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特許7165689フィルタプレートと取付部分を備えた組立体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-26
(45)【発行日】2022-11-04
(54)【発明の名称】フィルタプレートと取付部分を備えた組立体
(51)【国際特許分類】
   B01D 25/12 20060101AFI20221027BHJP
【FI】
B01D25/12 F
B01D25/12 101A
【請求項の数】 30
(21)【出願番号】P 2019571644
(86)(22)【出願日】2018-07-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-27
(86)【国際出願番号】 EP2018068094
(87)【国際公開番号】W WO2019008037
(87)【国際公開日】2019-01-10
【審査請求日】2021-06-23
(31)【優先権主張番号】202017104018.6
(32)【優先日】2017-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】504405981
【氏名又は名称】イヨットファウカー フィルトレーション システムズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヘルマン,マンフレート ペー.
(72)【発明者】
【氏名】ザルバウム,ベルンハルト
【審査官】中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/155273(WO,A1)
【文献】特開昭58-000207(JP,A)
【文献】特開昭53-024952(JP,A)
【文献】実開昭58-086206(JP,U)
【文献】特表2003-514651(JP,A)
【文献】特表平10-513116(JP,A)
【文献】特開平02-187108(JP,A)
【文献】特表2006-505398(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 25/12-21、29/00、35/00
F16B 21/10-20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルタプレス用のフィルタプレート(3,35)と、少なくとも1つの取付部分(9,10,33)とを備えた組立体であって、
前記フィルタプレート(3)は、フィルタチャンバ境界面(32)を有し、当該フィルタチャンバ境界面により前記フィルタプレス内に形成されるフィルタチャンバ(6)の境界が定められ、
前記フィルタチャンバ境界面(32)への流体接続のための少なくとも1つのチャネルが、前記フィルタプレート(3,35)内に形成され、
前記取付部分(9,10,33)は、前記チャネルにおいて前記フィルタプレート(3,35)に固定され、
前記取付部分(9,10,33)は、少なくとも1つの着脱可能なボール型スナップイン接続(12,13)により、前記フィルタプレート(3)に着脱可能に固定され、
前記ボール型スナップイン接続(12,13)は、少なくとも1つのボールピン(12)と少なくとも1つのカップリング(13)を備え
前記フィルタプレート(3,35)は、第1の接触面(14)を有し、
前記取付部分(9,10,33)は、第2の接触面(15)を有し、
前記ボール型スナップイン接続(12,13)が前記接触面(14,15)の領域に形成されることで、前記取付部分(9,10,33)が前記フィルタプレート(3,35)に接続されたときに前記接触面(14,15)が互いに当接する、
ことを特徴とする組立体。
【請求項2】
前記取付部分(9,10,33)は、前記チャネル内に配置された開口(20)を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の組立体。
【請求項3】
前記取付部分(9,10,33)は、ディストリビュータリング(9)であり、
前記チャネルは、濾過対象の懸濁液を前記フィルタチャンバ(6)に供給するためのインフィードチャネル(5)であり、
前記濾過対象の懸濁液は、前記ディストリビュータリング(9)によって前記フィルタチャンバ(6)に供給されうる、ことを特徴とする請求項1または2に記載の組立体。
【請求項4】
前記取付部分(9,10,33)は、支持リング(10)であり、
前記チャネルは、濾過対象の懸濁液を前記フィルタチャンバ(6)に供給するためのインフィードチャネル(5)であり、
前記支持リング(10)は、ディストリビュータリング(9)に隣接して配置され、当該ディストリビュータリング(9)を介して濾過対象の懸濁液が前記フィルタチャンバ(6)に供給されうる、ことを特徴とする請求項1または2に記載の組立体。
【請求項5】
前記取付部分(9,10,33)は支持カムとして形成されている、ことを特徴とする請求項1または2に記載の組立体。
【請求項6】
前記第1の接触面(14)及び前記第2の接触面(15)は、前記開口の周囲に位置する、
請求項2から5のうちのいずれか一項に記載の組立体。
【請求項7】
前記接触面(14,15)において、前記フィルタプレート(3,35)と前記取付部分(9,10,33)の間にリングシール(18)が配置されていることを特徴とする請求項に記載の組立体。
【請求項8】
前記取付部分(9,10,33)は、磨耗保護手段(33)であることを特徴とする請求項1または2に記載の組立体。
【請求項9】
前記チャネルは、濾液を前記フィルタチャンバ(6)から排出するための排出チャネル(34)であり、
前記磨耗保護手段(33)は、前記排出チャネル(34)に又は前記排出チャネル(34)のアウトフィード開口に配置されている、ことを特徴とする請求項8に記載の組立体。
【請求項10】
前記カップリング(13)は、エラストマー製であることを特徴とする請求項1から9のうちいずれか一項に記載の組立体。
【請求項11】
前記ボールピン(12)は、球形終端要素(16)に隣接するステム(17)を備え、
前記カップリング(13)は、前記球形終端要素(16)を受容するボールソケット(19)を備えている、ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の組立体。
【請求項12】
前記カップリング(13)は、前記ボールピン(12)の前記球形終端要素(16)用の入口開口部を有し、
前記球形終端要素(16)の最大横方向の大きさは、前記カップリング(13)の入口開口部の最大横方向の大きさよりも大きい、ことを特徴とする請求項11に記載の組立体。
【請求項13】
前記取付部分(9,10,33)は、複数のボールピン(12)と対応するカップリング(13)によって前記フィルタプレート(3)に固定され、
前記ボールピン(12)と前記対応するカップリング(13)は、前記取付部分(9,10,33)の開口(20)と前記インフィードチャネル(5)の出口開口の周囲に配置されている、ことを特徴とする請求項3又は4に記載の組立体。
【請求項14】
フィルタプレス用のフィルタプレート(3,35)と、少なくとも1つの取付部分(9,10,33)とを備えた組立体であって、
前記フィルタプレート(3,35)は、フィルタチャンバ境界面(32)を有し、当該フィルタチャンバ境界面により前記フィルタプレス内に形成されるフィルタチャンバ(6)の境界が定められ、
前記フィルタチャンバ境界面(32)への流体接続のための少なくとも1つのチャネルが、前記フィルタプレート(3,35)内に形成され、
前記取付部分(9,10,33)は、前記チャネルにおいて前記フィルタプレート(3,35)に固定され、
前記取付部分(9,10,33)は、少なくとも1つのスナップイン接続(12,13)により、前記フィルタプレート(3,35)に着脱可能に固定され、
前記取付部分(9,10,33)は、前記チャネル内に配置された開口(20)を有し、
前記取付部分(9,10,33)は、少なくとも1つの着脱可能なボール型スナップイン接続(12,13;23,24)によって前記フィルタプレート(3,35)に固定され
前記フィルタプレート(3,35)は、チャネルを形成する開口の周囲に第1の接触面(14)を有し、
前記取付部分(9,10,33)は、前記開口(20)の周囲に第2の接触面(15)を有し、
前記ボール型スナップイン接続(12, 13;23,24)が前記接触面(14,15)の領域に形成されることで、前記取付部分(9, 10, 33)が前記フィルタプレート(3, 35)に接続されたときに前記接触面(14,15)が互いに当接する、
ことを特徴とする組立体。
【請求項15】
前記ボール型スナップイン接続(12,13;23,24)は、環状ピン状突起(24)と、前記環状ピン状突起に関連するリング溝(23)とを備えていることを特徴とする請求項14に記載の組立体。
【請求項16】
前記環状ピン状突起(24)の周縁方向に対して垂直に形成された断面内における前記環状ピン状突起(24)は、球形環状終端要素(26)に隣接するアイボルト(25)を有する、ことを特徴とする請求項15に記載の組立体。
【請求項17】
前記リング溝(23)は、環状の第1の溝中空体への環状の第1入口開口部を有し、
前記リング溝(23)の周縁方向に対して垂直に形成された断面における前記第1入口開口部の最大横方向の大きさは、前記第1溝中空体の断面における前記第1溝中空体の最大横方向の大きさよりも小さい、ことを特徴とする請求項15または16に記載の組立体。
【請求項18】
前記リング溝(23)は、ダブテール状であることを特徴とする請求項15から17のうちいずれか一項に記載の組立体。
【請求項19】
前記ボール型スナップイン接続(12,13;23,24)は、前記リング溝(23)に対応するように形成された環状アダプタリング(22)を備えていることを特徴とする請求項15から18のうちいずれか一項に記載の組立体。
【請求項20】
前記アダプタリング(22)はエラストマー製であることを特徴とする請求項19に記載の組立体。
【請求項21】
前記アダプタリング(22)は、その周縁方向に対して垂直に形成された断面において、前記リング溝(23)の内面に対応する外面(30)を有することで、前記アダプタリング(22)が前記リング溝(23)に挿入され、
環状の第2溝中空体(29)への環状の第2入口開口部(28)を有する追加リング溝(27)が、前記アダプタリング(22)に形成され、前記アダプタリング(22)の周縁方向に対して垂直に形成された断面における前記第2入口開口部(28)の最大横方向の大きさ(A)は、前記第2溝中空体(29)の断面における前記第2溝中空体(29)の最大横方向の大きさ(F)よりも小さい、ことを特徴とする請求項19または20に記載の組立体。
【請求項22】
前記球形環状終端要素(24)の最大横方向の大きさは、前記アダプタリング(22)の前記第2入口開口部の最大横方向の大きさ(A)よりも大きい、ことを特徴とする請求項21に記載の組立体。
【請求項23】
前記アダプタリング(22)は、前記第2溝中空体(29)を形成する内面(31)を有し、
前記内面(31)が前記環状ピン状突起(24)の面に対応することで、前記環状ピン状突起(24)が前記第2溝中空体(29)に挿入され得る、ことを特徴とする請求項21または22に記載の組立体。
【請求項24】
前記環状ピン状突起(24)は、前記取付部分(9,10,33)上に配置され、
前記リング溝(23)は、前記フィルタプレート(3,35)上に配置されている、
ことを特徴とする請求項15から23のうちいずれか一項に記載の組立体。
【請求項25】
前記取付部分(9,10,33)は、ディストリビュータリング(9)であって、
前記チャネルは、濾過対象の懸濁液を前記フィルタチャンバ(6)に供給するためのインフィードチャネル(5)であり、
前記濾過対象の懸濁液は、前記ディストリビュータリング(9)によって前記フィルタチャンバ(6)に供給されうる、ことを特徴とする請求項14から24のうちいずれか一項に記載の組立体。
【請求項26】
前記取付部分(9,10,33)は、支持リング(10)であり、
前記チャネルは、濾過対象の懸濁液を前記フィルタチャンバ(6)に供給するためのインフィードチャネル(5)であり、
前記支持リング(10)は、ディストリビュータリング(9)に隣接して配置され、前記ディストリビュータリング(9)を通じて前記濾過対象の懸濁液が前記フィルタチャンバ(6)に供給されうる、ことを特徴とする請求項14から24のうちいずれか一項に記載の組立体。
【請求項27】
前記取付部分(9,10,33)は支持カムとして形成されていることを特徴とする請求項14から24のうちいずれか一項に記載の組立体。
【請求項28】
前記接触面(14,15)において、前記フィルタプレート(3,35)と前記取付部分(9,10,33)との間にリングシール(18)が配置されていることを特徴とする請求項14に記載の組立体。
【請求項29】
前記取付部分(9,10,33)は、磨耗保護手段(33)であることを特徴とする請求項14から24のうちいずれか一項に記載の組立体。
【請求項30】
前記チャネルは、濾液を前記フィルタチャンバ(6)から排出するための排出チャネル(34)であり、
前記磨耗保護手段(33)は、前記排出チャネル(34)に又は前記排出チャネル(34)のアウトフィード開口に配置されている、ことを特徴とする請求項29に記載の組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタプレス用のフィルタプレートと少なくとも1つの取付部分を備えた組立体に関し、フィルタプレートはフィルタチャンバ境界面を有し、それによってフィルタプレス内に形成されるフィルタチャンバが境界を決められる。フィルタプレート内に、フィルタチャンバ境界面との流動接続のための少なくとも1つのチャネルが形成され、取付部分は、少なくとも1つの着脱可能なボール型スナップイン接続によってチャネルのところでフィルタプレートに着脱可能に固定されている。本発明はさらに、フィルタプレス用のそのようなフィルタプレートと少なくとも1つの取付部分を備えた組立体にも関し、取付部分は、少なくとも1つのスナップイン接続によってフィルタプレートに着脱可能に固定され、チャネル内に配置された開口を有する。
【背景技術】
【0002】
フィルタプレス用の、複数の隣接配置されたフィルタプレートからなるフィルタパックを形成することが知られている。フィルタプレートそれぞれの間にフィルタチャンバが形成される。この目的のためフィルタプレートは中央フィルタエリアと、中央フィルタエリアを縁取る密封縁を有する。フィルタプレートはフィルタプレス内で互いに接離方向に移動することができ、それによってフィルタチャンバが開閉され得る。
【0003】
各フィルタチャンバは通常、フィルタチャンバへのチャネルとして少なくとも1つのインフィードと1つのアウトフィードを有する。濾過対象の、スラリーとも呼ばれる懸濁液は、インフィードを介してフィルタチャンバに流入する。次に懸濁液はフィルタクロスによって濾過され、固形分はフィルタクロスによってフィルタチャンバ内に保持されて、いわゆるフィルタケーキが形成されることになる。固形分から分離した濾液は、少なくとも1つのアウトフィードチャネルを介してフィルタチャンバ外に導出される。
【0004】
特殊な場合にフィルタケーキ内の残存水分を低減するために、また、濾過回数を低減するために、少なくとも1つのフィルタプレートがメンブレンを有するフィルタプレスが知られている。この種のフィルタプレートはメンブレンフィルタプレートと呼ばれる。メンブレンフィルタプレートを備えたフィルタプレスにおいて、最初に実行される、フィルタケーキが配置される空間を狭窄するようにフィルタチャンバの弾性メンブレンに圧力媒体が適用される圧力濾過に続いて圧搾濾過が行われる。フィルタケーキはこのように圧縮され、それによってフィルタケーキの空隙が縮小され、したがってこれらの空隙内の残存水分がさらに低減される。メンブレンフィルタプレートが使用された場合、フィルタクロスの固定先の、いわゆるチャンバフィルタプレートおよびメンブレンフィルタプレートが、フィルタパック内に対になって隣接配置される。
【0005】
そのようなフィルタプレスは、例えば特許文献1に記載されている。特許文献1に記載のフィルタプレスでは、チャンバフィルタプレートとメンブレンフィルタプレートを交互に備えたフィルタパックが形成される。チャンバフィルタプレートは、その2つの側部それぞれにフィルタクロスを有し、それらはそれぞれフィルタプレートの本体内の凹部に固定されている。メンブレンプレートは、その2つの側部それぞれに1つのメンブレンと1つのフィルタクロスを有し、それらもそれぞれメンブレンフィルタプレートの本体内の両側の凹部に固定されている。フィルタプレスには、チャンバフィルタプレートのフィルタチャンバ境界面とメンブレンフィルタプレートのメンブレンの間に形成されたフィルタチャンバがある。メンブレンとメンブレンフィルタプレートの本体の間に圧力チャンバが形成される。濾過対象の懸濁液のインフィード開口がフィルタチャンバにつながるように、チャンバフィルタプレートのフィルタクロスとフィルタチャンバ境界面との間に、プレート面の方向に或る距離が配設されてよい。
【0006】
濾過対象の懸濁液を供給するために、フィルタプレートは通常、穴を有する。複数のフィルタプレートがフィルタプレス内に組み立てられた状態で、これらの穴はインフィードチャネルを形成する。懸濁液をインフィードチャネルからフィルタプレートのフィルタチャンバに導くために、取付部分、例えばディストリビュータリングがフィルタプレート内に配置されている。支持リングまたはさらなるディストリビュータリングが、ディストリビュータリングに隣接して配置されてよい。ディストリビュータリングと支持リングは、接続要素、例えばねじによって本体に固定される。ディストリビュータリングと支持リングを備えたそのような組立体は、特許文献2に記載されている。
【0007】
特許文献3は、充填要素を備えたフィルタプレス用のフィルタプレートを開示している。充填要素は、フィルタチャンバにつながる分岐チャネルを有する。充填要素および隣接するフィルタプレートは溝を有し、そこにゴム弾性リングシールが挿入される。
【0008】
特許文献4は、軸方向スラリー供給開口を包囲する支持リングを備えたフィルタプレートについて記載している。支持リングは、スナップイン接続または戻り止め接続の方式で固定されたフランジ部を有する。
【0009】
特許文献5は、本体と、スナップイン接続によって本体に環状に固定された弾性要素を備えたフィルタプレートについて記載している。温度制御プレートが弾性要素に固定されており、伝熱材料で製造されている。
【0010】
特許文献6は、メンブレン保持フレームにダブテール形凹部が形成されてダブテール形メンブレン縁を受容する、フィルタプレス用のメンブレンフィルタプレートについて記載している。次にダブテール形メンブレン縁には溝が配設され、カバーフレームの突起を受容してカバーフレームをメンブレンに固定する。
【0011】
特許文献7は、縁領域が厚くなった主プレートと、弾性変形可能な材料製のメンブレンと、フィルタクロスを備えたメンブレンフィルタプレートについて記載している。メンブレンは主プレート内の相補的な溝に係合する環状ビーズを有する。
【0012】
フィルタプレートが使用される場合、取付部分を取り外して次にそれらを再び組み立てることが必要である。フィルタクロスが交換された場合、例えば、ディストリビュータリングは解体されなければならない。これに関連して、動作中での本体への取付部分の従来方式の固定は、取付部分の解体および再組立後にフィルタプレートの機能性に悪影響を与えることがあるということがわかっている。取付部分は磨耗部分でもあり得、特に、濾液排出チャネル内の磨耗部分である。この部分は時々交換されなければならない。このため、取付部分の着脱可能な接続が必要である。
【0013】
例えば、取付部分を、ねじ山に係合するねじによってねじ留めすることが知られている。フィルタプレスの動作中には15バールを越える圧力が発生する。そのような高圧では、固形分がねじ山に押し付けられる可能性がある。特に、ステンレス鋼の場合、ねじ山を塞ぐことになり得る。そのような塞ぎは、そうなると取付部分をもはや着脱できなくするため大きな問題を課す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】国際公開第03/095063号
【文献】国際公開第2009/012884号
【文献】独国特許出願公開第19956617号明細書
【文献】独国実用新案第20317546号明細書
【文献】欧州特許第2493587号明細書
【文献】欧州特許第0357015号明細書
【文献】国際公開第2004/043569号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
したがって、本発明の目的は、フィルタプレートへの取付部分の改善された固定を有し、その結果動作中の組立体の長期的な機能性が確保される、当初に述べた種類の組立体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この目的は、本発明により、請求項1の特徴を有する組立体と、請求項14に記載の特徴を有する組立体によって達成される。有利な実施形態およびその展開は従属請求項に記載されている。
【0017】
本発明による組立体において、ボール型スナップイン接続は、少なくとも1つのボールピンと少なくとも1つのカップリングを備えている。
【0018】
本明細書において、ボール型スナップイン接続は、弾性力による2つの要素の接続を意味すると理解され、ボール型スナップイン接続の1つの要素は球形である。これは、球形要素の少なくとも1つの断面は円形状、特に円形周囲を有するということを意味する。円形状周囲は、要素の総周囲の少なくとも50%を超えて延在する。外周線は、円形経路を厳密に通る必要はない。特に、例えば外周線はいくつかの領域で平坦であってもよい。しかしながら、ボール型スナップイン接続用の要素の挿入方向において、断面の横方向の大きさは、先ず拡張して、最大横方向の大きさに達した後で再び縮小する。
【0019】
ボール型スナップイン接続のこの実施形態の結果として、一方では、取付部分がフィルタプレート上に確実かつ確りと保持されることが保証され得る。しかしながら、他方では接続は、ユーザによって、取付部分を解体しフィルタプレートに再び固定するために、容易に解除もされ得る。
【0020】
ねじによる取付部分の従来方式の固定と比べて、スナップイン接続は、取付部分の固定が解除されたときに、失くなりそうなねじまたはナットなどの緩んだ小さい接続要素が生まれないという利点を有する。特に、フィルタプレートの長期の動作では、この種の緩んだ接続要素は、一度失くなると交換されないか、または適切でない接続要素と交換されてしまい、それによって、フィルタプレス内でのフィルタプレートの後続動作中にフィルタプレートの機能性が損なわれるということがわかっている。本発明により、スナップイン接続によってフィルタプレートに固定された取付部分を解除する場合は、失くなる可能性があるそのような緩んだ接続要素は生じない。しかしながら、同時に、スナップイン接続は、取付部分のフィルタプレートへの確実かつ恒久的な固定を保証する。
【0021】
さらに、本発明によるスナップイン接続による取付部分の固定の場合、フィルタプレスの動作中に発生する高圧で、固形分がスナップイン接続を超えて導かれて接続に浸透する可能性がある場合でも、取付部分がフィルタプレートから確実に切り離され得ることが保証される。
【0022】
ここで、スナップイン接続とは、弾性力による2つの要素の着脱可能な接続を意味すると理解される。
【0023】
本発明による組立体のさらなる実施形態によれば、取付部分は、チャネル内に配置された開口を有する。取付部分は、フィルタプレートの動作中に、チャネルからフィルタチャンバ境界面までの、すなわち、フィルタチャンバまでの流体接続をもたらし得る。いずれにせよ、フィルタクロスは依然としてフィルタチャンバ境界面とフィルタチャンバの間に配置されてよい。
【0024】
本発明による組立体の一実施形態によれば、取付部分はディストリビュータリングであり、チャネルは、フィルタチャンバに濾過されて入る懸濁液を供給するためのインフィードチャネルであり、濾過対象の懸濁液は、ディストリビュータリングによってフィルタチャンバに供給され得る。インフィードチャネルは、スラリー穴とも呼ばれる。
【0025】
さらに、取付部分は支持リングであってよく、チャネルは、フィルタチャンバに濾過されて入る懸濁液を供給するためのインフィードチャネルであってよく、支持リングはディストリビュータリングに隣接して配置され、ディストリビュータリングを介して、濾過対象である懸濁液がフィルタチャンバに供給され得る。
【0026】
取付部分は支持カムとして形成されていてもよい。支持カムは、フィルタプレートの横断方向に突出する。支持カムは、フィルタプレートの基部を、フィルタプレス内で隣接するフィルタプレートの反対側基部の対応する支持カム上に支持するために用いられる。支持カムは、基部が濾過プロセスおよびフィルタプレス中に偏向することを防止できる。ボール型スナップイン接続による支持カムの固定は、支持カムのフィルタプレートとの接続の可動性が増え、フィルタプレスが閉じたときの力の導入が改善され得るという利点を有する。支持カムは、チャネルのところでフィルタプレートに固定されてよい。特に、支持カムはチャネルの周囲に配置されてよい。しかしながら、別法として、支持カムは、別の取付部分に加えてフィルタプレートに固定されてもよく、別の取付部分はフィルタプレートのチャネルのところで固定されている。
【0027】
さらに、取付部分はメンブレンであってもよい。メンブレンは、上述の着脱可能なボール型スナップイン接続によって、特に隅部でフィルタプレートに接続され得る。その結果として、メンブレンの予備固定が有利に達成され得る。
【0028】
組立体のこれらの実施形態において、ディストリビュータリング、支持リング、支持カムまたはメンブレンは、例えばフィルタクロスを交換するために、フィルタプレートから非常に容易に取り外され得る。この場合、緩んだ接続要素を失くす危険がなく、次にディストリビュータリング、支持リング、支持カムまたはメンブレンがフィルタプレートに不適切に再固定される危険もない。
【0029】
ディストリビュータリングは、ディストリビュータリングの安定性が増加するように支持リングによって支持される。メンブレンプレートの場合、メンブレンも支持されてよく、フィルタクロスは恐らくは支持リングによって保護される。
【0030】
さらに、取付部分はさらなるディストリビュータリングであってもよい。例えば、チャンバフィルタプレートは2つのディストリビュータリングを備えてよい。
【0031】
本発明による組立体のさらなる実施形態によれば、フィルタプレートはチャネルを形成する開口の周囲に第1の接触面を有し、取付部分はその開口の周囲に第2の接触面を有する。この場合ボール型スナップイン接続は特に接触面の領域に形成され、その結果、取付部分がフィルタプレートに接続されたときに、接触面は互いに当接して保持される。互いに当接する接触面によって、取付相手のフィルタプレート間の接続の密封効果が改善する。
【0032】
本発明に係るボール型スナップイン接続は、接続中に弾性力が効いているため、取付部分とフィルタプレートの間に生じ得る空間差も有利に補償する。例えば、フィルタクロスがディストリビュータリングとフィルタプレートの間に締着された場合、締着されたクロスの厚さの変化は、弾性ボール型スナップイン接続で補償され得る。こうして、フィルタプレスが閉じるにつれ、クロスはディストリビュータリングとプレート穴の間に液密にプレスされ得る。対照的に、ねじ留め接続の場合、フィルタクロスが締着されるときの支持リングまたはディストリビュータリングとフィルタプレートの間の距離は固定されている。フィルタクロスの厚さが変化した場合、ディストリビュータリングまたは支持リングをフィルタプレートに押し付け続ける弾性力は効かず、したがって、接続はもはや液密ではない可能性がある。
【0033】
密封効果をさらに改善するために、フィルタプレートと取付部分の接触面にリングシールが配置され得る。このリングシールは取付部分またはインフィードチャネルの開口を包囲する。例えば、接触面のうち少なくとも1つは、密封用丸紐を受容するための溝を有してよい。
【0034】
さらに、取付部分は磨耗保護手段であり得る。この場合、チャネルは、例えば、濾液をフィルタチャンバから除去するための排出チャネルであってよい。その場合磨耗保護手段は、排出チャネル内または排出チャネルに、特にフィルタクロス下に、または排出方向においてフィルタクロスの裏に、または排出チャネルのアウトフィード開口に配置される。そのような磨耗保護手段は、フィルタケーキのさらなる乾燥のために、圧縮空気がフィルタプレートを通る濾液の排出方向に対して吹き付けられ、そうすることで固形粒子が混入した場合に排出チャネルのアウトフィード開口または壁を保護するために用いられる。この場合磨耗粒子がアウトフィード開口または排出チャネルの壁に損傷を与える可能性がある。したがって、磨耗保護手段は頻繁に交換されなければならない消耗保護手段である。
【0035】
本発明に係るフィルタプレートの別の実施形態によれば、カップリングは特にエラストマー製である。したがってカップリングは弾性である。この場合ボールピンは特に弾性ではなく、カップリングはボールピンを弾性に保持する。逆に、別の実施形態によれば、ボールピンが弾性でありカップリングは弾性でない。
【0036】
ボールピンは例えば、金属またはプラスチック材料製であり、特に、カップリングに相対して剛性のプラスチック材料製である。ボールピンはステムを備えてよく、ステムに球形終端要素が隣接している。この場合カップリングは、球形終端要素を受容するためのボールソケットを備えてよい。
【0037】
カップリングは特に、ボールピンの球形終端要素のための入口開口部を有する。球形終端要素の最大横方向大きさはこの場合、カップリングの入口開口部の最大横方向大きさよりも大きい。球形終端要素が入口開口部を介してカップリングに導入されるにつれ、入口開口部はしたがって弾性的に拡張する。球形終端要素がカップリング内に着座した場合、こうしてカップリングの入口開口部に弾性的に保持される。
【0038】
本発明による組立体の一実施形態によれば、ボールピンはフィルタプレート上に配置され、カップリングは取付部分上に配置される。反対に、別の実施形態によれば、カップリングがフィルタプレート上に配置され、ボールピンが取付部分上に配置される。
【0039】
本発明による組立体の一実施形態によれば、取付部分がインフィードチャネル内またはインフィードチャネルの開口周囲に配置されている場合、取付部分は、複数のボール型スナップイン接続によってフィルタプレートに固定されてよく、ボール型スナップイン接続は取付部分内の開口とチャネル形成開口周囲に配置され、ボール型スナップイン接続は取付部分の開口付近に特に同心に配置されている。この場合、ボール型スナップイン接続は特にボールピンと、取付部分の開口周囲に配置された対応するカップリングである。これにより、ボール型スナップイン接続によって生じるフィルタプレートの取付部分の固定が液密となることが好ましくは保証される。
【0040】
本発明のさらなる態様は、フィルタプレス用のフィルタプレートと少なくとも1つの取付部分を備えた組立体に関し、フィルタプレートはフィルタチャンバ境界面を有し、それによって、フィルタプレスによって形成されるフィルタチャンバが境界を定められ、フィルタチャンバ境界面への流体接続のための少なくとも1つのチャネルがフィルタプレートに形成され、取付部分はチャネルのところでフィルタプレートに固定されている。取付部分は少なくとも1つのスナップイン接続によってフィルタプレートに着脱自在に固定され、チャネル内に配置された開口を有する。本発明によれば、取付部分は少なくとも1つの着脱可能なボール型スナップイン接続によってフィルタプレートに固定されている。
【0041】
着脱可能なボール型スナップイン接続の使用は上述の利点を有する。
【0042】
本発明に係る第2の態様による組立体の一実施形態によれば、ボール型スナップイン接続は、環状ピン状突起と、その突起に関連するリング溝を備えている。リング溝に係合することができ、リング溝と合体してボール型スナップイン接続をなす環状突起を介したボール型スナップイン接続によって、取付部分とフィルタプレートの間に特に確実な接続がなされることができ、保持力は環状に及ぼされる。特に、これにより、ボール型スナップ接続によって生じるフィルタ液密となることが保証される。
【0043】
本明細書において、環状突起またはリング溝は、突起と溝が曲線上に特定の方式で配置されているということを意味すると理解される。閉環が配設される必要があるわけではないが、閉環状構造は好ましい。リング形状は、種々の幾何形状で形成され得るが、特に、円形リングの形状を帯びる。
【0044】
その周辺方向に対して垂直に形成された断面内の環状ピン状突起は例えばアイボルトを有し、アイボルトには球形環状終端要素が隣接している。断面に形成された突起のアイボルトは環状に延在するため、突起のこの部分を環状リブとも呼ぶ。球形環状終端要素は、リング形状に湾曲した円柱の形状を有し、円柱の断面は、上記で詳細に定義したようにディスク様である。
【0045】
本発明に係る第2の態様による組立体の一実施形態によれば、リング溝は環状第1溝中空体への環状第1入口開口部を有し、リング溝の周縁方向に対して垂直に形成された断面における第1入口開口部の最大横方向の大きさは、この断面での第1溝中空体の最大横方向の大きさよりも小さい。このようにリング溝は入口開口部において狭窄を有する。次にリング溝は第1溝中空体に対して内側に拡張する。例えば、リング溝はダブテール形であってよい。要素はリング溝内にこのように保持され得る。
【0046】
本発明に係る第2の態様による組立体の一実施形態によれば、ボール型スナップイン接続は、リング溝に対応して形成された環状アダプタリングを備えている。取付部分とフィルタプレートの間のスナップイン接続はこのアダプタリングを介してなされ得る。
【0047】
アダプタリングは特にエラストマー製である。例えば、アダプタリングはゴムリングであり、ゴムリングは、天然ゴムからでも、合成ゴムからでも、ならびに熱可塑性エラストマーからでも製造され得る。このように、これらの2つの部分間のスナップイン接続は、取付部分とフィルタプレートの材質に拘らずアダプタリングによって生じ得るものであり、より特定的には、特に取付部分とフィルタプレートが、寸法安定性のある、例えばプラスチック素材で製造されている場合でもアダプタリングによって生じ得るものである。
【0048】
アダプタリングは、特に、その周縁方向に対して垂直に形成された断面において、リング溝の内面に対応する外面を有し、よってアダプタリングがリング溝に挿入されることができ、嵌合してそこに保持される。アダプタリングの外面は、このように特にダブテール形である。
【0049】
環状の第2溝中空体への環状の第2入口開口部を有する追加リング溝が、同様にアダプタリング内に形成され、アダプタリングの周縁方向に対して垂直に形成された断面における第2入口開口部の最大横方向の大きさは、この断面での第2溝中空体の最大横方向の大きさよりも小さい。ボール型スナップイン接続を介して保持される部分は、追加リング溝に挿入され得る。このため、ピン状突起の球形環状終端要素の最大横方向の大きさは、特に、アダプタリングの第2入口開口部の最大横方向の大きさよりも大きい。球形環状終端要素の円形断面形状は、第2溝中空体の断面形状に対応する。突起の球形環状終端要素はこうしてアダプタリングの追加リング溝内に保持されてよい。
【0050】
アダプタリングは特に、第2溝中空体を形成する内面を有し、その内面は、環状ピン状突起の表面に対応し、よって環状ピン状突起が第2溝中空体に挿入され得る。アダプタリングを受容するための溝のダブテール形断面形状と、円形断面形状を備えたアダプタリング内に形成されたさらなる溝の組み合わせが、フィルタプレート内の取付部分間の特に確実で取り扱いが容易な接続をもたらすことがわかった。
【0051】
ボール型スナップイン接続が環状ピン状突起とリング溝を備えていれば、環状ピン状突起は特に取付部分上に配置され、リング溝はフィルタプレート上に配置される。しかしながら、逆転された組立体も可能である。
【0052】
本発明に係る本発明の第2の態様による組立体の一実施形態により、上記で既に詳細に説明したように、取付部分はディストリビュータリング、支持リング、支持カム、磨耗保護手段および/またはメンブレンである。
【0053】
以下、図面を参照して本発明の代表的な実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
図1】スラリーのインフィードチャネルが密封縁の外部に配置されている、フィルタプレス用のフィルタプレートペアの縁領域の一般構造の模式図である。
図2】スラリーのインフィードチャネルがフィルタプレートの中央に配置されている、発明に係る組立体の第1の代表的な実施形態を示す図である。
図3図2の描写からの詳細Dを示す図である。
図4】ディストリビュータリングがフィルタプレートに固定されている、図2からの組立体の平面図である。
図5図4の描写からの断面B-Bの図である。
図6図5の断面図の詳細Cの図である。
図7】本発明に係る組立体の第2の代表的な実施形態の図である。
図8図7に示した組立体の第2の代表的な実施形態のディストリビュータリングの図である。
図9図7に示した本発明に係る組立体の第2の代表的な実施形態のアダプタリングの図である。
図10図9に示した本発明に係る組立体のアダプタリングの断面の模式図である。
図11】2つのディストリビュータリングがその両側でフィルタプレートに接続されている、本発明に係る組立体の第2の代表的な実施形態の断面図である。
図12図11の断面図の詳細の図である。
図13】本発明に係る組立体の第3の代表的な実施形態の図である。
図14図13の第3の代表的な実施形態の詳細Eの図である。
図15図13に示した本発明に係る組立体の第3の代表的な実施形態の磨耗保護手段の図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
フィルタプレス内の配置構成を備えたフィルタプレートパック1の一般構造を、図1を参照して先ず説明する。
【0056】
フィルタプレートパック1は、メンブレンフィルタプレート2と、チャンバフィルタプレート3を備えている。しかしながら、フィルタプレートパック1は、フィルタプレートの他の組み合わせ、例えば、複数のチャンバフィルタプレート3によって形成されてもよい。フィルタプレート2および3は本体4を備えている。チャンバフィルタプレート3において、本体4はフィルタプレート自体であってもよい。図1に示した例において、濾過すべき、スラリーとも呼ばれる懸濁液のインフィードチャネル5は、本体4の縁領域に形成されている。このインフィードチャネル5は、以下に説明するように、フィルタプレート2および3の中心に形成されてもよい。フィルタチャンバ6が、メンブレンフィルタプレート2とチャンバフィルタプレート3の間に形成され、フィルタチャンバ境界面32によって1つの側部を区切られている。フィルタチャンバ6内で、フィルタクロス7は、縁に配設された固定要素によってメンブレンフィルタプレート2の溝に固定される。フィルタチャンバ境界面32に隣接して、チャンバフィルタプレート3内にフィルタクロス(図示せず)も配置されている。
【0057】
ディストリビュータリング9がチャンバフィルタプレート3に挿入される。ディストリビュータリング9は、図2に示すように、インフィードチャネル5からフィルタチャンバ6への流体接続を提供する複数のディストリビューションチャネル21を有する。支持リング10は、ディストリビュータリング9と支持リング10がメンブレンフィルタプレート2とチャンバフィルタプレート3の間に密封締着されるように、ディストリビュータリング9に隣接して配置されている。こうして、フィルタチャンバ6はディストリビュータリング9と支持リング10によって閉止され、その結果、インフィードチャネル5に対して流入側では、流体接続がディストリビュータリング9のディストリビューションチャネル21を介してのみ存在する。
【0058】
図1に濾過経路8も示されている。懸濁液がインフィードチャネル5に供給される。そこから、懸濁液は、ディストリビュータリング9のディストリビューションチャネル21を介してフィルタチャンバ6に通過する。懸濁液の液体成分はフィルタクロス7を通過しして、メンブレンの回収チャネル(図示せず)を介して排出される。回収チャネルは濾液用の排出チャネル34を介して濾液穴11(図2参照)に接続され、濾液は前記濾液穴を介して排出される。
【0059】
インフィードチャネル5は、フィルタプレート2および3内の密封縁の領域のみに形成されなくてもよい。インフィードチャネルがフィルタプレート2および3の中心に形成されることも可能である。そのようなフィルタプレートパックの一般構造はそれ自体知られており、例えば、国際公開第2009/012884号に記載されている。
【0060】
例えば、国際公開第2009/012884号または国際公開第2006/111378号に記載の従来型フィルタプレートは、ディストリビュータリング9などの取付部分である、または、支持リング10は挿入された接続部分またはねじによって固定されている。本発明に係るフィルタプレートの場合、ディストリビュータリング9などの取付部分は、図2乃至図6を参照した第1の代表的な実施形態に基づいて以降に説明するように、他の方式で接続されている。
【0061】
図2に示した例において、チャンバフィルタプレート3は中央インフィードチャネル5を備えている。しかしながら、インフィードチャネル5は、図1を参照して説明したように、同様に縁に配置されてもよい。濾液穴11は図2の隅に配置されている。
【0062】
ディストリビュータリング9は、チャンバフィルタプレート3の本体4に取付部分として、またはチャンバフィルタプレート3自体に固定されている。このため、インフィードチャネル5周囲の本体4上に第1の接触面14が形成されている。ボールピン12が、この第1の接触面14上に、インフィードチャネル5周囲に同心に配置され、第1の接触面14から突出している。
【0063】
第1の接触面14に対応する第2の接触面15がディストリビュータリング9に形成され、その上に配置された、本体4のボールピン12に対応するカップリング13を有する。カップリング13はディストリビュータリング9と一体化している。カップリング13とディストリビュータリング9は異なる素材からなるが、両者は一体に形成されている。ディストリビュータリング9を本体4に固定するために、ディストリビュータリング9には、ボールピン12上でカップリング13が嵌合しており、その結果、ディストリビュータリング9は着脱可能なボール型スナップイン接続によって本体に固定される。ボールピン12とカップリング13の間のボール型スナップイン接続は、第1の接触面14と第2の接触面15が互いに押し合うように形成されている。
【0064】
リングシール18は、ディストリビュータリング9が本体4に固定されるとディストリビュータリング9への密封接続が生じるように、インフィードチャネル5周囲の第1の接触面14に配置されている。ここで、リングシール18は、溝と、第1の接触面14内の丸紐によって形成され得る。
【0065】
ディストリビュータリング9は、ディストリビュータリング9が主プレート4に固定されたときにインフィードチャネル5に隣接する開口20を有する。懸濁液は、この開口20からディストリビュータリング9のディストリビューションチャネル21に通過することができ、そこからフィルタチャンバ6に供給され得る。
【0066】
ディストリビュータリング9の固定は図4と、図5および6の断面図に詳細に示されている。ディストリビュータリング9,9′は、チャンバフィルタプレート3の本体4の各側部に固定される。特に図6からわかるように、ボールピン12は、ステム17と球形終端要素16を備えている。ステム17と球形終端要素16によって形成されるボールピン12は、金属またはプラスチック素材などの剛性素材から作られている。ディストリビュータリング9の固定状態において、球形終端要素16はカップリング13内に配置され、それがボールソケット19を形成する。カップリング13は、球形終端要素16がカップリング13に導入され得るように弾性になっている。カップリングは例えばエラストマー製である。
【0067】
最大横方向の大きさ、すなわち本事例では球形終端要素16の直径は、カップリング13の入口開口部の最大横方向の大きさよりも大きい。このため、球形終端要素16がカップリング13に導入されるにつれ、カップリング13の導入口が拡大される。球形終端要素16がカップリング19のボールソケット19に押し当たると、カップリング13の入口開口部は、カップリング13の弾性特性によって再び縮小し、その結果、カップリング13の突起がステム17と球形終端要素16の間の移行領域に係合して球形終端要素16をカップリング13内に保持する。こうして、ディストリビュータリング9と本体4の間に着脱可能なボール型スナップイン接続が生じる。
【0068】
チャンバフィルタプレート3のところで、ディストリビュータリング9が、複数の着脱可能なボール型スナップイン接続によって、チャンバフィルタプレート3の本体4に、取付部分として固定され、その接続のためにボールピン12とカップリング13が配設されている。
【0069】
図7乃至図12を参照して、本発明に係る組立体の第2の例示的実施形態を説明する。
【0070】
この第2の代表的な実施形態の、第1の代表的な実施形態の対応する部分と同一である部分は、同じ参照符号で示される。これらの部分の詳細な説明に関しては、第1の代表的な実施形態の説明を参照する。
【0071】
第1の代表的な実施形態と同様に、図7に示した第2の代表的な実施形態のチャンバフィルタプレート3は、中央インフィードチャネル5を備えている。ディストリビュータリング9は、取付部分としてチャンバフィルタプレート3に固定される。第1の代表的な実施形態では接続が着脱可能なボール型スナップイン接続によって行っているが、以下に説明するように、第1の代表的な実施形態と比べて違う方式で形成される。
【0072】
リング溝23が本体4に形成され、インフィードチャネル5周囲に同心に通る。インフィードチャネル5は、チャンバフィルタプレート3の垂線に対して垂直な断面において円形であるため、この断面におけるリング溝23もまた円形リング形状である。しかしながら、別の代表的な実施形態ではリング溝23は異なる形態を有してもよい。
【0073】
特に図12からわかるように、リング溝23は、環状の第1溝中空体に至る環状の第1入口開口部を有する。図12に示すように、リング溝23の周縁方向の断面において、リング溝23はダブテール形である。リング溝23の周縁方向に対して垂直に形成された断面における第1入口開口部の最大横方向の大きさは、この断面での第1溝中空体の最大横方向の大きさよりも小さい。
【0074】
図8に示すように、ディストリビュータリング9は、チャンバフィルタプレート3に面した側に環状ピン状突起24を有する。さらに、第2の代表的な実施形態のボール型スナップイン接続は、エラストマー製、特にゴム製であるアダプタリング22を備えている。このアダプタリング22は図9および図10に示されている。
【0075】
図10は、その周縁方向に対して垂直に形成されたアダプタリング22の断面を示す。アダプタリング22の外面30は、台形状またはダブテール状である。この外面30は、リング溝23の内面に対応する。アダプタリング22はこうして、リング溝23内に嵌合して収まるようにリング溝23内に挿入され得る。アダプタリング22内に追加リング溝27も形成される。しかしながら、この追加リング溝27は、チャンバフィルタプレート3の本体4内のリング溝23と比べて異なる形状を有している。リング溝27は環状の第2入口開口部28を有する。第2入口開口部28には、環状の第2溝中空体29が隣接している。図10に示した断面における第2入口開口部28の最大横方向の大きさAは、この断面での第2溝中空体29の最大横方向の大きさFよりも小さい。
【0076】
特に図11および図12に示すように、その周縁方向に対して垂直に形成された断面におけるディストリビュータリング9の環状ピン状突起24はアイボルト25を有し、それに球形環状終端要素26が隣接している。したがって、環状ピン状突起24の幾何形状はアダプタリング22の追加リング溝27に対応する。図11および図12に示すように、アダプタリング22はこうしてリング溝23に挿入されてよい。ディストリビュータリング9の環状ピン状突起24はまた、アダプタリング22の追加リング溝27に挿入されて、ディストリビュータリング9と、チャンバフィルタプレート3の本体4との間に着脱可能なボール型スナップイン接続が形成されるようにしてもよい。
【0077】
図11は、図5と同様に、第2の代表的な実施形態のボール型スナップイン接続を介した2つのディストリビュータリング9および9′の、チャンバフィルタプレート3の本体4への接続を示す。図12は、このボール型スナップイン接続の詳細図を示す。
【0078】
図13乃至図15を参照して、本発明に係る組立体の第3の代表的な実施形態を説明する。
【0079】
フィルタプレート35に、磨耗保護手段33が、濾液のアウトフィードに配置されている。この磨耗保護手段33は、フィルタケーキのさらなる乾燥のために、圧縮空気が、排出チャネルを通って濾液の排出方向に吹き込まれた場合に排出チャネルのアウトフィード開口または壁を保護するために用いられる。
【0080】
磨耗保護手段33はフィルタ面のインサートとして形成される。したがって、図14に示すように、磨耗保護手段33は、フィルタクロスを支持するために上側にこぶを有する。上側と反対方向を向く磨耗保護手段33の下側は、濾液の排出チャネルの方に向いている。図13に示すように、フィルタプレート33は隅に濾液穴11を有する。隣接するフィルタプレート35の場合には整列して配置されたこれらの濾液穴11から、分岐穴が排出チャネルに通る。図13の下右隅に例として示すように、磨耗保護手段33は、そのような分岐穴の出口に配置されている。
【0081】
磨耗保護手段33を固定するために、図14に示すようにフィルタプレート34に2つのボールピン12が形成され、図15に示すように、磨耗保護手段33に2つのカップリング13が形成されている。ボールピン12とカップリング13はスナップイン接続を提供し、それによって磨耗保護手段33はフィルタプレート34に接続されて、弾性力によってそこに対して押し付けられて保持され得る。別の方法として、磨耗保護手段33は、図7に示す代表的な実施形態ではリング溝33および環状ピン状突起24によってフィルタプレート34に接続されてもよい。
【0082】
別の代表的な実施形態では、他の取付部分が、フィルタチャンバ6へのチャネルの少なくとも1つの上記の着脱可能なスナップイン接続を介してフィルタプレートに固定される。例えば、支持リング10はこうして本体4に固定され得る。さらに、フィルタクロス7用の保護カバーは、着脱可能なスナップイン接続を介してフィルタプレート2および3のうち一方に固定され得る。
【0083】
取付部分は、支持カムとして形成されてもよい。ディストリビュータリング9と同様に、支持カムは横方向に突出してよい。支持カムは、フィルタプレート2の基部を、フィルタプレス内の隣接するフィルタプレート3の対向する基部の対応する支持カム上に支持するために用いられる。支持カムは、フィルタプレート2、3に、少なくとも1つの上記の着脱可能なボール型スナップイン接続を介して接続され得る。開口を支持カム内に形成して、前記開口がインフィードチャネル5の開口を包囲するようにしてもよい。
【0084】
さらに、例えば四隅の領域において、上述の着脱可能なボール型スナップイン接続を介して、メンブレンをフィルタプレート2に接続してもよい。メンブレンは、これらのボール型スナップイン接続を介して予備固定される。メンブレンは次に、フィルタプレスが閉じるにつれて最終的に定位置に確実に保持される。
【符号の説明】
【0085】
1:フィルタプレートパック
2:メンブレンフィルタプレート
3:チャンバフィルタプレート
4:本体
5:インフィードチャネル
6:フィルタチャンバ
7:フィルタクロス
8:濾過経路
9,9′:ディストリビュータリング
10:支持リング
11:濾液穴
12:ボールピン
13:カップリング
14:第1の接触面
15:第2の接触面
16:球形終端要素
17:ステム
18:リングシール
19:ボールソケット
20:開口
21:ディストリビューションチャネル
22:アダプタリング
23:リング溝
24:環状ピン状突起
25:アイボルト
26:球形環状終端要素
27:追加リング溝
28:第2入口開口部
29:第2溝中空体
30:アダプタリングの外面
31:アダプタリングの内面
32:フィルタチャンバ境界面
33:磨耗保護手段
34:排出チャネル
35:フィルタプレート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15