IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝情報システム株式会社の特許一覧

特許7165110道路情報配信システム、道路情報配信装置、道路情報配信プログラム
<>
  • 特許-道路情報配信システム、道路情報配信装置、道路情報配信プログラム 図1
  • 特許-道路情報配信システム、道路情報配信装置、道路情報配信プログラム 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-25
(45)【発行日】2022-11-02
(54)【発明の名称】道路情報配信システム、道路情報配信装置、道路情報配信プログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/01 20060101AFI20221026BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20221026BHJP
   G08G 1/13 20060101ALI20221026BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20221026BHJP
【FI】
G08G1/01 E
G08G1/09 F
G08G1/13
G08G1/01 A
G08G1/00 J
G08G1/01 F
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019172600
(22)【出願日】2019-09-24
(65)【公開番号】P2021051423
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2021-07-13
(73)【特許権者】
【識別番号】391016358
【氏名又は名称】東芝情報システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 真
(74)【代理人】
【識別番号】100128473
【弁理士】
【氏名又は名称】須澤 洋
(72)【発明者】
【氏名】孫 維瀚
(72)【発明者】
【氏名】林 英一郎
(72)【発明者】
【氏名】平川 千紗
(72)【発明者】
【氏名】大友 亮
(72)【発明者】
【氏名】夜久 憲介
(72)【発明者】
【氏名】藤田 稔
(72)【発明者】
【氏名】南 貴博
(72)【発明者】
【氏名】山本 昇平
(72)【発明者】
【氏名】大野 綾子
(72)【発明者】
【氏名】谷沢 昭行
【審査官】小林 勝広
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-076078(JP,A)
【文献】特開2018-190232(JP,A)
【文献】特開平10-021488(JP,A)
【文献】特開2018-018424(JP,A)
【文献】特開2019-067018(JP,A)
【文献】特開2012-117829(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00-21/36、23/00-25/00
G08G 1/00-99/00
G09B 23/00-29/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出情報を取得する車載端末と、前記車載端末と通信可能であり、前記検出情報に基づく道路情報を配信する管理装置と、を含む道路情報配信システムであって、
前記車載端末は、
前記車載端末が搭載された搭載車両の前方及び/又は後方を撮影して画像を取得する第1センサ機器と、
前記搭載車両の位置を示す第1位置情報を取得する第2センサ機器と、
所定時刻に取得される前記画像と、前記所定時刻に取得される前記第1位置情報とを紐付けた前記検出情報を取得する検出情報取得部と、を備え、
前記管理装置は、
前記検出情報を予め蓄積する記憶部と、
前記道路情報の配信先の車両の位置を示す第2位置情報に基づいて、前記道路情報の配信先の車両の位置に関する所定範囲内の位置を示す前記第1位置情報が紐付けられた前記画像に対する画像認識処理を実行する画像認識部と、
前記画像認識処理の結果に基づく判断により、前記所定範囲に関する前記道路情報を生成する判断部と、を備え、
前記画像認識部は、前記画像に含まれる歩行者を認識するとともに、前記歩行者の顔を認識し、
前記判断部は、前記歩行者の位置および人数を推定するとともに、前記歩行者の顔に基づいて前記歩行者の特性を推定し、前記歩行者の位置および人数と前記歩行者の特性を示す前記道路情報を生成することを特徴とする道路情報配信システム。
【請求項2】
記判断部は、前記画像に含まれる車両に基づいて車間距離を推定するとともに、車両の混雑度を示す前記道路情報を生成することを特徴とする請求項1に記載の道路情報配信システム。
【請求項3】
前記画像認識部は、前記画像に含まれる車両と、車線と車線の境界線である車線境界線とを認識し、
前記判断部は、前記画像に含まれる車両に基づいて車間距離を推定するとともに、前記画像に含まれる前記車線境界線の位置に基づいて、複数の車線のうち前記搭載車両が位置する車線を判断し、前記車間距離と前記搭載車両が位置する車線に基づいて車線毎の車両の混雑度を示す前記道路情報を生成することを特徴とする請求項1又は2に記載の道路情報配信システム。
【請求項4】
前記検出情報は、さらに車両の走行速度もしくはブレーキペダルのON/OFFのいずれかの情報を含み、
前記判断部は、前記車間距離と前記走行速度もしくは前記ブレーキペダルのON/OFFのいずれかの情報に基づいて、車両の混雑度を示す前記道路情報を生成することを特徴とする請求項2又は3に記載の道路情報配信システム。
【請求項5】
前記画像認識部は、前記画像に含まれる積雪を認識し、
前記判断部は、前記積雪の積雪深を推定することにより、前記積雪深を示す前記道路情報を生成することを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の道路情報配信システム。
【請求項6】
前記画像認識部は、前記画像に含まれる路面を認識し、
前記判断部は、前記路面における凍結の有無を判定することにより、凍結の有無を示す前記道路情報を生成することを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の道路情報配信システム。
【請求項7】
車載端末と通信可能であり、前記車載端末から検出情報を収集することにより、前記検出情報に基づく道路情報を配信する道路情報配信装置であって、
前記車載端末が搭載された搭載車両の前方及び/又は後方を所定時刻に撮影した画像と、前記所定時刻における前記搭載車両の位置を示す第1位置情報とを紐付けた前記検出情報を予め蓄積する記憶部と、
前記道路情報の配信先の車両の位置を示す第2位置情報に基づいて、前記道路情報の配信先の車両の位置に関する所定範囲内の位置を示す前記第1位置情報が紐付けられた前記画像に対する画像認識処理を実行する画像認識部と、
前記画像認識処理の結果に基づく判断により、前記所定範囲に関する前記道路情報を生成する判断部と、を備え、
前記画像認識部は、前記画像に含まれる歩行者を認識するとともに、前記歩行者の顔を認識し、
前記判断部は、前記歩行者の位置および人数を推定するとともに、前記歩行者の顔に基づいて前記歩行者の特性を推定し、前記歩行者の位置および人数と前記歩行者の特性を示す前記道路情報を生成することを特徴とする道路情報配信装置。
【請求項8】
車載端末が搭載された搭載車両の前方及び/又は後方を所定時刻に撮影した画像と、前記所定時刻における前記搭載車両の位置を示す第1位置情報とを紐付けた検出情報に基づく道路情報の配信を支援するコンピュータで実行されるプログラムであって、
前記車載端末で取得される前記検出情報を予め蓄積する第1機能と、
前記道路情報の配信先の車両の位置を示す第2位置情報に基づいて、前記道路情報の配信先の車両の位置に関する所定範囲内の位置を示す前記第1位置情報が紐付けられた前記画像に対する画像認識処理を実行する第2機能と、
前記画像認識処理の結果に基づく判断により、前記所定範囲に関する前記道路情報を生成する第3機能と、をコンピュータに実現させ、
前記第2機能は、前記画像に含まれる歩行者を認識するとともに、前記歩行者の顔を認識する第1処理を実行し、
前記第3機能は、前記歩行者の位置および人数を推定するとともに、前記歩行者の顔に基づいて前記歩行者の特性を推定し、前記歩行者の位置および人数と前記歩行者の特性を示す前記道路情報を生成する第2処理を実行することを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路情報を配信する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の車両から画像データや位置情報を取得し、取得した画像データや位置情報に基づいて道路情報を各車両に配信するシステムがある。各車両では、配信された道路情報を参照することにより、例えば道路の混雑状況を把握することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-191578号公報
【文献】特開2007-071579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の車両から検出情報を収集し、検出情報に基づいて道路状況を示す道路情報を各車両に配信する道路情報配信システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の道路情報配信システムは、検出情報を取得する車載端末と、車載端末と通信可能であり、検出情報に基づく道路情報を配信する管理装置と、を含む道路情報配信システムである。車載端末は、車載端末が搭載された搭載車両の前方及び/又は後方を撮影して画像を取得する第1センサ機器と、搭載車両の位置を示す第1位置情報を取得する第2センサ機器と、所定時刻に取得される画像と、所定時刻に取得される第1位置情報とを紐付けた検出情報を取得する検出情報取得部と、を備える。管理装置は、検出情報を予め蓄積する記憶部と、道路情報の配信先の車両の位置を示す第2位置情報に基づいて、道路情報の配信先の車両の位置に関する所定範囲内の位置を示す第1位置情報が紐付けられた画像に対する画像認識処理を実行する画像認識部と、画像認識処理の結果に基づく判断により、所定範囲に関する道路情報を生成する判断部と、を備える。画像認識部は、画像に含まれる歩行者を認識するとともに、歩行者の顔を認識する。判断部は、歩行者の位置および人数を推定するとともに、歩行者の顔に基づいて歩行者の特性を推定し、歩行者の位置および人数と歩行者の特性を示す道路情報を生成する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態の道路情報配信システムのネットワーク構成図である。
図2】第1実施形態の道路情報配信システムの機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態につき、図面を参照して説明する。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態の道路情報配信システムのネットワーク構成図である。道路情報配信システムは、車載端末100と、管理装置200(道路情報配信装置に相当する)とを含んで構成される。車載端末100及び管理装置200は、IP網などのネットワークを介して無線で接続される。車載端末100は、例えば自動車や原動機付自転車といった車両に搭載される。管理装置200は、例えば、道路交通状況を管理する道路交通管制センタ等に設けられる。車載端末100は、車載端末100が搭載された車両(以下、搭載車両という)に関する検出情報を取得し、管理装置200に送信する。検出情報は、後述するように、車両の位置情報や車両に搭載されたカメラで撮影された画像データ等を含む。
【0009】
管理装置200には、複数の搭載車両から、車載端末100によって取得された検出情報が送信される。管理装置200は、各搭載車両から受信した検出情報を蓄積することができる。管理装置200は、各搭載車両から受信した検出情報に基づく解析処理を実行し、各搭載車両が走行する道路の状況(交通状況)を把握するための道路情報を生成する。管理装置200は、道路情報を各搭載車両に対して配信する。言い換えると、搭載車両は、道路情報を生成するための検出情報を取得するセンサとして機能するプローブカーである。
【0010】
図2は、道路情報配信システムの機能ブロック図である。車載端末100は、制御部110と、センサユニット120と、記憶部130と、通信部140と、出力部150とを備える。記憶部130は、各種情報を記憶する。通信部140は、管理装置200との間の通信制御を行う。
【0011】
制御部110は、検出情報取得部111を備える。検出情報取得部111は、後述する取得設定情報に従って、搭載車両に関する検出情報を取得する。検出情報取得部111は、センサユニット120から出力される情報を検出情報として収集する。また、検出情報取得部111は、搭載車両に既に搭載されている機器によって検出される情報を検出情報として収集することもできる。例えば、検出情報取得部111は、ブレーキペダルのON/OFFに関する情報、ワイパーのON/OFFに関する情報、外気温センサで検出した気温に関する情報、走行速度に関する情報などを検出情報として収集する。
【0012】
センサユニット120は、カメラ121(第1センサ機器に相当する)と、GPS(Global Positioning System)センサ122(第2センサ機器に相当する)とを有する。カメラ121は、搭載車両の前方及び/又は後方を撮影することができるように設けられている。カメラ121は、複数設けることができる。カメラ121は、撮影によって画像データを生成する。例えば、カメラ121は、可視光カメラ、近赤外線カメラ、赤外線カメラなどである。GPSセンサ122は、車両の位置情報(第1位置情報に相当する)を取得する。画像データや位置情報は、検出情報として検出情報取得部111に出力される。
【0013】
出力部150は、管理装置200から提供される道路情報を各出力機器によって搭載車両の乗員に伝達する。出力部150は、例えばディスプレイ(表示部)やスピーカを有し、管理装置200から提供される道路情報を表示したり、道路情報に基づいて音声を出力したりする。
【0014】
記憶部130には、検出情報取得部111が所定の検出情報を取得するための取得設定情報が記憶されている。取得設定情報は、取得条件情報と、取得条件情報に対応する指定情報とを含む。取得条件情報は、検出情報を取得する条件を規定した情報である。指定情報は、取得する検出情報を規定した情報である。取得条件情報と指定情報は、それぞれ、検出情報で規定されている。
【0015】
車載端末100で検出情報を取得する処理について説明する。検出情報取得部111は、取得条件情報に規定された検出情報が検出されると、その検出情報を取得するとともに、指定情報に規定された検出情報を取得する。検出情報取得部111は、取得設定情報に基づいて、少なくとも所定時刻(後述する検出時刻)における画像データと、所定時刻における位置情報とを取得する。
【0016】
例えば、取得条件情報に「位置情報[XXX(位置情報を示す位置座標)]」が条件として設定されているとき、指定情報には「画像データ」と「時刻」が設定されている。この場合、GPSセンサ122が位置情報[XXX]を取得するとき、カメラ121が撮影を行い、画像データを生成する。このとき、タイマー(不図示)は、時刻を計測しており、GPSセンサ122が位置情報[XXX]を取得する時刻、言い換えると、カメラ121による撮影時刻を把握することができる。ここで、位置情報を取得する時刻及び撮影時刻を検出時刻という。また、位置情報は、画像の撮影場所を示している。このようにして、検出情報取得部111は、搭載車両が所定の地点に到達したときに、所定の地点の位置情報と、画像データと、検出時刻とを紐付けて取得することができる。
【0017】
なお、取得条件情報には、位置情報を用いた地理範囲を設定してもよい。例えば、取得条件情報には、A地点の位置情報と、B地点の位置情報と、C地点の位置情報を用いて範囲を設定することができる。このとき、搭載車両がA~C地点で囲まれる範囲に入ると、検出情報取得部111は、上述した方法によって、各種検出情報を取得することができる。
【0018】
なお、取得条件情報として設定する位置情報には、例えば交差点や分岐点といった交通量が多い(混雑しやすい)地点や、事故発生地点、事故多発地点などの位置情報を設定すると、取得した検出情報に基づいて、車両の乗員が注目すべき情報を管理装置200から提供しやすくなる。
【0019】
また、取得条件情報に「時刻[X時X分]」が条件として設定されているとき、指定情報には「画像データ」と「位置情報」が設定されている。この場合、タイマーで把握される時刻がX時X分になるとき、カメラ121が撮影を行って画像データを生成するとともに、GPS122が位置情報を取得する。このようにして、検出情報取得部111は、所定の時刻になるときに、この時刻(すなわち、検出時刻)と、位置情報と、画像データとを紐付けて取得することができる。なお、取得条件情報に所定時間毎に時刻を設定することで、検出情報取得部111は、所定時間毎に位置情報と、画像データと、検出時刻とを取得することができる。
【0020】
検出情報取得部111が取得した情報は、管理装置200に送信され、管理装置200の記憶装置230(後述する)に蓄積される。
【0021】
また、取得設定情報は、管理装置200において予め設定され、車載端末100に配信される。また、取得設定情報は、車載端末100側で予め設定することもできる。取得設定情報は、任意に追加したり、変更したりすることができる。取得された検出情報は、通信部140を介して管理装置200に送信され、後述する記憶装置230に蓄積される。言い換えると、管理装置200は、車載端末100から出力される検出情報を収集する。
【0022】
なお、上記説明では画像データと、位置情報と、検出時刻とを用いて説明したが、検出情報取得部111は、他にも搭載車両に既に搭載されている機器によって検出される検出情報を所定の条件で取得することができる。上述した取得設定情報は一例であり、検出情報取得部111は、所定の条件で指定される所定の検出情報を取得することができればよい。
【0023】
管理装置200は、通信装置210と、制御装置220と、記憶装置230とを備える。通信装置210は、車載端末100との間の通信制御を行う。記憶装置230には、車載端末100から受信した検出情報が記憶されている。制御装置220は、判定部221と、道路情報配信部222とを有する。判定部221は、後述する各種判定処理を実行し、判定処理の結果である道路情報を生成する。道路情報配信部222は、生成された道路情報を配信する。
【0024】
判定部221は、画像認識部2211と、判断部2212とを有する。画像認識部2211は、検出情報として記憶装置230に蓄積された画像データに対し、画像認識処理を実行する。判断部2212は、画像認識処理の結果に基づく判断処理を実行し、各種道路情報を生成する。判定部221は、車線混雑度判定処理、路面状態判定処理、歩行者判定処理(後述する)を実行する。道路情報としては、車線混雑度情報、路面状態情報、歩行者情報とが挙げられる。
【0025】
車線混雑度判定処理について説明する。車線混雑度判定処理は、車線ごとの車両の混雑度を判定するための処理である。車線混雑度判定処理は、混雑度判定処理と、車線認識処理とを含む。
【0026】
まず、混雑度判定処理について説明する。画像認識部2211は、検出情報として収集された画像データに対する画像認識処理を実行する。例えば、画像認識部2211は、前方車両を認識するための車両検出辞書(以下、車両検出辞書という)に基づいて画像認識処理を実行する。例えば、車両検出辞書には、車両の輪郭、窓枠、バンパー、タイヤなどの車両の特徴部分を記述する特徴量が含まれる。車両検出辞書は、例えば記憶装置230に記憶されている。
【0027】
画像認識部2211は、搭載車両から収集した画像に特徴量抽出処理を施して得られる特徴量画像と、車両検出辞書とのマッチングにより、画像認識処理を実行する。これにより、画像認識部2211は、画像において前方車両の特徴部分が占める領域を認識する。判断部2212は、画像における前方車両の特徴部分が占める領域の大きさまたは車両が路面に接地する位置に基づいて、搭載車両と搭載車両の前方の車両との間の距離、すなわち車間距離を推定する。なお、同様にして搭載車両と搭載車両の後方の車両との車間距離を推定することもできる。なお、車間距離を推定する方法は、既存の他の方法でもよい。
【0028】
例えば、判断部2212は、推定した車間距離が短ければ短いほど混雑度が高いと判断することができる。判断部2212は、推定した車間距離が長ければ長いほど混雑度が低いと判断することができる。
【0029】
次に、車線認識処理について説明する。画像認識部2211は、検出情報として収集された画像データに対する画像認識処理を実行する。例えば、画像認識部2211は、車線を認識するための線分検出処理および車線境界線の幅、色などの条件および車線の幅に関する条件、テンプレート画像(以下、車線テンプレート画像という)に基づいて画像認識処理を実行する。車線境界線の条件は、例えば記憶装置230に記憶されている。
【0030】
ここで、道路には車線と車線の間の境界を規定する車線境界線が引かれている。したがって、カメラ121が撮影した画像における車線境界線の位置は、搭載車両が位置する車線に応じて異なる。例えば、搭載車両が左側車線に位置するとき、車線境界線は、車両の前方を撮影した画像において右側に位置する。例えば、搭載車両が右側車線に位置するとき、車線境界線は、車両の前方を撮影した画像において左側に位置する。例えば、搭載車両が中央車線に位置するとき、車線境界線は、車両の前方を撮影した画像において左右の両側に位置する。そこで、車線境界線の条件には、上述した画像それぞれに対して用意されている。
【0031】
画像認識部2211は、搭載車両から収集した画像と、その画像に線分検出処理を施した結果と、車線境界線の条件とのマッチングにより、画像認識処理を実行する。これにより、判断部2212は、搭載車両から収集した画像における車線境界線の位置を把握する。そして、判断部2212は、車線境界線の位置に基づいて、複数の車線のうち、搭載車両が位置する車線を判断することができる。なお、車線を認識する方法は、既存の他の方法でもよい。
【0032】
上述したように混雑度とともに車線を把握することで、車線ごとの混雑度を判定することができる。車線ごとの混雑度は、後述するように車載端末100から送信されるリクエスト情報に応じて、車載端末100に配信される。なお、混雑度判定処理では、走行速度を考慮してもよい。例えば、画像データとともに搭載車両の走行速度に関する情報が検出情報として記憶装置230に蓄積されている場合、判断部2212は、走行速度を考慮して混雑度を判断することができる。これにより、車間距離が短くても走行速度が速い場合や車間距離が長くても走行速度が遅い場合など、車間距離と走行速度の両方に基づいて混雑度を判定することができる。同様に、ブレーキペダルのON/OFFに関する情報が検出情報として記憶装置230に蓄積されている場合、判断部2212は、ブレーキペダルのON/OFFを考慮して混雑度を判断することができる。例えば、ブレーキペダルがONの時間が長いときや、ブレーキペダルがONになった回数が多いときは、混雑度が高いと判断することができる。
【0033】
路面状態判定処理について説明する。路面状態判定処理は、道路の路面の状態を判定するための処理である。路面の状態としては、積雪の状態や路面凍結の状態が挙げられる。路面状態判定処理は、積雪状態判定処理と、凍結状態判定処理とを含む。
【0034】
まず、積雪状態判定処理について説明する。画像認識部2211は、検出情報として収集された画像データに対する画像認識処理を実行する。例えば、画像認識部2211は、路面状態を認識するためのテンプレート画像(以下、路面状態テンプレート画像という)に基づいて画像認識処理を実行する。路面状態テンプレート画像は、例えば記憶装置230に記憶されている。
【0035】
ここで、積雪時の道路は、無積雪時の(積雪していない)道路に比べて、白色の割合が雪によって増加する。したがって、積雪時の道路を撮影した画像と無積雪時の道路を撮影した画像とを比較すると、積雪時の道路を撮影した画像の方が、白色の画素(白色を示す領域)が多くなる。そこで、路面状態テンプレート画像には、無積雪時の道路を撮影した画像が用意されている。
【0036】
画像認識部2211は、搭載車両から収集した画像を、路面テンプレート画像から探索し比較することにより、画像認識処理を実行する。これにより、判断部2212は、搭載車両から収集した画像と、路面テンプレート画像との差分から積雪によって白色に変化した領域を把握することができる。判断部2212は、白色に変化した領域に基づいて、積雪の有無を判断することができる。
【0037】
ここで、雪は路面から上方(路面から離れる方向)に向かって積もるため、路面において積雪している領域の上方には、積雪していない空間がある。積雪していない空間は、雪による発色がないため、白色になっていない。したがって、判断部2212は、積雪時に撮影された画像において、下方から順に検出される白色の領域に基づいて、積雪の深さ(例えば積雪深)を推定することができる。ここで、積雪深は、cmなどの単位で積雪の深さを表すことができる。なお、上記説明では、雪が白色に発色するものとして説明したが、雪によって発色する色を予め設定することで、予め設定された色の領域を積雪している領域として検出し、積雪している深さを判定することができる。このようにして、判定部211は、積雪状態判定処理の結果として積雪情報を生成する。なお、積雪の深さを推定する方法は、既存の他の方法でもよい。
【0038】
次に、凍結状態判定処理について説明する。凍結した路面は、凍結していない路面に比べると、より暗い色に発色する。そこで、路面テンプレート画像には、凍結していない路面を撮影した画像が用意されている。
【0039】
画像認識部2211は、搭載車両から収集した画像と、路面テンプレート画像とのマッチングにより、画像認識処理を実行する。これにより、判断部2212は、搭載車両から収集した画像と、路面テンプレート画像との差分から凍結によって色が暗く変化した領域を把握することができる。このとき、判断部2212は、色が暗く変化した領域において、画素値が所定値以上変化したときに、路面が凍結したと判断(推定)する。これにより、画像認識部2211は、路面の凍結の有無を判定することができる。このようにして、判定部211は、凍結状態判定処理の結果として凍結情報を生成する。なお、凍結の有無を判定する方法は、既存の他の方法でもよい。
【0040】
なお、路面テンプレート画像は、路面に積雪や凍結の影響がない晴天時などに予め所定の位置情報で示される地点で撮影された画像を用意している。路面テンプレート画像には、撮影場所を示す位置情報が紐付けられている。例えば、画像認識部2211は、路面テンプレート画像に紐づく位置情報と、搭載車両から得られた画像データに紐づく位置情報とが一致するとき、路面状態判定処理を実行することができる。例えば、路面テンプレート画像と、路面テンプレート画像に紐づく位置情報は、予め搭載車両から収集したものでもよい。路面テンプレート画像と、路面テンプレート画像に紐づく位置情報は、例えば記憶装置230に記憶されている。
【0041】
なお、路面状態判定処理では、外気温センサで検出した気温に関する情報(気温情報)やワイパーのON/OFFに関する情報を考慮してもよい。画像データとともに気温情報が検出情報として記憶装置230に蓄積されている場合、判断部2212は、画像認識の結果に加えて気温を考慮した判断を行うことができる。例えば、気温が所定値以下のとき、判断部2212は、画像認識の結果を踏まえて路面が凍結していることを追加的に判断する。同様にして、判断部2212は、積雪があることを追加的に判断することもできる。また、画像データとともにワイパーのON/OFFに関する情報が検出情報として記憶装置230に蓄積されている場合、判断部2212は、画像認識の結果に加えてワイパーのON/OFFを考慮した判断を行うことができる。例えば、ワイパーがONであるとき、判断部2212は、雪が降っていると判断し、画像認識の結果を踏まえて積雪があることを追加的に判断することができる。
【0042】
歩行者判定処理について説明する。画像認識部2211は、検出情報として収集された画像データに基づいて、搭載車両の周囲に存在する人物(以下、歩行者という)を認識するための処理を実行する。例えば、画像認識部2211は、予め学習された特徴点やパターンを含む人物検出辞書(人物検出辞書という)を用いて、撮影画像に含まれる歩行者の領域を認識する。これにより、判断部2212は、歩行者の位置と人数を推定(判断)する。同様にして、画像認識部2211は、認識された歩行者の顔に関して顔検出辞書(顔検出辞書という)を用いて顔認識処理を行うことができる。これにより、判断部2212は、撮影された歩行者の性別、年齢層、表情などの歩行者の特性を推定(判断)する。上述した画像に撮影された歩行者の人数を把握するための処理や、顔認識処理には、既存の方法を適用することができる。
【0043】
判断部2212は、搭載車両の周囲に存在する歩行者の人数(歩行者の位置を含めてもよい)を把握することで、搭載車両の周囲に存在する歩行者の混雑度を判断することができる。例えば、搭載車両の周囲に存在する人物の人数が所定値を超えているときには、歩行者の混雑度が高いと判断する。歩行者の人数が多ければ多いほど、判断部2212は、歩行者の混雑度が高いと判定する。歩行者の人数が少なければ少ないほど、判断部2212は、歩行者の混雑度が低いと判断する。
【0044】
また、歩行者の混雑度に加えて顔認識処理の結果を用いた判定を行うこともできる。例えば、顔認識処理の結果、歩行者における女性の割合が高いと判定され、歩行者の混雑度が高いと判定されるときは、搭載車両の周辺で女性向けのイベントが行われていることや、女性向けの観光地があることを予測できる。同様に、顔認識処理の結果、歩行者における男性の割合が高いと判定され、歩行者の混雑度が高いと判定されるときは、搭載車両の周辺で男性向けのイベントが行われていることや、男性向けの観光地があることを予測できる。搭載車両の周囲に存在する歩行者に関して判定された情報は、後述するように車載端末100から送信されるリクエスト情報に応じて、車載端末100に配信される。
【0045】
画像認識部2211は、複数の車載端末100から得られる各画像データに対し、上述の各種判定処理(車線混雑度判定処理、路面状態判定処理、歩行者判定処理)を実行することができる。管理装置200は、各種判定処理の結果を道路情報として配信する。管理装置200は、リクエスト情報が入力されると、各種判定処理を実行する。リクエスト情報に応じて実行される判定処理は、予め設定されている。
【0046】
ここで、リクエスト情報は、道路情報を要求するための情報であり、車載端末100から送信される。このとき、車載端末100は、リクエスト情報とともに位置情報(第2位置情報に相当する)を管理装置200に送信する。例えば、位置情報は、搭載車両が所定の位置に到達したときにGPSセンサ122から出力され、管理装置200に送信される。管理装置200は、リクエスト情報とともに取得した(入力された)位置情報に基づいて各種判定処理を実行する。
【0047】
例えば、判定部221は、リクエスト情報とともに取得した位置情報に基づいて車線混雑度判定処理を実行する。判定部221は、リクエスト情報とともに取得された位置情報を基準とする所定の道路範囲内で予め撮影された画像データに基づいて、車線混雑度判定処理を実行する。具体的には、判定部221は、取得された位置情報を基準とする所定の道路範囲内の位置情報が紐付いた画像データを記憶装置230から読み出し、車線混雑度判定処理を実行する。道路情報配信部222は、車線混雑度判定処理の結果(車線混雑度情報)を道路情報として車載端末100に配信する。
【0048】
配信された車線混雑度情報が車載端末100の出力部150によって搭載車両の乗員(ユーザ)に伝達される。例えば、車載端末100が地図を表示するディスプレイを有するとき、所定の道路範囲の車線混雑度情報を混雑度に応じた色分け等によって地図に反映して表示することができる。また、車載端末100がスピーカを有するとき、車線混雑度情報を音声で出力することができる。これにより、ユーザは所定範囲における車線ごとの混雑度を把握し、混雑度が低い車線を選択することができる。
【0049】
例えば、判定部221は、リクエスト情報とともに取得した位置情報に基づいて路面状態判定処理を実行する。判定部221は、リクエスト情報とともに取得された位置情報を基準とする所定の道路範囲内で予め撮影された画像データに基づいて、路面状態判定処理を実行する。具体的には、判定部221は、取得された位置情報を基準とする所定の道路範囲内の位置情報が紐付いた画像データを記憶装置230から読み出し、路面状態判定処理を実行する。道路情報配信部222は、路面状態判定処理の結果(路面状態情報)を道路情報として車載端末100に配信する。なお、積雪状態判定処理のみを実行したり、凍結状態判定処理のみを実行したりすることもできる。
【0050】
配信された路面状態情報が車載端末100の出力部150によって搭載車両の乗員(ユーザ)に伝達される。例えば、車載端末100が地図を表示するディスプレイを有するとき、所定の道路範囲の路面状態情報を地図に反映して表示することができる。また、車載端末100がスピーカを有するとき、路面状態情報を音声で出力してもよい。これにより、ユーザは所定の道路範囲における路面の積雪深や路面凍結の有無を把握し、走行に悪影響を与える路面状態の道路を避けることができる。
【0051】
例えば、判定部221は、リクエスト情報とともに取得した位置情報に基づいて歩行者判定処理を実行する。判定部221は、リクエスト情報とともに取得された位置情報を基準とする所定の道路範囲内で予め撮影された画像データに基づいて、歩行者判定処理を実行する。具体的には、判定部221は、取得された位置情報を基準とする所定の道路範囲内の位置情報が紐付いた画像データを記憶装置230から読み出し、歩行者判定処理を実行する。道路情報配信部222は、歩行者判定処理の結果(歩行者情報)を道路情報として車載端末100に配信する。
【0052】
配信された歩行者情報が車載端末100の出力部150によって搭載車両の乗員(ユーザ)に伝達される。例えば、車載端末100が地図を表示するディスプレイを有するとき、所定の道路範囲の歩行者情報を地図に反映して表示することができる。また、車載端末100がスピーカを有するとき、歩行者情報を音声で出力してもよい。ユーザは、所定の道路範囲内における歩行者に関する情報を参照することで、歩行者の混雑度や歩行者の特性を把握することができる。これにより、ユーザは歩行者の混雑度が高い地点での歩行者の特性から、所定の道路範囲の近辺に位置する観光地や所定の道路範囲の近辺で開催されているイベントなどを予想したりすることができる。また、ユーザは歩行者の混雑度が高い地点を避けて移動することにより、人身事故のリスクを抑えることができる。
【0053】
なお、取得された位置情報を基準とする所定の道路範囲は、予め設定しておくことができる。取得された位置情報を基準とする所定の道路範囲は、例えばリクエスト情報を送信した搭載車両が走行しうる範囲に設定することができる。また、車載端末100からリクエスト情報を送信するとき、搭載車両の出発地を示す位置情報と、目的地を示す位置情報を送信することもできる。この場合、出発地を示す位置情報と目的地を示す位置情報に基づいて予想される経路上で撮影された画像データに基づいて、各種判定処理を実行することができる。
【0054】
なお、判定部221は、車載端末100から収集される検出情報に基づいて、リアルタイムで各種判定処理を実行することもできる。この場合、リクエスト情報とともに位置情報が入力されたときに各種判定処理の結果を道路情報配信部222が配信する。
【0055】
本実施形態の道路情報配信システムによれば、処理負荷の大きい画像認識処理を管理装置200が実行するため、車両ごとに画像認識処理を行うための高度な装置を設置する必要がない。したがって、車両側で画像認識処理を行う場合に比べてコストを抑えることができる。
【0056】
さらに、本実施形態の道路情報配信システムによれば、画像データという1種のデータに基づいて各種判定処理を実行することで、車線ごとの混雑度、路面の状態(積雪、凍結)、歩行者の混雑度や特性といった複数の異なる情報を一括に抽出することができる。
【0057】
以上、実施形態の道路情報配信システムについて説明したが、車載端末100及び管理装置200は、ハードウェア構成として上述以外にも、メモリ(主記憶装置)、マウス、キーボード、タッチパネル、スキャナー等の操作入力手段、プリンタなどの出力手段、補助記憶装置(ハードディスク等)等を備えることができる。
【0058】
また、本発明の各機能は、プログラムによって実現可能であり、各機能を実現するために予め用意されたコンピュータプログラムが補助記憶装置に格納され、CPU等の制御部が補助記憶装置に格納されたプログラムを主記憶装置に読み出し、主記憶装置に読み出された該プログラムを制御部が実行して、車載端末100や管理装置200に本発明の各部の機能を動作させることができる。他方、本発明の各機能は、各々個別の制御装置で構成することができ、複数の制御装置を直接に又はネットワークを介して接続してIVR装置を構成することもできる。
【0059】
また、上記プログラムは、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録された状態で、コンピュータに提供することも可能である。コンピュータ読取可能な記録媒体としては、CD-ROM等の光ディスク、DVD-ROM等の相変化型光ディスク、MO(Magnet Optical)やMD(Mini Disk)などの光磁気ディスク、フロッピー(登録商標)ディスクやリムーバブルハードディスクなどの磁気ディスク、コンパクトフラッシュ(登録商標)、スマートメディア、SDメモリカード、メモリスティック等のメモリカードが挙げられる。また、本発明の目的のために特別に設計されて構成された集積回路(ICチップ等)等のハードウェア装置も記録媒体として含まれる。
【0060】
なお、本発明の実施形態を説明したが、当該実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0061】
100 車載端末
110 制御部
111 検出情報取得部
120 センサユニット
121 カメラ
122 GPSセンサ
130 記憶部
140 通信部
150 出力部
200 管理装置
210 通信装置
220 制御装置
221 判定部
2211 画像認識部
2212 判断部
222 道路情報配信部
230 記憶装置
図1
図2