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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-26
(45)【発行日】2022-11-04
(54)【発明の名称】荷物配送システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/08 20120101AFI20221027BHJP
【FI】
G06Q10/08 300
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018211375
(22)【出願日】2018-11-09
(65)【公開番号】P2020077306
(43)【公開日】2020-05-21
【審査請求日】2021-08-20
(73)【特許権者】
【識別番号】517218549
【氏名又は名称】株式会社ナスタ
(74)【代理人】
【識別番号】100099357
【弁理士】
【氏名又は名称】日高 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179534
【氏名又は名称】関口 かおる
(72)【発明者】
【氏名】トッド スピッツ
(72)【発明者】
【氏名】小林 佐知夫
(72)【発明者】
【氏名】中島 大賀
【審査官】渡邉 加寿磨
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-134962(JP,A)
【文献】特開2018-63583(JP,A)
【文献】特開2017-38783(JP,A)
【文献】特開2016-212750(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0120601(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
A47G 29/122
G07F 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信機能を有する宅配ボックスと、該宅配ボックスの利用状況とを紐づけて管理する管理サーバーと、該管理サーバーにアクセス可能な通信端末と、を備え、
前記宅配ボックスは利用状況を前記管理サーバーに送信可能であり、
前記管理サーバーは、前記利用状況から配送予定の宅配ボックスへの荷入れができないことを判断した場合、所定の判断基準に基づき、当該宅配ボックスに紐づけて設定された複数の代替案から最適と思われる代替案1つを選択し、前記通信端末に示すことを特徴とする荷物配送システム。
【請求項2】
前記管理サーバーでは、前記宅配ボックスに紐づけて複数の代替案に優先順位を設定して登録可能となっていることを特徴とする請求項1に記載の荷物配送システム。
【請求項3】
前記管理サーバーは、選択した代替案を送り先の前記宅配ボックスに紐づけられた利用者に通知することを特徴とする請求項に記載の荷物配送システム。
【請求項4】
前記宅配ボックスは、荷入れまたは荷出しの作業の完了に基づき、前記管理サーバーに利用状況の更新を促す通知を行う更新通知手段を備えていることを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の荷物配送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷物を配送する荷物配送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、家主の留守中等で配送された荷物を直接受け取れない場合に、この荷物を保管できる宅配ボックスが普及している(例えば、特許文献1参照)。一般的な宅配ボックスの使い方としては、家主は外出時に扉の施錠及び解錠を行うロック機構を解錠操作しておき、配送員は扉を開けて荷物を荷入れした後にロック機構を施錠操作するため、第三者による荷物の盗難を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-282731号公報(第3頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
宅配ボックスは、家主の留守中等でも荷物を配送することができるため、再配送の発生件数を減らし、荷物の配送効率を高めている。近年のeコマースの市場規模拡大に伴い、宅配ボックスの設置個数は大幅に増加しているが、配送件数に対して宅配ボックスの設置個数は未だ不足している。そのため、一つの宅配ボックスに対して同日付に複数の物が配送され、配送員が配送先に到着した時点で宅配ボックスに既に荷物が入っている場合がある。このように、配送員は宅配ボックスに荷物を荷入れできない場合に再配送を行うことになるが、宅配ボックスまでの移動が無駄足となり、配送効率の向上の妨げとなっていた。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、配送員による配送効率を向上できる荷物配送システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の荷物配送システムは、
通信機能を有する宅配ボックスと、該宅配ボックスの利用状況とを紐づけて管理する管理サーバーと、該管理サーバーにアクセス可能な通信端末と、を備え、
前記宅配ボックスは利用状況を前記管理サーバーに送信可能であり、
前記管理サーバーは、前記利用状況から配送予定の宅配ボックスへの荷入れができないことを判断した場合、所定の判断基準に基づき、当該宅配ボックスに紐づけて設定された複数の代替案から最適と思われる代替案1つを選択し、前記通信端末に示すことを特徴としている。
この特徴によれば、配送予定の宅配ボックスに荷物を荷入れできない場合、所定の代替案が管理サーバーから示されるため、配送員はこの代替案を事前に閲覧することで、配送予定の宅配ボックスが荷入れ可能な状態になることを待つことなく、配送作業を進めることが出来、配送効率を向上できる。
【0007】
前記管理サーバーでは、前記宅配ボックスに紐づけて複数の代替案に優先順位を設定して登録可能となっていることを特徴としている。
この特徴によれば、複数の代替案に優先順位を設定して登録しておくことで、様々な状況に対応でき、高い配送効率を維持することができる。
【0009】
前記管理サーバーは、選択した代替案を送り先の前記宅配ボックスに紐づけられた利用者に通知することを特徴としている。
この特徴によれば、代替の配送先を送り先の利用者が把握することができる。
【0010】
前記宅配ボックスは、荷入れまたは荷出しの作業の完了に基づき、前記管理サーバーに利用状況の更新を促す通知を行う更新通知手段を備えていることを特徴としている。
この特徴によれば、宅配ボックスの利用情報が逐次更新されるため、配送先の宅配ボックスの利用状況を確実に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施例における荷物配送システムを示す概念図である。
図2】宅配ボックスを示す図である。
図3】利用者データベース内に記録された情報を示すイメージ図である。
図4】配送表を示すイメージ図である。
図5】代替案データベース内に記録された情報を示すイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る荷物配送システムを実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例1】
【0013】
実施例1に係る荷物配送システムにつき、図1から図5を参照して説明する。
【0014】
図1は、荷物を配送する荷物配送システム1の概念図であり、荷物配送システム1は管理サーバー2と、複数の宅配ボックス3,3,…と、各種の通信端末(配送員が所持する通信端末4,利用者が所持するスマートフォン5,パソコン6)と、を備えている。
【0015】
利用者は荷物配送システム1を運用する管理業者のホームページ等にアクセスし、自身の情報(例えば氏名,住所,電話番号等)を固有のユーザーID(識別情報)及びパスワードとともに事前に登録しておく。
【0016】
管理サーバー2は、CPU等の演算部7と、利用者データベース8と、荷物データベース9と、代替案データベース10と、を備え、インターネット回線と接続されるサーバーである。
【0017】
宅配ボックス3は、利用者登録を行った利用者の自宅に配置される。この宅配ボックス3は、管理業者が管理する荷物配送システム1に用いられるロック機構付きの箱体であり、郵便ポストや玄関ドアの近傍等に設置される。宅配ボックス3には、それぞれに固有の個体識別情報が付与されており、目に見える位置にこの個体識別情報表示12が設けられている(図2参照)。
【0018】
利用者は、集荷サービスの利用開始時には、管理業者のホームページ等にアクセスし、自身の情報に加えて利用者が利用する宅配ボックス3の個体識別情報をユーザーIDに紐づけて登録する。これらユーザーIDと宅配ボックス3の個体識別情報とは前述した利用者データベース8内に記録される(図3参照)。
【0019】
図2に示されるように宅配ボックス3は、電子錠11と、通信部13と演算部14とを備え、電子錠11と通信部13及び演算部14は互いに接続されている。通信部は、いわゆるセルラー回線網を用いてインターネットに接続し、管理サーバー2と通信可能となっている。
【0020】
演算部14は、電子錠11の施錠・解錠状態を把握でき、その状態を管理サーバー2に送信する。本実施例では、演算部14は電子錠11の施錠または解錠が行われたことを検知し、この検知した施錠または解錠が行われたことを示す情報と、利用状況の更新を促す通信であることを示す情報と、個体識別情報と、を管理サーバー2に送信する。また、演算部14は施錠または解錠の検知時以外にも、タイマー等を用いて所定時間経過毎に、最新の利用状況を管理サーバー2に送信する。
【0021】
宅配ボックス3と通信した管理サーバー2は、個体識別情報に基づき利用者データベース8内の該当する利用者の宅配ボックスの利用状況を更新する。
【0022】
荷物の配送を開始するにあたって、配送員は各人が所持する通信端末4を用いて、管理サーバー2と通信を行う。管理サーバー2の荷物データベース9には、荷物毎に、荷物の識別番号、配送先の利用者のユーザーID、配送元の情報、荷物サイズの情報、等の荷物の詳細情報が関連付けて記憶されている。配送員の通信端末4は、当該配送員が配送予定の荷物の詳細情報を閲覧できるようになっている。
【0023】
管理サーバー2は、配送員の通信端末4との通信時において、荷物データベース9内に記憶された当該配送員が配送予定の荷物の詳細情報から、配送先の利用者のユーザーIDをそれぞれ抽出し、これらを利用者データベース8内で検索し、それぞれの配送先の利用状況を抽出する。
【0024】
尚、管理サーバー2では、配送員が配送予定の荷物の各詳細情報と、配送先の各利用状況とを紐づけて参照可能となっている。例えば、配送表15(図4参照)のような対応表を生成し、利用状況を示す「施錠」または「解錠」から、「施錠」であれば荷入れができないと判断する。
【0025】
また、宅配ボックス3は、電子錠11の施錠または解錠が行われたこと、即ち荷入れまたは荷出しの作業の完了に基づき、管理サーバー2に利用状況の更新を促す通知を行う更新通知手段を備えていることから、宅配ボックス3の利用状況が逐次更新され、配送員は配送先の宅配ボックス3の利用状況を確実に把握することができる。
【0026】
利用者は管理業者のホームページ等にアクセスし、利用者が利用する宅配ボックス3の利用状況が荷入れできない状況である場合の代替の配送先(以下、単に「代替案」という。)をユーザーIDに紐づけて登録可能となっている。
【0027】
図5に示される一例では、「近所」,「駅前」,「お隣り」,「コンビニ」,「実家」が代替案としてユーザーIDに紐付けられ、代替案データベース10内に記録される。「近所」,「駅前」,「お隣り」は、備考欄にもあるように宅配ボックスであり、「近所」,「駅前」は、それぞれ公共の宅配ボックスであり、「お隣り」は、事前に許可をとっている隣家の宅配ボックスである。
【0028】
また、これらの代替案には、それぞれ住所が紐付けられている。更に、これらの代替案には優先順位を設定することができる。例えば図5では、「近所」,が最も優先順位が高く、「駅前」,「お隣り」,「コンビニ」が続き、「実家」が最も優先順位が低く設定されている。
【0029】
管理サーバー2は、配送先の宅配ボックスに荷入れできない状況であると判断した場合、当該宅配ボックスへ配送する予定であった荷物の配送先を、最も優先順位が高い代替案に配送することを決定し、その旨を当該荷物の配送を担当する配送員の通信端末4に表示させる。
【0030】
また、管理サーバー2は、代替案として登録されている宅配ボックスの利用状況を取得可能、かつ代替案として登録されているコンビニの荷物の保管可能残数についても取得可能としてもよい。この場合、代替案への荷入れの可否の情報に基づき、優先順位の順番に従い、荷入れが可能な代替案を消去法的に選択肢、配送員の通信端末4に示す。
【0031】
また、管理サーバー2は代替案を選択し、実際にその代替案の配送先への荷入れが完了した場合、その配送先の代替案を利用者に通知する。例えば利用者のスマートフォンやパソコン6等へメールやSMSにより通知される。
【0032】
上記したように、配送予定の宅配ボックスに荷物を荷入れできない場合、所定の代替案が管理サーバー2から示されるため、配送員はこの代替案を事前に閲覧することで、配送予定の宅配ボックスが荷入れ可能な状態になることを待つことなく、配送作業を進めることが出来、配送効率を向上できる。
【0033】
また、複数の代替案に優先順位を設定して登録可能であることから、代替案の配送先の様々な状況に対応でき、高い配送効率を維持することができる。
【0034】
また、様々な状況を踏まえて、管理サーバー2が最適と思われる代替案を判断することから、配送先の選択に人為的ミスの要素を排除し、高い配送効率を維持することができる。
【0035】
尚、代替案が全て荷入れ不可能であった場合には、当該荷物の配送を後回しにし、前記利用状況の更新により、登録されている宅配ボックスと代替案とで荷入れ可のものが出てきた際に、当該荷入れ可の配送先に配送を行うよう配送員の通信端末4に通知する。
【0036】
尚、管理サーバー2は、前記荷物の配送先が当初予定していた宅配ボックスから代替案に変更になったことで、その代替案の住所と、他の荷物の配送先の住所を比較し、走行距離や信号の個数などを加味して最も高効率の配送ルートを新たに作成し、配送員の通信端末4に表示させてもよい。
【0037】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0038】
例えば、前記実施例では、宅配ボックス3は、荷入れまたは荷出しの作業の完了に基づき、管理サーバー2に利用状況の更新を促す通知を行う構成で説明したが、これに限らず、定期的に管理サーバー2に利用状況を伝え、管理サーバー2が利用状況から、更新の必要性を判断したときに、利用状況の更新が行われる構成であってもよく、このような的的な通信のみとし、荷入れまたは荷出しの作業の完了に基づく通信でなくてもよい。
【0039】
また、管理サーバー2は、宅配ボックス3の利用状況に基づき、当該宅配ボックス3への荷入れが可能か否かの判断情報をアクセスしてきた通信端末4に示す構成に限らず、例えば、宅配ボックス3の利用状況の変化をメールやプッシュ通知を利用して通信端末4に自発的に送信する構成としてもよい。これによれば、配送員は宅配ボックス3の利用状況の変化をリアルタイムで確認することができる。
【0040】
また、配送表は、管理サーバー2との通信時に、管理サーバー2から一時的にダウンロードして表示する構成に限らず、通信端末4の記憶媒体にダウンロードして、オフラインでも閲覧可能としてもよい。この場合、配送表の最新の更新時間を併せて表示しておくことが好ましい。
【0041】
また、前記実施例における「管理業者」とは、管理サーバー2を所有し、利用者の個人情報を管理する機能と、実際の配送機能とを統合した業者を指すが、これらは別々であってもよく、その場合、管理サーバー2を所有する業者と配送機能を有する業者とがネットワーク上で接続され、上記した様々な情報を送受信する構成となる。
【0042】
また、各宅配ボックス3,3,…にインターネットに接続可能な通信機能を付加する代わりに、前述した電子錠11の解錠・施錠の検知情報を宅配ボックス3と通信端末4または利用者の保有するスマートフォン5のセルラー回線を利用する構成としてもよい。
【0043】
また、図4の配送表15では、利用状況を示す欄には、「施錠」または「解錠」の表示がなされることを例に取り説明したが、これに限らず、電子錠11が施錠状態である場合には、管理サーバー2の演算部7が当該宅配ボックス3への荷入れが不可である判断情報を表示してもよい。これによれば、宅配ボックス3へ荷入れ可能か否かが、管理サーバー2の演算部7により自動的に判断されるため、配送員の人為的なミス要素を排除して、確実に在荷状態の把握行うことができる。
【0044】
また、代替案の優先順位は利用者が決めなくてもよく、管理サーバー2が最良のものを選出する構成であってもよい。例えば、管理サーバー2では、管理している宅配ボックスの位置情報を全て把握しているため、代替案の中から最良のものを選出するにあたり、荷物を配送予定だった宅配ボックスに近いエリアにおいて荷入れ可能な宅配ボックスを代替の配送先としてもよい。これによれば、配送予定だった宅配ボックスに近いエリアの宅配ボックスを代替の配送先とすることで、配送効率を向上させることができる。更に、通信端末4のGPSの位置情報と、宅配ボックスの位置情報とを用いることで、配送者の移動に合わせて、最良の代替案を選出する構成としてもよい。
【0045】
また、利用者は、代替案として所定の配送先を登録せずに全て管理サーバー2に任せるという代替案の設定を行うこともできる。例えば、管理サーバー2は、荷物を配送予定の複数の宅配ボックスにおいて、それぞれ利用状況から荷入れができるか否か判定し、更に荷入れ可能な複数の宅配ボックスを、位置情報に基づいて配送順序を決定してもよい。これによれば、複数の宅配ボックスの利用状況を判断基準として、最も効率の高い配送順序を決定することができる。
【符号の説明】
【0046】
1 荷物配送システム
2 管理サーバー
3 宅配ボックス
4 通信端末
5 スマートフォン
6 パソコン
7 演算部
8 利用者データベース
9 荷物データベース
10 代替案データベース
11 電子錠
12 個体識別情報表示
13 通信部
14 演算部
15 配送表
図1
図2
図3
図4
図5