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特許7165697システム、通信装置、プログラム及び制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-26
(45)【発行日】2022-11-04
(54)【発明の名称】システム、通信装置、プログラム及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 7/185 20060101AFI20221027BHJP
   B64C 13/20 20060101ALI20221027BHJP
   B64C 19/02 20060101ALI20221027BHJP
   B64F 1/36 20170101ALI20221027BHJP
【FI】
H04B7/185
B64C13/20 Z
B64C19/02
B64F1/36
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020087021
(22)【出願日】2020-05-18
(65)【公開番号】P2021182684
(43)【公開日】2021-11-25
【審査請求日】2022-03-18
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】318002806
【氏名又は名称】HAPSモバイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中沢 英嗣
【審査官】後澤 瑞征
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/199370(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0189274(US,A1)
【文献】特開2004-80466(JP,A)
【文献】特表2003-509951(JP,A)
【文献】国際公開第2020/054237(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/14 - 7/216
H04B 7/005
H04B 7/10
B64C 13/20
B64C 19/02
B64F 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上に配置された地上通信装置との間で無線通信リンクを確立可能な第1の飛行体及び第2の飛行体を備え、
第1の円偏波によって前記地上通信装置と無線通信リンクを確立している前記第1の飛行体と前記第2の飛行体とが交代する場合に、前記第2の飛行体が前記第1の円偏波とは逆の第2の円偏波によって前記地上通信装置と無線通信リンクを確立した後に、前記第1の飛行体が前記地上通信装置との無線通信リンクを切断する、システム。
【請求項2】
前記第1の円偏波は、右旋円偏波及び左旋円偏波のうちの一方であり、前記第2の円偏波は、右旋円偏波及び左旋円偏波のうちの他方である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記地上通信装置は、前記第1の飛行体と前記第2の飛行体とが交代する場合に、前記第1の円偏波によって前記第1の飛行体に対する情報を送信し、前記第2の円偏波によって前記第2の飛行体に対する情報を送信し、
前記第1の飛行体は、前記地上通信装置による前記第1の円偏波及び前記第2の円偏波を受信して、前記第1の飛行体に対する情報を取得し、
前記第2の飛行体は、前記地上通信装置による前記第1の円偏波及び前記第2の円偏波を受信して、前記第2の飛行体に対する情報を取得する、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記地上通信装置をさらに備え、
前記地上通信装置は、前記第1の飛行体と前記第2の飛行体とが交代する場合に、前記第1の飛行体による前記第1の円偏波及び前記第2の飛行体による前記第2の円偏波を受信して、前記第1の飛行体からの情報及び前記第2の飛行体からの情報を取得する、請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記地上通信装置は、前記第1の円偏波を復調した第1のベースバンド信号を蓄積する第1のバッファと、前記第2の円偏波を復調した第2のベースバンド信号を蓄積する第2のバッファと、前記第1のバッファ及び前記第2のバッファに接続されたスイッチとを有する、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記地上通信装置は、前記第1の円偏波を復調した第1のベースバンド信号と、前記第2の円偏波を復調した第2のベースバンド信号とを切り替えてバッファに蓄積するスイッチを有する、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1の飛行体及び前記第2の飛行体のそれぞれは、前記地上通信装置と通信するためのフィーダリンクアンテナと、地上の対象エリアに向けてビームを照射することにより前記対象エリアに無線通信エリアを形成するためのサービスリンクアンテナとを有し、
前記第2の飛行体は、前記第1の飛行体と、前記対象エリアに対する無線通信エリアの形成を交代する、請求項1から6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1の飛行体は、前記対象エリアの上空を旋回しながら前記対象エリアに前記無線通信エリアを形成し、
前記第2の飛行体は、前記第1の飛行体の飛行エリアに対応する飛行エリアを飛行しながら、前記第2の円偏波によって前記地上通信装置と前記無線通信リンクを確立する、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
地上に配置される通信装置であって、
第1の飛行体及び第2の飛行体と無線通信リンクを確立可能な無線通信部と、
第1の円偏波によって無線通信リンクを確立している第1の飛行体と、第2の飛行体とが交代する場合に、前記第1の飛行体による前記第1の円偏波と、前記第2の飛行体による前記第1の円偏波とは逆の第2の円偏波とを受信して、前記第1の飛行体からの情報及び前記第2の飛行体からの情報を取得し、前記第2の飛行体との無線通信リンクを確立した後、前記第1の飛行体との無線通信リンクを切断するように前記無線通信部を制御する制御部と
を備える通信装置。
【請求項10】
コンピュータを、請求項9に記載の通信装置として機能させるためのプログラム。
【請求項11】
バッテリの電力を用いて飛行する飛行体に搭載される通信装置であって、
地上に配置された地上通信装置と無線通信する無線通信部と、
前記無線通信部に、右旋円偏波及び左旋円偏波を用いた両偏波通信と、右旋円偏波又は左旋円偏波を用いた片偏波通信とを、予め定められた条件に応じて切り替えさせる通信制御部であって、前記バッテリのバッテリ残量に基づいて、前記両偏波通信と、前記片偏波通信とを切り替える通信制御部と
を備える通信装置。
【請求項12】
バッテリの電力を用いて飛行する飛行体に搭載される通信装置であって、
地上に配置された地上通信装置と無線通信する無線通信部と、
前記無線通信部に、右旋円偏波及び左旋円偏波を用いた両偏波通信と、右旋円偏波又は左旋円偏波を用いた片偏波通信とを、予め定められた条件に応じて切り替えさせる通信制御部であって、前記バッテリの消費電力量に基づいて、前記両偏波通信と、前記片偏波通信とを切り替える通信制御部と
を備える通信装置。
【請求項13】
太陽電池パネルを有する飛行体に搭載される通信装置であって、
地上に配置された地上通信装置と無線通信する無線通信部と、
前記無線通信部に、右旋円偏波及び左旋円偏波を用いた両偏波通信と、右旋円偏波又は左旋円偏波を用いた片偏波通信とを、予め定められた条件に応じて切り替えさせる通信制御部であって、前記太陽電池パネルによる発電量に基づいて、前記両偏波通信と、前記片偏波通信とを切り替える通信制御部と
を備える通信装置。
【請求項14】
前記飛行体は、前記地上通信装置と通信するためのフィーダリンクアンテナと、地上の対象エリアに向けてビームを照射することにより前記対象エリアに無線通信エリアを形成するためのサービスリンクアンテナとを有し、
前記無線通信部は、前記サービスリンクアンテナを用いて形成した前記無線通信エリア内のユーザ端末に無線通信サービスを提供し、
前記通信制御部は、前記無線通信エリア内の前記ユーザ端末の通信トラフィック量に基づいて、前記両偏波通信と、前記片偏波通信とを切り替える、請求項11から13のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項15】
コンピュータを、請求項11から14のいずれか一項に記載の通信装置として機能させるためのプログラム。
【請求項16】
地上に配置されるコンピュータによって実行される制御方法であって、
第1の円偏波によって無線通信リンクを確立している第1の飛行体と、第2の飛行体とが交代する場合に、前記第1の飛行体による前記第1の円偏波と、前記第2の飛行体による前記第1の円偏波とは逆の第2の円偏波とを受信して、前記第1の飛行体からの情報及び前記第2の飛行体からの情報を取得し、前記第2の飛行体との無線通信リンクを確立した後、前記第1の飛行体との無線通信リンクを切断するように制御する制御段階
を備える制御方法。
【請求項17】
バッテリの電力を用いて飛行する飛行体に搭載されるコンピュータによって実行される制御方法であって、
地上に配置された地上通信装置と無線通信する無線通信の方式を、予め定められた条件に応じて、右旋円偏波及び左旋円偏波を用いた両偏波通信と、右旋円偏波又は左旋円偏波を用いた片偏波通信で切り替えさせる制御段階であって、前記バッテリのバッテリ残量に基づいて、前記両偏波通信と、前記片偏波通信とを切り替える制御段階
を備える制御方法。
【請求項18】
バッテリの電力を用いて飛行する飛行体に搭載されるコンピュータによって実行される制御方法であって、
地上に配置された地上通信装置と無線通信する無線通信の方式を、予め定められた条件に応じて、右旋円偏波及び左旋円偏波を用いた両偏波通信と、右旋円偏波又は左旋円偏波を用いた片偏波通信で切り替えさせる制御段階であって、前記バッテリの消費電力量に基づいて、前記両偏波通信と、前記片偏波通信とを切り替える制御段階
を備える制御方法。
【請求項19】
太陽電池パネルを有する飛行体に搭載されるコンピュータによって実行される制御方法であって、
地上に配置された地上通信装置と無線通信する無線通信の方式を、予め定められた条件に応じて、右旋円偏波及び左旋円偏波を用いた両偏波通信と、右旋円偏波又は左旋円偏波を用いた片偏波通信で切り替えさせる制御段階であって、前記太陽電池パネルによる発電量に基づいて、前記両偏波通信と、前記片偏波通信とを切り替える制御段階
を備える制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、システム、通信装置、プログラム及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地上のゲートウェイとフィーダリンクを確立し、地上の端末とサービスリンクを確立し、ゲートウェイと端末との通信を中継することにより端末に無線通信サービスを提供するHAPS(High Altitude Platform Station)が知られていた(例えば、特許文献1参照)。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1]特開2019-135823号公報
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の態様によれば、システムが提供される。システムは、地上に配置された地上通信装置との間で無線通信リンクを確立可能な第1の飛行体及び第2の飛行体を備えてよい。システムにおいて、第1の円偏波によって地上通信装置と無線通信リンクを確立している第1の飛行体と第2の飛行体とが交代する場合に、第2の飛行体が第1の円偏波とは逆の第2の円偏波によって地上通信装置と無線通信リンクを確立した後に、第1の飛行体が地上通信装置との無線通信リンクを切断してよい。
【0004】
上記第1の円偏波は、右旋円偏波及び左旋円偏波のうちの一方であり、上記第2の円偏波は、右旋円偏波及び左旋円偏波のうちの他方であってよい。上記地上通信装置は、上記第1の飛行体と上記第2の飛行体とが交代する場合に、上記第1の円偏波によって上記第1の飛行体に対する情報を送信し、上記第2の円偏波によって上記第2の飛行体に対する情報を送信してよく、上記第1の飛行体は、上記地上通信装置による上記第1の円偏波及び上記第2の円偏波を受信して、上記第1の飛行体に対する情報を取得してよく、上記第2の飛行体は、上記地上通信装置による上記第1の円偏波及び上記第2の円偏波を受信して、上記第2の飛行体に対する情報を取得してよい。上記システムは、上記地上通信装置をさらに備えてよく、上記地上通信装置は、上記第1の飛行体と上記第2の飛行体とが交代する場合に、上記第1の飛行体による上記第1の円偏波及び上記第2の飛行体による上記第2の円偏波を受信して、上記第1の飛行体からの情報及び上記第2の飛行体からの情報を取得してよい。上記地上通信装置は、上記第1の円偏波を復調した第1のベースバンド信号を蓄積する第1のバッファと、上記第2の円偏波を復調した第2のベースバンド信号を蓄積する第2のバッファと、上記第1のバッファ及び上記第2のバッファに接続されたスイッチとを有してよい。上記地上通信装置は、上記第1の円偏波を復調した第1のベースバンド信号と、上記第2の円偏波を復調した第2のベースバンド信号とを切り替えてバッファに蓄積するスイッチを有してよい。上記第1の飛行体及び上記第2の飛行体のそれぞれは、上記地上通信装置と通信するためのフィーダリンクアンテナと、地上の対象エリアに向けてビームを照射することにより上記対象エリアに無線通信エリアを形成するためのサービスリンクアンテナとを有してよく、上記第2の飛行体は、上記第1の飛行体と、上記対象エリアに対する無線通信エリアの形成を交代してよい。上記第1の飛行体は、上記対象エリアの上空を旋回しながら上記対象エリアに上記無線通信エリアを形成してよく、上記第2の飛行体は、上記第1の飛行体の飛行エリアに対応する飛行エリアを飛行しながら、上記第2の円偏波によって上記地上通信装置と上記無線通信リンクを確立してよい。
【0005】
本発明の第2の態様によれば、地上に配置される通信装置が提供される。通信装置は、第1の飛行体及び第2の飛行体と無線通信リンクを確立可能な無線通信部を備えてよい。通信装置は、第1の円偏波によって無線通信リンクを確立している第1の飛行体と、第2の飛行体とが交代する場合に、第1の飛行体による第1の円偏波と、第2の飛行体による第1の円偏波とは逆の第2の円偏波とを受信して、第1の飛行体からの情報及び第2の飛行体からの情報を取得し、第2の飛行体との無線通信リンクを確立した後、第1の飛行体との無線通信リンクを切断するように無線通信部を制御する制御部を備えてよい。
【0006】
本発明の第3の態様によれば、飛行体に搭載される通信装置が提供される。通信装置は、地上に配置された地上通信装置と無線通信する無線通信部を備えてよい。通信装置は、無線通信部に、右旋円偏波及び左旋円偏波を用いた両偏波通信と、右旋円偏波又は左旋円偏波を用いた片偏波通信とを、予め定められた条件に応じて切り替えさせる通信制御部を備えてよい。
【0007】
上記飛行体は、バッテリの電力を用いて飛行してよく、上記通信制御部は、上記バッテリのバッテリ残量に基づいて、上記両偏波通信と、上記片偏波通信とを切り替えてよい。上記飛行体は、バッテリの電力を用いて飛行してよく、上記通信制御部は、上記バッテリの消費電力量に基づいて、上記両偏波通信と、上記片偏波通信とを切り替えてよい。上記飛行体は、太陽電池パネルを有してよく、上記通信制御部は、上記太陽電池パネルによる発電量に基づいて、上記両偏波通信と、上記片偏波通信とを切り替えてよい。
【0008】
本発明の第4の態様によれば、コンピュータを、上記通信装置として機能させるためのプログラムが提供される。
【0009】
本発明の第5の態様によれば、地上に配置されたコンピュータによって実行される制御方法が提供される。制御方法は、第1の円偏波によって無線通信リンクを確立している第1の飛行体と、第2の飛行体とが交代する場合に、第1の飛行体による第1の円偏波と、第2の飛行体による第1の円偏波とは逆の第2の円偏波とを受信して、第1の飛行体からの情報及び第2の飛行体からの情報を取得し、第2の飛行体との無線通信リンクを確立した後、第1の飛行体との無線通信リンクを切断するように制御する制御段階を備えてよい。
【0010】
本発明の第6の態様によれば、飛行体に搭載されたコンピュータによって実行される制御方法が提供される。制御方法は、地上に配置された地上通信装置と無線通信する無線通信の方式を、予め定められた条件に応じて、右旋円偏波及び左旋円偏波を用いた両偏波通信と、右旋円偏波又は左旋円偏波を用いた片偏波通信で切り替えさせる制御段階を備えてよい。
【0011】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】システム10の一例を概略的に示す。
図2】第1のHAPS100と第2のHAPS100との交代について説明するための説明図である。
図3】割当周波数500の一例を概略的に示す。
図4】無線通信部204の構成の一例を概略的に示す。
図5】無線通信部204の構成の一例を概略的に示す。
図6】通信制御装置120の無線通信部の構成の一例を概略的に示す。
図7】通信制御装置120の無線通信部の構成の一例を概略的に示す。
図8】通信制御装置120又は地上通信装置200として機能するコンピュータ1200のハードウェア構成の一例を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0014】
図1は、システム10の一例を概略的に示す。システム10は、HAPS100を備える。システム10は、複数のHAPS100を備えてよい。HAPS100は、飛行体の一例であってよい。HAPS100は、地上通信装置200をさらに備えてもよい。
【0015】
HAPS100は、機体102、中央部104、プロペラ106、ポッド108、及び太陽電池パネル109を備える。中央部104内には、飛行制御装置110及び通信制御装置120が配置される。飛行制御装置110と通信制御装置120とは、別体であっても、一体であってもよい。
【0016】
太陽電池パネル109によって発電された電力は、機体102、中央部104、及びポッド108の少なくともいずれかに配置された1又は複数のバッテリに蓄電される。バッテリに蓄電された電力は、HAPS100が備える各構成によって利用される。
【0017】
飛行制御装置110は、HAPS100の飛行を制御する。飛行制御装置110は、例えば、プロペラ106の回転を制御することによってHAPS100の飛行を制御する。また、飛行制御装置110は、不図示のフラップやエレベータの角度を変更することによってHAPS100の飛行を制御してもよい。飛行制御装置110は、GPSセンサ等の測位センサ、ジャイロセンサ、及び加速度センサ等の各種センサを備えて、HAPS100の位置、移動方向、及び移動速度を管理してよい。
【0018】
通信制御装置120は、HAPS100の通信を制御する。通信制御装置120は、SL(Service Link)アンテナ123を用いて、地上の対象エリアに向けてビーム126を照射することにより、対象エリアに無線通信エリア128を形成する。通信制御装置120は、SLアンテナ123を用いて、地上のユーザ端末30とサービスリンクを形成する。SLアンテナ123は、マルチビームアンテナであってもよい。無線通信エリア128は、マルチセルであってもよい。
【0019】
通信制御装置120は、FL(Feeder Link)アンテナ124を用いて、地上に配置された地上通信装置200との間でフィーダリンクを形成してよい。フィーダリンクは、無線通信リンクの一例であってよい。通信制御装置120は、地上通信装置200を介してネットワーク20にアクセスしてよい。
【0020】
ネットワーク20は、移動体通信ネットワークを含む。移動体通信ネットワークは、3G(3rd Generation)通信方式、LTE(Long Term Evolution)通信方式、5G(5th Generation)通信方式、及び6G(6th Generation)通信方式以降の通信方式のいずれに準拠していてもよい。ネットワーク20は、インターネットを含んでもよい。
【0021】
通信制御装置120は、HAPS100が搭載するバッテリを管理してよい。通信制御装置120は、例えば、バッテリのバッテリ残量を管理する。また、例えば、通信制御装置120は、バッテリの消費電力量を管理する。例えば、通信制御装置120は、予め定められた時間当たりのバッテリの消費電力量を管理する。また、例えば、通信制御装置120は、太陽電池パネル109による発電量を管理する。
【0022】
ユーザ端末30は、HAPS100と通信可能であればどのような通信端末であってもよい。例えば、ユーザ端末30は、スマートフォン等の携帯電話である。ユーザ端末30は、タブレット端末及びPC(Personal Computer)等であってもよい。ユーザ端末30は、いわゆるIoT(Internet of Thing)デバイスであってもよい。ユーザ端末30は、いわゆるIoE(Internet of Everything)に該当するあらゆるものを含み得る。
【0023】
HAPS100は、例えば、フィーダリンクと、サービスリンクとを介して、ネットワーク20とユーザ端末30との通信を中継する。HAPS100は、ユーザ端末30とネットワーク20との通信を中継することによって、ユーザ端末30に無線通信サービスを提供してよい。
【0024】
HAPS100は、例えば、無線通信エリア128内のユーザ端末30から受信したデータをネットワーク20に送信する。また、HAPS100は、例えば、ネットワーク20を介して、無線通信エリア128内のユーザ端末30宛のデータを受信した場合に、当該データをユーザ端末30に送信する。
【0025】
通信制御装置120は、無線通信エリア128内のユーザ端末30による通信状況を管理してよい。通信制御装置120は、例えば、無線通信エリア128内のユーザ端末30の通信トラフィック量を管理する。
【0026】
管理装置400は、複数のHAPS100を管理する。管理装置400は、ネットワーク20及び地上通信装置200を介して、HAPS100と通信してよい。
【0027】
管理装置400は、指示を送信することによってHAPS100を制御する。管理装置400は、通信エリア128によって地上の対象エリアをカバーさせるべく、HAPS100に、対象エリアの上空を旋回させてよい。HAPS100は、例えば、対象エリアの上空を円軌道で飛行しつつ、FLアンテナの指向方向を調整することによって地上通信装置200との間のフィーダリンクを維持し、SLアンテナの指向方向を調整することによって通信エリア128による対象エリアのカバーを維持する。
【0028】
本実施形態に係るHAPS100と地上通信装置200とは、円偏波を用いた無線通信を実行可能である。HAPS100及び地上通信装置200は、例えば、送受信の双方を両偏波通信とする。HAPS100及び地上通信装置200は、HAPS100から地上通信装置200への送信を両偏波通信とし、地上通信装置200からHAPS100への送信を片偏波通信としてもよい。また、HAPS100及び地上通信装置200は、HAPS100から地上通信装置200への送信を片偏波通信とし、地上通信装置200からHAPS100への送信を両偏波通信としてもよい。HAPS100及び地上通信装置200は、送受信の双方を片偏波通信としてもよい。
【0029】
通信制御装置120は、FLアンテナ124を用いて地上通信装置200と無線通信する無線通信部121と、無線通信部121を制御する通信制御部122とを有する。通信制御部122は、無線通信部121に、右旋円偏波及び左旋円偏波を用いた両偏波通信と、右旋円偏波又は左旋円偏波を用いた片偏波通信とを、予め定められた条件に応じて切り替えさせてよい。
【0030】
例えば、通信制御部122は、HAPS100が搭載しているバッテリのバッテリ残量に基づいて、地上通信装置200への送信の方式を切り替えさせる。例えば、通信制御部122は、無線通信部121に、バッテリ残量が予め定められた閾値より高い場合、両偏波通信を実行させ、当該閾値より低い場合、片偏波通信を実行させる。これにより、バッテリ残量が多い場合に、両偏波通信にして通信可能容量を増大させ、バッテリ残量が少ない場合に、片偏波通信にしてバッテリ消費量を低減することができる。
【0031】
また、例えば、通信制御部122は、HAPS100が搭載しているバッテリの消費電力量に基づいて、地上通信装置200への送信の方式を切り替えさせる。例えば、通信制御部122は、例えば、無線通信部121に、消費電力量が予め定められた閾値より低い場合、両偏波通信を実行させ、当該閾値より高い場合、片偏波通信を実行させる。これにより、例えば、飛行制御により多くの電力を要するような場合に、両偏波通信から片偏波通信に切り替えることによって、通信に要する電力量を低減することができる。
【0032】
また、例えば、通信制御部122は、太陽電池パネル109による発電量に基づいて、地上通信装置200への送信の方式を切り替えさせる。例えば、通信制御部122は、無線通信部121に、発電量が予め定められた閾値より高い場合、両偏波通信を実行させ、当該閾値より低い場合、片偏波通信を実行させる。これにより、発電量が十分な場合に、両偏波通信にして通信可能容量を増大させ、発電量が少ない場合に、片偏波通信にして電力消費量を低減することができる。
【0033】
また、例えば、通信制御部122は、無線通信エリア128内のユーザ端末30の通信トラフィック量に基づいて、地上通信装置200への送信の方式を切り替えさせる。例えば、通信制御部122は、無線通信部121に、通信トラフィック量が予め定められた閾値より高い場合、両偏波通信を実行させ、当該閾値より低い場合、片偏波通信を実行させる。これにより、通信トラフィック量が多い場合に、両偏波通信を用いることによって通信容量を増大させることができる。
【0034】
地上通信装置200は、アンテナ202、無線通信部204、及び通信制御部206を有する。アンテナ202は、右旋円偏波及び左旋円偏波を送受信可能なアンテナであってよい。
【0035】
無線通信部204は、HAPS100と無線通信リンクを確立可能である。通信制御部206は、無線通信部204を制御してよい。例えば、通信制御部206は、無線通信部204に、右旋円偏波及び左旋円偏波を用いた両偏波通信と、右旋円偏波又は左旋円偏波を用いた片偏波通信とを切り替えさせる。通信制御部206は、通信制御部122との間で指示等のやりとりを行うことによって、無線通信部204に、両偏波通信と片偏波通信とを切り替えさせてよい。
【0036】
図1に例示したように、本実施形態に係るシステム10によれば、HAPS100と地上通信装置200との間で、右旋円偏波及び左旋円偏波を用いた両偏波通信と、右旋円偏波又は左旋円偏波を用いた片偏波通信とを実施可能である。両偏波通信を実施可能とすることにより、円偏波を用いない場合と比較して、フィーダリンクの容量を拡大することができる。また、右旋円偏波及び左旋円偏波のそれぞれを実施可能とすることによって、例えば、通常時はいずれか一方を使用し、故障等の不具合が発生した場合に、他方に切り替えるなどの運用を実施可能にできる。
【0037】
図2は、第1のHAPS100と第2のHAPS100との交代について説明するための説明図である。第1のHAPS100は、地上に通信エリア128を形成してユーザ端末30に無線通信サービスを提供中の現用機であり、第2のHAPS100は、予備機である。第2のHAPS100は、第1のHAPS100と、対象エリアに対する無線通信エリアの形成を交代する。第1のHAPS100は、例えば、対象エリアの上空を旋回しながら対象エリアに無線通信エリア128を形成し、第2のHAPS100は、第1のHAPS100の飛行エリアに対応する飛行エリアを飛行しながら、地上通信装置200とフィーダリンクを確立する。図2では、第2のHAPS100の飛行エリアが、第1のHAPS100の飛行エリアの上側である場合を例示している。第2のHAPS100は、第1のHAPS100と同様の軌道で飛行してよい。
【0038】
第1の円偏波によって地上通信装置200と無線通信リンクを確立している第1のHAPS100と第2のHAPS100とが交代する場合に、第2のHAPS100が第1の円偏波とは逆の第2の円偏波によって地上通信装置200と無線通信リンクを確立した後に、第1のHAPS100が地上通信装置200との無線通信リンクを切断する。図2に示す例では、右旋円偏波310によって地上通信装置200とフィーダリンクを確立している第1のHAPS100と第2のHAPS100とが交代する場合に、第2のHAPS100が左旋円偏波320によってネットワーク20とフィーダリンクを確立した後に、第1のHAPS100が地上通信装置200との無線通信リンクを切断する。切断後、第1のHAPS100は、例えば、地上に帰還する。
【0039】
地上通信装置200は、第1のHAPS100と第2のHAPS100とが交代する場合に、右旋円偏波310によって第1のHAPS100に対する情報を送信し、左旋円偏波320によって第2のHAPS100に対する情報を送信してよい。第1のHAPS100は、地上通信装置200による右旋円偏波310及び左旋円偏波320を受信して、右旋円偏波310から第1のHAPS100に対する情報を取得してよい。第2のHAPS100は、地上通信装置200による右旋円偏波310及び左旋円偏波320を受信して、左旋円偏波320から第2のHAPS100に対する情報を取得してよい。
【0040】
地上通信装置200は、第1のHAPS100と第2のHAPS100とが交代する場合に、第1のHAPS100による右旋円偏波310及び第2のHAPS100による左旋円偏波320を受信して、第1のHAPS100からの情報を右旋円偏波310から取得し、第2のHAPS100からの情報を左旋円偏波320から取得してよい。
【0041】
なお、第1のHAPS100が左旋円偏波320を用い、第2のHAPS100が右旋円偏波310を用いてもよい。
【0042】
第1のHAPS100と第2のHAPS100とが交代する場合に、フィーダリンクが途切れてしまうことにより無線通信サービスに瞬断が発生してしまうことを防止できることが望ましい。このような瞬断を防止すべく、地上通信装置200とHAPS100との間のフィーダリンクを、物理的に帯域を分割して二機と同時接続して切り替える方法が検討されているが、機体交代時の通信容量の低下が課題となる。
【0043】
本実施形態に係るシステム10においては、現用機と予備機で、同一帯域内で左右が異なる円偏波を用いることにより、フィーダリンクの切り替え時に、両方の機体を地上通信装置200と同時接続させ得る。その後、地上通信装置200において、ベースバンド信号帯でのバッファへの蓄積と切替タイミングの調整を行うことにより、無瞬断の切り替えを実現し得る。帯域を分割することなく、同一帯域を異なる偏波を用いて干渉を回避しつつ地上通信装置200と同時接続するので、機体交代時の通信容量の低下を抑えることができる。
【0044】
図2では、第2のHAPS100が第1のHAPS100の上側を飛行している状態で切り替えを行う例について説明した。この場合、第1のHAPS100と第2のHAPS100の送信ポイントが異なるため、片方の送信ポイントは中心軸がずれることにより(軸比劣化/偏波不整合)、損失が発生し得る。システム10は、例えば、偏波補正OMT(OrthoMode Transducer)を採用することによって、このようなずれを補正してよい。
【0045】
また、地上通信装置200が、2つのアンテナ202を備えてもよい。地上通信装置200は、2つのアンテナ202のうちの一方で第1のHAPS100と通信し、2つのアンテナ202のうちの他方で第2のHAPS100と通信してよい。これにより、2つのアンテナ202のそれぞれを、第1のHAPS100及び第2のHAPS100のそれぞれに向けさせることによって、ずれの発生を抑制することができる。また、アンテナ202を、ダイバーシティアンテナとしてもよい。
【0046】
また、第2のHAPS100が、第1のHAPS100と地上通信装置200とを結ぶ直線上に位置するようにしてもよい。第2のHAPS100は、例えば、第1のHAPS100及び地上通信装置200の位置情報を管理装置400等から取得して、第1のHAPS100と地上通信装置200とを結ぶ直線上に移動し得る。これにより、ずれを低減でき、損失を抑制することができる。
【0047】
図3は、右旋円偏波と左旋円偏波の割当周波数500の一例を概略的に示す。システム10において、図3に例示するように、半周期ずらした右旋円偏波と左旋円偏波とを用いてよい。半周期ずらすことによって、裏に回り込んだときに他方に影響を与えてしまうことを抑制できる。なお、図3の割当周波数500は一例であって、右旋円偏波の周波数と左旋円偏波の周波数とが少なくとも一部重複していれば、他の割り当てを採用してもよい。
【0048】
図4は、無線通信部204の構成の一例を概略的に示す。無線通信部204は、DIV(Distributor)210、RHCP LNB(Right-Hand Circularly Polarized Low Noise Block)212、DEM(Demodulator)214、BUFF(Buffer)216、LHCP LNB(Left-Hand Circularly Polarized Low Noise Block)222、DEM224、BUFF226、SW(Switch)230、Timing232、MOD(Modulator)240、RHCP GEN(Right-Hand Circularly Polarized Generator)242、LHCP GEN(Left-Hand Circularly Polarized Generator)244、MIX246、及びHPA(High Power Amp)248を備える。
【0049】
DIV210は、分配器である。DIV210は、アンテナ202が受信したRF信号をRHCP LNB212とLHCP LNB222とに分配する。
【0050】
RHCP LNB212は、右旋円偏波のローノイズブロックである。DEM214は、復調器である。DEM214は、RHCP LNB212を通過したRF(Radio Frequency)信号を復調する。BUFF216は、第1のバッファの一例であってよい。BUFF216は、DEM214によって復調されたBB(BaseBand)信号を一時的に格納する。
【0051】
LHCP LNB222は、左旋円偏波のローノイズブロックである。DEM224は、復調器である。DEM224は、LHCP LNB212を通過したRF信号を復調する。BUFF226は、第2のバッファの一例であってよい。BUFF226は、DEM224によって復調されたBB信号を一時的に格納する。
【0052】
SW230はスイッチであり、BUFF216及びBUFF226に接続されている。Timing232はタイミング回路である。通信制御部206は、SW230及びTiming232を制御することにより、BUFF216からのBB信号と、BUFF226からのBB信号とをタイミングを調整して切り替える。例えば、現用機である第1のHAPS100から右旋円偏波で信号を受信しており、予備機である第2のHAPS100から左旋円偏波で信号を受信している場合に、BUFF216からのBB信号から、BUFF226からのBB信号に切り替える。BUFF216及びBUFF226が無い場合、切替時のBB信号が一部欠落してしまい得るが、BUFF216及びBUFF226を設けることにより、無瞬断切替を実現できる。
【0053】
MOD240は、変調器である。MOD240は、HAPS100に対して送信する信号のBB信号を変調して、RF信号を出力する。MOD240は、右旋円偏波によって送信するBB信号をRHCP GEN242に出力し、左旋円偏波によって送信するBB信号をLHCP GEN244に出力する。例えば、現用機である第1のHAPS100に対して送信するRF信号をRHCP GEN242に出力し、予備機である第2のHAPS100に対して送信するRF信号をLHCP GEN244に出力する。
【0054】
RHCP GEN242は、MOD240から受信したRF信号を含む右旋円偏波を生成する生成器である。LHCP GEN244は、MOD240から受信したRF信号を含む左旋円偏波を生成する生成器である。
【0055】
MIX246は、合成器である。MIX246は、RHCP GEN242によって生成された右旋円偏波と、LHCP GEN244によって生成された左旋円偏波とを合成する。
【0056】
HPA248は、ハイパワーアンプである。HPA248は、MIX246によって合成された両円偏波を増幅して、アンテナ202に出力する。
【0057】
図5は、無線通信部204の構成の一例を概略的に示す。ここでは、図4と異なる点を主に説明する。無線通信部204は、DIV210、RHCP LNB212、DEM214、LHCP LNB222、DEM224、SW234、BUFF236、MOD240、RHCP GEN242、LHCP GEN244、MIX246、及びHPA248を備える。
【0058】
SW234は、DEM214及びDEM224に接続されている。BUFF236は、SW234に接続されている。図5に示す無線通信部204では、DEM214及びDEM224による復調後のBB信号をSW234によって切り替えてBUFF236に蓄積する。通信制御部206は、例えば、現用機である第1のHAPS100から右旋円偏波で信号を受信しており、予備機である第2のHAPS100から左旋円偏波で信号を受信している場合に、DEM214からのBB信号から、DEM224からのBB信号に切り替えて、BUFF236に格納されているBB信号によって、切り替えを調整する。BUFF236が無い場合、切替時のBB信号が一部欠落してしまい得るが、BUFF236を設けることにより、無瞬断切替を実現できる。
【0059】
図6は、無線通信部121の構成の一例を概略的に示す。無線通信部121は、DIV130、RHCP LNB132、DEM134、BUFF136、LHCP LNB142、DEM144、BUFF146、SW150、Timing152、MOD160、RHCP GEN162、LHCP GEN164、SW166、及びHPA168を備える。
【0060】
DIV130は、分配器である。DIV130は、FLアンテナ124が受信したRF信号をRHCP LNB132とLHCP LNB142とに分配する。
【0061】
RHCP LNB132は、右旋円偏波のローノイズブロックである。DEM134は、復調器である。DEM134は、RHCP LNB132を通過したRF信号を復調する。BUFF136は、バッファである。BUFF136は、DEM134によって復調されたBB信号を一時的に格納する。
【0062】
LHCP LNB142は、左旋円偏波のローノイズブロックである。DEM144は、復調器である。DEM144は、LHCP LNB142を通過したRF信号を復調する。BUFF146は、バッファである。BUFF146は、DEM144によって復調されたBB信号を一時的に格納する。
【0063】
SW150はスイッチであり、BUFF136及びBUFF146に接続されている。Timing152はタイミング回路である。通信制御部122は、SW150及びTiming152を制御することにより、BUFF136からのBB信号と、BUFF146からのBB信号とをタイミングを調整して切り替えてよい。
【0064】
MOD160は、変調器である。MOD160は、地上通信装置200に対して送信する信号のBB信号を変調して、RF信号を出力する。MOD160は、右旋円偏波によって送信するBB信号をRHCP GEN162に出力し、左旋円偏波によって送信するBB信号をLHCP GEN164に出力する。
【0065】
RHCP GEN162は、MOD160から受信したRF信号を含む右旋円偏波を生成する生成器である。LHCP GEN164は、MOD160から受信したRF信号を含む左旋円偏波を生成する生成器である。
【0066】
SW166は、RHCP GEN162によって生成された右旋円偏波と、LHCP GEN164によって生成された左旋円偏波とを切り替えてHPA168に出力する。HPA168は、ハイパワーアンプである。HPA168は、SW166によって出力された右旋円偏波又は左旋円偏波を増幅して、アンテナ124に出力する。
【0067】
図6では、RHCP GEN162、LHCP GEN164、及びSW166を備える場合を例示したが、これに限らない。無線通信部121は、RHCP GEN162、LHCP GEN164、及びSW166に代えて、右旋円偏波及び左旋円偏波のそれぞれを生成可能な1つの生成器を備えてもよい。また、無線通信部121は、SW166に代えて、MIXを備えてもよい。これにより、両偏波送信が可能となる。
【0068】
図7は、無線通信部121の構成の一例を概略的に示す。ここでは、図6と異なる点を主に説明する。無線通信部121は、DIV130、RHCP LNB132、DEM134、LHCP LNB142、DEM144、SW154、BUFF156、MOD160、RHCP GEN162、LHCP GEN164、SW166、及びHPA168を備える。
【0069】
SW154は、DEM134及びDEM144に接続されている。BUFF156は、SW154に接続されている。図7に示す無線通信部121では、DEM134及びDEM144による復調後のBB信号をSW154によって切り替えてBUFF156に蓄積する。
【0070】
図8は、通信制御装置120又は地上通信装置200として機能するコンピュータ1200のハードウェア構成の一例を概略的に示す。コンピュータ1200にインストールされたプログラムは、コンピュータ1200を、上記実施形態に係る装置の1又は複数の「部」として機能させ、又はコンピュータ1200に、上記実施形態に係る装置に関連付けられるオペレーション又は当該1又は複数の「部」を実行させることができ、及び/又はコンピュータ1200に、上記実施形態に係るプロセス又は当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ1200に、本明細書に記載のフローチャート及びブロック図のブロックのうちのいくつか又はすべてに関連付けられた特定のオペレーションを実行させるべく、CPU1212によって実行されてよい。
【0071】
本実施形態によるコンピュータ1200は、CPU1212、RAM1214、及びグラフィックコントローラ1216を含み、それらはホストコントローラ1210によって相互に接続されている。コンピュータ1200はまた、通信インタフェース1222、記憶装置1224、並びにDVDドライブ及びICカードドライブのような入出力ユニットを含み、それらは入出力コントローラ1220を介してホストコントローラ1210に接続されている。記憶装置1224は、ハードディスクドライブ及びソリッドステートドライブ等であってよい。コンピュータ1200はまた、ROM1230及びキーボードのようなレガシの入出力ユニットを含み、それらは入出力チップ1240を介して入出力コントローラ1220に接続されている。
【0072】
CPU1212は、ROM1230及びRAM1214内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。グラフィックコントローラ1216は、RAM1214内に提供されるフレームバッファ等又はそれ自体の中に、CPU1212によって生成されるイメージデータを取得し、イメージデータがディスプレイデバイス1218上に表示されるようにする。
【0073】
通信インタフェース1222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。記憶装置1224は、コンピュータ1200内のCPU1212によって使用されるプログラム及びデータを格納する。ICカードドライブは、プログラム及びデータをICカードから読み取り、及び/又はプログラム及びデータをICカードに書き込む。
【0074】
ROM1230はその中に、アクティブ化時にコンピュータ1200によって実行されるブートプログラム等、及び/又はコンピュータ1200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。入出力チップ1240はまた、様々な入出力ユニットをUSBポート、パラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入出力コントローラ1220に接続してよい。
【0075】
プログラムは、DVD-ROM又はICカードのようなコンピュータ可読記憶媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読記憶媒体から読み取られ、コンピュータ可読記憶媒体の例でもある記憶装置1224、RAM1214、又はROM1230にインストールされ、CPU1212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ1200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置又は方法が、コンピュータ1200の使用に従い情報のオペレーション又は処理を実現することによって構成されてよい。
【0076】
例えば、通信がコンピュータ1200及び外部デバイス間で実行される場合、CPU1212は、RAM1214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インタフェース1222に対し、通信処理を命令してよい。通信インタフェース1222は、CPU1212の制御の下、RAM1214、記憶装置1224、DVD-ROM、又はICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、又はネットワークから受信した受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ領域等に書き込む。
【0077】
また、CPU1212は、記憶装置1224、DVDドライブ(DVD-ROM)、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイル又はデータベースの全部又は必要な部分がRAM1214に読み取られるようにし、RAM1214上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU1212は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックしてよい。
【0078】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、及びデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理を受けてよい。CPU1212は、RAM1214から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプのオペレーション、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM1214に対しライトバックする。また、CPU1212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU1212は、当該複数のエントリの中から、第1の属性の属性値が指定されている条件に一致するエントリを検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0079】
上で説明したプログラム又はソフトウェアモジュールは、コンピュータ1200上又はコンピュータ1200近傍のコンピュータ可読記憶媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワーク又はインターネットに接続されたサーバシステム内に提供されるハードディスク又はRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読記憶媒体として使用可能であり、それによりプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ1200に提供する。
【0080】
本実施形態におけるフローチャート及びブロック図におけるブロックは、オペレーションが実行されるプロセスの段階又はオペレーションを実行する役割を持つ装置の「部」を表わしてよい。特定の段階及び「部」が、専用回路、コンピュータ可読記憶媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプログラマブル回路、及び/又はコンピュータ可読記憶媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプロセッサによって実装されてよい。専用回路は、デジタル及び/又はアナログハードウェア回路を含んでよく、集積回路(IC)及び/又はディスクリート回路を含んでよい。プログラマブル回路は、例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、及びプログラマブルロジックアレイ(PLA)等のような、論理積、論理和、排他的論理和、否定論理積、否定論理和、及び他の論理演算、フリップフロップ、レジスタ、並びにメモリエレメントを含む、再構成可能なハードウェア回路を含んでよい。
【0081】
コンピュータ可読記憶媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよく、その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読記憶媒体は、フローチャート又はブロック図で指定されたオペレーションを実行するための手段を作成すべく実行され得る命令を含む、製品を備えることになる。コンピュータ可読記憶媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(登録商標)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
【0082】
コンピュータ可読命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、又はSmalltalk、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、及び「C」プログラミング言語又は同様のプログラミング言語のような従来の手続型プログラミング言語を含む、1又は複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコード又はオブジェクトコードのいずれかを含んでよい。
【0083】
コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサ、又はプログラマブル回路が、フローチャート又はブロック図で指定されたオペレーションを実行するための手段を生成するために当該コンピュータ可読命令を実行すべく、ローカルに又はローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサ、又はプログラマブル回路に提供されてよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
【0084】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0085】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階などの各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」などと明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」などを用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0086】
10 システム、20 ネットワーク、30 ユーザ端末、100 HAPS、102 機体、104 中央部、106 プロペラ、108 ポッド、109 太陽電池パネル、110 飛行制御装置、120 通信制御装置、121 無線通信部、122 通信制御部、123 SLアンテナ、124 FLアンテナ、126 ビーム、128 通信エリア、130 DIV、132 RHCP LNB、134 DEM、136 BUFF、142 LHCP LNB、144 DEM、146 BUFF、150 SW、152 Timing、154 SW、156 BUFF、160 MOD、162 RHCP GEN、164 LHCP GEN、166 SW、168 HPA、200 地上通信装置、202 アンテナ、204 無線通信部、206 通信制御部、210 DIV、212 RHCP LNB、214 DEM、216 BUFF、222 LHCP LNB、224 DEM、226 BUFF、230 SW、232 Timing、234 SW、236 BUFF、240 MOD、242 RHCP GEN、244 LHCP GEN、246 MIX、248 HPA、310 右旋円偏波、320 左旋円偏波、400 管理装置、500 割当周波数、1200 コンピュータ、1210 ホストコントローラ、1212 CPU、1214 RAM、1216 グラフィックコントローラ、1218 ディスプレイデバイス、1220 入出力コントローラ、1222 通信インタフェース、1224 記憶装置、1230 ROM、1240 入出力チップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8