(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-27
(45)【発行日】2022-11-07
(54)【発明の名称】交通システム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20221028BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20221028BHJP
【FI】
G08G1/00 X
G08G1/09 H
(21)【出願番号】P 2018137329
(22)【出願日】2018-07-23
【審査請求日】2021-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】504171134
【氏名又は名称】国立大学法人 筑波大学
(74)【代理人】
【識別番号】100091443
【氏名又は名称】西浦 ▲嗣▼晴
(72)【発明者】
【氏名】加藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】長谷部 浩二
(72)【発明者】
【氏名】川本 雅之
【審査官】武内 俊之
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-264209(JP,A)
【文献】特開2018-010574(JP,A)
【文献】特開2016-128997(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00
G08G 1/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原動機を搭載して運転手によって運転されるか又は自動で運転される電子連結された複数の自走体が、先頭を移動する先頭自走体と前記先頭自走体に追随する1以上の後続自走体に分かれて、1つの自走体列を構成しており、
複数の前記自走体列が、運行経路に含まれるすべての停留所で停留する1以上の普通自走体列と、1以上の停留所を通過する1以上の特別自走体列を少なくとも含んでおり、
前記普通自走体列の前記1以上の後続自走体には、前記先頭自走体の目的地に至るまでの途中の停留所から該停留所を通過する前記特別自走体列に追従する1以上の追従後続自走体が含まれており、
前記普通自走体列の前記先頭自走体及び/または前記1以上の追従後続自走体は通信機能を有する追従可否判断部を有しており、
前記特別自走体列の前記1以上の後続自走体には、前記先頭自走体の目的地に至るまでの途中の停留所において前記普通自走体列に追従する1以上の追従後続自走体が含まれており、
前記特別自走体列の前記先頭自走体及び/または前記1以上の追従後続自走体は通信機能を有する追従可否判断部を有しており、
前記途中の停留所に到達する前に設定した予め定めた長さの検知区間に、少なくとも前記特別自走体列が存在していることを検知する検知手段と、
前記検知手段の検知結果を前記特別自走体列よりも前にいて前記途中の停留所に停留しているまたは停留予定の前記普通自走体列中の前記追従可否判断部に追従指令信号を発信する指令信号発生部を備え、
前記普通自走体列の前記先頭自走体及び/または前記1以上の追従後続自走体の前記追従可否判断部は、前記指令信号発生部から前記追従指令信号を受信すると、追従の可否の情報を含むリターン信号を前記特別自走体列の前記先頭自走体及び/または前記1以上の追従後続自走体の前記追従可否判断部に送信し、
前記追従指令信号を受信すると、前記普通自走体列の前記先頭自走体及び/または前記1以上の追従後続自走体は被追従準備及び追従準備を開始し、
前記リターン信号を受信すると、前記特別自走体列の前記先頭自走体及び/または前記1以上の追従後続自走体は追従準備及び被追従準備を開始することを特徴とする交通システム。
【請求項2】
原動機を搭載して運転手によって運転されるか又は自動で運転される電子連結された複数の自走体が、先頭を移動する先頭自走体と前記先頭自走体に追随する1以上の後続自走体に分かれて、1つの自走体列を構成しており、
複数の前記自走体列が、運行経路に含まれるすべての停留所で停留する1以上の普通自走体列と、1以上の停留所を通過する1以上の特別自走体列を少なくとも含んでおり、
前記普通自走体列の前記1以上の後続自走体には、前記先頭自走体の目的地に至るまでの途中の停留所から該停留所を通過する前記特別自走体列に追従する1以上の追従後続自走体が含まれており、
前記普通自走体列の前記先頭自走体及び/または前記1以上の追従後続自走体は通信機能を有する追従可否判断部を有しており、
前記特別自走体列の前記先頭自走体は通信機能を有する追従可否判断部を有しており、
前記途中の停留所に到達する前に設定した予め定めた長さの検知区間に、少なくとも前記特別自走体列が存在していることを検知する検知手段と、
前記検知手段の検知結果を前記特別自走体列よりも前にいて前記途中の停留所に停留しているまたは停留予定の前記普通自走体列中の前記追従可否判断部に追従指令信号を発信する指令信号発生部を備え、
前記普通自走体列の前記先頭自走体及び/または前記1以上の追従後続自走体の前記追従可否判断部は、前記指令
信号発生部から前記追従指令信号を受信すると、追従の可否の情報を含むリターン信号を前記特別自走体列の前記先頭自走体の前記追従可否判断部に送信し、
前記追従指令信号を受信すると、前記普通自走体列の前記先頭自走体及び/または前記1以上の追従後続自走体は追従準備を開始し、
前記リターン信号を受信すると、前記特別自走体列の前記先頭自走体は被追従準備を開始することを特徴とする交通システム。
【請求項3】
原動機を搭載して運転手によって運転されるか又は自動で運転される電子連結された複数の自走体が、先頭を移動する先頭自走体と前記先頭自走体に追随する1以上の後続自走体に分かれて、1つの自走体列を構成しており、
複数の前記自走体列が、運行経路に含まれるすべての停留所で停留する1以上の普通自走体列と、1以上の停留所を通過する1以上の特別自走体列を少なくとも含んでおり、
前記普通自走体列の前記先頭自走体は通信機能を有する追従可否判断部を有しており、
前記特別自走体列の前記1以上の後続自走体には、前記先頭自走体の目的地に至るまでの途中の停留所において前記普通自走体列に追従する1以上の追従後続自走体が含まれており、
前記特別自走体列の前記先頭自走体及び/または前記1以上の追従後続自走体は通信機能を有する追従可否判断部を有しており、
前記途中の停留所に到達する前に設定した予め定めた長さの検知区間に、少なくとも前記特別自走体列が存在していることを検知する検知手段と、
前記検知手段の検知結果を前記特別自走体列よりも前にいて前記途中の停留所に停留しているまたは停留予定の前記普通自走体列中の前記追従可否判断部に追従指令信号を発信する指令信号発生部を備え、
前記普通自走体列の前記先頭自走体の前記追従可否判断部は、前記指令
信号発生部から前記追従指令信号を受信すると、追従の可否の情報を含むリターン信号を前記特別自走体列の前記先頭自走体及び/または前記1以上の追従後続自走体の前記追従可否判断部に送信し、
前記追従指令信号を受信すると、前記普通自走体列の前記先頭自走体は被追従準備を開始し、
前記リターン信号を受信すると、前記特別自走体列の前記先頭自走体及び/または前記1以上の追従後続自走体は追従準備を開始することを特徴とする交通システム。
【請求項4】
前記検知手段及び前記指令信号発生部が、前記特別自走体列の前記先頭自走体及び/または前記1以上の追従後続自走体に装備されている請求項1乃至3のいずれか1項に記載の交通システム。
【請求項5】
前記検知手段及び前記指令信号発生部が、前記検知区間に固定されている請求項1乃至3のいずれか1項に記載の交通システム。
【請求項6】
前記指令信号発生部は、前記リターン信号を受信するまでは、周期的に前記追従指令信号を発信する請求項1乃至5のいずれか1項に記載の交通システム。
【請求項7】
前記指令信号発生部は、前記検知手段が前記特別自走体列が前記検知区間に入ったことを検出してから特別自走体列が検知区間を出ることを検出するまで、前記追従指令信号を発信する請求項1乃至5のいずれか1項に記載の交通システム。
【請求項8】
前記運行経路は、自走体専用道路であり、前記停留所はパーキングである請求項1乃至5のいずれか1項に記載の交通システム。
【請求項9】
前記普通自走体列の前記先頭自走体及び/または前記追従後続自走体に装備される追従可否判断部は、前記特別自走体列が前記途中の停留所を通過する時刻までに前記普通自走体列の前記追従後続自走体の追従準備ができるか否かを判断する請求項1または2に記載の交通システム。
【請求項10】
前記リターン信号を受信すると、前記特別自走体列の前記先頭自走体及び/または前記1以上の追従後続自走体は、前記1以上の追従後続自走体が前記途中の停留所に入るための準備を開始することを特徴とする請求項1または3に記載の交通システム。
【請求項11】
原動機を搭載して運転手によって運転されるか又は自動で運転される電子連結された複数の自走体が、先頭を移動する先頭自走体と前記先頭自走体に追随する1以上の後続自走体に分かれて、1つの自走体列を構成しており、
複数の前記自走体列が、運行経路に含まれるすべての停留所で停留する1以上の普通自走体列と、1以上の停留所を通過する1以上の特別自走体列を少なくとも含んでおり、
前記普通自走体列の前記1以上の後続自走体には、前記先頭自走体の目的地に至るまでの途中の停留所から該停留所を通過する前記特別自走体列に追従する1以上の追従後続自走体が含まれており、
前記普通自走体列の前記先頭自走体及び/または前記1以上の追従後続自走体は通信機能を有する追従可否判断部を有しており、
前記特別自走体列の前記1以上の後続自走体には、前記先頭自走体の目的地に至るまでの途中の停留所において前記普通自走体列に追従する1以上の追従後続自走体が含まれており、
前記特別自走体列の前記先頭自走体及び/または前記1以上の追従後続自走体は通信機能を有する追従可否判断部を有しており、
さらに前記途中の停留所に到達する前に設定した予め定めた長さの検知区間に、少なくとも前記特別自走体列が存在していることを検知する検知手段と、
前記検知手段の検知結果を前記特別自走体列よりも前にいて前記途中の停留所に停留しているまたは停留予定の前記普通自走体列中の前記追従可否判断部に追従指令信号を発信する指令信号発生部と、
前記途中の停留所に配置されて、前記追従指令信号を受信したときに、前記途中の停留所に停留している前記普通自走体列が存在しない場合及び停留予定の前記普通自走体列が無い場合には、前記特別自走体列の前記先頭自走体及び/または前記1以上の追従後続自走体の前記追従可否判断部に、仮想の追従可能な普通自走体列があることを示す仮想リターン信号を発信する仮想リターン信号発生部を備え、
前記普通自走体列の前記先頭自走体及び/または前記1以上の追従後続自走体の前記追従可否判断部は、前記指令
信号発生部から前記追従指令信号を受信すると、追従の可否の情報を含むリターン信号を前記特別自走体列の前記先頭自走体及び/または前記1以上の追従後続自走体の前記追従可否判断部に送信し、
前記追従指令信号を受信すると、前記普通自走体列の前記先頭自走体及び/または前記1以上の追従後続自走体は被追従準備及び追従準備を開始し、
前記リターン信号または前記仮想リターン信号を受信すると、前記特別自走体列の前記先頭自走体及び/または前記1以上の追従後続自走体は追従準備及び被追従準備を開始することを特徴とする交通システム。
【請求項12】
原動機を搭載して運転手によって運転されるか又は自動で運転される電子連結された複数の自走体が、先頭を移動する先頭自走体と前記先頭自走体に追随する1以上の後続自走体に分かれて、1つの自走体列を構成しており、
複数の前記自走体列が、運行経路に含まれるすべての停留所で停留する1以上の普通自走体列と、1以上の停留所を通過する1以上の特別自走体列を少なくとも含んでおり、
前記普通自走体列の前記1以上の後続自走体には、前記先頭自走体の目的地に至るまでの途中の停留所から該1以上の停留所を通過する前記特別自走体列に追従する1以上の追従後続自走体が含まれており、
前記普通自走体列の前記先頭自走体及び/または前記1以上の追従後続自走体は通信機能を有する追従可否判断部を有しており、
前記特別自走体列の前記先頭自走体は通信機能を有する追従可否判断部を有しており、
さらに前記途中の停留所に到達する前に設定した予め定めた長さの検知区間に、少なくとも前記特別自走体列が存在していることを検知する検知手段と、
前記検知手段の検知結果を前記特別自走体列よりも前にいて前記途中の停留所に停留しているまたは停留予定の前記普通自走体列中の前記追従可否判断部に追従指令信号を発信する指令信号発生部と、
前記途中の停留所に配置されて、前記追従指令信号を受信したときに、前記途中の停留所に停留している前記普通自走体列が存在しない場合及び停留予定の前記普通自走体列が無い場合には、前記特別自走体列の前記先頭自走体及び/または前記1以上の追従後続自走体の前記追従可否判断部に、仮想の追従可能な普通自走体列があることを示す仮想リターン信号を発信する仮想リターン信号発生部を備え、
前記普通自走体列の前記先頭自走体及び/または前記1以上の追従後続自走体の前記追従可否判断部は、前記指令
信号発生部から前記追従指令信号を受信すると、追従の可否の情報を含むリターン信号を前記特別自走体列の前記先頭自走体の前記追従可否判断部に送信し、
前記追従指令信号を受信すると、前記普通自走体列の前記先頭自走体及び/または前記1以上の追従後続自走体は追従準備を開始し、
前記リターン信号を受信すると、前記特別自走体列の前記先頭自走体は被追従準備を開始し、前記仮想リターン信号を受信すると、前記特別自走体列の前記先頭自走体は被追従準備をしないことを特徴とする交通システム。
【請求項13】
原動機を搭載して運転手によって運転されるか又は自動で運転される電子連結された複数の自走体が、先頭を移動する先頭自走体と前記先頭自走体に追随する1以上の後続自走体に分かれて、1つの自走体列を構成しており、
複数の前記自走体列が、運行経路に含まれるすべての停留所で停留する1以上の普通自走体列と、1以上の停留所を通過する1以上の特別自走体列を少なくとも含んでおり、
前記普通自走体列の前記先頭自走体は通信機能を有する追従可否判断部を有しており、
前記特別自走体列の前記1以上の後続自走体には、前記先頭自走体の目的地に至るまでの途中の停留所において前記普通自走体列に追従する1以上の追従後続自走体が含まれており、
前記特別自走体列の前記先頭自走体及び/または前記1以上の追従後続自走体は通信機能を有する追従可否判断部を有しており、
また前記途中の停留所に到達する前に設定した予め定めた長さの検知区間に、少なくとも前記特別自走体列が存在していることを検知する検知手段と、
前記検知手段の検知結果を前記特別自走体列よりも前にいて前記途中の停留所に停留しているまたは停留予定の前記普通自走体列中の前記追従可否判断部に追従指令信号を発信する指令信号発生部と、
前記途中の停留所に配置されて、前記追従指令信号を受信したときに、前記途中の停留所に停留している前記普通自走体列が存在しない場合及び停留予定の前記普通自走体列が無い場合には、前記特別自走体列の前記先頭自走体及び/または前記1以上の追従後続自走体の前記追従可否判断部に、仮想の追従可能な普通自走体列があることを示す仮想リターン信号を発信する仮想リターン信号発生部を備え、
前記普通自走体列の前記先頭自走体の前記追従可否判断部は、前記指令
信号発生部から前記追従指令信号を受信すると、追従の可否の情報を含むリターン信号を前記特別自走体列の前記先頭自走体及び/または前記1以上の追従後続自走体の前記追従可否判断部に送信し、
前記追従指令信号を受信すると、前記普通自走体列の前記先頭自走体は被追従準備を開始し、
前記リターン信号または前記仮想リターン信号を受信すると、前記特別自走体列の前記先頭自走体及び/または前記1以上の追従後続自走体は追従準備を開始することを特徴とする交通システム。
【請求項14】
原動機を搭載して、運転指令発生部から指令される運転スケジュールに従って運転手によって運転されるか又は自動で運転される電子連結された複数の自走体が、先頭を移動する先頭自走体と前記先頭自走体に追随する1以上の後続自走体に分かれて、1つの自走体列を構成しており、
複数の前記自走体列が、運行経路に含まれるすべての停留所で停留する1以上の普通自走体列と、1以上の停留所を通過する1以上の特別自走体列を少なくとも含んでおり、
前記普通自走体列の前記1以上の後続自走体には、前記先頭自走体の目的地に至るまでの途中の停留所から該1以上の停留所を通過する前記特別自走体列に追従する1以上の追従後続自走体が含まれており、
前記普通自走体列の前記先頭自走体及び/または前記1以上の追従後続自走体は通信機能を有する追従可否判断部を有しており、
前記特別自走体列の前記1以上の後続自走体には、前記先頭自走体の目的地に至るまでの途中の停留所において前記普通自走体列に追従する1以上の追従後続自走体が含まれており、
前記特別自走体列の前記先頭自走体及び/または前記1以上の追従後続自走体は通信機能を有する追従可否判断部を有しており、
さらに前記途中の停留所に到達する前に設定した予め定めた長さの検知区間に、少なくとも前記特別自走体列が存在していることを検知する検知手段と、
前記検知手段の検知結果を前記特別自走体列よりも前にいて前記途中の停留所に停留しているまたは停留予定の前記普通自走体列中の前記追従可否判断部または前記運転指令発生部に追従指令信号を発信する指令信号発生部を備え、
前記運転指令発生部は、前記追従指令信号を受信したときに、前記途中の停留所に停留している前記普通自走体列が存在しない場合及び停留予定の前記普通自走体列が無い場合には、前記特別自走体列の前記先頭自走体及び/または前記1以上の追従後続自走体の前記追従可否判断部に、仮想の追従可能な普通自走体列があることを示す仮想リターン信号を発信する仮想リターン信号発生部を備え、
前記普通自走体列の前記先頭自走体及び/または前記1以上の追従後続自走体の前記追従可否判断部は、前記指令
信号発生部から前記追従指令信号を受信すると、追従の可否の情報を含むリターン信号を前記特別自走体列の前記先頭自走体及び/または前記1以上の追従後続自走体の前記追従可否判断部に送信し、
前記追従指令信号を受信すると、前記普通自走体列の前記先頭自走体及び/または前記1以上の追従後続自走体は被追従準備及び追従準備を開始し、
前記リターン信号または前記仮想リターン信号を受信すると、前記特別自走体列の前記先頭自走体及び/または前記1以上の追従後続自走体は追従準備及び被追従準備を開始することを特徴とする交通システム。
【請求項15】
原動機を搭載して、運転指令発生部から指令される運転スケジュールに従って運転手によって運転されるか又は自動で運転される電子連結された複数の自走体が、先頭を移動する先頭自走体と前記先頭自走体に追随する1以上の後続自走体に分かれて、1つの自走体列を構成しており、
複数の前記自走体列が、運行経路に含まれるすべての停留所で停留する1以上の普通自走体列と、1以上の停留所を通過する1以上の特別自走体列を少なくとも含んでおり、
前記普通自走体列の前記1以上の後続自走体には、前記先頭自走体の目的地に至るまでの途中の停留所から該1以上の停留所を通過する前記特別自走体列に追従する1以上の追従後続自走体が含まれており、
前記普通自走体列の前記先頭自走体及び/または前記1以上の追従後続自走体は通信機能を有する追従可否判断部を有しており、
前記特別自走体列の前記先頭自走体は通信機能を有する追従可否判断部を有しており、
さらに前記途中の停留所に到達する前に設定した予め定めた長さの検知区間に、少なくとも前記特別自走体列が存在していることを検知する検知手段と、
前記検知手段の検知結果を前記特別自走体列よりも前にいて前記途中の停留所に停留しているまたは停留予定の前記普通自走体列中の前記追従可否判断部または前記運転指令発生部に追従指令信号を発信する指令信号発生部を備え、
前記運転指令発生部は、前記追従指令信号を受信したときに、前記途中の停留所に停留している前記普通自走体列が存在しない場合及び停留予定の前記普通自走体列が無い場合には、前記特別自走体列の前記先頭自走体及び/または前記1以上の追従後続自走体の前記追従可否判断部に、仮想の追従可能な普通自走体列があることを示す仮想リターン信号を発信する仮想リターン信号発生部を備え、
前記普通自走体列の前記先頭自走体及び/または前記1以上の追従後続自走体の前記追従可否判断部は、前記指令
信号発生部から前記追従指令信号を受信すると、追従の可否の情報を含むリターン信号を前記特別自走体列の前記先頭自走体の前記追従可否判断部に送信し、
前記追従指令信号を受信すると、前記普通自走体列の前記先頭自走体及び/または前記1以上の追従後続自走体は追従準備を開始し、
前記リターン信号を受信すると、前記特別自走体列の前記先頭自走体は被追従準備を開始し、前記仮想リターン信号を受信すると、前記特別自走体列の前記先頭自走体は被追従準備をしないことを特徴とする交通システム。
【請求項16】
原動機を搭載して、運転指令発生部から指令される運転スケジュールに従って運転手によって運転されるか又は自動で運転される電子連結された複数の自走体が、先頭を移動する先頭自走体と前記先頭自走体に追随する1以上の後続自走体に分かれて、1つの自走体列を構成しており、
複数の前記自走体列が、運行経路に含まれるすべての停留所で停留する1以上の普通自走体列と、1以上の停留所を通過する1以上の特別自走体列を少なくとも含んでおり、
前記普通自走体列の前記先頭自走体は通信機能を有する追従可否判断部を有しており、
前記特別自走体列の前記1以上の後続自走体には、前記先頭自走体の目的地に至るまでの途中の停留所において前記普通自走体列に追従する1以上の追従後続自走体が含まれており、
前記特別自走体列の前記先頭自走体及び/または前記1以上の追従後続自走体は通信機能を有する追従可否判断部を有しており、
また前記途中の停留所に到達する前に設定した予め定めた長さの検知区間に、少なくとも前記特別自走体列が存在していることを検知する検知手段と、
前記検知手段の検知結果を前記特別自走体列よりも前にいて前記途中の停留所に停留しているまたは停留予定の前記普通自走体列中の前記追従可否判断部に追従指令信号を発信する指令信号発生部を備え、
前記運転指令発生部は、前記追従指令信号を受信したときに、前記途中の停留所に停留している前記普通自走体列が存在しない場合及び停留予定の前記普通自走体列が無い場合には、前記特別自走体列の前記先頭自走体及び/または前記1以上の追従後続自走体の前記追従可否判断部に、仮想の追従可能な普通自走体列があることを示す仮想リターン信号を発信する仮想リターン信号発生部を備え、
前記普通自走体列の前記先頭自走体の前記追従可否判断部は、前記指令
信号発生部から前記追従指令信号を受信すると、追従の可否の情報を含むリターン信号を前記特別自走体列の前記先頭自走体及び/または前記1以上の追従後続自走体の前記追従可否判断部に送信し、
前記追従指令信号を受信すると、前記普通自走体列の前記先頭自走体は被追従準備を開始し、
前記リターン信号または前記仮想リターン信号を受信すると、前記特別自走体列の前記先頭自走体及び/または前記1以上の追従後続自走体は追従準備を開始することを特徴とする交通システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原動機を搭載して運転手によって運転されるか又は自動で運転される複数の自走体により1つの自走体列を構成する交通システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特開2000-264209号公報(特許文献1)には、都市間を結ぶ単線方式の専用路線と、この専用路線に都市毎に設けられた駅部と、専用路線の駅部間に所要の間隔をおいて設けられたすれ違い部と、このすれ違い部及び駅部にそれぞれ設けられ、走行車両と制御情報の授受をスポット通信で行う非接触式の通信手段と、車両の運行ダイヤを作成し、走行車両に進路指令・出発指令の管制制御をスポット通信を介して行なう管制制御システムと、専用路線上を走行する車両の運転を保安制御する走行制御システムを備えた車両交通システムが開示されている。この管制制御システムは、同じ編成の隊列走行運転ができるように複数の車両に同一編成認識番号を割り付ける。そして同一編成認識番号が割り付けられた複数の車両は電子連結されて走行制御システムにより閉塞制御運転される。具体的には、管制制御システムにより車両に編成認識番号(編成ID)を割り付けたり、また、走行途中の車両に編成IDを切り換えて新しい編成IDを付したり、さらに、待避中の車両の編成IDを切り換えて新しい編成IDを付すことにより、走行制御システムは隊列を組む合流車両に本線走行車両と同じ編成IDを付与して合流せしめたり、編成IDを変更して隊列走行車両の編成を切り換えること可能にしている。
【0003】
特開2018-37309号公報(特許文献2)には、先頭自走車の目的地と同じ目的地に移動するか又は先頭自走車の目的地に至るまでの途中までは同じ経路を通る目的地へ移動する1台以上の後続自走車を相互に機械的に連結することなく、電子連結により追従させて移動する交通システムが開示されている。この交通システムでは、運行指令発生部で発生した障害により、運行経路が複数の自走車のすべてに対して与えられない緊急事態が発生したときに、交差点に設置されている暫定運行経路付与装置が、予め定められた複数の暫定運行経路中の一つの暫定運行経路を、1以上の交差点に到達した先頭自走車に与えている。
【0004】
また電子連結に関連する技術については、論文にも個々の技術が発表されている(例えば、非特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2000-264209号公報
【文献】特開2018-37309号公報
【非特許文献】
【0006】
【文献】大森舞人、矢野博明及び川本雅之著「複数の車両の電子連結に伴う運転手への力覚フィードバック」[第21回日本バーチャルリアリティ学会論文集(2016年9月)の13C-01]
【文献】大森舞人、矢野博明及び川本雅之著「電子連結車両システムにおける後続車両の状態知覚」[第22回日本バーチャルリアリティ学会論文集(2017年9月)の2C2-01]
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1及び2に示された機械的に連結されずに電子連結される複数の自走車からなる複数の自走体列に、特に、運行経路に含まれるすべての停留所で停留する1以上の普通自走体列と、1以上の停留所を通過する1以上の特別自走体列がある場合に、他の自走体列に含まれる自走車を連結する作業または切り離す作業を、可能な限りスムーズに行うことができるようにすることについては、従来、十分な検討がなされていない。
【0008】
本発明の目的は、電子連結された複数の自走体からなる複数の自走体列に、1以上の普通自走体列と1以上の特別自走体列があるときに、他の自走体列に含まれる追従後続自走体を電子連結する作業または電子連結切離作業を、スムーズに行うことができる交通システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の交通システムでは、原動機を搭載して運転手によって運転されるか又は自動で運転される電子連結された複数の自走体が、先頭を移動する先頭自走体と前記先頭自走体に追随する1以上の後続自走体に分かれて、1つの自走体列を構成する。本願明細書において、自走体とは、いわゆるレールの上を走行する自走式の電車でも、また道路を走る自走式の自走体であっても、また水上または水中を走る自走式の船舶であってもよい。また原動機とは、内燃機関、モータ等のように動力を発生するものである。自走体が電車の場合、停留所は駅であり、自走体が自動車の場合、停留所はパーキングまたはサービスエリアであり、自走体が船舶の場合、停留所は港または桟橋である。
【0010】
また本願明細書において「電子連結」とは、機械式の連結手段によらずに、複数の走行体が走行体列を構成して走行できるように前後の走行体を動作上連結状態にするものである。公知の「電子連結」の例では、撮像装置(カメラ)の出力の画像解析や、ミリ波レーダ等のように周囲の物との距離を測定する距離センサを用いて前後に位置する走行体間の距離を予め定めた距離範囲内に維持してあたかも機械的に連結されているように、走行体列を構成する自走体を自動運転する電子連結の技術がある。この電子連結の技術には、例えば、始動初期、カーブを曲がるとき、高速運転時において、前後の走行体間の距離を変える場合も含まれる。また電子連結の技術には、始動時から停止時までの間、前後の走行体を同じ加速度で加速または減速することにより同期運転する電子連結の技術もある。いずれにしても、本発明を実施するに当たって、本発明は特定の電子連結を用いる場合に限定されるものではない。
【0011】
複数の自走体列は、運行経路に含まれるすべての停留所で停留する1以上の普通自走体列と、1以上の停留所を通過する1以上の特別自走体列を少なくとも含んでいる。普通自走体列の1以上の後続自走体には、先頭自走体の目的地に至るまでの途中の停留所から該停留所を通過する特別自走体列に追従する1以上の追従後続自走体が含まれている。そして普通自走体列の先頭自走体及び/または1以上の追従後続自走体は通信機能を有する追従可否判断部を有している。また特別自走体列の1以上の後続自走体には、先頭自走体の目的地に至るまでの途中の停留所において普通自走体列に追従する1以上の追従後続自走体が含まれている。そして特別自走体列の先頭自走体及び/または1以上の追従後続自走体は通信機能を有する追従可否判断部を有している。さらに本交通システムは、途中の停留所に到達する前に設定した予め定めた長さの検知区間に、少なくとも特別自走体列が存在していることを検知する検知手段と、検知手段の検知結果を特別自走体列よりも前にいて途中の停留所に停留しているまたは停留予定の普通自走体列中の追従可否判断部に追従指令信号を発信する指令信号発生部を備えている。普通自走体列の先頭自走体及び/または1以上の追従後続自走体の追従可否判断部は、指令信号発生部から追従指令信号を受信すると、追従の可否の情報を含むリターン信号を特別自走体列の先頭自走体及び/または1以上の追従後続自走体の追従可否判断部に送信する。追従指令信号を受信すると、普通自走体列の先頭自走体及び/または1以上の追従後続自走体は被追従準備及び追従準備を開始する。またリターン信号を受信すると、特別自走体列の先頭自走体及び/または1以上の追従後続自走体は追従準備及び被追従準備を開始する。
【0012】
本願明細書において、「被追従準備」とは、普通自走体列であれば、普通自走体列の最後尾または途中に、特別自走体列から切り離された1以上の追従後続自走体を電子連結するために必要な準備(例えば、特別自走体列の1以上の追従後続自走体を電子連結するために必要なスペースの確保のための自走体の移動や、普通自走体列の自走体と特別自走体列の1以上の追従後続自走体との間での相互通信の開始等)をすることを意味する。また特別自走体列であれば、「被追従準備」は、特別自走体列の最後尾に、途中の停留所に停留している普通自走体列に含まれていた1以上の追従後続自走体を電子連結するために必要な準備(例えば、停留所に近づいたら特別自走体列の速度を低下させることや、特別自走体列の自走体と停留所にいる1以上の追従後続自走体との間の相互通信の開始等)をすることを意味する。さらに本願明細書において、「追従準備」とは、普通自走体列であれば、例えば、普通自走体列に含まれていた1以上の追従後続自走体を、停留所を通過する特別自走体列の最後尾に電子連結させるために1以上の追従後続自走体を停留所の出口近くに移動させて、追従を可能にすることや、特別自走体列の少なくとも先頭自走体と通信を開始する等を意味する。また特別自走体列であれば、「追従準備」とは、例えば、停留所の前で、1以上の追従後続自走体の電子連結を解除して、1以上の追従後続自走体が停留所にスムーズに入ることができるようにすることや、普通自走体列の少なくとも先頭自走体との間で相互通信を開始すること等を意味する。
【0013】
本発明では、検知手段が途中の停留所に到達する前に設定した予め定めた長さの検知区間に、少なくとも特別自走体列が存在していることを検知すると、指令信号発生部が特別自走体列よりも前にいて途中の停留所に停留しているまたは停留予定の普通自走体列中の追従可否判断部に追従指令信号を発信する。このようにすると特別自走体列が停留所の近くに来ていることを普通自走体列中の普通自走体列の先頭自走体及び/または1以上の追従後続自走体に事前に知らせることができる。その結果、普通自走体列の先頭自走体及び/または1以上の追従後続自走体は、余裕を持って被追従準備及び追従準備を開始することができる。また追従の可否の情報を含むリターン信号を特別自走体列の先頭自走体及び/または1以上の追従後続自走体の追従可否判断部が受信すると、特別自走体列の先頭自走体及び/または1以上の追従後続自走体は、余裕を持って被追従準備及び追従準備を開始することができる。本発明では、追従指令信号及びリターン信号の送受信を、普通自走体列中の先頭自走体及び/または1以上の追従後続自走体と、特別自走体列中の先頭自走体及び/または1以上の追従後続自走体との間で直接行うので、運転指令発生部からの指令を必要とすることなく、現実の状況に応じて、電子連結する作業または電子連結切離作業を、スムーズに行うことができる。
【0014】
上記の交通システムでは普通自走体列と特別自走体列のそれぞれ追従後続自走体が電子連結されている場合であるが、普通自走体列だけに追従後続自走体が電子連結されている場合においても、本発明を適用することができる。その場合には、普通自走体列の1以上の後続自走体には、先頭自走体の目的地に至るまでの途中の停留所から該停留所を通過する特別自走体列に追従する1以上の追従後続自走体が含まれている。そして普通自走体列の先頭自走体及び/または1以上の追従後続自走体の追従可否判断部は、指令信号発生部から追従指令信号を受信すると、追従の可否の情報を含むリターン信号を特別自走体列の先頭自走体の追従可否判断部に送信する。追従指令信号を受信すると、普通自走体列の先頭自走体及び/または1以上の追従後続自走体は追従準備を開始し、リターン信号を受信すると、特別自走体列の先頭自走体は被追従準備を開始する。
【0015】
上記の交通システムでは普通自走体列と特別自走体列のそれぞれ追従後続自走体が電子連結されている場合であるが、特別自走体列だけに追従後続自走体が電子連結されている場合においても、本発明を適用することができる。その場合には、特別自走体列の1以上の後続自走体には、先頭自走体の目的地に至るまでの途中の停留所において普通自走体列に追従する1以上の追従後続自走体が含まれている。普通自走体列の先頭自走体の追従可否判断部は、指令信号発生部から追従指令信号を受信すると、追従の可否の情報を含むリターン信号を特別自走体列の前記先頭自走体及び/または1以上の追従後続自走体の追従可否判断部に送信する。そして追従指令信号を受信すると、普通自走体列の先頭自走体は被追従準備を開始する。またリターン信号を受信すると、特別自走体列の先頭自走体及び/または1以上の追従後続自走体は追従準備を開始する。
【0016】
検知手段及び指令信号発生部は、特別自走体列の先頭自走体及び/または1以上の追従後続自走体に装備されていてもよい。この場合には、特別自走体列の先頭自走体及び/または1以上の追従後続自走体に受信器、受光器、ホール素子等の磁気検知器等を装備し、検知区間の入口部と出口部に発信器、発光器、永久磁石等の磁気発生器等を設置して、検知区間内に特別自走体列が存在していることを検知する検知手段を構成することができる。指令信号発生部が、特別自走体列に設置されると、指令信号に特別自走体列を識別するための情報を含めて指令信号を発生することができる。
【0017】
また検知手段及び指令信号発生部が、検知区間に固定されていてもよい。この場合には、例えば、検知区間の入口部と出口部に運行通路を間にして発光器と受光器とを設置し、自走体の通過に伴う光の遮断を検知することにより、検知区間内に特別自走体列が存在していることを検知する検知手段を構成することができる。検知手段及び指令信号発生部が、検知区間に固定されていれば、すべての自走体列にこれらの手段を設置する必要がなくなる。検知手段の構成は、その他の公知の検知素子を検知区間の入口部と出口部に設置してもよいのは勿論である。
【0018】
指令信号発生部は、リターン信号を受信するまでは、周期的に追従指令信号を発信してもよく、また指令信号発生部は、特別自走体列が検知区間に入ったことを検出してから特別自走体列が検知区間を出ることを検知手段が検出するまで、追従指令信号を発信するようにしてもよい。指令信号発生部が指令信号を発生する態様は、特別自走体列が検知区間にいることを知らせることができるものであれば、任意である。指令信号発生部が採用する通信方式は、公知の通信方式のどのような通信方式を採用してもよい。
【0019】
また運行経路は、自走体専用道路であれば、最も安全性を高めることができる。
【0020】
普通自走体列の先頭自走体及び/または追従後続自走体に装備される追従可否判断部は、特別自走体列が途中の停留所を通過する時刻までに普通自走体列の追従後続自走体の追従準備ができるか否かを判断する。準備ができていれば、その旨の情報を含むリターン信号を発信し、準備ができない場合には、そのことを示す情報をリターン信号に含める。
【0021】
リターン信号を受信すると、特別自走体列の先頭自走体及び/または1以上の追従後続自走体は、1以上の追従後続自走体が途中の停留所に入るための準備を開始すればよい。
【0022】
普通自走体列と特別自走体列の運行状況によっては、特別自走体列が検知区間に入ったときに、途中の停留所に普通自走体列がいない場合もある。そこでこのようなことが想定される場合においては、仮想リターン信号発生部を途中の停留所に配置してもよい。仮想リターン信号発生部は、追従指令信号を受信したときに、途中の停留所に停留している普通自走体列が存在しない場合及び停留予定の普通自走体列が無い場合には、特別自走体列の先頭自走体及び/または1以上の追従後続自走体の追従可否判断部に、仮想の追従可能な普通自走体列があることを示す仮想リターン信号を発信する。
【0023】
リターン信号または仮想リターン信号を受信すると、特別自走体列が1以上の追従後続自走体を含んでいる場合には、特別自走体列の先頭自走体及び/または1以上の追従後続自走体は追従準備及び被追従準備を開始する。すなわち検知区間の適切な位置で、1以上の追従後続自走体の電子連結が解除され、1以上の追従後続自走体は停留所に自走で入る準備をする。このようにすると途中の停留所に普通自走体列がいない場合においても、普通自走体列に追従するための1以上の追従後続自走体を途中の停留所に停留させることができる。この場合、停留した1以上の追従後続自走体は、後から停留所に入ってくる普通自走体列の追従することになる。
【0024】
特別自走体列が1以上の追従後続自走体を含んでいない場合には、仮想リターン信号を受信すると、特別自走体列の先頭自走体は被追従準備をしないで、途中の停留所を通過する。
【0025】
複数の自走体が、運転指令発生部から指令される運転スケジュールに従って運転手によって運転されるか又は自動で運転される電子連結される複数の自走体である場合においては、指令信号発生部は、検知手段の検知結果を特別自走体列よりも前にいて途中の停留所に停留しているまたは停留予定の普通自走体列中の追従可否判断部または運転指令発生部に追従指令信号を発信する。そして運転指令発生部は、追従指令信号を受信したときに、途中の停留所に停留している普通自走体列が存在しない場合及び停留予定の普通自走体列が無い場合には、特別自走体列の先頭自走体及び/または1以上の追従後続自走体の追従可否判断部に、仮想の追従可能な普通自走体列があることを示す仮想リターン信号を発信する仮想リターン信号発生部を備えている。
【0026】
リターン信号または仮想リターン信号を受信すると、特別自走体列が1以上の追従後続自走体を含んでいる場合には、特別自走体列の先頭自走体及び/または1以上の追従後続自走体は追従準備及び被追従準備を開始する。すなわち検知区間の適切な位置で、1以上の追従後続自走体の電子連結が解除され、1以上の追従後続自走体は停留所に自走で入る準備をする。このようにすると途中の停留所に普通自走体列がいない場合においても、普通自走体列に追従するための1以上の追従後続自走体を途中の停留所に停留させることができる。この場合、停留した1以上の追従後続自走体は、後から停留所に入ってくる普通自走体列の追従することになる。
【0027】
特別自走体列が1以上の追従後続自走体を含んでいない場合には、仮想リターン信号を受信すると、特別自走体列の先頭自走体は被追従準備をしないで、途中の停留所を通過する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の交通システムの第1の実施の形態の基本構成の説明に用いる図である。
【
図2】
図1の実施の形態で用いる普通自走体列で使用する自走体の内部構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図1の実施の形態で用いる特別自走体列で使用する自走体の内部構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】普通自走体列の自走体と特別自走体列の自走体の両方の制御が一連のフローに含まれているアルゴリズムを示す図である。
【
図5】特別自走体列の追従後続自走体の動作のアルゴリズムの一例を示す図である。
【
図6】普通自走体列の追従後続自走体の動作のアルゴリズムの一例を示す図である。
【
図7】他の実施の形態で用いる特別自走体列で使用する自走体の内部構成とその他に必要とする構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は本発明の交通システムの第1の実施の形態の基本構成の説明に用いる図であり、
図2は本実施の形態で用いる普通自走体列13Aで使用する自走体1Aの内部構成の一例を示すブロック図であり、
図3は本実施の形態で用いる特別自走体列13Bで使用する自走体1Bの内部構成の一例を示すブロック図である。
【0030】
図1に示すように本実施の形態の交通システムでは、原動機を搭載して運転手によって運転されるか又は自動で運転される電子連結された複数の自走
体が、先頭を移動する先頭自走
体(11A,11B)と先頭自走
体(11A,11B)に追随する1以上の後続自走体(12A,12B)に分かれて、1つの自走体列(13A,13B)を構成する。複数の自走体列(13A,13B)は、運行経路に含まれるすべての停留所SPで停留する1以上の普通自走体列13Aと、1以上の停留所SPを通過する1以上の特別自走体列13Bを少なくとも含んでいる。普通自走体列13Aの1以上の後続自走体12Bには、先頭自走体11Aの目的地に至るまでの途中の停留所から該停留所を通過する特別自走体列13Bに追従する1以上の追従後続自走体12Afが含まれている。特別自走体列13Bの1以上の後続自走体12Bには、先頭自走体11Bの目的地に至るまでの途中の停留所SPにおいて普通自走体列13Aに追従する1以上の追従後続自走体12Bfが含まれている。
【0031】
図2及び
図3に示すように、自走体1A,1Bは、自動運転で運転される専用道路を走行する自動車タイプの自走車である。なお図示していないが、運転手によってマニュアル運転するためのマニュアル運転操作部も実装されている。マニュアル運転を行う際には、自動運転制御部2A,2Bの図示しない表示画面に各種の情報が表示される。運転スケジュール記憶部3A,3Bには、事前に運行経路についてのスケジュールが記憶されている。
【0032】
なおこの運転スケジュールによって、どの運転経路において、普通自走体列13Aの先頭自走体11Aになるのかまたは追従後続自走体12Afになるのか、またはどの運転経路において特別自走体列13Bの先頭自走体11Bになるのかまたは追従後続自走体12Bfになるのか、どの停留所SPにおいて電子連結されるのか、または電子連結が解除されるのかが決められている。なあこの運転スケジュールは、絶対的なものではなく、自走体1A,1Bは状況に応じた運転をすることになる。特に運転手がいる場合には、運転手の判断が運転スケジュールに優先する。
【0033】
本実施の形態においては、自動運転制御部2A,2Bに、電子連結に必要な前方自走体との間の距離を測定するための公知の距離センサ4A,4Bの出力が入力される。なお距離センサ4としては、現在、多くの自動走行車両で採用されている公知のセンサであれば、どのようなセンサを用いてもよい。自動運転制御部2A,2Bには、電子連結を実現する機能と、自動運転を実現する機能を実現するプログラムがインストールされたコンピュータが実装されている。また自動運転制御部2A,2Bには、実際の運行状況に応じた運転を実施する制御プログラムがインストールされている。電子連結とは、機械式の連結手段によらずに、複数の走行体が走行体列を構成して走行できるように前後の走行体を動作上連結状態にするものである。本実施の形態で用いる電子連結では、撮像装置(カメラ)の出力の画像解析や、ミリ波レーダ等のように周囲の物との距離を測定する距離センサを用いて前後に位置する走行体間の距離を予め定めた距離範囲内に維持してあたかも機械的に連結されているように、走行体列を構成する自走体を自動運転する電子連結の技術である。この電子連結の技術には、例えば、始動初期、カーブを曲がるとき、高速運転時において、前後の走行体間の距離を変える場合も含まれる。なお本発明においては、始動時から停止時までの間、前後の走行体を同じ加速度で加速または減速することにより同期運転する電子連結を採用することができるのは勿論である。この場合には、距離センサ4A,4Bは安全確保の目的で使用されるが、電子連結の目的に使用されることはない。
【0034】
図3に示すように、自動運転制御部2Bには、区間検知センサ9の出力も入力されている。区間検知センサ9は、途中の停留所SPに到達する前に設定した予め定めた長さの検知区間SNに、少なくとも特別自走体列13Bが存在していることを検知する検知手段の一部を構成するものである。区間検知センサ9としては、受信器、受光器、ホール素子等の磁気検知器等を装備することができる。この場合、後述する検知区間SNの入口部と出口部に発信器、発光器、永久磁石等の磁気発生器等を設置して、検知区間SN内に特別自走体列13Bが存在していることを検知する検知手段を構成することができる。区間検知センサ9から出力される検知信号は指令信号発生部10に入力される。区間検知センサ9が、特別自走体列13Bが検知区間SNに存在していることを示す検知信号を出力すると、指令信号発生部10は検知手段(9)の検知結果を特別自走体列13Bよりも前にいて途中の停留所SPに停留しているまたは停留予定の普通自走体列13A中の先頭自走体11Aの追従可否判断部5Aに追従指令信号S1を通信部6Bから発信する。なお特別自走体列13Bの先頭自走体11B及び/または1以上の追従後続自走体12Bfも通信機能を有する追従可否判断部5Bを有している。指令信号発生部10は、リターン信号S2を受信するまでは、周期的に追従指令信号S1を発信してもよく、また指令信号発生部10は、特別自走体列13Bが検知区間S
Nに入ったことを検出してから特別自走体列13Bが検知区間S
Nを出ることを検知手段(9)が検出するまで、追従指令信号S1を発信するようにしてもよい。指令信号発生部10が指令信号を発生する態様は、特別自走体列13Bが検知区間S
Nにいることを知らせることができるものであれば、任意である。指令信号発生部10が採用する通信方式は、公知の通信方式のどのような通信方式を採用してもよい。
【0035】
普通自走体列13Aの先頭自走体11A及び/または1以上の追従後続自走体12Afの追従可否判断部5Aは、通信部6Bを介して、特別自走体列13Bの指令信号発生部10から追従指令信号S1を受信すると、追従の可否の情報を含むリターン信号S2を特別自走体列13Bの先頭自走体11B及び/または1以上の追従後続自走体13Bfの追従可否判断部5Bに送信する。追従指令信号S1を追従可否判断部5Aが受信すると、普通自走体列13Aの先頭自走体11A及び/または1以上の追従後続自走体12Afは被追従準備及び追従準備を開始する。このときの被追従準備は、特別自走体列13Bの追従後続自走体12Bfが普通自走体列13Aに電子連結により連結される準備をすることであり、追従準備とは普通自走体列13Aの追従後続自走体12Afが特別自走体列13Bの最後部に電子連結により連結されるための準備をすることである。
【0036】
なお普通自走体列13Aの先頭自走体11A及び/または追従後続自走体12Afに装備される追従可否判断部5Aは、特別自走体列13Bが途中の停留所SPを通過する時刻までに普通自走体列13Aの追従後続自走体12Afの追従準備ができるか否かを判断する。準備ができていれば、その旨の情報を含むリターン信号を発信し、準備ができない場合には、そのことを示す情報をリターン信号に含めることができる。特別自走体列13Bがリターン信号S2を受信すると、特別自走体列13Bの先頭自走体11B及び/または1以上の追従後続自走体12Bfは、1以上の追従後続自走体12Bfが途中の停留所SPに入るための準備を開始すればよい。
【0037】
また特別自走体列13Bの先頭自走体11B及び/または1以上の追従後続自走体12Bfが、リターン信号S2を受信すると、先頭自走体11B及び/または1以上の追従後続自走体12Bfが追従準備及び被追従準備を開始する。このときの被追従準備は、特別自走体列13Bの最後部に普通自走体列13Aの追従後続自走体12Afが電子連結により連結される準備をすることであり、追従準備とは特別自走体列13Bの追従後続自走体12Bfが普通自走体列13Aの最後部に電子連結により連結されるための準備をすることである。
【0038】
電子連結を含む自走体の運転のために、自動運転制御部2A,2Bは原動機駆動部8A,7B及び制動制御部8A,8Bに制御指令を出力する。自動運転制御部2A,2Bでは、
図4に示す本実施の形態の交通システムの全体の動作アルゴリズムの一部をそれぞれ実施する。
図4は、普通自走体列の自走体1Aと特別自走体列の自走体1Bの両方の制御が一連のフローに含まれている。
図5は、特別自走体列13Bの追従後続自走体12Bfの動作のアルゴリズムの一例を示しており、
図6は普通自走体列13Aの追従後続自走体12Afの動作のアルゴリズムの一例を示している。
【0039】
以下
図1と
図4に基づいて、
図1に示した第1の実施の形態の交通システムの動きを説明する。なお
図1(A)乃至(E)においては、便宜的に仮想の走路A乃至Cを描いてあるが、本実施の形態のように自走体が自動車からなる場合に、実際上このような走路は見えない。そして
図1(A)乃至(E)は、経時的な各自走体列(13A,13B)の隊列の変化を示している。本実施の形態では、区間検知センサ9(検知手段)が途中の停留所SPに到達する前に設定した予め定めた長さの検知区間S
Nに、少なくとも特別自走体列13Bが存在していることを検知する(ステップST1)と、指令信号発生部10が特別自走体列13Bよりも前にいて途中の停留所SPに停留しているまたは停留予定の普通自走体列13A中の追従可否判断部5Aに通信部6Aを介して追従指令信号S1を発信する(ステップST2)。このようにすると特別自走体列13Bが停留所SPの近くに来ていることを普通自走体列13A中の先頭自走体11A及び/または1以上の追従後続自走体12Afに事前に知らせることができる。その結果、普通自走体列1
3Aの先頭自走体1
1A及び/または1以上の追従後続自走体12Afは、余裕を持って被追従準備及び追従準備を開始する(ステップST5)。また普通自走体列13Aの先頭自走
体11Aから追従の可否の情報を含むリターン信号S2を特別自走体列13Bの先頭自走体11B及び/または1以上の追従後続自走体12Bfの追従可否判断部5Bに送信する(ステップST4)。そして特別自走体列13Bの先頭自走体11B及びまたは1以上の追従後続自走体12Bfが通信部6Bを介してリターン信号受信すると(ステップST6)、特別自走体列13Bの先頭自走体11B及び/または1以上の追従後続自走体12Bfは、余裕を持って被追従準備及び追従準備を開始する(ステップST7)。
【0040】
特別自走体列13Bへの被追従準備として、普通自走体列13Aの場合、普通自走体列13Aの最後尾または途中に、特別自走体列13Bから切り離された1以上の追従後続自走体12Bfを電子連結するために必要な準備のために、特別自走体列13Bの1以上の追従後続自走体12Bfを電子連結するために必要なスペースの確保のための追従後続自走体12Bfを走路Aから走路Bへ、また走路Bから走路Cの手前へと移動する[
図1(A)乃至
図1(C);ST32]。また普通自走体列13Aの被追従準備として、普通自走体列13Aの先頭自走体11Aと特別自走体列13Bの1以上の追従後続自走体12Bfとの間での相互通信の開始等)をする[
図1(C);ステップST21]。また特別自走体列13Bにおける被追従準備として、特別自走体列13Bの最後尾に、途中の停留所SPに停留している普通自走体列13Aに含まれていた1以上の追従後続自走体12Afを電子連結するために必要な準備を行う[
図1(C)~
図1(E);ステップST33]。すなわち停留所SPに近づいたら特別自走体列13
Bの速度を低下させることや、特別自走体列13Bの先頭自走体11Bと停留所SPにいる1以上の追従後続自走体12Afとの間の相互通信を開始する。さらに普通自走体列13Aの追従準備として、普通自走体列13Aに含まれていた1以上の追従後続自走体12Afを、停留所SPを通過する特別自走体列13Bの最後尾に電子連結させるために1以上の追従後続自走体12Afを停留所SPの出口近くに移動させて、追従を可能にする[
図1(B)及び(C);ST32]。また1以上の追従後続自走体12Afと特別自走体列13Bの少なとも先頭自走体11Bと通信を開始する。また特別自走体列13Bの追従準備としては、停留所SPの前で、1以上の追従後続自走体12Bfの電子連結を解除して、1以上の追従後続自走体12Bfが停留所SPにスムーズに入ることができるようにする[
図1(B)及び(C);ステップST21及びST22]。そして1以上の追従後続自走体12Bfは、普通自走体列13Aの少なくとも先頭自走体11Aとの間で相互通信を開始して、電子連結を実施する[ステップST23]。なお普通自走体列13Aの先頭自走体11Aは、電子連結が行われることを最後尾の後続自走体12Aに伝える[
図13(C)及び(D)]。
【0041】
本発明では、追従指令信号S1及びリターン信号S2の送受信を、普通自走体列13A中の先頭自走体11A及び/または1以上の追従後続自走体12Afと、特別自走体列13B中の先頭自走体11B及び/または1以上の追従後続自走体12Bfとの間で直接行うので、運転指令発生部からの指令を必要とすることなく、電子連結する作業[ステップST23,ST33]または電子連結切離作業[ステップST21,ST31]を、スムーズに行うことができる。
【0042】
先頭自走体11A,11B同士で通信を行う場合には、先頭自走体11Aと1以上の追従後続自走体12Afとの間において通信部6A,6Bを介して相互通信を行って、追従指令信号S1及びリターン信号S2の送受信の結果を共有する。先頭自走体11A,11Bまたは1以上の追従後続自走体12Af,12Bfのいずれが、普通自走体列13Aと特別自走体列13Bとの間の相互通信を行うのかは、任意に定めればよい。最も単純には、先頭自走体11A,11B同士で相互通信を行って、先頭自走体11A,11Bから1以上の追従後続自走体12Af,12Bfに追従指令信号S1及びリターン信号S2の送受信の情報を伝達するのが好ましい。
【0043】
上記実施の形態では、
図3に示すように、検知手段の一部を構成する区間検知センサ9及び指令信号発生部10を自走体1B内に設けたが、検知手段及び指令信号発生部を、検知区間S
Nに固定配置してもよい。この場合には、例えば、検知区間S
Nの入口部と出口部に運行通路を間にして(挟んで)発光器と受光器とを設置し、自走体の通過に伴う光の遮断を検知することにより、検知区間S
N内に特別自走体列13Bが存在していることを検知する検知手段を構成することができる。検知手段及び指令信号発生部10が、検知区間に固定されていれば、すべての自走体列にこれらの手段を設置する必要がなくなる。検知手段の構成は、その他の公知の検知素子を検知区間の入口部と出口部に設置してもよいのは勿論である。
【0044】
[その他]
(A)上記実施の形態の変形例
上記の実施の形態の交通システムでは、普通自走体列13Aと特別自走体列13Bのそれぞれ追従後続自走体12Af及び12Bfが電子連結されていたが、普通自走体列13Aだけに追従後続自走体12Afが電子連結されている場合においても、本発明を適用することができる。その場合には、普通自走体列13Aの1以上の後続自走体12Aには、先頭自走体11Aの目的地に至るまでの途中の停留所から該停留所を通過する特別自走体列13Bに追従する1以上の追従後続自走体12Afが含まれている。そして普通自走体列13Aの先頭自走体11A及び/または1以上の追従後続自走体12Afの追従可否判断部5Aは、特別自走体列13B中の指令信号発生部10から追従指令信号S1を受信すると、追従の可否の情報を含むリターン信号S2を特別自走体列13Bの先頭自走体11Bの追従可否判断部5Bに送信する。追従指令信号S1を受信すると、普通自走体列13Aの先頭自走体11A及び/または1以上の追従後続自走体12Afは追従準備を開始し、リターン信号S2を受信すると、特別自走体列13Bの先頭自走体11Bは被追従準備を開始する。
【0045】
また特別自走体列13Bだけに追従後続自走体12Bfが電子連結されている場合においても、本発明を適用することができる。その場合には、特別自走体列13Bの1以上の追従後続自走体12Bfには、先頭自走体11Bの目的地に至るまでの途中の停留所SPにおいて普通自走体列13Aに追従する1以上の追従後続自走体12Bfが含まれている。普通自走体列13Aの先頭自走体11Aの追従可否判断部5Aは、特別自走体列13Bの指令信号発生部10から追従指令信号S1を受信すると、追従の可否の情報を含むリターン信号S2を特別自走体列13Bの先頭自走体11B及び/または1以上の追従後続自走体12Bfの追従可否判断部5Bに送信する。そして普通自走体列13A側で追従指令信号S1を受信すると、普通自走体列13Aの先頭自走体11Aは被追従準備を開始する。また特別自走体列13B側で、リターン信号S2を受信すると、特別自走体列13Bの先頭自走体11B及び/または1以上の追従後続自走体12Bfは追従準備を開始する。これらの場合における、それぞれの動作は上記最初の実施の形態における動作と同じである。
【0046】
(B)他の実施の形態
普通自走体列13Aと特別自走体列13Bの実際の運行状況によっては、特別自走体列13Bが検知区間S
Nに入ったときに、途中の停留所SPに普通自走体列13Aがいない場合もある。そこでこのようなことが発生する場合においては、
図7に示すように、仮想リターン信号発生部11を途中の停留所SPに配置すればよい。仮想リターン信号発生部11は、設置された停留所SP内における走行体の有無の状況を監視する機能と通信機能を有している。また仮想リターン信号発生部11は、追従指令信号S1を受信したときに、途中の停留所SPに停留している普通自走体列13Aが存在しない場合及び停留予定の普通自走体列13
Aが無い場合には、特別自走体列13Bの先頭自走体11B及び/または1以上の追従後続自走体12Bfの追従可否判断部5Bに、通信部6Bを介して仮想の追従可能な普通自走体列があることを示す仮想リターン信号S2´を発信する。
【0047】
リターン信号S2または仮想リターン信号S2´を受信すると、特別自走体列13Bが1以上の追従後続自走体12Bfを含んでいる場合には、特別自走体列13Bの先頭自走体11B及び/または1以上の追従後続自走体12Bfは追従準備及び被追従準備を開始する。すなわち検知区間SNの適切な位置で、1以上の追従後続自走体12Bfの電子連結が解除され、1以上の追従後続自走体12Bfは停留所SPに自走で入る準備をする。このようにすると途中の停留所SPに普通自走体列13Aがいない場合においても、普通自走体列13Aに追従するための1以上の追従後続自走体12Bfを途中の停留所SPに停留させることができる。この場合、停留した1以上の追従後続自走体12Bfは、後から停留所SPに入ってくる普通自走体列13Aに追従することになる。そして特別自走体列13Bが1以上の追従後続自走体を含んでいない場合には、仮想リターン信号S2´を受信すると、特別自走体列13Bの先頭自走体11Bは被追従準備をしないで、特別自走体列13Bは途中の停留所SPを通過する。
【0048】
また
図7に示すように、普通自走体列13Aと特別自走体列13Bの運行状況によっては、特別自走体列13Bが検知区間S
Nに入ったときに、途中の停留所SPに普通自走体列13Aがいない場合でも、次のような場合には対応が可能である。すなわち複数の自走体1A,1Bが、どこかの停留所SPまたは停留所とは異なる場所にある運行管理施設に設置された運転指令発生部12から指令される運転スケジュールに従って運転手によって運転されるか又は自動で運転される電子連結される複数の自走体である場合においては、指令信号発生部10は、区間検知センサ9(検知手段)の検知結果を特別自走体列13Bよりも前にいて途中の停留所に停留しているまたは停留予定の普通自走体列13A中の追従可否判断部5Bまたは運転指令発生部12に追従指令信号S1を発信する。運転指令発生部12は、普通自走体列13Aの少なくとも先頭自走体11A及び特別自走体列13Bの先頭自走体11Bと通信する機能を有している。また運転指令発生部12は、追従指令信号S1を受信したときに、途中の停留所SPに停留している普通自走体列13Aが存在しない場合及び停留予定の普通自走体列13Aが無い場合には、特別自走体列13Bの先頭自走体11B及び/または1以上の追従後続自走体12Bfの追従可否判断部5Bに、仮想の追従可能な普通自走体列があることを示す仮想リターン信号S2´を発信する仮想リターン信号発生部(図示せず)を備えている。
【0049】
リターン信号S2または仮想リターン信号S2´を受信すると、特別自走体列13Bが1以上の追従後続自走体12Bfを含んでいる場合には、特別自走体列13Bの先頭自走体11B及び/または1以上の追従後続自走体12Bfは追従準備及び被追従準備を開始する。すなわち検知区間SNの適切な位置で、1以上の追従後続自走体12Bfの電子連結が解除され、1以上の追従後続自走体12Bfは停留所SPに自走で入る準備をする。このようにすると途中の停留所に普通自走体列13Aがいない場合においても、普通自走体列13Aに追従するための1以上の追従後続自走体12Bfを途中の停留所SPに停留させることができる。この場合、停留した1以上の追従後続自走体12Bfは、後から停留所SPに入ってくる普通自走体列13Aに追従することになる。また特別自走体列13Bが1以上の追従後続自走体を含んでいない場合には、仮想リターン信号S2´を受信すると、特別自走体列13Bの先頭自走体11Bは被追従準備をしないで、特別自走体列13Bは途中の停留所SPを通過する。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明では、追従指令信号及びリターン信号の送受信を、普通自走体列中の先頭自走体及び/または1以上の追従後続自走体と、特別自走体列中の先頭自走体及び/または1以上の追従後続自走体との間で直接行うので、基本的に運転指令発生部からの指令を必要とすることなく、電子連結する作業または電子連結切離作業を、スムーズに行うことができる。
【符号の説明】
【0051】
1A,1B 自走体
2A,2b 自動運転制御部
3A,3B 運転スケジュール記憶部
4A,4B 距離センサ
5A,5B 追従可否判断部
6A,6B 通信部
7A,7B 原動機駆動部
8A,8B 精度制御部
9 区間検知センサ
10 指令信号発生部
11仮想リターン信号発生部
12 運転指令発生部