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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-26
(45)【発行日】2022-11-04
(54)【発明の名称】鉱山採掘システム
(51)【国際特許分類】
   E21C 41/16 20060101AFI20221027BHJP
【FI】
E21C41/16
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018213908
(22)【出願日】2018-11-14
(65)【公開番号】P2020079538
(43)【公開日】2020-05-28
【審査請求日】2021-10-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】植竹 正明
(72)【発明者】
【氏名】児玉 祐一
(72)【発明者】
【氏名】川合 一成
(72)【発明者】
【氏名】寺田 紳一
【審査官】柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/046601(WO,A1)
【文献】特開2017-048572(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0170771(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0007412(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21C 41/16
G06Q 50/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排土場所に至るとともに第一路面を有する第一坑道と、
前記第一坑道に交差し、採掘場所に至るとともに前記第一路面よりも上方に位置する第二路面を有する第二坑道と、
前記第一坑道の前記第一路面の上方に設けられているとともに、前記第一路面との間に搬送通路を形成する下面と、積込機械を稼働する作業路面を前記第二路面とともに形成する上面とを有する架台と、
前記第一路面を走行可能であるとともに前記搬送通路を通過可能とされた移動車両と、
を備える鉱山採掘システム。
【請求項2】
前記移動車両として、
前記積込機械から採掘物が積み込まれて、該採掘物を搬送可能な採掘物搬送車両を備える請求項1に記載の鉱山採掘システム。
【請求項3】
前記移動車両として、
前記搬送通路で前記架台を持ち上げて搬送可能な架台搬送車両を備える請求項1又は2に記載の鉱山採掘システム。
【請求項4】
前記架台は、
架台本体と、
該架台本体の下部に設けられて、前記第一路面を走行可能なローラと、
前記ローラを回転駆動するローラ駆動部と、を
有する請求項1から3のいずれか一項に記載の鉱山採掘システム。
【請求項5】
前記架台は、
架台本体と、
該架台本体の下部に設けられて、前記第一路面を走行可能なローラと、
を有し、
前記移動車両として、
前記架台を牽引可能な架台牽引車両を備える請求項1から3のいずれか一項に記載の鉱山採掘システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉱山採掘システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、鉱山の坑道内で用いられる作業機械が記載されている。この作業機械は、鉱石を採掘するバケットを有している。作業機械は、当該鉱石をバケットに保持した状態で坑道を移動することで鉱石を運搬する。
【0003】
特許文献2には、鉱山の坑道内で用いられる積込機械と運搬車両とを有する鉱山採掘システムが記載されている。積込機械は採掘場所に留まって鉱石を採掘する。運搬車両は、走行路を走行することで、積込機械から積み込まれた鉱石を排土場所まで運搬する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第7899599号明細書
【文献】国際公開第2015/046601号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、坑道内は鉱石の運搬車両を含む種々の移動車両が走行する。一方で、積込機械は、採掘場所と移動車両が走行する走行路との間で往復移動する。そのため、積込機械が走行路に位置している場合には、他の移動車両の移動を妨げることになり、生産性の低下を招く。
【0006】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって、生産性を向上させることができる鉱山採掘システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の態様に係る鉱山採掘システムは、排土場所に至るとともに第一路面を有する第一坑道と、前記第一坑道に交差し、採掘場所に至るとともに前記第一路面よりも上方に位置する第二路面を有する第二坑道と、前記第一坑道の前記第一路面の上方に設けられているとともに、前記第一路面との間に搬送通路を形成する下面と、積込機械を稼働する作業路面を前記第二路面とともに形成する上面とを有する架台と、前記第一路面を走行可能であるとともに前記搬送通路を通過可能とされた移動車両と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
上記態様の鉱山の採掘システムによれば、生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第一実施形態に係る鉱山採掘システムが適用される鉱山の模式的な縦断面図である。
図2】本発明の第一実施形態に係る鉱山採掘システムが適用される鉱山のフットプリントの平面図である。
図3】本発明の第一実施形態に係る鉱山採掘システムの要部の斜視図である。
図4】本発明の第一実施形態に係る鉱山採掘システムの要部の平面図である。
図5】本発明の第一実施形態に係る鉱山採掘システムの要部におけるドリフトに直交する断面図である。
図6】本発明の第二実施形態に係る鉱山採掘システムの架台搬送車両を示す平面図である。
図7】本発明の第二実施形態に係る鉱山採掘システムの架台搬送車両を示すドリフトに直交する断面図である。
図8】本発明の第三実施形態に係る鉱山採掘システムの要部の平面図である。
図9】本発明の第三実施形態に係る鉱山採掘システム自走ユニット本体の要部における幅方向を含む断面図である。
図10】本発明の第三実施形態に係る鉱山採掘システム自走ユニット本体の要部における幅方向を含む断面図である。
図11】本発明の第四実施形態に係る鉱山採掘システムの要部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第一実施形態>
以下、本発明の第一実施形態について図1図5を参照して詳細に説明する。
鉱山採掘システム100は、鉱山の地下から鉱石を採掘する坑内採掘に用いられる。本実施形態では、ブロックケービング工法により鉱石を採掘する。
【0011】
<採掘現場の概要>
ブロックケービング工法で鉱石3を採掘する際には、図1に示すように、鉱山1の鉱床2(鉱体)の下方に坑道としてのフットプリント4を形成する。フットプリント4は生産レベルとなる階層である。そして、生産レベルの上方の階層であるアンダーカットレベルにおいて上方に向かって孔を形成し、当該孔を介して鉱体2の下部を発破(アンダーカット)する。これによって鉱体2が自重によって自然崩落することで、フットプリント4におけるドローベルに採掘物としての鉱石3が落下する。当該鉱石3が落下した領域が採掘場所27となる。採掘場所27で鉱石3を採掘していくに連れて、鉱体2の自然崩落は該鉱体2の上部まで伝搬する。これによって、鉱石3を継続的に採掘することができる。
【0012】
フットプリント4は、図2に示すように、ドリフト10(第一坑道)、クロスカット20(第二坑道)、外周路25(第三坑道)、採掘場所27、及び排土場所29から構成されている。
【0013】
ドリフト10は、互いに間隔をあけて複数が直線状に延びている。本実施形態では、複数のドリフト10は互いに平行に延びている。
クロスカット20は、ドリフト10に対して交差するように延びている。クロスカット20は、互いに隣り合うクロスカット20にわたって延びている。クロスカット20は、互いに隣り合うドリフト10の間に、これらドリフト10の延在方向に間隔をあけて複数が形成されている。
【0014】
外周路25は、複数のドリフト10の端部を接続するように延びている。本実施形態では、ドリフト10の延在方向に直交する方向に延びている。外周路25は、複数のドリフト10の両端に接続されており、各ドリフト10を周囲から囲うように環状に延びていてもよい。
本実施形態では、ドリフト10の端部は平面視で曲線状をなすように二股に分岐しているこれによって、各ドリフト10は、外周路25に対して滑らかに接続されている。各ドリフト10は、他のドリフト10又は外周路25とともに環状の周回路を形成している。
これらドリフト10、クロスカット20及び外周路25は、トンネルボーリングマシンによって形成されている。
【0015】
採掘場所27は、クロスカット20上に適宜設けられている。当該採掘場所27は、生産レベルに位置するクロスカット20の上方の階層であるアンダーカットレベルの全域で、上記アンダーカットを施すことで形成される。これにより、クロスカット20は採掘場所27に接続されている。
排土場所29は、外周路25に設けられている。排土場所29には下方に延びる投入孔が形成されており、当該投入孔に鉱石3を排出することができるように構成されている。ドリフト10は外周路25を介して排土場所29に接続されている。
【0016】
<鉱山採掘システム>
本実施形態の鉱山採掘システム100は、ドリフト10及びクロスカット20に加えて、架台30、積込機械40、移動車両としての採掘物搬送車両50によって構成されている。
<ドリフト(第一坑道)>
詳しくは図3図5に示すように、ドリフト10は、断面形状が円形をなす内周面11を有しており、該内周面11上には床板12及びサイドサポート15が設けられている。
【0017】
床板12は、ドリフト10の内周面11の底部に該ドリフト10の延在方向にわたって敷設された板状の部材である。床板12の上面はドリフト10の延在方向に連続する第一路面13とされている。第一路面13は、平坦状をなしている。本実施形態の第一路面13には、該第一路面13から凹んで第一路面13の延在方向に延びる一対の案内溝14が形成されている。一対の案内溝14は、床板12及び第一路面13の幅方向(第一路面13の延在方向に直交する方向)に間隔をあけて配置されている。
【0018】
サイドサポート15は、ドリフト10の内周面11の下部における床板12の幅方向外側に一対が設けられている。サイドサポート15は、床板12と幅方向に間隔をあけて配置されている。サイドサポート15は、床板12と同様、ドリフト10の延在方向にわたって敷設されている。サイドサポート15の上面は、第一路面13の延在方向にわたって平坦状に延びる載置面16とされている。載置面16の高さ位置は、第一路面13の高さ位置よりも上方に位置している。
【0019】
<クロスカット(第二坑道)>
詳しくは図3図5に示すように、クロスカット20は、ドリフト10に対して第一路面13の幅方向から連通するように接続されている。クロスカット20は、断面形状が円形をなす内周面21を有している。クロスカット20の内周面21の内径は、ドリフト10の内周面11の内径と同一とされている。
【0020】
断面形状が円形をなす内周面21の下部には、路板23が設けられることによって、クロスカット20の延在方向に平坦状に延びる第二路面22が形成されている。なお、内周面21の下部に盛土が設けられることで第二路面22が形成されていてもよい。第二路面22は第一路面13よりも上方に形成されており、即ち、第二路面22の高さ位置は第一路面13の高さ位置よりも上方に位置している。第二路面22の高さ位置は、ドリフト10に設けられたサイドサポート15の載置面16よりも上方に位置している。第二路面22の高さ位置は、断面形状が円形をなすドリフト10の内周面11の中心よりも下方に位置している。
【0021】
<架台>
架台30は、ドリフト10の一部分の領域であってクロスカット20との接続箇所を含む領域に設けられている。架台30は、ドリフト10の延在方向を長手方向とし、ドリフト10の幅方向(延在方向に直交する方向)を短手方向とし、さらに上下方向を板厚方向とした板状をなす水平板部31(架台本体)を有している。水平板部31の一対の板面のうち下方の板面は、下面31aとされている。水平板部31の一対の板面のうち上方の板面は、上面31bとされている。上面31bと下面31aとは互いに平行に水平面に沿って延びている。
【0022】
水平板部31の下面31aにおける幅方向両側の部分は、該水平板部31の延在方向全域にわたって載置面16に対して上方から当接するように載置されている。これにより、水平板部31は、第一路面13の上方に該第一路面13に対して間隔をあけて配置されている。即ち、水平板部31の下面31aと第一路面13との間には空間が区画形成されている。当該空間は、水平板部31の下方を第一路面13の延在方向にわたって延びる搬送通路Pとされている。
【0023】
水平板部31の上面31bの高さ位置は、第二路面22の高さ位置に対応する位置とされている。本実施形態では、水平板部31の上面31bの高さ位置は、第二路面22の高さ位置と同一とされている。水平板部31の上面31bと第二路面22とによって、上面31bと第二路面22とにわたって連続的に延びる作業路面Sが形成されている。なお、水平板部31の上面31bの高さ位置と第二路面22の高さ位置とが多少ずれていてもよい。これらの高さ位置は、水平板部31の上面31bと第二路面22との接続箇所を後述する積込機械40が乗り越えられる程度であれば異なっていてもよい。即ち、水平板部31の上面31bの高さ位置と第二路面22の高さ位置の差は、積込機械40がこれら水平板部31と第二路面22とにわたって作業路面S上を移動可能な程度であれば許容される。
【0024】
本実施形態では、水平板部31の上面31bと第二路面22とは互いに面一に連続しているが、これらの間に多少の隙間があってもよい。当該隙間の寸法は、積込機械40が水平板部31の上面31bと第二路面22の上面31bとにわたって作業面上を移動可能な程度であれば許容される。
【0025】
水平板部31の上面31bにおける該水平板部31の延在方向(長手方向)の両端部には、それぞれストッパ32が設けられている。これら一対のストッパ32は、水平板部31の両端部で上面31bから突出するとともに、水平板部31の幅方向(短手方向)にわたって延びている。
【0026】
<積込機械>
図3に示すように、積込機械40は、いわゆるロードホールダンプである。積込機械40は、水平板部31の上面31bと第二路面22とを作業路面Sとして、これら上面31b及び第二路面22にわたって稼働する。積込機械40は、図示しない管理装置からの無線通信を介しての指令によって自立稼働可能とされている。積込機械40は、車体41及び作業機46を有している。
【0027】
車体41は、車体前部42と車体後部44とを有しており、進退可能に構成されている車体前部42と車体後部44とは、進退方向に並設するように設けられている。車体前部42は、車体41の車幅方向に間隔をあけて配置された一対の前輪43を有する。車体後部44は、車体41の車幅方向に間隔をあけて配置された一対の後輪45有する。これら前輪43及び後輪45が図示しない走行用モータによって駆動されることで、車体41が進退する。走行用モータには、車体41に設けられたバッテリ及びインバータを介して電力が供給されてもよいし、図示しないケーブル及びインバータを介して電力が供給されてもよい。バッテリには、第一路面13上に敷設したレールから非接触で電力が給電される構成であってもよい。
【0028】
車体前部42と車体後部44とは、相対回動可能に連結されている。即ち、車体前部42と車体後部44とは、これらの連結箇所を関節として水平方向に折れ曲がることができるアーティキュレート構造とされている。
車体41の旋回は、ステアリングシリンダの駆動によって行われる。ステアリングシリンダには、油圧ポンプ及び油圧バルブを介して作動油が供給される。油圧ポンプは、油圧用モータによって駆動され。油圧用モータには、車体41に設けられたバッテリ及びインバータを介して電力が供給されてもよいし、図示しないケーブル及びインバータを介して電力が供給されてもよい。
【0029】
車体前部42には、作業機46が設けられている。作業機46は車体前部42からさらに前方に向かって延びている。作業機46は、採掘場所27の鉱石3を採掘して収容可能なバケット47を有している。作業機46が駆動されることで、鉱石3の採掘や後述する採掘物搬送車両50への鉱石3の積み込みが行われる。作業機46は、図示しない油圧シリンダによって駆動される。
【0030】
<採掘物搬送車両>
採掘物搬送車両50は、図4及び図5に示すように、第一路面13上を該第一路面13の延在方向に走行可能に、かつ、鉱石3を収容可能に構成されている。本実施形態の採掘物搬送車両50は、駆動車両51、積載車両55及び連結部59を有する。
【0031】
駆動車両51は、図示しない管理装置からの無線通信を介しての指令によって、第一路面13上を自走可能とされている。駆動車両51は、図5に示すように、車両本体52、ローラ54及び駆動部53を有する。
車両本体52は、平面視にてドリフト10の延在方向を長手方向とするとともに幅方向を短手方向とした矩形状をなしている。車両本体52の長手方向(車両本体52の前後方向)の寸法は、架台30における水平板部31の長手方向の寸法よりも十分に小さい。車両本体52の短手方向(車両本体52の幅方向)の寸法は一対のサイドサポート15の間隔よりも小さい。車両本体52の上下方向の厚さは、第一路面13と架台30の下面31aとの対向距離よりも小さい。これによって、車両本体52は、搬送通路Pに収容可能とされている。
【0032】
ローラ54は、車両本体52の下面に支持されている。ローラ54は、車両本体52の幅方向に間隔をあけて一対が設けられている。一対のローラ54は、それぞれ案内溝14内に下部が収容されている。一対のローラ54は、車両本体52の前後方向に間隔をあけて複数が設けられている。各ローラ54は、車両本体52の幅方向に延びる軸線回りに回転可能とされている。
【0033】
駆動部53は、車両本体52内に内蔵されている。駆動部53は、図示しないバッテリ、インバータ及び走行用モータ等を有する。バッテリからの電力がインバータを介して走行用モータに供給されることで走行用モータが回転駆動する。当該走行用モータの回転駆動に伴ってローラ54が回転する。ローラ54が案内溝14内で回転することで、駆動車両51は案内溝14の延在方向に沿って移動する。
【0034】
図4に示すように、積載車両55は、鉱石3を積載するとともに駆動車両51の動力によって第一路面13上を走行可能とされている。積載車両55は、車両本体56及びローラ(図示省略)を有している。車両本体56及びローラは、駆動車両51の車両本体52及びローラ54と同様の構成とされている。積載車両55の車両本体56には、該車両本体56の上面から該上面全域にわたって凹む収容部57が形成されている。該収容部57には、鉱石3が収容される。積載車両55は、駆動車両51に対して第一路面13の延在方向に隣り合うように配置されている。
【0035】
連結部59は、駆動車両51と積載車両55とを連結する。連結部59は、駆動車両51と積載車両55との間に設けられている。連結部59は、例えば電磁石への通電・非通電によって駆動車両51と積載車両55とを着脱可能に連結するように構成されている。
【0036】
<作用効果>
上記構成の鉱山採掘システム100で鉱石3を採掘する際、積込機械40はドリフト10からクロスカット20に進入し、バケット47によって採掘場所27の鉱石3を採掘する。そして、積込機械40は、バケット47内に鉱石3を収容した状態で後退しながら旋回することで、図3に示すように、架台30の上面31bに移動する。この際、架台30の前後にはストッパ32が存在しているため、積込機械40が不用意に架台30上から落下してしまうことを回避できる。
【0037】
採掘物搬送車両50は、ドリフト10を含む周回路の第一路面13上を走行する。この際、採掘物搬送車両50は、搬送通路Pをトンネルとして通過しながら第一路面13上を走行する。即ち、採掘物搬送車両50は、ドリフト10に設けられた架台30に妨げられることなく、該架台30の下方を通過可能とされている。このような採掘物搬送車両50は、図2に示すように、複数台が同時稼働されている。
【0038】
採掘物搬送車両50に鉱石3の積み込みが行われる際、採掘物搬送車両50の積載車両55は図4に示すように、積込位置に配置される。積込位置とは、が平面視にて架台30における積込機械40のバケット47側の端部から第一路面13の延在方向に積載車両55が露出する位置である。本実施形態では、積込位置における駆動車両51は、架台30の下方、即ち、搬送通路P内に位置している。
【0039】
そして、採掘物搬送車両50が積込位置にある状態で、積込機械40のバケット47から積載車両55の収容部57内へと鉱石3が落下するように積み込まれる。積込機械40は、架台30の上面31bと第二路面22とを作業路面Sとして往復稼働しながら、採掘場所27での鉱石3の採掘及び積載車両55への積み込みを複数回行う。
【0040】
積載車両55における鉱石3の積載量が十分になると、採掘物搬送車両50は、ドリフト10を排土場所29へと向かって走行する。そして、採掘物搬送車両50は、排土場所29にて鉱石3を排出する。構成を排土場所29に排出される際には、連結部59による駆動車両51と搬送車両との連結が解除されてもよい。また、排土場所29に、搬送車両をリフトアップさせて鉱石3を排出する装置が設けられていてもよい。
【0041】
採掘物搬送車両50が鉱石3を排土場所29に搬送している際には、他の採掘物搬送車両50が積込位置に移動して、積込機械40によって鉱石3が積み込まれる。鉱石3を排土場所29に排出した採掘物搬送車両50は、図2に示すように、周回路を走行することで積込場所に移動し、再度鉱石3が積み込まれる。これにより、連続した鉱石3の採掘及び搬送が行われる。
【0042】
以上のように本実施形態の鉱山採掘システム100によれば、ドリフト10の下部を採掘物搬送車両50の搬送通路Pとすることで、坑道内の空間の有効活用を図ることができる。また、採掘物搬送車両50の走行と積込機械40の稼働とが干渉することがなく、効率良く採掘及び搬送を行うことができる。
【0043】
また、積込機械40と採掘物搬送車両50とを用いることで、積込機械40には作業路面S上のみでの鉱石3の採掘・積込に専従させることができる。さらに、複数の採掘物搬送車両50を同時走行させることで、積込機械40は待ち時間なく連続的に稼働することができる。そのため、生産性の向上を図ることができる。
【0044】
さらに、採掘物搬送車両50は、積込機械40が位置する架台30の上面31bよりも下方に位置しているため、ドリフト10の断面形状や積込機械40の体格による積込高さの制約を受けずに、鉱石3の積み込み作業を円滑に行うことができる。
【0045】
<第二実施形態>
次に本発明の第二実施形態について、図6及び図7を参照して説明する。第二実施形態では第一実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
第二実施形態は、移動車両としての架台搬送車両60を備えている点で第一実施形態と相違する。
【0046】
架台搬送車両60は、車両本体61、駆動部62、ローラ65、連結部64及び持ち上げ部63を有している。車両本体61、駆動部62及びローラ65は、第一実施形態の駆動車両51の車両本体52、駆動部53及びローラ54と同様の構成をなしている。本実施形態の架台搬送車両60は、第一路面13の延在方向に間隔をあけて二つが設けられており、それぞれに駆動部62及びローラ65が設けられている。二つの車両本体61が連結部64によって連結されている。
【0047】
持ち上げ部63は、各車両本体61の平面視における四隅に設けられている。本実施形態の持ち上げ部63は、車両本体61の上面から突出可能なリフトアップシリンダである。リフトアップシリンダは、通常時は車両本体61の上面から突出することなく車両本体61内に後退した状態で収容されている。持ち上げ部63は、管理装置からの無線通信を介した指令によって、車両本体61の上面から上方に突出するように駆動される。リフトアップシリンダは、例えば駆動部62のバッテリからの電力の供給によって駆動される構成であってもよいし、油圧によって駆動される構成であってもよい。複数のリフトアップシリンダは、同期して突出及び後退する構成とされている。
【0048】
<作用効果>
架台搬送車両60は、架台30上に積込機械40が載置された状態で、該架台30を搬送することができる。架台搬送車両60が架台30を搬送する際には、架台搬送車両60は、搬送通路P内に移動する。そして、架台搬送車両60は、車両本体61内に後退して没しているリフトアップシリンダを上方へと向かって突出させる。これによって、架台30の下面31aが持ち上げられることで、架台30はサイドサポート15の載置面16から浮いた状態となる。即ち、架台30は、載置面16上に載置された載置状態から、リフトアップシリンダによって上方に持ち上げられた搬送状態に遷移する。
【0049】
架台搬送車両60は、リフトアップシリンダによって架台30を持ち上げた状態で走行することによって、架台30を任意の場所まで搬送することができる。そして、リフトアップシリンダが下方に後退することにより、任意の場所に架台30を載置することができる。
したがって、ドリフト10における当初架台30が設けられていたクロスカット20との接続箇所から、他のクロスカット20との接続箇所に架台30を設置することができる。よって、架台30及び積込機械40を新たな採掘場所27に移送することができ、各採掘場所良く採掘場所27からの採掘を効率的に行うことができる。
【0050】
<第三実施形態>
次に本発明の第三実施形態について、図8図10を参照して説明する。第三実施形態では第一実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
第二実施形態は、架台30のための自走ユニット70を備えている点で第一実施形態と相違する。
【0051】
自走ユニット70は、架台30を自走させるためのユニットであって、該架台30の水平板部31における長手方向の両端にそれぞれ設けられている。
自走ユニット70は、自走ユニット本体71、ローラ支持部75、油圧供給部77及びローラ76及びローラ駆動部78を有している。
【0052】
自走ユニット70は、架台30の水平板部31における長手方向の両端面にそれぞれ一体に固定されている。自走ユニット70は、水平板部31の幅方向にわたって延びている。
図9に示すように、自走ユニット70における幅方向両側の下面である側部下面72は、サイドサポート15の載置面16上に載置される側部下面72とされている。側部下面72には、上方に向かって凹むようにして収容凹部73が設けられている。収容凹部73は、各自走ユニット70に幅方向一対が設けられている。
【0053】
側部下面72における各収容凹部73の開口の幅方向両側には、係合凸部74が形成されている。係合凸部74は、側部下面72から下方に向かって突出するように形成されている。サイドサポート15の載置面16には、係合凸部74が上方から挿入される係止孔17が形成されている。係止孔17に係合凸部74が挿入されることで、架台30の水平方向への移動、特に第一路面13の延在方向への移動が規制される。
【0054】
収容凹部73には、ローラ支持部75が収容されている。ローラ支持部75は、収容凹部73内で上下方向に移動可能に設けられている。収容凹部73の底部とローラ支持部75の上端とによって区画形成される密閉空間には、作動油が供給される。作動油は、自走ユニット70内に設けられた油圧供給部77によって供給される。油圧供給部77は、当該密閉空間に作動油を給排できるように構成されている。
ローラ支持部75の下部には、ローラ76が支持されている。ローラ76は幅方向に延びる軸線回りに回転可能とされている。
【0055】
図9に示すように、上記密閉空間に作動油が供給されていない状態、即ち、密閉空間から作動油が排出された状態では、ローラ76の下端は側部下面72よりも上方に位置して収容空間内に収容されている。この状態が自走ユニット70及び架台30の載置状態である。
【0056】
一方で、密閉空間に作動油が供給されると、図10に示すように、作動油がローラ支持部75の上端を下方に向かって押圧することで、ローラ支持部75は下方に移動する。その結果、ローラ76の下面が載置面16に当接し、さらに、側部下面72が載置面16から上方に離間して係合凸部74が係合孔から脱した状態となる。これにより、自走ユニット本体71は載置面16から浮き上がった状態となり、該自走ユニット本体71に一体に固定された架台30も同様に載置面16から浮き上がった状態となる。この状態が、自走ユニット70及び架台30の移動可能状態である。
【0057】
ローラ76は、自走ユニット本体71に内蔵されたローラ駆動部78によって回転駆動可能とされている。上記のように自走ユニット70及び架台30が移動可能状態となった際にローラ76が回転することで、自走ユニット70及び架台30は架台30上に積込機械40が載置された状態のまま、任意の箇所まで移動することができる。
したがって、本実施形態でも第二実施形態同様、架台30及び積込機械40を新たな採掘場所27に移送することができ、効率良く採掘作業を行うことができる。
【0058】
<第四実施形態>
次に第四実施形態について図11を参照して説明する。第四実施形態では第三実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
第四実施形態では、架台牽引車両80を備える点で第三実施形態と相違する。
【0059】
架台牽引車両80は、移動可能状態の架台30を該架台30上の積み込み機械ごと牽引できるように構成されている。架台牽引車両80は、車両本体81、駆動部82及び連結部83を有する。車両本体81及び駆動部82は、採掘物搬送車両50の駆動車両51における車両本体52及び駆動部53と同様の構成とされている。連結部83は、採掘物搬送車両50の連結部59と同様に架台牽引車両80の車両本体81と架台30とを着脱可能に連結する。
【0060】
本実施形態でも、移動可能状態となった架台30を架台牽引車両80が連結部83を介して牽引しながら自走することで、架台30及び積込機械40を新たな採掘場所27に移送することができる。なお、第四実施形態では、自走ユニット70にローラ駆動部78が設けられていなくともよい。
【0061】
<その他の実施形態>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0062】
例えば実施形態では、各移動車両は第一路面13の案内溝14内を走行する構成としたがこれに限定されることはなく、第一路面13上に敷設されたレール上を走行してもよい。また、第一路面13上に車輪ガイドを形成して、移動車両を案内する構成であってもよい。
【0063】
積込機械40としては、ロードホールダンプに限られることはなく、種々の積込機械を採用することができる。積込機械は、数なくとも掘削機能と旋回機能を備えた車両であることが好ましく、例えば伸縮自在なスライドアームの先端にバケットを備えたテレスコピックローダーを積込機械40として用いてもよい。
連結部59,64,83は、磁力によって着脱可能とした電磁石を用いた例について説明したが、連結及び連結解除が可能であれば、機械式等の連結部を用いてもよい。
【0064】
実施形態は、ドリフト10の内周面11の断面形状を円形とした例について説明したが、これに限定されることはなく、楕円や多角形等の他の形状であってもよい。第一坑道の内周面の断面形状は、底部から所定の位置まで上方に向かうにしたがって幅方向の寸法が大きくなる形状であることが好ましい。
【0065】
積込機械40や移動車両は、電動式に限られず、ディーゼルエンジン等の内燃機関によって走行可能な構成であってもよい。
各移動車両の進退方向の端部には、第一路面13上の砕石や砂、埃等を除去可能な清掃用ブレードが設けられていてもよい。
移動車両はバッテリ式に限られず、第一路面13上のレールから直接給電されることで走行可能な構成であってもよい。
【0066】
また、採掘物搬送車両50は、積載車両55が3台以上連結された構成であってもよい。
さらに、採掘物搬送車両50は、複数の駆動車両51を備えていてもよい。
また、採掘物搬送車両50では、駆動車両51が積載車両55における走行方向前方側に位置していてもよい。
なお、採掘物搬送車両50は、トンネルボーリングマシンによってドリフト10、クロスカット20、外周路25等を形成する際のずり運搬にも兼用できる。
【0067】
実施形態で説明したブロックケービング工法は主にハードロックマイニングに用いられる工法ではあるが、ソフトロックマイニングに用いて本発明を適用してもよい。
また、ソフトロックマイニングの場合、ルームアンドピラー工法によって鉱石3を採掘してもよい。これに本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0068】
1…鉱山、2…鉱床(鉱体)、3…鉱石、4…フットプリント、10…ドリフト(第一坑道)、11…内周面、12…床板、13…第一路面、14…案内溝、15…サイドサポート、16…載置面、17…係止孔、20…クロスカット(第二坑道)、21…内周面、22…第二路面、23…路板、25…外周路、27…採掘場所、29…排土場所、30…架台、31…水平板部(架台本体)、31a…下面、31b…上面、32…ストッパ、40…積込機械、41…車体、42…車体前部、43…前輪、44…車体後部、45…後輪、46…作業機、47…バケット、50…採掘物搬送車両(移動車両)、51…駆動車両、52…車両本体、53…駆動部、54…ローラ、55…積載車両、56…車両本体、57…収容部、59…連結部、60…架台搬送車両(移動車両)、61…車両本体、62…駆動部、63…持ち上げ部、64…連結部、65…ローラ、70…自走ユニット、71…自走ユニット本体、72…側部下面、73…収容凹部、74…係合凸部、75…ローラ支持部、76…ローラ 、77…油圧供給部、78…ローラ駆動部、80…架台牽引車両(搬送車両)、81…車両本体、82…駆動部、83…連結部、100…鉱山採掘システム、P…搬送通路、S…作業路面
図1
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