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特許7165178(1R,2R,5R)-5-アミノ-2-メチルシクロヘキサノール塩酸塩の合成方法及びそれに有用な中間体
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  • 特許-(1R,2R,5R)-5-アミノ-2-メチルシクロヘキサノール塩酸塩の合成方法及びそれに有用な中間体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-25
(45)【発行日】2022-11-02
(54)【発明の名称】(1R,2R,5R)-5-アミノ-2-メチルシクロヘキサノール塩酸塩の合成方法及びそれに有用な中間体
(51)【国際特許分類】
   C07C 209/56 20060101AFI20221026BHJP
   C07C 211/40 20060101ALI20221026BHJP
   C07C 215/44 20060101ALN20221026BHJP
   C07C 213/02 20060101ALN20221026BHJP
【FI】
C07C209/56
C07C211/40
C07C215/44 CSP
C07C213/02
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020200723
(22)【出願日】2020-12-03
(62)【分割の表示】P 2018503482の分割
【原出願日】2016-07-22
(65)【公開番号】P2021046426
(43)【公開日】2021-03-25
【審査請求日】2020-12-28
(31)【優先権主張番号】62/196,363
(32)【優先日】2015-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509307635
【氏名又は名称】セルジーン コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】テレンス ジョセフ コノリー
(72)【発明者】
【氏名】ホン‐ワフ マン
(72)【発明者】
【氏名】ペリヤンディ ナガラジャン
(72)【発明者】
【氏名】チンナピライ ラジェンディラン
(72)【発明者】
【氏名】ジャスティ ヴェンカテスワルル
【審査官】前田 憲彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-214039(JP,A)
【文献】特開2014-031327(JP,A)
【文献】特表2014-514322(JP,A)
【文献】国際公開第2004/063141(WO,A1)
【文献】Journal of the American Chemical Society,2014年,136(38),p.13178-13181,Supporting Information
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 211/00
C07C 209/00
C07C 213/00
C07C 215/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式()の化合物の調製方法であって、
【化1】
(a)溶媒中でルイス酸の存在下において、式(1)の化合物
【化2】
を式(2)の化合物
【化3】
と接触させ、式(3)の化合物を提供すること
【化4】
(b)ステップ(a)の式(3)の化合物を塩基性水溶液と接触させて、式(4)の化合物を提供すること
【化5】
(c)有機溶媒中でステップ(b)の式(4)の化合物をDMF及び塩素化剤と接触させ、その後、得られた酸塩化物誘導体をアンモニア水溶液で処理して、式(5)の化合物を提供すること
【化6】
(d)ステップ(c)の式(5)の化合物をNaOH及びNaOClの水溶液と接触させて、式(6)の化合物を提供すること
【化7】
(e)溶媒中でステップ(d)の式(6)の化合物を(+)-ジベンゾイル-D-酒石酸一水和物と接触させて、式(7)の化合物を提供すること
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記ルイス酸がAlClである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(a)において、前記溶媒がDCMである、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2015年7月24日に出願された米国仮出願第62/196,363号に
対する優先権の利益を主張し、その全体を参照により及びあらゆる目的のために本明細書
に援用する。
【0002】
本明細書では、(1R,2R,5R)-5-アミノ-2-メチルシクロヘキサノール塩
酸塩を作製するための方法及び中間体を提供するが、これらは、JNK経路に関連する疾
患、障害、または病態の治療に有用な化合物の調製に有用である。
【背景技術】
【0003】
異常なタンパク質リン酸化と疾患の原因または結果との間の関係が20年間以上知られ
ている。したがって、タンパク質キナーゼが非常に重要な一群の薬剤標的となっている。
(Cohen, Nature, 1:309-315 (2002), Gaeste
l et al. Curr.Med.Chem.14: 2214-223 (200
7); Grimminger et al. Nat. Rev. Drug Dis
c. 9(12):956-970 (2010)を参照)。様々なタンパク質キナーゼ
インヒビターが、多様な疾患、例えば癌ならびに関節リウマチ及び乾癬をはじめとした慢
性炎症性疾患などの治療において臨床的に用いられている。(Cohen, Eur.
J. Biochem., 268:5001-5010 (2001); Prote
in Kinase Inhibitors for the Treatment o
f Disease: The Promise and the Problems,
Handbook of Experimental Pharmacology,
Springer Berlin Heidelberg, 167 (2005)を参
照)。
【0004】
JNKは普遍的に発現されるセリン/スレオニンキナーゼであり、ERK(細胞外調節
キナーゼ)及びp38とともに分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)のフ
ァミリーに属する。(Kyriakis JM, Sci. STKE (48):pe
1 (2000); Whitmarsh AJ, et al. Sci. STKE
(1):pe1 (1999); Schramek H, News Physio
l. Sci.17:62-7 (2002); Ichijo H, Oncogen
e 18(45):6087-93 (1999))。MAPKは細胞表面から核へのシ
グナル伝達の重要な媒介物であり、リン酸化カスケードを用いて、転写因子をはじめとす
る選択された細胞内タンパク質のリン酸化によって、外部刺激に対して細胞による調和の
とれた反応を引き起こす。加えて、JNKは非核タンパク質、例えばIRS-1及びBc
l-2ファミリーメンバーもリン酸化する。(Davis RJ, Trends Bi
ochem. Sci. 9(11):470-473 (1994); Seger
R et al., FASEB J.; 9(9):726-35 (1995);
Fanger GR et al., Curr. Opin. Genet. Dev
.; 7(1):67-74 (1997))。
【0005】
タンパク質キナーゼ経路の複雑さならびに様々なタンパク質キナーゼ及びキナーゼ経路
の中の及びそれらの間の関係及び相互作用の複雑さの解明により、複数のキナーゼまたは
複数のキナーゼ経路に対して有益な活性を有するタンパク質キナーゼモジュレーター、レ
ギュレーターまたはインヒビターとして作用することのできる医薬品の開発の重要性が浮
き彫りとなっている。JNK経路のインヒビターである2-(tert-ブチルアミノ)
-4-((1R,3R,4R)-3-ヒドロキシ-4-メチルシクロヘキシルアミノ)-
ピリミジン-5-カルボキサミドという化学名の化合物(代替名2-[(1,1-ジメチ
ルエチル)アミノ]-4-[[(1R,3R,4R)-3-ヒドロキシ-4-メチルシク
ロヘキシル]アミノ]-5-ピリミジンカルボキサミド;本明細書では「化合物I」と呼
ぶ)が、2013年1月31日に公開された米国特許出願公開第2013/002998
7号、国際公開第WO2012/145569号及び2015年1月29日に出願された
米国特許出願第14/608,314号に開示されており、それぞれの全体を参照により
本明細書に援用する。したがって、化合物Iの調製のための新規プロセスが依然として必
要とされている。
【0006】
本出願の第2節におけるいかなる参考文献の引用または指定も、その参考文献が本出願
の先行技術であるという自認と解釈されるべきではない。
【発明の概要】
【0007】
本明細書では、化合物Iの調製に有用なプロセス及び中間体を提供する。
【化1】
これは、2-(tert-ブチルアミノ)-4-((1R,3R,4R)-3-ヒドロキ
シ-4-メチルシクロヘキシルアミノ)-ピリミジン-5-カルボキサミドという名称を
有し、JNK経路に関連する疾患、障害、または病態の治療に有用である。
【0008】
特に、本明細書では、式(A)の化合物を作製するためのプロセスを提供する。
【化2】
これは、(1R,2R,5R)-5-アミノ-2-メチルシクロヘキサノール塩酸塩とい
う名称を有する。
【0009】
式(A)の化合物の調製方法を提供するが、
【化3】
この方法は以下のステップを含む。
(a)溶媒中でルイス酸の存在下において、式(1)の化合物
【化4】
を式(2)の化合物
【化5】
と接触させて、式(3)の化合物を得ること
【化6】
(b)ステップ(a)の式(3)の化合物を塩基性水溶液と接触させて、式(4)の化合
物を得ること
【化7】
(c)有機溶媒中でステップ(b)の式(4)の化合物をDMF及び塩素化剤と接触させ
、その後、得られた酸塩化物誘導体をアンモニア水溶液で処理して、式(5)の化合物を
得ること
【化8】
(d)ステップ(c)の式(5)の化合物をNaOH及びNaOClの水溶液と接触させ
て、式(6)の化合物を得ること
【化9】
(e)溶媒中でステップ(d)の式(6)の化合物を(+)-ジベンゾイル-D-酒石酸
一水和物と接触させて、式(7)の化合物を得ること
【化10】
(f)ステップ(e)の式(7)の化合物を塩基性水溶液と接触させ、その後、得られた
遊離塩基を有機溶媒中にてBocOで処理して、式(8)の化合物を得ること
【化11】
(g)溶媒中でステップ(f)の式(8)の化合物を還元剤、キラル補助剤及びルイス酸
の混合物と接触させ、その後、塩基の存在下において酸化剤で処理して、式(9)の化合
物を得ること
【化12】
ならびに
【0010】
(h)溶媒中でステップ(g)の式(9)の化合物を塩酸溶液と接触させて、式(A)
の化合物を得ること。一実施形態において、ステップ(a)のルイス酸はAlClであ
る。さらなる実施形態において、ステップ(a)の溶媒はDCMである。一実施形態にお
いて、ステップ(b)の塩基はNaOHである。一実施形態において、ステップ(c)の
塩素化剤はSOClである。さらなる実施形態において、ステップ(c)の有機溶媒は
DCMである。一実施形態において、ステップ(e)の溶媒はMeOHである。一実施形
態において、ステップ(f)の塩基はNaOHである。さらなる実施形態において、ステ
ップ(f)の有機溶媒はDCMである。一実施形態において、ステップ(g)の還元剤は
NaBHである。さらなる実施形態において、ステップ(g)のキラル補助剤はα-ピ
ネンである。特定の実施形態において、ステップ(g)のルイス酸はBF・EtOで
ある。別の特定の実施形態において、ステップ(g)の溶媒はTHFである。さらに別の
実施形態において、ステップ(g)の酸化剤はHである。特定の実施形態において
、ステップ(g)の塩基はNaOHである。一実施形態において、ステップ(h)の溶媒
はIPAである。
【0011】
ある態様において、化合物Iは、キナーゼ、例えばJNK1またはJNK2を発現する
細胞中で当該キナーゼを阻害するのに有用である。他の態様において、化合物Iは、本明
細書に記載するように、JNK経路の阻害によって治療可能または予防可能な病態を治療
または予防するのに有用である。別の態様において、化合物Iは、間質性肺線維症、全身
性硬化症、強皮症、慢性移植腎症、抗体関連型拒絶反応、または狼瘡から選択される1つ
以上の障害を治療または予防するのに有用である。さらなる別の態様において、化合物I
は、本明細書に記載するように、肝臓線維性障害、または肝臓線維性障害につながる糖尿
病及び/または代謝症候群を治療または予防するのに有用である。
【0012】
本実施形態は、発明を実施するための形態及び実施例を参照することによってより完全
に理解することができるが、これらは非限定的な実施形態を例示することを意図するもの
である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】DO中での化合物(A)のH NMRスペクトルを示す。
【0014】
図2】DO中での化合物(A)の拡大した(約0.2~3.6ppm)H NMRスペクトルを示す。
【0015】
図3】化合物(A)のHPLCクロマトグラムを示す。
【0016】
図4】化合物(A)のキラルGCクロマトグラムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
定義
ここで、ならびに明細書及び添付の特許請求の範囲で用いる場合、不定冠詞「a」及び
「an」ならびに定冠詞「the」は、文脈上そうでないことが明らかでない限り、単数
形に加えて複数形の指示対象を含む。
【0018】
本明細書で用いる場合、別途明記しない限り、用語「約」及び「およそ」は、プロセス
の成分の量または重量パーセントに関連して用いる場合、明記した量、または重量パーセ
ントから得られるものと等価な効果をもたらすと当業者によって認識される量または重量
パーセントを意味する。ある実施形態において、用語「約」及び「およそ」は、この文脈
で用いる場合、明記した量または重量パーセントの30%以内、20%以内、15%以内
、10%以内、または5%以内の量または重量パーセントを企図する。
【0019】
「JNK」はJNK1、JNK2、またはJNK3遺伝子によって発現されるタンパク
質またはそのアイソフォームを意味する(Gupta, S., Barrett, T
., Whitmarsh, A.J., Cavanagh, J., Sluss,
H.K., Derijard, B. and Davis, R.J. The
EMBO J. 15:2760-2770 (1996))。
【0020】
本明細書で用いる場合、「治療」は、障害、疾患もしくは病態の、もしくは障害、疾患
もしくは病態に関連する1つ以上の症状の完全なもしくは部分的な緩和、もしくはこうし
た症状のさらなる進行もしくは悪化の遅延もしくは停止、または障害、疾患もしくは病態
の原因(複数可)そのものの緩和もしくは根治を意味する。一実施形態において、障害は
、本明細書に記載のように、JNK経路の阻害によって治療可能または予防可能な病態で
ある。別の実施形態において、障害は、間質性肺線維症、全身性硬化症、強皮症、慢性移
植腎症、抗体関連型拒絶反応、または狼瘡から選択される。さらに別の実施形態において
、障害は、本明細書に記載のように、肝臓線維性障害、または肝臓線維性障害につながる
糖尿病及び/または代謝症候群である。いくつかの実施形態において、障害は、肝臓線維
性障害、例えば非アルコール性脂肪肝炎、脂肪症(すなわち脂肪肝)、肝硬変、原発性硬
化性胆管炎、原発性胆汁性肝硬変、肝炎、肝細胞癌、または慢性的なもしくは度重なるア
ルコール摂取(アルコール性肝炎)、感染(例えばHCVなどのウイルス感染)、肝臓移
植、もしくは薬物性肝障害(例えばアセトアミノフェン中毒)に伴う肝繊維症などである
。いくつかの実施形態において、「治療」は、肝臓線維性障害、例えば非アルコール性脂
肪肝炎、脂肪症(すなわち脂肪肝)、肝炎もしくは肝硬変などにつながる糖尿病もしくは
代謝症候群に関連する障害、疾患もしくは病態、もしくは症状の完全なもしくは部分的な
緩和、またはこうした症状のさらなる進行もしくは悪化の遅延もしくは停止を意味する。
一実施形態において、症状は黄疸である。
【0021】
「予防」は、本明細書で用いる場合、障害、疾患もしくは病態の発症、再発もしくは蔓
延を完全にもしくは部分的に遅延及び/または防止する;被検者が障害、疾患もしくは病
態に罹患するのを阻止する;または障害、疾患もしくは病態に罹患する被検者のリスクを
減少させる方法を意味する。一実施形態において、障害は、本明細書に記載のように、J
NK経路の阻害によって治療可能または予防可能な病態である。別の実施形態において、
障害は、間質性肺線維症、全身性硬化症、強皮症、慢性移植腎症、抗体関連型拒絶反応、
または狼瘡から選択される。一実施形態において、障害は、本明細書に記載のように、肝
臓線維性障害、もしくは肝臓線維性障害につながる糖尿病もしくは代謝症候群、またはこ
れらの症状である。
【0022】
「患者」または「被検者」は本明細書では、動物、例えば哺乳類などを含むと定義し、
限定はしないが霊長類(例えばヒト)、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ
、ラット、マウス、サル、ニワトリ、シチメンチョウ、ウズラ、またはモルモットなどが
挙げられ、ある実施形態では哺乳類であり、別の実施形態ではヒトである。一実施形態に
おいて、被検者は、間質性肺線維症、全身性硬化症、強皮症、慢性移植腎症、抗体関連型
拒絶反応、または狼瘡を有するか、またはそれらを有するリスクにあるヒトである。別の
実施形態において、被検者は、肝臓線維性障害、もしくは肝臓線維性障害につながる糖尿
病もしくは代謝症候群、もしくはJNK経路の阻害によって治療可能もしくは予防可能な
病態、またはこれらの症状を有するか、またはそれらを有するリスクにあるヒトである。
【0023】
化合物(A)
2013年1月31日に公開された米国特許出願公開第2013/0029987号、
国際公開第WO2012/145569号及び2015年1月29日に出願された米国特
許出願第14/608,314号(それぞれの全体を参照により本明細書に援用する)に
記載されているように、式Iの化合物はスキームAに示すように調製することができる。
【化13】
【0024】
本明細書で提供するプロセスは、(1R,2R,5R)-5-アミノ-2-メチルシク
ロヘキサノール塩酸塩という名称を有する式(A)の化合物の作製方法、及び当該プロセ
スにおいて有用な中間体に関する。
【化14】
【0025】
描写された構造とその構造に与えられた名称との間に矛盾がある場合、描写された構造
が重視されるものとすることに留意すべきである。さらに、構造のまたは構造の一部の立
体化学が、例えば太線または破線で示されていない場合、構造または構造の一部はその立
体異性体をすべて包含すると解釈するものとする。
【0026】
化合物(A)の作製方法
限定ではなく例として、式(A)の化合物は、以下に示すスキーム1及び本明細書に記
載の実施例に概略したように調製することができる。
【化15】
【0027】
一態様において、本明細書では式(A)の化合物の調製方法を提供する。
【化16】
この方法は、式(9)の化合物:
【化17】
を溶媒中で塩酸と接触させることを含む。
【0028】
いくつかの実施形態において、溶媒はメタノール、2-プロパノール(IPA)、エー
テルまたはジオキサンである。一実施形態において、溶媒は2-プロパノール(IPA)
である。
【0029】
いくつかの実施形態において、この方法は式(9)の化合物を調製することをさらに含
む。
【化18】
この方法は式(8)の化合物:
【化19】
を溶媒中で還元剤、キラル補助剤及びルイス酸と接触させ、その後、塩基の存在下におい
て酸化剤で処理することを含む。
【0030】
一実施形態において、還元剤はNaBHである。別の実施形態において、キラル補助
剤はα-ピネンである。別の実施形態において、ルイス酸はBF・EtOである。一
実施形態において、溶媒はTHFまたはEtOHである。別の実施形態において、溶媒は
THFである。一実施形態において、酸化剤はHまたはオキソンである。別の実施
形態において、酸化剤はHである。一実施形態において、塩基はNaOHである。
【0031】
いくつかの実施形態において、この方法は式(8)の化合物を調製することをさらに含
む。
【化20】
この方法は式(7)の化合物:
【化21】
を塩基性水溶液と接触させ、その後、得られた遊離塩基を有機溶媒中で、任意により第2
の塩基の存在下において、BocOで処理することを含む。
【0032】
一実施形態において、塩基性水溶液はNaOH水溶液である。一実施形態において、有
機溶媒はDCMまたはエーテルである。別の実施形態において、有機溶媒はDCMである
。一実施形態において、第2の塩基はトリエチルアミンである。
【0033】
いくつかの実施形態において、この方法は式(7)の化合物を調製することをさらに含
む。
【化22】
この方法は溶媒中で式(6)の化合物:
【化23】
を(+)-ジベンゾイル-D-酒石酸一水和物と接触させることを含む。
【0034】
一実施形態において、溶媒はメタノールである。
【0035】
いくつかの実施形態において、この方法は式(6)の化合物を調製することをさらに含
む。
【化24】
この方法は式(5)の化合物:
【化25】
をNaOH及びNaOClの水溶液と接触させることを含む。
【0036】
いくつかの実施形態において、この方法は式(5)の化合物を調製することをさらに含
む。
【化26】
この方法は式(4)の化合物:
【化27】
を有機溶媒中でDMF及び塩素化剤と接触させ、その後、得られた酸塩化物誘導体をアン
モニア水溶液で処理することを含む。
【0037】
一実施形態において、塩素化剤は塩化オキサライル(oxalayl)またはSOCl
である。一実施形態において、塩素化剤はSOClである。一実施形態において、有
機溶媒はDCMである。
【0038】
いくつかの実施形態において、この方法は式(4)の化合物を調製することをさらに含
む。
【化28】
この方法は式(3)の化合物:
【化29】
を塩基性水溶液と接触させることを含む。
【0039】
一実施形態において、塩基はLiOHまたはNaOHである。別の実施形態において、
塩基はNaOHである。
【0040】
いくつかの実施形態において、この方法は式(3)の化合物を調製することをさらに含
む。
【化30】
この方法は式(1)の化合物:
【化31】
を式(2)の化合物:
【化32】
と溶媒中でルイス酸の存在下において接触させることを含む。
【0041】
一実施形態において、ルイス酸はAlClである。一実施形態において、溶媒はDC
Mである。
【0042】
本明細書で提供するプロセスにおいて有用な中間体には以下が含まれる。
【化33】
【0043】
化合物Iの有用性
化合物Iは、動物またはヒトにおける病態を治療、予防または改善する医薬品としての
有用性を有する。特に、化合物Iは、タンパク質キナーゼ、具体的にはJNK1及び/ま
たはJNK2に対して活性である。化合物Iの使用は、2013年1月31日に公開され
た米国特許公開第2013/0029987号に開示されており、その全体を参照により
本明細書に援用する。
【0044】
略号
明細書及び実施例において以下の略号を用いる。
【表1】
【実施例
【0045】
合成実施例
限定ではなく例として提示する以下の合成実施例は、化合物(A)の調製方法を示す。
ACD/NAME(Advanced Chemistry Development,
Inc., Ontario, Canada)を用いて化学構造に対する名称を作成
し、Chemdraw(Cambridgesoft, Perkin Elmer,
Waltham, MA)を用いて化学構造を描いた。ある場合においては、Chemd
rawを用いて化学構造に対する名称を作成した。
【0046】
実施例1:(1R,2R,5R)-5-アミノ-2-メチルシクロヘキサノール塩酸塩の
合成
【化34】
メチル4-メチルシクロヘキサ-3-エンカルボキシレート(3):20~25℃、窒
素雰囲気下で反応容器にDCM(2.5L)及びメチルアクリレート(1)(500.0
g)を加えた。5分間撹拌した後、バッチを0℃に冷却し、イソプレン(2)(593.
4g)を5~10分かけて加えた。25℃で5分間撹拌した後、温度を0~10℃の間に
維持しながら無水AlCl(116.2g)を60~90分かけて加えた。0~10℃
で30分間撹拌した後、バッチを25℃まで徐々に加温し、HPLCで未反応のメチルア
クリレート(1)が<1%と示されるまで、その温度で撹拌した(≧3時間)。HPLC
によって反応の完了が示されたら、バッチを0℃に冷却し、HCl溶液(250mL濃H
Cl及び1750mL水)で30~60分にわたってクエンチしたが、クエンチング期間
中、温度は10℃未満に維持した。バッチを25℃まで加温し、Hyfloに通して濾過
して、DCM(500mL)で残渣をリンスしながら未溶解の固体を除去した。濾液をD
CM(1L)で抽出し、合一した有機層を5%NaHCO水溶液(1L)及びブライン
(1L)で続けて洗浄した。40~50℃、大気条件下で有機画分からDCMを留去し、
粗メチル4-メチルシクロヘキサ-3-エンカルボキシレート(3)を褐色の液体として
得て(約1200g、定量的収率、HPLCによる純度85.54%)、これを精製せず
に次のステップに用いた。
【0047】
4-メチルシクロヘキサ-3-エンカルボン酸(4):15~20℃で反応容器中のN
aOHの溶液(1800mL水中290.4gのNaOH)に、温度を25℃未満に維持
しながら、4-メチルシクロヘキサ-3-エンカルボキシレート(3)(上記の1200
gの粗材料;895.63gが収率100%と考えられる)をゆっくり加えた。バッチを
35~40℃まで徐々に加温し、HPLCで未反応の中間体(3)が<1%と示されるま
で、得られた透明溶液をその温度で攪拌した(≧2時間)。HPLCによって反応の完了
が示されたら、バッチを25℃にして水(900mL)でクエンチした。生成物を含有す
る混合物水溶液をDCM(2×900mL)で洗浄した。水層を0~10℃に冷却し、温
度を20℃未満に維持しながら濃HCl(630mL)でpH1~2まで酸性にした。2
0~25℃で混合物を10分間撹拌した後、DCM(2×900mL)で生成物を水層か
ら抽出した。合一した有機層を水(900mL)で洗浄した。40~45℃でDCMを有
機画分から留去し、得られた固形物を40~45℃で1時間真空乾燥して、室温まで冷却
したところで、4-メチルシクロヘキサ-3-エンカルボン酸(4)を得た(HPLCに
基づいて707.51g、収率86.90%、HPLCによる純度85.28%)。こう
して得られた生成物をDCM(750mL)中に溶解させ、精製せずに次のステップに用
いた。
【0048】
4-メチルシクロヘキサ-3-エンカルボキサミド(5):上記の4-メチルシクロヘ
キサ-3-エンカルボン酸(4)のDCM溶液(約1614g、約690gの中間体(4
)を含有する)が入った反応容器に、25℃、窒素雰囲気下でDMF(6.9mL)を加
えた。反応物を5分間撹拌した後、温度を20℃未満に維持しながら塩化チオニル(67
3.44g)を30~60分間にわたって加えた。15~20℃で10分間撹拌した後、
反応物を25~30℃に加温し、TLCで未反応の中間体(4)が<2%と示されるまで
、その温度で撹拌した(≧2時間)。TLCによって反応の完了が示されたら、真空下で
溶媒を完全に留去した。得られた混合物を35~40℃で30分間真空乾燥し、その後、
室温にした。こうして得られた物質を、別個の反応容器中の氷冷(0~5℃)アンモニア
水溶液(2.76L)に、温度を10℃未満に維持しながら30~60分間にわたってゆ
っくり加えた。0~10℃で反応混合物を30分間撹拌した後、得られた残渣を濾過し、
水で洗浄して、空気中で真空乾燥した。エアオーブン中で45~50℃にて生成物をさら
に乾燥し、室温にして4-メチルシクロヘキサ-3-エンカルボキサミド(5)をオフホ
ワイト色の固体(HPLCに基づいて604g、収率88.15%、HPLCによる純度
86.55%)として得て、これを精製せずに次のステップに用いた。
【0049】
4-メチルシクロヘキサ-3-エナミン(6):-5℃~5℃で反応容器中のNaOH
(481.68g)及び水(2.16L)の溶液に、窒素雰囲気下にて10.5%w/w
次亜塩素酸ナトリウム溶液(4587.4g)をゆっくり加えた。10分間撹拌した後、
-5℃~5℃で4-メチルシクロヘキサ-3-エンカルボキサミド(5)(600g)を
小分けして徐々に加えた。10℃未満の温度で反応物を6時間撹拌し、25℃まで徐々に
加温して、HPLCで未反応の中間体(5)が<5%と示されるまで、その温度で撹拌し
た(≧5時間)。HPLCによって反応の完了が示されたら、トルエン(1.2L)を加
えた。混合物を0~5℃に冷却し、温度を20℃未満に維持しながら濃HCl(1.5L
)でpH1~1.5まで酸性にした。5分間撹拌した後、有機層を分離し、水層をトルエ
ン(1.2L)で洗浄した。その後、水層を0~5℃に冷却し、温度を20℃未満に維持
しながらNaOH水溶液(2.0kgのNaOH及び1340mLのHO)でpH>1
3まで塩基性にした。DCM(2×1.5L)で生成物を抽出し、合一した有機層を硫酸
ナトリウムで乾燥させて濾過した。40~60℃、大気条件下でDCMを濾液から留去し
た。得られた残渣を室温まで冷却して4-メチルシクロヘキサ-3-エナミン(6)(H
PLCに基づいて377.4g、収率78.74%、HPLCによる純度85.74%)
を得て、これを精製せずに次のステップに用いた。
【0050】
(R)-4-メチルシクロヘキサ-3-エナミンヘミ-ジベンゾイル-D(+)-酒石
酸塩(7):(+)-ジベンゾイル-D-酒石酸一水和物(1015.3g)のメタノー
ル(3L)溶液を徐々に還流させた。この還流溶液に4-メチルシクロヘキサ-3-エナ
ミン(6)(300g)のメタノール(300mL)溶液を60~75分間にわたってゆ
っくり加えた。反応混合物を2時間還流させ、その後、4~5時間かけて25℃まで徐々
に冷却した。反応混合物をさらに1時間25℃で撹拌した後、得られた残渣を濾過し、メ
タノールで洗浄して、真空下で30分間乾燥した。Boc保護生成物(アリコートをBo
c誘導体に変換することによって調製した)のキラルHPLCは、71.22%の所望の
(R)-4-メチルシクロヘキサ-3-エナミンヘミ-ジベンゾイル-D(+)-酒石酸
塩(7)、及び28.72%の対応するS-異性体を示した。
【0051】
上で得られた粗生成物(約645g)を(+)-ジベンゾイル-D-酒石酸一水和物(
123.1g)及びメタノール(3.8L)で処理し、得られた混合物を2時間還流させ
、その後、4~5時間かけて25℃まで徐々に冷却した。反応混合物をさらに1時間25
℃で撹拌した後、得られた残渣を濾過し、メタノールで洗浄して、真空下で30分間乾燥
した。BOC誘導体に変換した生成物のアリコートのキラルHPLCは、82.11%の
所望の(R)-4-メチルシクロヘキサ-3-エナミンヘミ-ジベンゾイル-D(+)-
酒石酸塩(7)、及び17.82%の対応するS-異性体を示した。
【0052】
上で得られた粗生成物(約480g)を(+)-ジベンゾイル-D-酒石酸一水和物(
93.3g)及びメタノール(2.9L)で処理し、得られた混合物を2時間還流させ、
その後、4~5時間かけて25℃まで徐々に冷却した。反応混合物をさらに1時間25℃
で撹拌した後、得られた残渣を濾過し、メタノールで洗浄して、真空下で30分間乾燥し
た。こうして得られた生成物をエアオーブン中で45~50℃にてさらに乾燥して、(R
)-4-メチルシクロヘキサ-3-エナミンヘミ-ジベンゾイル-D(+)-酒石酸塩(
7)を得た(220.5g、収率28.5%、GCによる純度97.81%、融点範囲:
205.2~206.3℃、OR:+110.0°(25℃の酢酸中C=1%));キラ
ルHPLCは86.88%の所望のR-異性体及び13.12%の対応するS-異性体を
示した。
【0053】
(R)-tert-ブチル(4-メチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)カルバメ
ート(8):10~20℃のNaOH(124g)及び水(1200mL)の溶液に、温
度を25℃未満に維持しながら(R)-4-メチルシクロヘキサ-3-エナミンヘミ-ジ
ベンゾイル-D(+)-酒石酸塩(7)(300g)をゆっくり加えた。反応混合物を1
5分間撹拌した後、得られた遊離塩基を、DCM(2×300mL、1×150mL)を
用いて水層から抽出した。有機層を合一し、得られた溶液(約850mL)を0~5℃に
てBoc無水物(236.8g)で処理した。反応混合物を25℃に加温し、HPLCで
未反応の中間体(7)が<1%と示されるまで、その温度で撹拌した(≧2時間)。HP
LCによって反応の完了が示されたら、水(230mL)を加えて混合物を10分間撹拌
した。有機層を分離し、2%クエン酸水溶液(230mL)、続いて水(230mL)で
洗浄した。30~40℃、真空下でDCMを留去し、得られた淡黄色の物質を40~45
℃で30分間真空乾燥して(R)-tert-ブチル(4-メチルシクロヘキサ-3-エ
ン-1-イル)カルバメート(8)(HPLCに基づいて216g、収率98.91%、
HPLCによる純度98.36%)を得たが、これは14.85%の対応するS-異性体
を含有することがキラルHPLCによって示された。こうして得られた生成物をTHF(
437mL)中に投入し、10分間撹拌して透明溶液を得て、次のステップに用いるため
に窒素雰囲気下で保存した。
【0054】
tert-ブチル((1R,3R,4R)-3-ヒドロキシ-4-メチルシクロヘキシ
ル)カルバメート(9):25℃の水素化ホウ素ナトリウム(76.97g)のTHF(
1290mL)懸濁液に、(-)-α-ピネン(582.07g)を窒素雰囲気下で15
分間にわたってゆっくり加えた。反応混合物を0~5℃に冷却した後、三フッ化ホウ素エ
ーテラート(57%、531.95g)を30~60分間にわたってゆっくりと加えた。
反応物を25℃に加温し、8時間撹拌してから、上記で調製した(R)-tert-ブチ
ル(4-メチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)カルバメート(8)のTHF溶液(
623g、215gの(8)を含有する)で処理した。得られた反応混合物を、HPLC
で未反応の中間体(8)が<1%と示されるまで25℃で攪拌した(≧3時間)。0~5
℃に冷却した後、30~60分間にわたって水を加えることによって反応をゆっくりとク
エンチし、その後、NaOH水溶液(244.15gのNaOH及び716mLの水)な
らびに48%過酸化水素溶液(432.36g)を続けて加えた。反応混合物を25℃ま
で徐々に加温し、3時間撹拌した後、チオ硫酸ナトリウム溶液(75gのチオ硫酸ナトリ
ウム及び75mLの水)を加えた。30分間撹拌した後、クエン酸溶液(254gのクエ
ン酸及び860mL水)を加え、混合物をさらに30分間撹拌した後、酢酸エチルを加え
た(1290mL)。10分間撹拌した後、有機層を分離し、水性画分を酢酸エチル(2
×430mL)で抽出した。有機層を合一し、40~50℃、真空下で溶媒を留去した。
得られた物質を1時間真空乾燥して、定量的収率のtert-ブチル((1R,3R,4
R)-3-ヒドロキシ-4-メチルシクロヘキシル)カルバメート(9)(858g粗製
)を得て、これを精製せずに次のステップに用いた。
【0055】
(1R,2R,5R)-5-アミノ-2-メチルシクロヘキサノール塩酸塩(A):上
記のtert-ブチル((1R,3R,4R)-3-ヒドロキシ-4-メチルシクロヘキ
シル)カルバメート(9)(853g、233gの(9)を含有する)及びIPA-HC
l(14%w/w溶液;699mL)の混合物を、HPLCで未反応の中間体(9)が<
1%と示されるまで、25℃で撹拌した(≧2時間)。40~60℃、真空下で溶媒を留
去した。40~45℃で新たなIPA(233mL)を加え、40~60℃、真空下で溶
媒を再び留去した。40~60℃で30分間脱気した後、得られた物質を新たなIPA(
699mL)で処理し、混合物を窒素下にて、30~35℃で30分間、その後、0~5
℃でさらに30分間攪拌した。固体生成物を0~5℃で濾過し、冷IPAで洗浄した。得
られた生成物を真空下、40~60℃で乾燥させて約70gの粗生成物を得たが、これは
約96.49%の所望のRRR-異性体を含有することがキラルGCによって示された(
2.06%(SSS異性体)、0.18%(SRR異性体)、及び1.26%(RSS異
性体)の量で他の異性体が不純物として存在した)。IPA(3L)を加え、得られたス
ラリーを30分間還流させた。混合物を70~75℃まで徐々に冷却し、未溶解の不純物
を濾過してIPA(140mL)で洗浄した。40~60℃で溶媒を留去して白色の物質
を得て、これを25℃まで徐々に冷却し、その後、水(31.5mL)及びアセトニトリ
ル(31.5mL)で処理した。得られた混合物を75~80℃で10分間加熱して透明
溶液を得て、これを次に75~80℃にてアセトニトリル(574mL)で1時間にわた
ってゆっくりと処理した。75~80℃で15分間撹拌した後、得られた物質を2~3時
間かけて0~5℃に冷却し、その温度で30分間撹拌した。生成物を窒素下、0~5℃で
濾過し、固体ケーキを冷アセトニトリル(70mL)で洗浄し、真空下で乾燥させて所望
のRRR異性体を得た。75~80℃でアセトニトリルを加えることによって水及びアセ
トニトリルの混合物から所望の生成物を沈殿させる上記のプロセスを、キラルGCであら
ゆる他の単一異性体(SSS、SRR及びRSS異性体)の存在が0.5%以下と示され
るまで繰り返した。こうして得られた生成物を真空下、40~60℃でさらに乾燥させて
(1R,2R,5R)-5-アミノ-2-メチルシクロヘキサノール塩酸塩(A)を白色
の固体として得た(63g、収率37.4%、HPLCによる純度100%、融点範囲:
244.0~245.5℃、SOR:-31.2°(25℃のMeOH中C=1%));
キラルGCは99.83%の所望のRRR-異性体及び0.17%の対応するSSS-異
性体を示した。H-NMR (DO) (400 MHz) : δ 3.18-3.08
(m, 2H), 2.15-2.12 (m, 1H), 1.86-1.83 (m, 1
H), 1.72-1.68 (m, 1H), 1.32-1.16 (m, 3H), 1
.02-0.91 (m, 1H), 0.86-0.85 (d, 3H, J = 6.4H
z)
【0056】
いくつかの参考文献を引用したが、その開示全体を参照により本明細書に援用する。
本件出願は、以下の構成の発明を提供する。
(構成1)
式(A)の化合物の調製方法であって、
(化1)
(a)溶媒中でルイス酸の存在下において、式(1)の化合物
(化2)
を式(2)の化合物
(化3)
と接触させて、式(3)の化合物を得るステップ
(化4)
(b)ステップ(a)の式(3)の前記化合物を塩基性水溶液と接触させて、式(4)の
化合物を得るステップ
(化5)
(c)有機溶媒中でステップ(b)の式(4)の前記化合物をDMF及び塩素化剤と接触
させ、その後、得られた酸塩化物誘導体をアンモニア水溶液で処理して、式(5)の化合
物を得るステップ
(化6)
(d)ステップ(c)の式(5)の前記化合物をNaOH及びNaOClの水溶液と接触
させて、式(6)の化合物を得るステップ
(化7)
(e)溶媒中でステップ(d)の式(6)の前記化合物を(+)-ジベンゾイル-D-酒
石酸一水和物と接触させて、式(7)の化合物を得るステップ
(化8)
(f)ステップ(e)の式(7)の前記化合物を塩基性水溶液と接触させ、その後、得ら
れた遊離塩基を有機溶媒中にてBocOで処理して、式(8)の化合物を得るステップ
(化9)
(g)溶媒中でステップ(f)の式(8)の前記化合物を還元剤、キラル補助剤及びルイ
ス酸の混合物と接触させ、その後、塩基の存在下において酸化剤で処理して、式(9)の
化合物を得るステップ
(化10)
ならびに
(h)溶媒中でステップ(g)の式(9)の前記化合物を塩酸溶液と接触させて、式(A
)の前記化合物を得るステップ
を含む前記方法。
(構成2)
ステップ(a)の前記ルイス酸がAlClである、構成1に記載の方法。
(構成3)
ステップ(a)の前記溶媒がDCMである、構成1に記載の方法。
(構成4)
ステップ(b)の前記塩基がNaOHである、構成1に記載の方法。
(構成5)
ステップ(c)の前記塩素化剤がSOClである、構成1に記載の方法。
(構成6)
ステップ(c)の前記有機溶媒がDCMである、構成1に記載の方法。
(構成7)
ステップ(e)の前記溶媒がMeOHである、構成1に記載の方法。
(構成8)
ステップ(f)の前記塩基がNaOHである、構成1に記載の方法。
(構成9)
ステップ(f)の前記有機溶媒がDCMである、構成1に記載の方法。
(構成10)
ステップ(g)の前記還元剤がNaBHである、構成1に記載の方法。
(構成11)
ステップ(g)の前記キラル補助剤がα-ピネンである、構成1に記載の方法。
(構成12)
ステップ(g)の前記ルイス酸がBF・EtOである、構成1に記載の方法。
(構成13)
ステップ(g)の前記溶媒がTHFである、構成1に記載の方法。
(構成14)
ステップ(g)の前記酸化剤がHである、構成1に記載の方法。
(構成15)
ステップ(g)の前記塩基がNaOHである、構成1に記載の方法。
(構成16)
ステップ(h)の前記溶媒がIPAである、構成1に記載の方法。
(構成17)
式(3)の化合物の調製方法であって、
(化11)
溶媒中でルイス酸の存在下において、式(1)の化合物
(化12)
を式(2)の化合物
(化13)
と接触させることを含む前記方法。
(構成18)
前記ルイス酸がAlClである、構成17に記載の方法。
(構成19)
前記溶媒がDCMである、構成17に記載の方法。
(構成20)
式(7)の化合物の調製方法であって、
(化14)
溶媒中で式(6)の化合物
(化15)
を(+)-ジベンゾイル-D-酒石酸一水和物と接触させることを含む前記方法。
(構成21)
前記溶媒がMeOHである、構成20に記載の方法。
(構成22)
式(7)の化合物。
(化16)
図1
図2
図3
図4