(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-26
(45)【発行日】2022-11-04
(54)【発明の名称】熱収縮包装体の製造方法、及び熱収縮包装用袋体
(51)【国際特許分類】
B65B 53/00 20060101AFI20221027BHJP
B65D 75/58 20060101ALI20221027BHJP
B65B 11/10 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
B65B53/00 B
B65D75/58
B65B11/10
(21)【出願番号】P 2017251084
(22)【出願日】2017-12-27
【審査請求日】2020-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000206473
【氏名又は名称】大倉工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】寺元 義純
(72)【発明者】
【氏名】溝淵 義輝
(72)【発明者】
【氏名】矢野 智也
【審査官】植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-088565(JP,A)
【文献】特開2006-008136(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0175288(US,A1)
【文献】特開平08-301239(JP,A)
【文献】特開2015-227172(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 53/00-53/02
B65D 67/00-79/02
B65B 11/00-11/58
B65B 49/00-49/16
B65B 9/00- 9/24
B65B 51/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非熱収縮性フィルム及び熱収縮性フィルムを用いて、
前記非熱収縮性フィルムと前記熱収縮性フィルムを重ね合わせて、全周縁部をヒートシールすることにより被包装物の全面を被覆する被包装物被覆工程と、
前記ヒートシールの少なくとも一部が熱板シールであって、該熱板シールされた部分のみに易開封手段を形成する易開封手段形成工程と、
前記熱収縮性フィルムを加熱収縮させて包装体とする熱収縮包装工程と、
を備えることを特徴とする熱収縮包装体の製造方法。
【請求項2】
前記被包装物被覆工程が、
前記被包装物の上下面の一方面側を非熱収縮性帯状フィルム、他方面側を熱収縮性帯状フィルムで被覆し、前記非熱収縮性帯状フィルム及び前記熱収縮性帯状フィルムを長手方向所定位置でヒートシール及びカットして前記被包装物を囲繞する環状フィルムとした後、該環状フィルムの開口された両側縁部をヒートシールすることにより被包装物の全面を被覆することを特徴とする請求項1記載の熱収縮包装体の製造方法。
【請求項3】
前記被包装物被覆工程が、
前記非熱収縮性フィルムと前記熱収縮性フィルムを重ね、周縁部をヒートシールして開口部を有する袋体を形成し、
前記被包装物を前記開口部から前記袋体へ挿入した後、前記開口部をヒートシールすることにより被包装物の全面を被覆することを特徴とする請求項1記載の熱収縮包装体の製造方法。
【請求項4】
前記ヒートシールの全てが熱板シールであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項記載の熱収縮包装体の製造方法。
【請求項5】
非熱収縮性フィルムと熱収縮性フィルムを重ね、一部が開口部となるように周縁部をヒートシールした袋体であり、
前記ヒートシールの少なくとも一部が熱板シールされ、該熱板シールされた部分のみに
易開封手段が形成されていることを特徴とする熱収縮包装用袋体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、易開封性に優れる熱収縮包装体の製造方法、及び該製造方法に用いられる熱収縮包装用袋体に関する。
【背景技術】
【0002】
食品、書籍、化粧品、菓子、医薬品などの商品を販売する場合、商品の汚れ等を防止するために、プラスチックフィルム等によって包装した状態で商品が提供販売される。かかる包装の一種として熱収縮包装(シュリンク包装)がある。
熱収縮包装は、被包装物の形状などにかかわらずフィルムを被包装物に密着させた包装が可能であり、包装の自動化が容易であるなどの利点を有するが、一方で被包装物とフィルムとの密着性が高いことから、開封しにくいという問題がある。
【0003】
従来、熱収縮包装の開封性を向上させる技術が種々開発されている。
例えば、特許文献1には、容易に開封できる熱収縮包装体を提供することを目的として、少なくとも一方の前後シール部に、I型ノッチが包装体の内側に向かって櫛状に設けられた熱収縮包装体が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前後シール部にノッチが設けられた熱収縮用包装体(熱収縮させる前の包装体)は、熱収縮させることによって、前後シール部が被包装物に密着し、また前後シール部自体が収縮してシール幅が狭くなってしまうことから、開封時に前後シール部を掴みにくく、ノッチが設けられていても開封しにくいという課題があった。
さらに、熱収縮性フィルムは薄膜で柔らかくコシがないことから、熱収縮包装体の前後シール部を持ってノッチから開封しようとしても、前後シール部のフィルムが撓んでしまいノッチから切り裂けにくいといった課題があった。
【0006】
そこで、本発明は、開封性を向上させた熱収縮包装体の製造方法、及び熱収縮包装用袋体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によると上記課題を解決する為の手段として、
(1)非熱収縮性フィルム及び熱収縮性フィルムを用いて、それらをヒートシールすることにより被包装物の全面を被覆する被包装物被覆工程と、前記ヒートシールの少なくとも一部が熱板シールであって、該熱板シールされた部分に易開封手段を形成する易開封手段形成工程と、前記熱収縮性フィルムを加熱収縮させて包装体とする熱収縮包装工程と、を備えることを特徴とする熱収縮包装体の製造方法が提供される。
(2)前記被包装物被覆工程が、前記被包装物の上下面の一方面側を非熱収縮性帯状フィルム、他方面側を熱収縮性帯状フィルムで被覆し、前記非熱収縮性帯状フィルム及び前記熱収縮性帯状フィルムを長手方向所定位置でヒートシール及びカットして前記被包装物を囲繞する環状フィルムとした後、該環状フィルムの開口された両側縁部をヒートシールすることにより被包装物の全面を被覆することを特徴とする(1)記載の熱収縮包装体の製造方法が提供される。
(3)前記被包装物被覆工程が、前記非熱収縮性フィルムと前記熱収縮性フィルムを重ね、周縁部をヒートシールして開口部を有する袋体を形成し、前記被包装物を前記開口部から前記袋体へ挿入した後、前記開口部をヒートシールすることにより被包装物の全面を被覆することを特徴とする(1)記載の熱収縮包装体の製造方法が提供される。
【0008】
(4)前記ヒートシールの全てが熱板シールであることを特徴とする(1)乃至(3)のいずれか記載の熱収縮包装体の製造方法が提供される。
(5)非熱収縮性フィルムと熱収縮性フィルムを重ね、一部が開口部となるように周縁部をヒートシールした袋体であり、前記ヒートシールの少なくとも一部が熱板シールされ、該熱板シールされた部分に易開封手段が形成されていることを特徴とする熱収縮包装用袋体が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、被包装物の全面がフィルムにより被覆されていることで被包装物の汚れ等を防止することができ、且つ、被包装物が複数の物品からなる場合、フィルムが密着していることから搬送時など各物品の位置関係が変化しない状態で取り扱うことができる。
そして、非熱収縮性フィルムと熱収縮性フィルムとを重ね合わせて熱板シールされた部分を有することから、非熱収縮性フィルムが熱板シールされた部分の収縮を抑制し、シール幅を維持することができる。これにより、熱収縮包装した後でも熱板シールされた部分を掴みやすく、尚且つ、非熱収縮性フィルムと熱収縮性フィルムを熱板シールにより熱圧着していることで、熱板シールされた部分のフィルムにコシを持たせることができる。この為、該熱板シールされた部分に易開封手段を形成することで、易開封手段から簡単に開封することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に係る被包装物被覆体の概略側面図(A)および概略平面図(B)である。
【
図2】本発明に係る熱収縮包装体の一例を示す概略断面図である。
【
図3】本発明に係る被包装物被覆工程の一例を示す模式的概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を図面に基づいて詳細に説明する。尚、各図中、同一符号は同一又は同等の構成要素を表している。また、本発明は以下の形態に限定されるものではなく、種々の形態をとることができる。
【0012】
[被包装物被覆体]
本発明は、非熱収縮性フィルム及び熱収縮性フィルムを用いて、それらをヒートシールすることにより被包装物の全面を被覆する被包装物被覆工程を備え、この工程により被包装物被覆体(熱収縮包装される前の状態)が形成される。
図1は、本発明に係る被包装物被覆体の一例を示す概略側面図(A)および概略平面図(B)である。
図1の被包装物被覆体1は、被包装物3が、非熱収縮性フィルム4及び熱収縮性フィルム5からなる包装フィルム2により全面被覆されてなる。非熱収縮性フィルム4と熱収縮性フィルム5は、それぞれ1枚のフィルムであり、被包装物3の一方面側(
図1(A)においては上面側)に非熱収縮性フィルム4、被包装物3の他方面側(
図1(A)においては下面側)に熱収縮性フィルム5が配置され、それぞれのフィルムの端部において、非熱収縮性フィルム4と熱収縮性フィルム5が重ね合わされてヒートシール6a,6b,6cされ、接合されている。
【0013】
尚、
図1においては、非熱収縮性フィルム4と熱収縮性フィルム5の2枚のフィルムを用いて被包装物3に被覆しているものであるが、本発明においてはこれに限定されるものではない。例えば、熱収縮性フィルムを複数枚、または非熱収縮性フィルムを複数枚用いて、3枚以上のフィルムにより被包装物を被覆することであっても良い。
また、ヒートシールの形状も特に限定されるものではなく、被包装物の形状に沿わせた形状にすることができる。例えば、円形のピザの場合には、ピザの形状に沿わせて円弧状にシールすれば良い。矩形の被包装物の場合は、その被包装物の形状に沿わせて四方にシールを施すことが好ましい。
【0014】
[ヒートシール]
本発明におけるヒートシールとは、熱によりフィルムを溶融させ溶着させるシール方法のことであり、熱板シールや溶断シール等を包含するシール方法のことを意味する。また、本発明における熱板シールとは、一定幅の熱板を加熱し、重ねられたフィルムに押し付けることによりフィルム同士を熱圧着させるシール方法のことをいい、また溶断シールとは、丸棒状(線状)のヒーターにより、重ねられたフィルムを加熱溶着させてシールするとともにフィルムを断ち切るシール方法のことをいう。
そして、
図1に示す被包装物被覆体1においては、全て熱板シールによりヒートシールし、一定幅の熱板シールされた部分7が形成されている。
【0015】
本発明においては、ヒートシールのうち、少なくとも一部が熱板シールされた部分を備える。熱板シールされた部分を設けることで、該熱板シールされた部分に後述する易開封手段を形成することができる。
熱板シールされた部分の長さは、易開封手段が形成される程度の長さであれば良く、熱板シールされた部分の幅は、開封時に手で持つことが可能な程度、具体的には、1~2cm程度が好ましい。
また、被包装物被覆体の周囲のヒートシールの全てが熱板シールされた部分であることが好ましい。こうすることで、易開封手段を形成する位置が制限されず、被包装物被覆体周囲の任意の位置に易開封手段を設けることが可能である。
【0016】
[被包装物]
本発明における被包装物としては特に限定されるものではないが、例えば、食品、書籍、化粧品、菓子、医薬品などの商品が挙げられる。本発明は、熱収縮包装により被包装物にフィルムが密着し被包装物を固定する包装が可能であることから、形が崩れやすい物品に適しており、例えば、ピザ等のように表面の具材の保持を必要とする食品等を直接包装するのに好適に用いることができる。
【0017】
[非熱収縮性フィルム]
本発明に用いる非熱収縮性フィルムは、実質的に熱収縮を生じないフィルムであれば特に限定なく用いることができ、90℃のグリセリンバスに5秒間浸漬した際の収縮率が3%未満であることが好ましい。このような非熱収縮性フィルムは、例えば、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリアミドなどからなる二軸延伸フィルムが使用される。
非熱収縮性フィルムは、少なくとも一方の表面側が熱融着性を備えることが好ましい。熱融着性を備える非熱収縮性フィルムとしては、例えば、ヒートシール性OPP(二軸延伸ポリプロピレン)が挙げられる。また、最内層をシーラント層とする複数層のラミネート積層体でも良く、最内層をポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系シーラント層とし、OPPからなる基材層とドライラミネートしたラミネート積層体などを好適に用いることができる。
非熱収縮性フィルムの厚みは10~100μm、好ましくは20~50μmが好ましく、また、ヤング率(JIS K7161、測定温度:23℃、引張速度:50mm/min.)が800MPa以上、特に1000MPa以上が好ましい。非熱収縮性フィルムは、後述するように、熱収縮包装した際に熱板シールされた部分が収縮するのを抑制させること、また、熱収縮された包装体にした後、熱板シールされた部分にコシを持たせることを目的とする。従って、非熱収縮性フィルムは比較的膜厚で、コシのあるフィルムであることが求められる。
【0018】
[熱収縮性フィルム]
本発明において用いられる熱収縮性フィルムは、加熱により少なくとも一方向に10%以上収縮することのできるフィルムであれば特に限定なく用いることができる。このうち、90℃のグリセリンバスに5秒間浸漬した際の収縮率が10%以上であるものが好ましい。尚、本発明における収縮率(%)は、収縮前の長さをa、収縮後の長さをbとした場合に、((a-b)/a)×100により求めた値である。
このような熱収縮性フィルムは、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂や、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂等を、Tダイ法で製膜した後、これをテンター延伸法にて延伸することにより製造することができる。また、上記樹脂を、インフレーション法で製膜し、チューブラー法にて延伸することにより製造することもできる。
熱収縮性フィルムの厚みは熱収縮前の状態において50μm以下、特に30μm以下であることが好ましい。厚みが50μmを超えると収縮応力が高くなり過ぎ、熱収縮包装時に被包装物を変形させてしまうおそれがあることから好ましくない。
【0019】
[被包装物被覆工程]
被包装物被覆工程は、非熱収縮性フィルム及び熱収縮性フィルムを用いて、それらをヒートシールすることにより被包装物の全面を被覆する工程である。
この工程としては、例えば、被包装物の上下面の一方面側を非熱収縮性帯状フィルム、他方面側を熱収縮性帯状フィルムで被覆し、非熱収縮性帯状フィルム及び前記熱収縮性帯状フィルムを長手方向所定位置でヒートシール及びカットして被包装物を囲繞する環状フィルムとした後、環状フィルムの開口された両側縁部をヒートシールすることにより被包装物の全面を被覆する方法が挙げられる。この方法の場合、連続包装が可能である。
【0020】
また、別の方法としては、非熱収縮性フィルムと熱収縮性フィルムを重ね、周縁部をヒートシールして開口部を有する袋体を形成し、被包装物を開口部から袋体へ挿入した後、開口部をヒートシールすることにより被包装物の全面を被覆する方法が挙げられる。尚、該袋体が長方形状の場合は、非熱収縮性フィルムと熱収縮性フィルムを重ねて三方の端部をヒートシールし、一方を開口部とする袋体を予め形成しておき、被包装物を開口部から前記袋体へ挿入した後、開口部をヒートシールすることにより被包装物の全面を被覆することができる。
このように、予め熱収縮包装用袋体を製袋しておく場合、包装時に被包装物を挿入して、シール機で開口部をシールすることで簡単に被包装物被覆体を形成することができる。尚、本発明においては、袋体のヒートシール及び開口部を封緘するヒートシールの少なくとも一部を熱板シールとし、熱板シールされた部分に易開封手段を設けておくと良い。特に、予め形成した熱収縮包装用袋体のヒートシールの一部を、易開封手段を有する熱板シールされた部分としておくと、包装時の作業が簡便となり好適である。
このように、予め熱収縮包装用袋体を製袋しておく方法は、シール機さえあればどこでも簡単に被包装物被覆体を形成することができる。
【0021】
[易開封手段形成工程]
易開封手段形成工程は、被包装物被覆体の熱板シールされた部分に、易開封手段を形成する工程のことである。該工程は、被包装物被覆工程の後に行ってもよいし、被包装物被覆工程中、すなわち、熱板シール直後に行っても良い。或いは、後述する熱収縮包装工程の後に行っても良い。
【0022】
[易開封手段]
易開封手段は、V字ノッチやU字ノッチ、I字ノッチ等のノッチ、または複数の細孔など、従来知られているものであれば特に限定されるものではない。
また、本発明においては、熱収縮包装工程においても熱板シールされた部分が収縮するおそれがないことから、イージーピールフィルムを非熱収縮性フィルムと熱収縮性フィルムとの間に挟んで熱板シールした易開封性シールであっても良い。
【0023】
[熱収縮包装工程]
熱収縮包装工程は、被包装物被覆工程において形成された被包装物被覆体の熱収縮性フィルムを加熱収縮させる工程である。熱収縮性フィルムへの加熱は、例えば、シュリンクトンネルやドライヤー等を採用することができる。尚、加熱温度は、使用している熱収縮性フィルムの特性に合わせ適宜設定すれば良い。
熱収縮性フィルムが収縮すると、熱収縮性フィルムに接合された非熱収縮性フィルムは、熱収縮性フィルムの収縮で引っ張られて被包装物に密着するようになる。その際、熱板シールされた部分は、非熱収縮性フィルムによってシール幅が維持される。
【0024】
[包装体]
図2は、本発明に係る熱収縮された包装体の一例を示す概略断面図である。
熱収縮包装工程にて得られた包装体12は、被包装物の形状やフィルムの被覆の位置にも依るが、例えば
図2に示すような直方体の被包装物3で、被包装物3の上面側に非熱収縮性フィルム4、被包装物3の下面側に熱収縮性フィルム5を配置して包装した場合、熱収縮性フィルム5が収縮して被包装物3に密着すると共に、非熱収縮性フィルム4が熱収縮性フィルム5に引っ張られて被包装物3に密着し、包装フィルム2全体が被包装物3に密着した包装ができる。
その際、ヒートシール6の位置は、被包装物3の下面側に位置する。そうすると、被包装物3を商品として陳列した場合にヒートシール6が隠れることから見栄え良く商品の陳列をすることが可能となる。
尚、非熱収縮性フィルム4は熱収縮包装工程において収縮しない。この為、非熱収縮性フィルムに印刷を施している場合、収縮による印刷の歪み等も発生せず美麗な包装が可能となる。
【実施例】
【0025】
図3は、本発明に係るフィルム被包装物被覆工程の一例を示す概略図である。
尚、非熱収縮性フィルム4は厚さ20μmのヒートシール性OPPであり、熱収縮性フィルム5は厚さ15μmのポリプロピレン系熱収縮性フィルムを用いている。
【0026】
フィルム被覆体形成工程においては、
図3(A)に示すように、先ず、ベルトコンベアー8上に被包装物3を供給する。尚、被包装物3の上面側には非熱収縮性フィルム4がロール状に巻かれた非熱収縮性帯状フィルム4A、被包装物3の下面側には熱収縮性フィルム5がロール状に巻かれた熱収縮性帯状フィルム5Aが配置され、上方から繰り出された非熱収縮性帯状フィルム4Aと、下方から繰り出された熱収縮性帯状フィルム5Aとは熱板シール(前方シール6a)されて繋げられている(
図3(A))。
次いでベルトコンベアー8を回転させ、フィルムの間に被包装物3を供給する(
図3(B))。被包装物3の後方で、上方から繰り出された非熱収縮性帯状フィルム4Aと下方から繰り出された熱収縮性帯状フィルム5Aとを、シールバー9により熱板シール(後方シール6b)した後(
図3(C))、非熱収縮性帯状フィルム4A及び熱収縮性帯状フィルム5Aをカットしそれぞれの帯状フィルムから分離する。
【0027】
前方シール6a及び後方シール6bが施され、被包装物3を囲繞する環状フィルムとした後、環状フィルムの開口された両側縁部を、被包装物3の両側に配置されたサイドシールバー10,10により、熱板シール(サイドシール6c,6c)する(
図3(D))。これにより、被包装物3が非熱収縮性フィルム4と熱収縮性フィルム5により全面が被覆され、被包装物被覆体1が完成する(
図3(E))。
この後、図示はないが、被包装物被覆体1の熱板シールされた部分(前方シール6a、後方シール6b、サイドシール6c,6c)のうちの少なくとも一箇所にノッチ(易開封手段)を形成する(易開封手段形成工程)。
易開封手段形成工程の後、被包装物被覆体をシュリンクトンネルに通過させることで包装体を得る(熱収縮包装工程)。
【符号の説明】
【0028】
1 被包装物被覆体
2 包装フィルム
3 被包装物
4 非熱収縮性フィルム
4A 非熱収縮性帯状フィルム
5 熱収縮性フィルム
5A 熱収縮性帯状フィルム
6 ヒートシール
6a 前方シール
6b 後方シール
6c サイドシール
7 熱板シールされた部分
8 ベルトコンベアー
9 シールバー
10 サイドシールバー
11 易開封手段
12 熱収縮包装体