(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-26
(45)【発行日】2022-11-04
(54)【発明の名称】ガスタービン用燃焼器
(51)【国際特許分類】
F23R 3/28 20060101AFI20221027BHJP
F23R 3/14 20060101ALI20221027BHJP
F02C 7/22 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
F23R3/28 D
F23R3/14
F02C7/22 B
(21)【出願番号】P 2018178659
(22)【出願日】2018-09-25
【審査請求日】2021-07-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】瀧口 智志
(72)【発明者】
【氏名】井上 慶
(72)【発明者】
【氏名】田中 優佑
【審査官】高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-227431(JP,A)
【文献】特開2007-046886(JP,A)
【文献】特開2014-181859(JP,A)
【文献】米国特許第5359847(US,A)
【文献】米国特許第5680766(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 7/22
F23R 3/14
F23R 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼筒と、
燃料を供給するための第1燃料流路を内部に含み、前記燃焼筒の軸線上に延在する第1ノズルと、
燃料を供給するための第2燃料流路を内部に含み、前記第1ノズルに沿って延在する第2ノズルと、
を備え、
前記第1ノズルは、前記燃焼筒の軸方向において前記第2ノズルの先端よりも下流側に突出する突出部を含み、
前記第1ノズルは、
第1ノズル孔と、
前記軸方向における前記第1ノズル孔よりも下流側にて前記突出部に設けられた第2ノズル孔と、
を含
み、
前記第1ノズルは、燃焼用空気を供給するための第1空気流路と、前記第1燃料流路から供給された燃料と前記第1空気流路から供給された燃焼用空気とを混合するための混合部と、を含み、前記混合部で生成された予混合ガスを前記第2ノズル孔から噴射するよう構成され、
前記混合部は、前記第1空気流路に面して配置された複数の旋回翼を含み、
前記突出部は、冷却空気を供給するための冷却流路を内部に含み、
前記冷却流路は、前記第1空気流路の外周側にて前記軸方向に沿って延在し、
前記冷却流路の出口は、前記第1空気流路の燃焼用空気の流れ方向において前記複数の旋回翼と前記第2ノズル孔との間の位置にて前記第1空気流路の流路壁面に形成された、ガスタービン用燃焼器。
【請求項2】
前記第1空気流路は、前記複数の旋回翼の下流側において、下流側に向かうにつれて前記燃焼筒の径方向の外側に向かうように傾斜した傾斜流路部を含み、前記冷却流路から供給された冷却空気が前記傾斜流路部における前記径方向の外側の流路壁面に沿って膜を形成するように構成された、請求項1に記載のガスタービン用燃焼器。
【請求項3】
前記旋回翼の翼面には、前記第1燃料流路から供給された燃料を噴射するための噴射孔が形成された、請求項
1又は2に記載のガスタービン用燃焼器。
【請求項4】
前記第1空気流路と前記第1燃料流路とを仕切る流路壁には、前記複数の旋回翼のうち互いに隣接する2つの旋回翼の間の位置に貫通孔が形成された、請求項
1乃至3の何れか1項に記載のガスタービン用燃焼器。
【請求項5】
燃焼筒と、
燃料を供給するための第1燃料流路を内部に含み、前記燃焼筒の軸線上に延在する第1ノズルと、
燃料を供給するための第2燃料流路を内部に含み、前記第1ノズルに沿って延在する第2ノズルと、
を備え、
前記第1ノズルは、前記燃焼筒の軸方向において前記第2ノズルの先端よりも下流側に突出する突出部を含み、
前記第1ノズルは、
第1ノズル孔と、
前記軸方向における前記第1ノズル孔よりも下流側にて前記突出部に設けられた第2ノズル孔と、
を含み、
前記第1ノズルは、燃焼用空気を供給するための第1空気流路と、前記第1燃料流路から供給された燃料と前記第1空気流路から供給された燃焼用空気とを混合するための混合部と、を含み、前記混合部で生成された予混合ガスを前記第2ノズル孔から噴射するよう構成され、
前記第1空気流路は前記第1燃料流路の外周側に設けられ、
前記混合部は、
前記燃焼筒の軸方向と交差する方向に延在し、前記第1燃料流路に接続する内筒と、
前記内筒の外周面と対向する内周面を含み、前記第1空気流路に接続する外筒と、
を含み、
前記外筒は、前記燃焼筒の径方向において前記内筒よりも外側に突出する
、ガスタービン用燃焼器。
【請求項6】
前記突出部は、冷却空気を供給するための冷却流路を内部に含み、
前記冷却流路は、前記第1空気流路の外周側にて前記軸方向に沿って延在する、請求
項5に記載のガスタービン用燃焼器。
【請求項7】
前記冷却流路は、前記第1空気流路における前記混合部の下流側に接続する、請求項6に記載のガスタービン用燃焼器。
【請求項8】
前記第1ノズル孔は、前記突出部に設けられた、請求項1乃至7の何れか1項に記載のガスタービン用燃焼器。
【請求項9】
燃焼筒と、
燃料を供給するための第1燃料流路を内部に含み、前記燃焼筒の軸線上に延在する第1ノズルと、
燃料を供給するための第2燃料流路を内部に含み、前記第1ノズルに沿って延在する第2ノズルと、
を備え、
前記第1ノズルは、前記燃焼筒の軸方向において前記第2ノズルの先端よりも下流側に突出する突出部を含み、
前記第1ノズルは、
第1ノズル孔と、
前記軸方向における前記第1ノズル孔よりも下流側にて前記突出部に設けられた第2ノズル孔と、
を含み、
前記第1ノズル孔は、前記突出部に設けられ、
前記軸方向における前記第2ノズルの先端と前記第1ノズル孔との間の位置にて、前記第1ノズルの外周面から前記燃焼筒の径方向に沿って延在する出口基板を更に備える
、ガスタービン用燃焼器。
【請求項10】
燃焼筒と、
燃料を供給するための第1燃料流路を内部に含み、前記燃焼筒の軸線上に延在する第1ノズルと、
燃料を供給するための第2燃料流路を内部に含み、前記第1ノズルに沿って延在する第2ノズルと、
を備え、
前記第1ノズルは、前記燃焼筒の軸方向において前記第2ノズルの先端よりも下流側に突出する突出部を含み、
前記第1ノズルは、
第1ノズル孔と、
前記軸方向における前記第1ノズル孔よりも下流側にて前記突出部に設けられた第2ノズル孔と、
を含み、
前記第1ノズルの周りに設けられた円筒状のバーナ筒と、前記バーナ筒の下流端に接続されるコーン部と、前記バーナ筒の内側に設けられたスワラと、を更に備え、
前記コーン部は前記軸方向において下流側に向かうにつれて直径が大きくなるように構成されており、
前記第1ノズルは、前記軸方向における前記第1ノズル孔と前記第2ノズル孔との間の位置にて前記コーン部の内部空間に燃料を噴射するよう構成された第3ノズル孔を備え、
前記第3ノズル孔は、前記軸方向に対して傾斜した斜め下流方向に燃料を噴射するよう構成される
、ガスタービン用燃焼器。
【請求項11】
燃焼筒と、
燃料を供給するための第1燃料流路を内部に含み、前記燃焼筒の軸線上に延在する第1ノズルと、
燃料を供給するための第2燃料流路を内部に含み、前記第1ノズルに沿って延在する第2ノズルと、
前記第2ノズルを収容するバーナ筒と、
前記第1ノズルの外周側面を取り囲むように設けられたリング部材であって、前記バーナ筒の下流端に接続されて、燃焼用空気と前記第2ノズルから供給された燃料とが通る流路が外周側に形成される内側リング部材と、
を備え、
前記第1ノズルは、前記燃焼筒の軸方向において前記第2ノズルの先端よりも下流側
且つ前記内側リング部材の下流端よりも下流側に突出する突出部を含み、
前記第1ノズルは、
第1ノズル孔と、
前記軸方向における前記第1ノズル孔よりも下流側
且つ前記内側リング部材の下流端よりも下流側にて前記突出部に設けられた第2ノズル孔と、
を含む、ガスタービン用燃焼器。
【請求項12】
前記第1ノズル孔は、前記軸方向において前記内側リング部材の下流端よりも下流側に設けられた、請求項11に記載のガスタービン用燃焼器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ガスタービン用燃焼器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ガスタービンで生成されるNOxを低減するための技術として、ガスタービン用燃焼器に供給された燃焼用空気に対して複数段に分けて燃料を噴射するよう構成されたガスタービンが開示されている。
【0003】
ガスタービン用燃焼器に供給された燃焼用空気に対して複数段に分けて燃料を噴射する場合、下流側の段は上流側の段と比較して燃焼器の出口との距離が近くなる。このため、上流側の1段目の燃料の燃焼により発生する既燃ガスが高温領域に滞留する距離及び時間よりも、下流側の2段目以降の燃料の燃焼により発生する既燃ガスが高温領域に滞留する距離及び時間がそれぞれ短くなる。したがって、燃料の噴射位置を軸方向に分散せずに上流側の1段目に相当する位置のみから噴射する場合と比較して、NOxの生成を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ガスタービン用燃焼器に供給された燃焼用空気に対して複数段に分けて燃料を噴射する場合、2段目以降の燃料の燃焼により発生する既燃ガスが高温領域に滞留する距離及び時間は上記のように短くなるため、2段目以降の燃料と上流側から流れてくる既燃ガスや空気等とを短い距離で良好に混合しなければ、特に低負荷運転時に未燃焼炭化水素やCO等が増加する懸念がある。
【0006】
この点、特許文献1に記載のガスタービンでは、ガスタービン用燃焼器のヘッドエンドから1段目の燃料噴射が行われ、ガスタービン用燃焼器とタービンとを接続する移行区画の周壁に周方向に間隔を空けて複数配設された燃料噴射器から2段目の燃料噴射が行われるため、移行区画の中心軸線付近や周方向における燃料噴射器の間の位置に燃料が届きにくい。このため、2段目以降の燃料と上流側からの既燃ガスや空気等とを短い距離で良好に混合することが困難であり、特に低負荷運転時に未燃焼炭化水素やCO等が増加しやすくなる。
【0007】
本発明の少なくとも一実施形態は、上述したような従来の課題に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、NOx生成を抑制しつつ未燃焼炭化水素及びCOの増加を抑制することができるガスタービン用燃焼器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係るガスタービン用燃焼器は、
燃焼筒と、
燃料を供給するための第1燃料流路を内部に含み、前記燃焼筒の軸線上に延在する第1ノズルと、
燃料を供給するための第2燃料流路を内部に含み、前記第1ノズルに沿って延在する第2ノズルと、
を備え、
前記第1ノズルは、前記燃焼筒の軸方向において前記第2ノズルの先端よりも下流側に突出する突出部を含み、
前記第1ノズルは、
第1ノズル孔と、
前記軸方向における前記第1ノズル孔よりも下流側にて前記突出部に設けられた第2ノズル孔と、
を含む。
【0009】
上記(1)に記載のガスタービン用燃焼器によれば、第2ノズル孔が第1ノズル孔よりも下流側に設けられているため、第2ノズル孔は第1ノズル孔と比較して燃焼器の出口との距離が小さくなる。このため、第1ノズル孔から噴射された燃料の燃焼により発生する既燃ガスが高温領域に滞留する距離及び時間よりも、第2ノズル孔から噴射された燃料の燃焼により発生する既燃ガスが高温領域に滞留する距離及び時間がそれぞれ短くなる。よって、燃料の噴射位置を軸方向に分散せずに第1ノズル孔のみから噴射する場合と比較して、NOxの生成を抑制することができる。
【0010】
また、第2ノズル孔は、燃焼筒の軸線上に延在する第1ノズルに設けられているため、燃焼筒の軸線付近から燃焼筒の外周側へと燃料を拡散することができる。このため、特許文献1の構成(ガスタービン用燃焼器とタービンとを接続する移行区画の周壁に周方向に間隔を空けて複数配設された燃料噴射器から下流段の燃料が燃焼筒の内周側に向けて噴射される構成)と比較して、下流側で噴射された燃料と上流側からの既燃ガスや空気等とを短い距離で良好に混合し、燃料濃度の均一性を高めることができる。したがって、NOx生成を抑制しつつ未燃焼炭化水素及びCOの増加を抑制することができる。
【0011】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)に記載のガスタービン用燃焼器において、
前記第1ノズルは、燃焼用空気を供給するための第1空気流路と、前記第1燃料流路から供給された燃料と前記第1空気流路から供給された燃焼用空気とを混合するための混合部と、を含み、前記混合部で生成された予混合ガスを前記第2ノズル孔から噴射するよう構成される。
【0012】
上記(2)に記載のガスタービン用燃焼器によれば、燃料に燃焼用空気を混合することにより、第2ノズル孔から噴射されるガスの燃料濃度を低くして火炎の温度上昇を抑制し、NOx生成を抑制することができる。
【0013】
(3)幾つかの実施形態では、上記(2)に記載のガスタービン用燃焼器において、
前記混合部は、前記第1空気流路に面して配置された複数の旋回翼を含み、
前記旋回翼の翼面には前記第1燃料流路から供給された燃料を噴射するための噴射孔が形成されている。
【0014】
上記(3)に記載のガスタービン用燃焼器によれば、第1空気流路から供給される燃焼用空気に旋回翼によって旋回力が付与されるとともに翼面の噴射孔から燃料が噴射されるため、燃料と燃焼用空気とを効果的に混合することができる。これにより、第2ノズル孔から噴射されるガスの燃料濃度を低くするとともに燃料濃度の均一性を高めることができる。したがって、NOx生成を抑制しつつ未燃焼炭化水素及びCOの増加を抑制することができる。
【0015】
(4)幾つかの実施形態では、上記(2)又は(3)に記載のガスタービン用燃焼器において、
前記混合部は、前記第1空気流路に面して配置された複数の旋回翼を含み、
前記第1空気流路と前記第1燃料流路とを仕切る流路壁には、前記複数の旋回翼のうち互いに隣接する2つの旋回翼の間の位置に貫通孔が形成される。
【0016】
上記(4)に記載のガスタービン用燃焼器によれば、第1空気流路から供給された燃焼用空気に流路壁の噴射孔から燃料を噴射することで、燃焼用空気と燃料とを混合することができる。これにより、第2ノズル孔から噴射されるガスの燃料濃度を簡素な構成で低くすることができるため、簡素な構成でNOx生成を抑制することができる。
【0017】
(5)幾つかの実施形態では、上記(2)に記載のガスタービン用燃焼器において、
前記第1空気流路は前記第1燃料流路の外周側に設けられ、
前記混合部は、
前記燃焼筒の軸方向と交差する方向に延在し、前記第1燃料流路に接続する内筒と、
前記内筒の外周面と対向する内周面を含み、前記第1空気流路に接続する外筒と、
を含み、
前記外筒は、前記燃焼筒の径方向において、前記内筒よりも外側に突出している。
【0018】
上記(5)に記載のガスタービン用燃焼器によれば、内筒から噴射された燃料が外筒を流れる燃焼用空気と混合されることにより、第2ノズル孔から噴射されるガスの燃料濃度を簡素な構成で低くすることができるため、簡素な構成でNOx生成を抑制することができる。
【0019】
(6)幾つかの実施形態では、上記(2)乃至(5)の何れかに記載のガスタービン用燃焼器において、
前記突出部は、冷却空気を供給するための冷却流路を内部に含み、
前記冷却流路は、前記第1空気流路の外周側にて前記軸方向に沿って延在する。
【0020】
上記(6)に記載のガスタービン用燃焼器によれば、冷却流路を流れる冷却空気によって突出部を冷却することにより、燃焼室で高温ガスに晒される突出部の焼損を抑制することができる。
【0021】
(7)幾つかの実施形態では、上記(6)に記載のガスタービン用燃焼器において、
前記冷却流路は、前記第1空気流路における前記混合部の下流側に接続する。
【0022】
上記(7)に記載のガスタービン用燃焼器によれば、第1空気流路における混合部の下流側において、予混合ガスの周りに第1空気流路の流路壁面に沿って冷却空気の膜を形成することができる。したがって、第1ノズルの先端部の焼損を抑制するとともに、第2ノズル孔から噴射する予混合ガスに対する逆火を抑制することができる。
【0023】
(8)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(7)の何れかに記載のガスタービン用燃焼器において、
前記第1ノズル孔は、前記突出部に設けられる。
【0024】
上記(8)に記載のガスタービン用燃焼器によれば、第1ノズル孔から噴射された燃料の燃焼により発生する既燃ガスが高温の燃焼領域に滞留する距離及び時間を短くし、NOxの生成を抑制することができる。
【0025】
(9)幾つかの実施形態では、上記(8)に記載のガスタービン用燃焼器において、
前記軸方向における前記第2ノズルの先端と前記第1ノズル孔との間の位置にて、前記第1ノズルの外周面から前記燃焼筒の径方向に沿って延在する出口基板を更に備える。
【0026】
上記(9)に記載のガスタービン用燃焼器によれば、第1ノズル孔から噴射された燃料の燃焼により生じる高温ガスが第2ノズル側へ逆流することを出口基板によって抑制することができる。これにより、第2ノズルの焼損を抑制することができる。
【0027】
(10)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(7)の何れかに記載のガスタービン用燃焼器において、
前記第1ノズルの周りに設けられた円筒状のバーナ筒と、前記バーナ筒の下流端に接続されるコーン部と、前記バーナ筒の内側に設けられたスワラと、を更に備え、
前記コーン部は前記軸方向において下流側に向かうにつれて直径が大きくなるように構成されており、
前記第1ノズルは、前記軸方向における前記第1ノズル孔と前記第2ノズル孔との間の位置にて前記コーン部の内部空間に燃料を噴射するよう構成された第3ノズル孔を備え、
前記第3ノズル孔は、前記軸方向に対して傾斜した斜め下流方向に燃料を噴射するよう構成される。
【0028】
上記(10)に記載のガスタービン用燃焼器によれば、、スワラによって混合されて流れてきた予混合気を第3ノズル孔から噴射したガス流れによってコーン部に押し付けて、コーン部からの剥離を抑制することができる。これにより、1段目の火炎を安定的に形成することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明の少なくとも一つの実施形態によれば、NOx生成を抑制しつつ未燃焼炭化水素及びCOの増加を抑制することができるガスタービン用燃焼器が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】一実施形態に係るガスタービン用燃焼器2の概略的な断面構成を示す図である。
【
図2】一実施形態に係るガスタービン用燃焼器2の概略的な断面構成を示す図である。
【
図3】
図1及び
図2に示したA-A断面の概略構成を示す図である。
【
図5】
図1及び
図2に示したパイロットノズル6の先端部102の概略的な構成例を示す断面図である。
【
図6】
図1及び
図2に示したパイロットノズル6の先端部102の概略的な構成例を示す断面図である。
【
図7】一実施形態に係るガスタービン用燃焼器2の概略的な断面構成を示す図である。
【
図8】パイロットノズル6の突出部12の構成例を示す概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0032】
図1は、一実施形態に係るガスタービン用燃焼器2の概略的な断面構成を示す図である。
図2は、一実施形態に係るガスタービン用燃焼器2の概略的な断面構成を示す図である。
幾つかの実施形態では、例えば
図1及び
図2に示すように、燃焼器2は、燃焼筒4と、燃焼筒4の軸線O上に延在するパイロットノズル6(第1ノズル)と、パイロットノズル6の外周側にパイロットノズル6に沿って延在する複数のメインノズル8(第2ノズル)と、を備える。パイロットノズル6は、燃料を供給するための第1燃料流路18を内部に含み、メインノズル8は、燃料を供給するための第2燃料流路19を内部に含む。
【0033】
以下では、燃焼筒4の軸方向を単に「軸方向」と記載し、燃焼筒4の径方向を単に「径方向」と記載し、燃焼筒4の周方向を単に「周方向」と記載することとする。また、
図1及び
図2において、黒塗り矢印は、燃料を含むガスを意味し、白塗り矢印は、燃焼用空気を含むガスを意味する。
【0034】
幾つかの実施形態では、例えば
図1及び
図2に示すように、パイロットノズル6は、燃焼筒4の軸方向においてメインノズル8の先端10よりも下流側に突出する突出部12を含む。パイロットノズル6は、燃料又は燃料を含むガスを噴射するための第1ノズル孔14と、燃料又は燃料を含むガスを噴射するための第2ノズル孔16であって、燃焼筒4の軸方向における第1ノズル孔14よりも下流側にて突出部12に設けられた第2ノズル孔16と、を含む。図示する形態では、パイロットノズル6は、燃焼筒4の周方向に配列された複数の第1ノズル孔14と、燃焼筒4の周方向に配列された複数の第2ノズル孔16とを含む。
【0035】
かかる構成によれば、第2ノズル孔16が第1ノズル孔14よりも下流側に設けられているため、第2ノズル孔16は第1ノズル孔14と比較して燃焼器2の出口(不図示)との距離が小さくなる。このため、第1ノズル孔14から噴射された燃料の燃焼により発生する既燃ガスが高温領域に滞留する距離及び時間よりも、第2ノズル孔16から噴射された燃料の燃焼により発生する既燃ガスが高温領域に滞留する距離及び時間がそれぞれ短くなる。よって、燃料の噴射位置を軸方向に分散せずに第1ノズル孔14のみから噴射する場合と比較して、NOxの生成を抑制することができる。
【0036】
また、第2ノズル孔16は、燃焼筒4の軸線O上に延在するパイロットノズル6に設けられているため、燃焼筒4の軸線O付近から燃焼筒4の外周側へと燃料を拡散することができる。このため、特許文献1の構成(ガスタービン用燃焼器とタービンとを接続する移行区画の周壁に周方向に間隔を空けて複数配設された燃料噴射器から下流段の燃料が燃焼筒の内周側に向けて噴射される構成)と比較して、下流側で噴射された燃料と上流側からの既燃ガスや空気等とを短い距離で良好に混合し、燃料濃度の均一性を高めることができる。したがって、NOx生成を抑制しつつ未燃焼炭化水素及びCOの増加を抑制することができる。
【0037】
また、燃焼器2において、部分負荷運転時から定格負荷運転時に亘って第1ノズル孔14から燃料を噴射することにより、部分負荷運転時から定格負荷運転時に亘る広い運転範囲で、上流側の第1ノズル孔14から噴射した燃料によって形成される燃焼領域の火炎温度(燃焼負荷)を維持することが可能となり、NOx生成を抑制しつつ未燃焼炭化水素及びCOの増加を抑制することができる。
【0038】
また、例えば、基準負荷よりも小さい部分負荷運転時には第2ノズル孔16から燃料を噴射せず、該基準負荷よりも大きい定格負荷付近又は定格負荷での運転時に第2ノズル孔16から燃料を噴射して燃焼領域を形成することにより、高温の燃焼領域が拡大しやすい高負荷での運転時にのみ既燃ガスの滞留時間を短くすることができるため、NOx生成を抑制しつつ未燃焼炭化水素及びCOの増加を抑制することができる。
【0039】
また、燃料の噴射位置を軸方向において複数段に分散して複数段の火炎を形成することにより、発熱量の分布を軸方向に分散することができるため、定格負荷付近の高負荷での運転時に発生する傾向がある燃焼振動を抑制する効果が期待できる。
【0040】
また、設計時において、突出部12の突出量を調整することにより第2ノズル孔16の軸方向位置を容易に調整することができるため、燃焼性の調整が容易である。
【0041】
また、パイロットノズル6において第1ノズル孔14近傍の箇所又は第2ノズル孔16近傍の箇所に焼損が生じた場合であっても、パイロットノズル6のみを交換することでメンテナンスを完了することができるため、メンテナンスが容易である。
【0042】
幾つかの実施形態では、例えば
図1及び
図2に示すように、パイロットノズル6の内部には、軸方向に延在し燃料が流れる第1燃料流路18と、軸方向に延在し燃焼用空気が流れる第1空気流路20と、が設けられる。パイロットノズル6は、第1燃料流路18から供給された燃料と第1空気流路20から供給された空気とを混合するための混合部22を含み、混合部22で生成された予混合ガスを第2ノズル孔16から噴射するよう構成される。これにより、第2ノズル孔16から噴射される燃料を含むガスの燃料濃度を低くして火炎の温度上昇を抑制し、NOx生成を抑制することができる。
【0043】
幾つかの実施形態では、例えば
図1及び
図2に示すように、パイロットノズル6の内部には、第1燃料流路18の外周側且つ第1空気流路20の内周側にて軸方向に延在する第3燃料流路84が設けられる。パイロットノズル6は、第3燃料流路84から供給された燃料を第1ノズル孔14から噴射するように構成される。
【0044】
幾つかの実施形態では、例えば
図1に示すように、第1ノズル孔14は突出部12に設けられる。これにより、第1ノズル孔14から噴射された燃料の燃焼により発生する既燃ガスが高温の燃焼領域に滞留する距離及び時間を短くし、NOxの生成を抑制することができる。なお、
図1に示す形態では、第1ノズル孔14から噴射された燃料は拡散燃焼して1段目の火炎を形成し、第2ノズル孔16から噴射された予混合ガスは予混合燃焼して2段目の火炎を形成する。
【0045】
幾つかの実施形態では、例えば
図1及び
図2に示すように、燃焼器2は、複数のメインノズル8をそれぞれ収容する複数のバーナ筒42と、複数のバーナ筒42の下流端に接続される中間流路形成部44と、を備える。メインノズル8及びバーナ筒42はメインバーナ56を構成しており、燃焼器2はメインバーナ56を複数備える。図示する形態ではメインバーナ56は、予混合燃焼バーナであり、バーナ筒42に供給される燃焼用空気と、メインノズル8から供給される燃料とをスワラ53により混合してから燃焼するように構成される。中間流路形成部44は、燃焼筒4と同心円上に設けられた外側リング46及び内側リング48を含み、バーナ筒42の内部空間である第2空気流路50と燃焼筒4の燃焼室52とを連通させる中間流路54を外側リング46と内側リング48との間に形成する。
【0046】
幾つかの実施形態では、例えば
図1及び
図2に示すように、第2ノズル孔16は、バーナ筒42の出口端57よりも軸方向における下流側に配置される。これにより、第2ノズル孔16から噴射された燃料の燃焼により発生する既燃ガスが高温の燃焼領域に滞留する距離及び時間を短くし、NOxの生成を抑制することができる。
【0047】
幾つかの実施形態では、例えば
図1及び
図2に示すように、第2ノズル孔16は、中間流路形成部44の出口端58よりも軸方向における下流側に配置される。これにより、第2ノズル孔16から噴射された燃料の燃焼により発生する既燃ガスが高温の燃焼領域に滞留する距離及び時間を短くし、NOxの生成を抑制することができる。
【0048】
幾つかの実施形態では、例えば
図1に示すように、第1ノズル孔14は、バーナ筒42の出口端57よりも軸方向における下流側に配置される。これにより、第1ノズル孔14から噴射された燃料の燃焼により発生する既燃ガスが高温の燃焼領域に滞留する距離及び時間を短くし、NOxの生成を抑制することができる。
【0049】
幾つかの実施形態では、例えば
図1に示すように、第1ノズル孔14は、中間流路形成部44の出口端58よりも軸方向における下流側に配置される。これにより、第1ノズル孔14から噴射された燃料の燃焼により発生する既燃ガスが高温の燃焼領域に滞留する距離及び時間を短くし、NOxの生成を抑制することができる。
【0050】
幾つかの実施形態では、例えば
図1に示すように、燃焼器2は、軸方向におけるメインノズル8の先端10と第1ノズル孔14との間の位置にてパイロットノズル6の外周面78から径方向に沿って延在する出口基板80を備える。図示する形態では、出口基板80は、軸方向における中間流路形成部44の出口端58と第1ノズル孔14との間の位置にて内側リング48からパイロットノズル6の外周面78まで径方向に延在する。出口基板80は、例えば環状に構成されていてもよい。
【0051】
かかる構成では、第1ノズル孔14から噴射された燃料の燃焼により生じる高温ガスがメインノズル8側へ逆流することを出口基板80によって抑制することができる。これにより、メインバーナ56の焼損を抑制することができる。
【0052】
幾つかの実施形態では、例えば
図1及び
図2に示すように、燃焼筒4は、円筒状の内筒60と、内筒60の下流側端部に接続され、内筒60と軸線Oを共有する外筒62とを有している。燃焼筒4の外周側には燃焼器車室64が設けられており、燃焼器車室64には、不図示の圧縮機から供給された圧縮空気が供給される。燃焼器車室64の圧縮空気は、内筒60の外周側に配置された外パンチ66を介して燃焼用空気として燃焼器2の内部に流入する。
【0053】
幾つかの実施形態では、例えば
図1及び
図2に示すように、燃焼器2は、外パンチ66を通過した燃焼用空気をメインバーナ56に導く第3空気流路70を備え、第3空気流路70には、トップハット燃料を噴射するトップハットノズル68が設けられている。トップハットノズル68から噴射されたトップハット燃料は、燃焼用空気に混入して、下流側のメインバーナ56に向かって流れていく。
【0054】
かかる構成によれば、燃焼用空気にトップハットノズル68からのトップハット燃料が混入されることにより、メインバーナ56の燃焼安定性が改善されるとともに、NOx生成が抑制される。
【0055】
幾つかの実施形態では、例えば
図1及び
図2に示すように、燃焼器2は、燃焼器車室64の圧縮空気を外パンチ66を介さずに第1空気流路20に供給するように構成された第4空気流路72を備える。
【0056】
これにより、外パンチ66での圧力損失の影響を受けずに、動圧が大きな圧縮空気を燃焼用空気として取り込むことが可能となり、パイロットノズル6への燃焼用空気の割合を増加させることで、流量当たりの大きさが小さいコンパクトな設計が可能となる。
【0057】
図3は、
図1及び
図2に示したA-A断面の概略構成を示す図である。
幾つかの実施形態では、例えば
図1~
図3の少なくとも一図に示すように、第1空気流路20は第1燃料流路18の外周側に設けられ、混合部22は、第1燃料流路18の外周側にて第1空気流路20に面して配置された複数の旋回翼24を含む。複数の旋回翼24は周方向に配列されており、旋回翼24の翼面26(図示する形態では、旋回翼24の正圧面74及び負圧面76の各々)には、旋回翼24の内部に形成されたキャビティ23を介して第1燃料流路18から供給された燃料を噴射する噴射孔28が形成されている。
【0058】
かかる構成によれば、第1空気流路20から供給される燃焼用空気に旋回翼24によって旋回力が付与されるとともに翼面26の噴射孔28から燃料が噴射されるため、燃料と燃焼用空気とを効果的に混合することができる。これにより、第2ノズル孔16から噴射されるガスの燃料濃度を低くするとともに燃料濃度の均一性を高めることができる。したがって、NOx生成を抑制しつつ未燃焼炭化水素及びCOの増加を抑制することができる。
【0059】
幾つかの実施形態では、例えば
図3に示すように、第1空気流路20と第1燃料流路18とを仕切る流路壁30には、互いに隣接する2つの旋回翼24の間の位置に形成された貫通孔32が設けられている。図示する形態では、貫通孔32は旋回翼24を周方向に挟むように旋回翼24の両側に配置されている。
【0060】
かかる構成によれば、第1空気流路20から供給された燃焼用空気に流路壁30の貫通孔32から燃料を噴射することで、燃焼用空気と燃料とを混合することができる。これにより、第2ノズル孔16から噴射されるガスの燃料濃度を簡素な構成で低くすることができるため、簡素な構成でNOx生成を抑制することができる。
【0061】
幾つかの実施形態では、例えば
図2に示すように、燃焼器2は、バーナ筒42の内周側且つパイロットノズル6の外周側にて燃焼筒4と同心円上に設けられた円筒状のバーナ筒86と、バーナ筒86の下流端に接続されるコーン部88とを備える。
図2示す形態では、バーナ筒86とパイロットノズル6との間にはスワラ90が設けられており、パイロットノズル6、バーナ筒86、コーン部88及びスワラ90がパイロットバーナ95を構成する。パイロットバーナ95において、第1ノズル孔14から噴射された燃料は、上流側から流れてきた燃焼用空気とスワラ90にて混合されるとともに旋回力を付与される。コーン部88は軸方向において下流側に向かうにつれて直径(内径及び外径)が大きくなるように構成されており、スワラ90によって混合された燃焼用空気と燃料との混合気がコーン部88の内側空間92を通って燃焼室52へ供給される。
【0062】
幾つかの実施形態では、例えば
図2に示すように、パイロットノズル6は、軸方向における第1ノズル孔14の下流側且つ第2ノズル孔16の上流側の位置に、第3ノズル孔82を備えていてもよい。第3ノズル孔82は、コーン部88の内側空間92に設けられており、1段目のパイロット火炎の保炎用にバックステップ83が設けられている。また、パイロットノズル6の内部には、第1燃料流路18の外周側且つ第1空気流路20の内周側にて軸方向に延在する第4燃料流路94が設けられており、第3ノズル孔82は、第4燃料流路94から供給された燃料を軸方向に対して径方向外側に傾斜した斜め下流方向に噴射するよう構成される。これにより、スワラ90によって混合されて流れてきた混合気を第3ノズル孔82から噴射した流れによってコーン部88に押し付けて、コーン部88からの剥離を抑制することができる。これにより、1段目のパイロット火炎を安定的に形成することができる。
【0063】
図4は、
図2に示したB部の模式的な拡大図である。
幾つかの実施形態では、例えば
図2又は
図4に示すように、パイロットノズル6は、軸方向における第3ノズル孔82の下流側且つ第2ノズル孔16の上流側の位置に、第4ノズル孔96を備えていてもよい。図示する形態では、パイロットノズル6は、軸方向と交差する方向に延在して第1燃料流路18に接続する内筒34と、内筒34の外周面36と対向する内周面38を含み空気流路20に接続する外筒40と、を含み、外筒40は、径方向において内筒34よりも外側に突出している。
【0064】
かかる構成によれば、内筒34から噴射された燃料が外筒40を流れる燃焼用空気と混合されながら、第4ノズル孔96から燃焼室52に噴射されて2段目の火炎を形成する。内筒34から噴射された燃料が外筒40を流れる燃焼用空気と混合されることにより、第2ノズル孔16から噴射されるガスの燃料濃度を簡素な構成で低くすることができるため、簡素な構成でNOx生成を抑制することができる。なお、
図2に示した形態では、第2ノズル孔16から噴射された予混合ガスが3段目の火炎を形成する。
【0065】
図5は、
図1及び
図2に示したパイロットノズル6の先端部102の概略的な構成例を示す断面図である。
幾つかの実施形態では、例えば
図5及び
図6に示すように、突出部12の内部には、第1空気流路20の外周側に、軸方向に沿って延在するとともに冷却空気が流れる冷却流路98が設けられる。かかる構成によれば、冷却流路98を流れる冷却空気によって突出部12を冷却することにより、燃焼室52で高温ガスに晒される突出部12の焼損を抑制することができる。
【0066】
幾つかの実施形態では、例えば
図5及び
図6に示すように、冷却流路98は、第1空気流路20における混合部22の下流側に接続するように構成される。これにより、第1空気流路20における混合部22の下流側において、予混合ガスの周りに第1空気流路20の流路壁面100に沿って冷却空気の膜を形成することができる。したがって、パイロットノズル6の先端部102の焼損を抑制するとともに、第2ノズル孔16から噴射する予混合ガスに対する逆火を抑制することができる。
【0067】
なお、
図5及び
図6に示す形態では、第1空気流路20は、混合部22の下流側において軸方向に延在する直線状流路部120と、直線状流路部120の下流端に接続し、下流側に向かうにつれて径方向外側に向かうように傾斜した傾斜流路部122とを含み、冷却流路98から供給された冷却空気は、傾斜流路部122における径方向外側の流路壁面100に沿って膜を形成する。他の形態では、第1空気流路20は、混合部22の下流側において、軸方向に延在する直線状流路部のみを有していてもよいし、下流側に向かうにつれて径方向外側に向かうように傾斜した傾斜流路部のみを有していてもよい。
【0068】
幾つかの実施形態では、例えば
図5及び
図6に示すように、パイロットノズル6の先端部102は、軸線Oに沿って延在する空洞部104を含む。空洞部104は、円柱状部106と、円柱状部106の下流端に接続するとともに軸方向下流側に向かうにつれて直径が大きくなる拡径部108とを含む。
【0069】
幾つかの実施形態では、例えば
図5に示すように、パイロットノズル6の先端部102は、空洞部104を通った冷却空気が通過可能少なくとも一枚の多孔板110を含む。図示する形態では、空洞部104を通った冷却空気は2枚の多孔板110を介して燃焼室52に流出する。
【0070】
かかる構成によれば、空洞部104を通った冷却空気を多孔板110を介して燃焼室52に流出させることにより、パイロットノズル6の先端部102の浸み出し冷却を行い、パイロットノズル6の先端部102の焼損を抑制することができる。
【0071】
幾つかの実施形態では、例えば
図6に示すように、パイロットノズル6の先端部102は、空洞部104を通った冷却空気が燃焼室52に流出可能な少なくとも一枚の多孔質部材112を含む。図示する形態では、空洞部104を通った冷却空気は多孔質部材112を介して先端部102の軸方向端面に形成された開口114から燃焼室52に流出する。
【0072】
かかる構成によれば、空洞部104を通った冷却空気を多孔質部材112を介して燃焼室52に流出させることにより、パイロットノズル6の先端部102の浸み出し冷却を行行い、パイロットノズル6の先端部102の焼損を抑制することができる。
【0073】
本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【0074】
例えば、
図2~
図4に示した実施形態では、
図4に示した円筒タイプの構成により2段目の火炎を形成し、
図3に示したスワラータイプの構成により3段目の火炎を構成する形態を例示した。しかしながら、例えば
図7に示すように、2段目以降の火炎は何れのタイプの構成であってもよい。
【0075】
図7に示す形態では、混合部22は、燃焼筒4の軸方向と交差する方向に延在し第1燃料流路18に接続する内筒116と、内筒116の外周面と対向する内周面を含み第1空気流路20に接続する外筒118と、を含み、外筒118は、燃焼筒4の径方向において内筒116よりも外側に突出する。内筒116から噴射された燃料が外筒118を流れる燃焼用空気と混合されながら、第2ノズル孔16から燃焼室52に噴射されて3段目の火炎を形成する。内筒116から噴射された燃料が外筒118を流れる燃焼用空気と混合されることにより、第2ノズル孔16から噴射されるガスの燃料濃度を簡素な構成で低くすることができるため、簡素な構成でNOx生成を抑制することができる。
【0076】
また、
図1~
図7に示した幾つかの実施形態では、突出部12の先端部102が予混合ガスのみを噴射する形態を例示したが、突出部12の先端部102は、例えば
図8に示すように、拡散燃焼用の燃料流路124から拡散燃焼用の燃料を噴射するように構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0077】
2 ガスタービン用燃焼器
4 燃焼筒
6 パイロットノズル
8 メインノズル
10 先端
12 突出部
14 第1ノズル孔
16 第2ノズル孔
18 第1燃料流路
19 第2燃料流路
20 第1空気流路
22 混合部
23 キャビティ
24 旋回翼
26 翼面
28 噴射孔
30 流路壁
32 貫通孔
34 内筒
36 外周面
38 内周面
40 外筒
42 バーナ筒
44 中間流路形成部
46 外側リング
48 内側リング
50 第2空気流路
52 燃焼室
53 スワラ
54 中間流路
56 メインバーナ
57 出口端
58 出口端
60 内筒
62 外筒
64 燃焼器車室
66 外パンチ
68 トップハットノズル
70 第3空気流路
72 第4空気流路
74 正圧面
76 負圧面
78 外周面
80 出口基板
82 第3ノズル孔
84 第3燃料流路
86 バーナ筒
88 コーン部
90 スワラ
92 内側空間
94 第4燃料流路
95 パイロットバーナ
96 第4ノズル孔
98 冷却流路
100 流路壁面
102 先端部
104 空洞部
106 円柱状部
108 拡径部
110 多孔板
112 多孔質部材
114 開口
116 内筒
118 外筒
120 直線状流路部
122 傾斜流路部