IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社デンソーの特許一覧 ▶ 株式会社日本自動車部品総合研究所の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-26
(45)【発行日】2022-11-04
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20221027BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20221027BHJP
【FI】
H02M3/28 W
H02M3/28 V
H02M7/48 E
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018189867
(22)【出願日】2018-10-05
(65)【公開番号】P2020061807
(43)【公開日】2020-04-16
【審査請求日】2021-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(73)【特許権者】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 良輝
(72)【発明者】
【氏名】倉内 修司
(72)【発明者】
【氏名】半田 祐一
(72)【発明者】
【氏名】居安 誠二
(72)【発明者】
【氏名】林 裕二
【審査官】栗栖 正和
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-244523(JP,A)
【文献】特開2008-206304(JP,A)
【文献】特開2012-019678(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0282747(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/28
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電圧部(61)と第2電圧部(62)との間の電圧変換を行う主DC-DCコンバータ(2)と、
上記第1電圧部に接続された電力変換ユニット(3)と、を有し、
上記電力変換ユニット(3)は、
上記第1電圧部と第3電圧部(63)との間の電力変換を行う電力変換部(31)と、
上記電力変換部の少なくとも一部を、共有構成部(33)として上記電力変換部と共有した副DC-DCコンバータ(32)と、を有し、
該副DC-DCコンバータは、上記主DC-DCコンバータと並列に接続されており、
上記電力変換部は、変換する電力の大きさが時間的に変動し、上記電力変換部によって変換される電力が減少したときに、上記副DC-DCコンバータによって変換される電力を増加させることができるよう構成されている、電力変換装置(1)。
【請求項2】
上記電力変換ユニットは、上記第1電圧部に接続される第1スイッチング回路部(41)と、上記第2電圧部に接続される第2スイッチング回路部(42)と、上記第3電圧部に接続される第3スイッチング回路部(43)とを有し、上記第1スイッチング回路部と上記第2スイッチング回路部と上記第3スイッチング回路部とは、互いにマルチポートトランス(40)を介して接続されている、請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
上記第1スイッチング回路部、上記第2スイッチング回路部、及び上記第3スイッチング回路部は、それぞれブリッジ回路構成を有する、請求項2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
上記電力変換部は、変換する電力の大きさが互いに異なる第1動作状態と第2動作状態とを切り替えることができるよう構成されており、上記第1動作状態よりも上記第2動作状態の方が、変換する電力が小さく、上記第2動作状態において、上記副DC-DCコンバータが、上記第1電圧部と上記第2電圧部との間の電圧変換を行うことができるよう構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の電力変換装置。
【請求項5】
上記電力変換部が電力変換動作を行わない動作停止状態において、上記副DC-DCコンバータが、上記第1電圧部と上記第2電圧部との間の電圧変換を行うよう構成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の電力変換装置。
【請求項6】
上記電力変換部は、上記第3電圧部としての充電用電源(ACS、DCS、SS)の電力を変換して、上記第1電圧部としてのバッテリへの充電を行うことができるよう構成されている、請求項1~のいずれか一項に記載の電力変換装置。
【請求項7】
上記電力変換ユニットは、上記充電用電源と上記第2電圧部との間の電力変換をも行うことができるよう構成されている、請求項に記載の電力変換装置。
【請求項8】
上記電力変換部は、上記第3電圧部としての第1蓄電装置(BLa)もしくは第1負荷に接続され、上記主DC-DCコンバータ及び上記副DC-DCコンバータは、上記第2電圧部としての第2蓄電装置(BL)もしくは第2負荷に接続され、上記第3電圧部と上記第2電圧部とは、互いに電圧が異なる、請求項1~のいずれか一項に記載の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基本電源モジュールに、電源補助モジュールを並列接続することで、冗長性を確保した電源システムが、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-171762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記電源システムにおいては、基本電源モジュールに対して、冗長性確保のためだけに、電源補助モジュールを追加することとなる。その結果、部品点数が多くなるという課題が生じる。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、部品点数を低減することができる冗長化が可能な電力変換装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、第1電圧部(61)と第2電圧部(62)との間の電圧変換を行う主DC-DCコンバータ(2)と、
上記第1電圧部に接続された電力変換ユニット(3)と、を有し、
上記電力変換ユニット(3)は、
上記第1電圧部と第3電圧部(63)との間の電力変換を行う電力変換部(31)と、
上記電力変換部の少なくとも一部を、共有構成部(33)として上記電力変換部と共有した副DC-DCコンバータ(32)と、を有し、
該副DC-DCコンバータは、上記主DC-DCコンバータと並列に接続されており、
上記電力変換部は、変換する電力の大きさが時間的に変動し、上記電力変換部によって変換される電力が減少したときに、上記副DC-DCコンバータによって変換される電力を増加させることができるよう構成されている、電力変換装置(1)にある。
【発明の効果】
【0007】
上記電力変換装置においては、副DC-DCコンバータが、上記電力変換部の少なくとも一部を、共有構成部として電力変換部と共有している。それゆえ、部品点数の増加を抑制しつつ、冗長化を可能とすることができる。
【0008】
以上のごとく、上記態様によれば、部品点数を低減することができる冗長化が可能な電力変換装置を提供することができる。
なお、特許請求の範囲及び課題を解決する手段に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1参考形態1における、電力変換装置の概念図。
図2参考形態1における、電力変換装置の回路構成図。
図3参考形態2における、電力変換装置の回路構成図。
図4参考形態2における、電力変換装置の一部の回路構成図。
図5】実施形態3における、電力変換装置の回路構成図。
図6】実施形態3における、第3電圧部への出力電力の時間変動を示す線図。
図7参考形態4における、電力変換装置の回路構成図。
図8参考形態4における、高圧バッテリへの充電動作を示す説明図。
図9参考形態4における、副DC-DCコンバータの動作を示す説明図。
図10参考形態5における、電力変換装置の回路構成図。
図11参考形態5における、高圧バッテリへの充電動作を示す説明図。
図12参考形態5における、副DC-DCコンバータの動作を示す説明図。
図13参考形態6における、電力変換装置の回路構成図。
図14参考形態6における、高圧バッテリへの充電動作を示す説明図。
図15参考形態6における、副DC-DCコンバータの動作を示す説明図。
図16参考形態7における、電力変換装置の回路構成図であって、通常時の電力供給を示す説明図。
図17参考形態7における、副DC-DCコンバータの動作を示す説明図。
図18参考形態8における、電力変換装置の回路構成図。
図19参考形態9における、電力変換装置の回路構成図であって、通常時の電力供給を示す説明図。
図20参考形態9における、副DC-DCコンバータの動作を示す説明図。
図21参考形態10における、電力変換装置の回路構成図。
図22参考形態11における、電力変換装置の回路構成図。
図23参考形態11における、通常時の電力供給を示す説明図。
図24参考形態11における、副DC-DCコンバータの動作を示す説明図。
図25参考形態12における、電力変換装置の回路構成図。
図26参考形態13における、電力変換装置の回路構成図。
図27参考形態14における、電力変換装置の回路構成図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
参考形態1)
電力変換装置に係る参考形態について、図1図2を参照して説明する。
形態の電力変換装置1は、図1に概念図として示すごとく、主DC-DCコンバータ2と電力変換ユニット3と、を有する。主DC-DCコンバータ2は、第1電圧部61と第2電圧部62との間の電圧変換を行う。電力変換ユニット3は、第1電圧部61に接続されている。
【0011】
電力変換ユニット3は、電力変換部31と、副DC-DCコンバータ32と、を有する。電力変換部31は、第1電圧部61と第3電圧部63との間の電力変換を行う。副DC-DCコンバータ32は、電力変換部31の少なくとも一部の共有構成部33を、電力変換部31と共有している。
副DC-DCコンバータ32は、主DC-DCコンバータ2と並列に接続されている。
【0012】
共有構成部33としては、単なる配線等ではなく、例えば、半導体素子等の能動素子、或いは、トランス等の受動素子等を含んだ回路構成部を意味する。共有構成部33は、特に、複数の電子部品を含んだ回路構成部であることが好ましい。
【0013】
第1電圧部61、第2電圧部62、第3電圧部63は、種々の電源、負荷等を適用することができる。
特に、本形態においては、図2に示すごとく、第1電圧部61は、高圧バッテリBHであり、第2電圧部62は、高圧バッテリBHよりも低電圧の低圧バッテリBLである。また、第3電圧部63は、ヒータ等の負荷LDである。高圧バッテリBH及び低圧バッテリBLは、充電可能な二次電池である。低圧バッテリBLは、キャパシタによって構成される蓄電装置としてもよい。
【0014】
また、電力変換装置1は、車載用の電力変換装置であり、高圧バッテリBH及び低圧バッテリBLは、車両に搭載されている。高圧バッテリBHは、例えば、電気自動車やハイブリッド自動車等において、車両の駆動に用いる電力を蓄え、また供給できるよう構成されている。また、低圧バッテリBLは、車両の補機類の作動に用いる電力を蓄え、また供給できるよう構成されている。負荷LDは、例えば、ヒータ、空調機、アクチュエータ、カーオーディオ等とすることができる。なお、ヒータとしては、例えば、排ガス浄化用の触媒フィルタの加熱に用いるヒータとすることができる。
【0015】
また、電力変換部31は、トランス310と、トランス310を介して互いに接続された一対のスイッチング回路部311、312とを有する。電力変換部31は、トランス310と一対のスイッチング回路部311、312とによって、DC-DCコンバータを構成している。スイッチング回路部311、312は、それぞれ、例えば、フルブリッジ回路もしくはハーフブリッジ回路を有する。スイッチング回路部311は、第1電圧部61に接続されている。スイッチング回路部312は、第3電圧部63に接続されている。本形態においては、電力変換部31は、第1電圧部61(本形態においては高圧バッテリBH)の電圧を、降圧して、第3電圧部63(本形態においては負荷LD)へ供給できるよう構成されている。
【0016】
そして、電力変換ユニット3は、電力変換部31における、第3電圧部63側の出力配線に、チョッパ回路部321が接続されている。チョッパ回路部321の代わりに、例えば、バックコンバータなどの非絶縁DC-DCコンバータ等、電圧変換機能を有する回路部を接続してもよい。チョッパ回路部321は、第2電圧部62(本形態においては低圧バッテリBL)に接続されている。すなわち、本形態においては、電力変換部31とチョッパ回路部321とによって、副DC-DCコンバータ32が構成されている。
【0017】
つまり、副DC-DCコンバータ32は、トランス310と、トランス310を介して接続された2つのスイッチング回路部311、312と、スイッチング回路部312における第3電圧部63側の出力配線に接続されたチョッパ回路部321とによって構成されている。
【0018】
換言すると、副DC-DCコンバータ32は、電力変換部31の略すべての電子部品を、電力変換部31と共有している。本形態においては、共有構成部33は、電力変換部31の全体であって、トランス310と2つのスイッチング回路部311、312とからなるDC-DCコンバータである。
【0019】
次に、本形態の作用効果につき説明する。
上記電力変換装置1においては、副DC-DCコンバータ32が、電力変換部31の少なくとも一部を、共有構成部33として電力変換部31と共有している。それゆえ、部品点数の増加を抑制しつつ、冗長化を可能とすることができる。
【0020】
電力変換装置1においては、主DC-DCコンバータ2による、第1電圧部61と第2電圧部62との間の電力変換の冗長性を確保するために、副DC-DCコンバータ32を、主DC-DCコンバータ2に並列接続している。ここで、主DC-DCコンバータ2に、例えば、何らかの障害が生じたとき、副DC-DCコンバータ32を用いて、第1電圧部61と第2電圧部62との間の電力変換を行うことができる。すなわち、冗長性を確保することができる。
【0021】
そして、電力変換装置1においては、副DC-DCコンバータ32が、共有構成部33を有する。つまり、冗長化を図るために、単に、主DC-DCコンバータ2に予備のDC-DCコンバータを新たに並列接続するのではない。他の機能を果たす電力変換部31の少なくとも一部である共有構成部33を備えた副DC-DCコンバータ32を、主DC-DCコンバータ2に並列接続して、冗長化を図っている。それゆえ、少なくとも共有構成部33は、冗長化のためだけに追加される構成ではないため、冗長化のための部品点数の増加を極力抑制することができる。
【0022】
特に、本形態においては、電力変換部31の全体が、共有構成部33となっている。そのため、冗長化のために増加する部品点数を大幅に低減することができる。すなわち、冗長性を備えた電力変換装置1の部品点数を低減することができる。
【0023】
以上のごとく、上記態様によれば、部品点数を低減することができる冗長化が可能な電力変換装置を提供することができる。
【0024】
参考形態2)
本形態は、図3図4に示すごとく、電力変換ユニット3がマルチポートトランス40を備えた電力変換装置1の形態である。
なお、マルチポートトランス40は、入出力ポートを3個以上備えたトランスである。マルチポートトランス40は、互いに磁気結合した3個以上のコイルを有する。
【0025】
電力変換ユニット3は、第1スイッチング回路部41と、第2スイッチング回路部42と、第3スイッチング回路部43とを有する。第1スイッチング回路部41は、第1電圧部61に接続される。第2スイッチング回路部42は、第2電圧部62に接続される。第3スイッチング回路部43は、第3電圧部63に接続される。第1スイッチング回路部41と第2スイッチング回路部42と第3スイッチング回路部43とは、互いにマルチポートトランス40を介して接続されている。
【0026】
なお、第1スイッチング回路部41、第2スイッチング回路部42、及び第3スイッチング回路部43は、それぞれ、MOSFET(MOS型電界効果トランジスタの略)、IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタの略)、或いは、スイッチング機能を有するダイオード等の、スイッチング素子を備えたものとすることができる。
【0027】
図4に示すごとく、第1スイッチング回路部41、第2スイッチング回路部42、及び第3スイッチング回路部43は、それぞれブリッジ回路構成を有する。すなわち、本形態においては、電力変換ユニット3が、マルチポートトランス40と、3つのスイッチング回路部41、42、43とを有する、MAB(Multiple Active Bridgeの略)によって構成されている。
【0028】
例えば、図4に示すごとく、第1スイッチング回路部41、第2スイッチング回路部42、及び第3スイッチング回路部43が、フルブリッジ回路構成を有するものとすることができる。また、これらのスイッチング回路部41、42、43を、ハーフブリッジ回路構成とすることもできる。或いは、第1スイッチング回路部41、第2スイッチング回路部42、及び第3スイッチング回路部43のうちの一部を、フルブリッジ回路構成とし、他の一部をハーフブリッジ回路構成とすることもできる。
【0029】
その他は、参考形態1と同様である。
なお、参考形態2以降において用いた符号のうち、既出の形態において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、既出の形態におけるものと同様の構成要素等を表す。
【0030】
本形態においては、第1スイッチング回路部41とマルチポートトランス40とが、共有構成部33となる。これにより、副DC-DCコンバータ32が、電力変換部31と、マルチポートトランス40及び第1スイッチング回路部41における複数のスイッチング素子を共用することができ、部品点数を大きく低減することができる。すなわち、第2スイッチング回路部42を追加することで、主DC-DCコンバータ2の冗長化を図る副DC-DCコンバータ32を構成することができる。そのため、冗長化に伴う部品点数の増加を抑制することができる。
また、マルチポートトランス40を用いることで、電力変換ユニット3の小型化を容易に図ることができる。
【0031】
また、スイッチング回路部41、42、43が、それぞれブリッジ回路構成を有することにより、電力変換ユニット3における入出力電圧範囲を広くしやすい。その結果、電圧変動にも対応しやすく、高効率な電力変換を確保することができる。すなわち、電力変換ユニット3がMABを構成することにより、これに接続される負荷の変動にも広く対応することができる。
その他、参考形態1と同様の作用効果を有する。
【0032】
(実施形態3)
本形態は、図5図6に示すごとく、第3電圧部63として、負荷変動の大きい変動負荷LDfを、電力変換装置1の電力変換部31に接続した形態である。
変動負荷LDfとしては、例えば、空調機、ヒータ等がある。ヒータとしては、例えば、触媒暖気用、シート加温用、電池加温用等がある。図6に示すごとく、変動負荷LDfは、その消費電力Pcが時間変動する。それゆえ、電力変換ユニット3としては、消費電力Pcのピーク時の電力以上を出力する能力を有する必要はある。
【0033】
そうすると、消費電力Pcが小さい時間帯は、電力変換ユニット3の能力としては余裕が生じる。そこで、電力変換ユニット3は、変動負荷LDfの消費電力Pcのピークもしくはそれよりも高い電力P0を、常時出力するようにしておく。そして、変動負荷LDfの消費電力Pcが小さいとき、余裕分の電力(P0-Pcに相当)を、副DC-DCコンバータ32を介して、第2電圧部62へ供給するようにする。これにより、主DC-DCコンバータ2における障害の有無に関わらず、出力電力P0の余裕分を第2電圧部62へ供給することができる。
【0034】
すなわち、本形態において、電力変換部31は、変換する電力の大きさが時間的に変動する。そして、電力変換部31によって変換される電力が減少したときに、副DC-DCコンバータ32によって変換される電力を増加させることができる。また、電力変換部31によって変換される電力が増加したときに、副DC-DCコンバータ32によって変換される電力を減少させることができる。
【0035】
換言すると、電力変換部31によって変換される電力が比較的小さい時間帯においては、副DC-DCコンバータ32によって変換される電力を比較的大きくすることができる。そして、電力変換部31によって変換される電力が比較的大きい時間帯においては、副DC-DCコンバータ32によって変換される電力を比較的小さくすることができる。
【0036】
なお、図6において、ハッチングを付した部分Mは、出力電力P0の電力量の余裕分であって、第2電圧部62へ供給される分の電力量に相当する。ただし、電力ロスを無視した、概略的なものではある。
【0037】
また、仮に、主DC-DCコンバータ2に障害が生じたとき、電力変換部31の作動を停止もしくは制限して、副DC-DCコンバータ32に充分な電力を供給して、第2電圧部62への電力供給を行うことができる。
その他、参考形態2と同様の構成及び作用効果を得ることができる。
【0038】
参考形態4)
本形態は、図7図9に示すごとく、第3電圧部63として、充電用電源を接続した、電力変換装置1の形態である。
すなわち、本形態において、電力変換部31は、第3電圧部63としての充電用電源の電力を変換して、第1電圧部61としてのバッテリ(本形態においては、高圧バッテリBH)への充電を行うことができるよう構成されている。充電用電源としては、例えば、交流電源、直流電源の何れであってもよいが、本形態においては、交流電源ACSを用いる例を示す。
【0039】
本形態において、充電用電源は、交流電源ACSである。交流電源ACSとしては、例えば、給電ステーション等の交流式充電器が想定される。また、第3電圧部63としては、交流電源ACSと並列接続された交流出力ポートACPも、設けてある。交流電源ACSおよび交流出力ポートACPは、例えば、実効電圧100Vの交流電力を、入力及び出力できるよう構成されている。また、交流出力ポートACPには、通電、遮断を切り替え可能なリレー633が設けてある。
【0040】
また、第3スイッチング回路部43と第3電圧部63との間には、PFC回路(すなわち力率改善回路)430が接続されている。ただし、PFC回路430を設けない構成とすることもできる。
【0041】
本形態の電力変換装置1においては、図8の矢印P1に示すごとく、交流電源ACS(すなわち第3電圧部63)の交流電力を、電力変換部31によって変換して、高圧バッテリBH(すなわち第1電圧部61)に充電することができる。また、図9の矢印P21に示すごとく、高圧バッテリBHの電力を、電力変換部31において変換して、交流出力ポートACPから出力することができる。このように、電力変換部31を介して、第1電圧部61と第3電圧部63との間において、双方向に電力の授受を行うことができるよう構成されている。
【0042】
充電用電源から高圧バッテリBHへの充電は、停車中に行う。このときの変換電力は、例えば、数kW~数十kWとなる。一方、走行中には、高圧バッテリBHへの充電は行われない。ただし、走行中には、高圧バッテリBHから交流出力ポートACPに接続される負荷への電力供給が行われることはある。この場合、変換電力は例えば1.5kW以下である。
【0043】
換言すると、電力変換部31は、変換する電力の大きさが互いに異なる第1動作状態と第2動作状態とを切り替えることができるよう構成されている。そして、第1動作状態よりも第2動作状態の方が、変換する電力が小さい。そこで、本形態においては、第2動作状態において、副DC-DCコンバータ32が、第1電圧部61と第2電圧部62との間の電圧変換を行うことができるよう構成されている。
【0044】
つまり、図8に示すごとく、停車中における交流電源ACS(すなわち第3電圧部63)から高圧バッテリBH(すなわち第1電圧部61)へ充電を行う際の、電力変換部31の動作が、第1動作状態である。そして、図9に示すごとく、走行中における高圧バッテリBH(すなわち第1電圧部61)から交流出力ポートACP(すなわち第3電圧部63)への電力供給を行う際の、電力変換部31の動作が、第2動作状態である。
【0045】
ここで、上述のように、第2動作状態は、第1動作状態に比べて、電力変換部31による変換電力が小さい。すなわち、図8に示す矢印P1の電力よりも、図9に示す矢印P21の電力の方が小さい。したがって、第2動作状態においては、電力変換ユニット3における共有構成部33の定格電力に余裕がある。そこで、第2動作状態においては、図9に示すごとく、副DC-DCコンバータ32を作動させる。これにより、車両の走行中は、第3電圧部63への電力供給(図9の矢印P21参照)を行いつつ、第2電圧部62の低圧バッテリBLへの充電(図9の矢印P22参照)も行うことができる。
その他は、参考形態2と同様である。
【0046】
本形態においては、上述のように、第2動作状態にあるとき、共有構成部33の余裕分を利用して、第2電圧部62の低圧バッテリBLへの電力供給を行うことができる。それゆえ、電力変換ユニット3の規模の拡大を抑制しつつ、走行中の第2電圧部62への電力供給の冗長性を確保することができる。また、主DC-DCコンバータ2に障害が生じていないときも、主DC-DCコンバータ2と併せて、副DC-DCコンバータ32を利用して、第2電圧部62への電力供給を行うことができる。なお、上述した電力変換ユニット3の規模としては、例えば、部品点数の他、全体の体格等がある。以下においても同様である。
その他、参考形態2と同様の作用効果を有する。
【0047】
参考形態5)
本形態も、図10図12に示すごとく、第3電圧部63として、充電用電源を接続した、電力変換装置1の形態である。充電用電源としては、例えば、交流電源、直流電源の何れであってもよいが、本形態においては、交流電源ACSを用いる例を示す。
【0048】
本形態においても、図11の矢印P1に示すごとく、電力変換部31を介して、第3電圧部63の充電用電源である交流電源ACSから、第1電圧部61の高圧バッテリBHへの充電を行うことができるよう構成されている。
【0049】
そして、電力変換部31が電力変換動作を行わない動作停止状態において、図12の矢印P2に示すごとく、副DC-DCコンバータ32が、第1電圧部61と第2電圧部62との間の電圧変換を行うよう構成されている。
【0050】
すなわち、停車中に、図11の矢印P1に示すごとく、電力変換部31を介して、充電用電源の電力を変換して、第1電圧部61の高圧バッテリBHに供給し、充電する。一方、車両走行中には、高圧バッテリBHの充電を行わない。すなわち、電力変換部31を動作させない。そこで、図12の矢印P2に示すごとく、共有構成部33を電力変換部31と共有する副DC-DCコンバータ32を作動して、高圧バッテリBHから低圧バッテリBLへの充電を行う。
【0051】
本形態においては、参考形態4において示したPFC回路(図7の符号430参照)は設けていない。ただし、参考形態4と同様にPFC回路を設けることもできる。また、本形態においては、交流出力ポートACPを設けていない。また、充電用電源として、交流電源ACS(すなわちAC充電器)に代えて、直流電源(すなわちDC充電器)、或いは定置非接触充電器等を接続することもできる。
その他は、参考形態4と同様である。
【0052】
本形態においては、走行中に使用しない電力変換部31の一部でもある共有構成部33を、有効利用して、第1電圧部61から第2電圧部62への電力供給を行うことができる。それゆえ、電力変換ユニット3の規模を抑制しつつ、走行中の第2電圧部62への電力供給の冗長性を確保することができる。また、主DC-DCコンバータ2に障害が生じていないときも、主DC-DCコンバータ2と併せて、副DC-DCコンバータ32を利用して、第2電圧部62への電力供給を行うことができる。
その他、参考形態4と同様の作用効果を有する。
【0053】
参考形態6)
本形態は、図13図15に示すごとく、第4電圧部64を接続した電力変換装置1の形態である。
すなわち、既出の参考形態においては、第1電圧部61、第2電圧部62、第3電圧部63の3つの電圧部に接続される電力変換装置を示したが、本形態においては、さらに第4電圧部64を接続した電力変換装置1を示す。なお、本開示の電力変換装置の構成要素として、第4電圧部は、第3電圧部と実質的に差異はなく、互いに入れ替えて解釈することもできる。後述する第5電圧部も同様である。
【0054】
本形態においては、図13に示すごとく、マルチポートトランス40が、互いに磁気接続された4つのコイルを有する。そして、マルチポートトランス40には、第1スイッチング回路部41、第2スイッチング回路部42、第3スイッチング回路部43と共に、第4スイッチング回路部44が接続されている。この第4スイッチング回路部44に、第4電圧部64が接続されている。
【0055】
本形態においては、第4電圧部64として、太陽光電源SSを採用している。太陽光電源SSは、例えば車両の天井等に配置された太陽光パネルを含む太陽光発電機とすることができる。
なお、本形態においては、第3スイッチング回路部43と第3電圧部63との間に、PFC回路430が接続されている。
その他は、参考形態5と同様である。
【0056】
本形態の場合、図14の矢印P11、P12に示すごとく、第3電圧部63である充電用電源から、第1電圧部61である高圧バッテリBHへの充電時において、第4電圧部64である太陽光電源SSの電力をも第1電圧部61へ供給することができる。
【0057】
また、図15の矢印P21、P22に示すごとく、副DC-DCコンバータ32を介した第1電圧部61の高圧バッテリBHから第2電圧部62の低圧バッテリBLへの電力供給時に、第4電圧部64の太陽光電源SSからも第2電圧部62へ電力供給することができる。これにより、第1電圧部61からの電力の持ち出し分を、一部、第4電圧部64の電力にて肩代わりすることができる。
その他、参考形態5と同様の作用効果を有する。
【0058】
参考形態7)
本形態は、図16図17に示すごとく、主DC-DCコンバータ2に障害が生じたとき、電力変換部31を停止することができるよう構成された、電力変換装置1の形態である。
【0059】
すなわち、本形態においては、電力変換部31を介する第1電圧部61から第3電圧部63への電力供給を、完全に停止することも可能な構成としている。つまり、主DC-DCコンバータ2に異常がない場合には、図16に示すごとく、第1電圧部61と第2電圧部62との間の電力変換は、主DC-DCコンバータ2にて行うことができる(矢印P3参照)。また、第1電圧部61と第3電圧部63との間の電力変換は、電力変換ユニット3の電力変換部31にて行うことができる(矢印P1参照)。そして、このとき、特に、副DC-DCコンバータ32は作動させる必要がない。
【0060】
これに対し、図17に示すごとく、主DC-DCコンバータ2に障害が生じるなど、正常な作動が妨げられたとき、第1電圧部61と第2電圧部62との電力変換を、副DC-DCコンバータ32にて行うこととなる(矢印P2参照)。ここで、例えば、第2電圧部62の低圧バッテリBLへの充分な電力供給が求められる場合、第3電圧部63への電力供給を停止することが望ましいことも想定される。
【0061】
そこで、かかる場合においては、図17に示すごとく、電力変換部31の作動を停止し、副DC-DCコンバータ32を作動して、第2電圧部62(低圧バッテリBL)への電力供給を行う。
【0062】
上記のような制御を可能もしくは容易とするために、第3電圧部63への電力供給が停止しても、種々の影響が少ない状態とすることが望ましい。例えば、第3電圧部63として接続される負荷LD等が、車両の走行に支承のない、若しくは支承の少ないものであることが好ましい。そのような負荷LDとしては、例えば、ヒータ、オーディオ機器、室内灯、空調機等が挙げられる。
【0063】
なお、ヒータとしては、ハイブリッド自動車等における排気系に設けた電気加熱式触媒を加熱するためのヒータがある。この場合、ヒータ加熱は、ハイブリッド自動車のエンジン走行の直前にしか行わないため、この触媒を加熱するヒータへの電力供給が停止しても、走行には特に支障はない。また、ヒータとしては、他に、座席等を暖めるためのヒータもあるが、これも、電力停止されても走行に支障はない。
その他は、参考形態2と同様である。
【0064】
本形態においては、第1電圧部61と第2電圧部62との間の電力変換の冗長性を、他への影響を抑制しつつ、一層確保することができる。すなわち、主DC-DCコンバータ2に障害が生じても、第2電圧部62の低圧バッテリBLに接続された重要な負荷の作動を確保することができる。
その他、参考形態2と同様の作用効果を有する。
【0065】
参考形態8)
本形態は、図18に示すごとく、第4電圧部64として、交流出力ポート642及び交流電源ACSを接続した電力変換装置1の形態である。
すなわち、4つの電圧部61~64に接続する点においては、参考形態6と同様である。ただし、4つの電圧部61~64の構成は、参考形態6とは異なる。第1電圧部61、第2電圧部62、第3電圧部63については、参考形態7と同様である。この参考形態7の電力変換装置1に、さらに、第4電圧部64として、交流出力ポートACP及び交流電源ACS(すなわち充電用電源)を接続している。
【0066】
交流出力ポート642及び交流電源ACSは、PFC回路440を介して、第4スイッチング回路部44に接続されている。第4スイッチング回路部44及びPFC回路440は、参考形態6における、第3スイッチング回路部43及びPFC回路430と同様とすることができる。
その他は、参考形態6と同様である。
【0067】
本形態の場合にも、主DC-DCコンバータ2に障害が生じたとき、第3電圧部63への電力供給も、第4電圧部64の交流出力ポートACPへの電力供給も、停止することが可能である。これにより、第2電圧部62への電力供給の冗長性を確保することができる。
その他、参考形態6と同様の作用効果を有する。
【0068】
参考形態9)
本形態は、図19図20に示すごとく、電力変換ユニット3が、充電用電源と第2電圧部62との間の電力変換をも行うことができるよう構成されている、電力変換装置1の形態である。
【0069】
回路構成としては、参考形態4(図7参照)と略同様である。
主DC-DCコンバータ2が正常に動作する場合には、図19の矢印P1に示すごとく、第1電圧部61の高圧バッテリBHから主DC-DCコンバータ2を介して、第2電圧部62の低圧バッテリBLへの充電を行う。また、充電用電源から第1電圧部61の高圧バッテリBHへの充電動作を行う。
【0070】
一方、主DC-DCコンバータ2に障害が生じたとき、図20の矢印P21に示すごとく、低圧バッテリBLへの充電を、高圧バッテリBHから副DC-DCコンバータ32を介して行うが、このとき、充電用電源からも、矢印P22に示すごとく、低圧バッテリBLへ電力を供給する。つまり、上述のように、本形態においては、第3電圧部63と第2電圧部62との間の電力変換をも行うことができる。そこで、第3電圧部63の充電用電源の電力を、第3スイッチング回路部43とマルチポートトランス40と第2スイッチング回路部42とで構成されるDC-DCコンバータによって変換し、低圧バッテリBL(第2電圧部62)へ供給することができる。
【0071】
その結果、第1電圧部61の高圧バッテリBHからの電力の持ち出し分を、一部、第3電圧部63の充電用電源の電力にて肩代わりすることができる。
その他、参考形態4と同様の構成及び作用効果を有する。
【0072】
参考形態10)
本形態は、図21に示すごとく、5つの電圧部61~65に電力変換装置1を接続した形態である。
本形態の電力変換装置1は、参考形態6の電力変換装置(図13参照)に対して、さらに第5電圧部65を追加接続したものといえる。
【0073】
本形態においては、第5電圧部65は、直流電源DCS、すなわち、直流電力にて充電することができる充電用電源とすることができる。つまり、電力変換装置1は、第5電圧部65としての直流電源DCSにも、接続できるよう構成されている。直流電源DCSとしては、例えば、給電ステーション等の直流式充電器が想定される。
その他は、参考形態6と同様である。
【0074】
本形態の電力変換装置1は、第3電圧部63としての交流電源ACSと、第4電圧部64としての太陽光電源SSと、第5電圧部65としての直流電源DCSとに、接続できる。これにより、3種類のいずれの電源部からも、第1電圧部61としての高圧バッテリBHへの充電を行うことができる。また、3種類のいずれの電源部からも、第2電圧部62としての低圧バッテリBLへの充電も行うことができる。
その他、参考形態6と同様の作用効果を有する。
【0075】
参考形態11)
本形態は、図22に示すごとく、第3電圧部63として、第2電圧部62の低圧バッテリBLとは異なる低圧バッテリBLaを接続した、電力変換装置1の形態である。
【0076】
低圧バッテリBLaは、第1電圧部61の高圧バッテリBHよりも低圧のバッテリであり、第2電圧部62である低圧バッテリBLと同様に車両に搭載されている。第3電圧部63の低圧バッテリBLaは、第2電圧部62の低圧バッテリBLと、電圧が異なっている。本形態においては、第2電圧部62の低圧バッテリBLは、12Vであり、第3電圧部63の低圧バッテリBLaは、12Vとは異なる電圧である。例えば、低圧バッテリBLaは、7V、或いは48Vなどとすることができる。
【0077】
すなわち、電力変換部31は、第3電圧部63としての第1蓄電装置(すなわち、低圧バッテリBLa)に接続され、主DC-DCコンバータ2及び副DC-DCコンバータ32は、第2電圧部62としての第2蓄電装置(すなわち、低圧バッテリBL)に接続されている。そして、第3電圧部63である第1蓄電装置(すなわち、低圧バッテリBLa)と第2電圧部62である第2蓄電装置(すなわち、低圧バッテリBL)とは、互いに電圧が異なる。
【0078】
例えば、第2電圧部62の低圧バッテリBLには、車両の走行に影響を与え得る負荷が接続されている。一方、第3電圧部63の低圧バッテリBLaには、車両の走行に影響のない、若しくは影響が小さい負荷が接続されている。
【0079】
図23に示すごとく、主DC-DCコンバータ2が正常なときは、主DC-DCコンバータ2にて、低圧バッテリBLへ電力を供給する(矢印P3参照)。そして、電力変換部31にて、第3電圧部63の低圧バッテリBLaへ電力を供給する(矢印P1参照)。
【0080】
そして、図24に示すごとく、主DC-DCコンバータ2に障害が生じたとき、副DC-DCコンバータ32を作動して、第2電圧部62の低圧バッテリBLへ電力を供給する(矢印P11参照)。このとき、正常時において第3電圧部63の低圧バッテリBLaへ供給していた電力(図23の矢印P1参照)の一部を、第2電圧部62の低圧バッテリBLへも供給する。つまり、非常時においては、第3電圧部63の低圧バッテリBLaへの供給電力(矢印P12参照)を制限して、車両の走行において重要な第2電圧部62の低圧バッテリBLへの電力供給を確保する。
その他は、参考形態2と同様であり、同様の作用効果を得ることができる。
【0081】
なお、図示を省略するが、上記参考形態11において、第3電圧部63を第1負荷とすることもできる。また、第2電圧部62を第2負荷とすることもできる。つまり、第3スイッチング回路部43に、蓄電装置BLaを介さずに、第1負荷を接続した構成とすることもできる。また、第2スイッチング回路部42に、蓄電装置BLを介さずに、第2負荷を接続した構成とすることもできる。ここで、第1負荷と第2負荷とは、互いに電圧が異なるものとすることができる。
【0082】
なお、上記参考形態11において、2つの低圧バッテリBL、BLaを、同じ電圧の蓄電装置とした電力変換装置にアレンジすることもできる。すなわち、第3電圧部と第2電圧部とを同じ電圧とした電力変換装置にアレンジすることもできる。
【0083】
参考形態12)
本形態は、図25に示すごとく、参考形態11の電力変換装置(図22参照)に対して、さらに、第4電圧部64を追加接続できるよう構成された電力変換装置1の形態である。本形態においては、第4電圧部64として、太陽光電源SSを接続している。
【0084】
かかる構成によって、太陽光電源SSから高圧バッテリBHへの電力供給も可能になる。また、太陽光電源SSから第2電圧部62の低圧バッテリBL及び第3電圧部63の低圧バッテリBLaへの電力供給も、可能となる。
【0085】
また、これにより、上述のように、主DC-DCコンバータ2に障害が生じたときにも、第3電圧部63の低圧バッテリBLaへの供給電力の制限を緩和することができる。すなわち、第4電圧部64の太陽光電源SSからも電力を供給できるので、第3電圧部63の低圧バッテリBLaへの供給電力の低減幅を小さくしても、第2電圧部62の低圧バッテリBLへの電力供給を賄うことができる。
その他、参考形態1と同様の構成及び作用効果を有する。
【0086】
参考形態13)
本形態は、図26に示すごとく、5つの電圧部に接続できるよう構成された電力変換装置1の形態である。
【0087】
本形態においては、参考形態12の電力変換装置(図25参照)に対して、さらに、第5電圧部65としての交流電源ACSにも接続するよう構成されている。或いは、参考形態10の電力変換装置(図21参照)に対して、さらに低圧バッテリBLaを接続するよう構成されているとも言える。
その他、参考形態10及び参考形態12と同様の構成及び作用効果を有する。
【0088】
参考形態14)
本形態は、図27に示すごとく、第4電圧部64として、負荷LDを接続するよう構成した電力変換装置1の形態である。
すなわち、参考形態12の電力変換装置(図25参照)においては、第4電圧部64として太陽光電源SSを接続しているが、これに代えて、本形態においては、負荷LDを接続するよう構成している。また、参考形態11の電力変換装置(図22参照)に、さらに第4電圧部64として負荷LDを接続したものということもできる。
【0089】
負荷LDとしては、ヒータ等、車両の走行に影響し難いものを、第4電圧部64として接続している。その他は、参考形態11と同様である。
【0090】
本形態においては、第4電圧部64として、負荷LDを接続しているが、主DC-DCコンバータ2に障害が生じたとき、第4電圧部64への電力供給を停止することが可能である。それゆえ、主DC-DCコンバータ2に障害が生じたときは、第4電圧部64への電力供給を停止したうえで、参考形態11と同様に、第3電圧部63の低圧バッテリBLaへの電力制限を行う(図24参照)。これにより、第2電圧部62の低圧バッテリBLへの電力供給の冗長性を確保することができる。
その他は、参考形態11と同様の構成及び作用効果を有する。
【0091】
なお、電力変換ユニットは、6つ以上の電圧部に接続するよう構成することもできる。そして、第1電圧部及び第2電圧部以外の電圧部は、いずれの電圧部を第3電圧部と解釈して、本開示の電力変換装置を解釈することもできる。
【0092】
本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の実施形態に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0093】
1 電力変換装置
2 主DC-DCコンバータ
3 電力変換ユニット
31 電力変換部
32 副DC-DCコンバータ
33 共有構成部
61 第1電圧部
62 第2電圧部
63 第3電圧部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27