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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-26
(45)【発行日】2022-11-04
(54)【発明の名称】クラウド型の有害動物捕獲システム
(51)【国際特許分類】
   A01M 23/00 20060101AFI20221027BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20221027BHJP
【FI】
A01M23/00 Z
G06Q50/10
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019011221
(22)【出願日】2019-01-25
(65)【公開番号】P2020115809
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-10-14
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)「国等の委託研究の成果に係る特許出願(国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構生物系特定産業技術研究支援センター「革新的技術開発・緊急展開事業(うち地域戦略プロジェクト)」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】513099603
【氏名又は名称】兵庫県公立大学法人
(73)【特許権者】
【識別番号】504237050
【氏名又は名称】独立行政法人国立高等専門学校機構
(73)【特許権者】
【識別番号】512050014
【氏名又は名称】株式会社 アイエスイー
(73)【特許権者】
【識別番号】594156880
【氏名又は名称】三重県
(74)【代理人】
【識別番号】230115336
【弁護士】
【氏名又は名称】山下 あや理
(72)【発明者】
【氏名】山端 直人
(72)【発明者】
【氏名】江崎 修央
(72)【発明者】
【氏名】高橋 勲
(72)【発明者】
【氏名】高橋 完
(72)【発明者】
【氏名】鬼頭 敦史
【審査官】吉原 健太
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-085915(JP,A)
【文献】登録実用新案第3183537(JP,U)
【文献】特開2017-176058(JP,A)
【文献】特開2013-090594(JP,A)
【文献】特開2011-160706(JP,A)
【文献】特開2012-120502(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0109460(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 23/00
G06Q 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的の有害動物が生息する複数の地区に設置される複数のトラップユニットと、
その全トラップユニットと通信ネットワークを介して接続された捕獲支援センターのクラウドサーバと、
有害動物を捕獲する複数のユーザーが各自所持するユーザー通信端末とから成り、
上記クラウドサーバへ通信ネットワークを介して接続されたユーザー通信端末からアクセスすれば、そのクラウドサーバが提供するサービスを共有できるクラウド型の有害動物捕獲システムであって、
上記トラップユニットの各個は、
有害動物を捕獲するトラップと、
そのトラップの内外に存在する有害動物を撮影する監視用ネットワークカメラと、
同じくトラップの内部に侵入した有害動物の存在を検知する侵入検知センサーと、
その侵入検知センサーが有害動物の存在を検知した時に、その検知出力信号を受けて起動することにより、上記トラップの外部周辺における有害動物の存在を検知する周辺検知センサーと、
上記トラップにおける出入口の開閉扉をその出入口の開扉状態に仮り止め保持するトリガーと、
そのトリガーを解放すべく作動制御する制御装置と、
上記ネットワークカメラの撮影した動画を有害動物の監視データとして、クラウドサーバ へ送信するネットワーク通信器とを備え、
上記クラウドサーバは、
ユーザー通信端末からのアクセスを受けた時、そのユーザーが登録された正しい捕獲ユーザーであるか否かを、各自のユーザーIDやパスワードに基いて認証するユーザー管理部と、
その複数のユーザー間においてチャットを行わせることができるメッセージ交換部と、
上記ネットワークカメラの撮影した全トラップの動画をユーザー通信端末に通覧させ得るマルチ画面と、そのマルチ画面から択一されたトラップだけの動画を閲覧させ得るシングル画面と、同じくネットワークカメラの撮影した各トラップユニットの録画映像や餌付け状態、上記侵入検知センサー並びに周辺検知センサーの反応時刻などを捕獲用予備情報として閲覧させ得る予備情報収集履歴の管理画面とを生成する表示画面生成部とを備え、
上記全トラップのマルチ画面と択一トラップのシングル画面との何れにも、捕獲ユーザーがクリックするための手動捕獲ボタンと自動捕獲ボタンとを並列設置して、
各トラップの上記侵入検知センサー並びに周辺検知センサーから有害動物の捕獲条件を満たした検知出力信号が電子メールとして、そのネットワーク通信器と通信ネットワーク並びにクラウドサーバを介して捕獲ユーザーの通信端末へ送信されてきた時に、その捕獲ユーザーが上記マルチ画面上の手動捕獲ボタン又はシングル画面上の手動捕獲ボタンをクリックすれば、その操作による捕獲命令信号がクラウドサーバを介して当該トラップの制御装置へ送信され、その制御装置が上記開閉扉用トリガーを解放すべく作動制御することになり、
同じく捕獲ユーザーが上記マルチ画面上の自動捕獲ボタン又はシングル画面上の自動捕獲ボタンを予めクリックしておけば、各トラップの上記侵入検知センサー並びに周辺検知センサーから有害動物の捕獲条件を満たした検知出力信号が当該トラップの制御装置へ送信され、その制御装置が上記開閉扉用トリガーを解放すべく作動制御するように定めたことを特徴とするクラウド型の有害動物捕獲システム。
【請求項2】
目的の有害動物が生息する複数の地区に設置される複数のトラップユニットと、
その全トラップユニットと通信ネットワークを介して接続された捕獲支援センターのクラウドサーバと、
有害動物を捕獲する複数のユーザーが各自所持するユーザー通信端末とから成り、
上記クラウドサーバへ通信ネットワークを介して接続されたユーザー通信端末からアクセスすれば、そのクラウドサーバが提供するサービスを共有できるクラウド型の有害動物捕獲システムであって、
上記トラップユニットの各個は、
有害動物を捕獲するトラップと、
そのトラップの内外に存在する有害動物を撮影する監視用ネットワークカメラと、
同じくトラップの内部に侵入した有害動物の存在を検知する侵入検知センサーと、
その侵入検知センサーが有害動物の存在を検知した時に、その検知出力信号を受けて起動することにより、上記トラップの外部周辺における有害動物の存在を検知する周辺検知センサーと、
上記トラップにおける出入口の開閉扉をその出入口の開扉状態に仮り止め保持するトリガーと、
そのトリガーを解放すべく作動制御する制御装置と、
上記ネットワークカメラの撮影した動画を有害動物の監視データとして、クラウドサーバへ送信するネットワーク通信器とを備え、
上記クラウドサーバは、
ユーザー通信端末からのアクセスを受けた時、そのユーザーが登録された正しい捕獲ユーザーであるか否かを、各自のユーザーIDやパスワードに基いて認証するユーザー管理部と、
その複数のユーザー間においてチャットを行わせることができるメッセージ交換部と、
上記ネットワークカメラの撮影した全トラップの動画をユーザー通信端末に通覧させ得るマルチ画面と、そのマルチ画面から択一されたトラップだけの動画を閲覧させ得るシングル画面と、同じくネットワークカメラの撮影した各トラップユニットの録画映像や餌付け状態、上記侵入検知センサー並びに周辺検知センサーの反応時刻などを捕獲用予備情報として閲覧させ得る予備情報収集履歴の管理画面とを生成する表示画面生成部と、
各トラップのネットワークカメラにより撮影された動画を所定のプログラムに基き解析処理して、有害動物の捕獲条件を満たしたか否か判定する画像処理部とを備え、
上記全トラップのマルチ画面と択一トラップのシングル画面との何れにも、捕獲ユーザーがクリックするための手動捕獲ボタンと自動捕獲ボタンとを並列設置して、
各トラップの上記侵入検知センサー並びに周辺検知センサーから有害動物の捕獲条件を満たした検知出力信号が電子メールとして、そのネットワーク通信器と通信ネットワーク並びにクラウドサーバを介して捕獲ユーザーの通信端末へ送信されてきた時に、その捕獲ユーザーが上記マルチ画面上の手動捕獲ボタン又はシングル画面上の手動捕獲ボタンをクリックすれば、その操作による捕獲命令信号がクラウドサーバを介して当該トラップの制御装置へ送信され、その制御装置が上記開閉扉用トリガーを解放すべく作動制御することになり、
同じく捕獲ユーザーが上記マルチ画面上の自動捕獲ボタン又はシングル画面上の自動捕獲ボタンを予めクリックしておけば、クラウドサーバがネットワークカメラの撮影した動画を解析処理し、有害動物の捕獲条件を満たした判定結果が捕獲命令信号として、クラウドサーバから当該トラップの制御装置へ送信され、その制御装置が上記開閉扉用トリガーを解放すべく作動制御するように定めたことを特徴とするクラウド型の有害動物捕獲システム。
【請求項3】
トラップユニットの監視用ネットワークカメラから、そのトラップの内外に存在する有害動物を撮影した動画が、クラウドサーバへ予備情報として集録中、未だ手動捕獲ボタンと自動捕獲ボタンとの何れもクリックされるまでの間には、たとえ制御装置がクラウドサーバを介して侵入検知センサー並びに周辺検知センサーの検知出力信号を受けても、開閉扉用トリガーを解放すべく作動制御せず、有害動物を上記検知センサーの反応作用や餌付け状態に慣れさせるように定めたことを特徴とする請求項1又は2記載のクラウド型の有害動物捕獲システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はクラウド型の有害動物捕獲システムに係り、殊更ネットワークカメラの撮影したライブ画像(動画)を捕獲ユーザーがリアルタイムに観察しながら、捕獲設備の出入口開閉制御装置(マイクロコントローラー)を遠隔操作する手動捕獲のみならず、そのユーザーの就寝中やスケジュールの不都合などにより,手動遠隔操作できない時間帯では、その捕獲設備に設置された有害動物検知センサー又はクラウドサーバの画像解析処理に基いて、自動捕獲することもできるように工夫したものである。
【背景技術】
【0002】
本発明の出願人は、先に本発明と最も近似すると考えられる特開2017-85915号発明を提案した。
【0003】
この特開2017-85915号公報(特許文献1)に記載されたクラウド型の有害動物捕獲支援システムでは、複数の捕獲ユーザーが各自のユーザー通信端末を用いて、複数の地区に設置されている全トラップユニットの撮影動画を一挙同時に通覧することもでき、その各自のユーザー通信端末からクラウドサーバ上における予備情報収集履歴の管理画面を閲覧して、各トラップユニットの録画映像や餌付け場所、侵入検知センサーの反応時間などの収集した捕獲予備情報を知得できることとも相俟って、各地における有害動物の出没状況や特異性、その他の総合的な判断を容易に正しく行え、捕獲効率を向上できる利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-85915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1に記載された発明の構成では、ネットワークカメラの撮影したライブ画像(動画)を捕獲ユーザーがリアルタイムに観察していないと、そのユーザー通信端末から有害動物捕獲のための遠隔操作を行えない結果、その捕獲ユーザーが就寝中の時間であったり、また昼間でも平日の就労中には捕獲した有害動物の駆除(止め殺し)や餌付け(給餌)のために、捕獲設備のある現場へ出向けなかったりすると、有害動物を捕獲ユーザーの都合良く捕獲することができず、特に群れて行動する夜行性の野生動物に対応し難い問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はこのような問題の改良を目的としており、その目的を達成するために、請求項1では目的の有害動物が生息する複数の地区に設置される複数のトラップユニットと、
【0007】
その全トラップユニットと通信ネットワークを介して接続された捕獲支援センターのクラウドサーバと、
【0008】
有害動物を捕獲する複数のユーザーが各自所持するユーザー通信端末とから成り、
【0009】
上記クラウドサーバへ通信ネットワークを介して接続されたユーザー通信端末からアクセスすれば、そのクラウドサーバが提供するサービスを共有できるクラウド型の有害動物捕獲システムであって、
【0010】
上記トラップユニットの各個は、
【0011】
有害動物を捕獲するトラップと、
【0012】
そのトラップの内外に存在する有害動物を撮影する監視用ネットワークカメラと、
【0013】
同じくトラップの内部に侵入した有害動物の存在を検知する侵入検知センサーと、
【0014】
その侵入検知センサーが有害動物の存在を検知した時に、その検知出力信号を受けて起動することにより、上記トラップの外部周辺における有害動物の存在を検知する周辺検知センサーと、
【0015】
上記トラップにおける出入口の開閉扉をその出入口の開扉状態に仮り止め保持するトリガーと、
【0016】
そのトリガーを解放すべく作動制御する制御装置と、
【0017】
上記ネットワークカメラの撮影した動画を有害動物の監視データとして、クラウドサーバへ送信するネットワーク通信器とを備え、
【0018】
上記クラウドサーバは、
【0019】
ユーザー通信端末からのアクセスを受けた時、そのユーザーが登録された正しい捕獲ユーザーであるか否かを、各自のユーザーIDやパスワードに基いて認証するユーザー管理部と、
【0020】
その複数のユーザー間においてチャットを行わせることができるメッセージ交換部と、
【0021】
上記ネットワークカメラの撮影した全トラップの動画をユーザー通信端末に通覧させ得るマルチ画面と、そのマルチ画面から択一されたトラップだけの動画を閲覧させ得るシングル画面と、同じくネットワークカメラの撮影した各トラップユニットの録画映像や餌付け状態、上記侵入検知センサー並びに周辺検知センサーの反応時刻などを捕獲用予備情報として閲覧させ得る予備情報収集履歴の管理画面とを生成する表示画面生成部とを備え、
【0022】
上記全トラップのマルチ画面と択一トラップのシングル画面との何れにも、捕獲ユーザーがクリックするための手動捕獲ボタンと自動捕獲ボタンとを並列設置して、
【0023】
各トラップの上記侵入検知センサー並びに周辺検知センサーから有害動物の捕獲条件を満たした検知出力信号が電子メールとして、そのネットワーク通信器と通信ネットワーク並びにクラウドサーバを介して捕獲ユーザーの通信端末へ送信されてきた時に、その捕獲ユーザーが上記全トラップのマルチ画面上にある手動捕獲ボタン又は択一トラップのシングル画面上にある手動捕獲ボタンをクリックすれば、その操作による捕獲命令信号がクラウドサーバを介して当該トラップの制御装置へ送信され、その制御装置が上記開閉扉用トリガーを解放すべく作動制御することになり、
【0024】
同じく捕獲ユーザーが上記全トラップのマルチ画面上にある自動捕獲ボタン又は択一トラップのシングル画面上にある自動捕獲ボタンを予めクリックしておけば、各トラップの上記侵入検知センサー並びに周辺検知センサーから有害動物の捕獲条件を満たした検知出力信号が当該トラップの制御装置へ送信され、その制御装置が上記開閉扉用トリガーを解放すべく作動制御するように定めたことを特徴とする。
【0025】
請求項2では目的の有害動物が生息する複数の地区に設置される複数のトラップユニットと、
【0026】
その全トラップユニットと通信ネットワークを介して接続された捕獲支援センターのクラウドサーバと、
【0027】
有害動物を捕獲する複数のユーザーが各自所持するユーザー通信端末とから成り、
【0028】
上記クラウドサーバへ通信ネットワークを介して接続されたユーザー通信端末からアクセスすれば、そのクラウドサーバが提供するサービスを共有できるクラウド型の有害動物捕獲システムであって、
【0029】
上記トラップユニットの各個は、
【0030】
有害動物を捕獲するトラップと、
【0031】
そのトラップの内外に存在する有害動物を撮影する監視用ネットワークカメラと、
【0032】
同じくトラップの内部に侵入した有害動物の存在を検知する侵入検知センサーと、
【0033】
その侵入検知センサーが有害動物の存在を検知した時に、その検知出力信号を受けて起動することにより、上記トラップの外部周辺における有害動物の存在を検知する周辺検知センサーと、
【0034】
上記トラップにおける出入口の開閉扉をその出入口の開扉状態に仮り止め保持するトリガーと、
【0035】
そのトリガーを解放すべく作動制御する制御装置と、
【0036】
上記ネットワークカメラの撮影した動画を有害動物の監視データとして、クラウドサーバへ送信するネットワーク通信器とを備え、
【0037】
上記クラウドサーバは、
【0038】
ユーザー通信端末からのアクセスを受けた時、そのユーザーが登録された正しい捕獲ユーザーであるか否かを、各自のユーザーIDやパスワードに基いて認証するユーザー管理部と、
【0039】
その複数のユーザー間においてチャットを行わせることができるメッセージ交換部と、
【0040】
上記ネットワークカメラの撮影した全トラップの動画をユーザー通信端末に通覧させ得るマルチ画面と、そのマルチ画面から択一されたトラップだけの動画を閲覧させ得るシングル画面と、同じくネットワークカメラの撮影した各トラップユニットの録画映像や餌付け状態、上記侵入検知センサー並びに周辺検知センサーの反応時刻などを捕獲用予備情報として閲覧させ得る予備情報収集履歴の管理画面とを生成する表示画面生成部と、
【0041】
各トラップのネットワークカメラにより撮影された動画を所定のプログラムに基き解析処理して、有害動物の捕獲条件を満たしたか否か判定する画像処理部とを備え、
【0042】
上記全トラップのマルチ画面と択一トラップのシングル画面との何れにも、捕獲ユーザーがクリックするための手動捕獲ボタンと自動捕獲ボタンとを並列設置して、
【0043】
各トラップの上記侵入検知センサー並びに周辺検知センサーから有害動物の捕獲条件を満たした検知出力信号が電子メールとして、そのネットワーク通信器と通信ネットワーク並びにクラウドサーバを介して捕獲ユーザーの通信端末へ送信されてきた時に、その捕獲ユーザーが上記全トラップのマルチ画面上にある手動捕獲ボタン又は択一トラップのシングル画面上にある手動捕獲ボタンをクリックすれば、その操作による捕獲命令信号がクラウドサーバを介して当該トラップの制御装置へ送信され、その制御装置が上記開閉扉用トリガーを解放すべく作動制御することになり、
【0044】
同じく捕獲ユーザーが上記全トラップのマルチ画面上にある自動捕獲ボタン又は択一トラップのシングル画面上にある自動捕獲ボタンを予めクリックしておけば、クラウドサーバがネットワークカメラの撮影した動画を解析処理し、有害動物の捕獲条件を満たした判定結果が捕獲命令信号として、クラウドサーバから当該トラップの制御装置へ送信され、その制御装置が上記開閉扉用トリガーを解放すべく作動制御するように定めたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0045】
請求項3ではトラップユニットの監視用ネットワークカメラから、そのトラップの内外に存在する有害動物を撮影した動画が、クラウドサーバへ予備情報として集録中、未だ手動捕獲ボタンと自動捕獲ボタンとの何れもクリックされるまでの間には、たとえ制御装置がクラウドサーバを介して侵入検知センサー並びに周辺検知センサーの検知出力信号を受けても、開閉扉用トリガーを解放すべく作動制御せず、有害動物を上記検知センサーの反応作用や餌付け状態に慣れさせるように定めたことを特徴とする。
【0046】
請求項1の上記構成によれば、捕獲ユーザーとしては監視用ネットワークカメラの撮影したライブ画像(動画)を、複数設置されたトラップユニットの全体について通覧したり、その選択した一部のトラップユニットについてだけ詳細に閲覧したりしながら、総合的な状況判断と最も良いタイミングのもとで、手動捕獲ボタンをクリック(捕獲操作)することにより、有害動物を容易・確実に捕獲することができる。
【0047】
しかも、捕獲ユーザーが上記ライブ画像(動画)をリアルタイムに観察しておれない夜間や、その自分のみならず、関係者(捕獲した有害動物の駆除担当者や次回の餌付け担当者)が、トラップユニットの設置現場へ出向くことのできないスケジュールであるような日時には、全トラップのマルチ画面上と択一トラップのシングル画面上に、上記手動捕獲ボタンとの特別に設置された自動捕獲ボタンを予めクリック(スイッチオン操作)しておくことにより、その自動捕獲モードでの運用中に、上記トラップユニットの侵入検知センサーと周辺検知センサーが有害動物の捕獲条件を検知した出力信号に基き、トラップの制御装置(マイクロコントローラー)が出入口の開閉扉用トリガーを解放(開閉扉を自重落下)すべく作動制御することになるため、特に夜行性の野生動物でも支障なく捕獲することができ、捕獲ユーザーにとって著しく便利であるほか、捕獲成果の向上に役立つ。
【0048】
そして、上記効果は請求項2の構成によっても、ほぼ同等に達成することができる。つまり、請求項2の構成にあっても、捕獲ユーザーが自動捕獲ボタンを予めクリック(スイッチオン操作)しておけば、その自動捕獲モードでの運用中に、クラウドサーバが上記ネットワークカメラの撮影したライブ画像(動画)を解析処理して、有害動物の捕獲条件を満たした状態と判定した時、これが言わば捕獲命令信号としてクラウドサーバからトラップの制御装置(マイクロコントローラー)へ伝送され、その制御装置が出入口の開閉扉用トリガーを解放(開閉扉を自重落下)すべく作動制御することになるからである。
【0049】
また、請求項の構成を採用するならば、トラップの内部に侵入した有害動物を侵入検知センサーの反応する作用(光)や、トラップの外部周辺に居る有害動物を周辺検知センサーの反応する作用(光)に各々慣れさせて、その捕獲上有効となる餌付け状態を確保することができるほか、有害動物に警戒心を抱かせることなく、その効率良く捕獲するための予備情報を収集し得る利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1】本発明に係るクラウド型の有害動物捕獲システムの全体構成を示す説明図である。
図2】トラップユニットの全体を示す概略斜面図である。
図3図2の部分拡大側面図である。
図4】出入口の閉扉状態を示す図3に対応する部分拡大側面図である。
図5】トラップユニットにおける制御ボックスの概略構成を示すブロック図である。
図6】クラウドサーバにおけるウェブサーバの概略構成を示すブロック図である。
図7】ログイン画面の正面図である。
図8】メニュー画面の正面図である。
図9】予備情報収集履歴の管理画面を示す正面図である。
図10】ユーザー通信端末の概略構成を示すブロック図である。
図11】予備情報収集並びに手動捕獲モードの動作シーケンス図である。
図12】ユーザー通信端末のログインからログアウトまでのフローチャートを示すブロック図である。
図13】全トラップのマルチ画面を示す正面図である。
図14】択一トラップのシングル画面を示す正面図である。
図15】手動捕獲モードのフローチャートである。
図16】自動捕獲モードの動作シーケンス図である。
図17】自動捕獲モードのフローチャートである。
図18】自動捕獲モードの変形実施形態を示す図16に対応する動作シーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下、図面に基いて本発明の好適な実施形態を詳述すると、その本発明に係るクラウド型の有害動物捕獲システムは概して図1のように、同じ都道府県内や同じ市町村内などにおける複数(図例では合計4個所)の地区に設置される複数(図例では合計4基)のトラップユニット(捕獲設備)(T1)(T2)(T3)(T4)と、その複数のトラップユニット(T1)~(T4)と通信ネットワーク(インターネット)(N)を介して接続された捕獲支援センターのクラウドサーバ(S)と、有害動物を捕獲する複数(図例では合計4人)のユーザー(A)が各々所持するユーザー通信端末(U1)(U2)(U3)(U4)とから成り、上記クラウドサーバ(S)への通信ネットワーク(N)を介して接続されたユーザー通信端末(U1)~(U4)からアクセスすれば、そのクラウドサーバ(S)の提供するサービスを共有することができるようになっている。
【0052】
上記主要な構成部材のうち、先ず有害物質の捕獲設備であるトラップユニット(T1)~(T4)の各個は、例えば群れて行動する野生の鹿や猪にふさわしい図2~4のようなトラップ(囲い罠)(10)として、1個の出入口(11)とその背高い昇降ガイド支柱(扉開口枠)(12)に沿って昇降し得る自重落下式の開閉扉(13)を具備しており、その開閉扉(13)を捕獲ユーザー(A)がユーザー通信端末(U1)~(U4)の操作により落下させて、トラップ(10)の出入口(11)を瞬時に閉鎖し、一度に多数の鹿や猪、その他の有害動物を捕獲することができるようになっている。
【0053】
(14)は上記トラップ(10)の出入口(11)付近に立設された強固な支柱であり、その最上端部にはソーラーパネル(15)が、同じく上端部には有害動物の監視用ネットワークカメラ(16)が、更に中途高さ位置には制御ボックス(17)が各々取り付け固定されている。その制御ボックス(17)に内蔵設置されているバッテリ(18)を、ソーラーパネル(15)からの自然(太陽)エネルギーによって充電できるようになっている。
【0054】
上記制御ボックス(17)は開閉自在であって、その内部には図5のようなトリガー(19)を作動させる制御装置(マイクロコントローラー)(20)が設置されている。(21)は上記トラップ(10)の内部における有害動物の存在を検知する侵入検知センサーであって、その有害動物の動き(受光する熱線量の変化)を検知する焦電型の赤外線センサーや反射型の光電スイッチ(フォトセンサー)などから具体化されており、図2~4のようにトラップ(10)の出入口(11)付近へ、好ましくは高さの調整可能なスタンド(22)を介して架設されている。これによって出入口(11)からトラップ(10)の内部へ侵入する有害動物を検知し、その頭数をカウントする。侵入後に退出すれば、減算することになる。
【0055】
その場合、有害動物は種類(例えば鹿と猪)によって個体の大きさが異なるため、上記侵入検知センサー(21)はトラップ(10)の出入口(11)に対する前後一対として、その隣り合う間隔(D)を調整できるように並列設置することが望ましい。
【0056】
また、(23)は上記トラップ(10)の出入口(11)付近を含む外部周辺における有害動物の存否を検知する周辺検知センサーであって、上記侵入検知センサー(21)と同じ焦電型の赤外線センサーや超音波センサーなどから具体化されており、その複数が図2のようにトラップ(10)の壁面へ並列設置されて、そのトラップ(10)における外部の周辺に有害動物が居るか否か、その個体の存在を検知する。
【0057】
但し、上記侵入検知センサー(21)がトラップ(10)の内部における有害動物の存在を検知した時に、その検知出力信号に基いて上記制御装置(マイクロコントローラー)(20)が周辺検知センサー(23)を起動させ、その周辺検知センサー(23)が有害動物の存在しないことを検知したならば、後述する有害動物の捕獲条件を満たした状態として、その検知出力信号に基き同じく制御装置(20)が上記トラップ(10)の開閉扉(13)を自重落下させ、その出入口(11)の閉扉状態に作動制御するようになっている。
【0058】
つまり、トラップ(10)の内部にたとえ捕獲すべき目標頭数の有害動物が侵入しているとしても、そのトラップ(10)の出入口(11)付近やその他の外部周辺に、未だ有害動物の仲間や親子などが存在している場合には、その居なくなるまで出入口(11)の開閉扉(13)を落下させず、その開扉状態のままで待機することにより、その外部周辺に居る有害動物がトラップ(10)を警戒して、二度と近づかなくなることを予防し、捕獲効率を向上できるようになっているのである。
【0059】
また、(24)は一定長さのワイヤーやロープなどから成る扉吊持索条であって、その一端部が上記トラップ(10)における出入口(11)の開閉扉(13)に取り付けられており、他端部には鉄やニッケル、フェライト、その他の磁性体(25)が取り付けられている。(26)はその磁性体(25)を着脱自在に吸着する電磁ホルダーであって、上記支柱(14)又はその中途高さ位置の制御ボックス(17)に固定支持されており、これにはバッテリ(18)から制御装置(マイクロコントローラー)(20)を介して給電されるようになっている。
【0060】
上記開閉扉(13)を、そのトラップ(10)の出入口(11)から上昇した開扉状態と下降した閉扉状態に作動させるトリガー(19)が、上記扉吊持索条(24)の磁性体(25)とその電磁ホルダー(26)とから構成されているのであり、その給電されていない状態において磁力を発生する電磁ホルダー(26)が、上記磁性体(25)を吸着することによって、上記出入口(11)の開閉扉(13)を図2、3のように上昇させた開扉状態に仮り止め保持する。
【0061】
そして、上記トリガー(19)の電磁ホルダー(26)に給電すると、そのホルダー(26)は磁力を発生せず、上記磁性体(25)の吸着力が解除されることになるため、開閉扉(13)は自重により落下して、そのトラップ(10)の出入口(11)を図4のように閉鎖することとなる。
【0062】
更に、有害動物を監視する上記ネットワークカメラ(16)は、ライブ画像(動画)のカラー撮影とその画像の光電変換を行えるイメージセンサー(高解像度のCCD/CMOS)を有しており、好ましくはウェブサーバ機能があるネットワークカメラ(例えば暗闇でも写る赤外線カメラや暗視カメラなど)として、上記トラップ(10)の内部と出入口(11)の付近も含むトラップ(10)の外部周辺を一定範囲だけ撮影できる指向状態にある。
【0063】
その場合、上記トラップ(10)に対する有害動物の侵入検知センサー(21)を特別に設置する代りに、ネットワークカメラ(16)が具備する画像変化(モーション)の検知機能を用いて、その有害動物がトラップ(10)の内部に侵入したことを検知しても良い。
【0064】
何れにしても、上記ネットワークカメラ(16)でのリアルタイムに撮影している有害動物やそのトラップ(10)の内外、餌付け(給餌)状態などのライブ画像を監視データ(電子メール)として、上記トラップユニット(T1)~(T4)のネットワーク通信器(27)から通信ネットワーク(インターネット)(N)を介して、捕獲支援センターのクラウドサーバ(S)へ送信するようになっている。
【0065】
尚、図示の実施形態では各トラップユニット(T1)~(T4)のトラップ(10)として、屋根や天井面と床面がない大型の囲い罠を説明したが、その内部へ複数の有害動物を一挙同時に捕獲できる設備であるならば、上記囲い罠のみに限らず、大型の箱罠(檻)や網罠(ドロップネット)、潜り罠、その他の各種設備を採用することができる。
【0066】
次に、上記捕獲支援センターのクラウドサーバ(S)は所謂クラウドコンピューティングサービス/クラウドサービス提供装置を意味するものとして、サービス事業者によって提供されるものであり、そのクラウドサーバ(S)側に用意されたリソースをユーザーが利用することによって、ユーザー側での独自にハードウェアやソフトウェアを持たなくても、データの処理や管理などを支障なく行え、有害動物捕獲システムの構築コストや運用・保守コストなどを大幅に低減できる利点がある。
【0067】
また、多種多様なウェブコンテンツの提供や参照なども容易に行え、更にはクラウドサーバ(S)にアクセスする複数の捕獲ユーザー(A)がコミュニティを形成して、そのコミュニティのユーザー(A)同士がメッセージ交換(チャット)を行ったり、ウェブコンテンツやその他の情報を共有したりすることも可能である。
【0068】
上記クラウドサーバ(S)は複数の地区におけるトラップユニット(T1)~(T4)でのネットワークカメラ(16)により撮影したライブ画像(動画)を監視データとして取得し、捕獲ユーザ(A)に提供するサービスを行うサーバ群であり、図示実施形態のクラウドサーバ(S)は有機的に組み合わされたウェブサーバ(28)とメールサーバ(29)とから成る。
【0069】
ウェブサーバ(28)やメールサーバ(29)は周知のように、CPU(中央処理装置)/制御部や、内部メモリ又は/及びHDDやデータベースなどの外部メモリ/記憶部、入出力ユニット/通信インターフェース部などの適宜組み合わされたコンピューターであり、各々の役割に応じて必要となるOS(オペレーションシステム)やソフトウェアがインストールされていることは言うまでもない。
【0070】
上記クラウドサーバ(S)のウェブサーバ(28)は図6の機能ブロック図に示すようなユーザー管理部(30)、表示画面生成部(31)、会議やチャットなどのメッセージのやり取りを行うメッセージ交換部(32)並びに画像処理部(33)を有している。
【0071】
ユーザー管理部(30)は捕獲ユーザー(A)の認証やユーザー(A)に関する各種情報(ログイン情報)の管理を行い、その各種情報を内部メモリ若しくは外部メモリに登録(保存)又はデータベース(34)に記憶し、捕獲ユーザー(A)からユーザーIDやパスワードの入力によるアクセスを受けるたびに、その正常な捕獲ユーザー(A)であるか否か認証する。
【0072】
上記表示画面生成部(31)は図7のようなログイン画面(35)や図8のようなメニュー画面(36)、図9のような予備情報収集履歴の管理画面(37)、その他の捕獲ユーザー(A)が閲覧する表示画面を生成・編集して、そのユーザー通信端末(U1)~(U4)に送信する。
【0073】
予備情報収集履歴の管理画面(37)は過去の予備情報収集履歴として記憶・保存されている下記情報を一画面での通覧可能に表示し、これを参照することにより、捕獲ユーザー(A)が各地区における有害動物の多少や経時的な出没頭数などを把握することができ、有害動物を効率良く捕獲することに役立てる。
【0074】
その捕獲のために予備収集される情報としては、各トラップユニット(T1)~(T4)毎の経時的に撮影された録画映像と、その時間バー(38)により表示された上記侵入検知センサー(21)並びに周辺検知センサー(23)の反応時刻、捕獲ユーザー(A)同士がメッセージ交換したチャット履歴の内容、上記センサー(21)(23)により検知された頭数から、ウェブサーバ(28)により生成された経時的な有害動物遷移グラフ(39)などを挙げることができる。
【0075】
上記時間バー(38)の反応時刻に図外のカーソルを合わせれば、その時におけるトラップ(10)の内外に居る有害動物の状況を詳しく知ることができ、また有害動物遷移グラフ(39)を図9のような棒グラフとして生成すれば、各地区におけるトラップ(10)の内外に出没する有害動物の頭数を、経時的に把握することが容易となり、状況判断のために役立つ。
【0076】
上記メッセージ交換部(32)は捕獲ユーザー(A)から送信されてきたチャットメッセージを受信し、予め登録されている捕獲ユーザー(A)だけに、そのメッセージを送信する。そのコミュニティを形成している捕獲ユーザー(A)同士が意見交換して、有害動物における最良の捕獲タイミングなどを決定できるようになっている。このような意見交換も今後に役立つ予備情報収集履歴として、内部メモリ又は外部メモリ(データベース)に保存・蓄積されることになる。
【0077】
尚、有害動物の捕獲ユーザー(A)としては実際上、地方公共団体の農林課や獣害対策課などを初め、その団体からの捕獲委託業者やNPO法人などの専門家がふさわしく、地区毎の情報(状況)に詳しい人材を選定することが好ましい。
【0078】
更に、画像処理部(33)は上記トラップユニット(T1)~(T4)における各トラップ(10)のネットワークカメラ(16)により取得された監視データとしてのライブ画像(動画)を、所定のプログラムに基いて解析し、そのトラップ(10)の内部と出入口(11)の付近も含む外部周辺に、如何なる種類の有害動物が居るか否かやその頭数、親子などを確認・判別することになり、捕獲条件を満たしたか否か判断する。
【0079】
ここに、捕獲条件とはトラップ(10)の内部に捕獲すべき有害動物が存在し、しかもその時出入口(11)の付近も含む外部周辺に有害動物が居ない状態を意味し、上記侵入検知センサー(21)並びに周辺検知センサー(23)が検知出力信号を発する条件と同じである。
【0080】
他方、上記ユーザー通信端末(U1)~(U4)としてはパソコン(PC)やタブレット端末、スマートフォンや携帯電話などのモバイル、その他の通信ネットワーク(N)を介して上記クラウドサーバ(S)並びにトラップユニット(T1)~(T4)と通信できる機器であれば足り、図10のようなCPUなどの中央制御部(40)とネットワーク通信部(41)、タッチパネルやキーボード、マウスなどの操作入力部(42)、上記ネットワークカメラ(16)が撮影したライブ画像などの出力部(表示部)(43)とを備えている。尚、パソコン端末は上記監視データを印刷できるプリンターや同じく監視データを取り込めるスキャナーなどを具備していても良い。
【0081】
図11は上記予備情報収集並びに手動捕獲モードの動作シーケンス図であり、有害動物を効率良く捕獲するための予備情報収集に当っては、各地のトラップユニット(T1)~(T4)における監視用ネットワークカメラ(16)からクラウドサーバ(S)の就中ウェブサーバ(28)へ、トラップ(10)やその内外に居る有害動物、餌付け状態などの撮影されたライブ画像(動画)が、監視データとして常時配信中にあり、そのウェブサーバ(28)への集中的に受信されたライブ画像(動画)が、録画映像としてウェブサーバ(28)に記憶・保存される。
【0082】
つまり、捕獲ユーザー(A)が就労している昼間のみならず、有害動物が出没する夜間/捕獲ユーザー(A)が就寝している夜間でも、上記トラップ(10)やその内外に居る有害動物、餌付け状態などの撮影は行われており、そのライブ画像(動画)が取得されていると共に、その過程では有害動物の侵入検知センサー(21)や周辺検知センサー(23)が反応することもあり、その反応時刻なども取得され、すべて監視データ(予備情報)として上記ウェブサーバ(28)に記憶・保存されることになる。
【0083】
そこで、捕獲ユーザー(A)は翌日の昼間に、各自ユーザー通信端末(U1)~(U4)を用いて、図7のように表示されたログイン画面(35)からログイン情報を入力し、上記クラウドサーバ(S)のウェブサーバ(28)にアクセスする。
【0084】
そうすれば、図12のフローチャートに示す如く、そのウェブサーバ(28)のユーザー管理部(30)が上記ユーザー通信端末(U1)~(U4)からのユーザーIDやパスワードに基いて、そのログインしたユーザーが有害動物捕獲システムの捕獲ユーザー(A)であるか否かを認証する。
【0085】
そして、その認証が正常に行われると、上記捕獲ユーザー(A)の通信端末(U1)~(U4)には図8のような捕獲システムのメニュー画面(36)が表示されるので、その複数ある中から選択して閲覧するのであるが、先ずそのメニュー画面(36)の「予備情報収集履歴の管理画面」をクリックして、ユーザー通信端末(U1)~(U4)に表示された図9のような予備情報収集履歴の管理画面(37)を閲覧し、その間には上記侵入検知センサー(21)や周辺検知センサー(23)が反応しても、そのトラップ(10)に侵入した有害動物を捕獲せず、その有害動物の警戒を解くと共に、予備情報の収集に努める。
【0086】
つまり、予備情報の収集中には後述の自動捕獲ボタンはもとより、手動捕獲ボタンもクリック(捕獲操作)せず、トラップ(10)に侵入した有害動物を侵入検知センサー(21)の反応作用に慣れさせると共に、その出入口(11)の外部周辺に居る有害動物を周辺検知センサー(23)の反応作用に慣れさせて、捕獲上有効な餌付け状態を確保するのであり、その間トラップ(10)の内部に居る有害動物の侵入検知センサー(21)により検知されたIN頭数と、トラップ(10)の外部周辺に居る有害動物の周辺検知センサー(23)により検知されたOUT頭数が、ウェブサーバ(28)の表示画面生成部(31)において、図9のような時系列の有害動物遷移グラフ(38)に生成されるようになっている。
【0087】
そのため、捕獲ユーザー(A)としては上記録画映像を閲覧して、その予備情報収集履歴の管理画面(37)における上記有害動物遷移グラフ(39)から、各トラップユニット(T1)~(T4)毎に出没する有害動物の頭数や時間、その他の特殊状況などを判断することができ、有害動物捕獲システムにおける稼働時間の浪費を予防することにも役立つ。
【0088】
次に、上記有害動物捕獲システムの作用を図11~15に基いて説明する。
【0089】
捕獲システムを構成する各地のトラップユニット(T1)~(T4)では、その監視用ネットワークカメラ(16)によるトラップ(10)の内部や外部周辺の撮影が行われており、その撮影したライブ画像(動画)が監視データとして、ネットワーク通信器(27)からインターネット(N)を介して捕獲支援センターにおけるクラウドサーバ(S)の就中ウェブサーバ(28)へ送信されている。
【0090】
つまり、同じ地方公共団体内などの各地区に設置された複数のトラップユニット(T1)~(T4)から取得した上記監視データが、すべてクラウドサーバ(S)のウェブサーバ(28)へ集中的に受信(集録)され、捕獲ユーザー(A)がいつでも閲覧(モニタリング)できる状態にある。上記ライブ画像(動画)はそのウェブサーバ(28)の内部メモリ又は外部メモリ(データベース)に記憶・保存され、録画映像として今後の捕獲に役立つ予備情報となる。
【0091】
そこで、捕獲ユーザー(A)が有害動物の捕獲作業を開始するに当っては、各自の所持するユーザー通信端末(U1)~(U4)を用いて、図7のように表示されたログイン画面(35)からログイン情報を入力して、上記クラウドサーバ(S)のウェブサーバ(28)にアクセスする。
【0092】
そうすれば、図12のフローチャートに示す如く、ウェブサーバ(28)のユーザー管理部(30)が上記ユーザー通信端末(U1)~(U4)からのユーザーIDやパスワードに基いて、そのログインしたユーザーが捕獲システムにおける正常な捕獲ユーザー(A)であるか否かを認証する。
【0093】
そして、上記ユーザー認証が行われると、その捕獲ユーザー(A)の通信端末(U1)~(U4)には図8のような捕獲システムのメニュー画面(36)が表示されるので、その複数ある中から選択し閲覧すれば良い。
【0094】
そのメニュー画面(36)に並ぶボタン群のうち、「全トラップのマルチ画面」を選びクリックすると、ユーザー通信端末(U1)~(U4)には図13のような全トラップのマルチ画面(44)が表示され、各地区に設置されている複数のトラップユニット(T1)~(T4)について、そのすべての上記ライブ画像(動画)を一挙同時に通覧することができ、その地区毎の相違する状況や特徴、総合的な判断材料などの知得に役立つ。
【0095】
また、「択一トラップのシングル画面」を選んでクリックすると、同じくユーザー通信端末(U1)~(U4)には図14のような択一トラップのシングル画面(45)が表示され、その選択した1地区だけのトラップユニット(T1)について、そのライブ画像(動画)をあたかもズームアップする如く詳細に閲覧することができる。
【0096】
「捕獲ユーザー(A)の登録表」をクリックすると、やはりユーザー通信端末(U1)~(U4)にはそのユーザー登録表(図示省略)が示されるので、これから捕獲ユーザー(A)全員の氏名やメールアドレス、その担当する地区のトラップユニット(T1)~(T4)などを通覧することができ、チャットでのメッセージ交換上役立つ。
【0097】
尚、図9の予備情報収集履歴の管理画面(37)における録画映像や時間バー(38)、有害動物遷移グラフ(39)を閲覧することにより、各トラップ(10)の内部やその外部周辺に居る有害動物の頭数や時間、餌付け状態などを知得することができる。
【0098】
上記捕獲ユーザー(A)は誰でもメニュー画面(36)の「全トラップのマルチ画面」と「択一トラップのシングル画面」をクリックすることにより、その全トラップのマルチ画面(44)と択一トラップのシングル画面(45)から、トラップユニット(T1)~(T4)のすべてと任意な1地区のトラップユニット(T1)~(T4)におけるライブ画像(動画)を閲覧することができ、そのチャットでの意見交換に参加し得るが、特に捕
獲ユーザー(A)としてはすべてのトラップユニット(T1)~(T4)における監視データを、全体的に通覧することから始めることが望ましい。
【0099】
尚、複数のトラップユニット(T1)~(T4)を管理している捕獲ユーザー(A)は、全トラップのマルチ画面(44)から自分の管理している複数のトラップユニット(T1)~(T4)におけるライブ画像(動画)を閲覧することになる。
【0100】
そして、何れにしても手動捕獲モードを示す図11の動作シーケンスと図15のフローチャートから明白なように、上記トラップユニット(T1)~(T4)の侵入検知センサー(21)並びに周辺検知センサー(23)から、そのトラップ(10)の内部に侵入した有害動物の存在と、出入口(11)付近も含む外部周辺における有害動物の不存在を検知した出力信号が電子メール(侵入メール)として、そのネットワーク通信器(27)と通信ネットワーク(インターネット)(N)並びにクラウドサーバ(S)のメールサーバ(29)を介して、捕獲ユーザー(A)の所持する通信端末(U1)へ送信されてきた時には、その該当するトラップユニット(T1)~(T4)の監視用ネットワークカメラ(16)による撮影中のライブ画像(動画)を、そのメニュー画面(36)における「択一トラップのシングル画面」のクリックにより、択一トラップのシングル画面(45)を閲覧しながら、その有害動物の捕獲すべき目標頭数に達したか否かを目視観察して、その達したならば、これを捕獲すべく、その択一トラップのシングル画面(45)上に並列設置されている「手動捕獲」ボタン(46)と「自動捕獲」ボタン(47)のうち、その「手動捕獲」ボタン(46)をクリック(捕獲操作)する。
【0101】
このような「手動捕獲」ボタン(46)と「自動捕獲」ボタン(47)は図13に示す如く、全トラップのマルチ画面(44)上にも設置されているため、複数のトラップユニット(T1)~(T4)を管理している捕獲ユーザー(A)としては、その全トラップのマルチ画面(44)における「手動捕獲」ボタン(46)をクリック(捕獲操作)することも可能である。
【0102】
そうすれば、図11に示す如く、その「手動捕獲」ボタン(46)のクリック(捕獲操作)による有害動物の捕獲命令信号が、その捕獲ユーザー(A)の通信端末(U1)から通信ネットワーク(N)とクラウドサーバ(S)のウェブサーバ(28)並びに該当するトラップユニット(T1)~(T4)のネットワーク通信器(27)を介して、そのトラップユニット(T1)~(T4)の制御装置(マイクロコントローラー)(20)へ送信され、その制御装置(20)がトラップ(10)の開閉扉用トリガー(19)を出入口(11)の閉扉状態に作動(解放/自重落下)させることとなり、その内部に目標頭数の有害動物を捕獲することができる。
【0103】
そして、有害動物を捕獲したならば、その捕獲した旨がクラウドサーバ(S)のメールサーバ(29)から捕獲ユーザー(A)の通信端末(U1)へメール送信されるので、これを確認した捕獲ユーザー(A)が、駆除(止め刺し)担当者へ捕獲した有害動物の止め刺し処理を要請したり、餌付け(給餌)担当者へ次回の捕獲準備となる餌付け(給餌)を要請したりすれば良い。
【0104】
図11、15のような上記手動捕獲モードの運用中は、トラップユニット(T1)~(T4)の監視用ネットワークカメラ(16)による撮影中のライブ画像(動画)を、捕獲ユーザー(A)の通信端末(U1)~(U4)において閲覧しながら、その有害動物の侵入メールを受信した時の総合的な状況判断に基いて、「手動捕獲」ボタン(46)をクリック(捕獲操作)して、有害動物を遠隔的に捕獲制御するようになっているため、捕獲ユーザー(A)が就寝中の夜間であったり、また昼間でも平日には捕獲した有害動物の駆除(止め刺し)や餌付け(給餌)のために、トラップ(10)の設置現場へ行けなかったりすると、特に夜行性有害動物を効率よく多量に捕獲することができない。
【0105】
その対応策として、本発明に係るクラウド型の有害動物捕獲システムでは図16のような自動捕獲モードの運用も行えるようになっており、その全トラップのマルチ画面(44)や択一トラップのシングル画面(45)上にある「自動捕獲」ボタン(47)をクリック(スイッチオン操作)しておけば、自動捕獲モードとして捕獲ユーザー(A)の就寝中である夜間でも、また自分や関係者(駆除担当者や餌付け担当者など)におけるスケジュールの都合が悪い平日の昼間でも、有害動物を常に効率よく多量に捕獲することができる。
【0106】
即ち、有害動物捕獲システムの自動捕獲モードを運用して、その有害動物を捕獲する場合には、やはり図9の予備情報収集履歴の管理画面(37)における録画映像や有害動物遷移グラフ(39)などを閲覧することにより、各地区毎に収集した有害動物の出没頭数や時間、餌付け状態、その他の予備情報に基いて、その適当な捕獲目標頭数(例えばジビエに必要な5頭)や自動捕獲の時間帯(例えば22:00~5:00)などを設定・入力し、「自動捕獲」ボタン(47)をクリック(スイッチオン操作)しておけば良い。
【0107】
そうすれば、図16の動作シーケンスと図17のフローチャートから明白なように、トラップユニット(T1)~(T4)の侵入検知センサー(21)並びに周辺検知センサー(23)から、そのトラップ(10)の内部に有害動物が少なくとも目標の捕獲頭数だけ侵入(存在)しており、しかもその時出入口(11)の付近も含む外部周辺には有害動物が居ないという捕獲条件を満たした検知出力信号が、そのネットワーク通信器(27)と通信ネットワーク(インターネット)(N)を介して、クラウドサーバ(S)のウェブサーバ(28)へ送信された時には、そのウェブサーバ(28)から該当するトラップユニット(T1)~(T4)の制御装置(マイクロコントローラー)(20)へ開閉扉用トリガー(19)の作動制御信号を伝送し、そのトリガー(19)が出入口(11)の開閉扉(13)を自重落下させて、そのトラップ(10)の内部に目標頭数の有害動物を捕獲することができる。
【0108】
そして、捕獲したならば、やはりその旨がクラウドサーバ(S)のメールサーバ(29)から捕獲したユーザー(A)の通信端末(U1)へ送信されるので、そのユーザー(A)は起床した翌日やスケジュースの好都合な日中に、捕獲した有害動物の駆除(止め殺し)担当者へ止め殺し処理を要請したり、また餌付け(給餌)担当者に次回の捕獲準備となる餌付け(給餌)を要請したりすれば良い。
【0109】
更に、図18図16と対応する動作シーケンス図の変形実施形態を示しており、図16の上記自動捕獲モードでは有害動物の捕獲条件を満たしたか否かの判定要素として、トラップユニット(T1)~(T4)の各トラップ(10)に設置されている侵入検知センサー(21)と、これに基き起動する周辺検知センサー(23)の検知出力信号を用いているが、図18の変形実施形態に示す有害動物の自動捕獲モードでは、その捕獲条件を満たしたか否かの判定要素として、上記センサー(21)(23)の検知出力信号に代え、クラウドサーバ(S)のウェブサーバ(28)が行う画像解析処理を用いている。
【0110】
つまり、クラウドサーバ(S)の就中ウェブサーバ(28)は図6の機能ブロック図に示す画像処理部(33)を備えており、上記トラップユニット(T1)~(T4)における各トラップ(10)のネットワークカメラ(16)により取得された監視データとしてのライブ画像(動画)を、所定のプログラムに基き解析処理して、そのトラップ(10)の内部に捕獲すべき目標頭数の有害動物が居るか否かと、しかもその居る時にトラップ(10)の外部周辺には、有害動物が居るか否かとを認識・判別するようになっているのである。
【0111】
そして、その画像処理の結果、トラップ(10)の内部に捕獲すべき目標頭数の有害動物が存在し、しかもその時トラップ(10)の出入口(11)付近も含む外部周辺に有害動物が存在しないと判定されれば、これが言わば捕獲命令信号として、クラウドサーバ(S)のウェブサーバ(28)から当該トラップ(10)の制御装置(マイクロコントローラー)(20)へ伝送され、その制御装置(10)が上記開閉扉用トリガー(19)を解放(開閉扉を自重落下)すべく作動制御することになり、やはり有害動物の目標頭数を捕獲することができる。その他の作用は図16、17の自動捕獲モードと実質的に同一であるため、その詳細な説明を省略する。
【0112】
尚、上記手動捕獲モードと自動捕獲モードとの何れを運用して、有害動物を捕獲する場合にあっても、その全トップのマルチ画面(44)と択一トラップのシングル画面(45)には、各地区の捕獲設備であるトラップユニット(T1)~(T4)と、これらとの通信ネットワーク(インターネット)(N)を介して接続されたクラウドサーバ(S)などの稼働時間(例えば23:00~5:00)や毎日/1日のスケジュールを設定できる操作入力部も具備されている。
【0113】
そのため、例えば毎日の決まった時間になれば、自動捕獲ボタン(47)をクリック(スイッチオン操作)して、自動捕獲モードの運用を行ったり、日曜の早朝しか駆除(止め殺し)処理に出向できない時には、前日(土曜)の夜間だけ自動捕獲するようにスケジュールを組んだりすることができ、使用上の利便性と省電力化に役立つのである。
【符号の説明】
【0114】
(10)・トラップ
(11)・出入口
(13)・開閉扉
(16)・ネットワークカメラ
(17)・制御ボックス
(19)・トリガー
(20)・制御装置(マイクロコントローラー)
(21)・侵入検知センサー
(23)・周辺検知センサー
(24)・扉吊持索条
(25)・磁性体
(27)・ネットワーク通信器
(28)・ウェブサーバ
(29)・メールサーバ
(30)・ユーザー管理部
(31)・表示画面生成部
(32)・メッセージ交換部
(33)・画像処理部
(34)・データベース
(35)・ログイン画面
(36)・メニュー画面
(37)・予備情報収集履歴の管理画面
(38)・時間バー
(39)・有害動物遷移グラフ
(40)・中央制御部
(41)・ネットワーク通信部
(42)・操作入力部
(43)・出力部(表示部)
(44)・全トラップのマルチ画面
(45)・択一トラップのシングル画面
(46)・手動捕獲ボタン
(47)・自動捕獲ボタン
(A)・捕獲ユーザー
(N)・通信ネットワーク
(S)・クラウドサーバ
(T1)(T2)(T3)(T4)・トラップユニット
(U1)(U2)(U3)(U4)・ユーザー通信端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18