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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-25
(45)【発行日】2022-11-02
(54)【発明の名称】安全デバイスとストライクワーク機構
(51)【国際特許分類】
   G04B 21/06 20060101AFI20221026BHJP
【FI】
G04B21/06 Z
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020208203
(22)【出願日】2020-12-16
(65)【公開番号】P2021110733
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2020-12-16
(31)【優先権主張番号】19220189.5
(32)【優先日】2019-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】507276380
【氏名又は名称】オメガ・エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアン・フェイエ
【審査官】榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-105629(JP,A)
【文献】実開昭52-83768(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2017/0277126(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第3502793(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 21/00 - 21/14
G04C 21/00 - 21/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表盤上のインジケーターによって示される少なくとも2つの数の整数部分の回数をストライクするための計時器用機構のストライクワークのための安全デバイス(100)であって、
前記安全デバイス(100)は、第1の車(110)と、第2の車(120)と、及びアクチュエート用メンバー(130)とを少なくとも備え、
少なくとも1つの前記第1の車(110)は、シャフト(101)と噛み合いシャフト(101)に運動可能に取り付けられるように構成しており、
少なくとも1つの前記第1の車(110)は、少なくとも1つの当接メンバー(115)を備え、
少なくとも1つの前記第2の車(120)は、前記シャフト(101)に運動可能に取り付けられ、少なくとも1つの前記第1の車(110)が噛み合っているときに少なくとも1つの前記当接メンバー(115)との接触を通じて駆動されることでストライク動作を可能にするように構成されており、
少なくとも1つの前記第2の車(120)には、第1の数の前記整数部分に対応する少なくとも1つの第1の部分(121)と、次の第2の数の前記整数部分に対応する少なくとも1つの第2の部分(122)と、及び少なくとも1つの前記第1の部分(121)と少なくとも1つの前記第2の部分(122)の間に位置している少なくとも1つの中間部分(123)とがあり、
少なくとも1つの前記アクチュエート用メンバー(130)は、前記第2の車(120)が前記当接メンバー(115)と接触するように、少なくとも1つの前記第1の部分(121)及び少なくとも1つの前記第2の部分(122)に力を付与し、かつ少なくとも1つの前記第2の車(120)を少なくとも1つの前記当接メンバー(115)から解放するように、少なくとも1つの前記中間部分(123)に力を付与するように構成されている
ことを特徴とする安全デバイス(100)。
【請求項2】
少なくとも1つの前記第1の車(110)は、前記シャフト(101)のまわりを回転するように運動可能に取り付けられる
ことを特徴とする請求項1に記載の安全デバイス(100)。
【請求項3】
少なくとも1つの前記第2の車(120)は、前記シャフト(101)のまわりを回転するように運動可能に取り付けられる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の安全デバイス(100)。
【請求項4】
少なくとも1つの前記第2の車(120)は、少なくとも1つの第1の位置(126)と少なくとも1つの第2の位置(127)の間で動き、
少なくとも1つの前記第2の車(120)は、少なくとも1つの前記第1の位置(126)又は少なくとも1つの前記第2の位置(127)にあるときに、少なくとも1つの前記当接メンバー(115)と接触する
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の安全デバイス(100)。
【請求項5】
少なくとも1つの前記第1の車(110)には、噛み合うようになる少なくとも1つの歯(111)があり、
少なくとも1つの前記歯(111)は、少なくとも1つの前記第1の部分(121)又は少なくとも1つの前記第2の部分(122)の少なくとも1つの前記アクチュエート用メンバー(130)を少なくとも1つの前記中間部分(123)の方へと動かし、そして、少なくとも1つの前記アクチュエート用メンバー(130)を少なくとも1つの前記中間部分(123)と接触するように動かすように構成している少なくとも1つの面及び/又は少なくとも1つの寸法構成を有し、
これによって、少なくとも1つの前記アクチュエート用メンバー(130)は、少なくとも1つの前記中間部分(123)に作用して、少なくとも1つの前記第2の車(120)を少なくとも1つの前記当接メンバー(115)から解放する
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の安全デバイス(100)。
【請求項6】
前記力は、重力によって、かつ/又は少なくとも1つの前記アクチュエート用メンバー(130)に対して戻しメンバー及び/又は駆動メンバーによって与えられる支持力によって、発生する
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の安全デバイス(100)。
【請求項7】
少なくとも1つの前記中間部分(123)は、前記力を、前記シャフト(101)に対する半径方向の成分と、その半径方向の成分に垂直な成分に分解して、少なくとも1つの前記中間部分(123)を動かすように構成しており、これによって、少なくとも1つの前記第2の車(120)は、少なくとも1つの前記当接メンバー(115)から解放される
ことを特徴とする請求項6に記載の安全デバイス(100)。
【請求項8】
少なくとも1つの前記アクチュエート用メンバー(130)は、前記第1の数の前記整数部分に対応する少なくとも1つの前記第1の部分(121)と、及び次の前記第2の数の前記整数部分に対応する少なくとも1つの前記第2の部分(122)と接触しており、前記第1の部分(121)と前記第2の部分(122)は、少なくとも1つの中間部分(123)によって分離されている
ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の安全デバイス(100)。
【請求項9】
少なくとも1つの前記第1の車(110)は、ディスク及び/又はピニオンを備える
ことを特徴とする請求項8に記載の安全デバイス(100)。
【請求項10】
少なくとも1つの前記第2の車(120)は、ストライクワークカム(210)である
ことを特徴とする請求項9に記載の安全デバイス(100)。
【請求項11】
少なくとも1つの前記当接メンバー(115)は、少なくとも1つの前記第1の車(110)上に配置される
ことを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載の安全デバイス(100)。
【請求項12】
少なくとも1つの前記第1の部分(121)と前記シャフト(101)は、第1の距離(125)だけ離れており、
少なくとも1つの前記第2の部分(122)と前記シャフト(101)は、第2の距離(124)だけ離れており、
少なくとも1つの前記中間部分(123)と前記シャフト(101)は、前記第1の距離(125)と前記第2の距離(124)の間の中間距離(129)だけ離れている
ことを特徴とする請求項1~11のいずれか一項に記載の安全デバイス(100)。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の安全デバイス(100)を少なくとも1つ備えるストライクワーク機構(200)であって、
少なくとも1つの前記安全デバイス(100)に、少なくとも1つのアーム(230)及び少なくとも1つのストライクワークカム(210)が配置され、
少なくとも1つの前記ストライクワークカム(210)には、前記第1の数の前記整数部分を表す少なくとも1つの遠位部分(211)と、次の前記第2の数の前記整数部分を表す少なくとも1つの近位部分(212)があり、
少なくとも1つの前記近位部分(212)は、少なくとも1つの前記遠位部分(211)よりも前記シャフト(101)に近く、
これによって、少なくとも1つの前記アクチュエート用メンバー(130)が少なくとも1つの前記中間部分(123)に作用するときに、少なくとも1つの前記アーム(230)が少なくとも1つの前記遠位部分(211)から少なくとも1つの前記近位部分(212)の方へと動く
ことを特徴とするストライクワーク機構(200)。
【請求項14】
少なくとも1つの前記ストライクワークカム(210)は、秒、秒の十の位、クオーター分、分又はクオーター時のストライクワークカム(210)である
ことを特徴とする請求項13に記載のストライクワーク機構(200)。
【請求項15】
少なくとも1つの被駆動車(310)、
請求項1~12のいずれか一項に記載の安全デバイス(100)、及び/又は
請求項13又は14に記載のストライクワーク機構(200)
を備えるクロノグラフ(300)であって、
少なくとも1つの前記アクチュエート用メンバー(130)が少なくとも1つの前記中間部分(123)に作用するときに、少なくとも1つの前記アクチュエート用メンバー(130)は少なくとも1つの前記被駆動車(310)を駆動する
ことを特徴とするクロノグラフ(300)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安全デバイスの分野に関する。本発明は、特に、計時器用機構におけるサプライズピースの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
ストライクワーク機構は非常に特殊な機構であり、スネールに固定されたサプライズピースとともに用いられることが多く、これによって、誤ったストライクを防ぎ、より正確には、インジケーターによって表盤上に示される時の回数を正確にストライクする。このことは、十の位やクオーター(1/4に相当する量)の遷移の直前などには容易ではない。
【0003】
実際に、この遷移は、一般的には複雑である。なぜなら、ある時から別の時への遷移、又は59分50秒からの遷移などである場合、サプライズピースがないと、ストライクワーク機構(200)は、示されている時の回数をストライクせずに、次の時の回数をストライクしてしまうことがあるからである。このことは、ユーザーを混乱させてしまう。
【0004】
時計技師によく知られている安全機構であるサプライズピースによって(例えば、Francois Lecoultre著の「les montres compliquees」の175~181ページを参照)、例えば、クオーター(ここでは15分)ごとに14分から0分への遷移、そして時ごとに59分から0分への遷移を管理することができる。
【0005】
しかし、この機構は、繊細で複雑であり、ストライクの終わりにトルクを付加的に消費してしまう。
【0006】
また、クロノグラフリピーターである特定の場合には、伝統的なストライクワーク機構のジャンパーがサプライズピースと接触しているときに、このサプライズピースはクロノグラフ車にトルクを与え、これによって、クロノグラフの摩擦ばねのスリップを発生させて、クロノグラフの針をずらしてしまうことがある。このことによって、ユーザーによる時間の把握が不正確になってしまう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、表盤上のインジケーターによって示される数の整数部分の回数をストライクするための計時器用機構のストライクワークのための安全デバイスによって、これらの課題の全部又は一部を解決することを提案するものである。この安全デバイスは、第1の車と、第2の車と、及びアクチュエート用メンバーとを少なくとも備える。少なくとも1つの前記第1の車は、シャフトと噛み合いシャフトに運動可能に取り付けられるように構成しており、少なくとも1つの前記第1の車は、少なくとも1つの当接メンバーを備える。少なくとも1つの前記第2の車は、前記シャフトに運動可能に取り付けられ、少なくとも1つの前記第1の車が噛み合っているときに少なくとも1つの前記当接メンバーによって駆動されるように構成している。少なくとも1つの前記第2の車には、第1の数の整数部分に対応する少なくとも1つの第1の部分と、次の第2の数の整数部分に対応する少なくとも1つの第2の部分と、及び少なくとも1つの前記第1の部分と少なくとも1つの前記第2の部分の間に位置している少なくとも1つの中間部分とがある。少なくとも1つの前記アクチュエート用メンバーは、少なくとも1つの前記第2の車を少なくとも1つの前記当接メンバーから解放し、好ましくは前記第2の数の整数部分の回数ストライクするように、少なくとも1つの前記中間部分に作用するように構成している。
【0008】
この構成によって、この機構には、サプライズピースがなく、したがって、クロノグラフ車に与えられる応力がないことによって、単純化される。
【0009】
すなわち、本発明は、サプライズピースがない安全デバイスに関する。この安全デバイスは、第1の車と、第2の車と、及びアクチュエート用メンバーとを少なくとも備える。少なくとも1つの前記第1の車は、シャフトと噛み合いシャフトに運動可能に取り付けられるように構成しており、少なくとも1つの前記第1の車は、少なくとも1つの当接メンバーを備える。少なくとも1つの前記第2の車は、前記シャフトに運動可能に取り付けられ、少なくとも1つの前記第1の車が噛み合っているときに少なくとも1つの前記当接メンバーによって駆動されるように構成している。少なくとも1つの前記第2の車には、第1の数の整数部分に対応する少なくとも1つの第1の部分と、次の第2の数の整数部分に対応する少なくとも1つの第2の部分と、及び少なくとも1つの前記第1の部分と少なくとも1つの前記第2の部分の間に位置している少なくとも1つの中間部分とがある。少なくとも1つの前記アクチュエート用メンバーは、少なくとも1つの前記第2の車を少なくとも1つの前記当接メンバーから解放し、好ましくは前記第2の数の整数部分の回数ストライクするように、少なくとも1つの前記中間部分に作用するように構成している。
【0010】
実施形態の1つにおいて、少なくとも1つの前記第1の車は、前記シャフトのまわりを回転するように運動可能に取り付けられる。
【0011】
この構成によって、この機構は、コンパクトになり、反復運動に適している。
【0012】
実施形態の1つにおいて、少なくとも1つの前記第2の車は、前記シャフトのまわりを回転するように運動可能に取り付けられる。
【0013】
この構成によって、この機構は、コンパクトになり、反復運動に適している。
【0014】
実施形態の1つにおいて、少なくとも1つの前記第2の車は、少なくとも1つの第1の位置と少なくとも1つの第2の位置の間で動き、少なくとも1つの前記第2の車は、少なくとも1つの前記第1の位置又は少なくとも1つの前記第2の位置にあるときに、少なくとも1つの前記当接メンバーと接触する。
【0015】
この構成によって、少なくとも1つの前記第2の車は、少なくとも2つの位置の間を動くことができる。
【0016】
実施形態の1つにおいて、少なくとも1つの前記第1の車には、噛み合うようになる少なくとも1つの歯があり、少なくとも1つの前記歯は、少なくとも1つの前記第1の部分又は少なくとも1つの前記第2の部分の少なくとも1つの前記アクチュエート用メンバーを少なくとも1つの前記中間部分の方へと動かし、そして、好ましくは少なくとも1つの前記アクチュエート用メンバーを少なくとも1つの前記中間部分と接触するように動かすように構成している少なくとも1つの面及び/又は少なくとも1つの寸法構成を有し、これによって、少なくとも1つの前記アクチュエート用メンバーは、少なくとも1つの前記中間部分に作用して、少なくとも1つの前記第2の車を少なくとも1つの前記当接メンバーから解放する。
【0017】
この構成によって、少なくとも1つの前記第2の車は、少なくとも1つの前記当接メンバーから解放される。
【0018】
実施形態の1つにおいて、少なくとも1つの前記アクチュエート用メンバーは、少なくとも1つの前記第2の車に、そして、好ましくは少なくとも1つの前記第1の部分、少なくとも1つの前記第2の部分及び/又は少なくとも1つの前記中間部分に、力を与えて、少なくとも1つの前記第2の車を少なくとも1つの前記当接メンバーから解放するように構成しており、前記力は、重力によって、かつ/又は少なくとも1つの前記アクチュエート用メンバーに対して戻しメンバー及び/又は駆動メンバーによって与えられる支持力によって、発生する。
【0019】
この構成によって、少なくとも1つの前記アクチュエート用メンバーは、少なくとも1つの前記第2の車に力を与えて、これが動くようにする。
【0020】
実施形態の1つにおいて、少なくとも1つの前記中間部分は、前記力を、前記シャフトに対する半径方向の成分と、その半径方向の成分に垂直な成分に分解して、少なくとも1つの前記中間部分を動かすように構成しており、これによって、少なくとも1つの前記第2の車は、少なくとも1つの前記当接メンバーから解放される。
【0021】
この構成によって、少なくとも1つの前記アクチュエート用メンバーは、少なくとも1つの前記第2の車に力を与えて、これが動くようにする。
【0022】
実施形態の1つにおいて、少なくとも1つの前記アクチュエート用メンバーは、少なくとも1つの前記第2の車と接触しており、そして、好ましくは、第1の数の整数部分に対応する少なくとも1つの前記第1の部分と、及び次の第2の数の整数部分に対応する少なくとも1つの前記第2の部分と接触しており、前記第1の部分と前記第2の部分は、少なくとも1つの中間部分によって分離されている。
【0023】
この構成によって、少なくとも1つの前記アクチュエート用メンバーは、少なくとも1つの前記第2の車に力を与えて、これが動くようにする。
【0024】
実施形態の1つにおいて、少なくとも1つの前記第1の車は、ディスク及び/又はピニオンを備える。
【0025】
この構成によって、少なくとも1つの前記第1の車が噛み合うことができる。
【0026】
実施形態の1つにおいて、少なくとも1つの前記第2の車は、ストライクワークカムである。
【0027】
この構成によって、少なくとも1つの前記第2の車は、秒、秒の十の位、分、分の十の位、クオーター分、時、時の十の位、クオーター時に対応するプロファイルを有する。
【0028】
実施形態の1つにおいて、少なくとも1つの前記当接メンバーは、少なくとも1つの前記第1の車上に配置される。
【0029】
この構成によって、少なくとも1つの前記第1の車は、少なくとも1つの前記当接メンバーを介して少なくとも1つの前記第2の車を駆動することができる。
【0030】
実施形態の1つにおいて、少なくとも1つの前記第1の部分と前記シャフトは、第1の距離だけ離れており、
少なくとも1つの前記第2の部分と前記シャフトは、第2の距離だけ離れており、
少なくとも1つの前記中間部分と前記シャフトは、前記第1の距離と前記第2の距離の間の中間距離だけ離れている。
【0031】
この構成によって、当該メンバーは分又は秒を通過することができる。
【0032】
本発明は、本発明の一態様に係る安全デバイスを少なくとも1つ備えるストライクワーク機構に関する。これにおいて、少なくとも1つの前記安全デバイスに、少なくとも1つのアーム及び少なくとも1つのストライクワークカムが配置され、少なくとも1つの前記ストライクワークカムには、前記第1の数の整数部分を表す少なくとも1つの遠位部分と、次の前記第2の数の整数部分を表す少なくとも1つの近位部分があり、少なくとも1つの前記近位部分は、少なくとも1つの前記遠位部分よりも前記シャフトに近く、これによって、少なくとも1つの前記アクチュエート用メンバーが少なくとも1つの前記中間部分に作用するときに、少なくとも1つの前記アームが少なくとも1つの前記遠位部分から少なくとも1つの前記近位部分の方へと動く。
【0033】
この構成によって、サプライズピースがないことによって機構が単純化され、トルクが余分に消費されないためにエネルギーが最適化される。また、ストライクワーク機構は、例えば、ある分から別の分への遷移、又は59秒における遷移の時点において、誤ってストライクすることがなくなる。
【0034】
実施形態の1つにおいて、少なくとも1つの前記ストライクワークカムは、秒、秒の十の位、クオーター分、分又はクオーター時のストライクワークカムである。
【0035】
この構成によって、機構は、クオーター分及び/又はクオーター時をストライクすることができる。
【0036】
実施形態の1つにおいて、少なくとも1つの前記ストライクワークカムは、秒、分又は時のスネールである。
【0037】
この構成によって、機構は、秒、分及び/又は時の数をストライクすることができる。
【0038】
本発明は、少なくとも1つの被駆動車、本発明に係る安全デバイス、及び/又は本発明に係るストライクワーク機構を備えるクロノグラフに関する。これにおいて、少なくとも1つの前記アクチュエート用メンバーが少なくとも1つの前記中間部分に作用するときに、少なくとも1つの前記アクチュエート用メンバーは少なくとも1つの前記被駆動車を駆動する。
【0039】
この構成によって、この機構は、サプライズピースがないことによって単純化され、トルクの余分な消費がないのでエネルギーが最適化される。また、ストライクワーク機構は、例えば、ある分から次の分への遷移、又は59秒の時点において、誤ってストライクすることがなくなる。
【0040】
上述のいくつかの実施形態及び代替形態は、単独で用いることも、技術的に可能な範囲で互いに任意に組み合わせて用いることもできる。
【0041】
添付の図面を参照しながら以下の説明を読むことによって、本発明について、十分に理解することができ、本発明の利点が明確になるであろう。この説明は、例としてのみ与えられ、図面における同じ参照符号は、構造的かつ/又は機能的に同じ又は類似の要素に対応する。
【0042】
以下、例として添付の図面を用いて本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】実施形態の1つに係る安全デバイス100を示している。
図2図2A~2Bは、ストライクワーク機構200の一部を示している。
図3図3A及び3Bは、ストライクワーク機構200の一部を示している。
図4図4A及び4Bは、クロノグラフ300に搭載された安全デバイス100を示している。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明は、ストライクワーク機構200においてサプライズピースを使用せず、ストライクワーク機構200を単純化し、また、トルクの過剰な取り込みを避けて、計時器用機構及び/又はストライクワーク機構が利用可能なエネルギーを最適化することを提案するものである。また、この構成に関連する利点として、前記ストライクワーク機構200が、例えば、ある分から次の分へと遷移する時点にて、又は59秒にて、正確にストライクすることを可能にすることがある。
【0045】
これを行うために、前記ストライクワーク機構200は、図1~3Bに示している少なくとも1つの安全デバイス100と、フィーラースピンドル230の形態などであることができる少なくとも1つのアーム230と、及び少なくとも1つの前記安全デバイス100上に配置される少なくとも1つのストライクワークカム210とを備える。
【0046】
図2A~4Bにおいて、本発明に係る実施形態の1つは、分、秒の十の位、及び/又は秒をストライクすることができるクロノグラフリピーターを示しているが、クロノグラフリピーターに限定されない。なぜなら、前記ストライクワーク機構200は、例えば、ミニッツリピーターを備える携行型時計のような、ストライクワークを備える任意の他のいずれの携行型時計に対しても機能することができるからである。
【0047】
実際に、図4A~4Bに示しているように、少なくとも1つの前記安全デバイス100は、利用可能な少なくとも1つの第1の車110と、少なくとも1つの第2の車120と、及び少なくとも1つのアクチュエート用メンバー130とを備える。この少なくとも1つの安全デバイス100を少なくとも1つのストライクワークカム210に関連づけることができ、このストライクワークカム210には、図4Aに示している、少なくとも1つの前記アーム230と接触している第1の数の整数部分を表す少なくとも1つの遠位部分211と、図4Bに示している、次の第2の数の整数部分を表す少なくとも1つの近位部分212がある。図4A及び4Bの実施形態において、少なくとも1つの前記ストライクワークカム210は、秒の十の位のカムであるが、別の実施形態においては、秒、クオーター分、分又はクオーター時のカムの形態であることもでき、少なくとも1つの前記ストライクワークカム210は、秒、分又は時のスネールであることができる。当然、これらの様々な実施形態を少なくとも1つの前記安全デバイス100に適用することができる。
【0048】
また、図4A~4Bにおいて、少なくとも1つの前記近位部分212が少なくとも1つの前記遠位部分211よりも前記シャフト101に近く、これによって、少なくとも1つの前記アクチュエート用メンバー130が少なくとも1つの前記中間部分123に作用するときに、少なくとも1つの前記アーム230又はフィーラースピンドル230は、少なくとも1つの前記近位部分212ではなく少なくとも1つの前記遠位部分211を触る。
【0049】
図4A~4Bに基づく以下の例において、可読性の理由から、少なくとも1つの前記ストライクワークカム210は、秒の十の位のカム210を表しており、秒の単位のカムは意図的に省いている。
【0050】
すべての図において、特に図1~3Bにおいて、上述のように、少なくとも1つの前記第1の車110が動いているときに少なくとも1つの前記第2の車120は少なくとも1つの前記当接メンバー115によって駆動される。
【0051】
少なくとも1つの前記第2の車120は、少なくとも1つの第1及び第2の部分121、122を備え、好ましくは、分を構成している6つの秒の十の位を表す6つの部分を備え、これらの部分どうしは、少なくとも1つの中間部分123を挟む。
【0052】
また、後述するように、少なくとも1つの前記安全デバイス100は、少なくとも1つのアクチュエート用メンバー130を備え、このアクチュエート用メンバー130は、少なくとも1つの前記中間部分123に作用して、前記ストライクワーク機構200のカム及びスネールのアセンブリーを、所定の角度、正確には少なくとも1つの前記中間部分123に比例する角度、前進させるように構成している。この前進運動は、例えば、10秒ごとに、そして分の遷移の際に、行われる。
【0053】
少なくとも1つの前記アクチュエート用メンバー130がカムとスネールのアセンブリーを前進させる直前に前記ストライクワーク機構200がアクティブ化すると、例えば、59の秒又は前記第1の数の整数部分の数がストライクされる。したがって、少なくとも1つの被駆動車310を備えるクロノグラフ300に前記安全デバイス100が搭載される場合、少なくとも1つの前記アクチュエート用メンバー130は、例えば、少なくとも1つの前記アクチュエート用メンバー130が少なくとも1つの前記中間部分123に作用するときに、カウンター310などの形態であることができる少なくとも1つの前記被駆動車310を駆動して、少なくとも1つの前記被駆動車310又はカウンター310が増分される。
【0054】
そして、少なくとも1つの前記アクチュエート用メンバー130が少なくとも1つの前記中間部分123に作用するときに、前記ストライクワーク機構200のカムとスネールのアセンブリーは前進して、次の分及び0秒、又は前記第2の数の整数部分をストライクする。
【0055】
以下の例において、例えば、29.83秒で、ユーザーがクロノグラフのための前記ストライクワーク機構200を始動させ、少なくとも1つの前記アーム230又はフィーラースピンドル230が少なくとも1つの前記遠位部分211と接触し、正確には、少なくとも1つの前記遠位部分211の端部に接触し、秒の十の位の2と秒の9、又は29の整数部分の数をストライクする。なお、この例においては秒のユニットのカムを示していない。精巧ではない又は本発明に係る安全デバイス100がないようなクロノグラフリピーターの場合、39の秒をストライクする可能性がある。なぜなら、29.83秒は30秒に近く、このようなクロノグラフのフィーラースピンドルは、スリップして、秒の十の位の3をストライクし、秒の9をストライクする可能性があるためである。すなわち、29.83秒と30秒の差は約0.5%しかなく、精巧ではないクロノグラフであれば大まかに近似して、秒の十の位の3をストライクする可能性があり、これに対して、9.83秒と10秒の差は約2%もあり、したがって、十分な誤りのマージンがあって秒の9を「しか」ストライクされない。
【0056】
この理論は、クロノグラフが9分59秒を示している場合などにおいても同じである。このストライクワーク機構200は、粗い近似の結果として分の10と秒の59をストライクするのではなく、分の9又は分の整数部分と、秒の十の位の5回と秒の整数部分の9をストライクすることになる。
【0057】
この粗い近似は、衝撃が弱かったりストライクワークカムの端部の摩耗に起因したりすることもあれば、この精巧でないクロノグラフリピーターに存在する様々な部品の機械加工や組み付けの精度に起因することもあり、最も一般的なケースでは、フィーラースピンドルがカムの誤った部分に接触して「誤って」ストライクしてしまうという場合がある。
【0058】
上述のように、この誤りを克服する1つの方法は、サプライズピースを追加することである。しかし、サプライズピースは、一方ではストライクの終わりにてトルクを付加的に消費してしまうことを招き、他方では特に、サプライズピースに接触する伝統的なストライクワーク機構のジャンパーがクロノグラフ車にトルクを与え、したがって、クロノグラフの摩擦ばねのスリップを発生させてしまい、したがって、クロノグラフの針をずらしてしまう。このことによって、ユーザーによる時間の把握が不正確となってしまう。このような不正確性は、あらゆるものが完全に調整され最適化されて正しくストライクされるような出願人のクロノグラフのための前記ストライクワーク機構200においては許容されないものである。
【0059】
実際に、出願人の前記安全デバイス100は、サプライズピースがない安全デバイス100であり、図1に示しているように、少なくとも1つの第1の車110、少なくとも1つの第2の車120、及び少なくとも1つのアクチュエート用メンバー130を介して、表盤上のインジケーターによって示される数の整数部分の数をストライクすることを可能にする。
【0060】
図2A及び2Bは、シャフト101上に動くことができるように取り付けられ、好ましくはシャフト101のまわりに動くことができるように取り付けられた、少なくとも1つの第1の車110を示しており、これは、前記安全デバイス100、そして同時に前記ストライクワーク機構200をコンパクトにし、クロノグラフのような反復運動に良好に適合させることを可能にする。
【0061】
実際に、少なくとも1つの前記第1の車110は、ディスク110及び/又はピニオン110の形態であることができ、又は噛み合うことを可能にするためにディスク及び/又はピニオンを備えることができる。この意味で、この少なくとも1つの第1の車110には、噛み合うことを可能にするために少なくとも1つの歯111が形成される。
【0062】
上述の少なくとも1つの当接メンバー115は、少なくとも1つの第1の車110上に配置され、少なくとも1つの前記第1の車110が噛み合っているときに少なくとも1つの前記第2の車120の駆動を可能にするように構成していることができる。
【0063】
図2A~3Bにおいて、少なくとも1つの前記第2の車120は、前記シャフト101上にて動くことができるように示されており、好ましくは、少なくとも1つの前記第2の車120は、前記シャフト101のまわりを回転するように動くことができるように取り付けられ、少なくとも1つの前記当接メンバー115によって駆動されるように構成している。
【0064】
再び図2A~3Bを参照すると、少なくとも1つの前記第2の車120は、秒、秒の十の位、分、分の十の位、クオーター分、時、時の十の位、クオーター時などに対応するプロファイルを有することができる駆動カム120であることができる。少なくとも1つの前記第2の車120は、少なくとも1つの前記ストライクワークカム210を駆動することができるので、駆動カム120と呼ばれる。
【0065】
また、少なくとも1つの前記第2の車120には、第1の数の整数部分に対応する少なくとも1つの第1の部分121と、次の第2の数の整数部分に対応する少なくとも1つの第2の部分122と、少なくとも1つの前記第1の部分121と少なくとも1つの前記第2の部分122の間に位置している少なくとも1つの中間部分123があることができる。正確には、この少なくとも1つの中間部分123が、上述の少なくとも1つのアクチュエート用メンバー130とともに作用して、少なくとも1つの前記第2の車120を少なくとも1つの前記当接メンバー115から解放し、したがって、前記ストライクワーク機構200が複雑な遷移の間にて前記第2の数の整数部分をストライクすることを可能にする。
【0066】
上で説明した複数の図に示しているように、少なくとも1つの前記第1の部分121は、第1の距離125だけ前記シャフト101から離れており、少なくとも1つの前記第2の部分122は、第2の距離124だけ前記シャフト101から離れている。少なくとも1つの前記第1の部分121と少なくとも1つの前記第2の部分122の間に位置する少なくとも1つの前記中間部分123は、前記第1の距離125と前記第2の距離124の間の中間距離129だけ前記シャフト101から離れている。「距離」が前記シャフト101に対する少なくとも1つの前記第1の部分121の平均距離を意味するものと理解するべきであることは、当業者には明らかであり、少なくとも1つの前記第2の部分122と、少なくとも1つの前記中間部分123も同様である。
【0067】
上述のように、少なくとも1つの前記第2の車120は、図2A、3Aと、2B、3Bにそれぞれ示しているように、少なくとも1つの第1の位置126と、少なくとも1つの第2の位置127の間で動く。少なくとも1つの前記第1の位置126において、少なくとも1つの前記第2の車120は、少なくとも1つの前記当接メンバー115と接触している。なぜなら、上述のように、少なくとも1つの前記当接メンバー115が少なくとも1つの前記第2の車120を駆動するからである。そして、少なくとも1つの前記アクチュエート用メンバー130が少なくとも1つの前記中間部分123に作用するときに、少なくとも1つの前記第2の車120は、少なくとも1つの前記第2の位置127の方へと動き、すなわち、少なくとも1つの前記第2の車120は、少なくとも1つの前記当接メンバー115と接触しなくなる。言い換えると、少なくとも1つの前記アクチュエート用メンバー130は、少なくとも1つの前記第2の車120を少なくとも1つの前記当接メンバー115から解放する。
【0068】
図2A~2B及び3A~3Bが表そうとしている運動系は、いかに少なくとも1つの面及び/又は少なくとも1つの寸法構成を有する少なくとも1つの前記歯111が、少なくとも1つの前記アクチュエート用メンバー130を少なくとも1つの前記中間部分123に向けて少なくとも1つの前記アクチュエート用メンバー130を動かすように構成しているかを示しており、特に、いかに少なくとも1つの前記アクチュエート用メンバー130が少なくとも1つの前記中間部分123と接触するように動かされて、その少なくとも1つのアクチュエート用メンバー130が、少なくとも1つの前記中間部分123に作用して、少なくとも1つの前記第2の車120を少なくとも1つの前記当接メンバー115から解放するかを示している。
【0069】
実際に、少なくとも1つの前記第1の車110が前記シャフト101のまわりを回転するように駆動されるとき、又は正確には少なくとも1つの前記第1の車110が少なくとも1つの前記歯111を介して前記シャフト101のまわりを回転するように噛み合っているときに、少なくとも1つの前記アクチュエート用メンバー130が、用いられる材料にしたがって、少なくとも1つの前記第1の部分121に対して摺動及び/又は摩擦し、この第1の部分121は、少なくとも1つの前記第2の車120が少なくとも1つの前記当接メンバー115と接触するように拘束し、そして結果的に、前記ストライクワーク機構200がトリガーされたときに、少なくとも1つの前記フィーラースピンドル230が、少なくとも1つの前記遠位部分211と接触する。
【0070】
特に、少なくとも1つの前記アクチュエート用メンバー130は、少なくとも1つの前記第2の車120に、そして好ましくは少なくとも1つの前記第1の部分121、少なくとも1つの前記中間部分123及び少なくとも1つの前記第2の部分122に、力を与えるように構成しており、この力は、重力の力によって、及び/又は少なくとも1つの前記アクチュエート用メンバー130に対して戻しメンバー及び/又は駆動メンバーによって与えられる支持力によって、発生し、このことによって、少なくとも1つの前記アクチュエート用メンバー130を少なくとも1つの前記第2の車120に接触させた状態に維持することが可能になる。
【0071】
少なくとも1つの前記アクチュエート用メンバー130が少なくとも1つの前記中間部分123と接触しているときに、この少なくとも1つの中間部分123は、前記力を前記シャフト101に対する半径方向の成分と、この半径方向の成分に垂直な成分に分解して、少なくとも1つの前記中間部分123を噛み合っている少なくとも1つの前記第1の車110よりも速く動かし、したがって、少なくとも1つの前記第2の車120が少なくとも1つの前記当接メンバー115から解放されることを可能にし、結果的に、前記ストライクワーク機構200がトリガーされたときに、少なくとも1つの前記フィーラースピンドル230が少なくとも1つの前記近位部分212と接触するようにする。
【0072】
したがって、少なくとも1つの前記安全デバイス100が少なくとも1つの前記ストライクワークカム210に関連づけられているので、上述の例における29.83秒でクロノグラフの前記ストライクワーク機構200をユーザーが始動させたときに、少なくとも1つの前記アクチュエート用メンバー130は、少なくとも1つの前記第1の部分121に力を与え、少なくとも1つの前記フィーラースピンドル230は、少なくとも1つの前記遠位部分211と接触し、正確には少なくとも1つの前記遠位部分211の端部にて接触し、秒の十の位の2、又は秒の9をストライクする。これは、秒の十の位の整数部分のフィーラースピンドルであるか、又は30秒ではなく秒の整数部分のフィーラースピンドルであるかに応じて決まる。
【0073】
クロノグラフが30秒を示しているときに、少なくとも1つの前記アクチュエート用メンバー130は、少なくとも1つの前記中間部分123に作用して、したがって、少なくとも1つの前記第2の車120が、少なくとも1つの前記第1の車110よりも速く動き、結果的に、少なくとも1つの前記第2の車120は、少なくとも1つの前記当接メンバー115から解放され、このことによって、前記ストライクワーク機構200の少なくとも1つの前記ストライクワークカム210の少なくとも1つの前記近位部分212が少なくとも1つの前記フィーラースピンドル230に対向するようにすることが可能になる。
【0074】
最後に、少なくとも1つの前記フィーラースピンドル230が少なくとも1つの前記近位部分212と接触すると、ストライクワーク機構200は、秒の十の位の3、又は秒の十の位の整数部分をストライクする。
【0075】
この理論は、クロノグラフが9分59秒を示している場合などにおいても同様である。このストライクワーク機構200は、分又は分の整数部分の9と、秒の十の位又は秒の十の位の整数部分の5と、秒又は秒の整数部分の9をストライクする。これは、粗い近似の結果として分の10、そして秒の59をストライクする状況とは異なる。
【0076】
本明細書によって、本発明における「整数部分」という用語は、以下のように、数学及びコンピュータ科学において用いられるものと同じ定義、すなわち、実数の自然的な整数部分という定義の意味であることは明らかである。
【数1】
【0077】
例えば、クロノグラフに示されている時間が01’06”、すなわち、1分6秒である場合、この例において分である前記第1の数の整数部分は1であり、ここでも分である次の前記第2の数の整数部分は2である。
【0078】
以下のように、十の位又はクオーターにおいても前記定義は依然として有効である。なぜなら、10又はクオーターによる除算が行われるからである。
【数2】
【0079】
式E03及びE02が用いられる場合、端数部分は、式E01によって決められる。例えば、クロノグラフが29分59秒を示している場合、式E03は1クオーター時を与え、端数は式E01によって決められ、これは14分を与える。同じことが秒にも適用される。すなわち、E02は秒の十の位の5を与え、E01は秒の9を与える。したがって、前記第1の数の整数部分は、カムに応じて、1、14、5及び9となり、次の前記第2の数の整数部分は、同様にそれぞれカムに応じて、2、0、0及び0となる。
【符号の説明】
【0080】
100 安全デバイス
101 シャフト
110 第1の車
111 歯
115 当接メンバー
120 第2の車
121 第1の部分
122 第2の部分
123 中間部分
124 第2の距離
125 第1の距離
126 第1の位置
127 第2の位置
129 中間距離
130 アクチュエート用メンバー
200 ストライクワーク機構
210 ストライクワークカム
211 遠位部分
212 近位部分
230 アーム
300 クロノグラフ
310 被駆動車
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B