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特許7165547物品搬送システム、制御装置及び制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-26
(45)【発行日】2022-11-04
(54)【発明の名称】物品搬送システム、制御装置及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20221027BHJP
   B65G 1/00 20060101ALI20221027BHJP
   B65G 1/10 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
B65G1/137 A
B65G1/00 501C
B65G1/10 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018180849
(22)【出願日】2018-09-26
(65)【公開番号】P2020050479
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】319007240
【氏名又は名称】株式会社日立インダストリアルプロダクツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹田 真司
(72)【発明者】
【氏名】長島 由和
【審査官】三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-507829(JP,A)
【文献】特開2018-020423(JP,A)
【文献】特開2018-043832(JP,A)
【文献】特開2017-141102(JP,A)
【文献】特開2013-133220(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00-1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送ロボットにより物品の出庫を行う物品搬送システムにおいて、
前記物品搬送システムは、
出庫対象の物品を保管する保管棚と、
前記保管棚を出庫ゲートに搬送する搬送ロボットと、
出荷先毎に前記物品を仕分ける仕分棚と、
前記保管棚の指定箇所から前記物品を取り出し、前記仕分棚の指定箇所に納めるアームロボットと、を備え、
前記搬送ロボットは、
1又は複数台存在し、
前記アームロボットと前記保管棚の指定箇所との距離、及び、前記アームロボットと前記仕分棚の指定箇所との距離を縮めるように、前記保管棚、及び、前記仕分棚を移動させ、
前記保管棚中の前記物品は、第1のバケットに収納されており、
前記出庫ゲートに設けられた第1の引出アームを備え、
前記第1の引出アームは、指定された前記物品を収納する前記第1のバケットを、前記保管棚から引き出し、
前記アームロボットは、引き出された前記第1のバケットから前記物品を取り出し、
仕分ゲートに設けられた第2の引出アームを備え、
前記仕分棚は、前記物品の収納先となる第2のバケットを備え、
前記第2の引出アームは、前記仕分棚から前記第2のバケットを引き出し、
前記アームロボットは、引き出された前記第2のバケットに、取り出した前記物品を収納すること、
を特徴とする物品搬送システム。
【請求項2】
請求項1の物品搬送システムにおいて、
記搬送ロボットは、
前記保管棚を移動させる際に、前記第1のバケットの位置を基準に移動すること、
を特徴とする物品搬送システム。
【請求項3】
出庫対象の物品を保管する保管棚を出庫ゲートに搬送し、アームロボットで前記保管棚の指定箇所から前記物品を取り出して仕分棚の指定箇所に前記物品を収納し、前記物品の出庫を行う物品搬送システムの制御装置であって、
前記アームロボットと前記保管棚の指定箇所との距離、及び、前記アームロボットと前記仕分棚の指定箇所との距離を縮めるように、複数の搬送ロボットにより、前記保管棚、及び、前記仕分棚を移動させ、
前記保管棚中の前記物品は、第1のバケットに収納されており、
出庫ゲートに設けられた第1の引出アームは、指定された前記物品を収納する前記第1のバケットを、前記保管棚から引き出し、
前記アームロボットは、引き出された前記第1のバケットから前記物品を取り出し、
前記仕分棚は、前記物品の収納先となる第2のバケットを備え、
仕分ゲートに設けられた第2の引出アームは、前記仕分棚から前記第2のバケットを引き出し、
前記アームロボットは、引き出された前記第2のバケットに、取り出した前記物品を収納すること、
を特徴とする制御装置。
【請求項4】
請求項の制御装置において、
記制御装置は、
前記搬送ロボットにより、前記保管棚を移動させる際に、前記第1のバケット及び前記第2のバケットの位置を基準に移動させること、
を特徴とする制御装置。
【請求項5】
物品搬送システムの制御方法であって、
1又は複数の搬送ロボットにより、
出庫対象の物品を保管する保管棚を出庫ゲートに搬送し、
アームロボットと前記保管棚の指定箇所との距離、及び、前記アームロボットと仕分棚の指定箇所との距離を縮めるように、前記保管棚、及び、前記仕分棚を移動させ、
前記アームロボットにより、前記保管棚の指定箇所から前記物品を取り出し、前記仕分棚の指定箇所に前記物品を収納し、
前記保管棚中の前記物品は、第1のバケットに収納されており、
出庫ゲートに設けられた第1の引出アームは、指定された前記物品を収納する前記第1のバケットを、前記保管棚から引き出し、
前記アームロボットは、引き出された前記第1のバケットから前記物品を取り出し、
前記仕分棚は、前記物品の収納先となる第2のバケットを備え、
仕分けゲートに設けられた第2の引出アームは、前記仕分棚から前記第2のバケットを引き出し、
前記アームロボットは、引き出された前記第2のバケットに、取り出した前記物品を収納すること、
を特徴とする制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品搬送システム、制御装置及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
荷物をある地点から他の地点へと搬送する搬送作業を担うロボットは、無人搬送車またはAGV(Automatic Guided Vehicle)と呼ばれる。AGVは、倉庫、工場、港湾等の施設内で広く導入されている。さらに、荷物の格納場所とAGVとの間で発生する荷物の受渡し作業、つまり荷役作業を自動で行う荷役装置を組み合わせて使用することで、施設内物流の大部分の作業を自動化することができる。
【0003】
また、近年の顧客ニーズの多様化を受けて、通信販売用の倉庫のように、多種少量の物品を扱う倉庫が増加している。管理すべき物品の性質上、物品を探し、積荷を行うことに時間及び人員コストがかかる。そのため、通信販売用の倉庫では、単一物品を大量に扱う旧来からの倉庫以上に、施設内物流の作業自動化が求められている。
【0004】
特許文献1は、多種多用の物品を扱う通信販売用倉庫での物品搬送、及び、多種少量の部品を生産する工場での部品搬送に適したシステムを開示している。当該システムにおいては、倉庫等の空間内に可動な保管棚が配置され、搬送ロボットが必要な物品が格納されている保管棚と結合する。その上で、搬送ロボットは出庫ゲートまで保管棚ごと物品等を搬送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特表2009-539727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の搬送ロボットは、在庫品目を直接収納する単位である在庫トレイを複数有する保管棚の下部空間に潜り込み、保管棚を持ち上げ、その状態で出庫ゲートまで搬送する。しかしながら、従来技術では、出庫ゲートに保管棚を搬送した後、搬送先毎に仕分棚に作業員が物品を仕分けし、作業が完了した仕分棚毎に次の出荷工程に送られる。近年、この在庫ゲートにおいて、物品をピッキングするためにアームロボットを使用することが計画されているが、特許文献1ではそのような出庫ゲートにおいて、ビッキングを行うアームロボットを使用する際の問題点と、そのための対策については開示されていなかった。本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、個々の物品の保管棚と搬送ロボットで管理し、ビッキングを行うアームロボットを使用する際の問題点を解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、搬送ロボットにより物品の出庫を行う物品搬送システムにおいて、前記物品搬送システムは、出庫対象の物品を保管する保管棚と、前記保管棚を出庫ゲートに搬送する搬送ロボットと、出荷先毎に前記物品を仕分ける仕分棚と、前記保管棚の指定箇所から前記物品を取り出し、前記仕分棚の指定箇所に納めるアームロボットと、を備え、前記搬送ロボットは、1又は複数台存在し、前記アームロボットと前記保管棚の指定箇所との距離、及び、前記アームロボットと前記仕分棚の指定箇所との距離を縮めるように、前記保管棚、及び、前記仕分棚を移動させ、前記保管棚中の前記物品は、第1のバケットに収納されており、前記出庫ゲートに設けられた第1の引出アームを備え、前記第1の引出アームは、指定された前記物品を収納する前記第1のバケットを、前記保管棚から引き出し、前記アームロボットは、引き出された前記第1のバケットから前記物品を取り出し、仕分ゲートに設けられた第2の引出アームを備え、前記仕分棚は、前記物品の収納先となる第2のバケットを備え、前記第2の引出アームは、前記仕分棚から前記第2のバケットを引き出し、前記アームロボットは、引き出された前記第2のバケットに、取り出した前記物品を収納すること、を特徴とする物品搬送システムである。
【0008】
本発明はまた、出庫対象の物品を保管する保管棚を出庫ゲートに搬送し、アームロボットで前記保管棚の指定箇所から前記物品を取り出して仕分棚の指定箇所に前記物品を収納し、前記物品の出庫を行う物品搬送システムの制御装置であって、前記アームロボットと前記保管棚の指定箇所との距離、及び、前記アームロボットと前記仕分棚の指定箇所との距離を縮めるように、複数の搬送ロボットにより、前記保管棚、及び、前記仕分棚を移動させ、前記保管棚中の前記物品は、第1のバケットに収納されており、出庫ゲートに設けられた第1の引出アームは、指定された前記物品を収納する前記第1のバケットを、前記保管棚から引き出し、前記アームロボットは、引き出された前記第1のバケットから前記物品を取り出し、前記仕分棚は、前記物品の収納先となる第2のバケットを備え、仕分ゲートに設けられた第2の引出アームは、前記仕分棚から前記第2のバケットを引き出し、前記アームロボットは、引き出された前記第2のバケットに、取り出した前記物品を収納すること、を特徴とする制御装置である。
その他の手段については、明細書の発明を実施するための形態のなかで説明する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、物品をピッキングするためにアームロボットを使用した場合でも、物品を保管棚から取り出す工程や、仕分棚に納める工程において、効率化を図ることを実現している。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】倉庫の平面図である。
図2】環境地図データの模式図である。
図3】本発明の一実施形態に適用される搬送ロボットと、搬送対象となる棚と、を示す斜視図である。
図4】搬送ロボットの斜視図である。
図5】搬送ロボットの筐体中に配置された制御部のブロック図である。
図6】中央制御装置のブロック図である。
図7】搬送ロボットが外部から保管スペースに搬入される際の動作を示す動作説明図である。
図8】バーコードを用いた位置検出の動作説明図である。
図9】搬送ロボットが実行する処理プログラムのフローチャートである。
図10】中央制御装置が実行する処理プログラムのフローチャートである。
図11】棚からバケットを取り出す構成を示す図である。
図12】棚からバケットを取り出す際のフローチャートである。
図13】ピッキングの後に仕分棚に物品を納める構成を示す図である。
図14】仕分棚に物品を納めるフローチャートである。
図15】ピッキング時、仕分時の本発明の効果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以降、本発明を実施するための形態(“本実施形態”という)を、図等を参照しながら詳細に説明する。本実施形態は、倉庫業者が、通信販売用倉庫に対して物品を入庫し、そこから物品を出庫し搬送する例を説明する。しかしながら、本発明は、例えばメーカ等が自社内で部品を保管・管理する場合にも適用可能である。なお、本実施形態の“物品”は、取引の対象になる商品、それ以外の製品、部品等を含む概念である。
【0012】
図1に沿って、倉庫の概要を説明する。図1は、倉庫100の平面図である。本実施形態の倉庫100は、例として1階建ての建物を示している。倉庫100は、棚が配置され、搬送ロボットが棚を搬送する保管スペース202、及び、作業員、アームロボットそしてスタッカクレーン(図示せず)が作業する作業スペース203、そして、搬送ロボットが仕分用の棚を移動する仕分スペース802に区分される。各スペースの間には、金網の壁204、804が形成されている。金網の壁204は、入庫ゲート205及び出庫ゲート206を有し、金網の壁804は、仕分ゲート806を有する。
【0013】
また、保管スペース202の周囲は壁142、144、146が設けられており、そして、金網の壁204の保管スペース202側にも、搬送ロボットが自己の位置を認識しやすいようにレーザー光を遮断、反射する高さの低い壁148が設けられている。仕分スペース802の金網の壁804の内側にも搬送ロボットが自己の位置を認識しやすいようにレーザー光を遮断、反射する高さの低い壁848が設けられている。
【0014】
また、保管スペース202、仕分スペース802内には建物を支える為の柱132、134、136、138、140、832、834、836が存在する。
【0015】
保管スペース202には、商品を保管する移動可能な棚と、搬送ロボットの位置管理の為に概念的に格子状の方眼が重ねられている。この倉庫100の例では、方眼は、保管スペースにおいて、二次元のX方向として座標01~座標12の12列×Y方向として座標01~座標07の7行=84個の正方形であり、仕分スペースにおいて、二次元のX方向として座標01~座標12の12列×Y方向として座標-01~座標-03の3行=36個の正方形からなる。
【0016】
この個々の正方形(例えば、符号107)を“グリッド”と呼ぶ。すべてのグリッドには、グリッドの絶対的な位置を示す座標が設定されており、座標(X、Y)として(1、-3)から(12、07)の範囲が設定されている。そして、本実施例では、全てのグリッドの位置を仮想的に座標設定することが可能である。但し、特定のグリッドの位置を明確にするために、通常は各グリッドにはその位置を示すマーカー等を配置する必要は無いが、必要とする場合は、座標の特定の場所にはバーコード208を貼ることが可能である。なお、図1では、参考例として1つのグリッドのバーコード208のみが記載され、他のグリッドのバーコードは省略されている。なお、保管スペース202、作業スペース203、仕分スペース802の面積は任意である。グリッドの形状及び面積も任意であるが、1つのグリッドは、1つの棚が隙間なく入る程度の形状及び面積を有することが望ましい。
【0017】
保管スペース202には、複数の棚111が配置されている。なお、図1では、棚111以外の棚の符号は適宜省略されている。本実施形態では、棚は、2列×3行=6個で1つの“島”を形成するように配置される。島の形状及び1つの島に属する棚の数は任意である。保管スペース202には、1又は複数の搬送ロボット102が存在する。搬送ロボット102は、棚の下部の空間に潜り込み、下から棚を持ち上げ、そのままの状態で棚を移動させることができる。搬送ロボット102の構造等については後記する。
【0018】
同様に仕分スペース802にも、複数の棚810が配置されている。なお、図1では、棚810以外の棚の符号は適宜省略されている。本実施形態では、仕分スペース802にも、1又は複数の搬送ロボット102が存在する。保管スペースと同様に搬送ロボット102は、棚の下部の空間に潜り込み、下から棚を持ち上げ、そのままの状態で棚を移動させることができる。搬送ロボット102の構造等については後記する。
【0019】
図1において、十字線が入った太線の正方形111、810等は、棚を示す。中央に丸が入ったやや小型の面取りされた正方形102等は、搬送ロボットを示す。十字線と丸とが重なった太字の正方形211、814等は、搬送ロボットによって搬送されている棚を示す。
【0020】
(環境地図)
図2に搬送ロボット102を制御するための環境地図180を説明する。
この環境地図180はレーザスキャナを有する搬送ロボット102が、自己の位置を推定するために使用する地図である。
【0021】
この図において、保管スペース202の周囲の壁142、144、146、148は、レーザスキャナからのレーザが照射された際に、そのレーザが反射される構成になっていることから実線で示したように、予めその壁の位置がデータとして取り込まれている。
【0022】
同様に仕分けスペース802の壁848も、レーザスキャナからのレーザが照射された際に、そのレーザが反射される構成になっていることから実線で示したように、予めその壁の位置がデータとして取り込まれている。
また、保管スペース202、仕分スペース802内の柱132、134、136、138、140、832、834、836もそのレーザが反射される構成になっていることから実線で示したように、予めその壁の位置がデータとして取り込まれている。
【0023】
また、この説明図では環境地図上のデータと、点線で示した縦横のグリッドの位置関係を示しており、この環境地図上のレーザースキャナで検出できる物体と、グリッドの位置関係を計算することで、レーザースキャナを搭載した搬送ロボット102は、自身がどこの位置にいるか、更には縦横グリッドにおいて、どこのグリッドにいるかを認識することを実現している。
なお、これらの環境地図のデータは搬送ロボット102の記憶装置、又は、中央制御装置の記憶装置に予め記憶させておくことが可能である。
【0024】
また、以上の説明ではレーザスキャナが反射する物体として、壁や柱の位置、形状を示したが、このような建物に固定された物体ではなくても、保管スペースに仮設的に配置したレーザを反射する反射材によるマーカーを配置して、環境地図データを作成することも可能である。
【0025】
(入庫及び出庫)
例えば、メーカから仕入れた物品を保管スペース202に収納することを“入庫”という。顧客の注文に応じ、物品を保管スペース202から取り出すことを“出庫”という。更に、出庫した物品を仕分用の棚に格納することを”仕分”という。入庫時、出庫時および仕分時における搬送ロボット等の時系列の動きは概略以下の通りである。
【0026】
(入庫時の搬送ロボット等の動き)
図3に示すように搬送ロボット102は、目的とする棚111等の下部の空間に移動する。
・搬送ロボット102は、その棚を持ち上げて保管スペース202内を移動して、入庫ゲート205まで搬送する。
・作業員又はアームロボットは、入庫ゲート205越しに物品を棚111に入れる。
・搬送ロボット102は、物品が入った棚111を保管スペース202内の元の位置又は他の位置に搬送する。
・搬送ロボット102は、棚111を床面に下ろした後、通路等に出て次の搬送に備え待機する。
【0027】
(出庫時の搬送ロボット等の動き)
・搬送ロボット102は、目的とする物品が格納された棚の下部の空間に移動する。
・搬送ロボット102は、その棚を持ち上げて保管スペース202内を移動して、出庫ゲート206まで搬送する。
・作業員又はアームロボットは、出庫ゲート206越しに棚から物品を取り出す。
・搬送ロボット102は、物品が取り出された棚を保管スペース202内の元の位置又は他の位置に搬送する。
・搬送ロボット102は、棚を床面に下ろした後、通路等に出て次の搬送に備え待機する。
【0028】
(仕分時の搬送ロボット等の動き)
・搬送ロボット102は、目的とする物品の格納を予定された棚810の下部の空間に移動する。
・搬送ロボット102は、その棚を持ち上げて仕分スペース802内を移動して、仕分ゲート806まで搬送する。
・作業員、又はアームロボットは、仕分ゲート806越しに棚に物品を納める。
・搬送ロボット102は、物品が納められた棚を仕分スペース802内の他の位置に搬送する。
・搬送ロボット102は、棚を床面に下ろした後、通路等に出て次の搬送に備え待機する。
・搬送ロボット102は、最終的に一連の必要な物品が揃った棚810を倉庫外に出荷するために、出荷用の位置に棚810を移動する。
【0029】
(搬送ロボット)
図4を用いて搬送ロボット102の構成を説明する。搬送ロボット102は、底部の車輪(図示せず)を回転させることによって、保管スペース202の床面上を移動する。搬送ロボット102の高さは、例えば20cm程度であり、搬送ロボット102は、棚111等(図1)の下部の空間に潜り込むことができる。搬送ロボット102は、上面中央の棚支持部122を上昇させることによって、棚を空中に持ち上げることができる。さらに、搬送ロボット102は、棚111を持ち上げた状態で搬送することができる。
【0030】
搬送ロボット102は、4つの側面に衝突検知部124備える。衝突検知部124は、赤外線レーザ等や電波を発して、それらが周囲の障害物に遮蔽されることで障害物を検知して、障害物と衝突することを予防する。
【0031】
更に、搬送ロボット102は、周囲の広い範囲の状況を検出するためにレーザスキャナ(LiDA)130を備えている。搬送ロボット102では、筐体の隅にレーザスキャナ130を設けることで、270度に達する広い範囲の角度の範囲で、周囲の状況を検出することを実現している。そして、レーザスキャナ130で読み取った周囲のデータを、環境地図180のデータと比較することで、搬送ロボット102は自己位置を推定することを実現している。
【0032】
外部との通信に関しては、搬送ロボット102は、図示しない無線通信装置及び赤外線通信部を有する。無線通信装置は、制御装置(詳細後記)と無線で通信を行う。赤外線通信部は、図示しない充電ステーション等の周囲の設備との間で赤外線通信を行う。また、搬送ロボット102は、底部にカメラ(図示せず)を備えることも可能である。カメラが前記したグリッド上のバーコード208を読み取ることで、搬送ロボット102は、自身が保管スペース202の床面上のどの位置にいるかを認識し、更に、レーザスキャナ130で読み取った周囲のデータからの推察位置も加えて、自己の位置を推定することも可能であり、その結果を、無線通信装置等を介して制御装置と通信する。
【0033】
(搬送ロボットの制御装置)
図5を用いて、搬送ロボット102の制御装置720の構成を説明する。制御装置720は、搬送ロボットの筐体中に配置される。
制御装置720は、中央演算部732、記憶部733、通信部735及びアンテナ736を有する。中央演算部732は、各種の演算を実行する。つまり、中央演算部732は、必要なプログラム(図示せず)を読み込むことによって、制御装置720が実行する動作の主体となる。
【0034】
また、底部の車輪の回転状態を制御する車輪制御装置746、上面中央の棚支持部122を上下動作させる棚支持制御装置748、衝突検知部124を制御する衝突検知制御部740、レーザスキャナ(LiDA)130を制御するレーザスキャナ制御部742、底部のカメラを制御するカメラ制御部744、そして、外部と入出力を制御する入出力制御部750を備えている。
【0035】
(制御装置)
図6を用いて、中央制御装置632の構成を説明する。中央制御装置632は、倉庫業者の事務スペース等に配置される。中央制御装置632は、中央演算部634、記憶部633、入出力部637、通信部635及びアンテナ636を有する。中央演算部634は、各種の演算を実行する。つまり、中央演算部634は、必要なプログラム(図示せず)を読み込むことによって、中央制御装置632が実行する動作の主体となる。
【0036】
(スタート時の説明)
図7を用いて、搬送ロボット102のスタート時の動作の例として、搬送ロボット102が保管スペース202の領域に最初に入る時の動作を説明する。
入庫ゲート205から保管スペースに入れられた搬送ロボット102は、自身の装置のスタートボタンを管理者に押されて、又は中央制御装置632からの指令を受けて周囲の状況をレーザスキャナ130を用いてレーザ測定範囲150の中に存在する物体の位置データを検出する。この例では、搬送ロボット102は柱134にレーザを照射して、その柱134の位置データを取得し、環境地図180に照会して、柱134と自己の搬送ロボット102とのの位置関係を推定する。
【0037】
これにより、搬送ロボット102は自身がどのグリッドに居るかを認識して、命令に応じて目的とするグリッドに沿って自身の搬送ロボットを目的とする方向、位置に移動する。
【0038】
また、図8を用いて、搬送ロボット102が保管スペース202の領域に入る時の動作として、バーコードを用いる例を説明する。
この例では、入庫ゲート205の直前の床面グリッドにバーコード208を貼っておく。そして、搬送ロボット102は、入庫ゲート205に配置された後に、自身の装置のスタートボタンを管理者に押されて、又は中央制御装置632からの指令を受けて、まずは、1個分のグリッドを進み、バーコード208上に搬送ロボット102は自身の装置を移動させる。そして、搬送ロボット102は床面に貼られたバーコード208を読み取り、そして、自機がどこにいるのかを認識し、中央制御装置632に連絡する。
【0039】
また、この例では、床面のバーコードから自身の位置を推定したが、バーコードを読み取ることと共に、前述のレーザスキャナ130を用いて、環境地図180に照会した結果も加味して、自身の搬送ロボット102の位置を推定することも可能である。
【0040】
なお、上述の説明では搬送ロボット102が保管スペース202の領域に最初に入る時の動作として説明したが、これ以外にも故障して回収された搬送ロボット102を再度保管スペース202の領域にいれる場合にも適用できる。更に、搬送ロボット202を動作させる位置として入庫ゲート205の直前のグリッドの位置からスタートさせたが、開始するグリッドはこれに限られず、保管スペース202内のどのグリッドからもスタートさせることが可能である。更に、上述した搬送ロボット102の動作は仕分スペース802においても同様に実施することが可能である。
【0041】
(搬送ロボットの処理手順)
図9に沿って、搬送ロボット102のスタート時の自己位置の認識処理を説明する。
ステップS101において、搬送ロボット102は、搬送ロボット102を制御するための環境地図180を記憶部733に記憶する。
ステップS102において、搬送ロボット102は、搬送ロボット102をスタート位置に移動させる。
ステップS103において、搬送ロボット102は、自身の装置のスタートボタンを管理者に押されて、又は中央制御装置632からの指令を受信する。
ステップS104において、搬送ロボット102は、レーザスキャナにより、周囲をスキャンして、そのデータを記憶する。
【0042】
ステップS105において、搬送ロボット102は、記憶装置733に記憶された環境地図180と、レーザスキャナにより周囲をスキャンしたデータを照会して、自己位置を推定し、自己の搬送ロボットが属するグリッド位置を推定する。
ステップS106において、搬送ロボット102は、算出した自己位置、更に属するグリッド位置を中央制御装置632に伝達する。
ステップS107において、搬送ロボット102は、中央制御装置632から、目的とするグリッド迄の移動指示を受信する。
ステップS108において、搬送ロボット102は、目的とするグリッドに向けて、車輪制御装置746を制御して、隣のグリッドまで移動する。
【0043】
図10に沿って、搬送ロボット102のスタート時の中央制御装置632の処理ステップを説明する。
ステップS201において、中央制御装置632は、搬送ロボット102からの信号を受信して、搬送ロボット102のグリッド位置を受信する。
ステップS202において、中央制御装置632は、搬送ロボット102に対して、目的とするグリッド迄の移動指示を行う。
これらの一連のステップにより、中央制御装置632は、個々の搬送ロボット102に目的とするグリッドへの移動指示を出しているので、グリッド上を移動している個々の搬送ロボット102が互いにぶつかることを防止すること実現している。
【0044】
(スタッカクレーン連携)
図11は、出庫ゲートにおいて、保管棚からバケット482を取り出す構成の模式図である。なお、バケット482は、保管棚における各棚に載置される箱であって、上面を開放した略直方体状の形状を有している。バケット482には、一般的には、同一種類の複数の物品が収納される。バケット482を保管棚111から取り出す際、アームロボット501は、ロボットハンド504によってバケット482を摘んで引き出すことが可能である。
【0045】
また、図11において、アームロボット501は、1本のロボットアーム502と、1個のロボットハンド504とを備えている。更に、2本のロボットアーム502と、2個のロボットハンド504を備えた構成も考えられる。すなわち、2本のロボットアーム502のうち一方によってバケット482を引き出し、他方のロボットアーム502によってバケット482の中から物品を取り出すことが考えられる。しかし、ロボットアーム502の制御には時間を要するため、現状、物品の取り出しの高速化を実現することは困難である。
【0046】
そこで、本実施形態においては、保管棚111からバケット482を取り出す手段として、スタッカクレーン562を備える。ここで、スタッカクレーン562は、保管棚111等の棚からバケット482を搬出・搬入する引出アーム564と、バケット482をこの引出アーム564に引っ掛けて搭載する引出機構566と、引出アーム564を上下方向に昇降させる機能と、を備えている。そして、該スタッカクレーン562は、出庫ゲート206に設けられている。
【0047】
搬送ロボット102は、目的とする物品を収納した保管棚111を、出庫ゲート206の前まで移動する。そして、保管棚111に納められているバケット482は特定の種類に類型化されている。従って、スタッカクレーン562は、中央制御装置632の指示に応じて、引き出す対象のバケットを特定できる。これにより、ロボットアーム502を駆動する場合と比較して、高速かつ正確にバケット482を保管棚111から引き出すことを実現している。
【0048】
図12は、図11に示した構成に対して、中央制御装置632が実行する処理のフローチャートである。
図12において処理が開始されると、処理はステップS501に進む。ここでは、中央制御装置632は、出庫対象の物品を、倉庫100に納められた物品の物品データから検索し、対象の物品が納められた保管棚111等と、保管棚の中における物品の位置と、を特定する。
次に、処理がステップS502に進むと、中央制御装置632は、物品を収めた保管棚111等を、搬送ロボット102によって、出庫ゲート206まで移動させる。
【0049】
次に、処理がステップS503に進むと、中央制御装置632は、スタッカクレーン562を制御し、目的とする物品が納められたバケット482の位置まで、引出アーム564を移動して、目的のバケット482を引き出す。
【0050】
次に、処理がステップS504に進むと、中央制御装置632の指令に基づいて、アームロボット501は、ロボットアーム502およびロボットハンド504を用いてバケット482から目的の物品を取り出して出庫する。
その後処理は終了する。
このように、スタッカクレーン562によって保管棚111から物品を取り出すことにより、高速にピッキングを行うことが実現できる。
【0051】
図13は、出庫ゲート206において、保管スペース202の保管棚111から目的とする物品を取り出して、仕分スペース802の保管棚810に納める他の構成を示す模式図である。
図11に示した例と比較して、図13に示す例では、搬送ロボット102は、保管棚111及び仕分棚810の位置を細かく駆動する点が相違している。すなわち、搬送ロボット102は、目的の物品を収納したバケット482の箇所に応じて、保管棚111をこの例ではバケット482の幅単位で細かく移動させる。
【0052】
図13に示す例によれば、ピッキングの対象となる物品を保管棚111に入れる際、中央制御装置632は、保管棚111の何れのバケット482に対象の物品を入れるかを判断する。そしてピッキングする際には、搬送ロボット102は、そのバケット482の位置と、ロボットハンド504の可動位置を合せるように、バケット482の幅単位(左右の矢印852)で保管棚111を左右に移動させる。これにより、ロボットアーム502およびロボットハンド504が物品のピッキングに必要な移動距離を短くすることができ、保管棚111からの物品ピッキングにかかる工程を高速に実行できるようになる。
【0053】
また、ピッキングされた物品を仕分棚810に入れる際、中央制御装置632は、仕分棚810の何れのバケット484に対象の物品を入れるかを判断する。そして、そして物品を格納する際には、搬送ロボット102は、そのバケット484の位置と、物品をピッキングしているロボットハンド504の可動位置を合せるように、バケット484の幅単位(左右の矢印854)で仕分棚810を左右に移動させる。これにより、ロボットアーム502およびロボットハンド504が物品の格納に必要な移動距離を短くすることができ、仕分棚810に対して物品を格納する工程を高速に実行できるようになる。
【0054】
図14は、図13に示した構成に対して、中央制御装置632が実行する処理のフローチャートを示す。
図14において処理が開始されると、処理はステップS701に進む。ここでは、中央制御装置632は、出庫対象の物品を、倉庫100に納められた物品の物品データから検索し、対象の物品が納められた保管棚111と、保管棚の中における物品の位置と、を特定する。
【0055】
次に、処理がステップS702に進むと、中央制御装置632は、搬送ロボット(AGV)102を用いて、特定された保管棚111を出庫ゲート206まで移動させる。
次に、処理がステップS703に進むと、中央制御装置632の制御の下、アームロボット501は、ロボットアーム502およびロボットハンド504を用いて、保管棚111からバケット482を引き出し、目的の物品を取り出す。
【0056】
次に、処理がステップS704に進むと、中央制御装置632の制御の下、搬送ロボット(AGV)102は、仕分用の仕分棚810を、仕分ゲート806の仕分け位置に移動する。より詳細には、目的の物品を仕分用の仕分棚810の予め指定された棚位置に、ロボットアーム502およびロボットハンド504が格納しやすいように、搬送ロボット102は、バケット484の幅単位で仕分棚810を移動させる。
【0057】
次に、処理がステップS705に進むと、アームロボット501は、中央制御装置632の制御の下、仕分用の保管棚810の、予め指定された棚位置のバケット484に、物品を格納する。
次に、処理がステップS706に進むと、中央制御装置632は仕分棚810に対して、追加で目的とする物品を入れる必要があるか否かを判定する。この判定結果が肯定(追加有り)であれば、処理はステップS701に戻り、上述したのと同様の動作が繰り返される。一方、この判定結果が否定(追加無し)であれば、中央制御装置632は、ステップS707に進み、仕分棚810を、仕分ゲートから移動させる。その後、処理は終了する。
【0058】
なお、図13において説明した例では、アームロボット501がバケット482を引き出す実施例を説明したが、図11に示したように、スタッカクレーン562を設け、目的とする物品を収納したバケット482をスタッカクレーン562が引き出すようにしてもよい。
【0059】
更に、仕分棚810に物品を格納する工程においても、アームロボット501がバケット484を引き出す実施例を説明したが、図11の出庫ゲートにスタッカクレーン562を設けたように、仕分ゲート806に仕分用のスタッカクレーンを設けて、目的とする物品を格納するバケット484をスタッカクレーンが引き出して、そのバケット484にアームロボット501が物品を格納するようにしてもよい。
【0060】
図15図13及び図14の実施例の効果を示す。
例えば、出庫ゲート206に対峙して左側にバケット482があるとする。搬送ロボット102による保管棚111の位置調整機能が働かない場合は、物品をピッキングするためにそれぞれロボットアームとロボットハンドは、ロボットアーム502Cおよびロボットハンド504Cの位置で物品をビッキングすることになる。すると、ピッキングするためのロボットアーム502およびロボットハンド504の可動量が大きくなる。
【0061】
これに対して、搬送ロボット102による保管棚111の位置調整機能が働いた場合、バケットは実線のバケット482の位置になるので(矢印852A参照)、ロボットアームとロボットハンドは、ロボットアーム502Aおよびロボットハンド504Aの位置で物品をピッキングすることになる。すると、ロボットアームとロボットハンドは、出庫ゲート206に対して垂直な方向からピッキングするので、ロボットアーム502およびロボットハンド504の可動量は少なくてすむ効果を得られる。
【0062】
また、仕分作業においては、仕分ゲート806に対峙して左側にバケット484があるとする。搬送ロボット102による仕分棚810の位置調整機能が働かない場合は、物品をピッキングするためにそれぞれロボットアームとロボットハンドは、ロボットアーム502Dおよびロボットハンド504Dの位置で物品をピッキングすることになり、ピッキングするためのロボットアーム502およびロボットハンド504の可動量が大きくなる。
【0063】
これに対して、搬送ロボット102による仕分棚810の位置調整機能が働いた場合、バケットは実線のバゲット484の位置になるので(矢印854A参照)、ロボットアームとロボットハンドは、ロボットアーム502Bおよびロボットハンド504Bの位置で物品を格納することになる。すると、ロボットアームとロボットハンドは、仕分ゲート806に対して垂直な方向から格納するので、ロボットアーム502およびロボットハンド504の可動量は少なくてすむ効果を得られる。
【0064】
なお、本発明は前記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施例は、本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0065】
100 倉庫
102 搬送ロボット
111 保管棚
206 出庫ゲート
482、484 バケット
501 アームロボット
562 スタッカクレーン
632 制御装置
810 仕分棚
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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図15