(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-26
(45)【発行日】2022-11-04
(54)【発明の名称】公図検索システムの作動方法、及び公図検索システム、並びに公図検索プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/16 20120101AFI20221027BHJP
G06Q 50/26 20120101ALI20221027BHJP
G06F 16/903 20190101ALI20221027BHJP
G06F 16/909 20190101ALI20221027BHJP
G09B 29/00 20060101ALI20221027BHJP
G06T 11/60 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
G06Q50/16 300
G06Q50/26
G06F16/903
G06F16/909
G09B29/00 A
G06T11/60 300
(21)【出願番号】P 2020218825
(22)【出願日】2020-12-28
(62)【分割の表示】P 2016103782の分割
【原出願日】2016-05-24
【審査請求日】2020-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】506372726
【氏名又は名称】株式会社ホームズ
(74)【代理人】
【識別番号】100102406
【氏名又は名称】黒田 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100100240
【氏名又は名称】松本 孝
(72)【発明者】
【氏名】尾身 正進
【審査官】塩田 徳彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-139993(JP,A)
【文献】特開2007-219432(JP,A)
【文献】特開2015-022066(JP,A)
【文献】特開平10-302051(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G06F 16/903
G06F 16/909
G09B 29/00
G06T 11/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
不動産登記法上の地番に対応する公図を検索する
ための、プロセッサおよびメモリを備えた公図検索システムの作動方法であって、
プロセッサによって、土地が所在する場所又はその近隣の街区番号を特定する入力を受け付けるステップと、
前記プロセッサによって、土地についての所在及び地番を特定する入力を受け付けるステップと、
前記プロセッサによって、前記特定された街区番号(「特定街区番号」)を含む電子街区地図を取得するステップと、
前記プロセッサによって、登記情報を保有する公的な機関の情報処理装置と通信回線を介して通信し、前記特定された所在及び地番(「特定地番」)を含む最新の電子公図を取得するステップと、
前記プロセッサによって、取得した前記電子公図を、筆界と地番の表示を含む透過画像
に変換して、取得した前記電子街区地図上に重ねた合成地図を生成するステップであって、前記電子公図
の透過画像を、前記電子街区地図に対して縮尺、方位及び位置のいずれか1つかそれ以上が一致していない状態で、かつ前記電子公図
の透過画像又は前記電子街区地図の拡大/縮小、回転、及び移動が可能な状態で重ねた合成地図を生成しユーザ装置の表示装置に表示することを含む、前記電子公図
の透過画像を前記電子街区地図上に重ねた合成地図を生成するステップと、
前記プロセッサによって、前記電子公図
の透過画像又は前記電子街区地図の拡大/縮小、回転、及び移動のうちの1つ以上のユーザの操作入力を受け付けるステップと、
前記プロセッサによって、前記受け付けたユーザの操作入力に応じて、前記電子街区地図上の前記電子公図
の透過画像又は前記電子公図
の透過画像下の前記電子街区地図の縮尺、方位又は位置を変更した合成地図を生成し前記ユーザ装置の表示装置に表示するステップと、
を含む、公図検索
システムの作動方法。
【請求項2】
前記電子街区地図上の前記電子公図
の透過画像又は前記電子公図
の透過画像下の前記電子街区地図の前記縮尺、方位又は位置を変更した合成地図を生成し表示するステップの後に、
前記プロセッサによって、前記電子街区地図に対して前記電子公図
の透過画像を固定するステップをさらに含む、請求項1に記載の公図検索
システムの作動方法。
【請求項3】
前記プロセッサによって、前記電子公図
の透過画像が固定された前記電子街区地図の拡大/縮小、回転、及び移動のうちの1つ以上のユーザの操作入力を受け付けるステップと、
前記プロセッサによって、前記受け付けたユーザの操作入力に応じて、前記電子公図
の透過画像が固定された前記電子街区地図の縮尺、方位又は位置を変更するステップと、
をさらに含む、請求項2に記載の公図検索
システムの作動方法。
【請求項4】
前記プロセッサによって、前記特定地番、並びに当該特定地番の前及び/又は後の複数の地番について、現に有効な登記情報が存在するか否かを検出するステップと、
前記プロセッサによって、現に有効な登記情報が存在することが検出された地番の一覧データを出力するステップと、
をさらに含む、請求項1から3のいずれかに記載の公図検索
システムの作動方法。
【請求項5】
前記プロセッサによって、前記公的な機関の情報処理装置から、現に有効な登記情報の存在が検出された地番についての登記情報を取得するステップ、
をさらに含む、請求項4に記載の公図検索
システムの作動方法。
【請求項6】
前記プロセッサによって、前記公的な機関の情報処理装置から取得した前記登記情報を解析し、現に有効な登記情報の存在が検出された地番についての、所有者及び担保権者のうちの少なくとも1つを、前記地番の一覧データに含めるステップ
をさらに含む、請求項5に記載の公図検索
システムの作動方法。
【請求項7】
前記プロセッサによって、検出された前記地番についての前記所有者及び担保権者のうち少なくとも1つの表示を、前記合成地図上に重ねるステップ、
をさらに含む、請求項6に記載の公図検索
システムの作動方法。
【請求項8】
前記プロセッサによって、建物について家屋番号を特定する入力を受け付けるステップと、
前記プロセッサによって、前記特定された家屋番号(「特定家屋番号」)、並びに当該特定家屋番号の前及び/又は後の複数の家屋番号について、現に有効な登記情報が存在するか否かを検出するステップと、
前記プロセッサによって、現に有効な登記情報が存在することが検出された家屋番号の一覧データを出力するステップと、
をさらに含む、請求項4から7のいずれかに記載の公図検索
システムの作動方法。
【請求項9】
前記プロセッサによって、前記公的な機関の情報処理装置から、現に有効な登記情報の存在が検出された家屋番号についての登記情報を取得するステップ、
をさらに含む、請求項8に記載の公図検索
システムの作動方法。
【請求項10】
前記プロセッサによって、前記公的な機関の情報処理装置から取得した前記登記情報を解析し、現に有効な登記情報の存在が検出された家屋番号についての、所有者及び担保権者のうちの少なくとも1つを、前記家屋番号の一覧データに含めるステップ
をさらに含む、請求項9に記載の公図検索
システムの作動方法。
【請求項11】
前記プロセッサによって、検出された前記家屋番号についての前記所有者及び担保権者のうち少なくとも1つの表示を、前記合成地図上に重ねるステップ、
をさらに含む、請求項10に記載の公図検索
システムの作動方法。
【請求項12】
不動産登記法上の地番に対応する公図を検索するシステムであって、
土地が所在する場所又はその近隣の街区番号と、土地についての所在及び地番を特定する入力部と、
街区地図提供者の情報処理装置と通信回線を介して通信し、前記特定された街区番号(「特定街区番号」)を含む電子街区地図を取得するとともに、登記情報を保有する公的な機関の情報処理装置と通信回線を介して通信し、前記特定された所在及び地番(「特定地番」)を含む最新の電子公図を取得する取得部と、
取得した前記電子公図を、筆界と地番の表示を含む透過画像
に変換して、取得した前記電子街区地図上に重ねた合成地図を生成する制御部とを含み、
前記制御部は、前記電子公図
の透過画像を、前記電子街区地図に対して縮尺、方位及び位置のいずれか1つかそれ以上が一致していない状態で、かつ前記電子公図
の透過画像又は前記電子街区地図の拡大/縮小、回転、及び移動が可能な状態で重ねた合成地図を生成しユーザ装置の表示装置に表示し、
前記入力部は、前記電子公図
の透過画像又は前記電子街区地図の拡大/縮小、回転、及び移動のうちの1つ以上のユーザの操作入力を受け付け、
前記制御部は、前記受け付けたユーザの操作入力に応じて、前記電子街区地図上の前記電子公図
の透過画像又は前記電子公図
の透過画像下の前記電子街区地図の縮尺、方位又は位置を変更した合成地図を生成し前記ユーザ装置の表示装置に表示する、公図検索システム。
【請求項13】
前記制御部はさらに、前記電子街区地図上の前記電子公図
の透過画像又は前記電子公図
の透過画像下の前記電子街区地図の縮尺、方位又は位置を変更した合成地図を生成し表示した後に、前記電子街区地図に対して前記電子公図
の透過画像を固定する、請求項12に記載の公図検索システム。
【請求項14】
前記入力部はさらに、前記電子公図
の透過画像が固定された前記電子街区地図の拡大/縮小、回転、及び移動のうちの1つ以上のユーザの操作入力を受け付け、
前記制御部はさらに、前記受け付けたユーザの操作入力に応じて、前記電子公図
の透過画像が固定された前記電子街区地図の縮尺、方位又は位置を変更する、
請求項13に記載の公図検索システム。
【請求項15】
前記制御部はさらに、前記特定地番、並びに当該特定地番の前及び/又は後の複数の地番について、現に有効な登記情報が存在するか否かを検出し、現に有効な登記情報が存在することが検出された地番の一覧データを生成する、請求項12から14のいずれかに記載の公図検索システム。
【請求項16】
前記取得部はさらに、前記公的な機関の情報処理装置から、現に有効な登記情報の存在が検出された地番についての登記情報を取得する、請求項15に記載の公図検索システム。
【請求項17】
前記制御部はさらに、前記公的な機関の情報処理装置から取得した前記登記情報を解析し、現に有効な登記情報の存在が検出された地番についての、所有者及び担保権者のうちの少なくとも1つを、前記地番の一覧データに含める、
請求項16に記載の公図検索システム。
【請求項18】
前記制御部はさらに、検出された前記地番についての前記所有者及び担保権者のうち少なくとも1つの表示を、前記合成地図上に重ねる、請求項17に記載の公図検索システム。
【請求項19】
前記入力部はさらに、建物について家屋番号を特定する入力を受け付け、
前記制御部はさらに、前記特定された家屋番号(「特定家屋番号」)、並びに当該特定家屋番号の前及び/又は後の複数の家屋番号について、現に有効な登記情報が存在するか否かを検出し、現に有効な登記情報が存在することが検出された家屋番号の一覧データを生成する、
請求項15から18のいずれかに記載の公図検索システム。
【請求項20】
前記取得部はさらに、前記公的な機関の情報処理装置から、現に有効な登記情報の存在が検出された家屋番号についての登記情報を取得する、
請求項19に記載の公図検索システム。
【請求項21】
前記制御部はさらに、前記公的な機関の情報処理装置から取得した前記登記情報を解析し、現に有効な登記情報の存在が検出された家屋番号についての、所有者及び担保権者のうちの少なくとも1つを、前記家屋番号の一覧データに含める、請求項20に記載の公図検索システム。
【請求項22】
前記制御部はさらに、検出された前記家屋番号についての前記所有者及び担保権者のうち少なくとも1つの表示を、前記合成地図上に重ねる、請求項21に記載の公図検索システム。
【請求項23】
不動産登記法上の地番に対応する公図を検索する処理を、メモリ及びプロセッサを有するコンピュータに行わせるためのプログラムであって、当該プログラムは、前記プロセッサに、
土地が所在する場所又はその近隣の街区番号を特定する入力を受け付けることと、
土地についての所在及び地番を特定する入力を受け付けることと、
前記特定された街区番号(「特定街区番号」)を含む電子街区地図を取得することと、
登記情報を保有する公的な機関の情報処理装置と通信回線を介して通信し、前記特定された所在及び地番(「特定地番」)を含む最新の電子公図を取得することと、
取得した前記電子公図を、筆界と地番の表示を含む透過画像
に変換して、取得した前記電子街区地図上に重ねた合成地図を生成することであって、前記電子公図
の透過画像を、前記電子街区地図に対して縮尺、方位及び位置のいずれか1つかそれ以上が一致していない状態で、かつ前記電子公図
の透過画像又は前記電子街区地図の拡大/縮小、回転、及び移動が可能な状態で重ねた合成地図を生成しユーザ装置の表示装置に表示することを含む、前記電子公図
の透過画像を前記電子街区地図上に重ねた合成地図を生成することと、
前記電子公図
の透過画像又は前記電子街区地図の拡大/縮小、回転、及び移動のうちの1つ以上のユーザの操作入力を受け付けることと、
前記受け付けたユーザの操作入力に応じて、前記電子街区地図上の前記電子公図
の透過画像又は前記電子公図
の透過画像下の前記電子街区地図の縮尺、方位又は位置を変更した合成地図を生成し前記ユーザ装置の表示装置に表示すること
の処理を実行させるプログラムコードを含む、公図検索プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、登記所における最新の登記情報に従った、検索対象の地番の所在地とその近隣に所在する地番の状況を、簡易な操作で迅速に調査することを可能とする、公図検索方法、及び公図検索システム、並びに公図検索プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
我が国において、住所を表示する方法としては地番表示と住居表示とがある。大まかに述べると、地番とは、土地の場所そのものでありかつ権利が及ぶ範囲を表すための登記簿上の番号であり、他方、住居表示番号とは、建物の場所を表す番号ということができる。
【0003】
地番は、登記所が一筆の土地ごとに付した番号であり、登記地番とも呼ばれるが、地番を定めるにあたっては、不動産登記規則等の規定に従い、市、区、町、村、字又はこれに準ずる地域をもって地番区域を定め、この地番区域ごとに土地の位置が分かりやすいものとなるように、また、地番が重複しないよう定めるものとされている。また、土地を分筆(一筆の土地を複数の土地に分けること)した場合には、分筆前の地番に支号(枝番)を付して各筆の地番を定めること、 また土地を合筆(複数の土地を一筆にすること)した場合には、合筆前の首位の地番をもってその地番とすることとされている。
【0004】
登記は所在を示す町丁目名称と地番をもって定められているが、この地番に規則性はない。しばしば所在地番が連続しないことも多い。これは、土地を分筆したり、合筆したりすることにより、土地の地番が変わるからである。
【0005】
他方、住居表示は、住所をわかりやすくし、郵便物を配達しやすくすることを目的に、昭和37年に施行された住居表示に関する法律に基づいて実施された住所の表示制度である。住居表示化されると、住所の表示から地図上の場所の特定が容易になる。
【0006】
住居表示制度の下では、一定の基準により建物に順序よく番号をつけて住所と定めている。住居表示の方式には、街区方式と道路方式がある。街区方式に従った住居表示による住所は、町丁目名称、街区符号、住居番号からなっており、通常、街区符号と住居番号を街区番号と呼んでいる。一例をあげると、住居表示が「甲市 湊町2丁目 10番 25号」とあるとき、「湊町2丁目」が町丁目名称、「10番」と「25号」が街区番号である。
【0007】
以下、本明細書において、街区方式又は道路方式に従い建物に付された番号を住居表示番号といい、街区方式に従った住居表示番号を特に指すときには、街区番号の用語を用いることとする。
【0008】
さて、住居表示は市街地に限り順次実施されているため、住居表示が実施されていない地域も多数ある。また、上記の通り、住居表示番号は、その土地の上に建設された住居、商業・業務ビル等の建物に付する番号であるため、道路、駐車場等の建物の無い土地に地番が付されていても、住居表示番号が無い。また、逆に国有財産には地番が付されないため、例えば皇居のように、住居表示番号はあるが地番が無いところもある。
【0009】
この様に住居表示番号(街区番号)と地番は、同じ国土の同じ場所を別の目的で表示している。しかし、国民の経済活動において、同一の場所について、住居表示番号と地番を対照することがしばしば要求される。特に、既知の住居表示番号(街区番号)から地番に変換する手法は、関係者よりその必要性が強く要望されていた。これは、地番を基準とする登記が、その所在・所有者・担保権等の重要な情報を公示しており、経済活動の要を担っているからである。
【0010】
一方、家屋番号は、土地の上に建設された住居、商業・業務ビル等の建物を特定する、登記簿上の番号である。地域にもよるが、ある土地に付された地番と、その土地の上にある建物の家屋番号とが、町丁目名称と地番で完全一致する場合や、地番の枝番を除いて部分一致する場合も多い。
【0011】
地番を調査するための1つのツールとして、一般財団法人民事法務協会が提供する「地番検索サービス」がある。このサービスは、インターネット上で、住宅地図を用いて住居表示番号からおおよその地番を検索することができることを特長としている。このサービスは、平成27年4月30日から、東京23区内を提供エリアとしてスタートし、平成27年7月1日から、全国の433市区町へと拡大された。
【0012】
加えて、登記所が所有する登記情報を、インターネットを使用して取得できるサービスとして広く知られているものの1つに、一般財団法人民事法務協会が提供する「登記情報提供サービス」(http://www1.touki.or.jp/gateway.html)がある。また、地番に基づき公図を表示させる種々のシステムが、既に提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】特開2010-15322号公報
【文献】特開2010-86485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
「登記情報提供サービス」を利用すると、「不動産請求」の「請求事項入力」画面において、所在に対応する地番区域を入力又は選択し、次いで、「地番・家屋番号一覧」から「地番・家屋番号選択」画面を表示させ、同画面において10以内の地番・家屋番号の範囲を指定して検索を実行することにより番号の一覧を表示させ、その一覧から1つ以上の地番をチェックして、地番の選択を確定させ、次いで、請求対象の登記情報(全部事項、所有者事項、地図、土地所在区/地積測量図、地役権図面)をチェックして、請求を確定させることにより、選択した地番についての所望の登記情報を、オンラインで取得することができる。
【0015】
しかし、「登記情報提供サービス」の「地番・家屋番号選択」画面においては、地番と、地図上の当該地番の所在地との対応関係が分からない。この不便を解消するために、「不動産請求」画面で地番を入力する前に、同画面でアクセス可能な「地番検索サービス」を利用して、入力しようとする地番の所在地を、予備的に確認することも可能であるが、作業に面倒を伴う。また、「地番検索サービス」では、通常の住宅地図を利用して、地番のおおよその位置を見ることができるにすぎないので、公図のように、情報の正確性と実時間性を期待することはできない。
【0016】
特許文献1は、地番の親番(例えば「○○町100-1」という表記であれば、親番は「100」)に対応する公図を記憶手段に記憶させておき、地番の親番から、対応する公図を表示出力させる検索装置を開示する。しかし、この検索装置において、記憶手段に記憶させてある地番の情報と公図の情報は、登記所の最新の登記情報よりも時間的に古い情報であるため、時々刻々と変化する登記情報との不一致が発生するおそれがある。
【0017】
特許文献2は、本発明者が提案したシステムの1つであり、街区番号地番変換画面から、物件の所在を示す地番区域と地番を「登記情報提供サービス」へ転送し、その地番に対応する公図を取得することを開示する。ここで「登記情報提供サービス」から取得された公図は、取得申請がされた時点において登記所が保有する、最新の登記情報である。しかし、そのようにして公図を取得した地番とは別の地番について、登記情報を取得しようとする場合、あらためて当該別の地番を画面上で入力する必要があり、作業に面倒を伴う。
【0018】
加えて、土地とその土地の上の建物との位置関係を正確に特定し把握するために、公図と住宅地図を重ね合わせて同時に参照できることが重要である。公図に関しては、「登記情報提供サービス」を利用して、指定した地番の土地を含む地図の電子データ(以下「電子公図」又は「電子公図データ」ということがある)を取得することができる。取得された電子公図は、取得時点における最新の公図を意味する。また、住宅地図に関しては、NTT空間情報株式会社の「GEOSPACE電子地図」又は「GEOSPACE CDS」、Google社の「Googleマップ」その他の電子地図を利用して、指定した街区番号の建物の描画を含む地図の電子データ(以下「電子街区地図」又は「電子街区地図データ」ということがある)を取得することができる。個々の電子地図サービスの更新頻度にもよるが、取得された電子街区地図は、取得時点における最新の建物の状況を示しているといえる。
【0019】
しかし、「登記情報提供サービス」により提供される電子公図を調べると、図の大きさ、縮尺、方位、隣り合う図との相対的位置関係等が公図ごとにまちまちである。つまり、取得された電子公図全体を通して、地図の大きさ、縮尺、方位等の一貫性が確保されているとはいえないため、電子街区地図に電子公図を正確に重ねた実用的な地図を提供することは相当の困難を伴う。
【0020】
公図を電子化し、電子街区地図と重ねて利用することを可能とする電子地番地図が既に実用化されている(例えば、NTT空間情報株式会社の「GEOSPACE地番地図」)。しかし、毎年の最新版への更新が行われるまでの間は、検索実行時点よりも古い時点の公図に基づく情報が提供されるため、実時間性に課題がある。
【0021】
従って、本発明の目的は、登記所における最新の登記情報に従った、検索対象の地番の所在地とその近隣に所在する地番の状況を、簡易な操作で、街区地図に最新の公図を重ねた合成地図を見ながら迅速に調査することを可能とする、公図検索方法、及び公図検索システムを提供することにある。
【0022】
本発明の他の目的は、検索対象の地番の所在地とその近隣に所在する地番の現在の状況を、ユーザが、街区地図に最新の公図を重ねた合成地図を見ながら正確に読み取ることを支援する、公図検索方法、及び公図検索システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記の目的を達成するために、本発明に係る公図検索方法は、不動産登記法上の地番に対応する公図を検索する方法であって、土地が所在する場所又はその近隣の街区番号を特定する入力を受け付けるステップと、土地についての所在及び地番を特定する入力を受け付けるステップと、前記特定された街区番号(「特定街区番号」)を含む電子街区地図を取得するステップと、登記情報を保有する公的な機関の情報処理装置と通信回線を介して通信し、前記特定された所在及び地番(「特定地番」)を含む最新の電子公図を取得するステップと、取得した前記電子公図を、筆界と地番の表示を含む透過画像として、取得した前記電子街区地図上に重ねた合成地図を生成するステップであって、前記電子公図を、前記電子街区地図に対して縮尺、方位及び位置のいずれか1つかそれ以上が一致していない状態で、かつ前記電子公図又は前記電子街区地図の拡大/縮小、回転、及び移動が可能な状態で重ねた合成地図を生成しユーザ装置の表示装置に表示することを含む、前記電子公図を前記電子街区地図上に重ねた合成地図を生成するステップと、前記電子公図又は前記電子街区地図の拡大/縮小、回転、及び移動のうちの1つ以上のユーザの操作入力を受け付けるステップと、前記受け付けたユーザの操作入力に応じて、前記電子街区地図上の前記電子公図又は前記電子公図下の前記電子街区地図の縮尺、方位又は位置を変更した合成地図を生成し前記ユーザ装置の表示装置に表示するステップと、を含む。
【0024】
本発明の好ましい実施形態において、公図検索方法は、前記電子街区地図上の前記電子公図又は前記電子公図下の前記電子街区地図の前記縮尺、方位又は位置を変更した合成地図を生成し表示するステップの後に、前記電子街区地図に対して前記電子公図を固定するステップをさらに含んでよい。
【0025】
本発明の好ましい実施形態において、公図検索方法は、前記電子公図が固定された前記電子街区地図の拡大/縮小、回転、及び移動のうちの1つ以上のユーザの操作入力を受け付けるステップと、前記受け付けたユーザの操作入力に応じて、前記電子公図が固定された前記電子街区地図の縮尺、方位又は位置を変更するステップと、をさらに含んでよい。
【0026】
本発明の好ましい実施形態において、公図検索方法は、前記特定地番、並びに当該特定地番の前及び/又は後の複数の地番について、現に有効な登記情報が存在するか否かを検出するステップと、現に有効な登記情報が存在することが検出された地番の一覧データを出力するステップと、をさらに含んでよい。
【0027】
本発明の好ましい実施形態において、公図検索方法は、登記情報を保有する公的な機関の情報処理装置から、現に有効な登記情報の存在が検出された地番についての登記情報を取得するステップをさらに含んでよい。
【0028】
また、本発明の好ましい実施形態において、公図検索方法は、前記公的な機関の情報処理装置から取得した前記登記情報を解析し、現に有効な登記情報の存在が検出された地番についての、所有者及び担保権者のうちの少なくとも1つを、前記地番の一覧データに含めるステップを、さらに含んでよい。
【0029】
本発明の好ましい実施形態において、公図検索方法は、検出された前記地番についての前記所有者及び担保権者のうち少なくとも1つの表示を、前記合成地図上に重ねるステップをさらに含んでよい。
【0030】
さらに、本発明の好ましい実施形態において、公図検索方法は、建物について家屋番号を特定する入力を受け付けるステップと、前記特定された家屋番号(「特定家屋番号」)、並びに当該特定家屋番号の前及び/又は後の複数の家屋番号について、現に有効な登記情報が存在するか否かを検出するステップと、現に有効な登記情報が存在することが検出された家屋番号の一覧データを出力するステップと、をさらに含んでよい。
【0031】
また、本発明の好ましい実施形態において、公図検索方法は、前記公的な機関の情報処理装置から、現に有効な登記情報の存在が検出された家屋番号についての登記情報を取得するステップをさらに含んでよい。
【0032】
さらに、本発明の好ましい実施形態において、公図検索方法は、前記公的な機関の情報処理装置から取得した前記登記情報を解析し、現に有効な登記情報の存在が検出された家屋番号についての、所有者及び担保権者のうちの少なくとも1つを、前記家屋番号の一覧データに含めるステップをさらに含んでよい。
【0033】
また、本発明の好ましい実施形態において、公図検索方法は、検出された前記家屋番号についての前記所有者及び担保権者のうち少なくとも1つの表示を、前記合成地図上に重ねるステップをさらに含んでよい。
【0034】
本発明に係る公図検索システムは、不動産登記法上の地番に対応する公図を検索するシステムであって、土地が所在する場所又はその近隣の街区番号と、土地についての所在及び地番を特定する入力部と、街区地図提供者の情報処理装置と通信回線を介して通信し、前記特定された街区番号(「特定街区番号」)を含む電子街区地図を取得するとともに、登記情報を保有する公的な機関の情報処理装置と通信回線を介して通信し、前記特定された所在及び地番(「特定地番」)を含む最新の電子公図を取得する取得部と、取得した前記電子公図を、筆界と地番の表示を含む透過画像として、取得した前記電子街区地図上に重ねた合成地図を生成する制御部とを含み、前記制御部は、前記電子公図を、前記電子街区地図に対して縮尺、方位及び位置のいずれか1つかそれ以上が一致していない状態で、かつ前記電子公図又は前記電子街区地図の拡大/縮小、回転、及び移動が可能な状態で重ねた合成地図を生成しユーザ装置の表示装置に表示し、前記入力部は、前記電子公図又は前記電子街区地図の拡大/縮小、回転、及び移動のうちの1つ以上のユーザの操作入力を受け付け、前記制御部は、前記受け付けたユーザの操作入力に応じて、前記電子街区地図上の前記電子公図又は前記電子公図下の前記電子街区地図の縮尺、方位又は位置を変更した合成地図を生成し前記ユーザ装置の表示装置に表示する。
【0035】
本発明の好ましい実施形態において、前記制御部がさらに、前記電子街区地図上の前記電子公図又は前記電子公図下の前記電子街区地図の縮尺、方位又は位置を変更した合成地図を生成し表示した後に、前記電子街区地図に対して前記電子公図を固定してよい。
【0036】
本発明の好ましい実施形態において、前記入力部がさらに、前記電子公図が固定された前記電子街区地図の拡大/縮小、回転、及び移動のうちの1つ以上のユーザの操作入力を受け付け、前記制御部がさらに、前記受け付けたユーザの操作入力に応じて、前記電子公図が固定された前記電子街区地図の縮尺、方位又は位置を変更してよい。
【0037】
本発明の好ましい実施形態において、前記制御部がさらに、前記特定地番、並びに当該特定地番の前及び/又は後の複数の地番について、現に有効な登記情報が存在するか否かを検出し、現に有効な登記情報が存在することが検出された地番の一覧データを生成するとよい。
【0038】
本発明の好ましい実施形態において、前記取得部がさらに、登記情報を保有する公的な機関の情報処理装置から、現に有効な登記情報の存在が検出された地番についての登記情報を取得するとよい。
【0039】
また、本発明の好ましい実施形態において、前記制御部がさらに、前記公的な機関の情報処理装置から取得した前記登記情報を解析し、現に有効な登記情報の存在が検出された地番についての、所有者及び担保権者のうちの少なくとも1つを、前記地番の一覧データに含めるとよい。
【0040】
また、本発明の好ましい実施形態において、前記制御部がさらに、検出された前記地番についての前記所有者及び担保権者のうち少なくとも1つの表示を、前記合成地図上に重ねるとよい。
【0041】
さらに、本発明の好ましい実施形態において、前記入力部がさらに、建物について家屋番号を特定する入力を受け付け、前記制御部がさらに、前記特定された家屋番号(「特定家屋番号」)、並びに当該特定家屋番号の前及び/又は後の複数の家屋番号について、現に有効な登記情報が存在するか否かを検出し、現に有効な登記情報が存在することが検出された家屋番号の一覧データを生成し、前記出力部がさらに、前記家屋番号の一覧データを出力してよい。
【0042】
また、本発明の好ましい実施形態において、前記取得部がさらに、前記公的な機関の情報処理装置から、現に有効な登記情報の存在が検出された家屋番号についての登記情報を取得してよい。
【0043】
また、本発明の好ましい実施形態において、前記制御部がさらに、前記公的な機関の情報処理装置から取得した前記登記情報を解析し、現に有効な登記情報の存在が検出された家屋番号についての、所有者及び担保権者のうちの少なくとも1つを、前記家屋番号の一覧データに含めてよい。
【0044】
さらに、本発明の好ましい実施形態において、前記制御部がさらに、検出された前記家屋番号についての前記所有者及び担保権者のうち少なくとも1つの表示を、前記合成地図上に重ねてよい。
【0045】
ここで、公図とは、地図又は地図に準ずる図面をいい、平成17年3月7日に施行された不動産登記法(平成16年法律第123号、以下「改正法」という)の下でのいわゆる「14条地図」(旧法下のいわゆる「17条地図」)を意味する。一般に登記情報とは、登記所が所有する不動産登記、商業・法人登記の両方を含む概念であるが、本明細書では、不動産登記法所定の登記情報(土地の場合は、全部事項、所有者事項、公図、土地所在図/地積測量図を含み、建物の場合は、全部事項、所有者事項、建物図面/各階平面図を含む)を指していう場合があり、また、特に、不動産登記法所定の登記事項の全部又は一部(「全部事項」又は「所有者事項」)を指していう場合がある。
【0046】
上述のとおり、電子街区地図は、NTT空間情報株式会社の「GEOSPACE電子地図」、Google社の「Googleマップ」その他の電子地図を利用して取得することができる。また、電子公図は、一般財団法人民事法務協会が提供する「登記情報提供サービス」(http://www1.touki.or.jp/gateway.html)から、オンラインで取得することができる。従来は、電子街区地図に電子公図を正確に重ねた実用的な地図を提供することは相当の困難を伴うものであったが、本発明者は、取得した電子公図を、筆界と地番の表示を含む透過画像に変換し、取得した電子街区地図上に重ねた合成地図を生成するだけでなく、電子街区地図に対する電子公図の相対的な縮尺、方位又は位置を任意に変更することを可能とする手法を採用することにより、上記課題を解決し、本発明を完成した。
【0047】
また、上述したとおり、一般財団法人民事法務協会が提供する「登記情報提供サービス」から、オンラインで、登記情報の提供を受けることができる。本発明者はさらに、「登記情報提供サービス」が提供する種々のサービスの一部の機能を応用すると、検索対象の地番とその近隣に所在する地番について、登記所における最新の登記情報であることの確認をしたうえで、一覧表示させることができることを着想し、特許出願(特願2015-110907)をしているが、そこで開示している技術を本発明に適用することができる。
【発明の効果】
【0048】
本発明によると、ユーザは、登記所における最新の登記情報に従った、検索対象の地番の所在地とその近隣に所在する地番の状況を、簡易な操作で、街区地図に最新の公図を重ねた合成地図を見ながら迅速に調査することができ、金融機関等における物件調査業務の効率化に大いに寄与することができる。
【0049】
上記した本発明の目的及び利点並びに他の目的及び利点は、以下の実施の形態の説明を通じてより明確に理解される。もっとも、以下に記述する実施の形態は例示であって、本発明はこれらに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1】本発明の一実施形態における公図検索システムの機能ブロック図である。
【
図2】本発明の一実施形態における公図検索システムが組込まれたWebシステムのシステム構成図である。
【
図3】本発明の一実施形態における公図検索システムにより実行される、電子公図取得処理、電子街区地図取得処理、及び公図・街区地図マッチング処理の一例を示すフロー図である。
【
図4】本発明の一実施形態における公図検索システムの検索画面の一例を示す図である。
【
図5】本発明の一実施形態における公図検索システムの検索画面の一例を示す図である。
【
図6】本発明の一実施形態における公図検索システムの検索画面の一例を示す図である。
【
図7】本発明の一実施形態における公図検索システムの検索画面の一例を示す図である。
【
図8】本発明の一実施形態における公図検索システムの検索画面の一例を示す図である。
【
図9】本発明の一実施形態における公図検索システムの検索画面の一例を示す図である。
【
図10】本発明の一実施形態における公図検索システムにより実行される、地番一覧データを出力する処理の一例を示すフロー図である。
【
図11】本発明の一実施形態における公図検索システムにより実行される、登記情報を解析して所有者等の表示を含む地番一覧データを出力する処理の一例を示すフロー図である。
【
図12】本発明の一実施形態における公図検索システムの検索画面の一例を示す図である。
【
図13】本発明の一実施形態における公図検索システムの検索画面の一例を示す図である。
【
図14】登記情報提供サービスの不動産請求画面の一例を示す図である。
【
図15】登記情報提供サービスの不動産請求における地番・家屋番号一覧画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づき説明する。
以下の説明において、主に、本発明に係る公図検索システムを組込んだ、オンライン不動産情報調査プラットフォームを、ユーザ装置が通信回線を介して接続されるWebシステムとして構成した例、すなわち、Webシステムに通信回線を介して接続されているユーザ装置に向けて、公図検索システムによるサービスを提供する例について述べるが、これは一例であってそれに限定されるものではない。
【0052】
図1は、本発明の一実施形態における公図検索システムの機能ブロック図である。
図1に示すように、公図検索システム1は、記憶部2、入力部4、制御部6、出力部8、及び取得部9から構成されている。
【0053】
記憶部2には、登記所の所有する登記情報の電子データを取得して格納することができるが、特に、前述の「登記情報提供サービス」から取得した電子公図データを記録する電子公図ファイル、及び登記情報(全部事項/所有者事項)データを記憶する登記情報ファイルが格納されている。また、記憶部2には、後述する公図検索システムの動作に従い生成される「公図所在地番ファイル」が格納されている。
【0054】
入力部4は、後述する制御部6に所定の処理を実行させるために、検索対象物件が所在する場所又はその近隣の所在(街区番号)、検索対象物件の種別(土地/建物)、所在(地番区域、地番/家屋番号)を、制御部6に入力する。以下、検索対象物件が所在する場所又はその近隣について入力される街区番号を「特定街区番号」という。また、土地について入力される検索対象物件の所在を「特定地番」といい、建物について入力される検索対象物件の所在を「特定家屋番号」という。入力部4による街区番号、土地又は建物の種別及び所在の入力は、制御部6によって受け付けられる。
【0055】
制御部6は、後述する取得部9を介して取得した電子公図を、筆界と地番の表示を含む透過画像として、後述する取得部9を介して取得した電子街区地図上に重ねた合成地図を生成する。また、電子公図の拡大/縮小、回転、及び移動のうちの1つ以上のユーザの操作入力を受け付けると、受け付けたユーザの操作入力に応じて、電子街区地図上の電子公図の縮尺、方位又は位置を変更した合成地図を生成する。
【0056】
付加的に制御部6は、特定地番、並びに当該特定地番の前及び/又は後の複数の地番について、現に有効な登記情報が存在するか否かを検出する。また、制御部6は、有効な登記情報が存在することが検出された地番の一覧データを生成する。
【0057】
付加的に制御部6は、また、建物についての所在及び家屋番号を特定する入力を受け付けると、特定家屋番号、並びに当該特定家屋番号の前及び/又は後の複数の家屋番号について、現に有効な登記情報が存在するか否かを検出する。また、制御部6は、有効な登記情報が存在することが検出された家屋番号の一覧データを生成する。
【0058】
出力部8は、筆界と地番の表示を含む透過画像に変換された電子公図を電子街区地図上に重ねた合成地図を出力する。また、付加的に出力部8は、制御部6により生成された地番一覧データを出力する。さらに、付加的に出力部8は、制御部6により生成された家屋番号一覧データを出力する。
【0059】
取得部9は、入力部4から入力されたその物件が所在する場所又はその近隣の所在(街区番号)を含む要求を、通信回線を介して、街区地図提供者の情報処理装置に転送し、情報処理装置からその物件の電子街区地図データを取得する。また、取得部9は、入力部4から入力された物件の所在地(地番区域と地番)を含む要求を、通信回線を介して、登記情報を保有する公的な機関の情報処理装置、具体的には「登記情報提供サービス」を提供する情報処理装置に転送し、情報処理装置からその物件の電子公図データを取得し、また付加的に登記情報(全部事項/所有者事項)データを取得する。
【0060】
図2は、本発明の一実施形態における公図検索システムが組込まれたWebシステム20のシステム構成図である。ここで、Webシステム20は、ユーザ装置10が通信回線30を介して接続された構成を有している。なお、40は、ユーザとの利用契約に従って、電子街区地図をそのユーザに対してオンラインで提供するための情報処理装置であり、例えば、NTT空間情報株式会社がクラウド環境で提供しているインターネット配信サービス「GEOSPACE CDS」の情報処理装置である。また、41は、登記所が保有する登記情報を登録利用者等に対してオンラインで提供するための、一般財団法人民事法務協会の「登記情報提供サービス」の情報処理装置である。
【0061】
ユーザ装置10は、公図検索を行いたいユーザが操作する情報処理端末装置であり、汎用のパーソナルコンピュータ(PC)により構成することが出来る。すなわち、ユーザ装置10は、図示しないCPU、RAM、所定のプログラム及びデータを格納したROM、ハードディスク等の記憶装置、表示装置、入力装置(キーボード及びマウス等のポインティングデバイスを含むが、いわゆるスマートフォン又はタブレット端末が備えるディスプレイ上の入力インターフェースとして提供されてよい)、通信装置を有している。
【0062】
ユーザ装置10が備える、図示しないCPUは、記憶装置に格納されたプログラムを読み出し、RAMが有するワークエリアに展開して実行し、ROM、表示装置、入力装置、記憶装置、通信装置の各部を制御する。
【0063】
ユーザ装置10が備える、図示しない記憶装置には、Webブラウザのプログラム及びデータが格納されている。このWebブラウザは、後述するWebシステム20から受信する各種画面データ、画像データを、図示しない表示装置に表示させるほか、ユーザ装置10から、Webシステム20に対し、各種のデータ及び要求コマンドを送信する機能を提供する。具体的には、Webシステム20から受信する、後述する検索画面、電子街区地図データ、電子公図データ及び合成地図データを、図示しない表示装置に表示させる(
図4~
図9)。付加的にWebブラウザは、Webシステム20から受信する、地番一覧データ、家屋番号一覧データを、図示しない表示装置に表示させる(
図12)。さらにWebブラウザは、検索対象物件の所在地を特定する検索要求コマンド、各種登記情報の取得要求コマンド等を、Webシステム20に送信することができる。
【0064】
Webシステム20は、後述する取得済み電子公図ファイル、取得済み登記情報ファイル、及び公図所在地番ファイルを格納する記憶装置22、CPU24、通信装置26を備える。CPU24は、図示しないROMやハードディスクに格納されたプログラムを読み出して、図示しないRAMのワークエリアに展開して実行することにより、記憶装置22、通信装置26を制御する。より具体的には、CPU24は、図に模式的に記載されているように、電子公図データ・電子街区地図データを取得し、電子公図データを変換して筆界と地番の表示を含む透過画像を生成し、当該透過画像の電子公図を電子街区地図上に重ねた合成地図を生成し、表示・印刷のための出力データを通信装置26から通信回線30を介してユーザ装置10に出力する処理を実行する。付加的にWebシステム20は、地番一覧データ/家屋番号一覧データを生成し、解析・表示・印刷のための登記情報(全部事項/所有者事項)データを情報処理装置41から取得し、通信装置26から通信回線30を介してユーザ装置10に出力する処理を実行する。
【0065】
通信回線30は、専用線、公衆電話回線、衛星通信回線等の各種通信回線や図示しない各種サーバ等を含んで構成され、その具体的様態は特に限定されない。また、ユーザ装置10、Webシステム20、情報処理装置40、41と通信回線30との間には、ISP(Internet Service Provider)やNSP(Network Service Provider)、携帯電話事業者等が提供するサーバやファイアーウォール、ゲートウェイ装置等の各種機器が介在する構成としても良いが、ここでは図示しない。通信回線30の典型的な例としては、インターネットが挙げられるが、その他のネットワークであっても良い。
【0066】
次に、図面を参照して、
図2に示すユーザ装置10のユーザによる操作に応じて、
図2に示すWebシステム20が備えるCPU24が、電子街区地図を取得する処理(電子街区地図取得機能14)、電子公図を取得する処理(電子公図取得機能15)、並びに電子公図を電子街区地図上に重ねた合成地図を生成し、電子街区地図上の電子公図の縮尺、方位又は位置を変更する処理(公図・街区地図マッチング処理機能16)を実行する例を、詳しく説明する。
【0067】
図3は、電子街区地図を取得する処理(電子街区地図取得機能14)、電子公図を取得する処理(電子公図取得機能15)、並びに電子公図を電子街区地図上に重ねた合成地図を生成し、電子街区地図上の電子公図の縮尺、方位又は位置を変更する処理(公図・街区地図マッチング処理機能16)の一例を示すフロー図、
図4~
図9は、公図検索システムの検索画面100の一例を示す図である。
【0068】
図3を参照して、ユーザ装置10において、公図検索システム12の検索画面100(
図4)を図示しない表示装置に表示させ、検索対象物件が所在する場所又はその近隣の街区番号を特定する入力を行うことができる。街区番号110の特定は、町丁目名称、街区符号、住居番号のすべてを特定してよい(
図4においてボックス112内の「東京都中央区銀座5丁目13-3」)。なお、街区番号は、町丁目名称及び街区符号(「東京都中央区銀座5丁目13」)まで特定するものでもよい。そして、街区取得ボタン114を押下することにより、Webシステム20に対して、上記のようにして入力された特定街区番号を含む検索要求を送信する。Webシステム20が備えるCPU24は、通信装置26を介して当該検索要求を受信し、特定街区番号の入力を受け付ける(ステップS101)。
【0069】
Webシステム20が備えるCPU24は、通信装置26を介して当該検索要求を受信し、受信した当該検索要求を情報処理装置40に転送し、その応答として特定街区番号を含む電子街区地図データを情報処理装置40から取得する。Webシステム20が備えるCPU24は、取得した電子街区地図データを、通信装置26を介してユーザ装置10に転送する。ユーザ装置10のWebブラウザは、転送された電子街区地図データに基づき、公図検索システム12の検索画面100(
図4)の地図表示部150に電子街区地
図118を表示する(ステップS102)。
【0070】
ユーザ装置10の図示しない表示装置に表示させた、公図検索システム12の検索画面100(
図5)上で、土地についての所在及び地番を特定する入力を行うことができる。「所在選択」ボタン122の押下等を通じて、所在(
図5の例で「東京都中央区銀座5丁目」)を選択し、また地番(
図5の例で、ボックス124内の「201-13」)を選択又は入力する。そして、電子公図取得ボタン126を押下することにより、Webシステム20に対して、上記のようにして入力された特定地番を含む検索要求を送信する。Webシステム20が備えるCPU24は、通信装置26を介して当該検索要求を受信し、特定地番の所在地の入力を受け付ける(ステップS103)。
【0071】
Webシステム20が備えるCPU24は、新規に電子公図を取得するか否かを判断する(ステップS104)。特定地番に対応する電子公図データが、記憶装置22の電子公図ファイルに格納されていない場合、Webシステム20が備えるCPU24は、通信装置26を制御して情報処理装置41と通信を行い、電子公図データを新規取得する(ステップS105)。この場合、電子公図新規取得ボタンの押下をユーザに促すメッセージ(図示せず)を、事前に表示させ、ユーザによる電子公図新規取得ボタンの押下があった場合に限り、Webシステム20による新規取得を許可するよう構成してもよい。この取得処理は、
図14に示す「登記情報提供サービス」の不動産請求画面210において、「請求事項入力」の「所在指定」における所在224及び地番・家屋番号226に特定地番に対応する所在(地番区域・地番)を指定した状態で、請求内容選択230において「地図」を選択し、確定ボタン240を押下して請求を行い、その応答として、特定地番を含む電子公図データを受信することに相当する。Webシステム20が備えるCPU24は、このようにして取得した電子公図データを、記憶装置22の電子公図ファイルに格納する(ステップS106)。次に、Webシステム20が備えるCPU24は、特定地番に対応する電子公図データを、記憶装置22の電子公図ファイルより取得する(ステップS107)。Webシステム20が備えるCPU24は、取得した電子公図データを、通信装置26を介してユーザ装置10に転送する。ユーザ装置10のWebブラウザは、転送された電子公図データに基づき、公図検索システム12の検索画面100(
図5)の地図表示部150に電子公
図128を表示することができる。
【0072】
次に、Webシステム20が備えるCPU24は、特定地番に対応する電子公図データを変換して、筆界と地番の表示を含む透過画像を生成し、ステップS102で取得した電子街区地図上に重ねた合成地図を生成する(ステップS108)。筆界と地番の表示を含む透過画像を生成するための変換処理、また、筆界と地番の表示を含む透過画像としての電子公図を電子街区地図上に重ねた合成地図を生成する処理は、例えば、汎用の画像加工ソフトウェアを利用して実現することでよく、特に限定しない。Webシステム20が備えるCPU24は、生成した合成地図データを、通信装置26を介してユーザ装置10に転送する。ユーザ装置10のWebブラウザは、転送された合成地図データに基づき、公図検索システム12の検索画面100(
図6)の地図表示部150に、電子街区地
図118上に電子公
図128を重ねた合成地図を表示する(このとき「公図を重ねて表示」ボックス130がチェックされていることに留意されたい)。
【0073】
図6からわかるように、ステップS108において生成される合成地図においては、電子街区地
図118と電子公
図128とは、縮尺、方位及び位置のいずれか1つかそれ以上が一致していないため、このような合成地図を見てもユーザは、検索対象の地番の所在地とその近隣に所在する地番の現在の状況を正確に読み取ることが困難である。そこで、本実施形態においては、ユーザが、電子公図の拡大/縮小、回転、及び移動のうちの1つ以上のユーザの操作入力を通して、電子街区地
図118と電子公
図128とを一致させるマッチング処理機能を、ユーザに対して提供している。具体的には、ユーザ装置10において、ユーザは、図示しない入力装置を操作して、公図検索システム12の検索画面100(
図6)上の所定の縮尺のボタンを選択するか、縮尺の自由入力ボタンを選択して任意の縮尺をボックス134に入力し、「縮尺反映」ボタン136を押下することにより、電子公
図128を所望の大きさに拡大/縮小する入力を行うことができる。また、ユーザ装置10において、ユーザは、図示しない入力装置を操作して、例えば、公図検索システム12の検索画面100(
図7)の地図表示部150下部に注記140により表示されているように、キーボードの「Shift」+「Alt」キーを押しながらマウスで電子公
図128を掴むことにより、電子公
図128を任意の角度に回転する入力を行うことができる。さらに、ユーザ装置10において、ユーザは、図示しない入力装置を操作して、公図検索システム12の検索画面100(
図8)に示すように、例えばマウスで電子公
図128をドラッグすることにより、電子公
図128を任意の位置に移動する入力を行うことができる。Webシステム20が備えるCPU24は、通信装置26を介して上記操作入力のコマンドを受信し、電子公図の拡大/縮小、回転、及び移動のうちの1つ以上のユーザの操作入力を受け付ける(ステップS109)。
【0074】
Webシステム20が備えるCPU24は、受け付けたユーザの操作入力に応じて、電子街区地図上の電子公図の縮尺、方位又は位置を変更した合成地図を生成する(ステップS110)。Webシステム20が備えるCPU24は、生成した合成地図データを、通信装置26を介してユーザ装置10に転送する。ユーザ装置10のWebブラウザは、転送された合成地図データに基づき、公図検索システム12の検索画面100(
図9)の地図表示部150に、電子街区地
図118上に電子公
図128を重ねた合成地図を表示する。ユーザによる操作入力が適切になされることで、電子街区地
図118と電子公
図128の縮尺、方位及び位置が正確に一致した合成地図が表示されるので、ユーザは、その合成地図を見て、検索対象の地番の所在地とその近隣に所在する地番の現在の状況を正確に読み取ることができる。
【0075】
付加的に、Webシステム20が備えるCPU24は、電子街区地
図118に対して電子公
図128を固定する処理を実行してよい(
図9において「公図を固定」ボックスがチェックされていることに留意されたい)。この処理がされるとそれ以降ユーザが、ユーザ装置10の図示しない入力装置を操作して、地図表示部150において、電子街区地
図118と電子公
図128の縮尺、方位及び位置が正確に一致した状態の合成地図を、任意に拡大/縮小、回転、及び移動することができるので、筆界や地番を識別するときの使い勝手がより向上する。
【0076】
上記した一実施形態において、ステップS109では電子公図の拡大/縮小、回転、及び移動のうちの1つ以上のユーザの操作入力を受け付け、次のステップS110では電子街区地図上の電子公図の縮尺、方位又は位置を変更した合成地図を生成するようにしたが、それに代えて、ステップS109では電子街区地図の拡大/縮小、回転、及び移動のうちの1つ以上のユーザの操作入力を受け付け、次のステップS110では電子公図下の電子街区地図の縮尺、方位又は位置を変更した合成地図を生成するようにしてよい。
【0077】
次に、図面を参照して、
図2に示すユーザ装置10のユーザによる操作に応じて、
図2に示すWebシステム20が備えるCPU24が、付加的に地番一覧データを出力する処理(公図地番一覧表示機能17)を実行する例、及び付加的に登記情報を解析して所有者等を含む地番一覧データを出力する処理(所有者等表示機能18)を実行する例を、詳しく説明する。
【0078】
図10は、地番一覧データを出力する処理の一例を示すフロー図、
図11は、登記情報を解析して所有者等の表示を含む地番一覧データを出力する処理の一例を示すフロー図、
図12及び
図13は、公図検索システムの検索画面の一例を示す図、
図14及び
図15は、「登記情報提供サービス」の不動産請求画面、及び地番・家屋番号一覧画面の一例を示す図である。
【0079】
図10を参照して、ユーザ装置10において、公図検索システム12の検索画面(
図12)を図示しない表示装置に表示させ、「所在選択」ボタン122の押下等を通じて、所在(
図12の例で「東京都中央区銀座5丁目」)を選択し、また地番(
図12の例で、ボックス124内の「201-13」)を選択又は入力することに加えて、本実施形態においては、「登記情報提供サービス」が要求する仕様に適合するように「数字又はハイフンのみの地番・家屋番号」をさらにチェックし、表示範囲126を指定し(
図12において「201-13」を含む前後の地番で10以内の地番「196-1~205」を指定)、地番検索実行ボタン129を押下することにより、Webシステム20に対して、上記のようにして入力・選択された特定地番の所在地等を含む検索要求を送信する。Webシステム20が備えるCPU24は、通信装置26を介して当該検索要求を受信し、特定地番の所在地の入力を受け付ける(ステップS201)。
【0080】
Webシステム20が備えるCPU24は、通信装置26を制御して情報処理装置41と通信を行い、所在(地番区域・地番)と表示範囲を指定した検索要求を送信し、その要求への応答を受信する(ステップS202)。上記検索要求の送信は、
図14に示す「登記情報提供サービス」の画面200の不動産請求画面210において、請求方法220に「所在指定」を選択し、所在指定の種別222において「土地」を選択し、所在224において「東京都中央区銀座5丁目」を選択し、地番・家屋番号一覧ボタン228を押下して表示される、
図15に示す「地番・家屋番号一覧画面」300において、表示範囲310に「196-1~205」を指定して、検索ボタン312を押下して、検索を実行させることに相当する。そして、要求への応答受信は、「登記情報提供サービス」が検索結果として出力する地番・家屋番号一覧320のデータを受信することに相当する。
【0081】
上記のとおり、表示範囲310の指定は、最大で10の制限がある。この制限を超えて、特定地番及び前後の複数の地番についての地番・家屋番号一覧320のデータを受信したいときは、任意で、
図15に示す「所在」の表示範囲310の指定を10ずつシフトさせて、追加の検索を行い、応答を受信することができる(ステップS203)。
【0082】
ここで「登記情報提供サービス」においては、請求が行われた時点で有効な登記情報が存在する地番のみをリストアップして、地番・家屋番号一覧320が作成されることに留意すべきである。例えば、「登記情報提供サービス」においては、登記手続中のため、登記所窓口で登記事項証明書等の発行を行わない期間に請求が行われたときは、請求がエラーとなるように設計されている。このことから、「登記情報提供サービス」から正しい応答があった地番については、現に有効な登記情報が存在することが検出されたことを意味する。Webシステム20が備えるCPU24は、「登記情報提供サービス」が検索結果として出力する地番・家屋番号一覧320のデータを受信すると、正しい応答があった複数の地番を「公図所在地番ファイル」に記録し、記憶装置22に格納する(ステップS204)。
【0083】
Webシステム20が備えるCPU24は、「公図所在地番ファイル」に基づいて、正しい応答があった複数の地番の一覧データを生成する(ステップS205)。続いて、Webシステム20が備えるCPU24は、通信装置26を制御して、ステップS205において生成した地番の一覧データを、ユーザ装置10に向けて出力する(ステップS206)。
【0084】
図12の公図検索画面100は、Webシステム20から受信した地番の一覧データを、ユーザ装置10が、画面左側の地番一覧表示部160に一覧表示させている例を示している。地番一覧表示部160では、特定地番に対応する地番を赤枠で囲んで強調表示させることができる。また、地図表示部150では、特定地番の所在地が、地図表示部150の中央に位置するように初期表示させてよい。
【0085】
本発明においてWebシステム20が、かかる地番一覧表示部160と地図表示部150を同時に表示させることによる最大の利点は、特定地番と、特定地番の前及び/又は後の複数の地番を含めて、現に有効な登記情報が存在することが検出された地番の一覧から、地番の所在地を、街区地図に最新の公図を正確に重ねた合成地図上の位置と対照させて確認できることである。これにより、ユーザ装置10を操作して、ユーザは、登記所における最新の登記情報に従った、検索対象の地番の所在地とその近隣に所在する地番の状況を、簡易な操作で、街区地図に最新の公図を重ねた合成地図を見ながら迅速に調査することが可能となるものである。例えば、地番一覧表示部160には、物件の地番ごとに、チェックボックスが設けられているので、ユーザは、ある地番の所在地を合成地図中の位置で確認したときには、当該物件のチェックボックスをチェックして、その土地の所在地を合成地図上で確認済みであることを記録させることができる。
【0086】
次に、
図11を参照して、登記情報を解析して所有者等の表示を含む地番一覧データを出力する処理の例を説明する。
【0087】
図11を参照して、ユーザ装置10において、公図検索システム12の検索画面(
図12)を図示しない表示装置に表示させ、Webシステム20に、対象物件の登記情報(全部事項/所有者事項)を新規に取得させることができる。Webシステム20が備えるCPU24は、新規に登記情報を取得するか否かを判断する(ステップS301)。登記情報が、記憶装置22の登記情報ファイルに格納されていない場合、Webシステム20が備えるCPU24は、通信装置26を制御して情報処理装置41と通信を行い、登記情報を新規取得する(ステップS302)。上記取得処理は、Webシステム20が備えるCPU24が、通信装置26を制御して情報処理装置41と通信を行い、所在(地番区域・地番)を指定した「全部事項」、又は「所有者事項」の要求を送信し、その要求への応答として、全部事項又は所有者事項の電子データを受信することに相当する。具体的には、上記取得処理は、
図14に示す不動産請求画面210において、請求方法220に「所在指定」を選択し、所在指定の種別222において「土地」を選択し、所在224及び地番・家屋番号226に対象物件の所在(地番区域・地番)を指定し、請求内容選択230において「全部事項」又は「所有者事項」を選択して、確定ボタン240を押下して請求を行い、その応答として、対象物件の登記情報(全部事項/所有者事項)のデータを受信することに相当する。Webシステム20が備えるCPU24は、このようにして取得した登記情報(全部事項/所有者事項)のデータを、記憶装置22の登記情報ファイルに格納する(ステップS303)。次に、Webシステム20が備えるCPU24は、取得した登記情報を、記憶装置22の登記情報ファイルより取得する(ステップS304)。
【0088】
Webシステム20が備えるCPU24は、登記情報ファイルより取得した登記情報を解析し、所有者及び担保権者を抽出する(ステップS305)。次いで、Webシステム20が備えるCPU24は、ステップS205において生成した地番一覧データに、当該抽出した所有者及び担保権者を含めた、地番一覧データを生成する(ステップS306)。そして、Webシステム20が備えるCPU24は、通信装置26を制御して、ステップS306において生成した、所有者及び担保権者を含めた地番一覧データを、ユーザ装置10に向けて出力する(ステップS307)。
【0089】
図13の公図検索画面100は、Webシステム20から受信した、所有者及び担保権者を含めた地番一覧データを基に、ユーザ装置10が、地図表示部150に所有者名184を表示させている例を示している(
図13において「所有者名を表示」のボックス182がチェックされていることに留意されたい)。加えて、登記情報を取得済みの物件について、登記地番、街区番号、登記情報取得日、電子公図取得日を表示させてよく(合成地図上のアイコンを選択することにより表示される)、解析した登記情報に基づき、所有者住所と所有者名を表示させてよい(この表示は、「3 最終所有者を表示」のメニューを選択することにより展開される)。同様に、担保権者についても同様の表示をさせてよい。このように、所有者等表示機能を使用すると、地番一覧画面において、物件ごとに、所有者及び担保権者を表示させることができるので、特定地番とその近隣の地番についての、現在の所有者の状況、担保状況を、正確に読み取ることができるという利点がある。
【0090】
以上の実施形態において、種別として土地を選択した例について説明したが、種別として建物を選択した場合においては、家屋番号を特定して、ほぼ同様の処理を実行させることができるのは、もちろんである。登記所の保有する登記情報に関し、建物について公図は存在しないが登記情報(全部事項/所有者事項)が存在するため、
図12に示すように、公図検索画面100に含まれる家屋番号一覧表示部170には、現に有効に存在することが検出された家屋番号の一覧データを表示させることができる。また、取得した登記情報(全部事項/所有者事項)を解析させて、所有者及び担保権者を含む家屋番号一覧データを基に、地図表示部150に表示させることもできる。これらに必要な処理については、公図検索システムの地番一覧データの生成及び出力に関してした上記の詳しい説明から、当業者にとり明らかであるので、ここでの詳しい説明を省略する。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、例えば、登記情報と公図を活用した金融機関の業務を支援するシステムとして、好適に利用され得る。
【符号の説明】
【0092】
1、12 公図検索システム
10 ユーザ装置
20 Webシステム
22 記憶装置
24 CPU
26 通信装置
30 通信回線
40 電子街区地図提供者の情報処理装置
41 登記情報を保有する公的な機関の情報処理装置