IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ユニバーサル・バイオ・リサーチ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-核酸検出用カートリッジ 図1
  • 特許-核酸検出用カートリッジ 図2
  • 特許-核酸検出用カートリッジ 図3
  • 特許-核酸検出用カートリッジ 図4
  • 特許-核酸検出用カートリッジ 図5
  • 特許-核酸検出用カートリッジ 図6
  • 特許-核酸検出用カートリッジ 図7
  • 特許-核酸検出用カートリッジ 図8
  • 特許-核酸検出用カートリッジ 図9
  • 特許-核酸検出用カートリッジ 図10
  • 特許-核酸検出用カートリッジ 図11
  • 特許-核酸検出用カートリッジ 図12
  • 特許-核酸検出用カートリッジ 図13
  • 特許-核酸検出用カートリッジ 図14
  • 特許-核酸検出用カートリッジ 図15
  • 特許-核酸検出用カートリッジ 図16
  • 特許-核酸検出用カートリッジ 図17
  • 特許-核酸検出用カートリッジ 図18
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-26
(45)【発行日】2022-11-04
(54)【発明の名称】核酸検出用カートリッジ
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20221027BHJP
   G01N 35/02 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
C12M1/00 A
G01N35/02 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019517692
(86)(22)【出願日】2018-05-10
(86)【国際出願番号】 JP2018018138
(87)【国際公開番号】W WO2018207875
(87)【国際公開日】2018-11-15
【審査請求日】2021-01-26
(31)【優先権主張番号】P 2017095410
(32)【優先日】2017-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】502338292
【氏名又は名称】ユニバーサル・バイオ・リサーチ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100141025
【弁理士】
【氏名又は名称】阿久津 勝久
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】田島 秀二
【審査官】松田 芳子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/050198(WO,A1)
【文献】特表2014-528577(JP,A)
【文献】特開2017-072616(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体から核酸を抽出し、抽出した核酸を増幅し、増幅した核酸を検出する装置に用いるための、核酸検出用カートリッジであって、
前記核酸検出用カートリッジのベース部材が、
複数の核酸抽出ウェルであって、少なくとも一つの核酸抽出用試薬が予め密封された少なくとも一つの核酸抽出ウェルを含む、複数の核酸抽出ウェルと、
核酸を増幅し増幅した核酸を測定する核酸増幅測定ウェルと、
複数の核酸増幅用試薬がそれぞれ予め密封された、1つ又は複数の試薬容器とを備え、
前記1つ又は複数の試薬容器、及び前記核酸増幅測定ウェルが、前記ベース部材に対して直線的に配置され、
前記核酸増殖測定ウェルは、円筒部と、前記円筒部の外側面に形成された複数の爪部又は複数の凸部と、前記円筒部の上端に形成されたフランジ部とから構成され、前記ベース部材が第1開口部を備え、前記円筒部の外径は、第1開口部の直径よりも小さく形成され、前記複数の爪部又は複数の凸部の上端面と前記フランジ部の下端面との間の距離は、前記第1開口部周囲の前記ベース部材の厚さよりも大きく形成され、前記複数の爪部又は複数の凸部、及び前記フランジ部の間に、前記第1開口部周囲の前記ベース部材が挟み込まれることによって、前記核酸増幅測定ウェルが、前記ベース部材に対して密着固定されずに嵌め込まれている、核酸検出用カートリッジ。
【請求項2】
請求項1に記載の核酸検出用カートリッジにおいて、
前記核酸増幅測定ウェルが、前記ベース部材に対して、縦方向及び横方向に自由度を有した状態で嵌め込まれている、核酸検出用カートリッジ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の核酸検出用カートリッジにおいて、
前記円筒部の外径は、前記第1開口部の直径に対して、約0.1~約2.0%小さく形成される、核酸検出用カートリッジ。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の核酸検出用カートリッジにおいて、
前記第1開口部周囲の前記ベース部材の厚さは、前記爪部及び前記フランジ部の間の距離に対して、約0.1~約2.0%小さく形成される、核酸検出用カートリッジ。
【請求項5】
請求項1~のいずれか一項に記載の核酸検出用カートリッジにおいて、
前記1つ又は複数の試薬容器が、前記ベース部材に対して嵌め込まれている、核酸検出用カートリッジ。
【請求項6】
請求項1~のいずれか一項に記載の核酸検出用カートリッジにおいて、
前記核酸増幅測定ウェルは、光の反射効率が高い材料から形成される、核酸検出用カートリッジ。
【請求項7】
請求項に記載の核酸検出用カートリッジにおいて、
前記光の反射効率が高い材料は、白色樹脂材料である、核酸検出用カートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体関連物質の抽出検出に用いるカートリッジに関し、より詳細には核酸の抽出、増幅、検出を実行するための核酸検出用カートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から生体関連物質を免疫測定法を用いて自動的に検出するために、特許文献1や2に示すようなカートリッジが用いられてきた。近年、PCRに用いるDNAを抽出するために、DNA抽出試薬等がプレフィルドされたカートリッジが提供されている。
【0003】
しかし、DNAの抽出からPCRによる増幅、増幅されたDNAの測定までを一つのカートリッジで行うには、各処理に用いる試薬の特徴や測定条件等の要求により製造工程や部材としての仕様がさまざまであり、一つのカートリッジに一体化することは困難が生じていた。一体化を困難にする仕様としては、(A)検体からDNAを抽出する試薬(ライシスバッファー、洗浄用バッファー等)の選択、(B)PCR試薬(マスターミックス、プライマー、バッファー等)の選択、(C)PCRを実行しつつ測定するウェルの配置が考えられる。
【0004】
PCR用試薬は、わずかなコンタミネーションも許さないため、例えば、(i)DNAポリメラーゼ、(ii)DNAプライマー等のDNA配列部材、(iii)溶解バッファー液等は、それぞれ、完全に隔離された部屋で調整し、リオフィライズされ、アルミシールにより容器内に密封される必要ある。密封された容器を、アッセンブリー用の部屋へ移送して、まとめてPCR用キットとして提供されていた。
【0005】
したがって、(i)、(ii)、及び(iii)の試薬等を自動的に混合する技術が確立されたとしても、(i)、(ii)、及び(iii)の試薬等を分離したカートリッジ/ウェルのキットとして提供せざるを得なかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平11-316226号公報
【文献】特開2006-125868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、核酸の抽出、増幅、及び測定に用いる各試薬が密封された新規な構造の核酸検出用カートリッジを提供することを目的とする。または、本発明は、試薬の特徴や測定条件等の要求により構造が変更可能な核酸検出用カートリッジの提供を目的とする。もしくは、本発明は、核酸の抽出、増幅、及び測定に用いる各試薬のコンタミネーションの可能性が低減しつつ、これらの試薬が予め密封された核酸検出用カートリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の各態様は次の通りである。
(態様1)
検体から核酸を抽出し、抽出した核酸を増幅し、増幅した核酸を検出する装置に用いるための、核酸検出用カートリッジであって、
複数の核酸抽出ウェルを備える第1部材であって、少なくとも一つの核酸抽出用試薬が予め密封された少なくとも一つの核酸抽出ウェルを含む、第1部材と、
核酸を増幅し増幅した核酸を測定する核酸増幅測定ウェルを備える、第2部材と、
一つ又は複数の核酸増幅用試薬がそれぞれ予め密封された、一つ又は複数の試薬容器とを備え、
前記一つ又は複数の試薬容器が、前記第1部材及び/又は前記第2部材の一部として固定されることにより、前記第1部材、前記第2部材、及び前記複数の試薬容器が一体化された、核酸検出用カートリッジ。
【0009】
(態様2)
態様1に記載の核酸検出用カートリッジにおいて、
前記核酸検出用カートリッジは、前記第1部材及び前記第2部材によって挟まれた状態で前記第1部材及び前記第2部材に固定される、核酸検出用カートリッジ。
(態様3)
態様1又は2に記載の核酸検出用カートリッジにおいて、
前記複数の核酸増幅試薬容器は、前記第1部材に形成された第1開口部、及び/又は前記第2部材に形成された第2開口部に嵌合される、核酸検出用カートリッジ。
(態様4)
態様3に記載の核酸検出用カートリッジにおいて、
前記第1部材は、前記複数の核酸抽出ウェルが開口した第1上面板と、前記第1開口部を有する取付板とを備え、
前記第2部材は、前記第2開口部を有する第2上面板を備え、
前記取付板に前記第2上面板が取り付けられる、核酸検出用カートリッジ。
(態様5)
態様3又は4に記載の核酸検出用カートリッジにおいて、
前記第1開口部又は前記第2開口部の内面に突出部が形成され、前記容器は、当該容器の外面に突出するフランジ部を備え、前記突出部に前記フランジ部が載置される、核酸検出用カートリッジ。
【0010】
(態様6)
態様5に記載の核酸検出用カートリッジにおいて、
前記突出部は環状突出部であり、前記フランジ部は環状フランジ部である、核酸検出用カートリッジ。
(態様7)
態様1~6のいずれか一項に記載の核酸検出用カートリッジにおいて、
前記第1部材又は前記第2部材の一方に形成された複数の凹部と、前記第1部材又は前記第2部材の他方に形成された複数の爪部とを備え、前記複数の爪部が前記複数の凹部を係止することにより、前記第1部材、前記第2部材、及び前記複数の試薬容器が一体化されている、核酸検出用カートリッジ。
(態様8)
態様1~7のいずれか一項に記載の核酸検出用カートリッジにおいて、
前記第1部材及び前記第2部材が融着されている、核酸検出用カートリッジ。
(態様9)
態様1~8のいずれか一項に記載の核酸検出用カートリッジにおいて、
前記核酸検出用カートリッジは、カートリッジピッカーによって吸着される複数の吸着部を備える、核酸検出用カートリッジ。
(態様10)
態様9に記載の核酸検出用カートリッジにおいて、
前記複数の吸着部は、前記第1部材及び前記第2部材にそれぞれ形成された窪みである、核酸検出用カートリッジ。
【0011】
(態様11)
態様1~10のいずれか一項に記載の核酸検出用カートリッジにおいて、
前記第1部材は、抽出された核酸を加熱して熱変性させるための加熱ウェルを備えている、核酸検出用カートリッジ。
(態様12)
態様1~11のいずれか一項に記載の核酸検出用カートリッジにおいて、
前記容器は、開口部と、前記開口部を密封するシールと、前記シールに形成された容器情報記憶部とを備える、核酸検出用カートリッジ。
(態様13)
態様1~14のいずれか一項に記載の核酸検出用カートリッジにおいて、
前記第1部材は、その長手方向にそって複数のリブを備えている、核酸検出用カートリッジ。
(態様14)
態様1~16のいずれか一項に記載の核酸検出用カートリッジにおいて、
前記第2部材は、その長手方向にそって複数のリブを備えている、核酸検出用カートリッジ。
(態様15)
態様1~16のいずれか一項に記載の核酸検出用カートリッジにおいて、
前記核酸増幅測定ウェルが、前記第2部材に対して密着固定されずに嵌め込まれている、核酸検出用カートリッジ。
【0012】
(態様16)
検体から核酸を抽出し、抽出した核酸を増幅し、増幅した核酸を検出する装置に用いるための、核酸検出用カートリッジであって、
前記核酸検出用カートリッジのベース部材が、
複数の核酸抽出ウェルであって、少なくとも一つの核酸抽出用試薬が予め密封された少なくとも一つの核酸抽出ウェルを含む、複数の核酸抽出ウェルと、
核酸を増幅し増幅した核酸を測定する核酸増幅測定ウェルと、
複数の核酸増幅用試薬がそれぞれ予め密封された、1つ又は複数の試薬容器とを備え、
前記1つ又は複数の試薬容器、及び前記核酸増幅測定ウェルが、前記ベース部材に対して直線的に配置され、
前記核酸増幅測定ウェルが、前記ベース部材に対して密着固定されずに嵌め込まれている、核酸検出用カートリッジ。
【0013】
(態様17)
態様16に記載の核酸検出用カートリッジにおいて、
前記核酸増幅測定ウェルが、前記ベース部材に対して、縦方向及び/又は横方向に自由度を有した状態で嵌め込まれている、核酸検出用カートリッジ。
(態様18)
態様16又は17に記載の核酸検出用カートリッジにおいて、
前記核酸増幅測定ウェルが円筒部を備え、前記ベース部材が第1開口部を備え、前記円筒部が前記第1開口部に嵌め込まれ、これによって、前記核酸増幅測定ウェル及び前記ベース部材の間で横方向の移動が制限される、核酸検出用カートリッジ。
(態様19)
態様18に記載の核酸検出用カートリッジにおいて、
前記核酸増幅測定ウェルの円筒部の外径は、前記ベース部材の第1開口部の直径よりも小さく形成される、核酸検出用カートリッジ。
(態様20)
態様19に記載の核酸検出用カートリッジにおいて、
前記円筒部の外径は、前記第1開口部の直径に対して、約0.1~約2.0%小さく形成される、核酸検出用カートリッジ。
(態様21)
態様16~20のいずれか一項に記載の核酸検出用カートリッジにおいて、
前記核酸増幅測定ウェルが、複数の爪部又は複数の凹部、及びフランジ部を備え、前記複数の爪部又は複数の凹部、及び前記フランジ部の間に、前記第1開口部周囲の前記ベース部材が挟み込まれ、これによって、前記核酸増幅測定ウェル及び前記ベース部材の間で縦方向の移動が制限される、核酸検出用カートリッジ。
【0014】
(態様22)
態様21に記載の核酸検出用カートリッジにおいて、
前記複数の爪部又は前記複数の凹部と前記フランジ部との間の距離は、前記ベース部材の前記第1開口部周囲の前記ベース部材の厚さよりも大きく形成される、核酸検出用カートリッジ。
(態様23)
態様22に記載の核酸検出用カートリッジにおいて、
前記第1開口部周囲の前記ベース部材の厚さは、前記爪部及び前記フランジ部の間の距離に対して、約0.1~約2.0%小さく形成される、核酸検出用カートリッジ。
(態様24)
態様16~23のいずれか一項に記載の核酸検出用カートリッジにおいて、
前記1つ又は複数の試薬容器が、前記ベース部材に対して嵌め込まれている、核酸検出用カートリッジ。
(態様25)
態様1~24のいずれか一項に記載の核酸検出用カートリッジにおいて、
前記核酸増幅測定ウェルは、光の反射効率が高い材料から形成される、核酸検出用カートリッジ。
【0015】
(態様26)
態様25に記載の核酸検出用カートリッジにおいて、
前記光の反射効率が高い材料は、白色樹脂材料である、核酸検出用カートリッジ。
(態様27)
態様1~26のいずれか一項に記載の核酸検出用カートリッジを積み重ねて収容するカートリッジ収容体。
(態様28)
態様27に記載のカートリッジ収容体において、最下段の核酸検出用カートリッジを押し出すための開口を備える、カートリッジ収容体。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、試薬の特徴や測定条件等の要求により構造が変更可能な核酸検出用カートリッジを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1の実施形態に係る核酸検出用カートリッジの斜視図である。
図2図1の核酸検出用カートリッジの分解斜視図である。
図3図2の第1部材の斜視図である。
図4図2の第2部材の斜視図である。
図5図2の容器の斜視図である。
図6図1の核酸検出用カートリッジの、(a)側面図、(b)上面図、及び(c)下面図である。
図7図6(a)の核酸検出用カートリッジの、(a)左端面図、及び(b)右端面図である。
図8図1の核酸検出用カートリッジをカートリッジピッカーで取り出す状態の側面図である。
図9図1の核酸検出用カートリッジを収容するカートリッジカートンの斜視図である。
図10図9のカートリッジカートンの分解斜視図である。
図11】アルミシールで密封された図5の容器の斜視図である。
図12】本発明の第2の実施形態に係る核酸検出用カートリッジの斜視図である。
図13図12の核酸検出用カートリッジの(a)上面図、(b)分解断面図である。
図14図12の核酸検出用カートリッジに用いる核酸増幅測定ウェルの斜視図である。
図15図12の核酸検出用カートリッジに用いるPCR試薬容器の斜視図である。
図16図12の核酸検出用カートリッジの第1の変形形態の斜視図である。
図17図12の核酸検出用カートリッジの第2の変形形態の斜視図である。
図18】本発明の第3の実施形態に係る核酸検出用カートリッジの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の各実施形態に係る核酸検出用カートリッジを図面を参照して説明する。各図において同一部分には同一符号を付して説明する。各実施形態の核酸検出用カートリッジは、核酸抽出増幅検出装置に搭載して用いられる。
【0019】
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係る核酸検出用カートリッジ100を図1及び図2を用いて説明する。核酸検出用カートリッジ100は、第1部材110と、第2部材120と、第1部材110及び第2部材120によって挟まれた状態で第1部材110及び第2部材120に固定される1つ又は複数の試薬容器130とから構成される。核酸検出用カートリッジ100は、全体として細長い形状であり、第1吸着部114(窪み)及び第2吸着部124(窪み)を備える。第1吸着部114及び第2吸着部124は、後述するカートリッジピッカー540によって吸着される。第1吸着部114及び第2吸着部124は、核酸検出用カートリッジ100の長手方向に距離を開けて配置される。限定するものではないが、好ましくは、第1吸着部114は、核酸検出用カートリッジ100の一端側に設け、第2吸着部124は、核酸検出用カートリッジ100の他端側に設けることができる。
【0020】
第1部材(ベース部材)110を図3を用いて説明する。第1部材110は、板状の第1上面板111と、第1上面板111より低く配置された取付板111Aと、第1上面板111に開口した複数の核酸抽出ウェル112と、第1上面板111の外端側に設けられた第1吸着部114と、第1上面板111に開口した複数の加熱ウェル116と、複数の試薬容器130を収容するために、取付板111Aに形成された複数の第1開口部115と、取付板111Aの周縁から上方に突出する複数の爪部119とを備える。
【0021】
複数の核酸抽出ウェル112は、密封された試薬を収容したウェルを含む。複数の核酸抽出ウェル112は、好ましくは、凍結乾燥されたライシスバッファー、核酸を吸着可能な磁性粒子、洗浄用バッファーの少なくとも一つを密封したウェルを含む。ウェルの密封には、好ましくはアルミシールを用いることができる。アルミシールは、分注ノズルに設けられたピアサーにより穿孔される。複数の加熱ウェル116は、抽出したDNAを変性するためにヒートブロックによって加熱可能である。核酸抽出ウェル112、及び/又は加熱ウェル116の開口は、好ましくは矩形状とし、核酸抽出ウェル112、及び/又は加熱ウェル116の底壁部は、四角錐状に下方に突出するよう形成されてもよい。なお、代替的に、核酸抽出ウェル112、及び/又は加熱ウェル116の開口が円形状とされ、核酸抽出ウェル112、及び/又は加熱ウェル116の底壁部は、円錐状に下方に突出するよう形成されてもよい。第1開口部115の内面には、好ましくは、環状に突出する環状突出部115aが形成される。
【0022】
複数の核酸抽出ウェル112の両側面には、好ましくは、第1部材100の長手方向にそって、リブ118aが形成されてもよい。リブ118aは、好ましくは、第1上面板111の下面から下方に延びてもよい。リブ118aの間には、好ましくは、第1部材100の長手方向と並行に、リブ118bが形成されてもよい。複数の第1開口部115の周囲には、好ましくは、第1部材100の長手方向と並行に、一対のリブ117が形成されてもよい。リブ117は、好ましくは、取付板111の下面から下方に延びてもよい。
【0023】
第2部材120を図4を用いて説明する。第2部材120は、細長い第2上面板121と、第2上面板121に開口した第2開口部122と、第2上面板121上に配置された情報記録部127と、抽出された核酸の増幅及び測定を行うための核酸増幅測定ウェル123と、第2吸着部124と、取付板121の周縁に形成される複数の切欠部又は凹部126とを備える。情報記録部127は、好ましくはバーコード、QRコード(登録商標)、又はICタグとすることができる。第2吸着部124の両側面には、好ましくは、第2部材120の長手方向と並行に、リブ125aが形成されてもよい。リブ125aは、好ましくは、取付板121の下面から下方に延びてもよい。リブ125aの間には、好ましくは、第2部材120の長手方向と並行に、リブ125bが形成されてもよい。核酸増幅測定ウェル123は、抽出された核酸を収容する。抽出された核酸に対して、核酸増幅測定ウェル123内で、リアルタイムPCRが実行される。核酸増幅測定ウェル123の周囲には、サーマルサーキュラーが配置され、サーマルサーキュラーはPCRのために所定温度で加熱冷却を繰り返す。
【0024】
リアルタイムPCRの際、核酸を測定するために、核酸増幅測定ウェル123の開口の上方からトリガー光(励起光)が照射され、測定される核酸の量と関係する蛍光物質が蛍光を発する。蛍光は、核酸増幅測定ウェル123の開口の上方で測定される。核酸増幅測定ウェル123の上方には、測定用ノズル(不図示)が移動可能に配置されている。
【0025】
測定用ノズルは、核酸増幅測定ウェル123に対するトリガー光を照射する照射用光ファイバーと、核酸増幅測定ウェル123からの蛍光を受光する受光用光ファイバーとを備える。照射用光ファイバーは光源に接続され、受光用光ファイバーは受光素子に接続される。核酸増幅測定ウェル123の上方からの蛍光測定効率を向上するために、核酸増幅測定ウェル123は、好ましくは、蛍光の反射効率が高い材料、例えば白色の樹脂材料から形成することができる。
【0026】
PCR試薬を収容する試薬容器130を図5を用いて説明する。試薬容器130は、円形開口部133と、上側外面から環状に突出するフランジ部131と、円錐状に下方に突出する収容壁部132と、円形開口部133を形成する環状縁部134とを備える。第1の実施形態において、複数の試薬容器130は、例えば、次の(i)~(iii)の3種類の試薬等を独立して密閉収容するために3個の試薬容器130を備えることが好ましい。3種類の試薬等は、(i)凍結乾燥されたマスターミックス、(ii)コントロール、(iii)溶解バッファー液とすることができる。マスターミックスは、例えば、プライマー、DNAポリメラーゼ、dNTPs、蛍光色素等を含むことができる。コントロールは、検出対象のDNAと関連する塩基配列を有したDNA等であり、PCR反応が適切に行われることを確認するために加えられる。複数の試薬容器130は、仕様によっては、2種類、または4種類以上の試薬等を収容するために、2個の試薬容器130、または4個以上の試薬容器130を備えるように変更することもできる。このように変更する場合は、第2部材120の第2開口部122を2個、または4個以上とするのみで、第1部材110は変更することなく、この変更に対応することができる。
【0027】
2個の試薬容器130を備える場合は、2種類の試薬等が独立して密閉収容される。2種類の試薬等は、(i)凍結乾燥されたマスターミックス、(ii)溶解バッファー液とすることができる。このマスターミックスは、例えば、DNAポリメラーゼ、プライマー、dNTPs、蛍光色素等を含むことができる。
4個の試薬容器130を備える場合は、4種類の試薬等が独立して密閉収容される。4種類の試薬等は、(i)凍結乾燥されたマスターミックス、(ii)プライマー、(iii)コントロール、(iv)溶解バッファー液とすることができる。このマスターミックスは、例えば、DNAポリメラーゼ、dNTPs、蛍光色素を含むことができる。
なお、凍結乾燥されたマスターミックスに替えて、液体試薬としたマスターミックスを一つの試薬容器130に封入することもできる。さらに、DNAポリメラーゼを乾燥凍結して試薬容器130に封入し、プライマー、dNTPs、及び蛍光色素(プローブ)を添加した溶解バッファーを一つの試薬容器130に封入することもできる。
【0028】
核酸検出用カートリッジの100の組み立てを図2を用いて説明する。試薬容器130を第1部材110のPCR試薬容器用開口115に収容すると、PCR試薬容器用開口115の環状突出部115a上に、試薬容器130のフランジ部131が載置され、フランジ部131がPCR試薬容器用開口115に嵌め込まれて、試薬容器130が第1部材110に対して取付られた取付状態となる。この取付状態で、第2部材120の第2開口部122に、試薬容器130の環状縁部134を嵌め込むと第1部材110の複数の爪部119が、第2部材120の複数の切欠部126に嵌って第2部材120を係止することにより、第1部材110が第2部材120を保持することができる。
【0029】
カートリッジピッカー540による核酸検出用カートリッジ100のピックアップを図8を用いて説明する。カートリッジピッカー540は、カートリッジ供給ステージ500の上方で三次元的に移動可能に設けられている。カートリッジピッカー540は、核酸検出用カートリッジ100の第1吸着部(窪み)114及び第2吸着部124を吸着する一対の吸着部(凸部)540aと、一対の吸着部540aを昇降するための昇降用モータ540bと、水平方向に延びる第1レール542にそって、カートリッジピッカー540を移動する水平移動用モータ540cとを備える。
【0030】
一対の吸着部540aは、それぞれ円錐状に突出しその先端には吸着口が設けられ、当該吸着口は、不図示の真空ポンプに接続される。核酸検出用カートリッジ100をピックアップする際には、カートリッジピッカー540を核酸検出用カートリッジ100の上方に移動し、破線で示すように一対の吸着部540aを降下させて核酸検出用カートリッジ100を吸着する。カートリッジピッカー540は、核酸検出用カートリッジ100を吸着した状態で上昇し、カートリッジ100を、核酸の抽出、増幅、及び測定を行う処理レーン300に移動して、処理レーン300に核酸検出用カートリッジ100を載置する。
【0031】
一対の吸着部540aは、吸着部支持部材540eにより支持されている。好ましくは、吸着部支持部材540eに伸縮機構を設けることにより、一対の吸着部540の間の距離を、長手方向の寸法が異なるカートリッジに応じて変更して、これらのカートリッジをピックアップすることができる。伸縮機構を設けない場合、長さが異なる複数の吸着部支持部材を設けることにより、異なる寸法のカートリッジをピックアップすることもできる。さらに、カートリッジピッカー540は、カートリッジ情報記憶部127及び/又は容器情報記憶部136から、情報を読み出すための情報読出部540eを備えている。
【0032】
複数の核酸検出用カートリッジ100を収容するカートリッジカートン(カートリッジ収容体)600を、図9及び図10を用いて説明する。カートリッジカートン600は、複数の核酸検出用カートリッジ100を縦方向に積み重ねて収容する。カートリッジカートン600は、一対の枠体601と、カートリッジカートン600の幅狭側面の下部に形成された開口602と、開口602を閉鎖するキャップ603とから構成される。図9及び図10には、一方の開口602のみが図示されているが、一方の開口602と対向する幅狭側面の下部に同様に他方の開口602を備えている。一方の開口602から、不図示の押し出し棒がカートリッジカート600内に挿入されて、最下段に位置する核酸検出用カートリッジ100を押圧して、他方の開口602からこの核酸検出用カートリッジ100をカートリッジ供給ステージ500上に押し出す。
【0033】
第1の実施形態の試薬容器130及び第2の実施形態の試薬容器130Aは、図11に示すように、その開口がシール(アルミシール)135で密閉され、シール135には、製造ロット等の容器管理情報136が印字されている。また、この容器管理情報136と、カートリッジ情報記憶部(バーコード等)127の情報とを紐付けて、試薬情報を詳細に管理することができる。
【0034】
第1の実施形態の核酸検出用カートリッジ100は、3つの分離したPCR試薬等をカートリッジに搭載する場合、これらを3つの試薬容器130にプレフィルドしてアルミシールで密封する。反応工程でのアルミシールをピアシングして穿孔する際、分注チップを試薬容器130に挿入すると、試薬容器130が浮き上がる可能性がある。この浮き上がりを排除するために、試薬容器130の環状部131を上下から第1部材110及び第2部材120で挟み込んで固定する構造とした。
【0035】
第1の実施形態において、第1部材110(DNA抽出試薬等保管部分)及び第2部材120(DNA増幅測定部分)は、代替的に、加熱超音波による溶着一体化をしてもよい。
各実施形態において、カートリッジ100、100A~Dの常温管理(保管)を行うためには、ウェル112に収容されるDNA抽出試薬(ライシス用バッファー)、及び試薬容器130、130Aに収容されるポリメラーゼについてはリオフィライズして密封することが好ましい。各実施形態において、好ましくはリアルタイムPCRの実行の際、ウェル123、123Aはキャップが嵌められる。
【0036】
各実施形態において、DNA抽出からPCR測定までの全反応工程を、一体化された核酸検出用カートリッジ上で実行することができ、さらに、プレフィルドされた試薬やバッファーを密封しているので、これらの煩わしい管理からユーザを解放することができる。第1の実施形態において、「複数の容器が、第1部材及び/又は第2部材の一部として固定される」とは、複数の容器がそれぞれ第1部材及び/又は第2部材の一部となるように、第1部材及び/又は第2部材に対して、溶着、接着、及び/又は嵌合されることを意味する。さらに、本発明において、「第1部材、第2部材、及び複数の容器が一体化された」とは、第1部材、第2部材、及び複数の容器が、直接的又は間接的に互いに対して、溶着、接着、及び/又は嵌合されることにより、一つの核酸検出用カートリッジを構成することを意味する。
【0037】
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係る核酸検出用カートリッジ100Aを図12図15を用いて説明する。図12及び図13に示すように、核酸検出用カートリッジ100Aは、ベース部材110Aと、ベース部材110Aに取り付けられる核酸増幅測定ウェル(PCRチューブ)123Aと、ベース部材110Aに取り付けられる複数の試薬容器(試薬チューブ)130Aとから構成される。ベース部材110Aは、好ましくは複数の核酸抽出ウェル112と、複数の加熱ウェル116とが一体成型されている。ベース部材110Aは、核酸増幅測定ウェル123Aを受け入れるために、円形に開口した第1開口部141と、複数の試薬容器130Aをそれぞれ受け入れるために、円形に開口した複数の第2開口部143とを備える。第1開口部141、複数の第2開口部143は、ベース部材110Aに対して直線的又は一列に配置される。したがって、複数の試薬容器130A、及び核酸増幅測定ウェル123Aも、ベース部材110Aに対して直線的又は一列に配置される。
【0038】
核酸増幅測定ウェル123Aは、第1の実施形態の核酸増幅測定ウェル123と同様に、抽出された核酸を収容する。抽出された核酸に対して、核酸増幅測定ウェル123A内で、リアルタイムPCRが実行される。核酸増幅測定ウェル123Aの周囲には、サーマルサーキュラーが配置され、サーマルサーキュラーはPCRのために所定温度で加熱冷却を繰り返す。
【0039】
図14に示すように、核酸増幅測定ウェル123Aは、その上面開口を密閉するためのキャップ(不図示)を受け入れる円筒部123A1と、円筒部123A1の下方に形成されて、抽出核酸溶液を収容する収容部123A2と、円筒部123A1の外側面に形成された複数の爪部123A4と、円筒部123A1の上端に形成されたフランジ部123A3とから構成される。核酸増幅測定ウェル123Aは、核酸増幅測定ウェル123と同様に反射効率の高い材料、例えば白色樹脂材料から形成することができる。
【0040】
核酸増幅測定ウェル123Aの円筒部123A1は、ベース部材110Aの第1開口部141に対して、密着固定されずに嵌め込み固定することが好ましい。
より具体的には、核酸増幅測定ウェル123Aの円筒部123A1をベース部材110Aの第1開口部141に対して、横方向に自由度を有するように嵌め込むことが好ましい。換言すれば、核酸増幅測定ウェル123Aの円筒部123A1をベース部材110Aの第1開口部141に対して、横方向(水平方向)に緩く嵌め込む(loose fit)ことが好ましい。具体的には、円筒部123A1の外径は、第1開口部141の直径よりも小さくすることができる。好ましくは、円筒部123A1の外径は、第1開口部141の直径に対して、約0.1~約2.0%、または約0.5~約1.0%、または約0.1~約1.0%、または約0.1~約0.5%、小さく形成することができる。これによって、核酸増幅測定ウェル123Aは、第1開口部141に対して、緩く嵌め込むこと、すなわち、嵌め込み型で可動となる。さらに、円筒部123A1が所定の弾性を有することにより、円筒部123A1を第1開口部141に対して嵌め込む際に、複数の爪部(凸部)123A4が内側に弾性変形して、複数の爪部123A4が第1開口部141を上から下に通過することができる。なお、第1開口部141周辺のベース部材110Aに、複数の凹部を形成して、複数の爪部(凸部)123A4が凹部に嵌まり込むことにより、核酸増幅測定ウェル123Aを、第1開口部141に対して嵌め込むこともできる。
【0041】
さらに、核酸増幅測定ウェル123Aの円筒部123A1をベース部材110Aの第1開口部141に対して、縦方向に自由度を有するように嵌め込むことが好ましい。換言すれば、核酸増幅測定ウェル123Aの円筒部123A1をベース部材110Aの第1開口部141に対して、縦方向(垂直方向)に緩く嵌め込む(loose fit)又は緩く挟み込むことが好ましい。具体的には、爪部123A4の上端面とフランジ部123A3の下端面との間の距離は、第1開口部141周囲のベース部材110Aの厚さよりも大きくすることができる。好ましくは、第1開口部141周囲のベース部材110Aの厚さは、爪部123A4の上端面とフランジ部123A3の下端面との間の距離に対して、約0.1~約2.0%、または約0.5~約1.0%、または約0.1~約1.0%、または約0.1~約0.5%、小さく形成することができる。これらの構造によって、核酸増幅測定ウェル123Aを第1開口部141に対して、縦方向及び/又は横方向に自由度を有した状態で、緩く嵌め込むことが可能となる。
【0042】
核酸増幅測定ウェル123Aを第1開口部141に対して、自由度を有した状態で嵌め込む理由を説明する。各部材の製造誤差等により、ウェル123Aの外面と、サーマルサーキュラーの加熱冷却面との相対位置に、縦方向及び横方向にずれが生じる可能性がある。このようなずれが生じた場合であっても、ウェル123Aの外面と、サーマルサーキュラーの加熱冷却面とが密着する際に、ウェル123Aがサーマルサーキュラーに対して緩く嵌め込まれて移動可能となるため、サーマルサーキュラーによってウェル123Aが押されて移動することにより、核酸増幅測定ウェル123Aの外面と、サーマルサーキュラーの加熱冷却面とが密着しやすくなる。
【0043】
図15に示すように、試薬容器130Aは、PCR試薬を収容する収容部130A1と、収容部130A1の上端に形成されたフランジ部130A2と、収容部13A1の外側面の上端近傍に形成された複数の爪部(凸部)130A3と、フランジ部130A2及び複数の爪部130A3の間に形成された円筒部130A4とから構成される。
【0044】
試薬容器130Aの円筒部130A4をベース部材110Aの第2開口部143に対してぴったりと嵌め込めために、円筒部130A4の外径は、第2開口部143の直径とほぼ同じ程度されることが好ましい。これによって、試薬容器130Aは、第2開口部143に、固定的に嵌め込まれる(fixed fit)、すなわち、嵌め殺し型で固定される。なお、収容部130A1が所定の弾性を有するため、円筒部130A4を第2開口部144に対して嵌め込む際に、複数の爪部130A3が内側に弾性変形して、複数の爪部130A3が第2開口部144を上から下に通過することができる。第2開口部144周辺のベース部材110Aに、複数の凹部を形成して、複数の爪部(凸部)130A3が凹部に嵌まり込むことにより、複数の試薬容器を、第2開口部143に対して嵌め込むこともできる。
【0045】
第2の実施形態の変形形態に係る核酸検出用カートリッジ100B、100Cを図16図17を用いて説明する。図16の核酸検出用カートリッジ100Bは、2つの試薬容器130Aを備え、図17の核酸検出用カートリッジ100Cは、1つの試薬容器130Aを備える。核酸検出用カートリッジ100B、100Cの他の部分の構造は、核酸検出用カートリッジ100Aと同じである。
【0046】
(第3の実施形態)
第3の実施形態に係る核酸検出用カートリッジ100Dを、図18を用いて説明する。図18に示すように、核酸検出用カートリッジ100Dは、板状の第1部材110Dと、板状の第2部材120Dと、第1部材110D及び第2部材120Dと接続される板状の第3部材150とから構成される。第1部材110Dは、複数の核酸抽出ウェル112と、複数の加熱ウェル116とを備える。複数のウェル112、116は、好ましくは第1部材110Dと一体成型することができる。第2部材120は、核酸増幅測定ウェル123Aと、核酸増幅測定ウェル123Aを密閉するキャップ(不図示)を収容するキャップ収容部128とを備えている。キャップ収容部128は、第2部材120と一体成型される。
【0047】
核酸増幅測定ウェル123Aを、第2の実施形態と同様に第2部材120Dとは別部材として構成して、第2部材120Dに形成された開口部に緩く嵌め込むことができる。別部材として構成されたウェル123Aは、白色の樹脂材料から形成することができる。代替的に、核酸増幅測定ウェル123Aを、第1の実施形態と同様に第2部材120Dと一体成型することもできる。ウェル123Aを一体成型した第2部材120は、白色の樹脂材料から形成することができる。
【0048】
第3部材150Dは、複数の試薬容器130Aを備える。複数の試薬容器130Aは、第2の実施形態と同様に第3部材150Dとは別部材として構成されて、第3部材150Dに形成された複数の開口部に嵌め込まれる。第1部材110D及び第3部材150Dは、これらの下面側に設けた噛み合わせ構造等で接続される。同様に、第2部材120D及び第3部材150Dは、これらの下面側に設けた噛み合わせ構造等で接続される。
【0049】
第2及び第3の実施形態において、各核酸検出用カートリッジ100A、100B、100C、または100Dに、第1吸着部(窪み)114及び第2吸着部124を設けて、図8のカートリッジピッカー540で吸着して、移動可能としてもよい。第2及び第3の実施形態において、複数の核酸検出用カートリッジ100A、100B、100C、または100Dを、図9及び図10のカートリッジカートン600に縦方向に積み重ねて収容してもよい。第1の実施形態において、核酸増幅測定ウェル123を、第2部材120と別部材として、第2部材120に対して、密着固定せずに(自由度を有した状態で)嵌め込み固定することもできる。
【符号の説明】
【0050】
100 核酸検出用カートリッジ
100A~100D 核酸検出用カートリッジ
110 第1部材
111 第1上面板
111A 取付板
112 核酸抽出ウェル
114 第1吸着部
115 第1開口部
116 加熱ウェル
120 第2部材
121 第2上面板
122 第2開口部
123 核酸増幅測定ウェル
123A 核酸増幅測定ウェル
124 第2吸着部
126 切欠部(凹部)
127 情報記録部
130 容器
130A 容器
131 フランジ部
132 収容部
133 円形開口
134 環状縁部
540 カートリッジピッカー
600 カートリッジカートン(カートリッジ収容体)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18