(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-26
(45)【発行日】2022-11-04
(54)【発明の名称】ピストンコンプレッサバルブ用のバルブクロージャおよびそのバルブクロージャを動作させるための方法
(51)【国際特許分類】
F04B 39/10 20060101AFI20221027BHJP
F16K 3/06 20060101ALI20221027BHJP
F04B 39/08 20060101ALI20221027BHJP
F16K 3/10 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
F04B39/10 A
F16K3/06 A
F04B39/10 E
F04B39/08 A
F04B39/08 C
F16K3/10
(21)【出願番号】P 2019552987
(86)(22)【出願日】2018-03-27
(86)【国際出願番号】 EP2018057840
(87)【国際公開番号】W WO2018178118
(87)【国際公開日】2018-10-04
【審査請求日】2021-01-25
(32)【優先日】2017-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】592229502
【氏名又は名称】ブルクハルト コンプレッション アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100116322
【氏名又は名称】桑垣 衛
(72)【発明者】
【氏名】フォーザー、アレクサンドル
【審査官】加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-525412(JP,A)
【文献】特開2013-133824(JP,A)
【文献】特開2002-031058(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0107569(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 3/00- 3/36
F04B 39/00-39/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の流路開口(2a)を有するバルブシート(2)と、
回転軸(D)を有するシャフト(4)と、
前記流路開口(2a)を開閉するために前記シャフト(4)の前記回転軸(D)の周りを回転可能な閉鎖要素(3)と、を備える、ピストンコンプレッサバルブ(1)用のバルブクロージャ(1a)であって、
前記バルブシート(2)は平坦な側端部(2b)を備え、前記流路開口(2a)が該側端部(2b)の中に開口しており、前記バルブシート(2)は中心(Z)を有し、前記流路開口(2a)は前記中心(Z)に対し径方向に延びており、前記回転軸(D)は前記側端部(2b)に垂直に前記中心(Z)を通って延びており、前記閉鎖要素(3)は一部品であるように設計されており、前記閉鎖要素(3)は前記シャフト(4)に対し固定して接続されており、前記閉鎖要素(3)は中心点(M)と該中心点(M)に対し径方向に延びている複数の閉鎖アーム(3a)とを有し、前記シャフト(4)は該シャフト(4)が前記回転軸(D)の周りを回転可能であるとともに前記回転軸(D)の軸方向(L)に変位可能であるように配置されているよう前記バルブシート(2)に取付けられており、各閉鎖アーム(3a)は前記側端部(2b)に対して位置整合されている封止面(3d)を有し、前記閉鎖アーム(3a)は前記閉鎖要素(3)の回転に応じて前記封止面(3d)により前記流路開口(2a)を開閉すべく前記流路開口(2a)に対し補完的であるように構成されている、バルブクロージャ。
【請求項2】
前記シャフト(4)は、対応する圧力差が生じた場合に前記閉鎖要素(3)が長手方向(L)に自動的に変位可能であるように、前記回転軸(D)の前記長手方向(L)に変位可能に設計されている、請求項1に記載のバルブクロージャ。
【請求項3】
前記閉鎖アーム(3a)は、前記閉鎖アーム(3a)が前記閉鎖アーム(3a)の周縁部(3s)に向かって縮小する横断面を有するように設計されている、請求項1または2に記載のバルブクロージャ。
【請求項4】
前記閉鎖要素(3)は、前記回転軸(D)について対称的に配置されているハブ(3e)を備え、前記ハブ(3e)から進行する前記閉鎖アーム(3a)は前記径方向に延びており、前記バルブシート(2)の前記側端部(2b)は前記中心(Z)に関して前記径方向にて第1副部に環状軸受面(2c)を有し、該環状軸受面に対し前記径方向に続く第2副部に前記流路開口(2a)を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のバルブクロージャ。
【請求項5】
20個以上の流路開口(2a)が、前記回転軸(D)に対する周方向に一様に相互に離間して配置されており、同数の閉鎖アーム(3a)が前記回転軸に対する前記周方向に一様に相互に離間して配置されている、請求項1~4のいずれか一項に記載のバルブクロージャ。
【請求項6】
前記閉鎖アーム(3a)は前記回転軸(D)の前記軸方向において高さ(3t)を有し、前記閉鎖アーム(3a)の前記高さ(3t)は前記閉鎖アーム(3a)の周縁部(3s)に向かって減少する、請求項3に記載のバルブクロージャ。
【請求項7】
各閉鎖アーム(3a)は前記回転軸(D)に対する周方向に一定な高さ(3t)を有する、請求項3~6のいずれか一項に記載のバルブクロージャ。
【請求項8】
各閉鎖アーム(3a)は板状部(3w)と該板状部(3w)に対し固定して接続されているリブ(3i)とからなり、各板状部(3w)は前記径方向に該板状部(3w)の周縁部(3s)まで延びており、各リブ(3i)は前記流路開口(2a)とは反対を向く側にて前記回転軸(D)の方向に前記板状部(3w)を越えて突出しており、前記リブ(3i)は前記周縁部(3s)に向かって減少する高さを有する、請求項1~7のいずれか一項に記載のバルブクロージャ。
【請求項9】
各閉鎖アーム(3a)は、第1径方向横壁(3m)と周方向に離間している第2径方向横壁(3n)とを備え、前記側端部(2b)に対して位置整合されている前記第1径方向横壁および前記第2径方向横壁(3m,3n)の側面は前記閉鎖アーム(3a)の前記封止面(3d)の一部を形成し、前記第1径方向横壁および前記第2径方向横壁(3m,3n)の高さ(3t)はそれぞれ前記第1径方向横壁および前記第2径方向横壁(3m,3n)の周縁部(3s)に向かって減少し、前記周方向に延びているカバー面(3r)は前記第1径方向横壁(3m)を前記第2径方向横壁(3n)に対し流体密に接続し、前記カバー面(3r)は、包囲する封止面(3d)により前記側端部(2b)に向かって範囲を定められる内部キャビティ(3o)を前記閉鎖アーム(3a)が有するように、前記回転軸(D)の方向に前記封止面(3d)から離間して配置されている、請求項1~7のいずれか一項に記載のバルブクロージャ。
【請求項10】
前記第1径方向横壁および前記第2径方向横壁(3m,3n)は前記回転軸(D)の方向に前記カバー面(3r)を越えて突出している、請求項9に記載のバルブクロージャ。
【請求項11】
前記閉鎖アーム(3a)は、該閉鎖アーム(3a)の前記周縁部(3s)に向かって減少する曲げ剛性を有する、請求項3に記載のバルブクロージャ。
【請求項12】
前記側端部(2b)に向かう前記ハブ(3e)は、前記回転軸(D)と同心に延びている平坦な摩擦面(3f)を有し、前記平坦な摩擦面(3f)が前記環状軸受面(2c)上にて摺動可能であるように、前記環状軸受面(2c)に適合するように設計されている、請求項4に記載のバルブクロージャ。
【請求項13】
前記環状軸受面(2c)が前記回転軸(D)の方向に突出している支持要素(2d)を有し、前記摩擦面(3f)が前記支持要素(2d)に対し相補的に配置されている窪部(3n)を有するか、または、前記摩擦面(3f)が前記回転軸(D)の方向に突出している支持要素(2d)を有し、前記環状軸受面(2c)が前記支持要素(2d)に対し相補的に配置されている窪部(3n)を有し、前記窪部(3n)は、前記流路開口(2a)がほぼ閉鎖されている前記閉鎖要素(3)の回転位置においてのみ前記支持要素(2d)が前記窪部(3n)にあるように配置されており、前記支持要素(2d)および前記窪部(3n)は、前記閉鎖要素(3)の他の回転位置において、前記径方向に相互にオフセットを有するように配置されている、請求項12に記載のバルブクロージャ。
【請求項14】
前記回転軸(D)の方向に突出し少なくとも前記回転軸(D)に対する周方向に回転可能な回転部材(12)が、前記環状軸受面(2c)に配置されている、請求項4
,12,13のいずれか一項に記載のバルブクロージャ。
【請求項15】
全ての閉鎖アーム(3a)は、前記バルブシート(2)に向かって湾曲した封止面(3d)を有し、前記中心(Z)から進行する前記封止面(3d)は、第1副部において前記径方向に平坦に延びており、第2副部に沿って湾曲して前記周縁部(3s)に向かって前記径方向に続いて延びている、請求項3に記載のバルブクロージャ。
【請求項16】
ピストンコンプレッサバルブ(1)のバルブクロージャ(1a)を動作させるための方法であって、前記バルブクロージャ(1a)は、複数の流路開口(2a)を有するバルブシート(2)と、閉鎖要素(3)と、回転軸(D)を有するシャフト(4)と、を備え、
前記閉鎖要素(3)は前記流路開口(2a)を開閉するために前記回転軸(D)の周りを回転し、前記閉鎖要素(3)は一部品であるように形成されるとともに前記シャフト(4)に対し固定して接続されており、前記シャフト(4)は、前記回転軸(D)の周りを回転可能であり前記回転軸(D)の方向に変位可能であるように前記バルブシート(2)に取付けられており、前記閉鎖要素(3)は前記ピストンコンプレッサバルブ(1)に生じる流体の圧力により前記回転軸(D)の方向に自動的に持ち上がり、前記閉鎖要素(3)は前記バルブシート(2)から持ち上がった後に前記シャフト(4)により能動的に駆動されて回転し、したがって前記流路開口(2a)が完全に開放される、方法。
【請求項17】
第1の方法の工程にて、前記閉鎖要素(3)は前記バルブクロージャ(1a)を開放するために前記バルブシート(2)から持ち上がり、第2の方法の工程にて、前記閉鎖要素(3)は持ち上がった後に開放位置に回転する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記バルブシート(2)に対する前記閉鎖要素(3)の位置が測定され、前記閉鎖要素(3)は前記バルブシート(2)から持ち上がっているときにのみ前記回転軸(D)の周りを回転する、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
前記閉鎖要素(3)は、前記バルブシート(2)から持ち上がっていると、2ミリ秒~10ミリ秒の期間内に前記開放位置に回転する、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルにおいて請求されるピストンコンプレッサバルブ用のバルブクロージャに関する。本発明は、さらに、請求項16のプリアンブルにおいて請求される、バルブクロージャを動作させるための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ピストンコンプレッサ用のバルブを開示している。このバルブは、バルブシートと回転可能な閉鎖要素とを備え、その閉鎖要素は、その回転位置に応じて、バルブシートに配置されている流路開口を開閉する。この既知のバルブは、比較的高い摩耗が生じること、バルブの開閉に比較的長い時間を要すること、および摩耗が生じることによってバルブの封止機能が経時的に低減されること、といった欠点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、ピストンコンプレッサバルブ用のより有利なバルブクロージャを形成することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1の特徴を備えるバルブクロージャによって達成される。従属請求項2~15は、さらに有利な設計の実施形態に関する。本目的は、請求項16の特徴を備える、バルブクロージャを動作させるための方法によりさらに達成される。従属請求項17~19は、さらに有利な方法の工程に関する。
【0006】
本目的は、複数の流路開口を有するバルブシートと、回転軸を有するシャフトと、流路開口を開閉するためにシャフトの回転軸の周りを回転可能な閉鎖要素と、を備える、ピストンコンプレッサバルブ用のバルブクロージャであって、閉鎖要素がシャフトに対し固定して接続され、バルブシートが平坦な側端部を備え、流路開口がその平坦な側端部の中に開口しており、バルブシートが中心を有し、流路開口が中心に対し径方向に延びており、閉鎖要素が中心点とその中心点に対し径方向に延びている複数の閉鎖アームとを有し、シャフトはそのシャフトが回転軸の周りを回転可能であるとともに回転軸の軸方向に変位可能であるように配置されるようバルブシートに取付けられており、回転軸が側端部に垂直に中心を通って延びており、各閉鎖アームが側端部に対して位置整合する封止面を有し、閉鎖アームが閉鎖要素の回転に応じて封止面によって流路開口を開閉すべく流路開口に対し実質的に補完的であるように構成されている、バルブクロージャによって、特に達成される。
【0007】
さらに本目的は、複数の流路開口を有するバルブシートと、流路開口を開閉するために回転軸の周りを回転可能な閉鎖要素と、を備える、ピストンコンプレッサバルブ用のバルブクロージャであって、バルブシートが平坦な側端部を備え、流路開口がその側端部の中に開口しており、バルブシートが中心を有し、流路開口が中心に対し径方向に延びており、閉鎖要素が中心点とその中心点に対し径方向に延びている複数の閉鎖アームとを有し、回転軸が側端部に垂直に中心を通って延びており、各閉鎖アームが側端部に対して位置整合されている封止面を有し、閉鎖アームが閉鎖要素の回転に応じて封止面により流路開口を開閉するように流路開口に対し実質的に補完的であるように構成されており、閉鎖アームはその閉鎖アームが閉鎖アームの周縁部に向かって縮小する横断面を有するように設計されている、バルブクロージャによって特に達成される。
【0008】
さらに本目的は、ピストンコンプレッサバルブのバルブクロージャを動作させるための方法であって、バルブクロージャが複数の流路開口を有するバルブシートと、回転軸を有するシャフトと、シャフトに対し固定して接続されている閉鎖要素とを備え、シャフトが回転軸の周りを回転可能であるように、また回転軸の方向に変位可能であるようにバルブシートに取付けられており、閉鎖要素が流路開口を開閉するために回転軸の周りを回転し、閉鎖要素がピストンコンプレッサバルブに生じる流体の圧力により回転軸の方向に自動的に持ち上がり、閉鎖要素がバルブシートから持ち上がった後にシャフトにより能動的に駆動されて回転し、したがって流路開口が完全に開放される、方法によって特に達成される。
【0009】
さらに本目的は、バルブクロージャを動作させるための方法によって、第1の方法の工程にてバルブクロージャを開放するために閉鎖要素がバルブシートから持ち上がるため、また第2の方法の工程にて閉鎖要素が持ち上がった後に開放位置に回転するため、特に達成される。
【0010】
本発明に係るピストンコンプレッサバルブは、対応する圧力差が生じた場合に、ピストンコンプレッサバルブの閉鎖要素がバルブシートから自動的に持ち上がり、その閉鎖要素がバルブシートから持ち上がっているときに、流路開口を完全に開放するために、閉鎖要素に能動的に作用する手段によって、閉鎖要素が有利には作動か回転しかしない利点を有する。そのため、開口が摩擦を受けないか、非常に小さい摩擦しか受けないとき、一方では、閉鎖要素およびバルブシートにわずかな摩耗しか生じず、他方では、閉鎖要素が小さい力によって、また特に非常に急速に回転することを可能とし、その小さい力によってピストンコンプレッサバルブを完全に開放する。さらに、ピストンコンプレッサバルブは、有利には、バルブシートに対して持ち上がった状態にある閉鎖要素が開放位置から閉鎖する位置に回転して、完全に閉鎖される。閉鎖する位置では、回転軸の軸方向から見たときに、流路開口は閉鎖要素によって完全に閉鎖されており、閉鎖要素は、続いてもしくは同時に、またはわずかな一時的なオフセットにより、生じた圧力差により、閉鎖要素がバルブシートに着座して流路開口を完全に覆うまで、自動的にバルブシートに向かって運動し、また閉鎖要素によるピストンコンプレッサバルブの閉鎖が、非常に急速に、また小さい摩擦があってもなくても行われることが可能であるように、ピストンコンプレッサバルブが完全に閉鎖される。
【0011】
閉鎖要素が、入口の領域と出口の領域との間においてピストンコンプレッサバルブに生じる圧力差、または閉鎖要素に生じる圧力差によって、回転軸の軸方向に自動的に運動または変位するよう、閉鎖要素は回転軸の軸方向に円滑に可動であるようにピストンコンプレッサバルブに配置される。
【0012】
ピストンコンプレッサバルブは、有利には、第1回転副軸(すなわち、第1サブシャフト)と、第2回転副軸(すなわち、第2サブシャフト)と、第1回転副軸および第2回転副軸がそれによって回転軸の軸方向に相補的に可動であるか相補的に変位可能であるように第1回転副軸と第2回転副軸との間に配置されている結合器と、を備える。アクチュエータ駆動部は、好ましくは第1回転副軸に対し接続されており、閉鎖要素は、第2回転副軸に対し固定して接続されている。結合器は、特に有利には、回転軸の周りの回転について回転に対し安定であるように設計され、閉鎖要素は、回転軸の周りを回転する時、アクチュエータ駆動部の回転に実質的にまたは正確に追随する。結合器は、回転軸の軸方向に円滑に可動であるように設計され、閉鎖要素に生じる圧力差がその閉鎖要素を自動的に回転軸の軸方向に運動または変位させる。このため、一方では、回転軸の軸方向において閉鎖要素の運動が保証され、他方では、閉鎖要素が、好ましくは、回転軸によって剛体としてアクチュエータ駆動部に対し接続されることが保証される。このアクチュエータ駆動部は回転軸を駆動し、これによって閉鎖要素の非常に急速な開閉が可能となる。
【0013】
ピストンコンプレッサバルブの状態を検出するための、特にバルブシートに対する閉鎖要素の位置を検出するための状態変数として、例えば、運動、例えば回転軸の軸方向における閉鎖要素の距離、好ましくは閉鎖要素とバルブシートの側端部との間の距離、または例えば閉鎖要素とバルブシートとの間の直接の相互の物理的接触、または完全に閉鎖要素が持ち上がった場合における閉鎖要素もしくは回転軸の衝突、または例えばピストンコンプレッサバルブクロージャの両側における圧力差など、複数の変数が適する。制御デバイスは、状態変数をモニタし、好ましくは、その状態変数を基準値と比較し、また所定の状態を満たしたときに、対応して閉鎖要素を回転させることにより、または回転軸を回転させるアクチュエータ駆動部を作動させることにより、閉鎖要素を開閉する。したがって、本発明に係るピストンコンプレッサバルブは、正確に、急速に、および同等に再現可能に、スイッチングされることができる。
【0014】
本発明に係るデバイス、または本発明に係る方法は、一方では、閉鎖要素が回転軸の軸方向に自動的に可動であるため、他方では、特に好ましくは閉鎖要素の運動または閉鎖要素とバルブシートとの間の距離が回転軸の軸方向において測定されるため、閉鎖要素のバルブシートからの持ち上がりが極度に正確に決定されることができるという利点を有する。閉鎖要素の持ち上がり、またはバルブシートからの持ち上がりの時点は、したがって、正確に決定されることが可能であり、アクチュエータ駆動部は、閉鎖要素が開放位置に回転するように、続いて直ちに作動することが可能である。閉鎖要素は、好ましくは、アクチュエータ駆動部によりバルブシートから持ち上がっていると、少なくとも2ミリ秒~最大10ミリ秒の期間内に閉鎖する位置から開放位置に回転する。急速な開放によって、開口を通って流れる流体には、わずかな流れ抵抗しか付与されないことが保証される。閉鎖時、閉鎖要素はアクチュエータ駆動部によって、好ましくは、少なくとも2ミリ秒~最大10ミリ秒の期間内に開放位置から閉鎖する位置に回転し、閉鎖要素は同時に、または回転が行われていると、閉鎖要素がバルブシートに着座するまで、バルブシートに向かって自動的に下降する。
【0015】
1つの有利な設計の実施形態では、閉鎖要素はねじりバネによってアクチュエータ駆動部に対し接続されており、閉鎖要素が特に急速にスイッチングされることができるように、力学的エネルギーの一部はねじりバネに貯蔵される。
【0016】
バルブシートと閉鎖要素とを備えるピストンコンプレッサバルブのバルブクロージャは、好ましくは、バルブシートが中心と、周方向に離間して配置されており中心に向かって径方向に延びている複数の流路開口とを有するように、また閉鎖要素が複数の径方向アームと回転軸とを有するように設計されており、アームは回転軸に対して径方向に延びており、各流路開口は1つの閉鎖アームに割り当てられ、その閉鎖アームは閉鎖位置において流路開口を完全に覆い、開放位置においてその流路開口を理想的にはわずかにしか覆わないか、全く覆わないことが可能であるように設計されている。閉鎖アームは、その閉鎖アームが周縁部に向かって縮小する横断面を有するように設計され、これによって、例えば、周縁部に向かって薄くなるように閉鎖アームが設計されているため周縁部に向かって減少する質量を有する。周縁部に向かってこの種の閉鎖アームを備える閉鎖要素は、特にわずかな質量を有し、したがって減少した慣性質量を有し、このことが、閉鎖要素を閉鎖する位置と開放位置との間において往復してスイッチングするように閉鎖要素を作動させるために、すなわち加速および減速のためにわずかな力しか必要とされない理由である。減少した慣性質量は、回転軸の軸方向に閉鎖要素を加速させるために、より低い力しか必要とされない、または、閉鎖要素が回転軸の軸方向に、より急速に(すなわち、より短時間内に)運動することが可能であるというさらなる利点を有する。閉鎖要素は、特に好ましくは、プラスチック材料からなり、好ましくは繊維強化材(好ましくは、炭素繊維)を含み、その結果、閉鎖要素はわずかな質量しか有さない。
【0017】
複数の径方向アームを備える閉鎖要素は、アームがその周縁部において互いに相互に接続されておらず、各閉鎖アームが流路開口上に個々に置かれることが可能であり、その結果、各閉鎖アームが個々にバルブシートに着座することが可能であるため、各閉鎖アームは、流路開口または閉鎖アームに潜在的に存在する任意の不規則性または摩耗の形跡をより良く補正可能である利点をさらに有する。好ましくは周縁部に向かって縮小する横断面は、閉鎖アームが周縁部に向かって減少した曲げ剛性をさらに有する結果を有し、閉鎖アームが流路開口を覆っている時に、閉鎖アームが特に容易にバルブシートのプロファイルに適合することが可能である利点を生じ、これによって、特に有利な封止を得る。
【0018】
1つの有利な設計の実施形態では、ピストンコンプレッサバルブ用のバルブクロージャは、複数の流路開口を有するバルブシートと、回転軸を有するシャフトと、流路開口の開閉用にシャフトの回転軸の周りを回転可能な閉鎖要素とを備え、閉鎖要素はシャフトに対し固定して接続され、バルブシートは平坦な側端部を備え、流路開口がその側端部の中に開口しており、バルブシートは中心を有し、流路開口は中心に対し径方向に延びており、閉鎖要素は中心点とその中心点に対し径方向に延びている複数の閉鎖アームとを有し、シャフトが回転軸の周りを回転可能であるとともに回転軸の軸方向に変位可能であるように配置されているよう、シャフトがバルブシートに取付けられており、回転軸は側端部に垂直に中心を通って延びており、各閉鎖アームは側端部に対して位置整合されている封止面を有し、閉鎖アームは、閉鎖要素の回転に応じて封止面により流路開口を開閉するように、流路開口に対し実質的に補完的であるように構成されている。
【0019】
シャフトは、対応する圧力差が生じた場合には閉鎖要素が自動的に長手方向に変位可能に、特に自動的にバルブシートから持ち上がることができるように、好ましくは、回転軸の長手方向に変位可能であるように設計される。
【0020】
閉鎖アームは、好ましくは、その閉鎖アームが、その閉鎖アームの周縁部に向かって縮小する横断面を有するように設計される。
ピストンコンプレッサバルブのバルブクロージャを動作させるための1つの有利な方法の場合では、バルブクロージャは、複数の流路開口を有するバルブシートと、回転軸を有するシャフトと、シャフトに対し固定して接続されている閉鎖要素とを備え、シャフトは、回転軸の周りに回転可能であるように、また回転軸の方向に変位可能であるようにバルブシートに取付けられており、閉鎖要素は流路開口を開閉するために回転軸の周りを回転し、ピストンコンプレッサバルブに生じる流体の圧力により、閉鎖要素は自動的に回転軸の方向に持ち上がり、閉鎖要素はバルブシートから持ち上がった後、シャフトにより能動的に駆動されて回転し、したがって流路開口が完全に開放される。
【0021】
1つの有利な方法では第1の方法の工程において、閉鎖要素は、バルブクロージャを開放するためにバルブシートから持ち上がり、第2の方法の工程において、閉鎖要素は持ち上がった後に開放位置に回転する。
【0022】
1つの有利な方法では、バルブシートに対する閉鎖要素の位置が測定され、バルブシートから持ち上がっているときにしか、閉鎖要素は回転軸の周りを回転しない。
1つの有利な方法では、閉鎖要素は、バルブシートから持ち上がっていると、2ミリ秒~10ミリ秒の期間内に開放位置に回転する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】バルブに着座する閉鎖要素を有する、駆動部を備えるバルブの縦断面図。
【
図2】持ち上がった閉鎖要素を有する、
図1に係るバルブの縦断面図。
【
図4】
図3に係るバルブシートに整合する閉鎖要素の斜視図。
【
図5】
図6に係る閉鎖要素とバルブシートとの切断線A-Aに沿った縦断面図。
【
図6】閉鎖要素と持ち上がった閉鎖要素を有するバルブシートとの斜視図。
【
図7】開放位置における閉鎖要素を有する、
図6に係る構成の斜視図。
【
図8】持ち上がった閉鎖要素を有する圧力バルブの縦断面図。
【
図9】持ち上がった閉鎖要素を有する、さらなる例示的な実施形態の吸気バルブの縦断面図。
【
図11】さらなる例示的な実施形態の結合器の縦断面図。
【
図13】さらなる例示的な実施形態の閉鎖要素の斜視図。
【
図14】さらなる実施形態のバルブシートの斜視図。
【
図15】
図14に係るバルブシートに関連付けられる閉鎖要素の斜視図。
【
図16】閉鎖状態における
図14に係るバルブの切断線Bに沿った断面の詳細の図。
【
図17】閉鎖要素が持ち上がった場合における
図16に係る図。
【
図18】閉鎖要素が持ち上がり、位置から外れてわずかに回転した場合における
図16に係る図。
【
図19】さらなる例示的な実施形態のバルブシートの斜視図。
【
図20】さらなる例示的な実施形態の閉鎖要素の断片の斜視図。
【
図21】
図20に係る径方向閉鎖部の方向G-Gから見られる側面図。
【
図24】さらなる例示的な実施形態の径方向閉鎖部の方向G-Gから見られる側面図。
【
図27】さらなる例示的な実施形態の結合デバイスの縦断面図。
【
図28】
図23に係る結合デバイスの切断線C-Cに沿った横断面図。
【
図30】第2基本位置における、アーマチュアを有する
図29に係る電磁駆動部を示す図。
【
図31】さらなる例示的な実施形態の電磁駆動部を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図面は、例示的な実施形態を説明するために用いられる。
主として、図面において同一の部分には同一の参照符号が提供される。
図1は、複数の流路開口2aを有するバルブシート2と、流路開口2aを開閉するために回転軸Dの周りを回転可能な閉鎖要素3と、閉鎖要素3を回転させるためのアクチュエータ駆動部5とを備える、能動制御ピストンコンプレッサバルブを示す。バルブシート2は側端部2bを有し、流路開口2aが側端部2bの中に開口しており、閉鎖要素3は回転軸Dの軸方向Lに可動であるようにアクチュエータ駆動部5に接続されており、閉鎖要素3は側端部2bに対して回転軸Dの軸方向Lに変位可能であるだけでなく回転軸Dの周りを回転可能である。シャフト4は、バルブシート2のボア2eに取付けられているか、軸案内軸受である。バルブ1は、流路開口6aとカバー6bとを備えるベルハウジング6に配置されている。閉鎖要素3は、下降した閉鎖位置において示されており、閉鎖要素3がバルブシート2の側端部2bに着座し、また流路開口2aが閉鎖要素3によって完全に閉鎖されている。
図1に示されるバルブ1は、閉鎖要素3またはバルブ1の状態変数Eを検出するためのセンサ8をさらに備える。示されるセンサ8は、例えば、軸方向L(例えば、シャフト4のストローク経路)におけるシャフト4の運動を検出する。制御装置20は、センサ8により測定された値を検出し、さらにアクチュエータ駆動部5を制御する。閉鎖要素3は、制御装置20の制御により、回転軸Dの回転方向に(好ましくは、閉鎖位置から開放位置に、または開放位置から閉鎖位置に)回転する。1つの有利な設計の実施形態では、制御装置20は、状態変数Eが所定の公称値から逸脱するとすぐにアクチュエータ駆動部5を作動させる。例えば、閉鎖要素3の封止面3dとバルブシート2の側端部2bとの間の間隔、または軸方向Lにおけるシャフト4の変位流路、または圧力差ΔP=P2-P1、すなわち閉鎖要素3の片側における圧力P2と閉鎖要素3のもう片側における圧力P1との差が、状態変数Eとして適している。2つの圧力P1,P2を測定するためには、2つ以上のセンサ8が必要とされる。シャフト4は、詳細には示されないが、一方では駆動部5によってシャフト4が回転軸Dの周りの回転に関して駆動されるように、他方ではシャフト4が駆動部5に対して長手方向Lに変位可能であるように、駆動部5に接続されている。閉鎖要素3は、閉鎖要素3に生じる圧力差によって閉鎖要素が軸方向Lにおいて変位し、ここでバルブシート2から持ち上がるか、バルブシート2に近接し最終的にバルブシート2の側端部2bに着座するため、特に有利には軸方向Lにおいて自動的に変位する。この好ましい実施形態では、閉鎖要素3は、圧力差が加わることによって閉鎖要素が軸方向Lに自動的に変位することが可能であるように、円滑に取付けられる。さらなる可能な設計の実施形態では、軸方向Lにおける閉鎖要素3の運動を少なくとも部分的には容易にする駆動部(図示せず)も提供されることが可能である。
【0025】
図2は、閉鎖要素3が側端部2bに対して長手方向Lに持ち上がっている、持ち上がった開放位置にある閉鎖要素を有する、
図1に係るバルブを示す。持ち上がった開放位置にある閉鎖要素3は、さらに有利には、アクチュエータ駆動部5によって、
図2および
図7に示される通り、閉鎖要素3がもはや流路開口2aを覆わないように、
図1に示される閉鎖位置に対して回転軸Dの周りを回転する。したがって、バルブシート2と閉鎖要素3とを備えるバルブクロージャ1aは、長手方向Lにおいて流体に対し透過性がある。
図1に示されるセンサ8とは対照的に、
図2に示されるセンサは、シャフト4の側端部4cからの距離を測定する。閉鎖要素3は、閉鎖要素3が回転軸Dの周りの回転に直ちに追随するように、また回転軸D(すなわち、シャフト4)が長手方向Lにおける閉鎖要素3の運動に直ちに追随するように、回転軸Dまたはシャフト4に対し固定して接続されている。
【0026】
図3は第1の例示的な実施形態のバルブシートを斜視図にて示し、バルブシート2は、中心ボア2eまたは中心Zと、中心ボア2eに対し径方向に延びる複数の流路開口2aと、流路開口2aの間に延びているウェブ2fとを有する。バルブシート2は側端部2bをさらに有し、全流路開口2aが側端部2bの中に開口しており、1つの有利な設計の実施形態において側端部2bはまたさらに環状軸受面2cも有する。示されるバルブシート2は、周方向において、一様に分布、すなわち互いに同等に離間しているように配置されている25個の流路開口2aを有し、1つの例示的な実施形態において、各流路開口2aは7°の円周角の幅を有し、各ウェブ2fは7.4°の円周角の幅を有する。閉鎖要素が開放位置から閉鎖位置(すなわち、閉鎖する位置)に、または閉鎖位置から開放位置に回転するためには、上記の閉鎖要素は、したがって7.2°の回転角により回転する必要がある。有利には、バルブシート2は、周方向に離間するように配置されている20個以上の流路開口2aと、その流路開口2aの開閉用に相補的に配置され周方向に離間している、対応する同等数の閉鎖アーム3aと、を備える。20個以上の流路開口2aおよび径方向アーム3aのこの設計の実施形態は、必要とされる閉鎖要素の最大回転角が比較的小さいので、同様の利点を有する。この例示的な実施形態の場合には360°を20(流路開口の数)で割り、2(回転する必要がある半分の角度)で割るので、9°である。
【0027】
図4は、
図3に係るバルブシート2に整合する閉鎖要素3の斜視図を示す。閉鎖要素3は、中心ボア3cを有するハブ3eを備え、また中心ボア3cに対し、すなわち回転軸Dに対し、径方向に延びている複数の閉鎖アーム3aであって、周縁部3sまで延びている中間の空間3bによって相互に離間している閉鎖アーム3aを備える。1つの例示的な実施形態では、各中間の空間3bは7°の円周角の幅を有し、また各閉鎖アーム3aは7.4°の円周角の幅を有し、閉鎖アーム3aが流路開口2aよりもわずかに幅広であるように設計され、閉鎖要素3の対応する位置の場合における流路開口2aは、閉鎖アーム3aによって完全に覆われることができる。閉鎖要素3は、好ましくは、一体または一部品であるように、すなわち、1つの部分からなるように設計され、有利には、プラスチック材料、例えば、繊維強化プラスチック材料(特に、炭素繊維強化プラスチック材料(CFP))から作られる。CFPは、炭素繊維がプラスチック材料マトリックス(大半の例では、エポキシ樹脂)に埋め込まれている複合材料である。マトリックス材料は、中間の空間を満たすだけでなく、繊維に結合する機能も果たす。他の耐久性プラスチックまたは熱硬化性プラスチックも、マトリックス材料として適している。しかしながら、閉鎖要素は、繊維を追加しないプラスチック材料から作られることも可能である。
【0028】
図6および
図7は、2つの潜在的な相補的な位置におけるバルブシート2とともに閉鎖要素3を備える実際のバルブクロージャ1aを示す。
図5は、
図6に示される切断線A-Aに沿って示されるように、閉鎖要素3およびバルブシート2の断面をさらに示す。バルブクロージャ1a(すなわち、閉鎖要素3およびバルブシート2)は、実際には4つの異なる相補的な位置、具体的には、下降した閉鎖位置、持ち上がった閉鎖位置、持ち上がった開放位置、および下降した開放位置が想定され得る。持ち上がったとは、閉鎖要素3がバルブシート2に対して持ち上がり、したがって
図2および
図5~
図7に示されるように、バルブシート2から離間していることを意味する。下降したとは、
図1に示されるように、閉鎖要素3がバルブシート2に着座していることを意味する。バルブ1(すなわち、バルブクロージャ1a)は、閉鎖要素3がバルブシート2に着座し、流路開口2aに着座する閉鎖要素3(すなわち、その閉鎖要素3の閉鎖アーム3a)によって流路開口2aがそれぞれ完全に閉鎖されるために、
図1に示される下降した閉鎖位置においてしか完全に閉鎖されない。
図5および
図6に示される持ち上がった閉鎖位置の場合には、閉鎖要素3はバルブシート2から離間しており、閉鎖要素3(すなわち、複数の閉鎖要素3の閉鎖アーム3a)は、閉鎖要素3とバルブシート2との間に、流入または流出する流体が流れ得る小さい間隙Sしか存在しないように、離間して流路開口2aを覆う。
図7に示される持ち上がった開放位置の場合には、閉鎖要素3はバルブシート2から離間している。ここで、複数の流路開口2aが長手方向Lにおいて(すなわち、回転軸Dの軸方向において)、もはや閉鎖要素3(すなわち、その閉鎖要素3の複数の閉鎖アーム3a)によって覆われていないように、閉鎖要素3は
図6に係る位置と比較して回転方向D1に回転している。あるいは、長手方向Lにおいて流路開口2aの可能な限り最大の領域がその領域を通って流れる流体に対して開放されているように縁部に最小限にしか重なっておらず、完全に開放されたバルブクロージャ1aを通じて流れる流体が、閉鎖要素3(すなわち、その閉鎖要素3の径方向に延びている閉鎖アーム3a)によって妨げられないように、または、無視できる程度にしか妨げられないように、閉鎖要素3は
図6に係る位置と比較して回転方向D1に回転している。上記の閉鎖要素3がバルブシート2に着座するように、
図7に示される閉鎖要素が下降している場合には、閉鎖要素3はしたがって、流路開口2aが最大まで開放している(好ましくは、完全に開放しているが、少なくとも最大まで開放している)下降した開放位置を想定し、最大開口領域は、それぞれの閉鎖アーム3aの周方向における幅と、それぞれの流路開口2aの周方向における幅とによって決定される。閉鎖要素3は開放され、したがってアクチュエータ駆動部5により回転方向D1における回転によって開放位置に運動し、また、閉鎖され、したがって回転方向D2における回転によって閉鎖する位置に運動する。さらに、閉鎖要素3に作用する力(特に、流体の圧力差)によって、閉鎖要素3は自動的に長手方向Lに運動し、閉鎖要素3はバルブシート2に対してこの方向に持ち上がるかまたは下降する。
図6に示されるように、回転軸Dは閉鎖要素3の中心点Mを通って(すなわち、バルブシート2の中心Zを通って)延びている。
図7はさらに、閉鎖要素3が、その閉鎖要素3をシャフト4に固定する機能を果たす固定ボア3hが配置されている、固定する側3gを有することを示す。
【0029】
図5は、
図6に係る切断線A-Aに沿った断面を示す。閉鎖要素3は、バルブシート2に対して持ち上がっている。閉鎖要素3は中心点Mを有するハブ3eを備え、ハブ3eは中心ボア3c、平坦な摩擦面3f、および固定する側3gを備える。閉鎖アーム3aは、径方向に外側に向かってテーパーを有し、したがって、周縁部3sに向かって縮小する断面を有する。このテーパーによって閉鎖アーム3aの質量が外側に向かって減少し、閉鎖要素3の重量および慣性質量が減少する利点を得る。
図5に係る例示的な実施形態において、閉鎖アーム3aの高さ3tは周縁部3sに向かって減少する。閉鎖アーム3aは、周方向Dにおいて一貫した高さ3tを有し、すなわちこれは、閉鎖アーム3aがその全幅にわたって同じ高さ3tを有することを意味する。
【0030】
1つの例示的な方法では、
図1および
図2に示されるピストンコンプレッサバルブ1は、閉鎖要素3の状態変数E(例えば、長手方向Lにおけるシャフト4の変位軌道S1)が測定されるように動作することが可能であり、閉鎖要素3は、
図1に示されるように、下降した閉鎖位置に最初に配置され、シャフト4は長手方向Lに自動的に可動であり、閉鎖要素3はバルブ1または閉鎖要素3に作用する動作ガスの圧力に応じてバルブシート2から持ち上がることが可能である。状態変数Eが検出され、状態変数Eが所定の公称値を超えるとすぐに、閉鎖要素3が駆動部5により回転軸Dの周りの回転によって
図2に示される持ち上がった開放位置に回転するように駆動部5が作動し、この回転は駆動部5によって行われ、長手方向Lに自動的に持ち上がる。センサ8の移動信号は、長手方向の軸Lの方向におけるシャフト4の変位が測定されるため、例えば状態変数Eとして用いられ、その変位は、好ましくは閉鎖要素3と側端部2bとの間の間隔に対応する。状態変数Eが所定の公称値(例えば、0.1mm)を超えるとすぐに、駆動部5が作動し、閉鎖要素3が
図2または
図7に示される開放位置に回転する。
【0031】
図8は、バルブ1が圧力バルブとして設計されていることを示し、閉鎖要素3が持ち上がった閉鎖位置に置かれている。閉鎖要素3は、バルブシート2と駆動部5との間に配置されている。それとは対照的に、
図2におけるバルブシート2は、閉鎖要素3と駆動部5との間に配置されている。
図8に係るバルブは、第1シャフト部4a(すなわち、第1回転副軸)と、第2シャフト部4b(すなわち、第2回転副軸)とを備え、第1シャフト部4aおよび第2シャフト部4bは結合器9によって互いに接続されている。第1シャフト部4aは、長手方向Lにおいて非可動であるが、一方で結合器9は、第2シャフト部4bが長手方向Lにおいて可動であるように、長手方向Lにおける運動を可能とする。
図8に係る例示的な実施形態では、ボア2e(すなわち、軸案内軸受)は、第2シャフト4bが径方向および軸方向に案内されるポケットホールとして設計される。そうでない場合には、バルブシート2、閉鎖要素3、駆動部5およびベルハウジング6を備えるコンポーネントは、
図1および
図2に関連してすでに記載されている。1つのさらなる実施形態では、閉鎖要素3が結合器9に直接接続されているため、第2シャフト部4bなしで済ますことが可能である。結合器9は、好ましくは、長手方向Lにおいて弾性または復元性を有するように設計され、流体の力が作用することにより閉鎖要素3は長手方向Lにおいて自動的に運動することが可能である。
【0032】
図9は、吸気バルブとして設計されるさらなるバルブを示す。
図2に係るバルブ1とは対照的に、
図9に係るバルブ1は、内側ねじりバネ7aと外側中空ねじり棒7bとを備えるねじりバネ7を有する。内側ねじりバネ7aはその一端にて駆動部5に接続されており、その他端にて外側中空ねじり棒7bの中空ねじり棒端部7dに接続されている。中空ねじり棒7bは一端にて固定部7cを介してカバー6bに接続されており、他端にて中空棒端部7dに接続されている。中空棒7dは、センサ8が配置されている中空円筒接続部10に接続されている。接続部10は、結合器9を介してシャフト4に接続されている。結合器9は、結合器の長さが長手方向Lにおいて可変であるように設計されている。結合器は、好ましくは長手方向Lにおいて弾性、好ましくはバネ弾性を有するように設計される。結合器9のため、したがってシャフト4は、接続部10(すなわち、ねじりバネ7)に対して長手方向Lに可動であるように、または長手方向Lに変位可能であるように配置されている。ねじりバネ7は、長手方向において非可動であるように設計されている。駆動部5は、位置から外れた内側ねじりバネ7aの回転を生じさせ、中空棒端部7dを介して外側中空ねじり棒7bの位置から外れた回転をさらに生じさせる。さらに、接続部10および結合器9、またそれらのためにシャフト4が、中空棒端部7dを回転させることによって回転する。結合器9は、その結合器9が長手方向Lにおいて長さが変化することを可能とし、好ましくはバネ効果、特に弾性特性を有するように構成される。回転軸Dの周りの回転の点から、結合器9は、好ましくは、理想剛体特性を有し、閉鎖要素3とシャフト4とが、回転に対し固定されるように結合器9を介して接続部10と中空棒端部7dとに接続される。国際公開第2009/050215号は、バルブを動作させるための潜在的な方法を詳細に開示している。上記公報の内容は、これにより、本特許出願に組み込まれる。
【0033】
図10は、さらなる例示的な実施形態の、ねじりバネ7とシャフト4との間の接続部の縦断面を示し、接続部は、可動である結合部9からなり、特に長手方向Lにおいてバネ弾性を有する。回転軸Dの周りの回転の点から、結合部9は、好ましくは理想剛体であるように、好ましくは位置から外れた回転について安定的であるように設計される。
図10に示される結合部9は、ベローズバネとして設計されている。ベローズバネは、回転軸Dの周りの回転時に、高いねじり剛性を達成するように、好ましくは金属からなる。ベローズバネ9は、そのベローズバネ9が長手方向Lにおいて弾性特性を有するように設計され、弾性特性は、例えば、ベローズバネの壁厚、選択される材料(好ましくは、金属)、およびベローズバネの幾何構造により決定されることが可能である。1つの有利な設計の実施形態では、センサ8は内部空間9gに配置されており、このセンサ8が長手方向Lにおける距離(例えば、センサの反対に配置されているベローズバネ9の側端部9fからの距離)を測定する。1つの特に有利な設計の実施形態では、結合部9は、外部に対し気密に閉鎖される内部空間9gを構成し、外側から生じる汚染を内部空間9gに残さないことが可能であり、その結果、センサ8は側端部9fからの距離を、長期の信頼性をもって、また少ないメンテナンスにて測定可能となる。
図11に示される結合器9は、連続的なシャフト4が第1シャフト部4aと第2シャフト部4bとに再分割され、その2つのシャフト部4a,4bは
図10により記載されるように結合器9に接続されているため、例えば
図1、
図2または
図8に示されるようなバルブ1において用いられることも可能であり、その結果、
図1、
図2または
図8に示されるシャフト4は、そのシャフト4に配置されている結合器9により長手方向Lにおける復元特性を有する。
【0034】
図11は、さらなる例示的な実施形態の、ねじりバネ7とシャフト4との間の接続部の縦断面を示し、接続部は中空円筒接続部10と結合部9との組み合わせを備え、結合部9は
図10または
図12に記載されるようなベローズバネとして設計される。1つの有利な設計の実施形態では、センサ8は接続部10に配置されており、例えば、センサ8はそのセンサの反対に配置されているベローズバネ9の側端部9fからの距離を測定する。1つの特に有利な設計の実施形態では、接続部10およびベローズバネ9は、結合部9が外部に対して気密に閉鎖されている共通の内部空間9gを構成するように設計される。ベローズバネ9とともに接続部10を備える
図11に示される構成は、例えば、
図1、
図2または
図8に示されるようにバルブ1において用いられることも可能である。センサ8としては、例えば、渦電流センサが適している。
【0035】
図12は、ベローズ形凸状部9kと、例えば開放されている円筒の内部キャビティ9hが依然として残るように弾性充填材(斜線にて示される)により部分的に充填される内部空間9gとを有する、ベローズ形、好ましくは金属の外部包装9iを備える結合器9のさらなる例示的な実施形態を示す。弾性充填材は、長手方向Lにおける結合器9のバネ定数、またはバネ弾性をそれぞれ決定する機能を果たし、そのバネ定数は、外部包装9iのベローズ形凸状部9kにおける充填材の弾性および/または充填材の配置によって特に決定される。弾性充填材は、好ましくは、弾性プラスチック材からなる。弾性充填材は、内部キャビティ9hに配置され、ベローズ形凸状部9kの少なくともいくつかは、また好ましくは全ての凸状部9kは、示されるように、弾性充填材9gにより、好ましくは完全に満たされる。閉鎖要素3が確実におよび自動的に長手方向Lに運動するように、結合器は、長手方向Lにおいて閉鎖要素3に作用する力に対応して適合されるバネ定数を必要とする。
図10~
図12に示される結合部9は、必要に応じて、複数の異なるバネ定数により生成されることが可能である。
【0036】
図13は、閉鎖要素3のさらなる例示的な実施形態の斜視平面図を示す。閉鎖要素3の下側は、
図4に示されるように設計されることが可能である。閉鎖要素3は、中心ボア3cを有するハブ3eと、中心点Mと、その中心点Mに対し周方向に相互に離間しているように径方向に延びている複数の閉鎖部分3aとを備える。各径方向アーム3aは、板状部3wと、その板状部3wに対し固定して接続されているリブ3iとからなり、各板状部3wは径方向に周縁部3sまで延びている。流路開口2aの反対に面する側における各リブ3iは、回転軸Dの方向において板状部3wを越えて突出する。リブ3iは、周縁部3sに向かって減少する高さ3tを有し、それによって、横断面が縮小する。閉鎖部3aのたわみ剛性は、特に突出するリブ3iの設計の実施形態に依存する。リブ3iの高さ3tは、有利には、リブ3iの質量が外側に向かって減少するように、特に閉鎖要素3の質量を径方向外側において減少するように、それによって特に回転軸Dの周りの回転運動に対して閉鎖要素3の慣性質量を減少するように、径方向において外側に向かって減少する。
【0037】
図14は、
図3に示される実施形態とは対照的に、支持要素2dを有するバルブシート2の斜視平面図を示し、支持要素2dは、回転軸Dの方向において環状面2c上に突出し、周方向に相互に離間(好ましくは、一様に相互に離間)しており、ボア2eに対して径方向に延びている。
図15は、
図4に示される実施形態とは対照的に、ハブ3eの表面において窪部3kを有する閉鎖要素3の斜視図を示し、窪部3kは、中心ボア3cに対して径方向に延びており、支持要素2dに対し相補的に配置されている。
図14に係るバルブシート2と
図15に係る閉鎖要素3とは、1つの反対の窪部3kが各支持要素2dに提供され、それぞれの支持要素2dがその反対の窪部3kに係合可能であるように、同数の突出した支持要素2dと窪部3kとが配置されるよう、相互に適合すべく設計される。
図14に係る切断線Bに沿った断面における
図16~
図18は、様々な位置におけるバルブシート2と閉鎖要素3とを示す。
図16では、閉鎖要素3は下降した閉鎖位置を有し、閉鎖要素3はバルブシート2に着座しており、各支持要素2dはその反対側に配置されている窪部3kに係合し、突出している支持要素2dは軸受面2cがハブ3e上に平面的に着座するように窪部3kに完全に収容される。
図17の場合には、上向きの正の圧力差ΔPが閉鎖要素3に生じ、これによって閉鎖要素3が
図16に対して長手方向Lに持ち上がり、閉鎖要素3が持ち上がるものの
図16に係る位置に対して回転軸Dの周りの位置に位置から外れてまだ回転していない、持ち上がった閉鎖位置に置かれる。閉鎖要素3が
図17に示される位置に置かれるとすぐに、閉鎖要素3は回転軸Dの周りを回転することが可能となる。
図18は、持ち上がった位置における閉鎖要素3を示し、持ち上がった位置では、閉鎖要素3が
図16に対して長手方向Lに持ち上がっており、また閉鎖要素3が回転軸Dの回転方向において位置から外れて回転している。
図18は、下向きの負の圧力差ΔPが閉鎖要素3に生じ、これによって閉鎖要素3がバルブシート2の方向に下降させられるものの、しかしながら閉鎖要素3が着座する支持要素2dによってこれが防止される状況を示す。閉鎖要素3に着座する支持要素2dの端面は比較的小さく、これによって回転軸Dの回転方向D2に閉鎖要素3を回転させるために必要な回転力が比較的小さいという利点を得る。このようにして、支持要素2dは、支持要素2dがない実施形態と比較して、閉鎖要素3とバルブ2との間の回転に対する抵抗が減少し、その結果、閉鎖要素3をバルブシート2に接触させる負の圧力差ΔPが閉鎖要素3に生じている時にも、依然として閉鎖要素3が確実に回転することを可能とする利点を有する。したがって、本発明に係るバルブ1は、生じている圧力差のより広範囲にて確実に動作することが可能である。支持要素2dは、示されるように、負の圧力差ΔPの場合に、閉鎖要素3とバルブシート2とが負の圧力差ΔPの場合に位置から外れて相互に回転するとしても、閉鎖要素3およびバルブシート2における摩耗がさらに減少する、さらなる利点を有する。
【0038】
さらなる例示的な実施形態では、支持要素2dに代えて窪部がバルブシート2に配置されることが可能であり、窪部3kに代えて支持要素が閉鎖要素3に相補的に配置されることが可能である。
【0039】
図19は、
図3に示される実施形態とは対照的に、環状面2cにおいて周方向に離間している複数の回転部材12を有するバルブシート2のさらなる例示的な実施形態を示す。その回転部材12は、環状面2cを越えてわずかに(例えば、1/10mm)突出している。回転部材12は、バルブシート2または環状軸受面2cに着座する回転する閉鎖要素3の摺動抵抗または回転抵抗を低減する機能を果たす。回転部材12は、好ましくは円柱または円筒状であるように設計され、好ましくは金属またはセラミックからなる。
【0040】
図20は、中心ボア3cを有するハブ3eを備え、周方向に相互に離間して配置されるとともにハブ3eに接続されている複数の径方向閉鎖要素3aを備える、さらなる例示的な実施形態の閉鎖要素3を断片にて示す。
図21は、方向Gから見られる、
図20に係る単一の閉鎖要素3aの側面図を示す。
図22は閉鎖部3aの縦断面F-Fを示し、
図23は切断線E-Eに沿った閉鎖部3aの横断面を示す。閉鎖部3aは、内部空間3oを制限する、第1径方向横壁および第2径方向横壁3m,3nとカバー面3rとを備える。第1径方向横壁および第2径方向横壁3m,3nは、
図23に示されるように、その横壁3m,3nが各場合において、バルブシート2に対して位置整合されている1つの平坦な封止面3dをさらに構成するように延びている。ハブ3e上に配置されている封止面3dと閉鎖部3aの周縁部3sの領域に配置されている封止面3dとに連接している、その2つの封止面3dは、例えば
図3に係るバルブシート2の場合には、上述の封止面3dが側端部2bに着座するため、
図22に示されるようにバルブシート2の側端部2bに着座し、流路開口2aが封止されることが可能である。下降した閉鎖位置にある閉鎖要素3はバルブシート2に着座し、閉鎖要素3は、封止面3dが側端部2bに着座するとともに流路開口2aを包囲するようにバルブシート2に対して配置され、閉鎖部3aのスプーン形内部空間3oはここで流路開口2aの上方にあり、流路開口2aに対し流体接続されている。
図20~
図23に示される閉鎖要素3は、径方向閉鎖部3aが特に横壁3m,3nによって、対応する材料が選択される場合に高い剛性を有することと、他方では径方向閉鎖部3aが質量において軽量であるように設計されることが可能であることとの利点を有し、これは回転軸Dの周りを閉鎖要素3が回転する場合に、その閉鎖要素が減少した慣性質量を有する利点を生じる。これによって、回転軸Dの周りの閉鎖要素3の回転のためには、より詳細には、加速段階中および減速段階中に、閉鎖要素3を開放位置から閉鎖位置に、また逆に閉鎖位置から開放位置に運動させるために、力の点ではより少ない作用しか必要とされない。
【0041】
図24は、方向Gから再び見られる、さらなる例示的な実施形態の単一の閉鎖部3aの側面図を示す。
図25は、切断線H-Hに沿った
図24に係る閉鎖部3aの縦断面を示し、
図26は、切断線I-Iに沿った閉鎖部3aの横断面を示す。閉鎖部3aは、第1径方向横壁および第2径方向横壁3m,3nとカバー面3rとをやはり備え、
図21~
図23に係る例示的な実施形態とは対照的に、径方向横壁3m,3nは、
図24~
図26に示されるように、幅広でありカバー面3rを越えて突出するように設計される。回転軸Dの軸方向においてより幅広であるその横壁3m,3nは、径方向閉鎖部3aが横壁3m,3nの同一の壁厚の場合に高い安定性か高い曲げ剛性かのいずれかを有するか、または、横壁3m,3nがより薄く設計され、したがって閉鎖部3aがより小さい質量を有する、利点を得る。1つの閉鎖要素3の全ての閉鎖部3aは、有利には、同等に設計される。
【0042】
図27は、
図10および
図11に係る結合器9の代替である、さらなる例示的な実施形態の結合器9の縦断面を示す。
図28は、切断線C-Cに沿った
図27に係る結合器の断面を示す。
図10および
図11に関連してすでに記載されたように、
図27および
図28に示される結合器9も、長手方向Lにおける可動性を有するが、一方で、その結合器9は回転軸Dの周りの回転について位置から外れた回転に関して剛体である。結合器9は第1シャフト部4aに対し固定して接続されている第1結合部9aを備え、第2シャフト部4bに対し固定して接続されている第2結合部9bを備える。第1結合部9aは角を有する凹部9dを備え、第2結合部9bは角を有する付属部9cを備え、凹部9dと付属部9cとは、長手方向Lにおける相補的な運動が可能であるように相互に適合されるよう設計されており、回転軸Dの周りの位置から外れた相補的な回転がかろうじて可能であるか少しも可能でない。第1結合部および第2結合部9a,9bは、第1結合部および第2結合部9a,9bが長手方向Lに相補的な運動をすることが可能であるように、弾性バネ部9eによってバネ弾性を有するように互いに接続されている。バネ部9eは、示されるように、例えば、中空円筒であるように設計され、弾性材料からなることが可能である。1つの有利な設計の実施形態では、2つの結合部9a,9b間の距離または距離の変化を測定するセンサ8は、例えば、センサ8と側端部9fとの間の距離が測定されるため、示されるように結合器9内に配置される。1つの有利な設計の実施形態では、結合器9は、結合器9の最大のストローク経路の範囲を定めるディテント9lを有する。バネ部9eの弾性は、好ましくは、閉鎖要素3が自動的に長手方向Lに運動可能であるように選択される。
【0043】
図29は、第1基本位置における電磁駆動部5を示し、
図30は、第2基本位置における同一の電磁駆動部5を示す。駆動部5は、コイル用の4つのヨーク5bと内部空間5cとを有するステータ5aを備える。4つのヨーク5bの各々の周りに巻かれており内部空間5cに延びている、磁場を生成するための電気伝導コイルは、示されていない。駆動部5は、好ましくはアーマチュア5dをさらに備え、アーマチュア5dは、シャフト4かねじりバネ7に対し固定して接続されており、回転軸Dの周りに枢動可能であるように取付けられている。駆動部5は、アーマチュア5dの最大枢動範囲が閉鎖要素3の回転に必要な角度よりもわずかに大きいように設計される。構造に関する設計の実施形態に応じて、駆動部5は、好ましくは5°~20°の枢動角を有する。閉鎖要素3を開放位置から閉鎖位置に7.2°回転させることは、
図3に示されるように、バルブシート2が周方向に一様に相互に離間している25の流路開口2aを有するように、周方向において閉鎖位置とそれに連接している開放位置の合計が合計で14.4°の回転角を占める。したがって、駆動部5のアーマチュア5dは、特に、位置から外れた回転に対する第1シャフト部4aの剛性に応じて、わずかに大きい角度について(例えば、8°から10°までの範囲の角度について)枢動する必要がある。
図3に示されるバルブシート2は、開放位置から閉鎖位置に小さい回転角を必要とする利点を有し、これは特に急速なスイッチング、または特に短いスイッチング時間を可能とする。
図29~
図31に示される駆動部5は、閉鎖要素5を駆動すべく、また開放位置から閉鎖位置に、または閉鎖位置から開放位置に閉鎖要素を回転させるべく、
図1、
図2、
図8および
図9に示されるように、例えば7.2°の角度範囲について、その閉鎖要素を回転させるのに適している。
【0044】
1つの特に有利な設計の実施形態では、
図31に示されるように、減衰要素5fがアーマチュア5dの端部に配置されており、その減衰要素5fの役割は、アーマチュア5dとヨーク5bとの間の直接の接触を防止することである。減衰要素5fは、非磁気材料(例えば、アルミニウム)またはプラスチック材料からなる。この設計の実施形態は、アーマチュア5dをスイッチングするための対応する磁場が駆動部5に印加されたとき、アーマチュア5bが直ちにヨーク5bから外されるのを確実にするように、ヨーク5b上のアーマチュア5dの固定を防止する利点を有する。
図29~
図31に示される駆動部5を備える、
図1、
図2、
図8、
図9に示されるピストンコンプレッサバルブ1は、閉鎖位置から開放位置に、また開放位置から閉鎖位置に非常に急速にスイッチングされることが可能であり、スイッチング時間は0.1秒未満であり、特に有利には、約2.5ミリ秒の範囲にあり、または2~10ミリ秒の間の範囲にある。
【0045】
閉鎖要素3の回転角は閉鎖要素3の状態変数Eとして検出される必要がなく、それは、閉鎖要素3の長手方向Lにおける変位に適用される指示がその状態変数から導出されることができないためである。したがって、その状態変数に基づいては、アクチュエータ駆動部5が作動される時点に関して決定することはできない。しかしながら、ピストンコンプレッサバルブの確実な動作のためには、閉鎖要素3の回転角、または閉鎖要素3に関連付けられている変数、特にアクチュエータ駆動部5の回転角が追加的に測定されることも有利であると示され得る。さらに、コンプレッサのクランク軸が測定されることが有利である。コンプレッサのクランク軸によって、いつ、またはどのクランク軸角にてピストンコンプレッサバルブが開放または閉鎖される必要があるのか、またはどのクランク軸角にてピストンコンプレッサバルブの気体の排出、もしくは気体の導入が行われるのかが決定されることが可能である。閉鎖要素3の不機能は、例えば、閉鎖要素3の回転角を測定することによって検出されることが可能であり、閉鎖要素3がクランク軸角による所定の周期における閉鎖要素3の回転によって開閉しない場合には、例えば、誤差信号が生成されることが可能であるか、ピストンコンプレッサが緊急に停止されることが可能である。