(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-25
(45)【発行日】2022-11-02
(54)【発明の名称】部位特異的コンジュゲーションのための操作された抗体定常領域、ならびにそのための方法および使用
(51)【国際特許分類】
C12N 15/13 20060101AFI20221026BHJP
C07K 16/00 20060101ALI20221026BHJP
C12P 21/08 20060101ALI20221026BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20221026BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20221026BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20221026BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20221026BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20221026BHJP
C07K 16/46 20060101ALI20221026BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20221026BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20221026BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20221026BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20221026BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20221026BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20221026BHJP
A61K 51/10 20060101ALI20221026BHJP
A61K 31/711 20060101ALI20221026BHJP
A61K 31/7105 20060101ALI20221026BHJP
A61K 31/713 20060101ALI20221026BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20221026BHJP
A61K 49/00 20060101ALI20221026BHJP
A61K 38/43 20060101ALI20221026BHJP
A61K 38/00 20060101ALI20221026BHJP
A61K 38/05 20060101ALI20221026BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20221026BHJP
【FI】
C12N15/13
C07K16/00 ZNA
C12P21/08
C12N15/62 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C07K16/46
A61P35/00
A61P37/06
A61P31/00
A61P29/00
A61K39/395 L
A61K39/395 M
A61K45/00
A61K51/10 100
A61K31/711
A61K31/7105
A61K31/713
A61K48/00
A61K49/00
A61K51/10 200
A61K38/43
A61K38/00
A61K38/05
A61K47/68
(21)【出願番号】P 2020181624
(22)【出願日】2020-10-29
(62)【分割の表示】P 2018174655の分割
【原出願日】2012-12-19
【審査請求日】2020-10-30
(32)【優先日】2011-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】593141953
【氏名又は名称】ファイザー・インク
(74)【代理人】
【識別番号】100133927
【氏名又は名称】四本 能尚
(74)【代理人】
【識別番号】100137040
【氏名又は名称】宮澤 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100147186
【氏名又は名称】佐藤 眞紀
(74)【代理人】
【識別番号】100174447
【氏名又は名称】龍田 美幸
(74)【代理人】
【識別番号】100185960
【氏名又は名称】池田 理愛
(72)【発明者】
【氏名】キンバリー マーケット
(72)【発明者】
【氏名】エリック ベネット
(72)【発明者】
【氏名】リオウドミラ チスティアコヴァ
(72)【発明者】
【氏名】ネイサン エル. トゥメイ
(72)【発明者】
【氏名】ジャック バイカー
(72)【発明者】
【氏名】ヴァレリー カラブロ
(72)【発明者】
【氏名】エドムンド グラツィアーニ
【審査官】坂崎 恵美子
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-524039(JP,A)
【文献】特表2008-537941(JP,A)
【文献】Nature Biotechnology,2008年,Vol.26, No.8,p.925-932
【文献】MEDCHEM NEWS,2012年,Vol.4,p.25-29
【文献】Science & Technology Trends,2009年,October,p.13-25
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/13
C07K 16/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作された抗体定常ドメインポリペプチド
を含む、抗体またはその抗原結合部分であって、
操作された抗体定常ドメインは、コンジュゲーションに有用なシステイン残基を導入するための少なくとも1つのアミノ酸置換を含み、操作された抗体定常ドメインポリペプチドは、
(a)操作されたヒトIgG重鎖定常ドメイン(Cγ)ポリペプチドまたは操作されたヒトIgG重鎖定常ドメイン(Cγ)ポリペプチドと少なくとも90%の相同性を有するポリペプチドであって、EUインデックスに従って、K334、Q347、E388、N421、およびL443におけるものからなる群から選択される位置における1つまたは2つのアミノ酸置換を含むポリペプチド、および、
(b)操作されたヒトカッパ軽鎖定常ドメイン(Cκ)ポリペプチドまたは操作されたヒトカッパ軽鎖定常ドメイン(Cκ)ポリペプチドと少なくとも90%の相同性を有するポリペプチドであって、EUインデックスに従って、K183の位置におけるアミノ酸置換を含むポリペプチド
からなる群から選択され、
操作されたヒトIgG重鎖定常ドメイン(Cγ)ポリペプチドまたは操作されたヒトカッパ軽鎖定常ドメイン(Cκ)ポリペプチドと少なくとも90%の相同性を有するポリペプチドを含む抗体が標的抗原への特異的結合能力を有する、
抗体またはその抗原結合部分。
【請求項2】
操作されたヒトIgG重鎖定常ドメイン(Cγ)ポリペプチドまたは操作されたヒトIgG重鎖定常ドメイン(Cγ)ポリペプチドと少なくとも90%の相同性を有するポリペプチドが、EUインデックスに従って、K334、Q347、およびE388におけるものからなる群から選択される位置における1つまたは2つのアミノ酸置換を含む、請求項1に記載の
抗体またはその抗原結合部分。
【請求項3】
操作された抗体定常ドメインポリペプチド
を含む、抗体またはその抗原結合部分であって、
操作された抗体定常ドメインは、コンジュゲーションに有用なシステイン残基を導入するための少なくとも1つのアミノ酸置換を含み、操作された抗体定常ドメインポリペプチドは、
(a)EUインデックスに従って、i)L398とL443およびii)K392とL443からなる群から選択される1つのアミノ酸置換の対を含む、操作されたヒトIgG重鎖定常ドメイン(Cγ)ポリペプチドまたは操作されたヒトIgG重鎖定常ドメイン(Cγ)ポリペプチドと少なくとも90%の相同性を有するポリペプチド、および、
(b)EUインデックスに従って、K183アミノ酸置換を含む、操作されたヒトカッパ軽鎖定常ドメイン(Cκ)ポリペプチドまたは操作されたヒトカッパ軽鎖定常ドメイン(Cκ)ポリペプチドと少なくとも90%の相同性を有するポリペプチド
からなり、
操作されたヒトIgG重鎖定常ドメイン(Cγ)ポリペプチドまたは操作されたヒトカッパ軽鎖定常ドメイン(Cκ)ポリペプチドと少なくとも90%の相同性を有するポリペプチドを含む抗体が標的抗原への特異的結合能力を有する、
抗体またはその抗原結合部分。
【請求項4】
操作されたヒトIgG重鎖定常ドメイン(Cγ)ポリペプチドまたは操作されたヒトIgG重鎖定常ドメイン(Cγ)ポリペプチドと少なくとも90%の相同性を有するポリペプチドが、EUインデックスに従って、L398とL443のアミノ酸置換の対を含む、請求項3に記載の
抗体またはその抗原結合部分。
【請求項5】
操作されたCκポリペプチドまたは操作されたCκポリペプチドと少なくとも90%の相同性を有するポリペプチドが、位置K183におけるアミノ酸置換を含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の
抗体またはその抗原結合部分。
【請求項6】
ポリペプチドが、(a)配列番号107のアミノ酸配列、(b)配列番号102のアミノ酸配列、(c)配列番号131のアミノ酸配列、(d)配列番号134のアミノ酸配列、(e)配列番号141のアミノ酸配列、(f)配列番号146のアミノ酸配列、および(g)配列番号166のアミノ酸配列からなる群から選択される少なくとも一つのアミノ酸配列を含む、請求項1から5のいずれか1項に記載の
抗体またはその抗原結合部分。
【請求項7】
Cγポリペプチドが、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4サブクラスから選択される、請求項1から6のいずれか1項に記載の
抗体またはその抗原結合部分。
【請求項8】
請求項
1に記載の抗体またはその抗原結合部分であって、
(a)操作されたヒトIgG重鎖定常ドメイン(Cγ)ポリペプチドまたは操作されたヒトIgG重鎖定常ドメイン(Cγ)ポリペプチドと少なくとも90%の相同性を有するポリペプチドであって、EUインデックスに従って、K334、Q347、E388、N421、およびL443からなる群から選択される位置における1つまたは2つのアミノ酸置換を含むポリペプチド、
(b)操作されたヒトカッパ軽鎖定常ドメイン(Cκ)ポリペプチドまたは操作されたヒトカッパ軽鎖定常ドメイン(Cκ)ポリペプチドと少なくとも90%の相同性を有するポリペプチドであって、EUインデックスに従って、K183の位置におけるアミノ酸置換を含むポリペプチド、および
(c)それらの組み合わせ
からなる群から選択される、少なくとも一つの操作された定常ドメインポリペプチドを含む、抗体またはその抗原結合部分。
【請求項9】
操作された抗体定常ドメインポリペプチドが、細胞傷害性剤、細胞増殖抑制剤、化学療法剤、毒素、放射性核種、DNA、RNA、siRNA、マイクロRNA、ペプチド核酸、非天然アミノ酸、ペプチド、酵素、蛍光タグ、およびビオチンのうちの1つまたは複数にコンジュゲートしており、コンジュゲーションが、置換システインにおけるものである
、請求項
1から
8のいずれか1項に記載の抗体もしくはその抗原結合部分。
【請求項10】
細胞傷害性剤、細胞増殖抑制剤、化学療法剤、毒素、放射性核種、DNA、RNA、siRNA、マイクロRNA、ペプチド核酸、非天然アミノ酸、ペプチド、酵素、蛍光タグ、およびビオチンのうちの1つまたは複数が、リンカーを介してポリペプチドにコンジュゲートしている、請求項
9に記載
の抗体もしくはその抗原結合部分。
【請求項11】
リンカーが、mc(マレイミドカプロイル)、val-cit(バリン-シトルリン)、mc-val-cit(マレイミドカプロイル-バリン-シトルリン)、mc-val-cit-PABC(マレイミドカプロイル-バリン-シトルリン-p-アミノベンジルカルバメート)、Mal-PEG2C2(マレイミド-[CH2CH2O]2CH2CH2C(=O))、Mal-PEG3C2(マレイミド-[CH2CH2O]3CH2CH2C(=O))、Mal-PEG6C2(マレイミド-[CH2CH2O]6CH2CH2C(=O))、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項
10に記載
の抗体もしくはその抗原結合部分。
【請求項12】
リンカーおよび細胞傷害性剤が、マレイミドカプロイル-モノメチルオーリスタチンD(mcMMAD)、マレイミドカプロイル-0101(mc0101)、マレイミドカプロイル-3377(mc3377)、マレイミドカプロイル-8261(mc8261)、バリン-シトルリン-モノメチルオーリスタチンD(vcMMAD)、バリン-シトルリン-0101(vc0101)、バリン-シトルリン-3377(vc3377)、バリン-シトルリン-8261(vc8261)、mcValCitPABCMMAD(マレイミドカプロイル-バリン-シトルリン-モノメチルオーリスタチンD)、mcValCit0101(マレイミドカプロイル-バリン-シトルリン-0101)、mcValCit3377(マレイミドカプロイル-バリン-シトルリン-3377)、mcValCit8261(マレイミドカプロイル-バリン-シトルリン-8261)、Mal-PEG2C2-MMAD、Mal-PEG3C2-MMAD、Mal-PEG6C2-MMAD、Mal-PEG2C2-0101、Mal-PEG3C2-0101、Mal-PEG6C2-0101、Mal-PEG2C2-3377、Mal-PEG3C2-3377、およびMal-PEG6C2-3377、Mal-PEG2C2-8261、Mal-PEG3C2-8261、およびMal-PEG6C2-8261からなる群から選択される、請求項
10または
11に記載
の抗体もしくはその抗原結合部分。
【請求項13】
請求項1から
5および8のいずれか1項に記載の操作されたCγポリペプチドまたは操作されたCκポリペプチドと少なくとも90%の相同性を有するポリペプチドを含む、Fc融合タンパク質。
【請求項14】
請求項
1から
8のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合部分、および薬学的に許容できる担体を含む、医薬組成物。
【請求項15】
請求項
14に記載の医薬組成物を含む、がん、自己免疫性、炎症性、または感染性の疾患または障害の治療剤。
【請求項16】
操作された抗体定常ドメインポリペプチドが、細胞傷害性剤、細胞増殖抑制剤、化学療法剤、毒素、放射性核種、DNA、RNA、siRNA、マイクロRNA、ペプチド核酸、非天然アミノ酸、ペプチド、酵素、蛍光タグ、およびビオチンのうちの1つまたは複数にコンジュゲートしており、コンジュゲーションが、置換アミノ酸におけるものである、請求項
15に記載の治療剤。
【請求項17】
請求項
1から
8のいずれか1項に記載の抗体もしくはその抗原結合部分をコードする核酸。
【請求項18】
請求項
13に記載の操作されたFcポリペプチドをコードする核酸。
【請求項19】
請求項
17または
18に記載の核酸を含む、宿主細胞。
【請求項20】
操作された抗体またはその抗原結合部分を生成する方法であって、請求項
19に記載の宿主細胞をインキュベートするステップを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配列表への参照
本願は、EFS-Webを介して電子的に出願されており、.txt形式で電子的に提出された配列表を含む。この.txtファイルは、2012年12月15日に作成され、303KBのサイズを有する、「PC071868A_Sequence_Listing.txt」という表題の配列表を含む。この.txtファイル中に含まれている配列表は、本明細書の一部であり、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本発明は、少なくとも1つの定常領域が、部位特異的コンジュゲーションのためのアミノ酸を導入するように操作されている、抗体およびこれらの断片に関する。本発明はさらに、とりわけ、抗体-薬物コンジュゲート治療剤を生成するための方法、ならびにそのための操作された抗体および断片の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
120万人超の米国人が毎年がんを発症する。がんは、米国における死亡の第2の主要原因であり、男性二人に一人および女性三人に一人が、彼らの寿命の間のある時期にがんと診断される。
【0004】
多くの化学療法剤が開発されているが、これらは、容認できない毒性、および/または非がん組織に対してがん細胞への特異性の欠如を示すことが多い。化学療法剤の非特異的細胞傷害効果を回避するために、標的抗体療法ががん治療を激変させており、いくつかのモノクローナル抗体(mAb)が臨床的可能性を実証している。腫瘍特異的抗原に対する抗体は、治療活性を欠くことが多いので、これらは、化学療法の有効性を抗体の標的化と組み合わせるために、細胞傷害性剤にコンジュゲートしている。原理上は、抗体結合によって特定の腫瘍組織に細胞傷害性剤を選択的に送達すると、伝統的な低分子化学療法剤の全身毒性が低減されるはずである。
【0005】
抗体は、DNAをアルキル化し(例えば、デュオカルマイシンおよびカリケアマイシン)、微小管を破壊し(例えば、マイタンシノイドおよびオーリスタチン)、またはDNAに結合する(例えば、アントラサイクリン)低分子を含めた、様々な細胞傷害性薬にコンジュゲートしている。カリケアマイシンにコンジュゲートしたヒト化抗CD33抗体を含む、1つのこのような抗体-薬物コンジュゲート(ADC)、すなわち、Mylotarg(商標)(ゲムツズマブオゾガマイシン、Wyeth)が、急性骨髄性白血病に関して2000年に認可された。より最近では、米国食品医薬品局は、ホジキンリンパ腫および未分化大細胞リンパ腫の治療用に、Adcetris(商標)(ブレンツキシマブベドチン;Seattle Genetics)、すなわち、モノメチルオーリスタチンE(MMAE;N-メチルバリン-バリン-ドライソロイイン-ドラプロイン-ノルエフェドリンとも呼ばれる)にコンジュゲートしたCD30に対するキメラ抗体を含むADCを認可した。
【0006】
ADCはがん療法に有望であるが、細胞傷害性薬は一般に、リシン側鎖を介して、または抗体中に存在する鎖間ジスルフィド結合を還元して活性化システインスルフヒドリル基をもたらすことによって抗体にコンジュゲートしている。しかし、この非特異的コンジュゲーション手法は、多数の欠点を有する。シスチン結合を破壊することによってタンパク質折り畳みに影響し得るだけでなく、非特異的なコンジュゲーションは、抗体対薬物比(ADR)の多様なミックスを有し、様々な位置でコンジュゲートした抗体の複雑な混合物も有する抗体の不均一な混合物を作り出す。したがって、所望の抗体:薬物比を有する十分な抗体を精製することが何とか可能であっても、画分は、様々な位置でコンジュゲートした抗体の複雑なミックスを依然として含むはずである。それぞれの種は、別個の治療特性を潜在的に有することができ、バッチ間の一貫性は、制御することが困難であり、これらの全ては、がん療法にADCを使用して成功することにかなりのハードルを提示する。
【0007】
非特異的コンジュゲーションの欠点を回避することを試みるために、抗体への薬物の部位特異的コンジュゲーションをもたらすのに、いくつかの手法が提案されている。しかし、抗体中に反応性コンジュゲーション部位をもたらすことを試みる以前の研究では、ヒトIgG1の他の位置で操作されたシステインにコンジュゲートしたビオチンまたは他の低無毒性分子は、ある特定の抗原への抗体結合に影響しないように思われることが示された。例えば、WO2011/005481(ビオチン-マレイミドコンジュゲーション)、WO2010/141902(システインバリアントをマレイミド色素とコンジュゲートすること)、ならびにWO2006/034488(ビオチン-マレイミドコンジュゲーションが実施され、モノメチルオーリスタチンE(MMAE;N-メチルバリン-バリン-ドライソロイイン-ドラプロイン-ノルエフェドリン)、およびモノメチルオーリスタチンF(MMAF;「N-メチルバリン-バリン-ドライソロイイン-ドラプロイン-フェニルアラニン」とも呼ばれる)へのコンジュゲーションを記述する全ての例は、予言的であるだけであった)を参照。しかし、こうした研究で典型的に使用されたビオチンなどの低無毒性分子のコンジュゲーションは、リンカーおよび細胞傷害性分子を含む抗体分子の生物学的特性に対するインパクトを模倣しにくい。成功するADCプラットフォーム抗体は、非標的細胞への著しい結合を伴うことなく標的細胞に毒性ペイロードを送達するために、標的抗原に順調に結合しなければならないので、本発明の操作された突然変異抗体は、毒性ペイロードにコンジュゲートしながら特異的結合能力を保持することが非常に重要である。ADCは、標的細胞に毒性ペイロードを送達することができ、それによって内在化され得、次いで細胞内の適切なコンパートメント内部に入った際にこのペイロードを放出することができることも非常に重要である。成功するADCに関するこれらの必要な特徴のそれぞれは、先行研究によって実証されていなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
現在利用可能な抗がん治療の成功にもかかわらず、これらの治療の完全奏功または生存時間の延長は、観察されることがほとんどなく、これらの治療に難治性の患者集団は依然として大きい。したがって、新しい治療モダリティー、特に、現在の化学療法剤の細胞傷害性副作用を低減しながら、抗新生物剤の抗腫瘍活性を増強または強化することができるものの開発に対する満たされていない要求があり、本発明は、この要求を満たす。
【課題を解決するための手段】
【0009】
新規の操作された抗体定常ドメイン、これらを組み込んでいる抗体、操作された抗体断片を含む新規抗体-薬物コンジュゲート、ならびにこれらに関する方法および使用を含めて、本発明の代替の実施形態を以下に記載する。
【0010】
本発明は、操作された抗体定常ドメインポリペプチドまたはその部分であって、操作された定常ドメインは、コンジュゲーションに有用なシステイン残基を導入するための少なくとも1つのアミノ酸置換を含み、定常ドメインポリペプチドは、
(a)KabatのEUインデックスに従って、K246、D249、D265、S267、D270、N276、Y278、E283、R292、E293、E294、Y300、V302、V303、L314、N315、E318、K320、I332、E333、K334、I336、E345、Q347、S354、R355、M358、K360、Q362、K370、Y373、D376、A378、E380、E382、Q386、E388、N390、K392、T393、D401、F404、T411、D413、K414、R416、Q418、Q419、N421、M428、A431、L432、T437、Q438、K439、L443、およびS444におけるものからなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含む操作されたヒトIgG重鎖定常ドメイン(Cγ)ポリペプチドまたはその部分、
(b)Kabatの番号付けに従って、K110、A111、L125、K149C、V155、G158、T161、Q185、S188、H189、S191、T197、V205、E206、K207、T208、およびA210からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含む操作されたヒトラムダ軽鎖定常ドメイン(Cλ)ポリペプチドまたはその部分、
(c)Kabatの番号付けに従って、A111、K183、およびN210からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含む操作されたヒトカッパ軽鎖定常ドメイン(Cκ)ポリペプチドまたはその部分、
(d)配列番号97~100、102、104、107~127、および129~163のアミノ酸配列からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含む操作されたCγポリペプチドまたはその部分、
(e)配列番号90、92、95、164、166、および169のアミノ酸配列からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含む操作されたCκポリペプチドまたはその部分、ならびに
(f)配列番号172~186のアミノ酸配列からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含む操作されたCλポリペプチドまたはその部分である、操作された抗体定常ドメインポリペプチドまたはその部分を含む。
【0011】
一態様では、操作されたCγポリペプチドは、KabatのEUインデックスに従って、アミノ酸位置284、287、A327、N384、L398、およびV422での突然変異からなる群から選択される少なくとも1つの突然変異をさらに含む。
【0012】
別の態様では、操作されたCγポリペプチドは、アミノ酸置換の以下の対:a)E380とL443、b)L398とL443、c)V422とL443、d)E380とL398、e)L398とV422、f)E380とV422、g)K392とL443、h)F404とL443、およびi)K392とF404のうちの1つまたは複数を含む。
【0013】
さらに別の態様では、操作されたCγポリペプチドは、(a)配列番号99のアミノ酸配列と配列番号107のアミノ酸配列、(b)配列番号103のアミノ酸配列と配列番号107のアミノ酸配列、(c)配列番号105のアミノ酸配列と配列番号107のアミノ酸配列、(d)配列番号99のアミノ酸配列と配列番号103のアミノ酸配列、(e)配列番号103のアミノ酸配列と配列番号105のアミノ酸配列、(f)配列番号99のアミノ酸配列と配列番号105のアミノ酸配列、(g)配列番号102のアミノ酸配列と配列番号107のアミノ酸配列、(h)配列番号104のアミノ酸配列と配列番号107のアミノ酸配列、および(i)配列番号102のアミノ酸配列と配列番号104のアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0014】
別の態様では、操作されたCγポリペプチドは、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4サブクラスから選択される。
【0015】
さらに別の態様では、操作された抗体定常ドメインポリペプチドまたはその部分は、細胞傷害性剤、細胞増殖抑制剤、化学療法剤、毒素、放射性核種、DNA、RNA、siRNA、マイクロRNA、ペプチド核酸、非天然アミノ酸、ペプチド、酵素、蛍光タグ、およびビオチンのうちの1つまたは複数にコンジュゲートしており、コンジュゲーションは、置換システインにおけるものである。
【0016】
さらなる態様では、細胞傷害性剤は、リンカーを介してポリペプチドにコンジュゲートしている。
【0017】
なおさらなる態様では、リンカーは、mc(マレイミドカプロイル)、val-cit(バリン-シトルリン)、mc-val-cit(マレイミドカプロイル-バリン-シトルリン)、mc-val-cit-PABC(マレイミドカプロイル-バリン-シトルリン-p-アミノベンジルカルバメート)、Mal-PEG2C2(マレイミド-[CH2CH2O]2CH2CH2C(=O))、Mal-PEG3C2(マレイミド-[CH2CH2O]3CH2CH2C(=O))、およびMal-PEG6C2(マレイミド-[CH2CH2O]6CH2CH2C(=O))からなる群から選択される。
【0018】
別の態様では、細胞傷害性剤は、オーリスタチン、マイタンシノイド、およびカリケアマイシンからなる群から選択される。
【0019】
一態様では、リンカーおよび細胞傷害性剤は、マレイミドカプロイル-モノメチルオーリスタチンD(mcMMAD)、マレイミドカプロイル-0101(mc0101)、マレイミドカプロイル-3377(mc3377)、マレイミドカプロイル-8261(mc8261)、バリン-シトルリン-モノメチルオーリスタチンD(vcMMAD)、バリン-シトルリン-0101(vc0101)、バリン-シトルリン-3377(vc3377)、バリン-シトルリン-8261(vc8261)、mcValCitPABCMMAD(マレイミドカプロイル-バリン-シトルリン-p-アミノベンジルカルバメート-モノメチルオーリスタチンD)、mcValCit0101(マレイミドカプロイル-バリン-シトルリン-0101)、mcValCit3377(マレイミドカプロイル-バリン-シトルリン-3377)、mcValCit8261(マレイミドカプロイル-バリン-シトルリン-8261)、Mal-PEG2C2-MMAD、Mal-PEG3C2-MMAD、Mal-PEG6C2-MMAD、Mal-PEG2C2-0101、Mal-PEG3C2-0101、Mal-PEG6C2-0101、Mal-PEG2C2-3377、Mal-PEG3C2-3377、およびMal-PEG6C2-3377、Mal-PEG2C2-8261、Mal-PEG3C2-8261、およびMal-PEG6C2-8261からなる群から選択される。
【0020】
別の態様では、本発明は、KabatのEUインデックスに従って、K246、D249、D265、S267、D270、N276、Y278、E283、R292、E293、E294、Y300、V302、V303、L314、N315、E318、K320、I332、E333、K334、I336、E345、Q347、S354、R355、M358、K360、Q362、K370、Y373、D376、A378、E380、E382、Q386、E388、N390、K392、T393、D401、F404、T411、D413、K414、R416、Q418、Q419、N421、M428、A431、L432、T437、Q438、K439、L443、およびS444におけるものからなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含む操作されたCγポリペプチドまたはその部分を含む、抗体またはその抗原結合部分を含む。
【0021】
別の態様では、抗体またはその抗原結合部分は、Kabatの番号付けに従って、K110、A111、L125、K149C、V155、G158、T161、Q185、S188、H189、S191、T197、V205、E206、K207、T208、およびA210からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含む操作されたヒトラムダ軽鎖定常ドメイン(Cλ)ポリペプチドまたはその部分をさらに含む。
【0022】
さらに別の態様では、抗体またはその抗原結合部分は、Kabatの番号付けに従って、A111、K183、およびN210からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含む操作されたヒトカッパ軽鎖定常ドメイン(Cκ)ポリペプチドまたはその部分をさらに含む。
【0023】
一態様では、抗体またはその抗原結合部分は、KabatのEUインデックスに従って、K246、D249、D265、S267、D270、N276、Y278、E283、R292、E293、E294、Y300、V302、V303、L314、N315、E318、K320、I332、E333、K334、I336、E345、Q347、S354、R355、M358、K360、Q362、K370、Y373、D376、A378、E380、E382、Q386、E388、N390、K392、T393、D401、F404、T411、D413、K414、R416、Q418、Q419、N421、M428、A431、L432、T437、Q438、K439、L443、およびS444におけるものからなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含む操作されたCγポリペプチドまたはその部分を含み、この抗体は、Kabatの番号付けに従って、K110、A111、L125、K149C、V155、G158、T161、Q185、S188、H189、S191、T197、V205、E206、K207、T208、およびA210からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含むCλポリペプチドまたはその部分をさらに含み、Kabatの番号付けに従って、A111、K183、およびN210からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含むCκポリペプチドまたはその部分をさらに含む。
【0024】
一態様では、本発明は、Kabatの番号付けに従って、K110、A111、L125、K149C、V155、G158、T161、Q185、S188、H189、S191、T197、V205、E206、K207、T208、およびA210からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含む操作されたCλポリペプチドまたはその部分を含む、抗体またはその抗原結合部分を含む。
【0025】
一態様では、本発明は、Kabatの番号付けに従って、A111、K183、およびN210からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含む操作されたCκポリペプチドまたはその部分を含む、抗体またはその抗原結合部分を含む。
【0026】
本発明は、操作された定常ドメインまたはその部分を含む抗体またはその抗原結合部分であって、操作された定常ドメインは、コンジュゲーションに有用なシステイン残基を導入するための少なくとも1つのアミノ酸置換を含み、定常ドメインポリペプチドは、
(a)KabatのEUインデックスに従って、K246、D249、D265、S267、D270、N276、Y278、E283、R292、E293、E294、Y300、V302、V303、L314、N315、E318、K320、I332、E333、K334、I336、E345、Q347、S354、R355、M358、K360、Q362、K370、Y373、D376、A378、E380、E382、Q386、E388、N390、K392、T393、D401、F404、T411、D413、K414、R416、Q418、Q419、N421、M428、A431、L432、T437、Q438、K439、L443、およびS444におけるものからなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含む操作されたヒトIgG重鎖定常ドメイン(Cγ)ポリペプチドまたはその部分、
(b)Kabatの番号付けに従って、K110、A111、L125、K149C、V155、G158、T161、Q185、S188、H189、S191、T197、V205、E206、K207、T208、およびA210からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含む操作されたヒトラムダ軽鎖定常ドメイン(Cλ)ポリペプチドまたはその部分、
(c)Kabatの番号付けに従って、A111、K183、およびN210からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含む操作されたヒトカッパ軽鎖定常ドメイン(Cκ)ポリペプチドまたはその部分、
(d)配列番号97~100、102、104、107~127、および129~163のアミノ酸配列からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含む操作されたCγポリペプチドまたはその部分、
(e)配列番号90、92、95、164、166、および169のアミノ酸配列からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含む操作されたCκポリペプチドまたはその部分、ならびに
(f)配列番号172~186のアミノ酸配列からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含む操作されたCλポリペプチドまたはその部分のうちの少なくとも1つである、抗体またはその抗原結合部分を含む。
【0027】
一態様では、抗体またはその抗原結合部分は、KabatのEUインデックスに従って、K246、D249、D265、S267、D270、N276、Y278、E283、R292、E293、E294、Y300、V302、V303、L314、N315、E318、K320、I332、E333、K334、I336、E345、Q347、S354、R355、M358、K360、Q362、K370、Y373、D376、A378、E380、E382、Q386、E388、N390、K392、T393、D401、F404、T411、D413、K414、R416、Q418、Q419、N421、M428、A431、L432、T437、Q438、K439、L443、およびS444におけるものからなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含む操作された重鎖定常ドメイン(Cγ)ポリペプチドまたはその部分を含み、
(a)Kabatの番号付けに従って、K110、A111、L125、K149C、V155、G158、T161、Q185、S188、H189、S191、T197、V205、E206、K207、T208、およびA210からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含む操作されたヒトラムダ軽鎖定常ドメイン(Cλ)ポリペプチドまたはその部分、ならびに
(b)Kabatの番号付けに従って、A111、K183、およびN210からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含む操作されたヒトカッパ軽鎖定常ドメイン(Cκ)ポリペプチドまたはその部分
からなる群から選択される操作された定常ドメインを含む軽鎖をさらに含む。
【0028】
別の態様では、抗体またはその抗原結合部分は、
(a)Kabatの番号付けに従ってA111Cでアミノ酸置換を含む操作されたCκポリペプチドもしくはその部分、およびKabatのEu番号付けに従ってQ347Cでアミノ酸置換を含む操作されたCγポリペプチドもしくはその部分、
(b)Kabatの番号付けに従ってA111Cでアミノ酸置換を含む操作されたCκポリペプチドもしくはその部分、およびKabatのEu番号付けに従ってE388Cでアミノ酸置換を含む操作されたCγポリペプチドもしくはその部分、
(c)Kabatの番号付けに従ってA111Cでアミノ酸置換を含む操作されたCκポリペプチドもしくはその部分、およびKabatのEu番号付けに従ってK392Cでアミノ酸置換を含む操作されたCγポリペプチドもしくはその部分、
(d)Kabatの番号付けに従ってA111Cでアミノ酸置換を含む操作されたCκポリペプチドもしくはその部分、およびKabatのEu番号付けに従ってL443Cでアミノ酸置換を含む操作されたCγポリペプチドもしくはその部分、
(e)Kabatの番号付けに従ってK183Cでアミノ酸置換を含む操作されたCκポリペプチドもしくはその部分、およびKabatのEu番号付けに従ってL443Cでアミノ酸置換を含む操作されたCγポリペプチドもしくはその部分、または
(f)Kabatの番号付けに従ってK207Cでアミノ酸置換を含む操作されたCκポリペプチドもしくはその部分、およびKabatのEu番号付けに従ってL443Cでアミノ酸置換を含む操作されたCγポリペプチドもしくはその部分のうちの少なくとも1つをさらに含む。
【0029】
一態様では、本発明は、KabatのEUインデックスに従って、K246、D249、D265、S267、D270、N276、Y278、E283、R292、E293、E294、Y300、V302、V303、L314、N315、E318、K320、I332、E333、K334、I336、E345、Q347、S354、R355、M358、K360、Q362、K370、Y373、D376、A378、E380、E382、Q386、E388、N390、K392、T393、D401、F404、T411、D413、K414、R416、Q418、Q419、N421、M428、A431、L432、T437、Q438、K439、L443、およびS444におけるものからなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含む操作されたCγポリペプチドまたはその部分を含む、Fc融合タンパク質を含む。
【0030】
一態様では、本発明は、抗体またはその抗原結合部分、および薬学的に許容できる担体を含む医薬組成物であって、抗体またはその抗原結合部分は、コンジュゲーションに有用なシステイン残基を導入するための少なくとも1つのアミノ酸置換を含む操作された定常ドメインを含み、定常ドメインポリペプチドは、
(a)KabatのEUインデックスに従って、K246、D249、D265、S267、D270、N276、Y278、E283、R292、E293、E294、Y300、V302、V303、L314、N315、E318、K320、I332、E333、K334、I336、E345、Q347、S354、R355、M358、K360、Q362、K370、Y373、D376、A378、E380、E382、Q386、E388、N390、K392、T393、D401、F404、T411、D413、K414、R416、Q418、Q419、N421、M428、A431、L432、T437、Q438、K439、L443、およびS444におけるものからなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含む操作されたヒトIgG重鎖定常ドメイン(Cγ)ポリペプチドまたはその部分、
(b)Kabatの番号付けに従って、K110、A111、L125、K149C、V155、G158、T161、Q185、S188、H189、S191、T197、V205、E206、K207、T208、およびA210からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含む操作されたヒトラムダ軽鎖定常ドメイン(Cλ)ポリペプチドまたはその部分、
(c)Kabatの番号付けに従って、A111、K183、およびN210からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含む操作されたヒトカッパ軽鎖定常ドメイン(Cκ)ポリペプチドまたはその部分、
(d)配列番号97~100、102、104、107~127、および129~163のアミノ酸配列からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含む操作されたCγポリペプチドまたはその部分、
(e)配列番号90、92、95、164、166、および169のアミノ酸配列からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含む操作されたCκポリペプチドまたはその部分、ならびに
(f)配列番号172~186のアミノ酸配列からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含む操作されたCλポリペプチドまたはその部分である、医薬組成物を含む。
【0031】
一態様では、本発明は、抗体またはその抗原結合部分、および薬学的に許容できる担体を含む医薬組成物であって、抗体またはその抗原結合部分は、KabatのEUインデックスに従って、K246、D249、D265、S267、D270、N276、Y278、E283、R292、E293、E294、Y300、V302、V303、L314、N315、E318、K320、I332、E333、K334、I336、E345、Q347、S354、R355、M358、K360、Q362、K370、Y373、D376、A378、E380、E382、Q386、E388、N390、K392、T393、D401、F404、T411、D413、K414、R416、Q418、Q419、N421、M428、A431、L432、T437、Q438、K439、L443、およびS444におけるものからなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含む操作された重鎖定常ドメイン(Cγ)ポリペプチドまたはその部分を含み、
(a)Kabatの番号付けに従って、K110、A111、L125、K149C、V155、G158、T161、Q185、S188、H189、S191、T197、V205、E206、K207、T208、およびA210からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含む操作されたヒトラムダ軽鎖定常ドメイン(Cλ)ポリペプチドまたはその部分、ならびに
(b)Kabatの番号付けに従って、A111、K183、およびN210からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含む操作されたヒトカッパ軽鎖定常ドメイン(Cκ)ポリペプチドまたはその部分からなる群から選択される操作された定常ドメインを含む軽鎖をさらに含む、医薬組成物を含む。
【0032】
本発明は、がん、自己免疫性、炎症性、または感染性の疾患または障害の治療を必要とする対象においてこれらを治療する方法を含む。本方法は、対象に治療有効量の抗体もしくはその抗原結合部分、またはFc融合タンパク質を投与するステップを含み、抗体もしくはその抗原結合部分、またはFc融合タンパク質は、コンジュゲーションに有用なシステイン残基を導入するための少なくとも1つのアミノ酸置換を含む操作された定常ドメインポリペプチドまたはその部分を含み、操作された定常ドメインポリペプチドは、
(a)KabatのEUインデックスに従って、K246、D249、D265、S267、D270、N276、Y278、E283、R292、E293、E294、Y300、V302、V303、L314、N315、E318、K320、I332、E333、K334、I336、E345、Q347、S354、R355、M358、K360、Q362、K370、Y373、D376、A378、E380、E382、Q386、E388、N390、K392、T393、D401、F404、T411、D413、K414、R416、Q418、Q419、N421、M428、A431、L432、T437、Q438、K439、L443、およびS444におけるものからなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含む操作されたヒトIgG重鎖定常ドメイン(Cγ)ポリペプチドまたはその部分、
(b)Kabatの番号付けに従って、K110、A111、L125、K149C、V155、G158、T161、Q185、S188、H189、S191、T197、V205、E206、K207、T208、およびA210からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含む操作されたヒトラムダ軽鎖定常ドメイン(Cλ)ポリペプチドまたはその部分、
(c)Kabatの番号付けに従って、A111、K183、およびN210からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含む操作されたヒトカッパ軽鎖定常ドメイン(Cκ)ポリペプチドまたはその部分、
(d)配列番号97~100、102、104、107~127、および129~163のアミノ酸配列からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含む操作されたCγポリペプチドまたはその部分、
(e)配列番号90、92、95、164、166、および169のアミノ酸配列からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含む操作されたCκポリペプチドまたはその部分、ならびに
(f)配列番号172~186のアミノ酸配列からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含む操作されたCλポリペプチドまたはその部分である。
【0033】
一態様では、操作された定常ドメインポリペプチドは、KabatのEUインデックスに従って、アミノ酸位置284、287、327、359、361、383、384、398、および422での突然変異からなる群から選択される少なくとも1つの突然変異をさらに含むCγポリペプチドである。
【0034】
さらに別の態様では、抗体またはその抗原結合部分は、KabatのEUインデックスに従って、K246、D249、D265、S267、D270、N276、Y278、E283、R292、E293、E294、Y300、V302、V303、L314、N315、E318、K320、I332、E333、K334、I336、E345、Q347、S354、R355、M358、K360、Q362、K370、Y373、D376、A378、E380、E382、Q386、E388、N390、K392、T393、D401、F404、T411、D413、K414、R416、Q418、Q419、N421、M428、A431、L432、T437、Q438、K439、L443、およびS444におけるものからなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含む操作されたヒトIgG重鎖定常ドメイン(Cγ)ポリペプチドまたはその部分を含み、Kabatの番号付けに従って、A111C、K183C、およびN210Cからなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含む操作されたCκポリペプチドまたはその部分、ならびにKabatの番号付けに従って、K110C、L125C、K149C、V155C、G158C、T161C、Q185C、S188C、H189C、S191C、T197C、V205C、E206C、およびK207C、T208C、およびA210Cからなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含む操作されたCλポリペプチドまたはその部分からなる群から選択される少なくとも1つの軽鎖定常ドメインをさらに含む。
【0035】
さらに別の態様では、操作された定常ドメインポリペプチドまたはその部分は、細胞傷害性剤、細胞増殖抑制剤、化学療法剤、毒素、放射性核種、DNA、RNA、siRNA、マイクロRNA、ペプチド核酸、非天然アミノ酸、ペプチド、酵素、蛍光タグ、およびビオチンのうちの1つまたは複数にコンジュゲートしており、コンジュゲーションは、置換アミノ酸におけるものである。
【0036】
なおさらなる態様では、抗体は、操作された定常ドメインポリペプチドまたはその部分を含み、リンカーおよび細胞傷害性剤をさらに含み、リンカーおよび細胞傷害性剤は、マレイミドカプロイル-モノメチルオーリスタチンD(mcMMAD)、マレイミドカプロイル-0101(mc0101)、マレイミドカプロイル-3377(mc3377)、マレイミドカプロイル-8261(mc8261)、バリン-シトルリン-モノメチルオーリスタチンD(vcMMAD)、バリン-シトルリン-0101(vc0101)、バリン-シトルリン-3377(vc3377)、バリン-シトルリン-8261(vc8261)、mcValCitPABCMMAD(マレイミドカプロイル-バリン-シトルリン-モノメチルオーリスタチンD)、mcValCit0101(マレイミドカプロイル-バリン-シトルリン-0101)、mcValCit3377(マレイミドカプロイル-バリン-シトルリン-3377)、mcValCit8261(マレイミドカプロイル-バリン-シトルリン-8261)、Mal-PEG2C2-MMAD、Mal-PEG3C2-MMAD、Mal-PEG6C2-MMAD、Mal-PEG2C2-0101、Mal-PEG3C2-0101、Mal-PEG6C2-0101、Mal-PEG2C2-3377、Mal-PEG3C2-3377、およびMal-PEG6C2-3377、Mal-PEG2C2-8261、Mal-PEG3C2-8261、およびMal-PEG6C2-8261からなる群から選択される。
【0037】
本発明は、操作された定常ドメインポリペプチドまたはその部分をコードする核酸であって、操作された定常ドメインは、コンジュゲーションに有用なシステイン残基を導入するための少なくとも1つのアミノ酸置換を含み、定常ドメインポリペプチドは、
(a)KabatのEUインデックスに従って、K246、D249、D265、S267、D270、N276、Y278、E283、R292、E293、E294、Y300、V302、V303、L314、N315、E318、K320、I332、E333、K334、I336、E345、Q347、S354、R355、M358、K360、Q362、K370、Y373、D376、A378、E380、E382、Q386、E388、N390、K392、T393、D401、F404、T411、D413、K414、R416、Q418、Q419、N421、M428、A431、L432、T437、Q438、K439、L443、およびS444におけるものからなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含む操作されたヒトIgG重鎖定常ドメイン(Cγ)ポリペプチドまたはその部分、
(b)Kabatの番号付けに従って、K110、A111、L125、K149C、V155、G158、T161、Q185、S188、H189、S191、T197、V205、E206、K207、T208、およびA210からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含む操作されたヒトラムダ軽鎖定常ドメイン(Cλ)ポリペプチドまたはその部分、
(c)Kabatの番号付けに従って、A111、K183、およびN210からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含む操作されたヒトカッパ軽鎖定常ドメイン(Cκ)ポリペプチドまたはその部分、
(d)配列番号97~100、102、104、107~127、および129~163のアミノ酸配列からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含む操作されたCγポリペプチドまたはその部分、
(e)配列番号90、92、95、164、166、および169のアミノ酸配列からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含む操作されたCκポリペプチドまたはその部分、ならびに
(f)配列番号172~186のアミノ酸配列からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含む操作されたCλポリペプチドまたはその部分である、核酸を含む。
【0038】
本発明は、操作されたFcポリペプチドをコードする核酸であって、操作されたFcポリペプチドは、KabatのEUインデックスに従って、K246、D249、D265、S267、D270、N276、Y278、E283、R292、E293、E294、Y300、V302、V303、L314、N315、E318、K320、I332、E333、K334、I336、E345、Q347、S354、R355、M358、K360、Q362、K370、Y373、D376、A378、E380、E382、Q386、E388、N390、K392、T393、D401、F404、T411、D413、K414、R416、Q418、Q419、N421、M428、A431、L432、T437、Q438、K439、L443、およびS444におけるものからなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含む操作されたCγポリペプチドまたはその部分を含む、核酸を含む。
【0039】
一態様では、本発明は、操作されたFcポリペプチドをコードする核酸を含む宿主細胞を含む。
【0040】
本発明は、Kabatの番号付けに従って、A111、K183、およびN210からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含む、操作されたCκポリペプチドまたはその部分をコードする核酸を含む。
【0041】
一態様では、本発明は、操作されたCκポリペプチドまたはその部分をコードする核酸を含む、宿主細胞を含む。
【0042】
本発明は、Kabatの番号付けに従って、K110、A111、L125、K149C、V155、G158、T161、Q185、S188、H189、S191、T197、V205、E206、K207、T208、およびA210からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含む、操作されたCλポリペプチドまたはその部分をコードする核酸を含む。
【0043】
本発明は、抗体またはその抗原結合部分をコードする核酸であって、抗体は、少なくとも1つの操作された抗体定常ドメインポリペプチドまたはその部分を含み、操作された定常ドメインポリペプチドは、コンジュゲーションに有用なシステイン残基を導入するための少なくとも1つのアミノ酸置換を含み、
(a)KabatのEUインデックスに従って、K246、D249、D265、S267、D270、N276、Y278、E283、R292、E293、E294、Y300、V302、V303、L314、N315、E318、K320、I332、E333、K334、I336、E345、Q347、S354、R355、M358、K360、Q362、K370、Y373、D376、A378、E380、E382、Q386、E388、N390、K392、T393、D401、F404、T411、D413、K414、R416、Q418、Q419、N421、M428、A431、L432、T437、Q438、K439、L443、およびS444におけるものからなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含む操作されたヒトIgG重鎖定常ドメイン(Cγ)ポリペプチドまたはその部分、
(b)Kabatの番号付けに従って、K110、A111、L125、K149C、V155、G158、T161、Q185、S188、H189、S191、T197、V205、E206、K207、T208、およびA210からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含む操作されたヒトラムダ軽鎖定常ドメイン(Cλ)ポリペプチドまたはその部分、
(c)Kabatの番号付けに従って、A111、K183、およびN210からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含む操作されたヒトカッパ軽鎖定常ドメイン(Cκ)ポリペプチドまたはその部分、
(d)配列番号97~100、102、104、107~127、および129~163のアミノ酸配列からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含む操作されたCγポリペプチドまたはその部分、
(e)配列番号90、92、95、164、166、および169のアミノ酸配列からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含む操作されたCκポリペプチドまたはその部分、ならびに
(f)配列番号172~186のアミノ酸配列からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含む操作されたCλポリペプチドまたはその部分からなる群から選択される、核酸を含む。
【0044】
一態様では、本発明は、核酸を含む宿主細胞を含む。
【0045】
本発明は、操作された抗体またはその抗原結合部分を生成する方法であって、抗体またはその抗原結合部分を発現させるのに適当な条件下で宿主細胞をインキュベートするステップと、抗体または抗原結合部分を単離するステップとを含む方法を含む。
【0046】
前記概要、ならびに以下の発明の詳細な説明は、添付の図面と一緒に読んだ場合、よりよく理解される。本発明を例示する目的で、現在好ましい実施形態が図面に示される。しかしながら、本発明は示された正確な配置および手段に限定されないことが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【
図1】標的抗原(すなわち、5T4)への結合が、システイン置換を含む操作されたFcドメインを含む抗体において影響されないことを示す競合結合ELISAアッセイの結果を示す図である。5T4の膜貫通および細胞内ドメインを欠く(ならびにMycおよびヒスチジンタグをさらに含む)ヒト切断型組換え5T4タンパク質(5T4-tm
-_myc_his)への競合的結合は、ビオチンにコンジュゲートされた野生型IgG1 Fcドメインを含む親抗5T4抗体(bio抗5T4 Ab[1.3nM])と比較して、Fcドメイン中に単一のシステイン突然変異を含む抗体間で同等であった。置換は以下のように示される:5T4-T359C;5T4-K392C;5T4-L398C;5T4-F404C;5T4-V422C;5T4-S440C。
【
図2】vcMMADにコンジュゲートされた2つの操作されたシステインバリアントの分析的SECトレースを示す、A~Bを含む図である。Aは、(方法SEC-Aを用いてコンジュゲートされた)5T4-L398C-mcMMAD(マレイミドカプロイル)(モノメチルオーリスタチンD)のSECトレース図を示す。Bは、(方法SEC-Bを用いてコンジュゲートされた)5T4-V422C-vcMMAD(マレイミドカプロイル-バリン-シトルリン-パラ-アミノベンジルオキシカルボニル)(モノメチルオーリスタチンD))のSECトレース図を示す。
【
図3-1】例示的ADCに関するMSトレース図を示す図である。
図3Aは、5T4-E380C-mcMMADのMSトレース図およびローディング計算を示す。
【
図3-2】例示的ADCに関するローディング計算を示す図である。
図3Bは、5T4-L398C-vcMMADのMSトレース図およびローディング計算を示す。
【
図4】FabRICATOR(登録商標)を用いるインタクトな抗体の処理、次いで、ジチオトレイトール(DTT)によるジスルフィド結合の還元により生成される断片を示す略図である。システイン残基は小さい黒色のボックスで示され、鎖間S-S結合は線で示される。
【
図5】Aにおける非コンジュゲート化システインバリアント抗体(5T4-L443C)の、BにおけるmcMMADとコンジュゲートした同抗体(5T4-L443-McMMAD)と比較した消化により生成されたFabRICATOR(登録商標)断片のMSトレース図を示す、パネルAおよびBを含む図である。生成された断片は、重鎖C末端(HC(C))、重鎖N末端(HC(N))、軽鎖(LC)、1つのmcMMADとコンジュゲートした重鎖C末端(HC(C)+1)、および1つのmcMMADとコンジュゲートした重鎖N末端(HC(N)+1)であり、Bにおいて示されるトレース図上の26505.1で検出された。
【
図6】軽鎖(LC)はあまり改変されていないままであるが、重鎖(HC)は改変されていることを示す還元条件下での逆相HPLC分析の結果生じるトレース図を示す、パネルA~Cを含む図である。Aは、非改変野生型抗5T4抗体の還元条件下での逆相HPLCトレースを示す。Bは、5T4-E380C-mcMMADの還元条件下での逆相HPLCトレースを示す。Cは、5T4-L443C-mcMMADの還元条件下での逆相HPLCトレースを示す。
【
図7-1】
図7-1と
図7-2は、非コンジュゲート化、およびvcMMADとコンジュゲートしたバリアント5T4-L443C、ならびにvcMMADまたはmcMMADとコンジュゲートしたバリアント5T4-E380Cに関する、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)を用いて得られたトレース図を示す、パネルA~Dを含む図である。
図7-1のAは、非コンジュゲート化5T4-L443Cに関するHIC結果のトレース図を示す。Bは、vcMMADとコンジュゲートした5T4-L443Cに関するHIC結果のトレース図を示し、MS(2.00)およびHIC(2.07)を用いて決定されたローディング値が一致することを示す。1個(+1)、2個(+2)および4個(+4)のvcMMADをロードした抗体を含むピークが示される。
【
図7-2】Cは、vcMMADとコンジュゲートした5T4-E380Cに関するHIC結果のトレース図を示し、MS(1.80)およびHIC(1.74)を用いて決定されたローディング値が一致することを示す。0個(+0)、1個(+1)、2個(+2)、3個(+3)および4個(+4)のvcMMADをロードした抗体を含むピークが示される。Dは、mcMMADとコンジュゲートした5T4-E380Cに関するHIC結果のトレース図を示し、MS(1.78)およびHIC(1.81)を用いて決定されたローディング値が一致することを示す。0個(+0)、1個(+1)、2個(+2)および4個(+4)のvcMMADをロードした抗体を含むピークが示される。
【
図8】様々なシステインバリアント抗体に関する、方法「B」と比較した方法「A」を用いるコンジュゲーションにより生成されたトレース図を示す、パネルA~Jを含む図である。パネルA、C、E、GおよびJは、抗体5T4-E380C-mcMMAD(A);5T4-L398C-mcMMAD(C);5T4-L443C-mcMMAD(E);および5T4-K392C-mcMMAD(G)に関する「方法A」を用いるコンジュゲーションの結果を示す。パネルB、D、F、Hは、抗体:5T4-E380C-mcMMAD(B);5T4-L398C-mcMMAD(D);5T4-L443C-mcMMAD(F);および5T4-K392C-mcMMAD(H)に関する「方法B」を用いるコンジュゲーションの結果を示す。
【
図9】様々なシステインバリアント抗体に関する、方法「B」と比較した方法「A」を用いるコンジュゲーションにより生成されたトレース図を示す、パネルA~Hを含む図である。パネルA、C、EおよびGは、抗体5T4-E380C+L398C-mcMMAD(A);5T4-E398C+L443C-mcMMAD(C);5T4-E380C+L443C-mcMMAD(E);および5T4-E380C+V422C-mcMMAD(G)に関する、「方法A」を用いるコンジュゲーションの結果を示す。パネルB、D、FおよびHは、抗体:5T4-E380C+L398C-mcMMAD(B);5T4-E398C+L443C-mcMMAD(D);5T4-E380C+L443C-mcMMAD(F);および5T4-E380C+V422C-mcMMAD(H)に関する、「方法B」を用いるコンジュゲーションの結果を示す。
【
図10】以下のリンカーペイロード組合せ:mcMMAD(A);mcMMAE(B):mcMMAF(C);mcValCitPABC-MMAD、本明細書では「vcMMAD」とも呼ばれる(D);Mal-PEG6C2-MMAD(E)およびMal-PEG3C2-MMAD(F)の構造を示す、パネルA~Eを含む図である。
【
図11】野生型IgG1 Fcドメインを含む親抗5T4抗体の結合と比較した、平均計算された蛍光として表される5T4抗原を発現するMDAMB435細胞(MDAMB435/5T4)への非コンジュゲート化システイン突然変異抗5T4抗体の結合を示すグラフである。結果は、システインバリアント抗体L443C、E380C、L398C、V422C、T359C、S254C、S440CおよびK392Cが、1μg(灰色のバー)および10μg/ml(黒色のバー)の両方で、野生型親抗体(「wtIgG1」と示される)と同等のMDAMB435/5T4細胞への結合を示すことを示している。
【
図12-1】
図12-1と
図12-2は、野生型IgG1 Fcドメインを含む親抗体による結合と比較した、mcMMADとコンジュゲートしたシステイン突然変異抗体の結合を示す、
図12AおよびBを含むグラフである。
図12Aは、野生型親抗5T4抗体と比較した、5T4抗原を発現する細胞(MDAMB435/5T4細胞)への、mcMMADにコンジュゲートしたシステインバリアント抗体の結合を示すグラフである。抗体5T4-E380C-mcMMAD、5T4-L398C-mcMMAD、5T4-L443C-mcMMADおよび5T4-V422C-mcMMAD抗体の結合を、親抗体5T4(wt IgG1)による結合と比較した。
【
図12-2】
図12Bは、標的抗原5T4を発現しないRaji細胞中での野生型親抗体の結合の同様の欠如と比較したmcMMADにコンジュゲートしたシステインバリアント抗体の結合の欠如を示すグラフである。
【
図13】mcMMADとコンジュゲートした野生型抗体(5T4-IgG1-mcMMAD)およびコンジュゲートしていない野生型抗体(wt IgG1)の内在化と比較した、mcMMADとコンジュゲートしたシステインバリアント抗体の内在化を示すグラフである。データは、システイン突然変異抗体薬コンジュゲート5T4-E380C-mcMMAD、5T4-L398C-mcMMAD、および5T4-L443C-mcMMADが、野生型親抗体薬コンジュゲート5T4-IgG1-mcMMADおよびコンジュゲートしていない野生型親抗体5T4(wt IgG1)と実質的に同じMDAMB435/5T4細胞により内在化されたことを示している。
【
図14-1】
図14-1と
図14-2は、操作されたシステインバリアント抗体が、野生型親抗体と比較して変化したFcエフェクター活性を示さないことを示す、
図14AおよびBを含む図である。
図14Aは、システインバリアント5-T4-E380C、5T4-L398C、5T4-V422C、および5T4-L443Cが、5T4を発現する細胞(MDA435/5T4)中で野生型親抗体(5T4)と同じADCC活性を示すことを示すグラフを示す。
【
図14-2】
図14Bは、システインバリアント5T4-E380C、5T4-L398C、5T4-V422Cおよび5T4-L443Cが、5T4抗原を発現しない細胞(MDA435/Neo)中で野生型親抗体(5T4)と比較して同じADCC活性(なし)を示すことを示すグラフを示す。
【
図15-1】以下の配列を示す、配列番号1~2を含む図である。Fc領域がアミノ酸残基236(グリシン、G)(配列番号1)で開始するFc領域を含む野生型ヒトIgG1重鎖定常ドメインのアミノ酸配列、Fc領域を含むヒト野生型IgG1定常ドメインをコードする例示的核酸配列(配列番号2)。
【
図15-2】以下の配列を示す、配列番号3~5を含む図である。ヒトIgG2定常ドメインのアミノ酸配列(配列番号3)、ヒト野生型IgG3定常ドメインのアミノ酸配列(配列番号4)、ヒト野生型IgG4定常ドメインのアミノ酸配列(配列番号5)。
【
図15-3】以下の位置でシステインの置換を含む操作されたFcポリペプチドのアミノ酸配列(全てKabatのEU番号付けシステムに従う)を示す配列を含む図である。:K246(配列番号6)、D249(配列番号7)、S254(配列番号8)、D265(配列番号9)、S267(配列番号10)。
【
図15-4】以下の位置でシステインの置換を含む操作されたFcポリペプチドのアミノ酸配列(全てKabatのEU番号付けシステムに従う)を示す配列を含む図である。:D270(配列番号11)、N276(配列番号12)、Y278(配列番号13)、E283(配列番号14)、V284(配列番号15)。
【
図15-5】以下の位置でシステインの置換を含む操作されたFcポリペプチドのアミノ酸配列(全てKabatのEU番号付けシステムに従う)を示す配列を含む図である。:A287(配列番号16)、R292(配列番号17)、E293(配列番号18)、E294(配列番号19)、Y300(配列番号20)。
【
図15-6】以下の位置でシステインの置換を含む操作されたFcポリペプチドのアミノ酸配列(全てKabatのEU番号付けシステムに従う)を示す配列を含む図である。:V302(配列番号21)、V303(配列番号22)、L314(配列番号23)、N315(配列番号24)、E318(配列番号25「)。
【
図15-7】以下の位置でシステインの置換を含む操作されたFcポリペプチドのアミノ酸配列(全てKabatのEU番号付けシステムに従う)を示す配列を含む図である。:K320(配列番号26)、A327(配列番号27)、I332(配列番号28)、E333(配列番号29)、K334(配列番号30)。
【
図15-8】以下の位置でシステインの置換を含む操作されたFcポリペプチドのアミノ酸配列(全てKabatのEU番号付けシステムに従う)を示す配列を含む図である。:I336(配列番号31)、E345(配列番号32)、Q347(配列番号33)、S354(配列番号34)、R355(配列番号35)。
【
図15-9】以下の位置でシステインの置換を含む操作されたFcポリペプチドのアミノ酸配列(全てKabatのEU番号付けシステムに従う)を示す配列を含む図である。:M358(配列番号36)、T359 (配列番号37)、K360(配列番号38)、N361(配列番号39)、Q362(配列番号40)。
【
図15-10】以下の位置でシステインの置換を含む操作されたFcポリペプチドのアミノ酸配列(全てKabatのEU番号付けシステムに従う)を示す配列を含む図である。:K370(配列番号41)、Y373(配列番号42)、D376(配列番号43)、A378(配列番号44)、E380(配列番号45)。
【
図15-11】以下の位置でシステインの置換を含む操作されたFcポリペプチドのアミノ酸配列(全てKabatのEU番号付けシステムに従う)を示す配列を含む図である。:E382(配列番号46)、S383(配列番号47)、N384(配列番号48)、Q386(配列番号49)、E388(配列番号50)。
【
図15-12】以下の位置でシステインの置換を含む操作されたFcポリペプチドのアミノ酸配列(全てKabatのEU番号付けシステムに従う)を示す配列を含む図である。:N390(配列番号51)、K392(配列番号52)、T393(配列番号53)、L398(配列番号54)、D401(配列番号55)。
【
図15-13】以下の位置でシステインの置換を含む操作されたFcポリペプチドのアミノ酸配列(全てKabatのEU番号付けシステムに従う)を示す配列を含む図である。:F404(配列番号56)、T411(配列番号57)、D413(配列番号58)、K414(配列番号59)。
【
図15-14】以下の位置でシステインの置換を含む操作されたFcポリペプチドのアミノ酸配列(全てKabatのEU番号付けシステムに従う)を示す配列を含む図である。:R416(配列番号60)、Q418(配列番号61)、Q419(配列番号62)、N421(配列番号63)、V422(配列番号64)。
【
図15-15】以下の位置でシステインの置換を含む操作されたFcポリペプチドのアミノ酸配列(全てKabatのEU番号付けシステムに従う)を示す配列を含む図である。:M428(配列番号65)、A431(配列番号66)、L432(配列番号67)、T437(配列番号68)、Q438(配列番号69)。
【
図15-16】以下の位置でシステインの置換を含む操作されたFcポリペプチドのアミノ酸配列(全てKabatのEU番号付けシステムに従う)を示す配列を含む図である。:K439(配列番号70)、S440(配列番号71)、L443(配列番号72)、およびS444(配列番号73)。
【
図16-1】下記:E380C-L443C(配列番号74);L398C-L443C(配列番号75);V422C-L443C(配列番号76);E380C-L398C (配列番号77)のような2個の突然変異を含む以下のIgG1操作Fc領域のアミノ酸配列を示す図である。
【
図16-2】下記:L398C-V422C(配列番号78);E380C-V422C(配列番号79);K392C-L443C(配列番号80);F404C-L443C(配列番号81);K392C-F404C(配列番号82)のような2個の突然変異を含む以下のIgG1操作Fc領域のアミノ酸配列を示す図である。
【
図17-1】様々な抗体の完全長重鎖および軽鎖のアミノ酸配列を示す図である。配列番号83は、可変ドメイン(VH)が大文字で示され、3個のCDRが下線付きで示され、ヒトIgG1定常領域の配列が小文字で示される重鎖抗5T4抗体のアミノ酸配列を示す。配列番号84は、可変ドメイン(VL)が大文字で示され、3個のCDRが下線付きで示され、ヒトカッパ定常領域の配列が小文字で示される抗5T4抗体の軽鎖のアミノ酸配列を示す。配列番号85は、可変ドメイン(VH)が大文字で示され、3個のCDRが下線付きで示され、ヒトIgG1定常領域の配列が小文字で示される重鎖抗Her2抗体のアミノ酸配列を示す。
【
図17-2】様々な抗体の完全長重鎖および軽鎖のアミノ酸配列を示す図である。配列番号86は、可変ドメイン(VL)が大文字で示され、3個のCDRが下線付きで示され、ヒトカッパ定常領域の配列が小文字で示される抗Her2抗体の軽鎖のアミノ酸配列を示す。配列番号87は、可変ドメイン(VH)が大文字で示され、3個のCDRが下線付きで示され、ヒトIgG1定常領域の配列が小文字で示される重鎖抗VEGFR2(血管内皮増殖因子受容体2)抗体のアミノ酸配列を示す。配列番号88は、可変ドメイン(VL)が大文字で示され、3個のCDRが下線付きで示され、ヒトカッパ定常領域の配列が小文字で示される抗VEGFR2抗体の軽鎖のアミノ酸配列を示す。
【
図18】野生型ヒトカッパ定常領域のアミノ酸配列(
図18A:配列番号89)および以下の突然変異:A111C(
図18B:配列番号90);K183C(
図18C:配列番号92);およびN210C(
図18D:配列番号95)を含む操作されたCκ領域のアミノ酸配列を示す図である。
【
図19-1】4個のIgGサブクラス間で同等の位置を示すヒトIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4のアミノ酸配列アラインメントを示す図である。
図19Aは、ヒト野生型IgG1(hIgG1)、IgG2(hIgG2)、IgG3(hIgG3)およびIgG4(hIgG4)のFcドメインのアミノ酸配列アラインメントを示す。
【
図19-2】4個のIgGサブクラス間で同等の位置を示すヒトIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4のアミノ酸配列アラインメントを示す図である。
図19Bは、ヒト野生型IgG1(ヒトガンマ1)、IgG2(ヒトガンマ2)、IgG3(ヒトガンマ3)およびIgG4(ヒトガンマ4)の定常ドメイン(CH1、ヒンジ、CH2およびCH3領域を含む)のアミノ酸配列アラインメントを示す。
【
図20-1】野生型ヒトラムダ定常領域をコードする核酸配列(配列番号170)、野生型ヒトラムダ定常領域のアミノ酸配列(配列番号171)ならびに以下の突然変異:K110C(配列番号172);A111C(配列番号173);L125C(配列番号174);K149C(配列番号175);V155C(配列番号176);G158C(配列番号177)を含む操作されたCλ領域のアミノ酸配列を示す図である。
【
図20-2】以下の突然変異:T161C(配列番号178);Q185C(配列番号179);S188C(配列番号180);H189C(配列番号181);S191C(配列番号182);T197C(配列番号183);V205C(配列番号184);E206C(配列番号185);K207C(配列番号186);T208C(配列番号187);およびA210C(配列番号188)を含む操作されたCλ領域のアミノ酸配列を示す図である。
【
図21-1】特許で守られたオーリスタチンペイロード(Aur)にMalPeg6C2リンカーを介してコンジュゲートされた様々な操作されたシステイン抗体のPKパラメータを示すグラフである。
図21Aは、抗Her2抗体が、AurにMalPeg6C2リンカーを介して示された特定の部位(複数可)でコンジュゲートされた、部位特異的コンジュゲート化ADCの経時的な血漿濃度を示すグラフである。操作されたコンジュゲーション部位は、Q347C;N421C;カッパK183C;K388C;L443C;L398C+L443C;およびK392C+L443Cであった。
【
図21-2】特許で守られたオーリスタチンペイロード(Aur)にMalPeg6C2リンカーを介してコンジュゲートされた様々な操作されたシステイン抗体のPKパラメータを示すグラフである。
図21Bは、様々な部位特異的コンジュゲートADCの総抗Her2 ADC血漿濃度を示すグラフである。抗Her2抗体は、特許で守られたオーリスタチンペイロード「Aur」(本明細書では「8261」とも呼ばれる)に、MalPeg6C2リンカーを介してコンジュゲートされた。特異的な操作コンジュゲーション部位は、以下の通りであった:Q347C;N421C;カッパK183C;K388C;L443C;L398C+L443C;およびK392C+L443C。
【
図22-1】部位特異的コンジュゲーション部位がL443Cである、ならびに異なるリンカーおよびペイロード組合せを用いる、抗Her2部位特異的コンジュゲート化ADCの腫瘍減少効果を示す図である。
図22Aは、抗Her2-L443CがMalPeg6C2リンカーを介してMMADにコンジュゲートされ、陰性対照(ビヒクル)と比較して1mg/kg、3mg/kgおよび10mg/kgで投与された、胃がんのN87マウスモデルにおける腫瘍サイズを示すグラフである。
【
図22-2】部位特異的コンジュゲーション部位がL443Cである、ならびに異なるリンカーおよびペイロード組合せを用いる、抗Her2部位特異的コンジュゲート化ADCの腫瘍減少効果を示す図である。
図22Bは、抗Her2-L443CがMalPeg6C2リンカー(本明細書では「MP6」と省略される)を介してAur(「8261」とも呼ばれる、新規オーリスタチンに基づく細胞傷害性化合物)にコンジュゲートされ、陰性対照(ビヒクル)と比較して1mg/kg、3mg/kgおよび10mg/kgで投与された胃がんのN87マウスモデルにおける腫瘍サイズを示すグラフである。
【
図22-3】部位特異的コンジュゲーション部位がL443Cである、ならびに異なるリンカーおよびペイロード組合せを用いる、抗Her2部位特異的コンジュゲート化ADCの腫瘍減少効果を示す図である。
図22Cは、抗Her2-L443Cがvcリンカーを介して特許で守られたペイロード(「0101」とも呼ばれる)にコンジュゲートされ、陰性対照(ビヒクル)と比較して1mg/kg、3mg/kgおよび10mg/kgで投与された胃がんのN87マウスモデルにおける腫瘍サイズを示すグラフである。
【
図23】DYT2 Her2+がんモデルにおける部位特異的コンジュゲート化抗Her2 ADCの効果を示すグラフである。抗Her2 ADCを様々な操作されたシステイン(K392C+L443C、Q347C、カッパK183C;K388C;N421C、カッパK207C;L398C+L443C;L443C)でコンジュゲートさせ;その効果をビヒクルのみならびにDM1(Her2-DM1)およびAur(Her2-Aur)と従来通りコンジュゲートさせた抗Her2抗体と比較した。
【発明を実施するための形態】
【0048】
本明細書で別段の定義のない限り、本発明に関連して使用される科学用語および技術用語は、当業者が一般に理解する意味を有するものとする。さらに、脈絡によって別段に要求されない限り、単数形の用語は、複数存在することを含むものとし、複数形の用語は、単数形を含むものとする。一般に、本明細書に記載の細胞培養および組織培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学、ならびにタンパク質化学および核酸化学、ならびにハイブリダイゼーションに関連して使用される命名法、ならびにこれらの技法は、当技術分野で周知であり、一般に使用されるものである。
【0049】
本発明の方法および技法は一般に、別段の指定のない限り、当技術分野で周知の方法に従って、かつ本明細書全体にわたって引用され、論じられている様々な一般的な、およびより具体的な参考文献に記載されているように実施される。このような参考文献としては、例えば、SambrookおよびRussell、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第3版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、NY(2001)、Ausubelら、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley&Sons、NY(2002)、HarlowおよびLane、Using Antibodies:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、NY(1998)、ならびにColiganら、Short Protocols in Protein Science、John Wiley&Sons、NY(2003)があり、これらは、参照により本明細書に組み込まれている。酵素反応および精製技法は、製造者の仕様に従って、当技術分野で一般に達成されるように、または本明細書に記載するように実施される。本明細書に記載の分析化学、生化学、免疫学、分子生物学、合成有機化学、ならびに医化学および製薬化学に関連して使用される命名法、ならびにこれらの実験室手順および技法は、当技術分野で周知であり、一般に使用されるものである。標準的な技法が、化学合成、化学分析、医薬調製物、製剤、および送達、および患者の治療に使用される。
【0050】
本明細書および特許請求の範囲全体にわたって、単語「含む(comprise)」、または「含む(comprises)」もしくは「含むこと」などの変形は、述べた整数または整数の群を含めることを暗示するが、任意の他の整数または整数の群の除外を暗示しないことが理解されるであろう。
【0051】
本明細書において、以下の用語のそれぞれは、本セクションにおいてそれと関連する意味を有する。
【0052】
冠詞「1つの(a)」および「1つの(an)」は、冠詞の文法的対象の1つ、または1つを超える(すなわち、少なくとも1つ)を指すのに本明細書で使用する。例として、「1つのエレメント(an element)」は、1つのエレメントまたは1つを超えるエレメントを意味する。
【0053】
本発明の広い範囲を示す数値範囲およびパラメータは、近似であるにもかかわらず、具体例に示される数値は、可能な限り正確に報告する。しかし、任意の数値は、これらのそれぞれの試験測定において見出される標準偏差から必然的に生じるある特定の誤差を本質的に含有する。さらに、本明細書に開示の全ての範囲は、その中に包摂される任意および全ての部分範囲を包含することが理解されるべきである。例えば、「1~10」という述べた範囲は、1の最小値と10の最大値の間の(およびこれらを含む)任意および全ての部分範囲、すなわち、1以上、例えば、1~6.1の最小値で始まり、10以下、例えば、5.5~10の最大値で終わる全ての部分範囲を含むとみなされるべきである。
【0054】
本明細書において「約」のついた値またはパラメータへの言及は、それ自体その値またはパラメータを対象とする実施形態を含む(かつ記述する)。例えば、「約X」に言及する記述は、「X」の記述を含む。数値(numeric value)は、範囲を定義する数値(number)を含む。
【0055】
さらに、「本明細書に組み込まれている」と呼ばれる任意の言及は、その全体が組み込まれていると理解されるべきである。
【0056】
本発明の態様または実施形態が、選択肢のマーカッシュ群または他の分類の観点から記載されている場合、本発明は、全体として列挙された群全体だけでなく、群の各メンバーを個々に、および主群の全ての可能な亜群、ならびにまた、群メンバーの1つまたは複数を欠いた主群を包含する。本発明は、請求項に係る発明における群メンバーのいずれかの1つまたは複数の明確な除外も想定する。
【0057】
本明細書において、20の慣例的なアミノ酸およびこれらの略語は、慣例的な使用法に従う。参照により本明細書に組み込まれているImmunology--A Synthesis(第2版、E.S.GolubおよびD.R.Gren編、Sinauer Associates、Sunderland、Mass.(1991))を参照。
【0058】
本明細書において、アミノ酸は、以下の表に示したように、これらの完全名、これらに対応する3文字コード、またはこれらに対応する1文字コードによって表す:
【0059】
【表1】
「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が、類似の化学的特性(例えば、電荷または疎水性)を有する側鎖R基を有する別のアミノ酸残基によって置換されているものである。一般に、保存的アミノ酸置換は、タンパク質の機能的特性を実質的に変化させない。2つ以上のアミノ酸配列が保存的置換によって互いに異なる場合では、パーセント配列同一性または類似性の程度は、置換の保存的性質について補正するために上向きに調整することができる。この調整を行うための手段は、当業者に周知である。例えば、Pearson、Methods Mol.Biol.、243:307~31(1994)を参照。
【0060】
類似の化学的特性を伴った側鎖を有するアミノ酸の群の例としては、1)脂肪族側鎖:グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、およびイソロイシン;2)脂肪族-ヒドロキシル側鎖:セリンおよびトレオニン;3)アミド含有側鎖:アスパラギンおよびグルタミン;4)芳香族側鎖:フェニルアラニン、チロシン、およびトリプトファン;5)塩基性側鎖:リシン、アルギニン、およびヒスチジン;6)酸性側鎖:アスパラギン酸およびグルタミン酸;ならびに7)硫黄含有側鎖:システインおよびメチオニンがある。好ましい保存アミノ酸置換の群は、バリン-ロイシン-イソロイシン、フェニルアラニン-チロシン、リシン-アルギニン、アラニン-バリン、グルタミン酸-アスパラギン酸、およびアスパラギン-グルタミンである。
【0061】
代わりに、保存的置換は、参照により本明細書に組み込まれているGonnetら、Science、256:1443~45(1992)に開示されたPAM250対数尤度行列中の正の値を有する任意の変化である。「中程度に保存的な」置換は、PAM250対数尤度行列中で負でない値を有する任意の変化である。
【0062】
好ましいアミノ酸置換は、(1)タンパク質分解に対する感受性を低減し、(2)酸化に対する感受性を低減し、(3)タンパク質複合体を形成するための結合親和性を変更し、(4)このような類似体の他の物理化学的または機能的特性を付与または改変するものである。置換、欠失、および/または挿入を含む類似体は、指定されたペプチド配列以外の配列の様々な突然変異タンパク質を含むことができる。例えば、単一または複数のアミノ酸置換(好ましくは保存的アミノ酸置換)を、指定された配列中(好ましくは分子間接触を形成するドメイン(複数可)の外側、例えば、CDRの外側のポリペプチドの部分中)で行うことができる。保存的アミノ酸置換は、親配列の構造的特徴を実質的に変化させないべきである(例えば、置換アミノ酸は、親配列中に存在するヘリックスを破壊し、または親配列を特徴付ける他のタイプの二次構造を混乱させる傾向がないべきである)。当技術分野で認められているポリペプチド二次および三次構造の例は、Proteins,Structures and Molecular Principles(Creighton編、W.H.Freeman and Company、New York(1984));Introduction to Protein Structure(C.BrandenおよびJ.Tooze編、Garland Publishing、New York、N.Y.(1991));およびThorntonら、Nature、354:105(1991)に記載されており、これらは、それぞれ参照により本明細書に組み込まれている。
【0063】
ポリペプチドの配列類似性は、典型的には配列分析ソフトウェアを使用して測定される。タンパク質分析ソフトウェアは、保存的アミノ酸置換を含めた様々な置換、欠失、および他の修飾に割り当てられた類似性の尺度を使用して類似の配列をマッチさせる。例えば、Genetics Computer Group(Genetics Computer Group,Inc.から入手可能なGCG)は、Wisconsin Packageとも呼ばれ、ヌクレオチド配列およびタンパク質配列を評価、分析、およびマニピュレートするための130超のプログラムの統合ソフトウェアパッケージである。GCGは、「Gap」および「Bestfit」などのプログラムを含み、これらは、デフォルトのパラメータで使用して、生物の異なる種に由来する相同ポリペプチドなどの密接に関連したポリペプチド同士間、または野生型タンパク質とその突然変異タンパク質との間の配列類似性、相同性、および/または配列同一性を求めることができる。例えば、GCGバージョン6.1、バージョン7.0、バージョン9.1、およびバージョン10.0を参照。
【0064】
ポリペプチド配列も、GCG中のプログラムであるFASTAを使用して、デフォルトの、または推奨されたパラメータを使用して比較することができる。FASTA(例えば、FASTA2およびFASTA3)は、クエリー配列とサーチ配列との間のベストオーバーラップの領域のアラインメント、およびパーセント配列同一性をもたらす(Pearson、Methods Enzymol.、183:63~98(1990);Pearson、Methods Mol.Biol.、132:185~219(2000))。異なる生物に由来する多数の配列を含有するデータベースに対して本発明の配列を比較する際の別の好ましいアルゴリズムは、デフォルトのパラメータを使用するコンピュータープログラムBLAST、特に、blastpまたはtblastnである。例えば、参照により本明細書に組み込まれている、Altschulら、J.Mol.Biol.、215:403~410(1990);Altschulら、Nucleic Acids Res.、25:3389~402(1997)を参照。
【0065】
ポリペプチド配列を表現するのに慣例的な表示法を本明細書で使用し、ポリペプチド配列の左端は、アミノ末端であり、ポリペプチド配列の右端は、カルボキシル末端である。
【0066】
本明細書において、用語「上流の」は、分子がタンパク質である場合、2番目の残基に対してN末端である残基、分子が核酸である場合、2番目の残基に対して5’である残基を指す。やはり本明細書において、用語「下流の」は、分子がタンパク質である場合、2番目の残基に対してC末端である残基、分子が核酸である場合、2番目の残基に対して3’である残基を指す。
【0067】
「核酸」は、デオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(RNA)などのポリヌクレオチドである。この用語は、一本鎖核酸、二本鎖核酸、ならびにヌクレオチドまたはヌクレオシド類似体から作製されるRNAおよびDNAを含むように使用される。
【0068】
用語「ベクター」は、細胞内に第2の核酸分子を輸送するのに使用することができる核酸分子を指す。一実施形態では、ベクターは、ベクター中に挿入されたDNA配列の複製を可能にする。ベクターは、少なくともいくつかの宿主細胞内の核酸分子の発現を増強するためのプロモーターを含み得る。ベクターは、自発的に(染色体外)複製することができ、または宿主細胞染色体中に組み込まれ得る。一実施形態では、ベクターは、ベクター中に挿入された核酸配列の少なくとも一部に由来するタンパク質を生成することができる発現ベクターを含み得る。
【0069】
当技術分野で知られているように、互いに核酸配列をハイブリダイズするための条件は、低ストリンジェンシーから高ストリンジェンシーに及ぶとして記述することができる。一般に、高度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、低塩緩衝液中で、高温でハイブリッドを洗浄することを指す。ハイブリダイゼーションは、65℃で0.5MのNaHPO4、7%のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)などの当技術分野で標準的なハイブリダイゼーション溶液を使用して結合したDNAを濾過すること、および0.25MのNaHPO4、3.5%のSDS中での洗浄、その後のプローブの長さに応じて室温~68℃の範囲の温度で0.1×SSC/0.1%のSDS中での洗浄とすることができる(例えば、Ausubel,F.M.ら、Short Protocols in Molecular Biology、第4版、第2章、John Wiley&Sons、N.Yを参照)。例えば、高ストリンジェンシー洗浄は、14塩基のオリゴヌクレオチドプローブについて37℃で、または17塩基のオリゴヌクレオチドプローブについて48℃で、または20塩基のオリゴヌクレオチドプローブについて55℃で、または25塩基のオリゴヌクレオチドプローブについて60℃で、または長さが約250ヌクレオチドのヌクレオチドプローブについて65℃で、6×SSC/0.05%のピロリン酸ナトリウム中での洗浄を含む。核酸プローブは、例えば、[γ-32P]ATPを用いた末端標識、またはランダムプライマー標識による[α-32P]dCTPなどの放射標識ヌクレオチドの取込みによって、放射性ヌクレオチドで標識することができる。代わりに、プローブを、ビオチン化またはフルオレセイン標識ヌクレオチドの取込みによって標識することができ、このプローブを、ストレプトアビジンまたは抗フルオレセイン抗体を使用して検出することができる。
【0070】
用語「融合タンパク質」は、2種以上のタンパク質に由来するアミノ酸配列を有するタンパク質またはポリペプチドを指す。融合タンパク質は、別々のタンパク質に由来するアミノ酸部分同士間でアミノ酸の連結領域も含み得る。
【0071】
用語「宿主細胞」は、本明細書において、対象のタンパク質またはポリペプチドを生成するために、本発明に従って培養で増殖する細胞を指す。ある特定の実施形態では、宿主細胞は、哺乳動物細胞である。
【0072】
用語「ハイブリドーマ」とは、この用語を本明細書で使用する場合、不死化細胞と抗体産生細胞との融合から生じる細胞または細胞の子孫を包含することを意味する。得られるハイブリドーマは、抗体を産生する不死化細胞である。ハイブリドーマを創製するのに使用される個々の細胞は、それだけに限らないが、ラット、ブタ、ウサギ、ヒツジ、ヤギ、およびヒトを含めた任意の哺乳動物源に由来し得る。この用語は、ヒト細胞とマウス骨髄腫細胞系との融合の生成物であるヘテロハイブリッド骨髄腫融合物の子孫が血漿細胞と引き続いて融合されるとき生じるトリオーマ細胞系も包含する。さらに、この用語は、例えば、クアドローマなどの抗体を産生する任意の不死化ハイブリッド細胞系を含むことを意味する(例えば、Milsteinら、1983、Nature、537:3053を参照)。
【0073】
用語「ポリペプチド」は、本明細書において、ペプチド結合を介して一緒に連結されたアミノ酸の連続した鎖を指す。この用語は、任意の長さのアミノ酸鎖を指すのに使用されるが、この用語は、非常に長い鎖に限定されず、ペプチド結合を介して一緒に連結された2つのアミノ酸を含む最小の鎖を指すことができることを当業者は理解するであろう。当業者に公知であるように、ポリペプチドは、処理および/または修飾することができる。例えば、ポリペプチドは、グリコシル化することができる。本発明によって発現されるポリペプチドは、治療用ポリペプチドであり得る。治療用ポリペプチドは、これが作用する体内の一領域、またはこれが中間体を介して間接的に作用する体の一領域に対して生物学的効果を有するポリペプチドである。治療用ポリペプチドの例は、以下でより詳細に論じる。
【0074】
「タンパク質」は、この用語を本明細書で使用する場合、別個のユニットとして機能する1つまたは複数のポリペプチドを指す。単一のポリペプチドが、別個の機能ユニットであり、別個の機能ユニットを形成するために他のポリペプチドとの永続的または一時的な物理的会合を必要としない場合、用語「ポリペプチド」および「タンパク質」は、互換的に使用することができる。別個の機能的なユニットが互いに物理的に会合する複数のポリペプチドから構成される場合、用語「タンパク質」は、本明細書において、物理的にカップリングされ、別個のユニットとして一緒に機能する複数のポリペプチドを指す。本発明によって発現されるタンパク質は、タンパク質治療剤であり得る。タンパク質治療剤は、これが作用する体内の一領域、またはこれが中間体を介して間接的に作用する体の一領域に対して生物学的効果を有するタンパク質である。タンパク質治療剤の例は、以下でより詳細に論じる。
【0075】
用語「断片」とは、本明細書において、ポリペプチドを指し、所与のポリペプチドの任意の別個の部分であって、そのポリペプチドにユニークであり、またはそのポリペプチドの特徴である、部分として定義される。この用語は、本明細書において、所与のポリペプチドの任意の別個の部分であって、その完全長ポリペプチドの活性の少なくとも一画分を保持する、部分も指す。ある特定の実施形態では、保持される活性の画分は、完全長ポリペプチドの活性の少なくとも10%である。ある特定の実施形態では、保持される活性の画分は、完全長ポリペプチドの活性の少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%である。ある特定の実施形態では、保持される活性の画分は、完全長ポリペプチドの活性の少なくとも95%、96%、97%、98%、または99%である。ある特定の実施形態では、保持される活性の画分は、完全長ポリペプチドの活性の100%以上である。代替としてまたは追加的に、この用語は、本明細書において、所与のポリペプチドの任意の部分であって、その完全長ポリペプチド中に見つかる少なくとも1つの確立された配列エレメントを含む、部分も指す。いくつかの実施形態では、配列エレメントは、完全長ポリペプチドの少なくとも約4~5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、またはそれ以上のアミノ酸に及ぶ。
【0076】
「組換えで発現されるポリペプチド」および「組換えポリペプチド」は、本明細書において、そのポリペプチドを発現するように操作した宿主細胞から発現されるポリペプチドを指す。ある特定の実施形態では、宿主細胞は、哺乳動物細胞である。ある特定の実施形態では、この操作は、1つまたは複数の遺伝子改変を含み得る。例えば、宿主細胞は、発現されるポリペプチドをコードする1種または複数の異種遺伝子の導入によって遺伝的に改変することができる。非相同の組換えで発現されるポリペプチドは、宿主細胞内で通常発現されるポリペプチドと同一または同様であり得る。非相同の組換えで発現されるポリペプチドは、宿主細胞に対して異質、例えば、宿主細胞内で通常発現されるポリペプチドと非相同であってもよい。ある特定の実施形態では、非相同の組換えで発現されるポリペプチドは、キメラである。例えば、ポリペプチドの部分は、宿主細胞内で通常発現されるポリペプチドと同一または同様であるアミノ酸配列を含有することができ、一方、他の部分は、宿主細胞に対して異質であるアミノ酸配列を含有する。さらにまたは代わりに、ポリペプチドは、宿主細胞内でともに通常発現される2種以上の異なるポリペプチドに由来するアミノ酸配列を含有し得る。さらに、ポリペプチドは、宿主細胞に対してともに異質である2種以上のポリペプチドに由来するアミノ酸配列を含有し得る。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、1種または複数の内在性遺伝子の活性化または上方制御によって遺伝的に改変されている。
【0077】
インタクトな「抗体」は、ジスルフィド結合によって相互接続された少なくとも2本の重(H)鎖および2本の軽(L)鎖を含む。一般に、Fundamental Immunology、第7章(Paul,W.編、第2版、Raven Press、N.Y.(1989))(全ての目的に関してその全体が参照により組み込まれている)を参照。各重鎖は、重鎖可変領域(HCVRまたはVH)および重鎖定常領域(CH)から構成されている。重鎖定常領域は、3つのドメイン、CH1、CH2、およびCH3から構成されている。各軽鎖は、軽鎖可変領域(LCVRまたはVL)および軽鎖定常領域から構成されている。軽鎖定常領域は、1つのドメイン、CLから構成されている。ヒトでは、2つのタイプの軽鎖、カッパ(κ)およびラムダ(λ)があり、その結果、これらの2つのタイプの軽鎖の定常領域は、それぞれCκおよびCλと命名されている。VHおよびVL領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれるより保存された領域が点在した、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変性の領域にさらに細分することができる。各VHおよびVLは、以下の順序でアミノ末端からカルボキシル末端に配列された3つのCDRおよび4つのFRから構成されている:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。各ドメインへのアミノ酸の割り当ては、Kabat、Sequences of Proteins of Immunological Interest(国立衛生研究所、Bethesda、MD(1987および1991))、またはChothia&Lesk、J.Mol.Biol.、196:901~917(1987);Chothiaら、Nature、342:878~883(1989)の定義に従う。
【0078】
抗体の定常領域は、免疫系の様々な細胞(例えば、エフェクター細胞)および古典的補体系の第1成分(C1q)を含めた、宿主組織または宿主因子への免疫グロブリンの結合を媒介することができる。軽鎖および重鎖内で、可変領域および定常領域は、約12以上のアミノ酸の「J」領域によって接合されており、重鎖は、約10を超えるアミノ酸の「D」領域も含む。一般に、Fundamental Immunology、第7章(Paul,W.編、第2版、Raven Press、N.Y.(1989))を参照。
【0079】
用語の抗体の「抗原結合部分」(または単に「抗体部分」)は、本明細書において、抗原(例えば、腫瘍関連抗原、TAA)に特異的に結合する能力を保持する抗体の1つまたは複数の断片を指す。抗体の抗原結合機能は、完全長抗体の断片によって実施され得ることが示されている。用語の抗体の「抗原結合部分」の中に包含される結合断片の例としては、(i)Fab断片、すなわち、VL、VH、CL、およびCH1ドメインからなる一価の断片;(ii)F(ab’)2断片、すなわち、ヒンジ領域においてジスルフィド架橋によって連結された2つのFab断片を含む二価の断片;(iii)VHおよびCH1ドメインからなるFd断片;(iv)抗体の単一アームのVLおよびVHドメインからなるFv断片、(v)VHドメインからなるdAb断片(Wardら(1989)Nature、341:544~546);ならびに(vi)単離相補性決定領域(CDR)、ジスルフィド連結Fv(dsFv)、および抗イディオタイプ(抗Id)抗体、および細胞内抗体がある。さらに、Fv断片の2つのドメイン、すなわち、VLおよびVHは、別々の遺伝子によってコードされるが、これらは、組換え法を使用して、合成リンカーによって接合することができ、合成リンカーは、VLおよびVH領域が対形成して一価の分子を形成する単一タンパク質鎖(単鎖Fv(scFv)として公知;例えば、Birdら、Science、242:423~426(1988)およびHustonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、85:5879~5883(1988)を参照)としてこれらが作製されることを可能にする。このような単鎖抗体も、用語の抗体の「抗原結合部分」の中に包含されることが意図されている。ダイアボディなどの他の形態の単鎖抗体も包含される。ダイアボディは、VHおよびVLドメインが、単一ポリペプチド鎖上であるが、短すぎて同じ鎖上の2つのドメイン間で対形成することを可能にすることができず、それによってこれらのドメインを別の鎖の相補的なドメインと強制的に対形成させ、2つの抗原結合部位を創製するリンカーを使用して発現される二価の二重特異性抗体である(例えば、Holligerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、90:6444~6448(1993);Poljakら、1994、Structure、2:1121~1123を参照)。抗体は、それだけに限らないが、ヒト、サル、ブタ、ウマ、ウサギ、イヌ、ネコ、マウスなどを含めた任意の哺乳動物、または他の動物、例えば、トリ(例えば、ニワトリ)、魚(例えば、サメ)、およびラクダ科の動物(例えば、ラマ)などに由来し得る。
【0080】
用語「IgG Fc領域」、「Fc領域」、「Fcドメイン」、および「Fc」は、本明細書で互換的に使用され、IgG分子のパパイン消化によって得られる結晶化可能断片に相関するIgG分子の一部を指す。本明細書において、この用語は、第1定常領域免疫グロブリンドメインを除く抗体の定常領域に関係し、さらに、その領域の一部に関係する。したがって、Fcは、IgA、IgD、およびIgGの最後の2つの定常領域免疫グロブリン、ならびにIgEおよびIgMの最後の3つの定常領域免疫グロブリンドメイン、ならびにこれらのドメインの柔軟なヒンジN末端、またはこれらの部分を指す。IgAおよびIgMに関して、Fcは、J鎖を含み得る。IgGに関して、Fcは、免疫グロブリンドメインCγ2およびCγ3(Cガンマ2およびCガンマ3)、およびCγ1(Cガンマ1)とCγ2(Cガンマ2)との間のヒンジを含む。Fc領域の境界は様々であり得るが、ヒトIgG重鎖Fc領域は、通常、残基C226またはP230からそのカルボキシル末端まで含むように定義され、ここで、番号付けは、Kabatら、1991に記載されたEdelmanら、1969、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、63(1):78~85のEUインデックスに従う。典型的には、Fcドメインは、ヒトIgG1定常ドメインのアミノ酸残基約236~約447を含む。例示的なヒト野生型IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4 Fcドメインアミノ酸配列を
図19Bに示す。Fcポリペプチドは、単独でのこの領域、または抗体もしくはその抗原結合部分との脈絡におけるこの領域、またはFc融合タンパク質を指す場合がある。部位特異的コンジュゲーション部位を導入する少なくとも1つのアミノ酸置換を含むFcの天然に存在しないバリアントである操作されたFcポリペプチドが特に好ましい。
【0081】
重鎖定常ドメインは、Fc領域を含み、IgG重鎖のCH1ドメインおよびヒンジ、ならびにCH2およびCH3(ならびに任意選択により、IgAおよびIgEのCH4)ドメインをさらに含む。例示的なヒト野生型IgG1定常ドメインアミノ酸配列を配列番号1に示し、
図15Aに示す。
【0082】
「操作されたFcポリペプチド」、「操作されたFc領域」、および「操作されたFc」とは、この用語が本明細書で互換的に使用される場合、コンジュゲーションのための部位を導入する少なくとも1つの突然変異、例えば、アミノ酸置換を含むFcポリペプチドまたはその部分を意味する。好ましくは、突然変異により、天然に存在するアミノ酸残基の代わりにその位置でシステインが導入され、この場合、突然変異により、1つの部分のFcへのコンジュゲーションのための反応部位(例えば、反応性スルフヒドリル基)が創製される。
【0083】
「操作されたFcバリアント」は、コンジュゲーション部位を創製する突然変異に加えて、それだけに限らないが、とりわけ、アミノ酸突然変異、翻訳後修飾(例えば、グリコシル化の変更)などの少なくとも1つの追加の修飾をさらに含む操作されたFcポリペプチドを指す。
【0084】
「ヒンジ領域」は、本明細書において一般に、ヒトIgG1のGlu216からPro230へのストレッチングとして定義され(Burton、1985、Molec.Immunol.、22:161~206)、CH1ドメインのC末端部分およびCH2ドメインのN末端部分を含むIgG分子の部分を指す。ヒトIgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4、ならびにマウスIgG1およびIgG2Aについての例示的なヒンジ領域は、米国特許第6,165,476号中に、第4段54行目~第5段15行目に示された表で提供されており、例えば、Janewayら、1999、Immunology:The Immune System in Health and Disease、第4版(Elsevier Science Ltd.);Bloomら、1997、Protein Science、6:407~415;Humphreysら、1997、J.Immunol.Methods、209:193~202にも例示されている。他のIgGアイソタイプのヒンジ領域は、同じ位置内で重鎖間S--S結合を形成する最初および最後のシステイン残基を配置することによって、IgG1配列と整列させることができる。各サブクラスのヒンジ領域のアラインメントを示すヒトIgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4の定常ドメインの例示的なアラインメントを、
図19Bに示す。Fc領域の「下ヒンジ領域」は、通常、直接C末端にある残基からヒンジ領域までのストレッチ、すなわち、Fc領域の残基233~239として定義される。
【0085】
用語「IgGヒンジ-Fc領域」または「ヒンジ-Fc断片」は、本明細書において、ヒンジ領域(およそ残基216~230)およびC末端までのFc領域(残基231~447)を指す。
【0086】
「操作されたカッパ軽鎖」は、この用語を本明細書で使用する場合、操作されたカッパ軽鎖定常領域(Cκ)であって、その部位でコンジュゲーションに有用な反応基を導入するための少なくとも1つのアミノ酸置換を含む、操作されたカッパ軽鎖定常領域(Cκ)を含むカッパ軽鎖またはその部分を指す。
【0087】
本明細書で互換的に使用する「操作されたカッパ定常領域」、「操作されたCκポリペプチド」、「操作されたCκ」、および「操作されたCκ領域」は、コンジュゲーションに有用な反応基を含むアミノ酸を導入するために、そのように修飾されていない野生型カッパ定常領域と比較して、少なくとも1つのアミノ酸突然変異を含む、カッパ軽鎖の定常領域またはその部分を意味する。例示的なヒト野生型カッパ定常領域アミノ酸配列を
図18Aに示し、配列番号89に示す。
【0088】
本明細書で互換的に使用する「操作されたラムダ定常領域」、「操作されたCλポリペプチド」、「操作されたCλ」、および「操作されたCλ領域」は、コンジュゲーションに有用な反応基を含むアミノ酸を導入するために、そのように修飾されていない野生型ラムダ定常領域と比較して、少なくとも1つのアミノ酸突然変異を含む、ラムダ軽鎖の定常領域またはその部分を意味する。
【0089】
「操作された抗体」は、この用語を本明細書で使用する場合、少なくとも1つの操作された定常領域、例えば、操作されたFc領域、操作されたCκ領域、および/または操作されたCλ領域を含む抗体またはその抗原結合部分を意味する。
【0090】
用語「操作された抗体抗原結合部分」または「操作された抗体部分」とは、本明細書において、少なくとも1つの操作された定常領域を含む抗体の抗原結合断片、例えば、Fab、F(ab’)2などを意味する。
【0091】
なおさらに、抗体またはその抗原結合部分は、抗体または抗体部分の、1種または複数の他のタンパク質またはペプチドとの共有結合性または非共有結合性会合によって形成されるより大きい免疫接着分子の一部であり得る。このような免疫接着分子の例としては、四量体scFv分子を作製するためのストレプトアビジンコア領域の使用(Kipriyanovら、Human Antibodies and Hybridomas、6:93~101(1995))、ならびに二価のビオチン化scFv分子を作製するためのシステイン残基、マーカーペプチド、およびC末端ポリヒスチジンタグの使用(Kipriyanovら、Mol.Immunol.、31:1047~1058(1994))がある。他の例には、抗体に由来する1つまたは複数のCDRが、共有結合的または非共有結合的に分子内に組み込まれて、これが腫瘍抗原などの対象の抗原に特異的に結合するイムノアドヘシンになる場合が含まれる。このような実施形態では、CDR(複数可)は、より大きいポリペプチド鎖の一部として組み込むことができ、別のポリペプチド鎖に共有結合的に連結することができ、または非共有結合的に組み込むことができる。FabおよびF(ab’)2断片などの抗体部分は、慣例的な技法、例えば、それぞれ、全抗体のパパインまたはペプシン消化などを使用して、全抗体から調製することができる。さらに、抗体、抗体部分、および免疫接着分子は、本明細書に記載するように、標準的な組換えDNA技法を使用して得ることができる。
【0092】
「抗体」が本発明に関して本明細書で言及される場合、その抗原結合部分も使用することができることが理解されるべきである。抗原結合部分は、インタクトな抗体と特異的結合を競合する。一般に、Fundamental Immunology、第7章(Paul,W.編、第2版、Raven Press、N.Y.、(1989))(全ての目的に関してその全体が参照により組み込まれている)を参照。抗原結合部分は、組換えDNA技法によって、またはインタクトな抗体の酵素的もしくは化学的切断によって生成することができる。いくつかの実施形態では、抗原結合部分として、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fd、Fv、dAb、および相補性決定領域(CDR)断片、単鎖抗体(scFv)、キメラ抗体、ダイアボディ、ラクダ科の動物またはサメ免疫グロブリン新規抗原受容体(IgNAR)に由来するものなどの単鎖抗体、およびポリペプチドへの特異的抗原結合を付与するのに十分である抗体の少なくとも一部を含有するポリペプチドが挙げられる。1つまたは複数の結合部位を有する実施形態では、結合部位は、互いに同一であり得、または異なっていてもよい。
【0093】
用語「モノクローナル抗体」または「モノクローナル抗体組成物」は、本明細書において、単一分子組成の抗体分子の調製物を指す。モノクローナル抗体組成物は、特定のエピトープに対して単一の結合特異性および親和性を提示する。
【0094】
用語「ヒト抗体」または「完全ヒト抗体」は、本明細書において、フレームワーク領域およびCDR領域がともにヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変領域を有する抗体を含むことが意図されている。さらに、抗体が定常領域を含有する場合、定常領域もヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する。本開示のヒト抗体またはその抗原結合部分は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列によってコードされないアミノ酸残基(例えば、in vitroでのランダムもしくは部位特異的な突然変異誘発によって、またはin vivoでの体細胞突然変異によって導入される突然変異)を含むことができる。しかし、用語「ヒト抗体」は、本明細書において、マウスなど別の哺乳動物種の生殖系列に由来するCDR配列がヒトフレームワーク配列上に移植された抗体を含むように意図されていない。
【0095】
用語「ヒトモノクローナル抗体」または「完全ヒトモノクローナル抗体」は、フレームワーク領域およびCDR領域がともにヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変領域を有する単一結合特異性を提示する抗体を指す。一実施形態では、ヒトモノクローナル抗体は、ヒト重鎖導入遺伝子および軽鎖導入遺伝子を含むゲノムを有するトランスジェニック非ヒト動物、例えば、トランスジェニックマウスから得られるB細胞を含むハイブリドーマによって生成され、この場合、B細胞は、不死化細胞に融合されている。
【0096】
用語「組換えヒト抗体」は、本明細書において、組換え手段によって調製、発現、創製、または単離される全てのヒト抗体、例えば、(a)ヒト免疫グロブリン遺伝子についてトランスジェニックもしくは導入染色体性である動物(例えば、マウス)、またはそれから調製されるハイブリドーマから単離される抗体(以下にさらに記載する)、(b)ヒト抗体を発現するように形質転換された宿主細胞から、例えば、トランスフェクトーマから単離される抗体、(c)組換えコンビナトリアルヒト抗体ライブラリーから単離される抗体、および(d)ヒト免疫グロブリン遺伝子配列を他のDNA配列にスプライシングする任意の他の手段によって調製、発現、創製、または単離される抗体などを含む。このような組換えヒト抗体は、フレームワーク領域およびCDR領域がヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変領域を有する。しかし、ある特定の実施形態では、このような組換えヒト抗体は、in vitro突然変異誘発(またはヒトIg配列についてトランスジェニックな動物が使用される場合、in vivo体細胞突然変異誘発)に付すことができ、したがって、組換え抗体のVHおよびVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖系列VHおよびVL配列に由来し、関連しながら、in vivoでヒト抗体生殖系列レパートリー内に天然に存在することができない配列である。
【0097】
本明細書において、「アイソタイプ」または「クラス」は、重鎖定常領域遺伝子によってコードされる抗体クラス(例えば、IgMまたはIgG)を指す。抗体の定常ドメインは、抗原に結合しないが、様々なエフェクター機能を呈する。重鎖定常領域のアミノ酸配列に応じて、所与のヒト抗体または免疫グロブリンは、免疫グロブリンの5つの主要クラス、IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMの1つに割り当てることができる。免疫グロブリンの異なるクラスの構造および3次元立体配置は周知である。様々なヒト免疫グロブリンクラスのうちで、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、およびIgMのみが補体を活性化することが知られている。ヒトIgG1およびIgG3は、ヒトにおいてADCCを媒介することが知られている。
【0098】
本明細書において、「サブクラス」は、重鎖定常領域遺伝子のアイソタイプ内のさらなる特定化、例えば、IgGアイソタイプ内のIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4サブクラスを指す。
【0099】
語句「抗原を認識する抗体」および「抗原に特異的な抗体」は、用語「抗原に特異的に結合する抗体」とともに本明細書で互換的に使用される。
【0100】
用語「抗体依存性細胞傷害」または「ADCC」は、非特異的な細胞傷害性細胞(例えば、NK細胞、好中球、マクロファージなど)が標的細胞上に結合した抗体を認識し、引き続いて標的細胞を溶解させる細胞媒介反応を指す。ADCCを媒介するこのような細胞傷害性細胞は一般に、Fc受容体(FcR)を発現する。ADCCを媒介するための初代細胞(NK細胞)は、FcγRIIIを発現し、一方、単球は、FcγRI、FcγRII、FcγRIII、および/またはFcγRIVを発現する。造血細胞上のFcR発現は、RavetchおよびKinet、Annu.Rev.Immunol.、9:457~92(1991)に要約されている。分子のADCC活性を評価するために、米国特許第5,500,362号または同第5,821,337号に記載されたものなどのin vitro ADCCアッセイを実施することができる。このようなアッセイに有用なエフェクター細胞としては、末梢血単核細胞(PBMC)およびナチュラルキラー(NK)細胞がある。代替としてまたは追加的に、対象の分子のADCC活性を、in vivoで、例えば、Clynesら、1998、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、95:652~656に開示されたものなどの動物モデルにおいて評価することができる。
【0101】
用語「Fc受容体」または「FcR」は、抗体のFc領域であって、ヒンジ領域ならびに重鎖のCH2およびCH3ドメインを含む、Fc領域に結合する受容体を記述するのに使用される。例えば、FcRは、天然配列ヒトFcRであり得る。FcRは、IgG抗体に結合するもの(ガンマ受容体)であり得、FcγRI、FcγRII、FcγRIII、およびFcγRIVサブクラスの受容体を含み、これらの受容体の対立遺伝子バリアントおよび選択的にスプライスされた形態を含む。FcγRII受容体には、FcγRIIA(「活性化受容体」)およびFcγRIIB(「阻害受容体」)が含まれ、これらは、その細胞質ドメインが主に異なる類似のアミノ酸配列を有する。活性化受容体FcγRIIAは、その細胞質ドメイン内に免疫受容体チロシンベース活性化モチーフ(ITAM)を含有する。阻害受容体FcγRIIBは、その細胞質ドメイン内に免疫受容体チロシンベース阻害モチーフ(ITIM)を含有する(Daeron、1997、Annu.Rev.Immunol.、15:203~234を参照)。FcRは、RavetchおよびKinet、1991、Annu.Rev.Immunol.、9:457~92;Capelら、1994、Immunomethods、4:25~34;de Haasら、1995、J.Lab.Clin.Med.、126:330~341;およびNimmerjahnら、2005、Immunity、23:2~4に総説されている。将来同定されるものを含めた他のFcRも、本明細書で用語「FcR」によって包含されている。この用語は、新生児受容体、FcRnも含み、これは、母系性IgGの胎児への移動に関与する(Guyerら、1976、Immunol.、117:587;およびKimら、1994、J.Immunol.、24:249)。免疫グロブリンFc断片上の主要FcR結合部位は、CH1とCH2との間のヒンジ領域内に存在する。このヒンジ領域は、様々な白血球上のFcR1~3と相互作用し、これらの細胞に標的を攻撃することを誘発する。(Winesら、2000、J.Immunol.、164:5313~5318)。ヒンジ領域は、それだけに限らないが、米国特許第6,165,476号に記載の配列を包含する。
【0102】
用語「抗体依存性細胞傷害(ADCC)を誘導することができる」は、当業者に公知のアッセイ(複数可)によって測定した場合、ADCCを示す、抗体などの作用物質の能力を指す。このような活性は、典型的にはFc領域の様々なFcRとの結合によって特徴付けられる。いずれの特定の機構によっても制限されることなく、抗体がADCCを示す能力は、例えば、そのサブクラス(IgG1もしくはIgG3など)、Fc領域内に導入された突然変異、または抗体のFc領域内の炭水化物パターンへの修飾によるものであり得ることを当業者は認識するであろう。このような修飾は、例えば、米国特許公開第2007/0092521号に記載されている。
【0103】
用語「ヒト抗体誘導体」は、ヒト抗体の任意の修飾型、例えば、抗体と別の作用物質または抗体とのコンジュゲートを指す。
【0104】
用語「ヒト化抗体」は、マウスなどの別の哺乳動物種の生殖系列に由来するCDR配列がヒトフレームワーク配列上に移植された抗体を指すように意図されている。追加のフレームワーク領域修飾をヒトフレームワーク配列内で行うことができる。
【0105】
語句「特異的に結合する」は、本明細書において、特定の分子を認識および結合するが、試料中の他の分子を実質的に認識または結合しない化合物、例えば、タンパク質、核酸、抗体などを意味する。例えば、試料中の同族リガンド(例えば、その同族抗原、IgEに結合する抗IgE抗体)を認識および結合するが、試料中の他の分子を実質的に認識または結合しない抗体またはペプチド阻害剤。したがって、指定されたアッセイ条件下で、特定された結合部分(例えば、抗体またはその抗原結合部分)は、特定の標的分子、例えば、IgEに優先的に結合し、検査試料中に存在する他の成分に著しい量で結合しない。対象の分子に特異的に結合する抗体を選択するのに、様々なアッセイ形式を使用することができる。例えば、固相ELISAイムノアッセイ、免疫沈降、BIAcore、FACS、およびウエスタンブロット分析は、IgEと特異的に反応する抗体を同定するのに使用され得る多くのアッセイの中にある。典型的には、特異的または選択的な反応は、バックグラウンドシグナルまたはノイズの少なくとも2倍、より典型的には、バックグラウンドの10倍超となり、さらにより具体的には、抗体は、平衡解離定数(KD)が1μM以下、好ましくは、100nM以下、最も好ましくは、10nM以下であるとき、抗原に「特異的に結合する」と言われる。
【0106】
用語「結合親和性」は、2つの分子、例えば、抗体またはその断片と抗原との間の非共有結合性相互作用の強度の尺度として本明細書で使用する。用語「結合親和性」は、一価の相互作用(内在活性)を記述するのに使用される。
【0107】
一価の相互作用による2つの分子、例えば、抗体またはその断片と抗原との間の結合親和性は、解離定数(KD)の判定によって定量化することができる。さらに、KDは、複合体形成および解離の動態の測定によって、例えば、SPR法(Biacore)によって求めることができる。一価複合体の会合および解離に対応する速度定数は、それぞれ、会合速度定数ka(またはkon)および解離速度定数kd(またはkoff)と呼ばれる。KDは、式KD=kd/kaによってkaおよびkdと関連している。
【0108】
上記定義に従って、異なる分子相互作用に伴う結合親和性、例えば、所与の抗原に対する異なる抗体の結合親和性の比較は、個々の抗体/抗原複合体のKD値の比較によって比較することができる。
【0109】
同様に、相互作用の特異性は、対象の相互作用、例えば、抗体と抗原との特異的相互作用のKD値を求め、この値を、対象でない相互作用のKD値と比較することによって評価することができる。
【0110】
用語「kon」は、本明細書において、特定の抗体-抗原または受容体-リガンド相互作用のオンレートまたは会合速度を指すように意図されており、一方、用語「koff」は、本明細書において、特定の抗体-抗原/受容体-リガンド相互作用のオフレートまたは解離速度を指すように意図されている。用語「KD」は、本明細書において、koffとkonの比(すなわち、koff/kon)から得られ、モル濃度(M)として表される解離定数を指すように意図されている。抗体または他の結合パートナーのKD値は、当技術分野で十分確立された方法を使用して求めることができる。KDを求めるための一方法は、典型的にはBiacore(登録商標)システムなどのバイオセンサーシステムを使用して、表面プラズモン共鳴を使用することによるものである。
【0111】
用語「キメラ抗体」は、本明細書において、2種以上の異なる抗体に由来する領域を含む抗体を意味する。ある特定の実施形態では、「キメラ抗体」は、1つの種に由来する可変領域配列および別の種に由来する定常領域配列を含み、例えば、可変領域配列がマウス抗体に由来し、定常領域配列がヒト抗体に由来する抗体などである。一実施形態では、CDRの1つまたは複数は、マウス抗ヒト腫瘍抗原抗体に由来する。別の実施形態では、CDRの全てがマウス抗ヒト腫瘍抗原抗体に由来する。別の実施形態では、1種を超えるマウス抗ヒト腫瘍抗原抗体に由来するCDRが、キメラヒト抗体内で組み合わされる。例えば、キメラ抗体は、第1のマウス抗ヒト腫瘍抗原抗体の軽鎖に由来するCDR1、第2のマウス抗ヒト腫瘍抗原抗体の軽鎖に由来するCDR2、および第3のマウス抗ヒト腫瘍抗原抗体の軽鎖に由来するCDR3を含むことができ、重鎖に由来するCDRは、1種または複数の他の抗ヒト腫瘍抗原抗体に由来し得る。さらに、フレームワーク領域は、同じマウス抗ヒト腫瘍抗原抗体の1つ、または1種もしくは複数の異なるマウスに由来し得る。
【0112】
さらに、本明細書で先に論じたように、キメラ抗体は、1種を超える種の生殖系列配列に由来する部分を含む抗体を含む。
【0113】
「糖型」は、様々な炭水化物単位の連結を含む複合オリゴ糖構造を指す。このような構造は、例えば、Essentials of Glycobiology、Varkiら編、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、NY(1999)に記載されており、この文献は、標準的な糖鎖生物学命名法の総説も提供している。このような糖型としては、それだけに限らないが、G2、G1、G0、G-1、およびG-2がある(例えば、国際特許公開第WO99/22764号を参照)。
【0114】
「グリコシル化パターン」は、タンパク質に共有結合している炭水化物単位のパターン(例えば、糖型)、および糖型(複数可)がタンパク質のペプチド骨格、より具体的には、免疫グロブリンタンパク質に共有結合している部位(複数可)として定義される。
【0115】
異なる細胞系によって、またはトランスジェニック動物内で発現される抗体は、互いに比較して異なる糖型および/またはグリコシル化パターンを有することになる可能性が高い。しかし、本明細書に提供される核酸分子によってコードされ、または本明細書に提供されるアミノ酸配列を含む全ての抗体は、抗体のグリコシル化にかかわらず、本発明の一部である。
【0116】
「抗体-薬物コンジュゲート」は、本明細書において、細胞傷害性または細胞増殖抑制性の薬物/作用物質に共有結合的に連結された抗体または抗体の部分を指し、ここで薬物/作用物質は、「ペイロード」とも本明細書で呼ばれる。抗体および薬物は、直接連結することができ、またはこれらは、「リンカー」と呼ばれる部分を介して連結することができる。
【0117】
用語「有効量」または「治療有効量」とは、本明細書において、哺乳動物、好ましくはヒトに投与されるとき、化合物の非存在下で検出される応答と比較して、検出可能な治療応答を媒介する量を意味する。治療応答、例えば、それだけに限らないが、腫瘍増殖、腫瘍サイズ、転移などの阻害および/または減少などは、例えば、本明細書に開示の方法などを含めた、多数の当技術分野で認められている方法によって容易に評価することができる。
【0118】
本明細書の投与される化合物または組成物の有効量は、様々であり、いくつかの要因、例えば、治療される疾患または状態、疾患の段階、治療される哺乳動物の年齢および健康および身体状態、疾患の重症度、投与される特定の化合物、抗体-薬物コンジュゲートの標的の発現/利用可能性のレベルなどに基づいて容易に決定され得ることを、当業者は理解するはずである。
【0119】
用語「競合する」とは、抗体に関して本明細書で使用する場合、第1の抗体またはその抗原結合部分が、第2の抗体またはその抗原結合部分と結合を競合することを意味し、この場合、第1の抗体のその同族エピトープとの結合は、第2の抗体の非存在下での第1の抗体の結合と比較して、第2の抗体の存在下で検出可能な程度に減少する。第2の抗体のそのエピトープへの結合も第1の抗体の存在下で検出可能な程度に減少する代替の様式は、そうであってもよいが、そうである必要はない。すなわち、第1の抗体は、第2の抗体のそのエピトープへの結合を、その第2の抗体が第1の抗体のそのそれぞれのエピトープへの結合を阻害することなく阻害することができる。しかし、各抗体が、他の抗体のその同族エピトープまたはリガンドとの結合を、同じ程度であっても、より大きい程度であっても、より小さい程度であっても、検出可能な程度に阻害する場合、抗体は、これらのそれぞれのエピトープ(複数可)の結合を互いに「交差競合する」と言われる。例えば、交差競合抗体は、本発明で使用される抗体が結合するエピトープまたはエピトープの部分に結合することができる。競合抗体および交差競合抗体の両方の使用は、本発明によって包含されている。このような競合または交差競合が起こる機構(例えば、立体障害、コンホメーション変化、または共通エピトープもしくはその部分への結合など)にかかわらず、当業者は、本明細書に提供される教示に基づいて、このような競合抗体および/または交差競合抗体は、包含されており、本明細書に開示の方法に有用であり得ることを理解するはずである。
【0120】
用語「エピトープ」は、免疫グロブリンまたはT細胞受容体に特異的に結合することができる任意のタンパク質決定基を含む。エピトープ決定基は通常、アミノ酸または糖側鎖などの分子の化学的に活性な表面基からなり、通常、特定の3次元構造的特徴、および特定の帯電の特徴を有する。コンフォメーショナルおよび非コンフォメーショナルエピトープは、後者ではなく前者への結合が変性溶媒の存在下で喪失されるという点で区別される。
【0121】
「説明資料」は、その用語を本明細書で使用する場合、本明細書に列挙される様々な疾患または障害に影響し、これらを軽減または治療するために、キット内の本発明の化合物、組合せ、および/または組成物の有用性を伝えるのに使用され得る表現の刊行物、記録、図、または任意の他の媒体を含む。任意選択により、または代わりに、説明資料は、本明細書に他で開示するものを含めて、細胞、組織、または哺乳動物内で疾患または障害を軽減する1つまたは複数の方法を記述することができる。
【0122】
キットの説明資料は、例えば、本発明の化合物および/もしくは組成物を含有する容器に貼ってもよく、または化合物および/もしくは組成物を含有する容器と一緒に出荷してもよい。代わりに、説明資料は、レシピエントが説明資料および化合物を協調的に使用するという意図で、容器と別個に出荷してもよい。
【0123】
注記したときを除き、用語「患者」または「対象」は、互換的に使用され、哺乳動物、例えば、ヒト患者および非ヒト霊長類、ならびに獣医対象、例えば、ウサギ、ラット、およびマウスなど、ならびに他の動物を指す。好ましくは、患者は、ヒトを指す。
【0124】
ポリペプチド配列を描くのに慣例的な表示法を本明細書で使用し、ポリペプチド配列の左端は、アミノ末端であり、ポリペプチド配列の右端は、カルボキシル末端である。
【0125】
語句「特異的に結合する」とは、本明細書において、特定の分子を認識および結合するが、試料中の他の分子を実質的に認識または結合しない化合物、例えば、タンパク質、核酸、抗体などを意味する。例えば、試料中の同族リガンドまたは結合パートナー(例えば、腫瘍抗原に結合する抗ヒト腫瘍抗原抗体)を認識および結合するが、試料中の他の分子を実質的に認識または結合しない抗体またはペプチド受容体。したがって、指定されたアッセイ条件下で、特定された結合部分(例えば、抗体もしくはその抗原結合部分、または受容体もしくはそのリガンド結合部分)は、特定の標的分子に優先的に結合し、検査試料中に存在する他の成分に著しい量で結合しない。対象の分子に特異的に結合する抗体またはペプチドを選択するのに、様々なアッセイ形式を使用することができる。例えば、固相ELISAイムノアッセイ、免疫沈降、BIAcore(商標)(GE Healthcare、Piscataway、NJ)、蛍光活性化細胞分類(FACS)、Octet(商標)(ForteBio,Inc.、Menlo Park、CA)、およびウエスタンブロット分析は、同族リガンドまたは結合パートナーと特異的に結合する抗原もしくは受容体またはそのリガンド結合部分と特異的に反応する抗体を同定するのに使用され得る多くのアッセイの中にある。典型的には、特異的または選択的な反応は、バックグラウンドシグナルまたはノイズの少なくとも2倍、より典型的には、バックグラウンドの10倍超となり、さらにより具体的には、抗体は、平衡解離定数(KD)が1μM以下、好ましくは、100nM以下、最も好ましくは、10nM以下であるとき、抗原に「特異的に結合する」と言われる。
【0126】
「ADCC」または「抗体依存性細胞媒介性細胞傷害」とは、本明細書において、FcガンマRを発現する非特異的な細胞傷害性細胞が標的細胞上に結合した抗体を認識し、引き続いて標的細胞を溶解させる細胞媒介反応を意味する。対象の分子のADCC活性は、米国特許第5,500,362号または同第5,821,337号に記載されたものなどのin vitro ADCCアッセイを使用して評価することができる。このようなアッセイに有用なエフェクター細胞としては、末梢血単核細胞(PBMC)およびナチュラルキラー(NK)細胞がある。代替としてまたは追加的に、対象の分子のADCC活性を、in vivoで、例えば、Clynesら、1998、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、95:652~656に開示されたものなどの動物モデルにおいて評価することができる。
【0127】
「ADCP」または「抗体依存性細胞媒介性食作用」とは、本明細書において、FcガンマRを発現する非特異的な細胞傷害性細胞が標的細胞上に結合した抗体を認識し、引き続いて標的細胞の食作用を引き起こす細胞媒介反応を意味する。
【0128】
「CDC」または「補体依存性細胞傷害」は、補体の存在下での標的細胞の溶解を指す。補体活性化経路は、同族抗原と複合体形成した分子(例えば、抗体)への補体系の第1成分(C1q)の結合によって開始される。補体活性化を評価するために、それだけに限らないが、Gazzano-Santoroら、1996、J. Immnol.Methods、202:163に記載されたアッセイなどのCDCアッセイを実施することができる。
【0129】
ヒトIgG Fc領域の「CH2ドメイン」(「Cγ2」ドメインとも呼ばれる)は通常、アミノ酸約231~アミノ酸約340に及ぶ。CH2ドメインは、別のドメインと密接に対形成しないという点でユニークである。むしろ、2本のN連結型分枝状炭水化物鎖が、インタクトな天然IgG分子の2つのCH2ドメイン間で介在している。炭水化物は、ドメイン-ドメイン対形成の代替をもたらし、CH2ドメインを安定化するのに役立つことができると推測されている。Burton、Molec.Immunol.、22:161~206(1985)。
【0130】
「CH3ドメイン」は、Fc領域内のC末端~CH2ドメインの残基のストレッチ(すなわち、IgGのアミノ酸残基約341~アミノ酸残基約447)を含む。
【0131】
用語「エフェクター機能」は、この用語を本明細書で使用する場合、抗体のFc領域に起因し、またはこれによって媒介される生物活性を指す。例示的な「エフェクター機能」としては、それだけに限らないが、C1q結合、補体依存性細胞傷害(CDC)、Fc受容体結合、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)、抗体依存性細胞媒介性食作用(ADCP)、細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体;BCR)の下方制御などがある。例えば、米国特許第6,737,056号を参照。このようなエフェクター機能は一般に、Fc領域が結合ドメイン(例えば、抗体可変ドメイン)と組み合わされる必要があり、このような抗体エフェクター機能を評価するための、例えば、本明細書に開示した様々なアッセイ、および当技術分野で公知のアッセイを使用して評価することができる。
【0132】
「Fc融合物」または「Fc融合タンパク質」とは、本明細書において、1種または複数のポリペプチドがFc領域またはその誘導体に作動可能に連結されているタンパク質を意味する。Fc融合物は、先行技術(Chamowら、1996、Trends Biotechnol.、14:52~60;Ashkenaziら、1997、Curr.Opin.Immunol.、9:195~200)で使用された用語「イムノアドヘシン」、「Ig融合物」、「Igキメラ」、および「受容体グロブリン」(時に-を含む)と同義であるように本明細書で意味する。Fc融合では、免疫グロブリンのFc領域が、一般に任意のタンパク質または低分子であり得る融合パートナーと組み合わされる。Fc融合物の非Fc部分、すなわち、融合パートナーの役割は、標的結合を媒介することであり、したがってこれは、抗体の可変領域に機能的に類似している。実質的に任意のタンパク質または低分子をFcポリペプチドに連結してFc融合物を生成することができる。タンパク質融合パートナーとして、それだけに限らないが、受容体の標的結合領域、接着分子、リガンド、酵素、サイトカイン、ケモカイン、またはいくつかの他のタンパク質もしくはタンパク質ドメインを挙げることができる。低分子融合パートナーとして、Fc融合物を治療標的に向ける任意の治療剤を挙げることができる。このような標的は、疾患に関係づけられる任意の分子、好ましくは細胞外受容体であり得る。
【0133】
「IgG」とは、本明細書において、認識された免疫グロブリンガンマ遺伝子によって実質的にコードされる抗体のクラスに属するポリペプチドを意味する。ヒトでは、このクラスは、IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4を含む。マウスでは、このクラスは、IgG1、IgG2a、IgG2b、IgG3を含む。本明細書で「免疫グロブリン(Ig)」とは、免疫グロブリン遺伝子によって実質的にコードされる1種または複数のポリペプチドからなるタンパク質を意味する。免疫グロブリンとしては、それだけに限らないが、抗体がある。免疫グロブリンは、それだけに限らないが、完全長抗体、抗体断片、および個々の免疫グロブリンドメインを含めたいくつかの構造形態を有し得る。本明細書で「免疫グロブリン(Ig)ドメイン」とは、タンパク質構造の技術分野における当業者が確認した別個の構造エンティティとして存在する免疫グロブリンの領域を意味する。Igドメインは、典型的には特徴的な折り畳みトポロジーを有する。抗体のIgGクラス内の公知のIgドメインは、可変重鎖ドメイン(VH)、Cγ1とCγ2の間にヒンジ領域を含むCγドメインをともに含む重鎖定常ドメイン、すなわち、Cγ1、Cγ2、Cγ3、軽鎖(VL)の可変ドメイン(VL)、ならびにヒトにおいて、カッパ(Cκ)またはラムダ(Cλ)軽鎖定常ドメインを含む軽鎖の定常ドメイン(CL)である。典型的には、「Fcポリペプチド」は、この用語を本明細書で使用する場合、Cγ2およびCγ3ドメインを含み、ヒンジドメインの少なくとも一部を含むことができ、しかし通常、Cγ1ドメイン全体を含まない。
【0134】
「親ポリペプチド」または「前駆体ポリペプチド」(Fc親または前駆体を含む)とは、本明細書において、引き続いて修飾されてバリアントまたは突然変異体を生成するポリペプチドを意味する。前記親ポリペプチドは、天然に存在するポリペプチド、または天然に存在するポリペプチドのバリアントもしくは操作されたバージョンであり得る。親ポリペプチドは、ポリペプチド自体、親ポリペプチドを含む組成物を指すことができ、ポリペプチドのアミノ酸配列を指すことができ、またはそれをコードする核酸配列を指すことができる。したがって、「親Fcポリペプチド」とは、本明細書において、修飾されてバリアントを生成する無修飾Fcポリペプチドを意味し、「親抗体」とは、本明細書において、修飾されてバリアント抗体を生成する無修飾抗体を意味する。
【0135】
本明細書において、用語「野生型アミノ酸」、「野生型IgG」、「野生型抗体」、または「野生型mAb」は、ある特定の集団(例えば、ヒト、マウス、ラット、細胞など)内で天然に存在するアミノ酸または核酸の配列を指す。
【0136】
上記に概説したように、Fc分子のある特定の位置を変更することができる。「位置」とは、本明細書において、タンパク質の配列中の1つの場所を意味する。位置は、逐次に、または確立された形式、例えば、KabatにおけるEUインデックスに従って番号付けることができる。例えば、297位は、ヒト抗体IgG1内の1つの位置である。対応する位置は、一般に、他の親配列とのアラインメントによって、上記に概説したように求められる。
【0137】
「残基」とは、本明細書において、タンパク質中の位置およびその付随するアミノ酸素性を意味する。例えば、アスパラギン297(Asn297とも呼ばれ、N297とも呼ばれる)は、ヒト抗体IgG1内の1つの残基である。
【0138】
「標的抗原」とは、本明細書において、所与の抗体の可変領域によって特異的に結合される分子を意味する。標的抗原は、タンパク質、炭水化物、脂質、または他の化学化合物であり得る。
【0139】
「標的細胞」とは、本明細書において、標的抗原を発現する細胞を意味する。
【0140】
「可変領域」とは、本明細書において、それぞれ、カッパ、ラムダ、および重鎖免疫グロブリン遺伝子座を構成するVカッパ、Vラムダ、および/またはVH遺伝子のいずれかによって実質的にコードされる1種または複数のIgドメインを含む免疫グロブリンの領域を意味する。
【0141】
「バリアントポリペプチド」とは、本明細書において、少なくとも1つのアミノ酸修飾によって親ポリペプチド配列のものと異なるポリペプチド配列を意味する。バリアントポリペプチドは、ポリペプチド自体、ポリペプチドを含む組成物、またはそれをコードするアミノ配列を指すことができる。好ましくは、バリアントポリペプチドは、親ポリペプチドと比較して少なくとも1つのアミノ酸修飾、例えば、親と比較して約1~約10のアミノ酸修飾、好ましくは約1~約5のアミノ酸修飾を有する。本明細書でバリアントポリペプチド配列は、好ましくは、親ポリペプチド配列と少なくとも約80パーセントの相同性、最も好ましくは、親ポリペプチド配列と、少なくとも約90パーセントの相同性、より好ましくは、少なくとも約95パーセントの相同性、さらにより好ましくは、少なくとも約97%の相同性、より好ましくは、少なくとも約98%の相同性、なおより好ましくは、少なくとも約99%の相同性を有することになる。したがって、「Fcバリアント」とは、本明細書において、少なくとも1つのアミノ酸修飾によって親Fc配列のものと異なるFc配列を意味する。Fcバリアントは、Fc領域を包含するだけである場合があり、または抗体、Fc融合物、もしくはFcによって実質的にコードされる他のポリペプチドとの関連で存在し得る。Fcバリアントは、Fcポリペプチド自体、Fcバリアントポリペプチドを含む組成物、Fcポリペプチドのアミノ酸配列、またはそれをコードする核酸配列を指すことができる。好ましい実施形態では、本発明のバリアントタンパク質は、本明細書に記載のFcバリアントを含み、したがって、Fcバリアントを有する抗体(および対応する誘導体)、またはFcバリアントを含むFc融合タンパク質を含むことができる。さらに、いくつかの場合では、Fcは、野生型Fc、または「親」バリアントと比較してバリアントである。
【0142】
本発明で論じる全ての重鎖定常領域アミノ酸位置に関して、番号付けは、配列決定された最初のヒトIgG1である骨髄腫タンパク質Euのアミノ酸配列を記載しているEdelmanら、1969、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、63(1):78~85に最初に記載されたEuインデックスに従う。EdelmanらのEuインデックスは、Kabatら、1991、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、米国公衆衛生局、国立衛生研究所、Bethesdaにも示されている。したがって、「Kabatに示されたEUインデックス」、または「KabatのEUインデックス」は、Kabat、1991に示されたEdelmanらのヒトIgG1 Eu抗体に基づく残基番号付けシステムを指す。
【0143】
軽鎖定常領域アミノ酸配列に使用される番号付けシステムは、Kabat、1991に示されたものである。
【0144】
本明細書において、「実質的に純粋な」は、目的種が、存在する支配的な種であり(すなわち、モルに基づいて、これが、組成物中の任意の他の個々の種より豊富である)、好ましくは、実質的に精製された画分が組成物であって、目的種(例えば、抗体または受容体を含めた糖タンパク質)が、存在する全ての巨大分子種の少なくとも約50パーセント(モルに基づいて)を占める、組成物であることを意味する。一般に、実質的に純粋な組成物は、組成物中に存在する全ての巨大分子種の約80パーセント超、より好ましくは、約85%超、90%超、95%超、および99%超を占めることになる。最も好ましくは、目的種は、本質的に均質になるまで精製され(混入物種が慣例的な検出法によって組成物中に検出され得ない)、組成物は、単一の巨大分子種から本質的になる。
【0145】
本明細書において、「治療する」は、疾患の症状(すなわち、腫瘍増殖および/もしくは転移、または免疫細胞の数および/もしくは活性によって媒介される他の効果など)が、患者によって経験される頻度を低減することを意味する。この用語は、疾患の症状、合併症、もしくは生化学的徴候の開始を防止し、もしくは遅延させるために本発明の化合物もしくは作用物質を投与すること、症状を軽減すること、または疾患、状態、もしくは障害のさらなる発達を阻止もしくは阻害することを含む。治療は、予防的であり得(疾患の開始を防止し、もしくは遅延させるため、またはその臨床的もしくは準臨床的症状の顕在化を防止するため)、または疾患が顕在化した後の症状の治療的抑制もしくは軽減であり得る。
【0146】
「併用療法」は、維持期を含んでもよい特定の治療レジメンの一部としての抗体-薬物コンジュゲートおよび別の治療剤の、これらの治療剤の共作用から有益な効果をもたらすように意図された投与を包含する。併用の有益な効果としては、それだけに限らないが、治療剤の併用から生じる薬物動態学的または薬力学的な共作用がある。併用におけるこれらの治療剤の投与は、典型的には規定された時間(通常、選択される組合せに応じて数分、数時間、数日、または数週間)にわたって実施される。「併用療法」は一般に、本発明の組合せを偶発的に任意でもたらす別個の単剤療法レジメンの一部としてのこれらの治療剤の2種以上の投与を包含するように意図されていない。
【0147】
「併用療法」は、逐次様式での、すなわち各治療剤が異なる時間に投与される、これらの治療剤の投与、および実質的に同時の様式での、これらの治療剤、または治療剤の少なくとも2種の投与を包含する。各治療剤の逐次投与または実質的に同時の投与は、それだけに限らないが、経口経路、静脈内経路、筋肉内、皮下経路、および粘膜組織による直接吸収を含めた、任意の適切な経路によって行うことができる。治療剤は、同じ経路または異なる経路によって投与することができる。例えば、第1の治療剤(例えば、化学療法剤)を経口投与することができ、第2の作用物質(例えば、ADC)を静脈内投与することができる。さらに、選択された組合せの第1の治療剤を静脈内注射によって投与してもよく、一方、組合せの他の治療剤を経口投与してもよい。代わりに、例えば、治療剤をともに静脈内注射または皮下注射によって投与してもよい。
【0148】
本明細書では、用語「逐次の」は、別段の指定のない限り、規則的な順序または順番によって特徴付けられることを意味し、例えば、投薬レジメンがADCおよび化学療法剤の投与を含む場合、逐次投薬レジメンは、化学療法剤を投与する前、同時、実質的に同時、または後のADCの投与を含み得るが、両作用物質は、規則的な順序でまたは順番に投与されることになる。用語「分離する」は、別段の指定のない限り、一方を他方から離して保つことを意味する。用語「同時に」は、別段の指定のない限り、同じ時間に起こり、または行われることを意味し、すなわち、本発明の化合物は、同じ時間に投与される。用語「実質的に同時に」は、化合物が互いに数分以内(例えば、互いに10分以内)に投与されることを意味し、共同投与および連続投与を包含するように意図するが、投与が連続している場合、これは、ほんの短い期間(例えば、医師が2種の化合物を別個に投与するのに要する時間)にわたって時間が離れている。本明細書において、同時的投与および実質的に同時の投与は、互換的に使用される。逐次投与は、ADCおよび化学療法剤の時間的に離れた投与を指す。
【0149】
「併用療法」は、他の生物学的に活性な成分(それだけに限らないが、第2の異なる抗新生物剤、樹状細胞ワクチン、または他の腫瘍ワクチンなど)、および非薬物療法(それだけに限らないが、手術または放射線治療など)とさらに組み合わせた、上述した治療剤の投与も包含し得る。併用療法が放射線治療をさらに含む場合、放射線治療は、治療剤と放射線治療の組合せの共作用からの有益な効果が実現される限り、任意の適当な時間に行うことができる。例えば、適切な場合では、有益な効果は、放射線治療が治療剤の投与からおそらく数日、またはさらには数週間、時間的に離れているときでも依然として実現される。
【0150】
本明細書において、「薬学的に許容できる担体」は、生理学的に適合した任意の、および全ての溶媒、分散媒質、被覆、抗細菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などを含む。薬学的に許容できる担体の例としては、水、生理食塩水、リン酸緩衝溶液、デキストロース、グリセロール、エタノールなど、およびこれらの組合せの1種または複数がある。多くの場合では、組成物中に等張剤、例えば、糖、多価アルコール、例えば、マンニトール、ソルビトールなど、または塩化ナトリウムを含むことが好ましいであろう。タンパク質またはその部分の保存可能期間または有効性を増強する薬学的に許容できる物質、例えば、湿潤量または軽微な量の補助物質、例えば、湿潤剤もしくは乳化剤、保存剤、または緩衝剤なども、組成物中に含まれていてもよい。
【0151】
I.操作された抗体および抗体断片
本開示は、抗体の重鎖のCH2もしくはCH3ドメインの表面上、または軽鎖の定常ドメイン上におそらく存在する、またはさもなければ接近可能な特定の残基が、天然に存在する野生型アミノ酸の、例えば、システインとの置換にとって好適であり、したがって、様々な作用物質にコンジュゲートすることができる部位を操作するのに有用であるという知見に基づく。
【0152】
天然および/または非天然アミノ酸を含む、システイン以外の他のアミノ酸を、特に、様々な作用物質のコンジュゲーションを可能にする置換において用いることができる。そのような他のアミノ酸としては、リシン(Benharら(1994)Bioconjug.Chem.55:321~326に記載)、チロシン(ByersおよびBaldwin(1988)Immunol.65:329~335に記載)、ヒスチジン(Waibelら(1999)Nature Biotechnol.17:897~901に記載)、セレノシステイン、セレノメチオニン、および/または非天然アミノ酸が挙げられる。したがって、1個または複数個のシステイン置換が本明細書で記載される場合、当業者であれば、システインの代わりに1個または複数個のこれらの天然および/または非天然アミノ酸を任意選択で用いることができる。また、当業者であれば、いくつかの位置でシステインならびに任意の組合せで他の位置でリシン、チロシン、ヒスチジン、セレノシステイン、セレノメチオニン、および/または非天然アミノ酸が置換されたバリアント抗体を生成するためにシステインおよびリシンで置換することなど、アミノ酸の任意の組合せを置換において用いることもできる。
【0153】
アミノ酸改変を、当技術分野で公知の任意の方法により作製することができ、多くのそのような方法が当業者にとって周知であり、日常的である。例えば、限定されるものではないが、アミノ酸の置換、欠失および挿入を、任意の周知のPCRに基づく技術を用いて達成することができる。アミノ酸置換を、部位特異的突然変異誘発により作製することができる(例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれるZollerおよびSmith、1982、Nucl.Acids Res.10:6487~6500;Kunkel、1985、Proc.Natl.Acad.Sci USA 82:488を参照されたい)。
【0154】
いくつかの実施形態においては、本開示の操作されたFcポリペプチドを用いて、抗体またはその断片が、操作された残基(すなわち、野生型非改変Fcと比較して置換されたアミノ酸)で、様々な部分をコンジュゲートするのに用いることができる操作されたFc領域を含むような、抗体またはその抗原結合断片を調製することができる。
【0155】
いくつかの実施形態においては、本開示の操作されたカッパ軽鎖定常ポリペプチドを用いて、抗体またはその断片が、操作されたアミノ酸残基で、様々な部分をコンジュゲートするのに用いることができるアミノ酸突然変異、またはその一部を含む操作されたCL領域を含むような、抗体またはその抗原結合断片を調製することができる。
【0156】
操作された抗体定常領域
A.操作された重鎖定常領域
本発明は、限定されるものではないが、定常領域の番号付けシステムが、親、天然、または野生型抗体のKabatら(1991、NIH Publication 91-3242、National Technical Information Service、Springfield、VA、以後「Kabat」とする)に記載のEUインデックスのものである、抗体重鎖の位置:246、249、265、267、270、276、278、283、292、293、294、300、302、303、314、315、318、320、327、332、333、334、336、345、347、354、355、358、360、362、370、373、376、378、380、382、386、388、390、392、393、401、404、411、413、414、416、418、419、421、428、431、432、437、438、439、443、および444から選択される1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20個以上のアミノ酸が、別のアミノ酸(天然および非天然/合成アミノ酸を含む)で置換された、Fcポリペプチドなどの操作されたCγポリペプチドを包含する。
【0157】
例えば、システイン残基のFcポリペプチドにおける単一の置換は通常、IgG抗体分子のホモ二量体性質のため、得られるIgG抗体中の2個の対応する残基の提示をもたらすことに留意すべきである。したがって、得られる操作された本発明のIgG抗体は、薬物または化合物へのコンジュゲーションのために、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40個以上の反応性基を提示することができる。ある実施形態においては、1個または複数個の置換はシステイン残基によるものであり、得られる操作された抗体は薬物または化合物へのコンジュゲーションのために少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40個以上のチオール基を提示することができる。
【0158】
別の実施形態において、操作された抗体は、第2の操作されたFc領域に由来する異なる置換された位置を含む1つの操作されたFcポリペプチドを含む。すなわち、IgG抗体の二量体性質のため、およびヘテロ二量体抗体を調製するための様々な当技術分野で認識された方法が、特に、互いに異なる2つ以上のFc領域を含むため、本発明は、操作されていても、またはされていなくてもよい他のFc領域中には存在しないアミノ酸置換を含む少なくとも1つの操作されたFc領域を含む抗体を包含する。異なる突然変異を含むFc領域を含むヘテロ二量体抗体を作製するための方法は、当技術分野で周知であり、限定されるものではないが、Arathoonらの米国特許第7,183,076号で論じられた方法が挙げられる。
【0159】
いくつかの実施形態において、操作された抗体は、246、249、265、267、270、276、278、283、292、293、294、300、302、303、314、315、318、320、332、333、334、336、345、347、354、355、358、360、362、370、373、376、378、380、382、386、388、390、392、393、401、404、411、413、414、416、418、419、421、428、431、432、437、438、439、443、および444から選択される位置に少なくとも1個の置換を含む第1の操作されたFcポリペプチドを含み、操作されていない第2のFc領域をさらに含む、例えば、それは野生型IgG1のアミノ酸配列を含む。
【0160】
いくつかの実施形態において、操作された抗体は、246、249、265、267、270、276、278、283、292、293、294、300、302、303、314、315、318、320、332、333、334、336、345、347、354、355、358、360、362、370、373、376、378、380、382、386、388、390、392、393、401、404、411、413、414、416、418、419、421、428、431、432、437、438、439、443、および444から選択される位置に少なくとも1個の置換を含む第1の操作されたFcポリペプチドを含み、246、249、265、267、270、276、278、283、292、293、294、300、302、303、314、315、318、320、332、333、334、336、345、347、354、355、358、360、362、370、373、376、378、380、382、386、388、390、392、393、401、404、411、413、414、416、418、419、421、428、431、432、437、438、439、443、および444から選択される位置に少なくとも1個の置換を含む第2の操作されたFcポリペプチドをさらに含み、ここで第1の操作されたFcポリペプチド中に存在する置換は、第2の操作されたFcポリペプチド中に存在する置換ではない。
【0161】
いくつかの実施形態において、本開示の操作されたFcポリペプチドは、抗体の重鎖の246、249、265、267、270、276、278、283、292、293、294、300、302、303、314、315、318、320、332、333、334、336、345、347、354、355、358、360、362、370、373、376、378、380、382、386、388、390、392、393、401、404、411、413、414、416、418、419、421、428、431、432、437、438、439、443、および444から選択される位置に少なくとも1個の置換を含み、ここで定常領域の番号付けシステムは、Kabatら(上掲)に記載のEUインデックスのものである。
【0162】
いくつかの実施形態において、本開示の操作されたFcポリペプチドは、抗体の重鎖の246、249、265、267、270、276、278、283、292、293、294、300、302、303、314、315、318、320、332、333、334、336、345、347、354、355、358、360、362、370、373、376、378、380、382、386、388、390、392、393、401、404、411、413、414、416、418、419、421、428、431、432、437、438、439、443、および444から選択される位置に少なくとも2個の置換を含み、ここで定常領域の番号付けシステムは、Kabatら(上掲)に記載のEUインデックスのものである。
【0163】
他の実施形態において、本開示の操作されたFcポリペプチドは、抗体の重鎖の246、249、254、265、267、270、276、278、283、284、287、292、293、294、300、302、303、314、315、318、320、327、332、333、334、336、345、347、354、355、358、359、360、361、362、370、373、376、378、380、382、383、384、386、388、390、392、393、398、401、404、411、413、414、416、418、419、421、422、428、431、432、437、438、439、440、443、および444位から選択される少なくとも2個の置換を含み、ここで少なくとも1個の置換は、抗体の重鎖の246、249、265、267、270、276、278、283、292、293、294、300、302、303、314、315、318、320、332、333、334、336、345、347、354、355、358、360、362、370、373、376、378、380、382、386、388、390、392、393、401、404、411、413、414、416、418、419、421、428、431、432、437、438、439、443、および444位から選択され、定常領域の番号付けシステムは、Kabatら(上掲)に記載のEUインデックスのものである。
【0164】
他の実施形態において、本開示の操作されたFcポリペプチドは、抗体の重鎖の246、249、254、265、267、270、276、278、283、284、287、292、293、294、300、302、303、314、315、318、320、327、332、333、334、336、345、347、354、355、358、359、360、361、362、370、373、376、378、380、382、383、384、386、388、390、392、393、398、401、404、411、413、414、416、418、419、421、422、428、431、432、437、438、439、440、443、および444位から選択される少なくとも3個の置換を含み、ここで少なくとも1個の置換は、抗体の重鎖の246、249、265、267、270、276、278、283、292、293、294、300、302、303、314、315、318、320、332、333、334、336、345、347、354、355、358、360、362、370、373、376、378、380、382、386、388、390、392、393、401、404、411、413、414、416、418、419、421、428、431、432、437、438、439、443、および444位から選択され、定常領域の番号付けシステムは、Kabatら(上掲)に記載のEUインデックスのものである。
【0165】
他の実施形態において、本開示の操作されたFcポリペプチドは、抗体の重鎖の246、249、254、265、267、270、276、278、283、284、287、292、293、294、300、302、303、314、315、318、320、327、332、333、334、336、345、347、354、355、358、359、360、361、362、370、373、376、378、380、382、383、384、386、388、390、392、393、398、401、404、411、413、414、416、418、419、421、422、428、431、432、437、438、439、440、443、および444位から選択される少なくとも4個の置換を含み、ここで少なくとも1個の置換は、抗体の重鎖の246、249、265、267、270、276、278、283、292、293、294、300、302、303、314、315、318、320、332、333、334、336、345、347、354、355、358、360、362、370、373、376、378、380、382、386、388、390、392、393、401、404、411、413、414、416、418、419、421、428、431、432、437、438、439、443、および444位から選択され、定常領域の番号付けシステムは、Kabatら(上掲)に記載のEUインデックスのものである。
【0166】
他の実施形態において、本開示の操作されたFcポリペプチドは、抗体の重鎖の246、249、254、265、267、270、276、278、283、284、287、292、293、294、300、302、303、314、315、318、320、327、332、333、334、336、345、347、354、355、358、359、360、361、362、370、373、376、378、380、382、383、384、386、388、390、392、393、398、401、404、411、413、414、416、418、419、421、422、428、431、432、437、438、439、440、443、および444位から選択される少なくとも5個の置換を含み、ここで少なくとも1個の置換は、抗体の重鎖の246、249、265、267、270、276、278、283、292、293、294、300、302、303、314、315、318、320、332、333、334、336、345、347、354、355、358、360、362、370、373、376、378、380、382、386、388、390、392、393、401、404、411、413、414、416、418、419、421、428、431、432、437、438、439、443、および444位から選択され、定常領域の番号付けシステムは、Kabatら(上掲)に記載のEUインデックスのものである。
【0167】
他の実施形態において、本開示の操作されたFcポリペプチドは、抗体の重鎖の246、249、254、265、267、270、276、278、283、284、287、292、293、294、300、302、303、314、315、318、320、327、332、333、334、336、345、347、354、355、358、359、360、361、362、370、373、376、378、380、382、383、384、386、388、390、392、393、398、401、404、411、413、414、416、418、419、421、422、428、431、432、437、438、439、440、443、および444位から選択される少なくとも6個の置換を含み、ここで少なくとも1個の置換は、抗体の重鎖の246、249、265、267、270、276、278、283、292、293、294、300、302、303、314、315、318、320、332、333、334、336、345、347、354、355、358、360、362、370、373、376、378、380、382、386、388、390、392、393、401、404、411、413、414、416、418、419、421、428、431、432、437、438、439、443、および444位から選択され、定常領域の番号付けシステムは、Kabatら(上掲)に記載のEUインデックスのものである。
【0168】
他の実施形態において、本開示の操作されたFcポリペプチドは、抗体の重鎖の246、249、254、265、267、270、276、278、283、284、287、292、293、294、300、302、303、314、315、318、320、327、332、333、334、336、345、347、354、355、358、359、360、361、362、370、373、376、378、380、382、383、384、386、388、390、392、393、398、401、404、411、413、414、416、418、419、421、422、428、431、432、437、438、439、440、443、および444位から選択される少なくとも7個の置換を含み、ここで少なくとも1個の置換は、抗体の重鎖の246、249、265、267、270、276、278、283、292、293、294、300、302、303、314、315、318、320、332、333、334、336、345、347、354、355、358、360、362、370、373、376、378、380、382、386、388、390、392、393、401、404、411、413、414、416、418、419、421、428、431、432、437、438、439、443、および444位から選択され、定常領域の番号付けシステムは、Kabatら(上掲)に記載のEUインデックスのものである。
【0169】
他の実施形態において、本開示の操作されたFcポリペプチドは、抗体の重鎖の246、249、254、265、267、270、276、278、283、284、287、292、293、294、300、302、303、314、315、318、320、327、332、333、334、336、345、347、354、355、358、359、360、361、362、370、373、376、378、380、382、383、384、386、388、390、392、393、398、401、404、411、413、414、416、418、419、421、422、428、431、432、437、438、439、440、443、および444、位から選択される少なくとも8個の置換を含み、ここで少なくとも1個の置換は、抗体の重鎖の246、249、265、267、270、276、278、283、292、293、294、300、302、303、314、315、318、320、332、333、334、336、345、347、354、355、358、360、362、370、373、376、378、380、382、386、388、390、392、393、401、404、411、413、414、416、418、419、421、428、431、432、437、438、439、443、および444位から選択され、定常領域の番号付けシステムは、Kabatら(上掲)に記載のEUインデックスのものである。
【0170】
他の実施形態において、本開示の操作されたFcポリペプチドは、抗体の重鎖の246、249、254、265、267、270、276、278、283、284、287、292、293、294、300、302、303、314、315、318、320、327、332、333、334、336、345、347、354、355、358、359、360、361、362、370、373、376、378、380、382、383、384、386、388、390、392、393、398、401、404、411、413、414、416、418、419、421、422、428、431、432、437、438、439、440、443、および444、位から選択される少なくとも9個の置換を含み、ここで少なくとも1個の置換は、抗体の重鎖の246、249、265、267、270、276、278、283、292、293、294、300、302、303、314、315、318、320、332、333、334、336、345、347、354、355、358、360、362、370、373、376、378、380、382、386、388、390、392、393、401、404、411、413、414、416、418、419、421、428、431、432、437、438、439、443、および444位から選択され、定常領域の番号付けシステムは、Kabatら(上掲)に記載のEUインデックスのものである。
【0171】
他の実施形態において、本開示の操作されたFcポリペプチドは、抗体の重鎖の246、249、254、265、267、270、276、278、283、284、287、292、293、294、300、302、303、314、315、318、320、327、332、333、334、336、345、347、354、355、358、359、360、361、362、370、373、376、378、380、382、383、384、386、388、390、392、393、398、401、404、411、413、414、416、418、419、421、422、428、431、432、437、438、439、440、443、および444、位から選択される少なくとも10個の置換を含み、ここで少なくとも1個の置換は、抗体の重鎖の246、249、265、267、270、276、278、283、292、293、294、300、302、303、314、315、318、320、332、333、334、336、345、347、354、355、358、360、362、370、373、376、378、380、382、386、388、390、392、393、401、404、411、413、414、416、418、419、421、428、431、432、437、438、439、443、および444位から選択され、定常領域の番号付けシステムは、Kabatら(上掲)に記載のEUインデックスのものである。
【0172】
他の実施形態において、本開示の操作されたFcポリペプチドは、抗体の重鎖の254、359、361、380、383、384、392、398、404、422、442、および443位のそれぞれに置換を含み、ここで定常領域の番号付けシステムは、Kabatに記載のEUインデックスのものである。
【0173】
他の実施形態において、本開示の操作されたFcポリペプチドは、配列番号97~100、102、104、107~127、129~163のアミノ酸配列から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含む。
【0174】
他の実施形態において、本開示の操作されたFcポリペプチドは、配列番号97~100、102、104、107~127、129~163のアミノ酸配列から選択される少なくとも2つのアミノ酸配列を含む。
【0175】
いくつかの実施形態において、本開示の操作されたFcポリペプチドは、(a)配列番号99のアミノ酸配列と配列番号107のアミノ酸配列、(b)配列番号103のアミノ酸配列と配列番号107のアミノ酸配列、(c)配列番号105のアミノ酸配列と配列番号107のアミノ酸配列、(d)配列番号99のアミノ酸配列と配列番号103のアミノ酸配列、(e)配列番号103のアミノ酸配列と配列番号105のアミノ酸配列、(f)配列番号99のアミノ酸配列と配列番号105のアミノ酸配列、(g)配列番号102のアミノ酸配列と配列番号107のアミノ酸配列、(h)配列番号104のアミノ酸配列と配列番号107のアミノ酸配列、および(i)配列番号102のアミノ酸配列と配列番号104のアミノ酸配列から選択される少なくとも1対のアミノ酸配列を含む。
【0176】
B.操作された軽鎖定常領域(CκまたはCλ)ポリペプチド
他の実施形態において、本開示の操作されたCκポリペプチドは、配列番号90~95の配列からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含む。
【0177】
いくつかの実施形態において、本開示の操作されたCκポリペプチドは、配列番号164~169の配列からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含む。
【0178】
当業者であれば、一度、本明細書で提供される教示で武装したら、多くの抗体の二量体性質のため(例えば、IgGは2個の軽鎖およびそれぞれの重鎖がFc領域を含む2個の重鎖を含む)、本発明の抗体が、少なくとも1個の操作されたFc領域を含んでもよく、2個の操作されたFc領域を含んでもよく、それぞれの操作されたFc領域が同じか、または異なる突然変異を含んでもよいことを理解できる。より好ましくは、両方の操作されたFc領域は、同じ突然変異を含み、したがって、それぞれのFc領域あたり少なくとも1個の部位特異的コンジュゲーション部位を提供する。
【0179】
当業者であれば、一度、本明細書で提供される教示で武装したら、多くの抗体の二量体性質のため(例えば、IgGは2個の軽鎖およびそれぞれの重鎖がFc領域を含む2個の重鎖を含む)、本発明の抗体が、少なくとも1個の操作された軽鎖定常ポリペプチド(例えば、CκまたはCλ)を含んでもよく、2個の操作された軽鎖定常ポリペプチドを含んでもよく、それぞれの操作された軽鎖定常ポリペプチドは同じか、または異なる突然変異を含んでもよいことを理解できる。より好ましくは、両方の操作された軽鎖定常ポリペプチドは、同じ突然変異を含み、したがって、それぞれの軽鎖定常領域あたり少なくとも1個の部位特異的コンジュゲーション部位を提供する。
【0180】
他の実施形態において、多くの抗体の二量体性質のため(例えば、IgGは2個の軽鎖およびそれぞれの重鎖がFcポリペプチドを含む2個の重鎖を含む)、本発明の抗体は、少なくとも1個の操作されたFcポリペプチドを含んでもよく、少なくとも1個の操作された軽鎖定常ポリペプチドをさらに含んでもよく、それによって、一方はFcポリペプチド中に、他方はCLポリペプチド中に少なくとも2個の部位特異的コンジュゲーション部位を提供する。
【0181】
別の実施形態において、本発明の抗体は、それぞれの操作されたFcが同じか、または異なる突然変異を含んでもよい、2個の操作されたFcポリペプチドを含んでもよく、抗体は少なくとも1個の突然変異を含む少なくとも1個の操作された軽鎖定常領域(CκまたはCλ)ポリペプチドをさらに含む。他の実施形態において、抗体は、少なくとも1個の突然変異を含む2個の操作されたFcポリペプチドを含み、それぞれ少なくとも1個の突然変異を含む2個の操作された軽鎖定常(CκまたはCλ)ポリペプチドをさらに含み、それによって、重鎖あたり1個および軽鎖あたり1個の少なくとも4個の部位特異的コンジュゲーション部位を提供する。より好ましくは、両方の操作されたFcポリペプチドは、互いに関して同じ突然変異を含み、両方の軽鎖定常領域(CκまたはCλ)ポリペプチドは互いに関して同じ突然変異を含む。
【0182】
別の実施形態において、本発明の抗体は、それぞれの操作されたFcが同じか、または異なる突然変異を含んでもよい、2個の操作されたFcポリペプチドを含んでもよく、抗体は少なくとも1個の突然変異を含む少なくとも1個の操作された軽鎖定常領域(CκまたはCλ)ポリペプチドをさらに含む。他の実施形態において、抗体は、少なくとも1個の突然変異を含む2個の操作されたFcポリペプチドを含み、突然変異が2つの軽鎖定常ドメイン間で同じか、または異なっていてもよい、少なくとも1個の突然変異をそれぞれ含む2個の操作された軽鎖定常(2個のCκ、2個のCλまたは1個のCκおよび1個のCλ)ポリペプチドをさらに含み、それによって、重鎖あたり1個および軽鎖あたり1個の少なくとも4個の部位特異的コンジュゲーション部位を提供する。すなわち、本発明は、抗体が、例えば、2つの異なる抗原または同じ抗原の異なるエピトープに結合し、重鎖が少なくとも1個の操作されたFcおよび/または1個の操作された軽鎖定常ドメインを含むような、2個の異なる重鎖および2個の異なる軽鎖を含む二特異的抗体を包含する。一態様において、抗体は、同じか、または異なる操作されたシステイン突然変異をそれぞれ含む2個の異なる重鎖ならびにそれぞれの軽鎖が少なくとも1個の操作されたシステイン突然変異を含んでもよい、1個のラムダ軽鎖および1個のカッパ軽鎖を含む。
【0183】
いくつかの実施形態において、操作されたFabは、少なくとも1個の部位特異的コンジュゲーション部位を提供するために軽鎖定常領域(CκまたはCλ)中に少なくとも1個の突然変異を含んでもよく、それによって少なくとも1個の部位特異的コンジュゲーション部位を含むFabを提供する。
【0184】
他の実施形態において、本発明は、少なくとも1個の軽鎖定常領域(CκまたはCλ)が少なくとも1個の突然変異を含み、それによって、少なくとも1個の部位特異的コンジュゲーション部位を含むFabを提供する、操作されたF(ab’)2を包含する。いくつかの実施形態において、本開示の操作されたF(ab’)2は、それぞれの軽鎖定常領域(CκまたはCλ)中に少なくとも1個の突然変異を含み、それによって、少なくとも2個の部位特異的コンジュゲーション部位を含む操作されたF(ab’)2を提供する。
【0185】
いくつかの実施形態において、抗体は、少なくとも1個の突然変異を含む1個の操作されたFcポリペプチドおよびそれぞれ少なくとも1個の突然変異を含む2個の操作された軽鎖Cκポリペプチドを含む。
【0186】
他の実施形態において、本発明の抗体は、それぞれのFcおよびそれぞれのCLが少なくとも1個の突然変異を含み、Fc領域突然変異がそれぞれのFcポリペプチド中で同じであり、一方のCL(CκまたはCλ)ポリペプチド中の突然変異が他方のCL(CκまたはCλ)ポリペプチド中の突然変異と異なる、2個の操作されたFcポリペプチドおよび2個の操作された(CκまたはCλ)ポリペプチドを含んでもよい。
【0187】
他の実施形態において、抗体が少なくとも2個の操作されたFcポリペプチドおよび2個の操作されたCL(CκまたはCλ)ポリペプチドを含む場合、2つのFc領域中のそれぞれの突然変異は同じであってもよく、CL中のそれぞれの突然変異は同じであってもよく、またはそれぞれのFcおよび/もしくはCL(CκまたはCλ)は異なる突然変異を含む、またはその任意の順列であってもよい。
【0188】
他の実施形態において、本開示の操作されたFcポリペプチドを用いて、Fc融合タンパク質が、Fcポリペプチドに大量の部分をコンジュゲートさせるのに用いることができる操作されたFcポリペプチドを含むようなFc融合タンパク質を調製することができる。
【0189】
当業者であれば、Fcポリペプチドが二量体化する傾向のため、本発明は、それぞれの操作されたFcポリペプチドがコンジュゲーションにとって特異的な部位を提供する少なくとも1個の突然変異を含んでもよい、少なくとも2個の操作されたFcポリペプチドを含む二量体Fc融合タンパク質を包含する。
【0190】
一実施形態において、操作されたFcポリペプチドは、a)380および443;b)398および443;c)422および443;d)380および398;e)398および442;f)380および422;g)392および443;h)404および443;ならびにi)392および404位に上記対の置換の1つを含む。
【0191】
別の実施形態において、操作されたFcポリペプチドは、a)380および443;b)398および443;c)422および443;d)380および398;e)398および442;f)380および422;g)392および443;h)404および443;ならびにi)392および404位に上記対の置換の少なくとも1つを含む。
【0192】
上記の置換は、配列番号1(野生型ヒトIgG1 Fc領域)中の位置に対応し、本開示を通してKabat 1991に記載のような、Edelmanら、1969のEuインデックス番号付けシステムを参照する番号を、本開示の組成物を記載するために配列番号1を参照する置換の配列位置番号付けと互換的に用いることができることが意図される。
【0193】
他の実施形態において、本開示の操作されたFcポリペプチドは、K246、D249、D265、S267、D270、N276、Y278、E283、R292、E293、E294、Y300、V302、V303、L314、N315、E318、K320、I332、E333、K334、I336、E345、Q347、S354、R355、M358、K360、Q362、K370、Y373、D376、A378、E380、E382、Q386、E388、N390、K392、T393、D401、F404、T411、D413、K414、R416、Q418、Q419、N421、M428、A431、L432、T437、Q438、K439、L443、およびS444から選択される少なくとも1個の天然アミノ酸の置換を含み、ここで番号付けはKabatに記載のEUインデックスの番号付けシステムを用いる抗体の重鎖に基づくものである。
【0194】
いくつかの実施形態において、本開示の操作されたFcポリペプチドは、抗体の重鎖の239、254、284、287、327、361、383、384、398、422および440から選択される位置(複数可)に置換を含まず、ここで定常領域の番号付けシステムはKabatに記載のEUインデックスのものである。
【0195】
一実施形態において、本開示の操作されたFcポリペプチドは、抗体の重鎖の246、249、265、267、270、276、278、283、292、293、294、300、302、303、314、315、318、320、332、333、334、336、345、347、354、355、358、360、362、370、373、376、378、380、382、386、388、390、392、393、401、404、411、413、414、416、418、419、421、428、431、432、437、438、439、443、および444から選択される位置で置換された(例えば、システインで)天然アミノ酸を有するIgG1を含み、ここで定常領域の番号付けシステムはKabatに記載のEUインデックスのものである。他の実施形態において、本開示の操作されたFcポリペプチドは、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4形式から誘導される。さらに他の実施形態において、本開示の操作されたFcポリペプチドは、IgA1、IgA2、IgM、IgD、またはIgEなどの非IgG形式から誘導される。他の実施形態において、本開示のFcポリペプチドは、天然残基のシステインおよび/または他のアミノ酸への置換による、IgG1分子のCH2および/もしくはCH3領域の表面残基またはその等価物の操作を含む。
【0196】
本発明は、親、天然、または野生型抗体の抗体軽鎖の111、149、183、188、207、および210位(軽鎖定常領域の番号付けシステムは、Kabatら(1991,NIH Publication 91-3242、National Technical Information Service、Springfield、VA、以後「Kabat」とする)に記載のKabatの番号付けシステムのものである)から選択される1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20個以上のアミノ酸が、別のアミノ酸(天然および非天然/合成アミノ酸を含む)で置換された、軽鎖がカッパ軽鎖もしくはラムダ軽鎖、またはその一部である操作された抗体軽鎖定常領域(CL)を包含する。
【0197】
いくつかの実施形態において、軽鎖定常領域は、ラムダ定常領域(Cλ)である。別の実施形態において、軽鎖定常領域は、カッパ定常領域(Cκ)である。
【0198】
例えば、システイン残基の、軽鎖定常領域中の単一の置換は通常、IgG抗体分子のホモ二量体性質のため、得られるIgG抗体中の2個の対応する残基の提示をもたらすことに留意すべきである。したがって、得られる操作された本発明のIgG抗体は、薬物または化合物へのコンジュゲーションのために、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40個以上の反応性基を提示することができる。ある実施形態においては、1個または複数個の置換はシステイン残基によるものであり、得られる操作された抗体は薬物または化合物へのコンジュゲーションのために少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40個以上のチオール基を提示することができる。
【0199】
一実施形態において、本発明は、第2の操作されたカッパ軽鎖定常ドメインに由来する同じ置換位置を含むカッパ軽鎖定常ドメイン(Cκ)を含む1個の操作されたポリペプチドを含む操作された抗体を提供する。すなわち、IgG抗体の二量体二価性のため、抗体は、同じか、または互いに異なる2個のCκポリペプチドを含んでもよく、本発明は、他のCκポリペプチド中に存在するアミノ酸置換を含む少なくとも1個の操作されたCκポリペプチドを含む抗体を包含する。
【0200】
別の実施形態において、操作された抗体は、第2の操作されたカッパ軽鎖定常ドメインに由来する異なる置換位置を含むカッパ軽鎖定常ドメイン(Cκ)を含む1個の操作されたポリペプチドを含む。すなわち、IgG抗体の二量体性質のため、およびヘテロ二量体抗体を調製するための様々な当技術分野で認識された方法が、特に、互いに異なる2個以上のCκポリペプチドを含むため、本発明は、操作されていても、またはされていなくてもよい、他のCκポリペプチド中には存在しないアミノ酸置換を含む少なくとも1個の操作されたCκポリペプチドを含む抗体を包含する。異なる突然変異を含むCL領域を含むヘテロ二量体抗体を作製するための方法は当技術分野で周知であり、限定されるものではないが、Arathoonらの米国特許第7,183,076号で論じられた方法が挙げられる。
【0201】
いくつかの実施形態において、本発明の操作された抗体は、111、149、183、188、207、および210から選択される位置に少なくとも1個の置換を含む第1の操作されたCκポリペプチドを含み、操作されていない第2のCκポリペプチドをさらに含む、例えば、それは例示的ヒト野生型Cκポリペプチドアミノ酸配列が
図18Aに示され、配列番号89に提供される野生型Cκのアミノ酸配列を含む。
【0202】
他の実施形態において、本開示の操作されたFabは、111、183および210から選択される位置に少なくとも1個の置換を含む操作されたCκポリペプチドを含む。
【0203】
いくつかの実施形態において、操作された抗体は、第1の操作されたCκポリペプチド中に存在する置換が第2の操作されたCκポリペプチド中に存在する置換ではない、111、183、および210から選択される位置に少なくとも1個の置換を含む第1の操作されたCκポリペプチドを含み、111、183、および210から選択される位置に少なくとも1個の置換を含む第2の操作されたCκポリペプチドをさらに含む。
【0204】
いくつかの実施形態において、本開示の操作されたF(ab’)2は、第1の操作されたCκポリペプチド中に存在する置換が第2の操作されたCκポリペプチド中に存在する置換ではない、111、149、183、188、207、および210から選択される位置に少なくとも1個の置換を含む第1の操作されたCκポリペプチドを含み、111、183、および210から選択される位置に少なくとも1個の置換を含む第2の操作されたCκポリペプチドをさらに含む。
【0205】
他の実施形態において、本開示の操作されたF(ab’)2は、第1の操作されたCκポリペプチド中に存在する少なくとも1個の置換が第2の操作されたCκポリペプチド中に存在する同じ置換である、111、149、183、188、207、および210から選択される位置に少なくとも1個の置換を含む第1の操作されたCκポリペプチドを含み、111、183、および210から選択される位置に少なくとも1個の置換を含む第2の操作されたCκポリペプチドをさらに含む。
【0206】
いくつかの実施形態において、本開示の操作されたCκポリペプチドは、定常領域の番号付けシステムがKabatら(上掲)に記載のKabatのインデックスのものである、抗体の軽鎖の111、183、および210から選択される位置に少なくとも1個の置換を含む。
【0207】
いくつかの実施形態において、本開示の操作されたCκポリペプチドは、定常領域の番号付けシステムがKabatら(上掲)に記載のKabatのインデックスのものである、抗体の軽鎖の111、183、および210から選択される位置に少なくとも2個の置換を含む。
【0208】
他の実施形態において、本開示の操作されたCκポリペプチドは、抗体の軽鎖定常領域の111、183および210位から選択される3個全部の置換を含み、ここで、定常領域の番号付けシステムは、Kabatら(上掲)に記載のKabatの番号付けインデックスのものである。
【0209】
上記の置換は、配列番号89(野生型ヒトカッパ軽鎖定常領域)中の位置に対応し、本開示を通してKabatを参照する番号は、本開示の組成物を記載するために配列番号89を参照する置換の配列位置番号付けと互換的に用いることができることが意図される。
【0210】
他の実施形態において、本開示の操作されたCκポリペプチドは、番号付けがKabatに記載のKabatの番号付けインデックスの番号付けシステムを用いる抗体の軽鎖に基づくものである、A111、K183およびN210から選択される少なくとも1個の天然アミノ酸の置換を含む。
【0211】
他の実施形態において、操作された軽鎖定常ドメインは、ラムダ軽鎖定常ドメイン(Cλ)である。
【0212】
一実施形態において、操作された抗体は、第2の操作されたラムダ軽鎖定常ドメインと同じであるか、または異なる置換位置を含むラムダ軽鎖定常ドメイン(Cλ)を含む1個の操作されたポリペプチドを含む。すなわち、IgG抗体の二量体性質のため、およびヘテロ二量体抗体を調製するための様々な当技術分野で認識された方法が、特に、同じであるか、または互いに異なる2個以上のCλポリペプチドを含むため、本発明は、操作されていてもよく、またはされていなくてもよい、他のCλポリペプチド中には存在しないアミノ酸置換を含む少なくとも1個の操作されたCλポリペプチドを含む抗体を包含する。異なる突然変異を含むCL領域を含むヘテロ二量体抗体を作製するための方法は当技術分野で周知であり、限定されるものではないが、Arathoonらの米国特許第7,183,076号で論じられた方法が挙げられる。
【0213】
別の態様において、操作された抗体は、抗体が同じ突然変異(複数可)をそれぞれ含む2個のCλドメインを含む、ラムダ軽鎖定常ドメイン(Cλ)を含む少なくとも1個の操作されたポリペプチドを含む。
【0214】
いくつかの実施形態において、本発明の操作された抗体は、K110C、L125C、K149C、V155C、G158C、T161C、Q185C、S188C、H189C、S191C、T197C、V205C、E206C、K207C、T208およびA210から選択される位置に少なくとも1個の置換を含む第1の操作されたCλポリペプチドを含み、操作されていない第2のCλポリペプチドをさらに含む、例えば、それは例示的ヒト野生型Cλポリペプチドアミノ酸配列が
図20Aに示され、配列番号170に提供される、野生型Cλのアミノ酸配列を含む。
【0215】
他の実施形態において、本開示の操作されたFabは、K110、L125、K149、V155、G158、T161、Q185、S188、H189、S191、T197、V205、E206、K207C、T208およびA210から選択される位置に少なくとも1個の置換を含む操作されたCλポリペプチドを含む。
【0216】
いくつかの実施形態において、操作された抗体は、第1の操作されたCλポリペプチド中に存在する置換が第2の操作されたCλポリペプチド中に存在する置換ではない、110、125、149、155、158、161、185、188、189、191、197、205、206、K207C、T208およびA210から選択される位置に少なくとも1個の置換を含む第1の操作されたCλポリペプチドを含み、110、125、149、155、158、161、185、188、189、191、197、205、206、K207C、T208およびA210から選択される位置に少なくとも1個の置換を含む第2の操作されたCλポリペプチドをさらに含む。
【0217】
いくつかの実施形態においては、本開示の操作されたF(ab’)2は、第1の操作されたCλポリペプチド中に存在する置換が第2の操作されたCλポリペプチド中に存在する置換ではない、110、125、149、155、158、161、185、188、189、191、197、205、206、207、208および210から選択される位置に少なくとも1個の置換を含む第1の操作されたCλポリペプチドを含み、110、125、149、155、158、161、185、188、189、191、197、205、206、207、208および210から選択される位置に少なくとも1個の置換を含む第2の操作されたCκポリペプチドをさらに含む。
【0218】
他の実施形態において、本開示の操作されたF(ab’)2は、第1の操作されたCλポリペプチド中に存在する少なくとも1個の置換が第2の操作されたCλポリペプチド中に存在する同じ置換である、110、125、149、155、158、161、185、188、189、191、197、205、206、207、208および210から選択される位置に少なくとも1個の置換を含む第1の操作されたCλポリペプチドを含み、110、125、149、155、158、161、185、188、189、191、197、205、206、207、208および210から選択される位置に少なくとも1個の置換を含む第2の操作されたCλポリペプチドをさらに含む。
【0219】
いくつかの実施形態において、本開示の操作されたCλポリペプチドは、定常領域の番号付けシステムがKabatら(上掲)に記載のKabatのインデックスのものである、抗体の軽鎖の110、125、149、155、158、161、185、188、189、191、197、205、206、207、208および210から選択される位置に少なくとも1個の置換を含む。
【0220】
いくつかの実施形態において、本開示の操作されたCλポリペプチドは、定常領域の番号付けシステムがKabatら(上掲)に記載のKabatのインデックスのものである、抗体の軽鎖の110、125、149、155、158、161、185、188、189、191、197、205、206、207、208および210から選択される位置に少なくとも2個の置換を含む。
【0221】
他の実施形態において、本開示の操作されたCλポリペプチドは、定常領域の番号付けシステムがKabatら(上掲)に記載のKabatの番号付けインデックスのものである、抗体の軽鎖定常領域の110、125、149、155、158、161、185、188、189、191、197、205、206、207、208および210位から選択される少なくとも2個の置換を含む。
【0222】
他の実施形態において、本開示の操作されたCλポリペプチドは、定常領域の番号付けシステムがKabatら(上掲)に記載のKabatの番号付けインデックスのものである、抗体の軽鎖定常領域の110、125、149、155、158、161、185、188、189、191、197、205、206、207、208および210位から選択される少なくとも3個の置換を含む。
【0223】
他の実施形態において、本開示の操作されたCλポリペプチドは、少なくとも1個の置換が抗体の軽鎖定常ドメインの110、125、149、155、158、161、185、188、189、191、197、205、206、207、208および210位から選択され、定常領域の番号付けシステムがKabatら(上掲)に記載のKabatの番号付けインデックスのものである、抗体の軽鎖定常領域の110、125、149、155、158、161、185、188、189、191、197、205、206、207、208および210位から選択される少なくとも4個の置換を含む。
【0224】
他の実施形態において、本開示の操作されたCλポリペプチドは、定常領域の番号付けシステムがKabatら(上掲)に記載のKabatの番号付けインデックスのものである、抗体の軽鎖定常領域の110、125、149、155、158、161、185、188、189、191、197、205、206、207、208および210位から選択される少なくとも5個の置換を含む。
【0225】
他の実施形態において、本開示の操作されたCλポリペプチドは、定常領域の番号付けシステムがKabatら(上掲)に記載のKabatの番号付けインデックスのものである、抗体の軽鎖の110、125、149、155、158、161、185、188、189、191、197、205、206、207、208および210位から選択される少なくとも6個の置換を含む。
【0226】
他の実施形態において、本開示の操作されたCλポリペプチドは、定常領域の番号付けシステムがKabatら(上掲)に記載のKabatの番号付けインデックスのものである、抗体の軽鎖の110、125、149、155、158、161、185、188、189、191、197、205、206、207、208および210位から選択される少なくとも7個の置換を含む。
【0227】
他の実施形態において、本開示の操作されたCλポリペプチドは、定常領域の番号付けシステムがKabatら(上掲)に記載のKabatの番号付けインデックスのものである、抗体の軽鎖の110、125、149、155、158、161、185、188、189、191、197、205、206、207、208および210位から選択される少なくとも8個の置換を含む。
【0228】
他の実施形態において、本開示の操作されたCλポリペプチドは、定常領域の番号付けシステムがKabatら(上掲)に記載のKabatの番号付けインデックスのものである、抗体の軽鎖の110、125、149、155、158、161、185、188、189、191、197、205、206、207、208および210位から選択される少なくとも9個の置換を含む。
【0229】
他の実施形態において、本開示の操作されたCλポリペプチドは、定常領域の番号付けシステムがKabatら(上掲)に記載のKabatの番号付けインデックスのものである、抗体の軽鎖の110、125、149、155、158、161、185、188、189、191、197、205、206、207、208および210位から選択される少なくとも10個の置換を含む。
【0230】
他の実施形態において、本開示の操作されたCλポリペプチドは、定常領域の番号付けシステムがKabatに記載のKabatの番号付けインデックスのものである、抗体の軽鎖の110、125、149、155、158、161、185、188、189、191、197、205、206、207、208および210位のそれぞれに置換を含む。
【0231】
上記の置換は、配列番号170(野生型ヒトラムダ軽鎖定常領域)中の位置に対応し、本開示を通してKabatを参照する番号を、本開示の組成物を記載するために配列番号170を参照する置換の配列位置番号付けと互換的に用いることができることが意図される。
【0232】
他の実施形態において、本開示の操作されたCλポリペプチドは、番号付けがKabatに記載のKabatの番号付けインデックスの番号付けシステムを用いる抗体の軽鎖に基づくものである、110、125、149、155、158、161、185、188、189、191、197、205、206、207、208および210から選択される少なくとも1個の天然アミノ酸の置換を含む。
【0233】
C.操作された定常ドメイン(重鎖および/または軽鎖)を含む、操作された抗体、またはその抗原結合部分
当業者であれば、一度、本明細書で提供される教示で武装したら、多くの抗体の二量体性質のため(例えば、IgGは、それぞれ定常領域(CL)を含む2個の軽鎖およびそれぞれFc領域を含む2個の重鎖を含む)、本発明の抗体が、少なくとも1個の操作された定常領域(例えば、重鎖定常領域、IgG Cγ領域、Cκ領域、および/またはCλ領域)を含んでもよく、それぞれの操作されたCL領域が同じか、または異なる突然変異を含んでもよい、2個の操作されたCL領域を含んでもよいことを理解できる。より好ましくは、両方の操作されたCL(CκまたはCλ)領域は、同じ突然変異を含み、したがって、それぞれのCL(CκまたはCλ)領域あたり少なくとも1個の部位特異的コンジュゲーション部位を提供する。
【0234】
別の実施形態において、本発明の操作された抗体は、少なくとも1個の操作されたFcポリペプチドを含み、それぞれの操作されたFcポリペプチドが同じか、または異なる突然変異を含んでもよい2個の操作されたFcポリペプチドを含んでもよい。より好ましくは、両方の操作されたFcポリペプチドは、同じ突然変異を含み、したがって、それぞれのFcポリペプチドあたり少なくとも1個の部位特異的コンジュゲーション部位を提供する。抗体は、少なくとも1個の操作されたCκポリペプチドをさらに含んでもよく、それぞれの操作されたCκポリペプチドが同じか、または異なる突然変異を含んでもよい2個の操作されたCκポリペプチドを含んでもよい。より好ましくは、両方の操作されたFcポリペプチドは同じ突然変異を含み、両方の操作されたCκポリペプチドは同じ突然変異を含み、したがって、それぞれのFcポリペプチドあたり少なくとも1個の部位特異的コンジュゲーション部位およびCκポリペプチドあたり少なくとも1個の部位特異的コンジュゲーション部位を提供し、それによって、少なくとも4個の潜在的なコンジュゲーション部位を含む抗体を提供する。
【0235】
いくつかの実施形態において、本発明の操作された抗体は、少なくとも1個の操作されたFcポリペプチドを含み、それぞれの操作されたFcポリペプチドが同じか、または異なる突然変異を含んでもよい2個の操作されたFcポリペプチドを含んでもよい。より好ましくは、両方の操作されたFcポリペプチドは、同じ突然変異を含み、したがって、それぞれのFcポリペプチドあたり少なくとも1個の部位特異的コンジュゲーション部位を提供する。抗体は、少なくとも1個の操作されたCλポリペプチドをさらに含んでもよく、それぞれの操作されたCλポリペプチドが同じか、または異なる突然変異を含んでもよい2個の操作されたCλポリペプチドを含んでもよい。より好ましくは、両方の操作されたFcポリペプチドは同じ突然変異を含み、両方の操作されたCλポリペプチドは同じ突然変異を含み、したがって、それぞれのFcポリペプチドあたり少なくとも1個の部位特異的コンジュゲーション部位およびCλポリペプチドあたり少なくとも1個の部位特異的コンジュゲーション部位を提供し、それによって、少なくとも4個の潜在的なコンジュゲーション部位を含む抗体を提供する。
【0236】
一実施形態において、本発明の操作された抗体は、少なくとも1個の操作されたFcポリペプチドを含み、それぞれの操作されたFcポリペプチドが同じか、または異なる突然変異を含んでもよい2個の操作されたFcポリペプチドを含んでもよい。より好ましくは、両方の操作されたFcポリペプチドは、同じ突然変異を含み、したがって、それぞれのFcポリペプチドあたり少なくとも1個の部位特異的コンジュゲーション部位を提供する。抗体は、少なくとも1個の操作されたCλポリペプチドをさらに含んでもよく、それぞれの操作されたCλポリペプチドが同じか、または異なる突然変異を含んでもよい2個の操作されたCλポリペプチドを含んでもよい。より好ましくは、両方の操作されたFcポリペプチドは同じ突然変異を含み、両方の操作されたCλポリペプチドは同じ突然変異を含み、したがって、それぞれのFcポリペプチドあたり少なくとも1個の部位特異的コンジュゲーション部位およびCλポリペプチドあたり少なくとも1個の部位特異的コンジュゲーション部位を提供し、それによって、少なくとも4個の潜在的なコンジュゲーション部位を含む抗体を提供する。
【0237】
他の実施形態において、本発明の操作された抗体は、Kabatに記載のEUインデックスの番号付けシステムを用いる重鎖の246、249、254、265、267、270、276、278、283、284、287、292、293、294、300、302、303、314、315、318、320、332、333、334、336、345、347、354、355、358、360、362、370、373、376、378、380、382、386、388、390、392、393、401、404、411、413、414、416、418、419、421、428、431、432、437、438、439、443、および444位から選択される少なくとも1個の置換を含む少なくとも1個の操作されたFcポリペプチドを含み、抗体の軽鎖の111、149、183、188、207、および210位から選択される少なくとも1個の置換を含む少なくとも1個の操作されたCκポリペプチドを含み、ここで、軽鎖定常ポリペプチドの番号付けシステムは、Kabatら(上掲)に記載のKabatの番号付けインデックスのものである。すなわち、操作された抗体が、KabatのEu番号付けによる246、249、254、265、267、270、276、278、283、284、287、292、293、294、300、302、303、314、315、318、320、332、333、334、336、345、347、354、355、358、360、362、370、373、376、378、380、382、386、388、390、392、393、401、404、411、413、414、416、418、419、421、428、431、432、437、438、439、443、および444位での置換から選択される少なくとも1個のアミノ酸置換を含む少なくとも1個の操作された重鎖定常ドメイン(Cγ)を含む場合、および/または抗体が、K110C、L125C、K149C、V155C、G158C、T161C、Q185C、S188C、H189C、S191C、T197C、V205C、E206C、K207C、T208およびA210からなる群から選択される少なくとも1個のアミノ酸置換を含む少なくとも1個の操作されたCλドメインを含む場合、抗体は、A111、K183、およびN210からなる群から選択される少なくとも1個の置換、ならびに/または限定されるものではないが、K149(配列番号91)、K188(配列番号93)およびK207(配列番号94)などの、2011年12月15日に公開された国際特許出願公開WO2011/156382に開示されたCκ中のアミノ酸置換などの当技術分野で公知の少なくとも1個の置換を含む、少なくとも1個の操作されたCκをさらに含んでもよい。
【0238】
一実施形態において、本発明の操作された抗体は、Kabatに記載のEUインデックスの番号付けシステムを用いる重鎖の246、249、254、265、267、270、276、278、283、284、287、292、293、294、300、302、303、314、315、318、320、332、333、334、336、345、347、354、355、358、360、362、370、373、376、378、380、382、386、388、390、392、393、401、404、411、413、414、416、418、419、421、428、431、432、437、438、439、443、および444位から選択される少なくとも1個の置換を含む少なくとも1個の操作されたFcポリペプチドを含み、抗体の軽鎖の110、111、125、149、155、158、161、185、188、189、191、197、205、206および207位から選択される少なくとも1個の置換を含む少なくとも1個の操作されたCλポリペプチドを含み、ここで軽鎖定常ポリペプチドの番号付けシステムは、Kabatら(上掲)に記載のKabatの番号付けインデックスのものである。
【0239】
いくつかの実施形態において、本発明の操作された抗体は、Kabatに記載のEUインデックスの番号付けシステムを用いる重鎖の246、249、254、265、267、270、276、278、283、284、287、292、293、294、300、302、303、314、315、318、320、332、333、334、336、345、347、354、355、358、360、362、370、373、376、378、380、382、386、388、390、392、393、401、404、411、413、414、416、418、419、421、428、431、432、437、438、439、443、および444位から選択される少なくとも1個の置換を含む少なくとも1個の操作されたFcポリペプチドを含み、(a)抗体の軽鎖の111、183および210位から選択される少なくとも1個の置換を含む操作されたCκポリペプチド、および/または(b)抗体の軽鎖の110、111、125、149、155、158、161、185、188、189、191、197、205、206および207位から選択される少なくとも1個の置換を含む少なくとも1個の操作されたCλポリペプチドのうちの少なくとも1つを含み、ここで軽鎖定常ポリペプチドの番号付けシステムは、Kabatら(上掲)に記載のKabatの番号付けインデックスのものである。
【0240】
他の実施形態において、本発明の操作された抗体は、Kabatに記載のEUインデックスの番号付けシステムを用いる重鎖の246、249、254、265、267、270、276、278、283、284、287、292、293、294、300、302、303、314、315、318、320、332、333、334、336、345、347、354、355、358、360、362、370、373、376、378、380、382、386、388、390、392、393、401、404、411、413、414、416、418、419、421、428、431、432、437、438、439、443、および444位から選択される少なくとも1個の置換を含む少なくとも1個の操作されたFcポリペプチドを含み、(a)抗体の軽鎖の111、149、183、188、207および210位から選択される少なくとも1個の置換を含む操作されたCκポリペプチド、および/または(b)抗体の軽鎖の110、111、125、149、155、158、161、185、188、189、191、197、205、206および207位から選択される少なくとも1個の置換を含む少なくとも1個の操作されたCλポリペプチドのうちの少なくとも1つを含み、ここで軽鎖定常ポリペプチドの番号付けシステムは、Kabatら(上掲)に記載のKabatの番号付けインデックスのものである。
【0241】
他の実施形態において、本発明の操作された抗体は、抗体の軽鎖の111、149、183、188、207、および210位から選択される少なくとも1個の置換を含む少なくとも1個の操作されたCκポリペプチドを含み、(a)Kabatに記載のEUインデックスの番号付けシステムを用いる重鎖の246、249、254、265、267、270、276、278、283、284、287、292、293、294、300、302、303、314、315、318、320、332、333、334、336、345、347、354、355、358、360、362、370、373、376、378、380、382、386、388、390、392、393、401、404、411、413、414、416、418、419、421、428、431、432、437、438、439、443、および444位から選択される少なくとも1個の置換を含むFcポリペプチド、ならびに/または(b)抗体の軽鎖の110、111、125、149、155、158、161、185、188、189、191、197、205、206および207位から選択される少なくとも1個の置換を含む少なくとも1個の操作されたCλポリペプチドのうちの少なくとも1つを含み、ここで軽鎖定常ポリペプチドの番号付けシステムは、Kabatら(上掲)に記載のKabatの番号付けインデックスのものである。
【0242】
いくつかの実施形態において、本発明の操作された抗体は、番号付けがKabatによるものである、抗体の軽鎖の111、149、183、188、207、および210位から選択される少なくとも1個の置換を含む少なくとも1個の操作されたCκポリペプチド、ならびにKabatに記載のEUインデックスの番号付けシステムを用いる重鎖の246、249、254、265、267、270、276、278、283、284、287、292、293、294、300、302、303、314、315、318、320、332、333、334、336、345、347、354、355、358、360、362、370、373、376、378、380、382、386、388、390、392、393、401、404、411、413、414、416、418、419、421、428、431、432、437、438、439、443、および444位から選択される少なくとも1個の置換を含むFcポリペプチドを含む。
【0243】
一態様において、本発明の操作された抗体は、Kabatの番号付けによるA111に置換をそれぞれ含む2個の操作されたCκポリペプチド、ならびにKabatに記載のEUインデックスの番号付けシステムを用いるQ347に置換をそれぞれ含む2個の操作されたFcポリペプチドを含む。
【0244】
一態様において、本発明の操作された抗体は、Kabatの番号付けによるA111に置換をそれぞれ含む2個の操作されたCκポリペプチド、ならびにKabatに記載のEUインデックスの番号付けシステムを用いるE388に置換をそれぞれ含む2個の操作されたFcポリペプチドを含む。
【0245】
別の態様において、本発明の操作された抗体は、Kabatの番号付けによるA111に置換をそれぞれ含む2個の操作されたCκポリペプチド、ならびにKabatに記載のEUインデックスの番号付けシステムを用いるK392に置換をそれぞれ含む2個の操作されたFcポリペプチドを含む。
【0246】
さらに別の態様において、本発明の操作された抗体は、Kabatの番号付けによるA111に置換をそれぞれ含む2個の操作されたCκポリペプチド、ならびにKabatに記載のEUインデックスの番号付けシステムを用いるL443に置換をそれぞれ含む2個の操作されたFcポリペプチドを含む。
【0247】
さらなる態様において、本発明の操作された抗体は、Kabatの番号付けによるK183に置換をそれぞれ含む2個の操作されたCκポリペプチド、ならびにKabatに記載のEUインデックスの番号付けシステムを用いるL443に置換をそれぞれ含む2個の操作されたFcポリペプチドを含む。
【0248】
別の態様において、本発明の操作された抗体は、Kabatの番号付けによるK207に置換をそれぞれ含む2個の操作されたCκポリペプチド、ならびにKabatに記載のEUインデックスの番号付けシステムを用いるL443に置換をそれぞれ含む2個の操作されたFcポリペプチドを含む。
【0249】
さらに、本発明は、定常ドメイン間のこれらの、または任意の他の特定の置換の組合せに限定されないが、新規アミノ酸置換の任意の組合せまたは順列および本明細書に開示されるその組合せを含む。
【0250】
他の実施形態において、本発明の操作された抗体は、軽鎖定常ポリペプチドの番号付けシステムがKabatらに記載のKabatの番号付けインデックスのものである、110、111、125、149、155、158、161、185、188、189、191、197、205、206および207位から選択される少なくとも1個の置換を含む少なくとも1個の操作されたCλポリペプチドを含み、(a)Kabatに記載のEUインデックスの番号付けシステムを用いる重鎖の246、249、254、265、267、270、276、278、283、284、287、292、293、294、300、302、303、314、315、318、320、332、333、334、336、345、347、354、355、358、360、362、370、373、376、378、380、382、386、388、390、392、393、401、404、411、413、414、416、418、419、421、428、431、432、437、438、439、443、および444位から選択される少なくとも1個の置換を含むFcポリペプチド、ならびに/または(b)軽鎖定常ポリペプチドの番号付けシステムがKabatの番号付けインデックス(上掲)のものである、抗体の軽鎖の111、149、183、188、207および210位から選択される少なくとも1個の置換を含む操作されたCκポリペプチドのうちの少なくとも1つを含む。
【0251】
他の実施形態において、本発明の操作された抗体は、Kabatに記載のEUインデックスの番号付けシステムを用いる重鎖の246、249、254、265、267、270、276、278、283、284、287、292、293、294、300、302、303、314、315、318、320、332、333、334、336、345、347、354、355、358、360、362、370、373、376、378、380、382、386、388、390、392、393、401、404、411、413、414、416、418、419、421、428、431、432、437、438、439、443、および444位から選択される少なくとも2個の置換を含む少なくとも1個の操作されたFcポリペプチドを含み、軽鎖定常ポリペプチドの番号付けシステムが、Kabatら(上掲)に記載のKabatの番号付けインデックスのものである、抗体の軽鎖の111、149、183、188、207および210位から選択される少なくとも2個の置換を含む少なくとも1個の操作されたCκポリペプチドを含み、ならびに/または軽鎖定常ポリペプチドの番号付けシステムがKabatら(上掲)に記載のKabatの番号付けインデックスのものである、抗体の軽鎖の110、111、125、149、155、158、161、185、188、189、191、197、205、206および207位から選択される少なくとも1個の置換を含む少なくとも1個の操作されたCλポリペプチドを含む。
【0252】
他の実施形態において、本発明の操作された抗体は、Kabatに記載のEUインデックスの番号付けシステムを用いる重鎖の246、249、254、265、267、270、276、278、283、284、287、292、293、294、300、302、303、314、315、318、320、332、333、334、336、345、347、354、355、358、360、362、370、373、376、378、380、382、386、388、390、392、393、401、404、411、413、414、416、418、419、421、428、431、432、437、438、439、443、および444位から選択される少なくとも3個の置換を含む少なくとも1個の操作されたFcポリペプチドを含み、軽鎖定常ポリペプチドの番号付けシステムが、Kabatら(上掲)に記載のKabatの番号付けインデックスのものである、抗体の軽鎖の111、149、183、188、207および210位から選択される少なくとも3個の置換を含む少なくとも1個の操作されたCκポリペプチドを含み、ならびに/または軽鎖定常ポリペプチドの番号付けシステムがKabatら(上掲)に記載のKabatの番号付けインデックスのものである、抗体の軽鎖の110、111、125、149、155、158、161、185、188、189、191、197、205、206および207位から選択される少なくとも1個の置換を含む少なくとも1個の操作されたCλポリペプチドを含む。
【0253】
他の実施形態において、本発明の操作された抗体は、Kabatに記載のEUインデックスの番号付けシステムを用いる重鎖の246、249、254、265、267、270、276、278、283、284、287、292、293、294、300、302、303、314、315、318、320、332、333、334、336、345、347、354、355、358、360、362、370、373、376、378、380、382、386、388、390、392、393、401、404、411、413、414、416、418、419、421、428、431、432、437、438、439、443、および444位から選択される少なくとも5個の置換を含む少なくとも1個の操作されたFcポリペプチドを含み、軽鎖定常ポリペプチドの番号付けシステムが、Kabatら(上掲)に記載のKabatの番号付けインデックスのものである、抗体の軽鎖の111、149、183、188、207および210位から選択される少なくとも5個の置換を含む少なくとも1個の操作されたCκポリペプチドを含み、ならびに/または軽鎖定常ポリペプチドの番号付けシステムがKabatら(上掲)に記載のKabatの番号付けインデックスのものである、抗体の軽鎖の110、111、125、149、155、158、161、185、188、189、191、197、205、206および207位から選択される少なくとも1個の置換を含む少なくとも1個の操作されたCλポリペプチドを含む。
【0254】
他の実施形態において、抗体が少なくとも2個の操作されたFcポリペプチドおよび2個の操作された軽鎖定常ポリペプチド(Cκ-Cκ、Cλ-CλまたはCκ-Cλ)を含み、2個のFcポリペプチド中のそれぞれの突然変異は同じであってもよく、CκもしくはCλ中のそれぞれの突然変異は同じであってもよく、またはそれぞれのFcポリペプチドおよび/もしくはそれぞれのCκもしくはCλは異なる突然変異を含むか、または突然変異を含まないか、前記の任意の組合せである。
【0255】
当業者であれば、置換において用いるための好適なアミノ酸を容易に選択することができる。タンパク質構造に対する変化を最小化するために、非天然残基と類似する残基(例えば、保存的置換)を選択することが望ましい場合もある。例えば、システイン置換について、必要ではないが、システインを天然のアラニンまたはセリンに置換することが望ましい場合もある。
【0256】
IgG2、IgG3およびIgG4中の置換の場合、当業者であれば、対象のIg型と、IgG1との配列アラインメントを用いて、定常領域の番号付けシステムがKabatに記載のEUインデックスのものである、抗体の重鎖の246、249、265、267、270、276、278、283、292、293、294、300、302、303、314、315、318、320、332、333、334、336、345、347、354、355、358、360、362、370、373、376、378、380、382、386、388、390、392、393、401、404、411、413、414、416、418、419、421、428、431、432、437、438、439、443、および444位の上記位置に対応する所望のアイソフォームの相対的残基を決定することができる。IgG2、IgG3およびIgG4のヒト野生型重鎖定常ドメイン(HC Fc)のアミノ酸配列は、本明細書に配列番号2、3および4として開示され、それぞれ
図15C、15Dおよび15Eに示される。
【0257】
ヒトIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4のFcドメインのそれぞれのアミノ酸の対応する位置を示す例示的アラインメントが、
図19Aに提供される。ヒトIgG1のFc領域は、Kabatに記載のEUインデックスを用いるアミノ酸残基236のグリシン(
236G)で始まる。したがって、
図15に示される配列は、CH1領域およびヒトFc領域が、より好ましくは
236Gで始まるヒトIgG1の完全なヒンジ領域を示す。
【0258】
他の実施形態において、本発明は、操作された残基を含む単離されたFcポリペプチドの発現を包含する。そのような単離されたFcポリペプチドは、提示目的のための足場として、または単独で、もしくは別の作用物質と組み合わせた場合の二量体化ドメインとして有用であり得る。一態様において、本発明は、操作されたFcポリペプチドにコンジュゲートされた任意の部分が結合ドメインと特異的に結合する同族結合分子に標的化されるように、結合ドメインが操作されたFcポリペプチドに対する結合特異性を提供するような、操作されたFcポリペプチドおよび受容体、サイトカイン、リガンドなどの結合部位を含む結合ドメインを含む融合タンパク質を含む。本発明により包含される例示的なFc融合タンパク質は、本発明の操作されたFcポリペプチドと融合された、腫瘍壊死因子受容体2(TNFR2)、またはそのTNF-α結合部分、同様に、同一ではないが、野生型IgG1 Fcポリペプチドと融合されたTNFR2を含む、エタネルセプト(ENBREL(商標))を含む。したがって、当業者であれば、一度、本明細書に提供される教示で武装したら、本発明が操作された抗体に限定されず、むしろ、本発明が対象の標的に対する特異性を提供する任意の結合ドメインと融合された操作されたFcポリペプチドを包含することを理解できる。
【0259】
他の実施形態において、本開示は、別のタンパク質に融合された、定常領域の番号付けシステムがKabatに記載のEUインデックスのものである、246、249、265、267、270、276、278、283、292、293、294、300、302、303、314、315、318、320、332、333、334、336、345、347、354、355、358、360、362、370、373、376、378、380、382、386、388、390、392、393、401、404、411、413、414、416、418、419、421、428、431、432、437、438、439、443、および444から選択される位置に少なくとも1個または複数個の置換を含む操作されたFcポリペプチドを含む融合タンパク質を提供する。
【0260】
抗体親和性
典型的には、標的に関する抗体のKDは、限定されるものではないが、非関連材料または環境中の付随する材料などの別の非標的分子に関するKDよりも2倍、好ましくは5倍、より好ましくは10倍小さい。より好ましくは、KDは、非標的分子に関するKDよりも50倍小さい、例えば、100倍小さい、または200倍小さい、さらにより好ましくは、500倍小さい、例えば、1000倍小さい、または10,000倍小さい。
【0261】
この解離定数の値を、周知の方法によって直接測定することができ、例えば、Caceciら、1984、Byte 9:340~362に記載のものなどの方法により複合体混合物についてさえ計算することができる。例えば、KDを、WongおよびLohman、1993、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5428~5432により開示されたものなどの二重フィルターニトロセルロースフィルター結合アッセイを用いて確立することができる。標的に対する抗体などのリガンドの結合能力を評価するための他の標準的なアッセイは当技術分野で公知であり、例えば、ELISA、ウエスタンブロット、RIA、およびフローサイトメトリー分析が挙げられる。また、抗体の結合速度および結合親和性を、表面プラズモン共鳴(SPR)などの当技術分野で公知の標準的なアッセイにより、例えば、Biacore(商標)システムを用いることにより評価することもできる。
【0262】
標的への抗体の結合を、別の抗体などのその標的の別のリガンドによる標的の結合と比較する競合的結合アッセイを行うことができる。50%の結合阻害が起こる濃度は、Kiとして知られる。理想的な条件下では、KiはKDと等しい。Ki値はKDより決して小さくないため、Kiの測定値を、KDの上限を提供するために都合良く置きかえてもよい。
【0263】
本発明の抗体は、1x10-7M以下、1x10-8M以下、または1x10-9M以下、または1x10-10M以下、1x10-11M以下、または1x10-12M以下のその標的に関するKDを有してもよい。
【0264】
その標的に特異的に結合する抗体は、高い親和性でその標的に結合してもよい、すなわち、上記で論じられた低いKDを示し、より低い親和性で他の非標的分子に結合してもよい。例えば、抗体は、1x10-6M以上、より好ましくは1x10-5M以上、より好ましくは1x10-4M以上、より好ましくは1x10-3M以上、さらにより好ましくは1x10-2M以上のKDで非標的分子に結合してもよい。本発明の抗体は、別の非標的分子に対する結合のその親和性よりも少なくとも2倍、10倍、50倍、100倍、200倍、500倍、1,000倍または10,000倍以上である親和性でその標的に結合することができるのが好ましい。
【0265】
一実施形態において、本開示の操作されたFcポリペプチドを含む抗体は、少なくとも102M-1、少なくとも5x102M-1、少なくとも103M-1、少なくとも5x103M-1、少なくとも104M-1、少なくとも5x104M-1、少なくとも105M-1、少なくとも5x105M-1、少なくとも106M-1、少なくとも5x106M-1、少なくとも107M-1、少なくとも5x107M-1、少なくとも108M-1、少なくとも5x108M-1、少なくとも109M-1、少なくとも5x109M-1、少なくとも1010M-1、少なくとも5x1010M-1、少なくとも1011M-1、少なくとも5x1011M-1、少なくとも1012M-1、少なくとも5x1012M-1、少なくとも1013M-1、少なくとも5x1013M-1、少なくとも1014M-1、少なくとも5x1014M-1、少なくとも1015M-1、または少なくとも5x1015M-1の親和性速度定数またはKa(kon/koff)を有してもよい。
【0266】
別の実施形態において、本開示の操作されたFcポリペプチドを含む抗体は、5x10-2M未満、10-2M未満、5x10-3M未満、10-3M未満、5x10-4M未満、10-4M未満、5x10-5M未満、10-5M未満、5x10-6M未満、10-6M未満、5x10-7M未満、10-7M未満、5x10-8M未満、10-8M未満、5x10-9M未満、10-9M未満、5x10-10M未満、10-10M未満、5x10-11M未満、10-11M未満、5x10-12M未満、10-12M未満、5x10-13M未満、10-13M未満、5x10-14M未満、10-14M未満、5x10-15M未満、または10-15M未満の解離速度定数またはKd(koff/kon)を有してもよい。
【0267】
本明細書に記載の方法に従って用いられる操作されたFcポリペプチドを含む抗体は、本明細書に記載されるか、または当業者には公知の方法(例えば、BIAcoreアッセイ(商標)、ELISA)(Biacore International AB、Uppsala、Sweden)を用いて評価された場合、3000pM未満、2500pM未満、2000pM未満、1500pM未満、1000pM未満、750pM未満、500pM未満、250pM未満、200pM未満、150pM未満、100pM未満、75pM未満の解離定数(Kd)を有してもよい。
【0268】
本開示の操作されたFcポリペプチドを含む抗体は、その天然の対応物の抗原結合能力を保持する。一実施形態においては、本開示の操作されたFcポリペプチドを含む抗体は、操作前の抗体と比較して本質的に同じ親和性を示す。別の実施形態において、本開示の操作されたFcポリペプチドを含む抗体は、操作前の抗体と比較して低下した親和性を示す。別の実施形態において、本開示の操作されたFcポリペプチドを含む抗体は、操作前の抗体と比較して増強された親和性を示す。
【0269】
一実施形態において、本開示の操作されたFcポリペプチドを含む抗体は、操作前の抗体の解離定数(Kd)とほぼ等しいKdを有してもよい。
【0270】
一実施形態において、本開示の操作されたFcポリペプチドを含む抗体は、操作前の抗体のKdと比較して、その同種抗原に対する約1倍、より好ましくは約2倍、さらにより好ましくは約3倍、より好ましくは約4倍、さらにより好ましくは約5倍、さらにより好ましくは約10倍、より好ましくは約20倍、さらにより好ましくは約50倍、より好ましくは約100倍、さらにより好ましくは約150倍、より好ましくは約200倍、さらにより好ましくは約250倍、さらにより好ましくは約300倍、より好ましくは約400倍、さらにより好ましくは約500倍、より好ましくは約600倍、さらにより好ましくは約700倍、より好ましくは約800倍、さらにより好ましくは900倍、およびさらにより好ましくは約1000倍高い解離定数(Kd)を有してもよい。
【0271】
さらに別の実施形態において、本開示の操作されたFcポリペプチドを含む抗体は、操作前の抗体のKdと比較して、その同種抗原に対する約1倍、より好ましくは約2倍、さらにより好ましくは約3倍、より好ましくは約4倍、さらにより好ましくは約5倍、さらにより好ましくは約10倍、より好ましくは約20倍、さらにより好ましくは約50倍、より好ましくは約100倍、さらにより好ましくは約150倍、より好ましくは約200倍、さらにより好ましくは約250倍、さらにより好ましくは約300倍、より好ましくは約400倍、さらにより好ましくは約500倍、より好ましくは約600倍、さらにより好ましくは約700倍、より好ましくは約800倍、さらにより好ましくは900倍、およびさらにより好ましくは約1000倍低いKdを有してもよい。
【0272】
抗体特異性
いくつかの実施形態において、本開示の操作された抗体、FabおよびF(ab’)2は、アバゴボマブ、アバタセプト(ORENCIA(登録商標))、アブシキシマブ(REOPRO(登録商標)、c7E3 Fab)、アダリムマブ(HUMIRA(登録商標))、アデカツムマブ、アレムツズマブ(CAMPATH(登録商標)、MabCampathもしくはCampath-1H)、アルツモマブ、アフェリモマブ、アナツモマブマフェナトックス、アネツムマブ、アンルキズマブ、アポリズマブ、アルシツモマブ、アセリズマブ、アトリズマブ、アトロリムマブ、バピネウズマブ、バシリキシマブ(SIMULECT(登録商標))、バビツキシマブ、ベクツモマブ(LYMPHOSCAN(登録商標))、ベリムマブ(LYMPHO-STAT-B(登録商標))、ベルチリムマブ、ベシレソマブ、ベタセプト(EMBREL(登録商標))、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))、ビシロマブブラロバルビタール、ビバツズマブメルタンシン、ブレンツキシマブベドチン(ADCETRIS(登録商標))、カナキヌマブ(ACZ885)、カンツズマブメルタンシン、カプロマブ(PROSTASCINT(登録商標))、カツマキソマブ(REMOV AB(登録商標))、セデリズマブ(CIMZIA(登録商標))、セルトリズマブペゴール、セツキシマブ(ERBITUX(登録商標))、クレノリキシマブ、ダセツズマブ、ダクリキシマブ、ダクリズマブ(ZENAP AX(登録商標))、デノスマブ(AMG 162)、デツモマブ、ドルリモマブアリトックス、ドルリキシズマブ、ダンツムマブ、デュリムルマブ、デュルムルマブ、エクロメキシマブ、エクリズマブ(SOLIRIS(登録商標))、エドバコマブ、エドレコロマブ(Mabl7-1A、PANOREX(登録商標))、エファリズマブ(RAPTIVA(登録商標))、エフングマブ(MYCOGRAB(登録商標))、エルシリモマブ、エンリモマブペゴール、エピツモマブシツキセタン、エファリズマブ、エピツモマブ、エプラツズマブ、エルリズマブ、エルツマキソマブ(REXOMUN(登録商標))、エタラシズマブ(エタラツズマブ、VITAXIN(登録商標)、ABEGRIN(商標))、エクスビビルマブ、ファノレソマブ(NEUTROSPEC(登録商標))、ファラリモマブ、フェルビズマブ、フォントリズマブ(HUZAF(登録商標))、ガリキシマブ、ガンテネルマブ、ガビリモマブ(ABX-CBL(R))、ゲムツズマブオゾガマイシン(MYLOTARG(登録商標))、ゴリムマブ(CNTO 148)、ゴミリキシマブ、イバリズマブ(TNX-355)、イブリツモマブチウキセタン(ZEVALIN(登録商標))、イゴボマブ、イムシロマブ、インフリキシマブ(REMICAD E(登録商標))、イノリモマブ、イノツズマブオゾガマイシン、イピリムマブ(YERVOY(登録商標)、MDX-010)、イラツムマブ、ケリキシマブ、ラベツズマブ、レマレソマブ、レブリリズマブ、レルデリムマブ、レキサツムマブ(HGS-ETR2、ETR2-ST01)、レキシツムマブ、リビビルマブ、リンツズマブ、ルカツムマブ、ルミリキシマブ、マパツムマブ(HGS-ETRI、TRM-I)、マスリモマブ、マツズマブ(EMD72000)、メポリズマブ(BOSATRIA(登録商標))、メテリムマブ、ミラツズマブ、ミンレツモマブ、ミツモマブ、モロリムマブ、モタビズマブ(NUMAX(商標))、ムロモナブ(OKT3)、ナコロマブタフェナトックス、ナプツモマブエスタフェナトックス、ナタリズマブ(TYSABRI(登録商標)、ANTEGREN(登録商標))、ネバクマブ、ネレリモマブ、ニモツズマブ(THERACIM hR3(登録商標)、THERA-CIM-hR3(登録商標)、THERALOC(登録商標))、ノフェツモマブメルペンタン(VERLUMA(登録商標))、オクレリズマブ、オデュリモマブ、オファツムマブ、オマリズマブ(XOLAIR(登録商標))、オレゴボマブ(OVAREX(登録商標))、オテリキシズマブ、パギバキシマブ、パリビズマブ(SYNAGIS(登録商標))、パニツムマブ(ABX-EGF、VECTIBIX(登録商標))、パスコリズマブ、ペムツモマブ(THERAGYN(登録商標))、ペルツズマブ(2C4、OMNITARG(登録商標)、ペキセリズマブ、ピンツモマブ、ポネズマブ、プリリキシマブ、プリツムマブ、ランビズマブ(LUCENTIS(登録商標))、ラキシバクマブ、レガビルマブ、レスリズマブ、リツキシマブ(RITUXAN(登録商標)、MabTHERA(登録商標))、ロベリズマブ、ルプリズマブ、サツモマブ、セビルマブ、シブロツズマブ、シプリズマブ(MEDI-507)、ソンツズマブ、スタムルマブ(Myo-029)、スレソマブ(LEUKOSCAN(登録商標))、タカツズマブテトラキセタン、タドシズマブ、タリズマブ、タプリツモマブパプトックス、テフィバズマブ(AUREXIS(登録商標))、テリモマブアリトックス、テネリキシマブ、テプリズマブ、チシリムマブ、トシリズマブ(ACTEMRA(登録商標))、トラリズマブ、トシツモマブ、トラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標))、トレメリムマブ(CP-675,206)、ツコツズマブセルモロイキン、ツビルマブ、ウルトキサズマブ、ウステキヌマブ(CNTO 1275)、バパリキシマブ、ベルツズマブ、ベパリモマブ、ビシリズマブ(NUVION(登録商標))、ボロシキシマブ(M200)、ボツムマブ(HUMASPECT(登録商標))、ザルツムマブ、ザノリムマブ(HuMAX-CD4)、ジラリムマブ、またはゾリモマブアリトックスから選択される、エピトープ結合ドメイン(例えば、限定されるものではないが、6個全部のCDRを有する抗体可変領域、または抗体可変領域と少なくとも90%同一である等価な領域)を含む抗体、Fab、およびF(ab’)2を含む。
【0273】
他の実施形態において、本開示の操作された抗体、Fab、およびF(ab’)2は、6個のCDRを有する重鎖および軽鎖可変ドメインを含む、ならびに/または前記一覧から選択される抗体と結合について競合する。他の実施形態において、本開示の操作されたFcポリペプチドおよび/または操作されたCκもしくはCλポリペプチドを含む抗体、Fab、およびF(ab’)2は、前記一覧中の抗体と同じエピトープに結合する。他の実施形態において、本開示の操作されたFcポリペプチドおよび/または操作されたCκもしくはCλポリペプチドを含む抗体、Fab、およびF(ab’)2は、6個全部のCDRを有する重鎖および軽鎖可変ドメインを含み、前記一覧中の抗体と同じ抗原に結合する。
【0274】
他の実施形態において、本開示の操作されたFcポリペプチドおよび/または操作されたCκもしくはCλポリペプチドを含む抗体、Fab、およびF(ab’)2は、6個全部のCDRを有する重鎖および軽鎖可変ドメインを含み、PDGFRアルファ、PDGFRベータ、PDGF、VEGF、VEGF-A、VEGF-B、VEGF-C、VEGF-D、VEGF-E、VEGF-F、VEGFR1、VEGFR2、VEGFR3、FGF、FGF2、HGF、KDR、flt-1、FLK-1、Ang-2、Ang-1、PLGF、CEA、CXCL13、Baff、IL-21、CCL21、TNF-アルファ、CXCL12、SDF-I、bFGF、MAC-I、IL23pl9、FPR、IGFBP4、CXCR3、TLR4、CXCR2、EphA2、EphA4、EphrinB2、EGFR(ErbBl)、HER2(ErbB2またはpl85neu)、HER3(ErbB3)、HER4 ErbB4またはtyro2)、SCl、LRP5、LRP6、RAGE、s100A8、s100A9、Navl.7、GLPl、RSV、RSV Fタンパク質、インフルエンザHAタンパク質、インフルエンザNAタンパク質、HMGBl、CD16、CD19、CD20、CD21、CD28、CD32、CD32b、CD64、CD79、CD22、ICAM-I、FGFRl、FGFR2、HDGF、EphB4、GITR、ベータ-アミロイド、hMPV、PIV-I、PIV-2、OX40L、IGFBP3、cMet、PD-I、PLGF、ネプリライシン(Neprolysin)、CTD、IL-18、IL-6、CXCL-13、IL-IRl、IL-15、IL-4R、IgE、PAI-I、NGF、EphA2、uPARt、DLL-4、αvβ5、αvβ6、α5β1、α3β1、インターフェロン受容体I型およびII型、CD 19、ICOS、IL-17、第II因子、Hsp90、IGF、IGF-I、IGF-II、CD 19、GM-CSFR、PIV-3、CMV、IL-13、IL-9、およびEBVから選択される抗原に特異的に結合する。
【0275】
他の実施形態において、本開示の操作されたFcポリペプチドおよび/または操作されたCκもしくはCλポリペプチドを含む抗体、またはその抗原結合部分、例えば、Fab、およびF(ab’)2断片は、TNFスーパーファミリーのメンバー(受容体またはリガンド)に特異的に結合する。様々な分子として、限定されるものではないが、腫瘍壊死因子-アルファ(「TNF-アルファ」)、腫瘍壊死因子-ベータ(「TNF-ベータ」)、リンホトキシン-アルファ(「LT-アルファ」)、CD30リガンド、CD27リガンド、CD40リガンド、4-1BBリガンド、Apo-1リガンド(FasリガンドまたはCD95リガンドとも呼ばれる)、Apo-2リガンド(TRAILとも呼ばれる)、Apo-3リガンド(TWEAKとも呼ばれる)、オステオプロテゲリン(OPG)、APRIL、RANKリガンド(TRANCEとも呼ばれる)、TALL-1(BlyS、BAFFまたはTHANKとも呼ばれる)、DR4、DR5(Apo-2、TRAIL-R2、TR6、Tango-63、hAPO8、TRICK2、またはKILLERとしても知られる)、DR6、DcRI、DcR2、DcR3(TR6またはM68としても知られる)、CARI、HVEM(ATARまたはTR2としても知られる)、GITR、ZTNFR-5、NTR-I、TNFLI、CD30、LTBr、4-1BB受容体およびTR9が挙げられる。
【0276】
別の実施形態において、本開示の操作されたFcポリペプチドおよび/または操作されたCκもしくはCλポリペプチドを含む抗体、またはその抗原結合部分、例えば、Fab、およびF(ab’)2断片は、5T4、ABL、ABCB5、ABCFl、ACVRl、ACVRlB、ACVR2、ACVR2B、ACVRLl、AD0RA2A、アグレカン、AGR2、AICDA、AIFI、AIGl、AKAPl、AKAP2、AMH、AMHR2、アンギオゲニン(ANG)、ANGPTl、ANGPT2、ANGPTL3、ANGPTL4、アネキシンA2、ANPEP、APC、APOCl、AR、アロマターゼ、ATX、AXl、AZGPl(亜鉛-a-糖タンパク質)、B7.1、B7.2、B7-H1、BAD、BAFF、BAGl、BAIl、BCR、BCL2、BCL6、BDNF、BLNK、BLRl(MDR15)、BIyS、BMP1、BMP2、BMP3B(GDFlO)、BMP4、BMP6、BMP7、BMP8、BMP9、BMP11、BMP12、BMPR1A、BMPR1B、BMPR2、BPAGl(プレクチン)、BRCAl、C19orflO(IL27w)、C3、C4A、C5、C5R1、CANTl、CASPl、CASP4、CAVl、CCBP2(D6/JAB61)、CCLl(1-309)、CCLI 1(エオタキシン)、CCL13(MCP-4)、CCL15(MIP-Id)、CCL16(HCC-4)、CCL17(TARC)、CCL18(PARC)、CCL19(MIP-3b)、CCL2(MCP-1)、MCAF、CCL20(MIP-3a)、CCL21(MEP-2)、SLC、エクソダス-2、CCL22(MDC/STC-I)、CCL23(MPIF-I)、CCL24(MPIF-2/エオタキシン-2)、CCL25(TECK)、CCL26(エオタキシン-3)、CCL27(CTACK/ILC)、CCL28、CCL3(MIP-Ia)、CCL4(MIP-Ib)、CCL5(RANTES)、CCL7(MCP-3)、CCL8(mcp-2)、CCNAl、CCNA2、CCNDl、CCNEl、CCNE2、CCRl(CKRl/HM145)、CCR2(mcp-IRB/RA)、CCR3(CKR3/CMKBR3)、CCR4、CCR5(CMKBR5/ChemR13)、CCR6(CMKBR6/CKR-L3/STRL22/DRY6)、CCR7(CKR7/EBI1)、CCR8(CMKBR8/TERl/CKR-Ll)、CCR9(GPR-9-6)、CCRLl(VSHKl)、CCRL2(L-CCR)、CD164、CD19、CDlC、CD20、CD200、CD-22、CD24、CD28、CD3、CD33、CD35、CD37、CD38、CD3E、CD3G、CD3Z、CD4、CD40、CD40L、CD44、CD45RB、CD46、CD52、CD69、CD72、CD74、CD79A、CD79B、CD8、CD80、CD81、CD83、CD86、CD105、CD137、CDHl(E-カドヘリン)、CDCP1CDH10、CDH12、CDH13、CDH18、CDH19、CDH20、CDH5、CDH7、CDH8、CDH9、CDK2、CDK3、CDK4、CDK5、CDK6、CDK7、CDK9、CDKNlA(p21Wapl/Cipl)、CDKNlB(p27Kipl)、CDKNlC、CDKN2A(pl6INK4a)、CDKN2B、CDKN2C、CDKN3、CEBPB、CERl、CHGA、CHGB、キチナーゼ、CHSTlO、CKLFSF2、CKLFSF3、CKLFSF4、CKLFSF5、CKLFSF6、CKLFSF7、CKLFSF8、CLDN3、CLDN7(クラウジン-7)、CLN3、CLU(クラステリン)、CMKLRl、CMKORl(RDCl)、CNRl、COLl 8Al、COL1A1、COL4A3、COL6A1、CR2、Cripto、CRP、CSFl(M-CSF)、CSF2(GM-CSF)、CSF3(GCSF)、CTLA4、CTL8、CTNNBl(b-カテニン)、CTSB(カテプシンB)、CX3CL1(SCYDl)、CX3CR1(V28)、CXCLl(GROl)、CXCLlO(IP-IO)、CXCLIl(I-TAC/IP-9)、CXCL12(SDFl)、CXCL13、CXCL 14、CXCL 16、CXCL2(GR02)、CXCL3(GR03)、CXCL5(ENA-78/LIX)、CXCL6(GCP-2)、CXCL9(MIG)、CXCR3(GPR9/CKR-L2)、CXCR4、CXCR6(TYMSTR/STRL33/Bonzo)、CYB5、CYCl、Cyr61、CYSLTRl、c-Met、DAB2IP、DES、DKFZp451J0118、DNCLl、DPP4、E2F1、ECGFl5EDGl、EFNAl、EFNA3、EFNB2、EGF、EGFR、ELAC2、ENG、エンドグリン、ENOl、EN02、EN03、EPHAl、EPHA2、EPHA3、EPHA4、EPHA5、EPHA6、EPHA7、EPHA8、EPHA9、EPHAlO、EPHBl、EPHB2、EPHB3、EPHB4、EPHB5、EPHB6、EPHRIN-Al、EPHRIN-A2、EPHRIN-A3、EPHRIN-A4、EPHRIN-A5、EPHRIN-A6、EPHRIN-Bl、EPHRIN-B2、EPHRTN-B3、EPHB4、EPG、ERBB2(Her-2)、EREG、ERK8、エストロゲン受容体、ESRl、ESR2、F3(TF)、FADD、ファルネシルトランスフェラーゼ、FasL、FASNf、FCER1A、FCER2、FCGR3A、FGF、FGFl(aFGF)、FGFlO、FGFl 1、FGF12、FGF12B、FGF13、FGF14、FGF16、FGF17、FGF18、FGF19、FGF2(bFGF)、FGF20、FGF21、FGF22、FGF23、FGF3(int-2)、FGF4(HST)、FGF5、FGF6(HST-2)、FGF7(KGF)、FGF8、FGF9、FGFR3、FIGF(VEGFD)、FILl(EPSILON)、FBLl(ZETA)、FLJ12584、FLJ25530、FLRTl(フィブロネクチン)、FLTl、FLT-3、FOS、FOSLl(FRA-I)、FY(DARC)、GABRP(GABAa)、GAGEBl、GAGECl、GALNAC4S-6ST、GATA3、GD2、GD3、GDF5、GDF8、GFIl、GGTl、GM-CSF、GNASl、GNRHl、GPR2(CCRlO)、GPR31、GPR44、GPR81(FKSG80)、GRCClO(ClO)、gremlin、GRP、GSN(ゲルゾリン)、GSTPl、HAVCR2、HDAC、HDAC4、HDAC5、HDAC7A、HDAC9、ヘッジホッグ、HGF、HIFlA、HIPl、ヒスタミンおよびヒスタミン受容体、HLA-A、HLA-DRA、HM74、HMOXl、HSP90、HUMCYT2A、ICEBERG、ICOSL、ID2、IFN-a、IFNAl、IFNA2、IFNA4、IFNA5、EFNA6、BFNA7、IFNBl、IFNガンマ、IFNWl、IGBPl、IGFl、IGFlR、IGF2、IGFBP2、IGFBP3、IGFBP6、DL-I、ILlO、ILlORA、ILlORB、IL-1、ILlRl(CD121a)、ILlR2(CD121b)、IL-IRA、IL-2、IL2RA(CD25)、IL2RB(CD122)、IL2RG(CD132)、IL-4、IL-4R(CD123)、IL-5、IL5RA(CD125)、IL3RB(CD131)、IL-6、IL6RA(CD126)、IR6RB(CD130)、IL-7、IL7RA(CD127)、IL-8、CXCRl(IL8RA)、CXCR2(IL8RB/CD128)、IL-9、IL9R(CD129)、IL-10、IL10RA(CD210)、IL10RB(CDW210B)、IL-11、ILl IRA、IL-12、IL-12A、IL-12B、IL-12RB1、IL-12RB2、IL-13、IL13RA1、IL13RA2、IL14、IL15、IL15RA、1L16、IL17、IL17A、IL17B、IL17C、IL17R、IL18、IL18BP、IL18R1、IL18RAP、IL19、ILIA、ILlB、ILlFlO、IL1F5、IL1F6、IL1F7、IL1F8、DL1F9、ILlHYl、ILlRl、IL1R2、ILlRAP、ILlRAPLl、IL1RAPL2、ILlRLl、IL1RL2、ILlRN、IL2、IL20、IL20RA、IL21R、IL22、IL22R、IL22RA2、IL23、DL24、IL25、IL26、IL27、IL28A、IL28B、IL29、IL2RA、IL2RB、IL2RG、IL3、IL30、IL3RA、IL4、IL4R、IL6ST(糖タンパク質130)、ILK、INHA、INHBA、INSL3、INSL4、IRAKI、IRAK2、ITGA1、ITGA2、ITGA3、ITGA6(アルファ6インテグリン)、ITGAV、ITGB3、ITGB4(ベータ4インテグリン)、JAGl、JAKl、JAK3、JTB、JUN、K6HF、KAIl、KDR、KIM-1、KITLG、KLF5(GCボックスBP)、KLF6、KLKlO、KLK12、KLK13、KLK14、KLK15、KLK3、KLK4、KLK5、KLK6、KLK9、KRTl、KRT19(ケラチン19)、KRT2A、KRTHB6(毛髪特異的II型ケラチン)、LAMA5、LEP(レプチン)、Lingo-p75、Lingo-Troy、LPS、LRP5、LRP6、LTA(TNF-b)、LTB、LTB4R(GPR16)、LTB4R2、LTBR、MACMARCKS、MAGまたはOmgp、MAP2K7(c-Jun)、MCP-I、MDK、MIBl、ミドカイン、MIF、MISRII、MJP-2、MK、MKI67(Ki-67)、MMP2、MMP9、MS4A1、MSMB、MT3(メタロチオネクチン-Ui)、mTOR、MTSSl、MUCl(ムチン)、MYC、MYD88、NCK2、ニューロカン、ニューレグリン-1、ニューロピリン-1、NFKBl、NFKB2、NGFB(NGF)、NGFR、NgR-Lingo、NgR-Nogo66(Nogo)、NgR-p75、NgR-Troy、NMEl(NM23A)、NOTCH、NOTCHl、N0X5、NPPB、NROBl、NR0B2、NRlDl、NR1D2、NR1H2、NR1H3、NR1H4、NR1I2、NR1I3、NR2C1、NR2C2、NR2E1、NR2E3、NR2F1、NR2F2、NR2F6、NR3C1、NR3C2、NR4A1、NR4A2、NR4A3、NR5A1、NR5A2、NR6A1、NRPl、NRP2、NT5E、NTN4、OCT-1、ODZ1、OPN1、OPN2、OPRDl、P2RX7、PAP、PARTl、PATE、PAWR、PCA3、PCDGF、PCNA、PDGFA、PDGFB、PDGFRA、PDGFRB、PECAMl、peg-アスパラギナーゼ、PF4(CXCL4)、Plexin B2(PLXNB2)、PGF、PGR、ホスファカン、PIAS2、PI3キナーゼ、PIK3CG、PLAU(uPA)、PLG5PLXDCl、PKC、PKC-ベータ、PPBP(CXCL7)、PPID、PRl、PRKCQ、PRKDl、PRL、PROC、PROK2、pro-NGF、プロサポシン、PSAP、PSCA、PTAFR、PTEN、PTGS2(COX-2)、PTN、RAC2(P21Rac2)、RANK、RANKリガンド、RARB、RGSl、RGS13、RGS3、RNFI10(ZNF144)、Ron、R0B02、RXR、セレクチン、S100A2、S100A8、S100A9、SCGB 1D2(リポフィリンB)、SCGB2A1(マンマグロビン2)、SCGB2A2(マンマグロビン1)
、SCYEl(内皮単球活性化サイトカイン)、SDF2、SERPENA1、SERPINA3、SERPINB5(マスピン)、SERPINEl(PAI-I)、SERPINFl、SHIP-I、SHIP-2、SHBl、SHB2、SHBG、SfcAZ、SLC2A2、SLC33A1、SLC43A1、SLIT2、SPPl、SPRRlB(Sprl)、ST6GAL1、STABl、STAT6、STEAP、STEAP2、SULF-1、Sulf-2、TB4R2、TBX21、TCPlO、TDGFl、TEK、TGFA、TGFBl、TGFBlIl、TGFB2、TGFB3、TGFBI、TGFBRl、TGFBR2、TGFBR3、THlL、THBSl(トロンボスポンジン-1)、THBS2/THBS4、THPO、TIE(Tie-1)、TIMP3、組織因子、TIKI2、TLR10、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6JLR7、TLR8、TLR9、TM4SF1、TNF、TNF-a、TNFAIP2(B94)、TNFAIP3、TNFRSFIlA、TNFRSFlA、TNFRSFlB、TNFRSF21、TNFRSF5、TNFRSF6(Fas)、TNFRSF7、TNFRSF8、TNFRSF9、TNFSFlO(TRAIL)、TNFSFl 1(TRANCE)、TNFSF12(AP03L)、TNFSF13(April)、TNFSF13B、TNFSF14(HVEM-L)、TNFSF15(VEGI)、TNFSF 18、TNFSF4(OX40リガンド)、TNFSF5(CD40リガンド)、TNFSF6(FasL)、TNFSF7(CD27リガンド)、TNFSF8(CD30リガンド)、TNFSF9(4-1BBリガンド)、TOLLIP、Toll様受容体、TLR2、TLR4、TLR9、T0P2A(トポイソメラーゼIia)、TP53、TPMl、TPM2、TRADD、TRAFl、TRAF2、TRAF3、TRAF4、TRAF5、TRAF6、TRKA、TREMl、TREM2、TRPC6、TROY、TSLP、TWEAK、チロシナーゼ、uPAR、VEGF、VEGFB、VEGFC、バーシカン、VHL C5、VLA-4、Wnt-1、XCLl(リンホタクチン)、XCL2(SCM-Ib)、XCRl(GPR5/CCXCRl)、YYl、およびZFPM2から選択される1つまたは複数の標的に結合することができる。
【0277】
操作されたFc融合タンパク質
別の実施形態において、本開示の操作されたFcポリペプチドを、前記一覧中の任意のタンパク質の一部に融合させる/共有結合させるか、またはFcポリペプチドを、前記一覧中のタンパク質に特異的に結合する任意の受容体もしくはリガンドに融合させる/共有結合させることができる。一態様において、本発明は、上記で列挙されたタンパク質、またはその同族リガンドもしくは受容体に結合するタンパク質の一部と融合した操作されたFcポリペプチドを含むFcポリペプチド融合タンパク質を包含する。例えば、アバタセプトおよびベタネルセプトは、それぞれ、CTLA4およびTNFR2の一部を含むFc融合タンパク質である。したがって、本発明は、Fcが本発明の操作されたFcポリペプチドであり、CTLR4がその同種抗原、例えば、CD80(B7-1)およびCD86(B7-2)に結合することができるCTLA4の細胞外ドメインである、CTLA4-Fc融合タンパク質(アバタセプト;ORENCIA(商標))を含む融合タンパク質を包含する。同様に、本発明は、Fcが本発明の操作されたFcポリペプチドであるTNFアルファに結合するTNFR2-Fc融合タンパク質(エタネルセプト;ENBREL(商標));Fcが本発明の操作されたFcポリペプチドであるCD2に結合するLFA3の細胞外ドメイン(ECD)を含むFc融合タンパク質(アレファセプト;AMEVIVE(商標));およびFcが本発明の操作されたFcポリペプチドであるトロンボポエチン受容体に結合するトロンボポエチン受容体結合ペプチド(ロミプロスチム)を含むFc融合タンパク質を包含する。本発明は、いかなる意味でもこれらの特定の実施形態に限定されないが、むしろ、本発明の操作されたFcポリペプチドと融合した対象の任意のタンパク質を含む様々なFc融合タンパク質を包含する。
【0278】
一実施形態において、本発明は、以下のタンパク質のいずれか、またはその結合部分と融合した操作されたFcポリペプチドを含む融合タンパク質を包含する:PDGFRアルファ、PDGFRベータ、PDGF、VEGF、VEGF-A、VEGF-B、VEGF-C、VEGF-D、VEGF-E、VEGF-F、VEGFR-I、VEGFR-2、VEGFR-3、FGF、FGF2、HGF、KDR、flt-1、FLK-1、Ang-2、Ang-1、PLGF、CEA、CXCL13、Baff、IL-21、CCL21、TNF-アルファ、CXCL12、SDF-I、bFGF、MAC-I、IL23pl9、FPR、IGFBP4、CXCR3、TLR4、CXCR2、EphA2、EphA4、EphrinB2、EGFR(ErbBl)、HER2(ErbB2またはpl85neu)、HER3(ErbB3)、HER4 ErbB4またはtyro2)、SCl、LRP5、LRP6、RAGE、Navl.7、GLPl、RSV、RSV Fタンパク質、インフルエンザHAタンパク質、インフルエンザNAタンパク質、HMGBl、CD16、CD19、CD20、CD21、CD28、CD32、CD32b、CD64、CD79、CD22、ICAM-1、FGFR1、FGFR2、HDGF、EphB4、GITR、ベータ-アミロイド、hMPV、PIV-1、PIV-2、OX40L、IGFBP3、cMet、PD-1、PLGF、ネプリライシン、CTD、IL-18、IL-6、CXCL-13、IL-1R1、IL-15、IL-4R、IgE、PAI-I、NGF、EphA2、uPARt、DLL-4、αvβ5、αvβ6、α5β1、α3β1、インターフェロン受容体I型およびII型、CD 19、ICOS、IL-17、第II因子、Hsp90、IGF、IGF-I、IGF-II、CD19、GM-CSFR、PIV-3、CMV、IL-13、IL-9、およびEBV、TNF-アルファ、TNF-ベータ、LT-アルファ、CD30L、CD27L、CD40L、4-1 BBL、Apo-1リガンド(FasリガンドまたはCD95リガンドとも呼ばれる)、Apo-2リガンド(TRAILとも呼ばれる)、Apo-3リガンド(TWEAKとも呼ばれる)、オステオプロテゲリン(OPG)、APRIL、RANKL(TRANCEとも呼ばれる)、TALL-I(BlyS、BAFFまたはTHANKとも呼ばれる)、DR4、DR5(Apo-2、TRAIL-R2、TR6、Tango-63、hAPO8、TRICK2、またはKILLERとしても知られる)、DR6、DcRI、DcR2、DcR3(TR6またはM68としても知られる)、CARI、HVEM(ATARまたはTR2としても知られる)、GITR、ZTNFR-5、NTR-1、TNFL1、CD30、LTBr、4-1BB受容体およびTR9。
【0279】
別の実施形態において、本開示の操作されたFcポリペプチドを含むFc融合物は、5T4、ABL、ABCB5、ABCFl、ACVRl、ACVRlB、ACVR2、ACVR2B、ACVRLl、AD0RA2A、アグレカン、AGR2、AICDA、AIFI、AIGl、AKAPl、AKAP2、AMH、AMHR2、アンギオゲニン(ANG)、ANGPTl、ANGPT2、ANGPTL3、ANGPTL4、アネキシンA2、ANPEP、APC、APOCl、AR、アロマターゼ、ATX、AXl、AZGPl(亜鉛-a-糖タンパク質)、B7.1、B7.2、B7-H1、BAD、BAFF、BAGl、BAIl、BCR、BCL2、BCL6、BDNF、BLNK、BLRl(MDR15)、BIyS、BMPl、BMP2、BMP3B(GDFlO)、BMP4、BMP6、BMP8、BMPRlA、BMPRlB、BMPR2、BPAGl(プレクチン)、BRCAl、C19orflO(IL27w)、C3、C4A、C5、C5R1、CANT1、CASP1l、CASP4、CAVl、CCBP2(D6/JAB61)、CCLl(1-309)、CCLI 1(エオタキシン)、CCL13(MCP-4)、CCL15(MIP-Id)、CCL16(HCC-4)、CCL17(TARC)、CCL18(PARC)、CCL19(MIP-3b)、CCL2(MCP-1)、MCAF、CCL20(MIP-3a)、CCL21(MEP-2)、SLC、エクソダス-2、CCL22(MDC/STC-1)、CCL23(MPIF-1)、CCL24(MPIF-2/エオタキシン-2)、CCL25(TECK)、CCL26(エオタキシン-3)、CCL27(CTACK/ILC)、CCL28、CCL3(MIP-Ia)、CCL4(MIP-Ib)、CCL5(RANTES)、CCL7(MCP-3)、CCL8(mcp-2)、CCNAl、CCNA2、CCNDl、CCNEl、CCNE2、CCR1(CKR1/HM145)、CCR2(mcp-IRB/RA)、CCR3(CKR3/CMKBR3)、CCR4、CCR5(CMKBR5/ChemR13)、CCR6(CMKBR6/CKR-L3/STRL22/DRY6)、CCR7(CKR7/EBI1)、CCR8(CMKBR8/TER1/CKR-L1)、CCR9(GPR-9-6)、CCRLl(VSHKl)、CCRL2(L-CCR)、CD164、CD19、CDlC、CD20、CD200、CD-22、CD24、CD28、CD3、CD33、CD35、CD37、CD38、CD3E、CD3G、CD3Z、CD4、CD40、CD40L、CD44、CD45RB、CD46、CD52、CD69、CD72、CD74、CD79A、CD79B、CD8、CD80、CD81、CD83、CD86、CD105、CD137、CDHl(E-カドヘリン)、CDCP1CDH10、CDH12、CDH13、CDH18、CDH19、CDH20、CDH5、CDH7、CDH8、CDH9、CDK2、CDK3、CDK4、CDK5、CDK6、CDK7、CDK9、CDKNlA(p21Wapl/Cipl)、CDKNlB(p27Kipl)、CDKNlC、CDKN2A(pl6INK4a)、CDKN2B、CDKN2C、CDKN3、CEBPB、CERl、CHGA、CHGB、キチナーゼ、CHSTlO、CKLFSF2、CKLFSF3、CKLFSF4、CKLFSF5、CKLFSF6、CKLFSF7、CKLFSF8、CLDN3、CLDN7(クラウジン-7)、CLN3、CLU(クラステリン)、CMKLRl、CMKORl(RDCl)、CNRl、COLl 8Al、COL1A1.COL4A3、COL6A1、CR2、Cripto、CRP、CSFl(M-CSF)、CSF2(GM-CSF)、CSF3(GCSF)、CTLA4、CTL8、CTNNBl(b-カテニン)、CTSB(カテプシンB)、CX3CL1(SCYDl)、CX3CR1(V28)、CXCLl(GROl)、CXCLlO(IP-IO)、CXCLIl(I-TAC/IP-9)、CXCL12(SDFl)、CXCL13、CXCL 14、CXCL 16、CXCL2(GR02)、CXCL3(GR03)、CXCL5(ENA-78/LIX)、CXCL6(GCP-2)、CXCL9(MIG)、CXCR3(GPR9/CKR-L2)、CXCR4、CXCR6(TYMSTR/STRL33/Bonzo)、CYB5、CYCl、Cyr61、CYSLTRl、c-Met、DAB2IP、DES、DKFZp451J0118、DNCLl、DPP4、E2F1、ECGFl5EDGl、EFNAl、EFNA3、EFNB2、EGF、EGFR、ELAC2、ENG、エンドグリン、ENOl、EN02、EN03、EPHAl、EPHA2、EPHA3、EPHA4、EPHA5、EPHA6、EPHA7、EPHA8、EPHA9、EPHA10、EPHBl、EPHB2、EPHB3、EPHB4、EPHB5、EPHB6、EPHRIN-Al、EPHRIN-A2、EPHRIN-A3、EPHRIN-A4、EPHRIN-A5、EPHRIN-A6、EPHRIN-Bl、EPHRIN-B2、EPHRTN-B3、EPHB4、EPG、ERBB2(Her-2)、EREG、ERK8、エストロゲン受容体、ESRl、ESR2、F3(TF)、FADD、ファルネシルトランスフェラーゼ、FasL、FASNf、FCER1A、FCER2、FCGR3A、FGF、FGFl(aFGF)、FGFlO、FGFl 1、FGF12、FGF12B、FGF13、FGF14、FGF16、FGF17、FGF18、FGF19、FGF2(bFGF)、FGF20、FGF21、FGF22、FGF23、FGF3(int-2)、FGF4(HST)、FGF5、FGF6(HST-2)、FGF7(KGF)、FGF8、FGF9、FGFR3、FIGF(VEGFD)、FILl(EPSILON)、FBLl(ZETA)、FLJ12584、FLJ25530、FLRTl(フィブロネクチン)、FLTl、FLT-3、FOS、FOSLl(FRA-I)、FY(DARC)、GABRP(GABAa)、GAGEBl、GAGECl、GALNAC4S-6ST、GATA3、GD2、GD3、GDF5、GFIl、GGTl、GM-CSF、GNASl、GNRHl、GPR2(CCRlO)、GPR31、GPR44、GPR81(FKSG80)、GRCC10(C10)、GRP、GSN(ゲルゾリン)、GSTPl、HAVCR2、HDAC、HDAC4、HDAC5、HDAC7A、HDAC9、ヘッジホッグ、HGF、HIFlA、HIPl、ヒスタミンおよびヒスタミン受容体、HLA-A、HLA-DRA、HM74、HMOXl、HSP90、HUMCYT2A、ICEBERG、ICOSL、ID2、IFN-a、IFNAl、IFNA2、IFNA4、IFNA5、EFNA6、BFNA7、IFNBl、IFNガンマ、IFNWl、IGBPl、IGFl、IGFlR、IGF2、IGFBP2、IGFBP3、IGFBP6、DL-I、ILlO、ILlORA、ILlORB、IL-1、ILlRl(CD121a)、ILlR2(CD121b)、IL-IRA、IL-2、IL2RA(CD25)、IL2RB(CD122)、IL2RG(CD132)、IL-4、IL-4R(CD123)、IL-5、IL5RA(CD125)、IL3RB(CD131)、IL-6、IL6RA(CD126)、IR6RB(CD130)、IL-7、IL7RA(CD127)、IL-8、CXCRl(IL8RA)、CXCR2(IL8RB/CD128)、IL-9、IL9R(CD129)、IL-10、IL10RA(CD210)、IL10RB(CDW210B)、IL-11、ILl IRA、IL-12、IL-12A、IL-12B、IL-12RB1、IL-12RB2、IL-13、IL13RA1、IL13RA2、IL14、IL15、IL15RA、1L16、IL17、IL17A、IL17B、IL17C、IL17R、IL18、IL18BP、IL18R1、IL18RAP、IL19、ILIA、ILlB、ILlFlO、IL1F5、IL1F6、IL1F7、IL1F8、DL1F9、ILlHYl、ILlRl、IL1R2、ILlRAP、ILlRAPLl、IL1RAPL2、ILlRLl、IL1RL2、ILlRN、IL2、IL20、IL20RA、IL21R、IL22、IL22R、IL22RA2、IL23、DL24、IL25、IL26、IL27、IL28A、IL28B、IL29、IL2RA、IL2RB、IL2RG、IL3、IL30、IL3RA、IL4、IL4R、IL6ST(糖タンパク質130)、ILK、INHA、INHBA、INSL3、INSL4、IRAKI、IRAK2、ITGAl、ITGA2、ITGA3、ITGA6(<x6インテグリン)、ITGAV、ITGB3、ITGB4(ベータ4インテグリン)、JAGl、JAKl、JAK3、JTB、JUN、K6HF、KAIl、KDR、KIM-1、KITLG、KLF5(GCボックスBP)、KLF6、KLKlO、KLK12、KLK13、KLK14、KLK15、KLK3、KLK4、KLK5、KLK6、KLK9、KRTl、KRT19(ケラチン19)、KRT2A、KRTHB6(毛髪特異的II型ケラチン)、LAMA5、LEP(レプチン)、Lingo-p75、Lingo-Troy、LPS、LRP5、LRP6、LTA(TNF-b)、LTB、LTB4R(GPR16)、LTB4R2、LTBR、MACMARCKS、MAGまたはOmgp、MAP2K7(c-Jun)、MCP-I、MDK、MIBl、ミドカイン、MIF、MISRII、MJP-2、MK、MKI67(Ki-67)、MMP2、MMP9、MS4A1、MSMB、MT3(メタロチオネクチン-Ui)、mTOR、MTSSl、MUCl(ムチン)、MYC、MYD88、NCK2、ニューロカン、ニューレグリン-1、ニューロピリン-1、NFKBl、NFKB2、NGFB(NGF)、NGFR、NgR-Lingo、NgR-Nogo66(Nogo)、NgR-p75、NgR-Troy、NMEl(NM23A)、NOTCH、NOTCHl、N0X5、NPPB、NROBl、NR0B2、NRlDl、NR1D2、NR1H2、NR1H3、NR1H4、NR1I2、NR1I3、NR2C1、NR2C2、NR2E1、NR2E3、NR2F1、NR2F2、NR2F6、NR3C1、NR3C2、NR4A1、NR4A2、NR4A3、NR5A1、NR5A2、NR6A1、NRPl、NRP2、NT5E、NTN4、OCT-1、ODZ1、OPN1、OPN2、OPRDl、P2RX7、PAP、PARTl、PATE、PAWR、PCA3、PCDGF、PCNA、PDGFA、PDGFB、PDGFRA、PDGFRB、PECAMl、peg-アスパラギナーゼ、PF4(CXCL4)、Plexin B2(PLXNB2)、PGF、PGR、ホスファカン、PIAS2、PI3キナーゼ、PIK3CG、PLAU(uPA)、PLG5PLXDCl、PKC、PKC-ベータ、PPBP(CXCL7)、PPID、PRl、PRKCQ、PRKDl、PRL、PROC、PROK2、pro-NGF、プロサポシン、PSAP、PSCA、PTAFR、PTEN、PTGS2(COX-2)、PTN、RAC2(P21Rac2)、RANK、RANKリガンド、RARB、RGSl、RGS13、RGS3、RNFI10(ZNF144)、Ron、R0B02、RXR、セレクチン、S100A2、S100A8、S100A9、SCGB 1D2(リポフィリンB)、SCGB2A1(マンマグロビン2)、SCGB2A2(マンマグロビン1)、SCYEl(内皮単球活性化サイトカイン)、SDF2、SERPENA1、SERPINA3、SERPINB5(マスピン)、SERPINEl(PAI-I)、SERPINFl、SHIP-I、SHIP-2
、SHBl、SHB2、SHBG、SfcAZ、SLC2A2、SLC33A1、SLC43A1、SLIT2、SPPl、SPRRlB(Sprl)、ST6GAL1、STABl、STAT6、STEAP、STEAP2、SULF-1、Sulf-2、TB4R2、TBX21、TCPlO、TDGFl、TEK、TGFA、TGFBl、TGFBlIl、TGFB2、TGFB3、TGFBI、TGFBRl、TGFBR2、TGFBR3、THlL、THBSl(トロンボスポンジン-1)、THBS2/THBS4、THPO、TIE(Tie-1)、TIMP3、組織因子、TIKI2、TLR10、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6JLR7、TLR8、TLR9、TM4SF1、TNF、TNF-a、TNFAIP2(B94)、TNFAIP3、TNFRSFIlA、TNFRSFlA、TNFRSFlB、TNFRSF21、TNFRSF5、TNFRSF6(Fas)、TNFRSF7、TNFRSF8、TNFRSF9、TNFSFlO(TRAIL)、TNFSFl 1(TRANCE)、TNFSF12(AP03L)、TNFSF13(April)、TNFSF13B、TNFSF14(HVEM-L)、TNFSF15(VEGI)、TNFSF 18、TNFSF4(OX40リガンド)、TNFSF5(CD40リガンド)、TNFSF6(FasL)、TNFSF7(CD27リガンド)、TNFSF8(CD30リガンド)、TNFSF9(4-1BBリガンド)、TOLLIP、Toll様受容体、TLR2、TLR4、TLR9、T0P2A(トポイソメラーゼIia)、TP53、TPMl、TPM2、TRADD、TRAFl、TRAF2、TRAF3、TRAF4、TRAF5、TRAF6、TRKA、TREMl、TREM2、TRPC6、TROY、TSLP、TWEAK、チロシナーゼ、uPAR、VEGF、VEGFB、VEGFC、バーシカン、VHL C5、VLA-4、Wnt-1、XCLl(リンホタクチン)、XCL2(SCM-Ib)、XCRl(GPR5/CCXCRl)、YYl、およびZFPM2から選択される1つまたは複数のタンパク質に結合することができる。
【0280】
Fc領域のさらなる改変
本開示はまた、さらに改変することができる操作されたFcポリペプチドも提供する。Fc領域のバリアント、例えば、アミノ酸置換、挿入、および/または付加および/または欠失は、エフェクター機能を増強または減少させることが知られている。例えば、Prestaら、2002、Biochem.Soc.Trans.30:487~490;Strohl、2009、Curr.Opin.Biotechnol.20(6):685~691;米国特許第5,624,821号、第5,648,260号、第5,885,573号、第6,737,056号、第7,317,091号;PCT公開WO99/58572、WO00/42072、WO04/029207、WO2006/105338、WO2008/022152、WO2008/150494、WO2010/033736;米国特許出願公開第2004/0132101号、第2006/0024298号、第2006/0121032号、第2006/0235208号、第2007/0148170号;Armourら、1999、Eur.J.Immunol.29(8):2613~2624(低下したADCCおよびCDC);Shieldsら、2001、J.Biol.Chem.276(9):6591~6604(低下したADCCおよびCDC);Idusogieら、2000、J.Immunol.164(8):4178~4184(増加したADCCおよびCDC);Steurerら、1995、J.Immunol.155(3):1165~1174(低下したADCCおよびCDC);Idusogieら、2001、J.Immunol.166(4):2571~2575(増加したADCCおよびCDC);Lazarら、2006、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 103(11):4005~4010(増加したADCC);Ryanら、2007、Mol.Cancer.Ther.、6:3009~3018(増加したADCC);Richardsら、2008、Mol.Cancer Ther.7(8):2517~2527を参照されたい。
【0281】
一実施形態において、操作されたFcポリペプチドは、天然の野生型Fcポリペプチドと比較して類似するレベルのエフェクター機能の誘導を示す。別の実施形態において、操作されたFcポリペプチドは、天然Fcと比較してエフェクター機能のより高い誘導を示す。別の実施形態において、操作されたFcポリペプチドは、天然Fcと比較してエフェクター機能のより低い誘導を示す。別の実施形態において、操作されたFcポリペプチドは、天然Fcと比較してADCCのより高い誘導を示す。別の実施形態において、操作されたFcポリペプチドは、天然Fcと比較してADCCのより低い誘導を示す。別の実施形態において、操作されたFcポリペプチドは、天然Fcと比較してCDCのより高い誘導を示す。別の実施形態において、操作されたFcポリペプチドは、天然Fcと比較してCDCのより低い誘導を示す。エフェクター機能に影響するようにさらに改変された操作されたFcポリペプチドの特定の実施形態を、以下に詳述する。
【0282】
本開示は、参照分子(例えば、天然の野生型Fcポリペプチドを有すること以外は同じアミノ酸を有するタンパク質)と比較して、Fcリガンド(例えば、Fc受容体、CIqなど)に対する変化した結合特性をさらに含む操作されたFcタンパク質を包含する。結合特性の例としては、限定されるものではないが、結合特異性、平衡解離定数(KD)、解離および会合速度(それぞれ、koffおよびkon)、結合親和性および/またはアビディティが挙げられる。一般に、低いKDを有する結合分子(例えば、抗体などのFcバリアントタンパク質)が高いKDを有する結合分子よりも好ましい場合があることが理解される。しかしながら、いくつかの例においては、konまたはkoffの値がKDの値よりも関連性があり得る。当業者であれば、動的パラメータが所与の抗体適用にとって最も重要であることを決定することができる。
【0283】
Fcポリペプチドのそのリガンドに対する親和性および結合特性を、Fc-FcγR相互作用、すなわち、FcポリペプチドのFcγRへの特異的結合を決定するための当技術分野で公知の様々なin vitroアッセイ法(生化学または免疫学に基づくアッセイ)、例えば、限定されるものではないが、平衡法(例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、もしくはラジオイムノアッセイ(RIA))、または動力学(例えば、BIACORE(登録商標)分析、OCTET(登録商標)、ForteBio、Menlo Park、CA)、および間接結合アッセイ、競合阻害アッセイ、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)、ゲル電気泳動およびクロマトグラフィー(例えば、ゲル濾過)などの他の方法により決定することができる。これらの方法および他の方法は、試験される1つもしくは複数の成分上の標識を利用する、および/または限定されるものではないが、発色、蛍光、発光、または同位体標識などの様々な検出方法を用いてもよい。結合親和性および動力学の詳細な説明を、抗体-免疫原相互作用に焦点を当てたPaul,W.E.(編)、Fundamental Immunology、第4版(Lippincott-Raven、Philadelphia、1999)に見出すことができる。
【0284】
一実施形態において、操作されたFcポリペプチドは、さらなる突然変異を含み、野生型の非改変型Fcと比較してさらなる突然変異を含まない同等の分子操作されたFcと比較して、1つまたは複数のFcリガンドへの結合の増強を示す。別の実施形態において、操作されたFcバリアントタンパク質は、さらなる突然変異を含まない同等の操作されたFcよりも少なくとも2倍、または少なくとも3倍、または少なくとも5倍、または少なくとも7倍、または少なくとも10倍、または少なくとも20倍、または少なくとも30倍、または少なくとも40倍、または少なくとも50倍、または少なくとも60倍、または少なくとも70倍、または少なくとも80倍、または少なくとも90倍、または少なくとも100倍、または少なくとも200倍高いFcリガンドに対する親和性を有する。特定の実施形態においては、操作されたFcバリアントタンパク質は、Fc受容体への増強された結合を有する。別の特定の実施形態において、Fcバリアントタンパク質は、Fc受容体FcγRIIIAへの増強された結合を有する。さらに特定の実施形態において、Fcバリアントタンパク質は、Fc受容体FcγRIIBへの増強された結合を有する。さらに別の特定の実施形態において、Fcバリアントタンパク質は、Fc受容体FcRnへの増強された結合を有する。さらに別の特定の実施形態において、Fcバリアントタンパク質は、突然変異を欠く同等のFc分子(例えば、野生型親Fc)と比較して、CIqへの増強された結合を有する。
【0285】
任意の特定の操作されたFcバリアントタンパク質がADCCにより標的細胞の溶解を媒介する能力を評価することができる。ADCC活性を評価するために、対象の操作されたFcバリアントタンパク質を、標的細胞の細胞溶解をもたらす抗原抗体複合体により活性化され得る免疫エフェクター細胞と共に標的細胞に添加する。細胞溶解は、一般的には溶解された細胞からの標識(例えば、放射性基質、蛍光色素または天然の細胞内タンパク質)の放出により検出される。そのようなアッセイにとって有用なエフェクター細胞としては、末梢血単核細胞(PBMC)およびナチュラルキラー(NK)細胞が挙げられる。in vitroでのADCCアッセイの特定例は、Wisecarverら、1985、J.Immunol.Methods 79(2):277~282;Bruggemannら、1987、J.Exp.Med.166:1351~1361;Wilkinsonら、2001、J.Immunol Methods 258:183~191;Patelら、1995、J.Immunol.Methods 184:29~38に記載されている。対象の操作されたFcバリアントタンパク質のADCC活性を、in vivoで、例えば、Clynesら、1998、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95:652~656に開示されたものなどの動物モデルにおいて評価することもできる。
【0286】
一実施形態において、操作されたFcバリアントタンパク質は、同等の分子(例えば、突然変異を含まない野生型天然Fcおよび/またはさらなる改変を含まない操作されたFc)と比較して増強されたADCC活性を有する。特定の実施形態において、Fcバリアントタンパク質は、同等の分子のものよりも少なくとも2倍、または少なくとも3倍、または少なくとも5倍、または少なくとも10倍、または少なくとも50倍、または少なくとも100倍高いADCC活性を有する。別の特定の実施形態において、Fcバリアントタンパク質は、Fc受容体FcγRIIIAへの増強された結合を有し、同等の分子と比較して増強されたADCC活性を有する。他の実施形態において、Fcバリアントタンパク質は、同等の分子と比較して増強されたADCC活性と増強された血清半減期との両方を有する。
【0287】
一実施形態において、操作されたFcバリアントタンパク質は、同等の分子(例えば、突然変異を含まない野生型天然Fcおよび/またはさらなる改変を含まない操作されたFc)と比較して低下したADCC活性を有する。特定の実施形態において、操作されたFcバリアントタンパク質は、同等の分子のものよりも少なくとも2倍、または少なくとも3倍、または少なくとも5倍、または少なくとも10倍、または少なくとも50倍、または少なくとも100倍低いADCC活性を有する。別の特定の実施形態において、操作されたFcバリアントタンパク質は、Fc受容体FcγRIIIAへの低下した結合を有し、同等の分子と比較して低下したADCC活性を有する。他の実施形態において、操作されたFcバリアントタンパク質は、同等の分子と比較して低下したADCC活性と増強された血清半減期との両方を有する。
【0288】
一実施形態において、操作されたFcバリアントタンパク質は、同等の分子(例えば、突然変異を含まない野生型天然Fcおよび/またはさらなる改変を含まない操作されたFc)と比較して増強されたCDC活性を有する。特定の実施形態において、Fcバリアントタンパク質は、同等の分子のものよりも少なくとも2倍、または少なくとも3倍、または少なくとも5倍、または少なくとも10倍、または少なくとも50倍、または少なくとも100倍高いCDC活性を有する。他の実施形態において、操作されたFcバリアントタンパク質は、同等の分子と比較して増強されたCDC活性と増強された血清半減期との両方を有する。一実施形態において、操作されたFcバリアントタンパク質は、同等の分子と比較して1つまたは複数のFcリガンドへの低下した結合を有する。別の実施形態において、操作されたFcバリアントタンパク質は、同等の分子のものよりも少なくとも2倍、または少なくとも3倍、または少なくとも5倍、または少なくとも7倍、または少なくとも10倍、または少なくとも20倍、または少なくとも30倍、または少なくとも40倍、または少なくとも50倍、または少なくとも60倍、または少なくとも70倍、または少なくとも80倍、または少なくとも90倍、または少なくとも100倍、または少なくとも200倍低いFcリガンドに対する親和性を有する。特定の実施形態において、操作されたFcバリアントタンパク質は、Fc受容体への低下した結合を有する。別の特定の実施形態において、操作されたFcバリアントタンパク質は、Fc受容体FcγRIIIAへの低下した結合を有する。さらなる特定の実施形態において、本明細書に記載の操作されたFcバリアントは、同等の分子のものよりも少なくとも約5倍低いFc受容体FcγRIIIAに対する親和性を有し、ここで前記操作されたFcバリアントは同等の分子のものの約2倍以内であるFc受容体FcγRIIBに対する親和性を有する。さらに別の特定の実施形態において、操作されたFcバリアントタンパク質はFc受容体FcRnへの低下した結合を有する。さらに別の特定の実施形態において、操作されたFcバリアントタンパク質は、同等の分子と比較してCIqへの低下した結合を有する。
【0289】
アミノ酸配列の改変に加えて、Fcポリペプチドの糖鎖を改変して、エフェクター機能を増加または減少させることができることも公知である(例えば、Umanaら、1999、Nat.Biotechnol.17:176~180;Daviesら、2001、Biotechnol.Bioeng.74:288~294;Shieldsら、2002、J.Biol.Chem.277:26733~26740;Shinkawaら、2003、J.Biol.Chem.278:3466~3473;米国特許第6,602,684号;米国特許出願公開第2003/0157108号;米国特許出願公開第2003/0003097号;国際特許出願公開WO00/61739A1;WO01/292246A1;WO02/311140A1;およびWO02/30954A1;Potillegent(商標)技術(Biowa,Inc.Princeton、N.J.);GlycoMAb(商標)糖鎖工学技術(GLYCART biotechnology AG、Zurich、Switzerland)を参照されたい)。
【0290】
したがって、一実施形態において、本開示の抗体および融合タンパク質の操作されたFcポリペプチドは、アミノ酸残基の糖鎖の変化を含んでもよい。別の実施形態において、アミノ酸残基の糖鎖の変化は、エフェクター機能の減少をもたらす。別の実施形態において、アミノ酸残基の糖鎖の変化は、エフェクター機能の増加をもたらす。特定の実施形態において、操作されたFcポリペプチドは、低下したフコシル化を有する。別の実施形態において、操作されたFcポリペプチドは無フコシル化されている(例えば、米国特許出願公開第2005/0226867号を参照されたい)。
【0291】
他の実施形態において、操作されたFcポリペプチドがC末端リシン(K)アミノ酸残基を含む(例えば、ヒトIgG1重鎖が末端リシンを含む)場合、当業者であれば、リシン残基を切り取り、C末端リシン残基を欠く融合タンパク質を得ることができることを理解できる。したがって、いくつかの実施形態において、操作されたFcポリペプチドを含む抗体またはFc融合タンパク質は、さもなければ存在する末端リシンが存在しないポリペプチドを含む。
【0292】
他の実施形態において、本開示の操作されたFcポリペプチドは、297位に天然アミノ酸の置換を含み、前記置換は297位での糖鎖を検出可能に減少させる、および/または無効化する。特定の実施形態において、本開示の操作されたFcポリペプチドは、抗体の重鎖の297位にシステインからアスパラギンへの置換を含む。さらに他の実施形態において、本開示は、抗体の重鎖の297位の糖鎖を欠く抗体を提供する。これらのそれぞれにおいて、定常領域の番号付けシステムは、Kabatに記載のEUインデックスのものである。
【0293】
IgG分子上のオリゴ糖へのシアル酸の付加は、その抗炎症活性を増強し、その細胞傷害性を変化させる(Kenekoら、2006、Science 313:670~673、Scallonら、2007、Mol.Immunol.44(7):1524~1534)。したがって、抗体治療剤の効果を、意図される適用に合わせた糖型の選択により最適化することができる。抗体の2個のCH2ドメイン間に挿入された2個のオリゴ糖鎖は、Fcポリペプチドのその受容体への結合に関与する。上記で参照された研究は、シアル化が増加したIgG分子は抗炎症特性を有するが、シアル化が減少したIgG分子は増加した免疫刺激特性を有することを示している。したがって、本開示の操作されたFcポリペプチドを含む抗体治療剤を、特定の適用のための適切なシアル化プロファイルを用いて改変することができる。抗体のシアル化状態を調節するための方法は、それぞれ全ての目的に関してその全体が参照により本明細書に組み込まれるWO2007/005786およびWO2007/117505に提示されている。
【0294】
また、Fc領域を改変して、タンパク質の半減期を増加させることができることも公知である。半減期の増加は、患者に与えられる薬物の量を減少させ、ならびに投与頻度を減少させることができる。したがって、半減期が増加した本開示の抗体を、FcとFcRn受容体との間の相互作用に関与するものとして同定されたアミノ酸残基を改変(例えば、置換、欠失、または付加)することにより生成することができる(例えば、PCT公開WO97/34631およびWO02/060919、Hintonら、2004、J.Biol.Chem.279(8):6213~6216、Vaccaroら、2005、Nat.Biotechnol.23(10):1283~1288(それぞれその全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい)。
【0295】
さらに、本開示の抗体および融合タンパク質の半減期を、当技術分野で広く用いられる技術により、バイオポリマー(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、アルブミン、ヒドロキシエチルスターチ(HES)、ヒドロキシアルキルスターチ、XTEN(Amunix,Inc.)へのコンジュゲーションにより増加させることができる。いくつかの実施形態において、本開示の抗体の操作されたFcポリペプチドは、参照野生型非改変Fcポリペプチドと比較して、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約100%、約125%、約150%以上の半減期の増加を含む。いくつかの実施形態において、本開示の抗体の操作されたFcポリペプチドは、非改変参照Fcポリペプチドと比較して、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約10倍、約20倍、約50倍以上の半減期の増加を含む。
【0296】
代替的な実施形態において、本開示の抗体およびFc融合タンパク質の操作されたFcポリペプチドは、半減期の減少を含む。いくつかの実施形態において、本開示の抗体の操作されたFcポリペプチドは、参照非改変Fcポリペプチドと比較して、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約100%、約125%、約150%以上の半減期の減少を含む。いくつかの実施形態において、本開示の抗体の操作されたFcポリペプチドは、非改変参照Fcポリペプチドと比較して、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約10倍、約20倍、約50倍以上の半減期の減少を含む。
【0297】
一実施形態において、本開示は、操作されたFcポリペプチドが、Kabatに記載のEUインデックスにより番号付けられた場合、234、235、236、237、238、239、240、241、243、244、245、247、251、252、254、255、256、262、263、264、265、266、267、268、269、279、280、284、292、296、297、298、299、305、313、316、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、339、341、343、370、373、378、392、416、419、421、440および443から選択される1個または複数個の位置に上記に開示された置換に加えて、またはそれ以外に、非天然アミノ酸残基をさらに含む、Fcバリアントを提供する。場合により、操作されたFcポリペプチドは、当業者には公知のさらなるおよび/または代替的な位置にさらなる非天然アミノ酸残基を含んでもよい(例えば、米国特許第5,624,821号、第6,277,375号、第6,737,056号、第7,217,797号、米国特許出願公開第US2007/0135620号;PCT公開WO01/58957;WO02/06919;WO04/016750;WO04/029207;WO04/035752;WO04/074455;WO04/099249;WO04/063351;WO05/070963;WO05/040217、WO05/092925およびWO06/020114(それぞれその全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい)。
【0298】
特定の実施形態において、本開示は、操作されたFcポリペプチドが、234、235、237および331から選択される1個または複数個の位置に少なくとも1つの改変、例えば、アミノ酸置換、アミノ酸挿入、アミノ酸欠失、アミノ酸付加を含む、操作されたFcバリアント抗体を提供する。一実施形態において、非天然アミノ酸は、234F、235F、235Y、および331Sから選択される。一実施形態において、非天然アミノ酸は、234A、235Aおよび237Aから選択される。別の特定の実施形態において、本開示は、Fcポリペプチドが239、330および332から選択される1個または複数個の位置に少なくとも1個の非天然アミノ酸を含む、操作されたFcバリアントを提供する。一実施形態において、非天然アミノ酸は、239D、330Lおよび332Eから選択される群から選択される。
【0299】
特定の実施形態において、本開示は、Fcポリペプチドが252、254および256から選択される1個または複数個の位置に少なくとも1個の非天然アミノ酸を含む、操作されたFcバリアント抗体を提供する。一実施形態において、非天然アミノ酸は、Dall’Acquaら、2006、J.Biol.Chem.281:23514~23524、および米国特許第7,083,784号(両方ともその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載のように、252Y、254Tおよび256E(「YTE改変」とも呼ばれる)から選択される群から選択される。
【0300】
他の実施形態において、操作されたFcバリアントは、Kabat(上掲)に記載のEUインデックスを用いる、246、249、254、265、267、270、276、278、283、284、287、292、293、294、300、302、303、314、315、318、320、332、333、334、336、345、347、354、355、358、360、362、370、373、376、378、380、382、386、388、390、392、393、401、404、411、413、414、416、418、419、421、428、431、432、437、438、439、443、および444位での置換から選択される少なくとも1個のアミノ酸置換を含み、428および434から選択される1個または複数個の位置に少なくとも1個の非天然アミノ酸をさらに含む、操作されたFcポリペプチドを含む。一実施形態において、さらなるアミノ酸置換は、国際特許出願公開WO2009/086320に記載の428Lおよび434Sを含む。
【0301】
他の実施形態において、本開示の操作されたバリアント抗体は、抗体のCH1ドメインの131~139領域中に少なくとも1個または複数個の非天然システインアミノ酸をさらに含んでもよい。いくつかの実施形態において、本開示の操作された抗体は、定常領域の番号付けシステムがKabatに記載のEUインデックスのものである、抗体のCH1ドメインの131、132、133、134、135、136、137、138および139から選択される位置に少なくとも1個の置換を含む。
【0302】
抗体を生成する方法
本開示の操作された定常ドメイン(Fc、CκおよびCλ)ポリペプチドならびに操作されたポリペプチドを含む抗体、FabおよびF(ab’)2を、抗体、FabおよびF(ab’)2の合成のための当技術分野で公知の任意の方法により、特に、化学的合成によるか、または好ましくは、組換え発現技術により生成することができる。
【0303】
モノクローナル抗体を、ハイブリドーマ、組換え、およびファージディスプレイ技術、またはその組合せの使用などの、当技術分野で公知の様々な技術を用いて調製することができる。例えば、モノクローナル抗体を、当技術分野で公知であり、例えば、Harlowら、Antibodies:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory Press、第2版、1988);Hammerlingら、Monoclonal Antibodies and T-CeIl Hybridomas 563~681(Elsevier、N.Y.、1981)(前記参考文献はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に教示されたものなどのハイブリドーマ技術を用いて生成することができる。本明細書で用いられる用語「モノクローナル抗体」は、ハイブリドーマ技術により生成された抗体に限定されない。用語「モノクローナル抗体」とは、それが生成される方法ではなく、任意の真核生物、原核生物、またはファージクローンなどの単一のクローンから誘導される抗体を指す。
【0304】
ハイブリドーマ技術を用いて特異的抗体を生成し、スクリーニングするための方法は、日常的であり、当技術分野で周知である。簡単に述べると、マウスを標的抗原(完全長タンパク質またはそのドメイン、例えば、細胞外ドメインまたはリガンド結合ドメイン)で免疫し、一度、免疫応答が検出されたら、例えば、標的抗原に特異的な抗体がマウス血清中で検出されたら、マウス脾臓を収穫し、脾臓細胞を単離する。次いで、脾臓細胞を周知の技術により任意の好適なミエローマ細胞、例えば、ATCCから入手可能な細胞系SP20に由来する細胞に融合する。ハイブリドーマを限界希釈により選択し、クローニングする。次いで、ハイブリドーマクローンを、本開示のポリペプチドに結合することができる抗体を分泌する細胞について当技術分野で公知の方法によりアッセイする。一般に高レベルの抗体を含有する腹水を、マウスを陽性ハイブリドーマクローンで免疫することにより生成することができる。
【0305】
したがって、好ましくは、ハイブリドーマが、標的抗原で免疫されたマウスから単離された脾臓細胞とミエローマ細胞とを融合した後、特定の標的抗原に結合することができる抗体を分泌するハイブリドーマクローンについて、融合物から得られるハイブリドーマをスクリーニングすることにより生成された、本開示の抗体を分泌するハイブリドーマ細胞を培養することにより、モノクローナル抗体を生成することができる。
【0306】
特異的標的抗原エピトープを認識する抗体断片を、当業者には公知の任意の技術により生成することができる。例えば、本開示のFabおよびF(ab’)2断片を、パパイン(Fab断片を生成するため)またはペプシン(F(ab’)2断片を生成するため)などの酵素を用いて、免疫グロブリン分子のタンパク質分解的切断により生成することができる。F(ab’)2断片は可変領域、軽鎖定常領域および重鎖のCH1ドメインを含有する。さらに、本開示の抗体を、当技術分野で公知の様々なファージディスプレイ法を用いて生成することもできる。
【0307】
ファージディスプレイ法においては、機能的抗体ドメインは、それらをコードするポリヌクレオチド配列を担持するファージ粒子の表面上に提示される。特に、VHおよびVLドメインをコードするDNA配列を、動物cDNAライブラリー(例えば、リンパ組織のヒトまたはマウスcDNAライブラリー)から増幅する。VHおよびVLドメインをコードするDNAを、PCRによりscFvリンカーと一緒に組換え、ファージミドベクター(例えば、pCANTAB6またはpComb3 HSS)中にクローニングする。ベクターを大腸菌(E.coli)中にエレクトロポレーションし、大腸菌(E.coli)をヘルパーファージに感染させる。これらの方法において用いられるファージは、典型的には、fdおよびM13などの繊維性ファージであり、VHおよびVLドメインは通常、ファージ遺伝子IIIまたは遺伝子VIIIのいずれかに組換えで融合される。対象のエピトープに結合する抗原結合ドメインを発現するファージを、抗原、例えば、標識された抗原または固相表面もしくはビーズに結合もしくは捕捉された抗原を用いて、選択または同定することができる。本開示の抗体を作製するのに用いることができるファージディスプレイ法の例としては、Brinkmanら、1995、J.Immunol.Methods 182:41~50;Amesら、1995、J.Immunol.Methods 184:177;Kettleboroughら、1994、Eur.J.Immunol.24:952~958;Persicら、1997、Gene 187:9;Burtonら、1994、Advances in Immunology 57:191~280;国際特許出願公開WO92/01047、WO90/02809、WO91/10737、WO92/01047、WO92/18619、WO93/11236、WO95/15982、WO95/20401、およびWO97/13844;ならびに米国特許第5,698,426号、第5,223,409号、第5,403,484号、第5,580,717号、第5,427,908号、第5,750,753号、第5,821,047号、第5,571,698号、第5,427,908号、第5,516,637号、第5,780,225号、第5,658,727号、第5,733,743号、および第5,969,108号(それぞれその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に開示されたものが挙げられる。
【0308】
上記参考文献に記載されたように、ファージ選択後、ファージに由来する抗体コード領域を単離し、これを用いてヒト抗体などの全抗体、またはその任意の他の所望の抗原結合断片を生成し、例えば、以下に記載のような哺乳動物細胞、昆虫細胞、植物細胞、酵母、および細菌などの任意の所望の宿主中で発現させることができる。Fab、Fab’およびF(ab’)2断片を組換え生成するための技術を、国際公開WO92/22324;Mullinaxら、1992、BioTechniques 12:864;Sawaiら、1995、AJRI 34~.26;およびBetterら、1988、Science 240:1041(前記参考文献はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に開示されたものなどの当技術分野で公知の方法を用いて使用することもできる。
【0309】
全抗体を生成するために、VHまたはVLヌクレオチド配列、制限部位、および制限部位を保護するためのフランキング配列を含むPCRプライマーを用いて、scFvクローン中のVHまたはVL配列を増幅することができる。当業者には公知のクローニング技術を用いて、PCR増幅されたVHドメインを、VH定常領域、例えば、ヒトガンマ1定常領域を発現するベクター中にクローニングし、PCR増幅されたVLドメインを、VL定常領域、例えば、ヒトカッパまたはラムダ定常領域を発現するベクター中にクローニングすることができる。好ましくは、VHまたはVLドメインを発現させるためのベクターは、EF-1αプロモーター、分泌シグナル、可変ドメイン、定常ドメイン、およびネオマイシンなどの選択マーカーのためのクローニング部位を含む。VHおよびVLドメインを、必要な定常領域を発現する1つのベクター中にクローニングすることもできる。次いで、重鎖変換ベクターおよび軽鎖変換ベクターを細胞系中に同時トランスフェクトして、当業者には公知の技術を用いて、完全長抗体、例えば、IgGを発現する安定な、または一過性の細胞系を生成する。
【0310】
ヒトにおける抗体のin vivoでの使用およびin vitroでの検出アッセイなどのいくつかの使用にとっては、ヒトまたはキメラ抗体を使用するのが好ましい場合がある。完全ヒト抗体は、ヒト対象の治療的処置にとって特に好ましい。ヒト抗体を、ヒト免疫グロブリン配列から誘導された抗体ライブラリーを用いる上記のファージディスプレイ法などの当技術分野で公知の様々な方法により作製することができる。また、米国特許第4,444,887号および第4,716,111号;ならびに国際公開WO98/46645、WO98/50433、WO98/24893、WO98/16654、WO96/34096、WO96/33735、およびWO91/10741(それぞれその全体が参照により本明細書に組み込まれる)も参照されたい。
【0311】
機能的な内因性免疫グロブリンを発現することはできないが、ヒト免疫グロブリン遺伝子を発現することができるトランスジェニックマウスを用いて、ヒト抗体を生成することもできる。例えば、ヒト重鎖および軽鎖免疫グロブリン遺伝子複合体を、マウス胚性幹細胞中に無作為に、または相同組換えにより導入することができる。あるいは、ヒト可変領域、定常領域、および多様性領域を、ヒト重鎖および軽鎖遺伝子に加えてマウス胚性幹細胞中に導入することができる。マウス重鎖および軽鎖免疫グロブリン遺伝子を、個別に、または相同組換えによるヒト免疫グロブリン遺伝子座の導入と同時に、非機能的にすることができる。特に、JH領域のホモ接合欠失は、内因性抗体生成を防止する。改変された胚性幹細胞を拡張し、胚細胞にマイクロインジェクションしてキメラマウスを生成する。次いで、キメラマウスを育種して、ヒト抗体を発現するホモ接合性子孫を生成する。トランスジェニックマウスを通常の様式で、選択された抗原、例えば、本開示のポリペプチドの全部または一部で免疫する。抗原に対するモノクローナル抗体を、従来のハイブリドーマ技術を用いて、免疫されたトランスジェニックマウスから取得することができる。トランスジェニックマウスにより担持されるヒト免疫グロブリントランスジーンは、B細胞分化の間に再配列し、続いて、クラススイッチングおよび体細胞突然変異を受ける。したがって、そのような技術を用いて、治療上有用なIgG、IgA、IgMおよびIgE抗体を生成することができる。ヒト抗体を生成するためのこの技術の概説については、LonbergおよびHuszar、1995、Int.Rev.Immunol.13:65~93を参照されたい。ヒト抗体およびヒトモノクローナル抗体を生成するためのこの技術ならびにそのような抗体を生成するためのプロトコールの詳細な論述については、例えば、国際公開WO98/24893、WO96/34096、およびWO96/33735;ならびに米国特許第5,413,923号、第5,625,126号、第5,633,425号、第5,569,825号、第5,661,016号、第5,545,806号、第5,814,318号、および第5,939,598号(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。さらに、Medarex(Princeton、NJ)のような会社を、上記のものと同様の技術を用いて選択された抗原に対するヒト抗体を提供するために従事させることができる。
【0312】
キメラ抗体は、抗体の異なる部分が、非ヒト抗体から誘導される可変領域と、ヒト免疫グロブリン定常領域とを有する抗体などの異なる免疫グロブリン分子から誘導された分子である。キメラ抗体を生成するための方法は当技術分野で公知である。例えば、Morrison、1985、Science 229:1202;Oiら、1986、BioTechniques 4:214;Gilliesら、1989、J.Immunol.Methods 125:191~202;ならびに米国特許第6,311,415号、第5,807,715号、第4,816,567号、および第4,816,397号(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。非ヒト種に由来する1個または複数個のCDRおよびヒト免疫グロブリン分子に由来するフレームワーク領域を含むキメラ抗体を、例えば、CDR-移植(EP0239400;国際公開WO91/09967;ならびに米国特許第5,225,539号、第5,530,101号、および第5,585,089号)、ベニアリング(veneering)またはリサーフェシング(resurfacing)(EP0592106;EP0519596;Padlan、1991、Molecular Immunology 28(4/5):489~498;Studnickaら、1994、Protein Engineering 7:805;およびRoguskaら、1994、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:969)、ならびに鎖シャッフリング(米国特許第5,565,332号)などの、当技術分野で公知の様々な技術を用いて生成することができる。
【0313】
フレームワーク領域中のフレームワーク残基は、典型的には抗原結合を変化させる、好ましくは改善するためにCDRドナー抗体に由来する対応する残基で置換される。これらのフレームワーク置換は、当技術分野で周知の方法により、例えば、抗原結合にとって重要なフレームワーク残基を同定するためのCDRとフレームワーク残基との相互作用のモデリングおよび特定の位置での通常でないフレームワーク残基を同定するための配列比較により同定される(例えば、米国特許第5,585,089号;およびRiechmannら、1988、Nature 332:323(これらはその全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい)。
【0314】
ヒト化抗体は、所定の抗原に結合することができ、実質的にヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を有するフレームワーク領域と、実質的に非ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を有するCDRとを含む抗体またはそのバリアントもしくは断片である。ヒト化抗体は、全部または実質的に全部のCDR領域が非ヒト免疫グロブリン(すなわち、ドナー抗体)のものに対応し、全部または実質的に全部のフレームワーク領域がヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のものである、実質的に全部の少なくとも1個、および典型的には2個の可変ドメインを含む。好ましくは、ヒト化抗体はまた、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部、典型的には、ヒト免疫グロブリンのものを含む。通常、抗体は、軽鎖ならびに重鎖の少なくとも可変ドメインの両方を含有する。抗体はまた、重鎖のCH1、ヒンジ、CH2、CH3およびCH4(IgAおよびIgMアイソタイプに関する)領域を含んでもよい。ヒト化抗体を、任意のクラスの免疫グロブリン、例えば、IgM、IgG、IgD、IgAおよびIgEならびに任意のアイソタイプ、例えば、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4から選択することができる。通常、定常ドメインは、ヒト化抗体が細胞傷害活性を示し、クラスが典型的にはヒトIgG1であることが望ましい補体固定定常ドメインである。そのような細胞傷害活性が望ましくない場合、定常ドメインはヒトIgG2クラスのものであってもよい。ヒト化抗体は、1つより多いクラスまたはアイソタイプに由来する配列を含んでもよく、所望のエフェクター機能を最適化するために特定の定常ドメインを選択することは当技術分野における通常の知識の範囲内にある。ヒト化抗体のフレームワークおよびCDR領域は、親配列と正確に一致する必要はなく、例えば、ドナーCDRまたはコンセンサスフレームワークを、その部位でのCDRまたはフレームワーク残基がコンセンサスまたは輸入抗体のいずれかと一致しないような少なくとも1個の残基の置換、挿入または欠失により突然変異誘発することができる。しかしながら、そのような突然変異は広範囲ではない。通常、少なくとも75%、より頻繁には90%、またはさらには95%より多いヒト化抗体残基が、親フレームワーク領域(FR)およびCDR配列のものと一致する。
【0315】
ヒト化抗体を、限定されるものではないが、CDR-移植(欧州特許第EP0239400号;国際公開WO91/09967;ならびに米国特許第5,225,539号、第5,530,101号、および第5,585,089号)、ベニアリングまたはリサーフェシング(欧州特許第EP0592106号;第EP0519596号;Padlan、1991、Molecular Immunology 28(4/5):489~498;Studnickaら、1994、Protein Engineering 7(6):805~814;およびRoguskaら、1994、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:969~973)、鎖シャッフリング(米国特許第5,565,332号)、ならびに例えば、米国特許第6,407,213号、第5,766,886号、第5,585,089号、国際公開WO9317105、Tanら、2002、J.Immunol.169:1119~25、Caldasら、2000、Protein Eng.13:353~360、Moreaら、2000、Methods 20:267~279、Bacaら、1997、J.Biol.Chem.272:10678~10684、Roguskaら、1996、Protein Eng.9:895~904、Coutoら、1995、Cancer Res.55(23 Supp):5973s~5977s、Coutoら、1995、Cancer Res.55:1717~1722、Sandhu、1994、Gene 150:409~410、Pedersenら、1994、J.MoI.Biol.235:959~973、Jonesら、1986、Nature 321:522~525、Riechmannら、1988、Nature 332:323、およびPresta、1992、Curr.Op.Struct.Biol.2:593~596に開示された技術などの、当技術分野で公知の様々な技術を用いて生成することができる。しばしば、フレームワーク領域中のフレームワーク残基は、抗原結合を変化させる、好ましくは、改善するために、CDRドナー抗体に由来する対応する残基で置換される。これらのフレームワーク置換は、当技術分野で周知の方法により、例えば、抗原結合にとって重要なフレームワーク残基を同定するためのCDRとフレームワーク残基との相互作用のモデリングおよび特定の位置での通常でないフレームワーク残基を同定するための配列比較により同定される(例えば、Queenらの米国特許第5,585,089号;およびRiechmannら、1988、Nature 332:323(これらはその全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい)。
【0316】
さらに、本開示の抗体を、順に、当業者には周知の技術を用いて抗イディオタイプ抗体を生成するために用いることができる(例えば、GreenspanおよびBona、1989、FASEB J.7:437~444;ならびにNissinoff、1991、J.Immunol.147:2429~2438を参照されたい)。本開示は、本開示の抗体またはその断片をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドの使用を用いる方法を提供する。
【0317】
さらに、様々な刊行物が、FcRn結合ポリペプチドを生理的に活性な分子中に導入することにより(WO97/43316;米国特許第5,869,046号;米国特許第5,747,035号;WO96/32478;WO91/14438)、または前記分子を、FcRn結合親和性は保存されるが、他のFc受容体に対する親和性は大きく減少した抗体と融合させる(WO99/43713)か、もしくは抗体のFcRn結合ドメインと融合させる(WO00/09560;米国特許第4,703,039号)ことにより、半減期が改変された前記分子を取得するための方法を記載している。生理学的に活性な分子の半減期を増加させる特定の技術および方法は、全ての目的に関して参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,083,784号に見出すこともできる。特に、本開示の抗体はアミノ酸残基突然変異(Kabatに記載のEUインデックスにより番号付けられる);M252Y/S254T/T256EまたはH433K/N434F/Y436Hを含むFcポリペプチドを含むことが考えられる。
【0318】
抗体をコードするポリヌクレオチド
当技術分野で公知の任意の方法により、ポリヌクレオチドを取得し、そのポリヌクレオチドのヌクレオチド配列を決定することができる。抗体のアミノ酸配列は公知であるため、これらの抗体をコードするヌクレオチド配列を、当技術分野で周知の方法を用いて決定することができる、すなわち、特定のアミノ酸をコードすることが知られるヌクレオチドコドンを、本開示の抗体またはその断片をコードする核酸を生成するような方法で集合させる。抗体をコードするそのようなポリヌクレオチドを、化学的に合成されたオリゴヌクレオチド(例えば、Kutmeierら、1994、BioTechniques 17:242に記載)から集合させることができ、簡単に述べると、抗体をコードする配列の一部を含有する重複オリゴヌクレオチドの合成、これらのオリゴヌクレオチドのアニーリングおよびライゲーション、ならびに次いで、PCRによるライゲーションされたオリゴヌクレオチドの増幅を含む。
【0319】
あるいは、抗体をコードするポリヌクレオチドを、好適な供給源に由来する核酸から生成することができる。特定の抗体をコードする核酸を含有するクローンが入手可能でないが、抗体の配列が公知である場合、免疫グロブリンをコードする核酸を、化学的に合成するか、または好適な供給源、例えば、抗体cDNAライブラリー、もしくは配列の3’および5’末端にハイブリダイズし得る合成プライマーを用いるPCR増幅により、もしくは例えば、抗体をコードするcDNAライブラリーに由来するcDNAクローンを同定するための特定の遺伝子配列に特異的なオリゴヌクレオチドプローブを用いるクローニングにより、抗体を発現する任意の組織もしくは細胞から生成されたcDNAライブラリー、またはそれらから単離された核酸、好ましくは、ポリA+RNAから取得することができる。次いで、PCRにより生成された増幅された核酸を、当技術分野で周知の任意の方法を用いて複製可能なクローニングベクター中にクローニングすることができる。
【0320】
抗体のヌクレオチド配列が決定されたら、抗体のヌクレオチド配列を、ヌクレオチド配列の操作のための当技術分野で周知の方法、例えば、組換えDNA技術、部位特異的突然変異誘発、PCRなど(例えば、Sambrookら、1990、Molecular Cloning, A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor、NYおよびAusubelら(編)、1998、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley and Sons、NY(両方ともその全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい)を用いて操作して、異なるアミノ酸配列を有する抗体を生成する、例えば、アミノ酸置換、欠失、および/または挿入を創製することができる。
【0321】
一実施形態においては、1個または複数個のCDRを、日常的な組換えDNA技術を用いてフレームワーク領域内に挿入する。フレームワーク領域は、天然またはコンセンサスフレームワーク領域、好ましくは、ヒトフレームワーク領域であってもよい(例えば、ヒトフレームワーク領域の一覧についてはChothiaら、1998、J.Mol.Biol.278:457~479を参照されたい)。好ましくは、フレームワーク領域とCDRとの組合せにより生成されたポリヌクレオチドは、5T4、Her2またはVEGFに特異的に結合する抗体をコードする。好ましくは、上記で論じられたように、1個または複数個のアミノ酸置換をフレームワーク領域内で作製してもよく、アミノ酸置換は抗体のその抗原への結合を改善するのが好ましい。さらに、そのような方法を用いて鎖内ジスルフィド結合に関与する1個または複数個の可変領域システイン残基のアミノ酸置換または欠失を作製して、1個または複数個の鎖内ジスルフィド結合を欠く抗体を生成することができる。ポリヌクレオチドに対する他の変更は本開示により包含され、当技術分野の知識内にある。
【0322】
操作された定常ドメイン(Fc、CκおよびCλ)ポリペプチド、ならびに該ポリペプチドを含む抗体の組換え発現
本開示の操作された定常ドメインポリペプチド、またはその誘導体、類似体もしくは断片を含む、FabおよびF(ab’)2などの操作された抗体の組換え発現には、前記ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有する発現ベクターの構築が必要である。一度、本開示の操作された抗体または抗体の操作された重鎖もしくは軽鎖、またはその一部をコードするポリヌクレオチドが得られたら、抗体またはそれを含む操作されたポリペプチドの生成のためのベクターを、当技術分野で周知の技術を用いる組換えDNA技術により生成することができる。したがって、抗体をコードするヌクレオチド配列を含有するポリヌクレオチドを発現させることによりタンパク質を調製するための方法が本明細書に記載される。当業者には周知である方法を用いて、抗体コード配列ならびに適切な転写および翻訳制御シグナルを含有する発現ベクターを構築することができる。これらの方法としては、例えば、in vitro組換えDNA技術、合成技術、およびin vivo遺伝子組換えが挙げられる。
【0323】
したがって、本開示は、プロモーターに作動可能に連結した、本開示の抗体、抗体の重鎖もしくは軽鎖、抗体の重鎖もしくは軽鎖可変ドメインまたはその一部、または重鎖もしくは軽鎖CDRをコードするヌクレオチド配列を含む複製可能ベクターを提供する。そのようなベクターは、抗体の定常領域をコードするヌクレオチド配列(例えば、国際公開WO86/05807およびWO89/01036;ならびに米国特許第5,122,464号を参照されたい)を含んでもよく、抗体の可変ドメインを、重鎖が本発明の操作されたFc領域を含む、および/または軽鎖が本発明の操作されたCκ領域を含む、重鎖全体、軽鎖全体、または重鎖全体と軽鎖全体の両方の発現のためにそのようなベクター中にクローニングすることができる。
【0324】
発現ベクターを、従来の技術(トランスフェクションおよび形質導入)により宿主細胞に導入した後、宿主細胞を従来の技術により培養して、本開示の抗体を生成させる。したがって、本開示は、操作されたFcポリペプチド、操作されたCκもしくはCλポリペプチド、またはそれを含む抗体、FabおよびF(ab’)2、またはその断片、またはその重鎖もしくは軽鎖、またはその一部、または本開示の一本鎖抗体、または異種プロモーターに作動可能に連結した本開示の操作されたFcポリペプチドを含む融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有する宿主細胞を含む。二本鎖抗体の発現のための特定の実施形態において、重鎖と軽鎖の両方をコードするベクターを、以下に詳述するように全免疫グロブリン分子の発現のために宿主細胞中で同時発現させることができる。
【0325】
様々な宿主発現ベクター系を用いて、本開示の抗体および操作されたポリペプチドを発現させることができる(例えば、米国特許第5,807,715号を参照されたい)。そのような宿主発現系は、対象のコード配列を生成し、次いで精製することができるビヒクルであるが、適切なヌクレオチドコード配列で形質転換またはトランスフェクトした場合、本開示の抗体をin situで発現することができる細胞でもある。これらのものとしては、限定されるものではないが、抗体コード配列を含有する組換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNAもしくはコスミドDNA発現ベクターで形質転換された細菌(例えば、大腸菌(E.coli)および枯草菌(B.subtilis))などの微生物;抗体コード配列を含有する組換え酵母発現ベクターで形質転換された酵母(例えば、サッカロミセス(Saccharomyces)、ピチア(Pichia));抗体コード配列を含有する組換えウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)に感染させた昆虫細胞系;抗体コード配列を含有する組換えウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)に感染させた、もしくは組換えプラスミド発現ベクター(例えば、Tiプラスミド)で形質転換された植物細胞系;または哺乳動物細胞のゲノムから誘導されるプロモーター(例えば、メタロチオネインプロモーター)もしくは哺乳動物ウイルスから誘導されるプロモーター(例えば、アデノウイルス後期プロモーター;ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)を含有する組換え発現構築物を担持する哺乳動物細胞系(例えば、COS、CHO、BHK、293、NS0、および3T3細胞)が挙げられる。好ましくは、大腸菌(Escherichia coli)などの細菌細胞、より好ましくは、特に組換え全抗体の発現のための真核細胞を、操作されたポリペプチドおよび/またはそれを含む組換え抗体の発現のために用いる。
【0326】
例えば、ヒトサイトメガロウイルスに由来する主要最初期遺伝子プロモーターエレメントを含むベクターと共に、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)などの哺乳動物細胞は、抗体のための有効な発現系である(Foeckingら、1986、Gene 45:101;およびCockettら、1990、BioTechnology 8:2)。
【0327】
細菌系においては、いくつかの発現ベクターを、発現させる抗体のために意図される使用に応じて有利に選択することができる。例えば、抗体の医薬組成物の生成のために、大量のそのようなタンパク質を生成しようとする場合、容易に精製される高レベルの融合タンパク質生成物の発現を指令するベクターが望ましい。そのようなベクターとしては、限定されるものではないが、抗体コード配列を、lacZコード領域と読み枠を合わせたベクター中に個別にライゲーションし、融合タンパク質を生成させることができる大腸菌(E.coli)発現ベクターpUR278(Rutherら、1983、EMBO 12:1791);pFNベクター(InouyeおよびInouye、1985、Nucleic Acids Res.13:3101~3109;Van HeekeおよびSchuster、1989、J.Biol.Chem.24:5503~5509)などが挙げられる。PGEXベクターを用いて、グルタチオン5-トランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク質として外来ポリペプチドを発現させることもできる。一般に、そのような融合タンパク質は可溶性であり、マトリックスグルタチオン-アガロースビーズへの吸着および結合、次いで、遊離グルタチオンの存在下での溶出により、溶解された細胞から容易に精製することができる。pGEXベクターは、クローニングされた標的遺伝子生成物をGST部分から遊離させることができるように、トロンビンまたはXa因子プロテアーゼ切断部位を含むように設計される。
【0328】
昆虫系においては、オートグラファ・カリフォルニカ(Autographa californica)核多角体病ウイルス(AcNPV)が、外来遺伝子を発現させるためのベクターとして用いられる。このウイルスは、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)細胞中で増殖する。抗体コード配列を、ウイルスの非必須領域中に個別にクローニングし、AcNPVプロモーターの制御下に置くことができる。
【0329】
哺乳動物宿主細胞においては、いくつかのウイルスに基づく発現系を用いることができる。アデノウイルスを発現ベクターとして用いる場合、対象の抗体コード配列を、アデノウイルス転写/翻訳制御複合体、例えば、後期プロモーターおよび三部分リーダー配列にライゲーションすることができる。次いで、このキメラ遺伝子を、in vitroまたはin vivoでの組換えにより、アデノウイルスゲノム中に挿入することができる。ウイルスゲノムの非必須領域(例えば、領域E1またはE3)中への挿入は、感染した宿主中で生存でき、抗体を発現することができる組換えウイルスをもたらす(例えば、LoganおよびShenk、1984、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:6355~6359を参照されたい)。また、挿入された抗体コード配列の効率的な翻訳のためには、特異的開始シグナルも必要であり得る。これらのシグナルは、ATG開始コドンおよび隣接配列を含む。さらに、開始コドンは、全挿入物の翻訳を確保するために所望のコード配列の読み枠と同調する必要がある。これらの外因性翻訳制御シグナルおよび開始コドンは、天然および合成の両方の様々な起源のものであってもよい。発現の効率を、適切な転写エンハンサーエレメント、転写ターミネーターなどの含有により増強することができる(例えば、Bittnerら、1987、Methods in Enzymol.153:516~544を参照されたい)。
【0330】
さらに、挿入された配列の発現を調節するか、または望ましい特定の様式で遺伝子生成物を改変および加工する宿主細胞株を選択することができる。タンパク質生成物のそのような改変(例えば、糖鎖付加)およびプロセッシング(例えば、切断)は、タンパク質の機能にとって重要であってもよい。異なる宿主細胞は、タンパク質および遺伝子生成物の翻訳後プロセッシングおよび改変のための特徴的で特異的な機構を有する。適切な細胞系または宿主系を選択して、発現される外来タンパク質の正確な改変およびプロセッシングを確保することができる。この目的のために、遺伝子生成物の一次転写物、糖鎖、およびリン酸化の適切なプロセッシングのための細胞機構を有する真核宿主細胞を用いることができる。そのような哺乳動物宿主細胞としては、限定されるものではないが、CHO、VERO、BHK、HeLa、COS、MDCK、293、3T3、W138、BT483、Hs578T、HTB2、BT2O、NS1およびT47D、NS0(免疫グロブリン鎖を内因的に生成しないマウスミエローマ細胞系)、CRL7030およびHsS78Bst細胞が挙げられる。
【0331】
一実施形態において、本開示の操作されたFcポリペプチドおよび/または本開示の操作されたCκもしくはCλポリペプチドを含む抗体および融合タンパク質を、米国特許第7,521,541号および米国特許出願公開第2009/0175865号(これらはその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に開示された方法に従って生成する。
【0332】
組換えタンパク質の長期的な高収率の生成のためには、安定な発現が好ましい。例えば、抗体を安定に発現する細胞系を操作することができる。ウイルス複製起点を含有する発現ベクターを用いるよりもむしろ、適切な発現制御エレメント(例えば、プロモーター、エンハンサー、配列、転写ターミネーター、ポリアデニル化部位など)により制御されるDNA、ならびに選択マーカーを用いて宿主細胞を形質転換することができる。外来DNAの導入後、操作された細胞を、富化された培地中で1~2日間増殖させた後、選択培地に切替えることができる。組換えプラスミド中の選択マーカーは、選択に対する耐性を付与し、細胞の染色体中にプラスミドを安定に組み込ませ、増殖させてフォーカスを形成させ、次いで、細胞系中にクローニングし、拡張することができる。この方法を有利に用いて、抗体を発現する細胞系を操作することができる。そのような操作された細胞系は、抗体と直接的または間接的に相互作用する組成物のスクリーニングおよび評価において特に有用であってよい。
【0333】
いくつかの選択系を用いることができ、限定されるものではないが、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(Wiglerら、1977、Cell 11:223)、グルタミン合成酵素、ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(SzybalskaおよびSzybalski、1992、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 48:202)、およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Lowryら、1980、Cell 22:8~17)遺伝子を、それぞれ、tk-、gs-、hgprt-またはaprt-細胞において用いることができる。また、代謝拮抗物質耐性を、以下の遺伝子に関する選択の基礎として用いることができる:メトトレキサートに対する耐性を付与するdhfr(Wiglerら、1980、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:357;O’Hareら、1981、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:1527);ミコフェノール酸に対する耐性を付与するgpt(MulliganおよびBerg、1981、PNAS 78:2072);アミノグリコシドG-418に対する耐性を付与するneo(WuおよびWu、1991、Biotherapy 3:87;Tolstoshev、1993、Ann.Rev.Pharmacol.Toxicol.32:573;Mulligan、1993、Science 260:926;ならびにMorganおよびAnderson、1993、Ann.Rev.Biochem.62:191;May、1993、TIB TECH 11:155);およびヒグロマイシンに対する耐性を付与するhygro(Santerreら、1984、Gene 30:147)を選択目的で用いることができる。組換えDNA技術の当技術分野で一般的に公知の方法を日常的に適用して所望の組換えクローンを選択することができ、そのような方法は、例えば、Ausubelら(編)、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley and Sons、NY(1993);Kriegler、Gene Transfer and Expression、A Laboratory Manual、Stockton Press、NY(1990);ならびにDracopoliら(編)、Current Protocols in Human Genetics、第12および13章、John Wiley and Sons、NY(1994);Colberre-Garapinら、1981、J Mol.Biol.150:1(これらはその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0334】
宿主細胞を、第1のベクターが重鎖由来ポリペプチドをコードし、第2のベクターが軽鎖由来ポリペプチドをコードする、本開示の2つの発現ベクターで同時トランスフェクトすることができる。2つのベクターは、重鎖および軽鎖ポリペプチドの同等の発現を可能にする同一の選択マーカーを含有してもよい。あるいは、重鎖と軽鎖ポリペプチドの両方をコードし、それを発現することができる単一のベクターを用いることができる。そのような状況では、軽鎖を重鎖の前に置いて、過剰の毒性の遊離重鎖を回避するべきである(Proudfoot、1986、Nature 322:52;およびKohler、1980、PNAS 77:2197)。重鎖および軽鎖のためのコード配列は、cDNAまたはゲノムDNAを含んでもよい。
【0335】
一度、操作されたFcポリペプチド、もしくは抗体、もしくはその抗原結合部分、または操作されたFcポリペプチドを含むFc融合タンパク質、または操作されたCκもしくはCλポリペプチドが組換え発現により生成されたら、免疫グロブリン分子の精製のための当技術分野で公知の任意の方法により、例えば、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換クロマトグラフィー、特に、プロテインA後の特異的抗原に対する親和性によるアフィニティクロマトグラフィー、またはサイズカラムクロマトグラフィー)、遠心分離、示差的溶解度、またはタンパク質の精製のための任意の他の標準的な技術によりそれを精製することができる。さらに、本開示のタンパク質またはその断片を、本明細書に記載の、またはさもなければ当技術分野で公知の異種ポリペプチド配列に融合させて、精製を容易にすることができる。
【0336】
抗体コンジュゲートおよび融合タンパク質
本開示は、異種の作用物質に組換えで融合された、または化学的にコンジュゲートされた(共有結合的および非共有結合的コンジュゲーションの両方を含む)、操作された抗体定常領域、例えば、Fcおよび/またはCγ、CκもしくはCλ、およびそれを含む抗体(すなわち、「操作された抗体」)の使用を包含する。本開示はまた、操作された定常ドメイン領域、例えば、Fcおよび/またはCγ、CκもしくはCλを含む操作されたFabおよびF(ab’)2も包含する。抗体免疫コンジュゲートは、特に、Franciscoら、2003、Blood 102:1458~1465、Doroninaら、2008、Bioconjugate Chem. 19:1960~1963、およびDosioら、2011、Toxins 3:848~883に記載されている。本開示の操作された抗体への結合のための好適な物質としては、限定されるものではないが、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、多糖、ヌクレオシド、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、核酸、ハプテン、薬物、ホルモン、脂質、脂質アセンブリ、合成ポリマー、ポリマー微粒子、生物細胞、ウイルス、フルオロフォア、発色団、色素、毒素、ハプテン、酵素、抗体、抗体断片、放射性同位体、固相マトリックス、半固体マトリックスおよびその組合せが挙げられる。
【0337】
抗体に別の物質をコンジュゲートさせるか、または共有結合させるための方法は、当技術分野で周知である。融合またはコンジュゲーションは直接的なものである必要はないが、リンカー配列を介して行ってもよい。異種の作用物質に融合されたか、またはコンジュゲートされた操作された抗体をin vivoで用いて、当技術分野で公知の方法を用いて障害の進行を検出、処置、管理またはモニタリングすることができる。例えば、国際公開WO93/21232;EP0439095;Naramuraら、1994、Immunol.Lett.39:91~99;米国特許第5,474,981号;Gilliesら、1992、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:1428~1432;およびFellら、1991、J.Immunol.146:2446~2452(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。いくつかの実施形態において、検出、処置、管理、またはモニタリングしようとする障害は、自己免疫疾患、炎症疾患、感染症またはがん関連障害である。抗体部分にポリペプチドを融合させるか、またはコンジュゲートさせるための方法は、当技術分野で公知である。例えば、米国特許第5,336,603号、第5,622,929号、第5,359,046号、第5,349,053号、第5,447,851号、および第5,112,946号;EP0307434;EP0367166;国際公開WO96/04388およびWO91/06570;Ashkenaziら、1991、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:10535~10539;Zhengら、1995、J.Immunol.154:5590~5600;ならびにVilら、1992、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:11337~11341(前記参考文献はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
【0338】
さらなる融合タンパク質を、遺伝子シャッフリング、モチーフシャッフリング、エクソンシャッフリング、および/またはコドンシャッフリング(集合的に「DNAシャッフリング」と呼ばれる)の技術により生成することができる。DNAシャッフリングを用いて、本開示の操作された抗体の活性を変化させることができる(例えば、より高い親和性およびより低い解離速度を有する抗体)。一般的には、米国特許第5,605,793号;第5,811,238号;第5,830,721号;第5,834,252号;および第5,837,458号、ならびにPattenら、1997、Curr.Opinion Biotechnol.8:724~33;Harayama、1998、Trends Biotechnol.16:76;Hanssonら、1999、J.MoI.Biol.287:265;ならびにLorenzoおよびBlasco、1998、BioTechniques 24:308(これらの特許および刊行物はそれぞれ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。抗体もしくはその断片、またはコードされた抗体もしくはその断片を、エラープローンPCR、無作為ヌクレオチド挿入または他の方法により無作為突然変異誘発にかけた後、組換えることにより変化させることができる。抗体または抗体断片をコードするポリヌクレオチドの1つまたは複数の部分を、1つまたは複数の異種の作用物質の1つまたは複数の成分、モチーフ、セクション、部分、ドメイン、断片などで組換えることができる。
【0339】
ある特定の実施形態においては、操作されたFc領域、Cκ領域、およびCλ領域、またはそれらを含む本開示の抗体を、固相支持体にコンジュゲートする。抗体をスクリーニングおよび/または精製および/または製造プロセスの一部として固相支持体にコンジュゲートさせることができる。あるいは、本開示の抗体を、診断方法または組成物の一部として固相支持体にコンジュゲートさせることができる。本開示における使用にとって好適な固相支持体は、典型的には、実質的に液相に不溶性である。多数の支持体が入手可能であり、当業者には公知である。したがって、固相支持体としては、固体および半固体マトリックス、例えば、エアロゲルおよびヒドロゲル、樹脂、ビーズ、バイオチップ(薄層被覆バイオチップなど)、マイクロ流体チップ、シリコンチップ、多ウェルプレート(マイクロタイタープレートまたはマイクロプレートとも呼ばれる)、膜、伝導性および非伝導性金属、ガラス(顕微鏡スライドなど)および磁気支持体が挙げられる。
【0340】
いくつかの実施形態において、固相支持体は、本開示の操作された抗体を結合させるための、限定されるものではないが、ヒドロキシル、カルボキシル、アミノ、チオール、アルデヒド、ハロゲン、ニトロ、シアノ、アミド、ウレア、カルボネート、カルバメート、イソシアネート、スルホン、スルホネート、スルホンアミド、スルホキシドなどの反応性官能基を含んでもよい。
【0341】
一実施形態において、本開示の操作された抗体またはその断片もしくはバリアントを、ペプチドなどのマーカー配列にコンジュゲートまたは融合させて、精製を容易にする。特定の実施形態において、マーカーアミノ酸配列は、pQEベクター(QIAGEN,Inc.、Chatsworth、CA)中で提供されるタグなどのヘキサヒスチジンペプチドであり、特に、その多くは市販されている。Gentzら、1989、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:821に記載のように、例えば、ヘキサヒスチジンは、融合タンパク質の都合の良い精製を提供する。精製にとって有用な他のペプチドタグとしては、限定されるものではないが、インフルエンザヘマグルチニンタンパク質から誘導されるエピトープに対応するヘマグルチニン「HA」タグ(Wilsonら、1984、Cell 37:767)および「フラッグ」タグが挙げられる。
【0342】
他の実施形態においては、本開示の操作された抗体を、診断または検出剤にコンジュゲートまたは融合させる。そのような操作された抗体は、特定の療法の効果を決定することなど、臨床試験手順の一部として障害(限定されるものではないが、がんなど)の発生または進行をモニタリングまたは予後診断するのに有用であり得る。
【0343】
そのような診断および検出を、限定されるものではないが、西洋わさびペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ベータ-ガラクトシダーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼなどの様々な酵素;限定されるものではないが、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンなどの補欠分子族;限定されるものではないが、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、ダンシルクロリドまたはフィコエリトリンなどの蛍光材料;限定されるものではないが、ルシフェラーゼ、ルシフェリンおよびエクオリンなどの生物発光材料などの発光材料;限定されるものではないが、ビスマス(213Bi)、炭素(14C)、クロム(51Cr)、コバルト(57Co)、フッ素(18F)、ガドリニウム(153Gd、159Gd)、ガリウム(68Ga、67Ga)、ゲルマニウム(68Ge)、ホルミウム(166Ho)、インジウム(115In、113In、112In、111In)、ヨウ素(131I、125I、123I、121I)、ランタン(140La)、ルテチウム(177Lu)、マンガン(54Mn)、モリブデン(99Mo)、パラジウム(103Pd)、リン(32P)、プラセオジミウム(142Pr)、プロメチウム(149Pm)、レニウム(186Re、188Re)、ロジウム(105Rh)、ルテミウム(97Ru)、サマリウム(153Sm)、スカンジウム(47Sc)、セレン(75Se)、ストロンチウム(85Sr)、硫黄(35S)、テクネチウム(99Tc)、タリウム(201Ti)、スズ(113Sn、117Sn)、トリチウム(3H)、キセノン(133Xe)、イッテルビウム(169Yb、173Yb)、イットリウム(90Y)、亜鉛(65Zn)などの放射性材料;様々なポジトロン放出断層撮影を用いるポジトロン放出金属、および非放射性常磁性金属イオンなどの検出物質に操作された抗体を融合させるか、または部位特異的にコンジュゲートすることにより達成することができる。
【0344】
他の実施形態において、本開示の操作された抗体を、細胞毒素、例えば、細胞増殖抑制剤もしくは細胞破壊剤、治療剤または放射性金属イオン、例えば、アルファ放射体などの治療剤にコンジュゲートする。細胞毒素または細胞傷害性剤は、細胞に対して有害である任意の作用物質を含む。例としては、パクリタキセル、サイトカラシンB、グラミシジンD、エチジウムブロミド、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1-デヒドロテストステロン、糖質コルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、ピューロマイシン、エピルビシン、およびシクロホスファミドならびにその類似体または相同体が挙げられる。治療剤としては、限定されるものではないが、代謝拮抗物質(例えば、メトトレキサート、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、シタラビン、5-フルオロウラシルデカルバジン)、アルキル化剤(例えば、メクロレタミン、チオエパクロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BCNU)およびロムスチン(CCNU)、シクロトスファミド、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、およびシスジクロロジアミン白金(II)(DDP)シスプラチン)、アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン(以前はダウノマイシン)およびドキソルビシン)、抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(以前はアクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシン、およびアントラマイシン(AMC))、ならびに抗有糸分裂剤(例えば、ビンクリスチンおよびビンブラスチン)が挙げられる。化学的毒素を、デュオカルミシン(米国特許第5,703,080号;第4,923,990号)、メトトレキサート、ドキソルビシン、メルファラン、クロラムブシル、ARA-C、ビンデシン、マイトマイシンC、シスプラチン、エトポシド、ブレオマイシンおよび5-フルオロウラシルから選択される群から取ることもできる。化学療法剤の例としては、アドリアマイシン、ドキソルビシン、5-フルオロウラシル、シトシンアラビノシド(Ara-C)、シクロホスファミド、チオテパ、タキソテール(ドセタキセル)、ブスルファン、サイトキシン、タキソール、メトトレキサート、シスプラチン、メルファラン、ビンブラスチン、ブレオマイシン、エトポシド、イフォスファミド、マイトマイシンC、ミトキサントロン、ビンクリスチン、ビノレルビン、カルボプラチン、テニポシド、ダウノマイシン、カルミノマイシン、アミノプテリン、ダクチノマイシン、マイトマイシン、エスペラミシン(米国特許第4,675,187号)、メルファラン、および他の関連する窒素マスタードも挙げられる。
【0345】
一実施形態において、細胞傷害性剤は、エネジイン、レキシトロプシン、デュオカルミシン、タキサン、ピューロマイシン、ドラスタチン、メイタンシノイド、およびビンカアルカロイドから選択される。他の実施形態において、細胞傷害性剤は、パクリタキセル、ドセタキセル、CC-1065、SN-38、トポテカン、モルホリノ-ドキソルビシン、リゾキシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、ドラスタチン-10、エキノマイシン、コンブレタスタチン、カリケアミシン、メイタンシン、メイタンシノイド薬1(DM-1)、オーリスタチンまたは他のドラスタチン誘導体、例えば、オーリスタチンEもしくはオーリスタチンF、AEB、AEVB、AEFP、MMAD(モノメチルオーリスタチンD)、MMAE(モノメチルオーリスタチンE)、MMAF(モノメチルオーリスタチンF)、エレウテロビンまたはネトロプシンである。ドラスタチン-10としても当技術分野で知られるオーリスタチンE、およびその誘導体の合成および構造は、米国特許出願公開第2003/0083263号および第2005/0009751号;国際特許出願PCT/US02/13435、米国特許第6,323,315号;第6,239,104号;第6,034,065号;第5,780,588号;第5,665,860号;第5,663,149号;第5,635,483号;第5,599,902号;第5,554,725号;第5,530,097号;第5,521,284号;第5,504,191号;第5,410,024号;第5,138,036号;第5,076,973号;第4,986,988号;第4,978,744号;第4,879,278号;第4,816,444号;および第4,486,414号(全てその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0346】
いくつかの実施形態において、細胞傷害性剤は、あたかもその全体が本明細書に記載されるように参照により本明細書に組み込まれる2012年11月7日に出願された国際特許出願PCT/IB2012/056224に開示された新規細胞毒素である。そのような新規細胞傷害性剤としては、限定されるものではないが、その合成をさらに開示する出願中に記載の0101(#54)、3377(#115)、および8261(#69)が挙げられる。
【0347】
ある特定の実施形態において、細胞傷害性剤は、操作された定常領域(Fcを含むCγ、Cλ、Cκ)を含む本開示の抗体(完全長または断片)が、1つまたは複数のメイタンシノイド分子に、操作されたアミノ酸置換において部位特異的にコンジュゲートされた、メイタンシンまたはメイタンシノイド、およびその誘導体である。メイタンシノイドは、チューブリンポリマー化を阻害することにより作用する有糸分裂阻害剤である。メイタンシンは、東アフリカの低木であるメイテヌス・セラッタ(Maytenus serrata)から初めて単離されたものであり(米国特許第3,896,111号)、例えば、メイタンシノールおよびC-3メイタンシノールエステル(米国特許第4,151,042号)などのさらなるメイタンシノイドが他の特定の微生物から後に単離された。合成メイタンシノールならびにその誘導体および類似体は、例えば、米国特許第4,137,230号;第4,248,870号;第4,256,746号;第4,260,608号;第4,265,814号;第4,294,757号;第4,307,016号;第4,308,268号;第4,308,269号;第4,309,428号;第4,313,946号;第4,315,929号;第4,317,821号;第4,322,348号;第4,331,598号;第4,361,650号;第4,364,866号;第4,424,219号;第4,450,254号;第4,362,663号;および第4,371,533号に開示されている。
【0348】
抗体に非特異的にコンジュゲートされたメイタンシノイドを含む免疫コンジュゲートおよびその治療的使用は、例えば、米国特許第5,208,020号、第5,416,064号、および欧州特許EP0425235;Liuら、1996、Proc.Natl.Acad.Sci. USA 93:8618~8623(ヒト結腸直腸がんを標的化するmAb C242に非特異的にコンジュゲートされたDM1を含む免疫コンジュゲート);Chariら、1992、Cancer Research 52:127~131(マウス抗結腸がん細胞mAb A7またはマウスmAb TA.1抗HER-2)に開示されている。したがって、本開示は、特定のがんの治療的処置のためのメイタンシノイド剤に部位特異的にコンジュゲートされた操作された抗体を意図する。
【0349】
特定の実施形態において、薬物はメイタンシノイドである。より特定の実施形態においては、薬物はメイタンシンである。さらに、特定の実施形態において、細胞傷害性剤または細胞増殖抑制剤は、DM-1(ImmunoGen,Inc.;Chariら、1992、Cancer Res 52:127~131も参照されたい)である。
【0350】
他の実施形態において、本開示の操作された抗体コンジュゲートの細胞傷害性剤は、抗チューブリン剤である。抗チューブリン剤は、定評のあるクラスのがん療法化合物である。抗チューブリン剤の例としては、限定されるものではないが、タキサン(例えば、Taxol(登録商標)(パクリタキセル)、ドセタキセル)、T67(Tularik)、ビンカ、およびオーリスタチン(例えば、特に、オーリスタチンE、AEB、AEVB、AEFP、MMAD、MMAE、MMAF)が挙げられる。また、このクラスに含まれる抗チューブリン剤は、ビンカアルカロイド、例えば、ビンクリスチンおよびビンブラスチン、ビンデシンおよびビノレルビン;タキサン、例えば、パクリタキセルおよびドセタキセルおよびバッカチン誘導体、エピチロンAおよびB、ノコダゾール、5-フルオロウラシルおよびコルシミド、エストラムスチン、クリプトフィシン、セマドチン、メイタンシノイド、コンブレタスタチン、ドラスタチン、ジスコデルモリドおよびエレウテロビンである。より特定の実施形態においては、細胞傷害性剤は、ビンカアルカロイド、ポドフィロトキシン、タキサン、バッカチン誘導体、クリプトフィシン、メイタンシノイド、コンブレタスタチン、およびドラスタチンから選択される。
【0351】
より特定の実施形態においては、細胞傷害性剤は、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、ビノレルビン、VP-16、カンプトテシン、パクリタキセル、ドセタキセル、エピチロンA、エピチロンB、ノコダゾール、コルヒチン、コルシミド、エストラムスチン、セマドチン、ジスコデルモリド、メイタンシン、DM-1、オーリスタチンもしくは他のドラスタチン誘導体、例えば、オーリスタチンEもしくはオーリスタチンF、AEB、AEVB、AEFP、MMAD(モノメチルオーリスタチンD)、MMAE(モノメチルオーリスタチンE)、MMAF(モノメチルオーリスタチンF)、エレウテロビンまたはネトロプシンである。
【0352】
いくつかの実施形態においては、操作されたFc領域を含む本開示の抗体を、限定されるものではないが、アブリン、ブルシン、シクトキシン、ジフテリア毒素、バトラコトキシン、ボツリヌス毒素、シガ毒素、内毒素、シュードモナス(Pseudomonas)外毒素、シュードモナス(Pseudomonas)内毒素、破傷風毒素、百日咳毒素、炭疽菌毒素、コレラ毒素、ファルカリノール、フモニシンB1、フモニシンB2、アルファ毒素、モーロトキシン、アジトキシン、カリブドトキシン、マルガトキシン、スロトキシン、スキラトキシン、ヘフトキシン、カルシセプチン、タイカトキシン、カルシクルジン、ゲルダナマイシン、ゲロニン、ロタウストラリン、オクラトキシンA、パツリン、リシン(ricin)、ストリキニン、トリコテセン、ゼアラレノン、およびテトラドトキシンなどの、他の低分子またはタンパク質毒素にコンジュゲートまたは融合させることができる。用いることができる酵素活性毒素およびその断片としては、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性断片、外毒素A鎖(シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)由来)、リシン(ricin)A鎖、アブリンA鎖、モデシンA鎖、アルファ-サルシン、アレウリテス・フォルジ(Aleurites fordii)タンパク質、ジアンチンタンパク質、フィトラカ・アメリカーナ(Phytolaca americana)タンパク質(PAPI、PAPII、およびPAP-S)、モモルディカ・カランチア(Momordica charantia)阻害剤、クルシン、クロチン、サパオナリア・オフィシナリス(Sapaonaria officinalis)阻害剤、ゲロニン、ミトゲリン、レストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシンおよびトリコテセンが挙げられる。
【0353】
毒素、スペーサー、リンカー、ストレッチャーなどのさらなる例、およびその構造を、米国特許出願公開第2006/0074008号、第2005/0238649号、第2005/0123536号、第2005/0180972号、第2005/0113308号、第2004/0157782号、米国特許第6,884,869号、米国特許第5,635,483号(全てその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に見出すことができる。
【0354】
本明細書の前記で論じられたように、本開示の抗体コンジュゲートへのコンジュゲーションに用いられる化合物は、従来の化学療法剤、例えば、ドキソルビシン、パクリタキセル、カルボプラチン、メルファラン、ビンカアルカロイド、メトトレキサート、マイトマイシンC、エトポシドなどを含んでもよい。さらに、CC-1065類似体、カリケアミシン、メイタンシン、ドラスタチン10の類似体、リゾキシン、およびパリトキシンなどの強力な作用物質を、Fc領域中で提供される操作されたコンジュゲーション部位で抗体に連結して、強力な免疫コンジュゲートを提供することができる。
【0355】
ある特定の実施形態において、細胞傷害性剤または細胞増殖抑制剤は、ドラスタチンである。より特定の実施形態において、ドラスタチンは、オーリスタチンクラスのものである。本開示の特定の実施形態において、細胞傷害性剤または細胞増殖抑制剤は、MMADである。本開示の別の特定の実施形態において、細胞傷害性剤または細胞増殖抑制剤は、MMAEである。本開示のさらに別の特定の実施形態において、細胞傷害性剤または細胞増殖抑制剤は、MMAFである。
【0356】
他の実施形態において、本開示の抗体または操作された定常ドメイン、またはその一部を、所与の生物学的応答を改変する治療剤または薬物部分にコンジュゲートまたは融合させる。
【0357】
治療剤または薬物部分は、古典的な化学療法剤に限定されると解釈されるべきではない。例えば、薬物部分は、所望の生物活性を有するタンパク質またはポリペプチドであってもよい。そのようなタンパク質は、例えば、アブリン、リシン(ricin)A、シュードモナス外毒素、コレラ毒素、またはジフテリア毒素などの毒素;腫瘍壊死因子、アルファ-インターフェロン、ベータ-インターフェロン、神経増殖因子、血小板由来増殖因子、組織プラスミノーゲン活性化因子、アポトーシス剤、例えば、TNF-a、TNF-ベータ、AIM I(国際公開WO97/33899を参照されたい)、AIM II(国際公開WO97/34911を参照されたい)、Fasリガンド(Takahashiら、1994、J.Immunol.6:1567)およびVEGF(国際公開WO99/23105を参照されたい)、血栓剤もしくは抗血管新生剤、例えば、アンギオスタチンもしくはエンドスタチンなどのタンパク質;または例えば、リンホカイン(例えば、インターロイキン-1(「IL-1」)、インターロイキン-2(「IL-2」)、インターロイキン-4(「IL-4」)、インターロイキン-6(「IL-6」)、インターロイキン-7(「IL-7」)、インターロイキン-9(「IL-9」)、インターロイキン-10(「IL-10」)、インターロイキン-15(「IL-15」)、インターロイキン-12(「IL-12」)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(「GM-CSF」)、および顆粒球コロニー刺激因子(「G-CSF」))、もしくは増殖因子(例えば、増殖ホルモン(「GH」))などの生物応答改変剤、ならびに前記分子のいずれかの受容体、もしくはそのリガンド結合部分を含んでもよい。
【0358】
他の実施形態において、本開示の操作された抗体を、ポリアルギニンまたはポリリシン残基を含むポリペプチドに特異的にコンジュゲートする。いくつかの実施形態においては、前記ポリペプチドは、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15個以上のアミノ酸残基を含む。いくつかの実施形態においては、ポリアルギニンポリペプチドは、少なくとも5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15個以上のアルギニン残基を含んでもよい。他の実施形態においては、ポリリシンポリペプチドは、少なくとも5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15個以上のリシン残基を含んでもよい。他の実施形態においては、ポリペプチドはアルギニン残基とリシン残基の任意の組合せを含んでもよい。
【0359】
他の実施形態において、本開示の操作された抗体を、放射性金属イオンをコンジュゲートさせるのに有用な放射性材料または大環状キレーターなどの治療剤にコンジュゲートする(放射性材料の例については上記を参照されたい)。ある特定の実施形態において、大環状キレーターは、リンカー分子を介して抗体に結合させることができる1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-N,N’,N’’,N’’-四酢酸(DOTA)である。本明細書の以下でさらに論じられるそのようなリンカー分子は、当技術分野で一般に公知であり、Denardoら、1998、Clin Cancer Res.4:2483~90;Petersonら、1999、Bioconjug.Chem.10:553;およびZimmermanら、1999、Nucl.Med.Biol.26:943~50(それぞれその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0360】
他の実施形態において、本開示の操作された抗体を、核酸にコンジュゲートする。核酸を、DNA、RNA、低分子干渉RNA(siRNA)、マイクロRNA、ヘアピンまたは核酸模倣体、例えば、ペプチド核酸から選択することができる。いくつかの実施形態においては、コンジュゲートされる核酸は、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも100、少なくとも200、少なくとも500、少なくとも1000、少なくとも5000個以上の塩基対である。いくつかの実施形態において、コンジュゲートされる核酸は、一本鎖である。代替的な実施形態において、コンジュゲートされる核酸は、二本鎖である。
【0361】
細胞への核酸の送達のための技術を、Songら、2005、Nat.Biotechnol.23(6):709~717およびまた米国特許第6,333,396号(これらはその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に見出すことができる。
【0362】
コンジュゲーション方法
抗体に治療部分をコンジュゲートさせるための技術は周知である。限定されるものではないが、アルデヒド/Schiff連結、スルフヒドリル連結、酸不安定連結、cis-アコニチル連結、ヒドラゾン連結、酵素分解性連結(一般的には、Garnett、2002、Adv.Drug Deliv.Rev.53:171~216を参照されたい)などの、当技術分野で公知の任意の方法により、部分を抗体にコンジュゲートさせることができる。抗体に治療部分をコンジュゲートさせるためのさらなる技術が周知であり、例えば、Arnonら、Monoclonal Antibodies And Cancer Therapy、Reisfeldら(編)、pp.243~56(Alan R.Liss,Inc.1985);Hellstromら、Controlled Drug Delivery(第2版)、Robinsonら(編)、pp.623~53(Marcel Dekker,Inc.1987);Thorpe、Monoclonal Antibodies ’84:Biological And Clinical Applications、Pincheraら(編)、pp.475~506(1985);Baldwinら(編)、Monoclonal Antibodies For Cancer Detection And Therapy、pp.303~316(Academic Press 1985)、およびThorpeら、1982、Immunol.Rev.62:119~158を参照されたい。
【0363】
ポリペプチド部分に抗体を融合またはコンジュゲートさせるための方法は、当技術分野で公知である。例えば、米国特許第5,336,603号、第5,622,929号、第5,359,046号、第5,349,053号、第5,447,851号、および第5,112,946号;EP0307434;EP0367166;国際公開WO96/04388およびWO91/06570;Ashkenaziら、1991、Proc.Nat.Acad.Sci.USA 88:10535~10539;Zhengら、1995、J.Immunol.154:5590~5600;ならびにVilら、1992、Proc.Nat.Acad.Sci.USA 89:11337~11341を参照されたい。ある部分への抗体の融合は直接的である必要はなく、リンカー配列を介して行うことができる。そのようなリンカー分子は当技術分野で一般に公知であり、Denardoら、1998、Clin Cancer Res.4:2483~90;Petersonら、1999、Bioconjug.Chem.10:553;Zimmermanら、1999、Nucl.Med.Biol 26:943~50;Garnett、2002、Adv.Drug Deliv.Rev.53:171~216;Franciscoら、2003、Blood 102:1458~1465;Doroninaら、2008、Bioconjugate Chem.19:1960~1963;およびDosioら、2011、Toxins 3:848~883(それぞれその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0364】
本開示の抗体コンジュゲートにより標的化される細胞の外部での薬物活性を最小化するために、2つの例示的な手法を取ることができる:第1に、細胞膜受容体に結合するが、可溶性受容体には結合しない抗体を用いて、プロドラッグ変換酵素の作用により生成される薬物などの薬物を、活性化リンパ球などの細胞の細胞表面に集中させる;第2に、薬物が加水分解されるか、または抗体から切断されない限り、その活性を低下させる様式で、薬物をコンジュゲートさせる。そのような方法は、活性化リンパ球の細胞表面での環境(例えば、活性化リンパ球の細胞表面に存在するプロテアーゼの活性)またはコンジュゲートが活性化リンパ球によって取り込まれる場合にコンジュゲートが遭遇する活性化リンパ球の内部の環境(例えば、エンドソーム中、または例えば、pH感受性もしくはプロテアーゼ感受性の理由から、リソソーム環境中)に対して感受性であるリンカーを有する抗体に、薬物を結合させることを用いる。本開示において用いることができるリンカーの例は、米国特許出願公開第2005/0123536号、第2005/0180972号、第2005/0113308号、第2004/0157782号、および米国特許第6,884,869号(全てその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に開示されている。
【0365】
一実施形態において、リンカーは、リソソーム中で加水分解される酸不安定性ヒドラゾンまたはヒドラジド基である(例えば、米国特許第5,622,929号を参照されたい)。代替的な実施形態においては、cis-アコニットアミド、オルトエステル、アセタールおよびケタールなどの他の酸不安定性リンカーを介して、薬物を抗体にコンジュゲートさせることができる(DubowchikおよびWalker、1999、Pharm.Therapeutics 83:67~123;Nevilleら、1989、Biol.Chem.264:14653~14661)。そのようなリンカーは、血液中などの中性pH条件下では比較的安定であるが、リソソームのおよそのpHであるpH5より下では不安定である。
【0366】
他の実施形態においては、細胞内プロテアーゼにより切断されるペプチドスペーサーを用いて、操作された反応部位で本開示の抗体に薬物を結合させる。標的酵素としては、カテプシンBおよびDならびにプラスミンが挙げられ、それらは全て、標的細胞の内部で活性薬物の放出をもたらすジペプチド薬物誘導体を加水分解することが知られる(DubowchikおよびWalker、1999、Pharm.Therapeutics 83:67~123)。細胞内タンパク質分解的薬物放出を用いる利点は、コンジュゲートさせた場合に薬物が高度に弱体化され、コンジュゲートの血清安定性を極端に高くすることができるということである。
【0367】
一実施形態において、カテプシンB感受性ジペプチドリンカーは、例えば、全ての目的に関してその全体が参照により本明細書に組み込まれるGerberら、2009、Blood 113(18):4352~4361に記載のバリン-シトルリン(本明細書では「val-cit」または「ValCit」と呼ばれる)である。
【0368】
一実施形態において、操作された抗体の操作されたFcポリペプチドおよび/または操作されたCκポリペプチドを、切断可能リンカー、例えば、限定されるものではないが、特に、val-cit-MMAD、val-cit-MMAE、およびval-cit-MMAFなどの、オーリスタチンにコンジュゲートさせた、val-citに部位特異的にコンジュゲートさせる。
【0369】
一実施形態において、本開示の操作されたFcポリペプチドおよび/または操作されたCκポリペプチド、または前記ポリペプチドを含む操作された抗体を、非切断可能リンカー、例えば、限定されるものではないが、特に、mc-MMAD、mc-MMAE、およびmc-MMAFなどの、オーリスタチンにコンジュゲートさせた、マレイミドカプロイル(mcまたはmal-c)に部位特異的にコンジュゲートさせる。本明細書で用いられる「マレイミド」は、「mal」により表すことができる。
【0370】
他の実施形態において、非切断可能リンカーを用いて、細胞傷害性剤または細胞増殖抑制剤を、操作されたFcポリペプチドおよび/または操作されたCκポリペプチド、または本開示の操作されたポリペプチドを含む操作された抗体に部位特異的にコンジュゲートさせることができる。非切断可能リンカーとしては、限定されるものではないが、Leeら、2009、J.Natl.Cancer Inst.2009 101:1193~1205に記載のものなどのマレイミドカプロイル(mc)リンカーが挙げられる(マレイミドカプロイルリンカーを用いてMMAFを抗EphA2抗体とコンジュゲートさせる)。
【0371】
さらに他の実施形態においては、リンカーはマロネートリンカー(Johnsonら、1995、Anticancer Res.15:1387~1393)、マレイミドベンゾイルリンカー(Lauら、1995、Bioorg.Med.Chem.3(10):1299~1304)、または3’-N-アミド類似体(Lauら、1995、Bioorg.Med.Chem.3(10):1305~1312)である。
【0372】
マレイミド基およびスペーサー(ポリエチレングリコール(PEG)など)を用いる連結化合物が、システイン、リシン、セレノシステイン、およびセレノメタオニン(selenomethaionine)置換にとって好適である。ヒスチジン置換については、コンジュゲーションのために金属(銅、亜鉛、鉄、ニッケルなど)と共役させたスペーサーを用いることができる。チロシンについては、糖または他のヒドロキシル化合物中に存在する官能基にコンジュゲートさせることができる。これらの、および他の好適なコンジュゲーション技術の詳細は、当業者には公知であり、例えば、Bioconjugate Techniques、第2版、Greg.T.Hermanson、Academic Press(2008)に見出すことができる。
【0373】
いくつかの実施形態において、操作されたFcポリペプチドおよび/または操作されたCκポリペプチドまたは本開示の操作された抗体を、限定されるものではないが、特に、-[CH2CH2O]2CH2CH2C(=O)-(PEG2-C2)、-[CH2CH2O]3CH2CH2C(=O)-(PEG3-C2)および-[CH2CH2O]6CH2CH2C(=O)-(PEG6-C2)などのスペーサーをさらに含む切断可能または非切断可能リンカーを介して細胞傷害性剤または細胞増殖抑制剤に部位特異的にコンジュゲートさせる。他の実施形態において、非切断可能リンカーを、限定されるものではないが、PEG2-C2、PEG3-C2およびPEG6-C2などのスペーサーにマレイミドカプロイル連結して、特に、リンカー-スペーサー部分mc-PEG2-C2、mc-PEG3-C2、およびmc-PEG6-C2を形成させる。他の実施形態においては、リンカーは、限定されるものではないが、PEG2-C2、PEG3-C2およびPEG6-C2などのスペーサー部分にコンジュゲートさせて、特に、val-cit-PEG2-C2、val-cit-PEG3-C2およびval-cit-PEG6-C2などのリンカー-スペーサー部分を形成する、カテプシンB切断に感受性である、限定されるものではないが、バリン-シトルリンなどの切断可能リンカーである。
【0374】
いくつかの実施形態において、切断可能リンカー-スペーサー部分を、限定されるものではないが、MMAD、MMAE、MMAF、0101、3377および8261などのオーリスタチンにコンジュゲートする。いくつかの実施形態において、リンカー-スペーサー-オーリスタチンは、mc-val-cit-PABC-MMAD(vc-MMAD)、mc-val-cit-PABC-MMAE(vc-MMAE)およびmc-val-cit-PABC-MMAF(vc-MMAF)を包含する。本明細書で用いられる「パラアミノベンジルオキシカルボニル」は、「PABC」により表される。いくつかの実施形態において、リンカー-スペーサー-オーリスタチンは、特に、mc-val-cit-PABC-PEG2-C2-MMAD(vc-PEG-C2-MMAD)、mc-val-cit-PABC-PEG3-C2-MMAD(vc-PEG3-C2-MMAD)、mc-val-cit-PABC-PEG6-C2-MMAD(vc-PEG6-C2-MMAD)、mc-val-cit-PABC-PEG2-C2-MMAE(vc-PEG2-C2-MMAE)、mc-val-cit-PABC-PEG3-C2-MMAE(vc-PEG3-C2-MMAE)、mc-val-cit-PABC-PEG6-C2-MMAE(vc-PEG6-C2-MMAE)、mc-val-cit-PABC-PEG2-C2-MMAF(vc-PEG2-C2-MMAF)、mc-val-cit-PABC-PEG3-C2-MMAF(vc-PEG3-C2-MMAF)、およびmc-val-cit-PABC-PEG6-C2-MMAF(vc-PEG6-C2-MMAF)を包含する。
【0375】
他の実施形態において、非切断可能リンカー-スペーサー部分を、限定されるものではないが、MMAD、MMAE、MMAF、0101、3377、および8261などのオーリスタチンにさらにコンジュゲートする。いくつかの実施形態において、リンカー-スペーサー-オーリスタチンは、特に、mc-PEG2-C2-MMAD、mc-PEG3-C2-MMAD、mc-PEG6-C2-MMAD、mc-PEG2-C2-MMAE、mc-PEG3-C2-MMAE、mc-PEG6-C2-MMAE、mc-PEG2-C2-MMAF、mc-PEG3-C2-MMAF、およびmc-PEG6-C2-MMAFを包含する。
【0376】
いくつかの実施形態において、細胞傷害性剤を、リンカーを介して操作されたFcポリペプチドにコンジュゲートする。他の実施形態において、リンカーは、mc(マレイミドカプロイル)、val-cit(バリン-シトルリン)、mc-val-cit(マレイミドカプロイル-バリン-シトルリン)、mc-val-cit-PABC(マレイミドカプロイル-バリン-シトルリン-p-アミノベンジルカルバメート)、Mal-PEG3C2(マレイミド-[CH2CH2O]3CH2CH2C(=O))、およびMal-PEG6C2(マレイミド-[CH2CH2O]6CH2CH2C(=O))であってもよい。
【0377】
別の実施形態において、細胞傷害性剤を、限定されるものではないが、本明細書に記載のリンカーまたは当技術分野で公知のリンカーなどのリンカーを介して、操作された抗体定常ドメインポリペプチド、またはその一部にコンジュゲートし、細胞傷害性剤は特に、オーリスタチン、メイタンシノイドおよびカリケアミシンである。
【0378】
いくつかの実施形態において、導入されたシステインを含む、操作された抗体定常ドメインポリペプチド、またはその一部を、リンカーを介してコンジュゲートし、細胞傷害性剤組合せとしては、限定されるものではないが、マレイミドカプロイル-モノメチルオーリスタチンD(mcMMAD)、マレイミドカプロイル-モノメチルオーリスタチンE(mcMMAE)、マレイミドカプロイル-モノメチルオーリスタチンF(mcMMAF)、マレイミドカプロイル-0101(mc0101)、マレイミドカプロイル-3377(mc3377)、マレイミドカプロイル-8261(mc8261)、バリン-シトルリン-モノメチルオーリスタチンD(vcMMAD)、バリン-シトルリン-モノメチルオーリスタチンE(vcMMAE)、バリン-シトルリン-モノメチルオーリスタチンF(vcMMAF)、バリン-シトルリン-0101(vc0101)、バリン-シトルリン-3377(vc3377)、バリン-シトルリン-8261(vc8261)、mcValCitPABCMMAD(マレイミドカプロイル-バリン-シトルリン-モノメチルオーリスタチンD)、mcValCitMMAE(マレイミドカプロイル-バリン-シトルリン-モノメチルオーリスタチンE)、mcValCitMMAF(マレイミドカプロイル-バリン-シトルリン-モノメチルオーリスタチンF)、mcValCit0101(マレイミドカプロイル-バリン-シトルリン-0101)、mcValCit3377(マレイミドカプロイル-バリン-シトルリン-3377)、mcValCit8261(マレイミドカプロイル-バリン-シトルリン-8261)、Mal-PEG2C2-MMAD、Mal-PEG3C2-MMAD、およびMal-PEG6C2-MMAD、Mal-PEG2C2-MMAE、Mal-PEG3C2-MMAE、およびMal-PEG6C2-MMAE、Mal-PEG2C2-MMAF、Mal-PEG3C2-MMAF、およびMal-PEG6C2-MMAF、PEG2C2-0101、Mal-PEG3C2-0101、およびMal-PEG6C2-0101、PEG2C2-3377、Mal-PEG3C2-3377、およびMal-PEG6C2-3377、PEG2C2-8261、Mal-PEG3C2-8261、およびMal-PEG6C2-8261などが挙げられる。
【0379】
いくつかの実施形態において、細胞傷害性剤を、リンカーを介して操作されたCκポリペプチドにコンジュゲートする。他の実施形態において、リンカーは、mc(マレイミドカプロイル)、val-cit(バリン-シトルリン)、mc-val-cit(マレイミドカプロイル-バリン-シトルリン)、mc-val-cit-PABC(マレイミドカプロイル-バリン-シトルリン-p-アミノベンジルカルバメート)、Mal-PEG3C2(マレイミド-[CH2CH2O]2CH2CH2C(=O))、およびMal-PEG6C2(マレイミド-[CH2CH2O]6CH2CH2C(=O))であってもよい。
【0380】
いくつかの実施形態において、細胞傷害性剤を、リンカーを介して、操作された抗体定常ドメイン(例えば、Cγ、CκおよびCλ)ポリペプチド、またはその一部にコンジュゲートし、細胞傷害性剤に対して、リンカーおよび細胞傷害性剤は、マレイミドカプロイル-モノメチルオーリスタチンD(mcMMAD)、マレイミドカプロイル-モノメチルオーリスタチンE(mcMMAE)、マレイミドカプロイル-モノメチルオーリスタチンF(mcMMAF)、マレイミドカプロイル-0101(mc0101)、マレイミドカプロイル-3377(mc3377)、マレイミドカプロイル-8261(mc8261)、バリン-シトルリン-モノメチルオーリスタチンD(vcMMAD)、バリン-シトルリン-モノメチルオーリスタチンE(vcMMAE)、バリン-シトルリン-モノメチルオーリスタチンF(vcMMAF)、バリン-シトルリン-0101(vc0101)、バリン-シトルリン-3377(vc3377)、バリン-シトルリン-8261(vc8261)、mcValCitPABCMMAD(マレイミドカプロイル-バリン-シトルリン-モノメチルオーリスタチンD)、mcValCitMMAE(マレイミドカプロイル-バリン-シトルリン-モノメチルオーリスタチンE)、mcValCitMMAF(マレイミドカプロイル-バリン-シトルリン-モノメチルオーリスタチンF)、mcValCit0101(マレイミドカプロイル-バリン-シトルリン-0101)、mcValCit3377(マレイミドカプロイル-バリン-シトルリン-3377)、mcValCit8261(マレイミドカプロイル-バリン-シトルリン-8261)、Mal-PEG2C2-MMAD、Mal-PEG3C2-MMAD、およびMal-PEG6C2-MMAD、Mal-PEG2C2-MMAE、Mal-PEG3C2-MMAE、およびMal-PEG6C2-MMAE、Mal-PEG2C2-MMAF、Mal-PEG3C2-MMAF、およびMal-PEG6C2-MMAF、Mal-PEG2C2-0101、Mal-PEG3C2-0101、およびMal-PEG6C2-0101、Mal-PEG2C2-3377、Mal-PEG3C2-3377、およびMal-PEG6C2-3377、Mal-PEG2C2-8261、Mal-PEG3C2-8261、およびMal-PEG6C2-8261からなる群から選択される。
【0381】
別の実施形態において、細胞傷害性剤を、限定されるものではないが、本明細書に記載のリンカーまたは当技術分野で公知のリンカーなどのリンカーを介して操作されたCκポリペプチドにコンジュゲートし、細胞傷害性剤は、特に、オーリスタチン、メイタンシノイドおよびカリケアミシンである。
【0382】
いくつかの実施形態において、導入されたシステインを含む操作されたCκまたはCλポリペプチドを、リンカーを介してコンジュゲートし、細胞傷害性剤組合せとしては、当技術分野で公知の、または本明細書に開示される多くの他のリンカー/細胞傷害性剤組合せのうち、限定されるものではないが、マレイミドカプロイル-モノメチルオーリスタチンD(mcMMAD)、マレイミドカプロイル-モノメチルオーリスタチンE(mcMMAE)、マレイミドカプロイル-モノメチルオーリスタチンF(mcMMAF)、マレイミドカプロイル-0101(mc0101)、マレイミドカプロイル-3377(mc3377)、マレイミドカプロイル-8261(mc8261)、バリン-シトルリン-モノメチルオーリスタチンD(vcMMAD)、バリン-シトルリン-モノメチルオーリスタチンE(vcMMAE)、バリン-シトルリン-モノメチルオーリスタチンF(vcMMAF)、バリン-シトルリン-0101(vc0101)、バリン-シトルリン-3377(vc3377)、バリン-シトルリン-8261(vc8261)、mcValCitPABCMMAD(マレイミドカプロイル-バリン-シトルリン-モノメチルオーリスタチンD)、mcValCitMMAE(マレイミドカプロイル-バリン-シトルリン-モノメチルオーリスタチンE)、mcValCitMMAF(マレイミドカプロイル-バリン-シトルリン-モノメチルオーリスタチンF)、mcValCit0101(マレイミドカプロイル-バリン-シトルリン-0101)、mcValCit3377(マレイミドカプロイル-バリン-シトルリン-3377)、mcValCit8261(マレイミドカプロイル-バリン-シトルリン-8261)、Mal-PEG2C2-MMAD、Mal-PEG3C2-MMAD、およびMal-PEG6C2-MMAD、Mal-PEG2C2-MMAE、Mal-PEG3C2-MMAE、およびMal-PEG6C2-MMAE、Mal-PEG2C2-MMAF、Mal-PEG3C2-MMAF、およびMal-PEG6C2-MMAF、Mal-PEG2C2-0101、Mal-PEG3C2-0101、およびMal-PEG6C2-0101、Mal-PEG2C2-3377、Mal-PEG3C2-3377、およびMal-PEG6C2-3377、Mal-PEG2C2-8261、Mal-PEG3C2-8261、およびMal-PEG6C2-8261、が挙げられる。
【0383】
上記で論じられた通り、操作された抗体コンジュゲートは一般に、リンカーを介して、化合物または薬物を操作された抗体、または操作されたFcポリペプチドおよび/もしくは操作されたCκポリペプチドにコンジュゲートさせることにより作製される。例えば、二官能性作用物質(ジアルデヒドもしくはイミドエステルなど)または分枝ヒドラゾンリンカー(例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,824,805号を参照されたい)などの、当技術分野で公知の任意のリンカーを、本開示のコンジュゲートにおいて用いることができる。
【0384】
本開示のある特定の非限定的実施形態において、コンジュゲート部分と、操作された抗体/操作されたFc/Cκポリペプチド部分との間のリンカー領域は、ある特定の条件下で切断可能であり、リンカーの切断または加水分解は、抗体/操作されたFc/Cκ部分から薬物部分を遊離させる。いくつかの実施形態において、リンカーは、細胞内条件下で切断または加水分解に対して感受性である。
【0385】
一実施形態において、コンジュゲート部分と、操作された抗体部分との間のリンカー領域は、pHがある特定の値により変化するか、またはある特定の値を超える場合、切断可能である。本開示の別の実施形態において、リンカーは、例えば、酸性条件下で(すなわち、約5~5.5以下のpH)、リソソームの環境中で切断可能である。他の実施形態において、リンカーは、限定されるものではないが、リソソームプロテアーゼ酵素、膜会合型プロテアーゼ、細胞内プロテアーゼ、またはエンドソームプロテアーゼなどのペプチダーゼまたはプロテアーゼ酵素により切断されるペプチジルリンカーである。典型的には、リンカーは、少なくとも2アミノ酸長、より典型的には、少なくとも3アミノ酸長である。例えば、カテプシンBにより切断可能であるペプチジルリンカー(例えば、特に、Val-Citリンカー、Gly-Phe-Leu-Glyリンカー)、がん組織中で高度に発現されるチオール依存的プロテアーゼを用いることができる。他のそのようなリンカーは、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,214,345号に記載されている。
【0386】
本開示の他の相互に排他的ではない実施形態において、本開示の操作された抗体および抗体コンジュゲートの化合物がコンジュゲートされたリンカーは、細胞内在化を促進する。特定の実施形態において、リンカー-薬物部分は、細胞内在化を促進する。特定の実施形態において、抗体コンジュゲート全体の構造が細胞内在化を促進するようなリンカーが選択される。一実施形態において、リンカーは、チオエーテルリンカーである(例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,622,929号を参照されたい)。別の実施形態において、リンカーは、ヒドラゾンリンカーである(例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,122,368号および第5,824,805号を参照されたい)。
【0387】
さらに他の実施形態において、リンカーは、ジスルフィドリンカーである。様々なジスルフィドリンカーが当技術分野で公知であり、限定されるものではないが、SATA(N-スクシンイミジル-S-アセチルチオアセテート)、SPDP(N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジ-チオ)プロピオネート)、SPDB(N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)ブチレート)およびSMPT(N-スクシンイミジル-オキシカルボニル-アルファ-メチル-アルファ-(2-ピリジル-ジチオ)トルエン)を用いて形成させることができるものが挙げられる。SPDBおよびSMPT(例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Thorpeら、1987、Cancer Res.、47:5924~5931;Wawrzynczakら、1987、In Immunoconjugates:Antibody Conjugates in Radioimagery and Therapy of Cancer、C.W.Vogel(編)、Oxford U.Press、pp.28~55を参照されたい;また、米国特許第4,880,935号も参照されたい)。
【0388】
本開示の組成物および方法と共に用いることができる様々なリンカーが、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第US2004/0018194A1号に記載されている。
【0389】
グリシンのa位置で置換されるアミン含有薬物の除去(Kingsburyら、J.Med.Chem.、1984、27、1447)も、本開示の抗体-リンカー-薬物コンジュゲートに適用することができる自壊型スペーサー戦略の例である。
【0390】
本開示のさらに他の実施形態において、抗体コンジュゲートのリンカー単位は、細胞傷害性剤または細胞増殖抑制剤(薬物;-D)と、抗体(-Ab)とを連結する。ある特定の実施形態において、リンカー単位は、一般式:
-Ta-Ww-Yy-
(式中、
i.-T-はストレッチャー単位であり;
ii.aは0または1であり;
iii.-W-はそれぞれ独立にアミノ酸単位であり;
iv.wは独立に2~12の範囲の整数であり;
v.-Y-はスペーサー単位であり;および
vi.yは0、1または2である)
を有する。
【0391】
存在する場合、ストレッチャー単位(-T-)は、抗体単位をアミノ酸単位(-W-)に連結する。天然に、または化学的操作を介して、抗体上に存在してもよい有用な官能基としては、限定されるものではないが、スルフヒドリル、アミノ、ヒドロキシル、炭水化物のアノマーヒドロキシル基、およびカルボキシルが挙げられる。システインが導入された本開示の操作された抗体は、コンジュゲーションのための少なくとも1個のスルフヒドリル基を提供する。スルフヒドリル基を導入する他の方法は、抗体の分子内ジスルフィド結合の還元を含む。あるいは、抗体の操作されたリシン部分のアミノ基(導入された)と、2-イミノチオラン(Traut試薬)または他のスルフヒドリル生成試薬との反応により、スルフヒドリル基を生成することができる。
【0392】
アミノ酸単位(-W-)は、スペーサー単位が存在する場合、ストレッチャー単位(-T-)をスペーサー単位(-Y-)に連結し、スペーサー単位が存在しない場合、ストレッチャー単位を細胞傷害性剤または細胞増殖抑制剤(薬物;D)に連結する。
【0393】
いくつかの実施形態において、-Ww-は、ジペプチド、トリペプチド、テトラペプチド、ペンタペプチド、ヘキサペプチド、ヘプタペプチド、オクタペプチド、ノナペプチド、デカペプチド、ウンデカペプチドまたはドデカペプチド単位である。リンカー単位のアミノ酸単位を、限定されるものではないが、腫瘍関連プロテアーゼ、カテプシンB、カテプシンD、プラスミンなどの酵素により酵素的に切断して、放出の際にin vivoでプロトン化される薬物(-D)を遊離させ、細胞傷害性剤(D)を提供することができる。
【0394】
一実施形態において、アミノ酸単位は、フェニルアラニン-リシンジペプチド(phe-lysまたはFKリンカー)である。別の実施形態において、アミノ酸単位は、バリン-シトルリンジペプチド(val-cit)である。
【0395】
存在する場合、スペーサー単位(-Y-)は、アミノ酸単位を薬物単位に連結する。スペーサー単位は、2つの一般的な型のものである:自壊型および非自壊型。非自壊型スペーサー単位は、スペーサー単位の一部または全部が、抗体-リンカー-薬物コンジュゲートまたは薬物-リンカー化合物からのアミノ酸単位の酵素的切断後にも薬物単位に結合したままである。非自壊型スペーサー単位の例としては、限定されるものではないが、(グリシン-グリシン)スペーサー単位およびグリシンスペーサー単位が挙げられる。グリシン-グリシンスペーサー単位またはグリシンスペーサー単位を含有する本開示の抗体-リンカー-薬物コンジュゲートが腫瘍細胞関連プロテアーゼ、がん細胞関連プロテアーゼまたはリンパ球関連プロテアーゼを介する酵素的切断を受ける場合、グリシン-グリシン-薬物部分またはグリシン-薬物部分はAb-T-Ww-から切断される。薬物を遊離させるためには、標的細胞内で独立した加水分解反応を行って、グリシン-薬物単位結合を切断するべきである。
【0396】
自壊型スペーサーの他の例としては、限定されるものではないが、パラアミノベンジルオキシカルボニル(PABC)ならびに2-アミノイミダゾール-5-メタノール誘導体(例えば、Hayら、1999、Bioorg.Med.Chem.Lett.9:2237を参照されたい)およびオルト-またはパラ-アミノベンジルアセタールなどのPABC基と電気的に同等である芳香族化合物が挙げられる。置換および無置換4-アミノ酪酸アミド(Rodriguesら、Chemistry,Biology、1995、2、223)、適切に置換された環系(Stormら、J.Amer.Chem.Soc、1972、94、5815)および2-アミノフェニルプロピオン酸アミド(Amsberryら、J.Org.Chem.、1990、55、5867)などの、アミド結合加水分解の際に容易な環化を受けるスペーサーを用いることができる。
【0397】
異種分子を操作された定常ドメインにコンジュゲートさせる方法
本明細書に記載のものなどの異種分子を、操作されたアミノ酸残基が提供する反応基を介して、本開示の操作されたFc領域および/または操作されたCκ領域および/または操作されたCλ領域を含む操作された抗体に効率的にコンジュゲートさせることができる。一態様において、本開示は、異種分子をシステイン操作された抗体に効率的にコンジュゲートさせるための方法を提供する。一実施形態において、異種分子のコンジュゲーションは、Fc領域またはFcポリペプチドを含む抗体の、246、249、265、267、270、276、278、283、292、293、294、300、302、303、314、315、318、320、332、333、334、336、345、347、354、355、358、360、362、370、373、376、378、380、382、386、388、390、392、393、401、404、411、413、414、416、418、419、421、428、431、432、437、438、439、443、および444位から選択される少なくとも1個の操作された残基により提供される反応基で起こってもよく、ここで、定常領域の番号付けシステムは、Kabatに記載のEUインデックスのものである。さらなる態様において、反応基はチオールであり、異種分子のコンジュゲーションは、FcポリペプチドまたはFcポリペプチドを含む抗体の、246、249、265、267、270、276、278、283、292、293、294、300、302、303、314、315、318、320、332、333、334、336、345、347、354、355、358、360、362、370、373、376、378、380、382、386、388、390、392、393、401、404、411、413、414、416、418、419、421、428、431、432、437、438、439、443、および444位から選択される少なくとも1個の操作されたシステイン残基により提供されるチオール基で起こってもよく、ここで、定常領域の番号付けシステムはKabatに記載のEUインデックスのものである。
【0398】
一実施形態において、異種分子のコンジュゲーションは、操作されたCκポリペプチドまたは操作されたCκポリペプチドを含む操作された抗体の111、149、183、188、207、および210位から選択される少なくとも1個の操作された残基により提供される反応基で起こってもよく、ここで、定常領域の番号付けシステムはKabatに記載のKabatの番号付けシステムのものである。さらなる態様において、反応基はチオールであり、異種分子のコンジュゲーションは、操作されたCκポリペプチドまたは操作されたCκポリペプチドを含む操作された抗体の111、149、183、188、207および210位から選択される少なくとも1個の操作されたシステイン残基により提供されるチオール基で起こってもよく、ここで定常領域の番号付けシステムはKabatに記載のKabatの番号付けシステムのものである。
【0399】
抗体中への非天然システイン残基の操作は、ジスルフィド結合の一部であった天然のシステイン残基が遊離され、コンジュゲートすることができるチオール基を提供するように、重鎖と軽鎖とのジスルフィド対形成を変化させることができる。別の実施形態において、前記方法は、抗体のFc領域の246、249、265、267、270、276、278、283、292、293、294、300、302、303、314、315、318、320、332、333、334、336、345、347、354、355、358、360、362、370、373、376、378、380、382、386、388、390、392、393、401、404、411、413、414、416、418、419、421、428、431、432、437、438、439、443、および444位から選択される少なくとも1個の操作されたシステイン残基により提供されるチオール基でのシステイン操作された抗体への異種分子の効率的なコンジュゲーションを含む。
【0400】
抗体中への非天然システイン残基の操作は、ジスルフィド結合の一部であった天然システイン残基が遊離され、コンジュゲートすることができるチオール基を提供するように、重鎖と軽鎖とのジスルフィド対形成を変化させることができる。別の実施形態において、前記方法は、抗体のCκ領域の111、149、183、188、207および210位から選択される少なくとも1個の操作されたシステイン残基により提供されるチオール基でのシステイン操作された抗体への異種分子の効率的なコンジュゲーションを含む。
【0401】
抗体中の遊離チオール基の存在を、本明細書の以下に記載のものなどの様々な当技術分野で許容される技術によって決定することができる。抗体への異種分子のコンジュゲーションの効率を、コンジュゲーション反応後に残存する遊離チオールの存在を評価することによって決定することができる。一実施形態において、本開示は、システイン操作抗体に異種分子を効率的にコンジュゲートさせる方法を提供する。一実施形態においては、コンジュゲーション効率は、コンジュゲーション反応後に残存する遊離チオール基のレベルにより測定された場合、少なくとも5%、少なくとも20%、少なくとも50%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%以上である。
【0402】
別の実施形態において、本開示は、抗体またはFc、Cκおよび/またはCλ領域が少なくとも1個のアミノ酸置換を含み、2個以上の反応基が形成されるような、抗体のFabもしくはF(ab’)2、または操作されたFc領域および/またはCκ領域もしくはCλなどの操作された抗体に異種分子をコンジュゲートさせる方法を提供する。別の実施形態において、前記方法は、少なくとも2、少なくとも4、少なくとも6、少なくとも8、少なくとも10、少なくとも12、少なくとも14、少なくとも16、少なくとも18、少なくとも20個以上の新しく導入された反応基が形成されるような、少なくとも1個のアミノ酸置換を含む操作されたFcポリペプチド、操作されたCκポリペプチド、操作されたCλポリペプチド、または操作された抗体を含む。さらなる実施形態において、少なくとも1個の置換はシステインによるものであり、反応基はチオール基である。
【0403】
コンジュゲートすることができる本開示の操作された定常領域(Fc、CκおよびCλ)、およびそれらを含む抗体は、遮断されたか、またはキャップ付きのスルフヒドリル基を含むシステイン残基を含有してもよい。そのようなキャップとしては、スルフヒドリル基と相互作用し、コンジュゲート形成を防止または阻害するタンパク質、ペプチド、イオンおよび他の材料が挙げられる。いくつかの実施形態において、本開示の抗体は、コンジュゲーション反応の前にアンキャッピングを要してもよい。特定の実施形態において、操作された定常領域(Fc、CκおよびCλ)、ならびに該ポリペプチドを含む本開示の操作された抗体は、アンキャッピングされ、コンジュゲートすることができるスルフヒドリル基を提示する。他の特定の実施形態において、本開示の抗体は、天然のジスルフィド結合の最小限の破壊または再配置をもたらすアンキャッピング反応にかけられる。いくつかの実施形態において、天然ジスルフィド結合破壊のレベルは、未処理のポリペプチドにおける破壊のレベルと比較して、約30%から検出不可能なレベルの範囲であってもよい。他の実施形態において、本開示の抗体は、国際特許出願公開WO2008/141044、WO2009/092011、およびWO2010/1411902に提供されたようなアンキャッピング反応にかけられる。
【0404】
いくつかの実施形態において、本開示の操作された抗体を、コンジュゲートされる抗体が少なくとも1mg/ml、少なくとも2mg/ml、少なくとも3mg/ml、少なくとも4mg/ml、少なくとも5mg/ml、少なくとも8mg/ml、少なくとも10mg/ml、少なくとも13mg/ml、少なくとも14mg/ml、少なくとも15mg/ml、少なくとも16mg/ml以上の濃度で存在するコンジュゲーション反応にかけることができる。
【0405】
操作された抗体コンジュゲートの使用方法
A.診断のための操作された抗体コンジュゲートの使用
操作された抗体コンジュゲートを、画像診断のために用いることができる。例えば、操作された抗体コンジュゲートは、放射標識モノクローナル抗体であってもよい。例えば、Srivastava(編)、Radiolabeled Monoclonal Antibodies For Imaging And Therapy、Plenum Press(1988);Chase、「Medical Applications of Radioisotopes」、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第18版、Gennaroら(編)、Mack Publishing Co.、pp.624~652(1990);およびBrown、「Clinical Use of Monoclonal Antibodies」、Biotechnology and Pharmacy、Pezzutoら(編)、Chapman and Hall、pp.227~249(1993)を参照されたい。イムノシンチグラフィーとしても知られるこの技術は、モノクローナル抗体にコンジュゲートされたガンマ線を放射する放射性同位体の位置を検出するためにガンマカメラを用いる。画像診断を用いて、がん、自己免疫疾患、感染症および/または心血管疾患を診断することができる(例えば、Brownら、上掲を参照されたい)。
【0406】
一実施形態において、操作された抗体コンジュゲートを用いて、心血管疾患を診断することができる。例えば、抗ミオシン抗体断片を含む操作された抗体コンジュゲートを、急性心筋梗塞に伴う心筋壊死を画像化するために用いることができる。血小板またはフィブリンに結合する抗体断片を含む操作された抗体コンジュゲートを、深静脈血栓症を画像化するために用いることができる。さらに、活性化された血小板に結合する抗体断片を含む操作された抗体コンジュゲートを、アテローム性動脈硬化プラークを画像化するために用いることができる。
【0407】
操作された抗体コンジュゲートを、感染症の診断において用いることもできる。例えば、特定の細菌抗原に結合する抗体断片を含む操作された抗体コンジュゲートを用いて、膿瘍の位置を特定することができる。さらに、顆粒球および炎症白血球に結合する抗体断片を含む操作された抗体コンジュゲートを用いて、細菌感染の部位を特定することができる。
【0408】
いくつかの研究が、がんのシンチグラフィー検出のためのモノクローナル抗体の使用を評価してきた。例えば、Brown、上掲を参照されたい。調査は、メラノーマ、結腸直腸がん、卵巣がん、乳がん、肉腫、および肺がんなどの主要な型の固形腫瘍を包含していた。したがって、本発明はまた、がんを検出するための腫瘍マーカーに結合する抗体断片を含む操作された抗体コンジュゲートを用いるがんの検出を意図する。そのような腫瘍マーカーの例としては、がん胎児抗原、アルファ-フェトタンパク質、がん遺伝子生成物、腫瘍関連細胞表面抗原、および壊死関連細胞内抗原、ならびに上記で論じられた腫瘍関連抗原および腫瘍特異的抗原が挙げられる。
【0409】
診断に加えて、モノクローナル抗体画像化を用いて、治療応答をモニタリングする、疾患の再発を検出する、およびその後の臨床決定を指導することができる。
【0410】
診断およびモニタリングのために、中間官能基を用いることにより、直接的または間接的に、放射性同位体を抗体断片に結合させることができる。そのような中間官能基としては、例えば、DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸)およびEDTA(エチレンジアミン四酢酸)が挙げられる。患者に送達される放射線用量は、典型的には、できるだけ低いレベルに維持する。これを、体内での最小の半減期、最小の滞留、ならびに検出および正確な測定を許容する最小限の同位体量の最良の組合せのための同位体の選択により達成することができる。抗体に結合させることができ、画像診断にとって適切である放射性同位体の例としては、99mTcおよび111Inが挙げられる。
【0411】
研究は、抗体断片、特に、FabおよびFab’が好適な腫瘍/バックグラウンド比を提供することを示している(例えば、Brown、上掲を参照されたい)。
【0412】
操作された抗体コンジュゲートを、in vivoでの診断のために常磁性イオンで標識することもできる。磁気共鳴画像化にとって特に有用である元素としては、Gd、Mn、DyおよびFeイオンが挙げられる。
【0413】
操作された抗体コンジュゲートは、in vitroで特定の抗原の存在を検出することもできる。そのような免疫アッセイにおいては、操作された抗体コンジュゲートを、液相中で用いるか、または固相担体に結合させることができる。例えば、インタクトな抗体、またはその抗原結合断片を、アミノデキストランなどのポリマーに結合させて、抗体成分をポリマー被覆ビーズ、プレート、またはチューブなどの不溶性支持体に連結することができる。
【0414】
あるいは、操作された抗体コンジュゲートを用いて、組織標本から調製された組織切片中の特定の抗原の存在を検出することができる。そのようなin situでの検出を、例えば、検出可能に標識された免疫コンジュゲートを組織切片に適用することにより達成することができる。in situ検出を用いて、検査される組織中の特定の抗原の存在を決定し、抗原の分布を決定することができる。in situ検出の一般的な技術は、当業者には周知である(例えば、Ponder、「Cell Marking Techniques and Their Application」、Mammalian Development:A Practical Approach、Monk(編)、IRL Press、pp.115~138(1987);Coliganら、上掲を参照されたい)。
【0415】
酵素、蛍光化合物、電子移動剤などの検出可能な標識を、当技術分野で周知の従来の方法により担体に連結することができる。これらの標識された担体およびそれらから調製された操作された抗体コンジュゲートを、in vitro免疫アッセイおよびin situ検出のために用いることができるが、抗体コンジュゲートを抗体への標識の直接的結合によって調製することができる。操作された抗体コンジュゲートの複数の標識によるローディングは、達成される抗体、または抗体断片の標的抗原への結合の程度が低いものに過ぎない免疫アッセイまたは組織学的手順の感度を増加させることができる。
【0416】
B.治療のための操作された抗体コンジュゲートの使用
操作された抗体コンジュゲートを用いて、ウイルスおよび細菌感染症、心血管疾患、自己免疫疾患、ならびにがんを処置することができる。そのような治療の目的は、非標的組織への曝露を最小化しながら、細胞傷害用量または細胞増殖抑制用量の活性作用物質(例えば、放射活性、毒素、または薬物)を標的細胞に送達することである。
【0417】
放射性同位体を、インタクトな抗体、またはその抗原結合断片に、キレート化剤を介して、直接的または間接的に結合させることができる。例えば、67Cuを、キレート化剤、p-ブロモ-アセトアミドベンジル-テトラエチルアミン四酢酸(TETA)を用いて抗体成分にコンジュゲートさせることができる(例えば、Chase、上掲を参照されたい)。
【0418】
さらに、治療剤が毒素または薬物である操作された抗体コンジュゲートを調製することができる。そのような操作された抗体コンジュゲートの調製のための有用な毒素としては、リシン(ricin)、アブリン、ヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、ゲロニン、ジフテリン毒素、およびシュードモナス(Pseudomonas)外毒素が挙げられる。免疫コンジュゲートの調製のための有用な化学療法剤としては、オーリスタチン、ドラスタチン、MMAE、MMAF、AFP、AEB、ドキソルビシン、ダウノルビシン、メトトレキサート、メルファラン、クロラムブシル、ビンカアルカロイド、5-フルオロウリジン、マイトマイシン-C、タキソール、L-アスパラギナーゼ、メルカプトプリン、チオグアニン、ヒドロキシウレア、シタラビン、シクロホスファミド、イフォスファミド、ニトロソウレア、シスプラチン、カルボプラチン、マイトマイシン、デカルバジン、プロカルバジン、トポテカン、窒素マスタード、サイトキサン、エトポシド、BCNU、イリノテカン、カンプトテシン、ブレオマイシン、イダルビシン、ダクチノマイシン、プリカマイシン、ミトキサントロン、アスパラギナーゼ、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、パクリタキセル、およびドセタキセルならびにその塩、溶媒および誘導体が挙げられる。他の好適な作用物質としては、蛍光分子などの検出可能な標識または重金属もしくは放射性核種などの細胞傷害性剤を複合体化させることができる、DTPAなどのキレート化剤;ならびにシュードモナス(Pseudomonas)外毒素などの毒素などが挙げられる。
【0419】
いくつかの実施形態において、診断剤、予防剤または治療剤は、オーリスタチンE(当技術分野ではドラスタチン-10としても知られる)またはその誘導体ならびにその薬学的塩もしくは溶媒和物である。典型的には、オーリスタチンE誘導体は、例えば、オーリスタチンEとケト酸の間に形成されるエステルである。例えば、オーリスタチンEを、パラアセチル安息香酸またはベンゾイル吉草酸と反応させて、それぞれ、AEBおよびAEVBを生成することができる。他の典型的なオーリスタチン誘導体としては、AFP、MMAFおよびMMAEが挙げられる。オーリスタチンEおよびその誘導体、ならびにリンカーの合成および構造は、米国特許出願第09/845,786号(米国特許出願公開第20030083263号)、米国特許出願公開第2005-0238629号;国際特許公開WO2004/010957;国際特許公開WO2002/088172;国際特許公開WO04/073656;ならびに米国特許第6,884,869号;第6,323,315号;第6,239,104号;第6,214,345号;第6,034,065号;第5,780,588号;第5,665,860号;第5,663,149号;第5,635,483号;第5,599,902号;第5,554,725号;第5,530,097号;第5,521,284号;第5,504,191号;第5,410,024号;第5,138,036号;第5,076,973号;第4,986,988号;第4,978,744号;第4,879,278号;第4,816,444号;および第4,486,414号(これらは全てその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0420】
いくつかの実施形態において、抗がん剤としては、限定されるものではないが、以下に列挙される薬物:メトトレキサート、タキソール、メルカプトプリン、チオグアニン、ヒドロキシウレア、シタラビン、シクロホスファミド、イフォスファミド、ニトロソウレア、シスプラチン、カルボプラチン、マイトマイシン、ダカルバジン、プロカルビジン、エトポシド、カンプトテシン、ブレオマイシン、ドキソルビシン、イダルビシン、ダウノルビシン、ダクチノマイシン、プリカマイシン、ミトキサントロン、アスパラギナーゼ、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、パクリタキセル、およびドセタキセル、ドキソルビシン、エピルビシン、5-フルオロウラシル、タキサン、例えば、ドセタキセルおよびパクリタキセル、ロイコボリン、レバミソール、イリノテカン、エストラムスチン、エトポシド、ニトロソウレア、例えば、カルムスチンおよびロムスチン、L-アスパラギナーゼ、トポテカン、窒素マスタード、サイトキサン、エトポシド、BCNU、ビンカアルカロイド、白金化合物、マイトマイシン、ゲムシタビン、ヘキサメチルメラミン、テムシロリムス(CCI-779);ラパチニブ(GW572016);RAD-001(エベロリムス);XRP-9881;イキサベピロン(BMS-247550);ペルツズマブ(OMNITARG、2C4);トポテカン、チロシンキナーゼ阻害剤、チルホスチン、イマチニブメシレート(GLEEVEC)、ハービマイシンA、ゲニステイン、エルブスタチン、およびラベンダスチンAが挙げられる。
【0421】
他の実施形態において、好適な化学療法剤としては、限定されるものではないが、当技術分野で公知の多くの他の作用物質の中でも、アルキル化剤:窒素マスタード(例えば、シクロホスファミド、イフォスファミド、トロフォスファミド、クロラムブシル);ニトロソウレア(例えば、カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU));アルキルスルホネート(例えば、ブスルファン、トレオスルファン);トリアゼン(例えば、ダカルバジン);白金含有化合物(例えば、シスプラチン、カルボプラチン、アロプラチン、オキサリプラチン);植物アルカロイド:ビンカアルカロイド(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、ビノレルビン);タキソイド(例えば、パクリタキセル、ドセタキセル);DNAトポイソメラーゼ阻害剤:エピポドフィリン(例えば、エトポシド、テニポシド、トポテカン、9-アミノカンプトテシン、カンプトテシン、クリスナトール);マイトマイシン(例えば、マイトマイシンC、代謝拮抗物質);抗葉酸剤:DHFR阻害剤(例えば、メトトレキサート、トリメトレキサート)、IMPデヒドロゲナーゼ阻害剤(例えば、ミコフェノール酸、チアゾフリン、リバビリン、EICAR);リボヌクレオチドリダクターゼ阻害剤(例えば、ヒドロキシウレア、デフェロキサミン);ピリミジン類似体:ウラシル類似体(例えば、5-フルオロウラシル、フロクスウリジン、ドキシフルリジン、ラチトレキセド);シトシン類似体(例えば、シタラビン(araC)、シトシンアラビノシド、フルダラビン);プリン類似体(例えば、メルカプトプリン、チオグアニン);DNA代謝拮抗剤(例えば、3-HP、2’-デオキシ-5-フルオロウリジン、5-HP、アルファ-TGDR、アフィジコリングリシネート、ara-C、5-アザ-2’-デオキシシチジン、ベータ-TGDR、シクロシチジン、グアナゾール、イノシングリコジアルデヒド、マセベシンII、ピラゾロイミダゾール);ホルモン療法剤:受容体アンタゴニスト:抗エストロゲン剤(例えば、タモキシフェン、ラロキシフェン、メゲストロール);アロマターゼ阻害剤(例えば、エキセメスタン、アナストロゾール、レトロゾール);GnRHアンタゴニスト(例えば、アバレリックス、ヒストレリン);選択的エストロゲン受容体調節剤(SERM)(例えば、ラソフォキシフェン);LH-RHアゴニスト(例えば、ゴセレリン、トリプトレリン、ブセレリン、酢酸ロイプロリド);抗アンドロゲン剤(例えば、フルタミド、ビカルタミド、ニルタミド、メゲストロール、シプロテロン);レチノイド/デルトイド:cis-レチノイン酸;ビタミンA誘導体(例えば、全トランスレチノイン酸(ATRA-IV));ビタミンD3類似体(例えば、EB1089、CB1093、KH1060);光力学療法(例えば、ベルトポルフィン(BPD-MA)、フタロシアニン、光増感剤Pc4、デメトキシ-ヒポクレリンA(2BA-2-DMHA);サイトカイン、例えば、IL-1α、IL-1β、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12、IL-15、IL-18、IFNα、IFNβ、IFNγ、TNFα、TNFβ、G-CSF、GM-CSF、TGF-β、SLC、EMAP2、MIP-3α、MIP-3β、HLA-B7、TNFファミリーの他のメンバー(例えば、TRAIL、TRANCE、TWEAK、CD40L、LT-α、LT-β、OX40L、CD40L、FasL、CD27L、CD30L、4-1BBL、APRIL、LIGHT、TL1、TNFSF16、TNFSF17、およびAITR-L、またはその機能的部分);血管新生阻害剤:アンギオスタチン(プラスミノーゲン断片)、抗血管新生抗トロンビンIII、アンギオザイム、ABT-627、Bay12-9566、ベネフィン、ベバシズマブ、BMS-275291、軟骨由来阻害剤(CDI)、CAI、CD59補体断片、Gro-ベータ、ハロフギノン、ヘパリナーゼ、ヘパリンヘキササッカリド断片、HMV833、ヒト絨毛性ゴナトトロピン(hCG)、IM-862、インターフェロンアルファ/ベータ/ガンマ、インターフェロン誘導性タンパク質(IP-10)、インターロイキン-12、Kringle5(プラスミノーゲン断片)、マリマスタット、メタロプロテイナーゼ阻害剤(TIMP)、2-メトキシエストラジオール、MMI270(CGS27023A)、MoAb IMC-1C11、ネオバスタット(Aeterna)、NM-3、パンゼム、PI-88、胎盤リボヌクレアーゼ阻害剤、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤、血小板因子-4(PF4)、プリノマスタット、プロラクチン16kD断片、プロリフェリン関連タンパク質(PRP)、PTK787/ZK222594、レチノイド、ソリマスタット、スクアラミン、SS3304、SU5416、SU6638、SU11248、SU12662、SU14813、BAY43-9006、AG-013736、テトラヒドロコルチゾール-S、テトラチオモリブデート、サリドマイド、トロンボスポンジン-1(TSP-1)、TNP-470、トランスフォーミング増殖因子-ベータ(TGF-b)、バスクロスタチン、バソスタチン(カルレチクリン断片)、ZD6126、ZD6474、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤(FTI)、ビスホスフォネート;抗有糸分裂剤(例えば、アロコルヒチン、ハリコンドリンB、コルヒチン、コルヒチン誘導体、ドルスタチン10、メイタンシン、リゾキシン、チオコルヒチン、トリチルシステイン);他の作用物質:イソプレニル化阻害剤;ドーパミン作動性神経毒(例えば、1-メチル-4-フェニルピリジニウムイオン);細胞周期阻害剤(例えば、スタウロスポリン):アクチノマイシン(例えば、アクチノマイシンD、ダクチノマイシン);ブレオマイシン(例えば、ブレオマイシンA2、ブレオマイシンB2、ペプロマイシン);アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、イダルビシン、エピルビシン、ピラルビシン、ゾルビシン、ミトキサントロン);mTOR阻害剤(例えば、テムシロリムス、エベロリムス);MDR阻害剤(例えば、ベラパミル);Ca2+ATPase阻害剤(例えば、タプシガルギン);toll様受容体アゴニスト(例えば、CpG-7909、PF03512676またはPROMUNEとしても知られる;Coley Pharm);共刺激分子(例えば、CD4、CD25、PD-1、B7-H3、4-1BB、OX40、ICOS、CD30、HLA-DR、MHCII、およびLFA、ならびにそれに対するアゴニスト抗体)が挙げられる。
【0422】
本発明の方法において用いることができるさらなる抗がん剤としては、限定されるものではないが、アシビシン;アクラルビシン;塩酸アコダゾール;アクロニン;アドゼレシン;アルデスロイキン;アルトレタミン;アンボマイシン;酢酸アメタントロン;アミフォスチン三水和物;アミノグルテチミド;アムサクリン;アナストロゾール;アントラマイシン;三酸化ヒ素;アスパラギナーゼ;アスペルリン;アザシチジン;アゼテパ;アゾトマイシン;バチルスカルメット-ゲリン;バチマスタット;ベンゾデパ;ベバシズマブ;ビカルタミド;塩酸ビサントレン;ジメシル酸ビスナフィド;ビゼレシン;硫酸ブレオマイシン;ボルテゾミブ;ブレキナルナトリウム;ブロピリミン;ブスルファン;カクチノマイシン;カルステロン;カペシタビン;カラセミド;カルベチメル;カルボプラチン;カルムスチン;塩酸カルビシン;カルゼレシン;セデフィンゴール;クロラムブシル;シロレマイシン;シスプラチン;クロラムブシル;クラドリビン;クロドロネート;メシル酸クリスナトール;シクロホスファミド;シタラビン;ダカルバジン;ダクチノマイシン;ダルベポエチン;塩酸ダウノルビシン;デシタビン;デキソルマプラチン;デクスラゾキサン;デザグアニン;メシル酸デザグアニン;ジアジクオン;ジエチルスチルベストロール;ドセタキセル;ドキソルビシン;塩酸ドキソルビシン;ドロロキシフェン;クエン酸ドロロキシフェン;プロピオン酸ドロモスタノロン;デュアゾマイシン;ファルモルビシン;エダトレキサート;塩酸エフォルニチン;エルサミトルシン;エンロプラチン;エンプロマート;エピプロピジン;塩酸エピルビシン;エルブロゾール;エルロチニブ;エリスロポエチン;塩酸エソルビシン;エストラムスチン;エストラムスチンリン酸ナトリウム;エタニダゾール;エトポシド;リン酸エトポシド;エトプリン;エベロリムス;エキセメスタン;塩酸ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フィラガストリム(G-CSF);フロクスウリジン;リン酸フルダラビン;フルドロコルチゾン;フルオロウラシル;フルオキシメステロン;フルロシタビン;フォスキドン;フォストリエシンナトリウム;フルベストラント;ゲフィチニブ;ゲムシタビン;塩酸ゲムシタビン;ゲムツズマブ;ゴセレリン;ヒドロキシウレア;イブリツモマブチウキセタン;塩酸イダルビシン;イフォスファミド;イルモフォシン;イマチニブ;インターロイキンII(組換えインターロイキンII、またはrIL2など)、インターフェロンアルファ-2a;インターフェロンアルファ-2b;インターフェロンアルファ-n1;インターフェロンアルファ-n3;インターフェロンベータ-1a;インターフェロンガンマ-1b;イプロプラチン;塩酸イリノテカン;イキサベピロン;ケトコナゾール;酢酸ランレオチド;ラパチニブ;レトロゾール;ロイコボリン;酢酸ロイプロリド;レバミソール;塩酸リアロゾール;ロメトレキソールナトリウム;ロムスチン;塩酸ロソキサントロン;マソプロコール;メイタンシン;塩酸メクロレタミン;メドロキシプロゲステロン;酢酸メゲストロール;酢酸メレンゲストロール;メルファラン;メノガリル;メルカプトプリン;メスナ;メトトレキサート;メトトレキサートナトリウム;メトプリン;メツレデパ;ミチンドミド;ミトカルシン;ミトクロミン;ミトギリン;ミトマルシン;マイトマイシン;マイトスペル;ミトタン;塩酸ミトキサントロン;ミコフェノール酸;ノコダゾール;ノガラマイシン;オクトレオチド;オルマプラチン;オキサリプラチン;オキシスラン;パクリタキセル;パミドロナート;ペガスパルガーゼ;PEG-L-アスパラギナーゼ;PEG-フィルガストリム;ペリオマイシン;ペンタムスチン;ペントスタチン;硫酸ペプロマイシン;ペルフォスファミド;ペルツズマブ;ピポブロマン;ピポスルファン;塩酸ピロキサントロン;プリカマイシン;プロメスタン;ポルフィマーナトリウム;ポルフィマー;ポルフィロマイシン;プレドニムスチン;ペメトレキセド;塩酸プロカルバジン;ピューロマイシン;塩酸ピューロマイシン;ピラゾフリン;ラルチトレキセド;リボプリン;リツキシマブ;ログレチミド;サフィンゴール;塩酸サフィンゴール;セムスチン;シムトラゼン;ソマバート(PEGVISOMANT);スパルフォサートナトリウム;スパルソマイシン;塩酸スピロゲルマニウム;スピロムスチン;スピロプラチン;ストレプトニグリン;ストレプトゾシン;スロフェヌル;スニチニブ;ストレプトゾシン;タリソマイシン;テコガランナトリウム;テガフル;塩酸テロキサントロン;テモポルフィン;テモゾロミド;テムシロリムス;テニポシド;テロキシロン;テストラクトン;サリドマイド;チアミプリン;チオグアニン;チオテパ;チアゾフリン;チラパザミン;トポテカン;クエン酸トレミフェン;トラスツズマブ;トレチノイン;酢酸トレストロン;リン酸トリシリビン;トリメトレキサート;グルクロン酸トリメトレキサート;トリプトレリン;トポテカン;塩酸ツブロゾール;ウラシルマスタード;ウレデパ;バプレオチド;ベルテポルフィン;硫酸ビンブラスチン;硫酸ビンクリスチン;ビンデシン;硫酸ビンデシン;硫酸ビネピジン;硫酸ビングリシナート;硫酸ビンロイロシン;酒石酸ビノレルビン;硫酸ビンロシジン;硫酸ビンゾリジン;ボロゾール;ゼニプラチン;ジノスタチン;ゾレンドロネート;塩酸ゾルビシンが挙げられる。
【0423】
用いることができる他の抗がん剤としては、限定されるものではないが、20-エピ-1,25ジヒドロキシビタミンD3;5-エチニルウラシル;アビラテロン;アクラルビシン;アシルフルベン;アデシペノール;アドゼレシン;アルデスロイキン;ALL-TKアンタゴニスト;アルトレタミン;アンバムスチン;アミドックス;アミフォスチン;アミノレブリン酸;アムルビシン;アムサクリン;アナグレリド;アナストロゾール;アンドログラホリド;血管新生阻害剤;アンタゴニストD;アンタゴニストG;アンタレリックス;抗背側形成タンパク質-1;抗アンドロゲン剤、前立腺がん;抗エストロゲン剤;抗ネオプラストン剤;アンチセンスオリゴヌクレオチド;アフィジコリングリシネート;アポトーシス遺伝子調節剤;アポトーシス調節剤;アプリン酸;アラ-CDP-DL-PTBA;アルギニンデアミナーゼ;アスラクリン;アタメスタン;アトリムスチン;アキシナスタチン1;アキシナスタチン2;アキシナスタチン3;アザセトロン;アザトキシン;アザチロシン;バッカチンIII誘導体;バラノール;バチマスタット;BCR/ABLアンタゴニスト;ベンゾクロリン;ベンゾイルスタウロスポリン;ベータラクタム誘導体;ベータアレチン;ベタクラマイシンB;ベツリン酸;bFGF-阻害剤;ビカルタミド;ビサントレン;ビサジリジニルスペルミン;ビスナフィド;ビストラテンA;ビゼレシン;ブレフラート;ブロピリミン;ブドチタン;ブチオニンスルホキシミン;カルシポトリオール;カルホスチンC;カンプトテシン誘導体;カナリポックスIL-2;カペシタビン;カルボキサミド-アミノ-トリアゾール;カルボキシアミドトリアゾール;CaRestM3;CARN700;軟骨由来阻害剤;カルゼレシン;カゼインキナーゼ阻害剤(ICOS);カスタノスペルミン;セクロピンB;セトロレリックス;クロリン;クロロキノキサリンスルホンアミド;シカプロスト;cis-ポルフィリン;クラドリビン;クロミフェン類似体;クロトリマゾール;コリスマイシンA;コリスマイシンB;コンブレタスタチンA4;コンブレタスタチン類似体;コナゲニン;クラムベシジン816;クリスナトール;クリプトフィシン8;クリプトフィシンA誘導体;クラシンA;シクロペンタアントラキノン;シクロプラタム;シペマイシン;シタラビンオクフォスフェート;細胞溶解因子;サイトスタチン;ダクリキシマブ;デシタビン;デヒドロジデムニンB;デスロレリン;デキサメタゾン;デキシホスファミド;デクスラゾキサン;デクスベラパミル;ジアジクオン;ジデムニンB;ジドックス;ジエチルノルスペルミン;ジヒドロ-5-アザシチジン;ジヒドロタキソール;9-;ジオキサマイシン;ジフェニルスピロムスチン;ドセタキセル;ドコサノール;ドラセトロン;ドキシフルリジン;ドロロキシフェン;ドロナビノール;デュオカルミシンSA;エブセレン;エコムスチン;エデルフォシン;エドレコロマブ;エフォルニチン;エレメン;エミテフル;エピルビシン;エプリステリド;エストラムスチン類似体;エストロゲンアゴニスト;エストロゲンアンタゴニスト;エタニダゾール;リン酸エトポシド;エキセメスタン;ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フィルグラスチム;フィナステリド;フラボピリドール;フレゼラスチン;フルアステロン;フルダラビン;塩酸フルオロダウノルビシン;フォルフェニメックス;フォルメスタン;フォストリエシン;フォテムスチン;ガドリニウムテキサフィリン;硝酸ガリウム;ガロシタビン;ガニレリックス;ゼラチナーゼ阻害剤;ゲムシタビン;グルタチオン阻害剤;ヘプスルファム;ヘレグリン;ヘキサメチレンビスアセタミド;ハイペリシン;イバンドロン酸;イダルビシン;イドキシフェン;イドラマントン;イルモフォシン;イロマスタット;イミダゾアクリドン;イミキモッド;免疫刺激ペプチド;インスリン様増殖因子1受容体阻害剤;インターフェロンアゴニスト;インターフェロン;インターロイキン;イオベングアン;ヨードドキソルビシン;イポメアノール、4-;イロプラクト;イルソグラジン;イソベンガゾール;イソホモハリコンドリンB;イタセトロン;ジャスプラキノリド;カハラリドF;ラメラリン-N三酢酸;ランレオチド;レイナマイシン;レノグラスチム;硫酸レンチナン;レプトルスタチン;レトロゾール;白血病阻害因子;白血球アルファインターフェロン;ロイプロリド+エストロゲン+プロゲステロン;ロイプロレリン;レバミソール;リアロゾール;線状ポリアミン類似体;親油性ジサッカリドペプチド;親油性白金化合物;リソクリナミド7;ロバプラチン;ロムブリシン;ロメトレキソール;ロニダミン;ロソキサントロン;ロバスタチン;ロキソリビン;ルルトテカン;ルテチウムテキサフィリン;リゾフィリン;溶解ペプチド;メイタンシン;マンノスタチンA;マリマスタット;マソプロコール;マスピン;マトリリシン阻害剤;マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤;メノガリル;メルバロン;メテレリン;メチオニナーゼ;メトクロプラミド;MIF阻害剤;ミフェプリストン;ミルテフォシン;ミリモスチム;不一致二本鎖RNA;ミトグアゾン;ミトラクトール;マイトマイシン類似体;ミトナフィド;ミトトキシン線維芽細胞増殖因子-サポリン;ミトキサントロン;モファロテン;モルグラモスチム;モノクローナル抗体、ヒト絨毛性ゴナドトロピン;モノホスホリルリピドA+ミオバクテリウム細胞壁sk;モピダモール;多剤耐性遺伝子阻害剤;多腫瘍抑制因子1に基づく療法;マスタード抗がん剤;ミカペルオキシドB;マイコバクテリウム細胞壁抽出物;ミリアポロン;N-アセチルジナリン;N-置換ベンズアミド;ナファレリン;ナグレスチップ;ナロキソン+ペンタゾシン;ナパビン;ナフテルピン;ナルトグラスチム;ネダプラチン;ネモルビシン;ネリドロン酸;中性エンドペプチダーゼ;ニルタミド;ニサマイシン;一酸化窒素調節剤;ニトロオキシド抗酸化剤;ニトルリン;O6-ベンジルグアニン;オクトレオチド;オキセノン;オリゴヌクレオチド;オナプリストン;オンダンセトロン;オンダンセトロン;オラシン;経口サイトカイン誘導剤;オルマプラチン;オサテロン;オキサリプラチン;オキサウノマイシン;パクリタキセル;パクリタキセル類似体;パクリタキセル誘導体;パラウアミン;パルミトイルリゾキシン;パミドロン酸;パナキシトリオール;パノミフェン;パラバクチン;パゼリプチン;ペガスパルガーゼ;ペルデシン;ペントサンポリ硫酸ナトリウム;ペントスタチン;ペントロゾール;ペルフルブロン;ペルフォスファミド;ペリリルアルコール;フェナジノマイシン;フェニル酢酸;ホスファターゼ阻害剤;ピシバニル;塩酸ピロカルピン;ピラルビシン;ピリトレキシム;プラセチンA;プラセチンB;プラスミノーゲン活性化因子阻害剤;白金複合体;白金化合物;白金-トリアミン複合体;ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニゾン;プロピルビスアクリドン;プロスタグランジンJ2;プロテアソーム阻害剤;プロテインAに基づく免疫調節剤;タンパク質キナーゼC阻害剤;タンパク質キナーゼC阻害剤、小型藻類;タンパク質チロシンホスファターゼ阻害剤;プリンヌクレオシドホスホリラーゼ阻害剤;プルプリン;ピラゾロアクリジン;ピリドキシル化ヘモグロビンポリオキシエチレンコンジュゲート;rafアンタゴニスト;ラルチトレキセド;ラモセトロン;rasファメシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤;ras阻害剤;ras-GAP阻害剤;脱メチル化レテリプチン;レニウムRe186エチドロネート;リゾキシン;リボザイム;RIIレチナミド;ログレチミド;ロヒツキン;ロムルチド;ロキニメックス;ルビギノンB1;ルボキシル;サフィンゴール;サイントピン;SarCNU;サルコフィトールA;サルグラモスチム;Sdi1模倣体;セムスチン;セネセンス由来阻害剤1;センスオリゴヌクレオチド;シグナル伝達阻害剤;シグナル伝達調節剤;一本鎖抗原結合タンパク質、シゾフラン;ソブゾキサン;ボロカプテートナトリウム;フェニル酢酸ナトリウム;ソルベロール;ソマトメジン結合タンパク質;ソネルミン;スパルホス酸;スピカマイシンD;スピロムスチン;スプレノペンチン;スポンギスタチン1;スクアラミン;幹細胞阻害剤;幹細胞分裂阻害剤;スチピアミド;ストロメルシン阻害剤;スルフィノシン;超活性血管作動性腸管ペプチドアンタゴニスト;スラジスタ;スラミン;スワインソニン;合成グリコサミノグリカン;タリムスチン;タモキシフェンメチオジド;タウロムスチン;タザロテン;テコガランナトリウム;テガフル;テルラピリウム;テロメラーゼ阻害剤;テモポルフィン;テモゾロミド;テニポシド;テトラクロロデカオキシド;テトラゾミン;サリブラスチン;チオコラリン;トロンボポエチン;トロンボポエチン模倣体;チマルファシン;チモポエチン受容体アゴニスト;チモトリナン;甲状腺刺激ホルモン;エチルエチオプルプリンスズ;チラパザミン;チタノセンビクロリド;トプセンチン;トレミフェン;全能性幹細胞因子;翻訳阻害剤;トレチノイン;トリアセチルウリジン;トリシリビン;トリメトレキサート;トリプトレリン;トロピセトロン;ツロステリド;チロシンキナーゼ阻害剤;チルホスチン;UBC阻害剤;ウベニメックス;泌尿生殖洞由来増殖阻害因子;ウロキナーゼ受容体アンタゴニスト;バプレオチド;バリオリンB;ベクター系、赤血球遺伝子療法;ベラレソール;ベラミン;ベルジン;ベルテポルフィン;ビノレルビン;ビンキサルチン;ビタキシン;ボロゾール;ザノテロン;ゼニプラチン;ジラスコルブ;およびジノスタチンスチマラマーが挙げられる。
【0424】
いくつかの実施形態において、診断剤、予防剤または治療剤は、放射性同位体ではない。
【0425】
いくつかの実施形態において、操作された抗体コンジュゲートを用いて、以下の特定の型のがんの1つを処置することができる:本開示の操作された抗体コンジュゲートを用いて、例えば、腫瘍抗原の過剰発現を特徴とするものなどの様々な疾患または障害を処置することができることが考えられる。例示的な状態または過増殖性障害としては、良性または悪性腫瘍、白血病およびリンパ性悪性腫瘍が挙げられる。他のものとしては、ニューロン、グリア、アストロサイト、視床下部、腺、マクロファージ、上皮、内皮、および間質の悪性腫瘍が挙げられる。他のがんまたは過増殖性障害としては、頭部、頸部、眼、口、喉、食道、胸部、皮膚、骨、肺、結腸、直腸、結腸直腸、胃、脾臓、腎臓、骨格筋、皮下組織、転移性メラノーマ、子宮内膜、前立腺、乳房、卵巣、精巣、甲状腺、血液、リンパ節、腎臓、肝臓、膵臓、脳、または中枢神経系のがんが挙げられる。本開示の方法に従って防止、管理、処置または改善することができるがんの例としては、限定されるものではないが、頭部、頸部、眼、口、喉、食道、胸部、骨、肺、結腸、直腸、胃、前立腺、乳房、卵巣、腎臓、肝臓、膵臓、および脳のがんが挙げられる。さらなるがんとしては、限定されるものではないが、以下のもの:白血病、例えば、限定されるものではないが、急性白血病、急性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、例えば、骨髄芽細胞性、前骨髄球性、骨髄単球性、単球性、赤白血病性白血病および骨髄異形成症候群、慢性白血病、例えば、限定されるものではないが、慢性骨髄性(顆粒球性)白血病、慢性リンパ球性白血病、ヘアリー細胞白血病;真性赤血球増加症;リンパ腫、例えば、限定されるものではないが、ホジキン病、非ホジキン病;多発性骨髄腫、例えば、限定されるものではないが、くすぶり型多発性骨髄腫、非分泌性骨髄腫、骨硬化性骨髄腫、形質細胞白血病、孤立性形質細胞腫および髄外性形質細胞腫;ヴァルデンストレームマクログロブリン血症;意義不明の単クローン性高ガンマグロブリン血症;良性単クローン性免疫グロブリン血症;重鎖疾患;骨のがんおよび結合組織肉腫、例えば、限定されるものではないが、骨肉腫、骨髄腫骨疾患、多発性骨髄腫、真珠腫誘導性骨肉腫、骨のパジェット病、骨肉腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性巨細胞腫瘍、骨の線維肉腫、脊索腫、骨膜肉腫、柔組織肉腫、血管肉腫(ヘマンギオサルコーマ)、線維肉腫、カポジ肉腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、リンパ管肉腫、神経鞘腫、横紋筋肉腫、および滑膜肉腫;脳腫瘍、例えば、限定されるものではないが、グリオーマ、アストロサイトーマ、脳幹グリオーマ、上衣腫、オリゴデンドログリオーマ、非グリア腫瘍、聴神経鞘腫、頭蓋咽頭腫、髄芽腫、髄膜腫、松果体細胞腫、松果体芽細胞腫、および原発性脳リンパ腫;乳がん、例えば、限定されるものではないが、腺がん、小葉(小細胞)がん、腺管内がん、髄様乳がん、粘液乳がん、管状乳がん、乳頭乳がん、パジェット病(若年性パジェット病など)および炎症性乳がん;副腎がん、例えば、限定されるものではないが、褐色細胞腫および副腎皮質がん;甲状腺がん、例えば、限定されるものではないが、甲状腺乳頭がんまたは濾胞性甲状腺がん、甲状腺髄様がんおよび未分化甲状腺がん;膵臓がん、例えば、限定されるものではないが、インスリノーマ、ガストリノーマ、グルカゴノーマ、ビポーマ、ソマトスタチン分泌腫瘍、およびカルチノイドまたは島細胞腫瘍;下垂体がん、例えば、限定されるものではないが、クッシング病、プロラクチン分泌腫瘍、末端肥大症、および尿崩症;眼のがん、例えば、限定されるものではないが、眼のメラノーマ、例えば、虹彩メラノーマ、脈絡膜メラノーマ、および毛様体メラノーマ、ならびに網膜芽腫;膣のがん、例えば、扁平上皮がん、腺がん、およびメラノーマ;外陰がん、例えば、扁平上皮がん、メラノーマ、腺がん、基底細胞がん、肉腫、およびパジェット病;頸部がん、例えば、限定されるものではないが、扁平上皮がん、および腺がん;子宮がん、例えば、限定されるものではないが、子宮内膜がんおよび子宮肉腫;卵巣がん、例えば、限定されるものではないが、卵巣上皮がん、境界線腫瘍、胚細胞腫瘍、および間質腫瘍;食道がん、例えば、限定されるものではないが、扁平がん、腺がん、腺様嚢胞がん、粘膜表皮がん、腺扁平上皮がん、肉腫、メラノーマ、形質細胞腫、いぼ状がん、およびオート細胞(小細胞)がん;胃がん、例えば、限定されるものではないが、腺がん、菌状(ポリープ状)、潰瘍状、表在拡大型、びまん性拡大型の悪性リンパ腫、脂肪肉腫、線維肉腫、およびがん肉腫;結腸がん;直腸がん;肝臓がん、例えば、限定されるものではないが、肝細胞がんおよび肝芽腫、胆嚢がん、例えば、腺がん;胆管がん、例えば、限定されるものではないが、乳頭状、結節性、およびびまん性;肺がん、例えば、非小細胞肺がん、扁平上皮がん(類表皮がん)、腺がん、大細胞がんおよび小細胞肺がん;精巣がん、例えば、限定されるものではないが、胚腫瘍、セミノーマ、未分化、古典的(典型的)、精母細胞性、非セミノーマ、胎生期がん、テラトーマがん、絨毛がん(卵黄嚢腫瘍)、前立腺がん、例えば、限定されるものではないが、腺がん、平滑筋肉腫、および横紋筋肉腫;陰茎がん;口腔がん、例えば、限定されるものではないが、扁平上皮がん;基底がん;唾液腺がん、例えば、限定されるものではないが、腺がん、粘膜表皮がん、および腺様嚢胞癌;咽頭がん、例えば、限定されるものではないが、扁平上皮がんおよびいぼ状;皮膚がん、例えば、限定されるものではないが、基底細胞がん、扁平上皮がんおよびメラノーマ、表在拡大型メラノーマ、結節性メラノーマ、悪性黒子型メラノーマ、末端性黒子性メラノーマ;腎臓がん、例えば、限定されるものではないが、腎細胞がん、腺がん、副腎腫、線維肉腫、移行細胞がん(腎盂および/または尿管);ウィルムス腫瘍;膀胱がん、例えば、限定されるものではないが、移行細胞がん、扁平上皮がん、腺がん、がん肉腫が挙げられる。さらに、がんとしては、粘液肉腫、骨原性肉腫、内皮肉腫、リンパ管内皮肉腫、中皮腫、滑膜腫、血管芽腫、上皮がん、嚢胞腺がん、気管支原性がん、汗腺がん、皮脂腺がん、乳頭がんおよび乳頭腺がん(そのような障害の概説については、Fishmanら、1985、Medicine、第2版、J.B.Lippincott Co.、Philadelphia and Murphyら、1997、Informed Decisions:The Complete Book of Cancer Diagnosis, Treatment, and Recovery、Viking Penguin、Penguin Books U.S.A.,inc.、United States of Americaを参照されたい)。また、アポトーシス異常により引き起こされるがんを、本開示の方法および組成物によって処置することもできることも考えられる。そのようながんとしては、限定されるものではないが、濾胞性リンパ腫、p53突然変異を含むがん、乳房、前立腺および卵巣のホルモン依存的腫瘍、ならびに家族性腺腫性ポリポーシスなどの前がん病変、および骨髄異形成症候群が挙げられる。
【0426】
本開示の操作された抗体コンジュゲート、および操作されたFcポリペプチドおよび操作されたCκポリペプチド、ならびにそれを含む組成物は、多くの目的にとって、例えば、限定されるものではないが、シェーグレン症候群、関節リウマチ、乾癬状狼瘡、アテローム性動脈硬化症、糖尿病性網膜症および他の網膜症、水晶体後部線維増殖症、加齢黄斑変性、新血管緑内障、血管腫、甲状腺過形成(グレーブス病など)、角膜および他の組織の移植、および慢性炎症、敗血症、関節リウマチ、腹膜炎、クローン病、再かん流傷害、敗血症、内毒素ショック、嚢胞性線維症、心内膜炎、乾癬、関節炎(例えば、乾癬性関節炎)、アナフィラキシーショック、臓器虚血、再かん流傷害、脊髄損傷および同種移植拒絶を含む自己免疫障害および/または炎症性障害などの様々な慢性および急性の疾患および障害に対する治療剤として有用である。自己免疫障害および/または炎症性障害の他の例としては、限定されるものではないが、円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質症候群、自己免疫性アジソン病、副腎の自己免疫疾患、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性卵巣炎および精巣炎、シェーグレン症候群、乾癬、アテローム性動脈硬化症、糖尿病性網膜症および他の網膜症、水晶体後部線維増殖症、加齢黄斑変性、新血管緑内障、血管腫、甲状腺過形成(グレーブス病など)、角膜および他の組織の移植、および慢性炎症、敗血症、関節リウマチ、腹膜炎、再かん流傷害、敗血症、内毒素ショック、嚢胞性線維症、心内膜炎、乾癬、関節炎(例えば、乾癬性関節炎)、アナフィラキシーショック、臓器虚血、再かん流傷害、脊髄損傷および同種移植拒絶、自己免疫性血小板減少症、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、セリアック病-皮膚炎、慢性疲労免疫不全症候群(CFIDS)、慢性炎症性脱髄性多発性ニューロパシー、チャーグ-ストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡、CREST症候群、寒冷凝集素症、円板状ループス、本態性混合型クリオグロブリン血症、線維筋痛-線維筋炎、糸球体腎炎、グレーブス病、ギラン-バレー症候群、橋本甲状腺炎、特発性肺線維症、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、IgAニューロパシー、若年性関節炎、扁平苔癬、エリテマトーデス、メニエール病、混合型結合組織疾患、多発性硬化症、1型または免疫媒介性糖尿病、重症筋無力症、尋常性天疱瘡、悪性貧血、結節性多発動脈炎、多発性軟骨炎、多腺性症候群、リウマチ性多発性筋痛、多発性筋炎および皮膚筋炎、原発性無ガンマグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、乾癬性関節炎、レイノー現象、ライター症候群、関節リウマチ、サルコイドーシス、強皮症、スティッフマン症候群、全身性エリテマトーデス、エリテマトーデス、高安動脈炎、側頭動脈炎/巨細胞動脈炎、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、血管炎、例えば、疱疹状皮膚炎血管炎、白斑、およびヴェグナー肉芽腫が挙げられる。炎症性障害の例としては、限定されるものではないが、喘息、脳炎、炎症性腸疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、アレルギー障害、敗血症ショック、肺線維症、未分化脊椎関節症、未分化関節症、関節炎、炎症性骨溶解、および慢性ウイルスまたは細菌感染の結果生じる慢性炎症が挙げられる。本開示の組成物および方法を、上記疾患を防止、管理または処置するために用いられる1つまたは複数の従来の療法と共に用いることができる。
【0427】
本開示はまた、ウイルス、真菌、真核微生物、および細菌などの様々な感染因子を不活化するための、本開示の操作された抗体コンジュゲート、ならびに本開示の操作されたFcポリペプチドおよび操作されたCκポリペプチドを使用する方法も提供する。いくつかの実施形態において、本開示の組成物を用いて、RSV、hMPV、PIV、またはインフルエンザウイルスを不活化することができる。他の実施形態において、本開示の組成物を用いて、真菌病原体、例えば、限定されるものではないが、ネグレリア(Naegleria)、アスペルギルス(Aspergillus)、ブラストミセス(Blastomyces)、ヒストプラズマ(Histoplasma)、カンジダ(Candida)またはチネア(Tinea)属のメンバーを不活化することができる。他の実施形態において、本開示の組成物を用いて、真核微生物、例えば、限定されるものではないが、ジアルジア(Giardia)、トキソプラズマ(Toxoplasma)、プラスモジウム(Plasmodium)、トリパノソーマ(Trypanosoma)、およびエントアメーバ(Entamoeba)属のメンバーを不活化することができる。他の実施形態において、本開示の組成物を用いて、細菌病原体、例えば、限定されるものではないが、スタフィロコッカス(Staphylococcus)、ストレプトコッカス(Streptococcus)、シュードモナス(Pseudomonas)、クロストリジウム(Clostridium)、ボレリア(Borrelia)、ビブロ(Vibro)およびナイセリア(Neiserria)属のメンバーを不活化することができる。
【0428】
本開示の組成物は、多くの目的にとって、例えば、限定されるものではないが、ウイルス、細菌および真菌症などの感染症を含む様々な慢性および急性の疾患および障害に対する治療剤として有用である。ウイルス病原体の例としては、限定されるものではないが、アデノウイルス科(例えば、マストアデノウイルスおよびアビアデノウイルス)、ヘルペスウイルス科(例えば、単純ヘルペスウイルス1型、単純ヘルペスウイルス2型、単純ヘルペスウイルス5型、および単純ヘルペスウイルス6型)、レビウイルス科(例えば、レビウイルス、エンテロバクテリアフェーズMS2、アロレウイルス)、ポックスウイルス科(例えば、コルドポックスウイルス亜科、パラポックスウイルス、アビポックスウイルス、カプリポックスウイルス、レポリポックスウイルス、スイポックスウイルス、モルシポックスウイルス、およびエントモポックスウイルス亜科)、パポバウイルス科(例えば、ポリオーマウイルスおよびパピローマウイルス)、パラミクソウイルス科(例えば、パラミクソウイルス、パラインフルエンザウイルス1、モビリウイルス(例えば、麻疹ウイルス)、ルブラウイルス(例えば、ムンプスウイルス)、ニューモノウイルス亜科(例えば、ニューモウイルス、ヒト呼吸器合胞体ウイルス)、およびメタニューモウイルス(例えば、鳥ニューモウイルスおよびヒトメタニューモウイルス))、ピコルナウイルス科(例えば、エンテロウイルス、ライノウイルス、ヘパトウイルス(例えば、ヒトA型肝炎ウイルス)、カルジオウイルス、およびアプトウイルス)、レオウイルス科(例えば、オルトレオウイルス、オルビウイルス、ロタウイルス、サイポウイルス、フィジウイルス、フィトレオウイルス、およびオリザウイルス)、レトロウイルス科(例えば、哺乳動物B型レトロウイルス、哺乳動物C型レトロウイルス、鳥C型レトロウイルス、D型レトロウイルス群、BLV-HTLVレトロウイルス、レンチウイルス(例えば、ヒト免疫不全ウイルス1およびヒト免疫不全ウイルスT、スプマウイルス)、フラビウイルス科(例えば、C型肝炎ウイルス)、ヘパドナウイルス科(例えば、B型肝炎ウイルス)、トガウイルス科(例えば、アルファウイルス(例えば、シンドビスウイルス)およびルビウイルス(例えば、ルベラウイルス))、ラブドウイルス科(例えば、ベシクロウイルス、リッサウイルス、エフェメロウイルス、サイトラブドウイルスおよびネクレオラブドウイルス)、アレナウイルス科(例えば、アレナウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、イッピウイルス、およびラッサウイルス)、ならびにコロナウイルス科(例えば、コロナウイルスおよびトロウイルス)が挙げられる。細菌病原体の例としては、限定されるものではないが、アクアスピリルム(Aquaspirillum)科、アゾスピリルム(Azospirillum)科、アゾトバクター(Azotobacteraceae)科、バクテロイデス(Bacteroidaceae)科、バルトネラ(Bartonella)種、ブデロビブリオ(Bdellovibrio)科、カンピロバクター(Campylobacter)種、クラミジア(Chlamydia)種(例えば、クラミジア・ニューモニア(Chlamydia pneumoniae))、クロストリジウム(Clostridium)、エンテロバクテリア(Enterobacteriaceae)科(例えば、シトロバクター(Citrobacter)種、エドワードシエラ(Edwardsiella)、エンテロバクター・エロゲネス(Enterobacter aerogenes)、エルウィニア(Erwinia)種、大腸菌(Escherichia coli)、ハフニア(Hafnia)種、クレブシエラ(Klebsiella)種、モルガネラ(Morganella)種、プロテウス・ブルガリス(Proteus vulgaris)、プロビデンシア(Providencia)、サルモネラ(Salmonella)種、セラチア・マルセセンス(Serratia marcescens)、およびシゲラ・フレクスネリ(Shigella flexneri))、ガルジネラ(Gardinella)科、ヘモフィルス・インフルエンザ(Haemophilus influenzae)、ハロバクテリア(Halobacteriaceae)科、ヘリコバクター(Helicobacter)科、レジオネラ(Legionallaceae)科、リステリア(Listeria)種、メチロコッカス(Methylococcaceae)科、マイコバクテリア(例えば、マイコバクテリウム・ツベルクロシス(Mycobacterium tuberculosis))、ナイセリア(Neisseriaceae)科、オセアノスピルム(Oceanospirillum)科、パスツレラ(Pasteurellaceae)科、ニューモコッカス(Pneumococcus)種、シュードモナス(Pseudomonas)種、リゾビウム(Rhizobiaceae)科、スピリルム(Spirillum)科、スピロソマ(Spirosomaceae)科、スタフィロコッカス(Staphylococcus)(例えば、メチシリン耐性スタフィロコッカス・オーレウス(Staphylococcus aureus)およびスタフィロコッカス・ピロゲネス(Staphylococcus pyrogenes))、ストレプトコッカス(Streptococcus)(例えば、ストレプトコッカス・エンテリティディス(Streptococcus enteritidis)、ストレプトコッカス・ファシア(Streptococcus fasciae)、およびストレプトコッカス・ニューモニア(Streptococcus pneumoniae))、バンピロビブルヘリコバクター(Vampirovibr Helicobacter)科、およびバンピロビブリオ(Vampirovibrio)科が挙げられる。真菌病原体の例としては、限定されるものではないが、アブシジア(Absidia)種(例えば、アブシジア・コリンビフェラ(Absidia corymbifera)およびアブシジア・ラモサ(Absidia ramosa))、アスペルギルス(Aspergillus)種(例えば、アスペルギルス・フラバス(Aspergillus flavus)、アスペルギルス・フミガタス(Aspergillus fumigatus)、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、およびアスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus))、バシジオボラス・ラナラム(Basidiobolus ranarum)、ブラストミセス・デルマティティディス(Blastomyces dermatitidis)、カンジダ(Candida)種(例えば、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、カンジダ・グラブラタ(Candida glabrata)、カンジダ・ケル(Candida kerr)、カンジダ・クルセイ(Candida krusei)、カンジダ・パル・アプシロシス(Candida par apsilosis)、カンジダ・シュードトロピカリス(Candida pseudotropicalis)、カンジダ・キレルモンジ(Candida quillermondii)、カンジダ・ルゴサ(Candida rugosa)、カンジダ・ステラトイデア(Candida stellatoidea)、およびカンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis))、コクシジオイデス・イミティス(Coccidioides immitis)、コニジオボラス(Conidiobolus)種、クリプトコッカス・ネオフォルムス(Cryptococcus neoforms)、クニングハメラ(Cunninghamella)種、デルマトフィテス(dermatophytes)、ヒストプラズマ・カプスラタム(Histoplasma capsulatum)、ミクロスポルム・ジプセウム(Microsporum gypseum)、ムコル・プシルス(Mucor pusillus)、パラコクシジオイデス・ブラジリエンシス(Paracoccidioides brasiliensis)、シュードアレシェリア・ボイジ(Pseudallescheria boydii)、リノスポリジウム・シーベリ(Rhinosporidium seeberi)、ニューモシスティス・カリニ(Pneumocystis carinii)、リゾプス(Rhizopus)種(例えば、リゾプス・アリズス(Rhizopus arrhizus)、リゾプス・オリザ(Rhizopus oryzae)、およびリゾプス・ミクロスポルス(Rhizopus microsporus))、サッカロミセス(Saccharomyces)種、スポロトリックス・シェンキ(Sporothrix schenckii)、接合菌網、ならびにザイゴミセテス(Zygomycetes)、アスコミセテス(Ascomycetes)、バシジオミセテス(Basidiomycetes)、デューテロミセテス(Deuteromycetes)、およびオーミセテス(Oomycetes)などのクラスが挙げられる。
【0429】
本開示はまた、細胞集団を枯渇させるために操作された抗体コンジュゲートを用いる方法も提供する。一実施形態において、本開示の方法は、以下の細胞型:好酸球、好塩基球、好中球、T細胞、B細胞、マスト細胞、単球、内皮細胞および腫瘍細胞の枯渇において有用である。いくつかの実施形態において、本開示の抗体は、対照非操作抗体またはそのコンジュゲートと比較して、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%以上、それぞれの細胞集団を枯渇させる。
【0430】
本開示の操作された抗体およびそのコンジュゲートはまた、疾患の症状の診断および検出においても有用であってよい。別の実施形態において、本開示の組成物は、疾患進行のモニタリングにおいて有用であってもよい。別の実施形態において、本開示の組成物は、処置レジメンのモニタリングにおいて有用であってもよい。別の実施形態において、本開示の組成物は、診断キットなどの、ex vivoでの適用における診断にとって有用である。
【0431】
本開示の組成物は、標的抗原の可視化において有用であってもよい。いくつかの実施形態において、標的抗原は、内在化する細胞表面受容体である。他の実施形態において、標的抗原は、細胞内抗原である。他の実施形態において、標的は核内抗原である。
【0432】
一実施形態において、本開示の操作された抗体または抗体-薬物コンジュゲートは、一度結合したら、細胞中に内在化し、内在化は本明細書に記載の対照抗体よりも少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約110%、少なくとも約130%、少なくとも約140%、少なくとも約150%、少なくとも約160%、または少なくとも約170%多い。
【0433】
他のがんまたは自己免疫障害の処置のための本開示の操作された抗体コンジュゲート、ならびに操作されたFcポリペプチド、操作されたCκポリペプチド、および操作されたCλポリペプチドも考えられ、本発明の範囲内にある。
【0434】
医薬組成物
別の態様において、本開示は、薬学的に許容できる担体と一緒に製剤化された、操作された抗体または操作された抗体コンジュゲート、操作されたFcポリペプチドまたはそのコンジュゲート、操作されたFc領域またはそのコンジュゲートを含む操作されたFc融合タンパク質、操作されたCκポリペプチドまたはそのコンジュゲート、および操作されたCλポリペプチドまたはそのコンジュゲートを含有する組成物、例えば、限定されるものではないが、医薬組成物を提供する。
【0435】
別の態様において、前記組成物は、薬学的に許容できる担体と一緒に製剤化された、本開示の1つもしくは組合せの操作された抗体、または操作された抗体コンジュゲートを含む医薬組成物である。
【0436】
そのような組成物は、1つまたは組合せの、例えば、限定されるものではないが、2つ以上の異なる本開示の操作された抗体を含んでもよい。例えば、本開示の医薬組成物は、標的抗原上の異なるエピトープに結合するか、または補体活性を有する操作された抗体の組合せを含んでもよい。
【0437】
本開示の医薬組成物はまた、例えば、他の作用物質と組み合わせた組合せ療法において投与することもできる。例えば、組合せ療法は、療法が外科手術、免疫療法、化学療法、放射線処置、または薬物療法であってもよい少なくとも1つの他の療法と組み合わせた、本開示の操作された抗体またはそのコンジュゲートを含んでもよい。
【0438】
本開示の医薬化合物は、1つまたは複数の薬学的に許容できる塩を含んでもよい。そのような塩の例としては、酸付加塩および塩基付加塩が挙げられる。酸付加塩としては、非毒性無機酸、例えば、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、亜リン酸など、ならびに非毒性有機酸、例えば、脂肪族モノ-およびジカルボン酸、フェニル置換アルカン酸、ヒドロキシアルカン酸、芳香族酸、脂肪族および芳香族スルホン酸などに由来するものが挙げられる。塩基付加塩としては、アルカリ土類金属、例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなど、ならびに非毒性有機アミン、例えば、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン、N-メチルグルカミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、プロカインなどに由来するものが挙げられる。
【0439】
本開示の医薬組成物はまた、薬学的に許容できる酸化防止剤を含んでもよい。薬学的に許容できる酸化防止剤の例としては、(1)水溶性酸化防止剤、例えば、アスコルビン酸、塩酸システイン、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなど;(2)油溶性酸化防止剤、例えば、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、プロピルガラート、アルファ-トコフェロールなど;および(3)金属キレート化剤、例えば、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸などが挙げられる。
【0440】
本開示の医薬組成物において用いることができる好適な水性および非水性担体の例としては、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、およびその好適な混合物、植物油、例えば、オリーブ油、ならびに注射用有機エステル、例えば、オレイン酸エチルが挙げられる。例えば、レシチンなどの被覆材料の使用により、分散物の場合は必要な粒径の維持により、および界面活性剤の使用により、適切な流動性を維持することができる。
【0441】
これらの組成物は、保存剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤などのアジュバントを含有してもよい。滅菌手順と、様々な抗細菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸などの含有との両方によって、微生物の存在の防止を確保することができる。また、糖、塩化ナトリウムなどの等張剤を組成物中に含有させることも望ましい。さらに、注射用医薬形態の吸収の延長を、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなどの吸収を遅延させる作用物質の含有によってもたらすことができる。
【0442】
医薬組成物は、典型的には、製造および保存の条件下で無菌性であり、安定でなければならない。組成物を、溶液、マイクロエマルジョン、リポソーム、または高い薬物濃度にとって好適な他の秩序ある構造として製剤化することができる。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、およびその好適な混合物を含有する溶媒または分散媒体であってもよい。例えば、レシチンなどの被覆の使用により、分散物の場合は必要な粒径の維持により、および界面活性剤の使用により、適切な流動性を維持することができる。多くの場合、組成物中に等張剤、例えば、糖、ポリアルコール、例えば、マンニトール、ソルビトール、または塩化ナトリウムを含有させることが好適である。注射用組成物の吸収の延長を、組成物中に吸収を遅延させる作用物質、例えば、モノステアリン酸塩およびゼラチンを含有させることによりもたらすことができる。
【0443】
適切な溶媒中に必要な量の活性化合物を、上記で列挙された成分の1つまたは組合せと共に組み込み、必要に応じて、その後滅菌精密濾過を行うことにより、滅菌注射溶液を調製することができる。
【0444】
一般に、分散物は、基本分散媒体と、上記に列挙されたものに由来する必要な他の成分とを含有する滅菌ビヒクル中に活性化合物を組み込むことにより調製される。滅菌注射溶液の調製のための滅菌粉末の場合、好ましい調製方法は、活性成分と、前もって滅菌濾過された溶液に由来する任意のさらなる所望の成分との粉末が得られる減圧乾燥および凍結-乾燥(凍結乾燥)である。
【0445】
本発明の医薬組成物を、眼への投与にとって好適な製剤中で調製、包装、または販売することができる。そのような製剤は、例えば、水性または油性液体担体中の活性成分の0.1~1.0%(w/w)溶液または懸濁液などの、点眼剤の形態にあってもよい。そのような点眼剤は、緩衝剤、塩、または1つまたは複数の他の本明細書に記載のさらなる成分をさらに含んでもよい。有用である他の眼科的に投与可能な製剤としては、微結晶形態またはリポソーム調製物中に活性成分を含むものが挙げられる。
【0446】
本明細書で用いられる「さらなる成分」としては、限定されるものではないが、1つまたは複数の以下のもの:賦形剤;界面活性剤;分散剤;不活性希釈剤;顆粒化剤および崩壊剤;結合剤;潤滑剤;甘味料;香料;着色料;保存剤;ゼラチンなどの生理的に分解される組成物;水性ビヒクルおよび溶媒;油性ビヒクルおよび溶媒;懸濁剤;分散剤または湿潤剤;乳化剤、粘滑剤;緩衝剤;塩;増粘剤;充填剤;乳化剤;酸化防止剤;抗生物質;抗真菌剤;安定剤;ならびに薬学的に許容できるポリマーまたは疎水性材料が挙げられる。本発明の医薬組成物中に含有させることができる他の「さらなる成分」は当技術分野で公知であり、例えば、参照により本明細書に組み込まれるRemington’s Pharmaceutical Sciences、Genaro(編)、Mack Publishing Co.、Easton、PA(1985)に記載されている。
【0447】
一実施形態において、操作された抗体または操作された抗体コンジュゲートは、約5~6の範囲のpHの酢酸ナトリウム、ポリソルベート80、および塩化ナトリウムと共に、5mg/ml、またはより好ましくは、約10mg/ml、またはさらにより好ましくは、約15mg/ml、またはさらにより好ましくは、約20mg/mlの抗体を含有する滅菌水性溶液として、静脈内製剤中で投与される。好ましくは、静脈内製剤は、pH5.5の20mM酢酸ナトリウム、0.2mg/mlポリソルベート80、および140mM塩化ナトリウムと共に、5または10mg/mlの抗体を含有する滅菌水性溶液である。さらに、操作された抗体または操作された抗体コンジュゲートを含む溶液は、多くの他の化合物の中でも、ヒスチジン、マンニトール、スクロース、トレハロース、グリシン、ポリ(エチレン)グリコール、EDTA、メチオニン、およびその任意の組合せ、ならびに関連業界で公知の多くの他の化合物を含んでもよい。
【0448】
一実施形態において、用量の一部を、静脈内ボーラスにより投与し、残りを操作された抗体または操作された抗体コンジュゲート製剤の注入により投与する。例えば、操作された抗体または操作された抗体コンジュゲートの0.01mg/kgの静脈内注射を、ボーラスとして与え、残りの所定の操作された抗体または操作された抗体コンジュゲート用量を静脈内注射により投与することができる。所定の用量の操作された抗体を、例えば、1.5時間~2時間から5時間の期間にわたって投与することができる。
【0449】
治療剤に関して、作用物質が例えば、低分子である場合、当技術分野で周知であるように、それは生理的に許容できるエステルまたは塩の形態で、例えば、生理的に許容できる陽イオンまたは陰イオンと共に医薬組成物中に存在してもよい。
【0450】
本明細書に記載の医薬組成物の製剤を、製薬業界で公知の、または今後開発される任意の方法により調製することができる。一般に、そのような調製方法は、活性成分を担体または1つもしくは複数の他の補助成分と会合させるステップ、次いで、必要に応じて、または望ましい場合、所望の単回または複数回用量単位中に生成物を形状化または包装するステップを含む。
【0451】
一実施形態において、本開示の組成物は、内毒素および/または関連する発熱物質を実質的に含まない無発熱物質製剤である。内毒素としては、微生物の内部で確認され、微生物が破壊されるか、または死ぬ時に放出される毒素が挙げられる。発熱物質はまた、細菌および他の微生物の外膜に由来する熱誘導性、熱安定物質(糖タンパク質)も含む。これらの物質は両方とも、ヒトに投与した場合、発熱、低血圧およびショックを引き起こし得る。潜在的な有害効果のため、静脈内投与される医薬溶液から、少量の内毒素であっても除去することが有利である。米国食品医薬品局(「FDA」)は、静脈内薬物適用について、1時間に体重1キログラムあたり、用量あたり上限5内毒素単位(EU)を設定した(The United States Pharmacopeial Convention、Pharmacopeial Forum 26(1):223(2000))。治療タンパク質を体重1キログラムあたり数百または数千ミリグラムの量で投与する場合、微量でも内毒素を除去することが有利である。一実施形態において、組成物中の内毒素および発熱物質レベルは、10EU/mg未満、または5EU/mg未満、または1EU/mg未満、または0.1EU/mg未満、または0.01EU/mg未満、または0.001EU/mg未満である。別の実施形態において、組成物中の内毒素および発熱物質レベルは、約10EU/mg未満、または約5EU/mg未満、または約1EU/mg未満、または約0.1EU/mg未満、または約0.01EU/mg未満、または約0.001EU/mg未満である。
【0452】
一実施形態において、本開示は、投与が経口、非経口、筋肉内、鼻内、膣内、直腸、舌、舌下、頬、頬内、静脈内、皮膚、皮下または経皮である、組成物を投与することを含む。
【0453】
別の実施形態において、本開示は、外科手術、化学療法、ホルモン療法、生物療法、免疫療法または放射線療法などの他の療法と組み合わせて組成物を投与することをさらに含む。
【0454】
投薬/投与
本開示の操作された抗体または操作された抗体コンジュゲートを含む医薬組成物または滅菌組成物を調製するために、抗体/抗体コンジュゲートを、薬学的に許容できる担体または賦形剤と混合する。治療剤または診断剤の製剤を、例えば、凍結乾燥粉末、スラリー、水溶液、ローション、または懸濁液の形態で生理的に許容される担体、賦形剤、または安定剤と混合することにより調製することができる(例えば、Hardmanら(2001)、Goodman and Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics、McGraw-Hill、New York、N.Y.;Gennaro(2000)、Remington:The Science and Practice of Pharmacy、Lippincott、Williams、およびWilkins、New York、N.Y.;Avisら(編)(1993)、Pharmaceutical Dosage Forms:Parenteral Medications、Marcel Dekker、NY;Liebermanら(編)(1990)、Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets、Marcel Dekker、NY;Liebermanら(編)(1990)、Pharmaceutical Dosage Forms:Disperse Systems、Marcel Dekker、NY;WeinerおよびKotkoskie(2000)、Excipient Toxicity and Safety、Marcel Dekker,Inc.、New York、N.Y.を参照されたい)。
【0455】
治療剤のための投与レジメンの選択は、その実体の血清または組織代謝回転率、症状のレベル、実体の免疫原性、および生物マトリックス中の標的細胞の接近可能性などのいくつかの因子に依存する。特定の実施形態において、投与レジメンは、許容できるレベルの副作用と一致する患者に送達される治療剤の量を最大化する。したがって、送達される生物製剤の量は、特定の実体および処置される状態の重症度に一部依存する。抗体、サイトカイン、および低分子の適切な用量を選択する際の指針が利用可能である(例えば、Wawrzynczak、1996、Antibody Therapy、Bios Scientific Pub.Ltd,Oxfordshire、UK;Kresina(編)、1991、Monoclonal Antibodies, Cytokines and Arthritis、Marcel Dekker、New York、N.Y.;Bach(編)、1993、Monoclonal Antibodies and Peptide Therapy in Autoimmune Diseases、Marcel Dekker、New York、N.Y.;Baertら、2003、New Engl.J.Med.348:601~608;Milgromら、1999、New Engl.J.Med.341:1966~1973;Slamonら、2001、New Engl.J.Med.344:783~792;Beniaminovitzら、2000、New Engl.J.Med.342:613~619;Ghoshら、2003、New Engl.J.Med.348:24~32;Lipskyら、2000、New Engl.J.Med.343:1594~1602を参照されたい)。
【0456】
適切な用量の決定は、例えば、処置に影響することが当技術分野で公知であるか、もしくは疑われるか、または処置に影響すると予測されるパラメータまたは因子を用いて、医師によrって行われる。一般に、用量は最適用量よりもいくらか少ない量で開始し、その後、負の副作用と比較して所望の効果または最適な効果が達成されるまで少しずつ増加させる。重要な診断尺度は、例えば、炎症の症状のもの、または生成される炎症性サイトカインのレベルを含む。
【0457】
本開示の医薬組成物中の活性成分の実際の用量レベルは、患者に対して毒性的になることなく、特定の患者、組成物、および投与様式について所望の治療応答を達成するために有効である活性成分の量を得るために変化してもよい。選択される用量レベルは、用いられる本開示の特定の組成物、またはそのエステル、塩もしくはアミドの活性、投与経路、投与時間、用いられる特定の化合物の排出速度、処置の持続期間、用いられる特定の化合物と共に用いられる他の薬物、化合物および/または材料、処置される患者の年齢、性別、体重、状態、一般的健康および以前の病歴、ならびに医学界で周知の同様の因子などの、様々な薬物動態因子に依存するであろう。
【0458】
本開示の操作された抗体または操作された抗体コンジュゲートを含む組成物を、連続注入により、または例えば、1日、1週間の間隔で、もしくは週に1~7回の投与により提供することができる。用量を、静脈内、皮下、局所、経口、鼻内、直腸、筋肉内、大脳内的に、または吸入により提供することができる。特定の用量プロトコールは、有意な望ましくない副作用を回避する最大用量または用量頻度を含むものである。合計週用量は、少なくとも0.05μg/kg体重、少なくとも0.2μg/kg、少なくとも0.5μg/kg、少なくとも1μg/kg、少なくとも10μg/kg、少なくとも100μg/kg、少なくとも0.2mg/kg、少なくとも1.0mg/kg、少なくとも2.0mg/kg、少なくとも10mg/kg、少なくとも25mg/kg、または少なくとも50mg/kgであってもよい(例えば、Yangら、2003、New Engl.J.Med.349:427~434;Heroldら、2002、New Engl.J.Med.346:1692~1698;Liuら、1999、J.Neurol.Neurosurg.Psych.67:451~456;Portieljiら、2003、Cancer.Immunol.Immunother.52:133~144を参照されたい)。用量は、少なくとも15μg、少なくとも20μg、少なくとも25μg、少なくとも30μg、少なくとも35μg、少なくとも40μg、少なくとも45μg、少なくとも50μg、少なくとも55μg、少なくとも60μg、少なくとも65μg、少なくとも70μg、少なくとも75μg、少なくとも80μg、少なくとも85μg、少なくとも90μg、少なくとも95μg、または少なくとも100μgであってよい。対象に投与される用量は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12回以上の回数であってもよい。
【0459】
本開示の操作された抗体または操作された抗体コンジュゲートについて、患者に投与される用量は、0.0001mg/kg患者体重~100mg/kg患者体重であってもよい。用量は、0.0001mg/kg~20mg/kg、0.0001mg/kg~10mg/kg、0.0001mg/kg~5mg/kg、0.0001~2mg/kg、0.0001~1mg/kg、0.0001mg/kg~0.75mg/kg、0.0001mg/kg~0.5mg/kg、0.0001mg/kg~0.25mg/kg、0.0001~0.15mg/kg、0.0001~0.10mg/kg、0.001~0.5mg/kg、0.01~0.25mg/kgまたは0.01~0.10mg/kg患者体重であってもよい。
【0460】
本開示の操作された抗体または操作された抗体コンジュゲートの用量を、キログラム(kg)の患者体重にmg/kgで投与される用量を掛けたものを用いて算出することができる。本開示の抗体の用量は、患者体重の150μg/kg以下、125μg/kg以下、100μg/kg以下、95μg/kg以下、90μg/kg以下、85μg/kg以下、80μg/kg以下、75μg/kg以下、70μg/kg以下、65μg/kg以下、60μg/kg以下、55μg/kg以下、50μg/kg以下、45μg/kg以下、40μg/kg以下、35μg/kg以下、30μg/kg以下、25μg/kg以下、20μg/kg以下、15μg/kg以下、10μg/kg以下、5μg/kg以下、2.5μg/kg以下、2μg/kg以下、1.5μg/kg以下、1μg/kg以下、0.5μg/kg以下、または0.5μg/kg以下であってもよい。
【0461】
本開示の操作された抗体または操作された抗体コンジュゲートの単位用量は、0.1mg~20mg、0.1mg~15mg、0.1mg~12mg、0.1mg~10mg、0.1mg~8mg、0.1mg~7mg、0.1mg~5mg、0.1~2.5mg、0.25mg~20mg、0.25~15mg、0.25~12mg、0.25~10mg、0.25~8mg、0.25mg~7mg、0.25mg~5mg、0.5mg~2.5mg、1mg~20mg、1mg~15mg、1mg~12mg、1mg~10mg、1mg~8mg、1mg~7mg、1mg~5mg、または1mg~2.5mgであってもよい。
【0462】
本開示の操作された抗体または操作された抗体コンジュゲートの用量は、対象中で少なくとも0.1μg/ml、少なくとも0.5μg/ml、少なくとも1μg/ml、少なくとも2μg/ml、少なくとも5μg/ml、少なくとも6μg/ml、少なくとも10μg/ml、少なくとも15μg/ml、少なくとも20μg/ml、少なくとも25μg/ml、少なくとも50μg/ml、少なくとも100μg/ml、少なくとも125μg/ml、少なくとも150μg/ml、少なくとも175μg/ml、少なくとも200μg/ml、少なくとも225μg/ml、少なくとも250μg/ml、少なくとも275μg/ml、少なくとも300μg/ml、少なくとも325μg/ml、少なくとも350μg/ml、少なくとも375μg/ml、または少なくとも400μg/mlの血清力価を達成してもよい。あるいは、本開示の抗体の用量は、対象中で少なくとも0.1μg/ml、少なくとも0.5μg/ml、少なくとも1μg/ml、少なくとも2μg/ml、少なくとも5μg/ml、少なくとも6μg/ml、少なくとも10μg/ml、少なくとも15μg/ml、少なくとも20μg/ml、少なくとも25μg/ml、少なくとも50μg/ml、少なくとも100μg/ml、少なくとも125μg/ml、少なくとも150μg/ml、少なくとも175μg/ml、少なくとも200μg/ml、少なくとも225μg/ml、少なくとも250μg/ml、少なくとも275μg/ml、少なくとも300μg/ml、少なくとも325μg/ml、少なくとも350μg/ml、少なくとも375μg/ml、または少なくとも400μg/mlの血清力価を達成してもよい。
【0463】
本開示の操作された抗体または操作された抗体コンジュゲートの投薬を反復してもよく、その投与を少なくとも1日、2日、3日、5日、10日、15日、30日、45日、2カ月、75日、3カ月、または少なくとも6カ月空けてもよい。
【0464】
特定の患者のための有効量は、処置される状態、患者の全体的な健康状態、投与の方法経路および用量ならびに副作用の重症度などの因子に応じて変化してもよい(例えば、Maynardら、1996、A Handbook of SOPs for Good Clinical Practice、Interpharm Press、Boca Raton、FIa.;Dent、2001、Good Laboratory and Good Clinical Practice、Urch Publ、London、UKを参照されたい)。
【0465】
投与経路は、例えば、局所もしくは皮膚適用、静脈内、腹腔内、大脳内、筋肉内、眼内、動脈内、脳脊髄内、病変内投与による注射もしくは注入、または持続放出系もしくはインプラントによるものであってもよい(例えば、Sidmanら、1983、Biopolymers 22:547~556;Langerら、1981、J.Biomed.Mater.Res.15:167~277;Langer、1982、Chem.Tech.12:98~105;Epsteinら、1985、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:3688~3692;Hwangら、1980、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4030~4034;米国特許第6,350,466号および第6,316,024号を参照されたい)。必要に応じて、組成物はまた、可溶化剤および注射部位での疼痛を緩和するためのリドカインなどの局部麻酔剤を含んでもよい。さらに、例えば、吸入器または噴霧器、およびエアロゾル化剤を含む製剤の使用により、肺投与を用いることもできる。例えば、米国特許第6,019,968号、第5,985,320号、第5,985,309号、第5,934,272号、第5,874,064号、第5,855,913号、第5,290,540号、および第4,880,078号;ならびにPCT公開WO92/19244、WO97/32572、WO97/44013、WO98/31346、およびWO99/66903(それぞれ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。一実施形態において、本開示の操作された抗体もしくは操作された抗体コンジュゲート、組合せ療法、または組成物を、Alkermes AIR(商標)肺薬物送達技術(Alkermes,Inc.、Cambridge、Mass.)を用いて投与する。
【0466】
本開示の組成物を、1つまたは複数の当技術分野で公知の様々な方法を用いる1つまたは複数の投与経路を介して投与することもできる。当業者には理解できるように、投与の経路および/または様式は、所望の結果に応じて変化するであろう。本開示の抗体のための選択される投与経路は、例えば、注射または注入による、静脈内、筋肉内、皮内、腹腔内、皮下、脊髄または他の非経口投与経路を含む。非経口投与は、通常は注射による腸内投与および局所投与以外の投与様式であってよく、限定されるものではないが、静脈内、筋肉内、動脈内、鞘内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、硬膜外および胸骨内注射および注入が挙げられる。あるいは、本開示の組成物を、局所、表皮または粘膜投与経路、例えば、鼻内、経口、膣、直腸、舌下または局所などの非経口経路により投与することができる。
【0467】
本開示の操作された抗体または操作された抗体コンジュゲートを制御放出または持続放出系において投与する場合、ポンプを用いて制御放出または持続放出を達成することができる(Langer、上掲;Sefton、1987、CRC Crit.Ref.Biomed.Eng.14:20;Buchwaldら、1980、Surgery 88:501;Saudekら、1989、N.Engl.J.Med.321:514を参照されたい)。
【0468】
ポリマー材料を用いて、本開示の療法の制御放出または持続放出を達成することができる(例えば、Medical Applications of Controlled Release、LangerおよびWise(編)、CRC Pres.、Boca Raton、FIa.(1974);Controlled Drug Bioavailability, Drug Product Design and Performance、SmolenおよびBall(編)、Wiley、New York(1984);RangerおよびPeppas、1983、J.Macromol.ScLRev.Macromol.Chem.23:61を参照されたい;また、Levyら、1985、Science 11 225:190;Duringら、19Z9、Ann.Neurol.25:351;Howardら、1989、J.Neurosurg.7 1:105も参照されたい);米国特許第5,679,377号;米国特許第5,916,597号;米国特許第5,912,015号;米国特許第5,989,463号;米国特許第5,128,326号;PCT公開WO99/15154;およびPCT公開WO99/20253。持続放出製剤中で用いられるポリマーの例としては、限定されるものではないが、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(エチレン-co-ビニル酢酸)、ポリ(メタクリル酸)、ポリグリコリド(PLG)、ポリ無水物、ポリ(N-ビニルピロリドン)、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、ポリラクチド(PLA)、ポリラクチド(polyoeactide)-co-グリコリド(PLGA)、およびポリオルトエステルが挙げられる。一実施形態において、持続放出製剤中で用いられるポリマーは、不活性であり、濾過できる不純物を含まず、保存時に安定であり、無菌性であり、生分解性である。制御放出または持続放出系を、予防または治療標的の近くに置き、したがって、ほんの少量の全身用量を必要とすることができる(例えば、Goodson、Medical Applications of Controlled Release、上掲、第2巻、pp.115~138(1984)を参照されたい)。
【0469】
制御放出系は、Langer、1990、Science 249:1527~1533による概説で論じられている。当業者には公知の任意の技術を用いて、本開示の1つもしくは複数の抗体またはそのコンジュゲートを含む持続放出製剤を生成することができる。例えば、米国特許第4,526,938号、国際特許公開WO91/05548、WO96/20698、Ningら、1996、「Intratumoral Radioimmunotheraphy of a Human Colon Cancer Xenograft Using a Sustained-Release Gel」、Radiotherapy and Oncology 59:179~189、Songら、1995、「Antibody Mediated Lung Targeting of Long-Circulating Emulsions」、PDA Journal of Pharmaceutical Science and Technology 50:372~397、Cleekら、1997、「Biodegradable Polymeric Carriers for a bFGF Antibody for Cardiovascular Application」、Pro.Ml.Symp.Control.Rel.Bioact.Mater.24:853~854、およびLamら、1997、「Microencapsulation of Recombinant Humanized Monoclonal Antibody for Local Delivery」、Proc.Ml.Symp.Control Rel.Bioact.Mater.24:759~160(それぞれ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
【0470】
本開示の操作された抗体または操作された抗体コンジュゲートを局所投与する場合、それは軟膏、クリーム、経皮パッチ、ローション、ゲル、シャンプー、スプレー、エアロゾル、溶液、乳濁液、または当業者には周知の他の形態に製剤化することができる。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences and Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms、第19版、Mack Pub.Co.、Easton、Pa.(1995)を参照されたい。噴霧不可能な局所剤形については、局所適用に適合し、いくつかの例においては、水よりも高い動的粘度を有する担体または1つもしくは複数の賦形剤を含む粘性から半固体の形態または固体形態が典型的に用いられる。好適な製剤としては、限定されるものではないが、必要に応じて、滅菌されたか、または例えば、浸透圧などの様々な特性に影響を及ぼすための補助剤(例えば、保存剤、安定剤、湿潤剤、緩衝剤、もしくは塩)と混合した、溶剤、懸濁剤、乳剤、クリーム、軟膏、粉末、リニメント剤、膏薬などが挙げられる。他の好適な局所剤形としては、いくつかの例において、固体または液体不活性担体と組み合わせた活性成分が、加圧された揮発性物質(例えば、フロンなどの気体性推進剤)との混合物中、またはスクイーズボトル中に包装された、噴霧可能なエアロゾル調製物が挙げられる。必要に応じて、湿潤剤または保湿剤を医薬組成物および剤形に添加してもよい。そのようなさらなる成分の例は、当技術分野で周知である。
【0471】
操作された抗体または操作された抗体コンジュゲートを含む組成物を鼻内投与する場合、それをエアロゾル形態、スプレー、ミスト中で、または液滴の形態で製剤化することができる。特に、本開示に従う使用のための予防剤または治療剤を、好適な推進剤(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の好適な気体)を用いて、加圧パックまたは噴霧器からのエアロゾルスプレー提供物の形態で都合良く送達することができる。加圧エアロゾルの場合、用量単位を、一定量を送達するためのバルブを提供することにより決定することができる。化合物と、ラクトースまたはデンプンなどの好適な粉末基剤との粉末混合物を含有する吸入器または通気装置における使用のためのカプセルおよびカートリッジ(例えば、ゼラチンから構成される)を製剤化することができる。
【0472】
第2の治療剤、例えば、サイトカイン、ステロイド、化学療法剤、抗生物質、または放射線との同時投与または処置のための方法は、当技術分野で周知である(例えば、Hardmanら(編)(2001)、Goodman and Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics、第10版、McGraw-Hill、New York、N.Y.;PooleおよびPeterson(編)(2001)、Pharmacotherapeutics for Advanced Practice:A Practical Approach、Lippincott、WilliamsおよびWilkins、Phila.,Pa.;ChabnerおよびLongo(編)(2001)、Cancer Chemotherapy and Biotherapy、Lippincott、WilliamsおよびWilkins、Phila.,Pa.を参照されたい)。治療剤の有効量は、症状を少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも約30%、少なくとも40%、または少なくとも50%減少させてもよい。
【0473】
本開示の操作された抗体または操作された抗体コンジュゲートと共に投与することができるさらなる療法剤(例えば、予防剤または治療剤)を、本開示の抗体から5分未満空けて、30分未満空けて、1時間空けて、約1時間空けて、約1~約2時間空けて、約2時間~約3時間空けて、約3時間~約4時間空けて、約4時間~約5時間空けて、約5時間~約6時間空けて、約6時間~約7時間空けて、約7時間~約8時間空けて、約8時間~約9時間空けて、約9時間~約10時間空けて、約10時間~約11時間空けて、約11時間~約12時間空けて、約12時間~18時間空けて、18時間~24時間空けて、24時間~36時間空けて、36時間~48時間空けて、48時間~52時間空けて、52時間~60時間空けて、60時間~72時間空けて、72時間~84時間空けて、84時間~96時間空けて、または96時間~120時間空けて投与することができる。2つ以上の療法を、1回の同じ患者訪問内で投与することができる。
【0474】
本開示の操作された抗体または操作された抗体コンジュゲートおよび他の療法剤を、周期的に投与することができる。周期的療法は、1つの療法剤に対する耐性の発生を減少させるため、1つの療法剤の副作用を回避するか、もしくは減少させるため、および/または療法の効率を改善するために、一定期間にわたる第1の療法剤(例えば、第1の予防剤または治療剤)の投与、次いで、一定期間にわたる第2の療法剤(例えば、第2の予防剤または治療剤)の投与、場合により、次いで一定期間にわたる第3の療法剤(例えば、予防剤または治療剤)の投与など、およびこの逐次投与、すなわち、周期を反復することを含む。
【0475】
ある特定の実施形態において、本開示の操作された抗体または操作された抗体コンジュゲートを、適切なin vivoでの分布を確保するように製剤化することができる。例えば、血液脳関門(BBB)は、多くの高度に親水性の化合物を排除する。本開示の治療化合物がBBBを通過することを確保するために(必要に応じて)、それらを、例えば、リポソーム中で製剤化することができる。リポソームを製造する方法については、例えば、米国特許第4,522,811号;第5,374,548号;および第5,399,331号を参照されたい。リポソームは、特定の細胞または臓器中に選択的に輸送され、したがって、標的薬物送達を増強する1つまたは複数の部分を含んでもよい(例えば、V.V.Ranade、1989、J.Clin.Pharmacol.29:685を参照されたい)。例示的な標的化部分としては、葉酸またはビオチン(例えば、米国特許第5,416,016号を参照されたい);マンノシド(Umezawaら、Biochem.Biophys.Res.Commun.153:1038);抗体(P.G.Bloemanら、1995、FEBS Lett.357:140;M.Owaisら、1995、Antimicrob.Agents Chemother.39:180);界面活性剤プロテインA受容体(Briscoeら(1995)、AM.J.Physiol.1233:134);pl20(Schreierら(1994)、J.Biol.Chem.269:9090)が挙げられる;また、K.Keinanen;M.L.Laukkanen、1994、FEBS Lett.346:123;Killion;Fidler、1994、Immunomethods 4:273も参照されたい。
【0476】
本開示は、本開示の操作された抗体または操作された抗体コンジュゲートを単独で、または他の療法剤と共に含む医薬組成物の、それを必要とする対象への投与のためのプロトコールを提供する。本開示の組合せ療法の療法剤(例えば、予防剤または治療剤)を、対象に同時に、または逐次投与することができる。本開示の組合せ療法の療法剤(例えば、予防剤または治療剤)を、周期的に投与することもできる。周期的療法は、1つの療法剤(例えば、作用物質)に対する耐性の発生を減少させるため、1つの療法剤(例えば、作用物質)の副作用を回避するか、もしくは減少させるため、および/または療法の有効性を改善するために、一定期間にわたる第1の療法剤(例えば、第1の予防剤または治療剤)の投与、次いで、一定期間にわたる第2の療法剤(例えば、第2の予防剤または治療剤)の投与、およびこの逐次投与、すなわち、周期を反復することを含む。
【0477】
本開示の組合せ療法の療法剤(例えば、予防剤または治療剤)を、対象に同時に投与することができる。用語「同時に」は、正確に同時の療法剤(例えば、予防剤または治療剤)の投与に限定されないが、むしろ、本開示の抗体またはそのコンジュゲートが他の療法剤(複数可)と一緒に作用して、それらを別に投与した場合よりも増大した利益を提供することができるような順序および時間間隔内で、本開示の操作された抗体または操作された抗体コンジュゲートを含む医薬組成物が対象に投与されることを意味する。例えば、それぞれの療法を、同時に、または異なる時点で任意の順序で逐次対象に投与することができる;しかしながら、同時に投与しない場合、それらを、所望の治療または予防効果を提供するように十分に近い時間内に投与すべきである。それぞれの療法を、任意の適切な形態で、および任意の好適な経路により、別々に対象に投与することができる。様々な実施形態において、療法剤(例えば、予防剤または治療剤)を、15分未満空けて、30分未満空けて、1時間未満空けて、約1時間空けて、約1時間~約2時間空けて、約2時間~約3時間空けて、約3時間~約4時間空けて、約4時間~約5時間空けて、約5時間~約6時間空けて、約6時間~約7時間空けて、約7時間~約8時間空けて、約8時間~約9時間空けて、約9時間~約10時間空けて、約10時間~約11時間空けて、約11時間~約12時間空けて、24時間空けて、48時間空けて、72時間空けて、または1週間空けて対象に投与する。他の実施形態において、2つ以上の療法剤(例えば、予防剤または治療剤)を、同じ患者訪問内に投与する。
【0478】
組合せ療法の予防剤または治療剤を、同じ医薬組成物中で対象に投与することができる。あるいは、組合せ療法の予防剤または治療剤を、別々の医薬組成物中で対象に同時に投与することができる。予防剤または治療剤を、同じか、または異なる投与経路によって対象に投与してもよい。
【0479】
等価物
前記明細書は、当業者が本開示の実施を可能とするのに十分なものであると考えられる。前記説明および実施例は、本開示の特定の例示的実施形態を詳述するものである。しかしながら、本文中に出現し得る前記のことがどんなに詳述されていたとしても、本開示を多くの方法で実施することができ、本開示が添付の特許請求の範囲およびその任意の等価物に従って解釈されるべきであるということが理解されるであろう。
【0480】
特許、特許出願、論文、教科書などを含む本明細書で引用される全ての参考文献、およびそこで引用される参考文献は、それらがまだされていない程度で、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0481】
例示的実施形態
本発明を、以下の実験的実施例を参照してさらに詳細に説明する。これらの実施例は、例示のためだけに提供されるものであり、別途特定しない限り、限定的であることを意図しない。したがって、本発明は、いかなる意味でも以下の実施例に限定されると解釈されるべきではなく、むしろ、本明細書に提供される教示の結果として明らかになる任意かつ全ての変更を包含すると解釈されるべきである。
【実施例】
【0482】
(実施例1)
部位特異的コンジュゲーションのためのヒト抗体IgG1-Fc領域中への反応性システインの操作
抗体薬物コンジュゲート(ADC)のための従来のコンジュゲーション戦略は、リシンまたはシステインを介してペイロードを抗体に無作為にコンジュゲートさせることに依っている。本明細書に例示される方法は、規定の薬物:抗体モル比(DAR)を有する種から構成されるADCの均一な集団を生成する。本明細書に開示されるデータは、これらの新しい位置での反応性アミノ酸残基を用いる抗体への毒性ペイロードの部位特異的コンジュゲーションが、コンジュゲートの薬物動態、生体内分布および安全性プロファイルの改善をもたらす均一の化学量論を有する均一なADC調製物をもたらすことを証明する。本明細書に開示されるデータは、2または4のいずれかの薬物:抗体比を有する均一なADCの生成および様々な治療標的化部分のための部位特異的コンジュゲーションのための有用なプラットフォームとしてのこれらの新規抗体の使用の成功を容易にするために反応性システイン残基を抗体定常領域(例えば、重鎖および軽鎖定常領域)中に操作した手法を証明する。
【0483】
本質的に、ヒトIgG1の結晶構造(Sondermannら、2000、Nature 406:267~273;PDBコード3DO3、10.2210/pdb3do3/pdbで公共的に入手可能)を用いて、構造モデリングを用いて、スルフヒドリル反応性作用物質との最適なコンジュゲーションのために反応性システインを導入するべき位置を予測した。以下の表1に記載の12個の位置が、以下の基準:約30~50%の溶媒近接性、タンパク質構造/安定性の保持、ならびに限定されるものではないが、抗原への結合、FcγR結合、FcRnへの結合および/またはプロテインAへの結合などの、抗体の機能的特性を有するそれぞれの位置での反応性システインの導入の干渉の欠如に基づいて、ヒトIgG1のCH2およびCH3ドメイン中で同定された。突然変異を含まず、生じる順番に番号付けた野生型IgG1のアミノ酸配列(アラニン1で始まり、リシン330で終わる)は、以下の通りであり、配列番号1と命名される:
ASTKGPSVFP LAPSSKSTSG GTAALGCLVK DYFPEPVTVS WNSGALTSGV 50
HTFPAVLQSS GLYSLSSVVT VPSSSLGTQT YICNVNHKPS NTKVDKKVEP 100
KSCDKTHTCP PCPAPELLGG PSVFLFPPKP KDTLMISRTP EVTCVVVDVS 150
HEDPEVKFNW YVDGVEVHNA KTKPREEQYN STYRVVSVLT VLHQDWLNGK 200
EYKCKVSNKA LPAPIEKTIS KAKGQPREPQ VYTLPPSREE MTKNQVSLTC 250
LVKGFYPSDI AVEWESNGQP ENNYKTTPPV LDSDGSFFLY SKLTVDKSRW 300
QQGNVFSCSV MHEALHNHYT QKSLSLSPGK 330
【0484】
表2は、アミノ酸残基がチオール反応性部位特異的コンジュゲーションのためにシステインに突然変異された野生型内因性ヒトIgG1と比較した突然変異の位置を記載する。表2は、ヒトIgG1残基が反応性システインで置きかえられた位置を示す。位置は、Kabatら(1991、NIH Publication 91-3242、National Technical Information Service、Springfield、VA)に記載のEUインデックス番号付けシステムを用いて、およびまた、配列番号1の配列と比較した配列番号付けに従って同定される。
【0485】
【0486】
材料および方法
単一のシステインが操作された抗体ヒトIgG1の生成
ヒト5T4およびヒトIgG1 Fc領域(本明細書に記載の抗体を抗5T4または単に「5T4」と呼ぶ)に特異的に結合するヒト化重鎖および軽鎖可変ドメインを含むヒト化抗体中に、単一の反応性システイン残基を導入した。反応性システイン残基を、重複PCR突然変異誘発法を用いて、表2に列挙された12個の位置でIgG1中に導入した。突然変異を含まない、野生型ヒトIgG1のアミノ酸配列を、配列番号1に記載する。
【0487】
PCR突然変異誘発を、以下のように実施した。個々のシステイン突然変異を担持するセンスおよびアンチセンス変異原オリゴヌクレオチドならびにフォワードおよびリバースヒトIgG1定常領域フランキングプライマーを、Integrated DNA Technologies,Inc.(ParkCoralville、Iowa)で合成した。PCR反応1は、100ナノグラム(ng)の抗5T4抗体をコードするプラスミドDNA、100pmolのフォワードフランキングプライマーオリゴヌクレオチド、100pmolのアンチセンス変異原オリゴヌクレオチド、1μlのVent(登録商標)ポリメラーゼ(New England Biolabs Inc.、Ipswich、Massachusetts)、25μlの2xHN PCRバッファー(EPICENTRE(登録商標)Biotechnologies、Madison、WI)およびH2Oを含有し、反応液の容量を50μlにした。同様に、PCR反応2を、100ngのA1抗5T4抗体をコードするプラスミドDNA、100pmolのセンス変異原オリゴヌクレオチド、100pmolのリバースフランキングプライマーオリゴヌクレオチド、1μlのVent(登録商標)ポリメラーゼ、25μlの2xHN PCRバッファーおよび追加のH2Oを混合して、反応液の容量を50μlにすることにより作製した。反応1および2のためのPCRパラメータは、95℃で1分間、63℃で1分間、72℃で1分間を25サイクル、次いで、72℃で10分間であった。最終的なPCR反応を、1μlのそれぞれのPCR反応1および2、100pmolのそれぞれのフォワードおよびリバースフランキングプライマーオリゴヌクレオチド、1μlのVent(登録商標)ポリメラーゼ、25μlの2xHN PCRバッファーおよびH2Oを混合して、反応液の容量を50μlにすることにより行った。最終的なPCR反応パラメータは、反応1および2について用いられたものと同じであった。個々の操作されたシステイン残基を担持するヒトIgG1バリアントを、T4 DNAリガーゼ(New England Biolabs Inc.、Ipswich、Massachusetts)を用いてA1重鎖可変領域に連結し、その核酸を配列確認した。
【0488】
単一のシステインが操作された抗5T4抗体バリアントの一過性発現の評価
操作された単一のシステインを含むヒト化抗5T4抗体を効率的に発現させることができることを確認するために、COS-1細胞を、標準的な方法を用いて、システインバリアントおよび親抗5T4抗体、すなわち、突然変異を含まない野生型IgG1 Fc領域をコードするプラスミドDNAで一過的に同時トランスフェクトした。48時間後、細胞培養培地を収穫し、5T4-システイン抗体バリアントを含有する得られる条件化培地を、総ヒトIgGサンドイッチELISAによって定量した。簡単に述べると、平底ELISAプレート(Costarカタログ番号3590)を、100μl/ウェルのPBS中の1μ/mlのヤギ抗ヒトIgG(Thermo/Pierceカタログ番号31125)で室温で一晩被覆した。プレートを、100μl/ウェルのPBS中の0.02%カゼイン溶液で、室温で最小3時間または最大24時間遮断した。標準物および試料をアッセイバッファー(PBS中の0.5%BSA+0.02%Tween-20)中で連続希釈し、100μlを被覆/遮断されたELISAプレートに添加し、室温で3~24時間インキュベートした。プレートの内容物を廃棄し、プレートを、ウェルあたり200μlのPBS中の0.03%Tween-20で4回洗浄した。ヤギ抗ヒトIgG(Thermo/Pierceカタログ番号31413)をアッセイバッファー中で1:5000に希釈し、100μlをウェルに添加し、室温で15分間インキュベートした。プレートを以前に記載のように洗浄し、ウェルあたり100μlのBioFX TMB(3,3’,5,5’テトラメチルベンジジン;カタログ番号TMBW-0100-01、BioFX Labs.,Inc.、Owings Mills、MD)中で発生させた。ウェルあたり100μlの0.18N H2SO4中で反応を停止させ、プレートをMolecular Devices vMaxプレートリーダー上、450nMで読み取った。未知のものの中の抗体の濃度を、標準物の希釈系列に由来する曲線の直線範囲から算出した。表3に示されるように、全ての単一システイン操作抗5T4抗体バリアントは、突然変異を欠く野生型ヒトIgG1定常領域を含む親抗5T4抗体と同等のレベルで発現した。したがって、これらのデータは、単一システイン操作抗体バリアントの一過的発現レベルが、これらの位置での反応性システインの導入によって影響されないことを示している。
【0489】
【0490】
抗5T4単一システインバリアントを発現する安定にトランスフェクトされた細胞の生成
単一操作抗体バリアントを細胞中で安定的に発現させ、大規模生成することができることを決定するために、CHO細胞を、8個(S254C、T359C、E380C、K392C、L398C、V422C、S440CおよびL443C)の抗5T4抗体単一システインバリアントをコードする重鎖および軽鎖DNAで同時トランスフェクトし、安定な高生成プールを当技術分野で周知の標準的な手順を用いて単離した。重鎖および軽鎖発現構築物は別々の発現プラスミド上にあったため、DNAをCHO細胞中に同時トランスフェクトした。重鎖および軽鎖発現構築物をCHO細胞中に同時トランスフェクトすることにより、親抗5T4抗体のためのCHOプールも生成した。全てのFc操作システイン突然変異体については、これらは親抗5T4抗体と共通の軽鎖DNA配列を共有するが、重鎖定常領域中へのシステインの組み込みのため、異なる重鎖配列を有する。安定なCHOプール中で発現されたこれらの単一操作システイン抗体バリアントの力価および細胞生産性は許容できるものであり、野生型ヒトIgG1 Fc領域を含む親抗5T4抗体と同等であった(表4)。
【0491】
標準的な2ステップの精製戦略、すなわち、プロテインA親和性捕捉、次いで、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を用いて、濃縮されたCHOプール出発材料からこれらのシステインバリアントを単離した。この2ステッププロセスを用いて抗体を単離する能力は、Fc領域プロテインA結合部位が、操作されたシステインの存在によって変化せず、突然変異したIgG1 Fc領域が野生型IgG1 Fcと同様にプロテインAに結合することを示していた。8個の単一システインバリアントのうちの6個について、プロテインA樹脂からの溶出後に最少の高分子量凝集種が検出されたが、この種は表4中で対象のピーク率(%POI)として報告される。予想外にも、8個の突然変異体のうちの2個(S254CおよびS440C)が、凝集する傾向があった(表4)。これらのデータは、安定な哺乳動物細胞プールを用いるこれらの位置での操作された単一システインバリアントを含む抗体の生成が、野生型IgG1と比較して影響されなかったことを示している。
【0492】
【0493】
単一システイン抗5T4抗体バリアントの5T4抗原結合特性の評価
野生型ヒトIgG1定常領域を含むビオチン化野生型抗5T4抗体を、5T4システインバリアントが5T4抗原への結合についてこの野生型5T4抗体と効率的に競合することができるかどうかを決定するためのリポーター抗体として用いる競合ELISAアッセイを用いて、単一システインバリアントを含む抗5T4抗体バリアントについて5T4結合特性を評価した。この競合ELISAアッセイのために、EZ-link Sulfo-NHS-Biotin Sulfosuccinimidobiotin(Thermo/Pierce、カタログ番号21217)を、製造業者のプロトコールに従って20:1のモルカップリング比で用いて、親抗5T4リポーター抗体(突然変異を含まない野生型IgG1 Fcを含む)をビオチン化した。このアッセイのためのタンパク質を、抗5T4単一システインバリアントおよび野生型抗5T4抗体をコードするDNAをCOS-1細胞中に一過的にトランスフェクトすることによって生成した。すなわち、バリアントと対照野生型抗体は両方とも、ヒトIgG1 Fc領域を含んでいた。抗5T4単一システインバリアントおよび抗5T4野生型IgG1抗体を含有する得られる条件化培地を、以前に記載された総ヒトIgGサンドイッチELISAを用いてアッセイした。この競合ELISAアッセイ手順のために、96穴プレート(Costarカタログ番号3590)を、5T4の膜貫通および細胞内ドメインを欠き、Mycおよびヒスチジンタグをさらに含むヒト切断型組換え5T4タンパク質(5T4-tm-_myc_his)(Boghaertら、2008、Int.J.Oncol.32:221~234を参照されたい)で被覆した。5T4-tm-_myc_his構築物を、PBS-CMF pH7.2中で1μg/mlに希釈し、100μlをプレートの各ウェルに添加し、プレートを4℃で一晩インキュベートした。プレートの内容物を廃棄した後、プレートを室温で3時間、PBS-CMF pH7.2+0.02%カゼインで遮断した。PBS中の20ng/mlのビオチン化抗5T4抗体+0.5%BSA+0.02%Tween-20を、変化する濃度の抗5T4単一システインバリアントまたは陽性対照としての野生型抗5T4抗体と混合し、試料を5T4被覆-遮断プレートに添加し、室温で2時間インキュベートした。より具体的には、このアッセイにおいて用いられるそれぞれの抗体は、同一のヒト化抗5T4 VLおよびVHドメインを含むが、ビオチン化されたリポーター抗体は操作されたシステインを含まない野生型IgG Fc領域を含む一方、競合抗体は野生型IgG1 Fc領域または単一システイン突然変異を含む突然変異型IgG1 Fc領域のいずれかを含む。
【0494】
ウェルを、PBS-CMF pH7.2+0.03%Tween-20で4回洗浄した。1:10,000に希釈されたストレプトアビジン-HRP(カタログ番号7100-05、Southern Biotech、Birmingham、Alabama)を添加し、室温で30分間インキュベートした。ウェルをPBS-CMF pH7.2+0.03%Tween-20で4回洗浄し、TMB(BioFx)を添加した。反応を5~10分間を発生させた後、0.18N H
2SO
4でクエンチした。450nmでの吸光度を決定し、結果を
図1に示す。これらのデータは、グラフに示された位置での抗5T4抗体IgG1 Fc領域中への反応性システインの組み込みが、抗体の5T4結合特性を変化させないことを示している。すなわち、それぞれの5T4単一システインバリアントは、5T4への結合についてビオチン化リポーター抗5T4抗体と同等に競合した。
【0495】
抗5T4単一システインバリアントに関する遊離スルフヒドリルの検出
以前に論じられた通り、抗体は4個のペプチド鎖を連結する鎖間および鎖内ジスルフィド結合を含有し、これらの標準的なジスルフィド結合は全て、適切な抗体折り畳みのために形成されるべきである。遊離スルフヒドリル(-SH)基の存在は、部分的に折り畳まれないか、または不適切に折り畳まれる分子をもたらし、抗体の不均一な集団およびタンパク質安定性の低下を誘導し得る。マレイミド化合物を用いて結合する色素である蛍光試薬ThioGlo(登録商標)(EMD Millipore)を用いて、抗5T4単一システインバリアントについて遊離スルフヒドリル基を検出した。
【0496】
全ての抗体を、ジチオトレイトールDTT還元を用いて、および用いずに評価した(例えば、Antioxidants & Redox Signaling、第4巻、第5号(2002)、Mary Ann Liebert,Inc.を参照されたい)。簡単に述べると、ジチオトレイトール(DTT;2mM)を用いる部分的還元は、CHO細胞培養プロセスの間におそらく形成されるシステインまたはグルタチオン付加物から対形成していないシステインを露出させるが、ジスルフィド結合を形成した残存する対形成したシステインを無傷のままにした。DTT部分的還元の後、抗体を塩酸グアニジン(6.7M)で処理して、埋没した-SH基を露出させ、ThioGlo(登録商標)1蛍光試薬(20M)の添加の前に溶媒接近性を増加させた。N-アセチル-L-システインを標準物として用いて、それぞれの抗体について存在する遊離スルフヒドリルの量を定量した。ウシ血清アルブミン(BSA;OmniPur BSA Fraction V、カタログ番号2910、EMD Chemicals)は、単一の対形成していないシステインを含有するため、それを陽性対照としてさらに含有させた。表5に示されるように、本明細書に開示される結果は、遊離スルフヒドリルが抗5T4単一システインバリアントについては検出されたが、親抗5T4抗体については検出されなかったことを示す。DTTの非存在下では、野生型抗5T4タンパク質と比較して、評価された6つのシステインバリアントについて遊離-SHのレベルの増加が観察されなかった。予想外に、5T4-S254Cバリアントは凝集を示し、DTTを用いる還元後に不安定であった。
【0497】
【0498】
ヒトFcRnに結合する抗5T4操作単一システインバリアントの評価
FcRnはpH依存的様式でサブタイプに関係なくIgGと相互作用し、それが分解されるリソソームコンパートメントに進入するのを防ぐことによって分解から抗体を保護すると考えられている。したがって、野生型IgG1-Fc領域中への反応性システインの導入のための位置を選択するための考慮は、操作されたシステインを含む抗体のFcRn結合特性および半減期の変化を回避することであった。
【0499】
BIAcore(登録商標)分析を実施して、ヒトFcRnへの結合について抗5T4操作単一システインバリアントの定常状態親和性(KD)を決定した。BIAcore(登録商標)技術は、表面層上に固定されたヒトFcRnタンパク質への抗5T4単一操作システインバリアントの結合の際のセンサーの表面層での屈折率の変化を用いる。結合は、表面から屈折するレーザー光の表面プラズモン共鳴(SPR)により検出される。ヒトFcRnを、BirA試薬(カタログ番号BIRA500、Avidity、LLC、Aurora、Colorado)を用いて操作されたAviタグにより特異的にビオチン化し、ストレプトアビジン(SA)センサーチップ上に固定して、センサー上でのFcRnタンパク質の均一な方向を可能にした。次に、20mMのMES(2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸pH6.0、150mM NaCl、3mM EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、0.5%Surfactant P20(MES-EP)中の様々な濃度の抗5T4単一システインバリアントを、チップ表面上に注入した。注入サイクルの間に、HBS-EP+0.05%Surfactant P20(GE Healthcare、Piscataway、NJ、Piscataway、NJ)、pH7.4を用いて表面を再生させた。定常状態結合親和性を、抗5T4操作単一システインバリアントについて決定し、これらのものを親野生型抗5T4(IgG1 Fc領域中にシステイン突然変異を含まない)と比較した。結果を表6に記載するが、これらのデータは、本発明の新規位置でのIgG-Fc領域中への操作されたシステイン残基の組み込みが、FcRnに対する親和性を変化させなかったことを示す。
【0500】
【0501】
ヒトFcRnに結合する単一システイン抗5T4バリアントADCの評価
BIAcore(登録商標)分析を実施して、操作されたシステインを介してADCを部位特異的にコンジュゲートさせることによって、毒素を抗体に連結したヒトFcRnに結合する抗5T4 ADCについて定常状態親和性(KD)を決定した。簡単に述べると、以下により完全に開示されるようなmcMMADを、バリアント5T4-E380C、5T4-L398C、5T4-V422Cおよび5T4-L443Cの操作されたシステインにコンジュゲートさせることにより、ADCを調製した。以前に記載された同じBiacore SPR法を用いて、MES-EP+0.5%Surfactant P20 pH6.0中の、様々な濃度の部位特異的にコンジュゲートされた5T4-mcMMAD ADC、mcMMADにコンジュゲートされていない単一システインバリアント(以前に記載され、表6に結果を示す)、および親「ネイキッド」(すなわち、mcMMADにコンジュゲートされていない)野生型抗5T4抗体を、別々に、ヒトFcRn表面上に注入し、定常状態親和性を決定し、その結果を表7に示す。
【0502】
【0503】
表7に示された結果は、本発明の新規システイン位置を用いて部位特異的にコンジュゲートされた5T4-mcMMAD ADCが、互いに比較してヒトFcRnに対する同様の親和性を有し、FcRnに対するこれらの親和性がネイキッドのコンジュゲートされていない単一システインバリアント(上記の表6と比較されたい)、ならびにコンジュゲートされていない親5T4抗体のものと同等であることを示す。したがって、これらのデータは、IgG1 Fc領域中に導入された操作された反応性システインへの毒素部分のコンジュゲーションがFcRnへのFc結合に影響しなかったことを示している。
【0504】
(実施例2)
二重システイン操作抗5T4抗体の生成
2個の反応性システイン残基の9つの組合せを、ヒトIgG1を含む抗5T4抗体中に導入した。この抗体の野生型完全長重鎖のアミノ酸配列を、
図17A(配列番号83)に示し、この抗体の完全長カッパ軽鎖のアミノ酸配列を
図17B(配列番号84)に示す。関連する野生型アミノ酸を重鎖定常領域中の新しい操作されたシステインに置換する突然変異を、実施例1に記載されたものと同じ重複PCR突然変異誘発法を用いて導入した。したがって、それぞれのIgG1 Fc領域中への2個の反応性システインの導入は、それぞれの抗体について4の薬物:抗体比(DAR)を有するADCをもたらす4個の新しいシステインコンジュゲーション部位(すなわち、抗体分子あたり2個の反応性新規システインx2個の重鎖Fc領域)を提供した。それぞれの二重突然変異体の操作された反応性システインの対応する部分を以下の表8に示し、この表は、突然変異がFc領域のC末端から10アミノ酸残基未満であることを除く、突然変異の前後の両方の10個のアミノ酸を示す。それぞれのFc領域の完全長アミノ酸配列を、表中に示される配列番号で提供する。
【0505】
【0506】
二重システイン操作抗5T4抗体の一過的発現
操作された二重システインを含む抗5T4抗体を発現させることができることを確認するために、COS-1細胞を、5T4二重システインバリアントおよび親5T4抗体をコードする重鎖および軽鎖DNAで一過的に同時トランスフェクトした。48時間後、それぞれの細胞培養培地をアッセイして、以前に記載された総ヒトIgGサンドイッチELISAを用いて、それぞれの構築物について発現されたヒトIgG1抗体のレベルを決定した。表9に示されるように、それぞれの二重システイン操作抗5T4抗体バリアントは、任意のさらなるシステインを含まない親抗5T4抗体と比較して同等のレベルで発現した。
【0507】
【0508】
一過的HEK-293発現系からの5T4二重システインバリアントの生成
コンジュゲーション研究のための十分な材料を生成するために、標準的な方法を用いて、HEK-293細胞を6つの5T4二重システイン操作抗体バリアントをコードする重鎖および軽鎖DNAで一過的に同時トランスフェクトした。次に、二重システインバリアント抗体を、標準的な2ステップ精製戦略、プロテインA親和性捕捉、次いで、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を用いて精製した。表10に示されるこれらの結果は、高分子量(HMW)凝集種が6つ全部の5T4二重システインバリアントについてプロテインA樹脂からの溶出後に検出され、この望ましくないHMW種をサイズ排除クロマトグラフィーを用いて除去することができることを示している。さらに、本明細書に開示されるデータは、ヒトIgG1定常領域中のプロテインA結合部位が操作された二重システイン残基の存在によって変化しなかったことを示している。
【0509】
【0510】
(実施例3)
抗Her2単一および二重システイン操作抗体バリアントの生成
反応性システインを操作するためのこれらの選択された位置を、抗原結合特異性に関係なく他の抗体に適用することができることを証明するために、4つの単一および9つの二重システイン残基を、抗ヒトHer2抗体のIgG1 Fc領域中に操作した。抗Her2抗体の完全長重鎖のアミノ酸配列は
図17C(配列番号85)に示され、これは突然変異を含まない野生型IgG1 Fc領域を示す(小文字)。抗Her2抗体の完全長軽鎖のアミノ酸配列は
図17D(配列番号86)に示され、これは突然変異を含まない野生型Cκ領域を示す(小文字)。導入されるシステイン突然変異の位置は、表11に記載される。抗Her2抗体ヒトIgG1定常領域をコードする核酸を、制限酵素消化によりベクターから除去し、T4DNAリガーゼ(New England Biolabs Inc.、Ipswich、Massachusetts)を用いて単一および二重操作システイン残基を含むヒト重鎖定常IgG1 Fc領域をコードする核酸で置きかえた。得られた核酸を、それぞれの構築物について配列確認した。
【0511】
【0512】
抗Her2操作システインバリアントの生成
COS-1細胞を、抗Her2単一および二重システイン操作抗体バリアントをコードする重鎖および軽鎖DNAで一過的に同時トランスフェクトすることにより、コンジュゲーション研究における使用のための抗体を上手く生成し、その抗体を細胞中で一過的に発現させることができることを示した。さらに、標準的な2ステップの精製戦略、プロテインA親和性捕捉、次いで、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を用いて、抗体を精製した。本明細書に開示されるデータ(表12)は、低レベルの高分子量(HMW)凝集種が、6つ全部の抗Her2二重システインバリアントについてプロテインA樹脂からの溶出後に検出されたこと、およびこのHMW種をサイズ排除クロマトグラフィーを用いて除去することができたことを示す。これらのデータは、これらのバリアントに関するプロテインAへのFc結合が新しい位置での反応性システインの導入によって影響されなかったことを示す。
【0513】
【0514】
(実施例4)
抗VEGFR2単一システイン操作抗体バリアントの生成
反応性システインを操作するための新しい位置を血管内皮を標的化する抗体に適用することができることをさらに証明するために、単一システイン残基を抗ヒトVEGFR2抗体中に操作した。抗VEGFR2抗体の完全長重鎖のアミノ酸配列は
図17E(配列番号87)に示され、これは突然変異を含まない野生型IgG1 Fc領域を示す(小文字)。抗VEGFR2抗体の完全長軽鎖のアミノ酸配列は
図17F(配列番号88)に示され、これは突然変異を含まない野生型Cκ領域を示す(小文字)。抗ヒトVEGFR2抗体の野生型ヒトIgG1 Fc定常領域をコードする核酸配列を、制限酵素消化により除去し、T4DNAリガーゼ(New England Biolabs Inc.、Ipswich、Massachusetts)を用いてL443C位(配列番号72)に単一システイン残基を含む重鎖定常領域をコードする核酸配列で置きかえ、得られた核酸を配列確認した。
【0515】
COS-1に、抗体をコードする核酸をトランスフェクトすることにより抗体を生成し、2ステップ(プロテインA、次いで、SECクロマトグラフィー)プロセスを用いてタンパク質を精製する。これは、単一反応性システインを含む抗ヒトVEGFR2抗体を発現させることができ、Fc領域のプロテインA結合が影響されないことを示す。
【0516】
まとめると、本明細書の以前に開示されたように、12個の残基位置が、ヒトIgG1 Fc領域中への反応性システインの導入のために同定された。これらの12個の新しい位置のうち、9個の抗体単一システインバリアントを、コンジュゲーションおよび特徴付けのために生成した。これらの9個のうち、2つの単一突然変異のみが、明確なタンパク質凝集S254CおよびS440C(EU番号付けによる)を予想外に示し、他の7個の単一システインバリアントは、野生型IgG1定常領域を含む親抗体と同様のわずかな凝集を示した。さらに、明確な凝集を示さなかった7個のバリアントのうち、2個(T359CおよびF404C)(EU番号付けによる)が、異なるリンカーおよびペイロードの組合せでわずかなコンジュゲーション効率を示した。5つの位置、E380C、L398C、K392C、V422CおよびL443C(KabatのEuインデックスを用いる番号付け)での操作されたシステインは、いくつかの条件にわたって許容できるコンジュゲーション効率を示した。さらに、コンジュゲーション効率におけるこの差異は、ビオチンとコンジュゲートする能力だけが評価された場合には検出されなかった。すなわち、コンジュゲーション効率における差異は、より厳密な基準を適用した場合、すなわち、より大きい毒性ペイロードを抗体にコンジュゲートさせた場合にのみ検出された。このより厳密な要求の下では、本発明の新規システインは、潜在的に治療上有効なADCの生成のための効率的な新規コンジュゲーションプラットフォームを提供することが示された。
【0517】
(実施例5)
部位特異的コンジュゲーションのための反応性システインの導入のためのヒトIgG1 Fc領域中のさらなる位置
反応性システインを含む操作されたFc領域の生成の成功のための本明細書の以前に開示されたヒトIgG1における新しい12個の位置に加えて、反応性システインの組み込みのためのさらなる位置を以下のように同定した。簡単に述べると、ヒトIgG1のFcドメインの結晶複合体(PDBコード3DO3、10.2210/pdb3do3/pdb)を、RCSBタンパク質データバンクから取得し、Discovery Studio(Accelrys Inc.、San Diego、CA)における可視化およびモデリングのために調製した。個々の側鎖をシステインに突然変異させ、製造業者の説明書に従ってDiscovery Studio中のMutate Residue特性を用いて最小化した。突然変異残基の側鎖溶媒接近性を、SpassovおよびYan(2008、Protein Sci.17(11):1955~1970)の方法を用いて、残基pKaとして算出した。
【0518】
より具体的に、またいかなる特定の理論によっても束縛されることを望むものではないが、以前に開示された新しい12個のFc位置について初めて本明細書で開示されたデータを見れば、低いpKaまたは高い側鎖接近性が非効率的な薬物ローディング、タンパク質凝集または他の問題を誘導し得ることが示唆された。これらの側鎖溶媒接近性およびpKa範囲と一致するさらなる部位を、Discovery Studioを用いる算出に基づいて同定した。
【0519】
本明細書に開示されるデータは、9.5~11.5の範囲の最適予測pKa、および/または15~60の予測された側鎖溶媒接近性を有するシステイン残基が、限定されるものではないが、E380C、K392C、L398C、V422CおよびL443Cなどの、本明細書の以前に開示されたコンジュゲートされたシステイン突然変異体の特性を模倣することができることを示唆する。これらの特性(pKaおよび予測された側鎖溶媒接近性)は相関していたため、どの基準を、限定されるものではないが、低い凝集傾向ならびにリンカーおよびペイロードへの容易なコンジュゲーションなどの、所望の生物学的結果と関連付けるかを確立するのは難しい。本明細書に開示される新しい12個の突然変異体について得られた驚くべきデータに基づいて反応性システインを導入するための本発明者らの新しいin silicoでの設計方法により選択されたさらなる位置を、その対応するEU番号位置と共に表13に列挙する。
【0520】
【0521】
【0522】
(実施例6)
さらなる単一システイン操作抗Her2抗体バリアントの生成
表13に示された特定の反応性システインの位置を、最適な側鎖溶媒接近性およびpKa範囲と共に選択し、これらのものを表14に示す。これらの11個の新しい位置に操作された単一システインを含むヒトIgG1 Fc領域を、さらなる評価のために抗Her2抗体(上記参照)中に組み込んだ。
【0523】
【0524】
(実施例7)
単一システインバリアント抗体を用いるADCのコンジュゲーションおよび特徴付け
単一システインバリアント抗体と、リンカーおよびペイロードとのコンジュゲーション:操作された反応性システインを含む新規IgG1 Fc領域を含む抗体のコンジュゲーションの成功を示す以前に開示された新規ADCを、ここで以下に記載されるように調製した。
【0525】
条件A:(条件Bは下記の実施例8に記載される)コンジュゲーション反応を、Amicon Ultra 50k Ultracelフィルター(パート番号UFC805096、GE)などの遠心分離限界濾過デバイスの上側部分で実施した。L-システインの132mM保存溶液を、50mM EDTAを含有するPBS中で調製した。この溶液(50μL)を、50mM EDTAを含有する950μLのPBS中のそれぞれの突然変異抗体(5mg)の混合物に添加した。反応混合物中の最終システイン濃度は、6.6mMであった。rt(約23℃)で1.5時間、反応物を静置した後、反応チューブを遠心分離して材料を約100μLに濃縮した。混合物を50mM EDTAを含有するPBSで1mLに希釈した。このプロセスを4回繰り返して、全てのシステイン還元剤を除去した。
【0526】
得られた材料を、50mM EDTAを含有するPBS中で1mLに希釈し、ジメチルアセトアミド(DMA)中のmcMMADの5mM溶液16μl(約5当量)で処理した。室温(約23℃)で1.5時間静置した後、反応チューブを遠心分離して、材料を約100μLに濃縮した。混合物をPBSで1mLに希釈した。このプロセスを2回繰り返して、過剰のマレイミド還元剤(例えば、mcMMAD)を除去した。
【0527】
抗体コンジュゲートは一般に、以下に記載のようなサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を用いて精製され特徴付けられた。意図されるコンジュゲーション部位への薬物のローディングを、以下でより完全に説明される、質量分析(MS)、逆相HPLC、および疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)などの様々な方法を用いて決定した。これらの3つの分析方法の組合せは、タンパク質上への低分子のローディングを検証および定量するための様々な方法を提供し、それによって、それぞれのコンジュゲートのDARの正確な決定を提供する。
【0528】
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC):分取SECによるシステイン突然変異抗体ADCの特徴付け:抗体-薬物コンジュゲート(Ab-リンカー-ペイロード、例えば、Ab-mcMMADおよびAb-vcMMAD)は一般に、タンパク質凝集物を除去するため、および反応混合物中に残存する微量のペイロード-リンカーを除去するためのAkta Explorer FPLCシステム上のWaters Superdex200 10/300GLカラムを用いるSECクロマトグラフィーを用いて精製された。ADCはSEC精製の前に凝集物および低分子を含まないこともあったが、したがってこの場合は分取SECにはかけなかった。用いた溶離液は、1mL/minの流量のPBSであった。これらの条件下では、凝集材料(室温で約10分で溶出する)は、非凝集材料(室温で約15分で溶出する)から容易に分離された。疎水性ペイロード-リンカー組合せは、SECピークの「右シフト」をもたらすことが多かった。いかなる特定の理論によっても束縛されることを望むものではないが、このSECピークシフトは、リンカー-ペイロードと、固定相との疎水性相互作用に起因するものであり得る。いくつかの場合、この右シフトにより、非コンジュゲート化タンパク質からコンジュゲート化タンパク質を部分的に分割することができる。
【0529】
分析的サイズ排除クロマトグラフィー(SEC):分析的SECを、溶離液としてPBSを用いるAgilent 1100 HPLC上で実行した。溶離液を220および280nMでモニタリングした。用いた方法は以下の通りである。
【0530】
方法SEC-A:カラムは、TSKGel G3000SWカラム(7.8x300mm、カタログ番号R874803P)であった。用いた移動相は、0.9mL/minの流量で30分間のPBSであった。
【0531】
方法SEC-B:カラムは、1.0mL/minの流量を25分間用いる移動相としてのPBSを用いるBiosepSEC3000カラム(7.8x300mm)であった。
【0532】
ここで、上記方法の結果について論じる。
【0533】
以下の表15は、上記方法を用いて精製および特徴付けられた様々な抗体-薬物コンジュゲートに関する結果を記載する。ローディングの分析およびMS特徴付けについて以下で論じる。
【0534】
コンジュゲートを分析的SECにより分析して、精製されたタンパク質コンジュゲートの完全性を確立し、コンジュゲーション中に最小限の凝集が起こることを確保した。上記の2つの方法は、ほぼ等しい保持時間を与え、単にカラムの利用性および信頼性などの実用的な目的のために異なる環境において用いた。一般的には、凝集材料は約1分の保持時間の左へのシフトを誘導することが観察された。2つの分析的SECトレースの例を、
図2に例示する。
図2Aは、5T4-L398C-mcMMADに関するSECトレースを示す(方法SEC-Aを用いる);
図2Bは、5T4-V422C-vcMMADに関するSECトレースを示す(方法SEC-Bを用いる)。これらのトレース図は、材料が凝集せず、測定可能な低分子汚染物質を含有しないことを示す。一般に、vcMMADなどのより多くの疎水性ペイロードがややより広く、あまり均一でないSECピークを有するADCをもたらすことが観察された。いくつかの場合、疎水性ペイロード(vcMMADなど)のコンジュゲーションは、保持時間の有意な右へのシフトをもたらした(例えば、表15中の5T4-L443C-vcMMADを参照されたい)。しかしながら、主要ピークは、典型的には約7.5minで溶出する凝集物のピークから常に容易に識別することができた。様々な5T4 ADC(全て方法Aにより調製された)に関する分析的SECデータを、表15に概略する。
【0535】
【0536】
抗体コンジュゲートの質量分析の特徴付けおよび分析
MS分析および試料調製:
約20μLの試料(PBS中の約1mg/mLのADC)と、20μLの20mMジチオトレイトール(DTT)とを混合することにより、LCMS分析のための試料を調製した。混合物を室温で5分間静置した後、Agilent Poroshell 300SB-C8(2.1x75mm)カラムを取り付けたAgilent 1100 HPLCシステム中に試料を注入した。システム温度は60℃に設定した。水中の20%~45%のアセトニトリル(0.1%ギ酸改変剤を含む)の5分間の勾配を用いた。溶離液を、UV(220nM)およびWaters MicromassZQ質量分析装置(ESIイオン化;コーン電圧:20V;ソース温度:120℃;脱溶媒和温度:350℃)によりモニタリングした。多電荷種を含有する粗スペクトルについて、製造業者の説明書に従ってMassLynx4.1ソフトウェアパッケージ内のMaxEnt1を用いてデコンボリューションを行った。
【0537】
抗体あたりのローディングのMS決定:
全溶出ウィンドウ(通常は5分)のスペクトルを、単一合計スペクトル(すなわち、全試料のMSを代表する質量スペクトル)中に組み合わせる。ADC試料に関するMS結果を、同一の非ロード対照抗体の対応するMSと直接比較した。これにより、ロード/非ロード重鎖(HC)ピークおよびロード/非ロード軽鎖(LC)ピークの同定が可能になる。様々なピークの比を用いて、以下の式(式1)に基づいてローディングを確立することができる。計算は、一般的に妥当な仮定であると決定された、ロードされた、およびロードされていない鎖が同等にイオン化するという仮定に基づくものである。さらに、これらのローディング計算を照合するために、以下のセクションでより完全に説明される代替的な方法(逆相高速液体クロマトグラフィー[rpHPLC]に基づく方法および疎水性相互作用クロマトグラフィー[HIC]に基づく方法)を用いて、ローディングについてADCのサブセットも評価した。
【0538】
以下の計算を実施して、コンジュゲートの全ローディング(「薬物抗体比」または「DAR」とも呼ばれる)を確立した:
式1:
ローディング=2*[LC1/(LC1+LC0)]+2*[HC1/(HC0+HC1+HC2)]+4*[HC2/(HC0+HC1+HC2)]
(式中、示された変数は、LC0=非ロード軽鎖、LC1=単一ロード軽鎖、HC0=非ロード重鎖、HC1=単一ロード重鎖、およびHC2=二重ロード重鎖の相対的存在量である)。当業者であれば、本発明がLC2、LC3、HC3、HC4、HC5などのより高いロード種を包含するためのこの計算の拡張を包含することを理解できる。
【0539】
以下の式2を用いて、非操作システイン残基上へのローディング量を見積もる。操作されたFc突然変異体については、軽鎖(LC)上へのローディングは、定義により、非特異的ローディングであると考えられた。さらに、LCのみへのローディングは、HC-LCジスルフィド架橋の故意ではない還元の結果であると仮定された(すなわち、抗体は「過剰還元」された)。コンジュゲーション反応のために大過剰のマレイミド求電子試薬を用いたことを考慮すると(一般的には、単一突然変異体については約5当量および二重突然変異体については10当量)、軽鎖上への非特異的ローディングが、重鎖上への対応する量の非特異的ローディングと同時に起こると仮定された(すなわち、破壊されたHC-LCジスルフィドの他の「半分」)。これらの仮定を念頭に置いて、以下の式(式2)を用いて、タンパク質上への非特異的ローディング量を見積もった:
式2:
非特異的ローディング=4*[LC1/(LC1+LC0)]
(式中、示された変数は、LC0=非ロード軽鎖、LC1=単一ロード軽鎖の相対的存在量である)。
【0540】
2つの例示的ADC(5T4-E380C-mcMMADおよび5T4-L398C-vcMMAD)に関するこのMS分析を用いるローディング計算を、それぞれ、
図3Aおよび
図3Bに示す。
【0541】
表16は、アッセイされたADCに関する質量分析の結果およびローディング算出を記載する。
【0542】
【0543】
ローディング部位を確立するためのFabRICATOR(登録商標)を用いるタンパク質溶解
表14~16に開示されたシステイン突然変異体は、IgG1重鎖のFcドメイン内のCH2およびCH3ドメイン中に位置する。抗体上への求電子性ペイロードの非特異的ローディングは、「内部」システイン残基とも呼ばれる「鎖間」で起こると推定される(すなわち、典型的には、HC-HCまたはHC-LCジスルフィド架橋の一部であるもの)。Fcドメイン中の操作されたシステイン上の求電子試薬のローディングと、内部システイン残基上のローディング(さもなければ典型的には、HC-HCまたはHC-LC間でS-S結合を形成する)とを区別するために、コンジュゲートを、抗体のFabドメインとFcドメインとの間を切断することが知られるプロテアーゼで処理した。1つのそのようなプロテアーゼは、Genovisにより「FabRICATOR(登録商標)」として市販され、von Pawel-Rammingenら、2002、EMBO J.21:1607に記載されたシステインプロテアーゼIdeSである。
図4は、内部システイン結合の位置(黒い四角)を示すインタクトな抗体分子のこのプロテアーゼによる切断を例示する略図を示す。
【0544】
簡単に述べると、製造業者に提示された条件に従って、ADCをFabRICATOR(登録商標)プロテアーゼで処理し、試料を37℃で30分間インキュベートした。約20μLの試料(PBS中の約1mg/mL)と、20μLの20mMジチオトレイトール(DTT)とを混合し、混合物を室温で5分間静置することにより、試料をLCMS分析のために調製した。ヒトIgG1のこの処理により、3つの抗体断片が得られ、それらは全て、FabRICATOR処理の結果生じる断片:典型的には、LC-HC鎖間ジスルフィド結合を形成する内部システインを含むLC断片;3個の内部システインを含むN末端HC断片(1個は、典型的にはLC-HCジスルフィド結合を形成し、抗体のヒンジ領域中に見出される他の2個のシステインは典型的には、抗体の2個の重鎖の間でHC-HCジスルフィド結合を形成する);および本明細書に開示される新規構築物中の突然変異により導入されたもの以外の反応性システインを含有しないC末端HC断片を例示する
図4に示される略図に例示されるように約23~26kDの範囲のサイズである。試料を、上記のようにMSにより分析した。ローディング計算を以前に記載の(上記)ものと同じ様式で実施して、LC、N末端HC、およびC末端HCのローディングを定量した。C末端HC上でのローディングは、「特異的」ローディングであると考えられるが、LCおよびN末端HC上へのローディングは「非特異的」ローディングであると考えられる。
図5Aは、FabRICATOR(登録商標)プロテアーゼ処理後にロードされていない5T4-L443Cバリアントに関するMSトレースの結果を示す。挿入図は、FabRICATOR(登録商標)処理により生成されたタンパク質溶解切断断片を例示する略図を示す。
図5Bは、ADC 5T4-L443C-mcMMADのFabRICATOR(登録商標)処理に関するMSトレースの結果を示すグラフである。挿入図は、タンパク質溶解切断から得られる断片を例示し、リンカーとペイロードがC末端HC断片と会合することを例示する略図を示し、ローディングが突然変異により導入された反応性システインに位置することを示す。ADCのサブセットの分析に関する結果を、表17に記載する。
【0545】
【0546】
本発明の新規ADCのFabRICATOR(登録商標)切断の結果は、あったとしても非常に少ない、検出可能な抗体の非特異的ローディングが存在することを示す。さらに、データは、抗体のローディングが反応性システインにおいてIgG1 Fc領域中に導入され、新規ADCの全部ではなくとも多くについて2:1の予想される化学量論(DAR=2)が達成されることを示す。これらのデータは、新規システイン突然変異体を、薬物送達の成功のために制御された特異的な化学量論を有する潜在的に治療的なADCを生成するために上手く特異的にコンジュゲートさせることができることを示す。
【0547】
ADCの逆相HPLC分析:
約20μLの試料(PBS中の約1mg/mL)と、20μLの20mMジチオトレイトール(DTT)とを混合することにより、逆相HPLC分析のための試料を調製した。混合物を室温で5分間静置した後、Agilent Poroshell 300SB-C8(2.1x75mm)カラムを取り付けたAgilent 1100 HPLCシステム中に試料を注入した。システム温度は60℃に設定し、溶離液をUV(220nMおよび280nM)によりモニタリングした。水中の20%~45%のアセトニトリル(0.1%TFA改変剤を含む)の20分間の勾配を用いた:T=0min:25%アセトニトリル;T=2min:25%アセトニトリル;T=19min:45%アセトニトリル;およびT=20min:25%アセトニトリル。
【0548】
これらの条件を用いて、抗体のHCおよびLCをベースライン分離することができる。
図6に例示されるように、この分析の結果は、LCは大部分は未改変のままであるが、HCは改変されていることを示す。より具体的には、
図6は、(A)非改変野生型抗5T4抗体;(B)5T4-E380C-mcMMAD;および(C)5T4-L443C-mcMMADに関する還元条件下での逆相HPLCトレースを示す。逆相HPLCについて得られた結果は、本明細書の以前に開示されたMS分析を用いて得られたものと一致する。ローディングを決定するために以前に記載された式を用いて、特異的ローディングおよび非特異的ローディングを、
図6中のそれぞれ示されたピークに関するAUCを用いてそれぞれの試料について算出した。かくして得られたローディング値は、以前のローディング計算と一致する。
【0549】
疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)
30μLの試料(約1mg/mLのADC)を、30μLの2M K2HPO4(pH8.5)で希釈することにより、HIC分析のための化合物を調製した。TSK-GEL Butyl NPRカラム(4.5x35mm、2.5μm)を備えたAgilent 1200 HPLCを用いて、試料を分析した。約60μLの試料を注入し、勾配方法を以下のように実行した:移動相A:1M K2HPO4(pH8.5);移動相B:水;T=0min、90%A;T=40min、0%A;およびT=50min、0%A。
【0550】
ピークは一般に、最も低いロード種から最も高いロード種に向かってカラムから溶出したが、これは全ての例について検証することができたわけではなかった。
図7は、様々にロードされた抗体種の分布を例示するいくつかのバリアントについて生成されたHICトレースを示す。
図7は、(A)対照抗5T4-L443C非ロード抗体;(B)5T4-L443C-vcMMAD;(C)5T4-E380C-vcMMAD;および(D)5T4-E380C-mcMMADに関するトレースを示す。見られるように、ロードされた抗体を、記載の方法を用いて非ロード抗体から容易にベースライン分離することができる。さらに、示差的にロードされた種を、典型的には(常にではないが)分割することができる。
図7に示される様々なピークに関するAUCを用いて、HICに基づくローディング値を算出し、以前に記載された他の方法によって決定されたローディング値を補完し、さらに検証した。かくして算出されたローディングを、HIC方法およびMS方法を用いて生成されたローディング見積もり値を比較する表18に記載する。見られるように、2つの異なる方法を用いて算出されたローディング値間には非常に厳密な相関がある。
【0551】
【0552】
上記方法は、操作されたCys残基上への求電子的ペイロード-リンカーのローディングを確立するためのいくつかの独立した方法を提供する。これらの方法は、補完的であり、一貫しており、互いに独立している。これらの方法の組合せにより、通常ではないMSイオン化または高いUV吸収をもたらす官能基を含有してもよいペイロードなどの複雑な因子に対してもローディング見積もり値を決定することができる。これらのデータは、IgG1 Fc領域中の新しい位置に反応性システインを含むADCが、注意深く制御、測定することができる正確なDARを示す潜在的に治療上有効なADCの生成のための有用なプラットフォームを提供することを示している。
【0553】
(実施例8)
代替的なコンジュゲーション法(「方法B」)を用いる単一および二重cys突然変異体へのマレイミドペイロードのコンジュゲーションのための還元/再酸化方法
上記のコンジュゲーション法は単一cys突然変異体のコンジュゲーションに関する許容できる結果を与えたが、HICクロマトグラフィーは、実施例7に記載の方法(方法A)を用いてコンジュゲートさせた二重cys突然変異体の場合、有意な不均一性が存在することを示した。4個の反応性システインが存在し、それぞれのHCが2個を含み、それによって、1、2、3、または4個がロードされた抗体の不均一な混合物を提供する様々な部分的にロードされた二重突然変異体を理論的には取得することができるため、これは予想されたことであった。さらに、それぞれのロードされたADCは、実施例7に示されたように、内部システイン残基上に部分的な非特異的ローディングを有し得る。正味の結果は、単一突然変異体と比較した二重突然変異体の不均一性の指数的増加である。
【0554】
ローディングの均一性を改善するために、より均一なADCをもたらすマレイミドとのコンジュゲーションを可能にする、TCEP(トリス2-カルボキシエチル)ホスフィン)を用いる操作された抗体の完全な還元、次いで、DHA(デヒドロアスコルビン酸)を用いる内部ジスルフィドの再酸化を含む代替的手順(「方法B」)を用いた(MSおよびHICにより測定)。
図8および
図9は、方法「A」を用いるコンジュゲーション(
図8A、8C、8E、8G、9A、9C、9Eおよび9G)および「方法B」を用いるコンジュゲーション(
図8B、8D、8F、8H、9B、9D、9F、および9H)により生成されたトレース図を示す。8つのコンジュゲートの説明は以下の通りである:8Aおよび8B、5T4-E380C-mcMMAD;8Cおよび8D、5T4-L398C-mcMMAD;8Eおよび8F、5T4-L443C-mcMMAD;8Gおよび8H、5T4-K388C-mcMMAD;9Aおよび9B、5T4-E380C+L398C-mcMMAD;9Cおよび9D、5T4-E398C+L443C-mcMMAD;9Eおよび9F、5T4-E380C+L443C-mcMMAD;ならびに9Gおよび9H、5T4-E380C+V422C-mcMMAD。
【0555】
「方法A」および「方法B」を用いる様々なコンジュゲーションの結果の概要を、表19に提供する。表19ならびに
図8および
図9に開示されるデータは、「方法B」を用いて生成されたコンジュゲートが、「方法A」により調製された同じコンジュゲートと比較して改善された特異的ローディングおよび改善された均一性を示したことを示す。
【0556】
コンジュゲーション「方法B」
コンジュゲーション「方法B」を、以下のように実施した。20mMのTCEP溶液(50~100モル当量)を、最終抗体濃度が50mM EDTAを含有するPBS中で5mg/mLとなるように抗体(5mg)に添加した。37℃で1.5時間、反応物を静置した後、50kD MWカットオフスピン濃縮装置を用いて50mM EDTAを含有するPBSに抗体をバッファー交換した(3x3mL洗浄、10x濃縮/サイクル)。得られた抗体を、50mM EDTAを含有する1mLのPBS中に再懸濁し、1:1のPBS/EtOH中の新鮮に調製されたDHAの50mM溶液(最終DHA濃度=1mM~4mM)で処理し、4℃で一晩静置した。
【0557】
抗体/DHA混合物を、50kD MWカットオフスピン濃縮装置を用いて50mM EDTAを含有するPBSにバッファー交換した(3x3mL洗浄、10x濃縮/サイクル)。得られた抗体を、50mM EDTAを含有する1mLのPBS中に再懸濁し、DMA中の10mMマレイミドペイロード(mcMMAD)33μLで処理した。1.5時間静置した後、材料を1mLのPBSにバッファー交換した(上記のように)(3x3mL洗浄、10x濃縮/サイクル)。SECによる精製を(必要に応じて)実施して、凝集した材料を除去した。表15~19の結果をもたらすために用いたmcMMAD、vcMMAD、およびmcMMAFリンカー-ペイロードの構造を、
図10に示し、これはMal-PEG6C2-MMADおよびMal-PEG3C2-MMADも含む。
【0558】
方法Aおよび方法Bの両方を用いる、Fcおよび/またはカッパ(表24;実施例10)定常ドメイン中に操作されたシステインを含む、二重システイン突然変異体の様々なコンジュゲーションのローディング結果を、以下の表19に提供する。
【0559】
【0560】
【0561】
*実施例3に記載のMS方法を用いて、報告されたローディングを測定した。括弧内の数値は、軽鎖上の観察されたローディングにより決定された、非特異的ローディングの見積もり値である。
【0562】
表19からのローディング/特異性データと、
図8および
図9からのHICデータとの組合せは、二重システイン突然変異体を以前に記載の方法Aを用いてコンジュゲートさせた場合の、コンジュゲーション方法Bを用いて達成されたはるかにより均一なローディングと比較した薬物ローディングの不均一性を示す。
【0563】
これらのデータは、本発明の新規システイン突然変異体のローディングにおける潜在的な不均一性を、当技術分野で認識されたコンジュゲーション方法を用いて容易に減少させることができることを示している。したがって、本明細書に開示されるデータは、本発明の新規二重cys突然変異体を様々なリンカーを用いて容易にコンジュゲートさせて、抗体あたりの予測可能な、望ましい数のペイロード部分(すなわち、DAR)を含むほぼ均一なADC、ならびに抗体上のコンジュゲーション部位に関する均一性をもたらすことができることを示している。
【0564】
(実施例9)
5T4操作システイン突然変異体の特徴付け
本実施例における材料および方法は以下の通りである。
【0565】
細胞系:
ヒト5T4抗原を発現するMDAMB435/5T4トランスフェクト細胞およびトランスフェクトされなかった対照MDAMB435/neo細胞を、以前に記載のように調製した(Boghaertら、2008、Int.J.Oncol.32:221~234)。Raji(CCL-86)細胞系を、American Type Culture Collection(ATCC、Manassas、VA)から取得した。ポリメラーゼ連鎖反応マイコプラズマ検出アッセイ(ATCC、Manassas、VA)により決定されたように、細胞系はマイコプラズマを含まないと決定された。
【0566】
細胞系MDAMB453/5T4を、10%ウシ胎仔血清(FBS)、1%MEM非必須アミノ酸および1%MEMビタミン、1mMピルビン酸ナトリウム、ペニシリンGナトリウム100U/ml、硫酸ストレプトマイシン100μg/mlおよび2mM L-グルタミン+1.5mg/mLの選択抗生物質G418を添加したEarl塩を含むMEM培地中で維持した。
【0567】
Raji細胞系を、10%ウシ胎仔血清(FBS)、10mM HEPES(N-2-ヒドロキシエチルピペラジン-N’-2-エタンスルホン酸)、1mMピルビン酸ナトリウム、0.2%グルコース、ペニシリンGナトリウム100U/ml、硫酸ストレプトマイシン100μg/mlおよび2mM L-グルタミンを添加したRPMI1640培地中で維持した。Rajiを用いる前に、生細胞を、Lymphoprep(Nycomed、Oslo、Norway)を用いる密度勾配遠心分離(1000xgで30min)により単離した。
【0568】
マウス:
メスのnu/nu(ヌード)マウス(18~23g)を、Charles River Laboratories、Wilmington、MAから取得した。マウスを用いる全ての手順は、確立された指針に従ってWyeth Animal Care and Use Committeeによって認可された。
【0569】
結合試験:
5T4を発現する細胞、および陰性対照Raji細胞を、非組織培養処理96穴プレート上に500,000細胞/ウェルの密度で播き、氷上で保持した。一次抗体の希釈液を、dPBS(Dulbeccoリン酸緩衝溶液、100mMリン酸、pH7.4)中の3%BSA中で作製し、10μg/mLの最終濃度でプレートに添加した。次いで、プレートを氷上で1時間インキュベートした後、1X DPBSで2回洗浄した。二次抗体であるPEコンジュゲート化ヤギ抗ヒトIgG Fc(Jackson ImmunoResearch Labs#109-115-098)を1:100の希釈率でウェルに添加した。4℃で30分間インキュベートした後、プレートを1X DPBSで2回洗浄した後、FACSortフローサイトメーター(Becton Dickinson Immunocytometry Systems、Sunnyvale、CA)を用いて平均蛍光強度を測定した。
【0570】
調節試験:
結合した抗体の表面提示の喪失により定義される表面結合した抗5T4抗体の調節を、フローサイトメトリーにより評価した。MDAMB435/5T4細胞を、黒色の96穴プレート中、10,000個の細胞で播いた。一次抗体を1μg/mLの最終濃度で添加した。次いで、プレートを氷上で1時間インキュベートし、1X DPBSで2回洗浄した後、さらに1時間、冷たい培地中、4℃でインキュベートした(これを以後「結合プレート」と呼ぶ)。内在化試験のため、内在化プレートを37℃で1、4または20時間インキュベートした。プレートを1X DPBSで1回洗浄した。二次抗体であるペルオキシダーゼコンジュゲート化Affinity Pureヤギ抗ヒトIgG Fc(Jackson ImmunoResearch Labs#109-035-008)を、1:4000の希釈率でウェルに添加した。二次抗体と共に4℃で1時間インキュベートした後、プレートを3回洗浄し、基質であるLumiGLO(登録商標)(カタログ番号54-61-01、Kirkegaard & Perry Labs.、Gaithersburg、MD)を添加した。結合プレートと内在化プレートとの平均相対蛍光の差異を、抗体の内在化を見積もるための結合のパーセンテージとして表した。
【0571】
毒素への抗5T4抗体(突然変異体および親野生型)のコンジュゲーション
野生型親抗5T4抗体(突然変異を含まないヒト野生型IgG1)および単一反応性システインをIgG1 Fc領域中に導入する突然変異を含む新規バリアントの両方に対するmcMMADおよびvcMMADへのコンジュゲーションを、本明細書の他の場所に前記されている(実施例7)。
【0572】
増殖阻害試験:
細胞系に対するADCの効果を、細胞生存能力指示因子アッセイCellTiter96(登録商標)AQueousNon-Radioactive Cell Proliferation Assay(MTS)(Promega、Madison、WI)を用いて評価して、様々なADC処理への曝露後に生存細胞数を決定した。細胞をウェルあたり5,000~10,000個の細胞の密度で96穴マイクロタイタープレート中に播種し、様々な濃度の抗体またはADCに曝露した。薬物曝露の96時間(または37622a一次細胞については240時間)を生き残る生細胞数の決定後、それぞれの処理のIC50を、用量応答曲線から誘導されるロジスティック回帰パラメータに基づいて算出した。IC50を、ロジスティック非線形回帰により算出し、細胞生存能力の50%の喪失を引き起こす各処理群に由来する濃度(nM)として報告する。
【0573】
抗体依存的細胞性細胞傷害性(ADCC)アッセイ:
健康なボランティアからの血液を、ヘパリンナトリウムと共にBD Vacutainer CPT細胞調製チューブ中に採取した。ヒト末梢血単核細胞(PBMC)を収穫し、2.5x107細胞/mlでアッセイバッファー(10mM HEPESを添加したRPMI1640)中に再懸濁した。標的細胞MDAMB435/5T4またはMDAMB435/neo対照細胞を、96穴アッセイプレート中に1x104細胞/ウェルの密度で播種した。抗体またはADCを添加した後、ヒトPBMCエフェクター細胞(5x105個)を、50:1のエフェクター:標的細胞比(E:T)のためにウェル中に分注した。アッセイプレートを、ADCC活性について37℃で4時間インキュベートした。等量のCytoTox-One試薬(Promega)を添加することにより、プレートを収穫した。停止溶液(Promega;50μl)を各ウェルに添加し、乳酸デヒドロゲナーゼ放出を、蛍光強度を測定することにより定量した。陽性対照として、ウェルあたり2μlの溶解バッファーを添加して、対照ウェル中で最大のLDH放出(100%の細胞傷害性)を生成させた。特異的細胞傷害性(%)を、以下の式:
特異的細胞傷害性(%)=実験-自発的エフェクター-自発的標的x100
最大標的-自発的標的
を用いて算出した。
【0574】
式中、「実験」は実験条件の1つにおいて測定されたシグナルに対応し、「自発的エフェクター」はPBMCのみの存在下で測定されたシグナルに対応し、「自発的標的」は標的細胞のみの存在下で測定されたシグナルに対応し、「最大標的」は洗剤で溶解した標的細胞のみの存在下で測定されたシグナルに対応する。
【0575】
実験結果は以下の通りであった。
【0576】
非コンジュゲート化抗5T4バリアントによる細胞上での5T4への結合は、非コンジュゲート化野生型抗5T4親抗体による結合と同等である:
5T4の膜+細胞系MDAMB435/5T4上で発現された5T4への、全て非コンジュゲート化「ネイキッド」抗体である抗5T4 IgG1単一システイン突然変異抗体(L443C、E380C、L398C、V422C、T359C、S254C、S440C、およびK392C)の結合は、
図11に示されるように示された。それぞれの非コンジュゲート化cys突然変異体5T4 Abの結合は、試験した両方の濃度(1μg/mlおよび10μg/ml)で野生型非コンジュゲート化5T4 IgG1 Ab(「wtIgG1」と標識)と類似していた。これらのデータは、ヒトIgG1のこれらの新規位置への操作されたシステインの導入が、抗原を発現する腫瘍細胞への抗体の結合に有意に影響しなかったことを示している。
【0577】
5T4抗原を発現する細胞への結合は、毒性ペイロードにコンジュゲートした新規突然変異システインバリアントADCのコンジュゲーションにより影響されなかった:
本明細書の以前に開示されたデータは、ヒトIgG1の新規位置での操作されたシステインの導入が、突然変異を含まないヒト野生型IgG1 Fc領域を含む野生型抗体の結合と比較した場合、細胞への抗体結合に影響しなかったことを示している。以前の研究により、ヒトIgG1の他の位置で操作されたシステインにコンジュゲートされたビオチンまたは他の低分子が、その抗原に対する抗体結合に影響するとは考えられないことが示された。例えば、WO2011/005481(ビオチン-マレイミドコンジュゲーション);WO2010/141902(システインバリアントとマレイミド色素とのコンジュゲーション);およびWO2006/034488(ビオチン-マレイミドコンジュゲーションが実施されたが、MMAEおよびMMAFへのコンジュゲーションを記載する全ての例が予言的なものに過ぎなかった)を参照されたい。しかしながら、ビオチンなどの非毒性低分子のコンジュゲーションは、これらの研究において典型的に用いられたように、リンカーおよび毒素分子などのはるかにより大きい部分のコンジュゲーションにより媒介される抗体分子の生物学的特性に対する影響を模倣する可能性は低い。成功したADCプラットフォーム抗体は、標的細胞に毒性ペイロードを送達するために、非標的細胞に有意に結合することなく、標的抗原に効率的に結合しなければならないため、本発明の操作された突然変異抗体は毒性ペイロードにコンジュゲートされる間に特異的結合能力を保持することが重要である。したがって、本発明の新規な操作された突然変異抗体が5T4抗原を発現する標的細胞に結合し、5T4陰性細胞には結合しない能力を評価した。以下に示されるように、新規システイン突然変異抗体は、毒素にコンジュゲートされた場合、非コンジュゲート化親抗体の特異的結合特性を保持したが、非特異的結合を示さない。
【0578】
抗体薬物コンジュゲートを、4つの5T4システイン突然変異体:E380C、L398C、L443CおよびV422Cを用いて調製した。それぞれの例において、本明細書の以前に開示されたように突然変異抗体をmcMMADおよびvcMMADにコンジュゲートさせることにより、ADCを調製した(実施例7を参照されたい)。
【0579】
操作されたシステインを介してmcMMADと特異的にコンジュゲートした5T4 ADCの結合を、5T4陽性MDAMB435/5T4細胞系および5T4陰性Raji細胞系上で天然の非コンジュゲート化5T4野生型IgG1親抗体と比較した。その結果を
図11に示す。
図12Aは、5T4-L398C-mcMMAD、5T4-443C-mcMMADおよび5T4-V422C-mcMMADに関する、5T4陽性細胞系へのADCの結合が、試験した3つのADC濃度(1、3および10μg/kg)の平均で、天然の非コンジュゲート化5T4抗体のものと類似していたことを示すグラフを示す。これらのデータは、これらの新規5T4システイン突然変異抗体の各々へのリンカーおよびペイロードのコンジュゲーションが、細胞上の5T4抗原に結合するその能力に有意に影響しなかったことを示している。
図12Bに示されるデータは、それぞれのADCが、5T4陰性Raji細胞系への無視できる程度の結合を示すことを示し、それによって、システイン突然変異抗体へのリンカーおよびペイロードのコンジュゲーションが親野生型IgG1抗体と比較して5T4結合特性に影響しないことを示す。
【0580】
cys突然変異ADCの内在化は親野生型IgG1抗体と同等である:
ADC活性の別の重要な特性は、細胞内リソソームコンパートメントに毒性ペイロードを送達するために毒素にコンジュゲートされる間に迅速に内在化されることである。再度、以前の研究により、低分子ビタミンビオチンにコンジュゲートされる間に内在化される意図される新規ADCの能力が示された。本発明の新規システイン突然変異ADCを、より厳密で適切な試験にかけて、同じリンカー-ペイロード組合せに従来通りコンジュゲートされた野生型IgG1を含む親抗体の内在化と比較した場合に、それらが同等の効率で真の代表的なリンカーおよび細胞傷害性ペイロードの組合せ(例えば、mcMMAD)にコンジュゲートされる間に内在化されるかどうかを決定した。本明細書に開示される結果は、新規Cys突然変異ADCが、親対照ADCと同等の効率で内在化されたことを示している。
【0581】
非コンジュゲート化5T4-IgG1親抗体またはCys突然変異ADC(それぞれmcMMADにコンジュゲートされたE380C、L398C、L443CおよびIgG1親抗体)を、2.25μg/mlの濃度で37℃で4時間、MDAMB435/5T4細胞と共にインキュベートした場合、ADCは、
図13に示される結果により示されるような時間依存的様式で調節された(すなわち、細胞膜で最早検出されなかった点で内在化された)。4時間で、約65%の非コンジュゲート化親抗5T4抗体またはADCが内在化された(範囲はL398Cについての70%の高さから、L443Cについての54%の低さであった)。これらの結果は、5T4抗原に結合する5T4抗体が比較的速い様式で内在化し、リンカーおよび毒素ペイロードへの4つの突然変異抗5T4 Abのコンジュゲーションが非コンジュゲート化5T4 Abと比較してその内在化に有意に影響せず、突然変異抗5T4 ADCが非突然変異(天然)5T4-mcMMAD ADC(「A1-IgG1mcMMAD」と命名)と等しい程度で内在化することを示している。したがって、これらのデータは、ビオチンだけでなく、細胞傷害性ペイロードおよびリンカーへのコンジュゲーションが、非コンジュゲート化抗5T4 cys突然変異抗体または従来の方法によりMMADペイロードにコンジュゲートされた野生型IgG1 Fc領域を含む親抗体と比較して、cys突然変異ADCが内在化される能力に影響しないことを示している。
【0582】
cys突然変異ADCの細胞傷害性は親野生型ADCと同等であった:
ADCプラットフォームも試験して、それが標的細胞に対する細胞傷害効果を媒介することができるが、非標的細胞には有意に影響しないかどうかを決定した。すなわち、ADCは、細胞傷害性ペイロードを担持しながら、標的細胞には依然として特異的に結合しなければならないが、非標的細胞には有意に結合せず、次いで、それは、ごく近いところにあり得る非標的細胞を取っておきながら標的細胞に対する細胞傷害効果を媒介するコンパートメントにペイロードを内在化させ、送達しなければならない。本発明の新規ADCを、この試験にかけたところ、以下に示されるように、真のリンカーおよびペイロード(非毒性ビタミンビオチンだけではない)を担持しながら標的細胞に結合することができ、内在化され、非標的細胞に影響することなく、標的細胞に対する細胞傷害効果を媒介することができた。この効果は、野生型IgG1 Fc領域を含む親抗体と同等であった。
【0583】
表20に記載の結果は、5T4 Cys突然変異mcMMADおよびvcMMAD ADCがそれぞれ、5T4を発現する細胞系MDAMB435/5T4(5T4発現が高い)およびMDAMB-468(中程度に5T4を発現するHER2耐性細胞系)の増殖を阻害することができた。同じADCは、5T4陰性Raji細胞上でも大部分は不活性であることが観察された。二重Cys突然変異体上への薬物のローディングの増加は、MDAMB435およびMDAMB-468細胞系の増殖の阻害の効力の検出可能な増加に反映される。vcMMADのコンジュゲートしたCys突然変異Abは、5T4+細胞における増殖の阻害においてmcMMAD ADCよりも約10倍強力であった。vcMMAD ADCはより不安定なカテプシン感受性vcリンカーに連結され、したがって、より安定に連結されたmcMMAD ADCよりも細胞増殖の阻害においてより活性が高い。不安定になるほど、vc連結ADCも動物において毒性が高くなる傾向がある。両方のリンカー型はADCとして診療所で試験された。これらのデータは、本発明の新規cys突然変異体が、DARの正確な化学量論で細胞傷害性ペイロードを送達することができる効率的で均一なADCの生成のための効率的なプラットフォームを提供し、それによって、治療効果を提供することを示している。これらのADCについて観察された細胞傷害性は、抗原発現および抗体ローディング(DAR)に依存する。
【0584】
【0585】
表21は、ペイロードmcMMADにコンジュゲートした抗Her2突然変異体の細胞傷害性を示す。開示されるデータは、抗Her2 Fc突然変異体ならびにmc、MalPeg6C2およびMalPeg3C2リンカーを介してMMADにコンジュゲートされたFcおよびカッパ鎖二重突然変異体の細胞傷害性をさらに示す。再度、二重突然変異体のローディングの増加は、Her2発現細胞系BT474およびN87(両方ともHer2を高く発現すると考えられる)に対する効力の増加により反映される。ADCは、非Her2発現細胞系(MDA-MB468)に対して100~1000倍低い活性であった。これらのデータは、開示された突然変異部位を、様々なリンカーおよびペイロードを用いて、異なる抗体プラットフォーム(5T4およびHer2に結合する抗体)間で効率的に移動させることができることを示す。したがって、これらのデータは、本発明の新規cys突然変異体が広く有用であり、一般に、抗体プラットフォームおよびリンカーおよびペイロードにわたって適用可能であり、本明細書に例示される抗体、リンカーおよびペイロードに限定されないことを示している。
【0586】
【0587】
エフェクター機能(ADCC)はヒトIgG1 Fc領域中の新規cys突然変異によって影響されない:
IgG1のFc領域は、抗体に対するさらなる治療効果を提供することができるADCCなどの望ましいエフェクター機能を媒介することができる。したがって、本発明のcys突然変異抗体のエフェクター機能、例えば、ADCCを媒介する能力を、以下のように評価した。
【0588】
本明細書に開示されるデータは、Cys突然変異5T4抗体(E380C、L398C、V422C、L443C)および野生型IgG1を含む天然5T4抗体が、それぞれ、健康なボランティアに由来するヒトエフェクター細胞(E)を用いて5T4陽性MDAMB435/5T4標的細胞(T)に対する用量依存的ADCC活性を媒介したことを示す(
図14A)。MDAMB435neo細胞(5T4+/-)に対しては、ADCC活性を媒介するための5T4抗原の標的化要件を示すAbのいずれについても活性は観察されなかった(
図14B)。これらのデータは、本明細書に開示される新規位置での反応性システインの導入が、ヒトIgG1 Fc領域のエフェクター機能、例えば、ADCCを媒介する能力に影響しないことを示している。エフェクター機能は、治療的利益を提供することが知られており、それによって、本発明の突然変異体の潜在的な治療的有用性をさらに強調している。
【0589】
cys突然変異ADCの薬物動態は、親野生型IgG1抗体と同等である:
5T4抗体のみ、5T4-mcMMAD ADC(従来のcysコンジュゲーション)または様々な5T4cys突然変異mcMMAD ADCの単回3mg/kgIV用量を与えたメスのnu/nuマウス(腫瘍を担持しない)において、野生型IgG1 Fc領域およびペイロード(ADC)に特異的にコンジュゲートしたヒトcys突然変異抗5T4抗体部位を含むヒト抗5T4抗体の薬物動態パラメータを決定するための研究を行った。個々の動物からの血液試料を、投与後最大で336時間までの様々な時点で採取し、ELISAに基づくアッセイを用いて5T4抗体およびコンジュゲートの濃度について分析した。
【0590】
この研究においては、5T4非コンジュゲート化抗体(表22)および部位特異的にコンジュゲートしたADC(表23)の全身クリアランスは、従来のシステインコンジュゲーションADCのクリアランスと比較して遅かった。5T4抗体に対する曝露(AUC)値は、表22に示されるように、5T4-mcMMAD(従来のcysコンジュゲーション)を投与したものと比較して、5T4-L398C-mcMMAD、5T4-V422C-mcMMAD、5T4-L443C-mcMMADおよび5T4-E376-CmcMMADを与えたマウスにおいて、それぞれ約85%、74%、61%および43%高かった。
【0591】
【0592】
コンジュゲート(ADC)濃度を評価する場合、曝露値は、表23に示されるように、5T4-mcMMAD(従来のシステインコンジュゲーション)ADCを投与したものと比較して、5T4-L398C-mcMMAD、5T4-V422C-mcMMADおよび5T4-L443C-mcMMADを与えたマウスにおいて、それぞれ約58%、61%および55%高かった。5T4-E380C-mcMMADのADC曝露は、従来のADC(5T4-mcMMAD)よりも低かった(-9%)。
【0593】
【0594】
従来のADCと比較して特定のシステイン突然変異ADC(例えば、5T4-L443C-mcMMAD)のより高い曝露は、PKパラメータの改善が操作されたシステインの位置により決定されるペイロードコンジュゲーションの部位に依存することを示す。したがって、本発明の特定の操作されたシステイン位置を介して新規部位特異的コンジュゲーション法を用いて生成されたADCの投与は、従来のADCと比較して標的腫瘍部位への細胞傷害性ペイロードのより効率的な送達をもたらすことができる。
【0595】
(実施例10)
部位特異的コンジュゲーションのための反応性システインを含む操作されたカッパ定常領域
反応性システインを操作するための部位を、部位特異的コンジュゲーションのための位置の多様性を拡張し、操作されたカッパ領域を選択された単一Fc領域システイン突然変異体と組み合わせることにより抗体あたり4個の毒性ペイロードのコンジュゲーションを可能にするカッパ軽鎖定常領域中で選択した。カッパ定常領域中の操作されたシステインの好ましい位置は、9.5~11.5の予測されたpKa値および15~60Å2の予測された側鎖溶媒接近性を有し、この特性は限定されるものではないが、Q347C、E380C、K392CおよびL443Cなどの本明細書の以前に開示された最も上手くいくコンジュゲート化システイン突然変異体を模倣することが予測される。
【0596】
特性予測を、いくつかのカッパドメイン結晶構造に対して実施したが、複数の構造上に最適な特性予測を与える位置(2R8Sおよび1N8Z;それぞれ、Yeら、2008、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 105:82~87およびChoら、2003、Nature 421:756~760)が好ましかった。それぞれの位置を、最初にその位置をシステインに突然変異させ、SCWRL4を有する回転異性体を予測し(Krivovら、2009、Proteins 77(4):778~795)、次いで、特に、SpassovおよびYan、2008、Protein Sci.17:1955~1970に開示されたものなどの方法を用いてシステイン側鎖pKaを予測し、Discovery Studio 3.0(Accelrys,Inc.、San Diego、CA)を用いて側鎖溶媒接近性を予測することにより、それぞれの結晶構造中で検査した。表24は、アミノ酸残基がチオール反応性部位特異的コンジュゲーションのためにシステインに突然変異された野生型内因性ヒトカッパ定常領域と比較した突然変異の位置を記載する。表24は、ヒトカッパ残基が反応性システインで置きかえられた位置を示す。位置は、Kabatら(1991、NIH Publication 91-3242、National Technical Information Service、Springfield、VA)に記載のKabatの番号付けシステムにより定義されたものであり、したがって全ての位置はKabatのシステムに従って番号付けられる。
【0597】
【0598】
(実施例11)
単一システイン操作ヒトカッパ定常領域抗Her2抗体の生成
表24に示されたこれらの新規位置に操作された単一システインを含むヒトカッパ定常領域を、さらなる評価のために抗Her2抗体(例示的Her2抗体のVHおよびVLドメインのアミノ酸配列を、それぞれ
図17Cおよび17Dに示す)に組み込んだ。抗Her2抗体ヒト野生型カッパ定常領域をコードする核酸を、制限酵素消化により発現ベクターから除去し、T4 DNAリガーゼ(New England Biolabs Inc.、Ipswich、Massachusetts)を用いて単一操作システイン残基を含むヒト軽鎖定常カッパ領域をコードする核酸と置きかえた。得られた核酸を、それぞれの構築物について配列確認した。これらのデータは、定常領域中に反応性システインを導入するための突然変異を含む操作されたカッパ軽鎖をコードする核酸が生成されたことを示している。
【0599】
(実施例12)
一過的HEK-293発現系からの抗Her2抗体単一システイン操作ヒトカッパバリアントの生成
コンジュゲーション研究のための十分な材料を生成するため、およびバリアントをより大量に生成することができるかどうかを決定するために、10Lのウェーブバッグ中のHEK-293細胞に、標準的な方法を用いて以前に記載された6つの抗Her2単一システインカッパ操作抗体バリアントをコードする重鎖および軽鎖DNAを一過的に同時トランスフェクトした。次に、単一システインカッパバリアント抗体を、標準的な2ステップ精製戦略、プロテインA親和性捕捉、次いで、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を用いて精製した。表25に示されるこれらの結果は、許容できるレベルの高分子量(HMW)凝集種が6つ全部の単一システインカッパバリアントについてプロテインA樹脂からの溶出後に検出されたこと、およびこのHMW種をサイズ排除クロマトグラフィーを用いて除去することができることを示している。最終的な精製された単一システイン操作カッパ抗Her2抗体タンパク質調製物は、4℃で1週間保存した場合、または3回の凍結/解凍サイクルにかけた場合、高分子量凝集種を形成しないことが示された(表25)。
【0600】
【0601】
一過的HEK-293発現系における抗Her2単一システイン操作カッパ抗体バリアントの概要を示す。これらのデータは、反応性システインを導入するための、A111、K183およびN210に突然変異を含む操作されたカッパ軽鎖を、抗体収率および凝集する傾向に対する有意な効果なしに容易に生成することができることを示している。
【0602】
(実施例13)
操作されたADCのin vitroでの安定性
マレイミド-システイン連結の安定性は、近年大変興味深い分野になっている。最近の報告により、マレイミドをin vitroおよびin vivoの両方において外因性チオール求核試薬に移すことができる(例えば、Shenら、2012、Nature Biotech.30(2):184~185を参照されたい)。ADCの安定性を評価するため、およびin vivoでの評価のための試料を優先させるため、過剰の水性グルタチオン(GSH)または血漿を用いるマレイミド連結ADCの処理を含む新規アッセイを開発した。反応混合物のアリコートを、様々な時点で分析して、ADCのローディングを決定した。以下に記載されるこの方法を用いて、mcMMADおよび他のペイロード-リンカーに連結された本発明の一連のシステイン突然変異抗体の安定性を評価した。結果は、薬物-抗体連結がGSH依存的様式でゆっくりと切断されることを示している(表26)。重要なことは、切断の速度が改変部位に高度に依存し、それによって、安定性に基づくシステイン突然変異体の順位付けが可能になることである。表26に示されるGSH安定性アッセイ結果は、特定の突然変異体(例えば、E388CおよびL443C)が他の突然変異体(例えば、E380CおよびV422C)よりも有意に安定であることを示している。
【0603】
アッセイプロトコール:
PBS中のADC試料(30μg)を、グルタチオン(GSH)溶液と混合して、0.5mMおよび3mg/mLのタンパク質濃度のGSHの最終濃度を生成した。対照試料(GSHを含まない)を、PBS中で3mg/mLに希釈した30μgのADCから同様に調製した。GSH処理されたADC試料および対照ADC試料を37℃でインキュベートし、0、3および6日目でサンプリングした。アリコートを過剰のTCEPで還元し、10%アセトニトリルを含む0.1%ギ酸溶液を添加することにより酸性化し、以下に記載のようにLC/MSによりローディングについて分析した。
【0604】
試料分析:Waters Xevo G2 Q-TOF質量分析装置と一体化したAgilent 1100キャピラリーHPLCを用いて、分析を実施した。分析物を、0.1%ギ酸と共にZorbax Poroshell 300SB C8カラム(0.5mmX75mm、80℃で維持)上にロードし、5.5分かけて20μl/minの流量で20~40%のバッファーB(80%のアセトニトリル、18%の1-プロパノール、0.1%のギ酸を含む2%の水)の勾配を用いて溶出させた。質量分析検出を、3.3kVに設定されたキャピラリー電圧と共にポジティブ、感受性モードで実行した。データ分析をMassLynx中のMaxEnt1機能を用いて実施し、強度を、以前に記載された式(すなわち、本明細書の他の場所に以前に記載された式1)に基づくローディング計算のために用いた。分析の結果を以下の表26に示す。
【0605】
【0606】
【0607】
(実施例14)
部位特異的コンジュゲーションのための反応性システインを含む操作されたラムダ定常領域
本明細書に開示されるラムダ軽鎖定常領域中で選択される操作された反応性システインは、部位特異的コンジュゲーションのための位置の多様性を拡張し、操作されたラムダ領域を選択された単一Fc領域システイン突然変異体と組み合わせることにより、抗体あたり4個の毒性ペイロードのコンジュゲーションを可能にする。本発明のラムダ定常領域中の操作されたシステインのための好ましい位置は、9.5~11.5の予測されたpKa値を有し、15~60Å2の予測された側鎖溶媒接近性を有する。いかなる特定の理論によっても束縛されることを望むものではないが、これらの特性は、限定されるものではないが、以下の位置:Q347C、E380C、K392C、およびL443Cで操作された重鎖定常ドメインシステインなどの、本明細書の以前に開示された好ましいコンジュゲート化システイン突然変異体と共有されている。
【0608】
望ましい特性の予測を、いくつかのラムダドメイン結晶構造に対して実施したが(それぞれ、Chanら、2009、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 106:9820~9825およびTeplyakovら、2009、J.Mol.Bio.389:115~123に記載された、2つの非公開の構造、+PDBエントリー3H42および3G6A)、複数の構造に対して最適な特性予測を与える位置が好ましかった。それぞれの位置を、最初にその位置をシステインに突然変異させ、SCWRL4を有する回転異性体を予測し(Krivovら、2009、Proteins 77(4):778~795)、次いで、(特に、SpassovおよびYan、2008、Protein Sci.17:1955~1970に記載のものなどの方法を用いて)システイン側鎖pKaを予測し、Discovery Studio 3.0(Accelrys,Inc.、San Diego、CA)を用いて側鎖溶媒接近性を予測することにより、それぞれの結晶構造中で検査した。表27は、アミノ酸残基がチオール反応性部位特異的コンジュゲーションのためにシステインに突然変異された野生型内因性ヒトラムダ定常領域と比較した突然変異の位置を記載する。表27は、ヒトラムダ残基が反応性システインで置きかえられた位置を示す。位置は、Kabatら(1991、NIH Publication 91-3242、National Technical Information Service、Springfield、VA)に記載のラムダ番号付けシステムにより定義されたものであり、全ての位置はKabatのシステムに従って番号付けられる。
【0609】
【0610】
(実施例15)
部位特異的コンジュゲーションのための操作された抗体のin vivoでの特徴付け
本発明の様々な部位特異的コンジュゲート化ADCのin vivoでのPKパラメータを、マウスモデルにおいて評価した。簡単に述べると、MalPeg6C2_Aurリンカー-ペイロード(ここで、「Aur」は、「8261」とも呼ばれ、あたかも全体が本明細書に記載されたかのように参照により本明細書に組み込まれる2012年11月7日に出願された国際特許出願PCT/IB2012/056224に開示された特許で守られたオーリスタチンペイロードである)を用いてmcMMADをロードされた様々な部位特異的抗Her2コンジュゲート化ADCのPKを決定し、その結果を
図21に示す。コンジュゲーションに用いた部位(Fc C347、Fc C421、カッパ183、Fc C388、Fc C443、Fc C398+C443、およびFc C392+C443)に関係なく部位特異的ADCについて有意な検出可能なPKの差異は観察されなかった(
図21A)。
図21Bに開示されるデータは、部位特異的コンジュゲートが少なくとも約70%のADC/抗体AUC比を示し、従来のコンジュゲートについて典型的に観察されるものと違って、大部分がほぼ100%であったことを示す。ADC AUCと抗体AUCとの比は、典型的にはより低く、40~60%の範囲であった。本明細書に開示されるデータは、2つの二重操作された(すなわち、DAR=4)MalPeg6C2_Aur部位特異的ADC(L398C+L443CおよびK392C+L443C)は、単一操作されたADC(DAR=2)と同等のPKを示したことを示している。両方の型の部位特異的ADCは、ADC/抗体比の有意な改善を示した。さらに、抗Her2-mcMMADのPKデータは、抗5T4抗体上で同等のADCについて決定されたPKパラメータと相関していたが、これは、操作されたシステイン位置を複数の抗体プラットフォームにわたって使用して、安定なコンジュゲートを生成することができることを示唆している。
【0611】
N87胃がんモデル
選択されたリードである特許で守られたリンカー-ペイロードとコンジュゲートさせた、抗Her2-L443C ADCバリアントの有効性を、in vivoでのN87胃がんモデルにおいて決定した。結果は、抗体あたり約50%より低いローディングにも拘らず、従来の非部位特異的コンジュゲートの組織学的データと比較して、抗Her2-L443C-Mal-Peg6-C2-MMAD(
図22A)、抗Her2-L443C-MalPeg6C2-Aur(
図22B)および抗Her2-L443C-vc0101(国際特許出願PCT/IB2012/056224に開示された新規細胞傷害性化合物)(
図22C)のADCに関する同等のin vivoでの有効性を示す。すなわち、抗Her2-L443C ADCの平均は、従来の非特異的抗Her2コンジュゲート(T-DM1;薬物メイタンシノイド1)に関するDAR=4と比較してDAR=2である。
【0612】
DYT2異種移植腫瘍モデル
抗Her2部位特異的コンジュゲート化ADCの有効性を、別の腫瘍モデルにおいて評価した。8つのMalPeg6C2-Aur操作された部位特異的システイン突然変異体ADCを、DYT2異種移植モデルにおいて1mg/kgで従来のコンジュゲートと比較し、その結果を
図23に示す。この研究からのデータは、L443C、K388C、およびN421C単一突然変異体ならびにL398C+L443C二重突然変異体が、従来のコンジュゲートと比較して同等の効力を有することを示していた。しかしながら、K392C+L443C二重突然変異体、ならびにQ347Cおよびカッパ-K183C単一突然変異体は、従来のコンジュゲートほど有効ではなかった(
図23)。全体として、様々なリンカー-ペイロード組合せを用いる部位特異的にコンジュゲートされたADCのin vivoでの効力は、従来のコンジュゲートについて観察されるものと同等である。
【0613】
in vivoでの毒性試験
N87胃がんモデルにおいて抗Her2-L443C-vc0101、抗Her2-MalPeg6C2-MMADおよび抗Her2-MalPeg6C2-Aurコンジュゲートを用いて、ラット毒性試験を実施した。本発明の1つの部位特異的コンジュゲート、L443C-vc0101は、試験した最も高いペイロード用量で、従来のようにコンジュゲートされたHer2-vc0101よりも良好な毒性プロファイルを示した。同様に、Her2-L443C-MalPeg6C2-Aur部位特異的ADCについて、従来のコンジュゲートと比較してわずかであるが、より顕著な安全性の改善も観察された。
【0614】
部位特異的コンジュゲート化ADCに関する治療指数(TI)値の決定
従来のコンジュゲートと、本発明の部位特異的コンジュゲート化mcMMAD、vc0101およびmcAur抗Her2コンジュゲートとの治療指数(TI)値を決定し、その結果を
図23に示す。ラット毒性試験からのcNOAEL(連続応答変数に基づく統計的に誘導された無有害作用量)と、腫瘍静止濃度(TSC)と定義される有効性との比を用いることにより、TI値を決定した。抗Her2部位特異的L443C-vc0101 ADCは、従来のようにコンジュゲートされたADCと比較してTI値の2倍を超える増加を示した。これは、安全性の6倍の増加(cNOAELの改善)で相殺された有効性(TSC)の3倍の低下に起因するものであった。本明細書に開示されるデータは、本発明の新規部位特異的抗体コンジュゲートを、vc0101などの特定のリンカー-ペイロード組合せと共に用いることができ、それは従来のようにコンジュゲートされた抗体よりも良好な治療域を示すことができることを示唆する。
【0615】
本明細書に開示されるデータは、部位特異的コンジュゲーションを可能にするために反応性システインを操作するための新しく同定された位置により、複数の抗体、ペイロードおよびリンカープラットフォームにわたる従来のコンジュゲートと比較して、改善されたPKおよびTIと共に安定で有効なADCが得られた。
【0616】
本明細書で引用されたそれぞれの、および全ての特許、特許出願、および刊行物の開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0617】
本発明を特定の実施形態を参照して開示してきたが、当業者であれば、本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく、本発明の他の実施形態および変更を考案することができることが明らかである。添付の特許請求の範囲は、あらゆるそのような実施形態および等価な変更を含むと解釈されることが意図される。
【配列表】