(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-25
(45)【発行日】2022-11-02
(54)【発明の名称】廃棄物処理炉とそれを有する処理設備
(51)【国際特許分類】
B09B 3/40 20220101AFI20221026BHJP
B01D 53/50 20060101ALI20221026BHJP
B01D 53/56 20060101ALI20221026BHJP
B01D 53/78 20060101ALI20221026BHJP
B09B 3/50 20220101ALI20221026BHJP
F27B 1/06 20060101ALI20221026BHJP
F27B 1/09 20060101ALI20221026BHJP
F27B 1/10 20060101ALI20221026BHJP
F27B 1/22 20060101ALI20221026BHJP
F27D 7/02 20060101ALI20221026BHJP
F27D 11/12 20060101ALI20221026BHJP
F27D 17/00 20060101ALI20221026BHJP
【FI】
B09B3/40
B01D53/50 100
B01D53/56 200
B01D53/78 ZAB
B09B3/50
F27B1/06
F27B1/09
F27B1/10
F27B1/22
F27D7/02
F27D11/12
F27D17/00 101A
F27D17/00 104G
(21)【出願番号】P 2021073266
(22)【出願日】2021-04-23
【審査請求日】2021-05-10
(32)【優先日】2020-12-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】518111379
【氏名又は名称】柯 世苑
(74)【代理人】
【識別番号】100081547
【氏名又は名称】亀川 義示
(72)【発明者】
【氏名】柯 世苑
【審査官】森 健一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第99/039356(WO,A1)
【文献】特表2007-516075(JP,A)
【文献】特開2009-179873(JP,A)
【文献】特開平07-265834(JP,A)
【文献】特開2000-034114(JP,A)
【文献】特表2015-507521(JP,A)
【文献】特開2014-036940(JP,A)
【文献】特開2005-120252(JP,A)
【文献】特開2007-205639(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B09B 1/00- 5/00
B01D 53/56
B01D 53/78
F27B 1/06
F27B 1/09
F27B 1/10
F27B 1/22
F27D 7/02
F27D 11/12
F27D 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シェルにより処理空間が形成され、内部に活性炭
のスラグ層が設けられており、前記活性炭
のスラグ層は前記処理空間に位置し、前記活性炭
のスラグ層には、燃焼されて隙間を有する活性炭
のスラグ粒が充填され、前記処理空間に連通する蒸気投入管と前記活性炭
のスラグ層に連通する排気管を有する炉と、
前記活性炭
のスラグ層に位置合わせしたマイクロ波放射モジュールと、
を備えることを特徴とする廃棄物処理炉。
【請求項2】
前記炉は断熱層を有し、前記断熱層は前記処理空間を取り囲むことを特徴とする、請求項1に記載の廃棄物処理炉。
【請求項3】
前記炉はスラグ堆積区を有し、前記スラグ堆積区は、前記活性炭
のスラグ層の下方に位置し、前記活性炭
のスラグ層と前記スラグ堆積区との間に隔離部材が設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の廃棄物処理炉。
【請求項4】
請求項1から3の何れかに記載の廃棄物処理炉と、
前記炉の排気管と連接する第1の熱交換モジュールを有し、貯液部材が前記第1の熱交換モジュールと連接する熱交換システムと、
入口ポートと、排気口と、を有し、前記入口ポートは前記第1の熱交換モジュールと連通し、前記入口ポートと前記排気口との間にスプレー区が設けられている浄化モジュールと、
を備えることを特徴とする処理設備。
【請求項5】
前記第1の熱交換モジュールは、蒸気輸送管を介して前記炉の処理空間に連通する蒸気投入管と連接していることを特徴とする、請求項4に記載の処理設備。
【請求項6】
更に、第2の熱交換モジュールと、第3の熱交換モジュールと、を有し、第1のチューブは、前記第1の熱交換モジュール及び前記第2の熱交換モジュールと連通し、第2のチューブは、前記第2の熱交換モジュール及び前記第3の熱交換モジュールと連通し、前記第3の熱交換モジュールは前記浄化モジュールと連通することを特徴とする、請求項
4に記載の処理設備。
【請求項7】
サイクルチューブセットは、前記貯液部材、前記第2の熱交換モジュール、及び前記第3の熱交換モジュールと順番に連通することを特徴とする、請求項
6に記載の処理設備。
【請求項8】
前記熱交換システムは、第1の気液分離部材と、第2の気液分離部材と、を有し、前記第1の気液分離部材は、前記第2の熱交換モジュールの出口ポートと前記第2のチューブとの間と連通し、前記第2の気液分離部材は、前記第3の熱交換モジュールの出口ポートと
第3のチューブとの間と連通することを特徴とする、請求項
6に記載の処理設備。
【請求項9】
前記熱交換システムは不純物分離部材を有し、前記不純物分離部材は前記第1のチューブに位置することを特徴とする、請求項
6に記載の処理設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物処理炉とそれを有する処理設備に関し、特に、高温無炎で廃棄物を熱処理するための廃棄物処理炉、及び前記廃棄物処理炉を有する処理設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的な廃棄物は、日常生活において発生するゴミ、農業廃棄物、医療廃棄物および工業廃棄物などがあり、廃棄物処理装置も種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。廃棄物の処理方法として、よく見られる処理方法は、処理設備内で燃焼させるが、タールを含む廃棄物やバイオマス廃棄物を炭化した後、タールは、炭化と伴って発生するガスと共に、外部に漏れて大気を汚染する。廃棄物を炭化した後のガスが処理設備から外部に漏れないようにコントロールしても、タールは、処理設備内のバルブ、管路および装置を塞ぎ、腐食が発生する虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような問題を解決するために、本発明の主な目的は、処理と伴って発生するガスが設備を損壊することを回避可能な廃棄物処理炉を提供することにある。
【0005】
本発明の次の目的は、作業の安全性を向上することが可能な廃棄物処理炉を提供することにある。
【0006】
本発明の別の目的は、廃棄物を処理した後の発生物を再利用することが可能な廃棄物処理設備を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る廃棄物処理炉は、シェルにより処理空間が形成され、前記炉の内部に活性炭のスラグ層(以下、活性炭スラグ層と言う。)が設けられており、前記活性炭スラグ層は前記処理空間に位置し、排気管が前記活性炭スラグ層に連接されている炉と、前記活性炭スラグ層に位置合わせしたマイクロ波放射モジュールと、を備える。
【0008】
本発明に係る処理設備は、前記廃棄物処理炉と、前記炉の排気管と連接する第1の熱交換モジュールを有し、貯液部材が前記第1の熱交換モジュールと連接する熱交換システムと、入口ポートおよび排気口を有し、前記入口ポートは前記第1の熱交換モジュールと連通し、前記入口ポートと前記排気口との間にスプレー区が設けられている浄化モジュールと、を備える。
【0009】
本発明に係る廃棄物処理炉によれば、前記活性炭スラグ層は、前記マイクロ波放射モジュールからのマイクロ波の照射により、温度を制御可能な方式で温度が上昇する。前記活性炭スラグ層による高温により、それと接触する廃棄物がクラッキングされてガスになる。前記廃棄物がクラッキングされて生成されたガスは、下方へ前記活性炭スラグ層を通過して、前記ガスがろ過されて再び熱分解される。これにより、前記ガスにおける有害物質が廃棄物処理炉を損壊することを回避可能であり、廃棄物処理炉の寿命を長く延びることができる。
【0010】
また、本発明に係る処理設備によれば、前記熱交換システムにより、前記廃棄物処理炉から排出されるガスの温度を大幅に降下することにより、前記ガスを前記浄化モジュールに流入して、前記ガスにおける有害物質を除去して、汚染を無くし、且つ一酸化炭素および水素ガスを含有する合成ガスとして排出して利用することができる。これにより、廃棄物の付加価値を増加することができる。
【0011】
また、前記炉は断熱層を有し、前記断熱層は前記処理空間を取り囲む。前記断熱層により、前記廃棄物を処理しているときに発生する熱が前記シェルに伝わり、操作者が火傷することを回避することができる。
【0012】
また、前記炉はスラグ堆積区を有し、前記スラグ堆積区は、前記活性炭スラグ層の下方に位置し、前記活性炭スラグ層と前記スラグ堆積区との間に隔離部材が設けられている。前記活性炭スラグ層において、前記廃棄物が熱分解された後、発生される微細な炭化粒およびスラグは、前記スラグ堆積区に落下して堆積する。これにより、ユーザーは、前記炭化粒およびスラグを便利に清掃することができ、炉の清潔を保持することができる。
【0013】
また、前記炉は蒸気投入管を有し、前記蒸気投入管は前記処理空間と連通する。前記蒸気投入管により、蒸気が前記処理空間に投入されて、蒸気により前記廃棄物が予熱される。これにより、廃棄物の熱分解の効率を増加することができる。
【0014】
また、前記第1の熱交換モジュールは、蒸気輸送管を介して前記炉の処理空間と連接する。前記第1の熱交換モジュールで発生する蒸気は、前記処理空間内に流入して、前記廃棄物を予熱する。これにより、廃棄物の熱分解の効率を増加することができる。
【0015】
前記熱交換システムは、更に、第2の熱交換モジュールと、第3の熱交換モジュールと、を有し、第1のチューブは、前記第1の熱交換モジュール及び前記第2の熱交換モジュールと連通し、第2のチューブは、前記第2の熱交換モジュール及び前記第3の熱交換モジュールと連通し、前記第3の熱交換モジュールは前記浄化モジュールと連通する。前記ガスは、前記第2の熱交換モジュール及前記第3の熱交換モジュールを順番に通過するため、前記ガスの温度を更に降下することができる。
【0016】
また、サイクルチューブセットは、前記貯液部材、前記第2の熱交換モジュール、及び前記第3の熱交換モジュールと順番に連通する。これにより、前記貯液部材内の冷卻液体は、前記第2の熱交換モジュール及び前記第3の熱交換モジュールに持続的に供給されるため、ガスの熱交換の効率を増加することができる。
【0017】
また、前記熱交換システムは、第1の気液分離部材と、第2の気液分離部材と、を有し、前記第1の気液分離部材は、前記第2の熱交換モジュールの出口ポートと前記第2のチューブとの間と連通し、前記第2の気液分離部材は、前記第3の熱交換モジュールの出口ポートと前記第3のチューブとの間と連通する。これにより、前記ガス内の残留されるタール及び木酢液などを凝縮して回収することができるため、廃棄物の付加価値を増加することができる。
【0018】
また、前記熱交換システムは不純物分離部材を有し、前記不純物分離部材は前記第1のチューブに位置する。これにより、前記炉に処理されたガスは、前記第1のチューブにより、前記不純物分離部材を通過して、ガスにおける気化されていない粒子を分離して除去することができる。前記ガスの浄化効率を増加することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る廃棄物処理炉とそれを有する処理設備によれば、次のような効果がある。
(1)本発明に係る廃棄物処理炉によれば、前記活性炭スラグ層は、前記マイクロ波放射モジュールからのマイクロ波の照射により、温度を制御可能な方式で温度が上昇する。前記活性炭スラグ層による高温により、それと接触する廃棄物がクラッキングされてガスになる。前記廃棄物がクラッキングされて生成されたガスは、下方へ前記活性炭スラグ層を通過して、前記ガスがろ過されて再び熱分解される。前記ガスにおける有害物質が廃棄物処理炉を損壊することを回避可能であり、廃棄物処理炉の寿命を長く延ばすことができる。
【0020】
(2)本発明に係る処理設備によれば、前記熱交換システムにより、前記廃棄物処理炉から排出されるガスの温度を大幅に降下することにより、前記ガスを前記浄化モジュールに流入して、前記ガスにおける有害物質を除去して、汚染を無くし、且つ一酸化炭素および水素ガスを含有する合成ガスとして排出して利用することができる。これにより、廃棄物の付加価値を増加することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明に係る処理設備の一実施例を示す概略図である。
【
図2】本発明に係る廃棄物処理炉の一実施例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施例の形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
本発明の全文において、方向性またはそれに近似する用語は、例えば「前」、「後」、「左」、「右」、「上(頂)」、「下(底)」、「内」、「外」、「側面」などは、主に添付の図における方向を指す。方向性またはそれに近似する用語は、本発明のさまざまな形態を説明および理解するためにのみ使用され、本発明を制限するためのものではない。
【0024】
本発明の全文に述べる、「一つ」との数量詞を使用するのは、便宜上であり、本発明の範囲の通常の意味を提供するためだけである。本発明では、一つまたは少なくとも一つを含むと解釈する必要がある。また、他の意味を明確に指していない限り、単一の概念には複数形も含まれる。
【0025】
本発明の全文で言及されている「結合」、「組み合わせ」、「組み立て」などの近似する用語には、主に、接続後に部材を損傷することなく、または接続後に部材を分離できないようにすることなく分離できる形式が含まれる。この分野で一般的な知識を有する人は、接続する部材の材料または組み立て要件に応じて選択できる。
【0026】
図1を参照する。本発明に係る廃棄物処理炉の一実施の形態は、炉1と、マイクロ波放射モジュール2と、を備える。マイクロ波放射モジュール2は炉1に向く。
【0027】
炉1は、廃棄物を収容して廃棄物を処理するためのものである。炉1は、一体に成形され、又は複数のシェルを組み立てて構成される。炉1が複数のシェルを組み立てて構成される場合には、組み立て、清掃および修理が容易となる。炉1はシェル11を有する。シェル11は処理空間Sを取り囲む。炉1は、原料投入口12と、原料投入口12を閉じるための蓋12aと、を有する。原料投入口12により、廃棄物を投入することができる。原料投入口12は、シェル11の上端に位置し、処理空間Sと連通してもよい。これにより、前記廃棄物は原料投入口12を経由して処理空間Sに落下する。蓋12aは、ゲートの形態で原料投入口12の開閉を制御してもよいが、本発明はこれに限定されない。炉1は断熱層13を有してもよい。断熱層13は処理空間Sを取り囲む。断熱層13は、低い熱伝導係数を持つ材料、例えばレンガなどで形成される無機材料層でもいいし、例えば内シェルとシェル11を離間するように形成される中空層でもよい。一方、断熱層13は上記の無機材料層および中空層を同時に有してもよい。これにより、断熱効果を増加することができるが、本発明はこれに限定されない。断熱層13により、前記廃棄物を処理しているときに発生する熱がシェル11に伝わり、操作者が火傷することを回避することができる。
【0028】
前記炉1内に活性炭スラグ層14が設けられている。活性炭スラグ層14には、燃焼されて隙間を有する活性炭スラグ粒が充填されている。活性炭層14は処理空間Sに位置する。炉1は、活性炭スラグ層14により廃棄物が反応されて熱分解される。本実施例の形態では、活性炭スラグ層14は炉1内の底部に近接する。これにより、廃棄物は活性炭スラグ層14の上に堆積することができる。炉1は排気管15を有する。排気管15は活性炭スラグ層14と連通する。廃棄物が熱分解されているときに発生されるガスは、活性炭スラグ層14の隙間を経由して、排気管15を経由して排出される。排気管15は、更に、ポンプP1などの流体駆動装置により、ガスの流動を促進することができる。これにより、ガスの排出効率を向上することができる。
【0029】
炉1内にスラグ堆積区16が設けられていることが好ましい。スラグ堆積区16は活性炭スラグ層14の下方に位置する。これにより、廃棄物が活性炭スラグ層14で熱分解された後に発生する微細な炭化粒およびスラグは、スラグ堆積区16に落下して堆積する。これにより、ユーザーは、炭化粒およびスラグを便利に清掃することができる。また、活性炭スラグ層14における活性炭粒がスラグ堆積区16に落下することを防止するために、活性炭スラグ層14とスラグ堆積区16との間には、更に、隔離部材16aが設けられている。隔離部材16aは、穴径が活性炭粒の粒径より小さい貫通孔であり、又は網目の穴径が活性炭粒の粒径より小さい網状の結構である。廃棄物が熱分解された後、炭化粒およびスラグはそれを通過することができ、前記活性炭粒は落下しない。一方、シェル11は、活性炭スラグ層14の位置に、上下側にあるシェル11と分離可能に結合してもよい。前記結合は螺合を採用してもよい。これにより、活性炭スラグ層14の取り付け、修理および清掃は便利となる。
【0030】
炉1は攪拌部材17を有してもよい。攪拌部材17は、スラグ堆積区16内の炭化粒およびスラグに位置合わせして攪拌することができる。本実施の形態では、攪拌部材17が炉1の底部に位置し、モータなどの従来の駆動装置に駆動されて回転する。炉1の底部に炭素排出口18が設けられていてもよい。これにより、廃棄物が熱分解された後、形成される炭化粒およびスラグは、攪拌部材17で攪拌されることにより、炭化粒およびスラグの炭素排出口18からの排出が促進される。一方、炉1は蒸気投入管19を有してもよい。蒸気投入管19は処理空間Sと連通する。蒸気投入管19からの蒸気は処理空間Sに投入されて、前記蒸気により、廃棄物が予熱される他、H2O+C=H2+COとの化学反応が十分に行われて、一酸化炭素および水素ガスの合成ガスが大量に生成されて利用することができる。これにより、廃棄物の熱分解の効率を増加することができる。
【0031】
図1及び
図2を参照する。マイクロ波放射モジュール2は、活性炭スラグ層14の位置に合わせて、活性炭スラグ層14に対してマイクロ波を放射することにより、温度を制御可能な方式で、活性炭スラグ層14を即時に高温にすることができる。温度が十分に高くなると、高温により、それと接触する廃棄物が熱分解されて分子形態に変換される。マイクロ波放射モジュール2は、例えばマグネトロンなどのマイクロ波放射ユニットを有してもよい。本実施の形態では、マイクロ波放射モジュール2がシェル11と結合し、マイクロ波がシェル11及び断熱層13を浸透し、活性炭スラグ層14は、前記マイクロ波を完全に吸収し、そしてマイクロ波の照射を受け、温度を制御可能な方式で、異なる廃棄物を熱分解可能な工作温度まで、温度が即時に上昇する。一方、マイクロ波放射モジュール2は複数あってもよい。これにより、シェル1を取り囲むことができ、マイクロ波の照射効率を増加することができる。
【0032】
次に、本発明に係る廃棄物処理炉の使用方法を説明する。まず、処理空間Sに廃棄物を投入すると、前記廃棄物が活性炭スラグ層14の上方に堆積する。このとき、活性炭スラグ層14は、マイクロ波放射モジュール2からのマイクロ波に照射されて温度が上昇して、活性炭スラグ層14の温度が即時に予定の工作温度まで上昇する。活性炭スラグ層14の温度は、例えば700℃~1600℃に上昇して、前記廃棄物の発火点より高くなって、前記廃棄物は、酸素ガス無し又は少量の酸素ガスを有する状態で、燻ぶられて破壊されて、未燃炭の自然発火・熱分解が行われて気化および炭化される。前記廃棄物が熱分解されているときに生成するガスは、活性炭スラグ層14を通過して、活性炭スラグ層14は、ガス中の有機物質及び悪臭な分子を吸着して、前記ガスをろ過し、そして化学反応により、前記有機物質および悪臭な分子が再び熱分解される。これにより、前記ガスにおける汚染物質による廃棄物処理炉に対する破壊を回避することができる。一方、活性炭スラグ層14は、マイクロ波放射モジュール2からのマイクロ波の照射により、温度が上昇するため、活性炭スラグ層14が自分で発火する。これにより、炉1内の密封空間に入って点火して機器を起動することなどが必要なくなるため、操作者の安全性が向上する。
【0033】
図1を参照する。本発明に係る処理設備は、前記廃棄物処理炉と、熱交換システム3と、浄化モジュール4と、を備える。熱交換システム3は、炉1と浄化モジュール4との間に接続されている。
【0034】
熱交換システム3は、炉1の排気管15と連接することにより、前記廃棄物が熱分解されて形成されるガスを受けて、前記ガスの温度を降下して、前記ガスを浄化モジュール4に流して次の処理を行うことができる。熱交換システム3は第1の熱交換モジュール31を有する。第1の熱交換モジュール31に冷卻液体が充填されており、そして第1の熱交換モジュール31は、前記冷卻液体内に位置する管路を有することにより、前記管路を通過するガスは、前記冷卻液体と熱交換を行って温度が降下する。これは、当該分野の技術者であれば分かるため、説明を省略した。熱交換システム3は貯液部材Rを有してもよい。貯液部材Rは、液体輸送管T1を介して第1の熱交換モジュール31と連通する。これにより、貯液部材Rは、第1の熱交換モジュール31に前記冷卻液体を供給することができる。液体輸送管T1は、液体輸送管T1内の流体を流させるために、ポンプP2を有してもよく、そして流体の逆流を防止するための逆止弁K1を有してもよい。
【0035】
特に、廃棄物が熱分解された後に形成されるガスの温度は1200℃以上である。第1の熱交換モジュール31内にある冷卻液体が前記ガスと熱交換した後、蒸気が形成される。第1の熱交換モジュール31は、蒸気輸送管T2を介して炉1の蒸気投入管19と連接することが好ましい。これにより、前記蒸気は、処理空間S内に投入されて、前記廃棄物を予熱して化学反応を十分に行うことができる。蒸気輸送管T2は、蒸気の圧力および流量を調整するための圧力調整弁Lと、蒸気の逆流を防止するための逆止弁K2と、を有してもよい。
【0036】
熱交換システム3は、更に、第2の熱交換モジュール32と、第3の熱交換モジュール33と、を有してもよい。第1のチューブW1は、第1の熱交換モジュール31及び第2の熱交換モジュール32と連通する。第2のチューブW2は、第2の熱交換モジュール32及び第3の熱交換モジュール33と連通する。第3の熱交換モジュール33は、第3のチューブW3により前記ガスを排出する。第2の熱交換モジュール32及び第3の熱交換モジュール33は、同じように、冷卻液体と、冷卻液体内に位置する管路と、を有する。これにより、前記ガスは、第2の熱交換モジュール32及び第3の熱交換モジュール33を順番に通過して温度が降下される。
【0037】
一方、貯液部材Rにより、第2の熱交換モジュール32及び第3の熱交換モジュール33に前記冷卻液体が供給される。例えば、サイクルチューブセットW4は、貯液部材R、第2の熱交換モジュール32及び第3の熱交換モジュール33と順番に連通することにより、貯液部材R内の冷卻液体が、第2の熱交換モジュール32及び第3の熱交換モジュール33に持続に供給されて、貯液部材Rへ回流する。冷卻液体を循環に流動するために、サイクルチューブセットW4はポンプP3を有してもよい。
【0038】
熱交換システム3は、更に、不純物分離部材34を有してもよい。不純物分離部材34は、第1のチューブW1に位置してもよい。不純物分離部材34は、従来のサイクロン集塵機でもよく、不純物分離部材34を通過するダストが、下へ回転する気流による渦により取り除かれる。これは、当該分野の技術者であれば分かるため、説明を省略した。炉1に処理されたガスは、第1のチューブW1により不純物分離部材34を通過することにより、前記ガスにおける気化されていない粒子が分離されて除去される。サイクルチューブセットW4は、不純物分離部材34と連通することが好ましい。これにより、サイクルチューブセットW4における冷卻液体は、サイクル経路において、不純物分離部材34を通過するガスの温度を降下することができる。
【0039】
熱交換システム3は、更に、第1の気液分離部材35及び第2の気液分離部材36を有してもよい。第1の気液分離部材35及び第2の気液分離部材36は、重力沈降または遠心分離などの方式により、気液分離することができる。これは、当該分野の技術者であれば分かるため、説明を省略した。本実施の形態では、第1の気液分離部材35は、第2の熱交換モジュール32の出口ポートと第2のチューブW2との間に位置し、そして第2の気液分離部材36は、第3の熱交換モジュール33の出口ポートと第3のチューブW3との間に位置する。第1の気液分離部材35及び第2の気液分離部材36により、前記ガス内にあるタール又は木醋液などの副産物は、凝縮されて回収されて、回収管W5を経由して排出されて貯蔵することができる。
【0040】
浄化モジュール4は第3のチューブW3と連接する。浄化モジュール4は、従来のサイクロンタワーでもよい。これにより、温度が降下したガスを更にろ過することができる。浄化モジュール4は、入口ポート41と、排気口42と、を有してもよい。入口ポート41は第3のチューブW3と連通する。入口ポート41と排気口42との間にスプレー区43が設けられている。スプレー区43は、浄化された水浴を噴霧できる。窒素酸化物および硫化物などの有害物質を除去するために、スプレー区43の浄化された水に添加物を添加してもよい。前記添加物は、前記ガスにおける有害物質に基づいて添加される。本発明では、これを規制しない。前記ガスは、入口ポート41から浄化モジュール4に進入して、スプレー区43の水浴によるフラッシングを受けることにより、前記ガスにおける残留の有害物質が更に除去されて、排気口42から排出される。
【符号の説明】
【0041】
1 炉
11 シェル
12 原料投入口
12a 蓋
13 断熱層
14 活性炭スラグ層
15 排気管
16 スラグ堆積区
16a 隔離部材
17 攪拌部材
18 炭素排出口
19 蒸気投入管
2 マイクロ波放射モジュール
3 熱交換システム
31 第1の熱交換モジュール
32 第2の熱交換モジュール
33 第3の熱交換モジュール
34 不純物分離部材
35 第1の気液分離部材
36 第2の気液分離部材
4 浄化モジュール
41 入口ポート
42 排気口
43 スプレー区
S 処理空間
R 貯液部材
T1 液体輸送管
T2 蒸気輸送管
P1,P2,P3 ポンプ
K1,K2 逆止弁
L 圧力調整弁
W1 第1のチューブ
W2 第2のチューブ
W3 第3のチューブ
W4 サイクルチューブセット
W5 回収管