えば酸化シリコンで形成された絶縁層を形成する工程
絶縁層の厚さは100 nm~3,000 nmの範囲内であってもよく、例えば約200 nmであってもよい。
【0111】
(3) 高温で実行される製造方法の工程と適合する、例えば低圧化学蒸着法(LPCVD) によって成膜される充填材料、例えばポリシリコン、タングステン又は耐火性金属材料で開口部を充填する工程
ポリシリコンは有利にはシリコンの熱膨張係数に近い熱膨脹係数を有するため、高温で実行される製造方法の工程中の機械的応力を減少させることができる。
【0112】
(4) 化学機械研磨(CMP) を行って、シリコン表面を露出させてあらゆる高くした領域を除去する工程
【0113】
(5) 参照によって本明細書に組み込まれる国際公開第2014/044960 号パンフレット及び仏国特許出願第13/59413号に記載されているように、エピタキシャル成長によって成長部分24、ワイヤ26、絶縁層32及びシェル34を形成する工程
【0114】
(6) 例えば共形的な化学蒸着法(CVD) 、特に原子層成膜法(ALD) 又は物理蒸着法(PVD) 、カソードスパッタリング法によって構造全体に亘って電極36を形成する工程
成膜の後、電極をアニールする工程を行うことが多い。
【0115】
(7) 絶縁層32及び電極層36を通して開口部39を形成する工程
絶縁層32を通した開口部39のみが設けられている場合、電極層36を形成する工程の前に開口部39を形成する工程
【0116】
(8) 工程(7) で得られた構造全体に亘って、例えばPVD によって導電層38を形成し、この導電層38をエッチングして各ワイヤ26を覆う電極層36の部分を露出させる工程
【0117】
(9) 導電層38の積層後に接点を熱的にアニールする工程
【0118】
(10) 壁42を形成する工程
【0119】
(11) 例えばスピンオン成膜法、インクジェット印刷法、シルクスクリーニング法又はシート成膜法によって、工程(10)で得られた構造全体に亘って封止層40を成膜する工程
様々な発光体が発光ダイオードの組立体D に応じて設けられ得る場合、選択的に発光体を成膜する方法では、第1の色の発光体粒子をシリコンレジストと混合し、その後、基板全体及び発光ダイオードに亘って分散させ、フォトリソグラフィによって発光体を所望のサブ画素に接合する。この作業を、第2の発光体でサブ画素の色の数の回数、繰り返す。別の方法では、シリコーン-発光体混合物及び特定の添加剤で形成された「インク」と共にインクジェットタイプの印刷機器を使用する。マッピング及び向きに基づきサブ画素を参照して印刷することにより、発光体を必要な位置に成膜する。
【0120】
(12) 一時的又は永久的なハンドルを接着して基板12を薄層化し、側方の電気絶縁性素子18に達する工程
【0121】
(13) 導電性パッド22を形成する工程
【0122】
図2A~2Cは、壁42が、基本発光ダイオードの発光スペクトルと発光体が設けられている場合には発光体の発光スペクトルとを含むスペクトル領域で部分的に透明な材料で形成されている場合、前述した製造方法の工程(10)の実施形態の連続的な工程で得られた構造を示す。本方法は、以下を連続的に有する。
【0123】
(i) 前述した製造方法の工程(9) の後に得られた構造上に、電気絶縁性のパッシベーション層45、例えばSiON層を共形的に成膜する工程(図2A
【0124】
(ii) 基本発光ダイオードの発光スペクトルと、発光体が設けられている場合には発光体の発光スペクトルとを含むスペクトル領域で部分的に透明な樹脂層46を成膜する工程
樹脂層46の最小厚さはワイヤ26の高さと等しく、樹脂層46の最大厚さは例えば約60μmである。
【0125】
(iii) フォトリソグラフィ工程によって樹脂層46に開口部を形成して壁42を画定する工程
【0126】
図3A及び図3Bは、各壁42が、基本発光ダイオードの発光スペクトルと、発光体が設けられている場合には発光体の発光スペクトルとを含むスペクトル領域で不透明な又は反射する材料で形成されているシェルで覆われたコアを有する場合の、前述した製造方法の工程(10)の別の実施形態の連続的な工程で得られた構造を示す。この方法は、コアを形成するために使用される材料があらゆるタイプであってもよく、例えば金属材料又は有機材料であってもよい点を除いて、壁42のコアを形成するために前述した工程(i) 、工程(ii)及び工程(iii) を有する。本方法は、以下を連続的に更に有する。
【0127】
(iv) 工程(iii) で得られた構造全体に亘って不透明な樹脂層47又は反射層を、例えばスプレーコーティングによって共形的に成膜する工程
樹脂層47の厚さは、0.02μm~2μmの範囲内であってもよく、好ましくは0.05μm~0.3 μmの範囲内であってもよい(図3A)。
【0128】
(v) 発光ダイオードに存在する樹脂層47の部分を、例えばフォトリソグラフィによって除去し、壁42のレベルに不透明な樹脂の部分48を画定する工程(図3B)。
【0129】
図4A~4Eは、各壁42が金属製である場合の、前述した製造方法の工程(10)の別の実施形態の連続的な工程で得られた構造を示す。この方法は、前述した工程(i) を有し、以下を連続的に更に有する。
【0130】
(a) 金属材料の成膜を有利にする層49を共形的に成膜する工程
層49は、例えば厚さが20nm~400 nmの範囲内であるチタン層、及び例えば厚さが100 nm~2μmの範囲内である銅層の積層体を有してもよい(図4A)。
【0131】
(b) 樹脂層50を成膜して、フォトリソグラフィエッチング工程によって壁の所望の位置に樹脂層50に開口部51を形成する工程(図4B
【0132】
(c) 壁42(図4C)を形成すべく、樹脂層50の開口部51に金属材料を成膜し、例えば電気化学成膜し、金属材料を層49上に置く工程
【0133】
(d) 樹脂層50を除去する工程(図4D
【0134】
(e) 壁42の下の部分を除いて構造全体に亘る金属材料の成膜を有利にする層49を除去する工程(図4E
【0135】
図5A~5Dは、各壁42が金属製である場合の、前述した製造方法の工程(10)の別の実施形態の連続的な工程で得られた構造を示す。この方法は、前述した工程(i) を有し、
(a)' 樹脂層50を成膜して、フォトリソグラフィエッチング工程によって壁42の所望の位置に樹脂層50に開口部51を形成する工程(図5A
(b)' 開口部51の底部の絶縁層45の部分をエッチングする工程(図5B
(c)' 壁42(図5C)を形成すべく、樹脂層50の開口部51に金属材料を成膜し、例えば電気化学成膜し、金属材料を金属層38と接触させる工程
(d)' 樹脂層50を除去する工程(図5D
を連続的に更に有する。
【0136】
図7は、封止層40に設けられた空気が充填された開口部56に壁42が相当する点を除いて、光電子デバイス10の全ての要素を備えた光電子デバイス55の別の実施形態を示す。開口部56の大きさは、壁42に関して前述した大きさと同一であってもよい。特に基板12の上面16に垂直な観察方向に沿った光電子デバイス55の輝度は、光電子デバイス10の輝度より大きくてもよい。
【0137】
図8は、壁42の少なくとも一部、好ましくは壁42毎に、固体ブロック43が封止層40の厚さより小さい高さを有し、空気が充填された開口部58によって封止層40の厚さの残り部分に連続している点を除いて、光電子デバイス10の全ての要素を備えた光電子デバイス57の別の実施形態を示す。
【0138】
実施形態によれば、壁42は異なる高さを有する。実施形態によれば、同一の表示画素に関連付けられた2つの表示サブ画素Pix 間に配置された壁の高さは、2つの異なる表示画素に関連付けられた2つの表示サブ画素Pix を分離する壁の高さより小さくてもよい。実施形態によれば、同一の色に対応する表示サブ画素が帯状に配置されてもよく、同一の帯に関連付けられた2つの表示サブ画素Pix 間に配置された壁の高さは、2つの異なる帯に関連付けられた2つの表示サブ画素Pix を分離する壁の高さより小さくてもよい。
【0139】
図9は、参照番号42' で示されたある壁、例えば光電子デバイス60の外周部の壁が封止層40の厚さより大きい高さを有する点を除いて、光電子デバイス10の全ての要素を備えた光電子デバイス60の別の実施形態を示す。光電子デバイス60は、壁42' の端部に置かれている実質的に透明な材料の板62、例えばガラス板を更に備えている。空気膜、又は例えば100 mbar(10,000Pa)未満の圧力の部分真空膜64が透明な板62と封止層40との間に設けられている。壁42' の高さは10μm~100 μmの範囲内であってもよい。壁42' の幅は0.5 μm~200 μmの範囲内であってもよい。
【0140】
光電子デバイス60の利点は、板62が封止層40のための保護カバーとして使用されるということである。特に、封止層40が発光体を含んでいる場合、板62は発光体の保護を可能にする。更に、光電子デバイスの外周部にない壁42の酸化の危険性を低下させるように、空気膜又は真空膜64は実質的に密な空間に相当してもよい。空気膜又は真空膜64が設けられているため、透明な板62が封止層40に直接接して置かれる場合に対して光電子デバイス60からの光の抽出を高めることが可能になる。変形例として、壁42の高さは封止層40の厚さより大きくてもよく、壁42も板62に接してもよい。
【0141】
図10は、光電子デバイス60を製造する方法の実施形態の工程を示す。この実施形態では、前述した工程(1) ~工程(10)を行ってもよい。この方法では、これらの工程とは独立して、例えば壁42の形成と同様に壁42' を板62に形成する。変形例として、SOI (シリコン・オン・インシュレータ)タイプの基板のシリコン層のエッチングによって壁42' を形成してもよく、そのため、板62はSOI 基板の絶縁層に相当してもよい。
【0142】
封止層40をワイヤ26に成膜して架橋結合してもよく、壁42' を挿入するために開口部を封止層40に形成する。その後、封止層40に設けられた開口部に壁42' を導入して、例えば陽極接合によって金属層38に固定する。変形例として、封止層40をワイヤ26上に成膜してもよく、封止層40の架橋結合前に、壁42' を封止層40を通して金属層38に近づける。その後、封止層40を架橋結合する。この変形例によれば、封止層40は各壁42' と金属層38との間に設けられてもよい。
【0143】
光電子デバイス60の別の実施形態では、特に図4A~4E及び図5A~5Dに関連して前述したように、壁42と同時的に壁42' を製造し、その後、板62を壁42' に接合する。図11は、図9に示されている光電子デバイス60の全ての要素を備え、板62上に設けられている光学フィルタ66を更に備えている光電子デバイス65の別の実施形態を示す。光学フィルタ66の構造は、前述した光学フィルタ53の構造と同一であってもよい。基本発光ダイオードの発光スペクトルと、発光体が設けられている場合には発光体の発光スペクトルとを含むスペクトル領域で不透明な素子67が光学フィルタ66の内の一部の間に設けられてもよい。
【0144】
図12は、図9に示されている光電子デバイス60の全ての要素を備え、図6に関連して前述した光学フィルタ53を封止層40上に更に備えている光電子デバイス68の別の実施形態を示す。
【0145】
図13は、壁42の少なくとも一部が光電子デバイス55の構造を有し、つまり封止層40の厚さより小さい高さを有して空気又は真空が充填された開口部58によって連続しているブロック43を夫々有している点を除いて、図9に示されている光電子デバイス60の全ての要素を備えた光電子デバイス69の別の実施形態を示す。変形例として、壁42は、図7に示されている光電子デバイス55のように空気又は真空が充填された開口部に相当してもよい。
【0146】
図14は、壁42及び壁42' が設けられておらず、空気膜又は真空膜64が、実質的に透明な板62と封止層40との間に配置された発光体を含んで板62及び封止層40と接している発光体層72と取り替えられている点を除いて、図9に示されている光電子デバイス60の全ての要素を備えている光電子デバイス70の別の実施形態を示す。発光体層72の厚さは、0.2 μm~50μmの範囲内であってもよく、好ましくは1μm~30μmの範囲内であってもよい。壁74は、発光体層72に延びて、発光体層72を発光体含有部分76に分割する。壁74の構造及び組成は、壁42に関して前述した構造及び組成と同一であってもよい。実施形態によれば、壁74又は壁側面は、基本発光ダイオードの発光スペクトルと、発光体が設けられている場合には発光体の発光スペクトルとを含むスペクトル領域で不透明である。実施形態によれば、各壁74は反射壁を有している。様々な発光体が様々な発光体含有部分76に設けられてもよい。
【0147】
本実施形態では、発光体発光体含有部分76のレベルに設けられており、封止層40に設けられてない。このため、ワイヤ26間に挿入するには大き過ぎる発光体を使用することが可能になることが有利である。本実施形態では、発光体層72に設けられた壁74によって、コントラスト及び輝度を高める機能が実現される。しかしながら、壁が発光ダイオードの組立体間に設けられている本開示に記載された実施形態は、コントラストを高めるためにより有利な場合がある。図15は、封止層40が設けられておらず、発光体層72がワイヤ26の最上部に直接置かれている点を除いて、図14に示されている光電子デバイス70の全ての要素を備えている光電子デバイス80の別の実施形態を示す。
【0148】
図16は、図14に示されている光電子デバイス70の全ての要素を備え、光電子デバイス10のように封止層40に壁42を更に備えている光電子デバイス85の別の実施形態を示す。本実施形態では、壁42の高さは封止層40の厚さと実質的に等しい。壁42は壁74の連続であることが好ましい。壁42及び壁74が設けられているため、光電子デバイス70及び光電子デバイス80に対してコントラスト及び輝度が高められる。変形例として、壁42は、図7に関連して前述した光電子デバイス55のように空気又は真空が充填された開口部と取り替えられてもよい。変形例として、壁42の高さは封止層40の厚さより小さくてもよく、図8に関連して前述した光電子デバイス57のように、空気が充填された開口部が、壁の連続として設けられてもよい。
【0149】
別の実施形態によれば、光電子デバイス85の壁42及び壁74はモノブロックであり、図10に関連して壁42' に関して前述したように形成されている。
【0150】
変形例として、光電子デバイス70、光電子デバイス80又は光電子デバイス85は光学フィルタを更に備えてもよい。各光学フィルタは、板62と発光体含有部分76の内の1つとの間に配置されている。光学フィルタを、壁74及び発光体含有部分76を形成する前に製造してもよい。
【0151】
図17は、実質的に透明な板62が設けられていない点を除いて、図14に示されている光電子デバイス70の全ての要素を備えている光電子デバイス90の別の実施形態を示す。例として、壁74は、発光体含有部分76が収容されているボックスを画定している金属グリッドの一部を形成している。
【0152】
図18は、封止層40が光電子デバイス80のように設けられておらず、発光体層72がワイヤ26の最上部に直接置かれている点を除いて、図17に示されている光電子デバイス90の全ての要素を備えている光電子デバイス95の別の実施形態を示す。
【0153】
図19は、図17に示されている光電子デバイス90の全ての要素を備え、光電子デバイス85のように封止層40に壁42を更に備えている光電子デバイス100 の別の実施形態を示す。
【0154】
図20は、板62及び発光体層72が、接合材料の層108 、例えばシリコーン層を介して封止層40に固定された光輝性材料の単結晶層106 と取り替えられている点を除いて、図14に示されている光電子デバイス70の全ての要素を備えている光電子デバイス105 の別の実施形態を示す。光輝性材料は、光電子デバイス10に関して前述した材料の内の1つに相当してもよい。光輝性層106 は、光輝性層106 の厚さの一部に亘って延びているが、光輝性層106 を完全には横切らない開口部110 を有している。開口部110 は封止層40の側に開口している。開口部110 は、好ましくは壁42と一列に並んで配置されており、光輝性層106 に光輝性部分112 を画定しており、各光輝性部分112 は、発光ダイオードの組立体D の内の1つに対向して配置されている。開口部110 は、空気若しくは真空が部分的若しくは完全に充填されてもよく、又は優れた熱伝導体の材料、例えば金属若しくは金属合金が部分的若しくは完全に充填されてもよい。光輝性層112 は、観察者によって見える表面114 にテクスチャを有してもよく、つまり、表面114 によって光の抽出を高める高くした領域116 を有してもよい。開口部110 は切り取りによって形成されてもよい。
【0155】
図21は、封止層40が光電子デバイス80のように設けられておらず、光輝性層112 が接着層108 を介してワイヤ26の最上部に直接置かれている点を除いて、図20に示されている光電子デバイス105 の全ての要素を備えている光電子デバイス115 の別の実施形態を示す。
【0156】
図22は、図20に示されている光電子デバイス105 の全ての要素を備え、光電子デバイス85のように封止層40に壁42を更に備えている光電子デバイス120 の別の実施形態を示す。
【0157】
図23は、発光ダイオードの各組立体D が上面16から基板12に延びている凹部126 の底部に形成され、壁42が凹部126 を画定する基板12の壁128 に相当する点を除いて、図1Bに示されている光電子デバイス10の全ての要素を備えている光電子デバイス125 の別の実施形態を示す。壁128 は、特に各対の隣り合う組立体D の発光ダイオードの組立体D 間に延びている。壁を形成する基板12の部分128 は、電気絶縁性トレンチ18によって基板12の隣り合う導電性部分又は半導体部分20から電気的に絶縁されている。各凹部126 の深さは2μm~100 μmの範囲内であり、例えば約25μmである。
【0158】
絶縁層32は、各凹部126 の壁及び壁128 の全てを覆っている。発光ダイオードの組立体D 毎に、電極層36は、ワイヤ26上と、発光ダイオードの組立体D が形成されている凹部126 の底部上とに延びており、導電層38はワイヤ26間の電極層36上に延びている。本実施形態では、電極層36及び導電層38は壁128 上に延びていない。隣り合う発光ダイオードの2つの組立体D の電極層36及び/又は導電層38間の電気接続部は、2つの組立体D を分離する壁128 を介して形成されている。このために、表示サブ画素Pix 毎に、電極層36及び/又は導電層38は、絶縁層32に設けられた開口部129 を介して基板12の一部と接している。従って、発光ダイオードの全ての組立体D の電極層36及び/又は導電層38は電気的に結合されている。本実施形態では、トレンチ18は各凹部126 のレベルで基板12に配置されており、壁128 を含む基板12の基板部分130 から基板12の導電性部分又は半導体部分20を分離する。電極層36及び/又は導電層38は基板部分130 に電気的に接続されている。更に、導電性部分132 が、電極層36のバイアスを可能にすべく、電極層36に電気的に結合されている壁を形成する基板部分130 の内の1つに接して下面14に設けられてもよい。
【0159】
図24は、電極層36及び/又は導電層38が全てのワイヤ26上と壁128 上とに延びており、全ての発光ダイオードの組立体D に共通する点を除いて、図23に示されている光電子デバイス120 の全ての要素を備えている光電子デバイス135 の別の実施形態を示す。この場合、絶縁層32は凹部126 の底部で開口しておらず、凹部126 を画定する壁128 の少なくとも一部の最上部に開口してもよい。このため、電極層36及び/又は導電層38は、絶縁層32に設けられた開口部129 を介して壁128 の少なくとも一部の最上部と接している。
【0160】
図25は、トレンチ18が壁128 のレベルで基板12に設けられている点を除いて、図24に示されている光電子デバイス135 の全ての要素を備えている光電子デバイス140 の別の実施形態を示す。
【0161】
図23図24及び図25に示されている実施形態では、壁128 の側面は、基板12の下面14及び上面16に実質的に垂直である。変形例として、壁128 の側面は、90°とは異なる角度で下面14及び上面16に実質的に垂直であり、基本発光ダイオードと発光体が設けられている場合には発光体とによって放射される光線を光電子デバイス125 の外側に向かって反射すべく向けられている。
【0162】
図26A ~26D は、光電子デバイス125 の実施形態の連続的な工程で得られた構造を示す。
【0163】
図26A は、前述した工程(1) 、工程(2) 、工程(3) 及び工程(4) を行った後に得られた構造を示し、工程(1) 、工程(2) 、工程(3) 及び工程(4) によって、未だ薄層化されていない基板12に電気絶縁性トレンチ18を形成する。
【0164】
図26B は、基板12の上面16に凹部126 を形成した後に得られた構造を示す。
【0165】
図26C は、前述した工程(5) を行った後に得られた構造を示し、工程(5) によって、各凹部126 内に発光ダイオードの組立体D を形成し、凹部126 内及び壁128 上に絶縁層32を形成する。その後、絶縁層32に開口部129 を形成し、前述した工程(6) を行って電極層36を形成した。行った方法に応じて、電極層36を壁128 上に更に成膜してもよい。そのため、壁128 に存在する電極層の部分を除去する工程を行ってもよい。その後、前述した工程(8) を行って、各凹部126 内のワイヤ26間に導電層38を形成した。
【0166】
図26D は、前述した熱アニール工程(9) 、凹部126 内及び壁128 上に封止層を成膜する前述した工程(11)、その後、凹部126 内のみに封止層40を得るためにエッチング又は平坦化を行う工程、及び側方の電気絶縁性素子18に達するために基板12を薄層化する前述した工程(12)を行った後に得られた構造を示す。
【0167】
この方法は、導電性パッド22を形成する前述した工程(13)を更に有する。
【0168】
前述した実施形態では、光電子デバイス10は、導電性パッド22に接合された図示されていない可溶性の導電素子、例えばはんだバンプ又はインジウムバンプによって別の回路に接合されている。別の回路、特に制御回路への光電子デバイス10の組み立ては、従来のマトリクスハイブリダイゼーション技術によって、可溶性のバンプによって、例えばインジウム若しくはSnAgで形成された可溶性材料、銅のカラム又は金のパッドを対向させて置くこと(スタッドバンプ技術)により、或いは導電性の分子結合(銅同士)によって行われる。導電性パッド22を形成する金属積層体は、選択された組み立て技術と適合するように選択されている。例として、導電性パッド22は、Cu又はTi-Ni-Au、Sn-Ag 又はNi-Pd-Auで形成されてもよい。
【0169】
発光ダイオードの組立体D の少なくとも1つの内の基本発光ダイオードのシェル34の活性層は、少なくとも発光ダイオードの別の組立体の基本発光ダイオードのシェルの活性層とは異なるように製造されてもよい。例えば、第1の組立体のシェル34の活性層は第1の波長で光、例えば青色の光を発することができてもよく、第2の組立体のシェル34の活性層は、第1の波長とは異なる第2の波長で光、例えば緑色の光を発することができてもよい。このような構造は、例えば各組立体でワイヤのピッチ及びサイズを適合させることにより、これらの活性層を形成する量子井戸の厚さ及び組成を変更することによって得られてもよい。
【0170】
更に、第3の組立体が、第1の波長及び第2の波長とは異なる第3の波長で光、例えば赤色の光を発するように適合されてもよい。従って、観察者が色合成によって白色の光を感知するように、青色の光、緑色の光及び赤色の光の合成を選択してもよく、第1の波長、第2の波長及び第3の波長で光を発する各ダイオード又はダイオード組立体は、色を調節すべく他のダイオード又はダイオード組立体とは独立して対処され得る。
【0171】
前述した実施形態では、絶縁層32は、各ワイヤ26の下方部分28の周囲全体を覆っている。変形例として、下方部分28の一部、又は下方部分28全体が絶縁層32で覆われないことが可能である。この場合、シェル34は、上方部分30の高さより大きい高さまで、又はワイヤ26の高さ全体に沿って各ワイヤ26を覆ってもよい。更に、前述した実施形態では、絶縁層32は、各ワイヤ26の上方部分30の周囲を覆っていない。変形例として、絶縁層32は各ワイヤ26の上方部分30の一部を覆ってもよい。更に、別の変形例によれば、絶縁層32は、ワイヤ26毎にシェル34の下方部分を部分的に覆ってもよい。別の実施形態によれば、特に成長パッド24が誘電体層で覆われた成長層と取り替えられて、ワイヤが誘電体層に設けられた開口部内の成長層上に形成されている場合、絶縁層32が設けられなくてもよい。
【0172】
光電子デバイス10は、光電子デバイス10の発光ダイオード組立体を制御するために使用される電子部品、特にトランジスタを有する別の集積回路、特に制御回路上に置かれてもよい。
【0173】
動作中、導電層38に電気的に結合されている導電性パッド22は、第1の基準電位のソースに結合されてもよい。作動させる発光ダイオード組立体D の基本発光ダイオードが置かれている基板12の導電性部分又は半導体部分20に接する導電性パッド22は、対象の発光ダイオード組立体D の基本発光ダイオードを通って電流を循環させるために第2の基準電位のソースに結合されてもよい。各導電性パッド22が関連する導電性部分又は半導体部分20のかなりの部分に亘って延びることができるので、電流が均一に分散し得る。
【0174】
図1A~1Cでは、導電層38は、光電子デバイス10の側に沿って導電性部分又は半導体部分20に接して示されている。変形例として、導電層38は、光電子デバイス10の周囲全体に沿って導電性部分又は半導体部分20に接してもよい。
【0175】
図1A~1Cに示されている実施形態では、光電子デバイス10は、基板12の下面14の側に設けられた可溶性材料を介して外部回路に電気的に結合されている。しかしながら、他の電気接続モードが構想されてもよい。
【0176】
前述した実施形態では、基板12は半導体又は導電性材料で形成された基板である。別の実施形態によれば、基板12は、絶縁材料、例えば二酸化シリコン(SiO2)又はサファイアで完全に又は部分的に形成されている。導電性パッド22と導電層38又は成長パッド24との電気接続部は、例えばシリコンバイア、つまりTSV を通って基板12を厚さ全体に亘って横切る導電素子を用いて形成されてもよい。
【0177】
別の実施形態によれば、少なくとも1つの導電性パッドが、前面16の側で導電層38に接して設けられている。そのため、封止層40は、導電性パッドを露出する開口部を有している。導電層38も電極層36も半導体基板12と電気的に接していない。導電性パッドは、図示されていないワイヤによって、図示されていない外部回路に電気的に結合されている。複数の導電性パッドが、例えば光電子デバイスの外周部で導電層38上に分散してもよい。
【0178】
様々な変形例を有する様々な実施形態が上述されている。当業者は、いかなる進歩性も示さずにこれらの様々な実施形態及び変形例を組み合わせてもよいことに留意すべきである。例として、図22に示されている光電子デバイス120 の構造は、図7に示されている光電子デバイス55の構造、又は図8に示されている光電子デバイス57の構造と共に実施されてもよい。
【0179】
本特許出願は、参照によって本明細書に組み込まれる仏国特許出願第16/56170 号明細書の優先権を主張している。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7
図8
図9
図10
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図26A
図26B
図26C
図26D