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特許7165528加温パネル、パネル回路及び血液浄化装置
<図1>
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-26
(45)【発行日】2022-11-04
(54)【発明の名称】加温パネル、パネル回路及び血液浄化装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/36 20060101AFI20221027BHJP
   A61M 1/16 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
A61M1/36 175
A61M1/16 167
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018140512
(22)【出願日】2018-07-26
(65)【公開番号】P2020014726
(43)【公開日】2020-01-30
【審査請求日】2021-05-28
(73)【特許権者】
【識別番号】507365204
【氏名又は名称】旭化成メディカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 英夫
(72)【発明者】
【氏名】横山 裕之
【審査官】岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-139560(JP,A)
【文献】特開昭63-305877(JP,A)
【文献】実開平07-031054(JP,U)
【文献】特開2004-105599(JP,A)
【文献】特表2017-534417(JP,A)
【文献】中国実用新案第204364573(CN,U)
【文献】特開平09-094285(JP,A)
【文献】特開2008-173139(JP,A)
【文献】特表2014-503262(JP,A)
【文献】特開2013-048650(JP,A)
【文献】特表2001-518808(JP,A)
【文献】特表平09-500481(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/36
A61M 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が流れる液体流路を備え、当該液体流路を流れる液体を加温するための加温パネルであって、
前記液体流路を有するパネル本体部と、
前記パネル本体部を他の部材に係止するための係止部と、を備え、
前記係止部は、前記パネル本体部よりも軟質であり、
前記係止部と前記パネル本体部は、互いに硬度の異なる同種の樹脂で構成されている、加温パネル。
【請求項2】
前記係止部は、軟質塩化ビニルで構成され、
前記パネル本体部は、半硬質塩化ビニルで構成されている、請求項1に記載の加温パネル。
【請求項3】
前記係止部は、U字状の紐を有する、請求項1又は2に記載の加温パネル。
【請求項4】
前記係止部は、係止孔を有する環状体である、請求項1又は2に記載の加温パネル。
【請求項5】
前記係止部は、係止孔を有する軟質シートである、請求項1に記載の加温パネル。
【請求項6】
前記パネル本体部は、液体流路となる溝を有する表面と、前記溝を閉鎖する平面シートを有する裏面とを有し、
前記裏面の平面シートは、前記表面の縁部から延長される延長部を有し、その延長部が前記係止部を構成している、請求項5に記載の加温パネル。
【請求項7】
前記パネル本体部の表面は、半硬質塩化ビニルで構成され、
前記パネル本体部の裏面の平面シート及び前記係止部は、軟質塩化ビニルで構成されている、請求項6に記載の加温パネル。
【請求項8】
前記パネル本体部は、前記液体流路にチューブを接続するための接続部を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の加温パネル。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の加温パネルと、
中央に開口を有し、前記開口に前記加温パネルが配置される枠状のフレームと、
前記加温パネルの液体流路に接続され、前記フレームに保持されるチューブと、を備え、
前記加温パネルは、前記係止部により前記フレームに係止されている、パネル回路。
【請求項10】
請求項9に記載のパネル回路を備えた、血液浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加温パネル、パネル回路及び血液浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
透析療法や血漿交換療法などの体外循環療法は、血液浄化装置を用いて行われている。この種の血液浄化装置は、例えば患者の血液を血液浄化器に供給して浄化し患者に戻す血液回路や、血液に補液を補充する補液回路等を有している(特許文献1参照)。例えば患者に送られる補液は、所定の温度範囲まで加温する必要があり、そのため補液回路には、液体流路を有し、当該液体流路を流れる液体を加温するための加温パネルが設けられている。
【0003】
上述のような加温パネルは、例えば枠状のフレームに保持されてパネル回路を構成し、当該パネル回路ごと血液浄化装置の本体に取り付けられている(特許文献2参照)。このとき加温パネルは血液浄化装置の熱源となる熱板に接触されている。
【0004】
上記加温パネルは、フレームのフックに引っ掛けることでフレームに係止されている(特許文献2の段落0029)。また、加温パネルは、比較的硬質の例えばPP(ポリプロピレン)でブロー成型を用いて製造されている(特許文献2の段落0026)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5160455号公報
【文献】特開2015-073847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、例えば出荷時や使用時にパネル回路を搬送する際に、フレームとの間の加温パネルの係止部に集中的に応力がかかり、係止部が破損することがある。係止部が破損すると、加温パネルがフレームから外れるため、パネル回路が使用できなくなる。
【0007】
本出願はかかる点に鑑みてなされたものであり、加温パネルの係止部の破損を抑制することをその目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、鋭意検討した結果、加温パネルの係止部をパネル本体部よりも軟質にすることにより、上記問題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は以下の態様を含む。
(1)液体が流れる液体流路を備え、当該液体流路を流れる液体を加温するための加温パネルであって、前記液体流路を有するパネル本体部と、前記パネル本体部を他の部材に係止するための係止部と、を備え、前記係止部は、前記パネル本体部よりも軟質である、加温パネル。
(2)前記係止部と前記パネル本体部は、互いに硬度の異なる同種の樹脂で構成されている、(1)に記載の加温パネル。
(3)前記係止部は、軟質塩化ビニルで構成され、前記パネル本体部は、半硬質塩化ビニルで構成されている、(2)に記載の加温パネル。
(4)前記係止部は、U字状の紐を有する、(1)~(3)のいずれかに記載の加温パネル。
(5)前記係止部は、係止孔を有する環状体である、(1)~(3)のいずれかに記載の加温パネル。
(6)前記係止部は、係止孔を有する軟質シートである、(1)に記載の加温パネル。
(7)前記パネル本体部は、液体流路となる溝を有する表面と、前記溝を閉鎖する平面シートを有する裏面とを有し、前記裏面の平面シートは、前記表面の縁部から延長される延長部を有し、その延長部が前記係止部を構成している、(6)に記載の加温パネル。
(8)前記パネル本体部の表面は、半硬質塩化ビニルで構成され、前記パネル本体部の裏面の平面シート及び前記係止部は、軟質塩化ビニルで構成されている、(7)に記載の加温パネル。
(9)前記パネル本体部は、前記液体流路にチューブを接続するための接続部を有する、(1)~(8)のいずれかに記載の加温パネル。
(10)(1)~(9)のいずれかに記載の加温パネルと、中央に開口を有し、前記開口に前記加温パネルが配置される枠状のフレームと、前記加温パネルの液体流路に接続され、前記フレームに保持されるチューブと、を備え、前記加温パネルは、前記係止部により前記フレームに係止されている、パネル回路。
(11)(10)に記載のパネル回路を備えた、血液浄化装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、パネル回路の搬送時の加温パネルの係止部の破損を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】血液浄化装置の一例を示す斜視図である。
図2】液体回路の構成の一例を示す説明図である。
図3】加温パネルの正面図である。
図4】加温パネルとフレームの取り付け部分の拡大図である。
図5】加温パネルの係止部のある部分の断面を示す説明図である。
図6】加温パネルを形成する際の加温パネルの断面を示す説明図である。
図7】加温パネルのチューブを接続する部分の断面を示す説明図である。
図8】加温パネルにチューブを接続する際の加温パネルの断面を示す説明図である。
図9】計量チャンバーの構成を示す説明図である。
図10】他の態様の係止部を有する加温パネルの正面図である。
図11】他の態様の加温パネルの正面図である。
図12】他の態様の加温パネルの係止部のある部分の断面を示す説明図である。
図13】他の態様の加温パネルとフレームの取り付け部分の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態の一例について説明する。なお、図面の上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。さらに、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をその実施の形態のみに限定する趣旨ではない。また、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな変形が可能である。
【0013】
<血液浄化装置>
図1は、本実施の形態に係る加温パネルを備えた血液浄化装置1の構成の概略を示す説明図である。血液浄化装置1は、例えば装置本体部10と、操作パネル部11と、台車部12と、ポール部13と、液体回路14等を有している。
【0014】
装置本体部10は、血液処理を実行するために必要な各種機器、装置、部材が内蔵或いは取り付け可能に構成されている。例えば装置本体部10には、液体回路14の流路を開閉する各種クランプ群20と、液体回路14の液体を圧送するポンプ群21と、液体回路14の液体の圧力を検出する圧力センサ(図示せず)と、血液を浄化する後述の血液浄化器等が、内蔵或いは取り付け可能になっている。装置本体部10の側面には、扉30が設けられており、扉30を開けて露出した部分には、平板状のヒータ31が設けられている。このヒータ31に対し、液体回路14のパネル回路40が装着可能になっている。パネル回路40には、加温パネル50や計量チャンバー51が設けられている。パネル回路40を装置本体部10のヒータ31のある部分に装着し、ヒータ31から加温パネル50に給熱することで、加温パネル50を流れる液体を加温できる。
【0015】
操作パネル部11は、例えばタッチパネルになっており、血液処理の各種設定を入力したり、血液処理の運転状態を表示できるようになっている。ポール部13には、血液処理で用いられる後述の透析液バッグや補液バッグ等の液体バッグを吊下げることができる。
【0016】
<液体回路>
図2は、透析療法を行うための液体回路14の構成の一例を示す説明図である。例えば液体回路14は、血液浄化器70と、血液回路71と、透析液供給ライン72、廃液ライン73及び補液ライン74等を有している。液体回路14は、血液浄化装置1の装置本体部10に着脱自在である。
【0017】
血液浄化器70は、例えば浄化膜としての中空糸膜を有する円筒状の膜モジュールであり、血液から不要成分を分離できる。
【0018】
血液回路71は、例えば採血部80と血液浄化器70とを接続する採血ライン90と、血液浄化器70と返血部81とを接続する返血ライン91を備えている。採血ライン90と返血ライン91は、主に軟質チューブにより構成されている。採血ライン90は、血液浄化器70の入口の血液側ノズルに接続され、返血ライン91は、血液浄化器70の出口の血液側ノズルに接続されている。
【0019】
採血ライン90には、例えば圧送ポンプ100が設けられている。返血ライン91には、ドリップチャンバ110や圧力センサが設けられている。
【0020】
透析液供給ライン72は、透析液バッグ120と、透析液バッグ120と血液浄化器70の透析液側ノズルを接続する透析液流路121を有している。透析液流路121は、主に軟質チューブにより構成されているが、一部が加温パネル50の液体流路や計量チャンバー51の液体流路により構成されている。透析液流路121には、透析液ポンプ122が設けられている。
【0021】
廃液ライン73は、血液浄化器70の透析液側ノズルと廃液部を接続する廃液流路130を有している。廃液流路130は、主に軟質チューブにより構成されているが、一部が計量チャンバー51の液体流路により構成されている。廃液流路130には、例えば濾過ポンプ131が設けられている。
【0022】
補液ライン74は、補液バッグ140と、補液バッグ140と返血ライン91を接続する補液流路141を有している。補液流路141は、主に軟質チューブにより構成されているが、一部が加温パネル50の液体流路や計量チャンバー51の液体流路により構成されている。補液流路141には、補液ポンプ142が設けられている。
【0023】
以上の液体回路14では、例えば透析療法のための血液浄化処理が行われる。例えば血液回路71において、患者の血液が採血部80から血液浄化器70の浄化膜の血液側に送られ、血液浄化器70を通過後、返血部81から患者に戻される。このとき、透析液供給ライン72において透析液が血液浄化器70の浄化膜の透析液側に送られ、その後廃液ライン73を通じて廃液される。血液浄化器70では、浄化膜の血液側を通る血液中の不要成分が浄化膜を通じて透析液側に流出し、透析液とともに排出される。一方、補液ライン74において補液が血液回路71に供給され、血液中に所定の成分が補充される。
【0024】
<パネル回路>
図2に示すパネル回路40は、例えば透析液流路121の少なくとも一部、廃液流路130の少なくとも一部、補液流路141の少なくとも一部を保持し、装置本体部10に対し脱着自在に構成されている。パネル回路40は、例えば方形の枠状のフレーム160と、フレーム160の内側の開口に取り付けられ、液体回路14の液体流路の一部を有する加温パネル50と、フレーム160に固定され、液体回路14の液体流路の一部を構成する軟質のチューブ161と、計量チャンバー51を有している。
【0025】
フレーム160は、方形の枠状に形成され、硬質の樹脂、例えばABS樹脂で構成されている。フレーム160は、中央に、加温パネル50が配置される開口部160aを有し、開口部160aの上下の縁には、加温パネル50の後述の係止部171を係止するためのフック160bが設けられている。フック160bは、加温パネル50の係止部171に対応するように例えば4か所に設けられている。フレーム160には、加温パネル50に接続されるチューブ161を固定する複数の固定部(図示せず)が設けられている。
【0026】
図3及び図4に示すように加温パネル50は、略長方形の薄い板形状を有している。加温パネル50は、液体流路を有するパネル本体部170と、パネル本体部170を他の部材としてのフレーム160のフック160bに係止するための係止部171を備えている。
【0027】
パネル本体部170は、薄い長方形状に形成されている。パネル本体部170は、入口部180から出口部181まで一続きの液体流路182を2経路有している。入口部180と出口部181は、パネル本体部170の長手方向の片側(上側)の短辺に設けられている。各液体流路182は、入口部180から左右に蛇行しながら下方に向かって延設された蛇行部200と、蛇行部200の下部から蛇行部200の横を直線的に通って出口部181に接続される直線部201を有している。2つの液体流路182は、パネル本体部170の左右に並べて配置されている。入口部180と出口部181が、パネル本体部170の液体流路182にチューブ161を接続するための接続部を構成している。
【0028】
パネル本体部170は、例えば半硬質樹脂の塩化ビニルで構成されている。パネル本体部170の半硬質樹脂の硬度は、74D(JIS K-7215)以上である。パネル本体部170は、図5に示すように例えば液体流路182となる溝210がある表面170aと、凹凸のない平面シートの裏面170bを有している。図6に示すようにパネル本体部170は、例えば表面170aを真空成型で成型し、裏面170bを押出成型で成型し、それらを互いに高周波溶着することにより形成されている。
【0029】
図3に示すように係止部171は、例えばパネル本体部170の長手方向の上下の短辺にそれぞれ2か所ずつ設けられている。係止部171は、例えばU字状の軟質紐である。係止部171は、例えばパネル本体部170よりも硬度が低く軟質で例えば同種類の樹脂、例えば軟質樹脂の塩化ビニルで構成されている。係止部171の軟質樹脂の硬度は、 80A(JIS K-7215)以下、好ましくは、70A(JIS K-7215)以下である。 係止部171は、図5及び図6に示すように例えばパネル本体部170の表面170aと裏面170bを溶着する際に、それらの間に挟み込むことによりパネル本体部170に溶着されている。なお、係止部171は、パネル本体部170の表面170aと裏面170bの間に挟み込まずに溶着してもよい。
【0030】
図3に示すようにパネル本体部170の入口部180と出口部181には、チューブ161が接続されている。チューブ161は、パネル本体部170と同種の軟質樹脂の塩化ビニルで構成されている。チューブ161は、図7及び図8に示すように例えばパネル本体部170の表面170aと裏面170bを溶着する際に、それらの間に挟み込むことによりパネル本体部170に溶着されている。
【0031】
図2に示すように加温パネル50の2つの液体流路182には、透析液流路121のチューブ161と、補液流路141のチューブ161が接続されている。これにより、一方の液体流路182が透析液流路121の一部を構成し、他方の液体流路182が補液流路141の一部を構成する。
【0032】
<計量チャンバー>
図2に示したように計量チャンバー51は、パネル回路40の下部に設けられている。計量チャンバー51は、患者の除水量を管理するため、血液浄化器70に供給される透析液の供給量と、血液浄化器70から廃液される透析液の廃液量と、血液回路71に供給される補液の量の合計を計量するためのチャンバーである。図9に示すように計量チャンバー51は、パネル状に形成され、熱可塑性樹脂により製造されている。計量チャンバー51は、3つの貯留部230、231、232と、7つの出入口240~246と、7つの流路250~256を有している。
【0033】
貯留部230、231、232は、計量チャンバー51の下部にこの順で横に並べて設けられている。第1~第4の出入口240~243は、例えば計量チャンバー51の上部の左側に下から上に向けてこの順で設けられ、第5~第7の出入口244~246は、右側に下から上に向けてこの順で設けられている。第1の流路250は、第1の貯留部230と第1の出入口240とを接続し、第2の流路251は、第1の貯留部230と第2の出入口241とを接続し、第3の流路252は、第2の貯留部231と第3の出入口242とを接続し、第4の流路253は、第2の貯留部231と第4の出入口243とを接続している。第5の流路254は、第2の貯留部231と第5の出入口244とを接続し、第6の流路255は、第3の貯留部232と第6の出入口245とを接続している。第7の流路256は、第3の貯留部232と第7の出入口246とを接続している。
【0034】
第1の出入口240と第2の出入口241は、接続チューブ260、261を介して、パネル回路40の廃液流路130のチューブ161に接続されている。これにより、第1の貯留部230は、血液浄化器70から廃液される透析液を一旦貯留して計量する計量部として機能する。第3の出入口242と第5の出入口244は、接続チューブ262、263を介して、パネル回路40の透析液流路121のチューブ161に接続されている。これにより、第2の貯留部231は、血液浄化器70に供給される透析液を一旦貯留して計量する計量部として機能する。第6の出入口245は、接続チューブ264を介して、パネル回路40の補液流路141のチューブ161に接続されている。これにより、第3の貯留部232は、血液回路71に供給される補液を一旦貯留して計量する計量部として機能する。
【0035】
計量チャンバー51は、図示しない計量装置により計量され、血液浄化器70に供給される透析液の供給量、血液浄化器70から廃液される透析液の廃液量、血液回路71に供給される補液の量の合計重量を計量することにより、合計重量の変化、すなわち患者の除水量の変化を把握することができる。
【0036】
本実施の形態によれば、加温パネル50がパネル本体部170と係止部171を備え、係止部171がパネル本体部170よりも軟質であるので、加温パネル50がフレーム160に係止された状態で搬送される際に、応力が集中する係止部171が柔軟に動くことで、力を逃がし、係止部171が破損することを抑制することができる。
【0037】
係止部171とパネル本体部170は、同種の樹脂で構成されているので、互いに溶着しやすく、加温パネル50の製造が容易になる。
【0038】
係止部171が軟質塩化ビニルで構成され、パネル本体部170が半硬質塩化ビニルで構成されているので、係止部171とパネル本体部170の溶着を容易に行うことができる。また、パネル本体部170が、塩化ビニルのチューブ161と同種の樹脂になるので、チューブ161をパネル本体部170の液体流路182に、他の接続部材を介在することなく、簡単に溶着することができる。また、係止部171が軟質塩化ビニルで構成されているので、パネル本体部170の半硬質塩化ビニルに比べて低温環境において樹脂強度が低下しない。これにより、低温時にパネル回路40を搬送する際に係止部171が破損することを効果的に抑制することができる。
【0039】
係止部171がU字状の紐を有するので、フレーム160に引っ掛けやすい。また、係止部171が加温パネル50の動きに追従しやすいので、外力を逃して係止部171の破損をより効果的に抑制することができる。係止部171のU字状の紐は、湾曲してなくてもよく、角を有するものであってもよい。また、係止部171の一部が紐であってもよい。
【0040】
上記実施の形態において、係止部171は別の構成を有するものであってもよい。例えば係止部171は、図10に示すように係止孔280を有する環状体であってもよい。この場合、係止部171は、例えば方形の枠状に形成され、内側に方形の係止孔280を有していてもよい。また係止部171は、軟質塩化ビニルで構成され、射出成型等で成型されてもよい。例えば係止部171は、パネル本体部170に対し溶着されている。
【0041】
また係止部171は、図11に示すように係止孔301を形成するための切り込み300が形成されている軟質シートであってもよい。この場合、図12に示すようにパネル本体部170の裏面170bの平面シートが、表面170aの縁部から延長された延長部Aを有し、その延長部Aが係止部171を構成していてもよい。この場合、パネル本体部170の表面170aが半硬質塩化ビニルで構成され、パネル本体部170の裏面170bの平面シート及び係止部171が軟質塩化ビニルで構成されている。係止部171の軟質シート(裏面170bの平面シート)は、例えば、0.4mm程度の厚みを有している。図11に示すように係止部171には、略U字状の切り込み300が形成されており、その切り込み300によってその内側に係止孔301が形成されている。図13に示すようにこの係止孔301をフレーム160のフック160bに引っ掛けることにより、加温パネル50がフレーム160に係止されている。
【0042】
本実施の形態によれば、パネル本体部170が半硬質樹脂(表面)と軟質樹脂(裏面)で構成され、係止部171が軟質樹脂で構成されているため、全体として係止部171はパネル本体部170よりも軟質である。よって、本実施の形態によれば、加温パネル50がフレーム160に係止された状態で搬送される際に、応力が集中する係止部171が柔軟に動くことで、力を逃がし、係止部171が破損することを抑制することができる。また、本実施の形態によれば、係止部171がパネル本体部170の裏面170bと一体になるので、加温パネル50の製造を容易に行うことができる。また、係止部171とパネル本体部170の接続強度が高くなる。なお、係止部171は、切り込み300によって係止孔301が形成されるものでなくてもよく、単に係止孔301が形成されているものであってもよい。
【0043】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0044】
例えば加温パネル50の係止部171の形や構造、数は他のものであってもよい。パネル本体部170の液体流路182の配置や形状、パネル本体部170の形状や構造も他のものであってもよい。加温パネル50がフレーム160に係止されていたが、他の部材に係止される場合にも本発明は適用できる。係止部171の材質は、例えば軟質塩化ビニルであったが、エラストマーなどの他の材質であってもよい。パネル本体部170の材質は、例えば半硬質塩化ビニルであったが、硬質塩化ビニル、PC(ポリカーボネート)などの他の材質であってもよい。
【0045】
また加温パネル50を備えた血液浄化装置1やパネル回路40の構成は上記実施の形態のものに限られない。例えば上記実施の形態における血液浄化装置1は、透析療法を行うものであったが、血漿交換療法、白血球除去療法、持続緩徐式血液濾過療法などを行う血液浄化装置にも本発明は適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、加温パネルの係止部の破損を抑制する際に有用である。
【符号の説明】
【0047】
1 血液浄化装置
40 パネル回路
50 加温パネル
160 フレーム
170 パネル本体部
171 係止部
182 液体流路
図1
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図13