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特許7165408シラス細骨材を用いたコンクリートの製造方法およびコンクリート用細骨材の製造方法
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  • 特許-シラス細骨材を用いたコンクリートの製造方法およびコンクリート用細骨材の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-26
(45)【発行日】2022-11-04
(54)【発明の名称】シラス細骨材を用いたコンクリートの製造方法およびコンクリート用細骨材の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C04B 14/14 20060101AFI20221027BHJP
   C04B 20/00 20060101ALI20221027BHJP
   C04B 28/02 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
C04B14/14 ZAB
C04B20/00 B
C04B28/02
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019238880
(22)【出願日】2019-12-27
(65)【公開番号】P2021107303
(43)【公開日】2021-07-29
【審査請求日】2021-07-06
(73)【特許権者】
【識別番号】519148998
【氏名又は名称】鹿児島菱光コンクリート株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100133271
【弁理士】
【氏名又は名称】東 和博
(72)【発明者】
【氏名】江夏 洋
【審査官】手島 理
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-094513(JP,A)
【文献】特開平06-056490(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 2/00 - 32/02
C04B 40/00 - 40/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シラス細骨材を用いたコンクリートの製造方法であって、
シラス堆積物から粒径5mm以上の軽石を5~30%含むシラスを採取するシラス採取工程と、採取されたシラスを粒径5mm以上の軽石と一緒に床面上に供給し、振動ローラを用いて、振動を付与しながらその上を回転ローラで前後動作させることにより粉砕および磨り潰して粒径5mm未満の整粒されたシラス粒状体を得る整粒工程と、整粒工程で得られたシラス粒状体を含むシラスを目開き5mmの篩に通過させ、シラス細骨材を得る篩分け工程と、得られたシラス細骨材を、セメント、水、混和剤と混合してコンクリートを得る混合工程を備えることを特徴とするシラス細骨材を用いたコンクリートの製造方法。
【請求項2】
コンクリート用細骨材の製造方法であって、
シラス堆積物から粒径5mm以上の軽石を5~30%含むシラスを採取するシラス採取工程と、採取されたシラスを粒径5mm以上の軽石と一緒に床面上に供給し、振動ローラを用いて、振動を付与しながらその上を回転ローラで前後動作させることにより粉砕および磨り潰して粒径5mm未満の整粒されたシラス粒状体を得る整粒工程と、整粒工程で得られたシラス粒状体を含むシラスを目開き5mmの篩に通過させ、シラス細骨材を得る篩分け工程を備えることを特徴とするコンクリート用細骨材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シラス細骨材を用いたコンクリートの製造方法およびコンクリート用細骨材の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建築土木分野では、主要材料にコンクリートが幅広く用いられている。コンクリートは、セメントに骨材として砂、砂利、砕石を混ぜ合わせて水練りしたもので、水和熱反応により時間とともに硬化する。セメントは、石灰と粘土だけで焼成したポルトランドセメント、高炉セメントやシリカセメント、石灰スラグなどを混合した混合セメントなどの種類がある。骨材のうち砂を細骨材、砂利を粗骨材と呼ぶ。細骨材に用いられる砂は、主に河川から川砂を採取してきたが、コンクリート需要の増大、河川の環境保全により、現在は山砂や海砂の使用が主流となっている。
【0003】
西日本では海砂が主流であるが、近年は漁業に対する影響や環境保全から海砂の採取に対しても規制を設ける地域が増える傾向にある。海砂は洗浄してから細骨材に使用するが、海水に含まれる塩分を完全には除去できないという問題がある。かかる背景から、細骨材の材料として九州南部に広く分布するシラスが着目されている。
【0004】
従来より、シラスに着目した提案として、シラスを骨材に用いた高圧プレス成形体およびその製造方法(特許文献1)、軽量シラス基盤およびその製造方法(特許文献2)、シラスコンクリート装飾材およびその製造方法(特許文献3)などが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2003-192415号公報
【文献】特開2003-245012号公報
【文献】特開2005-7667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本出願人は、上記従来技術に鑑み、シラス細骨材を用い、良好な自己充填性と長期耐久性に優れた建築構造用コンクリートの製造方法について、先に、特許出願(特願2019-81436号)を行った。
【0007】
シラス堆積物の採取シラスには粒径5mm以上の軽石が含まれため、従来、シラスを細骨材に使用するには、シラス堆積物の採取シラスを目開き5mmの篩(ふるい)にかけ、篩上に残る粒径5mm以上の軽石は産業廃棄物として処分しなければならなかった。このため、シラスの利用を進めるには、篩上に残る粒径5mm以上の軽石の処理処分という課題を解決する必要があった。
【0008】
本発明者らは、鋭意研究した結果、篩上に残る5mm以上の粒径の軽石を産業廃物以外の方法で処理できる方法を見出し、当該方法を用いた製造方法について本発明を完成するに至った。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、シラスをコンクリートの細骨材に用いるにあたり廃棄物の大幅削減を図れ、同時にコンクリート性能の向上を図れる、コンクリートの製造方法を提供すること、また、コンクリート用細骨材の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、
本発明は、シラス細骨材を用いたコンクリートの製造方法であって、
シラス堆積物から粒径5mm以上の軽石を5~30%含むシラスを採取するシラス採取工程と、採取されたシラスを粒径5mm以上の軽石と一緒に床面上に供給し、振動ローラを用いて、振動を付与しながらその上を回転ローラで前後動作させることにより粉砕および磨り潰して粒径5mm未満の整粒されたシラス粒状体を得る整粒工程と、整粒工程で得られたシラス粒状体を含むシラスを目開き5mmの篩に通過させ、シラス細骨材を得る篩分け工程と、得られたシラス細骨材を、セメント、水、混和剤と混合してコンクリートを得る混合工程を備えることを主要な特徴とする。
【0013】
本発明は、混合工程において、セメント270~600kg、水185~200kg、シラス細骨材300~700kg、粗骨材800~1300kg、混和剤を配合することを第4の特徴とする。ここで、水セメント比は30~70%、混和剤はセメント使用量の0.50~5.00%とする。
【0014】
本発明は、コンクリート用細骨材の製造方法であって、
シラス堆積物から粒径5mm以上の軽石を5~30%含むシラスを採取するシラス採取工程と、採取されたシラスを粒径5mm以上の軽石と一緒に床面上に供給し、振動ローラを用いて、振動を付与しながらその上を回転ローラで前後動作させることにより粉砕および磨り潰して粒径5mm未満の整粒されたシラス粒状体を得る整粒工程と、整粒工程で得られたシラス粒状体を含むシラスを目開き5mmの篩に通過させ、シラス細骨材を得る篩分け工程を備えることを主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、これまで産業廃棄物として処理処分していた採取シラスに含まれる軽石をシラス細骨材に有効活用でき、シラスのコンクリート細骨材への利用に伴う産業廃棄物の発生を大幅に削減し、また、シラス細骨材の製造コストを大幅に低減しながら、未利用資源のシラスを活用し、良好な自己充填性をもち、かつ、長期耐久性に優れたシラスコンクリートを得ることができるという効果を奏する。
【0016】
また、本発明によると、採取シラスを軽石と一緒に破砕および磨り潰して整粒されたシラス粒状体にするから、シラスの粒形状が改善され、コンクリートの流動性が向上し、また、粒度分布の偏りが改善されてコンクリートのフレッシュ性状の持続に寄与し、性能の優れたシラスコンクリートを得ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係るシラスコンクリートを製造するフロー図、
図2】本発明に係るシラス細骨材を製造するフロー図、
図3】本発明に係るシラスコンクリートの配合例を示す図、
図4】本発明に係るシラス細骨材の粒度分布の割合を示す図
図5】整粒されたシラス細骨材を示す図で(A)は50倍、(B)は250倍の拡大図、
図6】比較例として未整粒のシラス細骨材を示す図で(A)は50倍、(B)は250倍の拡大図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しながら説明する。図1ないし図6は本発明に係る一実施形態を示すもので、図1は本発明に係るシラスコンクリートの製造手順を示すフロー図、図2は本発明に係るシラス細骨材の製造手順を示すフロー図である。これらの図を参照しながら、本発明に係るシラスコンクリートの製造手順を以下に説明する。
【0019】
(シラスの採取)
図2のフローに従い、最初にシラス堆積物からシラスを採取する。シラスは火砕流堆積物の一種であり、産地として例えば入戸火砕流、阿多火砕流の一次堆積シラス層から採取する。シラスの化学組成は、SiO、Al、CaO、Fe、KOを含む。当該産地で採取されるシラスの物性値は、凡そ、表乾密度2.1~2.3(g/cm3)、吸水率2.5~11.3(%)、粗粒率1.1~2.1、実積率47~64(%)、微粒分量16~28(%)である。
【0020】
シラス堆積物は、灰白系の火山灰粒子と大小の軽石が混ざり合って堆積されている。入戸火砕流堆積物(一次堆積物)の場合、粒径2.5mm未満の粒子が約65~90%、粒径2.5mm~5mm未満の粒子が約3~35%、粒径5mm以上の軽石が約5~30%である。
【0021】
シラス堆積物から最初にシラスの採取検査を行い(雨天時やその直後の高含水率のシラスは採取しない)、次いで受入れ目視検査を行う(目視で土砂、雑物の混入を避ける)。
【0022】
(シラスの乾燥)
次に、受入れ検査後のシラス(大小の大きさの軽石を含む。大小の大きさの軽石を含むシラスを採取シラスという。)は、乾燥場に搬入し、天日により自然乾燥させる。
【0023】
(シラス、軽石の粉砕、磨り潰し)
受入検査後、採取シラス(特に軽石)の粉砕、磨り潰し作業を行う。当該作業は軽石が粒径5mm未満の整粒された粒状体となるように行う。粉砕、磨り潰し手段として、ボールミル、ロールミル、クラッシャー、コーンクラッシャー、磨砕機、振動ローラ等を用いる。粉砕、磨り潰しにより、シラスの粒形状が改善される(いびつな粒形状が丸くなり、角がとれる)。
【0024】
ボールミルは、粉砕機の一つで、円筒形の容器に採取シラスと、鉄球やセラミック球を投入して回転させ、球と容器内面との間で採取シラスに含まれる軽石をシラス粒子と一緒にすり潰して粒状に粉砕し、粒径5mm未満の粒状体に整粒する。ロールミルは、粉砕機の一つで、回転数の異なる2本または3本のロールの間に採取シラスを通過させ、ロール間の圧縮作用とせん断作用によって軽石をシラス粒子と一緒に粉砕して粒状体とし、粒径5mm未満の粒状体に整粒する。
【0025】
クラッシャーは、破砕機の一つで、ハンマークラッシャーは、供給口から採取シラスを投入して高速回転するハンマーで強打し、軽石を中心に5mm未満の粒径に小さくなるまで破砕し、粒径5mm未満の粒状体に整粒する。ロールクラッシャーは、回転する鬼歯ロールと受歯の間、回転する2本の鬼歯ロール間に採取シラスを投入し、軽石を中心に5mm未満の粒径に小さくなるまで破砕し、粒径5mm未満の粒状体に整粒する。後者のロールクラッシャーは隙間を調整して、採取シラスに含まれる軽石を容易に粒径5mm未満の粒状体に整粒可能である。コーンクラッシャーもある。
【0026】
磨砕機は、粉砕機の一つで、例えば回転式石臼と、擂潰機(らいかいき)がある。前者は上臼の投入口から採取シラスを投入して下臼との接触面でせん断や摩擦により採取シラスに含まれる軽石をシラス粒子と一緒にすり潰して粒状に粉砕し、粒径5mm未満の粒状体に整粒する。後者はわん型のすり鉢の中を電動で駆動する2~3本のすり棒が旋回しながら回転し、投入した採取シラスを磨砕して、粒径5mm未満の粒状体に整粒する。
【0027】
振動ローラは、コンクリート等の硬い床面上に採取シラスを供給し、振動を付与しながらその上を回転ローラが前後動し、採取シラスに含まれる軽石をシラス粒子と一緒に粒状に粉砕し、粒径5mm未満の粒状体に整粒する。以上の手段は例示であり、他の粉砕手段、磨り潰し手段を用いてよい。
【0028】
(シラスの篩分け)
次に、整粒されたシラス(以下、整粒シラスという)を、目開き5mmの篩(ふるい)を備えた振動篩機を用いて篩分けする。目開き5mmの篩を通過した整粒シラスを細骨材とする。このとき目開き5mmの篩を通過する整粒シラスは略100%であり、篩上に残るシラスをほぼ削減できる。
【0029】
(シラス細骨材の製造)
次に、篩分け後の整粒シラスを受入れ精密検査する。表乾密度1.8~2.7g/cm、絶乾密度1.0g/cm以上、吸水率15.0%以下、粗粒率1.0~7.0%、平均粒径0.15mm以下の微粒分量10%以上の各基準に合格した整粒シラスを細骨材(以下、「整粒シラス細骨材」という)とする。
【0030】
(シラス細骨材の保管)
上記のようにして製造された整粒シラス細骨材を、コンテナバッグに収容し屋根付き貯蔵ヤードに搬送する。貯蔵ヤードに保管しない場合は供給ヤードに搬送する。
【0031】
(シラス細骨材、他の材料の搬送、計量)
次に、図1のフローに示すように、貯蔵ヤードから整粒シラス細骨材および粗骨材を、セメントサイロからセメントを、それぞれプラント上部の貯蔵部に搬送し、それぞれ計量部を通してプラント下部のミキサへ送る。さらに水と混和剤を貯蔵タンクから計量部を通してミキサに送る。
【0032】
(シラスコンクリートの製造)
ミキサに送られる各材料(セメント、シラス細骨材、粗骨材、水、混和剤)は予め決められた配合量となるようにコンピュータで制御される。
【0033】
各材料の配合割合は、所定のコンクリート性能を満たすように、設計基準強度を18~36N/mm、水セメント比を30~70%とし、セメント250~600kg、水160~220kg、整粒シラス細骨材300~700kg、粗骨材800~1300kgの範囲で選択し、混和剤はセメント使用量の0.50~5.00%とし、混和剤はAE減水剤、高性能AE減水剤から選択する。
【0034】
ミキサ内で各材料を混錬すると、流動性の高いシラスコンクリートが得られる。図3に得られたシラスコンクリートの配合例を示す。
【0035】
(シラスコンクリートの搬送)
得られたシラスコンクリートは、下部の積込みホッパから直下のミキサ車に移し替えられ、プラントからコンクリート打設現場へ搬送される。
【0036】
(シラス細骨材の評価)
図4は、入戸火砕流堆積物から採取されたシラス(粒径5mm以上の軽石を5~30%含む)に基づく複数種類の整粒シラス細骨材の粒度分布を示している。発明者らはJISZ8815の篩分け試験方法に従い、5種類の篩(開き目5.0mm、2.5mm、1.2mm、0.6mm、0.3mm)を上下に重ねて、各整粒シラス細骨材を500gずつ上から投入し、一定時間(3~5分間)全篩に振動を与え、各篩の上に残るシラス細骨材の粒子量をそれぞれ計測した。また、比較例として、上記採取シラスから整粒工程を省略したシラス細骨材について同様の測定を行った。
【0037】
測定の結果、本発明の整粒シラス細骨材は、粒径0.15mm未満が35%、0.15~0.3mm未満が15~25%、0.3~0.6mm未満が15~30%、0.6~1.2mm未満が10~20%、1.2~2.5mm未満が5~10%、2.5mm~5.0mm未満が0~10%、5mm超が0%であった。比較例のシラス細骨材は、粒径0.15mm未満が35%、0.15~0.3mm未満が15~25%、0.3~0.6mm未満が15~30%、0.6~1.2mm未満が10~20%、1.2~2.5mm未満が5~20%、2.5mm~5.0mm未満が0~15%、5mm超が0%であった。
【0038】
本発明の整粒シラス細骨材の粒度分布は、比較例のシラス細骨材の粒度分布と比較すると、1.2~2.5mm未満、2.5~5.0mm未満で若干の違いが見られるが、総じて、比較例と同等にまんべんなく均一に分布しており、本発明の整粒シラス細骨材は、コンクリート細骨材として、比較例のシラス細骨材と同等の評価を期待できることが分かった。
【0039】
図5および図6は、本発明の整粒シラス細骨材と比較例のシラス細骨材の拡大図を示している。(A)は50倍拡大図、(B)は250倍拡大図である。比較例のシラス細骨材の試料は、いびつな形状の粒子が多く見られ(図6(A))、また、角が尖った粒子が多く見られるが(図6(B))、本発明の整粒シラス細骨材の試料は、粒形状が改善され、粒子の角が丸く潰れていることが分かる(図5(A)(B))。本発明の整粒シラスは破砕または磨り潰しにより角が取れ、表面が丸く潰れるためであると考えられる。これにより、本発明の整粒シラス細骨材は、比較例のシラス細骨材と比べて、コンクリートの流動性向上とフレッシュ性状の持続を期待できることが分かった。
【0040】
本発明の整粒シラス細骨材を用いるシラスコンクリートは、上で述べた整粒シラス細骨材の評価および試料の分析により、通常のシラス細骨材を用いるシラスコンクリート、ひいては細骨材にシラスを用いない普通コンクリートと同等の強度と耐久性(中性化、凍結融解抵抗性など)を備え、さらに、耐久性については普通コンクリートよりも長期の高耐久性を期待できることが判った。
【0041】
本発明の整粒シラス細骨材を用いるシラスコンクリートは、従来廃棄処分していた粒径5mm以上の軽石を粉砕、すり潰しにより細粒化し、他のシラス粒子と混ぜて細骨材に用いるから、廃棄分の発生量をほぼ削減でき、シラスの利用にともなう廃棄物の発生、処理処分の問題をほぼ無くすことができるようになった。
【0042】
本発明の整粒シラス細骨材を用いるシラスコンクリートは、軽石を他のシラス粒子と一緒に粉砕、すり潰しすることによって、細骨材の粒度分布が均一化し、また、シラス粒子の角がとれてシラス粒子の粒形状が改善され、これにより、製造されたコンクリートの流動性向上、フレッシュ性状の持続に寄与し、良好な流動性、型枠内の良好な自己充填性の発揮に貢献することができた。
【0043】
本発明のシラス細骨材の製造方法は、採取シラスに含まれる軽石を篩上に分離し廃棄処分することなく、他のシラス粒子と一緒に粉砕、すり潰すようにしているので、シラス細骨材の製造コストを低減し、ひいてはシラスコンクリートの製造コストの低減を図ることができる。
【0044】
本実施形態のシラスコンクリートは土木用途に限らず、建築構造用途(壁、屋根、柱、梁など)にも適している。
【0045】
かくして、本発明によると、これまで産業廃棄物として処理処分せざるを得なかったシラス堆積物に含まれる粒径5mm以上の軽石を粉砕、すり潰して細粒化および整粒化し、これをシラス細骨材に用いることで、産業廃棄物の発生、処理処分といった問題を解消しながら、流動性、フレッシュ性状の持続に優れ、長期耐久性に優れたシラスコンクリートを実現でき、シラスの有効利用の促進を図ることができるようになった。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、シラス細骨材を用いたコンクリートの製造方法として、コンクリート用細骨材の製造方法として利用可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6