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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-26
(45)【発行日】2022-11-04
(54)【発明の名称】ソフトウェア管理装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 8/71 20180101AFI20221027BHJP
   G06F 8/65 20180101ALI20221027BHJP
   A01B 69/00 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
G06F8/71
G06F8/65
A01B69/00 B
A01B69/00 301
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021165337
(22)【出願日】2021-10-07
(62)【分割の表示】P 2020086961の分割
【原出願日】2018-03-27
(65)【公開番号】P2022008940
(43)【公開日】2022-01-14
【審査請求日】2021-10-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000006781
【氏名又は名称】ヤンマーパワーテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(74)【代理人】
【識別番号】100167830
【弁理士】
【氏名又は名称】仲石 晴樹
(72)【発明者】
【氏名】村田 想介
【審査官】多賀 実
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-095661(JP,A)
【文献】特開2003-022188(JP,A)
【文献】特開2004-117314(JP,A)
【文献】特開2001-175461(JP,A)
【文献】特開2015-082193(JP,A)
【文献】特開2014-041456(JP,A)
【文献】特開2014-069598(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 8/60- 8/77
A01B 69/00-69/08
G05D 1/00- 1/12
H04Q 9/00- 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場内で作業しながら自動走行可能な作業車両に搭載されたコントローラに実装されている車両側ソフトウェアの車両側バージョン情報、および前記作業車両と通信して前記作業車両を操作可能な無線通信端末に実装されている端末側ソフトウェアの端末側バージョン情報を管理するソフトウェア管理装置であって、
前記コントローラに実装されている前記車両側ソフトウェアと、前記無線通信端末に実装されている前記端末側ソフトウェアとが整合しているか否かを判定する整合性判定部と、
前記整合性判定部による判定結果を提示する情報提示部と、を備える、ソフトウェア管理装置。
【請求項2】
前記車両側ソフトウェアと前記端末側ソフトウェアとが整合している状態は、前記作業車両を正常に自動走行させることができるように両者が親和性を有する状態を含む、
請求項1に記載のソフトウェア管理装置。
【請求項3】
前記情報提示部は、前記車両側バージョン情報と前記端末側バージョン情報とを、前記整合性判定部による判定結果に含めて提示する、
請求項1又は2に記載のソフトウェア管理装置。
【請求項4】
前記情報提示部は、前記車両側ソフトウェアと前記端末側ソフトウェアとが整合しない場合に、前記車両側ソフトウェアと前記端末側ソフトウェアとの少なくとも一方の更新を促す情報を提示する、
請求項1~3のいずれか一項に記載のソフトウェア管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソフトウェア管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、圃場内でトラクタ等の作業車両を自動走行させる自動走行システムが開示されている。作業車両は、遠隔操作装置によって遠隔操作される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2015/119263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような自動走行システムでは、遠隔操作装置には、作業車両を自動走行させるための端末側ソフトウェアが実装されており、作業車両に備えられたコントローラ(たとえば、エンジンコントローラ、操向コントローラ、車速コントローラ等)には、作業車両を制御するための車両側ソフトウェアが実装されている。不具合箇所の修正等のために、端末側ソフトウェアおよび車両側ソフトウェアの更新が必要な場合がある。
【0005】
遠隔操作装置に実装されている端末側ソフトウェア、および作業車両のコントローラに実装されている車両側ソフトウェアの更新は、それぞれ個別に行われるため、これらのうちいずれか一方のみが更新され、他方が更新されていない場合がある。このような場合には、遠隔操作装置に実装されている端末側ソフトウェアと作業車両のコントローラに実装されている車両側ソフトウェアと整合しなくなり、作業車両を正常に操作できなくなるおそれがある。
【0006】
そこで、この発明の主たる目的は、無線通信端末に実装されている端末側ソフトウェアと作業車両のコントローラに実装されている車両側ソフトウェアとを適切に管理できるソフトウェア管理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の一態様に係るソフトウェア管理装置は、圃場内で作業しながら自動走行可能な作業車両に搭載されたコントローラに実装されている車両側ソフトウェアの車両側バージョン情報、および前記作業車両と通信して前記作業車両を操作可能な無線通信端末に実装されている端末側ソフトウェアの端末側バージョン情報を管理するソフトウェア管理装置であって、整合性判定部と、情報提示部と、を備える。前記整合性判定部は、前記コントローラに実装されている前記車両側ソフトウェアと、前記無線通信端末に実装されている前記端末側ソフトウェアとが整合しているか否かを判定する。前記情報提示部は、前記整合性判定部による判定結果を提示する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るソフトウェア管理装置が備えられたソフトウェア管理システムの構成を示す模式図である。
図2図2は、前記ソフトウェア管理システムの電気的構成を示すブロック図である。
図3図3は、ウェブサイトの閲覧時に表示される画像を示す模式図である。
図4図4は、図3に示す車両側ソフトウェアの各バージョンと、図3に示す端末側ソフトウェアの各バージョンとの間の整合性の有無の一覧を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下では、この発明の実施の形態を添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るソフトウェア管理装置5が備えられたソフトウェア管理システム1の構成を示す模式図である。図2は、前記ソフトウェア管理システムの電気的構成を示すブロック図である。
ソフトウェア管理システム1は、ユーザが所有する作業車両2および無線通信端末4に実装されているソフトウェアを管理するシステムである。ユーザが作業車両2および無線通信端末4をそれぞれ複数台所有している場合には、ソフトウェア管理システム1は、複数の作業車両2に実装されているソフトウェアと複数の無線通信端末4に実装されているソフトウェアを管理することになるが、図1および図2では、1台の作業車両2と1台の無線通信端末4とに着目して説明する。
【0010】
図1を参照して、ソフトウェア管理システム1は、作業車両2と、外部端末3と、無線通信端末4と、ソフトウェア管理装置5と、ソフトウェア格納装置6とを含む。
作業車両2は、圃場内を走行する可能な走行機体7と、走行機体7に装着された作業機8とを含む。作業機8としては、例えば、ロールベーラ、耕耘機、プラウ、施肥機、草刈機、播種機等の種々の作業機が挙げられる。本実施形態では、走行機体7に、作業機8として耕耘機が装着されている例を説明する。
【0011】
図2を参照して、作業車両2は、走行機体7の動作(前進、後進、停止および旋回等)、および、走行機体7に装着された作業機8の動作(昇降、駆動および停止等)を制御するための制御部10を備える。
制御部10は、作業車両2の走行機構を制御することによって、作業車両2を圃場内で自動走行させることができる。自動走行とは、予め設定された走行経路に沿って作業車両2が走行することをいう。制御部10は、CPUおよびメモリ(ROM、RAM等)を備えたマイクロコンピュータを含む。
【0012】
制御部10には、作業車両2の各部を制御するための複数のコントローラ11がそれぞれ電気的に接続されている。複数のコントローラ11には、エンジンの回転数を制御するエンジンコントローラ、走行機体7の車速を制御する車速コントローラ、走行機体7の向きを制御する操向コントローラ、作業機8の昇降を制御する昇降コントローラ、作業機8に動力を伝達するPTO軸の回転を制御するPTO軸コントローラ等が含まれる。各コントローラ11には、自動走行時にこれらのコントローラ11を制御するための車両側ソフトウェア16が実装されている。各コントローラ11には、それぞれ異なる車両側ソフトウェア16が実装されていてもよい。以下では、これらのコントローラをまとめて単にコントローラ11ということがある。
【0013】
制御部10には、通信端末12、記憶部13および接続部14が電気的に接続されている。通信端末12は、無線通信端末4と制御部10とを通信させるための携帯端末である。通信端末12には、通信部15が電気的に接続されている。通信部15は、無線通信端末4と制御部10とを無線通信させるためのインタフェースである。
記憶部13は、ハードディスク、不揮発性メモリ等の記憶デバイスから構成されている。接続部14は、コントローラ11と作業車両2の外部に設けられた装置とを、制御部10を介して電気的に接続するためのコネクタである。
【0014】
外部端末3は、コントローラ11に実装された車両側ソフトウェア16を更新するために、作業車両2の制御部10に接続されるパーソナルコンピュータ等である。外部端末3には、車両側ソフトウェアが記憶されている。サービスマンは、外部端末3を作業車両2の接続部14に接続し、コントローラ11の車両側ソフトウェア16を更新する。コントローラ11の車両側ソフトウェア16が更新されると、通信網9(図1参照)を介して、外部端末3からソフトウェア管理装置5に車両側バージョン更新信号が送信される。車両側バージョン更新信号には、更新後のコントローラ11の車両側ソフトウェア16のバージョン情報が含まれる。
【0015】
無線通信端末4は、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータ(タブレット型PC)等の携帯端末からなる。無線通信端末4は、作業車両2とWi-Fiにより無線通信し、自動走行の際に作業車両2を操作する。
無線通信端末4は、制御部20を備えている。制御部20は、CPUおよびメモリ(ROM、RAM等)を備えたマイクロコンピュータを含む。制御部20には、自動走行時に作業車両2を操作するために必要な端末側ソフトウェア25が実装されている。
【0016】
制御部20には、通信部21、操作表示部23、記憶部24等が電気的に接続されている。通信部21は、通信網9(図1参照)を介して、作業車両2の通信端末12と制御部20とを通信させたり、ソフトウェア格納装置6と制御部20とを通信させたりするためのインタフェースである。通信部21は、無線LANルータから構成されていてもよい。
操作表示部23は、たとえば、タッチパネル式ディスプレイからなる。記憶部24は、ハードディスク、不揮発性メモリ等の記憶デバイスから構成されている。
【0017】
ソフトウェア格納装置6(図1参照)は、端末側ソフトウェアを格納するためのサーバである。無線通信端末4は、ソフトウェア格納装置6に格納された端末側ソフトウェアを制御部20にダウンロードすることができる。
ソフトウェア管理装置5は、作業車両2のコントローラ11に実装されている車両側ソフトウェア16と無線通信端末4の制御部20に実装されている端末側ソフトウェア25とを管理する。ソフトウェア管理装置5は、遠隔監視センタ内に設けられている。
【0018】
ソフトウェア管理装置5は、制御部30を備えている。制御部30は、CPUおよびメモリ(ROM、RAM等)を備えたマイクロコンピュータを含む。
制御部30には、通信部31、表示部32、操作部33、記憶部34等が電気的に接続されている。通信部31は、通信網9(図1参照)を介して制御部30が外部端末3およびソフトウェア格納装置6と通信するための通信インタフェースである。表示部32は、たとえば、ディスプレイからなる。操作部33は、たとえば、キーボード、マウス等を含む。記憶部34は、ハードディスク、不揮発性メモリ等の記憶デバイスから構成されている。
【0019】
記憶部34は、車両側バージョン情報記憶部40、端末側バージョン情報記憶部41およびログ記憶部42を含む。
車両側バージョン情報記憶部40は、車両側ソフトウェアのバージョン情報を記憶する。車両側ソフトウェアのバージョン情報のことを車両側バージョン情報という。端末側バージョン情報記憶部41は、端末側ソフトウェアのバージョン情報を記憶する。端末側ソフトウェアのバージョン情報のことを端末側バージョン情報という。
【0020】
制御部30は、車両側更新部50、端末側更新部51、ログ取得部52、整合性判定部53および情報提示部54を有する。
車両側更新部50は、コントローラ11に実装されている車両側ソフトウェア16が外部端末3によって更新されたことに基づいて、車両側バージョン情報記憶部40に記憶されている車両側バージョン情報を、更新後の車両側ソフトウェア16に対応する車両側バージョン情報に変更する。
【0021】
具体的には、サービスマンが外部端末3を用いて車両側ソフトウェア16を更新し、外部端末3を操作して、その車両側バージョン更新信号をソフトウェア管理装置5に向けて送信する。制御部30が外部端末3から車両側バージョン更新信号を受信すると、車両側更新部50は、車両側バージョン情報記憶部40に記憶されている車両側バージョン情報を、車両側バージョン更新信号に含まれるバージョン情報に変更する。
【0022】
ログ取得部52は、ソフトウェア格納装置6から所定時間毎にデータログを取得し、ログ記憶部42に記憶する。データログは、無線通信端末4に端末側ソフトウェアがダウンロードされたことを示す情報である。データログには、無線通信端末4がダウンロードした端末側ソフトウェアのバージョン情報が含まれる。
端末側更新部51は、ログ取得部52が取得した最新のデータログに含まれるバージョン情報に基づいて、すなわち、無線通信端末4に端末側ソフトウェア25がダウンロードされたことに基づいて、端末側バージョン情報記憶部41に記憶されている端末側バージョン情報を、ダウンロードされた端末側ソフトウェアに対応する端末側バージョン情報に変更する。
【0023】
整合性判定部53は、記憶部34に記憶されている車両側バージョン情報および端末側バージョン情報に基づいて、作業車両2の各コントローラ11に現在実装されている車両側ソフトウェア16と、無線通信端末4に現在実装されている端末側ソフトウェアとが整合するか否かを判定する。
「整合する」とは、作業車両2を正常に自動走行させることができるように、車両側ソフトウェアと端末側ソフトウェアとが親和性を有することをいう。「整合しない」とは、車両側ソフトウェアと端末側ソフトウェアとが充分な親和性を有しておらず、作業車両2を正常に自動走行させることができない可能性があることをいう。
【0024】
情報提示部54は、端末側バージョン情報記憶部41に記憶されている端末側バージョン情報と、車両側バージョン情報記憶部40に記憶されている車両側バージョン情報と、整合性判定部53による判定結果とを、サービスマンが閲覧可能なウェブサイトに表示(提示)する。当該ウェブサイトは、たとえば、ソフトウェア管理装置5によって開設される。
【0025】
情報提示部54は、サービスマンが外部端末3等の端末を用いてウェブサイトにアクセスすると、当該端末のディスプレイに、バージョン提示画像を表示させる。バージョン提示画像とは、ユーザが所有する作業車両2のコントローラ11に現在実装されている車両側ソフトウェアのバージョンと、ユーザが所有する無線通信端末4に現在実装されている端末側ソフトウェアのバージョンとの一覧を提示する画像である。
【0026】
図3は、ウェブサイトの閲覧時に表示されるバージョン提示画像60を示す模式図である。図3では、車両側ソフトウェアとして、複数のコントローラ11のうちの一つのコントローラ11に実装された車両側ソフトウェアに着目して説明する。
図3に示すバージョン提示画像60は、作業車両2として7台のトラクタT1~T7を所有し、2台の無線通信端末4を所有するユーザに関するバージョン提示画像である。図3に示すバージョン提示画像60には、端末側ソフトウェアのバージョンとしてバージョンAおよびBが挙げられている。図3に示すバージョン提示画像60には、車両側ソフトウェアのバージョンとして、バージョンA1,A2,A3,B1およびB2が挙げられている。トラクタT1およびT2には、共通する無線通信端末4が用いられている。トラクタT3~T7には、共通する無線通信端末4が用いられている。
【0027】
図3では、一つのコントローラ11に実装された車両側ソフトウェアに着目して説明しているため、各トラクタT1~T7の「車両側バージョン」の欄には、一つのバージョンしか示されていない。しかし、実際には、バージョン提示画像60には、各コントローラ11に実装された車両側ソフトウェア16と、対応する無線通信端末4の制御部20に実装された端末側ソフトウェア25とが表示される。
【0028】
図4は、図3に示す車両側ソフトウェアの各バージョンA1~A3,B1,B2と、図3に示す端末側ソフトウェアの各バージョンA,Bとの間の整合性の有無の一覧を示す模式図である。
図4に示すように、バージョンAの端末側ソフトウェアとバージョンA1~A3の車両側ソフトウェアとが整合し、バージョンBの端末側ソフトウェアとバージョンB1、B2の車両側ソフトウェアとが整合するとする。一方、バージョンAの端末側ソフトウェアとバージョンB1およびB2の車両側ソフトウェアとが整合せず、バージョンBの端末側ソフトウェアとバージョンA1~A3の車両側ソフトウェアとが整合しないとする。また、端末側ソフトウェアにおいてバージョンAはバージョンBよりも新しく、車両側ソフトウェアにおいてバージョンA1~A3は、バージョンB1およびB2よりも新しいとする。
【0029】
図3に示すように、トラクタT1,T5およびT6の車両側ソフトウェアと、対応する無線通信端末4の端末側ソフトウェアとは整合しており、トラクタT2,T3,T4およびT7の車両側ソフトウェアと、対応する無線通信端末4の端末側ソフトウェアとは整合していない。
そのため、トラクタT1,T5およびT6に対応する「整合性」の欄には、「〇」が表示され、トラクタT1,T5およびT6に対応する「サービス要否」の欄には、「不要」が表示される。一方、トラクタT2,T3,T4およびT7に対応する「整合性」の欄には、「×」が表示され、トラクタT2,T3,T4およびT7に対応する「サービス要否」の欄には、「要」が表示される。
【0030】
サービスマンは、バージョン提示画像60の「サービス要否」の欄および/または「整合性」の欄を見て、サービスの要否を確認する。たとえば、サービスマンは、トラクタT2の車両側ソフトウェアが古いバージョンB1であり対応する無線通信端末4の端末側ソフトウェアが新しいバージョンAであるため、外部端末3を用いて、車両側ソフトウェアのバージョンを新しいバージョンA1~A3のいずれかに変更する。また、サービスマンは、トラクタT4の車両側ソフトウェアが新しいバージョンA3であり端末側ソフトウェアが古いバージョンBであるため、無線通信端末4に新しいバージョンAの端末側ソフトウェアをダウンロードするように、ユーザに促す。
【0031】
なお、バージョン提示画像には、「整合性」の欄および「サービス要否」の欄のうち少なくも一方が設けられていればよく、必ずしも両方の欄が設けられている必要はない。
以上のように、本実施形態によれば、作業車両2のコントローラ11に実装された車両側ソフトウェア16が外部端末3によって更新されると、車両側バージョン情報記憶部40に記憶されている車両側バージョン情報が更新される。また、無線通信端末4に端末側ソフトウェア25がダウンロードされると、端末側バージョン情報記憶部41に記憶されている端末側バージョン情報が更新される。そのため、情報提示部54は、コントローラ11に現在実装されている車両側ソフトウェアの車両側バージョン情報および無線通信端末4に現在実装されている端末側ソフトウェアの端末側バージョン情報を提示することができる。
【0032】
したがって、情報提示部54が提示するバージョン情報に基づいて、サービスマンは、コントローラ11に現在実装されている車両側ソフトウェアと無線通信端末4の制御部20に現在実装されている端末側ソフトウェア25とが整合しているか否かを知ることができる。整合していない場合には、サービスマンが外部端末3を用いて車両側ソフトウェア16を更新したり、サービスマンがユーザに端末側ソフトウェア25の更新を促したりすることができる。
【0033】
その結果、無線通信端末4の制御部20に実装されている端末側ソフトウェア25と作業車両2のコントローラ11に実装されている車両側ソフトウェア16とを適切に管理することができる。
また、本実施形態によれば、情報提示部54は、車両側バージョン情報記憶部40に記憶されている車両側バージョン情報と端末側バージョン情報記憶部41に記憶されている端末側バージョン情報とを、ウェブサイトに表示する。
【0034】
この構成によれば、ウェブサイトを介して、コントローラ11に現在実装されている車両側ソフトウェア16と、対応する無線通信端末4に現在実装されている端末側ソフトウェア25とをサービスマンに迅速に報知することができる。
また、本実施形態では、整合性判定部53が、ソフトウェア管理装置5の記憶部34に記憶されている車両側バージョン情報および端末側バージョン情報に基づいて、コントローラ11に実装されている車両側ソフトウェア16と、対応する無線通信端末4の制御部20に実装されている端末側ソフトウェア25とが整合しているか否かを判定する。そして、情報提示部54は、整合性判定部53による判定結果をウェブサイト上に表示する。
【0035】
そのため、整合性判定部によって、車両側ソフトウェア16および/または端末側ソフトウェア25の更新の要否が自動で判定される。そのため、サービスマンが手動で整合性を判定する場合と比較して、ソフトウェアの更新の要否の誤判定を抑制できる。
また、本実施形態によれば、端末側更新部51が、データログに基づいて、端末側バージョン情報記憶部41に記憶されている記端末側バージョン情報を更新する。そのため、無線通信端末4の制御部20に端末側ソフトウェア25をダウンロードしたことを、無線通信端末4を用いてユーザが端末側更新部51にわざわざ報知する手間が省ける。
【0036】
この発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、さらに他の形態で実施することができる。
たとえば、上述した実施形態では、情報提示部54が、端末側バージョン情報記憶部41に記憶されている端末側バージョン情報と、車両側バージョン情報記憶部40に記憶されている車両側バージョン情報と、整合性判定部53による判定結果とを、サービスマンが閲覧可能なウェブサイトに表示するとした。しかしながら、上述した実施形態とは異なり、ソフトウェア管理装置5の制御部30が整合性判定部53を有しておらず、情報提示部54が、端末側バージョン情報記憶部41に記憶されている端末側バージョン情報、および車両側バージョン情報記憶部40に記憶されている車両側バージョン情報のみをウェブサイトに表示してもよい。この場合、整合性の有無の判定は、サービスマンによって行われる。
【0037】
また、上述した実施形態では、端末側更新部51は、データログに基づいて端末側バージョン情報を更新するとした。しかしながら、上述した実施形態とは異なり、端末側更新部51は、無線通信端末4からソフトウェア管理装置5に端末側バージョン更新信号が送信されると、端末側バージョン情報を更新するとしてもよい。詳しくは、ソフトウェア格納装置6から無線通信端末4に端末側ソフトウェアがダウンロードされると、通信網9(図1参照)を介して、ソフトウェア格納装置6からソフトウェア管理装置5に端末側バージョン更新信号が送信される。端末側バージョン更新信号には、更新後のコントローラ11の端末側ソフトウェアのバージョン情報が含まれる。
【0038】
その他、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変更を行うことができる。
【0039】
<発明の付記>
この発明の一実施形態は、圃場内で作業しながら自動走行可能な作業車両に接続される外部端末と、前記作業車両を操作可能な無線通信端末と、前記作業車両に搭載されたコントローラに実装されている車両側ソフトウェアの車両側バージョン情報、および前記無線通信端末に実装されている端末側ソフトウェアの端末側バージョン情報を管理するソフトウェア管理装置とを備えるソフトウェア管理システムを提供する。このシステムにおいて、前記外部端末は、前記車両側バージョン情報を更新し、更新された車両側バージョン情報を前記ソフトウェア管理装置へ送信し、前記無線通信端末は、前記端末側ソフトウェアをダウンロードすることができる。
【0040】
そして、このシステムにおいて、前記ソフトウェア管理装置は、前記車両側バージョン情報および前記端末側バージョン情報を記憶する記憶部と、前記コントローラに実装された前記車両側ソフトウェアが前記外部端末によって更新されたことに基づいて、前記記憶部に記憶されている前記車両側バージョン情報を、前記更新後の車両側ソフトウェアに対応する車両側バージョン情報に変更する車両側更新部と、前記無線通信端末に前記端末側ソフトウェアがダウンロードされたことに基づいて、前記記憶部に記憶されている前記端末側バージョン情報を、前記ダウンロードされた端末側ソフトウェアに対応する端末側バージョン情報に変更する端末側更新部と、前記記憶部に記憶されている前記車両側バージョン情報および前記端末側バージョン情報を提示する情報提示部とを含む。
【0041】
この構成によれば、コントローラに実装された車両側ソフトウェアが外部端末によって更新されると、記憶部に記憶されている車両側バージョン情報が更新される。また、無線通信端末に端末側ソフトウェアがダウンロードされると、記憶部に記憶されている端末側バージョン情報が更新される。そのため、情報提示部は、コントローラに現在実装されている車両側ソフトウェアの車両側バージョン情報および無線通信端末に現在実装されている端末側ソフトウェアの端末側バージョン情報を提示することができる。
【0042】
したがって、情報提示部が提示するバージョン情報に基づいて、サービスマンは、コントローラに現在実装されている車両側ソフトウェアと無線通信端末に現在実装されている端末側ソフトウェアとが整合しているか否かを知ることができる。整合していない場合には、サービスマンが外部端末を用いて車両側ソフトウェアを更新したり、サービスマンがユーザに端末側ソフトウェアの更新を促したりすることができる。
【0043】
その結果、無線通信端末に実装されている端末側ソフトウェアと作業車両のコントローラに実装されている車両側ソフトウェアとを適切に管理することができる。
なお、「整合する」とは、作業車両を正常に自動走行させることができるように、車両側ソフトウェアと端末側ソフトウェアとが親和性を有することをいう。
【符号の説明】
【0044】
2 :作業車両
3 :外部端末
4 :無線通信端末
5 :ソフトウェア管理装置
11 :コントローラ
16 :車両側ソフトウェア
25 :端末側ソフトウェア
34 :記憶部
50 :車両側更新部
51 :端末側更新部
54 :情報提示部
図1
図2
図3
図4