IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 落合 久美子の特許一覧

特許7165154キャリーカートおよびキャリーカートの荷崩れ防止アタッチメント
<>
  • 特許-キャリーカートおよびキャリーカートの荷崩れ防止アタッチメント 図1
  • 特許-キャリーカートおよびキャリーカートの荷崩れ防止アタッチメント 図2
  • 特許-キャリーカートおよびキャリーカートの荷崩れ防止アタッチメント 図3
  • 特許-キャリーカートおよびキャリーカートの荷崩れ防止アタッチメント 図4
  • 特許-キャリーカートおよびキャリーカートの荷崩れ防止アタッチメント 図5
  • 特許-キャリーカートおよびキャリーカートの荷崩れ防止アタッチメント 図6
  • 特許-キャリーカートおよびキャリーカートの荷崩れ防止アタッチメント 図7
  • 特許-キャリーカートおよびキャリーカートの荷崩れ防止アタッチメント 図8
  • 特許-キャリーカートおよびキャリーカートの荷崩れ防止アタッチメント 図9
  • 特許-キャリーカートおよびキャリーカートの荷崩れ防止アタッチメント 図10
  • 特許-キャリーカートおよびキャリーカートの荷崩れ防止アタッチメント 図11
  • 特許-キャリーカートおよびキャリーカートの荷崩れ防止アタッチメント 図12
  • 特許-キャリーカートおよびキャリーカートの荷崩れ防止アタッチメント 図13
  • 特許-キャリーカートおよびキャリーカートの荷崩れ防止アタッチメント 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-25
(45)【発行日】2022-11-02
(54)【発明の名称】キャリーカートおよびキャリーカートの荷崩れ防止アタッチメント
(51)【国際特許分類】
   B62B 1/04 20060101AFI20221026BHJP
【FI】
B62B1/04
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020036894
(22)【出願日】2020-03-04
(65)【公開番号】P2021138259
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2020-06-03
【審判番号】
【審判請求日】2021-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】518271042
【氏名又は名称】落合 久美子
(74)【代理人】
【識別番号】110001623
【氏名又は名称】弁理士法人真菱国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】落合 稔
【合議体】
【審判長】芦原 康裕
【審判官】出口 昌哉
【審判官】八木 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-69936(JP,A)
【文献】特開平9-249132(JP,A)
【文献】特開2000-185654(JP,A)
【文献】特開2003-112089(JP,A)
【文献】登録実用新案第3194838(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 1/00 - 5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に延在する本体フレームと、前記本体フレームの上端部に連なる引手フレームと、前記本体フレームの下端部に組付けられた左右一対の車輪部と、左右一対の前記車輪部の上側において前記本体フレームから後方に直角に延びる荷台部と、を備え、
前記引手フレームを介して、前記一対の車輪部を中心に前記本体フレームを斜め前方に傾け且つ前記荷台部を斜め上方に傾けることにより、前記一対の車輪部による走行を可能とするキャリーカートであって、
前記荷台部に設けられ、積載面から突出して積載された荷物の左右方向への移動を規制すると共に、前記荷物の左右方向の積載幅を広狭調整自在に構成された移動規制機構を備え、
前記移動規制機構は、対向配置された左右一対の対向規制部材を有し、
前記各対向規制部材は、前記荷台部に対し左右方向に位置調節自在に取り付けられたアーム部と、前記アーム部に支持され、前記荷物の左右方向への移動を規制する規制突出部と、を有し、
前記荷台部は、前後方向に延在する一対の縦フレーム部と、前記一対の縦フレーム部間に渡され、左右方向に延在する一対の横フレーム部と、を有し、
前記一対の横フレーム部の対向面には、それぞれ左右方向に列設した複数の係止受け部が形成され、
前記アーム部は、一方の端部で前記規制突出部を支持すると共に、前記規制突出部側を基点に相互に近接する方向にばね性を奏する前後一対の棒状アームを有し、
前記一対の棒状アームの他方の端部は、前記一対の棒状アームを相互に近接する方向に撓ませることで、前記各係止受け部に対し係脱可能に構成されていることを特徴とするキャリーカート。
【請求項2】
上下方向に延在する本体フレームと、前記本体フレームの上端部に連なる引手フレームと、前記本体フレームの下端部に組付けられた左右一対の車輪部と、左右一対の前記車輪部の上側において前記本体フレームから後方に直角に延びる荷台部と、を備え、
前記引手フレームを介して、前記一対の車輪部を中心に前記本体フレームを斜め前方に傾け且つ前記荷台部を斜め上方に傾けることにより、前記一対の車輪部による走行を可能とするキャリーカートであって、
前記荷台部に設けられ、積載面から突出して積載された荷物の左右方向への移動を規制すると共に、前記荷物の左右方向の積載幅を広狭調整自在に構成された移動規制機構を備え、
前記移動規制機構は、対向配置された左右一対の対向規制部材を有し、
前記各対向規制部材は、前記荷台部に対し左右方向に位置調節自在に取り付けられたアーム部と、前記アーム部に支持され、前記荷物の左右方向への移動を規制する規制突出部と、を有し、
前記荷台部は、前後方向に延在する一対の縦フレーム部と、前記一対の縦フレーム部に交差するように渡され、左右方向に延在する一対の交差フレーム部と、を有し、
前記各交差フレーム部には、左右方向に列設した複数の係止受け部が形成され、
前記アーム部は、一方の端部で前記規制突出部を支持すると共に、他方の端部で前記一対の交差フレーム部にスライド自在に係合する前後一対のスライドアーム、を有し、
前記各対向規制部材は、前記一対のスライドアームに内蔵され、前記各係止受け部に係脱する一対の係脱機構と、前記規制突出部に設けられ、前記一対の係脱機構を係脱操作させる操作部と、を更に有していることを特徴とするキャリーカート。
【請求項3】
上下方向に延在する本体フレームと、前記本体フレームの上端部に連なる引手フレームと、前記本体フレームの下端部に組付けられた左右一対の車輪部と、左右一対の前記車輪部の上側において前記本体フレームから後方に直角に延びる荷台部と、を備え、
前記引手フレームを介して、前記一対の車輪部を中心に前記本体フレームを斜め前方に傾け且つ前記荷台部を斜め上方に傾けることにより、前記一対の車輪部による走行を可能とするキャリーカートに取り付けられる、荷崩れ防止アタッチメントであって、
前記荷台部に設けられ、積載面から突出して積載された荷物の左右方向への移動を規制すると共に、前記荷物の左右方向の積載幅を広狭調整自在に構成された移動規制機構と、
前記移動規制機構を、前記荷台部に着脱自在に取り付けるための機構セット部と、を備えことを特徴とするキャリーカートの荷崩れ防止アタッチメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷崩れが発生し難いキャリーカートおよびキャリーカートの荷崩れ防止アタッチメントに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のキャリーカートとして、荷物の転がりを防止すべくキャリーカート本体に、2つの固定ブロックを設けたものが知られている(特許文献1参照)。
このキャリーカートは、2つの支持杆および支持杆の上端部に設けた把持部を有するキャリーカート本体と、キャリーカート本体の背面側下端部に取り付けられた載置板と、キャリーカート本体の正面側下端部に取り付けた一対の車輪と、を備えている。2つの支持杆の間には、下側に接続ベースが設けられると共に上側に結合ベースが設けられている。そして、接続ベースおよび結合ベースには、それぞれ2つの固定ブロックが着脱可能に取り付けられている。
各固定ブロックは、直角三角形状のブロック体であり、斜辺に相当する円弧状の当接面が外を向くように、接続ベースや結合ベースに取り付けられている。固定ブロックは、接続ベース等に対し、その長辺側を添設するように取り付ける場合と、短辺側を添設するように取り付ける場合とがある。そして、前者の取付け形態において、直径が大きめの円筒状荷物に対応させ、後者の取付け形態において、直径が小さめの円筒状荷物に対応させ得るようになっている。この2つの固定ブロックにより、円柱状或いは円筒状の荷物を搭載したときに、荷物の揺れや転がりが抑制され、荷物のキャリーカートからの落下が防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録第3194838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような、従来のキャリーカートでは、荷物が円柱状や円筒状である場合、例えばプロパンガスボンベである場合には、2つの固定ブロックが好適に機能し、いわゆる荷崩れを有効に防止することはできる。しかし、荷物が、例えば灯油の入ったポリタンクや缶飲料を梱包した段ボール箱を積み重ねたものである場合には、固定ブロックが邪魔になり、かえって荷崩れしやすくなってしまう。このように、上記従来のキャリーカートは、円筒状の荷物の運搬に特化したものであり、汎用性に欠けるものなっていた。
【0005】
ところで、一般的なキャリーカートでは、上記のような転がり易い荷物でなくても、路面に凹凸があると簡単に荷崩れを起こす問題がある。具体的には、一方の車輪が凸部(例えば、点字ブロック)に乗り上げると、荷物が傾くと共に乗上げの衝撃を受けて、荷物が左右方向に位置ずれする。いったん生じた位置ずれは、路面を拾って車輪ががたつくことで助長(促進)され、容易に荷崩れを生ずることになる。特に、複数の荷物を段積みにしている場合では、最下部の荷物が位置ずれるだけで、修復不能の荷崩れとなり、荷物の積み直しを余儀なくされる。
このような荷崩れの防止策として、一般的には、複数本のゴムバンドを用いて、荷物を縦横の複数個所でキャリーカートにかけ止めし、或いはネット状のゴムバンド(ゴムネット)を用いて、荷物を複数個所でキャリーカートにかけ止めするようにしている。かかる場合には、ゴムバンドのフッキング個所が多くなり、荷造りや荷解きに手間がかかるだけでなく、キャリーカートに専用のフック受けを設ける必要がある。
【0006】
本発明は、積載した荷物の荷崩れを抑制することができるキャリーカートおよびキャリーカートの荷崩れ防止アタッチメントを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のキャリーカートは、上下方向に延在する本体フレームと、本体フレームの上端部に連なる引手フレームと、本体フレームの下端部に組付けられた左右一対の車輪部と、左右一対の車輪部の上側において本体フレームから後方に直角に延びる荷台部と、を備え、引手フレームを介して、一対の車輪部を中心に本体フレームを斜め前方に傾け且つ荷台部を斜め上方に傾けることにより、一対の車輪部による走行を可能とするキャリーカートであって、荷台部に設けられ、積載面から突出して積載された荷物の左右方向への移動を規制すると共に、荷物の左右方向の積載幅を広狭調整自在に構成された移動規制機構を備え、移動規制機構は、対向配置された左右一対の対向規制部材を有し、各対向規制部材は、荷台部に対し左右方向に位置調節自在に取り付けられたアーム部と、アーム部に支持され、荷物の左右方向への移動を規制する規制突出部と、を有し、荷台部は、前後方向に延在する一対の縦フレーム部と、一対の縦フレーム部間に渡され、左右方向に延在する一対の横フレーム部と、を有し、一対の横フレーム部の対向面には、それぞれ左右方向に列設した複数の係止受け部が形成され、アーム部は、一方の端部で規制突出部を支持すると共に、規制突出部側を基点に相互に近接する方向にばね性を奏する前後一対の棒状アームを有し、一対の棒状アームの他方の端部は、一対の棒状アームを相互に近接する方向に撓ませることで、各係止受け部に対し係脱可能に構成されていることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、荷台部に積載した荷物は、移動規制機構により左右方向への移動が規制されるため、走行時の傾きにより左右方向に位置ずれすることが無く、且つ走行時の振動や衝撃(バウンド)等により、その位置ずれが促進(助長)されることもない。また、移動規制機構は、荷物の幅に合わせて、左右方向の積載幅を広狭調整可能に構成されているため、広狭幅の異なる荷物にも対応させることができる。したがって、荷物の幅を問わず、積載した荷物の荷崩れを抑制することができる。
このように、荷物の左右方向の位置ズレが抑制されるため、フレームへの前後方向の押さえのみで、極めて荷崩れし難い積載が可能となる。したがって、荷物の積み下ろしも簡単且つ迅速に行うことができる。
また、規制突出部およびアーム部から成る対向規制部材の一対を対向配置することで、移動規制機構が構成されているため、極めて簡単な構造で、荷崩れの発生を抑制することができる。
さらに、対向規制部材の一対の棒状アームを撓ませることで、一対の横フレーム部(荷台部)に対し、対向規制部材を付替え或いは着脱することができる。すなわち、各対向規制部材の付替えにより、積載幅の広狭調整を簡単に行うことができる。また、移動規制機構が邪魔な場合には、これを荷台部から取り外しておくことができる。さらに、一対の横フレーム部に、荷台部の一部と移動規制機構の一部とを兼用させることができる。
【0015】
本発明の他のキャリーカートは、上下方向に延在する本体フレームと、本体フレームの上端部に連なる引手フレームと、本体フレームの下端部に組付けられた左右一対の車輪部と、左右一対の車輪部の上側において本体フレームから後方に直角に延びる荷台部と、を備え、引手フレームを介して、一対の車輪部を中心に本体フレームを斜め前方に傾け且つ荷台部を斜め上方に傾けることにより、一対の車輪部による走行を可能とするキャリーカートであって、荷台部に設けられ、積載面から突出して積載された荷物の左右方向への移動を規制すると共に、荷物の左右方向の積載幅を広狭調整自在に構成された移動規制機構を備え、移動規制機構は、対向配置された左右一対の対向規制部材を有し、各対向規制部材は、荷台部に対し左右方向に位置調節自在に取り付けられたアーム部と、アーム部に支持され、荷物の左右方向への移動を規制する規制突出部と、を有し、荷台部は、前後方向に延在する一対の縦フレーム部と、一対の縦フレーム部に交差するように渡され、左右方向に延在する一対の交差フレーム部と、を有し、各交差フレーム部には、左右方向に列設した複数の係止受け部が形成され、アーム部は、一方の端部で規制突出部を支持すると共に、他方の端部で前記一対の交差フレーム部にスライド自在に係合する前後一対のスライドアーム、を有し、各対向規制部材は、一対のスライドアームに内蔵され、各係止受け部に係脱する一対の係脱機構と、規制突出部に設けられ、一対の係脱機構を係脱操作させる操作部と、を更に有していることを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、荷台部に積載した荷物は、移動規制機構により左右方向への移動が規制されるため、走行時の傾きにより左右方向に位置ずれすることが無く、且つ走行時の振動や衝撃(バウンド)等により、その位置ずれが促進(助長)されることもない。また、移動規制機構は、荷物の幅に合わせて、左右方向の積載幅を広狭調整可能に構成されているため、広狭幅の異なる荷物にも対応させることができる。したがって、荷物の幅を問わず、積載した荷物の荷崩れを抑制することができる。
このように、荷物の左右方向の位置ズレが抑制されるため、フレームへの前後方向の押さえのみで、極めて荷崩れし難い積載が可能となる。したがって、荷物の積み下ろしも簡単且つ迅速に行うことができる。
また、規制突出部およびアーム部から成る対向規制部材の一対を対向配置することで、移動規制機構が構成されているため、極めて簡単な構造で、荷崩れの発生を抑制することができる。
さらに、規制突出部に設けた操作部による一対の係脱機構の係脱操作と、一対の交差フレーム部に対する一対のスライドアームのスライド動作とにより、積載幅の広狭調整を極めて簡単に行うことができる。また、一対の交差フレーム部に、荷台部の一部と移動規制機構の一部とを兼用させることができる。
【0021】
本発明のキャリーカートの荷崩れ防止アタッチメントは、上下方向に延在する本体フレームと、本体フレームの上端部に連なる引手フレームと、本体フレームの下端部に組付けられた左右一対の車輪部と、左右一対の車輪部の上側において本体フレームから後方に直角に延びる荷台部と、を備え、引手フレームを介して、一対の車輪部を中心に本体フレームを斜め前方に傾け且つ荷台部を斜め上方に傾けることにより、一対の車輪部による走行を可能とするキャリーカートに取り付けられる、荷崩れ防止アタッチメントであって、荷台部に設けられ、積載面から突出して積載された荷物の左右方向への移動を規制すると共に、荷物の左右方向の積載幅を広狭調整自在に構成された移動規制機構と、移動規制機構を、荷台部に着脱自在に取り付けるための機構セット部と、を備えことを特徴とする。
【0022】
この構成によれば、移動規制機構の無い既存のキャリーカートに、この荷崩れ防止アタッチメントを装着すれば、荷崩れが発生し難いキャリーカートに改変することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】第1実施形態に係るキャリーカートの外観斜視図である。
図2】第1実施形態に係るキャリーカートの荷台フレーム廻りの平面図である。
図3】キャリーカートの荷台フレーム廻りの裁断正面図である。
図4】移動規制機構における対向規制部材の斜視図である。
図5】第2実施形態に係るキャリーカートの荷台フレーム廻りの平面図である。
図6】キャリーカートの荷台フレーム廻りの裁断正面図である。
図7】第3実施形態に係るキャリーカートの荷台フレーム廻りの平面図である。
図8】キャリーカートの荷台フレーム廻りの裁断正面図(a)、および規制部材を上下反転した状態の裁断正面図(b)である。
図9】移動規制機構における操作部および係脱機構廻りの構造図である。
図10】第4実施形態に係るキャリーカートの台状プレート部廻りの平面図である。
図11】キャリーカートの台状プレート部廻りの底面図である。
図12】キャリーカートの台状プレート部廻りの側面図である。
図13】アタッチメントを装着した既存キャリーカートの荷台フレーム廻りの平面図である。
図14】アタッチメントを装着した既設キャリーカートの荷台フレーム廻りの裁断正面図(a)、および裁断側面図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付の図面を参照して、本発明の一実施形態に係るキャリーカートおよびキャリーカートの荷崩れ防止アタッチメントについて説明する。このキャリーカートは、主要部をパイプフレームで構成した折畳み式のものであり、積載した荷物の荷崩れを極力抑制できる構造を有している。また、荷崩れ防止アタッチメントは、既存のキャリーカートに装着して用いられ、荷崩れを抑制する機能を有している。
【0025】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係るキャリーカートの外観斜視図である。同図に示すように、キャリーカート10は、主体を為す本体フレーム11と、本体フレーム11の上端部に連なる引手フレーム12と、本体フレーム11の下端部に組み付けられた左右一対の車輪部13と、一対の車輪部13の上側において本体フレーム11から後方に直角に延びる荷台フレーム14(荷台部)と、荷台フレーム14に設けられ、積載した荷物Sの荷崩れを抑制する移動規制機構15と、を備えている。なお、本体フレーム11と引手フレーム12とにより、請求項に言う「フレーム」が構成されている。
【0026】
一対の車輪部13が組み付けられた本体フレーム11に対し、引手フレーム12および荷台フレーム14が折畳み自在に組み付けられて、この折畳み式のキャリーカート10が構成されている。使用者は、一対の車輪部13および荷台フレーム14を接地させた状態で、荷台フレーム14に荷物Sを積載する。詳細は後述するが、このとき荷物Sの幅に合わせて移動規制機構15を調整しておく。荷台フレーム14に荷物Sを積載したら、これをゴムバンド等で本体フレーム11に止め、引手フレーム12を持ってキャリーカート10を走行させ、荷物Sを運搬する。
【0027】
本体フレーム11は、スチールやアルミニウム等のパイプ材を、逆「U」字状に折り曲げて形成した主フレーム部21と、主フレーム部21の両下端部間に渡した車軸部22と、車軸部22の上側において、荷台フレーム14を取り付けた棒状軸部23と、を有している。主フレーム部21の上端部、すなわち水平フレーム部21aの両下側には、引手フレーム12が回動自在(折畳み自在)に支持される一方、主フレーム部21の下端部には、棒状軸部23を介して荷台フレーム14が回動自在(折畳み自在)に支持されている。この場合、本体フレーム11の正面に、上側から引手フレーム12が折り畳まれ、本体フレーム11の背面に、下側から荷台フレーム14が折り畳まれる。
【0028】
また、主フレーム部21の下端部には、荷台フレーム14の取付け位置の下方において、これを貫通するように車軸部22が設けられている。そして、車軸部22の左右両外端部に、一対の車輪部13が回転自在に取り付けられている。
【0029】
引手フレーム12は、スチールやアルミニウム等のパイプ材を、逆「U」字状に折り曲げて形成した引手本体25と、引手本体25の中間部に取り付けた把持部26と、引手本体25の両下端部間に渡した引手ロック部27と、を有している。引手本体25は、本体フレーム11(主フレーム部21)よりもわずかに幅狭に形成され、両下端部において、それぞれ(ヒンジピンを介して)本体フレーム11に回動自在に支持されている。これにより、引手フレーム12は、本体フレーム11に重なる折畳み位置と、本体フレーム11の上側に直線状に延びる展開位置との間で、本体フレーム11に折畳み自在に支持されている。
【0030】
把持部26は、樹脂等で握り易い形状に形成され、引手本体25の中間部に固定されている。使用者は、把持部26を握ってキャリーカート10を曳くこととなる。なお、実施形態の把持部26は、握り易さや滑り止めを考慮して樹脂部部品としたが、単純に引手本体25の中間部を把持部26にしてもよい。
【0031】
引手ロック部27は、スチール等の細い棒材をフック形状に折り曲げて形成されている。すなわち、引手ロック部27は、本体フレーム11の水平フレーム部21aに掛け止めされる折曲げフック部27aと、折曲げフック部27aの両外端に連なる一対の回転軸部27bとで一体に形成されており、一対の回転軸部27aにおいて本体フレーム11に回転自在に支持されている。
【0032】
本体フレーム11に対し引手フレーム12を回動させた展開位置において、引手ロック部27を回転させて、その折曲げフック部27aを本体フレーム11の水平フレーム部21aに掛け止めする。これにより、引手フレーム12は、展開位置において本体フレーム11にロックされる。また、この状態から折曲げフック部27aを逆回転させて本体フレーム11から外す(アンロック)ことにより、引手フレーム12の折畳み位置への回動が可能となる。
【0033】
一対の車輪部13は、本体フレーム11の下端部を貫通した車軸部22の両外端部に回転自在に装着されている。各車輪部13には、走行時に低騒音となるように発泡樹脂製のタイヤが組み込まれている。なお、各車輪部13は、段差に対応させるべく、3つの車輪を1組の車輪とするホイール形式のものであってもよい。
【0034】
図1ないし図3に示すように、荷台フレーム14は、「U」字状に折り曲げて形成した「U」字フレーム部31と、前後方向に延びる「U」字フレーム部31の一対の縦フレーム部32間に渡した前後一対の横フレーム部33と、一対の縦フレーム部32(「U」字フレーム部31)に回動自在に取り付けられた脚フレーム部34と、を有している。そして、これらは、「U」字フレーム部31、一対の横フレーム部33および脚フレーム部34は、スチールやアルミニウム等のパイプ材で形成されている。
【0035】
「U」字フレーム部31は、その両前端部において、棒状軸部23を介して本体フレーム11に回動自在に支持されている。同様に、脚フレーム部34は、パイプ材を「U」字状に折り曲げて形成され、その両先端部おいて、「U」字フレーム部31の後端部に(ヒンジピンを介して)回動自在に支持されている。また、図示では省略したが、脚フレーム部34と上記の車軸部22との間には、「U」字フレーム部31に平行に連結リンクが渡され、脚フレーム部34を含む「U」字フレーム部31廻りに四節の回転リンク機構が構成されている。これにより、本体フレーム11に「U」字フレーム部31を折り畳むと、これに連動して脚フレーム部34も折り畳まれるようになっている。
【0036】
脚フレーム部34は、荷物Sを積み降ろしする際に、一対の車輪部13と協働して荷台フレーム14(「U」字フレーム部31)を水平に維持すると共に、車輪部13の無用な転動を抑制する。一方、引手フレーム12を曳いて車輪部13を転動させる際の脚フレーム部34は、跳ね上げられた状態となる。
【0037】
一対の横フレーム部33は、前後方向に離間して配設され、それぞれ外端部を縦フレーム部32の側面に突き当てるようにして溶着されている。一対の横フレーム部33の対向面には、それぞれ複数個の係止孔36(係止受け部)が列設されており、詳細は後述するが、荷台フレーム14の一部である一対の横フレーム部33は、移動規制機構15の一部をも兼ねている。
【0038】
図2ないし図4に示すように、移動規制機構15は、荷台フレーム14上において、対向配置した左右一対の対向規制部材40を有している。各対向規制部材40は、一対の横フレーム部33に対し、上記の係止孔36を介して左右方向に位置調節自在に取り付けられたアーム部41と、アーム部41に支持され、荷物Sの左右方向への移動を規制する規制突出部42と、を有している。そして、本実施形態の対向規制部材40は、アーム部41と規制突出部42とが、スチールやステンレス等の細い棒材により一体に折曲げ形成されている(図4参照)。
【0039】
対向規制部材40におけるアーム部41は、先端部において、横フレーム部33の係止孔36に係止される先端係止部44aを折曲げ形成した、前後一対の棒状アーム44で構成され、規制突出部42は、一対の棒状アーム44に連なる棒材を、扁平「C」字状に折り曲げて形成されている。そして、一対の棒状アーム44は、規制突出部42側を基点に相互に近接する方向にばね性を奏するものとなっている。したがって、一対の棒状アーム44を相互に近接する方向に撓ませることで、先端係止部44aが、横フレーム部33の各係止孔36に対し係脱可能となる。
【0040】
各棒状アーム44の先端係止部44aは、縦横に折り曲げられており、これにより横フレーム部33に装着した対向規制部材40は、その一対の棒状アーム44が縦フレーム部32に支持される(載る)ようにして、ほぼ水平に配設されている。すなわち、荷台フレーム14に積載される荷物Sは、この一対の棒状アーム44の上(積載面)に載置され、この棒状アーム44が「U」字フレーム部31に支持されることとなる(図3参照)。
【0041】
また、一対の棒状アーム44に支持された規制突出部42は、その前後方向の長さが荷台フレーム14の前後方向の長さよりも十分に短く形成されている(図2参照)。さらに、規制突出部42の積載面(棒状アーム44の上面)からの高さHは、1~3cmに形成されている(図3参照)。この規制突出部42の高さHは、キャリーカート10を走行させたときに生ずるバウンドを考慮したうえで、荷物Sの位置規制が可能となる最小限の突出高さとしたものである。
【0042】
これにより、荷崩れを有効に防止しつつ、移動規制機構15が可能な限り邪魔にならないようにしている。また、テントやソフトクーラー等の柔らかく幅広の荷物Saにあっては、一対の規制突出部42上に積載することも可能にしており(図3参照)、この場合には、荷物Saが撓むことで左右方向の位置ずれが抑制される。
【0043】
一方、各横フレーム部33に形成した複数の係止孔36は、例えば1cmピッチの係止孔36の複数個(実施形態のものは、8個)を1組とし、これが各横フレーム部33において左右対称に配設され、且つ前後一対の横フレーム部33において、対向するように配設されている。図示では省略したが、横フレーム部33には、各係止孔36に対応させて、荷物Sの積載幅、すなわち左右の規制突出部42の内法間距離が数値表示されている。
【0044】
使用者は、荷物Sの幅に合う数値の係止孔36に、一対の対向規制部材40(棒状アーム44)を装着しておいて、荷物Sを積載する。荷台フレーム14に荷物Sを積載すると、荷物Sの左右の側面下部に沿うように、左右の一対の規制突出部42が位置することとなる(図3参照)。
【0045】
以上のように、第1実施形態のキャリーカート10によれば、積載面からわずかに突出した左右の規制突出部42により、積載した荷物Sが左右方向において位置規制されるため、走行時に、荷台フレーム14に左右の傾きが生じ、且つバウンドが生じても、荷物Sが左右方向に位置ずれしてしまうことがない。すなわち、この種のキャリーカート10に多い、左右方向の位置ずれにより生ずる荷崩れを極力抑制することができる。
【0046】
また、荷台フレーム14に対し一対の対向規制部材40を付け替えるだけで、荷物Sの積載幅に合わせた左右の規制突出部42のセッティングを行うことができ、荷物Sの幅を問わず、その荷崩れを極力抑制することができる。
【0047】
このように、移動規制機構15により、荷台フレーム14に積載した荷物Sの左右方向の位置ずれを規制することができるため、荷造りでは、1~2本にゴムバンドにより荷物Sを本体フレーム11に掛け止めするだけで済む。したがって、キャリーカート10に対する荷物Sの積み下ろしを、簡単且つ迅速に行うことができる。
【0048】
なお、一対の対向規制部材40は、取り外しておくことも可能である。また、第1実施形態におけるパイプ材は、いわゆる丸パイプ材であるが、これを角パイプ材としてもよい。
【0049】
[第2実施形態]
次に、図5および図6を参照して、第2実施形態に係るキャリーカート10Aについて説明する。この実施形態では、主に第1実施形態と異なる部分について説明する。
図5および図6に示すように、第2実施形態のキャリーカート10Aにおける荷台フレーム14は、その前後一対の横フレーム部33Aが、角パイプ材で形成されている。また、移動規制機構15(各対向規制部材40A)の規制突出部42Aが、断面矩形の角パイプ材(型材)で形成されている。そして、規制突出部42Aは、一対の棒状アーム44の端部に載るようにして、これに溶着されている。
【0050】
横フレーム部33Aには、第1実施形態と同様に、複数の係止孔36が列設されている。また、この対向規制部材40Aも、第1実施形態と同様に、その一対の棒状アーム44が、規制突出部42A側を基点に相互に近接する方向にばね性を奏するようになっている。したがって、一対の棒状アーム44を相互に近接する方向に撓ませることで、その先端係止部44aが、横フレーム部33Aの係止孔36に対し係脱可能となる。
【0051】
また、この場合も、一対の棒状アーム44に支持された規制突出部42Aは、その前後方向の長さが荷台フレーム14の前後方向の長さよりも十分に短く形成されている(図5参照)。さらに、規制突出部42Aの積載面(棒状アーム44の上面)からの高さHは、1~3cmに形成されている(図6参照)。
【0052】
このように、第2実施形態のキャリーカート10Aでも、左右の規制突出部42Aにより、積載した荷物Sが左右方向において位置規制されるため、走行時に、荷台フレーム14に左右の傾きが生じ、且つバウンドが生じても、荷物Sが左右方向に位置ずれしてしまうことがない。したがって、左右方向の位置ずれにより生ずる荷崩れを極力抑制することができる。また、荷物Sの幅を問わず、その荷崩れを極力抑制することができる。さらに、荷物Sの積み下ろしを簡単且つ迅速に行うことができる。
【0053】
[第3実施形態]
次に、図7ないし図9を参照して、第3実施形態に係るキャリーカート10Bについて説明する。この実施形態では、主に第1実施形態と異なる部分について説明する。
図7ないし図9に示すように、第3実施形態のキャリーカート10Bでは、上記の一対の横フレーム部33に代えて、一対の縦フレーム部32に交差するように、前後一対の交差フレーム部38が設けられている。また、移動規制機構15を構成する一対の対向規制部材40Bは、この一対の交差フレーム部38に、左右の両側からスライド自在に係合している。
【0054】
一対の交差フレーム部38は、前後方向において相互に離間して配設され、それぞれその両端部が一対の縦フレーム部32を越えて、左右方向に延在している。各交差フレーム部38は、スチールやアルミニウム等の角パイプ材で形成され、一対の縦フレーム部32上に載るようにしてこれに溶着されている。そして、詳細は後述するが、各交差フレーム部38には、左右方向に列設した複数の係止小孔39(係止受け部)が形成されている。
【0055】
一方、対向規制部材40Bは、一対の交差フレーム部38にスライド自在に係合する前後一対のスライドアーム51(アーム部)と、一対のスライドアーム51に支持された規制突出部42Bと、を有している。この場合の規制突出部42Bは、積載面から突出して積載幅を規制する突出部本体52と、突出部本体52の下側に配設され、突出部本体52を支持すると共に、一対のスライドアーム51の端部同士を連結する連結パイプ部53と、で構成されている。
【0056】
各スライドアーム51は、断面が交差フレーム部38と相補形状の角パイプ材で形成され、連結パイプ部53は、スライドアーム51と同一断面形状の角パイプ材で形成されている。そして、一対のスライドアーム51および連結パイプ部53には、上記の係止小孔39に係脱する一対の係脱機構61が内蔵され(図9参照)、さらに連結パイプ部53には、一対の係脱機構61を係脱操作させる操作部62が設けられている。
【0057】
図7および図9に示すように、操作部62は、連結パイプ部53に内向きに取り付けられ、握るようにして操作される操作レバー64と、操作レバー64を操作可能に保持すると共に戻しばね66を有するレバーホルダ65と、を有している。そして、レバーホルダ65は、連結パイプ部53内に配設され、操作レバー64は、両サイドの延長出力部67を除いて、連結パイプ部53の外部に露出している。
【0058】
戻しばね66に抗して、操作レバー64を連結パイプ部53に没入させるように引くと、両延長出力部67を介して一対の係脱機構61が係止解除操作(アンロック)される。また、この状態から、操作レバー64を離して元の位置に復帰させると、両延長出力部67を介して一対の係脱機構61が係止操作(ロック)される。
【0059】
各係脱機構61は、交差フレーム部38の内側から係止小孔39に係脱するロックピン71と、ロックピン71を係止方向に付勢するロックばね72と、ロックばね72に抗して、ロックピン71を係止小孔39から離脱させる係脱プレート73と、係脱プレート73および操作レバー64間に渡した連結バー74と、を有している。そして、これらロックピン71、ロックばね72、係脱プレート73および連結バー74は、スライドアーム51に内蔵されている。
【0060】
ロックばね72は、断面「U」字状の板ばねで構成され、スライドアーム51の内壁面を受けとしてロックピン71を係止方向に付勢している。ロックピン71は、先端部を半球状に形成したピン本体71aとピン本体71aの基端側に連なるピンベース71bとから成り、ピンベース71bの部分でロックばね72の先端部に固定されている。ピンク本体71aは、スライドアーム51に形成したガイド孔75を介して、交差フレーム部38の係止小孔39に対し係脱する。
【0061】
係脱プレート73は、スライドアーム51の内壁面に沿って進退する進退プレート部73aと、進退プレート部73aの先端側に連なり、ロックピン71と係合する二股形状の傾斜カム部73bと、で一体に形成されている。進退プレート部73aは、その基端部で、連結バー74を介して操作レバー64の延長出力部67に連結されている。傾斜カム部73bは、ロックピン71のピン本体71aを跨いでピンベース71bに係合し、進退プレート部73aによる前進位置で後退位置との間で、ロックピン71をロック・アンロックさせる。
【0062】
戻しばね66に抗して操作レバー64を引くと、連結バー74を介して係脱プレート73の傾斜カム部73bが前進位置から後退位置に移動する。傾斜カム部73bが後退位置に移動すると、ロックピン71が、ロックばね72に抗して係止小孔39から離脱(アンロック)する。この離脱状態では、半球形のロックピン71の先端部が、係止小孔39側にわずかに残っており、交差フレーム部38に対しスライドアーム51をスライドさせると、ロックピン71は複数の係止小孔39にクリック的に係合する。
【0063】
一方、ロックピン71が任意の係止小孔39にクリック係合した状態で、操作レバー64を離すと、戻しばね66により操作レバー64が元の非操作位置に復帰する。また、ロックばね72により、傾斜カム部73bが後退位置から前進位置に移動すると同時に、ロックピン71が係止小孔39に係止される。係止小孔39に係止されたロックピン71により、交差フレーム部38に対するスライドアーム51のスライドがロックされる。
【0064】
この場合も、第1実施形態と同様に、交差フレーム部38には、各係止小孔39に対応させて荷物Sの積載幅、すなわち左右の規制突出部42Bの内法間距離が数値表示されていることが好ましい。使用者は、荷物Sの幅に合う数値の係止小孔39にロックピン71が来るように、一対の対向規制部材40B(スライドアーム51)を装着しておいて、荷物Sを積載する。もっとも、荷台フレーム14に荷物Sを積載してから、一対の対向規制部材40Bをスライド調整するようにしてもよい。
【0065】
また、一対のスライドアーム51に支持された規制突出部42Bは、その前後方向の長さが荷台フレーム14の前後方向の長さよりも十分に短く形成されている(図7参照)。さらに、規制突出部42Bの積載面(スライドアーム51の上面)からの高さHは、1~3cmに形成されている(図8参照)。
【0066】
このように、第3実施形態のキャリーカート10Bでも、左右の規制突出部42Bにより、積載した荷物Sが左右方向において位置規制されるため、走行時に、荷台フレーム14に左右の傾きが生じ、且つバウンドが生じても、荷物Sが左右方向に位置ずれしてしまうことがない。したがって、左右方向の位置ずれにより生ずる荷崩れを極力抑制することができる。また、積載幅を簡単に調整できると共に、荷物Sの幅を問わずその荷崩れを極力抑制することができる。さらに、荷物Sの積み下ろしを簡単且つ迅速に行うことができる。
【0067】
なお、一対の交差フレーム部38は、一対の縦フレーム部32の下面に溶着されているものであってもよい。この場合の荷物Sは、一対の縦フレーム部32(「U」字フレーム部31)に直接積載される。また、一対の対向規制部材40B(移動規制機構15)は、これが邪魔になる場合には、これを取り外しておくことは元より、これを上下反転させて一対の交差フレーム部38に装着しておくことも可能である(図8(b)参照)。
【0068】
[第4実施形態]
次に、図10ないし図12を参照して、第4実施形態に係るキャリーカート10Cについて説明する。この実施形態では、主に第1実施形態と異なる部分について説明する。
図10ないし図12に示すように、第4実施形態のキャリーカート10Cでは、上記の荷台フレーム14に代えて、板状に形成されたアルミダイキャスト製等の台状プレート部17(荷台部)が設けられている。また、図示では省略したが、本体フレーム11は角パイプ材で構成され、引手フレーム12は本体フレーム11に対しタケノコ式でスライド自在に支持されている。
【0069】
台状プレート部17は、荷物Sが積載されるプレート本体81と、本体フレーム11に固定される一対のフレーム取付け部82と、プレート本体81に裏面に突設された脚突起部83と、後述するアーム部41Cが左右方向にスライド自在に係合するスライドガイド部84と、で一体に形成されている。
【0070】
スライドガイド部84は、プレート本体81の裏面において、左右方向に横断するように配設されている。この場合のスライドガイド部84は、内側に「あり溝」を形成するプレート本体81の裏面壁81aと、断面「L」字状に形成された前後一対のガイド片85で構成されている(図11参照)。そして、この「あり溝」の断面形状と、後述するアーム部41Cの断面形状とが相補的形状となっており、一対のアーム部41Cが、左右方向の両外側からスライドガイド部84にスライド自在に係合している。
【0071】
一方、移動規制機構15を構成する各対向規制部材40Cは、スライドガイド部84にスライド自在に係合するアーム部41Cと、アーム部41Cの先端部に設けた規制突出部42Cと、を有している。アーム部41Cは厚板状に形成され、また規制突出部42Cは角を面取りしたブロック状に形成されていて、これらは、アルミニウムやプラスチック等で一体に形成されている。
【0072】
アーム部41Cの中心部には、長手方向に沿って長孔41Caが形成され、長孔41Caには、ボルト87aと蝶ナット87bとから締結部87が臨んでいる(図12参照)。ボルト87aは、プレート本体81に固定され、その軸部が長孔41Caを貫通している。一方、蝶ナット87bは、長孔41Caを貫通したボルト87aに裏面側から螺合し、アーム部41Cをプレート本体81に締結する。また、各対向規制部材40Cは、蝶ナット87bを緩めることで左右方向にスライド自在となり、締め付けることで、左右方向の所望のスライド位置に固定される。
【0073】
スライドガイド部84の各ガイド片85には、荷物Sの積載幅、すなわち両規制突出部42Cの内法間距離が数値をもって表示されている。この数値表示88にアーム部41Cの端を合わせ込むことで、一対の規制突出部42Cによる所望の積載幅が調整される。この場合、使用者は、荷物Sの幅に合うように、一対の対向規制部材40Cをスライド調整しておいて、荷物Sを積載する。或いは、先に台状プレート部17に荷物Sを積載し、この荷物Sを挟み込むように一対の対向規制部材40Cをスライド調整する。
【0074】
そして、この場合も、アーム部41Cに支持された規制突出部42Cは、その前後方向の長さが台状プレート部17の前後方向の長さよりも十分に短く形成されている(図10参照)。さらに、規制突出部42Cの積載面(プレート本体81の上面)からの高さHは、1~3cmに形成されている(図13参照)。
【0075】
このように、第4実施形態のキャリーカート10Cでも、左右の規制突出部42Cにより、積載した荷物Sが左右方向において位置規制されるため、走行時に、台状プレート部17に左右の傾きが生じ、且つバウンドが生じても、荷物Sが左右方向に位置ずれしてしまうことがない。したがって、左右方向の位置ずれにより生ずる荷崩れを極力抑制することができる。また、荷物Sの幅を問わず、その荷崩れを極力抑制することができる。さらに、荷物Sの積み下ろしを簡単且つ迅速に行うことができる。
【0076】
[アタッチメント]
ここで、図13および図14を参照して、キャリーカート10の荷崩れ防止アタッチメント90(以下、単に「アタッチメント90」と言う。)について説明する。アタッチメント90は、上記した第1実施形態ないし第4実施形態における移動規制機構15の基本構造を、既存のキャリーカート10にセットするものであり、ここでは、上記の第2実施形態の移動規制機構15を適用したアタッチメント90について説明する。
【0077】
両図では、既存のキャリーカート10における荷台フレーム14廻りの構造が、仮想線で示されており、荷台フレーム14は、「U」字フレーム部31と、「U」字フレーム部31の一対の縦フレーム部32間に渡した連結フレーム部35と、脚フレーム部34と、を有している。一方、この既存の荷台フレーム14にセットされるアタッチメント90は、上記の移動規制機構15と、この移動規制機構15を荷台フレーム14に着脱自在に取り付けるための機構セット部91と、を有いている。
【0078】
移動規制機構15は、上述にように、一対の対向規制部材40Aを備えており、各対向規制部材40Aは、一対の棒状アーム44から成るアーム部41と、アーム部41に支持された規制突出部42Aと、を有している。すなわち、移動規制機構15は、第2実施形態の移動規制機構15と同一の形態を有している。
【0079】
一方、機構セット部91は、上記一対の横フレーム部33Aに相当する前後一対の装着横フレーム部92と、一対の装着横フレーム部92間に渡した左右一対の装着プレート93と、を有している。この場合、各装着プレート93は、一対の装着横フレーム部92の下面に固着されており、前後一対の装着横フレーム部92と左右一対の装着プレート93とが一体化されている(図14(a)および(b)参照)。
【0080】
各装着横フレーム部92は、左右の両外端部にそれぞれ断面「C」字状のばね性装着部95を有し(図14(a)参照)、荷台フレーム14の一対の縦フレーム部32間に渡すように装着される。同様に、各装着プレート93は、その前端部に断面「L」字状のばね性フック部96を有し(図14(b)参照)、荷台フレーム14の連結フレーム部35に掛け止めされている。本実施形態では、一対の装着プレート93のばね性フック部96を、下側から連結フレーム部35に掛け止めしておいて、一対の装着横フレーム部92のばね性装着部95を、上側からそれぞれ縦フレーム部32に装着することで、機構セット部91が荷台フレーム14に着脱自在に装着されるようになっている。
【0081】
そして、第2実施形態と同様に、各装着横フレーム部92には、複数の係止孔36が列設されている。また、この対向規制部材40Aも、第1実施形態と同様に、その一対の棒状アーム44が、規制突出部42A側を基点に相互に近接する方向にばね性を奏するようになっている。したがって、一対の棒状アーム44を相互に近接する方向に撓ませることで、その先端係止部44aが、横フレーム部33Aの係止孔36に対し係脱可能となる。
【0082】
この場合も、一対の棒状アーム44に支持された規制突出部42Aは、その前後方向の長さが荷台フレーム14の前後方向の長さよりも十分に短く形成されている(図13参照)。さらに、規制突出部42Aの積載面(棒状アーム44の上面)からの高さHは、1~3cmに形成されている(図14(a)参照)。
【0083】
このように構成された本実施形態のアタッチメント90では、これを既存のキャリーカート10に装着することで、既存のキャリーカート10を、荷崩れを極力抑制することができるものに改変することができる。
【0084】
なお、第2実施形態以外の実施形態における移動規制機構15も、上記の要領でアタッチメント化が可能である。
【符号の説明】
【0085】
10,10A,10B,10C…キャリーカート、11…本体フレーム、12…引手フレーム、13…車輪部、14…荷台フレーム、15…移動規制機構、17…台状プレート部、31…「U」字フレーム部、32…縦フレーム部、33,33A…横フレーム部、36…係止孔、38…交差フレーム部、39…係止小穴、40,40A,40B,40C…対向規制部材、41,41C…アーム部、42,42A,42B,42C…規制突出部材、44…棒状アーム、51…スライドアーム、61…係脱機構、62…操作部、81…プレート本体、84…スライドガイド部、87…締結部、90…アタッチメント、91…機構セット部、S…荷物、
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14