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特許7165333造形装置、粉末除去装置および粉末除去方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-26
(45)【発行日】2022-11-04
(54)【発明の名称】造形装置、粉末除去装置および粉末除去方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/35 20170101AFI20221027BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20221027BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20221027BHJP
   B33Y 40/20 20200101ALI20221027BHJP
   B29C 64/307 20170101ALI20221027BHJP
   B29C 64/357 20170101ALI20221027BHJP
   B22F 10/73 20210101ALI20221027BHJP
   B22F 12/80 20210101ALI20221027BHJP
【FI】
B29C64/35
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y40/20
B29C64/307
B29C64/357
B22F10/73
B22F12/80
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020508877
(86)(22)【出願日】2018-03-30
(86)【国際出願番号】 JP2018013884
(87)【国際公開番号】W WO2019187109
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2021-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】391064429
【氏名又は名称】シーメット株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】514227988
【氏名又は名称】技術研究組合次世代3D積層造形技術総合開発機構
(74)【代理人】
【識別番号】100134430
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 卓士
(72)【発明者】
【氏名】宮野 英昭
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 裕機人
【審査官】▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-106319(JP,A)
【文献】特開2002-205338(JP,A)
【文献】特表2017-538038(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0084814(US,A1)
【文献】特開2005-089863(JP,A)
【文献】特表2009-538226(JP,A)
【文献】特開2017-214627(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00-64/40
B33Y 10/00-99/00
B22F 10/00-12/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末材料を使用する造形装置において、造形タンクに供給されたが造形物の形成に使用されなかった未結合粉末材料を除去する粉末除去装置であって、
前記造形タンクから供給された前記未結合粉末材料を一時的に貯蔵する第1貯蔵部および第2貯蔵部と、
前記第1貯蔵部と前記第2貯蔵部とに接続されて、前記未結合粉末材料を排出する開状態と前記未結合粉末材料を排出しない閉状態との間でを切り替え可能なバルブ部と、
前記バルブ部を制御することにより、前記未結合粉末材料の排出元を前記第1貯蔵部と前記第2貯蔵部との間で切り替える切替スイッチ部と、
前記切替スイッチ部によって切り替えられた前記未結合粉末材料の前記排出元が前記第1貯蔵部であるか前記第2貯蔵部であるかを、識別可能に表示するインジケータと、
を備える粉末除去装置。
【請求項2】
前記切替スイッチ部は、
前記第1貯蔵部に配置された第1切替スイッチと、
前記第2貯蔵部に配置された第2切替スイッチと、
を含み、
前記第1切替スイッチおよび前記第2切替スイッチのいずれからも前記バルブ部の前記開状態と前記閉状態とが制御される請求項1に記載の粉末除去装置。
【請求項3】
前記バルブ部は、
前記第1貯蔵部に接続されて、前記未結合粉末材料を排出する開状態と前記未結合粉末材料を排出しない閉状態との間でを切り替え可能な第1バルブと、
前記第2貯蔵部に接続されて、前記未結合粉末材料を排出する開状態と前記未結合粉末材料を排出しない閉状態との間でを切り替え可能な第2バルブと、
を含む請求項2に記載の粉末除去装置。
【請求項4】
前記造形タンクから供給される前記未結合粉末材料を一時的に貯蔵する第3貯蔵部をさらに備え、
前記バルブ部は、前記第1貯蔵部と前記第2貯蔵部と前記第3貯蔵部とに接続されて、前記未結合粉末材料を排出する開状態と前記未結合粉末材料を排出しない閉状態との間で切り替え可能であり、
前記切替スイッチ部は、前記バルブ部を制御することにより、前記未結合粉末材料の排出元を前記1貯蔵部と前記第2貯蔵部と前記第3貯蔵部との間で切り替える請求項1に記載の粉末除去装置。
【請求項5】
粉末材料を使用する造形装置において、造形タンクに供給されたが造形物の形成に使用されなかった未結合粉末材料を除去する粉末除去装置であって、
前記造形タンクから供給された前記未結合粉末材料を一時的に貯蔵する第1貯蔵部および第2貯蔵部と、
前記第1貯蔵部と前記第2貯蔵部とに接続されて、前記未結合粉末材料を排出する開状態と前記未結合粉末材料を排出しない閉状態との間でを切り替え可能なバルブ部と、
前記バルブ部を制御することにより、前記未結合粉末材料の排出元を前記第1貯蔵部と前記第2貯蔵部との間で切り替える切替スイッチ部と、
を備え、
前記切替スイッチ部は、
前記第1貯蔵部に配置され、圧縮空気の出力ポートを切り替える第1手動切替バルブと、
前記第2貯蔵部に配置され、圧縮空気の出力ポートを切り替える第2手動切替バルブと、
を含み、
前記バルブ部は圧空制御型ボールバルブであり、前記第1手動切替バルブおよび前記第2手動切替バルブの前記出力ポートが前記圧空制御型ボールバルブのパイロット入力ポートに接続され、
前記第1手動切替バルブおよび前記第2手動切替バルブのいずれからも、前記圧空制御型ボールバルブを介して、前記第1貯蔵部から前記未結合粉末材料を排出する状態と前記第2貯蔵部から前記未結合粉末材料を排出する状態とが切り替わる粉末除去装置。
【請求項6】
粉末材料を使用する造形装置において、造形タンクに供給されたが造形物の形成に使用されなかった未結合粉末材料を除去する粉末除去装置であって、
前記造形タンクから供給された前記未結合粉末材料を一時的に貯蔵する第1貯蔵部および第2貯蔵部と、
前記第1貯蔵部と前記第2貯蔵部とに接続されて、前記未結合粉末材料を排出する開状態と前記未結合粉末材料を排出しない閉状態との間でを切り替え可能なバルブ部と、
前記バルブ部を制御することにより、前記未結合粉末材料の排出元を前記第1貯蔵部と前記第2貯蔵部との間で切り替える切替スイッチ部と、
を備え、
前記切替スイッチ部は、
前記第1貯蔵部に配置され、圧縮空気の出力ポートを切り替える第1手動切替バルブと、
前記第2貯蔵部に配置され、圧縮空気の出力ポートを切り替える第2手動切替バルブと、
を含み、
前記バルブ部は、
前記第1貯蔵部からの前記未結合粉末材料の排出を制御するための第1圧空制御型ボールバルブと、
前記第2貯蔵部からの前記未結合粉末材料の排出を制御するための第2圧空制御型ボールバルブと、
を含み、
前記第1手動切替バルブおよび前記第2手動切替バルブの出力ポートが、前記第1圧空制御型ボールバルブおよび前記第2圧空制御型ボールバルブのパイロット入力ポートに接続され、
前記第1手動切替バルブおよび前記第2手動切替バルブのいずれからも、前記第1貯蔵部から前記第1圧空制御型ボールバルブを介して前記未結合粉末材料を排出する開状態と前記未結合粉末材料を排出しない閉状態とが切り替わり、かつ、前記第2貯蔵部から前記第2圧空制御型ボールバルブを介して前記未結合粉末材料を排出する開状態と前記未結合粉末材料を排出しない閉状態とが切り替わる粉末除去装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の粉末除去装置を含み、粉末材料を使用する造形装置。
【請求項8】
請求項5に記載の粉末除去装置における粉末除去方法であって、
前記第1手動切替バルブおよび前記第2手動切替バルブの切り替え状態の組み合わせに従って前記圧空制御型ボールバルブを制御して、前記未結合粉末材料の排出元を前記1貯蔵部と前記第2貯蔵部との間で切り替える切替ステップと、
前記切替ステップにおいて切り替えられた前記圧空制御型ボールバルブの開状態と閉状態とに対応して、前記1貯蔵部と前記第2貯蔵部とのいずれかから前記粉末材料を排出する排出ステップと、
を含む粉末除去方法。
【請求項9】
請求項6に記載の粉末除去装置における粉末除去方法であって、
前記第1手動切替バルブおよび前記第2手動切替バルブの切り替え状態の組み合わせに従って前記第1圧空制御型ボールバルブおよび前記第2圧空制御型ボールバルブを制御して、前記未結合粉末材料の排出元を前記1貯蔵部と前記第2貯蔵部との間で切り替える切替ステップと、
前記切替ステップにおいて切り替えられた前記第1圧空制御型ボールバルブの開状態と閉状態および前記第2圧空制御型ボールバルブの開状態と閉状態に対応して、前記1貯蔵部と前記第2貯蔵部とのいずれかから前記粉末材料を排出する排出ステップと、
を含む粉末除去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、造形装置において造形物を形成しなかった粉末材料を除去する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
上記技術分野において、特許文献1には、粉末材料を結合させて3次元造形物を積層造形した後に、3次元造形物の周囲から未結合の粉末材料を除去する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-205339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記文献に記載の技術は、送風と吸引とにより、自動的に3次元造形物の周囲から未結合の粉末材料を除去する技術である。このような技術を実現するには大がかりな構成の追加や複雑な制御が必要となり、一般的に、3次元造形物の周囲から造形物を形成しなかった粉末材料を除去する作業の一部は人力に頼っている。すなわち、積層造形された3次元造形物を取りだす際に造形タンク内の造形物を形成しなかった粉末材料を除去する必要があり、造形タンクの周囲に設けられた貯蔵部に造形物を形成しなかった粉末材料を落として、造形タンク外に排出することで除去する。
【0005】
その場合に、粉末除去の作業者が、各貯蔵部の近傍に移動して造形物を形成しなかった粉末材料をそれぞれ排出して除去する必要がある。しかし、作業者は、各貯蔵部のそばに居ながら排出元となる貯蔵部を切り替えることが出来ず、作業効率が悪くなる。また、造形物を形成しなかった粉末材料を吸引して除去する場合、造形物を形成しなかった粉末材料が無い貯蔵部を吸引すると空気を吸い込んで他の貯蔵部からの吸引力が落ちる。
【0006】
本発明の目的は、上述の課題を解決する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る粉末除去装置は、
粉末材料を使用する造形装置において、造形タンクに供給されたが造形物形成に使用されなかった未結合粉末材料を除去する粉末除去装置であって、
前記造形タンクから供給された前記未結合粉末材料を一時的に貯蔵する第1貯蔵部および第2貯蔵部と、
前記第1貯蔵部と前記第2貯蔵部とに接続されて、前記未結合粉末材料を排出する開状態と前記未結合粉末材料を排出しない閉状態との間でを切り替え可能なバルブ部と
前記バルブ制御することにより、前記未結合粉末材料の排出元を前記1貯蔵部と前記第2貯蔵部との間で切り替える切替スイッチと、
前記切替スイッチ部によって切り替えられた前記未結合粉末材料の前記排出元が前記第1貯蔵部であるか前記第2貯蔵部であるかを、識別可能に表示するインジケータと、
を備える。
また、上記目的を達成するため、本発明に係る粉末除去装置は、
粉末材料を使用する造形装置において、造形タンクに供給されたが造形物の形成に使用されなかった未結合粉末材料を除去する粉末除去装置であって、
前記造形タンクから供給された前記未結合粉末材料を一時的に貯蔵する第1貯蔵部および第2貯蔵部と、
前記第1貯蔵部と前記第2貯蔵部とに接続されて、前記未結合粉末材料を排出する開状態と前記未結合粉末材料を排出しない閉状態との間でを切り替え可能なバルブ部と、
前記バルブ部を制御することにより、前記未結合粉末材料の排出元を前記第1貯蔵部と前記第2貯蔵部との間で切り替える切替スイッチ部と、
を備え、
前記切替スイッチ部は、
前記第1貯蔵部に配置され、圧縮空気の出力ポートを切り替える第1手動切替バルブと、
前記第2貯蔵部に配置され、圧縮空気の出力ポートを切り替える第2手動切替バルブと、
を含み、
前記バルブ部は圧空制御型ボールバルブであり、前記第1手動切替バルブおよび前記第2手動切替バルブの前記出力ポートが前記圧空制御型ボールバルブのパイロット入力ポートに接続され、
前記第1手動切替バルブおよび前記第2手動切替バルブのいずれからも、前記圧空制御型ボールバルブを介して、前記第1貯蔵部から前記未結合粉末材料を排出する状態と前記第2貯蔵部から前記未結合粉末材料を排出する状態とが切り替わる。
また、上記目的を達成するため、本発明に係る粉末除去装置は、
粉末材料を使用する造形装置において、造形タンクに供給されたが造形物の形成に使用されなかった未結合粉末材料を除去する粉末除去装置であって、
前記造形タンクから供給された前記未結合粉末材料を一時的に貯蔵する第1貯蔵部および第2貯蔵部と、
前記第1貯蔵部と前記第2貯蔵部とに接続されて、前記未結合粉末材料を排出する開状態と前記未結合粉末材料を排出しない閉状態との間でを切り替え可能なバルブ部と、
前記バルブ部を制御することにより、前記未結合粉末材料の排出元を前記第1貯蔵部と前記第2貯蔵部との間で切り替える切替スイッチ部と、
を備え、
前記切替スイッチ部は、
前記第1貯蔵部に配置され、圧縮空気の出力ポートを切り替える第1手動切替バルブと、
前記第2貯蔵部に配置され、圧縮空気の出力ポートを切り替える第2手動切替バルブと、
を含み、
前記バルブ部は、
前記第1貯蔵部からの前記未結合粉末材料の排出を制御するための第1圧空制御型ボールバルブと、
前記第2貯蔵部からの前記未結合粉末材料の排出を制御するための第2圧空制御型ボールバルブと、
を含み、
前記第1手動切替バルブおよび前記第2手動切替バルブの出力ポートが、前記第1圧空制御型ボールバルブおよび前記第2圧空制御型ボールバルブのパイロット入力ポートに接続され、
前記第1手動切替バルブおよび前記第2手動切替バルブのいずれからも、前記第1貯蔵部から前記第1圧空制御型ボールバルブを介して前記未結合粉末材料を排出する開状態と前記未結合粉末材料を排出しない閉状態とが切り替わり、かつ、前記第2貯蔵部から前記第2圧空制御型ボールバルブを介して前記未結合粉末材料を排出する開状態と前記未結合粉末材料を排出しない閉状態とが切り替わる。
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る造形装置は、
上記粉末除去装置を含み、粉末材料を使用する。
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係る粉末除去方法は、
上記の粉末除去装置における粉末除去方法であって、
前記第1手動切替バルブおよび前記第2手動切替バルブの切り替え状態の組み合わせに従って前記圧空制御型ボールバルブを制御して、前記未結合粉末材料の排出元を前記1貯蔵部と前記第2貯蔵部との間で切り替える切替ステップと、
前記切替ステップにおいて切り替えられた前記圧空制御型ボールバルブの開状態と閉状態とに対応して、前記1貯蔵部と前記第2貯蔵部とのいずれかから前記粉末材料を排出する排出ステップと、
を含む。
また、上記目的を達成するため、本発明に係る粉末除去方法は、
上記の粉末除去装置における粉末除去方法であって、
前記第1手動切替バルブおよび前記第2手動切替バルブの切り替え状態の組み合わせに従って前記第1圧空制御型ボールバルブおよび前記第2圧空制御型ボールバルブを制御して、前記未結合粉末材料の排出元を前記1貯蔵部と前記第2貯蔵部との間で切り替える切替ステップと、
前記切替ステップにおいて切り替えられた前記第1圧空制御型ボールバルブの開状態と閉状態および前記第2圧空制御型ボールバルブの開状態と閉状態に対応して、前記1貯蔵部と前記第2貯蔵部とのいずれかから前記粉末材料を排出する排出ステップと、
を含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、造形物を形成しなかった粉末材料を各貯蔵部から除去する作業を、簡単な構成で効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1実施形態に係る粉末除去装置の構成を示すブロック図である。
図2】本発明の第2実施形態に係る粉末除去装置の構成と粉末除去処理の概要とを示す図である。
図3】本発明の第2実施形態に係る粉末除去装置に使用されるバルブの対応表を示す図である。
図4A】本発明の第2実施形態に係る4ポート手動切替バルブの構成例を示す図である。
図4B】本発明の第2実施形態に係る圧空制御型ボールバルブの構成例を示す図である。
図5】本発明の第3実施形態に係る粉末除去装置の構成を示す図である。
図6】本発明の第3実施形態に係る粉末除去装置に使用されるバルブの対応表を示す図である。
図7】本発明の第4実施形態に係る粉末除去装置の構成を示す図である。
図8】本発明の第4実施形態に係る圧空制御型ボールバルブの構成例を示す図である。
図9】本発明の第5実施形態に係る粉末除去装置の構成を示す図である。
図10】本発明の第5実施形態に係る粉末除去装置に使用されるエアインジケータの対応表を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態について例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施の形態に記載されている構成要素は単なる例示であり、本発明の技術範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。なお、本明細書において「造形タンク」とは、造形物が形成される容器を実質的に意味しており、例えば、造形テーブルおよび造形テーブルを包囲するように設けられるタンク壁を含む容器をさす。
【0013】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態としての粉末除去装置100について、図1を用いて説明する。粉末除去装置100は、粉末材料を使用する造形装置において粉末材料を除去する装置である。
【0014】
図1に示すように、粉末除去装置100は、貯蔵部101および貯蔵部102と、切替スイッチ103と、を含む。貯蔵部101および貯蔵部102は、造形タンク110の周囲にあって、造形物を形成しなかった粉末材料を一時的に貯蔵する。切替スイッチ103は、開状態と閉状態とを有するバルブ131を含み、バルブ131の状態を切り替えることにより、一時的に貯蔵された粉末材料の排出元を貯蔵部101と貯蔵部102との間で切り替える。
【0015】
本実施形態によれば、簡単な操作で粉末材料を除去する貯蔵部を切り替えられるので、造形物を形成しなかった粉末材料を貯蔵部から除去する作業を、簡単な構成で効率的に行うことができる。
【0016】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る粉末除去装置について説明する。本実施形態に係る粉末除去装置は、2個所の貯蔵部から簡単な操作で効率的な粉末材料の除去を行う。
【0017】
《粉末除去装置の構成と粉末除去処理の概要》
図2は、本実施形態に係る粉末除去装置200の構成と粉末除去処理の概要とを示す図である。
【0018】
図2において、粉末除去装置200の状態210は、造形装置において3次元造形物211の積層造形処理が完了した状態を示している。3次元造形物211は周囲を造形物を形成しなかった材料212および213により囲まれている。3次元造形物211を積層造形する造形タンク231の両側には、造形物を形成しなかった材料212および213を落として集めるための貯蔵部222、223が備えられている。そして、貯蔵部222、223に集められた粉末材料は、圧空制御型ボールバルブ203と204とでバルブの開閉を制御されて、吸引装置208の吸引力により片方ずつ吸引される。なお、紙面前後にも3次元造形物211の間や内部にも造形物を形成しなかった材料があるが、図2では簡略化されている。
【0019】
粉末除去装置200の状態220および230は、粉末除去の作業者が貯蔵部222側の作業者206のみである場合を例に示す。しかし、貯蔵部222側の作業者206と、貯蔵部223側の作業者207との2人であってもよい。
【0020】
粉末除去装置200の状態220は、3次元造形物211の周囲にある造形物を形成しなかった粉末材料212および213が落とされて、貯蔵部222、223に集められた状態を示している。そして、状態220では、それぞれの貯蔵部222、223に手元(近傍)に配置された4ポート手動切替バルブ201および202によりコンプレッサ205の圧空が制御されて、圧空制御型ボールバルブ203および204のパイロット入力ポートに入力される。そのため、圧空制御型ボールバルブ203が開の状態、圧空制御型ボールバルブ204が閉の状態になっている。この結果、貯蔵部222内の粉末材料212が吸引される。一方、貯蔵部223内の粉末材料は圧空制御型ボールバルブ204により吸引を止められている。
【0021】
粉末除去装置200の状態230は、貯蔵部222側の作業者206が4ポート手動切替バルブ201を切り替えることにより、圧空制御型ボールバルブ203および204のパイロット入力ポートの入力が変化する。そのため、圧空制御型ボールバルブ203が閉の状態、圧空制御型ボールバルブ204が開の状態になっている。この結果、貯蔵部223内の粉末材料213が吸引される。なお、状態220と状態230とは、逆であってもよい。
【0022】
粉末除去装置200の状態240および250は、粉末除去の作業者が貯蔵部223側の作業者207のみである場合を例に示す。しかし、貯蔵部222側の作業者206と、貯蔵部223側の作業者207との2人であってもよい。
【0023】
粉末除去装置200の状態240では、状態220と同様に、それぞれの貯蔵部222、223に手元(近傍)に配置された4ポート手動切替バルブ201および202によりコンプレッサ205の圧空が制御されて、圧空制御型ボールバルブ203および204のパイロット入力ポートに入力される。そのため、圧空制御型ボールバルブ203が開の状態、圧空制御型ボールバルブ204が閉の状態になっている。この結果、貯蔵部222内の粉末材料212が吸引される。一方、貯蔵部223内の粉末材料は圧空制御型ボールバルブ204により吸引を止められている。
【0024】
粉末除去装置200の状態250は、貯蔵部223側の作業者207が4ポート手動切替バルブ201を切り替えることにより、圧空制御型ボールバルブ203および204のパイロット入力ポートの入力が変化する。そのため、圧空制御型ボールバルブ203が閉の状態、圧空制御型ボールバルブ204が開の状態になっている。この結果、貯蔵部223内の粉末材料213が吸引される。なお、状態240と状態250とは、逆であってもよい。
【0025】
(バルブの対応表)
図3は、本実施形態に係る粉末除去装置200に使用されるバルブ201~204の対応表300を示す図である。
【0026】
図3の対応表300は、4ポート手動切替バルブ201、202の切替状態と、圧空制御型ボールバルブ203、204の開状態(O:オープン)/閉状態(C:クローズ)との関係を示している。図3において、実線は圧空の流れを示し、破線は大気開放の流れを示している。そして、表301は4ポート手動切替バルブ201、202の状態を示し、表302は、表301の状態に対応付けた圧空制御型ボールバルブ203、204の開閉状態を示している。
【0027】
なお、4ポート手動切替バルブ201、202において、2入力ポートはPとRとで示し、2出力ポートはAとBとで示す。4ポート手動切替バルブ201、202においては、手動により、入力ポートPを出力ポートAに接続し、入力ポートRを出力ポートBに接続する状態と、入力ポートPを出力ポートBに接続し、入力ポートRを出力ポートAに接続する状態と、が切り替えられる。本実施形態においては、4ポート手動切替バルブ201の出力ポートAは4ポート手動切替バルブ202の入力ポートPに接続され、4ポート手動切替バルブ201の出力ポートBは4ポート手動切替バルブ202の入力ポートRに接続されている。
【0028】
また、圧空制御型ボールバルブ203、204においては、4ポート手動切替バルブ202の2出力ポートA、Bが、圧空制御型ボールバルブ203の開閉状態と、圧空制御型ボールバルブ204の開閉状態が相反するように、圧空制御型ボールバルブ203、204の2パイロット入力ポートOとCとにそれぞれ接続される。本実施形態においては、4ポート手動切替バルブ202の出力ポートAが圧空制御型ボールバルブ203のパイロット入力ポートCと圧空制御型ボールバルブ204のパイロット入力ポートOとに接続される。また、4ポート手動切替バルブ202の出力ポートBが圧空制御型ボールバルブ203のパイロット入力ポートOと圧空制御型ボールバルブ204のパイロット入力ポートCとに接続されている。
【0029】
状態310は、4ポート手動切替バルブ201、202が共に入力ポートPと出力ポートAとが接続された状態であり、圧空制御型ボールバルブ203が閉状態(C)であり圧空制御型ボールバルブ204が開状態(O)であることを示している。また、状態320は、4ポート手動切替バルブ201では入力ポートPと出力ポートAとが接続され、4ポート手動切替バルブ202では入力ポートPと出力ポートBとが接続された状態である。その結果、圧空制御型ボールバルブ203が開状態(O)であり圧空制御型ボールバルブ204が閉状態(C)であることを示している。また、状態330は、4ポート手動切替バルブ201では入力ポートPと出力ポートBとが接続され、4ポート手動切替バルブ202では入力ポートPと出力ポートAとが接続された状態である。その結果、圧空制御型ボールバルブ203が開状態(O)であり圧空制御型ボールバルブ204が閉状態(C)であることを示している。そして、状態340は、4ポート手動切替バルブ201、202が共に入力ポートPと出力ポートBとが接続された状態であり、圧空制御型ボールバルブ203が閉状態(C)であり圧空制御型ボールバルブ204が開状態(O)であることを示している。
【0030】
(手動切替バルブ)
図4Aは、本実施形態に係る4ポート手動切替バルブ201、202の構成例を示す図である。なお、図4Aの構成はその一例であって、4ポート手動切替バルブ201、202の構成は図4Aに限定されない。例えば、入力ポートR1とR2とを有する5ポート手動切替バルブを4ポートとして使用することもできる。また、4ポート手動切替バルブ201と202とは同じ構成であっても異なる構成であってもよい。
【0031】
図4Aの切替状態411は、4ポート手動切替バルブ201、202の入力ポートPと出力ポートAとが接続され、入力ポートRと出力ポートBとが接続された状態である。図4Aの切替状態412は、4ポート手動切替バルブ201、202の入力ポートPと出力ポートBとが接続され、入力ポートRと出力ポートAとが接続された状態である。
【0032】
(ボールバルブ)
図4Bは、本実施形態に係る圧空制御型ボールバルブ203、204の構成例を示す図である。なお、図4Bの構成はその一例であって、圧空制御型ボールバルブ203、204の構成は図4Bに限定されない。例えば、パイロットのエアー入力が両側に設定されて、圧空により左右に移動する2つのピストンがある構成であってもよい。また、圧空制御型ボールバルブ203と204とは同じ構成であっても異なる構成であってもよい。
【0033】
図4Bの切替状態421は、圧空制御型ボールバルブ203、204の入力ポートOに圧空(エアー)が入力され、入力ポートCが大気開放された状態であり、ボールバルブは開状態である。図4Bの切替状態422は、圧空制御型ボールバルブ203、204の入力ポートCに圧空(エアー)が入力され、入力ポートOが大気開放された状態であり、ボールバルブは閉状態である。
【0034】
本実施形態によれば、2つの手動切替バルブの操作を組み合わせてボールバルブを制御して粉末材料を除去する貯蔵部を切り替えられるので、造形物を形成しなかった粉末材料を貯蔵部から除去する作業を、簡単な構成で効率的に行うことができる。
【0035】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る粉末除去装置について説明する。本実施形態に係る粉末除去装置は、上記第2実施形態と比べると、3個所の貯蔵部から粉末材料を除去する点で異なる。その他の構成および動作は、第2実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。なお、本実施形態においては、3個所目の貯蔵部からの粉末材料の除去制御は、第2実施形態の構成および動作に簡単な構成を付加することで実現した。さらに、3個所の貯蔵部の近傍にそれぞれ3ステート手動切替バルブを配置して、3個所の貯蔵部からの粉末除去を切り替える構成も可能であるが、煩雑であるのでその説明は省略する。
【0036】
《粉末除去装置の構成》
図5は、本実施形態に係る粉末除去装置500の構成を示す図である。なお、図5において、図2と同様の構成要素には同じ参照番号を付して、重複する説明は省略する。
【0037】
図5においては、3個所目の貯蔵部524と、貯蔵部524の近傍に配置された作業者506が操作する4ポート手動切替バルブ503と、圧空制御型ボールバルブ504および505と、をさらに備える。4ポート手動切替バルブ503の入力ポートPには、コンプレッサ205からの圧空が入力され、入力ポートPは大気開放である。圧空制御型ボールバルブ504は、3個所目の貯蔵部524から粉末材料を吸引するバルブに配置され、開閉状態を切り替えて3個所目の貯蔵部524からの吸引を制御する。圧空制御型ボールバルブ505は、貯蔵部222および223から粉末材料を吸引するバルブに配置され、開閉状態を切り替えて貯蔵部222および223からの吸引を制御する。
【0038】
圧空制御型ボールバルブ504と505との2パイロット入力ポートOとCとは、開閉状態が相反するように、4ポート手動切替バルブ503の2出力ポートA、Bと接続される。すなわち、図5の接続においては、4ポート手動切替バルブ503において入力ポートPの圧空が出力ポートAに出力されると、圧空制御型ボールバルブ504が開状態(O)となり、圧空制御型ボールバルブ505が閉状態(C)となる。その結果、3個所目の貯蔵部524の粉末材料が吸引され除去される。一方、4ポート手動切替バルブ503において入力ポートPの圧空が出力ポートBに出力されると、圧空制御型ボールバルブ504が閉状態(C)となり、圧空制御型ボールバルブ505が開状態(O)となる。その結果、2つの貯蔵部222と223とのいずれかの粉末材料が、4ポート手動切替バルブ201と202との状態の組合せに従って吸引され除去される。
【0039】
(バルブの対応表)
図6は、本実施形態に係る粉末除去装置500に使用されるバルブ503~505の対応表600を示す図である。
【0040】
図6の対応表600は、4ポート手動切替バルブ503の切替状態と、圧空制御型ボールバルブ504、505の開状態(O:オープン)/閉状態(C:クローズ)との関係を示している。図6において、実線は圧空の流れを示し、破線は大気開放の流れを示している。そして、表601は4ポート手動切替バルブ503の状態を示し、表602は、表601の状態に対応付けた圧空制御型ボールバルブ504、505の開閉状態を示している。
【0041】
なお、圧空制御型ボールバルブ504、505においては、4ポート手動切替バルブ202の2出力ポートA、Bが、圧空制御型ボールバルブ504の開閉状態と、圧空制御型ボールバルブ505の開閉状態が相反するように、圧空制御型ボールバルブ504、505の2パイロット入力ポートOとCとにそれぞれ接続される。本実施形態においては、4ポート手動切替バルブ503の出力ポートAが圧空制御型ボールバルブ505のパイロット入力ポートCと圧空制御型ボールバルブ504のパイロット入力ポートOとに接続される。また、4ポート手動切替バルブ503の出力ポートBが圧空制御型ボールバルブ505のパイロット入力ポートOと圧空制御型ボールバルブ504のパイロット入力ポートCとに接続されている。
【0042】
状態610は、4ポート手動切替バルブ503の入力ポートPと出力ポートAとが接続された状態であり、圧空制御型ボールバルブ505が閉状態(C)であり圧空制御型ボールバルブ504が開状態(O)であることを示している。また、状態620は、4ポート手動切替バルブ503の入力ポートPと出力ポートBとが接続された状態であり、圧空制御型ボールバルブ505が開状態(O)であり圧空制御型ボールバルブ504が閉状態(C)であることを示している。
【0043】
なお、貯蔵部222および223からの吸引の制御は、図3の対応表300と同様である。
【0044】
本実施形態によれば、3個所の貯蔵部から粉末材料を除去する場合においても、3つの手動切替バルブの操作を組み合わせてボールバルブを制御して粉末材料を除去する貯蔵部を切り替えられるので、造形物を形成しなかった粉末材料を貯蔵部から除去する作業を、簡単な構成で効率的に行うことができる。
【0045】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態に係る粉末除去装置について説明する。本実施形態に係る粉末除去装置は、上記第2実施形態および第3実施形態と比べると、1つのボールバルブで複数の貯蔵部からの粉末材料の除去を制御する点で異なる。すなわち、第2実施形態においては、2つの貯蔵部222、223からの粉末材料の除去の切替を、それぞれのバルブに挿入された2つの圧空制御型ボールバルブ203、204の制御で行っていたが、本実施形態では、1つの圧空制御型ボールバルブで実現する。その他の構成および動作は、第2実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0046】
《粉末除去装置の構成》
図7は、本実施形態に係る粉末除去装置700の構成を示す図である。なお、図7において、図2と同様の構成要素には同じ参照番号を付して、重複する説明は省略する。
【0047】
図7においては、第2実施形態の2つの圧空制御型ボールバルブ203、204の代わりに、2つの貯蔵部に向かう2つのバルブの結合部に1つの圧空制御型ボールバルブ703を設ける。圧空制御型ボールバルブ703は、吸入バルブと2つの貯蔵部に向かう2つのバルブとの接続が切り替えられるように、ボール内に曲線状の主バルブが形成されている。
【0048】
図7において、コンプレッサ205からの圧空が、4ポート手動切替バルブ201の入力ポートPから4ポート手動切替バルブ202の出力ポートAに出力されるように4ポート手動切替バルブ201と202とが設定されているとする。その場合、圧空制御型ボールバルブ703の入力ポートO2に圧空が入力され、破線矢印で示すように貯蔵部223からの粉末材料が吸引され除去される。一方、コンプレッサ205からの圧空が、4ポート手動切替バルブ201の入力ポートPから4ポート手動切替バルブ202の出力ポートBに出力されるように4ポート手動切替バルブ201と202とが設定されているとする。その場合、圧空制御型ボールバルブ703の入力ポートO1に圧空が入力され、実線矢印で示すように貯蔵部222からの粉末材料が吸引され除去される。
【0049】
(ボールバルブ)
図8は、本実施形態に係る圧空制御型ボールバルブ703の構成例を示す図である。なお、図8の構成はその一例であって、圧空制御型ボールバルブ703の構成は図8に限定されない。例えば、パイロットのエアー入力が両側に設定されて、圧空により左右に移動する2つのピストンがある構成であってもよい。
【0050】
図8の切替状態801は、圧空制御型ボールバルブ703の入力ポートO1に圧空(エアー)が入力され、入力ポートO2が大気開放された状態であり、太線矢印で示すように、ボールバルブは左方のバルブに開状態であり、右方のバルブに閉状態である。図8の切替状態802は、圧空制御型ボールバルブ703の入力ポートO2に圧空(エアー)が入力され、入力ポートO1が大気開放された状態であり、太線矢印で示すように、ボールバルブは左方のバルブに閉状態であり、右方のバルブに開状態である。
【0051】
本実施形態によれば、手動切替バルブの操作を組み合わせて1つのボールバルブを制御して粉末材料を除去する貯蔵部を切り替えられるので、造形物を形成しなかった粉末材料を貯蔵部から除去する作業を、より簡単な構成で効率的に行うことができる。
【0052】
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態に係る粉末除去装置について説明する。本実施形態に係る粉末除去装置は、上記第2実施形態乃至第4実施形態と比べると、粉末材料を除去している貯蔵部を認識可能に表示する点で異なる。その他の構成および動作は、第2実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0053】
《粉末除去装置の構成》
図9は、本実施形態に係る粉末除去装置900の構成を示す図である。なお、図9において、図2と同様の構成要素には同じ参照番号を付して、重複する説明を省略する。
【0054】
図9には、4ポート手動切替バルブ201、202に対応付けて配置され、粉末材料が吸引されている貯蔵部222、223を圧空により認識可能に表示するエアインジケータ911、912、921、922がさらに備えられている。エアインジケータ911、912、921、922は、圧空が入力された場合と大気開放の場合とで異なる色を表示する器具である。本実施形態では、貯蔵部222の粉末材料を吸引していることを示すエアインジケータ911、921に、大気開放の場合は黒を表示し、圧空が入力された場合に赤を表示する器具を使用した。また、貯蔵部223の粉末材料を吸引していることを示すエアインジケータ912、922に、大気開放の場合は黒を表示し、圧空が入力された場合に青を表示する器具を使用した。
【0055】
図9において、コンプレッサ205からの圧空が、4ポート手動切替バルブ201の入力ポートPから4ポート手動切替バルブ202の出力ポートAに出力されるように4ポート手動切替バルブ201と202とが設定されているとする。その場合、エアインジケータ912と922とに圧空が提供され、貯蔵部223の粉末材料が吸引されている状態を青色で表示する。一方、コンプレッサ205からの圧空が、4ポート手動切替バルブ201の入力ポートPから4ポート手動切替バルブ202の出力ポートBに出力されるように4ポート手動切替バルブ201と202とが設定されているとする。その場合、エアインジケータ911と921とに圧空が提供され、貯蔵部222の粉末材料が吸引されている状態を赤色で表示する。圧空が提供されていないエアインジケータ911、912、921、922は、表示が黒である。
【0056】
なお、上記エアインジケータ911、912、921、922の表示色は本実施形態に限定されない。粉末材料が吸引されている貯蔵部を作業者が容易に認識できるように選択されればよい。
【0057】
(エアインジケータの対応表)
図10は、本実施形態に係る粉末除去装置900に使用されるエアインジケータ911、912、921、922の対応表1000を示す図である。なお、図10において、図3と同様の表には同じ参照番号を付して、重複する説明を省略する。
【0058】
図10の対応表1000は、4ポート手動切替バルブ201、202の状態を示した表301と、表301の状態に対応付けた圧空制御型ボールバルブ203、204の開閉状態を示している表302とに対応付けて、エアインジケータ911、912、921、922の表示色を示している。
【0059】
本実施形態によれば、粉末材料を除去している貯蔵部を作業者が認識可能となるので、造形物を形成しなかった粉末材料を貯蔵部から除去する作業をより効率的に行うことができる。
【0060】
[他の実施形態]
なお、上記実施形態においては、切替スイッチとして、圧空により制御される4ポート手動切替バルブや圧空制御型ボールバルブを使用した例を示したが、電気的な切替スイッチや電気的なオンオフバルブなどを使用しても、本発明は構成でき同様の効果を奏する。また、本発明で使用される粉末材料は、砂材料や樹脂材料あるいは金属材料であっても、同様の効果を奏する。また、上記実施形態においては、造形物を形成しなかった粉末材料を吸引によって貯蔵部から排出させたが、粉末材料を押出によって貯蔵部から排出させる構成であってもよい。
【0061】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。また、それぞれの実施形態に含まれる別々の特徴を如何様に組み合わせたシステムまたは装置も、本発明の範疇に含まれる。また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用されてもよいし、単体の装置に適用されてもよい。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10