(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-26
(45)【発行日】2022-11-04
(54)【発明の名称】積層造形システム、粉末再利用装置、粉末再利用方法および粉末再利用プログラム
(51)【国際特許分類】
B29C 64/357 20170101AFI20221027BHJP
B22F 12/58 20210101ALI20221027BHJP
B22F 10/70 20210101ALI20221027BHJP
B29C 64/393 20170101ALI20221027BHJP
B29C 64/153 20170101ALI20221027BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20221027BHJP
B33Y 50/02 20150101ALI20221027BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20221027BHJP
【FI】
B29C64/357
B22F12/58
B22F10/70
B29C64/393
B29C64/153
B33Y30/00
B33Y50/02
B33Y10/00
(21)【出願番号】P 2020508880
(86)(22)【出願日】2018-03-30
(86)【国際出願番号】 JP2018013887
(87)【国際公開番号】W WO2019187112
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2021-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】391064429
【氏名又は名称】シーメット株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】514227988
【氏名又は名称】技術研究組合次世代3D積層造形技術総合開発機構
(74)【代理人】
【識別番号】100134430
【氏名又は名称】加藤 卓士
(72)【発明者】
【氏名】宮野 英昭
(72)【発明者】
【氏名】大場 好一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 幸吉
(72)【発明者】
【氏名】諏訪 光範
【審査官】▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-205338(JP,A)
【文献】特開2006-248231(JP,A)
【文献】特開2016-117947(JP,A)
【文献】特開2017-214627(JP,A)
【文献】特開2002-248691(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 10/00-12/90
B29C 64/00-64/40
B33Y 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層造形を行う造形テーブルの周囲に設けられ、積層造形中に前記造形テーブルから除かれた粉末材料を一時的に貯蔵する貯蔵部と、
前記貯蔵部に粉末材料が貯蔵されていることを検知する検知部と、
前記検知部で前記粉末材料が検知された場合に、前記貯蔵部に貯蔵された粉末材料を回収する回収部と、
前記回収部が回収した回収粉末材料を、前記造形テーブル上にリコートするためのリコータに供給する供給部と、
を備え、
前記供給部は、前記造形テーブルに供給されていない未使用粉末材料と、前記回収粉末材料とを混合する混合部を含み、
前記混合部は、
前記未使用粉末材料と前記回収粉末材料とを混合するホッパーと、
前記ホッパーから供給された混合粉末材料を蓄積し、少なくとも1つの造形物を製造する間は、さらなる供給を受けない粉末タンクと、
を含む粉末再利用装置。
【請求項2】
積層造形を行う造形テーブルの周囲に設けられ、積層造形中に前記造形テーブルから除かれた粉末材料を一時的に貯蔵する貯蔵部と、
前記貯蔵部に粉末材料が貯蔵されていることを検知する検知部と、
前記検知部で前記粉末材料が検知された場合に、前記貯蔵部に貯蔵された粉末材料を回収する回収部と、
前記回収部が回収した回収粉末材料を、前記造形テーブル上にリコートするためのリコータに供給する供給部と、
を備え、
前記供給部は、
前記造形テーブルに供給されていない未使用粉末材料と、前記回収粉末材料とを混合する混合部と、
前記未使用粉末材料を吸引する第1吸引部を用いて前記混合部へ前記未使用粉末材料を供給するタイミングと、
前記回収粉末材料を前記貯蔵部から吸引する第2吸引部を用いて前記
貯蔵部から前記混合部へ前記回収粉末材料を供給するタイミングと
を、前記第1吸引部の吸引能力と前記第2吸引部の吸引能力
とに基づく吸引パターンに従って制御する制御部と、
を有する粉末再利用装置。
【請求項3】
積層造形を行う造形テーブルの周囲に設けられ、積層造形中に前記造形テーブルから除かれた粉末材料を一時的に貯蔵する貯蔵部と、
前記貯蔵部に粉末材料が貯蔵されていることを検知する検知部と、
前記検知部で前記粉末材料が検知された場合に、前記貯蔵部に貯蔵された粉末材料を回収する回収部と、
前記回収部が回収した回収粉末材料を、前記造形テーブル上にリコートするためのリコータに供給する供給部と、
を備え、
前記供給部は、
前記造形テーブルに供給されていない未使用粉末材料と、前記回収粉末材料とを混合する混合部と、
前記混合部に貯蔵された混合粉末材料の量を検出する粉末量検出部と、
前記検知部の検知結果および前記粉末量検出部が検出した粉末量に基づいて、
前記未使用粉末材料を吸引する第1吸引部を用いて前記混合部へ前記未使用粉末材料を供給するタイミングおよび
前記未使用粉末材料を吸引する吸引時間と、
前記回収粉末材料を前記貯蔵部から吸引する第2吸引部を用いて前記
貯蔵部から前記混合部へ前記回収粉末材料を供給するタイミングおよび
前記回収粉末材料を前記貯蔵部から吸引する吸引時間と、を制御する制御部と、
を有する粉末再利用装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の粉末再利用装置を有し、回収した粉末材料を用いて積層造形を行う積層造形システム。
【請求項5】
積層造形を行う造形テーブルの周囲に設けられ、積層造形中に前記造形テーブルから除かれた粉末材料を一時的に貯蔵する貯蔵部に、粉末材料が貯蔵されていることを検知する検知ステップと、
前記検知ステップにおいて前記粉末材料が検知された場合に、前記貯蔵部に貯蔵された粉末材料を回収する回収ステップと、
前記回収ステップにおいて回収した回収粉末材料を、前記造形テーブル上にリコートするためのリコータに供給する供給ステップと、
を含み、
前記供給ステップは、
前記造形テーブルに供給されていない未使用粉末材料と、前記回収粉末材料とを混合部において混合する混合ステップと、
前記未使用粉末材料を吸引する第1吸引部を用いて前記混合部へ前記未使用粉末材料を供給するタイミングと、
前記回収粉末材料を前記貯蔵部から吸引する第2吸引部を用いて前記
貯蔵部から前記混合部へ前記回収粉末材料を供給するタイミングと
を、前記第1吸引部の吸引能力と前記第2吸引部の吸引能力
とに基づく吸引パターンに従って制御する制御ステップと、
を含む粉末再利用方法。
【請求項6】
積層造形を行う造形テーブルの周囲に設けられ、積層造形中に前記造形テーブルから除かれた粉末材料を一時的に貯蔵する貯蔵部に、粉末材料が貯蔵されていることを検知する検知ステップと、
前記検知ステップにおいて前記粉末材料が検知された場合に、前記貯蔵部に貯蔵された粉末材料を回収する回収ステップと、
前記回収ステップにおいて回収した回収粉末材料を、前記造形テーブル上にリコートするためのリコータに供給する供給ステップと、
を含み、
前記供給ステップは、
前記造形テーブルに供給されていない未使用粉末材料と、前記回収粉末材料とを混合部において混合する混合ステップと、
前記混合部に貯蔵された混合粉末材料の量を検出する粉末量検出ステップと、
前記検知ステップにおける検知結果および前記粉末量検出ステップにおいて検出した粉末量に基づいて、
前記未使用粉末材料を吸引する第1吸引部を用いて前記混合部へ前記未使用粉末材料を供給するタイミングおよび
前記未使用粉末材料を吸引する吸引時間と、
前記回収粉末材料を前記貯蔵部から吸引する第2吸引部を用いて前記
貯蔵部から前記混合部へ前記回収粉末材料を供給するタイミングおよび
前記回収粉末材料を前記貯蔵部から吸引する吸引時間と、を制御する制御ステップと、
を含む粉末再利用方法。
【請求項7】
積層造形を行う造形テーブルの周囲に設けられ、積層造形中に前記造形テーブルから除かれた粉末材料を一時的に貯蔵する貯蔵部に、粉末材料が貯蔵されていることを検知する検知ステップと、
前記検知ステップにおいて前記粉末材料が検知された場合に、前記貯蔵部に貯蔵された粉末材料を回収する回収ステップと、
前記回収ステップにおいて回収した回収粉末材料を、前記造形テーブル上にリコートするためのリコータに供給する供給ステップと、
をコンピュータに実行させる粉末再利用プログラムであって、
前記供給ステップにおいては、
前記造形テーブルに供給されていない未使用粉末材料と、前記回収粉末材料とを混合部において混合する混合ステップと、
前記検知ステップにおける検知結果に基づいて、
前記未使用粉末材料を吸引する第1吸引部を用いて前記混合部へ前記未使用粉末材料を供給するタイミングと、
前記回収粉末材料を前記貯蔵部から吸引する第2吸引部を用いて前記
貯蔵部から前記混合部へ前記回収粉末材料を供給するタイミングと
を、前記第1吸引部の吸引能力と前記第2吸引部の吸引能力
とに基づく吸引パターンに従って制御する制御ステップと、
をコンピュータに実行させる粉末再利用プログラム。
【請求項8】
積層造形を行う造形テーブルの周囲に設けられ、積層造形中に前記造形テーブルから除かれた粉末材料を一時的に貯蔵する貯蔵部に、粉末材料が貯蔵されていることを検知する検知ステップと、
前記検知ステップにおいて前記粉末材料が検知された場合に、前記貯蔵部に貯蔵された粉末材料を回収する回収ステップと、
前記回収ステップにおいて回収した回収粉末材料を、前記造形テーブル上にリコートするためのリコータに供給する供給ステップと、
をコンピュータに実行させる粉末再利用プログラムであって、
前記供給ステップにおいては、
前記造形テーブルに供給されていない未使用粉末材料と、前記回収粉末材料とを混合部において混合する混合ステップと、
前記混合部に貯蔵された混合粉末材料の量を検出する粉末量検出ステップと、
前記検知ステップにおける検知結果および前記粉末量検出ステップにおいて検出した粉末量に基づいて、
前記未使用粉末材料を吸引する第1吸引部を用いて前記混合部へ前記未使用粉末材料を供給するタイミングおよび
前記未使用粉末材料を吸引する吸引時間と、
前記回収粉末材料を前記貯蔵部から吸引する第2吸引部を用いて前記
貯蔵部から前記混合部へ前記回収粉末材料を供給するタイミングおよび
前記回収粉末材料を前記貯蔵部から吸引する吸引時間と、を制御する制御ステップと、
をコンピュータに実行させる粉末再利用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層造形システムにおいて粉末材料を回収して再利用する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
上記技術分野において、特許文献1には、3次元造形物の積層造形中に材料回収用バケットにブレードでかき出されて落ちてきた不使用材料や非結合材料を吸引装置で吸引して再利用するする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記文献に記載の技術では、左右の材料回収用バケットからの材料の吸引は所定のタイミングで共通に行われ、積層造形中に造形テーブルから除かれた粉末材料の貯蔵の有無を考慮して粉末材料を効率的に再利用することができなかった。
【0005】
本発明の目的は、上述の課題を解決する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る粉末再利用装置は、
積層造形を行う造形テーブルの周囲に設けられ、積層造形中に前記造形テーブルから除かれた粉末材料を一時的に貯蔵する貯蔵部と、
前記貯蔵部に粉末材料が貯蔵されていることを検知する検知部と、
前記検知部で前記粉末材料が検知された場合に、前記貯蔵部に貯蔵された粉末材料を回収する回収部と、
前記回収部が回収した回収粉末材料を、前記造形テーブル上にリコートするためのリコータに供給する供給部と、
を備え、
前記供給部は、前記造形テーブルに供給されていない未使用粉末材料と、前記回収粉末材料とを混合する混合部を含み、
前記混合部は、
前記未使用粉末材料と前記回収粉末材料とを混合するホッパーと、
前記ホッパーから供給された混合粉末材料を蓄積し、少なくとも1つの造形物を製造する間は、さらなる供給を受けない粉末タンクと、
を含む。
また、上記目的を達成するため、本発明に係る粉末再利用装置は、
積層造形を行う造形テーブルの周囲に設けられ、積層造形中に前記造形テーブルから除かれた粉末材料を一時的に貯蔵する貯蔵部と、
前記貯蔵部に粉末材料が貯蔵されていることを検知する検知部と、
前記検知部で前記粉末材料が検知された場合に、前記貯蔵部に貯蔵された粉末材料を回収する回収部と、
前記回収部が回収した回収粉末材料を、前記造形テーブル上にリコートするためのリコータに供給する供給部と、
を備え、
前記供給部は、
前記造形テーブルに供給されていない未使用粉末材料と、前記回収粉末材料とを混合する混合部と、
前記未使用粉末材料を吸引する第1吸引部を用いて前記混合部へ前記未使用粉末材料を供給するタイミングと、前記回収粉末材料を前記貯蔵部から吸引する第2吸引部を用いて前記貯蔵部から前記混合部へ前記回収粉末材料を供給するタイミングとを、前記第1吸引部の吸引能力と前記第2吸引部の吸引能力とに基づく吸引パターンに従って制御する制御部と、
を有する。
また、上記目的を達成するため、本発明に係る粉末再利用装置は、
積層造形を行う造形テーブルの周囲に設けられ、積層造形中に前記造形テーブルから除かれた粉末材料を一時的に貯蔵する貯蔵部と、
前記貯蔵部に粉末材料が貯蔵されていることを検知する検知部と、
前記検知部で前記粉末材料が検知された場合に、前記貯蔵部に貯蔵された粉末材料を回収する回収部と、
前記回収部が回収した回収粉末材料を、前記造形テーブル上にリコートするためのリコータに供給する供給部と、
を備え、
前記供給部は、
前記造形テーブルに供給されていない未使用粉末材料と、前記回収粉末材料とを混合する混合部と、
前記混合部に貯蔵された混合粉末材料の量を検出する粉末量検出部と、
前記検知部の検知結果および前記粉末量検出部が検出した粉末量に基づいて、前記未使用粉末材料を吸引する第1吸引部を用いて前記混合部へ前記未使用粉末材料を供給するタイミングおよび前記未使用粉末材料を吸引する吸引時間と、前記回収粉末材料を前記貯蔵部から吸引する第2吸引部を用いて前記貯蔵部から前記混合部へ前記回収粉末材料を供給するタイミングおよび前記回収粉末材料を前記貯蔵部から吸引する吸引時間と、を制御する制御部と、
を有する。
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る積層造形システムは、
上記粉末再利用装置を有し、回収した粉末材料を用いて積層造形を行う。
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る粉末再利用方法は、
積層造形を行う造形テーブルの周囲に設けられ、積層造形中に前記造形テーブルから除かれた粉末材料を一時的に貯蔵する貯蔵部に、粉末材料が貯蔵されていることを検知する検知ステップと、
前記検知ステップにおいて前記粉末材料が検知された場合に、前記貯蔵部に貯蔵された粉末材料を回収する回収ステップと、
前記回収ステップにおいて回収した回収粉末材料を、前記造形テーブル上にリコートするためのリコータに供給する供給ステップと、
を含み、
前記供給ステップは、
前記造形テーブルに供給されていない未使用粉末材料と、前記回収粉末材料とを混合部において混合する混合ステップと、
前記未使用粉末材料を吸引する第1吸引部を用いて前記混合部へ前記未使用粉末材料を供給するタイミングと、前記回収粉末材料を前記貯蔵部から吸引する第2吸引部を用いて前記貯蔵部から前記混合部へ前記回収粉末材料を供給するタイミングとを、前記第1吸引部の吸引能力と前記第2吸引部の吸引能力とに基づく吸引パターンに従って制御する制御ステップと、
を含む。
また、上記目的を達成するため、本発明に係る粉末再利用方法は、
積層造形を行う造形テーブルの周囲に設けられ、積層造形中に前記造形テーブルから除かれた粉末材料を一時的に貯蔵する貯蔵部に、粉末材料が貯蔵されていることを検知する検知ステップと、
前記検知ステップにおいて前記粉末材料が検知された場合に、前記貯蔵部に貯蔵された粉末材料を回収する回収ステップと、
前記回収ステップにおいて回収した回収粉末材料を、前記造形テーブル上にリコートするためのリコータに供給する供給ステップと、
を含み、
前記供給ステップは、
前記造形テーブルに供給されていない未使用粉末材料と、前記回収粉末材料とを混合部において混合する混合ステップと、
前記混合部に貯蔵された混合粉末材料の量を検出する粉末量検出ステップと、
前記検知ステップにおける検知結果および前記粉末量検出ステップにおいて検出した粉末量に基づいて、前記未使用粉末材料を吸引する第1吸引部を用いて前記混合部へ前記未使用粉末材料を供給するタイミングおよび前記未使用粉末材料を吸引する吸引時間と、前記回収粉末材料を前記貯蔵部から吸引する第2吸引部を用いて前記貯蔵部から前記混合部へ前記回収粉末材料を供給するタイミングおよび前記回収粉末材料を前記貯蔵部から吸引する吸引時間と、を制御する制御ステップと、
を含む。
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係る粉末再利用プログラムは、
積層造形を行う造形テーブルの周囲に設けられ、積層造形中に前記造形テーブルから除かれた粉末材料を一時的に貯蔵する貯蔵部に、粉末材料が貯蔵されていることを検知する検知ステップと、
前記検知ステップにおいて前記粉末材料が検知された場合に、前記貯蔵部に貯蔵された粉末材料を回収する回収ステップと、
前記回収ステップにおいて回収した回収粉末材料を、前記造形テーブル上にリコートするためのリコータに供給する供給ステップと、
をコンピュータに実行させる粉末再利用プログラムであって、
前記供給ステップにおいては、
前記造形テーブルに供給されていない未使用粉末材料と、前記回収粉末材料とを混合部において混合する混合ステップと、
前記検知ステップにおける検知結果に基づいて、前記未使用粉末材料を吸引する第1吸引部を用いて前記混合部へ前記未使用粉末材料を供給するタイミングと、前記回収粉末材料を前記貯蔵部から吸引する第2吸引部を用いて前記貯蔵部から前記混合部へ前記回収粉末材料を供給するタイミングとを、前記第1吸引部の吸引能力と前記第2吸引部の吸引能力とに基づく吸引パターンに従って制御する制御ステップと、
をコンピュータに実行させる。
また、上記目的を達成するため、本発明に係る粉末再利用プログラムは、
積層造形を行う造形テーブルの周囲に設けられ、積層造形中に前記造形テーブルから除かれた粉末材料を一時的に貯蔵する貯蔵部に、粉末材料が貯蔵されていることを検知する検知ステップと、
前記検知ステップにおいて前記粉末材料が検知された場合に、前記貯蔵部に貯蔵された粉末材料を回収する回収ステップと、
前記回収ステップにおいて回収した回収粉末材料を、前記造形テーブル上にリコートするためのリコータに供給する供給ステップと、
をコンピュータに実行させる粉末再利用プログラムであって、
前記供給ステップにおいては、
前記造形テーブルに供給されていない未使用粉末材料と、前記回収粉末材料とを混合部において混合する混合ステップと、
前記混合部に貯蔵された混合粉末材料の量を検出する粉末量検出ステップと、
前記検知ステップにおける検知結果および前記粉末量検出ステップにおいて検出した粉末量に基づいて、前記未使用粉末材料を吸引する第1吸引部を用いて前記混合部へ前記未使用粉末材料を供給するタイミングおよび前記未使用粉末材料を吸引する吸引時間と、前記回収粉末材料を前記貯蔵部から吸引する第2吸引部を用いて前記貯蔵部から前記混合部へ前記回収粉末材料を供給するタイミングおよび前記回収粉末材料を前記貯蔵部から吸引する吸引時間と、を制御する制御ステップと、
をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、積層造形中に造形テーブルから除かれた粉末材料の貯蔵の有無を考慮して粉末材料を効率的に再利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る粉末再利用装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の第2実施形態に係る粉末再利用装置の構成および動作の概要を示す図である。
【
図3】本発明の第2実施形態に係る粉末再利用装置の再利用制御部を含む積層造形システムの構成を示す図である。
【
図4】本発明の第2実施形態に係る再利用制御部の機能構成を示すブロック図である。
【
図5】本発明の第2実施形態に係る再利用制御部のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図6】本発明の第2実施形態に係る再利用制御部の処理手順を示すフローチャートである。
【
図7】本発明の第3実施形態に係る粉末再利用装置の構成および動作の概要を示す図である。
【
図8】本発明の第4実施形態に係る粉末再利用装置の構成および動作の概要を示す図である。
【
図9】本発明の第5実施形態に係る粉末再利用装置の再利用制御部を含む積層造形システムの構成を示す図である。
【
図10】本発明の第5実施形態に係る再利用制御部の機能構成を示すブロック図である。
【
図11】本発明の第5実施形態に係る吸引パターンテーブルの構成を示すブロック図である。
【
図12】本発明の第5実施形態に係る再利用制御部のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図13】本発明の第5実施形態に係る再利用制御部の処理手順を示すフローチャートである。
【
図14】本発明の第6実施形態に係る再利用制御部の機能構成を示すブロック図である。
【
図15】本発明の第6実施形態に係る吸引制御テーブルの構成を示すブロック図である。
【
図16】本発明の第6実施形態に係る再利用制御部の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態について例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施の形態に記載されている構成要素は単なる例示であり、本発明の技術範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。なお、本明細書において「造形タンク」とは、造形物が形成される容器を実質的に意味しており、例えば、造形テーブルおよび造形テーブルを包囲するように設けられるタンク壁を含む容器をさす
【0013】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態としての粉末再利用装置100について、
図1を用いて説明する。粉末再利用装置100は、粉末材料を使用する積層造形システムにおいて粉末材料を再利用するための装置である。
【0014】
図1に示すように、粉末再利用装置100は、貯蔵部101と、検知部102と、回収部103と、供給部104と、を含む。貯蔵部101は、積層造形を行う造形テーブル110の周囲に設けられ、積層造形中に造形テーブル110から除かれた粉末材料を一時的に貯蔵する。検知部102は、貯蔵部101に粉末材料が貯蔵されていることを検知する。回収部103は、検知部102で粉末材料が検知された場合に、貯蔵部101に貯蔵された粉末材料を回収する。供給部104は、回収部103が回収した粉末材料を、造形テーブル110上にリコートするためのリコータ120に供給する。
【0015】
本実施形態によれば、貯蔵部にある粉末検知部の検知結果に基づいて回収した粉末材料をリコータに提供するので、積層造形中に造形テーブルから除かれた粉末材料の貯蔵の有無を考慮して粉末材料を効率的に再利用することができる。
【0016】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る粉末再利用装置について説明する。本実施形態に係る粉末再利用装置は、造形タンクの両側にあって、積層造形中に造形テーブルから除かれた粉末材料を一時的に貯蔵する貯蔵部から、粉末材料の貯蔵の有無の検出に基づいて、粉末材料を回収して再利用する。
【0017】
《粉末再利用装置の概要》
図2は、本実施形態に係る粉末再利用装置200の構成および動作の概要を示す図である。
【0018】
粉末再利用装置200は、造形タンクである3次元積層造形部210にある不図示のリコータに対しては、造形テーブルに供給されていない未使用の粉末材料が粉末タンク221から吸引部222で吸引されて提供される。そして、3次元積層造形部210の両側(前後あるいは左右)の2個所に、積層造形中に造形テーブルから除かれた粉末材料を一時的に貯蔵する貯蔵部211と貯蔵部212とを有する。
【0019】
この貯蔵部211からは吸引部223により貯蔵された粉末材料が吸引されて、粉末タンク221に回収される。一方、貯蔵部212からは吸引部224により貯蔵された粉末材料が吸引されて、粉末タンク221に回収される。貯蔵部211または212から回収された粉末材料は、サイクロンからなる分離部225において粉末と空気とに分離され、分離された粉末は粉末タンク221に送られ、分離された空気はフィルタ226を通して排気される。本実施形態においては、粉末タンク221が造形テーブルに供給されていない未使用の粉末材料と回収した粉末材料とを混合する混合部として機能する。
【0020】
このように、積層造形中に造形テーブルから除かれた粉末材料、例えば、リコート時にブレードでかき出されて落下し、貯蔵部211や212に貯蔵された場合、積層造形中においても貯蔵部211や212に貯蔵された粉末材料を回収して再利用することができる。
【0021】
《積層造形システムの構成》
図3は、本実施形態に係る粉末再利用装置200の再利用制御部310を含む積層造形システム300の構成を示す図である。なお、
図3において、
図2と同様の構成要素には同じ参照番号を付して、重複する説明を省略する。
【0022】
積層造形システム300は、造形タンクである3次元積層造形部210に、積層造形面に粉末材料を1層分リコートするリコータ311と、リコータ311に粉末材料を充填するためのホッパー312と、を備える。また、貯蔵部211の粉末有無を検出する粉末センサ313と、貯蔵部212の粉末有無を検出する粉末センサ314と、リコータ311でリコートされた粉末材料を結合して3次元造形物を積層造形するための造形部(印刷部)315を備える。本実施形態における粉末センサ313と粉末センサ314が検知部として機能する。
【0023】
そして、積層造形システム300は、貯蔵部211の粉末センサ313の検知結果と、貯蔵部212の粉末センサ314の検知結果と、を入力して、貯蔵部211に貯蔵された粉末の吸引部223の駆動と、貯蔵部212に貯蔵された粉末の吸引部224の駆動と、を制御する。
【0024】
なお、
図3には、粉末材料の再利用に関連する構成要素を図示し、積層造形システム300全体の動作を制御する制御部などは省略されている。
【0025】
《再利用制御部の機能構成》
図4は、本実施形態に係る再利用制御部310の機能構成を示すブロック図である。
【0026】
再利用制御部310は、入出力インタフェース401と、粉末検出部402と、吸引指示部403と、粉末検出部404と、吸引指示部405と、吸引制御部406と、を備える。また、再利用制御部310は、必要であれば、表示部407や操作部408を備えてもよい。さらに、図示しないが、再利用制御部310は、積層造形システムの制御部などとの通信を制御する通信インタフェースを備える。
【0027】
入出力インタフェース401は、貯蔵部211の粉末を検出するための粉末センサ313、貯蔵部211の粉末を吸引して回収する吸引部223、貯蔵部212の粉末を検出するための粉末センサ314、貯蔵部212の粉末を吸引して回収する吸引部224、と接続して、再利用制御部310とのインタフェースを行う。なお、粉末センサ313、314、吸引部223、224は、有線/無線の通信インタフェースにより接続されてもよい。
【0028】
粉末検出部402は、粉末センサ313からの検知信号に基づいて貯蔵部211の粉末を検出して、検出結果を吸引制御部406に通知する。吸引指示部403は、吸引制御部406からの駆動指示を貯蔵部211の吸引部223に指示する。粉末検出部404は、粉末センサ314からの検知信号に基づいて貯蔵部212の粉末を検出して、検出結果を吸引制御部406に通知する。吸引指示部405は、吸引制御部406からの駆動指示を貯蔵部212の吸引部224に指示する。
【0029】
吸引制御部406は、粉末検出部402からの貯蔵部211の粉末検出結果と粉末検出部404からの貯蔵部212の粉末検出結果とを取得して、吸引指示部403と405に対して、吸引部223、224への吸引駆動指示を出力する。本実施形態において、吸引制御部406は、貯蔵部211の粉末検出が有れば吸引部223を駆動し、貯蔵部212の粉末検出が有れば吸引部224を駆動する制御を行うが、それに限定されない。例えば、吸引時間などを設定する駆動指示であってもよい。
【0030】
《再利用制御部のハードウェア構成》
図5は、本実施形態に係る再利用制御部310のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0031】
図5で、CPU510は演算制御用のプロセッサであり、プログラムを実行することで
図4の機能構成部を実現する。CPU(Central Processing Unit)510は1つであっても複数であってもよい。ROM(Read Only Memory)520は、初期データおよびプログラムなどの固定データおよびプログラムを記憶する。通信インタフェース530は、積層造形システムの制御部などとの通信を制御する。
【0032】
RAM(Random Access Memory)540は、CPU510が一時記憶のワークエリアとして使用するランダムアクセスメモリである。RAM540には、本実施形態の実現に必要なデータを記憶する領域が確保されている。粉末貯蔵部211の粉末検出結果541には、粉末貯蔵部211における粉末センサ313による粉末有無が記憶される。吸引部223の駆動指示542には、吸引部223への吸引駆動の指示が記憶される。粉末貯蔵部212の粉末検出結果543には、粉末貯蔵部212における粉末センサ314による粉末有無が記憶される。吸引部224の駆動指示544には、吸引部224への吸引駆動の指示が記憶される。入出力データ545には、入出力インタフェース401を介した入出力機器と入出力するデータが記憶される。送受信データ546には、通信インタフェース530を介して送受信されるデータが記憶される。
【0033】
ストレージ550は、CPU510が使用する、データベースや各種のパラメータ、あるいは本実施形態の実現に必要な以下のデータまたはプログラムが記憶されている。粉末検出閾値551は、粉末センサ313や314が粉末有無を判定するための閾値である。ストレージ550には、以下のプログラムが格納される。再利用制御プログラム552は、本再利用制御部310の全体を制御するプログラムである。粉末検出モジュール553は、粉末貯蔵部211、212の粉末有無を検出するためのモジュールである。吸引部駆動モジュール554は、吸引部223、224を駆動して粉末を吸引するためのモジュールである。
【0034】
入出力インタフェース401は、入出力デバイスとのデータ入出力を制御するためのインタフェースを行なう。本実施形態においては、入出力インタフェース401には、粉末センサ313および314と、吸引部223および224とが接続される。なお、入出力インタフェース401には、表示部407、操作部408、音声出力部などが接続されてもよい。
【0035】
なお、
図5のRAM540やストレージ550には、再利用制御部310が有する汎用の機能や他の実現可能な機能に関連するプログラムやデータは図示されていない。
【0036】
《再利用制御部の処理手順》
図6は、本実施形態に係る再利用制御部310の処理手順を示すフローチャートである。このフローチャートは、
図5のCPU510がRAM540を使用して実行し、
図4の機能構成部を実現する。
【0037】
再利用制御部310は、ステップS611において、貯蔵部211の粉末センサ313からの入力があったか否かを判定する。粉末センサ313からの入力があったと判定すると、再利用制御部310は、ステップS613において、粉末検出閾値551に基づいて貯蔵部211に粉末が有るか否かを判定する。貯蔵部211に粉末が有ると判定された場合、再利用制御部310は、ステップS615において、吸引部223に起動を指示して貯蔵部211から粉末を吸引して回収する。
【0038】
貯蔵部211の粉末センサ313からの入力がないと判定すると、再利用制御部310は、ステップS621において、貯蔵部212の粉末センサ314からの入力があったか否かを判定する。粉末センサ314からの入力があったと判定すると、再利用制御部310は、ステップS623において、粉末検出閾値551に基づいて貯蔵部212に粉末が有るか否かを判定する。貯蔵部212に粉末が有ると判定された場合、再利用制御部310は、ステップS625において、吸引部224に起動を指示して貯蔵部212から粉末を吸引して回収する。
【0039】
本実施形態によれば、造形テーブルの周囲にある貯蔵部から回収された粉末材料と新しい粉末材料とを粉末タンクで混合してリコートに使用するので、積層造形中に造形テーブルから除かれた粉末材料を効率的に再利用することができる。
【0040】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る粉末再利用装置について説明する。本実施形態に係る粉末再利用装置は、上記第2実施形態と比べると、貯蔵部から回収された粉末材料と新しい粉末材料とを粉末タンクの上流に配置されたホッパーで混合する点で異なる。その他の構成および動作は、第2実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0041】
《粉末再利用装置の概要》
図7は、本実施形態に係る粉末再利用装置700の構成および動作の概要を示す図である。なお、
図7において、
図2と同様の構成要素には同じ参照番号を付して、重複する説明を省略する。
【0042】
図7では、粉末材料の流路における粉末タンク221の上流にホッパー721を備える。そして、各貯蔵部211、212から回収された粉末材料は、ホッパー721で新しい粉末材料と混合されて一時貯蔵されてから、所定のタイミングで粉末タンク221に移送される。例えば、1回(1バッチ)の積層造形処理の間、粉末タンク221の粉末材料はホッパー721から補充されずに供給を制御し、1回(1バッチ)の積層造形処理が終了した後に粉末タンク221の粉末材料が設定量になるようホッパー721から補充するよう制御されてよい。本実施形態においては、ホッパー721が造形テーブルに供給されていない未使用の粉末材料と回収した粉末材料とを混合する混合部として機能する。
【0043】
本実施形態によれば、造形テーブルの周囲にある貯蔵部から回収された粉末材料と新しい粉末材料とをホッパーで混合してリコーティングに使用するので、積層造形中に造形テーブルから除かれた粉末材料を効率的に再利用することができる。
【0044】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態に係る粉末再利用装置について説明する。本実施形態に係る粉末再利用装置は、上記第2実施形態および第3実施形態と比べると、1つの吸引部と、各貯蔵部と吸引部との間に挿入された2つの切替バルブとにより、各貯蔵部からの粉末材料の回収を制御する点で異なる。その他の構成および動作は、第2実施形態または第3実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0045】
《粉末再利用装置の概要》
図8は、本実施形態に係る粉末再利用装置800の構成および動作の概要を示す図である。なお、
図8において、
図2と同様の構成要素には同じ参照番号を付して、重複する説明を省略する。
【0046】
図8では、
図2の吸引部223および224を、開状態と閉状態とが切り替えられる切替バルブ823および824に置き換え、その両流路の先に1つの吸引部822を挿入して、
図2の吸引部223および224と同様の回収処理を実現する。なお、切替バルブ823および824は、圧空制御型切替バルブを使用しても電気的なオンオフバルブなどを使用してもよい。
【0047】
本実施形態によれば、1つの吸引部と、各貯蔵部と吸引部との間に挿入された2つの切替バルブとにより、各貯蔵部からの粉末材料の回収を制御するので、簡単な構成で、積層造形中に造形テーブルから除かれた粉末材料を効率的に再利用することができる。
【0048】
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態に係る粉末再利用装置について説明する。本実施形態に係る粉末再利用装置は、上記第2実施形態乃至第4実施形態と比べると、2つの貯蔵部および粉末タンクからの粉末材料を適切な吸引パターンによるタイミングでリコータに提供する点で異なる。その他の構成および動作は、第2実施形態から第4実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0049】
《積層造形システムの構成》
図9は、本実施形態に係る粉末再利用装置の再利用制御部910を含む積層造形システム900の構成を示す図である。
図9において、
図3と同様の構成要素には同じ参照番号を付して、重複する説明を省略する。
【0050】
積層造形システム900は、リコータ311用のホッパー911と、満タンセンサ912と、再利用制御部910と、を備える。ホッパー911は、粉末タンク221と、貯蔵部211と、貯蔵部212とからそれぞれ吸引部の吸引により送られてくる粉末材料を混合して、以降のリコートのために貯蔵する。満タンセンサ912は、ホッパー911が満タンになったか否かを検出する。本実施形態においては、リコータ311用のホッパー911が造形テーブルに供給されていない未使用の粉末材料と回収した粉末材料とを混合する混合部として機能する。また、満タンセンサ912が粉末量検出部として機能する。
【0051】
再利用制御部910は、満タンセンサ912の検出結果と、粉末センサ313の検知結果と、粉末センサ314の検知結果と、を取得して、吸引部222、223、224の吸引およびリコータ311の動作を制御する。
【0052】
《再利用制御部の機能構成》
図10は、本実施形態に係る再利用制御部910の機能構成を示すブロック図である。なお、
図10において、
図4と同様に機能構成部には同じ参照番号を付して、重複する説明は省略する。
【0053】
再利用制御部910は、吸引部能力取得部1002と、吸引制御部1006と、データベース1007と、満タン検出部1008と、吸引指示部1009と、リコータ制御部1010と、をさらに備える。なお、入出力インタフェース401には、ホッパー911の満タンセンサ912と、粉末タンク221から粉末材料を吸引する吸引部222と、リコータ311と、がさらに接続される。
【0054】
吸引部能力取得部1002は、吸引部222、223、224の吸引能力を取得する。データベース1007は、吸引部222、223、224の吸引能力と吸引部222、223、224の吸引時間や吸引順序とを対応付けて記憶する吸引パターンテーブル1071を格納する。満タン検出部1008は、リコータ用ホッパー911の満タンセンサ912からの検出信号により、リコータ用ホッパー911が満タンか否かを検出する。吸引指示部1009は、粉末タンク221から粉末材料を吸引する吸引部222の吸引を指示する。リコータ制御部1010は、リコータ用ホッパー911が満タンとなれば、リコータ311によるリコーティングを開始させる。なお、リコータ311によるリコーティングの開始は、積層造形システムの制御部などからの指示と組み合わせてよい。
【0055】
吸引制御部1006は、吸引部能力取得部1002が取得した吸引部222、223、224の吸引能力に基づいて、データベース1007の吸引パターンテーブル1071を参照して、吸引部222、223、224の駆動指示やリコータ311への駆動指示を出力する。なお、吸引制御部1006は、満タン検出部1008から満タンの検出が通知されれば、吸引部222、223、224の吸引を停止する。
【0056】
なお、本実施形態においては、吸引部222、223、224の吸引時間や吸引順序を吸引部222、223、224の吸引能力によって決めたが、さらに他の条件を追加してもよい。また、吸引制御部1006は、リコータ用ホッパー911の満タンを検出して制御したが、満タンでなく所定量を基準に制御してもよい。また、再利用制御部910は独立した構成でなく、積層造形システムの制御部などに組み込まれても、互いに機能を分散して相互通信する構成であってもよい。
【0057】
(吸引パターンテーブル)
図11は、本実施形態に係る吸引パターンテーブル1071の構成を示すブロック図である。吸引パターンテーブル1071は、再利用制御部910が吸引部222、223、224における吸引時間や吸引順序を設定するために使用される。
【0058】
吸引パターンテーブル1071は、本実施形態においては、吸引制御条件1101としての各吸引部の吸引能力の組合せに対応付けて、吸引パターン1102としての各吸引部の吸引時間とその吸引順序とを記憶する。なお、吸引制御条件1101は各吸引部の吸引能力に限定されるものではない。リコータ用ホッパー911への粉末材料の提供を迅速に行い、積層造形速度を高めると共に、貯蔵部211および212が常に空であるようにするために考慮すべき条件を加えてよい。
【0059】
《再利用制御部のハードウェア構成》
図12は、本実施形態に係る再利用制御部910のハードウェア構成を示すブロック図である。なお、
図12において、
図5と同様の構成要素には同じ参照番号を付して、重複する説明は省略する。
【0060】
RAM1240には、
図5に加えて新たに、取得された吸引部223、224、222の吸引部能力1247と、リコート用ホッパー312における満タンセンサ912が検出した満タン検出結果1248と、吸引部222への吸引駆動指示1249と、が記憶される。
【0061】
ストレージ1250には、
図5に加えて新たに、
図11に示した吸引パターンテーブル1071と、吸引部223、224、222の吸引能力1247を取得するための吸引部能力取得モジュール1255とが記憶される。
【0062】
《再利用制御部の処理手順》
図13は、本実施形態に係る再利用制御部910の処理手順を示すフローチャートである。このフローチャートは、
図12のCPU510がRAM1240を使用して実行し、
図10の機能構成部を実現する。
【0063】
再利用制御部910は、ステップS1301において、各吸引部の吸引部能力を含む吸引制御条件1101を取得する。再利用制御部910は、ステップS1303において、データベース1007から吸引パターンテーブル1071を読み込む。再利用制御部910は、ステップS1305において、吸引パターンテーブル1071を参照して、各吸引部の吸引部能力を含む吸引制御条件1101に対応する吸引パターン1102を選別する。再利用制御部910は、ステップS1307において、選別された吸引パターンにより吸引部の駆動を制御する。
【0064】
本実施形態によれば、2つの貯蔵部および粉末タンクからの粉末材料を適切な吸引パターン(タイミング)でリコータに提供するので、積層造形中に造形テーブルから除かれた粉末材料をより効率的に再利用することができる。
【0065】
[第6実施形態]
次に、本発明の第6実施形態に係る粉末再利用装置について説明する。本実施形態に係る粉末再利用装置は、上記第2実施形態乃至第5実施形態と比べると、リコータ用ホッパーが満タンで、かつ、2つの貯蔵部が空になるように制御しながら、2つの貯蔵部および粉末タンクからの粉末材料をリコータに提供する点で異なる。その他の構成および動作は、第2実施形態から第5実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。また、粉末再利用装置の再利用制御部を含む積層造形システムの構成は、
図9の積層造形システム900と同様である。
【0066】
《再利用制御部の機能構成》
図14は、本実施形態に係る再利用制御部1410の機能構成を示すブロック図である。なお、
図14において、
図4または
図10と同様の機能構成部には同じ参照番号を付して、重複する説明は省略する。
【0067】
再利用制御部1410は、データベース1407と、吸引制御部1406と、を備える。データベース1407は、吸引パターンテーブル1071に加えて吸引制御テーブル1471を有する。吸引制御テーブル1471は、吸引条件1501としての各センサの検知または検出結果の組合せに対応つけて、吸引パターンテーブル1071で設定された吸引パターンをさらに実時間で制御するための吸引パターンの更新パラメータを記憶する。
【0068】
吸引制御部1406は、データベース1407の吸引制御テーブル1471を参照して、ル各センサの検知または検出結果に基づいて各吸引部の吸引およびリコータの動作を制御する。
【0069】
《吸引制御テーブル》
図15は、本実施形態に係る吸引制御テーブル1471の構成を示すブロック図である。吸引制御テーブル1471は、吸引制御部1406が各センサの検知または検出結果に基づいて、吸引のためのパラメータを実時間で更新するために使用される。
【0070】
吸引制御テーブル1471は、吸引条件1501としての各センサの検知または検出結果の組合せに対応付けて、更新パラメータ1502としての吸引時間の増減(プラス/マイナス)を記憶する。
【0071】
なお、
図15に示した吸引時間の増減(プラス/マイナス)値は一例であって、これに限定されるものではない。また、
図15においては、センサの検知または検出結果に基づいた吸引時間のプラスとマイナスによる更新を説明したが、吸引順序などの他のパラメータを更新してもよい。
【0072】
《再利用制御部のハードウェア構成》
本実施形態における再利用制御部のハードウェア構成は、
図12のRAMに各センサの検知または検出結果と各吸引部の駆動指示が記憶され、ストレージにさらに吸引制御テーブル1471と、プログラムとして吸引パラメータ更新モジュールが記憶される構成であるので、ここでの図示および説明は省略する。
【0073】
《再利用制御部の処理手順》
図16は、本実施形態に係る再利用制御部1410の処理手順を示すフローチャートである。このフローチャートは、
図12のCPU510がRAMを使って実行し、
図14の機能構成部を実現する。
【0074】
再利用制御部1410は、ステップS1601において、リコートが終了したか否かを判定する。リコートが終了したと判定すると、再利用制御部1410は、ステップS1603において、2つの粉末センサおよび満タンセンサの検出結果を取得する。再利用制御部1410は、ステップS1605において、データベース1407の吸引制御テーブル1471を読み込む。そして、再利用制御部1410は、ステップS1607において、センサ検出結果に対応して、吸引パラメータの更新として吸引時間の更新を行う。
【0075】
再利用制御部1410は、ステップS1609において、リコータ用ホッパーが満タンであるか否かを判定する。リコータ用ホッパーが満タンでないと判定すると、再利用制御部1410は、ステップS1603に戻って、リコータ用ホッパーが満タンになるまで吸引処理を繰り返す。リコータ用ホッパーが満タンになったと判定すると、再利用制御部1410は、ステップS1611において、リコータの駆動OKを出力する。
【0076】
本実施形態によれば、リコータ用ホッパーが満タンで、かつ、2つの貯蔵部が空になるように制御しながら、2つの貯蔵部および粉末タンクからの粉末材料を調整しながら提供するので、積層造形中に造形テーブルから除かれた粉末材料をさらに効率的に再利用することができる。
【0077】
[他の実施形態]
本発明で使用される粉末材料は、砂材料や樹脂材料あるいは金属材料であっても、同様の効果を奏する。また、上記実施形態においては、積層造形中に造形テーブルから除かれた粉末材料を吸引によって貯蔵部から回収したが、粉末材料を押出によって貯蔵部から回収する構成であってもよい。
【0078】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。また、それぞれの実施形態に含まれる別々の特徴を如何様に組み合わせたシステムまたは装置も、本発明の範疇に含まれる。
【0079】
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用されてもよいし、単体の装置に適用されてもよい。さらに、本発明は、実施形態の機能を実現する粉末再利用プログラムを含む情報処理プログラムが、システムあるいは装置に直接あるいは遠隔から供給される場合にも適用可能である。したがって、本発明の機能をコンピュータで実現するために、コンピュータにインストールされるプログラム、あるいはそのプログラムを格納した媒体、そのプログラムをダウンロードさせるWWW(World Wide Web)サーバも、本発明の範疇に含まれる。特に、少なくとも、上述した実施形態に含まれる処理ステップをコンピュータに実行させるプログラムを格納した非一時的コンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)は本発明の範疇に含まれる。