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特許7165191流動層ボイラーを含む蒸気タービン発電所の負荷を低減して蒸気温度を維持するための方法及びシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-25
(45)【発行日】2022-11-02
(54)【発明の名称】流動層ボイラーを含む蒸気タービン発電所の負荷を低減して蒸気温度を維持するための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   F23C 10/28 20060101AFI20221026BHJP
   F22G 5/00 20060101ALI20221026BHJP
   F23C 10/04 20060101ALI20221026BHJP
【FI】
F23C10/28
F22G5/00
F23C10/04
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2020524526
(86)(22)【出願日】2018-10-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-21
(86)【国際出願番号】 FI2018050757
(87)【国際公開番号】W WO2019086752
(87)【国際公開日】2019-05-09
【審査請求日】2021-09-27
(31)【優先権主張番号】20175975
(32)【優先日】2017-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】515183610
【氏名又は名称】バルメット テクノロジーズ オサケユキチュア
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ヴァロネン,ミッコ
(72)【発明者】
【氏名】ニエミネン,マッティ
【審査官】古川 峻弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-235101(JP,A)
【文献】特開平06-050678(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23C 10/00-10/32
F22G 1/00-7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気タービン発電所の蒸気タービン(3)に供給される蒸気の温度(T)を維持する方法であって、前記発電所は、循環型流動層ボイラー(12)をさらに有しており、
該循環型流動層ボイラーは、
炉(10)と、
熱エネルギーを前記炉の外部の流動層材料から蒸気に移動させることにより、前記蒸気タービン(3)に供給される前記蒸気を過熱するように適合された流動層過熱器(2)と、を含み、
当該方法は、
前記発電所のトリガー負荷(WTR)を選択するステップであって、該トリガー負荷(WTR)は、前記発電所の最大定格負荷(W)よりも小さく、前記発電所の実行可能な最小定格負荷(WMV)よりも大きい、選択するステップと、
前記発電所の負荷(W)を決定するステップと、
前記発電所の前記負荷(W)が前記トリガー負荷(WTR)以上の場合に、前記蒸気タービン(3)に入る過熱蒸気の前記温度(T)がその最大温度(T)に又はその近くになるように、前記流動層過熱器(2)で蒸気を過熱するステップ、及び前記過熱蒸気を前記流動層過熱器(2)から前記蒸気タービン(3)に輸送するステップと、
前記発電所の前記負荷(W)が前記トリガー負荷(WTR)を下回っている場合に、前記流動層過熱器(2)で蒸気を過熱するステップ、前記蒸気タービン(3)に入る過熱蒸気の前記温度(T)がその最大温度(T)に又はその近くになるように、前記炉(10)の外部の前記流動層材料をさらに加熱するステップであって、前記流動層材料の追加の加熱は、可燃性ガスの燃焼によってもたらされる、さらに加熱するステップ、及び前記過熱蒸気を前記流動層過熱器(2)から前記蒸気タービン(3)に輸送するステップと、を含む、
方法。
【請求項2】
前記流動層材料の追加の加熱は、前記流動層材料の外部循環に関して、前記流動層過熱器(2)で又はその前で、且つ前記流動層材料が前記炉(10)を出た後に行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記流動層材料の追加の加熱は、前記流動層材料の外部循環に関して、前記流動層過熱器(2)で又はその前であるが、前記流動層材料をループシール熱交換器チャンバ(1)に入れる入口より前ではないところで行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記流動層材料の追加の加熱は、前記可燃性ガスを前記炉(10)の外部の前記流動層材料に噴射することによる、前記可燃性ガスの燃焼によってもたらされ、
前記可燃性ガスは、該可燃性ガスが、前記可燃性ガスを点火するのに必要な最小温度以上の温度を有する前記流動層材料に接触したときに、前記流動層材料によって点火される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記流動層材料の追加の加熱は、前記ループシール熱交換器チャンバ(1)で行われる、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記可燃性ガスは、ループシール熱交換器チャンバ(1)内のガス噴射ノズル(111)によって前記流動層材料に噴射される、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
前記流動層材料の追加の加熱は、燃焼チャンバ(16)で行われ、該燃焼チャンバ(16)は、前記ループシール熱交換器チャンバ(1)と前記燃焼チャンバ(16)との間に前記流動層材料の循環が存在するように前記ループシール熱交換器チャンバ(1)に隣接して配置される、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記可燃性ガスは、燃焼チャンバ(16)内のガス噴射ノズル(111)によって前記流動層材料に噴射される、請求項4又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記流動層材料の追加の加熱は、前記流動層過熱器(2)を収容し、且つ前記炉(10)に隣接して配置される熱交換器チャンバ(200)で行われ、前記可燃性ガスは、前記熱交換器チャンバ(200)内のガス噴射ノズル(111)によって前記流動層材料に噴射される、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記流動層材料の追加の加熱は、ディップレッグ(100)と熱交換器チャンバ(200)との間に配置されるガスロック(202)で行われ、前記熱交換器チャンバ(200)は、前記流動層過熱器(2)を収容し、且つ前記炉(10)に隣接して配置される、請求項2に記載の方法。
【請求項11】
前記可燃性ガスは、ガスロック(202)内のガス噴射ノズル(111)によって前記流動層材料に噴射される、請求項4又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記流動層材料の追加の加熱は、少なくとも1つの過熱器(2)を収容し、且つ過熱器のないループシールチャンバ(300)に隣接して配置される熱交換器チャンバ(320)で行われる、請求項2に記載の方法。
【請求項13】
前記可燃性ガスは、熱交換器チャンバ(320)内のガス噴射ノズル(111)によって前記流動層材料に噴射される、請求項4又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記可燃性ガスの燃焼は、前記流動層材料の流動化をもたらすために必要な流動化ガスに酸素を供給することによりもたらされる、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記炉(10)の外部の前記流動層材料の流動化をもたらすために、流動化ガスが供給され、前記可燃性ガスは、ライン(42)を介して燃料源(6)によって供給され、前記ガス噴射ノズル(111)を用いて噴射される、請求項6、8、9、11、又は13に記載の方法。
【請求項16】
前記流動層材料の追加の加熱は、前記可燃性ガスを前記炉(10)の外部の前記流動層材料内に又はその近くでバーナーにより燃焼させることによってもたらされる、請求項1乃至15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
システムであって、当該システムは、
蒸気タービン(3)と、
炉(10)と、熱エネルギーを前記炉の外部の流動層材料から蒸気に移動させることにより前記蒸気タービン(3)に供給される蒸気を過熱するように適合された流動層過熱器(2)とを含む循環型流動層ボイラー(12)と、を有しており、
当該システムは、制御ユニット(23)をさらに有しており、
該制御ユニット(23)は、
当該システムを構成する発電所のトリガー負荷(WTR)の設定値を受信することであって、前記トリガー負荷(WTR)は、前記発電所の最大定格負荷(W)よりも小さく、前記発電所の実行可能な最小定格負荷(WMV)より大きい、受信することと、
前記発電所の負荷(W)を決定することと、
前記発電所の前記負荷(W)が前記トリガー負荷(WTR)を下回っている場合に、前記蒸気タービン(3)に入る蒸気の温度(T)がその最大温度(T)に又はその近くに維持されるように、a):可燃性ガスの前記炉(10)の外部の前記流動層材料への噴射、又はb):前記炉(10)の外部の前記流動層材料内で又はその近くで1つ又は複数のバーナーを用いた可燃性ガスの燃焼、又はc):a)とb)との両方を制御することと、を行うように適合され、
a)において、前記炉(10)の外部の前記流動層材料の追加の加熱は、前記流動層材料に噴射される前記可燃性ガスの燃焼によってもたらされ、前記可燃性ガスは、該可燃性ガスが、前記可燃性ガスを点火するのに必要な最小温度以上の温度を有する前記流動層材料に接触したときに、前記流動層材料によって点火される、
システム。
【請求項18】
当該システムは、ループシール熱交換器チャンバ(1)をさらに含み、該ループシール熱交換器チャンバ(1)には、前記可燃性ガスを前記流動層材料に噴射するように適合されたガス噴射ノズル(111)が設けられる、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
当該システムは、
ループシール熱交換器チャンバ(1)と燃焼チャンバ(16)との間で流動層材料の循環が存在するように前記ループシール熱交換器チャンバ(1)に隣接して配置された燃焼チャンバ(16)と、
前記可燃性ガスを前記流動層材料に噴射するように適合された前記燃焼チャンバ(16)内のガス噴射ノズル(111)と、をさらに含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
当該システムは、
前記流動層過熱器(2)を収容し、且つボイラー(10)に隣接して配置される熱交換器チャンバ(200)と、
前記可燃性ガスを前記流動層材料に噴射するように適合された前記熱交換器チャンバ(200)内のガス噴射ノズル(111)と、をさらに含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項21】
当該システムは、
前記流動層過熱器(2)を収容し、且つボイラー(10)に隣接して配置される熱交換器チャンバ(200)と、
ディップレッグ(100)と前記熱交換器チャンバ(200)との間にあるガスロック(202)と、
前記可燃性ガスを前記流動層材料に噴射するように適合された前記ガスロック(202)内のガス噴射ノズル(111)と、をさらに含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項22】
当該システムは、
少なくとも1つの過熱器(2)を収容し、且つ過熱器のないループシールチャンバ(300)に隣接して配置される熱交換器チャンバ(320)と、
前記可燃性ガスを前記流動層材料に噴射するように適合された前記熱交換器チャンバ(320)内のガス噴射ノズル(111)と、をさらに含む請求項17に記載のシステム。
【請求項23】
当該システムは、前記流動層材料内又はその近傍の1つ又は複数のバーナーをさらに含み、該バーナーは、前記可燃性ガスを、ループシール熱交換器チャンバ(1)内で、又は燃焼チャンバ(16)内で、又は熱交換器チャンバ(200)内で、又はガスロック(202)内で、又は熱交換器チャンバ(320)内で燃焼させるように適合される、請求項17乃至22のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項24】
当該システムは、
記流動層材料内又はその近傍の1つ又は複数のバーナーであって、前記可燃性ガスを前記ループシール熱交換器チャンバ(1)内で燃焼させるように適合される1つ又は複数のバーナーと、
前記ループシール熱交換器チャンバ(1)内のプレナム(106e~f)に設置され、空気又は不燃性ガスを供給するように適合されたノズル(110)であって、前記ループシール熱交換器チャンバ(1)内の前記流動層材料の循環が調整可能である、ノズル(110)と、をさらに含む、
請求項18に記載のシステム。
【請求項25】
当該システムは、
生成ガスを生成するように適合されたガス化装置(4)と、
前記生成ガスを前記ガス化装置(4)からa):噴射するためのガス噴射ノズル(111)に、又はb):前記可燃性ガスとして燃焼させるための1つ又は複数のバーナーに、又はc):a)及びb)に輸送するように適合されたライン(40、41、42)と、をさらに含む、請求項18乃至24のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示される解決策は、蒸気発生のための流動層ボイラーを含む蒸気タービン発電所の運転に関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気タービン発電所は一般的に発電のために使用される。熱電併給(CHP)プラントでは、蒸気タービンで捕捉されなかった熱エネルギーが有用な熱としてさらに利用される。
【0003】
蒸気タービン発電では、適切な燃料を炉内で燃焼させるボイラーが質量流量の蒸気を生成し、この蒸気は蒸気タービンに輸送される。蒸気とは、気体状態の水等の循環物質を指す。ボイラーでは、燃焼した燃料により放出された熱エネルギーが、システム内を循環する水、又は他のそのような循環媒体に移動する。
【0004】
循環型流動層(CFB:circulating fluidized bed)ボイラーを含むシステムでは、流動層材料が、システム内を循環し、熱エネルギーを炉からシステム内の他の場所に移動させる。流動層材料の熱エネルギーは、典型的に、蒸気タービンに供給される蒸気を加熱、気化、過熱し、最終的な過熱を与えるために使用される。最終的な過熱は、典型的に、流動層材料がその外部循環で接触する流動層過熱器で行われる。
【0005】
蒸気タービンに入る蒸気は、典型的に80~180barに加圧され、典型的に450~560℃の範囲の温度になる。すなわち、蒸気タービンに入る蒸気は、典型的に過熱状態である。典型的には、発電所が運転しているとき、すなわち発電しているときに、タービンに入る蒸気の圧力は、その温度が変化する可能性がある間に、一定に保たれる。蒸気タービンは、蒸気の熱エネルギーをタービン出力シャフトで回転運動に変換する。次に、このシャフトは、適切な駆動ラインを介して発電機を駆動させる。
【0006】
現在、蒸気タービン発電所の負荷を減らすと、蒸気タービン発電所が発電する効率に悪影響を及ぼす。発電所の負荷を減らすと、流動層材料の外部循環が大幅に減少するか、又はその外部循環が完全に停止する可能性があり、その場合に、炉の外部に配置された流動層過熱器への流動層材料内の熱エネルギーの供給が、大幅に減少するか、又は完全に停止する可能性がある。これは、次に、蒸気タービンに供給される蒸気の温度に著しい悪影響を及ぼす。
【0007】
さらに、発電所の負荷を減らすと、蒸気タービンに供給される蒸気に移動可能な熱エネルギーの量が減少するので、これは、典型的に、発電所の負荷が低くなると、蒸気タービンに供給される蒸気の温度が低くなることを意味する。これは、低温の蒸気が蒸気タービンを通って移動する際に、この蒸気が時期尚早に凝縮する可能性があり、水滴が形成され、次にタービンブレードに衝突してブレードの損傷を引き起こす可能性があるので、望ましくない。
【発明の概要】
【0008】
開示される解決策による方法は、請求項1に記載されたことにより規定される。解決策によるシステムは、請求項12に記載されたことにより規定される。
【0009】
解決策は、蒸気タービン発電所のボイラーの炉の外部で流動層材料をさらに加熱して、発電所の負荷を減らした状態で蒸気タービンに供給される蒸気の温度を維持する方法及びシステムを構成する。
【0010】
ボイラーは循環型流動層(CFB)タイプであり、流動層材料がシステム内を循環する。より具体的には、流動層材料は、炉と、固体分離器と、ループシールとの間を循環することができ、この循環は、流動層材料の外部循環と呼ばれる。ループシールは流動層過熱器を含んでもよく、又はそのループシールは流動層過熱器と接続してもよい。
【0011】
そのようなシステムでは、流動層過熱器で流動層材料から蒸気に移動させることができる熱エネルギーの量は、典型的に、炉の外部循環の早い段階で及び炉で燃料を燃やした結果として流動層材料に移動する熱エネルギーの量に依存する。その結果、炉内で燃焼される燃料が少なくなるほど、流動層過熱器で蒸気に移動する流動層材料で利用できる熱エネルギーが少なくなる。流動層過熱器内で蒸気に移動される熱エネルギーが少ないほど、特に従来の蒸気の温度低下を防ぐ手段が使用(exhausted)されている場合に、流動層過熱器を出て、その後蒸気タービンに入る蒸気の温度は低くなる可能性がある。そのような従来の手段は、水噴霧による蒸気の温度調整(低下)を低減すること、及び/又は流動層過熱器を介して移動する外部循環中の流動層材料の比率を増大させることを含み得る。
【0012】
炉内で燃焼する燃料が少ない結果として炉内の熱エネルギーの生成が減少するので、流動層材料の外部循環は、循環型流動層材料の質量流量に関して減少し得る。これは、循環型流動層材料から流動層過熱器内の蒸気に移動させることができる熱エネルギーの量を減少させる効果も有する。
【0013】
発電所の負荷が非常に低い場合に、流動層材料の外部循環は停止するか、ほぼ停止する可能性がある。その結果、流動層材料による流動層過熱器への熱エネルギーの到達が停止するか、ほぼ停止する可能性がある。
【0014】
その結果、流動層過熱器内で蒸気タービンに供給される蒸気に移動させることができる熱エネルギーが減少するので、結果として蒸気の温度が低下する可能性がある。これは、蒸気タービンで発電する効率の低下等、不利で望ましくない結果をもたらす可能性がある。
【0015】
そのような悪影響及び望ましくない結果の別の例として、温度が低下した蒸気は、蒸気タービンを通って移動する間に時期尚早に凝縮し、水滴が形成され、この水滴が蒸気タービンのブレードに衝突して損傷させる可能性がある。
【0016】
開示される解決策は、追加の熱エネルギーを炉の外部の流動層材料に導入するための方法及びシステムを開示することにより、発電所の負荷の減少に関するそのような悪影響及び望ましくない結果を軽減することを意図する。開示される解決策により、流動層過熱器に接触し及びその近傍にある流動層材料が、流動層材料の外部循環が大幅に減少したか、又は停止した状況下でさえも、蒸気タービンに供給される蒸気に移動させるのに十分な量の熱エネルギーを有するのを確実にすることが可能である。
【0017】
こうして、開示される解決策により、炉内の熱エネルギーの生成の減少、従って炉内の流動層材料への熱エネルギーの移動の減少は、炉の外部の流動層材料をさらに加熱することによって補償できる。従って、開示される解決策により、蒸気の温度は、発電所の負荷が低減しても十分に高く維持することができる。
【0018】
流動層材料のこのような追加の加熱は、例えばループシール熱交換器チャンバ、及び/又はループシール熱交換器チャンバに隣接して配置された燃焼チャンバで起こり得る。ループシール熱交換器チャンバと燃焼チャンバとの間の流動層材料、及び/又は流動層過熱器を収容し且つ炉に隣接して配置される熱交換器チャンバ内の流動層材料、及び/又はディップレッグと、流動層過熱器を収容し且つ炉に隣接して配置された熱交換器との間に配置されるガスロック内の流動層材料、及び/又は少なくとも1つの過熱器を収容し且つ過熱器のないループシールチャンバに隣接して配置される熱交換器チャンバ内の流動層材料に循環が存在する。
【0019】
開示される解決策によれば、流動層材料のそのような追加の加熱は、可燃性ガスを炉の外部の流動層材料に選択的に供給する、すなわち選択的に噴射することによって行うことができ、それにより、可燃性ガスの燃焼によって追加の熱エネルギーが流動層材料に放出される。流動層材料を炉の外部でさらに加熱するための更なる可能性として、流動層材料のそのような追加の加熱は、可燃性ガスを炉の外部に配置された1つ又は複数のバーナーに選択的に供給し、それによりバーナーで可燃性ガスを燃焼させることにより、追加の熱エネルギーを流動層材料に放出することができる。さらに、そのような噴射ベースの解決策とバーナーベースの解決策とを組み合わせて、上で概説したように、可燃性ガスを選択したシステム位置に噴射することと、バーナーで燃焼することとの両方を構成できる。
【0020】
開示される解決策によれば、可燃性ガスは、ループシール熱交換器チャンバ内に、又は燃焼チャンバ内に、又は炉に隣接する熱交換チャンバ内に、又はループシールチャンバに隣接する熱交換器チャンバ内に選択的に噴射され得る。更なる可能性として、可燃性ガスは、ループシール熱交換器チャンバ内に、又は燃焼チャンバ内に、又は炉に隣接する熱交換チャンバ内に、又はループシールチャンバに隣接する熱交換チャンバ内に選択的に供給され、バーナーで燃焼してもよい。さらに、そのような噴射ベースの解決策とバーナーベースの解決策とを組み合わせて、上で概説したように、可燃性ガスを選択したシステム位置に噴射することと、バーナーで燃焼することとの両方を構成できる。
【0021】
開示される解決策による追加の可能性として、可燃性ガスはガス化によって生成してもよい。
【0022】
炉の外部の流動層材料をさらに加熱するための可燃性ガスの選択可能な噴射及び/又は燃焼は、制御ユニットによってもたらされ得る。制御ユニットは、例えば発電所の負荷を入力データとして使用することにより、そのような選択可能な噴射及び/又は燃焼をもたらすことができる。これにより、例えば発電所の負荷がトリガー負荷を下回ると、可燃性ガスの噴射及び/又は燃焼を開始することができる。そのようなトリガー負荷は、例えばそれ以下では蒸気タービンに入る蒸気の温度が、従来の手段ではその最大温度に又はその近くに維持できない負荷又はその負荷に近い負荷であるように設定することができる。そのような従来の手段は、水噴霧による蒸気の温度調整(低下)を低減すること、及び/又は流動層過熱器を介して移動する外部循環中の流動層材料の比率を増大させることを含み得る。
【0023】
あるいはまた、別の例として、制御ユニットは、例えば蒸気品質測定値を入力データとして使用することにより、可燃性ガスのそのような選択可能な噴射及び/又は燃焼をもたらすことができる。この入力データは、例えば蒸気タービンに入る蒸気の温度を含み得る。これにより、例えば蒸気タービンに入る蒸気の温度が特定の警報温度を下回ると、可燃性ガスの噴射及び/又は燃焼を開始することができる。
【0024】
従って、開示される解決策により、蒸気タービンに入る蒸気の温度は、発電所の負荷が減少しても、すなわち、炉内の熱エネルギーの生成それ自体だけでは、蒸気タービンに入る蒸気の温度を十分に高く維持するのに十分でない場合でも、十分に高く維持できる。
【0025】
この文脈では、十分に高い温度とは、発電の効率が、発電所の最大負荷で得られる最大効率又はその近くになる温度を意味する。十分に高い温度は、蒸気タービンに入る蒸気の最大温度であり、これは、発電所の最大負荷で得ることができる。あるいはまた、十分に高い温度は、蒸気タービンに入る蒸気の最大温度よりも1~10℃低く、又は10~20℃低く、又は20~30℃低く、又は30~40℃低く、又は40~50℃低く、又は50~60℃低い。
【0026】
こうして、開示される解決策により、蒸気タービン発電所における発電の効率は、発電所の負荷が低下した場合でも高いレベルに維持することができる。
【0027】
開示される解決策による流動層材料の追加の加熱は、有利には、発電所の蒸気循環及び供給システムの変更を必要としない。
【0028】
開示される解決策による方法は、蒸気タービン発電所の蒸気タービンに供給される蒸気の温度を維持するステップを含み、この発電所は、循環型流動層ボイラーをさらに有することができ、循環型流動層ボイラーは、炉と、熱エネルギーを流動層材料から蒸気に移動させることにより、蒸気タービンに供給される蒸気を過熱するように適合された流動層過熱器とを含む。この方法によれば、蒸気タービンに供給される蒸気の温度は、流動層材料を炉の外部で選択的にさらに加熱することによって維持することができる。この方法は、発電所のトリガー負荷を選択するステップであって、トリガー負荷は、発電所の最大定格負荷よりも小さく、発電所の実行可能な最小定格負荷よりも大きい、選択するステップと;発電所の負荷を決定するステップと;
発電所の負荷がトリガー負荷以上の場合に、蒸気タービンに入る過熱蒸気の温度がその最大温度に又はその近くになるように、流動層過熱器で蒸気を過熱するステップと;
発電所の負荷がトリガー負荷を下回っている場合に、流動層過熱器で蒸気を過熱し、且つ蒸気タービンに入る過熱蒸気の温度がその最大温度に又はその近くになるように、流動層材料を炉の外部でさらに加熱するステップと;
過熱蒸気を流動層過熱器から蒸気タービンに輸送するステップと;を含む。
【0029】
開示される解決策によれば、流動層材料の追加の加熱は、流動層材料の外部循環に関して、流動層過熱器(2)で又はその前に、及び流動層材料(10)が炉を出た後に、或いは流動層過熱器(2)で又はその前であるが、流動層材料をループシール熱交換器チャンバ(1)に入れる入口より前ではないところで行われ得る。
【0030】
開示される解決策によれば、流動層材料の追加の加熱は、可燃性ガスを流動層材料内に又はその近傍に噴射する燃焼によって、或いは流動層材料内に又はその近傍で1つ又は複数のバーナーで燃焼することによってもたらされ得る。
【0031】
開示される解決策によるシステムは、蒸気タービンと;循環型流動層ボイラーであって、炉と、熱エネルギーを流動層材料から蒸気に移動させることにより蒸気タービンに供給される蒸気を過熱するように適合された流動層過熱器とを含む循環型流動層ボイラーと;を含み得る。開示される解決策によるシステムは、制御ユニットをさらに有しており、制御ユニットは、システムを構成する発電所の維持されるトリガー負荷の設定値を受信することと;発電所の負荷を決定することと;発電所の負荷がトリガー負荷を下回っており、トリガー負荷が、発電所の最大定格負荷よりも小さく、発電所の実行可能な最小定格負荷よりも大きい場合に、蒸気タービンに入る蒸気の温度がその最大温度に又はその近くに維持されるように、可燃性ガスの炉の外部の流動層材料内に又はその近傍への噴射、或いは流動層材料内に又はその近傍でのバーナーによる燃焼を制御することと;を行うように適合される。
【0032】
さらに、解決策によるシステムは、生成ガスを生成するように適合されたガス化装置と、生成ガスをガス化装置から噴射するためのガス噴射ノズルに又はバーナーに輸送して可燃性ガスとして燃焼するように適合されたラインとを含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】発電所の従来の蒸気生成システムを概略的に示す図である。
図2】一例による発電所の蒸気生成システムを概略的に示す図であり、このシステムは、ループシール熱交換器チャンバ内で燃焼される可燃性ガスを選択的に供給することを含む。
図3】一例による発電所の蒸気生成システムを概略的に示す図であり、このシステムは、燃焼チャンバ内で燃焼される可燃性ガスを選択的に供給することを含む。
図4a】異なる断面視からの従来のループシール熱交換器チャンバを概略的に示す図である。
図4b】異なる断面視からの従来のループシール熱交換器チャンバを概略的に示す図である。
図4c】異なる断面視からの従来のループシール熱交換器チャンバを概略的に示す図である。
図5a】一例による、上方から見た断面視において、可燃性ガスの選択可能な噴射を含むループシール熱交換器チャンバを概略的に示す図である。
図5b】一例による、図5aに従って表示された断面視A-Aにおいて、可燃性ガスの選択可能な噴射を含むループシール熱交換器チャンバを概略的に示す図である。
図5c】一例による、図5aに従って表示された断面視B-Bにおいて、可燃性ガスの選択可能な噴射を含むループシールチャンバを概略的に示す図である。
図6図2による発電所の蒸気生成システムを概略的に示す図であり、システムは、ガス化装置内のループ熱交換器シールチャンバに供給される可燃性ガスを生成することをさらに含む。
図7図3による発電所の蒸気生成システムを概略的に示す図であり、このシステムは、ガス化装置内の燃焼チャンバに供給される可燃性ガスを生成することをさらに含む。
図8】ボイラーに隣接する熱交換器チャンバの従来の構成を概略的に示す図であり、熱交換器は過熱器を収容する。
図9a】一例による、ボイラーに隣接する熱交換器チャンバの構成を概略的に示す図であり、熱交換器は過熱器を収容し、この構成は、熱交換器チャンバで燃焼される可燃性ガスを選択的に供給することをさらに含む。
図9b】一例による、ボイラーに隣接する熱交換器チャンバの構成を概略的に示す図であり、熱交換器は過熱器を収容し、この構成は、ディップレッグと熱交換器チャンバとの間のガスロックで燃焼される可燃性ガスを選択的に供給することをさらに含む。
図10a】従来の蒸気生成システムにおける蒸気タービン発電所の負荷に対する、蒸気タービンに入る蒸気の質量流量と蒸気の温度との理想的な関係を概略的に示す図である。
図10b】開示される解決策による、蒸気生成システムにおける蒸気タービン発電所の負荷に対する、蒸気タービンに入る蒸気の質量流量と蒸気の温度との理想的な関係を概略的に示す図である。
図11a】発電所の負荷と熱消費量との理想的な関係を概略的に示す図である。
図11b】発電所の燃料消費量と熱消費量との間の理想的な関係を概略的に示す図である。
図12】一例による、ループシールチャンバ及び隣接する熱交換器チャンバを含む構成を概略的に示す図であり、この構成は、可燃性ガスを熱交換器チャンバに選択的に供給することを含む。
図13】目的を明確にするために、ボイラーの概念的な範囲をその主要な流入と流出との観点から概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図は、縮尺通りではなく、システム構成要素の物理的なレイアウトや寸法を示唆するものでもない。
本文では、以下の数字及び記号を使用して図を参照している。
W ある時点での発電所の負荷
発電所の最大定格負荷
MV 発電所の実行可能な最小定格負荷
TH 発電所のしきい値負荷
TR 発電所のトリガー負荷
発電所の実行不可能な運転に関する負荷範囲
発電所の実行可能な運転に関する負荷範囲
T タービンに入る蒸気の温度
タービンに入る蒸気の最大温度
蒸気タービンに入る蒸気の実行可能な最低温度
m’ 蒸気の質量流量
m’ 最大ボイラー負荷での蒸気の質量流量
1 ループシール熱交換器チャンバ
2 流動層過熱器
3 蒸気タービン
4 ガス化装置
5 冷却器
6 燃料源
7 フィルタ
8 熱交換器
9 発電機
10 炉
11 熱交換器
12 ボイラー
13 電力消費プロセス
14 凝縮器
15 熱交換器
16 燃焼チャンバ
19 プレナム(plenum)
20 ポンプ
21 燃料源
22 熱消費プロセス
25 熱交換器
31~57 ライン
60 固体分離器
61 ループシール出口
70 駆動ライン
71、72 ダクト
100 ディップレッグ(dip leg)
101 分配ゾーン
102 供給アップレッグ(feeding upleg)
103 バイパスアップレッグ(bypass upleg)
104 過熱器チャンバ
105 排出アップレッグ(discharge upleg)
106a~f プレナム
107 再循環チャネル
110 ノズル
111 ガスノズル
200 熱交換器チャンバ
201 排出通路
202 ガスロック
203 開口部
300 ループシールチャンバ
301 分配ゾーン
303 供給アップレッグ
304a、b 過熱器チャンバ
305 バイパスアップレッグ
306a~f プレナム
307 ディップレッグ
308 入口チャンバ
310 バルブ
320 熱交換器チャンバ
361 ループシール出口
362 熱交換器チャンバ出口
【0035】
本文及び図において、「ライン」の概念は、通路の物理的特性の明確な特徴付けなしに、任意の適切な輸送通路を指すために使用される。当業者は、輸送される材料の特性及び体積、並びに他のそのような関連する輸送パラメータ及び要件に従って、通路の物理的特性を決定することができることを理解されたい。
【0036】
本文では、特に明記しない限り、「発電所」の概念は、蒸気タービン3を使用して蒸気の熱エネルギーを機械的仕事に変換することができる蒸気タービン発電所を指し、機械的仕事は、発電機9により電気に変換することができる。
【0037】
本文では、特に明記しない限り、「ボイラー」12の概念は、炉10、固体分離器60、ダクト72、71、ループシール熱交換器チャンバ1又はループシールチャンバ300、熱交換器25、11、15、及び1つ又は複数の過熱器2を含むシステム要素の集まりを指すために使用される。概念的な明確化の目的で図13に概略的に示されるように、そのようなアセンブリは、空気、燃料、水を取り込み、主要な出力として蒸気及び排気ガスを与える。
【0038】
本文では、「流動層材料(fluidized bed material)」の概念は、通常の運転条件下でシステム内を循環する層材料を指すために使用される。流動層において、「流動層材料」は、通常の運転条件下では流動状態であるが、システムのどこか及び/又はいくつかの運転条件下では、「流動層材料」は、ディップレッグ100等の非流動状態でもあり得、ディップレッグ100を介して、「流動層材料」を再利用するために炉10に戻すことができる。
【0039】
図1は、蒸気タービン3で使用される過熱蒸気を生成するための従来のシステムを概略的に示している。このシステムは、循環型流動層タイプの炉10を含む。このシステムでは、サンド(sand)及び/又は灰等の流動層の材料が、潜在的には石灰石等の添加剤とともに、炉10からダクト72を経由してサイクロン等の固体分離器60に、その固体分離器60からディップレッグ100を介してループシール熱交換器チャンバ1に、及びそのループシール熱交換器チャンバ1からループシール出口61を介して炉10に戻るように循環する。このような循環は、以後、流動層材料の「外部循環」と呼ばれる。次に、「内部循環」とは、炉10又はループシール熱交換器チャンバ1内等のシステム要素内の流動層材料の循環を指す。
【0040】
さらに図1を参照すると、そのようなシステムは、蒸気タービン3に供給される蒸気の過熱又は最終的な過熱を与えるためにループシール熱交換器チャンバ1内に配置された流動層過熱器2等の熱交換器を含み得る。そのような蒸気の過熱は、熱エネルギーを、直ぐ上で説明したようにシステム内を循環する流動層材料からシステム内を循環する蒸気に移動させることを前提とすることができる。
【0041】
過熱蒸気は、特定の圧力において水等の物質の沸点よりも高い温度Tの蒸気である。過熱状態の蒸気には同伴液体が含まれていない。こうして、過熱蒸気の温度Tは、同伴液体が形成され始める前に、ある程度だけ低下する可能性がある。従って、過熱蒸気の温度Tが高いほど、同伴液体が特定の圧力で形成され始める前に、過熱蒸気がより多く冷却される、つまりエネルギーを放出する可能性がある。
【0042】
典型的に、蒸気タービン3に十分な高品質の蒸気とは、過熱蒸気が十分に高いエネルギーを含むように温度Tまで過熱され、そのため蒸気タービン3を移動する間にエネルギーを放出するので蒸気タービン内で早期に凝縮しない蒸気を指す。
【0043】
典型的に、蒸気タービン3に入る蒸気の圧力は、発電所システムでは一定に保たれる。蒸気が蒸気タービン3に入ると、この圧力は減少し始め、そこで蒸気はエネルギーを放出して膨張し始める。
【0044】
このようなシステムでは、業界で知られているように、流動層過熱器2がループシール熱交換器チャンバ1内に配置されている場合等、流動層材料から蒸気に移動させることができる熱エネルギーの量は、炉10の外部循環の早い段階で流動層材料に伝達(移動)される熱エネルギーの量(炉10で燃料が燃焼した結果として)に依存する。その結果、炉10で燃焼する燃料が少ないほど、熱流動層過熱器2内等で、流動層材料で蒸気に移動させることができるエネルギーが少なくなる。流動層過熱器2内で蒸気に移動する熱エネルギーが少ないほど、流動層過熱器2を出て、ライン31を介して蒸気タービン3に輸送される蒸気の温度は低くなる。
【0045】
そのようなシステムでは、業界で知られているように、炉10での燃料の燃焼が少ない結果として炉10での熱エネルギーの生成が減少するので、流動層材料の外部循環は、循環型流動層材料の質量流量に関して減少する。すなわち、発電所の負荷Wが減少するにつれて、流動層材料の外部循環は減少する可能性がある。これにより、循環型流動層材料から流動層過熱器2内の蒸気に移動させることができる熱エネルギーが少なくなる。
【0046】
業界でよく知られているように、炉10で生成され及び/又は蒸気に移される熱エネルギーの量は、例えば、炉10内に供給される単位時間あたりの燃料の量と、供給される燃料のタイプとから推定、例えば計算することができる。典型的には、ボイラー12は、炉10に供給される燃料の量の関数として、燃料燃焼プロセスにおいて必要とされる空気及び/又は他のガスの量を自動的に調整するための構成を含む。そのような空気及び/又は他のガスの自動的な調整は、例えば、可燃性ガス中に存在する酸素のレベルを測定し、ラムダ値として既知の可燃性ガス中の最適酸素レベルが取得されるように燃料及び/又は空気及び/又は他のガスの供給を調整することにより推定され得る。
【0047】
従来、蒸気タービン3に入る蒸気の温度Tは、発電所の負荷Wの減少の結果として、ある程度低下するのを防ぐことができた。第1の例として、例えば、水を蒸気に噴霧し、それによってその温度を所望のレベルに下げることにより、蒸気温度を調整するように蒸気の温度調整を発電所で採用することができる。こうして、温度調整の量を減らすと、他の条件が同じならば蒸気の温度Tを上昇させる。第2の例として、流動層過熱器2を介して移動する外部循環中の流動層材料の比率を調整することができ、それにより流動層過熱器2に到達する熱エネルギーの量を調整することができる。流動層過熱器2を介して移動する外部循環中の流動層材料の比率が増大すると、他の条件が同じならば蒸気の温度Tを上昇させる。
【0048】
しかしながら、蒸気温度の低下を防ぐためのこのような手段の使用が終了すると、例えば蒸気の温度調整が中止され、流動層過熱器2を介して移動する外部循環中の流動層材料の比率がその最大に設定され、発電所の負荷Wが低下すると、典型的に、蒸気タービン3に流入する蒸気の温度Tが低下する。以降、これらの手段が終了した発電所の負荷Wは、図10aに示されるように、発電所のしきい値負荷WTHと呼ばれる。換言すれば、しきい値負荷WTHと発電所の最大負荷Wとの間で、例えば、蒸気の温度調整量を減少させることができ、及び/又は発電所の負荷Wが減少した際に蒸気温度Tが低下するのを防ぐために、流動層過熱器2を介して移動する外部循環中の流動層材料の比率を増大させることができる。しきい値負荷WTH未満では、そのような防止策は、発電所の負荷Wがさらに減少する際に蒸気温度Tが低下するのを防ぐのにもはや十分ではない。
【0049】
さらに、発電所の負荷Wが低い場合、すなわち、炉10内で燃焼される燃料が殆どない場合に、流動層材料の外部循環が停止するか、ほぼ停止する可能性がある。結果として、流動層材料による流動層過熱器2への熱エネルギーの到達は、停止するか、又はほぼ停止する可能性がある。
【0050】
発電所のそのような低負荷Wは、例えば、その最大定格負荷Wの55~60%、又は50~55%、又は45~50%、又は40~45%、又は35~40%、又は30~35%、又は25~30%、又は20~25%であり得る。このような低負荷は、しきい値負荷WTHを下回ることがある。
【0051】
その結果、流動層過熱器2内で蒸気タービン3に供給される蒸気に移動させることができる熱エネルギーが、特に発電所のしきい値負荷WTHを下回って減少する際に、蒸気の温度Tが結果として低下することがある。これは、蒸気タービン3での発電の効率の低下等、悪影響及び望ましくない結果をもたらす可能性がある。そのような悪影響及び望ましくない結果の別の例として、温度Tが低下した蒸気は、蒸気タービンを通って移動する間に時期尚早に凝縮する可能性があり、これにより、水滴が形成され、この水滴が蒸気タービン3のブレードに当たって損傷させる可能性がある。
【0052】
開示される解決策は、炉10の外部の流動層材料に追加の熱エネルギーを導入する方法を開示することによって、発電所の負荷Wの減少によるそのような悪影響及び望ましくない結果を軽減することを目的とする。
【0053】
開示される解決策により、過熱器2に接触し且つその近くにある流動層材料が、十分な量の熱エネルギーを蒸気タービン3に供給される蒸気に移動させるのを確実にすることが可能である。こうして、開示される解決策により、炉10内の熱エネルギーの生成の減少、従って炉10内の流動層材料への熱エネルギーの移動の減少は、炉10の外部の流動層材料をさらに加熱することによって補償することができる。
【0054】
従って、開示される解決策により、蒸気の温度Tを十分に高く維持することができる。例えば、発電所の減少した負荷Wがしきい値負荷WTHを下回ることがある発電所の減少した負荷Wであっても、蒸気の温度Tを、その最大温度Tに又は最大温度Tより数度未満の範囲内に維持することができる。
【0055】
開示される解決策によれば、流動層材料のそのような追加の加熱は、可燃性ガスを炉10の外部の流動層材料に供給することによって行うことができ、それによって可燃性ガスの燃焼によって追加の熱エネルギーが流動層材料に放出される。開示される解決策の一般的な原理及び実施態様の概要に(必要な変更を加えて)同様に付帯する代替又は補足として、流動層材料のそのような追加の加熱は、可燃性ガスを炉10の外部の1つ又は複数のバーナーに供給することにより行うことができ、可燃性ガスの燃焼により、追加の熱エネルギーが流動層材料に放出される。
【0056】
図2は、一例による、解決策に従って蒸気タービン3で使用される過熱蒸気を生成するためのシステムを概略的に示し、システムは、ループシール熱交換器チャンバ1内で燃焼されるガスを選択的に供給することを含む。このシステムでは、蒸気は、温度T及び質量流量m’で蒸気タービン3に入る。後者である質量流量m’は、単位時間あたりに蒸気タービン3に入る蒸気の質量として規定される。
【0057】
蒸気特性の決定は、流量計及び/又は圧力センサ及び/又は温度センサを蒸気輸送ラインに設置し、この/これらの機器からの信号を専用の蒸気流コンピュータ及び/又は制御ユニット23等の機器に中継して、処理及び/又は記憶することによって実行できる。蒸気特性を決定することは業界でよく知られており、この目的のための適切な装置は市販されていることを理解されたい。蒸気特性は、例えば測定によって一旦決定されると、制御ユニット23によって制御入力データとして使用してもよい。
【0058】
さらに図2を参照すると、蒸気特性は、蒸気タービン3におけるその末端の少なくともライン31での測定によって決定され得る。さらに、以下で説明するように、蒸気特性は、他の方法でも、例えばシステム内の他の位置での測定に基づいている決定され得る。
【0059】
蒸気タービン3に入るときのその温度を含む蒸気の特性の決定は、間接的であり得る。これは、例えば熱交換器15で始まり蒸気タービン3で終わる蒸気輸送経路のさらに上流又は下流で蒸気特性を測定でき、測定結果が、例えば、既知の変換係数を使用して蒸気タービン3に流入するときに決定される蒸気の特性の値に変換されることを意味する。そのような既知の変換係数は、例えば、関心のある位置での比較測定によって得ることができ、又はその変換係数は、システムの物理的特性に基づく計算から導き出すことができる。この本文で使用されるように、蒸気特性を決定する概念には、今説明した間接的な決定も含まれる。
【0060】
発電所では、少なくとも発電所が発電するとき、蒸気の圧力を一定に保つことができ、その場合に、蒸気タービン3に入る蒸気の主要な特性は、実際には、蒸気タービン3に入る蒸気の温度Tによって捕捉することができる。
【0061】
蒸気タービン3は、駆動ライン70を介して発電機9を駆動するように適合され、発電機9は、ライン44を介して電力消費プロセスに電力を供給し得る。電力消費プロセスは、製造施設等の特定の及び/又は局所的なプロセスであり得る。或いは電力消費プロセスは、地区、地域、又は国の電力網等の電力網における総電力消費であり得る。
【0062】
さらに図2を参照すると、システムでは、蒸気を過熱するか、又は流動層過熱器2内の蒸気に最終過熱を与えることによって過熱蒸気を生成できる。このような流動層過熱器2は、ループシール熱交換器チャンバ1内に配置できる。
【0063】
よく知られているように、熱交換器25及び/又は熱交換器11及び/又は熱交換器15又は複数のそのような熱交換器等の流動層過熱器2の上流の装置を使用して、システム内を循環する水を気化及び/又は過熱することができ、それによって水が流動層過熱器2に入るときに、水が既に蒸気又は過熱状態の蒸気である。
【0064】
図2に示される例によれば、熱交換器11、15をダクト71に設置してもよく、熱交換器25を炉10に設置してもよい。
【0065】
流動層過熱器2は、単一の熱交換器装置であってよい。あるいはまた、流動層過熱器2は、複数の個々の熱交換器装置の集合体であってもよい。同じことが熱交換器25、11、15にも当てはまる。
【0066】
さらに図2を参照すると、燃料は、燃料源21からライン49を介して炉10に供給され、炉10内で燃焼され得る。燃料の燃焼及び/又は流動層材料の流動化をもたらすために必要な空気又は他の適切なガス又はガス混合物は、ライン50又は複数のそのようなラインを介して炉10に輸送してもよい。燃料の燃焼に起因する灰等の非ガス状の燃焼残留物は、ライン51を介して炉10から排出され得る。燃料の燃焼に起因する可燃性ガス及び炉10に噴射される可能性のある他のガスは、流動層材料とともに炉10からダクト72を介して固体分離器60に排出され得る。
【0067】
固体分離器60において、流動層材料は、燃焼及び他の可能なガスから分離され得る。これにより、流動層材料は、固体分離器60からディップレッグ(dip leg)100を介してループシール熱交換器チャンバ1内に移動することができる。対応して、ガス及びフライアッシュ(fly ash)等の流動層材料の微細残留物は、ダクト71を介してプロセス内の別の場所(図示せず)に移動することができる。固体分離器60は、例えば、サイクロンであり得る。
【0068】
ダクト71から排出される前に、熱エネルギーは、熱交換器11、15を用いて燃焼及び他のガスから捕捉され得る。
【0069】
さらに図2を参照すると、ループシール熱交換器チャンバ1は、固体分離器60から外部循環中の流動層材料を受け入れるように配置され得、それによってガス流は、炉10からループシール出口61を介して最終的には固体分離器60に流れるのが防止され、且つ流動層材料を、ループシール出口61を介して炉1に戻すことができる。システム内のループシール熱交換器チャンバ1の機能の1つは、典型的に、このようなガスの逆流を防ぐことである。
【0070】
ループシール熱交換器チャンバ1のそのような機能は、図4a~図4cの典型的なセットアップに従って示されるように、ループシール熱交換器チャンバ1内の構造的に異なる規定された領域を介して流動層材料の移動を調整することによってもたらされ得、これらの図では、流動層材料の移動は矢印で示されている。図4a~図4cでは、流動層材料の平均的な典型的な表面が波状の破線で概略的に示される。ループシール熱交換器チャンバ1内で起こり得る流動化のために、流動層材料の表面は厳密には規定されないことを理解されたい。同じことが、特に明記されていない限り、以下で説明され、他の図に示される流動層材料の他の表面にも当てはまる。
【0071】
図4aに示されるループシール熱交換器チャンバ1のA-A断面である図4a及び図4bに示されるように、外部循環中の流動層材料は、固体分離器60からディップレッグ100を介してループシール熱交換器チャンバ1に到達し得、その後、流動層材料の流れは、ループシール熱交換器チャンバ1の分配ゾーン101で2つの流れに分割され、その1つの流れはバイパスアップレッグ103を介してループシール出口61に移動し、他方の流れは供給アップレッグ102を介して過熱器チャンバ104に移動する。流動層材料のそのような移動は、プレナム106a~cに設置されたノズル110で空気又は他の適切な不燃性(non-combustible)ガスを供給することによってもたらしてもよく、ノズル110は噴射の適切な方向性を有し得る。個別のプレナム106a~cは、プレナム固有の流量及び/又は方向を有する空気又は他の不燃性ガスを、分配ゾーン101、バイパスアップレッグ103、及び供給アップレッグ102それぞれに供給することができ、それにより、流動層材料の流れは、バイパスアップレッグ103及び/又は供給アップレッグ102を介して移動する流動層材料の比率を制御する等で、制御することができる。
【0072】
図4aに示されるループシール熱交換器チャンバ1のB-B断面である図4a及び図4cを参照すると、流動層過熱器2は、ループシール熱交換器チャンバ1の過熱器チャンバ104セクションに配置され、ここで、流動層過熱器2は、過熱器チャンバ104を通って移動する流動層材料から熱エネルギーを捕捉するために使用され得る。過熱器チャンバ104から、流動層材料は、排出アップレッグ105を介してバイパスアップレッグ103に、その後ループシール出口61に移動し得る。過熱器チャンバ104及び排出アップレッグ105を通る流動層材料の移動は、プレナム106d~fに設置されたノズル110で空気又は他の適切な不燃性ガスを供給することによって制御することができ、ノズル110は、噴射の適切な方向性を有し得る。個別のプレナム106d~fは、プレナム固有の流量及び/又は方向を有する空気又は他の不燃性ガスを供給することができる。あるいはまた、過熱器チャンバ104及び排出アップレッグ105に共通の1つのプレナム等、異なる構成のプレナムがあってもよい。
【0073】
ループシール熱交換器チャンバ1のそのような仕切りは業界で知られており、そのような知識はループシール熱交換器チャンバ1に容易に当てはまることを理解されたい。
【0074】
ループシール熱交換器チャンバ1から、流動層材料は、再利用のためにループシール出口61を介して炉10に輸送され得る。
【0075】
図10a及び図10bを参照すると、発電所は負荷Wで運転することができ、負荷Wは、蒸気タービン3によって駆動される単位時間あたりに発電機9により発電された量を指す。業界でよく知られているように、単位時間あたりに発電機9により発電された量、すなわち発電機9の電力出力は、電気出力の電圧及び電流に基づいて測定され得る。あるいはまた、又はさらに、発電所の負荷Wは、発電所の負荷Wがその熱消費量と高く相関していることがよく知られているので、発電所の熱消費量から推定することができる。次に、熱消費量は、発電所での熱発生のために、単位時間内に炉10に供給され及び/又は炉10で燃焼された燃料の量から推測することができる。単位時間内に燃焼する燃料の量と熱消費量との間、及び熱消費量と負荷Wとの間の正確な関係は、典型的に、例えばプラント固有のエネルギー損失により、プラント固有である。図11a及び図11bは、これらの測定値同士の間の理想的な関係を示している。このような測定は、通常の発電所の計装の一部である。
【0076】
蒸気を生成及び加熱する目的のために炉10内で燃焼される燃料の量及び発電所の負荷Wは、相関関係を有しており、この相関関係は、発電所毎に特徴的なものであり、オペレータによって知られており、及び/又は発電所の制御装置にプログラムされている。こうして、発電所の負荷Wは、蒸気を生成及び加熱する目的で燃焼される燃料を調整することによって制御することができ、燃焼及び/又は供給される燃料の量は、通常、発電所の負荷Wの合理的な代用として解釈することができる。
【0077】
発電所は、図10a及び図10bに示されるように、異なる負荷Wで運転され得る。
【0078】
図10aは、蒸気タービン3で使用される蒸気を生成するための従来のシステムの動作を表す。図10bは、追加の加熱を炉の外部の流動層材料10に制御可能に与えることを含む開示される解決策による、蒸気タービン3で使用される蒸気を生成するシステムの動作を表す。
【0079】
図10aに示されるように、発電所は最大定格負荷Wを有し得る。これは、つまり、最大定格量の燃料が炉10で燃焼しているときに、炉10の最大定格負荷で得られ得る発電所の負荷Wを指す。最大定格負荷Wでは、最大量の熱エネルギーは、熱交換器25、11、15及び流動層過熱器2において蒸気タービン3に供給される蒸気に移動される。発電所のこの最大定格負荷Wでは、蒸気タービン3に流入する過熱蒸気の温度Tはその最大値Tであり、これは発電所の最大負荷Wで得られる蒸気の最大温度であり得る。
【0080】
蒸気タービンに入る蒸気の最大温度Tは、炉10内で燃焼される最大量の燃料で原理的に得られるよりも低くなるように構成され得る。この構成は、例えば、先に説明したように、蒸気を制御可能に温度調整することによって及び/又は流動層過熱器2を介して移動する外部循環中の流動層材料の比率を調整することによってもたらされ得る。
【0081】
このような構成では、図10aに示されるように、蒸気タービン3に入る蒸気の温度Tは、発電所のしきい値負荷WTHと最大負荷Tとの間の負荷範囲に亘って最大温度Tに維持され得る。
【0082】
さらに図10aを参照すると、発電所のしきい値負荷WTHより下では、蒸気タービン3に流入する過熱蒸気の温度Tは、最大温度Tから低下する。典型的に、過熱蒸気の圧力は一定に保たれるが、図10aに示されるように、蒸気タービン3に入る過熱蒸気の質量流量m’は、典型的に、熱交換器25、11、15及び流動層過熱器2において蒸気に移動されるエネルギーの関数として減少する。
【0083】
その結果、発電所の負荷Wがしきい値負荷WTHを下回ると、開示される解決策が採用されない限り、発電所で発電される効率が望ましくないように低下する。
【0084】
特に流動層過熱器2に関して、その後蒸気タービン3に供給される、蒸気に移動可能な熱エネルギーの量は、ループシール熱交換器チャンバ内の1つ又は複数の流動化率を調整すること(例えば、流動層材料から流動層過熱器2内の蒸気への熱エネルギーの移動を増大させるために、流動層材料の循環速度を増大させる等)によってさらに影響を受けることがある。そのような影響は、例えば、プレナム106a~fを介して対応するノズル110へのガス噴射速度を調整することによってもたらされ得る。ライン50を介して炉10への流動化ガスの供給は、同じ端部に向かって同様に使用することができる。
【0085】
しかしながら、このような1つ又は複数の流動化率の調整は、発電所の負荷Wがさらに減少するときに、流動層材料から流動層過熱器2内の蒸気への熱エネルギー移動量を維持することができない場合がある。
【0086】
加えて、発電所の低い負荷Wは、発電所の排出量を増大させる可能性があり、それらの排出量は、超えてはならない規制された上限を有し得る。換言すれば、発電所の負荷Wに対して課せられる排出物の最低限度があり、それを超えると負荷Wが低減されない可能性がある。炉10への燃料の供給の減少に完全に対応して、設計及び操作上の制約のために、特に炉10への流動化ガスの供給が減少しない場合があるため、このような排出量上限に達する可能性がある。
【0087】
さらに図10aを参照すると、発電所の負荷Wがしきい値負荷WTHから低くなると、その負荷Wは、実行可能な最小負荷WMVに達する可能性があり、それを下回ると発電所が実行可能に運転されない可能性がある。そのような実行可能な最小負荷WMVは、例えば、上記の排出量上限によって決定され、及び/又はその温度T等の許容可能な蒸気品質の最小基準によって決定され得る。発電所の実行不可能な動作Wの負荷範囲は、負荷Wが実行可能な最小負荷WMVを下回る負荷範囲である。次に、発電所の実行可能な動作Wの範囲は、実行可能な最小負荷WMV以上の負荷Wの負荷範囲である。
【0088】
実行可能な最小負荷WMVでは、流動層材料の外部循環が殆どないか、又は流動層材料の外部循環が停止している可能性がある。
【0089】
解決策によれば、図10bを参照すると、流動層過熱器2内の蒸気に移動可能な流動層材料中の熱エネルギーの量は、炉10の外部で流動層材料をさらに加熱することによって増大させることができる。このように、解決策によれば、発電所の負荷Wの減少に起因する流動層材料中の熱エネルギー量の減少は、炉10の外部で流動層材料をさらに加熱することによって補償することができる。
【0090】
こうして、開示される解決策により、蒸気タービン3に供給される蒸気の温度Tは、発電所がそのしきい値負荷WTH未満の負荷Wで運転されている場合でも、十分に高く、好ましくは最大温度Tに維持され得る。その結果、発電効率は、発電所がその最大定格負荷W未満の負荷W(しきい値負荷WTH未満を含む)で運転されている状況下で、開示される解決策によって増大することができる。
【0091】
一例によれば、図2に示されるように、炉10の外部の流動層材料の追加の加熱は、可燃性ガスを燃料源6からライン42を介してループシール熱交換器チャンバ1内に選択的に噴射することによってもたらされ得、ここで、可燃性ガスは、高温の流動層材料と接触するときに燃焼する。その結果、熱エネルギーが、ループシール熱交換器チャンバ1内の流動層材料に放出される。その結果、流動層材料から流動層過熱器2内の蒸気に移動される熱エネルギーが増大し得る。
【0092】
そのような場合、そして一般的に、流動層材料と接触するときの可燃性ガスの燃焼は、流動層材料が可燃性ガスを点火するのに十分に熱いことを必要とする。この点火の最低温度は、使用されるガスによって異なる。典型的には、可燃性ガスに点火するために流動層材料に必要なそのような最低温度は、700~750℃、又は750~800℃、又は800~850℃の範囲であり得る。同じ原則が、必要な変更を加えて、以下で説明する他の例にも適用される。
【0093】
そのような場合、そして一般的に、流動層材料と接触するときの可燃性ガスの燃焼は、噴射の位置又はその直ぐ近くで燃焼に利用可能な酸素があることを必要とする。この酸素は、図2に示される例においてライン54を介して供給されるように、流動化ガスと共に供給され得る。同じ原則が、必要な変更を加えて、以下に記載される他の例に適用される。
【0094】
さらに図2に示される例を参照すると、可燃性ガスのループシール熱交換室1内へのこのような選択可能な噴射により、蒸気タービン3に入る蒸気の温度Tは、流動層材料の外部循環が減少した、又は停止した、及び/又は発電所のしきい値負荷WTHを下回った状況下でも、十分に高く、好ましくはその最大温度Tに維持され得る。
【0095】
可燃性ガスのループシール熱交換器チャンバ1内へのそのような選択可能な噴射は、少なくとも2つの方法で行うことができる。
【0096】
第1に、図5bに示されるように、可燃性ガスは、燃料源6からライン42を介して選択的に噴射され、ガスノズル111は、例えば供給アップレッグ102セクションの床において、ループシール熱交換器チャンバ1の供給アップレグ102セクションに設置される。その結果、流動層材料が流動層過熱器2を収容する過熱器チャンバ104に入る前に、流動層材料には、供給アップレッグ102において追加の加熱が与えられ得る。
【0097】
第2に、図5cに示されるように、可燃性ガスは、燃料源6からライン42を介して選択的に噴射され、ガスノズル111は、例えば過熱器チャンバ104の床において、ループシール熱交換器チャンバ1の過熱器チャンバ104セクションに設置される。その結果、流動層材料には、流動層過熱器2を収容する過熱室104内に滞留している間に、追加の加熱が与えられ得る。
【0098】
上述の2つの例では、図5a~図5cに示されるように、ループシール熱交換器チャンバ1には、再循環チャネル107を設けることができる。そのような再循環チャネル107は、供給アップレッグ102セクションと過熱器チャンバ104セクションとの間の壁の開口部又は他のそのような導管であってよい。このような再循環チャネル107は、特に流動層材料の外部循環が大幅に減少又は停止した状況下で、ループシール熱交換チャンバ1内の流動層材料の循環を可能にするために設けられ得る。
【0099】
別の例によれば、図3に示されるように、炉10の外部の流動層材料の追加の加熱は、可燃性ガスを燃料源6からライン42を介して燃焼チャンバ16内に選択的に噴射することによってもたらされ得、ここで、可燃性ガスは、高温の流動層材料と接触するときに燃焼する。燃焼チャンバ16は、ループシール熱交換器チャンバ1と燃焼チャンバ16との間のライン56、57を介した固体循環が存在するように、ループシール熱交換器チャンバ1に隣接して配置される。ループシール熱交換器チャンバ1と燃焼チャンバ16との間のそのような流動層材料の循環は、流動化空気又は他の適切な流動化ガス又はガス混合物を、ライン37を介して燃焼チャンバ16に噴射することによってもたらされ得る。その結果、ループシール熱交換器チャンバ1と燃焼チャンバ16との間の流動層材料の循環は、ライン56及び57を介して容器を連通させるという原理に従ってもたらされ得る。
【0100】
これにより、この例によれば、流動層材料を燃焼チャンバ16内でさらに加熱することができ、その後、追加の熱エネルギーを、ループシール熱交換器チャンバ1において流動層材料から流動層過熱器2内の蒸気に移動させることができる。
【0101】
さらに別の例によれば、図9aに示されるように、炉10の外部の流動層材料の追加の加熱は、ガスノズル111を用いて、可燃性ガスを燃料源6からライン42を介して炉10に隣接する熱交換器チャンバ200内に選択的に噴射することによってもたらされ得る。このようなガスノズル111は、例えば、熱交換器チャンバ200の床に設置することができる。これにより、可燃性ガスは、高温の流動層材料と接触するときに熱交換器チャンバ200内で燃焼することができ、これにより、熱エネルギーが、流動層過熱器2を収容する熱交換器チャンバ200内の流動層材料に放出され得る。その結果、熱交換器チャンバ200において流動層材料から流動層過熱器2内の蒸気に移動される熱エネルギー内の圧力は増大し得る。例示を明確にするために、図8は、開示される解決策による可燃性ガスを噴射しない、典型的なそのような構成を示している。
【0102】
別の例によれば、図9bに示されるように、炉10の外部の流動層材料の追加の加熱は、ガスノズル111を用いて、可燃性ガスを燃料源6からライン42を介して、ディップレッグ100と炉10に隣接する熱交換器チャンバ200との間のガスロック202内に選択的に噴射することによってもたらされ得る。こうして、ガスノズル111は、ガスロック202に設置され得、それによって、熱エネルギーが、流動層過熱器2を収容する熱交換室200に向かう途中でガスロック202中に存在する及び/又はガスロック202を通って移動する流動層材料に放出され得る。その結果、熱交換器チャンバ200において流動層材料から流動層過熱器2内の蒸気に移動される熱エネルギーが増大し得る。
【0103】
さらに別の例によれば、図12に示されるように、炉10の外部の流動層材料の追加の加熱は、過熱器のないループシールチャンバ300に隣接して配置される熱交換器チャンバ320で実行され得る。このような設定では、流動層過熱器2又は複数の流動層過熱器2を熱交換器チャンバ320に配置できる。図12は、熱交換器チャンバ320内に2つの流動層過熱器2を含む特定の例を示しているが、代替的に、熱交換器チャンバ320には、1つ、3つ、4つ、又はそれ以上の流動層過熱器2を設けることができる。
【0104】
この例によれば、熱交換器チャンバ320は、ディップレッグ307でループシールチャンバ300に接続することができ、ディップレッグ307を介して、流動層材料がループシールチャンバ300から熱交換器チャンバ320に移動することができる。バルブ310又は同様の構成によりそのような移動を制御することができ、それによってループシールチャンバ300から供給アップレッグ303を介してディップレッグ307への流動層材料の供給が、体積において制御され、及び/又は選択的に完全に遮断され得る。
【0105】
この例によれば、熱交換器チャンバ320は、流動層材料がディップレッグ307から到達する入口チャンバ308と、流動層過熱器2を収容する1つ又は複数の過熱器チャンバ304a、bとに分割することができる。この例によれば、流動層材料の追加の加熱は、入口チャンバ308及び/又は1つ又は複数の過熱器チャンバ304a、bに設置されたノズル111で可燃性ガスを噴射することによって実行することができる。その結果、過熱器チャンバ304a、bにおいて流動層材料から流動層過熱器2内の蒸気に移動される熱エネルギーが増大し得る。
【0106】
この例によれば、流動層材料は、再利用するために、ループシールチャンバ300からバイパスレッグ305を介して、続いてループシール出口361を介して、及び熱交換器チャンバ300から熱交換器チャンバ出口362を介して炉10に輸送され得る。図12に矢印で示される流動層材料の流動化した流れは、流動化ガスをループシールチャンバ300においてプレナム306a~cを介してノズル110内に、そして必要な変更を加えて、交換器チャンバ320においてプレナム306d~fを介してノズル110内に噴射することにより、制御され得る。
【0107】
追加の可能性として、炉10の外部の流動層材料をさらに加熱するために選択的に噴射される可燃性ガスは、ガス化装置4で生成してもよい。図6及び7は、例によるこのガス化装置4を示す。
【0108】
図6に示される例によれば、ループシール熱交換器チャンバ1内で燃焼させるために噴射される可燃性ガスは、ガス化装置4でのガス化により生成された生成ガスであり得る。そのような場合に、燃料供給源6は、最終燃料、すなわち生成ガス、つまり可燃性ガスにガス化される初期燃料を含み得る。ガス化されるそのような初期燃料は、例えば、バイオマス及び/又は廃棄物を含み得る。図6に示されるように、初期燃料は、燃料源6からライン39を介してガス化装置4に輸送され得る。最終燃料は、ガス化装置4から1つ又は複数のライン40、41、42を介してループシール熱交換器チャンバ1に輸送され得る。
【0109】
ガス化装置4は、流動層タイプ等の既知のタイプのものであってもよい。ガス化のために、空気又は他の適切なガス又はガス混合物が、ライン38又は複数のそのようなラインを介してガス化装置4に供給され得る。ガス化残留物は、ガス化装置からライン36又は複数のそのようなラインを介して排出され得る。
【0110】
可燃性ガスがガス化装置4で生成された生成ガスである場合に、ライン40、41、42を含む生成ガス輸送経路は、生成ガスを冷却するための冷却器5、及び/又は生成ガスが可燃性ガスとしてループシール熱交換器チャンバ1内に供給される前に、望ましくない物質を生成ガスから取り除くためのフィルタ7をさらに含み得る。冷却器及びフィルタの種類及び使用法は業界でよく知られており、そのような知識は冷却器5及びフィルタ7に容易に当てはまる。
【0111】
冷却器5がそのように使用される場合に、図6に示されるように、熱エネルギーは、冷却器5からライン32と48との間に設置された熱交換器8に輸送され得、そこで熱エネルギーはライン32及び48内の水又は蒸気に放出される。冷却器5から熱交換器8へのそのような熱移動は、冷却器5と熱交換器8との間のライン52及び53において適切な熱伝達媒体を循環させることによりもたらされ得る。
【0112】
可燃性ガスがガス化装置4で生成された生成ガスである場合に、生成ガスは、ライン47を介して炉10にさらに輸送され、燃料として、例えば補助燃料として、及び/又は主燃料として、及び/又はボイラー10のみのための燃料として使用され得る。
【0113】
本発明に従って選択的に噴射される可燃性ガスとしての生成ガスの生成及び使用に関する前述の説明は、必要な変更を加えて、炉10の外部の流動層材料をさらに加熱するために可燃性ガスが選択的に噴射される異なる例に適用される。こうして、生成ガスは、可燃性ガスとして、例えば、図6に示されるループシール熱交換器チャンバ1内に、図7に示される燃焼チャンバ16内に、又は図9に示される炉10に隣接する熱交換チャンバ200内に、又は図12に示されるループシールチャンバ300に隣接する熱交換器チャンバ320内に選択的に噴射され得る。
【0114】
炉10の外部の流動層材料をさらに加熱するための可燃性ガスの選択可能な噴射は、制御ユニット23によって行われ得る。
【0115】
制御ユニット23は、例えば蒸気品質測定値を入力データとして使用することにより、可燃性ガスのそのような選択可能な噴射をもたらすことができる。入力データは、例えば蒸気タービン3のライン31の末端で測定された、例えば蒸気タービン3に入る蒸気の温度Tを含み得る。
【0116】
別の例として、制御ユニット23は、発電所の負荷Wを入力データとして使用することにより、可燃性ガスのそのような選択可能な噴射をもたらすことができる。上記で説明したように、発電所の負荷Wは、単位時間あたりの発電機9により発電された量から、及び/又は単位時間内の発電所の熱消費から、及び/又は燃焼した燃料の量から、及び/又は炉10に供給される量から推定することができる。
【0117】
この目的に向けて、図10bを参照すると、発電所にトリガー負荷WTRがあり得る。トリガー負荷WTRを使用して、炉10の外部の流動層材料をさらに加熱するために可燃性ガスの噴射の開始をトリガーすることができる。例えば、発電所の負荷Wがトリガー負荷WTR未満、つまりトリガー負荷WTRを下回ると、可燃性ガスの噴射を開始することができる。あるいはまた、別の例として、負荷Wがトリガー負荷WTR以下であるときに、可燃性ガスの噴射を開始することができる。
【0118】
トリガー負荷WTRは、例えば、発電所のしきい値負荷WTHと一致するように設定してもよい。別の例として、図10bに示されるように、トリガー負荷WTRをしきい値負荷WTHより上に設定することができる。トリガー負荷WTRは、実行可能な最小定格負荷WMVより大きく、発電所の最大定格負荷Wより小さい。
【0119】
後者の例によれば、トリガー負荷WTRは、可燃性ガスの噴射が開始されたときに、例えば、蒸気タービン3に入る蒸気の温度Tが(発電所の負荷Wがしきい値負荷WTHを超えた状態で)水の噴霧による蒸気の温度調整に等により低下するのを防止する手段が、完全に使用されないように設定することができる。
【0120】
例えば、可燃性ガスの噴射は、温度調整の最大水噴霧量の1%又は5%又は10%又は15%が使用されているときに開始してもよい。換言すれば、発電所のトリガー負荷WTRは、最大水噴霧量の1%又は5%又は10%又は15%がその最大温度Tで蒸気タービン3に入る蒸気を維持するために使用されるような負荷Wに設定することができる。このような設定により、可燃性ガスの噴射中に温度調整手段を使用して、炉10の外部の流動層材料をさらに加熱して、蒸気タービン3に入る蒸気の温度Tを制御(微調整等)することができる。例えば、そのような制御は、可燃性ガスの噴射中に、蒸気タービン3に入る蒸気の温度Tをその最大温度Tに又はその近くに維持することができる。
【0121】
別の例として、トリガー負荷WTRは、発電所の最大負荷Wのパーセンテージ(例えば、発電所の最大負荷Wの60%又は55%又は50%又は45%又は40%又は35%又は30%又は25%)等の特定のレベルの負荷Wに設定してもよい。トリガー負荷WTRに対するそのような特定のレベルの負荷Wは、流動層材料が炉10の外部でさらに加熱されない限り、蒸気タービンに入る蒸気の温度Tがその最大温度Tから低下するような負荷Wであり得る。
【0122】
発電所の負荷Wがトリガー負荷WTR、又は別の設定されたトリガー解除負荷W(具体的には示していない)を超えて上昇すると、可燃性ガスの噴射を中止することができる。さらに、発電所の負荷Wがその実行可能な最小定格負荷WMVを下回ると、可燃性ガスの噴射を中止することができる。
【0123】
あるいはまた、例えば制御ユニット23により、蒸気タービン3に入る蒸気の温度Tが特定の量だけ、例えば最大温度Tより1℃又は5℃又は10℃又は15℃又は20℃だけ低下したことが観察されると、可燃性ガスの噴射を開始することができる。換言すれば、上で説明したことに対応して、可燃性ガスの噴射を開始するためのトリガーとして使用され得る警報温度Tが存在し得る。
【0124】
あるいはまた、又はさらに、流動層材料の温度は、例えば、制御ユニット23の制御信号として同様に役立ち得る。そのような場合に、流動層材料の温度は、可燃性ガスが、例えば、ループシール熱交換器チャンバ1の供給アップレッグ102及び/又は過熱器チャンバ104に、及び/又はボイラー10に隣接する燃焼チャンバ16及び/又は熱交換器チャンバ200に、及び/又は熱交換器チャンバ320の過熱器チャンバ304a、b及び/又は熱交換器チャンバ320の入口チャンバ308に選択的に噴射される場所で又はその近くで測定され得る。次に、示された方法で測定された流動層材料の温度は、例えば、制御ユニット23による制御動作のためのトリガーとして使用され得る。このような制御動作は、例えば、燃焼位置の流動層材料の温度が可燃性ガスの適切な燃焼にとって低過ぎる場合に、可燃性ガスの選択可能な供給を中止することを含み得、これは、図10b~図10dに示されるように、発電所の実行可能な最小定格負荷WMVに到達することを意味し得る。
【0125】
上記で提供された例に関して、及び一般的に開示される解決策に関して、ガスノズル111には、有利には、実行可能な動作Wの負荷範囲に亘って、又は実行可能な動作Wと実行不可能な動作Wとを組み合わせた負荷範囲に亘って等、発電所の全運転負荷W範囲に亘ってガス流が供給され得る。そうすることにより、ガスノズルが流動層材料によって詰まるのを防ぐことができる。例えば、発電所がトリガー負荷WTR未満の負荷で運転されているときに、ガスノズル111には、可燃性ガスの流れが供給され、発電所がトリガー負荷WTR以上の負荷で運転されているときに(不燃性ガスの供給は具体的に示していない)、空気等の不燃性ガスの流れが供給され得る。
【0126】
追加の可能性(具体的には示していない)として、流動層材料の追加の加熱中にガスノズル111で噴射されるガスは、可燃性ガスと酸素含有空気等の酸化ガスとの混合物であり得る。可燃性ガスの燃焼に必要な酸化ガスが、少なくともある程度、可燃性ガスと共に供給され得るので、そのような構成は、噴射の位置における酸化ガスの事前存在の必要性を低減又は排除するという利点を有し得る。
【0127】
図2図3及び図6図7を再び参照すると、蒸気タービン3に輸送された蒸気が蒸気タービン3で利用された後に、その蒸気(すなわち、その温度及び圧力に応じて気体又は液体状態の水)は、1つ又は複数のライン34、35、33、32、48を含む経路を介して炉10に戻すことができる。
【0128】
図2に示されるように、例えば、この経路は、蒸気から熱を回収し、且つその熱を熱消費プロセス22に移動させるための凝縮器14をさらに含み得る。凝縮器14は、単一の凝縮器装置を含んでもよく、又は複数の個々の凝縮器装置を含んでもよい。凝縮器の種類及び使用法は業界でよく知られており、そのような知識は凝縮器14に容易に当てはまる。凝縮器14は、ライン45、46を用いて熱消費プロセス22に接続でき、そこで、水等の熱伝達媒体は、凝縮器14と熱消費プロセス22との間を循環することができる。
【0129】
加えて、又は代替として、逆輸送経路は、ボイラー12と蒸気タービン3との間の水等の循環物質の循環をもたらすための1つ又は複数のポンプ20を含み得る。
【0130】
有利には、図10b~図10dを参照すると、解決策に従って噴射される可燃性ガスの量は、発電所がトリガー負荷WTR未満の負荷Wで運転されるときに、可燃性ガスのエネルギー量が、燃焼すると、流動層過熱器2から発生する蒸気をさらに過熱して、少なくとも蒸気タービン3に入る蒸気の実行可能な最低温度Tが満たされ、好ましくは蒸気タービン3に入る蒸気の温度Tがその最大温度Tに又はその非常に近くに維持されるように選択される。噴射された可燃性ガスの量の制御は、例えば、制御ユニット23によって実行され得、ここで、例えば、噴射されるガスの単位体積あたりの既知のエネルギー量に基づいて、発電所の異なる負荷Wに関する事前にプログラムされた噴射量マップが存在し得る。
【0131】
開示される解決策は、上で提示した例及び実施形態に限定されない。さらに、これらの例及び実施形態は、限定としてみなすべきではなく、それら例及び実施形態は、所望の結果を与えるために様々な組合せで使用され得る。より具体的には、開示される解決策は、添付の特許請求の範囲によって規定される。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図4c
図5a
図5b
図5c
図6
図7
図8
図9a
図9b
図10a
図10b
図11a
図11b
図12
図13