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  • 特許-評価方法および評価システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-25
(45)【発行日】2022-11-02
(54)【発明の名称】評価方法および評価システム
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/30 20060101AFI20221026BHJP
【FI】
G01B11/30 102Z
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019049799
(22)【出願日】2019-03-18
(65)【公開番号】P2020153689
(43)【公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000000240
【氏名又は名称】太平洋セメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114258
【弁理士】
【氏名又は名称】福地 武雄
(74)【代理人】
【識別番号】100125391
【弁理士】
【氏名又は名称】白川 洋一
(72)【発明者】
【氏名】関根 麻里子
(72)【発明者】
【氏名】城出 真弥
(72)【発明者】
【氏名】早野 博幸
【審査官】櫻井 仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-170851(JP,A)
【文献】特開2014-010001(JP,A)
【文献】特開2013-047454(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリートの表面粗さを評価する評価方法であって、
非接触式の3Dスキャナを用いて、コンクリートの表面をスキャニングするステップと、
前記スキャニングされ、仮想空間内に表されたコンクリートの表面の点群データにおいて、同一平面上に存在する任意の3点から平面を定義し、前記平面と前記仮想空間内で定義されたXYZ座標系のXY平面とが平行となるように、前記点群データ全体を補正するステップと、
前記補正後の点群データ用いて、コンクリートの表面粗さを示すパラメータを算出するステップと、を少なくとも含み、コンクリートの表面上に載置された板状部材と共に、コンクリートの表面をスキャニングし、前記スキャニングされ、仮想空間内に表された板状部材の像を前記平面とすることを特徴とする評価方法。
【請求項2】
コンクリートの表面粗さを評価する評価システムであって、
非接触式で、評価対象となるコンクリートの表面に載置された板状部材および前記コンクリートの表面をスキャニングする3Dスキャナと、
前記スキャニングされ、仮想空間内に表された板状部材の像上の3点から定まる平面と、前記仮想空間内で定義されたXYZ座標系のXY平面とが平行となるように、前記点群データ全体を補正し、前記補正後の点群データを用いて、コンクリートの表面粗さを示すパラメータを算出するパラメータ演算部と、
前記算出されたパラメータを出力する出力部と、を備え
コンクリートの表面上に載置された板状部材と共に、コンクリートの表面をスキャニングし、前記スキャニングされ、仮想空間内に表された板状部材の像を前記平面とすることを特徴とする評価システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリートの表面粗さを評価する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、劣化したコンクリート構造物を補修・補強する工法が提案されてきた。これらの工法の多くは、劣化した一部分をはつり除去し、新たに補修材料を施工することが一般的である。既設部のはつり面および粗面の表面粗さは、補修材料との付着性能や補修後の耐久性に大きな影響を及ぼすのであるが、従来は、定量的な評価方法が確立されていないため、はつり処理の施工条件を定めることで表面粗さを管理している。
【0003】
例えば、特許文献1に開示されている「コンクリート打継面の評価装置」では、ラインレーザーとデジタルカメラと解析用パソコンを用いて、打継面の評価を行なっている。また、特許文献2に開示されている「コンクリートの表面粗さ及び劣化評価装置」では、コンクリートの表面粗さを、空中超音波を用いて計測する手法が採られている。
【0004】
ここで、触針式や非接触型の三次元計測器を表面粗さの評価に用いることは有効であることが知られているが、大型であり、据置きで測定するものが多く、施工現場で適用できないなどの課題があった。そこで、非接触式の3Dスキャナを用いることで計測時間の削減、携帯性などを改善することが提案されている。この方法では、コンクリート表面をスキャニングし、得られる点群データに基づいてコンクリートの表面粗さを示すパラメータを算出する。これにより、表面粗さを定量化することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-096175号公報
【文献】特開2015-215217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ハンディタイプ・非接触式の3Dスキャナは、据置き型の三次元計測器と異なり、様々な位置・角度からスキャンするため、同一の物をスキャンしても得られる点群データの座標中の向きや角度が一定でない。表面粗さの算定は、スキャニングした測定面に対して垂直方向の凹凸の高さから求めるため、測定ごとに面の向きが変わるとデータ処理(Z値の補正)が煩雑になる。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、補修しようとするはつり面に影響を与えず、処理を簡易にすることができる評価方法および評価システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上記の目的を達成するために、本発明は、以下のような手段を講じた。すなわち、本発明の評価方法は、コンクリートの表面粗さを評価する評価方法であって、非接触式の3Dスキャナを用いて、コンクリートの表面をスキャニングするステップと、前記スキャニングされ、仮想空間内に表されたコンクリートの表面の点群データにおいて、同一平面上に存在する任意の3点から平面を定義し、前記平面と前記仮想空間内で定義されたXYZ座標系のXY平面とが平行となるように、前記点群データ全体を補正するステップと、前記補正後の点群データ用いて、コンクリートの表面粗さを示すパラメータを算出するステップと、を少なくとも含むことを特徴とする。
【0009】
(2)また、本発明の評価方法において、コンクリートの表面上に載置された板状部材と共に、コンクリートの表面をスキャニングし、前記スキャニングされ、仮想空間内に表された板状部材の像上に任意の3点を定義することを特徴とする。
【0010】
(3)また、本発明の評価システムは、コンクリートの表面粗さを評価する評価システムであって、非接触式で、評価対象となるコンクリートの表面に載置された板状部材および前記コンクリートの表面をスキャニングする3Dスキャナと、前記スキャニングされ、仮想空間内に表された板状部材の像上の3点から定まる平面と、前記仮想空間内で定義されたXYZ座標系のXY平面とが平行となるように、前記点群データ全体を補正し、前記補正後の点群データを用いて、コンクリートの表面粗さを示すパラメータを算出するパラメータ演算部と、前記算出されたパラメータを出力する出力部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、補修しようとするはつり面に影響を与えず、処理を簡易にすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態に係る評価システムの概要を示すブロック図である。
図2】本実施形態に係る板状部材の使用例を示す図である。
図3】仮想空間内における補正前の点群データの様子を示す図である。
図4】仮想空間内における補正後の点群データの様子を示す図である。
図5】本実施形態に係る評価システムの動作の概略を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明者らは、非接触式の3Dスキャナを用いてコンクリート表面を計測し、その計測データから表面粗さを表すパラメータを算出しようとする場合、測定ごとに面の向きが変わるとデータ処理(Z値の補正)が煩雑になる一方、スキャニングによって得られる点群データに人為的なばらつきはないことから、はつり面をうまくXY平面に合わせることが重要であることに着目し、板などの部材を測定面に載置するだけで、補修しようとするはつり面に影響を与えず、処理を簡易にできることを見出し、本発明に至った。
【0014】
すなわち、本発明の評価方法は、コンクリートの表面粗さを評価する評価方法であって、非接触式の3Dスキャナを用いて、コンクリートの表面をスキャニングするステップと、前記スキャニングされ、仮想空間内に表されたコンクリートの表面の点群データにおいて、同一平面上に存在する任意の3点から平面を定義し、前記平面と前記仮想空間内で定義されたXYZ座標系のXY平面とが平行となるように、前記点群データ全体を補正するステップと、前記補正後の点群データ用いて、コンクリートの表面粗さを示すパラメータを算出するステップと、を少なくとも含むことを特徴とする。
【0015】
これにより、本発明者らは、補修しようとするはつり面に影響を与えず、処理を簡易にすることを可能とした。その結果、表面粗さを定量化することを可能とし、はつり面等の品質を一定に保つことを可能とした。また、補修材料との付着性能や耐久性などの品質を確保することを可能とし、さらに、施工現場において、簡易かつ迅速に表面粗さの評価をすることを可能とした。以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0016】
[システムの構成]
図1は、本実施形態に係る評価システムの概要を示すブロック図である。この評価システム1は、非接触式でハンディタイプの3Dスキャナ3を用いて、コンクリート5の表面粗さを測定する。3Dスキャナ3の選定や使用条件等は、後述する。パラメータ演算部9は、3Dスキャナ3で得られた点群データに基づいて、コンクリート5の表面粗さを示すパラメータを算出する。出力部11は、例えば、ディスプレイで構成され、パラメータ演算部9で算出されたパラメータを出力する。
【0017】
[3Dスキャナについて]
本実施形態において、3Dスキャナ3の測定方式は、非接触方式を採用した。小型で携帯性に優れる非接触式の3Dスキャナ3が、はつり面の測定に適していると考えられる。3Dスキャナ3による測定原理は、例えば“タイムオブフライト”、“三角法方式”、“スポットレーザー投光法”または“光切断法”を用いることができる。はつり面の表面粗さの評価には、測定する範囲は、コンクリートに使用される骨材の最大径の3倍~5m程度を想定し、精度が高く、小さい対象物に適している三角法方式が好ましい。また、広範囲のスキャンに向くため建築構造物には、タイムオブフライト方式が好ましい。また、測定精度は(0.1mm)~(1mm)が好ましく、(0.3mm)~(1mm)がより好ましい。はつり面の表面を測定する際、測定精度が細かいと、測定した点群データ数が多くなりすぎてデータ容量が大きくなるためデータ処理が難しくなること、処理時間が長くなることから、測定精度は(0.1mm)以上が好ましい。また、測定精度が低すぎると、はつり面の表面形状が適切に計測できないため、(1mm)以下が好ましい。
【0018】
[定義面とスキャニング]
非接触式の3Dスキャナから取得したデータの処理を簡易化するため、得られるデータに定義面を設け、データ処理時に定義面を座標に合わせることで点群データの向きを統一する。この定義面を設ける具体的方法は、3Dスキャナによるスキャニングの際、測定範囲付近に板状部材を設置し、この板状部材も含めてスキャニングする。スキャニング後、データ処理をする際に、板状部材上の点群データから任意の3点を選び、XYZ座標の原点、X軸上、Y軸上に合わせることで、測定対象を含む点群データを、前記3点から定まるXY平面上に合わせることができる。ここで、2点のみであると面が定義できず、4点であると演算が複雑化するため好ましくない。定義面設定の為の板状部材は平坦であり、測定を妨げず、かつ測定対象の凹凸に影響されず安定する大きさがよい。板状部材の形状はL字型、扇型などにすることができ、また、測定範囲をくり抜いた枠の形状など、測定対象や条件等により変えることができる。なお、ここでX軸、Y軸、Z軸は全て直交するものとする。
【0019】
図2は、本実施形態に係る板状部材の使用例を示す図である。ここでは、測定対象を、「50cm×50cm×4cm」のコンクリート平板12の片面に表面粗し処理を施したものとした。表面粗し処理はチッピングハンマーを用いて行ない、施工深さは2~3mm、施工条件として日本ニューマチック工業の“AA-0SP”を使用した。定義面となる板状部材14は、「幅4cm、長辺50cm、厚み2cm」のL字型の板状部材14を使用した。L字型とすると、簡単にコンクリート表面の平均高さをXY面とすることができる。すなわち、板状部材14は、連続的であって、凹凸がなく、反ったり撓んだりしない剛性の高い板とする。また、板状部材14は、大きさや面積が大きいほど、板状部材がコンクリートに広く接地するので、簡単に平均高さをXY面とすることができる。また、コンクリート表面に板状部材14を載置した場合、もし、板状部材14の端部が浮いていた場合は、大きな凹凸があることに気づくことも可能となる。また、板状部材14は、一定の幅があることが望ましく、板の厚さは、0.5cm~(スキャナの測定範囲内:10cm)が望ましい。ある程度厚さがないと、取得画像上で板状部材14を判別するのが難しいためである。板状部材14により、定義面を特定することができれば、定義する3点は、板状部材14の上の任意の3点でよいが、板状部材14の端部がより好ましい。したがって、板状部材14の一辺の長さは測定対象とするコンクリート面の一辺の長さの1/4以上であることが好ましく、半分以上であることがより好ましい。板状部材14を大きくすると、運搬の負担が増大し、コンクリート面が湾曲している場合、浮いてしまう部分が生じる。広範囲を測定する場合は、複数回に分けて測定すれば足りる。
【0020】
[測定対象とするコンクリート面積]
測定対象とするコンクリート面積の下限は、解析精度を高めるために好ましくは最大骨材径の3倍角、より好ましくは10倍角とする。測定対象とするコンクリート面積の上限は、3Dスキャナの計測精度にもよるが、解析精度が十分得られる測定点数であり、一方でデータ処理の負担が大きくならないよう、好ましくは最大2m角程度、より好ましくは1mである。
【0021】
[3Dスキャナによる測定]
3Dスキャナは「SHINING 3D」製の「EinScan-Pro+」を使用した。白色LEDの原理を用いたタイムオブフライト方式を採用し、計測精度は0.7mmである。スキャニングはL字板としての板状部材14を含む「50cm×50cm」の範囲を対象物から40cm離れて行なった。また、スキャニングは対象範囲を2分程度かけて行なった。
【0022】
[点群データの補正]
本実施形態では、評価対象となるコンクリートの表面に上記板状部材14を載置し、板状部材14と共にコンクリート表面をスキャニングする。そして、スキャニングされ、仮想空間内に表された板状部材14の像と、前記仮想空間内で定義されたXYZ座標系のXY平面とが平行となるように、前記3Dスキャナで得られた点群データ全体を補正する。
【0023】
図3は、仮想空間内における補正前の点群データの様子を示す図であり、図4は、仮想空間内における補正後の点群データの様子を示す図である。板状部材14も点群データと共にスキャニングされている。図3に示すように、板状部材14から定まる定義面と直交する座標軸が、基準となる座標軸(Z軸)に対して傾いている。このため、この傾いた角度に応じた補正処理が必要となる。この補正処理がされない場合は、表面粗さを正しく把握することができなくなる。
【0024】
図3に示す板状部材14から定まる定義面の中から任意に3点選択し、3Dデータ編集ソフトを用いてXYZ座標の原点、X軸上、Y軸上に合わせると、図4に示すように、測定対象を含む点群データをXY平面上に合わせることができ、その結果、Z軸の値から表面粗さを正しく算出することが可能となる。なお、図2に示すように、測定対象のうち、表面粗さの評価対象は定義面と試験体端から2cmを除く範囲とした。表面粗さはISO-25178に示される算術平均高さSaに準じ評価し、算出したSaは0.581mmとなった。なお、従来より使用されている据置型の非接触式三次元計測器(「東京精密」製の「XYZAX SVA fusion」)を用いた場合、Saは0.624mmとなった。本実施形態は、スキャニングを水平面で行なったが、水平以外でも基準板が測定対象に貼り付けられればデータ処理が同様に行なえる。
【0025】
[データの処理]
次に、3Dスキャナ3で測定した点群データの処理条件について説明する。ハンディタイプの3Dスキャナ3で計測された点群データに対し、上記の補正処理を施した上で、この点群データからパラメータ演算部9にて表面粗さのパラメータを算出する。表面粗さのパラメータとして、「JIS B 0601」に規定されるパラメータを用いることができる。計測された点群データは、ランダムに配置されているから変換部7にて、そのデータを行列に変換してもよい。行列変換のデータの処理には、例えば「Renka-Cline法」や、「加重平均法」を用いることができる。
【0026】
(1)Renka-Cline法
このアルゴリズムの主要な計算は以下の通りである。すなわち、(a)三角分割により、XYデータに対して三角分割法が実行され、三角形は可能なかぎりほぼ等角になる。(b)傾斜推定により、二次関数の偏微分として、各格子におけるXY方向の傾斜を推定する。(c)補間法により、任意の点Pにおいて、データ値を使って補間された値と点Pを含む三角形の3つの頂点のそれぞれの位置での傾斜推定を計算する。
【0027】
(2)加重平均法
1/rの重み付けを持つポイントの単純な加重平均を用いる方法である。rは、検索半径の範囲内にあるセルからの各ポイントの距離となる。検索半径の範囲内に値が無い場合、少なくとも1ポイント出現するまで半径を拡大する。
【0028】
[粗さを評価するためのパラメータ]
(1)算術平均高さSa
【数1】
(2)最大高さSz
【数2】
(3)二乗平均平方根偏差Sq(「ISO 25178-2」の規定の通りである。)
【数3】
すなわち、上記の評価方法は、「JISB0601」に示されている表面粗さのパラメータを面に適用した場合の評価方法であり、JISB0601に示されている断面曲線から求めるパラメータも含まれている。このため、「JISB0601」に示されている評価パラメータで評価することが可能であり、加えて面の粗さパラメータも評価可能である。
【0029】
なお、以上の説明では、板状部材14を用いる例を示したが、本発明は、これに限定されるわけではなく、板状部材14を使用せずに点群データ全体の補正をすることも可能である。すなわち、仮想空間内で、はつり面の凹凸が極めて小さい部分で任意の3点から平面を定義し、またははつり面そのものに基準となる平面を定義する。そして、この平面と仮想空間内で定義されたXYZ座標系のXY平面とが平行となるように、点群データ全体を補正するようにすることも可能である。
【0030】
[一般的な測定]
3Dスキャナで測定するときの対象物からの距離は、評価精度を高めるために「(0.1m)~(1m)」とする。さらに、「(0.2m)~(0.5m)」がより好ましい。測定時の走査速度は、評価精度を高めかつ処理時間が長くなり過ぎないよう「(3cm/s)~(30cm/s)」とする。さらに、「(3cm/s)~(20cm/s)」がより好ましい。
【0031】
[測定対象物、対象箇所、目的等]
測定対象物は、橋梁である場合は、対象箇所は、床下地、床版、橋脚部、壁面、天井部などとする。これらの場合、粗面の粗さ評価は、打継ぎ、増厚、断面修復を目的としたものとなる。また、測定対象物が、舗装路面である場合は、対象箇所は、舗装表面とする。この場合、粗面の粗さ評価は、増厚、オーバーレイ、舗装面のすべり抵抗性評価を目的としたものとなる。測定対象物が、トンネル、下水道施設、建築物などのコンクリート構造物全般である場合は、粗面の粗さ評価は、打継ぎ、増厚、断面修復を目的としたものとなる。
【0032】
[システムの動作]
図5は、本実施形態に係る評価システムの動作の概略を示すフローチャートである。まず、図1に示した非接触式の3Dスキャナ3を用いて、板状部材14が載置されたコンクリートの表面をスキャニングする(ステップS1)。次に、板状部材14から定まる定義面を用いて、得られた点群データを補正し、3Dスキャナ3で得られたコンクリートの表面粗さを示すパラメータを算出する(ステップS2)。そして、算出したパラメータをディスプレイ等に出力する(ステップS3)。
【0033】
以上説明したように、本実施形態によれば、補修しようとするはつり面に影響を与えず、処理を簡易にすることが可能となる。その結果、表面粗さを定量化することが可能となり、はつり面等の品質を一定に保つことが可能となる。また、補修材料との付着性能や耐久性などの品質を確保することが可能となり、さらに、施工現場において、簡易かつ迅速に表面粗さの評価をすることが可能となる。
【符号の説明】
【0034】
1 評価システム
3 3Dスキャナ
5 コンクリート
7 変換部
9 パラメータ演算部
11 出力部
12 評価範囲
14 板状部材
図1
図2
図3
図4
図5