(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-26
(45)【発行日】2022-11-04
(54)【発明の名称】信号発生装置とその減衰量補正方法
(51)【国際特許分類】
H04B 17/11 20150101AFI20221027BHJP
H04B 17/29 20150101ALI20221027BHJP
G01R 31/28 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
H04B17/11
H04B17/29
G01R31/28 Q
(21)【出願番号】P 2021005273
(22)【出願日】2021-01-15
【審査請求日】2021-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】弁理士法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】富崎 巧一郎
【審査官】浦口 幸宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-043084(JP,A)
【文献】特開平11-262055(JP,A)
【文献】特開2013-143691(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 17/11
H04B 17/29
G01R 31/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験用信号を生成する信号生成部(10)と、
前記信号生成部によって生成された信号を減衰させる可変減衰器(11)と、前記可変減衰器で減衰された信号のレベルを検出して対応する電圧を出力するレベル検出部(12)と、を備える信号発生装置であって、
前記信号のレベルの変化量に対する出力する電圧の変化量である前記レベル検出部の特性の傾きを記憶しており、
前記信号生成部により所定のレベルの信号を生成させ、前記レベル検出部の前記出力する電圧が、調整の目標となる信号のレベルに対応する所定の電圧でない場合に、
前記レベル検出部の出力する電圧と
前記所定の電圧との差と、前記レベル検出部の特性の傾きとにより、前記レベル検出部の出力する電圧を前記所定の電圧とする前記可変減衰器の補正減衰量を求める制御部(16)と、を備える信号発生装置。
【請求項2】
前記制御部は、生成する信号の周波数毎に前記レベル検出部の特性の傾きを記憶している請求項1に記載の信号発生装置。
【請求項3】
試験用信号を生成する信号生成部(10)と、前記信号生成部によって生成された信号を減衰させる可変減衰器(11)と、前記可変減衰器で減衰された信号のレベルを検出して対応する電圧を出力するレベル検出部(12)と、
前記信号のレベルの変化量に対する出力する電圧の変化量である前記レベル検出部の特性の傾きを記憶している制御部(16)と、を備える信号発生装置の減衰量補正方法であって、
前記信号生成部により所定レベルの信号を生成させるステップと、
減衰された前記所定レベルの信号についての前記レベル検出部の前記出力する電圧が、調整の目標となる信号のレベルに対応する所定の電圧でない場合に、前記レベル検出部の出力する電圧と
前記所定の電圧との差と、前記レベル検出部の特性の傾きとにより、前記レベル検出部の出力する電圧を前記所定の電圧とする前記可変減衰器の補正減衰量を求めるステップと、
求めた補正減衰量により前記可変減衰器の減衰量を補正するステップと、を備える減衰量補正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所望の周波数帯の変調波を生成する信号発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
所望の周波数帯の変調波を生成する信号発生装置として、例えば、任意信号発生器で生成された中間周波数信号をミキサなどで周波数変換し、所望の周波数帯の変調波を生成する信号発生装置が知られている。
【0003】
このような信号発生装置は、例えば、移動体通信端末の試験を行なう移動端末試験装置などに組み込まれ、試験用の信号を生成して、出力するようになっている。
【0004】
特許文献1には、送信スロット数と減衰量設定値と端子電圧制御値の関係を格納する記憶装置と、送信スロット数に基づいて選定された減衰量設定値に基づいて減衰量を制御する減衰器と、送信スロット数に基づいて選定された端子電圧制御値に基づいて送信信号の送信電力を制御する増幅器とを備え、増幅器の周辺の温度を用いて減衰量設定値と端子電圧制御値を重み付けすることが記載されている。
【0005】
このように、減衰器や増幅器などの半導体部品を用いている機器では、温度によってその特性が変化するものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような、温度によりその特性が変化するような機器では、特性の変化を調整するために信号のレベルを検出する検波器などを搭載している。このような用途の検波器では、信号のレベルに対応した電圧を出力する検波器があり、目標とする信号レベルに対応する電圧は分かっているが、その電圧に一致しなかった場合、信号レベルの調整量が分からないため、調整に時間を要していた。
【0008】
そこで、本発明は、信号レベルの値を出力することができないレベル検出部を備えていても、短時間で出力信号を補正することができる信号発生装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の信号発生装置は、試験用信号を生成する信号生成部と、前記信号生成部によって生成された信号を減衰させる可変減衰器と、前記可変減衰器で減衰された信号のレベルを検出して対応する電圧を出力するレベル検出部と、を備える信号発生装置であって、前記信号のレベルの変化量に対する出力する電圧の変化量である前記レベル検出部の特性の傾きを記憶しており、前記信号生成部により所定のレベルの信号を生成させ、前記レベル検出部の前記出力する電圧が、調整の目標となる信号のレベルに対応する所定の電圧でない場合に、前記レベル検出部の出力する電圧と前記所定の電圧との差と、前記レベル検出部の特性の傾きとにより、前記レベル検出部の出力する電圧を前記所定の電圧とする前記可変減衰器の補正減衰量を求める制御部と、を備えるものである。
【0010】
この構成により、信号生成部により所定のレベルの信号を生成させ、レベル検出部の出力する電圧が、調整の目標となる信号のレベルに対応する所定の電圧でない場合に、レベル検出部の出力する電圧と所定の電圧との差と、レベル検出部の特性の傾きとから可変減衰器の補正減衰量が求められる。このため、信号レベルの値を出力することができないレベル検出部を備えていても、短時間で出力信号を補正することができる。
【0011】
また、本発明の信号発生装置において、前記制御部は、生成する信号の周波数毎に前記レベル検出部の特性の傾きを記憶しているものである。
【0012】
この構成により、生成する信号の周波数毎にレベル検出部の特性の傾きが変えられて、可変減衰器の補正減衰量が求められる。このため、精度良く可変減衰器の補正減衰量が求められ、短時間で出力信号を補正することができる。
【0013】
また、本発明の減衰量補正方法は、試験用信号を生成する信号生成部と、前記信号生成部によって生成された信号を減衰させる可変減衰器と、前記可変減衰器で減衰された信号のレベルを検出して対応する電圧を出力するレベル検出部と、前記信号のレベルの変化量に対する出力する電圧の変化量である前記レベル検出部の特性の傾きを記憶している制御部と、を備える信号発生装置の減衰量補正方法であって、前記信号生成部により所定レベルの信号を生成させるステップと、減衰された前記所定レベルの信号についての前記レベル検出部の前記出力する電圧が、調整の目標となる信号のレベルに対応する所定の電圧でない場合に、前記レベル検出部の出力する電圧と前記所定の電圧との差と、前記レベル検出部の特性の傾きとにより、前記レベル検出部の出力する電圧を前記所定の電圧とする前記可変減衰器の補正減衰量を求めるステップと、求めた補正減衰量により前記可変減衰器の減衰量を補正するステップと、を備えるものである。
【0014】
この構成により、信号生成部により所定のレベルの信号を生成させ、レベル検出部の出力する電圧が、調整の目標となる信号のレベルに対応する所定の電圧でない場合に、レベル検出部の出力する電圧と所定の電圧との差と、レベル検出部の特性の傾きとから可変減衰器の補正減衰量が求められる。このため、信号レベルの値を出力することができないレベル検出部を備えていても、短時間で出力信号を補正することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、信号レベルの値を出力することができないレベル検出部を備えていても、短時間で出力信号を補正することができる信号発生装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る信号発生装置のブロック図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態に係る信号発生装置の減衰量補正処理の手順を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る信号発生装置について詳細に説明する。
【0018】
図1において、本発明の一実施形態に係る信号発生装置1は、試験用信号を生成する信号生成部10と、信号生成部10によって生成された試験用信号を減衰させる可変減衰器11と、可変減衰器11によって減衰された試験用信号のレベルを検出するレベル検出部12と、可変減衰器11によって減衰された試験用信号を出力する出力ポート13と、可変減衰器11の周辺の温度を検出する温度検出部14と、ユーザの操作を受け付けたりユーザに情報を提供したりするユーザインターフェース部15と、装置各部を制御して信号発生装置1としての処理を実行させる制御部16とを含んで構成される。
【0019】
信号生成部10は、制御部16によって設定された強度及び周波数の試験用信号を生成するシグナルジェネレータによって構成される。可変減衰器11は、例えば、電圧制御タイプの可変減衰器によって構成される。可変減衰器11は、デジタル制御タイプの可変減衰器でもよい。
【0020】
レベル検出部12は、可変減衰器11によって減衰された試験用信号のレベルを検出し、制御部16に出力する。レベル検出部12は、例えば、検出したレベルに対応する電圧値を制御部16に出力する。温度検出部14は、可変減衰器11の周辺の温度を検出し、制御部16に出力する。
【0021】
ユーザインターフェース部15は、ユーザからの操作入力を受け付ける入力部と、生成する試験用信号のパラメータの設定画面や各種メッセージなどを表示する表示部とを備えている。入力部は、タッチパッドやキーボードやプッシュボタンやロータリーノブなどによって構成される。表示部は、液晶表示装置などによって構成される。また、入力部はリモート操作によって入力を受け付けることも可能である。
【0022】
制御部16は、図示しないCPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)と、ハードディスク装置と、入出力ポートとを備えたコンピュータユニットによって構成されている。
【0023】
このコンピュータユニットのROM及びハードディスク装置には、各種制御定数や各種マップ等とともに、当該コンピュータユニットを制御部16として機能させるためのプログラムが記憶されている。すなわち、CPUがROM及びハードディスク装置に記憶されたプログラムを実行することにより、当該コンピュータユニットは、制御部16として機能する。なお、ハードディスク装置は、フラッシュメモリによるCF(Compact Flash)カード等であっても良い。
【0024】
制御部16の入出力ポートには、信号生成部10、可変減衰器11、レベル検出部12、温度検出部14、ユーザインターフェース部15が接続され、制御部16と各部は信号の送受信をできるようになっている。
【0025】
本実施形態において、可変減衰器11は、非直線の特性を有している。また、可変減衰器11は、減衰させる信号の周波数により異なる特性を有している。
【0026】
また、可変減衰器11は、可変減衰器11の温度により特性が変化する。制御部16のハードディスク装置には、例えば、可変減衰器11の所定の温度ごとの特性が記憶されている。制御部16は、温度検出部14により検出した可変減衰器11の周辺の温度に基づき、可変減衰器11の特性を求める。
【0027】
制御部16は、求めた特性に基づき、所定の減衰量、例えば10dBになるような、可変減衰器11の制御パラメータである制御電圧を求め、その制御電圧で可変減衰器11の減衰量を設定する。
【0028】
また、レベル検出部12は、検出した信号レベルに対応した電圧値を出力する。このため、目標とする信号レベルに対応する電圧値との差は分かるが、その差がどの程度の信号レベルに相当するのかが分からず、調整に時間がかかる。
【0029】
制御部16のハードディスク装置には、レベル検出部12の特性の傾き(信号レベルの変化量に対する出力電圧値の変化量)、例えば、信号レベルが1dB変化したときの出力電圧値の変化量、が記憶されている。制御部16のハードディスク装置には、例えば、生成する信号の周波数毎に特性の傾きが記憶されている。
【0030】
制御部16は、信号生成部10により所定のレベルの信号を生成させ、レベル検出部12の出力電圧値が、調整の目標となる信号レベルに対応する所定の電圧値でない場合、可変減衰器11による減衰量を補正する。
【0031】
制御部16は、レベル検出部12の出力電圧値と所定の電圧値との差と、レベル検出部12の特性の傾きとにより、可変減衰器11の補正減衰量を求める。
【0032】
制御部16は、求めた補正減衰量により可変減衰器11の減衰量を補正する。そして、再度レベル検出部12の出力電圧値を取得し、レベル検出部12の出力電圧値が所定の電圧値となるまで処理を繰り返す。
【0033】
以上のように構成された本実施形態に係る信号発生装置による減衰量補正処理について、
図2を参照して説明する。なお、以下に説明する減衰量補正処理は、ユーザインターフェース部15への操作により出力レベル補正機能が選択されると実行される。
【0034】
ステップS1において、制御部16は、可変減衰器11の制御電圧を所定電圧とし、信号生成部10により所定のレベルの信号を生成させる。ステップS1の処理を実行した後、制御部16は、ステップS2の処理を実行する。
【0035】
ステップS2において、制御部16は、レベル検出部12の出力電圧を取得する。ステップS2の処理を実行した後、制御部16は、ステップS3の処理を実行する。
【0036】
ステップS3において、制御部16は、レベル検出部12から取得した電圧が所定の電圧と等しいか否かを判定する。
【0037】
レベル検出部12から取得した電圧が所定の電圧と等しいと判定した場合には、制御部16は、減衰量補正処理を終了する。レベル検出部12から取得した電圧が所定の電圧と等しくないと判定した場合には、制御部16は、ステップS4の処理を実行する。
【0038】
ステップS4において、制御部16は、レベル検出部12から取得した電圧と所定の電圧との差と、レベル検出部12の特性の傾きとにより、可変減衰器11の補正減衰量を求める。ステップS4の処理を実行した後、制御部16は、ステップS5の処理を実行する。
【0039】
ステップS5において、制御部16は、可変減衰器11の減衰量を、求めた補正減衰量により補正する。ステップS5の処理を実行した後、制御部16は、ステップS2の処理を実行する。
【0040】
このように、上述の実施形態では、制御部16は、レベル検出部12の特性の傾きを記憶しておき、レベル検出部12から取得した電圧と所定の電圧との差と、レベル検出部12の特性の傾きとにより、可変減衰器11の補正減衰量を求める。
【0041】
これにより、レベル検出部12から取得した電圧と所定の電圧との差から可変減衰器11の補正減衰量が求められる。このため、信号レベルの値を出力することができないレベル検出部を備えていても、短時間で出力信号を補正することができる。
【0042】
また、制御部16は、生成する信号の周波数毎にレベル検出部12の特性の傾きを記憶する。
【0043】
これにより、生成する信号の周波数毎にレベル検出部12の特性の傾きが変えられて、可変減衰器11の補正減衰量が求められる。このため、精度良く可変減衰器11の補正減衰量が求められ、短時間で出力信号を補正することができる。
【0044】
なお、本実施形態においては、一つの出力ポート13を備える場合を示したが、出力ポート13を複数備え、それぞれの出力ポート13に可変減衰器11及びレベル検出部12を備える構成であっても、同様に実施することができ、時間短縮の効果が高まる。
【0045】
このような場合には、複数のレベル検出部12それぞれの特性の傾きを記憶すると、複数のレベル検出部12の個体差を吸収して、精度良く可変減衰器11の補正減衰量が求められ、短時間で出力信号を補正することができる。
【0046】
本発明の実施形態を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正及び等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0047】
1 信号発生装置
10 信号生成部
11 可変減衰器
12 レベル検出部
14 温度検出部
16 制御部