(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-27
(45)【発行日】2022-11-07
(54)【発明の名称】フロアポスト
(51)【国際特許分類】
E04F 15/00 20060101AFI20221028BHJP
【FI】
E04F15/00 L
(21)【出願番号】P 2018184288
(22)【出願日】2018-09-28
【審査請求日】2021-09-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000010065
【氏名又は名称】フクビ化学工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390014029
【氏名又は名称】株式会社八木熊
(74)【代理人】
【識別番号】230124763
【氏名又は名称】戸川 委久子
(72)【発明者】
【氏名】大淵 知至
(72)【発明者】
【氏名】田中 大介
(72)【発明者】
【氏名】田中 芳真
(72)【発明者】
【氏名】中岫 豪彦
(72)【発明者】
【氏名】井上 陽介
(72)【発明者】
【氏名】有明 辰一郎
(72)【発明者】
【氏名】桜井 勇輔
【審査官】山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-304261(JP,A)
【文献】特開2017-155431(JP,A)
【文献】特開2015-175218(JP,A)
【文献】特開2003-129644(JP,A)
【文献】実開昭57-143335(JP,U)
【文献】特開2000-303664(JP,A)
【文献】特開2018-048457(JP,A)
【文献】特開2007-107330(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0193660(US,A1)
【文献】特開平11-241480(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床スラブ上に所定隙間を空けて床材を設置する際に使用されるフロアポストであって、
ベース部材(1)に下端部(21)が
回転自在に固定され、内周部に第一係合部(23)が形成され
、外周部に回転操作を行うためのフランジ部が形成された中空ボルト部材(2)と;
この中空ボルト部材(2)に螺着可能で、かつ、天板部材(T)が載置固定される受け板部(31)を備える一方、上部に挿通孔の開口部(33)及び第二係合部(34)が形成された天板受け部材(3)と;
この天板受け部材(3)の開口部(33)から中空ボルト部材(2)まで挿通可能な棒本体部(41)を備えると共に、前記棒本体部(41)に中空ボルト部材(2)の第一係合部(23)に対応する第三係合部(43)、前記天板受け部材(3)の第二係合部(34)に対応する第四係合部(44)がそれぞれ設けられた棒状のストッパー部材(4)とを含んで構成されると共に、
前記ストッパー部材(4)の装着により天板受け部材(3)に対する中空ボルト部材(2)の回転が制止されることを特徴とするフロアポスト。
【請求項2】
天板受け部材(3)の上部に、ザグリ部(33a)付きの開口部(33)が形成されて、ザグリ部(33a)内に第二係合部(34)が設けられている一方、ストッパー部材(4)には、前記ザグリ部(33a)内に嵌め込まれる頭部(42)が設けられて、この頭部(42)に天板受け部材(3)の第二係合部(34)に対応する第四係合部(44)が設けられていることを特徴とする請求項1記載のフロアポスト。
【請求項3】
床スラブ上に所定隙間を空けて床材を設置する際に使用されるフロアポストであって、
ベース部材(1)に下端部(21)が固定され、内周部に第一係合部(23)が形成された中空ボルト部材(2)と;
この中空ボルト部材(2)に螺着可能で、かつ、天板部材(T)が載置固定される受け板部(31)を備える一方、上部に挿通孔のザグリ部(33a)付きの開口部(33)及びザグリ部(33a)内の第二係合部(34)が形成された天板受け部材(3)と;
この天板受け部材(3)の開口部(33)から中空ボルト部材(2)まで挿通可能な棒本体部(41)を備えると共に、前記棒本体部(41)に中空ボルト部材(2)の第一係合部(23)に対応する第三係合部(43)、前記ザグリ部(33a)内に嵌め込まれる頭部(42)に設けられた前記天板受け部材(3)の第二係合部(34)に対応する第四係合部(44)がそれぞれ設けられた棒状のストッパー部材(4)とを含んで構成され、
前記頭部(42)の下面側は、頭部中心側が凸型となる段差状に形成されると共に、この段差部の出隅部に、前記ザグリ部(33a)の底面裏側に係止可能なツメ部(42a)が形成され、
前記ストッパー部材(4)の装着により天板受け部材(3)に対する中空ボルト部材(2)の回転が制止されることを特徴とするフロアポスト。
【請求項4】
天板受け部材(3)のザグリ部(33a)の周縁部、またはストッパー部材(4)の頭部(42)の
外周部に、ストッパー部材(4)を工具で取り外すための切欠部が形成されていることを特徴とする請求項2または3に記載のフロアポスト。
【請求項5】
中空ボルト部材(2)の内周部に、長さ方向に沿ってリブ状突起または仕切り板が第一係合部(23)として形成されると共に、ストッパー部材(4)の棒本体部(41)に、前記リブ状突起または仕切り板が嵌合する凹凸部が第三係合部(43)として形成されていることを特徴とする請求項1~4の何れか一つに記載のフロアポスト。
【請求項6】
床スラブ上に所定隙間を空けて床材を設置する際に使用されるフロアポストであって、
ベース部材(1)に下端部(21)が
回転自在に固定され、内周部に第一係合部(23)が形成され
、外周部に回転操作を行うためのフランジ部が形成された中空ボルト部材(2)と;
この中空ボルト部材(2)に螺着可能で、かつ、上部に天板部(51)を備える一方、前記天板部(51)に挿通孔の開口部(53)及び第二係合部(54)が形成された床材受け部材(5)と;
この床材受け部材(5)の開口部(53)から中空ボルト部材(2)まで挿通可能な棒本体部(41)を備えると共に、前記棒本体部(41)に中空ボルト部材(2)の第一係合部(23)に対応する第三係合部(43)、前記床材受け部材(5)の第二係合部(54)に対応する第四係合部(44)がそれぞれ設けられた棒状のストッパー部材(4)とを含んで構成されると共に、
前記ストッパー部材(4)の装着により床材受け部材(5)に対する中空ボルト部材(2)の回転が制止されることを特徴とするフロアポスト。
【請求項7】
ベース部材(1)の上面中央に、中空ボルト部材(2)の下端部を回転自在に装着するための丸穴部(12)が形成されると共に、底板部(11)の底面側に丸穴部(12)の外周に沿って環状凹部(13)が形成されていることを特徴とする請求項1~6の何れか一つに記載のフロアポスト。
【請求項8】
ベース部材(1)の上面中央部から底板外縁部にかけて底面側が開口した断面凹型の中空リブ(14)が放射状に形成されると共に、当該中空リブ(14)内に、環状凹部(13)内を通る板状の補強リブ(15)が形成されていることを特徴とする請求項7記載のフロアポスト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロアポストの改良、詳しくは、床施工時だけでなく床施工後においてもフロアポストの高さを調節することができ、また調節完了後はストッパー部材で天板部材の上下位置を固定できるフロアポストに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、建築工事において床を施工する際には、床スラブ上に複数のフロアポスト(床束)を所定間隔で設置して、これらのフロアポスト上に床材を敷設するのが一般的である。またこの際使用されるフロアポストに関しては、床スラブと床材間に形成されるスペースの大きさを調整できるように、高さ調節が行える構造を採用する必要がある。
【0003】
そこで、本件出願人は、以前に天板部材、ロッド部材およびベース部材を主要な構成部材とし、かつ、ロッド部材をベース部材或いは天板部材に対してアジャストボルト式に装着して、正逆の回転操作により高さ調節が行えるようにしたプラスチック製のフロアポストを開発している(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、上記従来のフロアポストに関しては、床施工後に回転工具でロッド部材を上から回転操作できるように、ロッド部材を天板部材に対して回転自在に装着していたものの、必要に応じて天板部材に対するロッド部材の回転を制止する手段を備えていなかったため、ロッド部材と天板部材をアジャストボルト式に連結した場合に、天板部材の上下位置をしっかりと固定することができなかった。
【0005】
一方、本件出願人は、天板部材に対するロッド部材の回転を制止するロック機構を備えたフロアポストも従来開発しているが(特許文献2参照)、この従来技術に関しても、ロッド部材とベース部材のみをアジャストボルト式に連結する構造であったため、ロッド部材と天板部材をアジャストボルト式に連結したフロアポストにロック機構をそのまま採用することができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2007-107330号公報
【文献】特開2018-48457号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記問題に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、床施工時だけでなく床施工後においてもフロアポストの高さを調節することができ、また床施工時において高さ調節を完了した後はストッパー部材で天板部材の上下位置を簡単に固定できるフロアポストを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者が上記課題を解決するために採用した手段を添付図面を参照して説明すれば次のとおりである。
【0009】
即ち、本発明は、床スラブ上に所定隙間を空けて床材を設置する際に使用されるフロアポストにおいて、ベース部材1に下端部21が回転自在に固定され、内周部に第一係合部23が形成され、外周部に回転操作を行うためのフランジ部が形成された中空ボルト部材2と;この中空ボルト部材2に螺着可能で、かつ、天板部材Tが載置固定される受け板部31を備える一方、上部に挿通孔の開口部33及び第二係合部34が形成された天板受け部材3と;この天板受け部材3の開口部33から中空ボルト部材2まで挿通可能な棒本体部41を備えると共に、前記棒本体部41に中空ボルト部材2の第一係合部23に対応する第三係合部43、前記天板受け部材3の第二係合部34に対応する第四係合部44がそれぞれ設けられた棒状のストッパー部材4とを含んで構成すると共に、前記ストッパー部材4の装着により天板受け部材3に対する中空ボルト部材2の回転を制止可能とした点に特徴がある。
【0010】
また上記天板受け部材3については、上部にザグリ部33a付きの開口部33を形成して、ザグリ部33a内に第二係合部34を設ける一方、ストッパー部材4に、前記ザグリ部33a内に嵌め込まれる頭部42を設けて、この頭部42に天板受け部材3の第二係合部34に対応する第四係合部44を設けることで、ストッパー部材4の脱着を容易に行うことができる。
【0011】
加えて、上記ザグリ部33aの構成を採用する場合には、上記ストッパー部材4の頭部42の下面側を、頭部中心側が凸型となる段差状に形成すると共に、この段差部の出隅部に、天板受け部材3のザグリ部33aの底面裏側に係止可能なツメ部42aを形成することで、ストッパー部材4の浮き上がりや外れを防止することができる。
【0012】
また上記ザグリ部33aの構成を採用する場合には、天板受け部材3のザグリ部33aの周縁部、またはストッパー部材4の頭部42の外周部に、ストッパー部材4を工具で取り外すための切欠部を形成することで、ストッパー部材4の取り外しを容易に行えるようにすることができる。
【0013】
また上記中空ボルト部材2については、内周部に長さ方向に沿ってリブ状突起または仕切り板を第一係合部23として形成すると共に、ストッパー部材4の棒本体部41に、前記リブ状突起または仕切り板を嵌合させる凹凸部を第三係合部43として形成することで、ストッパー構造をシンプルに構成できる。
【0014】
一方、本発明では、上記フロアポストの構成に代えて、上記ベース部材1に下端部21が回転自在に固定され、内周部に第一係合部23が形成され、外周部に回転操作を行うためのフランジ部が形成された中空ボルト部材2と;この中空ボルト部材2に螺着可能で、かつ、上部に天板部51を備える一方、前記天板部51に挿通孔の開口部53及び第二係合部54が形成された床材受け部材5と;この床材受け部材5の開口部53から中空ボルト部材2まで挿通可能な棒本体部41を備えると共に、前記棒本体部41に中空ボルト部材2の第一係合部23に対応する第三係合部43、前記床材受け部材5の第二係合部54に対応する第四係合部44がそれぞれ設けられた棒状のストッパー部材4とを含んで構成して、前記ストッパー部材4の装着により床材受け部材5に対する中空ボルト部材2の回転を制止可能とすることもできる。
【0015】
また本発明においては、上記ベース部材1の上面中央に、中空ボルト部材2の下端部を回転自在に装着するための丸穴部12を形成すると共に、底板部11の底面側に丸穴部12の外周に沿って環状凹部13を形成して、この環状凹部13を変形させることで中空ボルト部材2からベース部材1にかかる負荷を吸収できる。
【0016】
また上記環状凹部13を形成する場合には、ベース部材1の上面中央部から底板外縁部にかけて底面側が開口した断面凹型の中空リブ14を放射状に形成すると共に、当該中空リブ14内に、環状凹部13内を通る板状の補強リブ15を形成することで、ベース部材1を軽量かつ高強度に構成できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明のフロアポストでは、中空ボルト部材と天板受け部材(または床材受け部材)をアジャストボルト式に連結すると共に、これら中空ボルト部材と天板受け部材にストッパー部材を装着して、ストッパー部材と中空ボルト部材、及びストッパー部材と天板受け部材を係合可能に構成したことにより、ストッパー部材で天板受け部材に対する中空ボルト部材の回転を制止して天板部材の上下位置を固定することが可能となる。
【0018】
また本発明のフロアポストにおいては、上記ストッパー部材の装着を天板受け部材の上方から開口部に差し込むだけで簡単に行えるため、床施工の作業効率が損なわれる心配もない。しかも、本発明のフロアポストは、床施工後にストッパー部材を取り外して、回転工具を中空ボルト部材に差し込むことで、中空ボルト部材のみを回転させることもできるため、床施工後の高さ調節も行える。
【0019】
したがって、本発明により、床施工時または床施工後において床スラブと床材の隙間に応じて高さ調節が行えるだけでなく、天板部材の上下位置を調節した位置にしっかりと固定することができ、しかも、操作性にも優れたフロアポストを提供できることから、本発明の実用的利用価値は頗る高い。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の第一実施形態のフロアポストを表す全体斜視図である。
【
図2】本発明の第一実施形態のフロアポストの構造を表す分解斜視図である。
【
図3】本発明の第一実施形態のフロアポストを表す平面図及びX
1-X
1断面図である。
【
図4】本発明の第一実施形態のフロアポストを表すY
1-Y
1断面図である。
【
図5】本発明の第一実施形態のベース部材を表す全体斜視図である。
【
図6】本発明の第一実施形態のベース部材を表す平面図及びX
2-X
2断面図及びY
2-Y
2断面図である。
【
図7】本発明の第一実施形態の中空ボルト部材を表す全体斜視図である。
【
図8】本発明の第一実施形態の中空ボルト部材を表す平面図及びX
3-X
3断面図及びY
3-Y
3断面図である。
【
図9】本発明の第一実施形態の天板受け部材を表す全体斜視図である。
【
図10】本発明の第一実施形態のストッパー部材を表す全体斜視図である。
【
図11】本発明の第二実施形態のフロアポストを表す全体斜視図である。
【
図12】本発明の第三実施形態のフロアポストを表す全体斜視図である。
【
図13】本発明の第三実施形態のフロアポストを表す分解斜視図である。
【
図14】本発明の第三実施形態の床材受け部材を表す全体斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
『第一実施形態』
本発明の第一実施形態について
図1~
図10に基づいて以下に説明する。なお図中、符号Fで指示するものは、フロアポストであり、符号1で指示するものは、ベース部材である。また符号2で指示するものは、中空ボルト部材であり、符号3で指示するものは、天板受け部材である。また符号4で指示するものは、ストッパー部材である。
【0022】
「フロアポストの構成および使用方法」
[1]フロアポストの基本構成について
本実施形態のフロアポストFの基本構成について説明する。まず本実施形態では、
図1及び
図2に示すように、床スラブに固定されるベース部材1、及びこのベース部材1上に下端部21が固定される中空ボルト部材2、及びこの中空ボルト部材2に装着される天板受け部材3、及びこの天板受け部材3の外周部に形成された受け板部31に固定される天板部材T、及び天板受け部材3と中空ボルト部材2に装着される棒状のストッパー部材4からフロアポストFを構成している。
【0023】
また上記中空ボルト部材2と天板受け部材3に関しては、
図3及び
図4に示すように、中空ボルト部材2の上端外周部に雄ネジ部22、天板受け部材3の挿通孔の内周部に雌ネジ部32をそれぞれ形成して、天板受け部材3を中空ボルト部材2に螺着可能に構成することで、天板受け部材3(または中空ボルト部材3)を回転させて天板受け部材3の位置を上下に調節可能としている。
【0024】
また上記ストッパー部材4に関しては、
図2~
図4に示すように、棒本体部41と頭部42とから構成すると共に、中空ボルト部材2の内周部に形成された第一係合部23に対応する第三係合部43、及び天板受け部材3の挿通孔の上側開口部33周辺に形成された第二係合部34に対応する第四係合部44をそれぞれ設けて、天板受け部材3の上部開口部33から中空ボルト部材2まで棒本体部41を挿通可能に構成している。
【0025】
[2]フロアポストの使用方法について
次に上記フロアポストFの使用方法について説明する。まずベース部材1上に中空ボルト部材2を立てた状態で固定し、この中空ボルト部材2に天板受け部材3を螺着する。そして、天板受け部材3の受け板部31上に天板部材Tを載置固定した後、中空ボルト部材2に対する天板受け部材3(天板部材T)の上下位置を適当な位置に調節して、ストッパー部材4を天板受け部材3の開口部33から差し込んで
図1の状態となるように装着する。
【0026】
これにより、天板受け部材3に対する中空ボルト部材2の回転がストッパー部材4で制止されるため、天板受け部材3の上下位置を固定することができる。そして、複数のフロアポストF・F…を床スラブ上に設置して、これらのフロアポストF・F…の天板部材T上に床材を敷設することで、床スラブ上に所定隙間を空けて床材を設置することができる。また床施工時においては、ストッパー部材5の装着により天板部材Tを手で持って中空ボルト部材2と共に回転操作できる。また床材設置後においては、上記ストッパー部材4を取り外して工具で中空ボルト部材2を回転させることで、天板受け部材3の位置を調節できる。
【0027】
[3]ベース部材について
[3-1]ベース部材の材料・底板部
次に上記フロアポストFの各構成要素について説明する。まず上記ベース部材1に関しては、本実施形態では、熱可塑性樹脂を射出成形して形成しているが、その他のプラスチック材料や金属材料から形成することもできる。またベース部材1には、
図5に示すように床スラブ上に載置する底板部11を形成すると共に、この底板部11に円弧状の溝部を複数形成して、これらの円弧状の溝部に接着剤を入り込ませることで底板部11と床スラブの接着強度が高まるようにしている。
【0028】
[3-2]ベース部材の丸穴部
また本実施形態では、
図6(a)(b)(c)に示すように、ベース部材1の底板部11の上面中央に凸部を形成して、この凸部の上面側に、中空ボルト部材2の下端部21を回転自在に装着する丸穴部12を形成している。具体的には、丸穴部12の底面部に中空ボルト部材2の端面形状に対応した第一凹溝12aを形成すると共に、丸穴部12に内周面に全周にわたって第二凹溝12bを形成している。なおベース部材1と中空ボルト部材2は回転しない状態で一体に形成することもでき、またベース部材1と中空ボルト部材2をアジャストボルト式に連結することもできる。
【0029】
[3-3]ベース部材の環状凹部
また本実施形態では、
図6(a)(b)(c)に示すように、ベース部材1の底板部11の底面側に丸穴部12の外周に沿って環状凹部13を形成している。これにより中空ボルト部材2をベース部材1の丸穴部12に固定した状態で、中空ボルト部材2に横方向の負荷が掛かった際でも、丸穴部12周囲の環状凹部13を変形させることで中空ボルト部材2からベース部材1の接着面にかかる負荷を吸収することができる。なお環状凹部13の形状は、円形である必要はなく多角形状とすることもできる。
【0030】
[3-4]ベース部材の中空リブ
また本実施形態では、
図5及び
図6に示すように、ベース部材1の上面中央の凸部から底板部11の外縁にかけてスロープ状に形成され、かつ、底面側が開口した断面凹型の中空リブ14を放射状に複数形成している。これにより、ベース部材1の重量が大きくなり過ぎないように横幅の大きいリブを形成することができるため、凸部にかかる横方向の負荷に対する強度を高めることができる。なお中空リブ14の個数は、本実施形態では十字方向に四つ形成しているが、四つ以上形成することもできる。
【0031】
[3-5]ベース部材の補強リブ
また本実施形態では、
図5及び
図6に示すように、ベース部材1の各中空リブ14内に環状凹部13内を通過する板状の補強リブ15を形成することで、中空ボルト部材2からの横方向の負荷による環状凹部13の変形を抑制することができる。これにより、中空ボルト部材2から大きな負荷がかかった場合でも、環状凹部13が大きく変形してベース部材1が破損する事態を防止することができる。
【0032】
[4]中空ボルト部材について
[4-1]中空ボルト部材の材料・雄ネジ部
また上記中空ボルト部材2に関しては、本実施形態では、熱可塑性樹脂を射出成形して形成しているが、その他のプラスチック材料や金属材料から形成することもできる。また中空ボルト部材2は、
図7に示すように筒状の本体部の上部外周面に雄ネジ部22を形成して構成している。なお中空ボルト部材2の長さや雄ネジ部22の長さは、フロアポストFの高さや天板受け部材3の上下位置の調節範囲を考慮して適宜変更できる。
【0033】
[4-2]中空ボルト部材の下端部
また本実施形態では、
図7及び
図8(b)に示すように、中空ボルト部材2の下端部21の内周面に全周にわたる環状凸部21aを形成して、この環状凸部21aを、
図3(b)及び
図4に示すように丸穴部12の第二凹溝12bに嵌め込んだ状態で、かつ、中空ボルト部材2の下端部21を上記丸穴部12の第一凹溝12aに挿入した状態でベース部材1に回転自在に装着している。また本実施形態では、中空ボルト部材2の下端部21の外周にフランジ部21bを形成して、このフランジ部21bを手で握って中空ボルト部材2の回転操作を行えるようにしている。
【0034】
[4-3]中空ボルト部材の第一係合部
また本実施形態では、
図8(a)(b)(c)に示すように、中空ボルト部材2の内周部に、本体部の長さ方向に沿ったリブ状突起を第一係合部23として周方向に所定間隔で複数形成している。また本実施形態では、これらのリブ状突起を繋ぐ連結リブ23aを中空ボルト部材2の内周部に形成して、リブ状突起に横方向の負荷がかかっても破損しないようにしている。なお第一係合部23の形態としては、必ずしもリブ状突起とする必要はなく、例えば中空部をまたぐ仕切り板の形状とすることもできる。
【0035】
[5]天板受け部材について
[5-1]天板受け部材の材料・雌ネジ部・受け板部
また上記天板受け部材3に関しては、本実施形態では、熱可塑性樹脂を射出成形して形成しているが、その他のプラスチック材料や金属材料から形成することもできる。また天板受け部材3は、
図9に示すように挿通孔を備えた円筒状の本体外周にフランジ状の受け板部31を設けると共に、本体内周に雌ネジ部32を設けて構成している。また本実施形態では、天板受け部材3の受け板部31にネジ孔31aを形成して、
図4に示すように天板部材Tを受け板部31にネジ部材Sで固定できるようにしている。なお受け板部31は、本体上面に形成することもできる。
【0036】
[5-2]天板受け部材のザグリ部・第二係合部
また本実施形態では、
図9に示すように天板受け部材3の上部にザグリ部33a付きの開口部33を形成して、ザグリ部33a内に第二係合部34を設けている。具体的には、ザグリ部33aの内壁部に、ジグザグ状の凹凸部を第二係合部34として部分的に形成している。なお第二係合部34の配置は、ザグリ部33aの底面側に設けてもよく、また形状もその他の凹凸形状を適宜採用できる。また本実施形態では、本体上面のザグリ部33a周縁に切欠部35を形成して、ストッパー部材4の取り外しを工具で行えるようにしている。
【0037】
[6]ストッパー部材について
[6-1]ストッパー部材の材料・頭部
また上記ストッパー部材4に関しては、本実施形態では、熱可塑性樹脂を射出成形して形成しているが、その他のプラスチック材料や金属材料から形成することもできる。またストッパー部材4は、
図10に示すように天板受け部材3の挿通孔と中空ボルト部材2の中空部に差し込まれる棒本体部41と、天板受け部材3のザグリ部33a内に嵌め込まれる頭部42とから構成している。
【0038】
[6-2]ストッパー部材の第三係合部・第四係合部
また本実施形態では、
図10に示すようにストッパー部材4の棒本体部41の外周に、中空ボルト部材2の第一係合部23であるリブ状突起間に差し込まれる断面三角型の凸条を第三係合部43として複数形成し、また頭部42の外周には、天板受け部材3の凹凸型の第二係合部34に嵌合する凹凸部を第四係合部44として設けている。これにより
図3及び
図4に示すようにストッパー部材4を装着した状態で、中空ボルト部材2(または天板受け部材3)に回転方向の力が加わった際に、第一係合部23が第三係合部43に、また第二係合部34が第四係合部44に接触することで中空ボルト部材2の回転を制止できる。
【0039】
[6-3]ストッパー部材の第三係合部・第四係合部の変更例
なお上記ストッパー部材4の第三係合部43と第四係合部44の配置や形状に関しては、第二係合部23及び第三係合部34の形態に応じて適宜変更できる。例えば、中空ボルト部材2の第二係合部23を仕切り板状に形成する場合には、ストッパー部材4の棒本体部41が二股状になるように凹部を形成して第三係合部43とすることもできる。また天板受け部材3の凹凸型の第二係合部34をザグリ部33aの底面側に設ける場合には、ストッパー部材4の頭部42下面に凹凸部を形成して第四係合部44とすることもできる。
【0040】
[6-4]ストッパー部材のツメ部
また本実施形態では、
図10に示すようにストッパー部材4の頭部42の下面側を、頭部中心側が凸型となる段差状に形成すると共に、この段差部の出隅部に複数のツメ部42aを形成して、これらのツメ部42aを
図3(b)に示すように天板受け部材3のザグリ部33aの底面裏側(ザグリ部33aが形成されている張出し部の裏側)に係止することで、ストッパー部材4の浮き上がりや外れを防止している。
【0041】
[7]天板部材について
また上記天板部材Tに関しては、本実施形態では四角形の合板を使用しているが、天板部材Tの材料としては、床材を面で受けることができ、またネジ部材Sやボルト部材で天板受け部材3の受け板部31に固定できるものであれば、無垢材やその他の木質材料、プラスチック材料、金属材料などを使用することもできる。また天板部材Tの大きさや形状も床材との接触面積を考慮して適宜変更できる。
【0042】
『第二実施形態』
「フロアポストの構成」
[6-5]ストッパー部材の切欠部
次に本発明の第二実施形態について
図11に基いて説明する。本実施形態では、天板受け部材2のザグリ部33aの周辺に切欠部を設けずに、ストッパー部材4の頭部42外周に切欠部42bを形成している。これにより第一実施形態と同様、切欠部42bに工具を差し込むことでストッパー部材4の取り外しを容易に行えるようにしている。その他の構成については、第一実施形態と同様である。
【0043】
『第三実施形態』
「フロアポストの構成」
[8]床材受け部材について
次に本発明の第三実施形態について
図12~
図14に基いて以下に説明する。本実施形態では、第一実施形態の天板受け部材に代えて、挿通孔を備えた筒状の本体上部に天板部51を一体に備えると共に、本体内周部に雌ネジ部52が形成され、また天板部51の上面中央には挿通孔の開口部53と第二係合部54が形成された床材受け部材5を使用している。またこの床材受け部材5は、本実施形態では、熱可塑性樹脂を射出成形して形成しているが、その他のプラスチック材料や金属材料から形成することもできる。
【0044】
また本実施形態では、
図12に示すように床材受け部材5の上部にザグリ部53a付きの開口部53を形成して、このザグリ部53aに第二係合部54を設けている。具体的には、ザグリ部53aの内壁部に、ジグザグ状の凹凸部を第二係合部54として形成している。なお第二係合部54の配置は、ザグリ部53aの底面側に設けてもよく、また形状もその他の凹凸形状を適宜採用できる。その他の構成については、第一実施形態と同様である。また上記の構成を採用したによりストッパー部材4を装着した状態で床材受け部材5に対する中空ボルト部材2の回転を制止できる。
【符号の説明】
【0045】
1 ベース部材
11 底板部
12 丸穴部
12a 第一凹溝
12b 第二凹溝
13 環状凹部
14 中空リブ
15 補強リブ
2 中空ボルト部材
21 下端部
21a 環状凸部
21b フランジ部
22 雄ネジ部
23 第一係合部
23a 連結リブ
3 天板受け部材
31 受け板部
31a ネジ孔
32 雌ネジ部
33 開口部
33a ザグリ部
34 第二係合部
35 切欠部
4 ストッパー部材
41 棒本体部
42 頭部
42a ツメ部
42b 切欠部
43 第三係合部
44 第四係合部
5 床材受け部材
51 天板部
52 雌ネジ部
53 開口部
53a ザグリ部
54 第二係合部
F フロアポスト
T 天板部材
H 挿通孔
S ネジ部材