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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-25
(45)【発行日】2022-11-02
(54)【発明の名称】レーザー墨出し器
(51)【国際特許分類】
   G01C 15/00 20060101AFI20221026BHJP
【FI】
G01C15/00 103C
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019063717
(22)【出願日】2019-03-28
(65)【公開番号】P2020165685
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小口 和紀
【審査官】仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-221416(JP,A)
【文献】特開2004-301755(JP,A)
【文献】特開2006-242735(JP,A)
【文献】特開2000-97701(JP,A)
【文献】特開2003-214854(JP,A)
【文献】特開2003-315042(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0246912(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 1/00-1/14
5/00-15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
進行方向に垂直な断面形状が線状の基準レーザーを計測対象エリアに対して照射するレーザー墨出し器であって、
入射レーザーを所定の拡散幅方向に広がる線状光としての線状レーザーに変換する変換レンズと、
前記変換レンズを保持するレンズ保持部と、
前記レンズ保持部に当接する回動軸部であって、前記入射レーザーの光軸に垂直かつ前記拡散幅方向に平行な角度調整回動軸として備えられる回動軸部と、
前記回動軸部に当接するとともに、前記レンズ保持部が前記角度調整回動軸を回動中心として回動するように前記レンズ保持部を支持する回動支持部と、
前記入射レーザーの光軸に垂直な仮想平面のうち前記角度調整回動軸によって分割された2つの領域を第1領域および第2領域とした場合に、前記第1領域において、前記レンズ保持部および前記回動支持部に当接すると共に、前記レンズ保持部および前記回動支持部を互いに近づけるように構成された作用部と、
前記作用部によって近づけられる前記レンズ保持部と前記回動支持部との隙間寸法を調整するように構成された隙間調整部と、
を備えるレーザー墨出し器。
【請求項2】
請求項1に記載のレーザー墨出し器であって、
前記回動軸部は、前記レンズ保持部および前記回動支持部にそれぞれ当接する2個の球体を備え、
前記レンズ保持部および前記回動支持部は、それぞれ、前記2個の球体に当接する2つの球体当接部を備える、
レーザー墨出し器。
【請求項3】
請求項2に記載のレーザー墨出し器であって、
前記2つの球体当接部は、それぞれ、前記球体の一部を収容する円錐形状の空間を形成する円錐凹部、または、前記球体の一部を収容する断面V形状の溝状の空間を形成するV溝凹部を備え、
前記レンズ保持部および前記回動支持部のうち一方は、前記2つの球体当接部として2つの前記円錐凹部を備え、前記レンズ保持部および前記回動支持部のうち他方は、前記2つの球体当接部として1つの前記円錐凹部と1つの前記V溝凹部を備える、
レーザー墨出し器。
【請求項4】
請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載のレーザー墨出し器であって、
前記作用部は、前記作用部のうち第1固定端部が前記レンズ保持部に固定され、前記作用部のうち第2固定端部が前記回動支持部に固定されており、
さらに、前記作用部は、前記第1固定端部および前記第2固定端部を互いに近づけるように弾性変形する弾性体を備える、
レーザー墨出し器。
【請求項5】
請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載のレーザー墨出し器であって、
前記作用部は、前記第1領域において、前記レンズ保持部の2カ所に当接するとともに、前記回動支持部の2カ所に当接する、
レーザー墨出し器。
【請求項6】
請求項1から請求項5のうちいずれか一項に記載のレーザー墨出し器であって、
前記隙間調整部は、前記第1領域に配置される、
レーザー墨出し器。
【請求項7】
請求項6に記載のレーザー墨出し器であって、
前記レンズ保持部において、前記回動軸部のうち前記角度調整回動軸の延伸方向における両端である第1端部および第2端部と、前記レンズ保持部と前記隙間調整部との当接箇所と、を結んで形成される領域を仮想三角領域とした場合、
前記レンズ保持部のうち前記作用部から与えられる外力の重心位置は、前記仮想三角領域の内部に位置する、
レーザー墨出し器。
【請求項8】
請求項6または請求項7に記載のレーザー墨出し器であって、
前記隙間調整部は、
前記レンズ保持部または前記回動支持部に設けられた雌ネジ部と、
前記レンズ保持部および前記回動支持部のそれぞれに当接するとともに、前記雌ネジ部に螺合可能に構成された雄ネジ部と、
を備え、
前記隙間調整部は、前記雌ネジ部に対する前記雄ネジ部の螺合深度が深くなるに従い、前記雄ネジ部のうち、前記レンズ保持部と当接する第1当接部と、前記回動支持部と当接する第2当接部と、の距離が大きくなるように構成されている、
レーザー墨出し器。
【請求項9】
請求項1から請求項5のうちいずれか一項に記載のレーザー墨出し器であって、
前記隙間調整部は、前記第2領域に配置される、
レーザー墨出し器。
【請求項10】
請求項9に記載のレーザー墨出し器であって、
前記隙間調整部は、
前記レンズ保持部または前記回動支持部に設けられた雌ネジ部と、
前記レンズ保持部および前記回動支持部のそれぞれに当接するとともに、前記雌ネジ部に螺合可能に構成された雄ネジ部と、
を備え、
前記隙間調整部は、前記雌ネジ部に対する前記雄ネジ部の螺合深度が深くなるに従い、前記雄ネジ部のうち、前記レンズ保持部と当接する第1当接部と、前記回動支持部と当接する第2当接部と、の距離が小さくなるように構成されている、
レーザー墨出し器。
【請求項11】
請求項1から請求項10のうちいずれか一項に記載のレーザー墨出し器であって、
前記入射レーザーの光軸を中心として前記回動支持部を回動自在に支持する光軸回動支持部を備える、
レーザー墨出し器。
【請求項12】
請求項11に記載のレーザー墨出し器であって、
前記光軸回動支持部は、前記回動支持部に当接して前記回動支持部の回動を制限することで、前記入射レーザーの光軸を中心とする回動方向における前記回動支持部の静止位置を決定する位置決定部を備え、
前記位置決定部は、前記第2領域に配置される、
レーザー墨出し器。
【請求項13】
請求項12に記載のレーザー墨出し器であって、
前記回動支持部は、前記入射レーザーの光軸を中心とする周方向に対して交差する係合面を有する係合部を備え、
前記位置決定部は、直接あるいは他部材を介して前記係合部に当接して前記回動支持部の回動を制限する、
レーザー墨出し器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レーザー墨出し器に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザー墨出し器は、線状レーザーを対象物に対して射出することで、建築工事などでの位置決め作業に用いられる。レーザー墨出し器は、光源からの入射レーザーを線状レーザーに変換する変換レンズ(シリンドリカルレンズ等)を備えている。
【0003】
入射レーザーの光軸に対する変換レンズの相対位置(角度など)を調整する機構が提案されている(特許文献1)。例えば、調整用ネジを2本利用してレンズ角度を調整する機構(特許文献1の図3)や、ヒンジ軸とネジ1本を利用してレンズ角度を調整する機構(特許文献1の図6)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-221416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記の角度調整機構のうち、調整用ネジを2本利用する機構は、2本の調整ネジをそれぞれ調整する必要があるため、角度調整作業が煩雑となる可能性がある。
また、上記の角度調整機構のうち、ヒンジ軸とネジ1本を利用する機構は、ヒンジ軸のスムーズな回動のために所定の隙間が設けられており、その隙間が原因でレンズがロール方向に移動する可能性がある。そのため、ヒンジ軸とネジ1本を利用する機構では、レンズが不規則に移動してしまい、レンズ角度を適切に調整できない可能性がある。
【0006】
そこで、本開示の一局面においては、レンズ角度の調整が容易なレーザー墨出し器を提供できることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一局面は、基準レーザーを計測対象エリアに対して照射するレーザー墨出し器であって、変換レンズと、レンズ保持部と、回動軸部と、回動支持部と、作用部と、隙間調整部と、を備える。
【0008】
基準レーザーは、進行方向に垂直な断面形状が線状のレーザーである。変換レンズは、入射レーザーを所定の拡散幅方向に広がる線状光としての線状レーザーに変換する。レンズ保持部は、変換レンズを保持するように構成されている。回動軸部は、レンズ保持部に当接するとともに、入射レーザーの光軸に垂直かつ拡散幅方向に平行な角度調整回動軸として備えられる。回動支持部は、回動軸部に当接するとともに、レンズ保持部が角度調整回動軸を回動中心として回動するようにレンズ保持部を支持するように構成されている。
【0009】
作用部は、入射レーザーの光軸に垂直な仮想平面を角度調整回動軸によって分割される2つの領域を第1領域および第2領域とした場合に、第1領域において、レンズ保持部および回動支持部に当接する。作用部は、レンズ保持部および回動支持部を互いに近づけるように構成されている。隙間調整部は、作用部によって近づけられるレンズ保持部と回動支持部との隙間寸法を調整するように構成されている。
【0010】
このレーザー墨出し器は、作用部および隙間調整部によってレンズ保持部と回動支持部との隙間寸法を調整することで、角度調整回動軸を中心とする回動方向におけるレンズ保持部の静止位置を調整できるとともに、変換レンズの位置(姿勢)を調整できる。
【0011】
つまり、このレーザー墨出し器は、レンズ保持部と回動支持部との隙間寸法の調整という簡易な構成によって、入射レーザーの光軸に対する変換レンズの相対位置(より具体的には、入射レーザーの光軸に対する変換レンズの相対角度)を調整できると共に、角度調整回動軸を中心とする回動方向における線状レーザー(基準レーザー)の進行方向を調整できる。
【0012】
よって、本開示のレーザー墨出し器によれば、簡易な構成のため、レンズ角度の調整作業が簡便になり、作業負担の増大を抑制できる。また、本開示のレーザー墨出し器によれば、簡易な構成のため、構成部品の変形が生じ難くなり、レンズ角度を適切に調整できるとともに、線状レーザー(基準レーザー)の進行方向を適切な方向に調整できる。
【0013】
次に、上述のレーザー墨出し器においては、回動軸部は、レンズ保持部および回動支持部にそれぞれ当接する2個の球体を備え、レンズ保持部および回動支持部は、それぞれ、2個の球体に当接する2つの球体当接部を備えてもよい。
【0014】
このレーザー墨出し器は、2個の球体が回動支持部の2つの球体当接部に位置決めされると共に、2個の球体を回動中心としてレンズ保持部が回動するように構成される。これにより、角度調整回動軸(2個の球体を通る軸)を中心とする回動方向におけるレンズ保持部の静止位置を調整できるとともに、変換レンズの位置(姿勢)を調整できる。
【0015】
次に、上述のレーザー墨出し器においては、2つの球体当接部は、それぞれ、円錐凹部またはV溝凹部を備え、レンズ保持部および回動支持部のうち一方は、2つの球体当接部として2つの円錐凹部を備え、レンズ保持部および回動支持部のうち他方は、2つの球体当接部として1つの円錐凹部と1つのV溝凹部を備えてもよい。円錐凹部は、球体の一部を収容する円錐形状の空間を形成する。V溝凹部は、球体の一部を収容する断面V形状の溝状の空間を形成する。
【0016】
換言すれば、上述のレーザー墨出し器は、「前記レンズ保持部が2つの前記円錐凹部を備えるとともに、前記回動支持部が1つの前記円錐凹部と1つの前記V溝凹部を備える」構成、または、「前記レンズ保持部が1つの前記円錐凹部と1つのV溝凹部を備えるとともに、前記回動支持部が2つの前記円錐凹部を備える」構成であってもよい。
【0017】
このレーザー墨出し器では、2個の球体のうち1つの球体が2つの円錐凹部によって位置決めされると共に、2個の球体のうちもう1つの球体が1つの円錐凹部と1つのV溝凹部によって位置決めされる。このとき、V溝凹部における球体との当接位置は、V溝の延長方向に沿って変更可能となる。このため、レンズ保持部における球体当接部の形成位置と、回動支持部における球体当接部の形成位置との間に、加工誤差(製造誤差)が生じた場合でも、V溝凹部における球体との当接位置を適切な位置に変更できる。
【0018】
よって、このレーザー墨出し器は、レンズ保持部と回動支持部との間において、2つの球体を適切に位置決めできる。
次に、上述のレーザー墨出し器においては、作用部は、作用部のうち第1固定端部がレンズ保持部に固定され、作用部のうち第2固定端部が回動支持部に固定されてもよい。さらに、作用部は、第1固定端部および第2固定端部を互いに近づけるように弾性変形する弾性体を備えてもよい。
【0019】
このレーザー墨出し器は、作用部が第1固定端部および第2固定端部を互いに近づけるように弾性変形することで、第1領域におけるレンズ保持部と回動支持部との距離を小さくすることができる。
【0020】
次に、上述のレーザー墨出し器においては、作用部は、第1領域において、レンズ保持部の2カ所に当接するとともに、回動支持部の2カ所に当接してもよい。このように作用部が、レンズ保持部および回動支持部のそれぞれに対して2カ所に当接する構成を採ることで、レンズ保持部および回動支持部のそれぞれに対して1カ所のみに当接する構成に比べて、レンズ保持部と回動支持部との距離を小さくするための力を大きくすることができる。
【0021】
次に、上述のレーザー墨出し器においては、隙間調整部は、第1領域に配置されてもよい。このレーザー墨出し器は、第1領域におけるレンズ保持部と回動支持部との距離を、隙間調整部が直接調整するように構成される。
【0022】
次に、上述のレーザー墨出し器においては、レンズ保持部において、回動軸部の第1端部と、回動軸部の第2端部と、レンズ保持部と隙間調整部との当接箇所と、を結んで形成される領域を仮想三角領域とした場合に、レンズ保持部のうち作用部から与えられる外力の重心位置は、仮想三角領域の内部に位置する構成であってもよい。回動軸部の第1端部は、回動軸部のうち角度調整回動軸の延伸方向における両端のうちの一方であり、回動軸部の第2端部は、回動軸部のうち第1端部ではない側の端部である。
【0023】
このレーザー墨出し器は、作用部からの外力がレンズ保持部に対して偏って作用することを抑制できるため、レンズ保持部が不適切な方向に傾くことを抑制できるとともに、変換レンズの位置が不適切になるのを抑制できる。
【0024】
次に、上述のレーザー墨出し器においては、隙間調整部は、雌ネジ部と、雄ネジ部と、を備えるとともに、雌ネジ部に対する雄ネジ部の螺合深度が深くなるに従い、雄ネジ部のうち第1当接部と第2当接部との距離が大きくなるように構成されてもよい。雌ネジ部は、レンズ保持部または回動支持部に設けられている。雄ネジ部は、レンズ保持部および回動支持部のそれぞれに当接するとともに、雌ネジ部に螺合可能に構成されている。雄ネジ部の第1当接部は、雄ネジ部のうちレンズ保持部と当接する部位である。雄ネジ部の第2当接部は、雄ネジ部のうち回動支持部と当接する部位である。
【0025】
つまり、隙間調整部は、雌ネジ部に対する雄ネジ部の螺合深度(ねじ込み量)を変更することにより、雄ネジ部のうち第1当接部と第2当接部との距離が変更されるように構成されてもよい。これにより、雌ネジ部に対する雄ネジ部の螺合深度を変更することで、雄ネジ部のうち第1当接部と第2当接部との距離を変更できるとともに、レンズ保持部と回動支持部との隙間寸法を調整できる。
【0026】
そして、隙間調整部は、雌ネジ部に対する雄ネジ部の螺合深度が深くなるに従い、雄ネジ部における第1当接部と第2当接部との距離が大きくなることで、第1領域におけるレンズ保持部と回動支持部との距離を拡大することができる。よって、このレーザー墨出し器は、雌ネジ部に対する雄ネジ部の螺合深度を調整することで、角度調整回動軸を回動中心とするレンズ保持部の回動角度を変更できる。
【0027】
例えば、雄ネジ部は、雄ネジ溝が形成されたネジ軸部と、ネジ軸部の軸端に設けられた軸端当接部と、を備えてもよい。そして、雌ネジ部がレンズ保持部に設けられる場合には、雄ネジ部は、ネジ軸部が雌ネジ部に螺合されるとともに、軸端当接部が回動支持部に当接する状態で配置してもよい。これにより、ネジ軸部のうち雌ネジ部との螺合部分(第1当接部に相当)から軸端当接部(第2当接部に相当)までの部分が、レンズ保持部と回動支持部との間に配置されることで、レンズ保持部と回動支持部とが近づくのを制限できる。
【0028】
よって、この隙間調整部は、第1領域におけるレンズ保持部と回動支持部との距離が一定距離以上となるように調整できる構成となる。これにより、このレーザー墨出し器は、雌ネジ部に対する雄ネジ部の螺合深度を調整することで、角度調整回動軸を回動中心とするレンズ保持部の回動角度を変更できる。
【0029】
次に、上述のレーザー墨出し器においては、隙間調整部は、第2領域に配置されてもよい。このレーザー墨出し器は、第1領域におけるレンズ保持部と回動支持部との距離を、第2領域に配置された隙間調整部が間接的に調整するように構成される。
【0030】
次に、上述のレーザー墨出し器においては、隙間調整部は、雌ネジ部と、雄ネジ部と、を備えるとともに、雌ネジ部に対する雄ネジ部の螺合深度が深くなるに従い、雄ネジ部のうち第1当接部と第2当接部との距離が小さくなるように構成されてもよい。雌ネジ部は、レンズ保持部または回動支持部に設けられている。雄ネジ部は、レンズ保持部および回動支持部のそれぞれに当接するとともに、雌ネジ部に螺合可能に構成されている。雄ネジ部の第1当接部は、雄ネジ部のうちレンズ保持部と当接する部位である。雄ネジ部の第2当接部は、雄ネジ部のうち回動支持部と当接する部位である。
【0031】
この隙間調整部は、雌ネジ部に対する雄ネジ部の螺合深度が深くなるに従い、雄ネジ部における第1当接部と第2当接部との距離が小さくなることで、第2領域におけるレンズ保持部と回動支持部との距離を縮小できるとともに、第1領域におけるレンズ保持部と回動支持部との距離を拡大することができる。よって、このレーザー墨出し器は、雌ネジ部に対する雄ネジ部の螺合深度を調整することで、角度調整回動軸を回動中心とするレンズ保持部の回動角度を変更できる。
【0032】
例えば、雄ネジ部は、雄ネジ溝が形成されたネジ軸部と、ネジ軸部の一端に設けられたネジ頭部と、を備えてもよい。この雄ネジ部は、ネジ軸部のうち雌ネジ部に螺合された部分とネジ頭部との間で、レンズ保持部および回動支持部を挟み込むことで、第2領域におけるレンズ保持部と回動支持部との距離を所定範囲内に制限できる。これに伴い、この隙間調整部は、第1領域におけるレンズ保持部と回動支持部との距離が一定距離以上となるように調整できる。
【0033】
よって、このレーザー墨出し器は、雌ネジ部に対する雄ネジ部の螺合深度を調整することで、角度調整回動軸を回動中心とするレンズ保持部の回動角度を変更できる。
次に、上述のレーザー墨出し器においては、入射レーザーの光軸を中心として回動支持部を回動自在に支持する光軸回動支持部を備えてもよい。これにより、このレーザー墨出し器は、レンズ保持部の位置に関して、光軸を中心とする回動方向における静止位置を調整することができる。
【0034】
次に、上述のレーザー墨出し器においては、光軸回動支持部は、回動支持部の静止位置を決定する位置決定部を備え、位置決定部は、第2領域に配置されてもよい。位置決定部は、回動支持部に当接して回動支持部の回動を制限することで、入射レーザーの光軸を中心とする回動方向における回動支持部の静止位置を決定するように構成されている。
【0035】
光軸回動支持部77は、位置決定部の配置位置を、作用部が配置される第1領域ではなく第2領域に設定することで、作用部と位置決定部とが互いに干渉するのを抑制できる。これにより、このレーザー墨出し器は、作用部および位置決定部それぞれの配置の自由度を高めることができる。
【0036】
次に、上述のレーザー墨出し器においては、回動支持部は、入射レーザーの光軸を中心とする周方向に対して交差する係合面を有する係合部を備え、位置決定部は、直接あるいは他部材を介して係合部に当接して回動支持部の回動を制限してもよい。このレーザー墨出し器は、位置決定部が回動支持部の回動を制限することで、回動支持部の静止位置を決定できる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】レーザー墨出し器の外観を表した斜視図である。
図2】レーザー光射出部の外観を表した斜視図である。
図3】分解した状態のレーザー光射出部を先端側の斜め方向から見たときの分解斜視図である。
図4】分解した状態のレーザー光射出部を後端側の斜め方向から見たときの分解斜視図である。
図5】回動支持部を後端側の斜め方向から見たときの斜視図である。
図6】光軸回動支持部を先端側の斜め方向から見たときの斜視図である。
図7】レーザー光射出部の先端側外観を表した平面図である。
図8図7に示すレーザー光射出部のうちVIII-VIII線断面における断面図である。
図9図7に示すレーザー光射出部のうちIX-IX線断面における断面図である。
図10図7に示すレーザー光射出部のうちX-X線断面における断面図である。
図11】光軸回動支持部における第1対向係合面からの位置調整ネジの突出寸法W2を表す説明図である。
図12】レンズ保持部における仮想三角領域AEtを表す説明図である。
図13】第2実施形態の第2レーザー光射出部の先端側外観を表した平面図である。
図14図13に示す第2レーザー光射出部のうちXIV-XIV線断面における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本開示が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
尚、本開示は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることはいうまでもない。
【0039】
[1.第1実施形態]
[1-1.全体構成]
本実施形態のレーザー墨出し器1は、土木、建築工事等に用いられるものであり、対象物に対してレーザー光による基準線を投射するように構成されている。
【0040】
図1に示すように、レーザー墨出し器1は、ハウジング3と、バッテリパック5と、パック装着部7と、レーザー光生成部9と、を備えている。なお、以下の説明では、レーザー墨出し器1の側面のうちパック装着部7が備えられる側を背面として説明する。
【0041】
ハウジング3は、レーザー墨出し器1の設置場所に当接するベース部13と、鉛直方向に延びる中心軸L1を中心として回転可能な状態でベース部13の上側に固定される回転部11と、を備える。
【0042】
回転部11は、中心軸L1を中心として軸線方向に延びる略円柱形状であり、上端の周囲部分が曲線形状(丸形状)に形成されている。回転部11は、レーザー光を生成するレーザー光生成部9を内部に収容する。回転部11は、レーザー光を内部から外部に向けて通過させる水平レーザー光通過部21および鉛直レーザー光通過部23を備えている。
【0043】
水平レーザー光通過部21は、レーザー光生成部9から射出されたレーザー光のうち水平方向基準線を示す水平レーザー光をハウジング3の内部から外部に向けて通過させるよう構成されている。水平レーザー光通過部21は、回転部11において4個設けられており、詳細には、中心軸L1を中心とする周方向のうち4等分した4領域のそれぞれに1個ずつ設けられている。
【0044】
鉛直レーザー光通過部23は、レーザー光生成部9から射出されたレーザー光のうち鉛直方向基準線を示す鉛直レーザー光をハウジング3の内部から外部に向けて通過させるよう構成されている。鉛直レーザー光通過部23は、回転部11において4個設けられており、詳細には、中心軸L1を中心とする周方向のうち4等分した4領域のそれぞれに1個ずつ設けられている。
【0045】
ベース部13は、板部31と、脚部33と、を備える。板部31は、回転部11を回転可能に支持する略円盤板状の部材である。脚部33は、板部31を支持するように3個備えられている。
【0046】
バッテリパック5は、パック装着部7に対して着脱可能に構成されている。バッテリパック5は、充電・放電が可能に構成されており、所定の直流電圧を発生する二次電池セル(図示省略)を内蔵するとともに、二次電池セルと電気的に接続された電極端子(図示省略)を備えている。バッテリパック5は、電極端子(図示省略)を介して外部(パック装着部7、充電器(図示省略)など)と電気的に接続されることで、二次電池セルから外部への放電電流の出力や、外部から二次電池セルへの充電電流の入力を実行するように構成されている。
【0047】
パック装着部7は、ハウジング3における回転部11の側面のうち背面側に形成されている。パック装着部7は、回転部11の側面に対して平行(換言すれば、中心軸L1を中心とする仮想円の接線方向に対して平行)に形成される2本のスライドレール(図示省略)を備える。つまり、パック装着部7は、バッテリパック5をスライドレールに沿ってスライドさせることで、バッテリパック5を着脱するように構成されている。
【0048】
また、パック装着部7は、電極端子(図示省略)を備えている。電極端子は、回転部11の内部に配設される電気ケーブル(図示省略)や操作スイッチ(図示省略)などを介して、レーザー光生成部9と電気的に接続可能に構成されている。電極端子は、バッテリパック5がスライドレールに装着された際に、バッテリパック5の電極端子(図示省略)と接続されるように構成されている。つまり、バッテリパック5は、パック装着部7に装着されることで、電極端子を介してレーザー光生成部9に電力供給することができる。
【0049】
レーザー光生成部9は、線状光(線状レーザーLL)を射出するレーザー光射出部71(図2参照)と、レーザー光射出部71でのレーザー光の射出状態を制御する射出制御部(図示省略)と、を備える。
【0050】
レーザー光射出部71は、図2および図3に示すように、電力供給によりレーザー光LSを射出するレーザー光源81と、レーザー光源81から射出されたレーザー光LSを線状光としての線状レーザーLLに変換するレーザー光変換部72と、を備えている。なお、レーザー光変換部72は、変換レンズ74を有する。1つのレーザー光射出部71は、1つの線状レーザーLLを射出する。レーザー光射出部71は、緑色のレーザー光を射出する。なお、レーザー光の色は、緑色に限られず、赤色など他の色であっても良い。
【0051】
レーザー光生成部9は、水平方向基準線を示す水平レーザー光を射出するための複数(4個)のレーザー光射出部71と、鉛直方向基準線を示す鉛直レーザー光を射出するための複数(4個)のレーザー光射出部71と、を備える。つまり、レーザー光生成部9は、4個の水平レーザー光通過部21に応じて配置された4個のレーザー光射出部71と、4個の鉛直レーザー光通過部23に応じて配置された4個のレーザー光射出部71と、を備える。レーザー光生成部9は、4つの水平レーザー光および4つの鉛直レーザー光をそれぞれ射出するように構成されている。
【0052】
レーザー墨出し器1は、機械式のジンバル機構(図示省略)によって鉛直姿勢を維持できるように揺動可能に支持された振り子(図示省略)を備えている。振り子は、操作スイッチ(図示省略)に連動して作動するストッパ(図示省略)によって固定状態および揺動状態のうちいずれかの状態に設定される。複数のレーザー光射出部71は、振り子の所定位置に固定されることで、鉛直姿勢を維持できるように揺動可能に支持されている。使用者によって操作スイッチがON状態に設定されると、複数のレーザー光射出部71は揺動状態に設定され、使用者によって操作スイッチがOFF状態に設定されると、複数のレーザー光射出部71は固定状態に設定される。
【0053】
射出制御部は、バッテリパック5または外部電源からの電力供給を受けるとともに、使用者からの指令内容に応じて、複数のレーザー光射出部71での線状レーザーLLの射出状態(レーザー輝度、射出方向など)を制御する。射出制御部は、例えば、マイクロコンピュータ(以下、「マイコン」と略称する)を備えて構成することができる。なお、使用者は、図示しない指令スイッチを操作することで、レーザー光の射出状態(レーザー輝度、射出方向など)に関する指令内容を設定することができる。
【0054】
レーザー墨出し器1は、さらに、操作スイッチ(図示省略)および外部電源接続部53(図1参照)を備えている。操作スイッチは、ハウジング3の回転部11の側面に備えられており、使用者の操作によりON状態またはOFF状態に設定される。外部電源接続部53は、ハウジング3の回転部11の側面に形成されており、外部電源(ACアダプタ、DCアダプタなど。)と電気的に接続可能に構成されている。
【0055】
[1-2.レーザー光射出部]
レーザー光射出部71の構成について説明する。
図2図12に示すように、レーザー光射出部71は、レーザー光変換部72と、回動軸部85と、回動支持部75と、光軸回動支持部77と、レーザー光源81と、作用部82と、隙間調整部84と、基台部87と、を備える。レーザー光変換部72は、変換レンズ74と、レンズ保持部73と、を備える。
【0056】
レーザー光源81は、図8に示すように、レーザー射出部81aと、端子部81bと、発光部81cと、を備える。レーザー射出部81aは、光軸Laに沿ってレーザー光LSを射出する。端子部81bは、レーザー光LSの射出動作に必要な電力を受電する。発光部81cは、端子部81bを介して電力供給されると、レーザー射出部81aに対してレーザー光を出力する。
【0057】
レーザー光射出部71は、光軸Laが変換レンズ74に重なるように、変換レンズ74およびレーザー光源81の配置が決定されている。これにより、レーザー光源81から射出されたレーザー光LSは、変換レンズ74に入射される。
【0058】
図3および図4に示すように、基台部87は、レーザー光源81の一部を挿通可能な挿通穴87aを備える。基台部87は、挿通穴87aに挿通されたレーザー光源81を、固定ネジ87b(図8参照)を用いて挟持(固定)するように構成されている。基台部87は、4つの固定穴87cを備える。例えば、4つの固定穴87cに挿通した固定ボルト(図示省略)を振り子の所定位置に固定することで、基台部87を振り子に固定できるとともに、レーザー光射出部71を振り子に固定できる。
【0059】
なお、レーザー光射出部71において、光軸Laに沿った軸線方向の両端部のうち、変換レンズ74が配置される端部を先端とし、レーザー光源81が配置される端部を後端とする。
【0060】
レーザー光射出部71は、角度調整回動軸Lbを中心としてレンズ保持部73を回動する第1回動機構71aを備える。角度調整回動軸Lbは、光軸Laに垂直かつ線状レーザーLLの拡散幅方向に平行な回動軸である。また、レーザー光射出部71は、光軸Laを中心として回動支持部75を回動する第2回動機構71bを備える。レーザー光射出部71は、第1回動機構71aおよび第2回動機構71bを備えることで、光軸Laに対する変換レンズ74の位置(姿勢)を調整できるように構成されている。
【0061】
[1-3.第1回動機構]
レーザー光射出部71の第1回動機構71aについて説明する。
図3および図4に示すように、第1回動機構71aは、レーザー光変換部72(変換レンズ74、レンズ保持部73)と、回動軸部85と、回動支持部75と、作用部82と、隙間調整部84と、を備えて構成される。
【0062】
回動軸部85は、金属製(例えば、鉄製)の球体85aを2個備える。
変換レンズ74は、入射レーザーを所定の拡散幅方向に広がる線状光としての線状レーザーLLに変換するためのシリンドリカルレンズを備えて構成される。入射レーザーは、レーザー光源81から射出されるレーザー光LSである。シリンドリカルレンズは、円柱形状のレンズである。以下、変換レンズ74は、シリンドリカルレンズ74ともいう。
【0063】
レンズ保持部73は、レーザー通過穴73aを備える円盤形状の部材である。レンズ保持部73は、変換レンズ74をレーザー通過穴73aに配置した状態で、固定部材73eおよびネジ73fを用いて変換レンズ74を保持するように構成されている。レンズ保持部73は、2つの貫通穴73bを備えている。2つの貫通穴73bは、それぞれ、貫通穴73bの内部に柱状の引掛部73cを配置可能に構成されている。レンズ保持部73は、先端側から後端側にかけて貫通するとともに雌ネジ溝が形成された雌ネジ部73gを備える。
【0064】
隙間調整部84は、隙間調整ネジ84aおよび雌ネジ部73gを備える。隙間調整ネジ84aは、雌ネジ部73gに螺合可能に構成されている。
図4に示すように、レンズ保持部73は、回動支持部75に対向する面に、2個の円錐凹部73dを備える。2個の円錐凹部73dは、それぞれ、球体85aの一部を収容できる円錐形状の空間として形成される。2個の円錐凹部73dは、互いに、レーザー通過穴73aの中央部(換言すれば、入射レーザーの光軸La)を中心として点対称となる位置に形成される。
【0065】
2個の球体85aは、2個の円錐凹部73dに当接することで、レンズ保持部73に当接する回動軸(回動軸部85)として機能する。2個の球体85aは、角度調整回動軸Lbとして機能する。
【0066】
図3および図4に示すように、回動支持部75は、レーザー通過穴75aを備える円柱形状の部材である。回動支持部75は、2つの貫通穴75bを備えている。2つの貫通穴75bは、それぞれ、貫通穴75bの内部に柱状の引掛部75cを配置可能に構成されている。
【0067】
図3に示すように、回動支持部75は、レンズ保持部73に対向する対向面75jに、1個の円錐凹部75dと、1個のV溝凹部75eと、を備える。円錐凹部75dは、球体85aの一部を収容できる円錐形状の空間として形成される。円錐凹部75dおよびV溝凹部75eは、それぞれ、対向面75jにおいてレーザー通過穴75aの中央部(換言すれば、入射レーザーの光軸La)を通過する仮想直線Liに重なる位置に形成されている。円錐凹部75dおよびV溝凹部75eは、レーザー通過穴75aの中央部(光軸La)を境界として仮想直線Liを分割した2つの直線部分のうち、互いに異なる直線部分に形成されている。V溝凹部75eは、球体85aの一部を収容する断面V形状の溝状の空間を形成する。V溝凹部75eは、仮想直線Liに沿ってV溝が延びるように形成されている。回動支持部75は、隙間調整ネジ84aの端部84cが当接する当接部75fを備える。
【0068】
回動支持部75は、回動軸部85(詳細には、2個の球体85a)に当接するとともに、レンズ保持部73が角度調整回動軸Lbを回動中心として回動するように、回動軸部85を介してレンズ保持部73を支持するように構成されている。
【0069】
このように、レーザー光射出部71は、2個の球体85aが回動支持部75の2つの球体当接部(円錐凹部75d、V溝凹部75e)に位置決めされると共に、2個の球体85aを回動中心としてレンズ保持部73が回動するように構成される。これにより、角度調整回動軸Lb(2個の球体85aを通る軸)を中心とする回動方向R1(図2参照)におけるレンズ保持部73の静止位置を調整できるとともに、変換レンズ74の位置(姿勢)を調整できる。
【0070】
ここで、図7に示すように、レーザー光射出部71において、光軸Laに垂直な仮想平面(例えば、図7の紙面)のうち角度調整回動軸Lbによって分割された2つの領域を、第1領域AE1および第2領域AE2と定義する。レンズ保持部73は、第1領域AE1および第2領域AE2のうち一方の領域(本実施形態では、第1領域AE1)に、2つの貫通穴73bおよび雌ネジ部73gを備えている。回動支持部75は、第1領域AE1および第2領域AE2のうち一方の領域(第1領域AE1)に、2つの貫通穴75bおよび当接部75f(図3参照)を備えている。
【0071】
図3図4図10に示すように、作用部82は、2つのスプリング83を備える。スプリング83は、第1固定端部83aおよび第2固定端部83bを備えるコイルスプリングである。スプリング83の第1固定端部83aは、引掛部73cに引っ掛けられ、スプリング83の第2固定端部83bは、引掛部73cに引っ掛けられる。つまり、スプリング83は、第1領域AE1において、レンズ保持部73および回動支持部75に当接すると共に、レンズ保持部73および回動支持部75を互いに近づけるように作用する。これにより、レンズ保持部73および回動支持部75は、2つのスプリング83の弾性力によって、第1領域AE1に相当する部分が互いに近づく状態で備えられる。
【0072】
なお、作用部82は、2つのスプリング83を備えるため、第1領域AE1において、レンズ保持部73の2カ所に当接するとともに、回動支持部75の2カ所に当接する。このため、作用部82は、1つのスプリングを備える構成(換言すれば、レンズ保持部73および回動支持部75のそれぞれに対して1カ所のみに当接する構成)に比べて、レンズ保持部73と回動支持部75との距離を小さくするための力を大きくすることができる。
【0073】
図3図4図9に示すように、隙間調整ネジ84aは、雄ネジで構成されている。詳細には、隙間調整ネジ84aは、六角穴付き止めねじ(ホーローセット、イモネジ)である。隙間調整ネジ84aは、レンズ保持部73から回動支持部75に向けて突出する状態で、雌ネジ部73gに螺合される。隙間調整ネジ84aは、雌ネジ部73gから突出した隙間調整ネジ84aの端部84cが回動支持部75の当接部75fに当接する状態で備えられる。つまり、隙間調整ネジ84aは、レンズ保持部73および回動支持部75のそれぞれに当接するとともに、雌ネジ部73gに螺合可能に構成されている。
【0074】
隙間調整部84は、隙間調整ネジ84aの端部84cが回動支持部75の当接部75fに当接することで、第1領域AE1におけるレンズ保持部73と回動支持部75との隙間寸法W1(図9参照)を一定距離以上に制限できるように構成されている。つまり、隙間調整部84は、作用部82によって近づけられるレンズ保持部73と回動支持部75との隙間寸法W1を調整するように構成されている。
【0075】
図9に示すように、隙間調整部84は、雌ネジ部73gに対する隙間調整ネジ84aの螺合深度が深くなるに従い、隙間調整ネジ84aのうち第1当接部84bと第2当接部84dとの距離(隙間寸法W1に相当する。以下、距離W1ともいう。)が大きくなるように構成されている。第1当接部84bは、隙間調整ネジ84aのうちレンズ保持部73(詳細には、雌ネジ部73g)と当接する部分である。第2当接部84dは、隙間調整ネジ84aのうち回動支持部75(詳細には、当接部75f)と当接する部分(端部84c)である。なお、換言すれば、隙間調整部84は、雌ネジ部73gに対する隙間調整ネジ84aの螺合深度が浅くなるに従い、スプリング83の弾性力によって距離W1が小さくなるように構成されている。
【0076】
このように隙間調整部84(隙間調整ネジ84aおよび雌ネジ部73g)を用いて距離W1を変更することで、角度調整回動軸Lbを中心とする回動方向R1(図2参照)におけるレンズ保持部73の静止位置(回動位置)を変更できる。レーザー光射出部71は、隙間調整部84を用いて変換レンズ74の静止位置を変更できるとともに、光軸Laに対する変換レンズ74の位置(姿勢)を調整できる。
【0077】
よって、レーザー光射出部71は、隙間調整部84を用いて距離W1を変更することで、レーザー光射出部71における線状レーザーLLの射出方向を、図9に示す第1調整範囲V1のうち理想的な射出方向(目標射出方向)に近づけることが可能となる。
【0078】
[1-4.第2回動機構]
レーザー光射出部71の第2回動機構71bについて説明する。
図3および図4に示すように、第2回動機構71bは、回動支持部75と、光軸回動支持部77と、を備えて構成される。
【0079】
回動支持部75は、図4および図5に示すように、光軸Laに沿った軸線方向における後端側(光軸回動支持部77に対向する側)において、係合部75gを備える。係合部75gは、光軸Laを中心とする周方向に対して交差する2つの係合面75h(第1係合面75h1,第2係合面75h2)を有する。なお、「光軸Laを中心とする周方向に対して交差する面」は、換言すれば、「光軸Laを中心軸とする仮想円に対して交差する面」あるいは「光軸Laからの距離が異なる部位を複数有する面」とも表現できる。反対に、「光軸Laを中心とする周方向に対して交差しない面」は、例えば、「回動支持部75のうち円柱形状の側面」が挙げられる。
【0080】
光軸回動支持部77は、図3図4図6に示すように、レーザー通過穴77aを備える筒状の部材である。光軸回動支持部77は、回動支持部75の一部を収容するための内部空間77bを備える。光軸回動支持部77は、光軸Laを中心として回動支持部75を回動自在に支持するように構成されている。光軸回動支持部77は、内部空間77bのうち係合部75gが配置される領域に係合部配置空間77dを備える。係合部配置空間77dは、2つの係合面75hに対向する2つの対向係合面77c(第1対向係合面77c1,第2対向係合面77c2)を備える。
【0081】
光軸回動支持部77は、第1対向係合面77c1に螺合孔77fを備える。螺合孔77fは、光軸回動支持部77の外側から内部空間77b(第1対向係合面77c1)にかけて貫通した雌ネジ孔として形成されている。光軸回動支持部77は、螺合孔77fに螺合できる位置調整ネジ77eを備える。位置調整ネジ77eは、六角穴付き止めねじ(ホーローセット、イモネジ)である。位置調整ネジ77eは、第1対向係合面77c1から第2対向係合面77c2に向けて突出する状態で螺合孔77fに螺合される。
【0082】
回動支持部75は、回動支持部75の少なくとも一部(例えば、係合部75g)が内部空間77bに配置される状態で、光軸回動支持部77に支持される。このとき、回動支持部75のうち、第1係合面75h1は、第1対向係合面77c1から突出する位置調整ネジ77eに当接し、第2係合面75h2は、位置決めスプリング75iを介して第2対向係合面77c2と対向する。つまり、係合部75gは、位置決めスプリング75iを介して、位置調整ネジ77eと第2対向係合面77c2との間に挟持されることで、係合部配置空間77dでの静止位置が決定される。第1対向係合面77c1からの位置調整ネジ77eの突出寸法W2(図11参照)を変更することで、係合部配置空間77dでの係合部75gの静止位置を変更できる。
【0083】
このように、光軸回動支持部77は、位置調整ネジ77eを用いて、係合部配置空間77dでの係合部75gの静止位置を変更することで、光軸Laを中心とする回動方向R2(図2図7参照)における回動支持部75の静止位置(回動位置)を変更できる。つまり、レーザー光射出部71は、第2回動機構71bを備えることで、回動方向R2における回動支持部75の静止位置(回動位置)を調整できるとともに、回動方向R2における変換レンズ74の位置(姿勢)を調整できる。
【0084】
よって、レーザー光射出部71は、位置調整ネジ77eを用いて突出寸法W2を変更して、回動方向R2における変換レンズ74の位置(姿勢)を調整することで、レーザー光射出部71における線状レーザーLLの拡散幅方向を、理想的な拡散幅方向(目標拡散幅方向)に近づけることが可能となる。
【0085】
[1-5.効果]
以上説明したように、本実施形態のレーザー墨出し器1は、隙間調整ネジ84aを用いたレンズ保持部73と回動支持部75との隙間寸法W1の調整という簡易な構成によって、入射レーザー(レーザー光LS)の光軸Laに対する変換レンズ74の相対位置を調整できる。これに伴い、レーザー墨出し器1は、隙間調整ネジ84aを用いた隙間寸法W1の調整成によって、角度調整回動軸Lbを中心とする回動方向R1における線状レーザーLL(基準レーザー)の進行方向を調整できる。
【0086】
よって、レーザー墨出し器1によれば、簡易な構成のため、変換レンズ74のレンズ角度の調整作業が簡便になり、作業負担の増大を抑制できる。また、レーザー墨出し器1によれば、簡易な構成のため、構成部品の変形が生じ難くなり、レンズ角度を適切に調整できるとともに、線状レーザーLL(基準レーザー)の進行方向を適切な方向に調整できる。
【0087】
次に、レーザー墨出し器1は、レンズ保持部73が2つの円錐凹部73dを備えるとともに、回動支持部75が1つの円錐凹部75dと1つのV溝凹部75eを備える構成である。
【0088】
レーザー墨出し器1では、2個の球体85aのうち1つの球体85aが円錐凹部73dおよび円錐凹部75dによって位置決めされると共に、2個の球体85aのうちもう1つの球体85aが円錐凹部73dとV溝凹部75eによって位置決めされる。このとき、V溝凹部75eにおける球体85aとの当接位置は、V溝の延長方向に沿って変更可能となる。このため、レンズ保持部73における2つの円錐凹部73dの形成位置と、回動支持部75における円錐凹部75dおよびV溝凹部75eの形成位置との間に、加工誤差(製造誤差)が生じた場合でも、V溝凹部75eにおける球体85aとの当接位置を適切な位置に変更できる。
【0089】
よって、レーザー墨出し器1は、レンズ保持部73と回動支持部75との間において、2つの球体85aを適切に位置決めできる。
次に、レーザー墨出し器1は、図12に示すように、レンズ保持部73において、2個の球体85aと雌ネジ部73gとの3カ所を結んで形成される領域を仮想三角領域AEtとした場合に、レンズ保持部73のうち作用部82(2個のスプリング83)から与えられる外力の重心位置Fmは、仮想三角領域AEtの内部に位置する構成である。
【0090】
このようなレーザー墨出し器1は、作用部82からの外力がレンズ保持部73に対して偏って作用することを抑制できるため、レンズ保持部73が不適切な方向に傾くことを抑制できるとともに、変換レンズ74の位置が不適切になるのを抑制できる。
【0091】
なお、2個の球体85aは、回動軸部85のうち角度調整回動軸Lbの延伸方向における両端(第1端部85b、第2端部85c)となる。つまり、2個の球体85aは、回動軸部85の第1端部85bおよび第2端部85cに相当する。雌ネジ部73gは、レンズ保持部73と隙間調整部84(隙間調整ネジ84a)との当接箇所に相当する。仮想三角領域AEtは、第1端部85bの中心、第2端部85cの中心、雌ネジ部73gの中心の3点を結んで形成される領域である。
【0092】
また、本実施形態での外力の重心位置Fmは、レンズ保持部73のうち2個のスプリング83と当接する2つの当接箇所の中間地点に相当する。外力の重心位置Fmは、レンズ保持部73のうち、2個のスプリング83のそれぞれによる外力を合成した合成外力が作用する位置に相当する。
【0093】
なお、レンズ保持部73において作用部82との当接箇所が3カ所備えられる構成においては、各当接箇所からの距離が等しい中央地点を、外力の重心位置Fmと定義する。さらに、複数の当接箇所に作用する外力の大きさがそれぞれ異なる場合(例えば、複数のスプリング83のそれぞれの弾性力(バネ定数)が異なる場合)には、外力の大きさに応じて、中間地点よりも外力の大きい当接箇所に近い位置を、外力の重心位置Fmと定義する。
【0094】
次に、レーザー墨出し器1においては、光軸回動支持部77は、光軸Laを中心とする回動方向R2における回動支持部75の静止位置を決定するために、位置調整ネジ77e、第2対向係合面77c2を備える。位置調整ネジ77eおよび第2対向係合面77c2は、回動支持部75の静止位置を決定する位置決定部78として機能する。つまり、位置決定部78は、位置決めスプリング75iを介して回動支持部75に当接して回動支持部75の回動を制限することで、入射レーザー(レーザー光LS)の光軸Laを中心とする回動方向における回動支持部75の静止位置を決定するように構成されている。
【0095】
位置決定部78(位置調整ネジ77eおよび第2対向係合面77c2)は、光軸回動支持部77のうち第2領域AE2に配置されている。光軸回動支持部77は、位置決定部78の配置位置を、作用部82が配置される第1領域AE1ではなく第2領域AE2に設定することで、作用部82と位置決定部78とが互いに干渉するのを抑制できる。これにより、レーザー墨出し器1は、作用部82および位置決定部78それぞれの配置の自由度を高めることができる。
【0096】
[1-6.文言の対応関係]
ここで、文言の対応関係について説明する。
レーザー墨出し器1がレーザー墨出し器の一例に相当し、変換レンズ74が変換レンズの一例に相当し、レンズ保持部73がレンズ保持部の一例に相当し、回動軸部85が回動軸部の一例に相当し、2個の球体85aが2個の球体の一例に相当し、回動支持部75が回動支持部の一例に相当し、作用部82が作用部の一例に相当し、隙間調整部84が隙間調整部の一例に相当する。
【0097】
スプリング83が作用部の一例および弾性体の一例に相当し、円錐凹部73dが球体当接部の一例および円錐凹部の一例に相当し、円錐凹部75dが球体当接部の一例および円錐凹部の一例に相当し、V溝凹部75eが球体当接部の一例およびV溝凹部の一例に相当する。隙間調整ネジ84aが隙間調整部の雄ネジ部の一例に相当し、雌ネジ部73gが隙間調整部の雌ネジ部の一例に相当する。
【0098】
光軸回動支持部77が光軸回動支持部の一例に相当し、位置決定部78が位置決定部の一例に相当し、係合部75gが係合部の一例に相当し、係合面75hが係合面の一例に相当する。
【0099】
[2.第2実施形態]
第2実施形態として、隙間調整部が第2領域AE2に設けられる第2レーザー光射出部171を備えるレーザー墨出し器について説明する。
【0100】
第2実施形態のレーザー墨出し器は、第1実施形態のレーザー墨出し器1のうちレーザー光射出部71を第2レーザー光射出部171に置き換えて構成されている。そこで、以下の説明では、第2レーザー光射出部171を中心に説明する。なお、第2実施形態の構成のうち、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を用いて表す。
【0101】
図13および図14に示すように、第2レーザー光射出部171は、第2レーザー光変換部172と、回動軸部85(2個の球体85a)と、第2回動支持部175と、光軸回動支持部77と、レーザー光源81と、作用部82と、第2隙間調整部184と、基台部87と、を備える。第2レーザー光変換部172は、変換レンズ74(シリンドリカルレンズ74)と、第2レンズ保持部173と、を備える。
【0102】
第2レンズ保持部173は、第1実施形態のレンズ保持部73において、雌ネジ部73gを削除し、貫通穴173gを追加した構成である。貫通穴173gは、第2領域AE2に形成されている。
【0103】
第2回動支持部175は、第1実施形態の回動支持部75において、第2雌ネジ部175fを追加した構成である。第2雌ネジ部175fは、第2回動支持部175のうち第2領域AE2において、先端側が開口した雌ネジ溝を備えて形成されている。
【0104】
第2隙間調整部184は、第2隙間調整ネジ184a、貫通穴173gおよび第2雌ネジ部175fを備える。第2隙間調整ネジ184aは、ネジ頭部184a1と、ネジ軸部184a2と、を備える。ネジ頭部184a1は、貫通穴173gよりも径寸法が大きく形成されており、第2レンズ保持部173の先端面に係合可能に構成されている。ネジ軸部184a2は、貫通穴173gよりも径寸法が小さく形成されるとともに、第2雌ネジ部175fに螺合可能な雄ネジが形成されている。
【0105】
第2回動支持部175は、回動軸部85(詳細には、2個の球体85a)に当接するとともに、第2レンズ保持部173が角度調整回動軸Lbを回動中心として回動するように、回動軸部85を介して第2レンズ保持部173を支持するように構成されている。
【0106】
このように、第2レーザー光射出部171は、2個の球体85aが第2回動支持部175の2つの球体当接部(円錐凹部75d、V溝凹部75e)に位置決めされると共に、2個の球体85aを回動中心として第2レンズ保持部173が回動するように構成される。これにより、角度調整回動軸Lb(2個の球体85aを通る軸)を中心とする回動方向R1(図2参照)における第2レンズ保持部173の静止位置を調整できるとともに、変換レンズ74の位置(姿勢)を調整できる。
【0107】
第2隙間調整ネジ184aは、貫通穴173gに挿通されて、第2レンズ保持部173から第2回動支持部175に向けて突出する状態で、第2雌ネジ部175fに螺合される。第2隙間調整ネジ184aは、第2領域AE2において、ネジ頭部184a1の後端部(第1当接部184b)が第2レンズ保持部173に当接し、ネジ軸部184a2のうち第2雌ネジ部175fとの螺合部分(第2当接部184d)が第2回動支持部175に当接する状態で備えられる。つまり、第2隙間調整ネジ184aは、ネジ軸部184a2のうち第2雌ネジ部175fに螺合された第2当接部184dと、ネジ頭部184a1の第1当接部184bとの間で、第2レンズ保持部173および第2回動支持部175を挟み込む状態で備えられる。
【0108】
第2隙間調整部184は、第2隙間調整ネジ184aが第2レンズ保持部173および第2回動支持部175を挟み込むことで、第2領域AE2における第2レンズ保持部173と第2回動支持部175との距離を所定範囲内に制限できる。よって、第2隙間調整部184は、第1領域AE1における第2レンズ保持部173と第2回動支持部175との距離が一定距離以上となるように調整できる構成となる。これにより、第2レンズ保持部173の回動角度を調整可能な構成となる。
【0109】
具体的には、図14に示すように、第2隙間調整部184は、第2雌ネジ部175fに対する第2隙間調整ネジ184aの螺合深度が深くなるに従い、第2隙間調整ネジ184aのうち第1当接部184bと第2当接部184dとの距離W3が小さくなるように構成されている。このように距離W3が小さくなると、第2領域AE2における第2レンズ保持部173と第2回動支持部175との距離W4が小さくなるとともに、第1領域AE1における第2レンズ保持部173と第2回動支持部175との距離W1が大きくなる。これにより、角度調整回動軸Lbを回動中心とする第2レンズ保持部173の回動角度を変更できる。なお、換言すれば、第2隙間調整部184は、第2雌ネジ部175fに対する第2隙間調整ネジ184aの螺合深度が浅くなるに従い、距離W4が大きくなるとともに、スプリング83の弾性力によって距離W1が小さくなるように構成されている。
【0110】
このように第2隙間調整部184(第2隙間調整ネジ184aおよび第2雌ネジ部175f)を用いて距離W1を変更することで、角度調整回動軸Lbを中心とする回動方向R1(図2参照)における第2レンズ保持部173の静止位置(回動位置)を変更できる。第2レーザー光射出部171は、第2隙間調整部184を用いて変換レンズ74の静止位置を変更できるとともに、光軸Laに対する変換レンズ74の位置(姿勢)を調整できる。
【0111】
よって、第2レーザー光射出部171は、第2隙間調整部184を用いて距離W1を変更することで、第2レーザー光射出部171における線状レーザーLLの射出方向を、図14に示す第1調整範囲V1のうち理想的な射出方向(目標射出方向)に近づけることが可能となる。
【0112】
ここで、文言の対応関係について説明する。
第2レンズ保持部173がレンズ保持部の一例に相当し、第2回動支持部175が回動支持部の一例に相当し、第2隙間調整部184が隙間調整部の一例に相当する。
【0113】
第2隙間調整ネジ184aが隙間調整部の雄ネジ部の一例に相当し、第2雌ネジ部175fが隙間調整部の雌ネジ部の一例に相当する。
[3.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において、様々な態様にて実施することが可能である。
【0114】
(3a)上記実施形態では、レンズ保持部が2つの円錐凹部を備え、回動支持部が1つの円錐凹部と1つのV溝凹部を備える構成について説明したが、本開示のレーザー墨出し器はこのような構成に限られることはない。例えば、レンズ保持部が1つの円錐凹部と1つのV溝凹部を備え、回動支持部が2つの円錐凹部を備える構成であってもよい。
【0115】
(3b)上記実施形態では、作用部がレンズ保持部の2カ所に当接するとともに作用部が回動支持部の2カ所に当接する構成について説明したが、作用部がレンズ保持部の1カ所に当接するとともに作用部が回動支持部の1カ所に当接する構成であってもよい。例えば、作用部が1つのスプリングを備えて、1つのスプリングがレンズ保持部および回動支持部のそれぞれと当接する構成であってもよい。
【0116】
(3c)上記実施形態では、回動軸部が2つの球体を備える構成について説明したが、回動軸部はこのような構成に限られることはない。例えば、回動軸部が2つの円柱部材を備える構成であってもよい。この場合、レンズ保持部および回動支持部のそれぞれが、2つのV溝凹部を備えて、2つの円柱部材は、2つのV溝凹部に当接する状態でレンズ保持部と回動支持部との間に配置される。
【0117】
(3d)上記実施形態では、第1回動機構および第2回動機構を備える構成について説明したが、本開示のレーザー墨出し器は、このような構成に限られるものではなく、第1回動機構を備え、第2回動機構を備えない構成であってもよい。
【0118】
(3e)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合させたりしてもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、同様の機能を有する公知の構成に置き換えてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。なお、特許請求の範囲に記載した文言のみによって特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【符号の説明】
【0119】
1…レーザー墨出し器、71…レーザー光射出部、72…レーザー光変換部、73…レンズ保持部、73d…円錐凹部、73e…固定部材、73g…雌ネジ部、74…変換レンズ(シリンドリカルレンズ)、75…回動支持部、75b…貫通穴、75d…円錐凹部、75e…V溝凹部、75g…係合部、75h…係合面、77…光軸回動支持部、77c…対向係合面、77e…位置調整ネジ、78…位置決定部、81…レーザー光源、82…作用部、83…スプリング、84…隙間調整部、84a…隙間調整ネジ、85…回動軸部、85a…球体、85b…第1端部、85c…第2端部、87…基台部、171…第2レーザー光射出部、172…第2レーザー光変換部、173…第2レンズ保持部、175…第2回動支持部、184…第2隙間調整部、184a…第2隙間調整ネジ、184a1…ネジ頭部、184a2…ネジ軸部、AE1…第1領域、AE2…第2領域。
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