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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-25
(45)【発行日】2022-11-02
(54)【発明の名称】作業機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 3/36 20060101AFI20221026BHJP
【FI】
E02F3/36 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020042471
(22)【出願日】2020-03-11
(65)【公開番号】P2021143510
(43)【公開日】2021-09-24
【審査請求日】2021-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】398071668
【氏名又は名称】株式会社日立建機ティエラ
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】寺嶋 浩司
(72)【発明者】
【氏名】中谷 賢一郎
【審査官】小倉 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-021943(JP,A)
【文献】特開平05-059751(JP,A)
【文献】実開平02-136153(JP,U)
【文献】特開2000-027239(JP,A)
【文献】特開2017-150284(JP,A)
【文献】国際公開第2004/076334(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0270846(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 3/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体と、
前記車体に連結されたブームと、
前記ブームの先端に連結されたアームと、
前記アームの先端に連結されたエクステンションアームと、
油圧アクチュエータ及び前記油圧アクチュエータのコントロールバルブを含んで構成され、前記エクステンションアームの先端に吊り下げられた吊り下げ式の油圧駆動アタッチメントと、
前記アーム及び前記エクステンションアームに両端が連結されたアタッチメントシリンダと、
圧油を吐出する油圧ポンプと、
前記油圧駆動アタッチメント及び前記アタッチメントシリンダへの前記油圧ポンプからの圧油の供給を制御する車載制御弁ユニットと
を備えた作業機械において、
前記アタッチメントシリンダのロッドポート及びボトムポートのうち前記エクステンションアームのダンプ動作時に前記アタッチメントシリンダに圧油が供給されるポートと前記車載制御弁ユニットとを接続する第1配管と、
前記車載制御弁ユニットと前記油圧アクチュエータとを接続する第2配管と、
前記第1配管及び前記第2配管を連絡する連絡配管と、
前記連絡配管に設けられ、前記第2配管から前記第1配管への圧油の流れを許容する一方で前記第1配管から前記第2配管への圧油の流れを禁止するチェック弁と
を備えたことを特徴とする作業機械。
【請求項2】
請求項1に記載の作業機械において、
前記油圧駆動アタッチメントは、ハーベスタ又はプロセッサであって、グラップル開閉シリンダを含む複数の油圧アクチュエータと、前記複数の油圧アクチュエータへの前記油圧ポンプからの圧油の供給を制御するアタッチメント制御弁ユニットと、入口ポートとを備え、前記入口ポートを介して供給された圧油を分流して前記アタッチメント制御弁ユニットから前記複数の油圧アクチュエータに供給するように構成されていることを特徴とする作業機械。
【請求項3】
請求項2に記載の作業機械において、
前記第2配管は、前記車載制御弁ユニットと前記入口ポートとを接続する配管であることを特徴とする作業機械。
【請求項4】
請求項2に記載の作業機械において、
前記第2配管は、前記複数の油圧アクチュエータのうち前記グラップル開閉シリンダを除くアクチュエータに対して前記アタッチメント制御弁ユニットから圧油を供給する配管であることを特徴とする作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロセッサやハーベスタといった吊り下げ式の油圧駆動アタッチメントを装着した作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧ショベルをベースマシンとする作業機械の一種として、バケットリンクに設けたフックでクレーン作業をすることができるものが知られている(特許文献1参照)。同文献の作業機械ではクレーン作業モードと掘削作業モードが択一的に選択でき、クレーン作業モードの選択中、アタッチメントシリンダ(バケットシリンダ)への圧油の吸排が電磁弁で遮断されるように構成されている。電磁弁は作業モードの選択に応じてコントローラにより開閉制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-150284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
作業機械に装着するアタッチメントには、吊り下げ式のものがある。吊り下げ式のアタッチメントの代表例は、例えば林業用のプロセッサやハーベスタである。吊り下げ式のアタッチメントには、ブームやアームからなる作業腕の先端にエクステンションアームを介して吊り下げられるものがある。エクステンションアームはバケットと同じようにアタッチメントシリンダにより駆動され、アームに対して回動する。この種のアタッチメントを用いて作業機械で作業する場合、エクステンションアームをダンプ方向に一杯に展開した状態で保持することが臨まれ得る。作業中にアタッチメントが揺れてブームやアームに干渉しないようにするためである。
【0005】
他方、吊り下げ式のアタッチメントを装着したまま作業機械をトレーラ等で輸送するに当たり、エクステンションアームを含めて作業腕を抱え込み姿勢にする場合がある。そのため、作業中にエクステンションアームを駆動する必要こそないものの、アタッチメントシリンダによるエクステンションアームの回動機能を省略することは望ましくない。それに対し、特許文献1のようにアタッチメントシリンダの動作を電磁弁でロックする機構を採用した場合には、エクステンションアームの動作を作業時は禁止する一方で輸送の段取りの際に許容することができる。
【0006】
しかしながら、特許文献1のようなアタッチメントシリンダのロック機構を設けても、ロックする際にアタッチメントシリンダを所定ストローク(例えば最縮)にし忘れる可能性がある。ロックし忘れる可能性もある。このことに気付かずにエクステンションアームが伸びていない状態でオペレータが作業を開始してしまうと、折角のロック機構が有効に機能せず、防げたはずのアタッチメントとブーム等との干渉を許してしまう可能性がある。
【0007】
加えて、プロセッサ等を装着した作業機械でアタッチメントシリンダの動作を積極的に許容する必要が生じるのは作業機械の輸送時程度であり、特許文献1のロック機構を採用しても使用する機会はかなり限定的である。使用する機会があまりないにも関わらず、同文献のロック機構を採用するためには、専用の電磁弁やその配線、コントローラによる電磁弁の制御機能を追加する必要がある。部品コストが上がり、構造の複雑化から製作工数も増え、費用対効果が見合わない実情もある。
【0008】
本発明の目的は、簡素な構成で、輸送時等にはアタッチメントシリンダの自由な伸縮を許容する一方でアタッチメントを用いた作業時等にはエクステンションアームを自然と展開させることができる作業機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、車体と、前記車体に連結されたブームと、前記ブームの先端に連結されたアームと、前記アームの先端に連結されたエクステンションアームと、油圧アクチュエータ及び前記油圧アクチュエータのコントロールバルブを含んで構成され、前記エクステンションアームの先端に吊り下げられた吊り下げ式の油圧駆動アタッチメントと、前記アーム及び前記エクステンションアームに両端が連結されたアタッチメントシリンダと、圧油を吐出する油圧ポンプと、前記油圧駆動アタッチメント及び前記アタッチメントシリンダへの前記油圧ポンプからの圧油の供給を制御する車載制御弁ユニットとを備えた作業機械において、前記アタッチメントシリンダのロッドポート及びボトムポートのうち前記エクステンションアームのダンプ動作時に前記アタッチメントシリンダに圧油が供給されるポートと前記車載制御弁ユニットとを接続する第1配管と、前記車載制御弁ユニットと前記油圧アクチュエータとを接続する第2配管と、前記第1配管及び前記第2配管を連絡する連絡配管と、前記連絡配管に設けられ、前記第2配管から前記第1配管への圧油の流れを許容する一方で前記第1配管から前記第2配管への圧油の流れを禁止するチェック弁とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、簡素な構成で、輸送時等にはアタッチメントシリンダの自由な伸縮を許容する一方でアタッチメントを用いた作業時等にはエクステンションアームを自然と展開させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1実施形態に係る作業機械の作業姿勢を表す側面図
図2】本発明の第1実施形態に係る作業機械の輸送姿勢を表す側面図
図3】本発明の第1実施形態に係る作業機械に備わった油圧システムの要部の回路図
図4】本発明の第2実施形態に係る作業機械に備わった油圧システムの要部の回路図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
【0013】
(第1実施形態)
-作業機械-
図1は本発明の第1実施形態に係る作業機械の作業姿勢を表す側面図、図2は同作業機械の輸送姿勢を表す側面図である。以降、運転席に座った操作者が正対する方向(図1中の左方向)を旋回体12の前方とする。図1に示した作業機械は油圧ショベルをベースマシンとしており、車体10及び車体10に取り付けたフロント作業機20を備えている。車体10は、走行体11及び旋回体12を備えているが、走行体11と旋回体12とに分けない構成とする場合もある。
【0014】
走行体11は作業機械の基部構造体をなすものであり、左右の履帯13を備えたクローラ式の走行体である。左右の履帯13はそれぞれ左右の走行駆動装置14により駆動される。走行駆動装置14は油圧モータと減速機からなる。走行体11の上部には、旋回輪15を介して旋回体12が設けられており、旋回輪15を旋回モータ(不図示)で駆動することによって鉛直に延びる軸を中心にして走行体11に対して旋回体12が旋回する。旋回モータは油圧モータであるが、電動モータが用いられる場合の他、油圧モータと電動モータが併用される場合もある。なお、本実施形態ではクローラ式の走行体11を備えた作業機械を例示したが、走行体11をホイール式とすることもできる。
【0015】
旋回体12は、旋回フレーム16、運転室17、機械室18、及びカウンタウェイト19等を備えている。旋回フレーム16は旋回体12のベースフレームであり、旋回体12に搭載される各機器を支持している。運転室17は旋回フレーム16の前部における左右方向の一方側(本実施形態では左側)の上部に搭載されている。運転室17の内部には、操作者が座る運転席(不図示)、操作者が操作する操作装置等が配置されている。機械室18は旋回フレーム16における運転室17の後側に配置されている。図1及び図2では図示していないが、機械室18には、エンジン(内燃機関)である原動機、原動機により駆動される油圧ポンプ31(図3)、各油圧アクチュエータを駆動する作動油を制御する車載制御弁ユニット33(図3)、熱交換器類等が収容されている。原動機として電動モータが用いられる場合もある。また、旋回フレーム16の前部におけるフロント作業機20を挟んで運転室17と反対側にはタンク類が配置されている。タンク類には、燃料タンク、作動油タンク等が含まれる。カウンタウェイト19はフロント作業機20とのバランスをとる錘であり、旋回フレーム16の後端に支持されている。
【0016】
-フロント作業機-
フロント作業機20は多関節型の作業装置であり、作業腕21と油圧駆動アタッチメント22とを含んで構成されている。作業腕21は、ブーム23、アーム24、ブームシリンダ25、アームシリンダ26及びアタッチメントシリンダ27を含んで構成されている。ブームシリンダ25、アームシリンダ26及びアタッチメントシリンダ27は、いずれも複動式油圧シリンダである。ブームシリンダ25はブーム23の腹側に、アームシリンダ26はブーム23の背側に、アタッチメントシリンダ27はアーム24の背側に配置されている。腹側とは、アーム24の先端を前方に向けた姿勢の作業腕21の下側であり、背側とは、同姿勢の作業腕21の上側である。
【0017】
ブーム23は、車体10(具体的には旋回体12のベースフレーム(旋回フレーム16)の前部)に、左右に延びるフートピン(不図示)を介して上下に回動可能に連結されている。本実施形態のブーム23は側面視でL字型をしており、基部側に対して先端側が前傾している。アーム24はこのブーム23の先端に左右に延びるピンP2を介して回動可能に連結されている。アーム24の先端には左右に延びるピンP3を介してエクステンションアーム28が連結されている。エクステンションアーム28はL字型に折れ曲がったアームであり、ピンP3から先端側の部分に対し、ピンP3から基部側の部分はアーム24の背側に屈曲して延びている。
【0018】
ブームシリンダ25は、左右に延びるピン(不図示)を介して車体10(旋回体12の旋回フレーム16)に対して基端が連結されており、左右に延びるピンP5を介してブーム23の腹側面に対して先端が連結されている。アームシリンダ26は、左右に延びるピンP6を介してブーム23の背側面に対して基端が連結されており、左右に延びるピンP7を介してアーム24の基端部に対して先端が連結されている。アタッチメントシリンダ27は、左右に延びるピンP8を介してアーム24の背側面に基端が連結されており、左右に延びるピンP9を介してエクステンションアーム28の基端部に先端が連結されている。このアタッチメントシリンダ27は、ベースマシンである油圧ショベルにおいて一般にバケットシリンダと称されるものである。
【0019】
-油圧駆動アタッチメント-
油圧駆動アタッチメント22は本例ではプロセッサであり、エクステンションアーム28の先端にピンP10を介して揺動自在に吊り下げられている。プロセッサは林業で木を切って運ぶ作業に用いられる。木を切って運ぶ作業には、立木の伐倒、伐倒した木材の枝払、木材の測尺、玉切、玉切した木材の運搬機への積込等の工程が含まれるが、プロセッサはこれらのうち伐倒以外の工程に使用される。プロセッサである油圧駆動アタッチメント22は、木材を把持するグラップル(把持機構)、グラップルで把持した木材を送る送り機構、及び把持した木材を切断するチェーンソーを含んで構成される。プロセッサの構成については、例えば特開2012-19702号公報に記載されている。
【0020】
図3は本発明の第1実施形態に係る作業機械に備わった油圧システムの要部を抜き出した回路図である。同図に示した油圧システムは、油圧駆動アタッチメント22とアタッチメントシリンダ27の回路を抜き出して表したものである。
【0021】
油圧駆動アタッチメント22には、グラップルを開閉するグラップル開閉シリンダA1を含む複数の油圧アクチュエータが備わっている。グラップル開閉シリンダA1以外に油圧駆動アタッチメント22に搭載された油圧アクチュエータとしては、例えば送り機構を駆動する送りモータA2、チェーンソーを駆動するソーモータA3がある。グラップル開閉シリンダA1は本実施形態では複動式シリンダ、送りモータA2は2方向回転型モータ、ソーモータA3は1方向回転型モータである。
【0022】
油圧駆動アタッチメント22にはまた、アタッチメント制御弁ユニットVU、入口ポートIP及び出口ポートOPが備わっている。アタッチメント制御弁ユニットVUは、油圧駆動アタッチメント22に搭載された複数の油圧アクチュエータにそれぞれ対応する複数のコントロールバルブで構成されている。このアタッチメント制御弁ユニットVUは、油圧駆動アタッチメント22に搭載された複数の油圧アクチュエータへの油圧ポンプ31からの圧油の供給を制御する。油圧駆動アタッチメント22はグラップル開閉シリンダA1を含む複数の油圧アクチュエータを駆動する油圧回路を内蔵しており、入口ポートIP及び出口ポートOPがその油圧回路に対する圧油の入口及び出口となる。入口ポートIPには配管L3を介して車載制御弁ユニット33(後述)が接続しており、配管L3及び入口ポートIPを介して供給された圧油(元圧)が分流され、アタッチメント制御弁ユニットVUを構成する各コントロールバルブに供給される。出口ポートOPには、配管L10を介してオイルタンク32が接続している。
【0023】
グラップル開閉シリンダA1に対応するコントロールバルブは、配管L4を介してグラップル開閉シリンダA1のロッドポートRPに接続し、配管L5を介してグラップル開閉シリンダA1のボトムポートBPに接続している。このコントロールバルブは例えば3位置切換弁であり、オペレータの操作に応じて入口ポートIPを配管L4に接続するとグラップル開閉シリンダA1が収縮し、入口ポートIPを配管L5に接続するとグラップル開閉シリンダA1が伸長する。操作を停止するとコントロールバルブが中立位置に切り換わり、例えば入口ポートIPが出口ポートOPに接続してグラップル開閉シリンダA1は保持される。
【0024】
送りモータA2に対応するコントロールバルブは、配管L6を介して送りモータA2の第1ポートに接続し、配管L7を介して送りモータA2の第2ポートに接続している。このコントロールバルブも同じく例えば3位置切換弁であり、オペレータの操作に応じて入口ポートIPを配管L6に接続すると送りモータA2が正転し、入口ポートIPを配管L7に接続すると送りモータA2が逆転する。操作を停止するとコントロールバルブが中立位置に切り換わり、例えば入口ポートIPが出口ポートOPに接続して送りモータA2は保持される。
【0025】
ソーモータA3に対応するコントロールバルブは、配管L8を介してソーモータA3の第1ポートに接続し、配管L9を介してソーモータA3の第2ポートに接続している。このコントロールバルブにより入口ポートIPが配管L8に接続されるとソーモータA3が回転する。操作を停止するとコントロールバルブが中立位置に切り換わり、例えば入口ポートIPが出口ポートOPに接続してソーモータA3は停止する。
【0026】
各油圧アクチュエータに供給される圧油が対応するコントロールバルブにより制御されることで油圧駆動アタッチメント22が動作する。油圧アクチュエータに供給されなかった圧油又は油圧アクチュエータを駆動した後の圧油は、出口ポートOPを介して油圧駆動アクチュエータから排出されてオイルタンク32に戻る。
【0027】
-油圧システム-
図3に示した油圧システムは、油圧ポンプ31、オイルタンク32、車載制御弁ユニット33、連絡配管34、チェック弁35を含んで構成されている。
【0028】
油圧ポンプ31は、オイルタンク32から作動油を吸い込んで、油圧駆動アタッチメント22やアタッチメントシリンダ27等を駆動する圧油を吐出する。油圧駆動アタッチメント22とアタッチメントシリンダ27とで異なる油圧ポンプを備えた構成とすることもできるが、本実施形態では油圧ポンプ31を共用のポンプとしている。
【0029】
車載制御弁ユニット33は、油圧駆動アタッチメント22やアタッチメントシリンダ27等にそれぞれ対応する複数のコントロールバルブで構成されている。この車載制御弁ユニット33は、油圧駆動アタッチメント22やアタッチメントシリンダ27への油圧ポンプ31からの圧油の供給を制御する。
【0030】
アタッチメントシリンダ27に対応するコントロールバルブは、配管L1を介してアタッチメントシリンダ27のロッドポート27aに接続し、配管L2を介してアタッチメントシリンダ27のボトムポート27bに接続している。このコントロールバルブは例えば3位置切換弁であり、オペレータの操作に応じて駆動される。コントロールバルブにより油圧ポンプ31の吐出管31aが配管L1に接続されると、アタッチメントシリンダ27が収縮してエクステンションアーム28がダンプ方向に回動し展開する(図1)。コントロールバルブにより吐出管31aが配管L2に接続されると、アタッチメントシリンダ27が伸長してエクステンションアーム28がクラウド方向に回動し抱え込まれる(図2)。操作を停止するとコントロールバルブが中立位置に切り換わり、例えば吐出管31aがオイルタンク32に接続し、アタッチメントシリンダ27は保持される。
【0031】
車載制御弁ユニット33のうち油圧駆動アタッチメント22に対応するコントロールバルブは、配管L3を介して油圧駆動アタッチメント22の入口ポートIPに接続している。油圧駆動アタッチメント22の操作があれば油圧ポンプ31の吐出管31aが配管L3に接続されて油圧駆動アタッチメント22に圧油が供給され、操作がなければ吐出管31aがオイルタンク32に接続される。オペレータが油圧駆動アタッチメント22の操作をすると車載制御弁ユニット33を介して油圧ポンプ31の吐出油が供給され、同時に油圧駆動アタッチメント22内の油圧回路が上記の通り作動して対応する油圧アクチュエータが作動するようになっている。
【0032】
連絡配管34は、アタッチメントシリンダ27と車載制御弁ユニット33とを接続する第1配管と、車載制御弁ユニット33と油圧駆動アタッチメント22の油圧アクチュエータとを接続する第2配管とを連絡する。
【0033】
第1配管とは、アタッチメントシリンダ27のロッドポート27a及びボトムポート27bのうちエクステンションアーム28のダンプ動作時にアタッチメントシリンダ27に圧油が供給されるポートと車載制御弁ユニット33とを接続する配管である。本実施形態では、配管L1が第1配管に該当する。仮にアタッチメントシリンダ27がアーム24の腹側に配置されていれば、第1配管には配管L2が該当する。
【0034】
第2配管とは、油圧駆動アタッチメント22の油圧アクチュエータと車載制御弁ユニット33とを接続する配管であり配管L3~L9が該当し得るが、本実施形態では配管L3のみが第2配管に該当する。配管L3は車載制御弁ユニット33と油圧駆動アタッチメント22の入口ポートIPとを接続する1本の配管であり、本実施形態では1本の連絡配管34を介して配管L1,L3が連絡している。1本とは一経路の意味であり、真に1本の配管のみならず、複数の配管を直列に接ぎ合わせた見かけ上1本の配管を観点的に含む。
【0035】
なお、配管L4~L9はいずれも配管L1に連絡されていない。配管L2,L10と配管L1との間にも連絡関係は勿論ない。
【0036】
チェック弁35は、連絡配管34に1つのみ設けられている。このチェック弁35により、第2配管(配管L3)から第1配管(配管L1)への圧油の流れが許容される一方で、第1配管(配管L1)から第2配管(配管L3)への圧油の流れが禁止される。
【0037】
-動作-
本実施形態において、油圧駆動アタッチメント22を操作すると、車載制御弁ユニット33及び連絡配管34を介して油圧ポンプ31とアタッチメントシリンダ27のロッドポート27aとが接続される。つまり、油圧駆動アタッチメント22が何らかの動作をしている間、油圧駆動アタッチメント22に供給される圧油によってロッドポート27aが常に加圧されてアタッチメントシリンダ27が収縮する。従って、油圧駆動アタッチメント22を用いた作業中は、油圧駆動アタッチメント22の動作に連動して自動的に図1のようにエクステンションアーム28がダンプ方向に展開した状態となる。
【0038】
他方、油圧駆動アタッチメント22が停止した状態であれば配管L3に圧油が流れないので、アタッチメントシリンダ27は対応する操作装置により自由に操作できる。ボトムポート27bに圧油を供給することによりアタッチメントシリンダ27を伸ばすことができる。従って、例えば作業機械をトレーラで輸送する際には、図2のようにエクステンションアーム28をクラウド方向に抱え込んだ状態とすることができる。
【0039】
-効果-
(1)本実施形態によれば、上記の通り油圧駆動アタッチメント22を使用しない輸送時等にはアタッチメントシリンダ27の自由な伸縮を許容することができ、図2のような輸送姿勢に問題なく移行することができる。その一方で、油圧駆動アタッチメント22を用いた作業時等にはアタッチメントシリンダ27を自動的に収縮させることできる。これにより自然とエクステンションアーム28が展開した状態で油圧駆動アタッチメント22を使用することができ、作業中にブーム23等に油圧駆動アタッチメント22が干渉することを抑制できる。仮にアタッチメントシリンダ27を収縮させ忘れても、油圧駆動アタッチメント22の動作に連動してエクステンションアーム28が自然と展開する。しかも、チェック弁35付きの連絡配管34で配管L1,L3を連絡するだけの簡素な構成であり、既存の作業機械にも容易に適用できる。
【0040】
(2)油圧駆動アタッチメント22はプロセッサである。そのため、アタッチメントシリンダ27の動作を場面に応じて自由に許容したり制限したりする必要はあるものの、その切り換えの頻度は作業の特性上低い。アタッチメントシリンダ27の自由な動作を許容しつつ、作業時にはアタッチメントシリンダ27の動作を制限できるようにするのにコストがかかるようでは、費用対効果の観点で機能の搭載が困難である。それに対し、本実施形態は上記の通り非常に構成が簡素であるため、無理なく実機に搭載することができる。
【0041】
(3)車載制御弁ユニット33及び油圧駆動アタッチメント22の入口ポートIPを接続する配管L3を配管L1と連絡することで、連絡配管34とチェック弁35が1組で済む。配管L3には、車載制御弁ユニット33により油圧駆動アタッチメント22の操作時にのみ圧油が流れる。従って、油圧駆動アタッチメント22の何らかの操作がされれば、油圧駆動アタッチメント22に供給される元圧がアタッチメントシリンダ27のロッドポート27aに作用する。この機構をチェック弁付きの1本の連絡配管34で配管L1,L3を連絡するだけの極めて簡素な構成で実現できる。
【0042】
(第2実施形態)
図4は本発明の第2実施形態に係る作業機械に備わった油圧システムの要部を抜き出した回路図であり、第1実施形態の図3に対応している。本実施形態が第1実施形態と相違する点は、グラップル開閉シリンダA1の動作にアタッチメントシリンダ27の動作が連動しないようにした点である。
【0043】
本実施形態においては、油圧駆動アタッチメント22の複数の油圧アクチュエータのうちグラップル開閉シリンダA1を除くアクチュエータと、アタッチメント制御弁ユニットVUとを接続する配管が、前述した第2配管に該当する。具体的には、2方向回転型の送りモータA2に対して対応するコントロールバルブから圧油を供給する配管L6,L7と、1方向回転型のソーモータA3に対して対応するコントロールバルブから圧油を供給する配管L8が、第2配管を構成する。配管L3~L5,L9はいずれも配管L1に連絡されていない。配管L2,L10と配管L1との間にも連絡関係は勿論ない。
【0044】
第2配管を構成する配管L6~L8は、連絡配管34a~34dを介して配管L1に連絡している。配管L6~L8にはそれぞれ連絡配管34a~34cの一端が接続しており、配管L1には連絡配管34dの一端が接続している。そして連絡配管34a~34cの他端は連絡配管34dに接続して合流しており、これにより配管L6~L8が配管L1に連絡している。
【0045】
連絡配管34a~34dにはそれぞれチェック弁35a~35dが設けられている。チェック弁35a~35dはいずれも、第2配管(配管L6~L8)から第1配管(配管L1)への圧油の流れを許容する一方で、第1配管(配管L1)から第2配管(配管L6~L8)への圧油の流れを禁止する向きに取り付けられている。
【0046】
その他の構成は第1実施形態と同様である。なお、チェック弁35dは省略可能である。また、図4では連絡配管34dを介して連絡配管34a~34cを配管L1に接続した構成を例示したが、連絡配管34a~34cを配管L1に直接接続する構成とすることもできる。
【0047】
本実施形態においても、油圧駆動アタッチメント22の送りモータA2やソーモータA3を駆動した際には自動的にアタッチメントシリンダ27が収縮し、自然とエクステンションアーム28が展開した状態で作業をすることができる。油圧駆動アタッチメント22を使用していない状態ではアタッチメントシリンダ27は制約なく操作可能である。但し、本実施形態においては、グラップル開閉シリンダA1を駆動してもアタッチメントシリンダ27が連動することはない。
【0048】
林間の狭隘地においては、例えば玉切した木材をグラップルで拾い集めて運搬機に積み込む際、エクステンションアーム28をクラウド方向に抱え込んだ姿勢を採りたい場面もある。その点、第1実施形態では、グラップル開閉シリンダA1を駆動すると自動的にエクステンションアーム28が展開してしまう。それに対し、本実施形態においては、油圧駆動アタッチメント22のグラップル機能のみを用いた作業ではアタッチメントシリンダ27が連動しないので、エクステンションアーム28を抱え込んだ姿勢のままグラップル開閉シリンダA1を駆動できる。
【0049】
(変形例)
以上においては油圧駆動アタッチメント22の一例としてプロセッサを説明したが、油圧駆動アタッチメント22は吊り下げ式であれば良く、ハーベスタを油圧駆動アタッチメント22として用いることもできる。ハーベスタもプロセッサと同じく林業で用いられるアタッチメントであるが、プロセッサが備えた機能に加え、立木の伐倒の工程にもハーベスタは使用できる。また、吊り下げ式の油圧駆動アタッチメントであれば、プロセッサやハーベスタ以外のアタッチメント(例えば特開2019-120020号公報に開示されたフック装置)にも本発明は適用できる。プロセッサやハーベスタのように油圧アクチュエータ及びそのコントロールバルブを複数組備えたものにも限られず、油圧アクチュエータ及びそのコントロールバルブを少なくとも1組備えた吊り下げ式の油圧駆動アタッチメントに本発明は適用できる。
【符号の説明】
【0050】
10…車体、22…油圧駆動アタッチメント、23…ブーム、24…アーム、27…アタッチメントシリンダ、28…エクステンションアーム、31…油圧ポンプ、33…車載制御弁ユニット、34,34a~34d…連絡配管、35,35a~35d…チェック弁、A1…グラップル開閉シリンダ(油圧アクチュエータ)、A2…送りモータ(油圧アクチュエータ)、A3…ソーモータ(油圧アクチュエータ)、IP…入口ポート、L1…第1配管、L3…第2配管、L6~L8…第2配管、VU…アタッチメント制御弁ユニット
図1
図2
図3
図4