(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-27
(45)【発行日】2022-11-07
(54)【発明の名称】温度測定装置
(51)【国際特許分類】
G01K 1/14 20210101AFI20221028BHJP
【FI】
G01K1/14 E
(21)【出願番号】P 2019002510
(22)【出願日】2019-01-10
【審査請求日】2021-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】519010282
【氏名又は名称】亀井 謙治
(73)【特許権者】
【識別番号】596099963
【氏名又は名称】株式会社ニットー冷熱製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001069
【氏名又は名称】特許業務法人京都国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100101753
【氏名又は名称】大坪 隆司
(72)【発明者】
【氏名】亀井 謙治
(72)【発明者】
【氏名】大栗 修
【審査官】公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-153235(JP,A)
【文献】特開2011-059132(JP,A)
【文献】特開2009-122090(JP,A)
【文献】特開平05-209793(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108489627(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 1/00-19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理装置の性能測定を行うための温度測定装置において、
前記基板処理装置の処理部に配設される温度測定用基板と、
前記温度測定用基板上に配設された複数の温度センサと、
前記複数の温度センサの信号線と温度計測装置とを接続する複数の中継線と、
前記複数の温度センサを前記温度測定用基板に固定する複数のセンサホルダーと、
を備え、
前記センサホルダーは、
複数の孔部が形成されたプレート部と、
前記プレート部における前記温度測定用基板とは逆側に付設された前記温度センサの信号線と前記中継線とを支持するための支持部と、
を有することを特徴とする温度測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の温度測定装置において、
前記支持部は、前記温度センサの信号線または前記中継線の少なくとも一方が巻回され、前記温度センサの信号線と前記中継線とが接続されることにより、前記温度センサの信号線と前記中継線とを支持する温度測定装置。
【請求項3】
請求項2に記載の温度測定装置において、
前記センサホルダーにおける支持部は、前記プレート部上に立設された支柱部と、
前記支柱部における前記プレート部とは逆側の端部に形成されたフランジ部と、
を備える温度測定装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の温度測定装置において、
前記センサホルダーは、三次元造形により作成されたセラミックである温度測定装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の温度測定装置において、
前記複数の中継線を束ねた状態で前記温度測定用基板に固定する束線固定部をさらに備え、
当該束線固定部は、
前記温度測定用基板上に配設された金属製のメッシュ部材と、
前記複数の中継線を前記メッシュ部材との間で挟持するプレートと、
前記温度測定用基板と前記プレートとを連結する連結部材と、
を備える温度測定装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
この発明は、基板処理装置の性能測定に使用する温度測定装置に関する。
【技術分野】
【0002】
例えば、半導体ウエハや液晶表示パネル用ガラス基板あるいは半導体製造装置用マスク基板等の基板を熱処理する熱処理装置においては、ホットプレートやクールプレート等の熱処理プレート上に基板を載置して熱処理を実行している。このような場合には、熱処理される基板の温度を測定する必要がある。このような処理中の基板の温度の測定は、熱処理装置のみではなく、フォトレジストを塗布するコータや、フォトレジストの現像処理を行うデベロッパにおいても必要となる場合がある。
【0003】
ところで、このような基板の温度測定を行う場合、実際に処理を実行中の基板の温度を測定することは困難である。このため、一般的には、白金抵抗体や熱電対等の温度検知部材を使用した温度センサを温度測定用基板に埋め込み、この温度測定用基板を熱処理装置等の基板処理装置の処理部に設置して、この温度測定用基板の温度を測定することにより、基板処理装置により処理される基板の温度を測定するようにしている。
【0004】
特許文献1には、基板に形成された凹部に対して温度センサを接着し、この凹部に埋込用樹脂を充填した構成の温度測定装置が開示されている。この特許文献1に記載された温度測定装置においては、絶縁薄板と導電性フィルムを積層したボンディング・パッドを接着剤により基板上に接着し、このボンディング・パッドを利用して温度センサの信号線と、この信号線の信号を温度計測部に送信するための中継線とを接続する構成が採用されている。
【0005】
また、特許文献2には、基板に形成された凹部内に温度を配置するとともに、この温度センサの上面に温度センサの信号線を接続し、温度センサと信号線とを冷間溶着剤により固定する温度測定装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第4814429号公報
【文献】特開平10-9963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載されたように、温度センサからの信号線と中継線とをボンディング・パッドを利用して接続し、このボンディング・パッドを基板上に接着する構成を採用する場合においては、ボンディング・パッドを耐熱性のある材料で構成する必要があるが、温度測定装置により測定する温度が例えば摂氏400度を超えるような場合にはその材質の選定が困難となる。また、温度センサとボンディング・パッドとを個別に基板上に接着する必要があることから、基板上での接着作業時には、温度センサからの信号線の切断を防止しながら作業を行う必要があり、その作業が煩雑なものとなる。
【0008】
一方、特許文献2に記載されたように、温度センサに中継線を直接接続した場合には、構成が簡易なものとなり温度センサの設置作業も簡便とはなるが、温度測定装置を移動するときや、温度測定装置を基板処理装置に設置するときに、温度センサや温度センサと中継線との接続部に中継線を介して機械的ストレスが付与され、断線等が生じやすいという問題がある。
【0009】
この発明は上記課題を解決するためになされたものであり、簡易な構成でありながら、温度センサにおける信号線と中継線とを容易かつ確実に接続することができ、装置を移動させた場合においても温度センサに対して機械的ストレスが付与されることがない温度測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明は、基板処理装置の性能測定を行うための温度測定装置において、前記基板処理装置の処理部に配設される温度測定用基板と、前記温度測定用基板上に配設された複数の温度センサと、前記複数の温度センサの信号線と温度計測装置とを接続する複数の中継線と、前記複数の温度センサを前記温度測定用基板に固定する複数のセンサホルダーと、を備え、前記センサホルダーは、多数の孔部が形成されたプレート部と、前記プレート部における前記温度測定用基板とは逆側に付設された前記温度センサの信号線と前記中継線とを支持するための支持部と、を有することを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記支持部は、前記温度センサの信号線または前記中継線の少なくとも一方が巻回され、前記温度センサの信号線と前記中継線とが接続されることにより、前記温度センサの信号線と前記中継線とを支持する。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記センサホルダーにおける支持部は、前記プレート部上に立設された支柱部と、前記支柱部における前記プレート部とは逆側の端部に形成されたフランジ部と、を備える。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の発明において、前記センサホルダーは、三次元造形により作成されたセラミックである。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の発明において、前記複数の中継線を束ねた状態で前記温度測定用基板に固定する束線固定部をさらに備え、当該束線固定部は、前記温度測定用基板上に配設された金属製のメッシュ部材と、前記複数の中継線を前記メッシュ部材との間で挟持するプレートと、前記温度測定用基板と前記プレートとを連結する連結部材と、を備える。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明によれば、温度センサの信号線や中継線をセンサホルダーの支持部において支持することにより、組み立て作業を容易とし、温度センサの信号線や中継線にストレスがかかることを防止することが可能となる。また、センサホルダーのプレート部に形成された孔部により、温度センサやセンサホルダーを基板に接着するときに、温度センサの位置決めやセンサホルダーの接着を良好に実行することが可能となる。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、温度センサの信号線や中継線を支柱部において容易に支持することが可能となる。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、支柱部におけるプレート部とは逆側の端部に形成されたフランジ部を利用することにより、温度センサの信号線と中継線との接続を容易に実行することが可能となる。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、比較的小型のセンサホルダーを精度よく作成することができ、また、高い耐熱性を得ることが可能となる。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、メッシュ部材の作用により、束ねられた複数の中継線を良好に固定でき、また、中継線への熱の影響を軽減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】この発明に係る温度測定装置を温度計測装置2とともに示す概要図である。
【
図2】この発明の第1実施形態に係るセンサホルダー3を、温度センサ4等とともに示す図である。
【
図3】この発明の第2実施形態に係るセンサホルダー3を、温度センサ4等とともに示す図である。
【
図5】結線固定部5の束線20とメッシュ部材51等の配置を示す平面図である。
【
図6】他の実施形態に係る結線固定部5の側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、この発明に係る温度測定装置を温度計測装置2とともに示す概要図である。
【0022】
この温度測定装置は、ホットプレート等の基板処理装置の性能測定を行うときに、後述する複数の温度センサにより測定した温度を経時的に計測するための温度計測装置2と接続されて使用されるものであり、半導体ウエハにより構成され基板処理装置の処理部に配設される温度測定用基板Wと、この温度測定用基板W上に複数の温度センサを配設するための複数のセンサホルダー3と、複数の温度センサの信号線と温度計測装置2とを接続する複数の中継線10と、複数の中継線10を束ねた束線20を温度測定用基板Wに固定する結線固定部5と、を備える。
【0023】
センサホルダー3は、温度センサ4を温度測定用基板Wに固定するとともに、温度センサ4の信号線41を中継線10と連結するために使用されるものであり、温度測定用基板W上に複数個(この実施形態においては9個)配設されている。中継線10は中央のセンサホルダー3付近で束ねられて束線20となり、結線固定部5において温度測定用基板Wに固定された上で、温度計測装置2に連結される。
【0024】
図2は、この発明の第1実施形態に係るセンサホルダー3を、温度センサ4等とともに示す図である。ここで、
図2における(b)は(a)のB-B断面を示し、(c)は(a)の側面を示し、(d)は(a)のA-A断面を示している。
【0025】
このセンサホルダー3は、温度測定用基板Wに形成された凹部90内に配置される温度センサ4を上部から覆った状態で、温度測定用基板Wに対して図示を省略した接着剤により接着されるものである。このセンサホルダー3は、プレート部31と、このプレート部31における温度測定用基板Wとは逆側に付設された支持部とを有する。この支持部は、プレート部31上に立設された支柱部34と、この支柱部34におけるプレート部31とは逆側の端部に形成されたフランジ部35とから構成される。プレート部31には、一対の大径の孔部32と多数の小径の孔部33とが形成されている。
【0026】
このセンサホルダー3は、三次元造形により作成されたセラミックから構成される。この三次元造形とは、セラミック3D造形とも呼称されるものであり、比較的小型のセンサホルダー3を精度よく作成することができる技術である。この三次元造形においては、最初に、攪拌機を用いてセラミック粉体とUV硬化樹脂を混ぜ合わせてスラリー状にした上で造形装置にセットする。そして、三次元CADデータをスライスデータに変換した上で、造型機で各層毎にスラリー材料を塗布し、レーザビームを照射して三次元造形物を作成する。そして、未硬化の樹脂を洗浄除去した上で、脱脂炉にて樹脂成分を除去した後、焼成して完成する。完成後のセンサホルダー3は、焼成済みのセラミックから構成されることから、高い耐熱性を有する。また、金属材料を使用しないことから、半導体装置等で問題となる金属汚染のリスクも小さくなる。
【0027】
なお、この実施形態に係る温度測定装置に使用される温度センサ4は、白金抵抗体を備えるものである。温度測定に一般的に使用される熱電対は、感温部が小さく実装が容易である反面、信号線が温度の影響を受けて誤差を生じやすいという欠点がある。これに対して、この実施形態に使用したような白金抵抗体を備えた温度センサ4は、その信号線41に対して3本または4本の導線11、12、13からなり、ポリイミド等の耐熱性樹脂で絶縁被覆された中継線10を使用することにより、導線抵抗の影響を小さくして高精度に温度測定を行うことが可能となる。
【0028】
このセンサホルダー3を使用して温度測定用基板W上に温度センサ4を固定するときには、温度測定用基板Wにおける凹部90内に温度センサ4を配置し、温度センサ4上にセンサホルダー3を配置する。そして、センサホルダー3のプレート部31に形成された多数の孔部33を利用して温度センサ4の位置を確認する。しかる後、プレート部31に形成された一対の孔部32から接着剤を注入する。そして、必要に応じ孔部32を利用して温度センサ4を温度測定用基板Wに向けて押圧する。
【0029】
このセンサホルダー3においては、接着剤の注入時に、プレート部31に形成された多数の孔部33から余剰の接着剤が吐出することから、接着剤の塗布量を確認して適量とすることが可能となる。また、プレート部31に形成された孔部33から接着剤が吸い上げられ、気泡が抜けやすいことから、接着強度を向上させることが可能となる。
【0030】
なお、センサホルダー3におけるプレート部31に形成された多数の孔部33は、センサホルダー3全体の熱容量を小さくして温度測定に対する影響を小さくする機能も有する。センサホルダー3の熱容量が問題となるときには、三次元造形時に格子構造等を採用することにより熱容量をさらに小さくすることも可能となる。
【0031】
温度センサ4における信号線41は、温度センサ4が固定される前にセンサホルダー3におけるプレート部31に形成されたいずれかの孔部33を介して温度測定用基板Wとは逆側に引き出される。そして、この信号線41は、支持部におけるフランジ部35に巻回された3本の導線11、12、13に巻き付けられ、それらと接続される。ここで、温度センサ4を温度測定用基板Wに接着する前に信号線41と3本の導線11、12、13とをフランジ部35に予め固定しておくことにより、組立作業時において信号線41や3本の導線11、12、13にストレスがかかることなく、容易に組み立て作業を実行することが可能となる。そして、信号線41と3本の導線11、12、13とが温度測定用基板Wの表面から離隔したセンサホルダー3におけるフランジ部35で連結されることから、絶縁性の問題や導線11、12、13からなる中継線10からの熱の影響等を防止することが可能となる。
【0032】
なお、温度センサ4とセンサホルダー3とを予め結合し、信号線41と3本の導線11、12、13とを予め連結しておくことにより、これらの抵抗値等を測定して結線不良の有無を予め確認することも可能となる。これにより、温度測定用基板W上での作業が減少し、汚染のリスクを低減することができる。また、このような構成を採用した場合には、断線等が生じた場合においても、温度センサ4とセンサホルダー3とを1セットとして修理することが可能となる。
【0033】
図3は、この発明の第2実施形態に係るセンサホルダー3を、温度センサ4等とともに示す図である。ここで、
図3における(b)は(a)のB-B断面を示し、(c)は(a)の側面を示し、(d)は(a)のA-A断面を示している。なお、上述した第1実施形態に係るセンサホルダー3と同様の部材については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0034】
この第2実施形態に係るセンサホルダー3は、プレート部31の下方に温度センサ4を収納する空間を形成した点が
図2に示すセンサホルダー3とは異なる。このような構成を採用することにより、温度測定用基板Wに対してザグリ加工等を実行して凹部を形成する必要がなくなる。このため、生産途中のウエハやガラス基板等からなる温度測定用基板Wに対して温度センサ4を貼り付けることにより温度測定装置を構成することが可能となる。
【0035】
図4は、
図1に示す結線固定部5の側断面図であり、
図5は、その束線20とメッシュ部材51等の配置を示す平面図である。なお、
図5においては、4本のネジ58のうちの3本のネジ58とプレート56とを取り除いた状態を示している。
【0036】
この結線固定部5は、複数の中継線10を束ねた束線20を温度測定用基板Wに固定するためのものであり、温度測定用基板W上に配設された金属製のメッシュ部材51と、複数の中継線10を束ねた束線20をメッシュ部材51との間で挟持するプレート56と、温度測定用基板Wとプレート56とを連結する連結部材としての4本のネジ58とを備える。ネジ58は、温度測定用基板Wに穿設された貫通孔とメッシュ部材51に形成された孔部59とを貫通し、プレート56に形成されたネジ孔と螺合する構成を有する。
【0037】
4本のネジ58のうちの1本のネジ58の回りには、例えば、ポリイミド被覆電線等の絶縁部材52が巻き付けられており、束線20は、その周囲に巻回された後、ワイヤ53により締結される。そして、この束線20は、メッシュ部材51とプレート56とにより挟持され、固定される。
【0038】
メッシュ部材51とプレート56とは、ステンレスにより構成される。ステンレスの熱伝導率は温度測定用基板Wを構成するシリコンの十分の一程度である。このように熱伝導率が低く、かつ、メッシュ構造により空間が多いメッシュ部材51を束線20と温度測定用基板Wとの間に介在させることにより、束線20が受ける熱の影響を小さなものとすることができる。この発明に係る温度測定装置が使用される熱処理装置のホットプレートにおいては、一般に、ホットプレート上部の空間は空気層であるためホットプレートの表面と比較して温度がかなり低い。そのため、介在する部材の熱伝導率を低くすることにより、束線20への熱の影響を小さくすることが可能となる。従って、この発明に係る温度測定装置を摂氏500度の条件下で使用した場合に、束線20を構成する中継線10の絶縁被覆としてポリイミド等の耐熱樹脂を使用することが可能となる。
【0039】
図6は、他の実施形態に係る結線固定部5の側断面図である。なお、
図4に示す実施形態に係る結線固定部5と同様の部材については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0040】
図4に示す実施形態においては、温度測定用基板Wに貫通孔を穿設しているが、金属汚染の問題等に対応するため、貫通孔を穿設したくない場合もある。この実施形態に係る結線固定部5においては、ネジ54を接着剤57により温度測定用基板Wに形成された凹部内に固定し、この接着剤57上にメッシュ部材51を配設した構成を有する。束線20は、メッシュ部材51とプレート56とにより挟持され、固定される。なお、この実施形態においては、ネジ54と螺合するナット55を使用しているが、
図4に示す実施形態と同様に、プレート56にネジ孔を形成してもよい。
【0041】
この実施形態のように、接着剤57を利用してネジ54を温度測定用基板Wに固定する場合において、摂氏500度程度の高温でも使用し得る接着剤57としては、例えば、アロンセラミック等のセラミック系接着剤が考えられる。このようなセラミック系接着剤は、一般的に弾性が低いことから、ネジ54を締め込むと接着部分に応力が付与され接着剤57が剥がれる現象が生じる。これに対し、この実施形態においては、メッシュ部材51の作用により、このような問題を改善することができる。メッシュ部材51は変形しやすいため、衝撃により接着剤57の部分的な剥離があっても、その部分が変形するだけで、全体が剥離することを防止することができる。特に、ネジ54の周辺の接着剤57が温度測定用基板Wから剥離しても、ネジ54はメッシュ部材51の全域で固定されていることから、それが束線20の固定に影響することはない。
【0042】
メッシュ部材51を使用した場合には、メッシュ部材51にかえて金属板を使用した場合と比較して、メッシュ部材51の柔軟性に富み、変形しやすい材質により束線20に対して生じた衝撃が接着剤57全体におよぶことを防止することができる。また、メッシュ部材51は接着剤57の吸込がよく、温度測定用基板Wの表面に対する強固な接着が可能となる。
【0043】
なお、上述した実施形態においては、フランジ部35に巻回された3本の導線11、12、13対して信号線41を巻き付けることにより、3本の導線11、12、13と信号線41とを支持部におけるフランジ部35に支持しているが、信号線41をフランジ部35に巻回してもよく、3本の導線11、12、13と信号線41の両方をフランジ部35に巻回してもよい。また、3本の導線11、12、13または信号線41の少なくとも一方を支持部と連結すること等により、支持部により3本の導線11、12、13と信号線41とを支持する構成を採用してもよい。
【0044】
また、上述した実施形態においては、いずれも、温度測定用基板Wとして半導体ウエハにより構成されたものを使用しているが、その他の基板を利用したものを採用してもよい。
【符号の説明】
【0045】
2 温度計測装置
3 センサホルダー
4 温度センサ
5 結線固定部
10 中継線
11 導線
12 導線
13 導線
20 束線
31 プレート部
32 孔部
33 孔部
34 支柱部
35 フランジ部
41 信号線
51 メッシュ部材
54 ネジ
55 ナット
56 プレート
58 ネジ
W 温度測定用基板