(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-25
(45)【発行日】2022-11-02
(54)【発明の名称】基地局、通信方法および集積回路
(51)【国際特許分類】
H04L 27/26 20060101AFI20221026BHJP
H04W 72/04 20090101ALI20221026BHJP
H04W 72/12 20090101ALI20221026BHJP
【FI】
H04L27/26 313
H04L27/26 113
H04W72/04 131
H04W72/04 132
H04W72/12 150
(21)【出願番号】P 2021173243
(22)【出願日】2021-10-22
(62)【分割の表示】P 2018550056の分割
【原出願日】2017-09-26
【審査請求日】2021-10-22
(31)【優先権主張番号】P 2016218899
(32)【優先日】2016-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】514136668
【氏名又は名称】パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカ
【氏名又は名称原語表記】Panasonic Intellectual Property Corporation of America
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 哲矢
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 秀俊
【審査官】齊藤 晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-246502(JP,A)
【文献】米国特許第7974258(US,B2)
【文献】米国特許第6853843(US,B2)
【文献】特表2016-529832(JP,A)
【文献】特開2011-217383(JP,A)
【文献】Nokia, Alcatel-Lucent Shanghai Bell,On UL Waveforms below 40 GHz,3GPP TSG-RAN WG1#86 BIS R1-1609567,2016年10月14日,https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_86b/Docs/R1-1609567.zip
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 27/26
H04W 72/04
H04W 72/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上りリンクにおいて、シングルキャリア伝送の信号波形を生成可能なリソースブロック数の最大値を設定する、回路と、
前記設定されたリソースブロック数の最大値を端末へ通知する、送信部と、
前記上りリンクにおいて、前記通知されたリソースブロック数の最大値と割り当てられたリソースブロックを基に生成されたマルチキャリア伝送又は前記シングルキャリア伝送の信号を前記端末から受信する、受信部と、を具備する、
基地局。
【請求項2】
前記シングルキャリア伝送の信号波形を生成可能な前記リソースブロック数の最大値が1つ定義されている、
請求項1に記載の基地局。
【請求項3】
前記シングルキャリア伝送の信号波形を生成可能な前記リソースブロック数の最大値が複数定義されている、
請求項1に記載の基地局。
【請求項4】
前記複数の最大値は、前記端末の最大送信電力とそれぞれ関連付けて定義され、
前記最大送信電力が大きいほど、当該最大送信電力に関連付けられた前記最大値は大きい、
請求項3に記載の基地局。
【請求項5】
上りリンクにおいて、シングルキャリア伝送の信号波形を生成可能なリソースブロック数の最大値を設定し、
前記設定されたリソースブロック数の最大値を端末へ通知し、
前記上りリンクにおいて、前記通知されたリソースブロック数の最大値と割り当てられたリソースブロックを基に生成されたマルチキャリア伝送又は前記シングルキャリア伝送の信号を前記端末から受信する、
通信方法。
【請求項6】
上りリンクにおいて、シングルキャリア伝送の信号波形を生成可能なリソースブロック数の最大値を設定する、処理と、
前記設定されたリソースブロック数の最大値を端末へ通知する、処理と、
前記上りリンクにおいて、前記通知されたリソースブロック数の最大値と割り当てられたリソースブロックを基に生成されたマルチキャリア伝送又は前記シングルキャリア伝送の信号を前記端末から受信する処理と、を制御する、
集積回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、端末、基地局及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のモバイルブロードバンドを利用したサービスの普及に伴い、モバイル通信におけるデータトラフィックは指数関数的に増加を続けており、将来に向けてデータ伝送容量の拡大が急務となっている。また、今後はあらゆる「モノ」がインターネットを介してつながるIoT(Internet of Things)の飛躍的な発展が期待されている。IoTによるサービスの多様化を支えるには、データ伝送容量だけではなく、低遅延性及び通信エリア(カバレッジ)などのさまざまな要件について、飛躍的な高度化が求められる。こうした背景を受けて、第4世代移動通信システム(4G: 4th Generation mobile communication systems)と比較して性能及び機能を大幅に向上する第5世代移動通信システム(5G)の技術開発・標準化が進められている。
【0003】
4Gの無線アクセス技術(RAT: Radio Access Technology)の1つとして、3GPP(3rd Generation Partnership Project)により標準化されたLTE(Long Term Evolution)-Advancedがある。3GPPでは、5Gの標準化において、LTE-Advancedとは必ずしも後方互換性を持たない新しい無線アクセス技術(NR: New RAT)の技術開発を進めている。
【0004】
5Gでは、モバイルブロードバンドの更なる高度化(eMBB: enhanced Mobile Broadband)だけではなく、多数MTC(Machine Type Communication)端末のサポート(mMTC: massive MTC)、及び、超高信頼低遅延通信(URLLC: Ultra Reliable and Low Latency Communication)などのサービス又はユースケースの多様化に対応する必要がある。
【0005】
近年、5Gの多様なユースケースへの適応性、柔軟性を高めることを目的として、NRに用いる信号波形が検討されている。
【0006】
以下では、3GPPにより標準化されたLTEおよびLTE-Advancedにおける信号波形生成技術について説明する(例えば、非特許文献1-3を参照)。
【0007】
LTEの下りリンクの信号波形にはOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)が採用されている。下りリンクでOFDMが採用されている理由は、周波数選択性フェージングへの耐性に優れており、また、多値変調及びMIMO(Multiple Input Multiple Output)との親和性が高いことが挙げられる。また、OFDMでは、周波数軸上において不連続なリソースブロックを割当可能であるため、リソース割当の柔軟性が高く、スケジューリング効果が期待できる。しかし、OFDMでは、ピーク対平均信号電力比(PAPR: Peak-to-Average Power Ratio)が高い。
【0008】
一方、LTE及びLTE-Advancedの上りリンクの信号波形には、シングルキャリア周波数分割多重(SC-FDMA: Single-Carrier Frequency Division Multiple Access)が採用されている。SC-FDMAは、離散フーリエ変換(DFT:Discrete Fourier Transform)による拡散によって信号波形生成を実現できるため、DFT拡散OFDM(DFT-s-OFDM: DFT spread OFDM)とも呼ばれる。上りリンクでDFT-s-OFDMが採用されている理由は、PAPRが小さいため、電力効率の高い増幅器の利用に適しており、広範囲なカバレッジをサポートできることが挙げられる。
【0009】
LTE及びLTE-Advancedで採用されているOFDM及びDFT-s-OFDMは、CP(Cyclic Prefix)を挿入することでシンボル間干渉を除去し、高速フーリエ変換(FFT: Fast Fourier Transform)により比較的簡易に実装可能である利点がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【文献】3GPP TS 36.211 V13.3.0, “Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA); Physical channels and modulation (Release 13),” September 2016.
【文献】3GPP TS 36.212 V13.3.0, “Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA); Multiplexing and channel coding (Release 13),” September 2016.
【文献】3GPP TS 36.213 V13.3.0, “Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA); Physical layer procedures (Release 13),” September 2016.
【文献】R1-165173, NTT DOCOMO, INC., “Comparison of candidate waveforms,” May 2016
【文献】R1-164629, Ericsson,“On OFDM in NR,”May 2016
【文献】R1-081791, Panasonic “Technical prosals and considerations for LTE advanced,” May 2008
【文献】R1-164619, Orange, “Flexible configured OFDM (FC-OFDM) waveform,” May 2016
【文献】R1-1609567, Nokia, Alcatel-Lucent Shanghai,“On UL Waveforms below 40 GHz,” October 2016
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
NRにおいては、5Gの多様なユースケースに応じて最大送信電力の異なる複数の端末が定義される可能性がある。しかしながら、NRでは、上りリンクにおいて、最大送信電力が異なる端末に対して、OFDMとDFT-s-OFDMとを効率良く切り替える信号波形方法について十分な検討がなされていない。
【0012】
本開示の一態様は、信号波形生成において、OFDMとDFT-s-OFDMとを効率良く切り替えることができる端末、基地局及び通信方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本開示の一態様に係る端末は、上りリンクにおいてマルチキャリア伝送又はシングルキャリア伝送の信号波形を生成し、前記シングルキャリア伝送の信号波形を生成可能な前記リソースブロック数が制限されている、生成部と、端末に対して割り当てられたリソースブロックを用いて、前記生成された信号波形の信号を送信する送信部と、を具備する。
【0014】
本開示の一態様に係る基地局は、端末に対して上りリンクのリソースブロックを割り当てる制御部と、前記リソースブロックに配置された、マルチキャリア伝送又はシングルキャリア伝送の信号波形の信号を受信し、上記端末において前記シングルキャリア伝送の信号波形を生成可能な前記リソースブロック数は制限されている、受信部と、前記受信した信号を復調する復調部と、を具備する。
【0015】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム、または、記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本開示にかかる端末、基地局及び通信方法は、信号波形生成において、OFDMとDFT-s-OFDMとを効率良く切り替えることができる。
【0017】
本開示の一態様における更なる利点および効果は、明細書および図面から明らかにされる。かかる利点および/または効果は、いくつかの実施形態並びに明細書および図面に記載された特徴によってそれぞれ提供されるが、1つまたはそれ以上の同一の特徴を得るために必ずしも全てが提供される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図2】実施の形態1に係る基地局の要部構成を示すブロック図
【
図3】実施の形態1に係る端末の要部構成を示すブロック図
【
図4】実施の形態1に係る基地局の構成を示すブロック図
【
図5】実施の形態1に係る端末の構成を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0019】
[本開示に至る経緯]
まず、本開示に至る経緯について説明する。
【0020】
NRの検討では、OFDM又はDFT-s-OFDMが引き続き信号波形の基本になると考えられる一方で、様々なユースケースのサポートを想定した信号波形の検討が進められている。具体的には、OFDM又はDFT-s-OFDMに対して、逆高速フーリエ変換(IFFT: Inverse Fast Fourier Transform)によって周波数領域信号を時間領域信号に変換した後に、帯域外輻射を抑圧するためのフィルタリング(Filtering)又はウィンドウイング(Windowing)を適用することが議論されている(例えば、非特許文献4を参照)。
【0021】
また、NRに用いる信号波形として、下りリンクには、LTEと同じOFDMを適用し、かつ、上りリンクにも高い周波数利用効率を実現するためにOFDMを適用することも議論されている(例えば、非特許文献5を参照)。しかし、OFDMでは、PAPRが大きいという問題があるため、LTEで採用されているDFT-s-OFDMと比較してカバレッジが狭くなる。または、上りリンクにおいてOFDMを適用する場合にDFT-s-OFDMと同程度のカバレッジを実現するためには、端末において性能の高い電力増幅器を備える必要となり、端末のコストが増大する。
【0022】
そこで、LTE-Advancedの標準化においても提案されてきたように(例えば、非特許文献6を参照)、5GにおけるNRの標準化でも、通信環境などに応じて信号波形を切り替えることが提案されている(例えば、非特許文献7を参照)。
【0023】
具体的には、非特許文献6では、上りリンクにおいて、通信環境に応じてDFT-s-OFDMとOFDMとが切り替えられる。例えば、セル端にいる端末は送信電力が不足する状態になるため、PAPRの小さいDFT-s-OFDMを用いて通信し、基地局(eNB又はgNBと呼ぶこともある)に近い端末又はセルサイズの小さいスモールセルに接続する端末は送信電力に余裕があるため、OFDMを用いて通信する。DFT-s-OFDMとOFDMとの切り替えは、IFFT処理部に対して変調信号を直接入力するか(OFDMに相当)、IFFT処理の前にDFT拡散を適用するか(DFT-s-OFDMに相当)によって実現できる。
【0024】
また、非特許文献7には、5Gの多様なユースケースへの適応性、柔軟性を高めることを目的に、
図1に示すように、OFDM(マルチキャリアモード)と、DFT-s-OFDM(DFT拡散モード)と、DFT-s-OFDMにゼロ挿入処理を加えたZT-DFT-s-OFDM(Zero-Tail DFT-s-OFDM。ZT拡散モード)と、を切り替える信号波形生成方法(FC-OFDM: Flexible configured OFDM)が示されている。これらの信号波形の切り替えは、非特許文献6と同様に、IFFT処理部に対して変調信号を直接入力するか(OFDMに相当)、IFFT処理の前にDFT拡散を適用するか(DFT-s-OFDMに相当)、又は、IFFT処理の前にDFT拡散を適用し、かつDFT拡散の前段にゼロ挿入を加えるか(ZT-DFT-s-OFDMに相当)によって実現できる。
【0025】
例えば、eMBBの上りリンクでは、端末はPAPRの小さいDFT-s-OFDMを用いて通信する。また、基地局に近い端末又はセルサイズの小さいスモールセルに接続する端末は送信電力に余裕があるため、OFDMを用いて通信する。
【0026】
上述したように、NRの上りリンクでは、OFDMとDFT-s-OFDMとを切り替える信号波形生成方法が検討されている。端末は、通信環境等に応じてOFDMとDFT-s-OFDMとを切り替えることにより、適切に設定された信号波形で上りリンク伝送を効率的に行うことができる。
【0027】
しかし、NRでは、Flexible duplex又はDynamic TDDの観点から、下りリンク伝送の設計と上りリンク伝送の設計との共通性を高めることが望まれている。その点、NRの上りリンク伝送のあらゆるユースケースについて、OFDM及びDFT-s-OFDMの何れの信号波形も設定できるようにNRの上りリンク伝送を設計することは、OFDMに基づく下りリンク伝送の設計と上りリンク伝送の設計との共通性を損なう恐れがある。
【0028】
そのため,DFT-s-OFDMの信号波形は、送信電力が不足するセル端等のカバレッジ制限環境などの限られたユースケースのみに用いられることが望ましく、DFT-s-OFDMを設定可能とする条件を規定する必要がある。例えば、非特許文献8には、1リソースブロック(RB:Resourece Block。PRB(Physical Resousce Block)と呼ぶこともある)割当の場合のみにDFT-s-OFDMなどの低PAPRの信号波形を設定することが開示されている。DFT-s-OFDMを設定する条件を1RB割当の場合のみに規定しているのは、送信電力一定のもとで、通信速度を向上するために割当RB数を増加させると、送信帯域における送信電力スペクトル密度が低くなり、DFT-s-OFDMのカバレッジがOFDMと変わらない、もしくは劣化するためである。
【0029】
ここで、非特許文献8では、端末の最大送信電力について、LTEの標準的な最大送信電力である23dBmを想定していた。しかしながら、NRでは、上述したように5Gの多様なユースケースに応じて最大送信電力の異なる複数の端末が定義される可能性が考えられる。最大送信電力の異なる複数の端末が定義される場合、DFT-s-OFDMを設定可能なRB数を1RBのみに限定することは不十分である。例えば、端末の最大送信電力が23dBmと比較して大きい場合(例えば、30dBmの場合)には、通信速度を向上させるために割当RB数を増加させても、OFDMと比較してDFT-s-OFDMの方がカバレッジを確保できる。
【0030】
そこで、本開示の一態様では、信号波形生成において、OFDMとDFT-s-OFDMとを効率良く切り替えることができる端末、基地局及び通信方法を提供する。具体的には、本開示の一態様では、上りリンクの信号波形生成において、DFT-s-OFDMを設定可能な最大のRB数を制限し、かつ、そのRB数を適切に設定する。また、本開示の一態様では、適切に設定されたRB数から信号波形を効率的に特定する。
【0031】
以下、本開示の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0032】
(実施の形態1)
[通信システムの概要]
本開示の各実施の形態に係る通信システムは、基地局100及び端末200を備える。
【0033】
図2は、本開示の各実施の形態に係る基地局100の要部構成を示すブロック図である。
図2に示す基地局100において、制御部101は、端末200に対して上りリンクのリソースブロック(PRB)を割り当て、受信部109は、リソースブロックに割り当てられた、マルチキャリア伝送(OFDM)又はシングルキャリア伝送(DFT-s-OFDM)の信号波形の信号を受信し、復調部112は、信号を復調する。ここで、端末200においてシングルキャリア伝送の信号波形を生成可能なリソースブロック数が制限されている。
【0034】
図3は、本開示の各実施の形態に係る端末200の要部構成を示すブロック図である。
図3に示す端末200において、Pre-IFFT部204(生成部に対応)は、上りリンクにおいてマルチキャリア伝送又はシングルキャリア伝送の信号波形を生成し、送信部208は、端末200に対して割り当てられたリソースブロックを用いて、生成された信号波形の信号を送信する。ここで、Pre-IFFT部204においてシングルキャリア伝送の信号波形を生成可能なリソースブロック数が制限されている。
【0035】
[基地局の構成]
図4は、本開示の実施の形態1に係る基地局100の構成を示すブロック図である。
図4において、基地局100は、制御部101と、符号化部102と、変調部103と、信号割当部104と、IFFT部105と、Post-IFFT部106と、送信部107と、アンテナ108と、受信部109と、FFT部110と、信号検出部111と、復調部112と、復号部113と、を有する。
【0036】
制御部101は、端末200に対する下りリンク及び上りリンクのリソース割当(割当帯域、割当帯域幅など)を決定し、決定した無線リソースを示すリソース割当情報を信号割当部104及び信号検出部111へ出力する。また、制御部101は、決定したリソース割当情報を、下りリンク制御信号(DCI:Downlink Control Information)又は端末固有の上位レイヤのシグナリングにより端末200(制御部201)へ通知する(図示せず)。
【0037】
また、制御部101は、端末200が生成する信号波形に関する情報を生成する。ここで、本実施の形態では、端末200においてDFT-s-OFDM(シングルキャリア伝送)の信号波形を生成可能なPRB数が制限されている。例えば、DFT-s-OFDMの信号波形を生成可能なPRB数の最大値(以下、「X」と表すこともある)が1つ定義されている。DFT-s-OFDMの信号波形を生成可能なPRB数の最大値Xは規格上で予め定義されてもよい。制御部101は、端末200に対して割り当てられたPRB数が最大値X以下であるか否かに応じて、当該端末200が生成する信号波形(OFDM又はDFT-s-OFDM)を判断し、判断結果を示す信号波形に関する情報を生成する。なお、割当PRB数と最大値Xとの比較に基づいて生成する信号波形を判断する方法の詳細については後述する。
【0038】
制御部101は、生成した信号波形に関する情報に基づいて、上りリンク受信のための処理(例えば、端末200におけるPre-IFFT処理に対応する受信処理)を決定し、決定した処理内容を示す設定情報を信号検出部111及び復調部112へ出力する。
【0039】
なお、制御部101は、決定した信号波形に関する情報を所定の通知方法に従って端末200へ通知してもよい。
【0040】
符号化部102は、送信データ(下りリンクデータ)を符号化し、得られた符号化ビット系列を変調部103へ出力する。
【0041】
変調部103は、符号化部102から入力される符号化ビット系列を変調して、得られた変調シンボル列を信号割当部104へ出力する。
【0042】
信号割当部104は、変調部103から入力される信号を、制御部101から指示される無線リソースにマッピングする。信号割当部104は、信号がマッピングされた下りリンクの信号をIFFT部105へ出力する。
【0043】
IFFT部105は、信号割当部104から入力される信号に対して、周波数領域信号を時間領域信号に変換するIFFT処理を施す。IFFT部105は、IFFT処理後の時間領域信号をPost-IFFT部106へ出力する。
【0044】
Post-IFFT部106は、IFFT部105から入力されるIFFT処理後の信号に対してPost-IFFT処理を施して、Post-IFFT処理後の信号を送信部107へ出力する。例えば、Post-IFFT部106は、IFFT部106から入力される信号に対してCPを挿入する処理を施す。また、Post-IFFT部106は、IFFT部106から入力される信号に対してウィンドウイング又はフィルタリングを施すこともある。
【0045】
送信部107は、Post-IFFT部106から入力される信号に対してD/A(Digital-to-Analog)変換、アップコンバート等のRF(Radio Frequency)処理を行い、アンテナ108を介して端末200に無線信号を送信する。
【0046】
受信部109は、アンテナ108を介して受信された端末200からの上りリンク信号の信号波形に対して、ダウンコンバート又はA/D(Analog-to-Digital)変換などのRF処理を行い、得られる受信信号をFFT部110に出力する。
【0047】
FFT部110は、受信部109から入力される信号(時間領域信号)に対して、時間領域信号を周波数領域信号に変換するFFT処理を施す。FFT部110は、FFT処理により得られた周波数領域信号を信号検出部111へ出力する。
【0048】
信号検出部111は、制御部101から受け取る設定情報及びリソース割当情報に基づいて、FFT部110から入力される信号に対して、端末200が送信した信号波形に対応した等化処理を施し、等化処理後の信号を復調部112へ出力する。
【0049】
復調部112は、制御部101から受け取る設定情報に基づいて、信号検出部111から入力される信号に対して、端末200が送信した信号波形に対応した復調処理(Post-FFT処理と呼ぶこともある)を施し、復調後の信号を復号部113へ出力する。例えば、端末200(後述するPre-IFFT部204)がPre-IFFT処理としてDFT拡散を施して信号を送信した場合、復調部112は、信号に対してIDFT(Inverse Discrete Fourier Transform)処理を施す。
【0050】
復号部113は、復調部112から入力される信号に対して誤り訂正復号処理を行い、受信データ系列(上りリンクデータ)を得る。
【0051】
[端末の構成]
図5は、本開示の実施の形態1に係る端末200の構成を示すブロック図である。
図5において、端末200は、制御部201と、符号化部202と、変調部203と、Pre-IFFT部204と、信号割当部205と、IFFT部206と、Post-IFFT部207と、送信部208と、アンテナ209と、受信部210と、FFT部211と、信号検出部212と、復調部213と、復号部214と、を有する。
【0052】
制御部201は、リソース割当情報を、例えば、下りリンク制御信号又は端末固有の上位レイヤのシグナリングにより基地局100(制御部101)から受け取る(図示せず)。
【0053】
制御部201は、例えば、リソース割当情報に示される、端末200に対して割り当てられたPRB数に基づいて、上りリンク送信のための処理(例えば、Pre-IFFT部204の処理)を決定し、決定した処理内容を示す設定情報をPre-IFFT部204へ出力する。具体的には、上述したように、端末200においてDFT-s-OFDMの信号波形を生成可能なPRB数の最大値Xが1つ定義されている。よって、制御部201は、端末200に対して割り当てられたPRB数が最大値X以下であるか否かに応じて、当該端末200が生成する信号波形(OFDM又はDFT-s-OFDM)を判断する。なお、割当PRB数と最大値Xとの比較に基づいて生成する信号波形を判断する方法の詳細については後述する。
【0054】
なお、制御部201は、下りリンク制御信号又は端末固有の上位レイヤのシグナリングを用いて、信号波形に関する情報を基地局100から受信し(図示せず)、当該情報に基づいて、上りリンク送信のための処理を決定してもよい。
【0055】
また、制御部201は、基地局100(制御部101)から通知されるリソース割当情報に基づいて、上りリンク信号を送信する無線リソースを特定し、無線リソースに関する情報を信号割当部205へ出力する。
【0056】
符号化部202は、送信データ(上りリンクデータ)を符号化し、得られた符号化ビット系列を変調部203へ出力する。
【0057】
変調部203は、符号化部202から入力される符号化ビット系列を変調して、得られた変調シンボル列をPre-IFFT部204へ出力する。
【0058】
Pre-IFFT部204は、変調部203から入力される変調シンボル列に対して、制御部201から受け取る設定情報に示されるPre-IFFT処理を施して、Pre-IFFT処理後の信号を信号割当部205へ出力する。例えば、Pre-IFFT部204は、OFDMが指示された場合、変調シンボル列に対して処理を実施せず、変調シンボル列をそのまま信号割当部205へ出力する。また、Pre-IFFT部204は、DFT-s-OFDMが指示された場合、DFT拡散処理を実施し、DFT拡散後の系列を信号割当部205へ出力する。これにより、Pre-IFFT部204は、上りリンクにおいてOFDM(マルチキャリア伝送)又はDFT-s-OFDM(シングルキャリア伝送)の信号波形を生成する。
【0059】
信号割当部205は、Pre-IFFT部204から入力される信号を、制御部201から指示される無線リソースにマッピングする。信号割当部205は、信号がマッピングされた上りリンクの信号をIFFT部206へ出力する。
【0060】
IFFT部206は、信号割当部205から入力される信号に対して、周波数領域信号を時間領域信号に変換するIFFT処理を施す。IFFT部206は、IFFT処理後の時間領域信号をPost-IFFT部207へ出力する。
【0061】
Post-IFFT部207は、IFFT部206から入力されるIFFT処理後の信号に対してPost-IFFT処理を施して、Post-IFFT処理後の信号を送信部208へ出力する。例えば、Post-IFFT部207は、IFFT部206から入力される信号に対してCPを挿入する処理を施す。または、Post-IFFT部207は、IFFT部206から入力される信号に対してウィンドウイング又はフィルタリングを施すこともある。
【0062】
送信部208は、Post-IFFT部207から入力される信号に対してD/A(Digital-to-Analog)変換、アップコンバート等のRF(Radio Frequency)処理を行い、アンテナ209を介して基地局100に無線信号を送信する。これにより、Pre-IFFT部204において生成された信号波形の信号が、端末200に対して割り当てられたPRBを用いて送信される。
【0063】
受信部210は、アンテナ209を介して受信された基地局100からの下りリンク信号の信号波形に対して、ダウンコンバート又はA/D(Analog-to-Digital)変換などのRF処理を行い、得られる受信信号をFFT部211に出力する。
【0064】
FFT部211は、受信部210から入力される信号(時間領域信号)に対して、時間領域信号を周波数領域信号に変換するFFT処理を施す。FFT部211は、FFT処理により得られた周波数領域信号を信号検出部212へ出力する。
【0065】
信号検出部212は、FFT部211から入力される信号に対して等化処理を施し、等化処理後の信号を復調部213へ出力する。
【0066】
復調部213は、信号検出部212から入力される信号に対して復調処理を施し、復調後の信号を復号部214へ出力する。
【0067】
復号部214は、復調部213から入力される信号に対して誤り訂正復号処理を行い、受信データ系列(下りリンクデータ)を得る。
【0068】
[基地局100及び端末200の動作]
以上の構成を有する基地局100及び端末200における動作について詳細に説明する。
【0069】
上述したように、送信電力一定のもとで、通信速度を向上するために端末200に対して割り当てるPRB数を増加させると、送信帯域における送信電力スペクトル密度が低くなり、DFT-s-OFDMのカバレッジがOFDMのカバレッジと変わらない、もしくは劣化してしまう。
【0070】
そこで、本実施の形態では、端末200がDFT-s-OFDMを生成可能(使用可能)な割当PRB数を制限する。具体的には、本実施の形態では、規格上、端末200がDFT-s-OFDMを使用可能な割当PRB数の最大値Xを1つのみ定義する。
【0071】
例えば、端末200がDFT-s-OFDMを使用可能な割当PRB数の最大値Xは、端末200に対して設定可能な最大送信電力に応じて定義されてもよい。例えば、端末200に対してLTEの標準的な最大送信電力である23dBmが想定されるシステムでは、最大値Xを1PRBとしてもよく、端末200に対して最大送信電力が23dBmと比較して大きい場合(例えば、30dBmの場合)が想定されるシステムでは、最大値Xを2PRB以上としてもよい。
【0072】
端末200においてDFT-s-OFDMを使用可能な割当PRB数を制限することで、端末200では、上りリンクの制御チャネル又は参照信号等を、OFDM(つまり、下りリンク)とできる限り共通性を持たせて設計することができる。また、端末200においてDFT-s-OFDMを使用可能な割当PRB数の最大値Xを規格上1つのみ定義することにより、DFT-s-OFDMのための上りリンク信号の設計も簡素化することができる。
【0073】
例えば、端末200(制御部201)は、端末200に割り当てられるPRB数がXより大きい場合には、上りリンクの信号波形をOFDMと特定する。そして、端末200(Pre-IFFT部204)は、OFDM信号波形を生成する。すなわち、端末200(Pre-IFFT部204)は、変調部203から入力される信号に対してDFT処理等を行わずに、そのまま信号割当部205へ出力する。また、基地局100(制御部101)は、端末200に割り当てたPRB数がXより大きい場合には、端末200から送信される上りリンクの信号波形をOFDMと特定し、受信処理を行う。すなわち、基地局100(復調部112)は、信号検出部113から入力される信号に対してIDFT処理等を行わずに復調処理を行う。
【0074】
一方、端末200(制御部201)は、端末200に割り当てられるPRB数がX以下の場合には、以下の2つの方法の何れかによって上りリンクの信号波形を特定する。
【0075】
1つ目の方法は、端末200に割り当てられるPRB数がX以下の場合、端末200は、上りリンクの信号波形をDFT-s-OFDMと特定して、DFT-s-OFDM信号波形を生成する方法である。すなわち、端末200(Pre-IFFT部204)は、変調部203から入力される信号に対してDFT処理等を行う。
【0076】
この方法によれば、端末200は割り当てられるPRB数、及び、規格上で定義された閾値(最大値X)に応じて信号波形を特定することができる。よって、基地局100は、端末200に対して、CP-OFDM及びDFT-s-OFDMの設定を追加で通知する必要がないため、シグナリングを削減することができる。
【0077】
2つ目の方法は、端末200に割り当てられるPRB数がX以下の場合にも、端末200がOFDM及びDFT-s-OFDMの何れかを設定できることを許容する方法である。この場合、OFDM又はDFT-s-OFDMの何れを使用するかを示す設定は、信号波形に関する情報として、RRC(Radio Resource Control)信号等の上位レイヤのシグナリング又はDCIによる上りリンクのリソース割当により基地局100から端末200へ通知されてもよい。
【0078】
この方法によれば、セルの運用環境に応じて、端末200の信号波形を柔軟に設定することができる。
【0079】
例えば、セルがFlexible duplex又はFull duplexを運用している場合には、干渉制御の観点から、下りリンクと上りリンクとの間で信号波形が統一されている方が望ましい。よって、この場合、基地局100は、端末200に割り当てられるPRB数がX以下の場合においても、端末200に対して下りリンクと同様のOFDMの信号波形送信を設定することで、干渉制御が容易になる。
【0080】
また、端末200と同様にして、基地局100(制御部101)は、端末200に割り当てたPRB数がX以下の場合には、上述した2つの方法の何れかによって、端末200から送信される上りリンクの信号波形を特定し、受信処理を行えばよい。例えば、端末200がDFT-s-OFDMの信号波形を送信する場合、基地局100の復調部112は、信号検出部113から入力される信号に対してIDFT処理等を行う。
【0081】
このように、本実施の形態では、信号波形生成において、DFT-s-OFDMとOFDMとを切り替える基準となる割当PRB数の最大値Xが設定され、端末200におけるDFT-s-OFDMの使用を制限する。例えば、端末200の最大送信電力に応じて最大値Xが定義されることにより、端末200に対してDFT-s-OFDMを設定可能な最大のPRB数を適切に設定することができる。これにより、端末200は、例えば、通信速度を向上させるために割当PRB数が増加した場合でも、OFDMと比較してカバレッジを劣化させることなく、DFT-s-OFDM信号波形の上りリンク信号を送信することができる。よって、本実施の形態によれば、信号波形生成において、OFDMとDFT-s-OFDMとを効率良く切り替えることができる。
【0082】
また、本実施の形態では、DFT-s-OFDMを使用可能な最大のPRB数Xは、規格上で1つのみ定義されている。これにより、DFT-s-OFDMの信号波形を用いた上りリンク信号の設計を簡素化することができる。
【0083】
また、端末200は、端末200に対する割当PRB数から、生成すべき信号波形を特定することができる。よって、本実施の形態によれば、端末200はPRB数から信号波形を効率的に特定することができ、信号波形の設定に関するシグナリングの増加を抑えることができる。
【0084】
(実施の形態2)
本実施の形態に係る基地局及び端末は、実施の形態1に係る基地局100及び端末200と基本構成が共通するので、
図4及び
図5を援用して説明する。
【0085】
本実施の形態では、端末200がDFT-s-OFDMを使用可能な割当PRB数を制限し、かつ、端末200がDFT-s-OFDMを使用可能な割当PRB数の最大値Xを複数定義する方法について説明する。
【0086】
上述したように、送信電力一定のもとで、通信速度を向上するために端末200に対して割り当てるPRB数を増加させると、送信帯域における送信電力スペクトル密度が低くなり、DFT-s-OFDMのカバレッジがOFDMのカバレッジと変わらない、もしくは劣化してしまう。
【0087】
ところで、送信電力スペクトル密度の低下によってDFT-s-OFDMのカバレッジがOFDMのカバレッジよりも狭くなる(逆転する)PRB数は、端末200の最大送信電力によって異なる。つまり、端末200がカバレッジを確保しつつDFT-s-OFDMを使用可能となる割当PRB数は、端末200の最大送信電力によって異なる。
【0088】
そこで、本実施の形態では、端末200がDFT-s-OFDMを使用可能な割当PRB数(つまり、割当PRB数の最大値X)を、端末200の最大送信電力に応じて複数定義する。つまり、複数の最大値Xは、端末200の最大送信電力とそれぞれ関連付けて定義される。
【0089】
例えば、端末200の最大送信電力が23dBmの場合、X=1PRBが関連付けられ、端末200の最大送信電力が30dBmの場合、X=4PRBが関連付けられてもよい。すなわち、最大送信電力が大きいほど、当該最大送信電力に関連付けられた最大値Xの値は大きい。なお、端末200に設定される最大送信電力、及び、最大送信電力に関連付けられるPRB数Xの値は、これらの値に限定されない。
【0090】
端末200においてDFT-s-OFDMを使用可能な割当PRB数の最大値を複数定義することで、例えば、最大送信電力によって規定される複数の端末カテゴリに対して、適切な上りリンク信号波形の設定が可能になる。
【0091】
また、端末200は、当該端末200に設定される最大送信電力に応じて、DFT-s-OFDMを使用可能な割当PRB数の最大値Xを一意に決定することができる。すなわち、基地局100は、端末200に対して、DFT-s-OFDMを使用可能な割当PRB数の最大値Xをシグナリングで通知する必要はないため、シグナリングを削減することができる。
【0092】
例えば、実施の形態1と同様、端末200(制御部201)は、端末200に割り当てられるPRB数がXより大きい場合には、上りリンクの信号波形をOFDMと特定し、OFDM信号波形を生成する。また、基地局100(制御部101)は、端末200に割り当てたPRB数がXより大きい場合には、端末200から送信される上りリンクの信号波形をOFDMと特定し、受信処理を行う。
【0093】
一方、端末200(制御部201)は、端末200に割り当てられるPRB数がX以下の場合には、実施の形態1と同様にして、以下の2つの方法の何れかによって上りリンクの信号波形を特定する。
【0094】
1つ目の方法は、端末200に割り当てられるPRB数がX以下の場合、端末200は、上りリンクの信号波形をDFT-s-OFDMと特定して、DFT-s-OFDM信号波形を生成する方法である。この方法によれば、端末200は割り当てられるPRB数及び最大値Xに応じて信号波形を特定することができる。よって、基地局100は、端末200に対して、CP-OFDM及びDFT-s-OFDMの設定を追加で通知する必要がないため、シグナリングを削減することができる。
【0095】
2つ目の方法は、端末200に割り当てられるPRB数がX以下の場合にも、端末200がOFDM及びDFT-s-OFDMの何れかを設定できることを許容する方法である。この場合、OFDM又はDFT-s-OFDMの何れを使用するかを示す設定は、信号波形に関する情報として、RRC信号等の上位レイヤのシグナリング又はDCIによる上りリンクのリソース割当により基地局100から端末200へ通知されてもよい。この方法によれば、セルの運用環境に応じて、端末200の信号波形を柔軟に設定することができる。
【0096】
また、端末200と同様にして、基地局100(制御部101)は、端末200に割り当てたPRB数がX以下の場合には、上述した2つの方法の何れかによって、端末200から送信される上りリンクの信号波形を特定し、受信処理を行えばよい。
【0097】
このように、本実施の形態では、信号波形生成において、DFT-s-OFDMとOFDMとを切り替える基準となる割当PRB数の最大値Xを、端末200に設定される最大送信電力に応じて複数定義し、端末200におけるDFT-s-OFDMの使用を制限する。これにより、本実施の形態によれば、最大送信電力が異なる複数の端末200が設定された場合でも、各端末200は、各端末200に設定される最大送信電力に応じて、上りリンクの信号波形を適切に設定することができる。
【0098】
(実施の形態3)
本実施の形態に係る基地局及び端末は、実施の形態1に係る基地局100及び端末200と基本構成が共通するので、
図4及び
図5を援用して説明する。
【0099】
実施の形態2で説明したように、送信電力スペクトル密度の低下によってDFT-s-OFDMのカバレッジがOFDMのカバレッジよりも狭くなる(逆転する)PRB数は、端末200の最大送信電力によって異なる。一方で、DFT-s-OFDMのカバレッジがOFDMのカバレッジよりも狭くなるPRB数は、端末200の最大送信電力のみに依存するとは限らず、端末200の最大送信電力を考慮しつつ、当該PRB数をある程度柔軟に設定することは有用である。
【0100】
そこで、本実施の形態では、実施の形態1,2と同様、端末200がDFT-s-OFDMを使用可能な割当PRB数(つまり、割当PRB数の最大値X)を制限し、かつ、基地局100が、端末200においてDFT-s-OFDMを使用可能な割当PRB数の最大値Xを設定し、端末200へ通知する場合について説明する。
【0101】
例えば、基地局100は、端末200の最大送信電力が23dBmの場合、当該端末200に対してX=1PRBを通知し、端末200の最大送信電力が30dBmの場合、当該端末200に対してX=4PRBを通知してもよい。また、基地局100は、端末200の最大送信電力に限らず、他のパラメータに基づいて最大値Xを設定してもよく、最大送信電力及び他のパラメータの組み合わせに基づいて最大値Xを設定してもよい。
【0102】
他のパラメータとしては、例えば、端末のCapability(Full duplex対応か否か)又はセル初期接続プロセス時の受信感度(SINR)等が挙げられる。
【0103】
例えば、実施の形態1,2と同様、端末200(制御部201)は、端末200に割り当てられるPRB数がXより大きい場合には、上りリンクの信号波形をOFDMと特定し、OFDM信号波形を生成する。また、基地局100(制御部101)は、端末200に割り当てたPRB数がXより大きい場合には、端末200から送信される上りリンクの信号波形をOFDMと特定し、受信処理を行う。
【0104】
一方、端末200(制御部201)は、端末200に割り当てられるPRB数がX以下の場合には、実施の形態1,2と同様にして、以下の2つの方法の何れかによって上りリンクの信号波形を特定する。
【0105】
1つ目の方法は、端末200に割り当てられるPRB数がX以下の場合、端末200は、上りリンクの信号波形をDFT-s-OFDMと特定して、DFT-s-OFDM信号波形を生成する方法である。この方法によれば、端末200は割り当てられるPRB数及び最大値Xに応じて信号波形を特定することができる。よって、基地局100は、端末200に対して、CP-OFDM及びDFT-s-OFDMの設定を追加で通知する必要がないため、シグナリングを削減することができる。
【0106】
2つ目の方法は、端末200に割り当てられるPRB数がX以下の場合にも、端末200がOFDM及びDFT-s-OFDMの何れかを設定できることを許容する方法である。この場合、OFDM又はDFT-s-OFDMの何れを使用するかを示す設定は、信号波形に関する情報として、RRC信号等の上位レイヤのシグナリング又はDCIによる上りリンクのリソース割当により基地局100から端末200へ通知されてもよい。この方法によれば、セルの運用環境に応じて、端末200の信号波形を柔軟に設定することができる。
【0107】
また、端末200と同様にして、基地局100(制御部101)は、端末200に割り当てたPRB数がX以下の場合には、上述した2つの方法の何れかによって、端末200から送信される上りリンクの信号波形を特定し、受信処理を行えばよい。
【0108】
なお、本実施の形態では、DFT-s-OFDMを使用可能な割当PRB数の最大値Xを基地局100から端末200へ通知する前にも、端末200は、上りリンク信号(例えば、ランダムアクセス信号等)を送信する。そこで、端末200は、割当PRB数の最大値Xが通知される前の上りリンク信号伝送では、割当PRB数に依らず、DFT-s-OFDM又はOFDMの何れかを用いて信号波形を生成してもよい。または、端末200は、割当PRB数の最大値Xが通知される前の上りリンク信号伝送では、Xとは別に、DFT-s-OFDMを使用可能な最大の割当PRB数Yを予め定義してもよい。
【0109】
このように、本実施の形態では、信号波形生成において、DFT-s-OFDMとOFDMとを切り替える基準となる割当PRB数の最大値Xが基地局100で設定され、端末200へ通知される。これにより、本実施の形態によれば、基地局100は、最大送信電力等の端末200に関する通信環境に応じて、上りリンクの信号波形を適切に設定することができる。
【0110】
以上、本開示の各実施の形態について説明した。
【0111】
なお、上記実施の形態では、本開示の一態様をハードウェアで構成する場合を例にとって説明したが、本開示はハードウェアとの連携においてソフトウェアで実現することも可能である。
【0112】
また、上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSIとして実現される。集積回路は、上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックを制御し、入力と出力を備えてもよい。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部または全てを含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0113】
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0114】
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【0115】
本開示の端末は、上りリンクにおいてマルチキャリア伝送又はシングルキャリア伝送の信号波形を生成し、シングルキャリア伝送の信号波形を生成可能なリソースブロック数が制限されている、生成部と、端末に対して割り当てられたリソースブロックを用いて、前記生成された信号波形の信号を送信する送信部と、を具備する。
【0116】
本開示の端末において、前記シングルキャリア伝送の信号波形を生成可能な前記リソースブロック数の最大値が1つ定義されている。
【0117】
本開示の端末において、前記シングルキャリア伝送の信号波形を生成可能な前記リソースブロック数の最大値が複数定義されている。
【0118】
本開示の端末において、前記複数の最大値は、前記端末の最大送信電力とそれぞれ関連付けて定義され、前記最大送信電力が大きいほど、当該最大送信電力に関連付けられた前記最大値は大きい。
【0119】
本開示の端末において、前記シングルキャリア伝送の信号波形を生成可能な前記リソースブロック数の最大値は、基地局で設定され、前記端末へ通知される。
【0120】
本開示の基地局は、端末に対して上りリンクのリソースブロックを割り当てる制御部と、前記リソースブロックに配置された、マルチキャリア伝送又はシングルキャリア伝送の信号波形の信号を受信し、前記端末において前記シングルキャリア伝送の信号波形を生成可能な前記リソースブロック数は制限されている、受信部と、前記受信した信号を復調する復調部と、を具備する。
【0121】
本開示の通信方法は、上りリンクにおいてマルチキャリア伝送又はシングルキャリア伝送の信号波形を生成し、前記シングルキャリア伝送の信号波形を生成可能な前記リソースブロック数が制限されており、端末に対して割り当てられたリソースブロックを用いて、前記生成された信号波形の信号を送信する。
【0122】
本開示の通信方法は、端末に対して上りリンクのリソースブロックを割り当て、前記リソースブロックに配置された、マルチキャリア伝送又はシングルキャリア伝送の信号波形の信号を受信し、前記端末において前記シングルキャリア伝送の信号波形を生成可能な前記リソースブロック数は制限されており、前記受信した信号を復調する。
【産業上の利用可能性】
【0123】
本開示の一態様は、移動通信システムに有用である。
【符号の説明】
【0124】
100 基地局
101,201 制御部
102,202 符号化部
103,203 変調部
104,205 信号割当部
105,206 IFFT部
106,207 Post-IFFT部
107,208 送信部
108,209 アンテナ
109,210 受信部
110,211 FFT部
111,212 信号検出部
112,213 復調部
113,214 復号部
200 端末
204 Pre-IFFT部