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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-26
(45)【発行日】2022-11-04
(54)【発明の名称】カラオケ用タンバリン
(51)【国際特許分類】
   G10D 13/06 20200101AFI20221027BHJP
   G10K 15/04 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
G10D13/06 140
G10K15/04 302D
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018180186
(22)【出願日】2018-09-26
(65)【公開番号】P2020052175
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-06-25
(73)【特許権者】
【識別番号】390004710
【氏名又は名称】株式会社第一興商
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】野村 直孝
【審査官】堀 洋介
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0178538(US,A1)
【文献】実開平01-067697(JP,U)
【文献】登録実用新案第3125846(JP,U)
【文献】特開2011-075730(JP,A)
【文献】米国特許第8723009(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10D 13/00-13/24
G10K 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸部により保持された複数のシンバルが揺動し、互いに接触することで発音する発音体を複数有するカラオケ用タンバリンであって、
少なくとも一つの前記発音体が発音することで予め設定された音量となるよう、前記発音体の発音を禁止するための禁止手段の動作を制御する発音制御部を有し、
前記軸部及び前記シンバルは強磁性体により構成されており、
前記禁止手段は、前記軸部と磁気的に接続された電磁石であり、
前記発音制御部は、前記電磁石に通電することにより前記発音体の発音を禁止するカラオケ用タンバリン。
【請求項2】
複数の前記発音体は、それぞれ前記シンバルの数が異なることを特徴とする請求項1記載のカラオケ用タンバリン。
【請求項3】
カラオケ装置から、ある楽曲の歌唱区間についてカラオケ演奏中であることを示す歌唱区間信号を受信した場合、前記発音制御部は、前記発音体が発音する音量が所定の音量となるよう、前記禁止手段の動作を制御することを特徴とする請求項1または2記載のカラオケ用タンバリン。
【請求項4】
軸部により保持された複数のシンバルが、互いに接触しながら揺動することで発音する発音体を複数有するカラオケ用タンバリンであって、
複数の前記発音体は、それぞれ異なる音色で発音するよう、異なる種類のシンバルにより構成され、
少なくとも一つの前記発音体が発音することで予め設定された音色となるよう、前記発音体の発音を禁止するための禁止手段の動作を制御する発音制御部を有し、
前記軸部及び前記シンバルは強磁性体により構成されており、
前記禁止手段は、前記軸部と磁気的に接続された電磁石であり、
前記発音制御部は、前記電磁石に通電することにより前記発音体の発音を禁止するカラオケ用タンバリン。
【請求項5】
カラオケ装置から、ある楽曲の歌唱区間についてカラオケ演奏中であることを示す歌唱区間信号を受信した場合、前記発音制御部は、前記発音体が発音する音色が所定の音色となるよう、前記禁止手段の動作を制御することを特徴とする請求項4記載のカラオケ用タンバリン。
【請求項6】
前記禁止手段は、発音体毎に設けられることを特徴とする請求項1~5のいずれか一つに記載のカラオケ用タンバリン。
【請求項7】
軸部により保持された複数のシンバルが揺動し、互いに接触することで発音する発音体を複数有するカラオケ用タンバリンであって、
少なくとも一つの前記発音体が発音することで予め設定された音量となるよう、前記発音体の発音を禁止するための禁止手段の動作を制御する発音制御部を有し、
前記禁止手段は、前記シンバルに取り付けられた、フェルト・パッド及びアクチュエータを含む振動防止部材であり、
前記発音制御部は、前記アクチュエータを駆動し、前記フェルト・パッドを前記シンバルに押し付けることにより、前記発音体の発音を禁止するカラオケ用タンバリン。
【請求項8】
軸部により保持された複数のシンバルが、互いに接触しながら揺動することで発音する発音体を複数有するカラオケ用タンバリンであって、
複数の前記発音体は、それぞれ異なる音色で発音するよう、異なる種類のシンバルにより構成され、
少なくとも一つの前記発音体が発音することで予め設定された音色となるよう、前記発音体の発音を禁止するための禁止手段の動作を制御する発音制御部を有し、
前記禁止手段は、前記シンバルに取り付けられた、フェルト・パッド及びアクチュエータを含む振動防止部材であり、
前記発音制御部は、前記アクチュエータを駆動し、前記フェルト・パッドを前記シンバルに押し付けることにより、前記発音体の発音を禁止するカラオケ用タンバリン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカラオケ用タンバリンに関する。
【背景技術】
【0002】
カラオケ歌唱の場において、タンバリンやマラカス等の楽器が使用されることがある。歌唱者のカラオケ歌唱に合わせて、聴衆(歌唱者以外の利用者)が楽器を鳴らすことにより、カラオケ歌唱の場を盛り上げることができる。
【0003】
このような用途に適した楽器として、たとえば、振動により光るタンバリンが販売されている(非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】「光るタンバリン」、カラテック株式会社、[平成30年9月20日検索]、インターネット、<URL:https://store.shopping.yahoo.co.jp/karatec/led-008935.html?sc#i=shp#pc#search#itemlist#shsrg#img#ItemInfo>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、タンバリンのような楽器の音量は、楽器の使い方による。たとえば聴衆がカラオケ歌唱の場を盛り上げようとタンバリンを強く振った場合、音量が大きすぎて、歌唱者がカラオケ歌唱に集中できない可能性がある。
【0006】
また、楽器は、予め決まった音色で発音する。そのため、歌唱者によっては、音色が気になってカラオケ歌唱に集中できない可能性がある。
【0007】
本発明の目的は、カラオケ歌唱を妨げることなく使用できるカラオケ用タンバリンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための一の発明は、軸部により保持された複数のシンバルが揺動し、互いに接触することで発音する発音体を複数有するカラオケ用タンバリンであって、少なくとも一つの前記発音体が発音することで予め設定された音量となるよう、前記発音体の発音を禁止するための禁止手段の動作を制御する発音制御部を有するカラオケ用タンバリンである。
また、上記目的を達成するための別の発明は、軸部により保持された複数のシンバルが、互いに接触しながら揺動することで発音する発音体を複数有するカラオケ用タンバリンであって、複数の前記発音体は、それぞれ異なる音色で発音するよう、異なる種類のシンバルにより構成され、少なくとも一つの前記発音体が発音することで予め設定された音色となるよう、前記発音体の発音を禁止するための禁止手段の動作を制御する発音制御部を有するカラオケ用タンバリンである。
本発明の他の特徴については、後述する明細書及び図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、カラオケ歌唱を妨げることなく使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係るカラオケ用タンバリンの外観を示す斜視図である。
図2】第1実施形態に係るカラオケ用タンバリンの構成を示すブロック図である。
図3】第1実施形態に係る禁止手段の制御状態を示す図である。
図4】第2実施形態に係るカラオケ用タンバリンの構成を示すブロック図である。
図5】第2実施形態に係る禁止手段の制御状態を示す図である。
図6】第3実施形態に係るカラオケ用タンバリンの構成を示すブロック図である。
図7】変形例に係るカラオケ用タンバリンの発音体を拡大した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1実施形態>
図1図3を参照して、第1実施形態に係るカラオケ用タンバリンについて説明する。
【0012】
図1に示すように、本実施形態に係るカラオケ用タンバリン1は、円弧状に湾曲したフレームF、直線状の把持部H、フレームFに取り付けられた5つの発音体(発音体S1~発音体S5)、及び操作子Dを有する。把持部Hは、カラオケ用タンバリン1の使用時に利用者が把持する部分である。利用者が把持部Hを把持した状態でカラオケ用タンバリン1を振ることにより、各発音体は所定の音色で発音する。本実施形態において、発音体S1~発音体S5は、同様の構成である。
【0013】
一の発音体は、一の軸部P、及び複数のシンバルにより構成されている。本実施形態では、四つのシンバル(シンバルC1~シンバルC4)が設けられている。本実施形態に係る軸部P及びシンバルC1~シンバルC4は強磁性体により構成されている。
【0014】
軸部Pは、直線状の部材であり、両端がフレームFに固定されている。軸部Pは、各シンバルを揺動できる状態で保持する。
【0015】
シンバルC1~C4は、揺動し、互いに接触することで発音する。シンバルは2枚で1組の構成となっている。本実施形態では、一の発音体Sが二組のシンバルを有する。具体的には、シンバルC1とシンバルC2が一の組を構成し、シンバルC3とシンバルC4が一の組を構成している(図1及び図2参照)。
【0016】
操作子Dは、カラオケ用タンバリン1が発する音量を設定するための構成である。操作子Dには、音量に対応する値として「1(音量最小)」~「5(音量最大)」の目盛りが設けられている。利用者は、操作子Dをいずれかの目盛りに合わせることにより、カラオケ用タンバリン1が発する音量を設定する。カラオケ用タンバリン1は、目盛りに対応する音量で発音するよう調節される(詳細は後述)。なお、操作子Dは、図1に示したようなアナログのダイヤル式に限らず、スライド式であってもよい。或いは、操作子Dはデジタル式の構成であってもよい。
【0017】
図2に示すように、カラオケ用タンバリン1は、電磁石E1~電磁石E5、及び制御装置Mを有する。電磁石E1~電磁石E5は、フレームF内部の軸部Pの端部に配設され制御装置Mと電気的に接続されている。また、制御装置Mは、把持部Hの内部に配設されている。なお、把持部Hの内部には電磁石E1~電磁石E5や制御装置Mに電力を供給する電源(図示なし)等も配設されている。
【0018】
電磁石は、発音体の発音を禁止するための構成である。図2に示すように各電磁石は、各発音体の軸部Pと磁気的に接続されている。電磁石E1~電磁石E5は、通電によりOFF状態からON状態となる。ON状態は、磁石として機能する状態であり、OFF状態は磁石として機能しない状態である。本実施形態に係る電磁石E1~電磁石E5は、「禁止手段」の一例である。
【0019】
制御装置Mは、カラオケ用タンバリン1の各種制御を行う。図2に示すように、本実施形態に係る制御装置Mは、発音制御部10として機能する。
【0020】
発音制御部10は、少なくとも一つの発音体が発音することで予め設定された音量となるよう、禁止手段の動作を制御する。
【0021】
本実施形態において、発音制御部10は、電磁石に通電することにより発音体の発音を禁止する。
【0022】
複数の電磁石E1~電磁石E5のうち、どの電磁石に通電するかは、テーブルデータにより予め設定されている。図3は、本実施形態における発音体S1~発音体S5に対応する電磁石E1~電磁石E5の制御状態(ON/OFF状態)を示したテーブルである。
【0023】
たとえば、操作子Dの目盛りが「1(音量最小)」の場合、発音制御部10は、電磁石E1、電磁石E2、電磁石E4、及び電磁石E5に通電する。
【0024】
発音制御部10が電磁石に通電した場合、電磁石はON状態となる。電磁石が発生する磁力により、強磁性体である軸部Pは帯磁する。軸部Pが帯磁することにより、軸部Pが保持するシンバルは揺動が困難な状態となる。
【0025】
上記のように、電磁石E1、電磁石E2、電磁石E4、及び電磁石E5に通電した場合、発音体S1、発音体S2、発音体S4、及び発音体S5の軸部Pが保持するシンバルは、揺動が困難な状態となる。
【0026】
その状態でカラオケ用タンバリン1を振った場合、発音体S3のシンバルのみが揺動し、互いに接触することで発音する。このように、一の発音体のみから発音される音量は、二以上の発音体から発音される音量に比べて小さい値となる。
【0027】
一方、操作子Dの目盛りが「5(音量最大)」の場合、図3のテーブルに基づいて、発音制御部10は、全ての電磁石への通電を中止する。この場合、全ての電磁石はOFF状態となる。従って、それぞれの軸部Pは帯磁しないため、シンバルは揺動が容易となる。
【0028】
その状態でカラオケ用タンバリン1を振った場合、全ての発音体のシンバルが揺動し、互いに接触することで発音する。このように、全ての発音体から発音される音量は、四以下の発音体のみから発音される音量に比べて大きい値となる。
【0029】
このように本実施形態に係るカラオケ用タンバリン1は、軸部Pにより保持された複数のシンバルが揺動し、互いに接触することで発音する発音体を複数(発音体S1~発音体S5)有する。カラオケ用タンバリン1は、少なくとも一つの発音体が発音することで予め設定された音量となるよう、発音体の発音を禁止するための禁止手段の動作を制御する発音制御部10を有する。
【0030】
このようなカラオケ用タンバリン1によれば、発音体が発する音量を所望の値に設定することができる。たとえば聴衆は、歌唱者に対し、どの程度の音量でカラオケ用タンバリン1を鳴らしてよいかを予め確認する。そして、聴衆が操作子Dを介して予め音量を設定しておくことにより、カラオケ用タンバリン1は、歌唱者が希望する音量で発音するよう調節される。よって、歌唱者は、カラオケ用タンバリン1の音を気にすることなく、カラオケ歌唱を行うことができる。すなわち、本実施形態に係るカラオケ用タンバリン1によれば、カラオケ歌唱を妨げることなく使用できる。
【0031】
また、本実施形態に係る禁止手段は、発音体毎に設けられている。このように、一の発音体に対して一の禁止手段を設けることにより、複数の発音体の中から発音させる一の発音体を任意に設定できる。
【0032】
また、本実施形態に係る軸部P及びシンバルC1~シンバルC4は強磁性体により構成されており、禁止手段は、それぞれの発音体の軸部Pと磁気的に接続された電磁石E1~電磁石E5である。発音制御部10は、電磁石Eに通電することにより、発音体の発音を禁止する。
【0033】
このように、電磁石に通電することにより、電磁石から発生した磁力によって軸部Pが帯磁し、シンバルは揺動が困難な状態となる。よって、シンバルが揺動し、互いに接触することがないため、発音体の発音を禁止できる。
【0034】
なお、本実施形態に係るカラオケ用タンバリン1において、禁止手段は少なくとも一つの発音体に対して設けられていればよい。すなわち、禁止手段を有しない発音体があってもよい。
【0035】
また、上記実施形態では、全ての発音体でシンバルの数が同じ例(四枚)について説明したが、これに限られない。複数の発音体は、それぞれシンバルの数が異なっていてもよい。たとえば、発音体S1は一組のシンバル(二枚)を有し、発音体S2は二組のシンバル(四枚)を有し、発音体S3は三組のシンバル(六枚)を有し、発音体S4は四組のシンバル(八枚)を有し、発音体S5は五組のシンバル(十枚)を有していてもよい。このような構成によれば、カラオケ用タンバリン1が発する音量をより細かく調節することができる。
【0036】
<第2実施形態>
次に、図4及び図5を参照して、第2実施形態に係るカラオケ用タンバリンについて説明する。本実施形態では、カラオケ用タンバリン1を使用する際に、予め設定された音色で発音させる構成について説明を行う。第1実施形態と同様の構成については詳細な説明を省略する。
【0037】
本実施形態に係る操作子Dは、カラオケ用タンバリン1が発する音色を設定するための構成である。タンバリンの音色は、たとえばピッチの違いにより特定できる。歌唱者や聴衆は、一般にピッチが高い場合には「音色が明るい」と感じ、ピッチが低い場合には「音色が暗い」と感じる。操作子Dには、カラオケ用タンバリン1が発する音色に対応する値として「1(暗い音色)」~「5(明るい音色)」の目盛りが設けられている。
【0038】
本実施形態に係る複数の発音体は、それぞれ異なる音色で発音するよう、異なる種類のシンバルにより構成されている。
【0039】
シンバルの種類は、具体的に、サイズ(直径)、厚さ、材質である。これらの一つが異なる場合、シンバルが発する音色も異なる(すなわち、発音体が発する音色も異なる)。たとえば、シンバルのサイズが小さいほど、発する音のピッチが相対的に高くなる。図4に示したように、本実施形態に係るカラオケ用タンバリン1においては、発音体S1及び発音体S2のシンバルC1~C4のサイズが最も小さい(たとえば20mm)。一方、発音体S4及び発音体S5のシンバルC´´1~C´´4のサイズが最も大きく(たとえば40mm)、発音体S3のシンバルC´1~C´4のサイズが中間(たとえば30mm)の値となっている。
【0040】
本実施形態に係るシンバルは、それぞれ強磁性体により構成されており、禁止手段は、それぞれの発音体の軸部Pと磁気的に接続された電磁石E1~電磁石E5である。
【0041】
本実施形態に係る発音制御部10は、少なくとも一つの発音体が発音することで予め設定された音色となるよう、禁止手段の動作を制御する。
【0042】
本実施形態において、発音制御部10は、電磁石に通電することにより発音体の発音を禁止する。
【0043】
複数の電磁石E1~電磁石E5のうち、どの電磁石に通電するかは、テーブルデータにより予め設定されている。図5は、本実施形態における発音体S1~発音体S5に対応する電磁石E1~電磁石E5の制御状態(ON/OFF状態)を示したテーブルである。
【0044】
たとえば、操作子Dの目盛りが「1(暗い音色)」の場合、発音制御部10は、電磁石E1、電磁石E2、及び電磁石E3に通電する。
【0045】
発音制御部10が電磁石に通電した場合、電磁石はON状態となる。電磁石が発生する磁力により、強磁性体である軸部Pは帯磁する。軸部Pが帯磁することにより、軸部Pが保持するシンバルは揺動が困難な状態となる。
【0046】
上記のように、電磁石E1、電磁石E2、及び電磁石E3に通電した場合、高いピッチで発音する発音体S1及び発音体S2、並びに中間のピッチで発音する発音体S3の軸部Pが保持するシンバルは、揺動が困難な状態となる。
【0047】
このような状態においてカラオケ用タンバリン1を振った場合、発音体S4~発音体S5のシンバルのみが揺動し、互いに接触することで発音する。このように、低いピッチで発音する発音体の音色は、暗い音色となる。
【0048】
一方、操作子Dの目盛りが「5(明るい音色)」の場合、図5のテーブルに基づいて、発音制御部10は、電磁石E3、電磁石E4、及び電磁石E5に通電する。電磁石E3、電磁石E4、及び電磁石E5に通電した場合、中間のピッチで発音する発音体S3、並びに低いピッチで発音する発音体S4及び発音体S5の軸部Pが保持するシンバルは、揺動が困難な状態となる。
【0049】
このような状態においてカラオケ用タンバリン1を振った場合、発音体S1~発音体S2のシンバルのみが揺動し、互いに接触することで発音する。このように、高いピッチで発音する発音体の音色は、明るい音色となる。
【0050】
このように本実施形態に係るカラオケ用タンバリン1は、軸部Pにより保持された複数のシンバルが揺動し、互いに接触することで発音する発音体を複数(発音体S1~発音体S5)有する。複数の発音体は、それぞれ異なる音色で発音するよう、異なる種類のシンバルにより構成される。カラオケ用タンバリン1は、少なくとも一つの発音体が発音することで予め設定された音色となるよう、発音体の発音を禁止するための禁止手段の動作を制御する発音制御部10を有する。
【0051】
このようなカラオケ用タンバリン1によれば、発音体が発音する音色を所望の音色に設定することができる。たとえば聴衆は、歌唱者に対し、どのような音色でカラオケ用タンバリン1を鳴らしてよいかを予め確認する。そして、聴衆が操作子Dを介して予め音色を設定しておくことにより、カラオケ用タンバリン1は、歌唱者が希望する音色で発音するよう調節される。よって、歌唱者は、カラオケ用タンバリン1の音を気にすることなく、カラオケ歌唱を行うことができる。すなわち、本実施形態に係るカラオケ用タンバリン1によれば、カラオケ歌唱を妨げることなく使用できる。
【0052】
<第3実施形態>
次に、図6を参照して、第3実施形態に係るカラオケ用タンバリンについて説明する。
【0053】
歌唱者の中には、カラオケ歌唱中は極力、楽器の使用を控えて欲しいと考える者もいる。一方で、場を盛り上げるために楽器を使用している聴衆に対して楽器の使用を控えて欲しいとは言い難いこともある。そこで、本実施形態では、カラオケ歌唱中は、自動的に所定の音量や音色となるような構成について説明を行う。第1実施形態及び第2実施形態と同様の構成については詳細な説明を省略する。
【0054】
図6に示したように、本実施形態に係るカラオケ用タンバリン1(制御装置M)は、カラオケ装置Kと通信可能となっている。カラオケ用タンバリン1とカラオケ装置Kとの通信は、一般的な近距離無線技術を利用することができる。また、カラオケ装置Kとカラオケ用タンバリン1とは予めペアリングされている。なお、図6の例において、各発音体は第1実施形態と同様の構成となっている。
【0055】
たとえば、歌唱者Xは、カラオケ装置Kを利用して楽曲Yのカラオケ歌唱を行うとする。この場合、カラオケ装置Kは、楽曲Yの楽曲データから歌唱者が発声する歌唱区間とそれ以外の区間(非歌唱区間)を特定する。カラオケ装置Kは、歌唱区間のカラオケ演奏中は歌唱区間信号をカラオケ用タンバリン1に送信する。歌唱区間信号は、ある楽曲の歌唱区間についてカラオケ演奏中であることを示す信号である。
【0056】
発音制御部10は、カラオケ装置Kから送信される歌唱区間信号を受信する。この場合、発音制御部10は、発音体が発音する音量が所定の音量となるよう、禁止手段の動作を制御する。所定の音量は、一般的な歌唱者にとってカラオケ歌唱の妨げにならない程度の値等、予め任意の値が設定されている。
【0057】
たとえば、所定の音量として、第1実施形態の例における、操作子Dの目盛り「1」が示す値と同様の音量が設定されているとする。
【0058】
ここで、カラオケ装置Kから歌唱区間信号を受信した場合、現時点で設定されている音量に関わらず、発音制御部10は、電磁石E1、電磁石E2、電磁石E4、及び電磁石E5に通電する。この場合、発音体S1、発音体S2、発音体S4、及び発音体S5の軸部Pが保持するシンバルは、揺動が困難な状態となる。
【0059】
このような状態においてカラオケ用タンバリン1を振った場合、聴衆が設定した音量に関わらず、発音体S3のシンバルのみが揺動し、互いに接触することで発音する。
【0060】
その後、歌唱者Xのカラオケ歌唱が終了したとする。この場合、カラオケ装置Kは歌唱区間信号の送信を停止する。
【0061】
所定期間、歌唱区間信号を受信しなかった場合、発音制御部10は、聴衆が設定した音量となるよう、禁止手段の動作を制御する。
【0062】
たとえば、聴衆が設定した音量として、第1実施形態の例における、操作子Dの目盛り「4」が示す値と同様の音量が設定されているとする。
【0063】
ここで、カラオケ装置Kから所定期間、歌唱区間信号を受信しなかった場合、発音制御部10は、電磁石E1、電磁石E2、電磁石E4、及び電磁石E5の通電を中止し、電磁石E3に通電する。このような状態においてカラオケ用タンバリン1を振った場合、発音体S3以外の発音体のシンバルが揺動し、互いに接触することで発音する。
【0064】
このように、本実施形態に係る発音制御部10は、カラオケ装置Kから、ある楽曲の歌唱区間についてカラオケ演奏中であることを示す歌唱区間信号を受信した場合、発音体が発音する音量が所定の音量となるよう、禁止手段の動作を制御する。
【0065】
このようなカラオケ用タンバリン1によれば、歌唱区間のカラオケ演奏中には、聴衆の設定した音量に関わらず、所定の音量で発音する。従って、歌唱者は、カラオケ用タンバリン1の音を気にすることなく、カラオケ歌唱を行うことができる。すなわち、本実施形態に係るカラオケ用タンバリン1によれば、カラオケ歌唱を妨げることなく使用できる。
【0066】
また、上記例と同様の処理により、発音体が発音する音色を所定の音色とすることも可能である。
【0067】
すなわち、本実施形態に係る発音制御部10は、カラオケ装置Kから、ある楽曲の歌唱区間についてカラオケ演奏中であることを示す歌唱区間信号を受信した場合、発音体が発音する音色が所定の音色となるよう、禁止手段の動作を制御する。
【0068】
このようなカラオケ用タンバリン1によれば、歌唱区間のカラオケ演奏中には、聴衆の設定した音色に関わらず、所定の音色で発音する。従って、歌唱者は、カラオケ用タンバリン1の音を気にすることなく、カラオケ歌唱を行うことができる。すなわち、本実施形態に係るカラオケ用タンバリン1によれば、カラオケ歌唱を妨げることなく使用できる。
【0069】
<その他>
なお、上記実施形態におけるフレームFや把持部Hの形状は上記例に限られない。また、発音体の数は5つに限られない。
【0070】
更に、禁止手段は電磁石に限られない。たとえば、フェルト・パッド及びアクチュエータを含む振動防止部材を、シンバルに取り付ける。振動防止部材は、「禁止手段」の一例である。
【0071】
発音制御部10は、アクチュエータを駆動し、フェルト・パッドをシンバルに押し付けることにより、発音体の発音を禁止する。この場合、軸部P及びシンバルは強磁性体である必要は無い。
【0072】
また、カラオケ装置Kは、歌唱区間信号を送信する代わりに、歌唱区間の開始信号と終了信号を送信することでもよい。開始信号を受信した場合、発音制御部10は、発音体が発音する音量(または音色)が所定の音量(または音色)となるよう、禁止手段の動作を制御する。一方、終了信号を受信した場合、発音制御部10は、発音体が発音する音量(または音色)が、聴衆が設定した音量(または音色)となるよう、禁止手段の動作を制御する。このような構成によれば、楽曲の非歌唱区間においては、聴衆が設定した音量(または音色)でカラオケ用タンバリン1の使用が可能となるため、カラオケ歌唱を妨げることなく、カラオケ歌唱の場を更に盛り上げることができる。
【0073】
また、第3実施形態に係る所定の音量は、カラオケ装置K側で都度、設定してもよい。たとえば、カラオケ装置Kは、歌唱者の歌唱音声を解析し、解析結果に応じて所定の音量(または音色)を決定する。カラオケ装置Kは、決定した所定の音量(または音色)を歌唱区間信号と併せてカラオケ用タンバリン1に送信する。カラオケ用タンバリン1の発音制御部10は、受信した所定の音量(または音色)となるよう、禁止手段の動作を制御する。このように歌唱者の歌唱音声に基づいて所定の音量(または音色)を都度決定することにより、歌唱者毎にカラオケ歌唱の妨げにならない音量(または音色)でカラオケ用タンバリン1を使用できる。
【0074】
更に、軸部Pの構成は上記例に限られない。軸部Pは、その一部が湾曲していてもよい。図7は、変形例に係るカラオケ用タンバリンの発音体S1を拡大した図である。ここでは、発音体S1のみを示しているが、他の発音体も同様の構成であってもよい。逆に、少なくとも一の発音体が図4に示す構成であり、他の発音体は実施形態で説明した発音体の構成であってもよい。
【0075】
図7に示すように、本変形例における軸部Pは、シンバルC2とシンバルC3の間が、らせん状に形成されている。このように軸部Pを形成することにより、シンバルと接する軸部の表面積を大きくすることができる。従って、軸部Pが帯磁した場合に、より確実にシンバルの揺動を妨げることができる。なお、軸部Pの両端は、フレームFに固定されている(図示なし)。
【0076】
上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定するものではない。上記の構成は、適宜組み合わせて実施することが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0077】
1 カラオケ用タンバリン
10 発音制御部
C1~C4、C1´~C4´、C1´´~C4´´ シンバル
E1~E5 電磁石
F フレーム
H 把持部
M 制御装置
P 軸部
S1~S5 発音体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7