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特許7165789情報生成装置、情報生成方法及び情報生成プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-26
(45)【発行日】2022-11-04
(54)【発明の名称】情報生成装置、情報生成方法及び情報生成プログラム
(51)【国際特許分類】
   F03D 7/04 20060101AFI20221027BHJP
   F03D 15/00 20160101ALI20221027BHJP
【FI】
F03D7/04 K
F03D15/00
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021120897
(22)【出願日】2021-07-21
【審査請求日】2021-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(72)【発明者】
【氏名】大迫 春奈
【審査官】高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-102936(JP,A)
【文献】特開2013-238281(JP,A)
【文献】特開2011-208635(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0093636(US,A1)
【文献】特開2011-145293(JP,A)
【文献】特開2013-007600(JP,A)
【文献】特開2017-156265(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D 7/04
F03D 15/00
G01L 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
風車の旋回部の回転を所定のブレーキ力で制動させた状態で、リングギアと噛み合うピニオンギアを回転駆動するモータを回転駆動することで、前記モータを被固定部に固定する締結部に歪を生じさせる制御部と、
前記締結部に生じた歪量を取得する歪量取得部と、
前記モータの駆動トルクと前記駆動トルクで前記モータを回転駆動させた際の前記歪量との対応関係を示す相関情報を生成する情報生成部と
を備える情報生成装置。
【請求項2】
前記制御部は前記リングギアと前記ピニオンギアとの相対回転を制動する制動部を制御して前記旋回部を制動させる、
請求項1に記載の情報生成装置。
【請求項3】
前記モータは前記モータの回転軸を制動する軸制動部を備え、
前記制御部は前記軸制動部を制御して前記旋回部を制動させる、
請求項1又は請求項2に記載の情報生成装置。
【請求項4】
前記所定のブレーキ力の上限は前記回転駆動させるモータが回転駆動させる前記ピニオンギアの剛性と前記旋回部の剛性と前記モータの減速部の剛性とのうちの最も弱い剛性の許容トルクよりも小さい値である、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の情報生成装置。
【請求項5】
風車の旋回部の回転を第1モータのブレーキ力で制動させた状態で、リングギアと噛み合うピニオンギアを回転駆動する第2モータを回転駆動することで、前記第1モータを被固定部に固定する締結部に歪を生じさせる制御部と、
前記締結部に生じた歪量を取得する歪量取得部と、
所定の駆動トルクと前記所定の駆動トルクで前記第2モータを回転駆動させた際の前記歪量との対応関係を示す相関情報を生成する情報生成部と
を備える情報生成装置。
【請求項6】
前記所定の駆動トルクの上限は前記第2モータが回転駆動させる前記ピニオンギアの剛性と前記旋回部の剛性と前記第2モータの減速部の剛性とのうちの最も弱い剛性の許容トルクよりも小さい値である、
請求項5に記載の情報生成装置。
【請求項7】
風車の旋回部の回転を所定のブレーキ力で制動させた状態で、リングギアと噛み合うピニオンギアを回転駆動するモータを回転駆動することで、前記モータを被固定部に固定する締結部に歪を生じさせるステップと、
前記締結部に生じた歪量を取得するステップと、
前記モータの駆動トルクと前記駆動トルクで前記モータを回転駆動させた際の前記歪量との対応関係を示す相関情報を生成するステップと
を含む情報生成方法。
【請求項8】
前記所定のブレーキ力の上限は前記回転駆動させるモータが回転駆動させる前記ピニオンギアの剛性と前記旋回部の剛性と前記モータの減速部の剛性とのうちの最も弱い剛性の許容トルクよりも小さい値である、
請求項7に記載の情報生成方法。
【請求項9】
風車の旋回部の回転を第1モータのブレーキ力で制動させた状態で、リングギアと噛み合うピニオンギアを回転駆動する第2モータを回転駆動することで、前記第1モータを被固定部に固定する締結部に歪を生じさせるステップと、
前記締結部に生じた歪量を取得するステップと、
所定の駆動トルクと前記所定の駆動トルクで前記第2モータを回転駆動させた際の前記歪量との対応関係を示す相関情報を生成するステップと
を含む情報生成方法。
【請求項10】
前記所定の駆動トルクの上限は前記第2モータが回転駆動させる前記ピニオンギアの剛性と前記旋回部の剛性と前記第2モータの減速部の剛性とのうちの最も弱い剛性の許容トルクよりも小さい値である、
請求項9に記載の情報生成方法。
【請求項11】
コンピュータに、
風車の旋回部の回転を所定のブレーキ力で制動させた状態で、リングギアと噛み合うピニオンギアを回転駆動するモータを回転駆動することで、前記モータを被固定部に固定する締結部に歪を生じさせる手順と、
前記締結部に生じた歪量を取得する手順と、
前記モータの駆動トルクと前記駆動トルクで前記モータを回転駆動させた際の前記歪量との対応関係を示す相関情報を生成する手順と
を実行させるための情報生成プログラム。
【請求項12】
前記所定のブレーキ力の上限は前記回転駆動させるモータが回転駆動させる前記ピニオンギアの剛性と前記旋回部の剛性と前記モータの減速部の剛性とのうちの最も弱い剛性の許容トルクよりも小さい値である、
請求項11に記載の情報生成プログラム。
【請求項13】
コンピュータに、
風車の旋回部の回転を第1モータのブレーキ力で制動させた状態で、リングギアと噛み合うピニオンギアを回転駆動する第2モータを回転駆動することで、前記第1モータを被固定部に固定する締結部に歪を生じさせる手順と、
前記締結部に生じた歪量を取得する手順と、
所定の駆動トルクと前記所定の駆動トルクで前記第2モータを回転駆動させた際の前記歪量との対応関係を示す相関情報を生成する手順と
を実行させるための情報生成プログラム。
【請求項14】
前記所定の駆動トルクの上限は前記第2モータが回転駆動させる前記ピニオンギアの剛性と前記旋回部の剛性と前記第2モータの減速部の剛性とのうちの最も弱い剛性の許容トルクよりも小さい値である、
請求項13に記載の情報生成プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報生成装置、情報生成方法及び情報生成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
風力発電装置に備えられたナセルは、1台以上のヨー駆動装置の駆動トルクを用いて、風力発電装置のタワーに対してヨー方向に回転する。ここで、ヨー駆動装置の過負荷を回避することが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-140777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ヨー駆動装置の過負荷を回避するためには、ヨー駆動装置にかかる負荷を判定する必要がある。しかしながら、ヨー駆動装置をナセルに固定する固定具(締結ボルト)に生じた歪みをヨー駆動装置にかかっている負荷の指標として使用する場合、ヨー駆動装置自体の個体差などにより任意の駆動トルクを発生させたときに固定具に生じる歪量がばらついている。初期の歪量がばらつくことによって、風力発電装置の運用中においても、ヨー駆動装置の駆動トルクと固定具に生じる歪量との対応関係がばらつく。このようなばらつきが残されたままでは、ヨー駆動装置の駆動トルクに基づいてそのヨー駆動装置への負荷を判定することはできない。このような初期の歪量のばらつきを把握するためには、キャリブレーションが必要となる。キャリブレーションには、固定具に生じた歪量とヨー駆動装置の駆動トルクとの対応関係を示す相関情報が用いられる。
【0005】
しかしながら、ヨー駆動装置の駆動及び制動のみで駆動制御されている風力発電装置(風車)では、リングギアにブレーキがかけられた状態で1台のヨー駆動装置を単純に駆動させると、その1台のヨー駆動装置に負荷がかかりすぎてヨー駆動装置の旋回動力伝達部が壊れてしまうことがある。このため、ナセルの内部に出向いた作業員がヨー駆動装置を手動で回転させて歪量を測定するという方法で個々のヨー駆動装置の駆動トルクと固定具に生じた歪量の対応関係を示す相関情報を取得する手法が採用されている。このような作業員への負担の多い手法に代わり、当該相関情報を遠隔から取得する方法が求められている。
【0006】
上記事情に鑑み、本発明は、ヨー駆動装置をナセルに固定する固定具に生じた歪量とヨー駆動装置の駆動トルクとの対応関係を示す相関情報を遠隔から生成することが可能である情報生成装置、情報生成方法及び情報生成プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、風車の旋回部の回転を所定のブレーキ力で制動させた状態で、リングギアと噛み合うピニオンギアを回転駆動するモータを回転駆動することで、前記モータを被固定部に固定する締結部に歪を生じさせる制御部と、前記締結部に生じた歪量を取得する歪量取得部と、前記モータの駆動トルクと前記駆動トルクで前記モータを回転駆動させた際の前記歪量との対応関係を示す相関情報を生成する情報生成部とを備える情報生成装置である。
【0008】
上記の情報生成装置は、ヨー駆動装置をナセル(被固定部)に固定する固定具に生じた歪量とヨー駆動装置の駆動トルクとの対応関係を示す相関情報を遠隔から生成することが可能である。
【0009】
本発明の一態様では、前記制御部は前記リングギアと前記ピニオンギアとの相対回転を制動する制動部を制御して前記旋回部を制動させる。
【0010】
本発明の一態様では、前記モータは前記モータの回転軸を制動する軸制動部を備え、前記制御部は前記軸制動部を制御して前記旋回部を制動させる。
【0011】
本発明の一態様は、前記所定のブレーキ力の上限は前記回転駆動させるモータが回転駆動させる前記ピニオンギアの剛性と前記旋回部の剛性と前記モータの減速部の剛性とのうちの最も弱い剛性の許容トルクよりも小さい値である。
【0012】
本発明の一態様は、風車の旋回部の回転を第1モータのブレーキ力で制動させた状態で、リングギアと噛み合うピニオンギアを回転駆動する第2モータを回転駆動することで、前記第1モータを被固定部に固定する締結部に歪を生じさせる制御部と、前記締結部に生じた歪量を取得する歪量取得部と、所定の駆動トルクと前記所定の駆動トルクで前記第2モータを回転駆動させた際の前記歪量との対応関係を示す相関情報を生成する情報生成部とを備える情報生成装置である。
【0013】
本発明の一態様は、前記所定の駆動トルクの上限は前記第2モータが回転駆動させる前記ピニオンギアの剛性と前記旋回部の剛性と前記第2モータの減速部の剛性とのうちの最も弱い剛性の許容トルクよりも小さい値である。
【0014】
本発明の一態様は、風車の旋回部の回転を所定のブレーキ力で制動させた状態で、リングギアと噛み合うピニオンギアを回転駆動するモータを回転駆動することで、前記モータを被固定部に固定する締結部に歪を生じさせるステップと、前記締結部に生じた歪量を取得するステップと、前記モータの駆動トルクと前記駆動トルクで前記モータを回転駆動させた際の前記歪量との対応関係を示す相関情報を生成するステップとを含む情報生成方法である。
【0015】
本発明の一態様は、前記所定のブレーキ力の上限は前記回転駆動させるモータが回転駆動させる前記ピニオンギアの剛性と前記旋回部の剛性と前記モータの減速部の剛性とのうちの最も弱い剛性の許容トルクよりも小さい値である。
【0016】
本発明の一態様は、風車の旋回部の回転を第1モータのブレーキ力で制動させた状態で、リングギアと噛み合うピニオンギアを回転駆動する第2モータを回転駆動することで、前記第1モータを被固定部に固定する締結部に歪を生じさせるステップと、前記締結部に生じた歪量を取得するステップと、所定の駆動トルクと前記所定の駆動トルクで前記第2モータを回転駆動させた際の前記歪量との対応関係を示す相関情報を生成するステップとを含む情報生成方法。
【0017】
本発明の一態様は、前記所定の駆動トルクの上限は前記第2モータが回転駆動させる前記ピニオンギアの剛性と前記旋回部の剛性と前記第2モータの減速部の剛性とのうちの最も弱い剛性の許容トルクよりも小さい値である。
【0018】
本発明の一態様は、コンピュータに、風車の旋回部の回転を所定のブレーキ力で制動させた状態で、リングギアと噛み合うピニオンギアを回転駆動するモータを回転駆動することで、前記モータを被固定部に固定する締結部に歪を生じさせる手順と、前記締結部に生じた歪量を取得する手順と、前記モータの駆動トルクと前記駆動トルクで前記モータを回転駆動させた際の前記歪量との対応関係を示す相関情報を生成する手順とを実行させるための情報生成プログラムである。
【0019】
本発明の一態様は、前記所定のブレーキ力の上限は前記回転駆動させるモータが回転駆動させる前記ピニオンギアの剛性と前記旋回部の剛性と前記モータの減速部の剛性とのうちの最も弱い剛性の許容トルクよりも小さい値である。
【0020】
本発明の一態様は、コンピュータに、風車の旋回部の回転を第1モータのブレーキ力で制動させた状態で、リングギアと噛み合うピニオンギアを回転駆動する第2モータを回転駆動することで、前記第1モータを被固定部に固定する締結部に歪を生じさせる手順と、前記締結部に生じた歪量を取得する手順と、所定の駆動トルクと前記所定の駆動トルクで前記第2モータを回転駆動させた際の前記歪量との対応関係を示す相関情報を生成する手順とを実行させるための情報生成プログラムである。
【0021】
本発明の一態様は、前記所定の駆動トルクの上限は前記第2モータが回転駆動させる前記ピニオンギアの剛性と前記旋回部の剛性と前記第2モータの減速部の剛性とのうちの最も弱い剛性の許容トルクよりも小さい値である。
【発明の効果】
【0022】
本発明により、ヨー駆動装置をナセルに固定する固定具に生じた歪量とヨー駆動装置の駆動トルクとの対応関係を示す相関情報を遠隔から生成することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】実施形態における風力発電装置の構成例を示す図である。
図2】実施形態における情報生成システムの構成例を示す図である。
図3】第1実施形態における情報生成システムの動作例を示すフローチャートである。
図4】第2実施形態における情報生成システムの動作例を示すフローチャートである。
図5】第3実施形態における情報生成システムの動作例を示すフローチャートである。
図6】第4実施形態における情報生成システムの動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は、風力発電装置1の構成例を示す図である。風力発電装置1は、例えば、ナセル10と、タワー20と、ブレード30と、ハブ40とを備える。なお、タワー20およびナセル10は、風力発電装置1に含まれる2個の構造体の一例である。タワー20およびナセル10は、ヨー駆動装置からの力により、相対的に移動する。また、タワー20は、第1の構造体の一例である。第1の構造体は、固定的に備えられた風力発電装置1の一部である。ナセル10は、第2の構造体の一例である。第2の構造体は、ヨー駆動装置100からの駆動力により、第1の構造体に対して相対的に移動する。第2の構造体は、ヨー駆動装置100からの制動力(ブレーキ力)により、第1の構造体に対して相対的に停止する。
【0025】
ナセル10は、タワー20の上端(Z方向端部)に取り付けられる。ナセル10には、ハブ40を介して、ブレード30が取り付けられる。ナセル10は、ブレード30およびハブ40の向きをヨー方向で調整するために旋回駆動する。ナセル10をヨー方向に回転させるヨー駆動力を発生させるヨー駆動機構が、ナセル10に内蔵される。ヨー駆動装置は、駆動装置および風車用駆動装置の一例である。駆動装置および風車用駆動装置は、風向きに応じてブレード30およびハブ40の向き(風車の向き)を回転させる力を発生させる。ヨー駆動装置は、ブレード30およびハブ40の向き(風車の向き)を風向きに応じて回転させる装置である。なお、ナセル10は、駆動装置により発生した力が与えられていない構造体の一例である。タワー20は、駆動装置により発生した力が与えられている構造体の一例である。
【0026】
タワー20は、地上または海上に設置される。タワー20は、地上または海上から鉛直方向上向きに延在する形状を有する。タワー20の上端に、ナセル10が取り付けられる。タワー20には、ナセル10をヨー方向に旋回駆動させるためのリングギアが内蔵される。
【0027】
ブレード30は、風力を受けて回転力を発生させる羽根である。本実施形態においてブレード30は、3枚である。
【0028】
ハブ40は、ナセル10に取り付けられる。ハブ40には、複数のブレード30が取り付けられる。ハブ40は、ブレード30が受けた風力による回転力(動力)を、回転軸に伝達する。ハブ40は、回転軸を介して、風力を利用した回転力をナセル10に伝達する。
【0029】
各ブレード30をピッチ方向に回転させるピッチ駆動力を発生させるピッチ駆動機構が、ハブ40に内蔵される。ピッチ駆動力を発生させる駆動機構は、ブレード30ごとに設けられる。ピッチ駆動機構は、風速に応じて各ブレード30をピッチ方向に回転させることで、各ブレード30の角度を制御する。
【0030】
風力発電装置1では、ブレード30の回転による動力が、ナセル10内の発電機(不図示)にハブ40から伝達される。風力発電装置1では、発電機が動力を電力に変換する。これにより、風力発電装置1は、風力発電を行う。
【0031】
次に、情報生成システム2の構成例について説明する。
図2は、情報生成システム2の構成例を示す図である。情報生成システム2は、キャリブレーションに用いられる相関情報を生成するシステムである。情報生成システム2は、ヨー駆動装置100-1~100-Nと、情報生成装置3とを備える。情報生成装置3は、通信回線4に接続されていてもよい。通信回線4は、有線通信回線でもよいし、無線通信回線でもよい。
【0032】
ナセル10には、ヨー駆動力を発生させるヨー駆動装置100が取り付けられる。以下では、N台(「N」は、2以上の整数)のヨー駆動装置100-1~100-Nが、ナセル10に取り付けられる。以下、ヨー駆動装置を総称する場合、ヨー駆動装置100-n(「n」は、1~Nの整数)は、「ヨー駆動装置100」と表記される。タワー20の内壁には、リングギア22が形成されている。リングギア22は、ヨー駆動装置100のピニオンギア150と噛み合う。
【0033】
リングギア22とピニオンギア150とが噛み合っている状態で、ナセル10またはタワー20等に突風等の力が印加された場合、リングギア22とピニオンギア150との間に接線力が発生する。接線力とは、リングギア22のギア形成面の接線方向に生ずる力である。接線力は、ヨー駆動装置100における減速部164に捻り応力を与える。また、接線力は、ヨー駆動装置100における固定具(締結部)に引っ張り応力および圧縮応力を与える。なお、実施形態においては、タワー20にリングギア22が設けられ、ナセル10にヨー駆動装置100が固定された一例を説明したが、これに限定されず、ナセル10にリングギア22に相当するギア部が設けられ、ヨー駆動装置100に相当するヨー駆動装置がタワー20に設けられてよい。
【0034】
ヨー駆動装置100は、例えば、ケース110と、フランジ120と、締結ボルト130と、出力軸140と、ピニオンギア150とを備える。ケース110には、フランジ120が取り付けられる。フランジ120は、締結ボルト130(締結部)により、ナセル10と接続される。出力軸140の一方端は、ケース110およびフランジ120の内部に接続される。出力軸140の他方端には、ピニオンギア150が設けられる。ピニオンギア150は、リングギア22と噛み合うように配置される。ピニオンギア150は、出力軸140から出力された駆動力(駆動トルク)により回転する。これによって、ピニオンギア150は、ヨー駆動装置100を、旋回方向(装置移動方向、-X方向)に旋回させる。これにより、ヨー駆動装置100は、タワー20に対してナセル10の方向を旋回させる。締結ボルト130(締結部)は固定具の一例である。固定具は、ヨー駆動装置100をナセル10に固定する要素である。固定具は、締結ボルト130に限定されず、他の既知の部材であってよい。出力軸140およびピニオンギア150は、伝達部の一例である。伝達部は、ヨー駆動装置100からタワー20に、駆動力(駆動トルク)および制動力(制動トルク)を伝達する要素である。なお、タワー20に駆動装置が固定される場合、伝達部は、ナセル10にタワー20から力を伝達する要素である。
【0035】
ヨー駆動装置100は、制動部160と、モータ駆動部162と、減速部164とを備える。制動部160(軸制動部)は、出力軸140に対して制動力を発生させる。モータ駆動部162は、出力軸140に対して駆動力を発生させる。モータ駆動部162の駆動力によって、ヨー駆動装置100は、ナセル10と共に、リングギア22に対して回転駆動する。制動部160は、外部から供給された制御信号に応じて、電磁作用により制動力を発生させる。制動部160は、制動力を生じさせる電磁ブレーキとして機能する。例えば、制動部160は、電圧が供給された状態では、制動力(電磁ブレーキ力)を発生させない。例えば、制動部160は、電圧が供給されていない状態では、制動力(電磁ブレーキ力)を発生させる。モータ駆動部162は、外部から供給された制御信号に応じて電磁作用により駆動力を発生する。減速部164は、出力軸140により発生した駆動力に応じた回転速度を低減させ、駆動トルクを上昇させる。
【0036】
さらに、ヨー駆動装置100は、歪みセンサ166を備える。歪みセンサ166は、検出回路の一例である。歪みセンサ166(第1歪量取得部)は、締結ボルト130における円柱部の歪みに基づく値(信号)を検出する。歪みセンサ166は、締結ボルト130のナット等の固定具の歪みに基づく値(信号)を検出してもよい。締結ボルト130における円柱部に生ずる歪みは、接線力に応じて変化する。
【0037】
風力発電装置1は、リングギア22に制動力を与える1台以上の油圧ブレーキ(制動部)を備える。油圧ブレーキは、例えば、キャリパーブレーキ機構である。油圧ブレーキは、油圧ブレーキ駆動部52と、摩擦体50とを備える。油圧ブレーキ駆動部52は、外部から供給された制御信号に応じて、図2中のZ方向に摩擦体50を移動させる。油圧ブレーキ駆動部52は、摩擦体50をリングギア22に押し当てることでリングギア22に制動力を印加することが可能である。これによって、油圧ブレーキ駆動部52は、リングギア22とピニオンギア150との相対回転を制動する。このようにして、情報生成装置3は、リングギア22に油圧ブレーキから印加される制動力(油圧ブレーキ力)を調整することが可能である。
【0038】
なお、第1実施形態では、油圧ブレーキは解除されている。すなわち、第1実施形態では、油圧ブレーキの制動力はリングギア22に印加されていない。
【0039】
情報生成装置3は、記憶部31と、通信部32と、制御部33と、情報生成部34とを備える。情報生成装置3の各機能部のうちの一部又は全部は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ(コンピュータ)が、記憶部31に記憶されたプログラムを実行することにより実現される。記憶部31は、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)などの不揮発性の記録媒体(非一時的な記録媒体)が好ましい。記憶部は、RAM(Random Access Memory)などの揮発性の記録媒体を備えてもよい。情報生成装置3の各機能部のうちの一部又は全部は、例えば、LSI(Large Scale Integrated circuit)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。
【0040】
記憶部31は、相関情報を記憶する。相関情報は、ヨー駆動装置100-nをナセル10に固定する締結ボルト130-n(固定具)に生じた歪量とヨー駆動装置100-nの駆動トルク又は制動トルクとの対応関係を示す情報である。相関情報の形式は、特定の形式に限定されないが、例えばデータテーブルの形式である。
【0041】
通信部32は、各ヨー駆動装置100との通信を実行する。例えば、通信部32は、モータ駆動部162-nに供給された電流の値を、ヨー駆動装置100-nの電流センサから取得する。通信部32は、通信回線4を介して、外部装置(不図示)との通信を実行してもよい。
【0042】
通信部32(第2歪量取得部)は、歪みセンサ166との通信を実行する。ここで、通信部32は、ヨー駆動装置100-nをナセル10に締結する締結ボルト130-nに生じた歪量を、歪みセンサ166-nから取得する。
【0043】
制御部33は、通信部32を介して、各ヨー駆動装置100の動作を制御する。制御部33は、通信部32を介して、油圧ブレーキ駆動部52を制御する。モータ駆動部162が回転駆動することによって、リングギア22と噛み合うピニオンギア150が回転駆動する。制御部33は、風力発電装置1(風車)のナセル10又はリングギア22等の旋回部の回転を所定のブレーキ力で制動させた状態で、モータ駆動部162を回転駆動する。第1実施形態では、この所定のブレーキ力は、制動部160-n(軸制動部)の電磁ブレーキ力である。所定のブレーキ力又は駆動トルクの上限は、リングギア22(旋回ギア)の剛性とピニオンギア150の剛性と減速部164又は油圧ブレーキ駆動部52の剛性とのうちの最も弱い剛性の許容トルクよりも小さい値である。例えばピニオンギア150の剛性が最も弱い場合、所定のブレーキ力(電磁ブレーキ力)の上限は、モータ駆動部162が回転駆動させるピニオンギア150の許容トルクよりも小さい値である。制御部33は、ヨー駆動装置100の許容トルクに基づいて、ヨー駆動装置100が破損しないようにブレーキ力を決定する。以下では、許容トルクは、モータ駆動部162に接続されている減速部164のスペックに基づいて定まる。
【0044】
制御部33は、通信部32を介して、ヨー駆動装置100のモータ駆動部162の駆動トルクを取得する。例えば、制御部33は、モータ駆動部162に供給された電流の値に基づいて、モータ駆動部162の駆動トルクを算出する。
【0045】
情報生成部34は、ヨー駆動装置100-nのモータ駆動部162-nの駆動トルクと締結ボルト130-nに生じた歪量との対応関係を示す相関情報を生成する。情報生成部34は、相関情報を記憶部31に記録してもよい。
【0046】
次に、情報生成システム2の動作例を説明する。
図3は、情報生成システム2の動作例を示すフローチャートである。制御部33は、油圧ブレーキ駆動部52(油圧ブレーキ)について、リングギア22の回転を制動する油圧ブレーキ力(摩擦ブレーキ力)を解除する(ステップS101)。制御部33は、ヨー駆動装置100-2~100-N(1台以上の第2ヨー駆動装置)を用いて、ピニオンギア150-2~150-Nの回転を電磁ブレーキ力で制動する。制御部33は、ブレーキ力が許容トルクを超えないように、例えば、そのブレーキ力を発生させるヨー駆動装置100の台数を決定する。これによって、リングギア22の回転が電磁ブレーキ力で制動された状態となる(ステップS102)。制御部33は、ヨー駆動装置100-1(第1ヨー駆動装置)のモータ駆動部162-1を回転駆動する(ステップS103)。
【0047】
通信部32(第2歪量取得部)は、ヨー駆動装置100-1をナセル10に締結する締結ボルト130-1に生じた歪量を、歪みセンサ166-1から取得する(ステップS104)。制御部33は、通信部32を介して、ヨー駆動装置100-1のモータ駆動部162-1の駆動トルクを取得する(ステップS105)。情報生成部34は、ヨー駆動装置100-1のモータ駆動部162-1の駆動トルクと歪量との対応関係を示す相関情報を生成する(ステップS106)。情報生成部34は、相関情報を記憶部31に記録してもよい。通信部32は、相関情報を通信回線4に送信してもよい。
【0048】
以上のように、制御部33は、風力発電装置1(風車)のナセル10又はリングギア22等の旋回部の回転を所定のブレーキ力(電磁ブレーキ力)で制動させた状態で、ヨー駆動装置100-1のモータ駆動部162-1を回転駆動する。これによって、制御部33は、ヨー駆動装置100-1をナセル10(被固定部)に固定する締結ボルト130-1(締結部)に、歪を生じさせる。歪みセンサ166-1(第1歪量取得部)及び通信部32(第2歪量取得部)は、締結ボルト130-1に生じた歪量を取得する。情報生成部34は、ヨー駆動装置100-1のモータ駆動部162-1の駆動トルクとその駆動トルクでヨー駆動装置100-1を回転駆動させた際の歪量との対応関係を示す相関情報を生成する。
【0049】
これによって、ヨー駆動装置100をナセル10に固定する固定具(締結部)に生じた歪量とヨー駆動装置100の駆動トルクとの対応関係を示す相関情報を遠隔から生成することが可能である。また、出力軸140のトルクが瞬時に大きくなることを防ぐことができるので、ヨー駆動装置100及びリングギア22が破損することを防ぐことが可能である。
【0050】
(第2実施形態)
第2実施形態では、油圧ブレーキ力の少なくとも一部(1台以上の油圧ブレーキのうちから所定条件に基づいて選択された1台以上の油圧ブレーキの制動力)がリングギア22に対して摩擦体50から印加される点が、第1実施形態との差分である。第2実施形態では、第1実施形態との差分を中心に説明する。
【0051】
制御部33は、リングギア22の回転を所定のブレーキ力で制動させた状態で、リングギア22と噛み合うピニオンギア150を回転駆動するモータ駆動部162を回転駆動する。第2実施形態では、この所定のブレーキ力は、油圧ブレーキ駆動部52の油圧ブレーキ力(摩擦ブレーキ力)である。所定のブレーキ力又は駆動トルクの上限は、リングギア22(旋回ギア)の剛性とピニオンギア150の剛性と減速部164又は油圧ブレーキ駆動部52の剛性とのうちの最も弱い剛性の許容トルクよりも小さい値である。例えばピニオンギア150の剛性が最も弱い場合、所定のブレーキ力(摩擦ブレーキ力)の上限は、モータ駆動部162が回転駆動させるピニオンギア150の許容トルクよりも小さい値である。制御部33は、ヨー駆動装置100の許容トルクに基づいて、ヨー駆動装置100が破損しないようにブレーキ力を決定する。
【0052】
図4は、情報生成システム2の動作例を示すフローチャートである。制御部33は、1台以上の油圧ブレーキ駆動部52のうちから、1台以上の油圧ブレーキ駆動部52を選択する。制御部33は、選択された油圧ブレーキ駆動部52を用いて、リングギア22の回転を制動する。すなわち、制御部33は、油圧ブレーキ力の少なくとも一部で、リングギア22の回転を制動する(ステップS201)。制御部33は、ヨー駆動装置100-2~100-Nについて、ピニオンギア150を介してリングギア22の回転を制動する制動部160-2~160-Nの電磁ブレーキ力(制動トルク)を解除する(ステップS202)。
【0053】
制御部33は、ヨー駆動装置100-1のモータ駆動部162-1を回転駆動する(ステップS203)。通信部32は、ヨー駆動装置100-1をナセル10に締結する締結ボルト130-1に生じた歪量を、歪みセンサ166-1から取得する(ステップS204)。
【0054】
制御部33は、通信部32を介して、ヨー駆動装置100-1のモータ駆動部162-1の駆動トルクを取得する(ステップS205)。情報生成部34は、ヨー駆動装置100-1のモータ駆動部162-1の駆動トルクと歪量との対応関係を示す相関情報を生成する(ステップS206)。情報生成部34は、相関情報を記憶部31に記録してもよい。通信部32は、相関情報を通信回線4に送信してもよい。
【0055】
以上のように、制御部33は、リングギア22とピニオンギア150との相対回転を制動する油圧ブレーキ駆動部52(制動部)を、1台以上の油圧ブレーキ駆動部52のうちから選択する。制御部33は、選択された油圧ブレーキ駆動部52を制御する。情報生成部34は、ヨー駆動装置100-1のモータ駆動部162-1の駆動トルクと歪量との対応関係を示す相関情報を生成する。
【0056】
これによって、ヨー駆動装置100をナセル10に固定する締結ボルト130に生じた歪量とヨー駆動装置100の駆動トルクとの対応関係を示す相関情報を遠隔から生成することが可能である。
【0057】
(第3実施形態)
第3実施形態では、ヨー駆動装置100-1~100-Nがピニオンギア150-1~150-Nを回転駆動する点が、第2実施形態との差分である。第3実施形態では、第2実施形態との差分を中心に説明する。
【0058】
図5は、情報生成システム2の動作例を示すフローチャートである。制御部33は、油圧ブレーキ駆動部52を用いて、リングギア22の回転を油圧ブレーキ力で制動する(ステップS301)。制御部33は、ヨー駆動装置100-1~100-Nのモータ駆動部162-1~162-Nを回転駆動する。油圧ブレーキ力又は駆動トルクの上限は、モータ駆動部162-1~162-Nが駆動する各ピニオンギア150の剛性とリングギア22(旋回ギア)の剛性と減速部164又は油圧ブレーキ駆動部52の剛性とのうちの最も弱い剛性の許容トルクよりも小さい値である。例えばピニオンギア150の剛性が最も弱い場合、油圧ブレーキ力の上限は、モータ駆動部162-1~162-Nが回転駆動させる各ピニオンギア150の許容トルクよりも小さい値である(ステップS302)。通信部32は、ヨー駆動装置100-1~100-Nについて、ナセル10に締結する締結ボルト130-1~130-Nに生じた歪量を、ヨー駆動装置100-nごとに歪みセンサ166-nから取得する(ステップS303)。
【0059】
制御部33は、通信部32を介して、ヨー駆動装置100-1~100-Nについて、駆動トルクをヨー駆動装置100ごとに取得する(ステップS304)。情報生成部34は、ヨー駆動装置100-1~100-Nについて、駆動トルクと歪量との対応関係を示す相関情報を、ヨー駆動装置100ごとに生成する(ステップS305)。情報生成部34は、相関情報を記憶部31に記録してもよい。通信部32は、相関情報を通信回線4に送信してもよい。
【0060】
以上のように、制御部33は、油圧ブレーキ駆動部52(制動部)を制御する。制御部33は、ヨー駆動装置100-1~100-Nのモータ駆動部162-1~162-Nを回転駆動する。情報生成部34は、ヨー駆動装置100-1~100-Nについて、駆動トルクと歪量との対応関係を示す相関情報をヨー駆動装置100ごとに生成する。
【0061】
これによって、ヨー駆動装置100をナセル10に固定する締結ボルト130に生じた歪量とヨー駆動装置100の駆動トルクとの対応関係を示す相関情報を、全てのヨー駆動装置100を対象として一度に生成することが可能である。
【0062】
(第4実施形態)
第4実施形態では、制動部160-1の電磁ブレーキ力(制動力)で、ピニオンギア150-1を介してリングギア22の回転が制動され、制動部160-1の電磁ブレーキ力と締結ボルト130-1の歪量との対応関係を示す相関情報が生成される点が、第1実施形態との差分である。第4実施形態では、第1実施形態との差分を中心に説明する。
【0063】
通信部32は、各ヨー駆動装置100との通信を実行する。例えば、通信部32は、制動部160-nに供給された電流の値を、ヨー駆動装置100-nの電流センサから取得する。
【0064】
制御部33は、制動部160を制御する。制御部33は、制動部160-nに供給された電流の値に基づいて、制動部160-nの駆動トルクを算出する。情報生成部34は、ヨー駆動装置100-nの制動部160-nの駆動トルクと締結ボルト130-nに生じた歪量との対応関係を示す相関情報を生成する。
【0065】
図6は、情報生成システム2の動作例を示すフローチャートである。制御部33は、油圧ブレーキ駆動部52について、リングギア22の回転を制動する油圧ブレーキ力を解除する(ステップS401)。制御部33は、ヨー駆動装置100-1を用いて、ピニオンギア150-1の回転を電磁ブレーキ力で制動する(ステップS402)。制御部33は、ヨー駆動装置100-2~100-Nのモータ駆動部162-2~162-Nを回転駆動する(ステップS403)。
【0066】
通信部32は、ヨー駆動装置100-1をナセル10に締結する締結ボルト130-1に生じた歪量を、歪みセンサ166-1から取得する(ステップS404)。制御部33は、通信部32を介して、ヨー駆動装置100-1の制動部160-1の駆動トルクを、モータ駆動部162-1の駆動トルクの代わりとして取得する(ステップS405)。情報生成部34は、ヨー駆動装置100-1の制動部160-1の駆動トルクと歪量との対応関係を示す相関情報を生成する(ステップS406)。情報生成部34は、相関情報を記憶部31に記録してもよい。通信部32は、相関情報を通信回線4に送信してもよい。
【0067】
以上のように、制御部33は、ヨー駆動装置100-1を用いて、ピニオンギア150-1の回転を電磁ブレーキ力で制動する。制御部33は、ヨー駆動装置100-2~100-Nのモータ駆動部162-2~162-Nを回転駆動する。情報生成部34は、ヨー駆動装置100-1の制動部160-1の駆動トルクと歪量との対応関係を示す相関情報を生成する。
【0068】
これによって、ヨー駆動装置100をナセル10に固定する締結ボルト130に生じた歪量とヨー駆動装置100の駆動トルクとの対応関係を示す相関情報を遠隔から生成することが可能である。
【0069】
本明細書で開示した実施形態のうち、複数の物体で構成されているものは、当該複数の物体を一体化してもよく、逆に一つの物体で構成されているものを複数の物体に分けることができる。一体化されているか否かにかかわらず、発明の目的を達成できるように構成されていればよい。
【0070】
本明細書で開示した実施形態のうち、複数の機能が分散して設けられているものは、当該複数の機能の一部又は全部を集約して設けても良く、逆に複数の機能が集約して設けられているものを、当該複数の機能の一部又は全部が分散するように設けることができる。機能が集約されているか分散されているかにかかわらず、発明の目的を達成できるように構成されていればよい。
【0071】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0072】
1…風力発電装置、2…情報生成システム、3…情報生成装置、4…通信回線、10…ナセル、20…タワー、22…リングギア、30…ブレード、31…記憶部、32…通信部、33…制御部、34…情報生成部、40…ハブ、50…摩擦体、52…油圧ブレーキ駆動部、100…ヨー駆動装置、110…ケース、120…フランジ、130…締結ボルト、140…出力軸、150…ピニオンギア、160…制動部、162…モータ駆動部、164…減速部、166…歪みセンサ
【要約】
【課題】ヨー駆動装置をナセルに固定する固定具に生じた歪量とヨー駆動装置の駆動トルクとの対応関係を示す相関情報を遠隔から生成することが可能である情報生成装置、情報生成方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】情報生成装置は、風車の旋回部の回転を所定のブレーキ力で制動させた状態で、リングギアと噛み合うピニオンギアを回転駆動するモータを回転駆動することで、モータを被固定部に固定する締結部に歪を生じさせる制御部と、締結部に生じた歪量を取得する歪量取得部と、モータの駆動トルクと駆動トルクでモータを回転駆動させた際の歪量との対応関係を示す相関情報を生成する情報生成部とを備える。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6