(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-26
(45)【発行日】2022-11-04
(54)【発明の名称】実装装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/60 20060101AFI20221027BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
H01L21/60 311T
H01L21/68 A
(21)【出願番号】P 2021536916
(86)(22)【出願日】2020-07-15
(86)【国際出願番号】 JP2020027468
(87)【国際公開番号】W WO2021020124
(87)【国際公開日】2021-02-04
【審査請求日】2021-05-24
(31)【優先権主張番号】P 2019137696
(32)【優先日】2019-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】519294332
【氏名又は名称】株式会社新川
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 聖
(72)【発明者】
【氏名】歌野 哲弥
(72)【発明者】
【氏名】瀬山 耕平
【審査官】堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/075262(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/161891(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/028254(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/143330(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/038811(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60
H01L 21/677
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のボンディングステーションであって、それぞれが、基板ウェハに半導体チップをボンディングするボンディング装置と、前記ボンディング装置に半導体チップを供給するチップ供給装置と、を有する、複数のボンディングステーションと、
前記複数のボンディングステーションそれぞれに対して前記基板ウェハを供給および前記複数のボンディングステーションそれぞれから前記基板ウェハを回収するべく、前記基板ウェハを搬送する単一のウェハ搬送装置と、
を備え
、
前記複数のボンディングステーションそれぞれの前記ボンディング装置は、前記ウェハ搬送装置に隣接して配置され、
前記複数のボンディングステーションそれぞれの前記チップ供給装置は、前記ボンディング装置を挟んで前記ウェハ搬送装置の反対側に配置されている、
ことを特徴とする実装装置。
【請求項2】
請求項
1に記載の実装装置であって、
前記ウェハ搬送装置および前記複数のボンディングステーションは、互いに、協働して、一つのチャンバを形成しており、
前記ウェハ搬送装置は、前記基板ウェハを、前記チャンバの外部に露出させることなく、一つのボンディングステーションから、他のボンディングステーションに搬送可能である、
ことを特徴とする実装装置。
【請求項3】
請求項1
または2に記載の実装装置であって、
前記複数のボンディングステーションは、第一ボンディングステーションと、前記ウェハ搬送装置を挟んで第一ボンディングステーションの反対側に配置される第二ボンディングステーションと、を含み、
前記第一ボンディングステーション、前記ウェハ搬送装置、および、前記第二ボンディングステーションは、一列に並んで配置されている、
ことを特徴とする実装装置。
【請求項4】
請求項1から
3のいずれか1項に記載の実装装置であって、さらに、
処理済みの前記基板ウェハを検査する単一の検査装置を備え、
前記複数のボンディングステーションが、前記単一の検査装置を共用する、
ことを特徴とする実装装置。
【請求項5】
請求項1から
4のいずれか1項に記載の実装装置であって、
前記ウェハ搬送装置は、前記基板ウェハを搬送する単一の搬送ロボットと、前記基板ウェハの回転角度を修正する単一のプリアライナと、を備えており、
単一の前記搬送ロボットおよび単一の前記プリアライナが、複数のボンディングステーションで共用される、
ことを特徴とする実装装置。
【請求項6】
請求項1から
5のいずれか1項に記載の実装装置であって、
前記ウェハ搬送装置は、2つの前記基板ウェハを同時に保持可能な搬送ロボットを有しており、
前記搬送ロボットは、一つのボンディングステーションにおいて、処理済の基板ウェハを回収した後、移動することなく、その場で、新たな基板ウェハを供給できる、
ことを特徴とする実装装置。
【請求項7】
請求項1から
6のいずれか1項に記載の実装装置であって、
前記複数のボンディングステーションは、第一ボンディングステーションと、第二ボンディングステーションと、を含み、
前記ウェハ搬送装置は、前記第一ボンディングステーションから回収された処理済みの前記基板ウェハを、前記第二ボンディングステーションに供給する、
ことを特徴とする実装装置。
【請求項8】
複数のボンディングステーションであって、それぞれが、基板ウェハに半導体チップをボンディングするボンディング装置と、前記ボンディング装置に半導体チップを供給するチップ供給装置と、を有する、複数のボンディングステーションと、
前記複数のボンディングステーションそれぞれに対して前記基板ウェハを供給および前記複数のボンディングステーションそれぞれから前記基板ウェハを回収するべく、前記基板ウェハを搬送する単一のウェハ搬送装置と、
を備え、
前記複数のボンディングステーションは、第一ボンディングステーションと、第二ボンディングステーションと、を含み、
前記ウェハ搬送装置は、前記第一ボンディングステーションから回収された処理済みの前記基板ウェハを、前記第二ボンディングステーションに供給し、
前記第一ボンディングステーションでは、前記基板ウェハに対して前記半導体チップを仮圧着する仮圧着処理が実行され、
前記第二ボンディングステーションでは、前記仮圧着された半導体チップを本圧着する本圧着処理が実行される、
ことを特徴とする実装装置。
【請求項9】
複数のボンディングステーションであって、それぞれが、基板ウェハに半導体チップをボンディングするボンディング装置と、前記ボンディング装置に半導体チップを供給するチップ供給装置と、を有する、複数のボンディングステーションと、
前記複数のボンディングステーションそれぞれに対して前記基板ウェハを供給および前記複数のボンディングステーションそれぞれから前記基板ウェハを回収するべく、前記基板ウェハを搬送する単一のウェハ搬送装置と、
を備え、
前記複数のボンディングステーションは、第一ボンディングステーションと、第二ボンディングステーションと、を含み、
前記ウェハ搬送装置は、前記第一ボンディングステーションから回収された処理済みの前記基板ウェハを、前記第二ボンディングステーションに供給し、
前記第一ボンディングステーションでは、前記基板ウェハに対して第一半導体チップをボンディングする処理が実行され、
前記第二ボンディングステーションでは、前記第一半導体チップの上に、当該第一半導体チップとは異なる第二半導体チップをボンディングする処理が実行される、
ことを特徴とする実装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、基板ウェハに半導体チップをボンディングして実装する実装装置を開示する。
【背景技術】
【0002】
従来から、基板の上に半導体チップをボンディングして半導体装置を製造する実装装置が知られている。近年、基板としてウェハを用いたチップオンウェハ方式の半導体装置が提案されている。チップオンウェハ方式の半導体装置を製造する実装装置には、ウェハに半導体チップをボンディングするボンディング装置と、基板として機能するウェハ(以下「基板ウェハ」という)をボンディング装置に供給およびボンディング装置から回収するウェハ搬送装置と、が設けられている。ウェハ搬送装置は、基板ウェハの表面に接触することなく、ウェハを搬送するための搬送ロボットや、基板ウェハの回転角度を修正するプリアライナ等が設けられている。そして、ウェハ搬送装置は、ロードポートから基板ウェハを取り出した後、当該基板ウェハの回転角度を修正したうえで、当該基板ウェハをボンディング装置に供給する。ボンディング装置において、ボンディング処理が完了すれば、ウェハ搬送装置は、ボンディング装置から処理済みの基板ウェハを回収し、必要に応じて、検査などを行ったうえで、当該基板ウェハをロードポートに搬送する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ここで、半導体装置の生産能力向上のために、上述した実装装置を複数設けることが提案されている。複数の実装装置を、並列で稼動させることで、生産能力を向上できる。実装装置を複数設けた場合、当然ながら、ボンディング装置やチップ供給装置だけでなく、ウェハ搬送装置も複数設けることになる。しかし、通常、基板ウェハの搬送や検査に要する時間は、ボンディング処理に要する時間に比べて大幅に短い。そのためウェハ搬送装置は、ボンディング装置に比べて、稼動していない待機時間が多く、無駄が多かった。かかるウェハ搬送装置を複数設けることは、スペースや費用の無駄であった。
【0004】
そこで、本明細書では、チップオンウェハ方式の半導体装置の生産能力を向上しつつも、スペースや費用の増加を抑制できる実装装置を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書で開示する実装装置は、複数のボンディングステーションであって、それぞれが、基板ウェハに半導体チップをボンディングするボンディング装置と、前記ボンディング装置に半導体チップを供給するチップ供給装置と、を有する、複数のボンディングステーションと、前記複数のボンディングステーションそれぞれに対して前記基板ウェハを供給および前記複数のボンディングステーションそれぞれから前記基板ウェハを回収するべく、前記基板ウェハを搬送する単一のウェハ搬送装置と、を備えることを特徴とする。
【0006】
かかる構成とすることで、一つのウェハ搬送装置を、複数のボンディングステーションで共用できるため、生産能力を向上しつつも、スペースや費用の増加を抑制できる。
【0007】
また、前記複数のボンディングステーションそれぞれの前記ボンディング装置は、前記ウェハ搬送装置に隣接して配置され、前記複数のボンディングステーションそれぞれの前記チップ供給装置は、前記ボンディング装置を挟んで前記ウェハ搬送装置の反対側に配置されていてもよい。
【0008】
かかる構成とすることで、チップ供給装置を横断することなく、基板ウェハを供給・回収できる。
【0009】
また、前記ウェハ搬送装置および前記複数のボンディングステーションは、互いに、協働して、一つのチャンバを形成しており、前記ウェハ搬送装置は、前記基板ウェハを、前記チャンバの外部に露出させることなく、一つのボンディングステーションから、他のボンディングステーションに搬送可能であってもよい。
【0010】
かかる構成とすることで、基板ウェハの汚染を防止しつつ、また、基板ウェハを搬送用の容器に収容することなく、複数のボンディングステーション間で簡易に移動させることができる。
【0011】
また、前記複数のボンディングステーションは、第一ボンディングステーションと、前記ウェハ搬送装置を挟んで第一ボンディングステーションの反対側に配置される第二ボンディングステーションと、を含み、前記第一ボンディングステーション、前記ウェハ搬送装置、および、前記第二ボンディングステーションは、一列に並んで配置されていてもよい。
【0012】
かかる構成とすることで、デッドスペースを少なく出来るため、スペースをより有効活用できる。
【0013】
また、実装装置は、さらに、処理済みの基板ウェハを検査する単一の前記検査装置を備え、前記複数のボンディングステーションが、前記単一の検査装置を共用してもよい。
【0014】
かかる構成とすることで、検査装置の設置に要する費用やスペースの増加を防止できる。
【0015】
また、前記ウェハ搬送装置は、前記基板ウェハを搬送する単一の搬送ロボットと、前記基板ウェハの回転角度を修正する単一のプリアライナと、を備えており、単一の前記搬送ロボットおよび単一の前記プリアライナが、複数のボンディングステーションで共用されてもよい。
【0016】
また、前記ウェハ搬送装置は、2つの前記基板ウェハを同時に保持可能な搬送ロボットを有しており、前記搬送ロボットは、一つのボンディングステーションにおいて、処理済の基板ウェハを回収した後、移動することなく、その場で、新たな基板ウェハを供給できてもよい。
【0017】
かかる構成とすることで、基板ウェハの供給・回収に要する時間をより短縮できる。
【0018】
また、前記複数のボンディングステーションは、第一ボンディングステーションと、第二ボンディングステーションと、を含み、前記ウェハ搬送装置は、前記第一ボンディングステーションから回収された処理済みの前記基板ウェハを、前記第二ボンディングステーションに供給してもよい。
【0019】
かかる構成とすることで、一つの基板ウェハに、異なる2種類のボンディング処理をシリアルで施すことができる。
【0020】
この場合、前記第一ボンディングステーションでは、前記基板ウェハに対して前記半導体チップを仮圧着する仮圧着処理が実行され、前記第二ボンディングステーションでは、前記仮圧着された半導体チップを本圧着する本圧着処理が実行されてもよい。また、前記第一ボンディングステーションでは、前記基板ウェハに対して第一半導体チップをボンディングする処理が実行され、前記第二ボンディングステーションでは、前記第一半導体チップの上に、当該第一半導体チップとは異なる第二半導体チップをボンディングする処理が実行されてもよい。
【発明の効果】
【0021】
本明細書で開示する実装装置によれば、一つのウェハ搬送装置を、複数のボンディングステーションで共用できるため、生産能力を向上しつつも、スペースや費用の増加を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図2】ウェハ搬送装置の構成を示す概略断面図である。
【
図4】実装装置の他のレイアウト例を示す図である。
【
図5】実装装置の動作タイミングの一例を示す図である。
【
図6】実装装置の動作タイミングの一例を示す図である。
【
図7】実装装置の動作タイミングの一例を示す図である。
【
図8】実装装置の動作タイミングの一例を示す図である。
【
図9】実装装置の他のレイアウト例を示す図である。
【
図10】実装装置の動作タイミングの一例を示す図である。
【
図11】実装装置の動作タイミングの一例を示す図である。
【
図12】実装装置の動作タイミングの一例を示す図である。
【
図13】第一ボンディングステーションでのボンディングの様子を示す図である。
【
図14】第二ボンディングステーションでのボンディングの様子を示す図である。
【
図15】第一ボンディングステーションでのボンディングの様子を示す図である。
【
図16】第二ボンディングステーションでのボンディングの様子を示す図である。
【
図17】実装装置の動作タイミングの一例を示す図である。
【
図18】実装装置の動作タイミングの一例を示す図である。
【
図19】実装装置の動作タイミングの一例を示す図である。
【
図20】他の例の搬送ロボットの概略斜視図である。
【
図21】実装装置の動作タイミングの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、実装装置10の構成について図面を参照して説明する。
図1は、実装装置10の概略平面図である。また、
図2は、ウェハ搬送装置12の構成を示す概略断面図であり、
図3は、搬送ロボット28の概略斜視図である。
【0024】
この実装装置10は、基板ウェハ100に半導体チップ102を実装した半導体装置、いわゆる、「COW」(Chip On Wafer)方式の半導体装置を製造する。
【0025】
実装装置10は、一つのウェハ搬送装置12と、第一ボンディングステーション14fと、第二ボンディングステーション14sと、を備えている。なお、以下の説明では、第一、第二を区別しない場合は、添字f,sを省略し、単に、「ボンディングステーション14」と呼ぶ。他要素でも同じである。第一、第二ボンディングステーション14f,14sは、互いに同一の構成を有している。また、ウェハ搬送装置12と二つのボンディングステーション14f,14sは、互いに、協働して、一つのチャンバを形成している。そのため、ウェハ搬送装置12は、基板ウェハ100を、このチャンバの外部に露出させることなく、一つのボンディングステーション14から、他のボンディングステーション14に搬送可能となっている。
【0026】
各ボンディングステーション14は、ボンディング装置16と、当該ボンディング装置16に対してX方向に隣接配置されたチップ供給装置18と、を備えている。ボンディング装置16は、基板ウェハ100に半導体チップ102をボンディングするもので、基板ウェハ100が載置されるボンディングステージ22を有している。このボンディングステージ22の上方には、半導体チップ102を吸着して搬送するボンディングヘッド(
図1では図示せず)が設けられている。ボンディングヘッド38は、吸着保持した半導体チップ102を、基板ウェハ100表面に押圧するとともに加熱することで、基板ウェハ100上に電気的および機械的に固定する。
【0027】
チップ供給装置18は、ボンディング装置16に半導体チップ102を供給するもので、チップ供給源24を有している。チップピッカー(図示せず)は、チップ供給源24にある半導体チップ102を、ピックアップして、搬送して、ボンディングヘッド38に供給する。このチップ供給装置18の構成としては、公知の従来技術を利用できるため、ここでの詳説は省略する。
【0028】
ウェハ搬送装置12は、二つのボンディングステーション14双方に基板ウェハ100を供給するとともに、二つのボンディングステーション14から処理済みの基板ウェハ100を回収する装置である。本例では、ウェハ搬送装置12は、二つのボンディングステーション14の間に設けられている。より具体的には、第一チップ供給装置18f、第一ボンディング装置16f、ウェハ搬送装置12、第二ボンディング装置16s、および、第二チップ供給装置18sは、この順番で、X方向に1列に並んで配置されている。別の見方をすると、二つのボンディングステーション14は、ウェハ搬送装置12を中心として、対称配置、あるいは、ミラー配置されている。また、二つのボンディングステーション14それぞれのボンディング装置16は、ウェハ搬送装置12に隣接して配置されており、複数のボンディングステーション14それぞれのチップ供給装置18は、ボンディング装置16を挟んでウェハ搬送装置12の反対側に配置されている。
【0029】
ウェハ搬送装置12は、基板ウェハ100を搬送するものであるが、基板ウェハ100の上面は、正常に保つことが要求されており、接触することができない。そのため、ウェハ搬送装置12には、基板ウェハ100の底面を吸着保持しつつ搬送する搬送ロボット28が設けられている。
図3に示す通り、この搬送ロボット28は、複数のアーム34を有した多関節ロボットである。この多関節ロボットの構成は、特に限定されないが、本例では、搬送ロボット28は、Z軸方向に伸縮可能な根本アーム34aと、水平面内で回転可能な複数の中間アーム34bと、多関節ロボットの先端に設けられた保持ハンド36と、を備えている。保持ハンド36の表面には、基板ウェハ100を吸着保持するための吸着孔36aが複数形成されている。この搬送ロボット28は、第一ボンディングステージ22fおよび第二ボンディングステージ22sの双方にアクセス可能な程度の可動範囲を有している。
【0030】
ウェハ搬送装置12の前端部分には、基板ウェハ100を搬入・搬出するためのロードポート26が設けられている。本例では、このロードポート26を二つ設けているが、ロードポート26の個数は、一つでもよいし、三つ以上でもよい。また、複数のロードポート26は、処理前の基板ウェハ100が待機する搬入用ポートと、実装処理が施された処理済みの基板ウェハ100が待機する搬出用ポートと、に分けられてもよい。また、複数のロードポート26は、第一ボンディングステーション14fで取り扱う基板ウェハ100を収容するポートと、第二ボンディングステーション14sで取り扱う基板ウェハ100を収容するポートと、に分けられてもよい。
【0031】
さらに、ウェハ搬送装置12には、基板ウェハ100の回転角度を修正するプリアライナ30も設けられている。すなわち、基板ウェハ100には、通常、当該基板ウェハ100の回転角度を規定するためのマーカーとして、オリエンテーションフラットと呼ばれる直線部、または、ノッチが設けられている。基板ウェハ100をボンディングステージ22に供給し、載置する際には、当該基板ウェハ100のマーカーが、予め規定された向き(回転角度)になるように載置しなければならない。そこで、基板ウェハ100をボンディングステージ22に供給する前に、当該基板ウェハ100の回転角度を確認し、修正するプリアライナ30が設けられている。プリアライナ30は、例えば、基板ウェハ100が載置される回転テーブル30aと、基板ウェハ100を撮像するカメラ30bと、を有している。
【0032】
プリアライナ30の下側には、第一、第二待機ステージ32f,32sが設けられている。この待機ステージ32は、ボンディング処理された基板ウェハ100が載置されるステージである。この待機ステージ32は、例えば、ボンディング処理後、高温状態の基板ウェハ100を冷却させるために用いられる。
【0033】
以上の構成の実装装置10では、単一の搬送ロボット28およびプリアライナ30を用いて、複数のボンディングステーション14で取り扱われる基板ウェハ100の供給・回収や、回転角度の修正が行われる。換言すれば、本例では、複数のボンディングステーション14で、単一のウェハ搬送装置12を共用している。かかる構成とすることで、COW方式の半導体装置を、より効率的に製造できる。
【0034】
すなわち、従来の実装装置10の多くは、一つのボンディングステーション14に対して一つのウェハ搬送装置12を設けていた。したがって、製造能力を向上させるために、二つのボンディングステーション14を設ける場合、ウェハ搬送装置12も二つ設けていた。しかしながら、通常、一つの基板ウェハ100には、多数の半導体チップ102がボンディングされることが多く、ボンディング装置16で実行されるボンディング処理時間は、基板ウェハ100の搬送や回転角度修正に要する時間に比べて、大幅に長かった。そのため、ウェハ搬送装置12は、ボンディング装置16に比べて、駆動していない待機時間が多く、無駄が多かった。その一方で、ウェハ搬送装置12は、上述した通り、搬送ロボット28などを有している。そのため、ウェハ搬送装置12を複数設けた場合、スペース上およびコスト上の負担が大きかった。
【0035】
そこで、本例では、複数のボンディングステーション14を設けるとともに、当該複数のボンディングステーション14で単一のウェハ搬送装置12を共用する構成としている。複数のボンディングステーション14を設けることで、半導体装置の生産能力を向上できる。その一方で、ウェハ搬送装置12は、一つのみで足りるため、ウェハ搬送装置12にかかる費用やスペースの増加を抑制できる。
【0036】
また、上述した通り、本例では、ウェハ搬送装置12を中心として二つのボンディングステーション14をミラー配置している。かかる配置とすることで、デッドスペースを低減できる。すなわち、二つのボンディングステーション14の配置態様としては、
図1に示すような、ミラー配置に限らず、他の配置も考えられる。例えば、
図4に示すように、ウェハ搬送装置12からみて、第一ボンディングステーション14fがX方向に位置し、第二ボンディングステーション14sがY方向に位置するようなL字状配置とすることも考えられる。しかしながら、かかる配置の場合、L字で囲まれた領域Eがデッドスペースとなりやすく、工場内でのレイアウトが難しくなりやすい。一方、
図1に示すような、ミラー配置(あるいは1列配置)とすれば、デッドスペースが生じにくく、工場内でのレイアウトが容易となる。ただし、当然のことながら、スペース上の問題が生じないのであれば、
図4に示すようなL字状配置としてもよい。また、いずれの配置であっても、複数のボンディングステーション14それぞれのボンディング装置16は、ウェハ搬送装置12に隣接して配置されることが望ましい。かかる配置とすることで、搬送ロボット28が、チップ供給装置18を横断することなく、ボンディング装置16に到達できる。その結果、搬送ロボット28の可動範囲を大きくする必要がないため、搬送ロボット28の大型化を防止できる。また、搬送ロボット28が、チップ供給装置18を横断しないため、搬送ロボット28と他部材との干渉も効果的に抑制できる。
【0037】
次に、この実装装置10での実装処理の流れに説明する。
図5から
図8は、搬送ロボット28の動作タイミングと、基板ウェハ100の滞在箇所を示すタイミングチャートである。
図5から
図8において、一段目は、搬送ロボット28が基板ウェハ100を搬送しているタイミングを示している。また、二段目以降は、基板ウェハ100の滞在箇所を示している。より具体的には、第一ボンディングステーション14fで取り扱われる基板ウェハ100のうち、奇数枚目の基板ウェハ100(以下「第一奇数ウェハW1O」と呼ぶ)は、薄墨の帯として、偶数枚目の基板ウェハ100(以下「第一偶数ウェハW1E」と呼ぶ)は、濃墨の帯として示されている。また、第二ボンディングステーション14sで取り扱われる基板ウェハ100のうち、奇数枚目の基板ウェハ100(以下「第二奇数ウェハW2O」と呼ぶ)は、斜めハッチングの帯として、偶数枚目の基板ウェハ100(以下「第二偶数ウェハW2E」と呼ぶ)は、クロスハッチングの帯として示されている。
【0038】
図5は、最も基本的なタイミングチャートである。
図5に示す通り、搬送ロボット28は、最初に、第一奇数ウェハW1O(薄墨)を、ウェハ搬送装置12から第一ボンディングステーション14fに搬送する(t1)。第一ボンディングステーション14fでは、この第一奇数ウェハW1Oに対してボンディング処理が実行される。
図5に示す通り、このボンディング処理に要する時間は、搬送に要する時間よりも大幅に長い。そこで、搬送ロボット28は、第一奇数ウェハW1Oに対してボンディング処理が実行されている期間中に、第二奇数ウェハW2O(斜めハッチング)をウェハ搬送装置12から第二ボンディングステーション14sに搬送する(t2)。
【0039】
第一ボンディングステーション14fでのボンディング装置16が終了すれば(t3)、搬送ロボット28は、第一奇数ウェハW1Oをウェハ搬送装置12に回収したうえで、第一偶数ウェハW1E(濃墨)を第一ボンディングステーション14fに搬送する。第一ボンディングステーション14fでは、この第一偶数ウェハW1Eに対してボンディング処理が実行される。第一偶数ウェハW1Eに対するボンディング処理が実行されている期間中に、第二奇数ウェハW2Oのボンディング処理が終了する(t4)。この状態になれば、搬送ロボット28は、第二奇数ウェハW2Oをウェハ搬送装置12に回収したうえで、第二偶数ウェハW2E(クロスハッチング)を第二ボンディングステーション14sに搬送する。以降、同様の処理を繰り返す。
【0040】
以上の通り、一つのボンディングステーション14でボンディング処理が実行されている期間中に、他のボンディングステーション14に基板ウェハ100を供給または回収している。かかる構成とすることで、第一、第二ボンディングステーション14sで、基板ウェハ100の供給・回収のタイミングがずれるため、複数のボンディングステーション14で、単一のウェハ搬送装置12を共用できる。なお、当然ながら、第一ボンディングステーション14fと第二ボンディングステーション14sで基板ウェハ100の交換タイミングが重複しないように、両ボンディングステーション14f,14sにおける基板ウェハ100の搬送タイミングをずらしておく。具体的には、第一、第二ボンディングステーション14f,14sそれぞれにおけるボンディング処理時間をtb1,tb2、基板ウェハ100の交換に要する時間をtc、両ボンディングステーション14f,14sにおける基板ウェハ100の搬送タイミングの時間差をtdとした場合、tb1+tc<tb2+tdの条件を満たす必要がある。したがって、第一、第二ボンディングステーション14f,14sで、同じ種類の半導体装置を製造しており、tb1=tb2の場合には、時間差tdを、基板ウェハ100の交換時間tcより大きく(すなわちtc<td)すればよい。
【0041】
次に、より具体的な動作タイミングについて、
図6を参照して説明する。
図6の例では、各基板ウェハ100は、ロードポート26に収容されており、このロードポート26からプリアライナ30を経て、ボンディングステーション14に供給される。具体的に説明すると、搬送ロボット28は、第一奇数ウェハW1O(薄墨)をロードポート26からプリアライナ30に搬送する(t1)。プリアライナ30では、第一奇数ウェハW1Oの回転角度が確認され、必要に応じて、修正される。回転角度の修正が完了すれば、搬送ロボット28は、第一奇数ウェハW1Oを、プリアライナ30から第一ボンディングステーション14fに供給する(t2)。第一ボンディングステーション14fでは、この第一奇数ウェハW1Oに対してボンディング処理が実行される。
【0042】
第一奇数ウェハW1Oに対するボンディング処理が開始すれば、搬送ロボット28は、第二奇数ウェハW2O(斜めハッチング)を、ロードポート26からプリアライナ30に搬送する(t3)。そして、プリアライナ30において回転角度の修正が完了すれば、搬送ロボット28は、第二奇数ウェハW2Oを、プリアライナ30から第二ボンディングステーション14sに供給する(t4)。
【0043】
第一奇数ウェハW1Oのボンディング処理が完了すれば、搬送ロボット28は、第一奇数ウェハW1Oを、第一ボンディングステーション14fからロードポート26に回収したうえで、第一偶数ウェハW1E(濃墨)をロードポート26からプリアライナ30に搬送する(t5)。そして、プリアライナ30での処理が完了すれば、この第一偶数ウェハW1Eを、プリアライナ30から第一ボンディングステーション14fに供給する(t6)。
【0044】
同様に、第二奇数ウェハW2Oのボンディング処理が完了すれば、搬送ロボット28は、第二奇数ウェハW2Oを、第二ボンディングステーション14sからロードポート26に回収したうえで、第二偶数ウェハW2E(クロスハッチング)をロードポート26からプリアライナ30に搬送する(t7)。そして、プリアライナ30での処理が完了すれば、この第二偶数ウェハW2Eを、プリアライナ30から第二ボンディングステーション14sに供給する(t8)。以降、同様の処理を繰り返す。
【0045】
以上の通り、
図6の例でも、一つのボンディングステーション14でボンディング処理が実行されている期間中に、他のボンディングステーション14に取り扱う基板ウェハ100の搬送および回転角度修正を行っている。かかる構成とすることで、複数のボンディングステーション14で、単一の搬送ロボット28およびプリアライナ30を共用できる。
【0046】
次に、処理済みの基板ウェハ100が高温である場合の動作タイミングを、
図7、
図8を参照して説明する。基板ウェハ100に半導体チップ102をボンディングする際には、半導体チップ102および基板ウェハ100が高温で加熱される場合がある。そのため、ボンディング処理が完了した直後の基板ウェハ100は、高温であるため、そのままでは、ロードポート26に収容できない場合がある。かかる場合には、処理済みの基板ウェハ100は、待機ステージ32に一時保管され、冷却されたうえで、ロードポート26に搬送される。
図7、
図8は、この場合の動作タイミングの一例を示している。
【0047】
初めに、
図7の例について説明する。
図7の例では、第一ボンディングステーション14fで取り扱われる基板ウェハ100を第一待機ステージ32fで待機させている期間中に、第二ボンディングステーション14sにおける基板ウェハ100の入れ替えを行う。具体的には、搬送ロボット28は、まず、第一奇数ウェハW1O(薄墨)を、プリアライナ30を経て、第一ボンディングステーション14fに搬送する(t1,t2)。さらに、搬送ロボット28は、第一奇数ウェハW1Oに対してボンディングが行われている期間中に、第二奇数ウェハW2O(斜めハッチング)を、プリアライナ30を経て、第二ボンディングステーション14sに搬送する(t3,t4)。
【0048】
第一奇数ウェハW1Oのボンディング処理が終了すれば、搬送ロボット28は、第一奇数ウェハW1Oを、ロードポート26ではなく、第一待機ステージ32fに搬送する(t5)。この搬送が完了すれば、搬送ロボット28は、続けて、第一偶数ウェハW1E(濃墨)を、プリアライナ30を経て第一ボンディングステーション14fに搬送する(t6)。さらに、本例では、第一奇数ウェハW1Oの待機期間中に、第二奇数ウェハW2Oのボンディング処理が終了する(t7)。したがって、本例では、第一奇数ウェハW1Oの待機期間中に、第一ボンディングステーション14fにおける基板ウェハ100の交換を行う(t7,t8)。
【0049】
その後、第一偶数ウェハW1Eおよび第二偶数ウェハW2Eのボンディング処理の実行中に、第一奇数ウェハW1Oおよび第二奇数ウェハW2Oの待機時間が経過し、両ウェハが充分に冷却される。この状態になれば、搬送ロボット28は、各待機ステージ32から基板ウェハ100を回収し、ロードポート26に搬送する(t9,t10)。以降、同様の手順を繰り返す。
【0050】
以上の通り、
図7の例でも、複数のボンディングステーション14で、単一の搬送ロボット28およびプリアライナ30を共用できる。なお、第一待機ステージ32fで基板ウェハ100を待機させている期間中に、第二ボンディングステーション14sにおける基板ウェハ100の交換を行うためには、当然ながら、第一、第二ボンディングステーション14f,14sそれぞれにおけるボンディング処理時間をtb1,tb2、両ボンディングステーション14f,14sにおける基板ウェハ100の搬送タイミングの時間差をtd、第一待機ステージ32fにおける基板ウェハ100の待機時間をtwとした場合、tb1+tw>td+tb2でなければならず、tb1=tb2の場合には、待機時間が時間差よりも大きく(すなわちtw>td)でなければならない。換言すれば、一方のボンディングステーション14で取り扱う基板ウェハ100の待機期間中に、他方のボンディングステーション14で基板ウェハ100の交換を行うことで、両ボンディングステーション14f,14sにおける基板ウェハ100の搬送タイミングの時間差tdを短くすることができ、全体の処理時間を短縮できる。
【0051】
次に、一方のボンディングステージ22で取り扱われる基板ウェハ100の待機と、他方のボンディングステージ22での基板ウェハ100の交換と、を重複させない例について、
図8を参照して説明する。
図8の例でも、
図7と同様に、第一奇数ウェハW1Oに対するボンディング処理が完了すれば、搬送ロボット28は、第一奇数ウェハW1Oを第一ボンディングステーション14fから第一待機ステージ32fに搬送したうえで、第二偶数ウェハW2Eを第一ボンディングステーション14fに搬送する(t5,t6)。
図8の例では、第二奇数ウェハW2Oのボンディング処理が完了する前に、第一奇数ウェハW1Oの待機時間が満了する(t7)。そのため、搬送ロボット28は、第二ボンディングステーション14sにおける基板ウェハ100の交換(t8,t9)の前に、第一奇数ウェハW1Oを、第一待機ステージ32fからロードポート26に搬送する。その後、第二偶数ウェハW2Eのボンディング処理が完了すれば、第二奇数ウェハW2Oを第二待機ステージ32sに搬送したうえで、第二偶数ウェハW2Eを第二ボンディングステーション14sに搬送する(t8,t9)。
【0052】
以上の通り、
図8の例でも、複数のボンディングステーション14で、単一の搬送ロボット28およびプリアライナ30を共用できる。また、
図8の例によれば、第一待機ステージ32fでの待機時間と、第二待機ステージ32sでの待機時間とが重複しない。そのため、かかる構成によれば、待機ステージ32を二つ設ける必要はなく、一つの待機ステージ32を二つのボンディングステーション14f,14sで共用できる。なお、この場合、tb1+tw<td+tb2を満たす必要があり、tb1=tb2であれば、tw<tdを満たす必要がある。
【0053】
次に、他の例について説明する。
図9は、実装装置10の他の配置例を示すイメージ図である。
図9の例では、
図1の例と同じく、二つのボンディングステーション14f,14sが、一つのウェハ搬送装置12を挟んでミラー配置されている。
図9の例では、さらに、ウェハ搬送装置12のY方向(二つのボンディングステーション14の配列方向と直交する方向)奥側に、検査装置20が設けられている。この検査装置20は、ボンディング処理が行われた処理済みの基板ウェハ100(すなわち半導体装置)を検査し、製品の良否を判断するものである。かかる検査装置20は、例えば、カメラや赤外線センサ等を有している。この検査装置20の構成は、公知の従来技術を用いることができるため、ここでの詳説は、省略する。
【0054】
この検査装置20は、ウェハ搬送装置12と同様に、一つだけ設けられており、複数のボンディングステーション14で共用される。かかる構成とすることで、検査装置20の設置に要するスペースや費用を低減できる。なお、
図9の例では、検査装置20を、ウェハ搬送装置12の外側に配置しているが、検査装置20は、ウェハ搬送装置12の内部に組み込まれてもよい。
【0055】
次に、処理済みの基板ウェハ100を検査する場合の動作タイミングの例について
図10から
図12を参照して説明する。
図10は、最も基本的な動作タイミングを示している。
図10の例では、第一奇数ウェハW1O(薄墨)が第一ボンディングステーション14fに搬送された後(t1)、時間差tdが経過してから、第二奇数ウェハW2O(斜めハッチング)が第二ボンディングステーション14sに搬送される(t2)。その後、第一奇数ウェハW1Oのボンディング処理が完了すると、搬送ロボット28は、第一奇数ウェハW1Oを検査装置20に搬送したうえで、第一偶数ウェハW1E(濃墨)を第一ボンディングステーション14fに搬送する(t3)。そして、第一奇数ウェハW1Oの検査が完了すれば、搬送ロボット28は、第一奇数ウェハW1Oをウェハ搬送装置12のロードポート26へと搬送する(t4)。第一奇数ウェハW1Oの検査が完了した後、第二奇数ウェハW2Oのボンディング処理が完了する(t5)。この状態になれば、搬送ロボット28は、第二奇数ウェハW2Oを検査装置20に搬送したうえで、第二偶数ウェハW2Eを第二ボンディングステーション14sに搬送する。以降、同様の手順を繰り返す。
【0056】
以上の説明から明らかな通り、この例では、ウェハ搬送装置12に加え、検査装置20も、複数のボンディングステーション14で共用できる。結果として、検査装置20の設置に要するスペースや費用を低減できる。なお、二つのボンディングステーション14で一つの検査装置20を共用するためには、第一ボンディングステーション14fで取り扱う基板ウェハ100の検査期間と、第二ボンディングステーション14sで取り扱う基板ウェハ100の検査期間と、が重複しない必要がある。そのためには、検査時間をttとした場合、tb1+tt<td+tb2を満たす必要があり、tb1=tb2の場合には、検査時間ttより大きな時間差tdを設ける(すなわち、td>tt)必要がある。
【0057】
図11は、より詳細な動作タイミングの例を示す図である。
図11の例では、ボンディング処理により得られた処理済みの基板ウェハ100は、一度待機ステージ32で待機した後、プリアライナ30を経て、検査装置20に送られる(t5~t7,t8~t10)。この場合、待機およびプリアラインに要する時間をtwとした場合、tb1+tw+tt<td+tb2+twを満たす必要があり、tb1=tb2の場合は、tt<tdを満たせばよいことが分かる。また、
図11の例では、時間差tdを小さくするために、第一ボンディングステーション14fで取り扱う基板ウェハ100の検査時間中に、第二ボンディングステーション14sでの基板ウェハ100の交換を行っている。かかる構成とした場合、tb1+tw+tt>td+tb2とすればよく、tb1=tb2の場合、時間差tdを、tw+ttより小さくできる。結果として、全体の処理時間を低減できる。
【0058】
図12は、処理済み基板ウェハ100を検査するとともに、一方のボンディングステージ22で取り扱われる基板ウェハ100の検査と、他方のボンディングステージ22での基板ウェハ100の交換と、を重複させない例を示している。具体的には、
図12の例では、第一奇数ウェハW1O(薄墨)のボンディング処理、待機、プリアライン、検査(t5~t8)が完了してから、第二奇数ウェハW2O(斜めハッチング)のボンディング処理が完了(t9)するように時間差tdを設定している。具体的には、tb1+tw+tt<td+tb2(tb1=tb2の場合、tw+tt<td)としている。かかる構成とすることで、検査時間の重複が避けられるため、待機ステージ32の個数を一つにすることができる。
【0059】
次に、他の例について
図13から
図19を参照して説明する。これまでの説明では、一つの基板ウェハ100に対するボンディング処理が、一つのボンディングステーション14で完了する場合を説明した。しかしながら、半導体装置の種類によっては、二つのボンディングステーション14でシリアル処理した方が効率的な場合がある。例えば、半導体装置のなかには、互いに異なる2種類の半導体チップ102を積層したものがある。かかる半導体チップ102を製造する際には、
図13に示すように、第一ボンディングステーション14fのボンディングヘッド38fで、第一半導体チップ102fをボンディングし、その後、
図14に示すように、第二ボンディングステーション14sのボンディングヘッド38sで、第二半導体チップ102sを、第一半導体チップ102fの上にボンディングするようにすれば効率が良い。
【0060】
また、半導体チップ102をボンディングする際には、仮圧着と本圧着とに分けて行った方がよい場合がある。仮圧着は、半導体チップ102を仮置きする工程で、通常、半導体チップ102の底面に付着された熱硬化性樹脂が硬化するものの、金属バンプ104が溶融しない程度の低温T1で半導体チップ102を加熱加圧する。また、本圧着は、仮圧着された半導体チップ102を、最終的に実装するための工程で、通常、金属バンプ104が溶融する程度の高温T2で半導体チップ102を加熱加圧する。ここで、一つのボンディングステーション14で仮圧着と本圧着の双方を行う場合、ボンディングヘッド38やボンディングステージ22の温度の切り替えが必要となり、その分、余計な時間がかかり、生産効率の悪化を招く。そこで、かかる場合には、
図15に示すように、第一ボンディングステーション14fのボンディングヘッド38fで半導体チップ102の仮圧着を行い、その後、
図16に示すように、第二ボンディングステーション14sのボンディングヘッド38sで仮圧着された半導体チップ102を本圧着するようにすれば効率が良い。
【0061】
ここで、本例の実装装置10では、二つのボンディングステーション14は、ウェハ搬送装置12を介して連結されており、二つのボンディングステーション14およびウェハ搬送装置12は、互いに協働して、外部から隔絶された一つのチャンバを形成する。そのため、第一ボンディングステーション14fから第二ボンディングステーション14sに基板ウェハ100を搬送するに当たって、当該基板ウェハ100をチャンバの外部に取り出す必要がない。そのため、基板ウェハ100の搬送に当たって、基板ウェハ100を汚染防止のための搬送容器(例えばFOUP)に収容する必要がなく、容易に搬送できる。
【0062】
図17から
図19は、一つの基板ウェハ100を、二つのボンディングステーション14でシリアル処理する場合の動作タイミングを示している。
図17から
図19において、実装装置10で取り扱う基板ウェハ100のうち、薄墨、濃墨、斜めハッチング、クロスハッチングの帯は、それぞれ、一枚目、二枚目、三枚目、四枚目の基板ウェハ100を示している。
【0063】
図17は、最も基本的な動作タイミングを示している。
図17の例では、まず、一枚目の基板ウェハ100が、ウェハ搬送装置12から第一ボンディングステーション14fに搬送され(t1)、一枚目の基板ウェハ100に対するボンディング処理が実行される。一枚目の基板ウェハ100に対するボンディング処理が完了すれば、搬送ロボット28は、一枚目の基板ウェハ100を、第一ボンディングステーション14fから第二ボンディングステーション14sに搬送する(t2)。
【0064】
この時点で、第一ボンディングステーション14fに空きが生じるため、搬送ロボット28は、新たに二枚目の基板ウェハ100を第一ボンディングステーション14fに搬送する。これにより、第一ボンディングステーション14fおよび第二ボンディングステーション14sで並行してボンディング処理が実行される。そして、第二ボンディングステーション14sにおける一枚目の基板ウェハ100へのボンディング処理が終了すれば、搬送ロボット28は、当該一枚目の基板ウェハ100をウェハ搬送装置12に搬送する(t3)。これにより、一つの基板ウェハ100に対して、第一ボンディングステーション14fによるボンディング処理と、第二ボンディングステーション14sによるボンディング処理と、が施された処理済みの基板ウェハ100(半導体装置)が得られる。
【0065】
第二ボンディングステーション14sに空きができれば、搬送ロボット28は、第一ボンディングステーション14fにある二枚目の基板ウェハ100を第二ボンディングステーション14sに搬送する。そして、以降、同様の処理を繰り返す。
【0066】
以上の説明から明らかな通り、第一ボンディングステーション14fから第二ボンディングステーション14sに基板ウェハ100を搬送する構成とすることで、一つの基板ウェハ100に対して異なる2種類のボンディング処理を効率的に行うことができる。
【0067】
次に、動作タイミングのより具体的な例について
図18を参照して説明する。
図18の例は、
図15、
図16を参照して説明したように、一枚の基板ウェハ100に対して、第一ボンディングステーション14fで仮圧着処理を第二ボンディングステーション14sで本圧着処理を行う場合の動作タイミングの一例である。仮圧着処理では、1ヶ所に複数の半導体チップ102を積層する関係上、仮圧着処理に要する時間は、本圧着処理に要する時間に比べて、長くなっている。また、仮圧着では、半導体チップ102を比較的低温で加熱するため、処理後の冷却(待機)が不要である一方、本圧着では、半導体チップ102を高温で加熱するため、処理後に冷却(待機)が必要となっている。また、仮圧着および本圧着が終了するたびに、検査装置20での検査を行うが、この検査を行う際には、基板ウェハ100は、プリアライナ30により角度修正される。
【0068】
具体的に説明していくと、一枚目の基板ウェハ100(薄墨)は、プリアライナ30を経て、第一ボンディングステーション14fに搬送される(t1,t2)。第一ボンディングステーション14fでは、基板ウェハ100に対して、仮圧着処理が施される。この仮圧着処理が終了すれば、搬送ロボット28は、仮圧着処理済みの基板ウェハ100を、プリアライナ30を経て、検査装置20に搬送する(t3,t4)。また、この状態になれば、第一ボンディングステーション14fが空くため、搬送ロボット28は、当該第一ボンディングステーション14fに二枚目の基板ウェハ100(濃墨)を搬送する(t4,t5)。
【0069】
一枚目の基板ウェハ100に対する検査が終了すれば、搬送ロボット28は、この一枚目の基板ウェハ100を、プリアライナ30を経て、第二ボンディングステーション14sに搬送する(t6,t7)。第二ボンディングステーション14sでは、一枚目の基板ウェハ100に対して本圧着処理が施される。この本圧着処理が完了すれば、再度検査装置20による検査が行われるが、本圧着処理後の基板ウェハ100は、高温であるため、事前に待機ステージ32に搬送され、冷却される(t11)。充分に冷却できれば、一枚目の基板ウェハ100は、プリアライナ30を経て検査装置20に搬送される(t13,t14)。そして、この検査が終了すれば、一枚目の基板ウェハ100は、ロードポート26に出力される(t15)。二枚目の基板ウェハ100も、一枚目の基板ウェハ100と同様の手順で処理が施されていく。また、三枚目以降の基板ウェハ100も、同様に順次追加されていく。
【0070】
ここで、若干の時間差があるものの、一枚目の基板ウェハ100(薄墨)の1回目の検査(t4~)と、二枚目の基板ウェハ100(濃墨)の仮圧着処理(t5~)は、ほぼ同時に開始される。そして、二枚目の基板ウェハ100の1回目の検査(t9~)と、一枚目の基板ウェハ100の2回目の検査(t14~)と、の重複を避けるためには、仮圧着処理時間をtb1、本圧着処理時間をtb2、検査時間をtt、待機時間をtwとした場合、tb1+tt<tt+tb2+tw、すなわち、tb1<tb2+twとすればよい。
【0071】
以上の説明から明らかな通り、
図18の例によれば、一つの基板ウェハ100に対して、仮圧着処理と本圧着処理をシリアルで施す工程を効率的に実行できる。また、tb2<tb1<tb2+twであれば、一つの検査装置20で、仮圧着処理および本圧着処理の後に、基板ウェハ100を検査できる。
【0072】
次に、
図19を参照して動作タイミングの他の例について説明する。
図19の例は、
図13、
図14を参照して説明したように、一枚の基板ウェハ100に対して、第一ボンディングステーション14fで第一半導体チップ102fを、第二ボンディングステーション14sで第二半導体チップ102sをボンディングする場合の動作タイミングの一例である。この場合、第一、第二ボンディングステーション14f,14sは、いずれも、半導体チップ102を高温で加熱するため、第一、第二ボンディングステーション14f,14sでのボンディング処理が終了するたびに、基板ウェハ100を待機ステージ32で冷却させる必要がある。
【0073】
具体的に説明していくと、一枚目の基板ウェハ100(薄墨)は、プリアライナ30を経て、第一ボンディングステーション14fに搬送される(t1,t2)。第一ボンディングステーション14fでは、基板ウェハ100に対して、第一半導体チップ102fがボンディングされる。このボンディング処理が終了すれば、搬送ロボット28は、一枚目の基板ウェハ100を待機ステージ32に搬送し、冷却させる(t3)。この状態になれば、第一ボンディングステーション14fが空くため、搬送ロボット28は、当該第一ボンディングステーション14fに二枚目の基板ウェハ100(濃墨)を搬送する(t3,t4)。一枚目の基板ウェハ100が充分に冷却できれば、搬送ロボット28は、一枚目の基板ウェハ100を、プリアライナ30を経て、検査装置20に搬送する(t5,t6)。
【0074】
一枚目の基板ウェハ100に対する検査が終了すれば、搬送ロボット28は、この一枚目の基板ウェハ100を、プリアライナ30を経て、第二ボンディングステーション14sに搬送する(t7,t8)。第二ボンディングステーション14sでは、一枚目の基板ウェハ100に対して第二半導体チップ102sがボンディングされる。このボンディング処理が完了すれば、一枚目の基板ウェハ100は、待機ステージ32、プリアライナ30を経て、検査装置20に搬送される(t13~t16)。そして、2回目の検査が終了すれば、一枚目の基板ウェハ100は、ロードポート26に出力される(t17)。二枚目の基板ウェハ100も、一枚目の基板ウェハ100と同様の手順で処理が施されていく。また、三枚目以降の基板ウェハ100も、同様に順次追加されていく。
【0075】
以上の説明から明らかな通り、この
図19の例によれば、一つの基板ウェハ100に対して、第一半導体チップ102fと第二半導体チップ102sをシリアルでボンディング工程を効率的に実行できる。
【0076】
次に、他の例について
図20、
図21を参照して説明する。これまでの説明では、一つの搬送ロボット28は、基板ウェハ100を吸着保持する保持ハンド36を一つしか有していなかった。この場合、一つのボンディングステーション14から基板ウェハ100を回収したうえで、新たな基板ウェハ100を供給するためには、搬送ロボット28は、ロードポート26とボンディングステーション14との間を2往復する必要があった。そこで、この往復回数を低減するために、
図20に示すように、一つの搬送ロボット28に、二つの保持ハンド36を設けてもよい。かかる構成とすることで、搬送ロボット28は、一つのボンディングステーション14から基板ウェハ100を回収した後、移動することなく、その場で、当該ボンディングステーション14に新たな基板ウェハ100を供給できる。その結果、基板ウェハ100の回収と供給を、1回の往復動作で実現でき、処理時間をより短縮できる。
【0077】
図21は、この場合における動作タイミングの一例を示す図である。
図21の例では、第一ボンディングステーション14fと第二ボンディングステーション14sは、互いに独立して駆動しており、二つのボンディングステーション14の間で基板の行き来は、ない。ただし、
図20に示したような、二つの保持ハンド36を持つ搬送ロボット28は、一つの基板ウェハ100に対して、第一、第二ボンディングステーション14f,14sでシリアルに処理する場合にも利用できる。
【0078】
図21の例では、まず、第一奇数ウェハW1Oが、プリアライナ30を経て、第一ボンディングステーション14fに搬送される(t1,t2)。また、この第一奇数ウェハW1Oに対するボンディング処理の実行期間中に、第二奇数ウェハW2Oがプリアライナ30を経て、第二ボンディングステーション14sに搬送される(t3,t4)。
【0079】
第一ボンディングステーション14fにおけるボンディング処理が終了すれば、第一奇数ウェハW1Oと第一偶数ウェハW1Eとの入れ替えが行われる。この入れ替えを行うために、ボンディング処理の終了前に、第一偶数ウェハW1Eは、搬送ロボット28によりプリアライナ30に搬送され、その回転角度が修正される(t5)。その後、搬送ロボット28は、第一保持ハンド36fに第一偶数ウェハW1Eを吸着した状態で第一ボンディングステーション14fに移動する。そして、第一ボンディングステーション14fにおいて、搬送ロボット28は、第二保持ハンド36sで第一奇数ウェハW1Oを吸着して回収したうえで、第一偶数ウェハW1Eを第一ボンディングステーション14fに載置する(t6)。そして、搬送ロボット28は、第一奇数ウェハW1Oを吸着したままロードポート26へ移動し、第一奇数ウェハW1Oをロードポート26に出力する。以降、第一、第二ボンディングステーション14f,14sそれぞれで同様の処理を繰り返す。
【0080】
以上の説明から明らかな通り、本例によれば、一つの搬送ロボット28に二つの保持ハンド36を設けているため、基板ウェハ100の回収と供給を1回の往復動作で実現でき、処理時間をより短縮できる。
【0081】
なお、これまで説明した構成は一例であり、少なくとも、一つのウェハ搬送装置12を複数のボンディングステーション14で共用するのであれば、その他の構成は適宜変更されてもよい。
【符号の説明】
【0082】
10 実装装置、12 ウェハ搬送装置、14f 第一ボンディングステーション、14s 第二ボンディングステーション、16 ボンディング装置、18 チップ供給装置、20 検査装置、22 ボンディングステージ、24 チップ供給源、26 ロードポート、28 搬送ロボット、30 プリアライナ、30a 回転テーブル、30b カメラ、32 待機ステージ、34 アーム、36 保持ハンド、38 ボンディングヘッド、100 基板ウェハ、102 半導体チップ、104 金属バンプ。