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特許7165475歩行者保護を提供するための車両安全装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-26
(45)【発行日】2022-11-04
(54)【発明の名称】歩行者保護を提供するための車両安全装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/38 20110101AFI20221027BHJP
   F15B 15/19 20060101ALI20221027BHJP
   F15B 15/26 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
B60R21/38 323
F15B15/19
F15B15/26
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021512443
(86)(22)【出願日】2019-09-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-27
(86)【国際出願番号】 EP2019074216
(87)【国際公開番号】W WO2020053269
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2021-04-19
(31)【優先権主張番号】1858268
(32)【優先日】2018-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】503358097
【氏名又は名称】オートリブ ディベロップメント エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100098143
【弁理士】
【氏名又は名称】飯塚 雄二
(72)【発明者】
【氏名】リドスモ、エリック
【審査官】飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-506809(JP,A)
【文献】特開2015-098230(JP,A)
【文献】特開2014-031884(JP,A)
【文献】特表2006-507973(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0095151(US,A1)
【文献】特開2016-194326(JP,A)
【文献】特開2015-124829(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/38
F15B 15/19
F15B 15/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車両の歩行者保護装置用の突き部材であって、
前記車両上に固定されるように構成された固定本体(20)と、
静止位置と展開位置との間で前記固定本体(20)に対して移動可能であるピストン(10)と、
前記ピストン(10)を前記静止位置から前記展開位置へ移動させるように構成された火工式アクチュエータと、を備え、
前記ピストン(10)が、前記静止位置に保たれるように、前記固定本体(20)に圧着され、
前記固定本体(20)が、 前記ピストン(10)をその前記静止位置に保持するための圧着を可能にするように構成された圧着界面と、前記展開位置を画定するために、前記ピストン(10)の運動終了停止部を形成するように構成された停止界面と、を備え、
前記運動終了停止部が、前記圧着界面のクリアランス寸法よりも大きい前記ピストン(10)のクリアランス寸法を有する、ことを特徴とする突き部材。
【請求項2】
前記静止位置に圧着された前記ピストン(10)が、前記固定本体(20)の支持部分上に着座され、前記ピストン(10)の移動方向に対して傾斜した、圧着壁(11)の少なくとも一部分を備える、請求項1に記載の突き部材。
【請求項3】
前記ピストン(10)が円周を有し、前記ピストン(10)が、その全周に、又はセグメントによってのみ圧着されている、請求項1又は2に記載の突き部材。
【請求項4】
前記固定本体(20)が、少なくとも1つの溝を備え、前記静止位置に圧着された前記ピストン(10)が、塑性変形後に前記溝内に構成された壁部分を備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の突き部材。
【請求項5】
前記固定本体(20)が、少なくとも1つの凸部(21)を備え、前記静止位置に圧着された前記ピストン(10)が、塑性変形後に前記凸部(21)上に着座された壁部分を備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の突き部材。
【請求項6】
前記固定本体(20)が、前記圧着界面と前記停止界面との間により薄い部分を備え、前記より薄い部分が、前記圧着界面の前記クリアランス寸法よりも小さいクリアランス寸法を有する、請求項1~5の何れか一項に記載の突き部材。
【請求項7】
前記固定本体(20)が、前記圧着界面と前記停止界面との間により薄い部分を備え、前記より薄い部分が、前記圧着界面の前記クリアランス寸法よりも大きいクリアランス寸法を有する、請求項1~5の何れか一項に記載の突き部材。
【請求項8】
前記固定本体(20)が、前記ピストン(10)と係合し、前記ピストン(10)を前記展開位置に保つように構成された弾性保持手段を備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の突き部材。
【請求項9】
前記火工式アクチュエータが、前記固定本体上に圧着されるか、オーバーモールドされるか、又はクリップ留めされた、火工式点火器(30)を備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の突き部材。
【請求項10】
前記固定本体(20)が、基体と、前記基体内に構成されて、前記火工式アクチュエータの接続要素用のクリアランスを形成するスロットと、を備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の突き部材。
【請求項11】
前記ピストン(10)が、シェルによって形成されている、請求項1~10のいずれか一項に記載の突き部材。
【請求項12】
車両用の歩行者保護装置であって、ボンネットのリフト部材を形成するために、請求項1~11のいずれか一項に記載の少なくとも1つの突き部材を備える、歩行者保護装置。
【請求項13】
請求項12に記載の少なくとも1つの歩行者保護装置を備える、自動車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、歩行者保護を提供するための自動車安全装置に関する。典型的には、このような安全装置は、歩行者との衝突が発生した場合に、ボンネットをエンジンの部材から著しく移動させるために、車両のボンネットを素早く移動させるために使用される突き部材又はリフト部材を備える。したがって、ボンネットは、エンジンの部材と直ちに接触することなく、歩行者と接触して変形し得、歩行者の急な減速を引き起こす。
【背景技術】
【0002】
出願公開第2000/033850号は、装置が発射される前にピストンをエンクロージャ上に保持するために、固定本体に弾性的に嵌合されているピストンを有する、歩行者保護を提供するための自動車安全装置の突き部材又はリフト部材を開示している。このようなアセンブリは、不注意な分離の危険性を有し、厳しい製造公差を必要とし、製造コストが高くなる。
【0003】
国際公開第2008/026423号は、ボア内で摺動することができるピストンを有する、歩行者保護を提供するための自動車安全装置の突き部材又はリフト部材を開示している。しかしながら、開示された装着は、動作前の寄生移動を有し得、これはクリック雑音を引き起こす可能性がある。更に、ピストンのサイズが大きいため、低い公差及び分散を確実にするために製造コストがかなり大きくなり得る。
【発明の概要】
【0004】
本発明の1つの目的は、上述した先行技術の欠点に対処することであり、具体的には、最初に、動作前の保証された一体性及びクリック雑音の不在を提供しながら、製造が簡単である構成要素を備える突き部材を提案することである。
【0005】
その目的のために、本発明の第1の態様は、自動車両歩行者保護装置用の突き部材であって、
車両上に固定されるように構成された固定本体と、
静止位置と展開位置との間で固定本体に対して移動可能であるピストンと、
ピストンを静止位置から展開位置に移動させるように構成された、火工式アクチュエータと、を備え、
ピストンが、静止位置に保たれるように、固定本体に圧着されることを特徴とする、突き部材に関する。
【0006】
上記の実施形態によれば、ピストンは固定本体に圧着される。したがって、組み立ては、不注意な分離の危険性を有さずに堅牢であるが、依然として製造が簡単である構成要素を使用することが可能である。本出願において、部材は、特定の機能、換言すれば、本件において、ボンネットを押圧する、又は持ち上げる機能を提供する、複数の構成要素のサブアセンブリを有する、機械又は装置の部品であるとして理解される。圧着は、典型的には、第1の部品の材料の塑性変形及び不可逆的変形によって、凹部分に押し込まれるか、又は第2の部品の緩和に対して達成される。ピストンは、典型的には金属で作製される。
【0007】
有利には、ピストンは、固定本体と摺動可能に係合された、並進移動することが可能である部品である。実際には、固定本体との摺動枢動接続を考慮することができ、ピストンがそれ自体を回転させ得る場合でも、ピストンの移動は依然として並進移動する。一実施形態によれば、ピストンは、固定された本体に装着され、圧着された雌型部品であり得る。実際に、ピストン自体は、(例えば、静止位置にあるときに固定本体を覆う)装置の外部雌型部品を形成することができ、歩行者保護用途において、垂直なボンネットを上昇させるために、典型的には垂直である並進運動に起因して、依然としてピストンと呼ばれる。
【0008】
有利には、静止位置に圧着されたピストンは、固定本体の支持部分上に着座され、ピストンの移動方向に対して傾斜した、圧着壁の少なくとも1つの部分を備える。支持部分は、典型的には、ピストンの移動方向に対して横方向に配向された、固定本体の溝又は凸部の面である。溝及び/又は凸部は、一旦圧着されるとピストンの移動軸に沿ってピストンを移動させることができないように画定される。
【0009】
有利には、ピストンは円周を有し、ピストンは、その全周にわたって、又はセグメントによってのみに圧着される。全周にわたって圧着することにより、運動終了保持を最大化することができる。周方向圧着は、複数のつかみ具圧着機械によって、又は、深い圧延によって得ることができる。逆に、セグメントによる圧着により、ピストンを吐出する力をより良好に制御する、又は最小化することができる。セグメントによる圧着が好ましい場合、3つのセグメントは、ピストンがそのハウジングを離れると、良好な誘導を確実にすることができる。
【0010】
有利には、固定本体は少なくとも1つの溝を備え、静止位置に圧着されたピストンは、塑性変形後に溝内に構成された壁部分を備える。具体的には、塑性変形は、固定本体上へのピストンの挿入後に生成される。
【0011】
有利には、固定本体は、少なくとも1つの凸部を備え、静止位置に圧着されたピストンは、塑性変形後に凸部上に着座された壁部分を備える。塑性変形は、材料の永久変形として理解される。凸部は、1つ又は一連の局所突出部(複数可)であり得る。
【0012】
有利には、固定本体は、
ピストンをその静止位置に保持するための圧着を可能にするように構成された圧着界面と、
展開位置を画定するために、ピストンの運動終了停止部を形成するように構成された停止界面と、を備え、
運動終了停止部は、圧着界面のクリアランス寸法よりも大きいピストンのクリアランス寸法を有する。
【0013】
実際には、前述のクリアランス寸法は、関連する界面の外径又は外側寸法に対応し、次いで、上述のピストンが静止位置にあるときにピストンの内面と接触する固定本体の一部分を形成する。その結果、ピストンの圧着部分を圧着界面のクリアランス寸法よりも高くするために第1の力が必要であり、ピストンの圧着部分を運動終了クリアランス寸法の上に通すために第2の力が必要であり、これにより、ピストンを運動終了で堅牢な様式で停止させることができる。
【0014】
あるいは、固定本体は、
ピストンをその静止位置に保持するための圧着を可能にするように設計された圧着界面と、
展開位置を画定するために、ピストンの運動終了停止部を形成するように構成された停止界面と、を備え、
運動終了停止部は、圧着界面のクリアランス寸法以下であるピストンのクリアランス寸法を有する。ピストンの良好な圧着及び適切な円筒性を保証するために、溝(又は凸部)の外側寸法は、停止部の寸法以上である。対照的に、圧着界面の底部の寸法又は直径は、停止部の寸法又は直径よりも小さいままである。
【0015】
有利には、固定本体は、圧着界面と停止界面との間により薄い部分を備え、より薄い部分は、圧着界面のクリアランス寸法よりも小さいクリアランス寸法を有する。換言すれば、固定本体は、圧着界面と停止界面との間により小さい断面を有する。更に、ハウジングの外に出ると、ピストンは、固定本体とピストンとの間に取り付けられたガスケットと適合する形状を再開する。
【0016】
あるいは、固定本体は、圧着界面と停止界面との間により薄い部分を備え、より薄い部分は、圧着界面のクリアランス寸法よりも大きいクリアランス寸法を有する。本実施形態により、ハウジングの外に出ると、弾性復帰により、ピストンが表面上に支持されるため、より良好な誘導が得られる。
【0017】
換言すれば、ピストンは、ピストンが固定本体上の静止位置に維持されることを確実にする圧着部分を備える。
【0018】
その結果、圧着部分は、ピストンがその静止位置から外れると、ピストンが展開位置に向かって移動する間にピストンを誘導する際に関与する。具体的には、圧着部分は、圧着界面を残した後にその初期形状を再開し、より薄い部分上で摺動する、又は支持されることによってピストンの誘導を提供する。
【0019】
ピストンが展開位置に到達したとき、それは再び、ピストンの移動を停止し、ピストンを展開位置に停止するために、固定本体と、特に停止界面と相互作用する圧着部分である。
【0020】
換言すれば、本発明は、自動車両歩行者保護装置用の突き部材であって、
車両上に固定されるように構成された固定本体と、
静止位置と展開位置との間で固定本体に対して移動可能であるピストンと、
ピストンを静止位置から展開位置に移動させるように構成された、火工式アクチュエータと、を備え、
ピストンが、ピストンが固定本体上の静止位置に維持されることを確実にする圧着部分を備え、好ましくは、圧着部分が、静止位置から展開位置へのピストンの変位中に、ピストンと固定本体との間に誘導手段を形成することを特徴とする、酢ロストに関する。
【0021】
有利には、固定本体は、圧着部分と停止部分との間に構成され、固定本体上への圧着動作中にピストンを誘導し、かつ位置決めするように構成された位置決め部分を備える。
【0022】
有利には、固定本体は、ピストンと係合し、ピストンを展開位置に保つように構成された弾性保持手段を備える。例えば、弾性的に付勢されたタブは、復帰移動を防止するために、上述のピストンが展開位置にあると、ピストンに押し付けられるように提供され得る。
【0023】
有利なことに、火工式アクチュエータは、固定本体上に圧着された、オーバーモールドされた、又はクリップ留めされた、火工式点火器を備える。
【0024】
有利には、固定本体は、基体と、基体内に構成されて、火工式アクチュエータの接続要素用のクリアランスを形成する、スロットと、を備える。
【0025】
有利には、スロットは、接続要素を完全に受容するように適合された深さを有する。
【0026】
有利には、突き部材は、ピストンと固定本体との間に構成されたガスケットを備える。
【0027】
有利には、ピストンはシェルによって形成される。このような実施形態は、固定本体の単純な設計を可能にし、この固定本体は、単純にピストンを載置し、上述のピストンは、堅牢な様式で静止位置に留まるために、固定本体の溝に圧着される。
【0028】
有利には、シェルは、抜き打ちされた部品である。
【0029】
本発明の第2の態様は、ボンネットのリフト部材を形成するために、本発明の第1の態様による、少なくとも1つの突き部材を備える車両用歩行者保護装置である。
【0030】
本発明の最後の態様は、本発明の第2の態様による、少なくとも1つの歩行者保護装置を備える自動車両に関する。
【0031】
本出願では、ピストンを参照する。この用語は、ここでは静止位置から展開位置へと移動する部品を指す。ピストンは、円筒形状、例えば円形の断面を有する部品であり得るが、非円形の断面の円筒が想定され得る(円筒は、母線が互いに平行であり、閉じたベースカーブの周辺部に従う表面を有し、ベースカーブは、円形であってもなくてもよいことが理解される)。非円筒形状が考慮され得る。ピストンは、固定本体を覆う部品であってもよいが、ピストンが固定本体内に収容されることも想定され得る。
【0032】
本明細書の全ての技術的特性は、技術的不干渉性又は不適合性がない限り、互いに組み合わされるか、又は互いから分離され得ることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
本発明の他の特徴及び利点は、非限定的な例として提供され、添付の図面によって示される本発明の実施形態の以下の詳細な説明から、より明確に理解することができる。
【0034】
図1】本発明による突き部材の等角図を示す。
【0035】
図2図1の突き部材の断面図を示す。
【0036】
図3図1の突き部材及びその発射の制御を可能にするコネクタの分解図を示す。
【0037】
図4】その動作前の図2の突き部材を示す。
【0038】
図5】動作開始時の図2の突き部材を示す。
【0039】
図6】動作中の図2の突き部材を示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1は、ピストン10と、自動車両上に永久に固定されるように構成された固定本体20と、を備える、本発明による突き部材の斜視図を示す。その目的のために、取り付け穴25は、典型的には、歩行者との衝突が発生した場合、ボンネットを数センチメートル上昇させて、ボンネットの変形を可能にするために、車両ボンネットの下で突き部材を取り付けるために、固定本体20内に提供される。
【0041】
この変位を可能にするために、突き部材は、固定本体20のボア27内に収容され、ボア27を加圧し、次いでピストン10を上方に押すために、発射信号(典型的には、図3で視認可能なコネクタ40によって車両の回路基板によって送られる電流)に応答して燃焼ガスを生成することができる、図2及び図3で視認可能な火工式点火器30を備え、ピストンは概ねシェル又はキャップ形状である。
【0042】
実際に、図2は、静止位置にあるピストン10を示しているが、火工式点火器30からガスを加圧する効果下で、ピストン10は、展開位置を占有するために、図2の上部に向かって変位され得る。
【0043】
火工式点火器30は、固定本体20に圧着され、圧入されたリングによって保たれ、又はオーバーモールドされ得、ガスケット50はピストン10と固定本体20との間に提供される。展開前に、例えば、車両に装着される前に固定本体20から係合解除されることができないこと、かつ/又はクリック雑音が不注意に発生しないことを確実にするために、ピストン10がその静止位置に留まることを保証することが重要である。
【0044】
そのために、本発明は、図2に示されるように、ピストン10をその静止位置で固定本体20に圧着することを提案する。
【0045】
具体的には、圧着界面には、少なくとも1つの凸部品21、及び、ピストン10の圧着部分11を、(塑性変形を用いて)決定的な様式で押圧することができる凹部品が提供される。固定本体20の凸部分21及び凹部分は、図3に見られるように、圧着溝、又は突出部若しくはドームによって形成することができる。
【0046】
いずれの場合も、ピストン10の圧着部分11は、静止位置が堅牢な様式で確実に確保されるように、固定本体20の傾斜壁に押し付けられる。
【0047】
本発明はまた、展開位置を画定するために、ピストン10(特に圧着部分11)が当接する固定本体20上に運動終了部分22を設置することも提案する。詳細には、凸部品21は、第1のクリアランス寸法を画定する外径D1を有し、運動終了界面22は、第2のクリアランス寸法を画定する外径D2を有し、有利にはD2はD1より大きく、位置停止を確実にすることができる。しかしながら、良好な圧着を確実にするために、D1はD2以上となり得る。
【0048】
ピストン10の停止は、圧着部分11が凸部品21の「上を通過する」ために特定の量だけ変形されるべきであるが、運動終了界面22と同じようにするために更に変形されるべきであるという事実によって保証される。その後、火工式点火器からのガスに利用可能な体積が増加するにつれて、展開位置でピストン10に加えられる突き力は、静止位置よりも弱い。これにより、(突出部品21を過ぎた後に多少変形した)圧着部品11が運動終了界面22の端部を越えて進むように変形されないことを確実にする(力が小さく、変形が大きくなるべきであるため)。
【0049】
その静止位置とその展開位置との間のピストン10の移動を妨げる又は妨害するために、展開中にピストン10と固定本体20との間の最小摩擦及び良好な誘導を保証するために、圧着界面と運動終了界面22との間に構成されたより薄い部分24を提供することができる。換言すれば、固定本体20は、直径D1よりも小さい直径をより薄い部分に有する。しかしながら、ピストン10の移動中にピストン10を誘導するために、ピストン10の圧着部分11、換言すれば、例えば溝直径の底部と接触している固定本体の部分の直径と少なくとも等しい、より薄い部分24の直径が提供され得る。
【0050】
固定本体はまた、図3に視認可能なコネクタ40を受容するように構成された接続ボア26を備える。有利には、固定本体20は、コネクタが超えて延在しないようにコネクタ40を完全に受容するようにサイズ決めされたスロット28(図1で視認可能)を備える。これにより、固定本体20を車両の平坦面に固定することが可能であり、ピストンの長さが最大化される。
【0051】
図4は、ピストン10が静止位置にあり、換言すれば、圧着部分11(圧着界面)が凸部品21と係合する、作動前の突き部材を示す。
【0052】
図5は、ピストン10がその静止位置を残したままであり、換言すれば、圧着部分11が凸部品21(圧着界面)に面する、作動開始時の突き部材を示す。点火器30は、作動したばかりであり、キャップを外されており、ガスを生成しており、ガスは、図5の上部に向かってピストン30を押す。その結果、図5に示されるように、圧着部分11は、ピストン10の弾性変形によって凸部品21の上を通過する。
【0053】
図6は、固定本体20に沿ってその静止位置から展開位置まで摺動するピストン10を有する、動作中の突き部材を示す。具体的には、ピストン10を誘導するために、圧着部分11は、より薄い部分24に沿って摺動することに留意されたい。実際、ピストン10の(図5に対する)弾性復帰により、圧着部分11は、より薄い部分24に調整され、ピストン10を誘導する際に関与する。
【0054】
当業者に明らかな様々な修正及び/又は改善は、本発明の範囲を超えることなく、本明細書に記載される本発明の異なる実施形態に行うことができることが理解されよう。具体的には、歩行者保護装置用の突き部材を参照するが、本発明を安全ベルトリトラクタの突き部材、又は電気回路カットオフの突き部材に使用することが想定され得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6