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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-25
(45)【発行日】2022-11-02
(54)【発明の名称】網膜疾患用化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 213/73 20060101AFI20221026BHJP
   A61K 31/4418 20060101ALI20221026BHJP
   A61K 31/444 20060101ALI20221026BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20221026BHJP
【FI】
C07D213/73 CSP
A61K31/4418
A61K31/444
A61P27/02
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021535806
(86)(22)【出願日】2019-12-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-22
(86)【国際出願番号】 CN2019126178
(87)【国際公開番号】W WO2020125659
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2021-06-25
(31)【優先権主張番号】201811550604.8
(32)【優先日】2018-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201911226373.X
(32)【優先日】2019-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516304780
【氏名又は名称】メッドシャイン ディスカバリー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 達則
(74)【代理人】
【識別番号】100197169
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 潤二
(72)【発明者】
【氏名】リー ポン
(72)【発明者】
【氏名】リー シアオリン
(72)【発明者】
【氏名】ルオ チー
(72)【発明者】
【氏名】ホー ハイイン
(72)【発明者】
【氏名】フー クオピン
(72)【発明者】
【氏名】チエン リー
(72)【発明者】
【氏名】シューホイ チェン
【審査官】谷尾 忍
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-530524(JP,A)
【文献】特表2020-536896(JP,A)
【文献】特表2008-542291(JP,A)
【文献】国際公開第2018/039197(WO,A1)
【文献】特表2018-523700(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 213/73
A61K 31/4418
A61K 31/444
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(II)の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【化1】
(式中、
【化2】
は単結合、二重結合から選ばれ、
、T、T、Tはそれぞれ独立してN、C、CRから選ばれ、
はC、CR、C=Oから選ばれ、
はC、CR、Nから選ばれ、
はN、CRから選ばれ、
がC=Oから選ばれ、TがNから選ばれる場合に、
【化3】
は単結合から選ばれ、
Lは単結合、-O-、-S-、-NR-、-(CR-から選ばれ、
各Rはそれぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、OH、NHから選ばれ、
はH、任意選択で1つ、2つ又は3つのRによって置換されたC1-3アルキル基から選ばれ、
、Rはそれぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、OH、NH、CN、任意選択で1つ、2つ又は3つのRによって置換されたC1-3アルキル基から選ばれ、
5、、Rはそれぞれ独立してH、F、Cl、Br、Iから選ばれ、
nは1、2、3から選ばれ、
、Rはそれぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、OH、NH、CN、CHから選ばれる。)
【請求項2】
はH、CH、CHCHから選ばれ、前記CH、CHCHは任意選択で1つ、2つ又は3つのRによって置換される請求項1に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項3】
はH、CH、CHCHから選ばれる請求項2に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項4】
、Rはそれぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、OH、NH、CN、CH、CHCHから選ばれ、前記CH、CHCHは任意選択で1つ、2つ又は3つのRによって置換される請求項1~3のいずれか1項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項5】
、Rはそれぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、OH、NH、CN、CH、CHCHから選ばれる請求項4に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項6】
Lは単結合、-O-、-S-、-NH-、-(CH-、-CH-から選ばれる請求項5に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項7】
前記化合物が、下記の化合物から選ばれる請求項1~6のいずれか1項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【化4】
(式中、
、Tはそれぞれ独立してN、CRから選ばれ、
、Lには請求項1~6のいずれか1項の定義が適用される。)
【請求項8】
前記化合物が、下記の化合物から選択される請求項7に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【化5】
(式中、
、Lには請求項7の定義が適用される。)
【請求項9】
下記から選ばれる化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【化6】
【請求項10】
有効成分としての治療有効量の請求項1~9のいずれか1項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
【請求項11】
前記医薬組成物は、ドライアイの治療に用いられる、請求項10に記載の医薬組成物
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、出願日が2018年12月18日の中国特許出願第CN201811550604.8号、出願日が2019年12月4日の中国特許出願第CN201911226373.X号の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、アルデヒド結合剤に関し、具体的には、式(II)の化合物又は薬学的に許容されるその塩に関する。
【背景技術】
【0003】
ドライアイは乾燥性角結膜炎とも呼ばれ、何らかの原因で起きる涙液の質又は量の異常又は動態異常で、涙液膜の安定性が低下し、目の不快感又は目表面の組織病変が行うことを特徴とする複数の疾患の総称をいう。具体的な症状は目の刺激、視覚障害、涙液膜の不安定である。当該症候群には目表面の炎症に起因する涙腺の機能不全がある。また、全身性の自己免疫にも関係している。
【0004】
体内又は目の組織や器官における代謝などで、マロンジアルデヒド(MDA)、4-ヒドロキシ-2-ノネナール(4HNE)などの有毒なアルデヒドが生成され、これらのアルデヒドがタンパク質、炭水化物、油脂又はDNAと反応すると、生体分子の化学的修飾、NF-κBなどの炎症性分子調節因子の活性化が行われ、様々な器官が損傷されることが、ドライアイの原因の1つである。
【0005】
本発明では、研究を行って、点眼又は経口投与で小分子薬が目の炎症部位に送られ、体内のアルデヒドとの錯形成反応で、アルデヒドの毒性を低減させ、炎症を軽減することで、ドライアイを治療できることを見出した。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、式(I)の化合物又は薬学的に許容されるその塩を提供し、
【化1】
式中、
、T、T、Tはそれぞれ独立してN、C、CRから選ばれ、
Lは単結合、-O-、-S-、-NR-、-(CR-から選ばれ、
各Rはそれぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、OH、NHから選ばれ、
はH、任意選択で1つ、2つ又は3つのRによって置換されたC1-3アルキル基から選ばれ、
、Rはそれぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、OH、NH、CN、任意選択で1つ、2つ又は3つのRによって置換されたC1-3アルキル基から選ばれ、
nは1、2、3から選ばれ、
、Rはそれぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、OH、NH、CN、CHから選ばれる。
【0007】
本発明のいくつかの実施形態では、前記RはH、CH、CHCHから選ばれ、前記CH、CHCHは任意選択で1つ、2つ又は3つのRによって置換され、他の変数には本発明の定義が適用される。
【0008】
本発明のいくつかの実施形態では、前記RはH、CH、CHCHから選ばれ、他の変数には本発明の定義が適用される。
【0009】
本発明のいくつかの実施形態では、前記R、Rはそれぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、OH、NH、CN、CH、CHCHから選ばれ、前記CH、CHCHは任意選択で1つ、2つ又は3つのRによって置換され、他の変数には本発明の定義が適用される。
【0010】
本発明のいくつかの実施形態では、前記R、Rはそれぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、OH、NH、CN、CH、CHCHから選ばれ、他の変数には本発明の定義が適用される。
【0011】
本発明のいくつかの実施形態では、前記Lは単結合、-O-、-S-、-NH-、-(CH-、-CH-から選ばれ、他の変数には本発明の定義が適用される。
【0012】
本発明は、式(II)の化合物又は薬学的に許容されるその塩を提供し、
【化2】
式中、
【化3】
は単結合、二重結合から選ばれ、
、T、T、Tはそれぞれ独立してN、C、CRから選ばれ、
はC、CR、C=Oから選ばれ、
はC、CR、Nから選ばれ、
はN、CRから選ばれ、
がC=Oで、TがNである場合に、
【化4】
は単結合であり、
Lは単結合、-O-、-S-、-NR-、-(CR-から選ばれ、
各Rはそれぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、OH、NHから選ばれ、
はH、任意選択で1つ、2つ又は3つのRによって置換されたC1-3アルキル基から選ばれ、
、Rはそれぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、OH、NH、CN、任意選択で1つ、2つ又は3つのRによって置換されたC1-3アルキル基から選ばれ、
5、、Rはそれぞれ独立してH、F、Cl、Br、Iから選ばれ、
nは1、2、3から選ばれ、
、Rはそれぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、OH、NH、CN、CHから選ばれる。
【0013】
本発明のいくつかの実施形態では、前記RはH、CH、CHCHから選ばれ、前記CH、CHCHは任意選択で1つ、2つ又は3つのRによって置換され、他の変数には本発明の定義が適用される。
【0014】
本発明のいくつかの実施形態では、前記RはH、CH、CHCHから選ばれ、他の変数には本発明の定義が適用される。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態では、前記R、Rはそれぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、OH、NH、CN、CH、CHCHから選ばれ、前記CH、CHCHは任意選択で1つ、2つ又は3つのRによって置換され、他の変数には本発明の定義が適用される。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態では、前記R、Rはそれぞれ独立してH、F、Cl、Br、I、OH、NH、CN、CH、CHCHから選ばれ、他の変数には本発明の定義が適用される。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態では、前記Lは単結合、-O-、-S-、-NH-、-(CH-、-CH-から選ばれ、他の変数には本発明の定義が適用される。
【0018】
本発明のいくつかの実施形態は前記各変数を任意に組み合わせて構成される。
【0019】
本発明のいくつかの実施形態では、前記化合物又は薬学的に許容されるその塩は、
【化5】
から選ばれ、
式中、
、Tはそれぞれ独立してN、CRから選ばれ、
、Lには本発明の定義が適用される。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態では、前記化合物又は薬学的に許容される塩は、
【化6】
から選ばれ、
式中、
、Lには本発明の定義が適用される。
【0021】
さらに、本発明は、
【化7】
から選ばれる化合物又は薬学的に許容されるその塩を提供する。
【0022】
さらに、本発明は、有効成分としての治療有効量の前記化合物又は薬学的に許容されるその塩と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を提供する。
【0023】
本発明のいくつかの実施形態は、アルデヒド結合剤関連薬物を製造するための、前記化合物もしくは薬学的に許容されるその塩又は前記組成物の用途である。
【0024】
本発明のいくつかの実施形態では、前記用途は、前記アルデヒド結合剤関連薬物がドライアイ用薬物であることを特徴とする。
【0025】
「定義と説明」
特に説明がある場合を除き、本明細書で用いられる下記の用語及び表現は以下の意味を有する。特定の用語又は表現は、特別に定義されない場合に、確定していない又は不明瞭なものではなく、通常の意味で理解される。本明細書で商品名が記載される場合に、対応する製品又はその有効成分をいう。本明細書で用いられる用語「薬学的に許容される」とは、ヒト又は動物の組織に接触して使用されるのに適し、毒性又は刺激性がなく、アレルギー反応、その他の問題又は合併症を引き起こさないと医学的に判断され、利益対リスクが合理的である化合物、材料、組成物及び/又は剤形に対して使用される。
【0026】
用語「薬学的に許容される塩」とは、本発明に係る特定の置換基を有する化合物と相対的に毒性のない酸又は塩基とで製造される本発明の化合物の塩をいう。本発明の化合物に相対的に酸性を示す官能基が含まれる場合に、不純物を含まない溶液又は適切な不活性溶剤の中で十分な量の塩基と当該化合物の中性形態とを接触させることで塩基付加塩を得る。薬学的に許容される塩基付加塩は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム、有機アミン、マグネシウムの塩又は類似する塩を含む。本発明の化合物に相対的に塩基性を示す官能基が含まれる場合に、不純物を含まない溶液又は適切な不活性溶剤の中で十分な量の酸と当該化合物の中性形態とを接触させることで酸付加塩を得る。薬学的に許容される酸付加塩の例は、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、炭酸水素イオン、リン酸、リン酸一水素イオン、リン酸二水素イオン、硫酸、硫酸水素イオン、ヨウ化水素酸、亜リン酸などの無機酸の無機酸塩、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸などの有機酸の有機酸塩、アルギニンなどのアミノ酸の塩、及びグルクロン酸などの有機酸の塩を含む。本発明に係る化合物のいくつかは塩基性及び酸性の官能基を含むため、任意の塩基付加塩又は酸付加塩に変換されることが可能である。
【0027】
本発明の薬学的に許容される塩は、通常の化学方法で酸基又は塩基を含む母体化合物から合成できる。一般に、このような塩の調製方法は水、有機溶剤又は両者の混合物において、これらの化合物の遊離酸又は遊離塩基の形態と化学量論的に適切な塩基又は酸とを反応させることである。
【0028】
本発明に係る化合物は、塩形態の他にプロドラッグの形態がある。本明細書で説明される化合物のプロドラッグは生理的な条件で化学的変化を行って本発明の化合物に変換されやすい。また、体内環境で化学的又は生化学的方法でプロドラッグを変換して本発明の化合物を得ることができる。
【0029】
本発明に係る化合物のいくつかは、非溶媒和の形態又は水和物などの溶媒和の形態で存在してもよい。一般には、溶媒和の形態は非溶媒和の形態と同等なもので、いずれも本発明の範囲に含まれる。
【0030】
不斉合成、不斉試薬又はその他の通常技術により、光学活性を有する(R)-と(S)-異性体、及びDとL異性体を合成することができる。本発明の特定の化合物のエナンチオマーを得るには、不斉合成又は不斉助剤の誘導で合成してもよい。生成物のジアステレオマー混合物を分離させ、且つ補助的な官能基を脱去させることにより所望のエナンチオマーの純粋な形態を得る。又は、分子に塩基性官能基(例えば、アミノ基)又は酸性官能基(例えば、カルボキシ基)が含まれる場合に、光学活性を有する適切な酸又は塩基とジアステレオマーの塩を形成し、そして本分野で周知される通常の方法でジアステレオマーを分割することにより、純粋なエナンチオマーを得る。また、エナンチオマーとジアステレオマーの分離は一般にクロマトグラフィーで行われ、クロマトグラフィーにはキラルな固定相が用いられ、任意選択で化学的誘導法と組み合わせてもよい(例えば、アミンからのカルバメート生成)。本発明の化合物は当該化合物を構成する1つ以上の原子に非天然的な割合で同原子の同位体が含まれてもよい。例えば、化合物が三重水素(H)、ヨウ素-125(125I)又は炭素-14(14C)などの放射能同位体で標識されてもよい。又は、重水素で水素を置換して重水素化薬物を形成させてもよく、重水素と炭素からなる結合が水素と炭素からなる通常の結合より堅牢で、非重水素化薬物と比べて、重水素化薬物は毒性と副作用が軽減され、薬物安定性と治療効果が改善され、薬物の生物学的半減期が延長されるなどの利点を有する。本発明の化合物の同位体を含むバリアントは、放射性があるかどうかに関らず、いずれも本発明の範囲に含まれる。
【0031】
用語「任意選択」又は「任意選択で」とはそれに続いて記載される事項又は状況は出現する可能性があるが、必ずしも出現するとは限らないことで、当該記述には前記事象又は状況が生じる場合と前記事項又は状況が生じない場合とが含まれる。
【0032】
用語「置換された」とは特定の原子の原子価が正常で、且つ置換後の化合物が安定的であることが条件で、当該原子上の任意の1つ以上の水素原子(重水素及び水素のバリアントを含む)が置換基によって置換されることをいう。置換基が酸素(=O)である場合に、2つの水素原子が置換されることになる。酸素置換がアリール基には起きない。用語「任意選択で置換された」とは置換されてもよいし、置換されなくてもよいことである。特に規定がある場合を除き、置換基の種類とその数量は化学的に実現できる範囲において限定されない。
【0033】
化合物の組成又は構造で特定の変数(例えばR)が1回以上出現した場合に、出現するたびに独立的な定義が用いられる。したがって、例えば、1つの官能基が0~2つのRによって置換される場合に、当該官能基は任意選択で最大2つのRによって置換されてもよく、しかもRはそれぞれ独立して選択される。また、置換基及び/又はそのバリアントの組み合わせは当該組み合わせで安定的な化合物が生成される場合に限って認められる。
【0034】
接続官能基の数量が0で、例えば-(CRR)-である場合に、当該接続官能基は単結合であることを表す。
【0035】
変数が単結合である場合に、それを介して接続された2つの官能基が直接的に接続されることを表す。例えば、A-L-ZでLが単結合である場合に、当該構造はA-Zであることを表す。
【0036】
置換基が表示されない場合に、当該置換基が存在しないことを表し、例えばA-XでXが表示されない場合に、当該構造がAであることを表す。記載された置換基でどの原子を介して置換先官能基に接続されるかが明記されていない場合に、当該置換基はその任意の原子を介して結合されてもよい。例えば、ピリジル置換基はピリジン環の任意の1つの炭素原子を介して置換先官能基に接続されてもよい。記載された接続官能基で接続の方向性が示されない場合に、任意の方向で接続される。例えば、
【化8】
で接続官能基Lが-M-W-である場合に、-M-W-が左の方から右の方へとの方向で環Aと環Bとを接続させて
【化9】
を構成させてもよいし、左の方から右の方へと逆の方向で環Aと環Bとを接続させて
【化10】
を構成させてもよい。前記接続官能基、置換基及び/又はそのバリアントの組み合わせは当該組み合わせで安定的な化合物が生成される場合に限って認められる。
【0037】
特に規定がある場合を除き、用語「C1-6アルキル基」とは1ないし6個の炭素原子からなる直鎖又は分岐の飽和炭化水素基を表す。前記C1-6アルキル基はC1-5、C1-4、C1-3、C1-2、C2-6、C2-4、C、Cアルキル基などを含み、一価(例えば、メチル基)、二価(例えば、メチレン基)であってもよいし、多価(例えば、メチン基)であってもよい。C1-6アルキル基の例はメチル基(Me)、エチル基(Et)、プロピル基(n-プロピル基、イソプロピル基を含む)、ブチル基(n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基を含む)、ペンチル基(n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基を含む)、ヘキシル基などを含み、しかもこれらに限定されない。
【0038】
特に規定がある場合を除き、用語「C1-3アルキル基」とは1ないし3個の炭素原子からなる直鎖又は分岐の飽和炭化水素基を表す。前記C1-3アルキル基はC1-2、C2-3アルキル基などを含み、一価(例えば、メチル基)、二価(例えば、メチレン基)であってもよいし、多価(例えば、メチン基)であってもよい。C1-3アルキル基の例はメチル基(Me)、エチル基(Et)、プロピル基(n-プロピル基、イソプロピル基を含む)などを含み、しかもこれらに限定されない。
【0039】
特に規定がある場合を除き、用語「C1-3アルコキシ基」とは1つの酸素原子を介して分子の残りの部分に接続された、1から3個の炭素原子を含むアルキル基を表す。前記C1-3アルコキシ基はC1-2、C2-3、C、Cアルコキシ基などを含む。C1-3アルコキシ基の例はメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基(n-プロポキシ基、イソプロポキシ基を含む)などを含み、しかもこれらに限定されない。
【0040】
特に規定がある場合を除き、Cn-n+m又はC-Cn+mはnからn+m個の炭素のうちの任意の数値を含み、例えばC1-12はC、C、C、C、C、C、C、C、C、C10、C11、C12を含み、またnからn+mのうちの任意の範囲を含み、例えばC1-12はC1-3、C1-6、C1-9、C3-6、C3-9、C3-12、C6-9、C6-12、C9-12などを含む。同様に、nからn+m員は環原子数がnからn+m個であることを表し、例えば3~12員環は3員環、4員環、5員環、6員環、7員環、8員環、9員環、10員環、11員環、12員環を含み、またnからn+mのうちの任意の範囲を含み、例えば3~12員環は3~6員環、3~9員環、5~6員環、5~7員環、6~7員環、6~8員環、6~10員環などを含む。
【0041】
用語「脱離基」とは、置換反応(例えば、親和性置換反応)によって別の官能基又は原子で置き換えられる官能基又は原子をいう。例えば、代表的な脱離基はトリフルオロメタンスルホネート、塩素、臭素、ヨウ素、スルホン酸エステル基(例えば、メタンスルホン酸エステル、トルエンスルホン酸エステル、p-ブロモベンゼンスルホン酸エステル、p-トルエンスルホン酸エステルなど)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ基、トリフルオロアセトキシ基など)を含む。
【0042】
用語「保護基」は「アミノ保護基」、「ヒドロキシ保護基」、「チオール保護基」を含み、しかもこれらに限定されない。用語「アミノ保護基」とはアミノ基の窒素部位での副反応を阻止するのに適する保護基をいう。代表的なアミノ保護基はホルミル基、アシル基(例えば、アルカノイル基(例えば、アセチル基、トリクロロアセチル基、トリフルオロアセチル基))、アルコキシカルボニル基(例えば、t-ブトキシカルボニル基(Boc))、アリールメチルオキシカルボニル基(例えば、ベンジルオキシカルボニル基(Cbz)、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル基(Fmoc))、アリールメチル基(例えば、ベンジル基(Bn)、トリチル基(Tr)、1,1-ジ-(4’-メトキシフェニル)メチル)、シリル基(例えば、トリメチルシリル基(TMS)、t-ブチルジメチルシリル基(TBS))などを含み、しかもこれらに限定されない。用語「ヒドロキシ保護基」とはヒドロキシ基の副反応を阻止するのに適する保護基をいう。代表的なヒドロキシ保護基はアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、t-ブチル基)、アシル基(例えば、アルカノイル基(例えば、アセチル基))、アリールメチル基(例えば、ベンジル基(Bn)、p-メトキシベンジル基(PMB)、9-フルオレニルメチル基(Fm)、ジフェニルメチル基(DPM))、シリル基(例えば、トリメチルシリル基(TMS)、t-ブチルジメチルシリル基(TBS))などを含み、しかもこれらに限定されない。
【0043】
下記の具体的な実施形態、その他の化学的合成方法と組み合わせた実施形態及び当業者が熟知する代替的な入れ替え形態を含み、好ましい実施形態が本願の実施例を含み、しかもこれに限定されないなど、当業者が熟知する様々な合成方法で、本発明の化合物を製造することができる。
【0044】
本発明で使用される溶媒は市販品であってもよい。本明細書で使用する略語及びその意味は次のとおりである。aq=水、HATU=O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート、EDC=N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-N’-エチルカルボジイミド・塩酸塩、m-CPBA=3-クロロ過安息香酸、eq=当量又は等量、CDI=カルボニルジイミダゾール、DCM=ジクロロメタン、PE=石油エーテル、DIAD=アゾジカルボン酸ジイソプロピル、DMF=N,N-ジメチルホルムアミド、DMSO=ジメチルスルホキシド、EtOAc=酢酸エチル、EtOH=エタノール、MeOH=メタノール、CBz=ベンジルオキシカルボニル基(1種のアミン保護基)、BOC=t-ブトキシカルボニル基(1種のアミン保護基)、HOAc=酢酸、NaCNBH=シアノ水素化ホウ素ナトリウム、r.t.=室温、O/N=一晩、THF=テトラヒドロフラン、BocO=二炭酸ジ-t-ブチル、TFA=トリフルオロ酢酸、DIPEA=N,N-ジイソプロピルエチルアミン、SOCl=塩化チオニル、CS=二硫化炭素、TsOH=p-トルエンスルホン酸、NFSI=N-フルオロベンゼンスルホンイミド、NCS=N-クロロコハク酸イミド、n-BuNF=テトラブチルアンモニウムフルオリド、iPrOH=2-プロパノール、mp=融点、LDA=リチウムジイソプロピルアミド、LiHMDS=ヘキサメチルジシラザンリチウム、Xantphos=4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテン、LiAlH=水素化リチウムアルミニウム、Pd(dba)=トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、mCPBA=m-クロロ過安息香酸、pd(dppf)Cl=[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)、DBU=1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン。
【0045】
本発明で化合物は、本分野の通常の命名ルールに基づき、又はChemDraw(登録商標)を用いて命名され、市販化合物はメーカーが提供するカタログの名称に準拠する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1図1はインビトロアルデヒド捕捉能力試験の結果である。
図2図2はマウスのドライアイに対する薬効実験の涙液分泌量結果である。
図3図3はマウスのドライアイに対する薬効実験の角膜蛍光染色結果である。[発明の効果]
【0047】
本発明の化合物はアルデヒド錯化能力に優れており、目の炎症軽減でドライアイ治療の目的を果たすことができる。
【発明を実施するための形態】
【0048】
次に、実施例を用いて本発明の詳細な説明を行う。これは本発明に何らかの限定を加えるためではない。本明細書では具体的な実施形態を含め本発明の詳細な説明が記載される。当業者であれば、本発明の趣旨から逸脱することなく本発明の具体的な実施形態に様々な変形や改善を行うことができ、これが自明な事項である。
【0049】
実施例1:化合物1の合成
【化11】
【0050】
ステップ1:化合物1-2の合成
【化12】
化合物1-1(1.5g、6.12mmol、1eq)、ヘキサメチルジスズ(1.60g、4.90mmol、1.02mL、0.8eq)、ビス(トリ-t-ブチルホスフィン)パラジウム(0)(938.39mg、1.84mmol、0.3eq)をトルエン(20mL)に溶解し、80℃下で14時間攪拌した。TLC(薄層クロマトグラフィー、ジクロロメタン:メタノール=10:1)で完全に反応したことを検出したら、そのまま濃縮してサンプルを作製した。シリカゲルカラム・フラッシュクロマトグラフィー(移動相:0~10%ジクロロメタン/メタノール)で精製して、化合物1-2を得た。
[M+1]=330.9。
【0051】
ステップ2:化合物1の合成
【化13】
基質1-2(200mg、605μmol、1eq)をテトラヒドロフラン(20mL)に溶解し、0℃下で徐々にメチルマグネシウムブロミド(3M、4.04mL、20eq)を滴加して、反応系を0℃下で2時間攪拌した。水(20mL)を加えて反応をクエンチして、酢酸エチル(50mL×3)を加えて抽出し、有機相を濃縮した。ジメチルホルムアミド(DMF)で混合物を溶解し、HPLC(中性)に送液して精製して、化合物1を得た。
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ 7.80(d,J=8.3Hz,2H),7.00(d,J=8.3Hz,2H),5.56(s,4H),5.47(s,2H),1.56(s,12H)。
LCMS:[M+H]=302.9。
【0052】
実施例2:化合物2の合成
【化14】
【0053】
ステップ1:化合物2-3の合成
【化15】
基質2-1(702.07mg、2.55mmol、1.5eq)、化合物2-2(310mg、1.70mmol、1eq)をアセトニトリル(20mL)に溶解し、炭酸セシウム(1.11g、3.40mmol、2eq)を加えて、反応系を50℃下で3時間攪拌した。反応終了後、そのまま反応液を濾過し、濾液を遠心脱水して、粗生成物を得た。粗生成物に対してシリカゲルカラム・フラッシュクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=100:0~60:40)で精製して、化合物2-3を得た。
H NMR(400MHz,CDCl)δ 8.42(d,J=9.03Hz,1H),7.24(d,J=4.02Hz,1H),7.15-7.20(m,1H),7.07-7.13(m,1H),5.82(br s,2H),4.39(dq,J=4.27,7.11Hz,4H),1.35(td,J=7.15,18.57Hz,6H)。
【0054】
ステップ2:化合物2-4の合成
【化16】
化合物2-3(360mg、956.63μmol、1eq)、塩酸(12M、478.32μL、6eq)をエタノール(20mL)と水(5mL)に溶解し、還元鉄粉(534.23mg、9.57mmol、10eq)を加えて、25℃下で2時間攪拌した。反応終了後、飽和炭酸ナトリウム水溶液(30mL)で反応液のpHを9に調整して、酢酸エチル(30mL×2)を加えて抽出した。有機相を合わせた後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、遠心脱水して、粗生成物を得た。粗生成物に対してシリカゲルカラム・フラッシュクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=100:0~40:60)で精製して、化合物2-4を得た。
H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.17-7.24(m,2H),7.09-7.16(m,2H),5.64(br s,4H),4.37(q,J=7.03Hz,4H),1.37(t,J=7.03Hz,6H)。
【0055】
ステップ3:化合物2の合成
【化17】
化合物2-4(120mg、346.48μmol、1eq)をテトラヒドロフラン(10mL)に溶解し、0℃に冷却した。0℃下で、メチルマグネシウムブロミド(3M、3.00mL、26eq)の2-メチルテトラヒドロフラン溶液を滴加した。反応系を0℃下で30分間攪拌し、さらに25℃下で2時間攪拌した。反応終了後、飽和塩化アンモニウム水溶液(40mL)を加えて反応をクエンチして、酢酸エチル(100mL)で抽出した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、遠心脱水して、粗生成物を得た。粗生成物に対してHPLC(カラム型番:Waters Xbridge 150×25mm 5μm、移動相:[水(10mM 炭酸水素アンモニウム溶液)-アセトニトリル]、B(アセトニトリル)%:0%~50%、10分)による分離で精製して、化合物2を得た。
LCMS:[MS+H]=318.9。
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ 7.03(d,J=8.28Hz,2H),6.57(d,J=8.53Hz,2H),5.37(s,2H),5.27(s,4H),1.38(s,12H)。
【0056】
実施例3:化合物3の合成
【化18】
【0057】
ステップ1:化合物3-3の合成
【化19】
化合物3-1(300mg、1.30mmol、1eq)、化合物3-2(379.73mg、1.69mmol、1.3eq)、リン酸カリウム(551.24mg、2.60mmol、2eq)、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)・ジクロロメタン(530.18mg、649.22μmol、0.5eq)をジクロロエタン(15mL)に溶解して、80℃下で15時間攪拌した。反応終了後、そのまま反応液を濾過し、濾液を遠心脱水して、粗生成物を得た。粗生成物に対してシリカゲルカラム・フラッシュクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=100:0~50:50)で精製して、化合物3-3を得た。
H NMR(400MHz,CDCl)δ 8.29(s,1H),8.08(s,1H),7.88(s,2H),7.25(s,1H),5.95(br s,2H),4.03(s,3H),3.96(s,3H)。
【0058】
ステップ2:化合物3-4の合成
【化20】
化合物3-3(250mg、754.65μmol、1eq)、塩酸(12M、1.26mL、20eq)をメタノール(12mL)と水(3mL)に溶解し、還元鉄粉(421.43mg、7.55mmol、10eq)を加えて、25℃下で1日と15時間攪拌した。反応終了後、飽和炭酸ナトリウム水溶液(50mL)で反応液のpHを9に調整して、酢酸エチル(60mL×2)を加えて抽出した。有機相を合わせた後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、遠心脱水して、粗生成物を得た。粗生成物に対してシリカゲルカラム・フラッシュクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=100:0~50:50)で精製して、化合物3-4を得た。
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ 8.09(d,J=2.01Hz,1H),7.82(d,J=8.28Hz,1H),7.43(d,J=2.01Hz,1H),7.08(d,J=1.51Hz,1H),6.71-6.86(m,5H),3.83(d,J=5.77Hz,6H)。
【0059】
ステップ3:化合物3の合成
【化21】
化合物3-4(80mg、265.52μmol、1eq)をテトラヒドロフラン(10mL)に溶解し、0℃に冷却した。0℃下で、メチルマグネシウムブロミド(M、2mL、22.60eq)の2-メチルテトラヒドロフラン溶液を滴加した。反応系を0℃下で30分間攪拌し、さらに25℃下で15時間攪拌した。反応終了後、飽和塩化アンモニウム水溶液(20mL)を加えて反応をクエンチして、酢酸エチル(50mL)で抽出した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、遠心脱水して、粗生成物を得た。粗生成物に対してシリカゲルプレート・薄層クロマトグラフィー(展開溶媒:石油エーテル:酢酸エチル=2:5)による分離で精製して、化合物3を得た。
LCMS:[MS+H]=301.9。
H NMR(400MHz,CDCl)δ 8.12(d,J=1.76Hz,1H),7.20(d,J=8.03Hz,1H),7.07(d,J=2.01Hz,1H),6.85(dd,J=2.01,8.03Hz,1H),6.81(d,J=2.01Hz,1H),4.31-5.07(m,4H),3.32(br s,2H),1.71(d,J=5.27Hz,12H)。
【0060】
実施例4:化合物4の合成
【化22】
【0061】
ステップ1:化合物4-2の合成
【化23】
化合物3-1(3g、12.98mmol、1eq)をテトラヒドロフラン(10mL)に溶解し、反応温度を-78℃に下げて、徐々にメチルリチウム(1M、64.92mL、5eq)を滴加して-78℃下で1時間攪拌した。TLC(石油エーテル:酢酸エチル=3:1)監視によって、反応で新たなスポットが生成したことを検出した。水(50mL)を加えて反応をクエンチして、酢酸エチル(50mL×2)を加えて抽出した。有機相を遠心脱水した。シリカゲルカラム・フラッシュクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=3:1~1:1)で精製して、化合物4-2を得た。
H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.93(d,J=2.0Hz,1H),7.06(d,J=2.0Hz,1H),4.67(br s,2H),1.64(s,6H)。
【0062】
ステップ2:化合物4の合成
【化24】
化合物4-2(500mg、2.16mmol)、ヘキサメチルジスズ(1.74mmol、360mL)、ビス(トリ-t-ブチルホスフィン)パラジウム(0)(330mg、645.73μmol)をトルエン(15mL)に加え、窒素保護下で、80℃で攪拌して12時間反応させた。薄層クロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール=10:1)で高極性スポットの新規生成を検出した。反応完了後、メタノール(10mL)、ジクロロメタン(100mL)を反応系に加え、固体が溶解したら、濾過し、濾液を減圧濃縮した。残留物に対してカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール=10:1)で分離して不純な生成物を得、さらに高速分取液体クロマトグラフィー(中性、カラム:Waters Xbridge 150×25mm 5μm、移動相:[水(10mM 炭酸水素アンモニウム)-アセトニトリル]、B(アセトニトリル)%:10%~35%、8.2分)で分離して化合物4を得た。
LCMS(ESI):[M+H]=303.0
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ 7.91(d,J=2.0Hz,2H),7.12(d,J=2.0Hz,2H),5.68(s,4H),5.48(br s,2H),1.52(m,12H)。
【0063】
実施例5:化合物5の合成
【化25】
【0064】
ステップ1:化合物5-3の合成
【化26】
基質5-1(3g、17.74mmol、1eq)、化合物5-2(4.03g、17.91mmol、1.01eq)を酢酸(50mL)に溶解し、25℃下で2時間攪拌した。反応終了後、そのまま反応液を遠心脱水した。酢酸エチル(130mL)で粗生成物を溶解した後、飽和炭酸ナトリウム水溶液(100mL)、チオ硫酸ナトリウム(100mL、1M)そして飽和食塩水(100mL)で各1回洗浄した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、遠心脱水して、粗生成物を得た。粗生成物に対してシリカゲルカラム・フラッシュクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=100:0~98:2)で精製して、化合物5-3を得た。
H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.59-7.67(m,2H),6.22(br s,2H),3.90(s,3H)。
【0065】
ステップ2:化合物5-5の合成
【化27】
化合物5-3(1g、3.39mmol、1eq)、化合物5-4(860.66mg、3.39mmol、1eq)、酢酸カリウム(332.62mg、3.39mmol、1eq)をトルエン(15mL)に溶解し、窒素保護下で、25℃下で10分間攪拌した後、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド ジクロロメタン付加物[Pd(dppf)Cl・CHCl](2.77g、3.39mmol、1eq)を加えた。反応系を100℃に上げて15時間攪拌した。反応終了後、飽和炭酸ナトリウム水溶液(60mL)でクエンチして、酢酸エチル(60mL)を加えて抽出した。有機相を飽和食塩水(60mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、遠心脱水して、粗生成物を得た。粗生成物に対してシリカゲルカラム・フラッシュクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=100:0~98.8:1.2)で精製して、化合物5-5を得た。
LCMS:[MS+H]=295.9。
【0066】
ステップ3:化合物5-6の合成
【化28】

化合物2-1(1.5g、5.45mmol、1eq)、化合物5-5(2.09g、7.09mmol、1.3eq)、リン酸カリウム(3.47g、16.36mmol、3eq)、Pd(dppf)Cl・CHCl(1.34g、1.64mmol、0.3eq)を1,2-ジメトキシエタン(60mL)に溶解し、80℃下で15時間攪拌した。反応終了後、そのまま反応液を濾過し、濾液を遠心脱水して、粗生成物を得た。粗生成物に対してシリカゲルカラム・フラッシュクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=100:0~60:40)で精製して、化合物5-6を得た。
H NMR(400MHz,CDCl)δ 8.46(d,J=8.78Hz,1H),8.12(br s,2H),7.88(d,J=8.78Hz,1H),7.81(dd,J=3.01,9.03Hz,1H),7.51(dd,J=3.01,9.03Hz,1H),4.53(q,J=7.03Hz,2H),3.87-3.94(,3H),1.44(t,J=7.15Hz,3H)。
【0067】
ステップ4:化合物5-7の合成
【化29】
化合物5-6(890mg、2.45mmol、1eq)を酢酸エチル(100mL)に溶解し、窒素保護下で、Pd/C(500mg、純度10%)を加え、水素バルーン(15psi)でガスを3回置換して、25℃下で15時間攪拌し、さらに65℃下で15時間攪拌した。反応終了後、反応液を珪藻土で濾過し、濾液をそのまま遠心脱水して、化合物5-7を得た。
H NMR(400MHz,CDCl)δ 8.54(br s,2H),7.60-7.68(m,2H),7.45(dd,J=3.14,9.66Hz,1H),7.16(d,J=8.78Hz,1H),5.84(br s,2H),4.42(q,J=7.03Hz,2H),3.90(s,3H),1.45(t,J=7.15Hz,3H)。
【0068】
ステップ5:化合物5-8の合成
【化30】
化合物5-7(500mg、1.50mmol、1eq)をテトラヒドロフラン(50mL)に溶解し、0℃に冷却した。0℃下で、メチルマグネシウムブロミド(3M、7.50mL、15eq)の2-メチルテトラヒドロフラン溶液を滴加した。反応系を0℃下で1.5時間攪拌した。反応終了後、飽和塩化アンモニウム水溶液(100mL)を加えて反応をクエンチして、酢酸エチル(100mL×2)で抽出した。有機相を合わせて、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、遠心脱水して、粗生成物を得た。粗生成物に対してHPLC(カラム型番:Boston Uni C18 40×150mm×5μm、移動相:[水(10mM 炭酸水素アンモニウム溶液)-アセトニトリル]、B(アセトニトリル)%:28%~58%、10分)による分離で精製して、化合物5-8を得た。
H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.30(d,J=8.28Hz,1H),6.99-7.10(m,2H),6.89(dd,J=2.89,10.16Hz,1H),1.71(d,J=1.76Hz,12H)。
【0069】
ステップ6:化合物5の合成
【化31】
化合物5-8(100mg、313.11μmol、1eq)をアセトニトリル(5mL)に溶解し、次にHPLC装置(カラム型番:Phenomenex Gemini-NX 150×30mm×5μm、移動相:[水(0.04%水酸化アンモニウム+10mM 炭酸水素アンモニウム溶液)-アセトニトリル]、B(アセトニトリル)%:39%-49%、8分)による分離で精製して、化合物5を得た。
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ 7.36(d,J=8.53Hz,1H),7.05-7.13(m,2H),6.89(s,2H),6.84(dd,J=3.01,10.54Hz,1H),5.72(s,2H),5.55(s,1H),5.47(s,1H),1.53(d,J=4.02Hz,12H)。
【0070】
実施例6:化合物6の合成
【化32】
【0071】
ステップ1:化合物6-2の合成
【化33】
化合物2-1(10g、36.36mmol、1eq)、ベンジルアルコール(7.86g、72.71mmol、7.56mL、2eq)をアセトニトリル(100mL)に溶解し、20℃下で炭酸セシウム(23.69g、72.71mmol、2eq)を加えて、20℃下で12時間攪拌した。反応終了後、反応液を水(40mL)でクエンチして、酢酸エチル(80mL×3)で抽出した。有機相を合わせて、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、遠心脱水して、粗生成物を得た。シリカゲルカラム・フラッシュクロマトグラフィー(SiO、石油エーテル/酢酸エチル=5:1~3:1)で粗生成物を精製して、化合物6-2を得た。
H NMR(400MHz,CDCl):δ 8.39-8.33(m,1H),7.48-7.38(m,5H),6.99-6.93(m,1H),5.52-5.48(m,2H),4.57-4.48(m,2H),1.48-1.41(m,3H)。
【0072】
ステップ2:化合物6-3の合成
【化34】
化合物6-2(4.9g、16.21mmol、1eq)をエタノール(90mL)に溶解し、窒素保護下で、パラジウム炭素(Pd/C、0.5g、16.21mmol、純度10%、1eq)を加えて、水素バルーンでガスを3回置換して、30℃下で12時間攪拌した。反応終了後、反応液を濾過し、濾液を遠心脱水して、粗生成物を得た。粗生成物に対してシリカゲルカラム・フラッシュクロマトグラフィー(SiO、ジクロロメタン:メタノール=10:0~10:1)で精製して、化合物6-3を得た。
H NMR(400MHz,CDCl):δ 9.17(br s,1H),7.10(d,J=9.8Hz,1H),6.73(d,J=9.8Hz,1H),5.41(br s,2H),4.36(q,J=7.0Hz,2H),1.38(t,J=7.2Hz,3H)。
【0073】
ステップ3:化合物6-5の合成
【化35】
化合物6-4(1g、5.34mmol、1eq)、化合物6-3(974.4mg、5.35mmol、1eq)をDMSO(20mL)に溶解し、リン酸カリウム(1.70g、8.00mmol、1.5eq)を加えて、100℃下で12時間攪拌した。反応終了後、酢酸エチル(50mL)を加えて希釈し、水(30mL×2)そして飽和食塩水(30mL)で洗浄した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、遠心脱水して、粗生成物を得た。粗生成物に対してシリカゲルカラム・フラッシュクロマトグラフィー(SiO、石油エーテル/酢酸エチル=5:1~2:1)で精製して、化合物6-5を得た。
H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.64(d,J=11.8Hz,1H),7.21-7.13(m,1H),7.02-6.97(m,1H),6.56(d,J=6.8Hz,1H),4.44-4.31(m,2H),3.89(s,3H),1.40(t,J=7.2Hz,3H)。
【0074】
ステップ4:化合物6の合成
【化36】
化合物6-5(200mg、572.55μmol、1eq)をテトラヒドロフラン(40mL)に溶解し、0℃に冷却した。0℃下で、メチルマグネシウムブロミド(3M、5mL、26.20eq)の2-メチルテトラヒドロフラン溶液を滴加した。反応系を0℃下で1時間攪拌し、さらに15℃下で15時間攪拌した。反応終了後、飽和塩化アンモニウム水溶液(50mL)を加えて反応をクエンチして、酢酸エチル(60mL)で抽出した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、遠心脱水して、粗生成物を得た。粗生成物に対してHPLC(カラム型番:Waters Xbridge 150×25mm 5μm、移動相:[水(10mM 炭酸水素アンモニウム溶液)-アセトニトリル]、B(アセトニトリル)%:15%~45%、10分)による分離で精製して、化合物6を得た。
LCMS:[MS+H+]=336.0。
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ 7.06(d,J=8.28Hz,1H),6.88(d,J=13.05Hz,1H),6.55(d,J=8.28Hz,1H),6.33(d,J=7.53Hz,1H),5.37(s,1H),5.30(br d,J=3.01Hz,4H),5.26(s,1H),1.48(s,6H),1.38(s,6H)。
【0075】
実施例7:化合物7の合成
【化37】
【0076】
ステップ1:化合物7-2の合成
【化38】
化合物7-1(2g、7.19mmol、1eq)のトルエン(30mL)溶液に化合物5-4(3.65g、14.39mmol、2eq)、Pd(dppf)Cl(526.35mg、719.34μmol、0.1eq)、酢酸カリウム(1.41g、14.39mmol、2eq)を加えて、110℃下で3時間反応させた。反応終了後、反応液を減圧濃縮して粗生成物7-2を得た。
【0077】
ステップ2:化合物7-3の合成
【化39】
化合物7-2(1.63g、7.07mmol、1eq)がトルエン(50mL)と水(10mL)に溶解した溶液に化合物3-1(2.3g、7.07mmol、1eq)、炭酸セシウム(4.61g、14.14mmol、2eq)、Pd(dppf)Cl(517.32mg、707.00μmol、0.1eq)を加え、110℃の窒素雰囲下で6時間反応させた。反応終了後、反応液を珪藻土で濾過し、濾液を減圧濃縮して粗生成物を得た。粗生成物に対してシリカゲルカラム・クロマトグラフィー(SiO、石油エーテル/酢酸エチル=5:1~0:1)で分離して、化合物7-3を得た。
LCMS:350.1[M+1]
【0078】
ステップ3:化合物7-4の合成
【化40】
化合物7-3(1.58g、4.52mmol、1eq)がメタノール(50mL)と酢酸エチル(50mL)に溶解した溶液にPd/C(1.7g、純度5%)を加え、水素雰囲下で15psiかつ20℃で3時間反応させた。反応終了後、反応液を珪藻土で濾過し、濾液を減圧濃縮して、化合物7-4を得た。
LCMS:320[M+1]
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ ppm 7.96(t,J=1.76Hz,1H),7.54(d,J=11.84Hz,1H),7.39(s,1H),6.95(d,J=6.58Hz,1H),6.82(s,2H),6.66(s,2H),3.83(d,J=3.96Hz,6H)。
【0079】
ステップ4:化合物7の合成
【化41】
0℃下で、化合物7-4(1.5g、4.70mmol、1eq)のテトラヒドロフラン(150mL)溶液にメチルマグネシウムブロミド(3M、31.32mL、20eq)を加え、20℃下で3時間反応させた。反応終了後、反応液を飽和塩化アンモニウム溶液に注ぎ、50mLの酢酸エチルを加えて分液させ、水相を酢酸エチル(50mL×3)で抽出し、有機相を合わせて、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧濃縮して粗生成物を得た。粗生成物に対してHPLC(カラム型番:Xtimate C18 150×25mm×5μm、移動相:[水(10mM 炭酸水素アンモニウム溶液)-アセトニトリル]、B(アセトニトリル)%:25%~45%、10.5分)で分離して、化合物7を得た。
LCMS:320.0[M+1]
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ ppm 7.77(s,1H),7.05(s,1H),6.91(d,J=12.28Hz,1H),6.67(d,J=7.46Hz,1H),5.63(s,2H),5.27-5.48(m,4H),1.51(s,12H)。
【0080】
実施例8:化合物8の合成
【化42】
【0081】
ステップ1:化合物8-1の合成
【化43】
化合物3-4(1g、3.32mmol、1eq)、NCS(509.67mg、3.82mmol、1.15eq)を氷酢酸(60mL)に溶解し、25℃下で15時間攪拌した。反応終了後、飽和炭酸ナトリウム水溶液(200mL)で反応液のpHを約9に調整して、酢酸エチル(150mL)を加えて抽出した。有機相を飽和食塩水(50mL)で1回洗浄して、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、遠心脱水して、粗生成物を得た。粗生成物に対してシリカゲルカラム・フラッシュクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=100:0~70:30)で精製して、化合物8-1を得た。
H NMR(400MHz,CDCl)δ 8.10(d,J=1.76Hz,1H),7.97(s,1H),7.12(d,J=1.76Hz,1H),6.63(s,1H),5.83(br s,4H),4.01(s,3H),3.91(s,3H)。
【0082】
ステップ2:化合物8の合成
【化44】
化合物8-1(265mg、789.30μmol、1eq)をテトラヒドロフラン(50mL)に溶解し、0℃に冷却した。0℃下で、メチルマグネシウムブロミド(3M、4mL、15.20eq)の2-メチルテトラヒドロフラン溶液を滴加した。反応系を0℃下で2時間攪拌し、さらに25℃下で15時間攪拌した。反応終了後、飽和塩化アンモニウム水溶液(50mL)を加えて反応をクエンチして、酢酸エチル(60mL×2)で抽出した。有機相を合わせて、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、遠心脱水して、粗生成物を得た。粗生成物に対してHPLC(カラム型番:Waters Xbridge 150×25mm×5μm、移動相:[水(10mM 炭酸水素アンモニウム溶液)-アセトニトリル]、B(アセトニトリル)%:25%~48%、7.8分)による分離で精製して、化合物8を得た。
LCMS:[MS+H+]=336.0。
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ 7.66(d,J=2.01Hz,1H),7.07(s,1H),6.96(d,J=2.01Hz,1H),6.61(s,1H),5.61(br d,J=17.32Hz,4H),5.47(s,1H),5.34(s,1H),1.51(s,12H)。
【0083】
実施例9:化合物9の合成
【化45】
【0084】
ステップ1:化合物9-2の合成
【化46】
化合物9-1(24.8g、120.37mmol、1eq)、ベンジルアミン(15.48g、144.45mmol、15.75mL、1.2eq)をDMF(200mL)に溶解し、20℃下でトリエチルアミン(36.54g、361.12mmol、50.26mL、3eq)を加えた。反応液を20℃下で21時間攪拌した。完全に反応したら水(250mL)を加えて反応をクエンチして、酢酸エチル(500mL×2)を加えて抽出した。有機相を遠心脱水した。シリカゲルカラム・フラッシュクロマトグラフィー(SiO、石油エーテル/酢酸エチル=5:1~3:1)で精製して、化合物9-2を得た。
LCMS(ESI):[M+H]:277.1。
H NMR(400MHz,CDCl)δ 8.71(s,1H),8.55(br s,1H),7.36-7.43(m,2H),7.29-7.35(m,3H),6.56(s,1H),4.44(d,J=5.52Hz,2H),3.88-3.92(m,3H)。
【0085】
ステップ2:化合物9-3の合成
【化47】
化合物9-2(5g、18.07mmol、1eq)、ナトリウムメトキシド(9.76g、180.69mmol、10eq)をMeOH(50mL)に溶解し、窒素保護下で、90℃で攪拌して15時間反応させた。反応終了後、シリカゲルカラム・フラッシュクロマトグラフィー(SiO、石油エーテル/酢酸エチル=5:1~3:1)で精製して、化合物9-3を得た。
LCMS(ESI):[M+H]+:273。
【0086】
ステップ3:化合物9-4の合成
【化48】
化合物9-3(3.26g、11.97mmol、1eq)、クロロトリメチルシラン(5.20g、47.89mmol、6.08mL、4eq)、NaI(7.18g、47.89mmol、4eq)をアセトニトリル(50mL)に溶解し、窒素保護下で、80℃下で攪拌して15時間反応させた。反応終了後、炭酸水素ナトリウムで溶液のpHを7に調整した。次に水(20mL)でクエンチして、ジクロロメタン(100mL)で2回抽出し、最後に有機相を合わせて、ロータリーエバポレーターで遠心脱水して粗生成物を得、シリカゲルカラム・フラッシュクロマトグラフィー(SiO、石油エーテル/酢酸エチル=5/1~3:1)で精製して化合物9-4を得た。
LCMS(ESI):[M+H]:259.1。
H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.47(br s,1H),6.47-6.58(m,5H),4.65(s,1H),3.55(br d,J=5.27Hz,2H),3.00-3.08(m,3H)。
【0087】
ステップ4:化合物9-6の合成
【化49】
化合物9-4(2.29g、8.87mmol、1eq)、化合物9-5(2.77g、10.64mmol、1.2eq)、ヨウ化銅(I)(337.73mg、1.77mmol、0.2eq)、炭酸カリウム(2.45g、17.73mmol、2eq)、(1S,2S)-N1,N2-ジメチルシクロヘキサン-1,2-ジアミン(252.24mg、1.77mmol、0.2eq)をトルエン(30mL)に溶解し、窒素保護下で、110℃下で攪拌して13時間反応させた。反応終了後、溶液を濾過してロータリーエバポレーターで遠心脱水した。シリカゲルカラム・フラッシュクロマトグラフィー(SiO、石油エーテル/酢酸エチル=1:1~0:1)で精製して化合物9-6を得た。
LCMS(ESI):[M+H]:438.1。
【0088】
ステップ5:化合物9-7の合成
【化50】
化合物9-6(1g、2.29mmol、1eq)をテトラヒドロフラン(30mL)に溶解し、窒素雰囲下で混合溶液にパラジウム炭素(1.5g、純度10%)を加えた。水素雰囲下で、65℃で12時間攪拌した。反応終了後、反応混合物を濾過して遠心脱水した。シリカゲルカラム・フラッシュクロマトグラフィー(SiO、石油エーテル/酢酸エチル=1:1~0:1)で精製して化合物9-7を得た。
LCMS(ESI):[M+H]:318.1。
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ 8.12(s,1H),7.76(d,J=8.53Hz,1H),7.06(br s,2H),6.84(s,2H),6.77(d,J=1.76Hz,1H),6.51(dd,J=2.01,8.53Hz,1H),5.42(s,1H),3.81(s,3H),3.74(s,3H)。
【0089】
ステップ6:化合物9の合成
【化51】
化合物9-7(200mg、630.33μmol、1eq)をテトラヒドロフラン(20mL)に溶解し、窒素雰囲下で、ドライアイス/エタノール浴の中で反応液を-78℃に冷却して徐々にメチルリチウム(1.6M、5.91mL、15eq)を滴加した。滴加完了後、反応液を徐々に0℃に上げて30分間攪拌した。反応終了後、0℃下で反応液を水(10mL)でクエンチして、水(5mL)で希釈してからTHF(40mL)で抽出した。有機相を合わせて、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、遠心脱水して化合物9を得た。
LCMS(ESI):[M+H]:318。
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ 6.20(d,J=8.28Hz,1H),6.14(s,1H),5.69(d,J=2.26Hz,1H),5.53(dd,J=2.13,8.16Hz,1H),5.45(s,2H),4.73(s,2H),4.57(s,1H),4.53(s,1H),4.41(s,1H),0.67(s,6H),0.60(s,6H)。
【0090】
実験例1:インビトロアルデヒド捕捉能力実験
1.実験目的及び手順
目的:ドライアイは目の内部で生じる炎症で、このような炎症が原因となって体内ではアルデヒドが生成され、このアルデヒドをすぐに排出させないと、炎症の症状を加速させて、ドライアイが悪化する。本実験では体内環境をシミュレートし、体内のアルデヒドに対する薬物の錯化能力で、好適な化合物を選んだ。
【0091】
手順:スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン(310mg)をリン酸バッファー(1.25mL)に溶解して溶液を調製した。
室温下で、反応フラスコにノニルアルデヒド(5.0mg、32μmol、1.0eq)、トリオレイン(300mg)を加えて、そして前記調製溶液を加えた後、リノール酸(300mg)を加え、最後に本発明の化合物(32μmol、1.0eq)を含むジメチルスルホキシド(0.15mL)溶液を加え、反応液を20~23℃で反応させた。
攪拌して反応させ、10分間、100分間、200分間、300分間の時に、それぞれ2分間静置して層化させた後、サンプリングして高速液体クロマトグラフィーで検出した。
【0092】
サンプリング手順:ピペットで上層の乳化層から25μL、下層の水相から50μLをサンプリングして、1mLのメタノールを加えて希釈した。
【0093】
2.実験結果
ノニルアルデヒドが波長254nmにおいてUVの吸収が弱く、錯体生成物の含有量に全体的な影響が小さいため、高速液体クロマトグラフィーの254nmでの錯体生成物のパーセント含有量を比較することによって、化合物のアルデヒドに対する捕捉と錯化能力を検討した。図1及び表1を参照する。
【化52】
【表1】
【0094】
HPLC分析方法は、XBRIGE 2.5μm、3.0×100mm 5-95CD_XBEH_12分_0.8.lcm、又はXBRIGE 2.5μm、3.0×100mm 5-80CD_XBEH_12分_0.8.lcmであった。
具体的な条件は、XBRIGE 2.5μm、3.0×100mm 5-80CD_XBEH_12分_0.8.lcmが以下のとおりである。
【表2-1】
XBRIGE 2.5μm、3.0×100mm 5-95CD_XBEH_12分_0.8.lcmが以下のとおりである。
【表2-2】
【0095】
化合物7を例とすると、300分間反応した後、検出し、HPLC分析方法はXBRIGE 2.5μm、3.0×100mm 5-80CD_XBEH_12分_0.8.lcmであり、
保持時間6.689分、6.787分、6.966分、7.102分が、1分子のアルデヒドとの錯化生成物の吸収ピークで、
保持時間8.905分、9.010分、9.075分が2分子のアルデヒドとの錯化生成物の吸収ピークであった。
【0096】
特定の錯体生成物の254nmでのパーセント含有量は前記保持時間での吸収ピークのパーセント含有量の和として算出され、即ち(1.839+1.715+14.993+13.029)%+(1.004+2.212+1.247)%=36.039%であった。
【0097】
本発明の化合物による錯体生成物のパーセント含有量の詳細なHPLCデータは次の表2に示すとおりである。
【表2-3】
【0098】
実験例2:インビトロ評価
試験目的:化合物のヒト肝臓ミクロソーム由来シトクロムP450に対する阻害効果を研究した。
試験手順:化合物のヒト肝臓ミクロソーム由来シトクロムP450(CYP1A2、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6及びCYP3A4)に対する阻害効果の研究で、CYP450酵素源として混合ヒト肝臓ミクロソームを使用し、異なる濃度の化合物(10、5、1.5、0.5、0.15、0.05、0.015mM)を5つのCYP酵素のプローブ基質(CYP3A4には2つの基質を用いた)及び補因子(NADPH)とインキュベートし、化合物の各CYP酵素に対する阻害のIC50値を測定した。試験結果は以下のとおりである。
【表3】
【0099】
実験例3:化合物の薬物動態評価
実験1:
実験目的:SDラットにおける被験化合物のインビボ5日毒性研究
実験材料:SDラット(雄、200~300g、7~9週齢、提供:上海霊暢)
実験手順:
被験化合物をげっ歯類動物に静脈注射する場合の薬物動態特性を標準的な方法で検討し、実験では候補化合物の清澄溶液を調製し、SDラットに20mg/kgで、連続5日で単回静脈注射で投与した。静脈注射溶媒は10%のヒドロキシプロピルβシクロデキストリン水溶液であった。1日目及び5日目の投与後から0.033、0.083、0.25、0.5、1、2、4、8、24時間に全血サンプルを採取して、3000rで10分間遠心分離し、上清を分離して血漿サンプルを得、血漿サンプル15μLと内部標準物質を含むアセトニトリル溶液沈殿タンパク質300μLとを混合し、遠心分離して上清液を2μL採取してロードして、LC-MS/MS分析方法で血中薬物濃度を定量的に分析し、クリアランス率、半減期、薬物時間曲線下面積などの薬物動態パラメータを計算した。
【0100】
実験結果:
【表4】
【0101】
実験2:
実験目的:ビーグル犬における被験化合物のインビボ薬物動態研究
実験材料:ビーグル犬(雄、8~11kg、6か月以上、提供:瑪斯)
実験手順:
被験化合物をげっ歯類動物に静脈注射で投与する場合の薬物動態特性を標準的な方法で検討し、実験では候補化合物の清澄溶液を調製し、ビーグル犬に1mg/kgの単回静脈注射で投与した。静脈注射溶媒は10%のヒドロキシプロピルβシクロデキストリン水溶液であった。0.033、0.083、0.25、0.5、1、2、4、8、12、2424時間でそれぞれ全血を採取して、3000rで10分間遠心分離し、上清を分離して血漿サンプルを得、血漿サンプル20μLと内部標準物質を含むアセトニトリル溶液沈殿タンパク質400μLとを混合し、遠心分離して上清液を2μL採取してロードして、LC-MS/MS分析方法で血中薬物濃度を定量的に分析し、クリアランス率、半減期、薬物時間曲線下面積などの薬物動態パラメータを計算した。
【0102】
実験結果:
【表5】
【0103】
実験3:
実験目的:カニクイザルにおける被験化合物のインビボ薬物動態研究
実験材料:カニクイザル(雄、2.5~4kg、2年以上、提供:海南金港)
実験手順:
被験化合物をサルに静脈注射で投与する場合の薬物動態特性を標準的な方法で検討し、実験では候補化合物の清澄溶液を調製し、カニクイザルに1mg/kgの単回静脈注射で投与した。静脈注射溶媒は10%のヒドロキシプロピルβシクロデキストリン水溶液であった。0.033、0.083、0.25、0.5、1、2、4、8、12、24時間でそれぞれ全血を採取して、3000rで10分間遠心分離し、上清を分離して血漿サンプルを得、血漿サンプル20μLと内部標準物質を含むアセトニトリル溶液沈殿タンパク質400μLとを混合し、遠心分離して上清液を2μL採取してロードして、LC-MS/MS分析方法で血中薬物濃度を定量的に分析し、クリアランス率、半減期、薬物時間曲線下面積などの薬物動態パラメータを計算した。
【0104】
実験結果:
【表6】
【0105】
実験例4:インビボ薬物動態特性研究
実験目的:ラットへの点眼投与後の角膜と血漿中の薬物濃度比
実験材料:SDラット(雄、200~300g、7~9週齢、提供:上海霊暢)
実験手順:候補化合物の清澄溶液を調製し、SDラットに点眼投与した。点眼投与溶媒は10%のヒドロキシプロピルβシクロデキストリン水溶液で、点眼液の薬物濃度は5mg/mLであった。1、4時間でそれぞれ角膜及び全血を採取した。角膜は15mMのリン酸バッファー(PBS):MeoH(2:1、v:v)バッファーでホモジネートし、全血サンプルは3000rで10分間遠心分離し、上清を分離して血漿サンプルを得た。血漿サンプル及びホモジネート液サンプル20μLをそれぞれ内部標準物質を含むアセトニトリル溶液沈殿タンパク質400μLと混合し、遠心分離して上清液を2μL採取してロードし、LC-MS/MS分析方法で血中薬物濃度を定量的に分析し、異なる時刻に対し角膜及び血漿中の薬物濃度をそれぞれ検出して、角膜/血漿比を計算した。
【0106】
実験結果:
【表7】
【0107】
実験例5:インビボ薬力評価
試験目的:
スコポラミンの皮下注射でマウスにドライアイを誘発し、涙液測定及び角膜蛍光染色スコアで涙液の分泌減少と炎症浸潤を判明できる。しかもモデル作成の初期でモデルが所望の程度に達するかどうかを予測できる。
【0108】
試験設計:
・ 25匹の雌C57BL/6Jマウスの中から20匹を選択し、ProvantisかExcelを用いて体重でランダムに4群に分け、各群は4匹の動物とし、群分け時は試験前の各動物の涙液測定及び角膜蛍光染色スコアを参照した。
・ 試験1~12日目で、毎日にスコポラミン臭化水素酸塩を4回皮下注射(3±0.5h)してドライアイマウスモデルを作成し、0.1mL/匹/回とした。
・ 試験1~13日目で、毎日に動物に4回両目点眼投与(3±0.5h)し、3μL/目(13日目、群1は投与なし)。毎回のスコポラミン臭化水素酸塩皮下注射は点眼投与前に行われた(7日目及び12日目は測定のため適用外)。
【0109】
モデル作成前に、7日目及び12日目に全ての実験動物に涙液測定、角膜蛍光染色評点を行った。
【0110】
角膜蛍光染色評点基準:動物の角膜を5つのエリアに分け、それぞれが上エリア、下エリア、鼻側エリア、側頭側エリア及び中央エリアで、各エリアは0~3点で評点し、各エリアを評点して、片目のスコアは5つのエリアの点数の和であった。0点は染色なし、1点は軽微な染色で、点状で数量が5つ未満、2点は中程度の染色で、点状で斑状の染色なし、3点は高度の染色で明らかな斑状蛍光有り。
【0111】
7日目及び12日目の全ての実験動物に対する涙液測定は2回目の投与から30分間後に行い、7日目及び12日目の全ての実験動物に対する角膜蛍光染色評点は3回目の投与から30分間後に行った。
【0112】
【表8】
【0113】
結論:本実験の条件下で、全ての被験化合物が涙液の分泌及び角膜の炎症を改善しており、ドライアイの軽減効果が認められた。
図1
図2
図3