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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-26
(45)【発行日】2022-11-04
(54)【発明の名称】無線通信装置および無線通信システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/09 20060101AFI20221027BHJP
【FI】
G08G1/09 H
G08G1/09 F
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019094401
(22)【出願日】2019-05-20
(65)【公開番号】P2020190808
(43)【公開日】2020-11-26
【審査請求日】2021-10-04
(73)【特許権者】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】藤田 卓
(72)【発明者】
【氏名】茶野 宏
【審査官】西中村 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-192396(JP,A)
【文献】特開2018-037909(JP,A)
【文献】特開2019-067148(JP,A)
【文献】特表2000-507416(JP,A)
【文献】米国特許第06310872(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
B60W 10/00-10/60
B60W 30/00-60/00
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車車間通信または路車間通信を行う無線通信装置であって、
第1のアプリケーションを実行して、第1のアプリケーション識別情報を含む第1の送信データを生成するアプリケーション実行部と、
前記第1のアプリケーション識別情報を含む第1の受信データを有するメッセージを受信し、前記第1のアプリケーション識別情報を含む前記第1の受信データを出力する通信部と、
前記第1の送信データに含まれる前記第1のアプリケーション識別情報の数をカウントし、カウントした結果を第1の送信IDカウント値として出力する送信ID数カウンタと、前記第1の受信データに含まれる前記第1のアプリケーション識別情報の数をカウントし、カウントした結果を第1の受信IDカウント値として出力する受信ID数カウンタと、前記第1の送信IDカウント値と前記第1の受信IDカウント値とを比較して、前記第1のアプリケーションに係る送信データ数と受信データ数が所定の割合であるかを判定する比較部と、を有する占有率判定部と、を備え、
前記比較部は、前記第1のアプリケーションに係る送信データ数と受信データ数が所定の割合であるかを判定した結果を占有率判定結果として出力し、
前記アプリケーション実行部は、前記占有率判定結果に基づいて、前記第1のアプリケーションの通信頻度の調整を行う、
無線通信装置。
【請求項2】
請求項に記載の無線通信装置であって、
前記第1のアプリケーションに係る送信データ数と受信データ数が所定の割合となっていないと判定されたとき、前記比較部は、
前記第1の送信IDカウント値が前記第1の受信IDカウント値に比べて大きい場合には、前記第1のアプリケーションの通信頻度を引き下げる制御を前記占有率判定結果に含め、
前記第1の受信IDカウント値が前記第1の送信IDカウント値に比べて大きい場合には、前記第1のアプリケーションの通信頻度を引き上げる制御を前記占有率判定結果に含める、
無線通信装置。
【請求項3】
車車間通信または路車間通信を行う無線通信装置であって、
第1のアプリケーションを実行して、第1のアプリケーション識別情報を含む第1の送信データを生成するアプリケーション実行部と、
前記第1のアプリケーション識別情報を含む第1の受信データを有するメッセージを受信し、前記第1のアプリケーション識別情報を含む前記第1の受信データを出力する通信部と、
前記第1の送信データに含まれる前記第1のアプリケーション識別情報の数をカウントし、カウントした結果を第1の送信IDカウント値として出力する送信ID数カウンタと、前記第1の受信データに含まれる前記第1のアプリケーション識別情報の数をカウントし、カウントした結果を第1の受信IDカウント値として出力する受信ID数カウンタと、前記第1の送信IDカウント値と前記第1の受信IDカウント値とを比較して、前記第1のアプリケーションに係る送信データ数と受信データ数が所定の割合であるかを判定する比較部と、を有する占有率判定部と、を備え、
前記アプリケーション実行部は、第2のアプリケーションを実行して、第2のアプリケーション識別情報を含む第2の送信データを生成し、
前記通信部は、前記第2のアプリケーション識別情報を含む第2の受信データを有するメッセージを受信し、前記第2のアプリケーション識別情報を含む前記第2の受信データを出力し、
前記送信ID数カウンタは、前記第2の送信データに含まれる前記第2のアプリケーション識別情報の数をカウントし、カウントした結果を第2の送信IDカウント値として出力し、
前記受信ID数カウンタは、前記第2の受信データに含まれる前記第2のアプリケーション識別情報の数をカウントし、カウントした結果を第2の受信IDカウント値として出力し、
前記比較部は、前記第2の送信IDカウント値と前記第2の受信IDカウント値とを比較して、前記第2のアプリケーションに係る送信データ数と受信データ数が所定の割合であるかを判定する、
無線通信装置。
【請求項4】
請求項に記載の無線通信装置であって、
前記比較部は、
前記第1の送信IDカウント値と前記第2の送信IDカウント値とを比較し、
前記第1の受信IDカウント値と前記第2の受信IDカウント値とを比較し、
前記第1および第2のアプリケーション間での送信データ数および受信データ数がそれぞれ所定の割合であるかを判定し、
前記アプリケーション実行部は、前記第1および第2のアプリケーション間での送信データ数および受信データ数がそれぞれ所定の割合であるかを判定した結果に基づいて、前記第1または第2のアプリケーションの通信頻度を調整する、
無線通信装置。
【請求項5】
車車間通信または路車間通信を行う無線通信装置であって、
第1のアプリケーションを実行して、第1のアプリケーション識別情報を含む第1の送信データを生成するアプリケーション実行部と、
前記第1のアプリケーション識別情報を含む第1の受信データを有するメッセージを受信し、前記第1のアプリケーション識別情報を含む前記第1の受信データを出力する通信部と、
前記第1の送信データに含まれる前記第1のアプリケーション識別情報の数をカウントし、カウントした結果を第1の送信IDカウント値として出力する送信ID数カウンタと、前記第1の受信データに含まれる前記第1のアプリケーション識別情報の数をカウントし、カウントした結果を第1の受信IDカウント値として出力する受信ID数カウンタと、前記第1の送信IDカウント値と前記第1の受信IDカウント値とを比較して、前記第1のアプリケーションに係る送信データ数と受信データ数が所定の割合であるかを判定する比較部と、を有する占有率判定部と、を備え、
前記アプリケーション実行部は、前記第1のアプリケーションの通信周期を示す周期情報を出力し、
前記占有率判定部は、前記周期情報に基づいてリセット信号を出力する第1のリセット部をさらに備え、
前記送信ID数カウンタは、前記リセット信号に応答して前記第1の送信IDカウント値をリセットし、
前記受信ID数カウンタは、前記リセット信号に応答して前記第1の受信IDカウント値をリセットする、
無線通信装置。
【請求項6】
車車間通信または路車間通信を行う無線通信装置であって、
第1のアプリケーションを実行して、第1のアプリケーション識別情報を含む第1の送信データを生成するアプリケーション実行部と、
前記第1のアプリケーション識別情報を含む第1の受信データを有するメッセージを受信し、前記第1のアプリケーション識別情報を含む前記第1の受信データを出力する通信部と、
前記第1の送信データに含まれる前記第1のアプリケーション識別情報の数をカウントし、カウントした結果を第1の送信IDカウント値として出力する送信ID数カウンタと、前記第1の受信データに含まれる前記第1のアプリケーション識別情報の数をカウントし、カウントした結果を第1の受信IDカウント値として出力する受信ID数カウンタと、前記第1の送信IDカウント値と前記第1の受信IDカウント値とを比較して、前記第1のアプリケーションに係る送信データ数と受信データ数が所定の割合であるかを判定する比較部と、を有する占有率判定部と、を備え、
前記アプリケーション実行部は、前記第1の送信データの再送回数を再送情報として出力し、
前記占有率判定部は、前記再送情報に基づいてリセット信号を出力する第2のリセット部をさらに備え、
前記送信ID数カウンタは、前記リセット信号に応答して前記第1の送信IDカウント値をリセットし、
前記受信ID数カウンタは、前記リセット信号に応答して前記第1の受信IDカウント値をリセットする、
無線通信装置。
【請求項7】
車車間通信または路車間通信を行う無線通信装置であって、
第1のアプリケーションを実行して、第1のアプリケーション識別情報を含む第1の送信データを生成するアプリケーション実行部と、
前記第1のアプリケーション識別情報を含む第1の受信データを有するメッセージを受信し、前記第1のアプリケーション識別情報を含む前記第1の受信データを出力する通信部と、
前記第1の送信データに含まれる前記第1のアプリケーション識別情報の数をカウントし、カウントした結果を第1の送信IDカウント値として出力する送信ID数カウンタと、前記第1の受信データに含まれる前記第1のアプリケーション識別情報の数をカウントし、カウントした結果を第1の受信IDカウント値として出力する受信ID数カウンタと、前記第1の送信IDカウント値と前記第1の受信IDカウント値とを比較して、前記第1のアプリケーションに係る送信データ数と受信データ数が所定の割合であるかを判定する比較部と、を有する占有率判定部と、を備え、
前記アプリケーション実行部は、前記通信部から出力される受信データに前記第1のアプリケーション識別情報以外のアプリケーション識別情報が含まれていた場合に、破棄ID情報を出力し、
前記占有率判定部は、前記破棄ID情報に基づいてリセット信号を出力する第3のリセット部をさらに備え、
前記送信ID数カウンタは、前記リセット信号に応答して前記第1の送信IDカウント値をリセットし、
前記受信ID数カウンタは、前記リセット信号に応答して前記第1の受信IDカウント値をリセットする、
無線通信装置。
【請求項8】
車車間通信または路車間通信を行う無線通信装置であって、
第1のアプリケーションを実行して、第1のアプリケーション識別情報を含む第1の送信データを生成するアプリケーション実行部と、
前記第1のアプリケーション識別情報を含む第1の受信データを有するメッセージを受信し、前記第1のアプリケーション識別情報を含む前記第1の受信データを出力する通信部と、
前記第1の送信データに含まれる前記第1のアプリケーション識別情報の数をカウントし、カウントした結果を第1の送信IDカウント値として出力する送信ID数カウンタと、前記第1の受信データに含まれる前記第1のアプリケーション識別情報の数をカウントし、カウントした結果を第1の受信IDカウント値として出力する受信ID数カウンタと、前記第1の送信IDカウント値と前記第1の受信IDカウント値とを比較して、前記第1のアプリケーションに係る送信データ数と受信データ数が所定の割合であるかを判定する比較部と、を有する占有率判定部と、を備え、
前記無線通信装置は、場所情報に関連付けられた前記第1のアプリケーションの通信履歴を第1の通信履歴情報として格納する通信履歴格納部を有する通信履歴管理部をさらに備え、
前記占有率判定部は、前記第1の通信履歴情報に基づいてリセット信号を生成する第4のリセット部をさらに備え、
前記送信ID数カウンタは、前記リセット信号に応答して前記第1の送信IDカウント値をリセットし、
前記受信ID数カウンタは、前記リセット信号に応答して前記第1の受信IDカウント値をリセットする、
無線通信装置。
【請求項9】
請求項に記載の無線通信装置であって、
前記通信履歴管理部は、
地図データを格納する地図データ格納部と、
自車両の車両位置を特定するための座標データを出力する座標データ出力部と、
場所を設定するための設定情報を出力する場所範囲設定部と、をさらに備え、
前記通信履歴格納部は、
前記地図データ、前記座標データおよび前記設定情報に基づいて前記場所情報を生成し、
前記第1のアプリケーションの通信履歴である前記第1の送信IDカウント値および前記第1の受信IDカウント値を前記場所情報に関連付けて格納する、
無線通信装置。
【請求項10】
請求項に記載の無線通信装置であって、
前記無線通信装置は、情報更新判定部をさらに備え、
前記占有率判定部は、第1および第2のリセット信号を出力する第1のリセット部をさらに備え、
前記アプリケーション実行部は、
前記第1のアプリケーションの通信周期を示す第1の周期情報を出力し、
前記第2のアプリケーションの通信周期を示す第2の周期情報を出力し、
前記第1のアプリケーションに係る変更内容を第1の情報更新要望として出力し、
前記第2のアプリケーションに係る変更内容を第2の情報更新要望として出力し、
前記第1のリセット部は、
前記第1の周期情報に基づいて前記第1のリセット信号を生成し、
前記第2の周期情報に基づいて前記第2のリセット信号を生成し、
前記情報更新判定部は、
前記第1のリセット信号に基づいて、前記第1の情報更新要望を実行する第1の更新時刻を決定し、
前記第2のリセット信号に基づいて、前記第2の情報更新要望を実行する第2の更新時刻を決定し、
前記アプリケーション実行部は、
前記第1の更新時刻において、前記第1のアプリケーションに係る情報更新指示を出力し、
前記第2の更新時刻において、前記第2のアプリケーションに係る情報更新指示を出力する、
無線通信装置。
【請求項11】
請求項10に記載の無線通信装置であって、
前記情報更新判定部は、前記第1および第2の情報更新要望に整合の取れない情報が含まれているかを判定する、
無線通信装置。
【請求項12】
請求項11に記載の無線通信装置であって、
前記第1および第2の情報更新要望に整合の取れない情報が含まれていると判断された場合には、障害情報を知らせるメッセージが送信される、
無線通信装置。
【請求項13】
車車間通信または路車間通信を行う無線通信装置であって、
第1のアプリケーションを実行して、第1のアプリケーション識別情報を含む第1の送信データを生成するアプリケーション実行部と、
前記第1のアプリケーション識別情報を含む第1の受信データを有するメッセージを受信し、前記第1のアプリケーション識別情報を含む前記第1の受信データを出力する通信部と、
前記第1の送信データに含まれる前記第1のアプリケーション識別情報の数をカウントし、カウントした結果を第1の送信IDカウント値として出力する送信ID数カウンタと、前記第1の受信データに含まれる前記第1のアプリケーション識別情報の数をカウントし、カウントした結果を第1の受信IDカウント値として出力する受信ID数カウンタと、前記第1の送信IDカウント値と前記第1の受信IDカウント値とを比較して、前記第1のアプリケーションに係る送信データ数と受信データ数が所定の割合であるかを判定する比較部と、を有する占有率判定部と、を備え、
前記第1のアプリケーション識別情報は、前記第1のアプリケーション識別情報を含む前記第1の送信データおよび前記第1の受信データが前記第1のアプリケーションに関連するデータであることを示す、
無線通信装置。
【請求項14】
請求項に記載の無線通信装置を搭載する第1の車両と、
請求項4に記載の無線通信装置を搭載する第2の車両と、を備え、
前記第1の車両に搭載された前記無線通信装置は、
前記第1の送信データを含んだメッセージを前記第2の車両に搭載された前記無線通信装置へ送信し、
前記第1の受信データを含んだ前記メッセージを前記第2の車両に搭載された前記無線通信装置から受信する、
無線通信システム。
【請求項15】
請求項14に記載の無線通信システムであって、
請求項4に記載の無線通信装置を搭載する第3の車両と、
路側機を備え、
前記第2の車両に搭載された前記無線通信装置は、
前記第2の送信データを含んだメッセージを前記路側機を介して前記第3の車両に搭載された前記無線通信装置へ送信し、
前記第2の受信データを含んだ前記メッセージを前記路側機を介して前記第3の車両に搭載された前記無線通信装置から受信する、
無線通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信装置および無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
安全運転支援や自動運転を行うために、無線通信装置および無線通信システムを用いて、車車間通信、路車間通信および路路間通信を行う技術が知られている。例えば、特許文献1には、充電スポットが無線通信システムを用いて車両に取り残された電子機器の製品情報を入手し、入手した製品情報に基づいて車両に電力を供給する技術が開示されている。
【0003】
具体的には、車両は、車両内に取り残された電子機器から暗号化された製品情報を受信し、受信した製品情報を充電スポットへ送信する。充電スポットは、ネットワークを介して、電子機器のメーカーサイドから共通鍵を入手する。充電スポットは、入手した共通鍵を用いて、車両から送信された製品情報を復号する。充電スポットは、復号された製品情報から車両内に取り残された電子機器を特定し、特定した電子機器の許容電流値に基づいて車両に供給する電力を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-156776号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように特許文献1における無線通信システムでは、車両、電子機器および充電スポットに搭載される複数の無線通信装置において、複数のアプリケ―ションが起動され、種々の無線通信が行われている。複数の無線通信装置およびアプリケーションは、それぞれの無線通信システムの識別方法を用いて、送受信するデータを識別する。これにより、自装置において必要なデータが読み取られ、必要でないデータは破棄される。このようにして、無線通信装置およびアプリケーションの通信が構築される。
【0006】
しかしながら、無線通信装置に搭載されるアプリケーション、無線通信システムを構成する無線通信装置および同一の無線通信規格に準拠する無線通信システムの増加に伴い、起動中のアプリケーションにおいて安定した通信ができなくなる恐れがある。例えば、特定のアプリケーションが多くの通信リソースを占有してしまうと、他のアプリケーションは十分な通信リソースを確保できないという問題が生じる。
【0007】
その他の課題および新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施の形態に係る無線通信装置は、アプリケーション識別情報を含む送信データを生成するアプリケーション実行部と、アプリケーション識別情報を含む受信データを出力する通信部と、送信データに含まれるアプリケーション識別情報の数をカウントし、送信IDカウント値を出力する送信ID数カウンタと、受信データに含まれるアプリケーション識別情報の数をカウントし、受信IDカウント値を出力する受信ID数カウンタと、送信IDカウント値と受信IDカウント値とを比較して、アプリケーションに係る送信データ数と受信データ数が所定の割合であるかを判定する比較部と、を有する占有率判定部を備える。
【発明の効果】
【0009】
一実施の形態によれば、無線通信装置に搭載されるアプリケーション、無線通信システムを構成する無線通信装置、同一の無線通信規格に準拠する異なる無線通信システムが増加しても安定した通信が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施の形態1に係る無線通信システムの構成の一例を示す図である。
図2図2は、実施の形態1に係る無線通信装置の構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、実施の形態1に係る無線通信装置の動作の一例を示すタイミングチャートである。
図4図4は、実施の形態1に係る無線通信装置の動作の一例を示す図である。
図5図5は、実施の形態2に係る無線通信装置の構成の一例を示すブロック図である。
図6図6は、実施の形態2に係る無線通信装置の構成の一例を示すブロック図である。
図7図7は、実施の形態2に係る無線通信装置の構成の一例を示すブロック図である。
図8図8は、実施の形態2に係る無線通信装置の構成の一例を示すブロック図である。
図9図9は、実施の形態3に係る無線通信装置の構成の一例を示すブロック図である。
図10図10は、無線通信装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、明細書および図面において、同一の構成要素または対応する構成要素には、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。また、図面では、説明の便宜上、構成を省略または簡略化している場合もある。また、実施の形態の各々は、他の実施の形態の少なくとも一部と任意に組み合わされてもよい。
【0012】
[実施の形態1]
図1は、実施の形態1に係る無線通信システム100の構成の一例を示す図である。図1に示されるように、無線通信システム100は、車両101、車両102、車両103および路側機104を含む。車両101には、無線通信装置111が搭載されている。車両102には、無線通信装置112が搭載されている。車両103には、無線通信装置113が搭載されている。車両101、車両102および車両103は、それぞれに搭載された無線通信装置を用いて、互いにメッセージの送受信を行う。
【0013】
車両101および車両102は同一の方向に進行しており、車両101は先行し、車両102は後続する。車両101および車両102では、先行車追従アプリケーション(以下、追従アプリと称される)121が起動されている。車両101および車両102は、それぞれに搭載された無線通信装置を用いて、第1の車両情報を含んだ車車間メッセージ131を交換する。第1の車両情報とは、例えば、自車両の速度、加速、減速もしくは進行方向の変更などである。第1の車両情報を含んだ車車間メッセージ131が交換されることによって、車両102が車両101を所定の間隔をもって追従することができる。
【0014】
車両102および車両103は、見通し外の位置関係にある。車両102および車両103では、見通し外車両警告アプリケーション(以下、見通し外アプリと称される)122が起動されている。車両102および車両103は、それぞれに搭載された無線通信装置を用いて、路側機104を経由して第2の車両情報を含んだ路車間メッセージ132を交換する。第2の車両情報とは、例えば、自車両の速度、進行方向もしくは座標などである。第2の車両情報を含んだ路車間メッセージ132が交換されることによって、車両102および車両103は、互いの車両が所定間隔より近づいたことを示す接近警告を、例えば車載のモニタに出力することができる。
【0015】
図1の無線通信システム100では、追従アプリ121および見通し外アプリ122が同時に起動されている。このように複数のアプリケーションが無線通信システムに共存する場合において、特定のアプリケーションが通信リソースの多くを使用してしまうと、他のアプリケーションが十分な通信リソースを確保できず、安定した通信ができなくなる。以下、特定のアプリケーションが通信の多くを使用する状況を検出し、その状況を改善する仕組みについて説明する。
【0016】
図2は、実施の形態1に係る無線通信装置111の構成の一例を示すブロック図である。無線通信装置111、無線通信装置112および無線通信装置113は、同一の構成を有するため、ここでは無線通信装置111の構成のみが説明される。図2に示されるように、無線通信装置111は、アプリケーション実行部210、通信部220および占有率判定部230を備える。アプリケーション実行部210、通信部220および占有率判定部230は、互いに接続されている。
【0017】
アプリケーション実行部210は、アプリケーションを実行する。実行するアプリケーションは複数であってもよい。例えば、図1の無線通信システム100では、追従アプリ121は、車両101および102で起動されており、見通し外アプリ122は、車両102および車両103で起動されている。そのため、無線通信装置111のアプリケーション実行部210は、追従アプリ121を実行する。無線通信装置112のアプリケーション実行部210は、追従アプリ121および見通し外アプリ122を実行する。無線通信装置113のアプリケーション実行部210は、見通し外アプリ122を実行する。
【0018】
アプリケーション実行部210は、アプリケーションを実行して、送信データを生成する。生成された送信データは、通信部220および占有率判定部230に出力される。送信データには、アプリID(IDentification)およびデータ本体が含まれている。アプリIDは、どのアプリケーションが実行されたことによって生成された送信データであるのかを示すためのアプリケーション識別情報である。すなわち、アプリケーション識別情報であるアプリIDは、そのアプリIDが含まれた送信データに関連するアプリケーションを特定するための情報である。例えば、追従アプリ121が実行されたことによって生成された送信データには、アプリIDとして追従アプリIDが含まれている。追従アプリIDは、追従アプリIDを含む送信データが追従アプリ121に関連するデータであることを示す。一方、見通し外アプリ122が実行されたことによって生成された送信データには、アプリIDとして見通し外アプリIDが含まれている。見通し外アプリIDは、見通し外アプリIDを含む送信データが見通し外アプリ122に関連するデータであることを示す。データ本体は、送信先となる他車両に送信したいデータそのものである。例えば、追従アプリ121が実行されたことによって生成された送信データには、第1の車両情報が含まれている。一方、見通し外アプリ122が実行されたことによって生成された送信データには、第2の車両情報が含まれている。
【0019】
また、アプリケーション実行部210は、通信部220から受信データを受け取る。受信データには、アプリIDとデータ本体が含まれている。上述の送信データと同様に、アプリケーション識別情報であるアプリIDは、そのアプリIDが含まれた受信データに関連するアプリケーションを特定するための情報である。アプリケーション実行部210は、受信データに含まれるアプリIDを参照することによって、自分宛のデータであるか否かの判断を行う。例えば、無線通信装置111のアプリケーション実行部210が受け取った受信データに追従アプリIDが含まれていた場合には、受信データを自分宛のデータであると判断して当該受信データを受け取る。一方、無線通信装置111のアプリケーション実行部210が受け取った受信データに見通し外アプリIDが含まれていた場合には、受信データを自分宛のデータではないと判断して当該受信データを破棄する。
【0020】
通信部220は、アプリケーション実行部210から送信データを受け取る。通信部220は、受け取った送信データを含んだメッセージを生成して、生成したメッセージを他車両へ送信する。例えば、無線通信装置111の通信部220および無線通信装置112の通信部220は、追従アプリIDと第1の車両情報を含んだ送信データ(以下、追従アプリ送信データとも称される)を含んだ車車間メッセージ131を送信する。一方、無線通信装置112の通信部220および無線通信装置113の通信部220は、見通し外アプリIDと第2の車両情報を含んだ送信データ(以下、見通し外アプリ送信データとも称される)を含んだ路車間メッセージ132を送信する。
【0021】
また、通信部220は、他車両からメッセージを受信する。例えば、無線通信装置111の通信部220および無線通信装置112の通信部220は、追従アプリIDと第1の車両情報を含んだ受信データ(以下、追従アプリ受信データとも称される)を含んだ車車間メッセージ131を受信する。一方、無線通信装置112の通信部220および無線通信装置113の通信部220は、見通し外アプリIDと第2の車両情報を含んだ受信データ(以下、見通し外アプリ受信データとも称される)を含んだ路車間メッセージ132を受信する。通信部220は、受け取ったメッセージから受信データを抽出して、抽出した受信データをアプリケーション実行部210および占有率判定部230へ出力する。
【0022】
占有率判定部230は、送信ID数カウンタ231、受信ID数カウンタ232および比較部233を備える。送信ID数カウンタ231および受信ID数カウンタ232は、比較部233に接続される。
【0023】
送信ID数カウンタ231は、アプリケーション実行部210から送信データを受け取る。送信ID数カウンタ231は、送信データに含まれるアプリID(送信ID)をアプリケーション毎にカウントする。例えば、無線通信装置111では、追従アプリ121が実行されているため、無線通信装置111の送信ID数カウンタ231は、送信データに含まれる追従アプリIDの数をカウントする。無線通信装置112では、追従アプリ121および見通し外アプリ122が実行されているため、無線通信装置112の送信ID数カウンタ231は、送信データに含まれる追従アプリIDの数と見通し外アプリIDの数を別々にカウントする。無線通信装置113では、見通し外アプリ122が実行されているため、無線通信装置113の送信ID数カウンタ231は、送信データに含まれる見通し外アプリIDの数をカウントする。送信ID数カウンタ231は、送信データに含まれるアプリIDをカウントした結果、つまり、送信IDカウント値を比較部233へ出力する。
【0024】
受信ID数カウンタ232は、通信部220から受信データを受け取る。受信ID数カウンタ232は、受信データに含まれるアプリID(受信ID)をアプリケーション毎にカウントする。例えば、無線通信装置111では、追従アプリ121が実行されているため、無線通信装置111の受信ID数カウンタ232は、受信データに含まれる追従アプリIDの数をカウントする。無線通信装置112では、追従アプリ121および見通し外アプリ122が実行されているため、無線通信装置112の受信ID数カウンタ232は、受信データに含まれる追従アプリIDの数と見通し外アプリIDの数を別々にカウントする。無線通信装置113では、見通し外アプリ122が実行されているため、無線通信装置113の受信ID数カウンタ232は、受信データに含まれる見通し外アプリIDの数をカウントする。受信ID数カウンタ232は、受信データに含まれるアプリIDをカウントした結果、つまり、受信IDカウント値を比較部233へ出力する。
【0025】
図3は、実施の形態1に係る無線通信装置112の送信ID数カウンタ231および受信ID数カウンタ232の動作の一例を示すタイミングチャートである。ここでは、無線通信装置112のみについて説明をするが、送信データおよび受信データに相違があるものの、無線通信装置111および無線通信装置113についても同様に動作する。図3の横方向は、時間に相当する。図3の縦方向は、送信データ、送信IDカウント値、受信データおよび受信IDカウント値を示すデジタルデータ信号(0/1)が変化するタイミングを表す。また、ID1は追従アプリIDを示し、ID2は見通し外アプリIDを示し、データはデータ本体を示す。したがって、ID1を含む送信データは、追従アプリ送信データを示し、ID1を含む受信データは、追従アプリ受信データを示す。また、ID2を含む送信データは、見通し外アプリ送信データを示し、ID2を含む受信データは、見通し外アプリ受信データを示す。
【0026】
図3に示されるように、時刻t0において、アプリケーション実行部210は、追従アプリ送信データを出力し始める。このとき、送信ID数カウンタ231の送信IDカウント値は、追従アプリID:M、見通し外アプリID:Nであり、受信ID数カウンタ232の受信IDカウント値は、追従アプリID:X、見通し外アプリID:Yである。時刻t1において、送信ID数カウンタ231は、追従アプリIDの受け取りを完了し、送信IDのカウント値のうちの追従アプリIDをM+1とする。
【0027】
時刻t2において、アプリケーション実行部210は、見通し外アプリ送信データを出力し始める。時刻t3において、送信ID数カウンタ231は、見通し外アプリIDの受け取りを完了し、送信IDのカウント値のうちの見通し外アプリIDをN+1とする。
【0028】
時刻t4において、通信部220は、追従アプリ受信データを出力し始める。時刻t5において、受信ID数カウンタ232は、追従アプリIDの受け取りを完了し、受信IDのカウント値のうちの追従アプリIDをX+1とする。
【0029】
時刻t6において、通信部220は、見通し外アプリ受信データを出力し始める。時刻t7において、受信ID数カウンタ232は、見通し外アプリIDの受け取りを完了し、受信IDのカウント値のうちの見通し外アプリIDをY+1とする。
【0030】
時刻t8において、アプリケーション実行部210は、再び、追従アプリ送信データを出力し始める。時刻t9において、送信ID数カウンタ231は、追従アプリIDの受け取りを完了し、送信IDのカウント値のうちの追従アプリIDをM+2とする。
【0031】
再び図2に戻り、無線通信装置111の構成についての説明を続ける。比較部233は、送信ID数カウンタ231から送信IDカウント値と、受信ID数カウンタ232から受信IDカウント値を受け取る。比較部233は、アプリケーション毎の送信IDカウント値と受信IDカウント値を比較して、アプリケーション毎の送信データ数と受信データ数が所定の割合になっているかを判定する。具体的には、当該判定は、例えば、アプリケーション毎の送信データ数と受信データ数の比率が適正比率の範囲内に収まっているか否かで判断される。比較部233は、アプリケーション毎の送信データ数と受信データ数が所定の割合になっていない場合には、該当するアプリケーションの通信リソースに対する占有率が高いもしくは低いとして、アプリケーションの通信占有率を判定する。比較部233は、判定した結果を占有率判定結果としてアプリケーション実行部210へ出力する。アプリケーション実行部210は、占有率判定結果に基づいて、通信頻度の調整を行うことができる。
【0032】
また、比較部233は、送信IDカウント値が受信IDカウント値に比べて大きいために、送信IDカウント値(送信データ数)と受信IDカウント値(受信データ数)の比率が所定の割合になっていない場合には、アプリケーションの通信リソースに対する占有率が高いと判定する。比較部233は、占有率が高いと判定したアプリケーションの通信頻度を引き下げる制御を占有率判定結果に含めてアプリケーション実行部210へ出力することもできる。アプリケーション実行部210は、占有率が高いと判定されたアプリケーションの通信頻度を引き下げることにより、無線通信システム100において、他のアプリケーションのために通信リソースが開放される。
【0033】
一方、比較部233は、受信IDカウント値が送信IDカウント値に比べて大きいために、送信IDカウント値と受信IDカウント値の比率が所定の割合になっていない場合には、アプリケーションの通信リソースに対する占有率が低いと判定する。比較部233は、占有率が低いと判定したアプリケーションの通信頻度を引き上げる制御を占有率判定結果に含めてアプリケーション実行部210へ出力することもできる。アプリケーション実行部210は、占有率が低いと判断されたアプリケーションの通信頻度を引き上げることにより、無線通信システム100において、当該アプリケーションが十分な通信リソースを確保し、効果的な通信を行うことができる。
【0034】
図1の無線通信システム100では、無線通信装置111は、追従アプリ121を実行している。そのため、無線通信装置111では、追従アプリ121に対する通信占有率の判定と、その判定結果に基づいた追従アプリ121の通信頻度の調整が行われる。具体的には、無線通信装置111の比較部233は、追従アプリ121の送信IDカウント値と受信IDカウント値を比較し、追従アプリ121の送信データ数と受信データ数が所定の割合になっているか判定する。アプリケーション実行部210は、比較部233の占有率判定結果に基づいて追従アプリ121の通信頻度を調整する。追従アプリ121の占有率が高いと判断された場合には、アプリケーション実行部210は、追従アプリ121の通信頻度を引き下げるように制御する。逆に、追従アプリ121の占有率が低いと判断された場合には、アプリケーション実行部210は、追従アプリ121の通信頻度を引き上げるように制御する。
【0035】
また、処理対象のアプリケーションが異なる以外は、無線通信装置112および無線通信装置113についても、無線通信装置111と同様の処理が行われる。すなわち、無線通信装置112は、追従アプリ121および見通し外アプリ122を実行しているため、無線通信装置112では、追従アプリ121および見通し外アプリ122に対する通信占有率の判定と、それらの判定結果に基づいた追従アプリ121および見通し外アプリ122の通信頻度の調整が行われる。無線通信装置113は、見通し外アプリ122を実行しているため、無線通信装置113では、見通し外アプリ122に対する通信占有率の判定と、その判定結果に基づいた見通し外アプリ122の通信頻度の調整が行われる。
【0036】
なお、無線通信装置112では、追従アプリ121と見通し外アプリ122の2つのアプリケーションに対する送信IDおよび受信IDのカウントが行われるため、アプリケーション間での送信IDおよび受信IDの比較に基づいたアプリケーションの通信頻度の調整も可能となる。図4は、実施の形態1に係る無線通信装置112の占有率判定部230の動作の一例を示す図である。図4には、追従アプリ121および見通し外アプリ122のそれぞれに対する送信IDカウント値、受信IDカウント値、送信ID適正比率、受信ID適正比率および通信頻度に対する制御が示されている。
【0037】
図4に示されるように、追従アプリ121の送信IDカウント値は10、見通し外アプリ122の送信IDカウント値は100であるため、追従アプリ121と見通し外アプリ122との間の送信ID比率は、10:100=1:10となる。これに対し、追従アプリ121と見通し外アプリ122との間の送信ID適正比率は、1:5である。また、追従アプリ121の受信IDカウント値は9、見通し外アプリ122の受信IDカウント値は90であるため、追従アプリ121と見通し外アプリ122との間の受信ID比率は、9:90=1:10となる。これに対し、追従アプリ121と見通し外アプリ122との間の受信ID適正比率は、2:5である。
【0038】
追従アプリ121と見通し外アプリ122の2つのアプリケーション間での送信ID比率および受信ID比率をそれぞれの適正比率と比較してみると、追従アプリ121の通信比率が低く、見通し外アプリ122の通信比率が高くなっていることがわかる。この結果をもとに、追従アプリ121の通信頻度を引き上げる制御がなされ、見通し外アプリ122の通信頻度を引き下げる制御がなされる。すなわち、比較部233は、追従アプリ121および見通し外アプリ122間で、装置IDカウント値および受信IDカウント値をそれぞれ比較し、追従アプリ121および見通し外アプリ122間での送信データ数および受信データ数がそれぞれ所定の割合であるかを判定する。比較部233は、この判定結果を占有率判定結果に含めて出力する。アプリケーション実行部210は、この占有率判定結果、つまり、追従アプリ121および見通し外アプリ122間での送信データ数および受信データ数がそれぞれ所定の割合であるかを判定した結果に基づいて、追従アプリ121または見通し外アプリ122の通信頻度の調整を行う。このように、複数のアプリケーション間の送信IDカウント値および受信IDカウント値を比較することによって、複数のアプリケーションの通信頻度を調整することができる。
【0039】
なお、上述の説明では、1つの無線通信規格に準拠した無線通信装置を使用する場合について説明した。しかし、例えば、無線周波数帯の異なる他の無線通信規格の信号を用いることで通信リソースを増やし、必要な通信量を確保してもよい。
【0040】
このように、実施の形態1によれば、アプリケーション実行部210は、1または複数のアプリケーションを実行して、アプリケーション識別情報を含む送信データをアプリケーション毎に出力する。通信部220は、他車両からアプリケーション識別情報を含む受信データを有するメッセージを受信し、アプリケーション識別情報を含む受信データを出力する。送信ID数カウンタ231は、送信データに含まれるアプリケーション識別情報の数をアプリケーション識別情報毎にカウントする。換言すれば、送信ID数カウンタ231は、アプリケーション毎にアプリケーションに係る送信データ数をカウントする。一方、受信ID数カウンタ232は、受信データに含まれるアプリケーション識別情報の数をアプリケーション識別情報毎にカウントする。換言すれば、受信ID数カウンタ232は、アプリケーション毎にアプリケーションに係る受信データ数をカウントする。比較部233は、アプリケーション毎に送信ID数カウンタ231のカウント結果である送信IDカウント値と受信ID数カウンタ232のカウント結果である受信IDカウント値とを比較して、アプリケーションに係る送信データ数と受信データ数が所定の割合であるかを判定する。
【0041】
アプリケーション実行部210は、比較部233による判定結果に基づいて、実行するアプリケーションの通信頻度を調整することができる。例えば、実行中のアプリケーションの送信IDカウント値(送信データ数)と受信IDカウント値(受信データ数)の比率が所定の割合になっていないと判定された場合には、アプリケーション実行部210は、実行中のアプリケーションの送信頻度を引き下げる、もしくは、送信頻度を引き上げる制御を行う。これにより、他のアプリケーションのための通信リソースの開放、もしくは、実行中のアプリケーションの十分な通信リソースの確保がなされる。これにより、無線通信装置に搭載されるアプリケーション、無線通信システムを構成する無線通信装置、同一の無線通信規格に準拠する異なる無線通信システムが増加しても、安定した通信が可能となる。
【0042】
[実施の形態2]
次いで、実施の形態2について説明する。実施の形態2は、所定時間内に使用された送信IDおよび受信IDの数に基づいて通信占有率を判定する点で、実施の形態1とは異なる。図5は、実施の形態2に係る無線通信装置300の構成の一例を示すブロック図である。図5に示されるように、図2のアプリケーション実行部210、占有率判定部230、送信ID数カウンタ231および受信ID数カウンタ232は、それぞれ、アプリケーション実行部210a、占有率判定部230a、送信ID数カウンタ231aおよび受信ID数カウンタ232aに変更される。また、占有率判定部230aは、図2に示された占有率判定部230の構成に加えて、第1のリセット部301を備える。
【0043】
第1のリセット部301は、アプリケーション実行部210a、送信ID数カウンタ231aおよび受信ID数カウンタ232aに接続される。第1のリセット部301は、アプリケーション実行部210aからアプリケーション毎に必要となる通信周期を周期情報として受け取る。アプリケーション実行部210aで実行されるアプリケーションは、その実行に必要な情報を他の車両から取得しているが、情報の更新が必要となる周期はアプリケーションによって異なる。例えば、追従アプリ121では、適切な車間距離で先行車に追従する必要があるため、加減速情報を常に交換する必要があり、通信周期が短い必要がある。一方、見通し外アプリ122では、運転者が警告に気が付き、減速等の適切な処理を行う必要があるため、車両間の距離が衝突に余裕がある場合、通信周期は長くてもよい。
【0044】
また、第1のリセット部301は、アプリケーション実行部210aから受け取った周期情報に基づいて、送信ID数カウンタ231aおよび受信ID数カウンタ232aにアプリケーション毎のリセット信号を出力する。送信ID数カウンタ231aおよび受信数カウンタ232aは、第1のリセット部301から受け取ったリセット信号に応答して、対応するアプリケーションの送信IDカウント値および受信IDカウント値をリセットする。例えば、第1のリセット部301から追従アプリ121に係る周期情報に基づいたリセット信号が出力された場合には、追従アプリ121の送信IDカウント値および受信IDカウント値がリセットされる。
【0045】
このように、実施の形態2によれば、送信IDカウント値および受信IDカウント値が各アプリケーションの通信周期に基づいて周期的にリセットされることで、占有率判定部230aは、必要となる範囲の通信占有率となっているかを反映した占有率の判定を精度よく行うことができる。
【0046】
[実施の形態2の変形例1]
次いで、実施の形態2の変形例1について説明する。実施の形態2の変形例1は、送信データの再送情報に基づいてリセット信号が生成される点で、実施の形態2とは異なる。図6は、実施の形態2の変形例1に係る無線通信装置400の構成の一例を示すブロック図である。図6に示されるように、図2のアプリケーション実行部210、占有率判定部230、送信ID数カウンタ231および受信ID数カウンタ232は、それぞれ、アプリケーション実行部210b、占有率判定部230b、送信ID数カウンタ231bおよび受信ID数カウンタ232bに変更される。また、占有率判定部230bは、図2に示された占有率判定部230の構成に加えて、第2のリセット部401を備える。
【0047】
第2のリセット部401は、アプリケーション実行部210b、送信ID数カウンタ231bおよび受信ID数カウンタ232bに接続される。第2のリセット部401は、アプリケーション実行部210bからアプリケーション毎の送信データの再送回数を再送情報として受け取る。無線通信システムでは、通信相手との接続が遮断されていることも多く、アプリケーション実行部210bから出力された送信データが、送信エラーとしてアプケーション実行部210bに通知される場合がある。この場合には、アプリケーション実行部210bは、送信エラーとなった送信データを再送する。アプリケーション実行部210bは、通信安定度を示す情報である再送の回数を再送情報として第2のリセット部401に出力する。
【0048】
また、第2のリセット部401は、アプリケーション実行部210bから受け取った再送情報に基づいて、送信ID数カウンタ231bおよび受信ID数カウンタ232bにアプリケーション毎のリセット信号を出力する。送信ID数カウンタ231bおよび受信数カウンタ232bは、第2のリセット部401から受け取ったリセット信号に応答して、対応するアプリケーションの送信IDカウント値および受信IDカウント値をリセットする。例えば、第2のリセット部401から追従アプリ121に係る再送情報に基づいたリセット信号が出力された場合には、追従アプリ121の送信IDカウント値および受信IDカウント値がリセットされる。
【0049】
このように、実施の形態2の変形例1によれば、送信IDカウント値および受信IDカウント値が各アプリケーションの再送周期に基づいて周期的にリセットされることで、占有率判定部230bは、通信安定度を考慮した占有率の判定を行うことができる。
【0050】
[実施の形態2の変形例2]
次いで、実施の形態2の変形例2について説明する。実施の形態2の変形例2は、破棄ID情報に基づいてリセット信号が生成される点で、実施の形態2および実施の形態2の変形例1とは異なる。図7は、実施の形態2の変形例2に係る無線通信装置500の構成の一例を示すブロック図である。図7に示されるように、図2のアプリケーション実行部210、占有率判定部230、送信ID数カウンタ231および受信ID数カウンタ232は、それぞれ、アプリケーション実行部210c、占有率判定部230c、送信ID数カウンタ231cおよび受信ID数カウンタ232cに変更される。また、占有率判定部230cは、図2に示された占有率判定部230の構成に加えて、第3のリセット部501を備える。
【0051】
第3のリセット部501は、アプリケーション実行部210c、送信ID数カウンタ231cおよび受信ID数カウンタ232cに接続される。第3のリセット部501は、アプリケーション実行部210cから破棄ID情報を受け取る。アプリケーション実行部210cは、通信部220から出力される受信データに含まれるアプリIDを参照して当該受信データが自分宛のデータであるか否かを判断する。より詳細には、アプリケーション実行部210cは、受信データに実行中のアプリケーションに係るアプリIDが含まれているか否かを確認する。受信データの中に実行中のアプリケーションに係るアプリIDが含まれていることを確認した場合には、アプリケーション実行部210cは、受信データが自分宛のデータであると判断する。一方、受信データの中に実行中のアプリケーションに係るアプリID以外のアプリIDが含まれていることを確認した場合には、アプリケーション実行部210cは、受信データが自分宛のデータではないと判断し、当該受信データを破棄する。例えば、アプリケーション実行部210cが追従アプリ121のみを実行中である場合には、見通し外アプリIDを含む受信データは、自装置外のアプリケーションに係るデータとして破棄される。アプリケーション実行部210cは、この破棄にあたり破棄ID情報を第3のリセット部501に出力する。
【0052】
また、第3のリセット部501は、アプリケーション実行部210cから受け取った破棄ID情報に基づいて、送信ID数カウンタ231cおよび受信ID数カウンタ232cにリセット信号を出力する。送信ID数カウンタ231cおよび受信数カウンタ232cは、第3のリセット部501から受け取ったリセット信号に応答して、送信IDカウント値および受信IDカウント値をリセットする。
【0053】
このように、実施の形態2の変形例2によれば、送信IDカウント値および受信IDカウント値が破棄ID情報に基づいて周期的にリセットされることで、占有率判定部230cは、必要となる範囲の通信占有率となっているかを反映した占有率の判定を精度よく行うことができる。
【0054】
[実施の形態2の変形例3]
次いで、実施の形態2の変形例3について説明する。実施の形態2の変形例3は、場所毎の通信履歴をデータベース化し、データベース化した通信履歴情報に基づいてリセット信号が生成される点で、実施の形態2、実施の形態2の変形例1および実施の形態2の変形例2と異なる。図8は、実施の形態2の変形例3に係る無線通信装置600の構成の一例を示すブロック図である。図8に示されるように、図2の占有率判定部230、送信ID数カウンタ231および受信ID数カウンタ232は、それぞれ、占有率判定部230d、送信ID数カウンタ231dおよび受信ID数カウンタ232dに変更される。また、占有率判定部230dは、図2に示された占有率判定部230の構成に加えて、第4のリセット部601を備える。さらに、無線通信装置600は、図2の無線通信装置111の構成に加えて、通信履歴管理部610を備える。
【0055】
通信履歴管理部610は、地図データ格納部611、座標データ出力部612、場所範囲設定部613および通信履歴格納部614を備える。地図データ格納部611は、地図データを格納する。地図データ格納部611は、通信履歴格納部614に接続され、地図データを通信履歴格納部614へ出力する。なお、地図データ格納部611は、地図データを予め格納しておく必要はなく、例えば、不図示の通信モジュールを介してインターネット回線から地図データを取得してもよい。座標データ出力部612は、例えば、不図示のGPS(Global Positioning System)モジュールから自車両の車両位置を特定するための座標データを取得する。座標データ出力部612は、通信履歴格納部614に接続され、座標データを通信履歴格納部614へ出力する。場所範囲設定部613は、通信履歴格納部614に接続され、場所を設定するための設定情報を通信履歴格納部614へ出力する。
【0056】
通信履歴格納部614は、送信ID数カウンタ231dおよび受信ID数カウンタ232dに接続される。通信履歴格納部614は、送信ID数カウンタ231dおよび受信ID数カウンタ232dからアプリケーション毎の送信IDカウント値および受信IDカウント値を受け取る。通信履歴格納部614は、地図データ、座標データおよび設定情報に基づいて、場所情報を生成する。通信履歴格納部614は、通信履歴情報として、アプリケーション毎の送信IDカウント値および受信IDカウント値を場所情報に関連付けて格納する。つまり、通信履歴格納部614は、場所別にアプリケーション毎の通信履歴をデータベース化する。
【0057】
また、通信履歴格納部614は、第4のリセット部601に接続される。通信履歴格納部614は、場所情報に関連付けられたアプリケーション毎の通信履歴情報を第4のリセット部601に出力する。第4のリセット部601は、送信ID数カウンタ231dおよび受信ID数カウンタ232dに接続される。第4のリセット部601は、場所情報に関連付けられたアプリケーション毎の通信履歴情報に基づいて、送信ID数カウンタ231dおよび受信ID数カウンタ232dへリセット信号を出力する。送信ID数カウンタ231dおよび受信ID数カウンタ232dは、第4のリセット部601から出力されたリセット信号に応答して、送信IDカウント値および受信IDカウント値をリセットする。
【0058】
このように、実施の形態2の変形例3によれば、例えば、見通し外アプリ122を起動した車両が所定の場所で通信を行う場合、所定の場所に係る見通し外アプリ122の通信履歴情報に基づいて見通し外アプリ122の送信IDカウント値および受信IDカウント値をリセットする。すなわち、他のアプリケーションの通信が行われる可能性が高い場所であるか否かを情報として、見通し外アプリ122の通信頻度の調整が可能となる。これにより、見通し外アプリ122が十分な通信リソースを確保し、効果的な通信を行うことができる。
【0059】
なお、通信履歴格納部614が通信履歴情報を更新するタイミングは特に限定されない。例えば、第4のリセット部601が通信履歴格納部614から出力された通信履歴情報に基づいてリセット信号を出力する際にも、通信履歴格納部614は、送信ID数カウンタ231dからの送信IDカウント値および受信ID数カウンタ232dからの受信IDカウント値を受けて、通信履歴情報を更新することができる。
【0060】
また、上述の実施の形態2の変形例3では、場所毎の通信履歴をデータベース化したが、これに限定されない。例えば、時間毎の通信履歴をデータベース化することもできる。さらには、場所と時間の両方、つまり、場所および時間毎の通信履歴をデータベース化してもよい。
【0061】
[実施の形態3]
次いで、実施の形態3について説明する。無線通信装置が車車間通信、路車間通信および路路間通信を行う際に、複数のアプリケーションが異なるまたは相反する指示を出すことがある。例えば、見通し外アプリ122は、見通し外にある車両が衝突の危険がある距離に位置すると判定した場合に、例えば、「見通し外車両の接近注意、減速推奨」といった通知を行う。一方、追従アプリ121は、先行車両の加速情報を受信すると、「車間距離を一定に保つために加速」を通知する。運転者または自動運転を行う車両がこの2つの通知に従う場合、相反する制御が必要となり、実行することができない。そこで、実施の形態3では、この問題を解決するための無線通信装置の構成および動作について説明する。
【0062】
図9は、実施の形態3に係る無線通信装置700の構成の一例を示すブロック図である。図9に示されるように、図5のアプリケーション実行部210aは、アプリケーション実行部210eに変更される。また、無線通信装置700は、図5の無線通信装置300の構成に加えて、情報更新判定部701を備える。
【0063】
アプリケーション実行部210eは、複数のアプリケーションを実行する。アプリケーション実行部210eは、情報更新判定部701に接続され、アプリケーション毎の情報更新要望として、変更内容を情報更新判定部701へ出力する。例えば、アプリケーション実行部210eは、追従アプリ121および見通し外アプリ122を実行する場合には、追従アプリ121に係る変更内容および見通し外アプリ122に係る変更内容のそれぞれを情報更新判定部701へ出力する。
【0064】
情報更新判定部701は、第1のリセット部301に接続され、アプリケーション毎の情報更新周期を示すリセット信号を受け取る。情報更新判定部701は、第1のリセット部301から出力されるアプリケーション毎のリセット信号に基づいて、アプリケーション毎の情報更新要望を実行する更新時刻を決定する。情報更新判定部701は、決定した更新時刻を情報更新判定結果として、アプリケーション実行部210eに通知する。アプリケーション実行部210eは、アプリケーション毎に、指定された更新時刻において情報更新指示を出力する。なお、例えば、複数のアプリケーションが相反する制御を要望した場合には、情報更新判定結果として実行可能な時刻が付与されない場合があることは言うまでもない。
【0065】
このように、実施の形態3によれば、情報更新判定部701は、複数のアプリケーションからの情報更新要望を受け取り、これらの情報更新要望を確認した上で各アプリケーションの情報更新周期に基づいて決定された更新時刻を各アプリケーションに指定する。これにより、複数のアプリケーションによる相反する制御を防ぐことが可能となり、より安定した無線通信装置および無線通信システムを構成することができる。
【0066】
なお、アプリケーション実行部210eが、複数のアプリケーションを実行中に整合の取れない情報を含んだ情報更新要望を同時に出力した場合には、情報更新判定部701は、整合の取れない情報が含まれているかを判定し、この判定結果を情報更新判定結果としてアプリケーション実行部210eに通知することができる。例えば、追従アプリ121と見通し外アプリ122の処理に基づいて、異なる現在の車両位置座標を含んだ情報更新要望を同時に出力された場合には、情報更新判定部701は、現在の車両位置座標が異なることをアプリケーション実行部210eに通知することができる。この場合、追従アプリ121と見通し外アプリ122は、情報の確からしさ(正当性)を確認できるようにしてもよい。
【0067】
また、無線通信装置や車両で起動可能なアプリケーションによって、情報の正当性の確認ができない場合には、無線通信システムを利用するアプリケーション全体の障害情報として管理、周知、改修するようにしてもよい。この場合、障害を検出した無線通信装置によって、対象となるアプリケーションの情報を含んだ障害情報を知らせるメッセージが通信されることが望ましい。
【0068】
各アプリケーションが障害情報を知らせるメッセージを適切に受信するためには、メッセージ内の読む場所もしくは読むように新たに決めた場所が必要なる。例えば、無線通信システムにおいて提供される個別のサービス規格に全アプリケーションが確認するID(個別サービス規格ID)を定義してもよい。この場合、定義した個別サービス規格IDおよび対象となるアプリケーションの情報、例えば、アプリIDを含んだメッセージが、障害情報を知らせるメッセージとして送信される。なお、障害情報通知用に専用の個別サービス規格IDを付与することで、全てのサービス規格において読み取り可能なメッセージとしてもよい。
【0069】
実施の形態1ないし3では、無線通信装置の構成および機能を図2、5ないし9のブロック図を参照して説明したが、これらの図中のブロックの機能は、ハードウェア(H/W)もしくはソフトウェア(S/W)によって構成されることができる。例えば、図2のアプリケーション実行部210は、CPU(Central Processing Unit)がアプリケーションプログラムを実行することで実現可能である。図10は、無線通信装置のH/W構成の一例を示すブロック図である。図10に示されるように、CPU801、メモリ802および無線部804は、バス803を経由して互いに接続されている。図2のアプリケーション実行部210は、CPU801がメモリ802に格納されたアプリケーションプログラム(例えば、追従アプリ121や見通し外アプリ122に係るアプリケーションプログラム)をバス803を介して読み出し、読み出したアプリケーションプログラムを実行することで実現され得る。同様に、図2の通信部220および占有率判定部230についても、CPU801、メモリ802、メモリ802に格納されたプログラムおよび無線部804の全てまたは一部を用いて実現可能である。
【0070】
また、図2の通信部220および占有率判定部230は、H/Wのみでも構成することができる。この場合、例えば、通信部220および占有率判定部230は、半導体装置を用いた回路で構成される。これらの回路は、複数の半導体装置もしくは半導体チップに分けて形成されてもよく、また、1つの半導体装置もしくは1つの半導体チップ上に纏めて形成されてもよい。
【0071】
また、実施の形態1ないし3では、無線通信装置が車両に搭載されていると説明したが、ここでいう車両に搭載するとは、無線通信装置が車両本体に部品の一部として組み込まれている態様に限定されない。例えば、スマートフォンなどのモバイル端末を車両に持ち込まれる態様が含まれてもよい。
【0072】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は既に述べた実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0073】
100: 無線通信システム
101、102、103: 車両
104: 路側機
111、112、113、300、400、500、600、700: 無線通信装置
121: 先行車追従アプリケーション
122:見通し外車両警告アプリケーション
131: 車車間メッセージ
132: 路車間メッセージ
210、210a、210b、210c、210e: アプリケーション実行部
220: 通信部
230、230a、230b、230c、230d: 占有率判定部
231、231a、231b、231c、231d: 送信ID数カウンタ
232、232a、232b、232c、232d: 受信ID数カウンタ
233:比較部
301: 第1のリセット部
401: 第2のリセット部
501: 第3のリセット部
601: 第4のリセット部
610: 通信履歴管理部
611: 地図データ格納部
612: 座標データ出力部
613: 場所範囲設定部
614: 通信履歴格納部
701: 情報更新判定部
801: CPU
802: メモリ
803: バス
804: 無線部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10