(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-27
(45)【発行日】2022-11-07
(54)【発明の名称】抵抗変化素子、および抵抗変化素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/8239 20060101AFI20221028BHJP
H01L 27/105 20060101ALI20221028BHJP
H01L 45/00 20060101ALI20221028BHJP
H01L 49/00 20060101ALI20221028BHJP
【FI】
H01L27/105 448
H01L45/00 Z
H01L49/00 Z
(21)【出願番号】P 2018509194
(86)(22)【出願日】2017-03-23
(86)【国際出願番号】 JP2017011792
(87)【国際公開番号】W WO2017170149
(87)【国際公開日】2017-10-05
【審査請求日】2020-02-17
(31)【優先権主張番号】P 2016067159
(32)【優先日】2016-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成27年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「エネルギー・環境新技術先導プログラム/制御高度化により自動車等を省エネルギー化する低レイテンシコンピューティングの研究」の委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520041932
【氏名又は名称】ナノブリッジ・セミコンダクター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】多田 宗弘
【審査官】宮本 博司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/136798(WO,A1)
【文献】特表2000-509204(JP,A)
【文献】国際公開第2011/158821(WO,A1)
【文献】特開2010-062265(JP,A)
【文献】特開2014-033094(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0006471(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/8239
H01L 45/00
H01L 49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
層間絶縁膜を形成し、
前記層間絶縁膜の内部に上面が露出するように側面、および底面にバリアメタル層が形成された活性電極を含む第1電極を形成し、
前記層間絶縁膜、および前記第1電極上に上面に絶縁性バリア膜を形成し、
前記絶縁性バリア膜に前記第1電極の上面の少なくとも端部を露出させる開口部を形成し、
前記層間絶縁膜に開口部を形成するとともに、前記第1電極の側面に形成された前記バリアメタル層に隣接する絶縁膜スペーサを形成し
、
前記第1電極の端部の上面に抵抗変化膜を形成し
、
前記抵抗変化膜上に第2電極を形成する、抵抗変化素子の製造方法。
【請求項2】
前記絶縁膜スペーサを、前記層間絶縁膜で形成する、請求項
1に記載の抵抗変化素子の製造方法。
【請求項3】
前記層間絶縁膜の内部に、側面、および底面がバリアメタルで覆われた活性電極を含む複数の電極を形成し、
前記複数の電極と、前記抵抗変化膜との間に、それぞれ、前記絶縁膜スペーサを形成する、請求項
1または
2に記載の抵抗変化素子の製造方法。
【請求項4】
前記絶縁膜スペーサの膜厚は、0nmより大きく且つ10nm以下に形成する、請求項
1~
3のいずれか1項に記載の抵抗変化素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抵抗変化素子、および抵抗変化素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス(特に、シリコンデバイス)では、微細化(スケーリング則:Mooreの法則)によって、3年で約4倍のペースで集積化、および低電力等が進められている。近年、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)のテクノロジーノードは14nm以下となり、リソグラフィプロセスが高騰(例えば装置価格、およびマスクセット価格)し、それに伴いNRE(Non-Recurring Cost)も増大している。また、デバイス寸法の物理的限界(動作限界・バラツキ限界)も近づいており、これまでのスケーリング則とは異なるアプローチで半導体装置の高性能化、および半導体ビジネスの高収益化が求められている。
【0003】
半導体デバイスの内、ゲートアレイと、スタンダードセルとの中間的な位置づけの半導体デバイスとして、FPGA(Field Programmable Gate Array)と呼ばれる再書き換え可能なプログラマブルロジックデバイスが開発されている。FPGAとは、ユーザ自身が、チップの製造後に任意の回路構成に設定できる半導体デバイスである。具体的には、FPGAはメモリを有しているので、ユーザ自身が半導体装置の製造後に、配線間を任意に電気的に接続することができる。このようなFPGAを搭載した半導体装置を用いることで、回路の自由度を向上させることができる。
【0004】
近年、FPGAのメモリ、およびスイッチに抵抗変化素子を用いたチップが開発されている。このような抵抗変化素子には、例えば遷移金属酸化物を用いたReRAM(Resistance Random Access Memory)、イオン伝導体を用いた固体電解質スイッチ、原子スイッチ、およびNanoBridge(登録商標)等がある。
【0005】
特許文献1、および非特許文献1は、2つの電極を、イオン伝導体を介して配置し、2つの電極間の導通状態を制御する2端子型のスイッチング素子の構成、動作、およびクロスバースイッチを開示している。
【0006】
非特許文献1は、イオン伝導体中の金属イオンの移動と、電気化学反応とを利用したスイッチング素子を開示している。ここで、イオン伝導体とは、キャリアがイオンであり、外部から電界等を印加することで、内部のイオンが自由に動くことができる伝導体を意味している。
【0007】
非特許文献1に記載のスイッチング素子は、第1電極、および第2電極の2つの電極で固体電解質を挟んだ構造を有する。2つの電極の内、第1電極は、固体電解質に対して金属イオンを供給する。一方、第2電極は、固体電解質に対して金属イオンを供給しない。
【0008】
ここで、非特許文献1に記載のスイッチング素子の動作について説明する。
【0009】
まず、非特許文献1に記載のスイッチング素子がオフ状態(高抵抗状態)からオン状態(低抵抗状態)に遷移する動作について説明する。非特許文献1に記載のスイッチング素子は、第2電極を接地した状態で第1電極に正電圧が印加されると、第1電極を構成する金属が金属イオンに変化し固体電解質に溶解する。そして、金属イオンは、固体電解質中に金属として析出し、第1電極と第2電極とを電気的に接続する金属架橋(フィラメント、導電性パスとも呼ばれる)を形成する。すなわち、非特許文献1に記載のスイッチング素子は、第1電極と、第2電極とが金属架橋によって電気的に接続することによってオフ状態からオン状態に遷移する。
【0010】
スイッチング素子をオン状態からオフ状態に遷移させるためには、第1電極を接地した状態で第2電極に正電圧を印加する。これにより、固体電解質中に形成された金属架橋の一部が切れる。したがって、第1電極と第2電極との間の電気的接続が切断されるので、スイッチング素子はオン状態からオフ状態に遷移する。このとき、スイッチング素子は、オン状態からオフ状態に遷移する前の段階から第1電極と、第2電極との間の電気抵抗が大きくなったり、電極間容量が変化したりするなど電気特性が変化しながら、オン状態からオフ状態に遷移する。なお、スイッチング素子は、第1電極と第2電極との電気的接続が切断された後、第2電極を接地した状態で第1電極に正電圧が印加されることで再びオフ状態からオン状態に遷移する。
【0011】
非特許文献1に記載されているようなスイッチング素子は、半導体スイッチ(MOSFETなど)よりもサイズが小さく、オン抵抗(オン状態の抵抗値)が小さいという特徴がある。そのため、このようなスイッチング素子は、プログラマブルロジックデバイスへの適用に有望であると考えられている。また、このスイッチング素子は、電圧が印加されなくても導通状態(オン状態)を維持するので、不揮発性のメモリ素子に応用することも考えられる。
【0012】
スイッチング素子を不揮発性メモリに応用する場合、例えばスイッチング素子を1個と、トランジスタ等の選択素子を1個とを含むメモリセルを基本単位として扱うことが考えられる。そして、このメモリセルを基板上に縦方向と横方向にそれぞれ複数配列し、それぞれのメモリセル間をワード線、およびビット線で接続する。このようにメモリセルを配列することで、ワード線、およびビット線は、複数のメモリセルの中から任意のメモリセルを選択することが可能となる。これにより、選択したメモリセルのスイッチング素子の導通状態を読み取ることで、オン状態、またはオフ状態に応じた情報「1」、または「0」のいずれの情報が格納されているかを読み取ることが可能な不揮発性メモリを実現できる。
【0013】
特許文献2は、第1電極の電極形状をコーナー形状とすることで電界集中効果を発生させ、プログラム電圧を低減できるとともに、第1電極から析出する金属架橋の位置を安定化させてばらつきを低減する抵抗変化素子を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】特開2005-101535号公報
【文献】国際公開第2013/136798号
【非特許文献】
【0015】
【文献】Shunichi Kaeriyama et al., “A Nonvolatile Programmable Solid-Electrolyte Nanometer Switch”, IEEE Journal of Solid-State Circuits, Vol.40, No.1, pp.168-176, January 2005.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
特許文献2の抵抗変化素子は、オフ状態時のリーク電流は電極面積に依存する。しかしながら、特許文献2の抵抗変化素子は、抵抗変化膜を銅配線の端部に形成すると配線側面からのリーク電流が生じるので、プログラム特性を維持したままリーク電流を低減することが難しいという問題を有している。
【0017】
本発明の目的は、プログラミング動作が安定し、リーク電流を低減した抵抗変化素子、および抵抗変化素子の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の一態様に係る抵抗変化素子は、層間絶縁膜と、前記層間絶縁膜の内部に形成され、側面、および底面がバリアメタルで覆われた活性電極を含む第1電極と、前記第1電極の上面に形成された抵抗変化膜と、前記抵抗変化膜上に形成された第2電極と、前記第1電極の側面を覆う前記バリアメタルと、前記抵抗変化膜との間に形成された絶縁膜スペーサ、とを備え、前記第1電極の側面を覆う前記バリアメタル、および前記抵抗変化膜は、それぞれ、前記絶縁膜スペーサと接している。
【0019】
本発明の他の態様に係る抵抗変化素子の製造方法は、層間絶縁膜を形成し、前記層間絶縁膜の内部に上面が露出するように側面、および底面にバリアメタル層が形成された活性電極を含む第1電極を形成し、前記層間絶縁膜、および前記第1電極上に上面に絶縁性バリア膜を形成し、前記絶縁性バリア膜に前記第1電極の上面の少なくとも端部を露出させる開口部を形成し、前記層間絶縁膜に開口部を形成するとともに、前記第1電極の側面に形成された前記バリアメタル層に隣接する絶縁膜スペーサを形成し、前記第1電極の端部の上面に抵抗変化膜を形成し、前記抵抗変化膜上に第2電極を形成する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、プログラミング動作が安定し、リーク電流を低減した抵抗変化素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】バイポーラ型抵抗変化素子の動作特性を示すグラフである。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る抵抗変化素子の断面、および上面の構造を示す模式図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る抵抗変化素子の断面と、通常の抵抗変化素子の断面とを比較するための断面図である。
【
図4A】本発明の第1の実施形態に係る抵抗変化素子の製造方法を模式的に示す工程の断面図である。
【
図4B】本発明の第1の実施形態に係る抵抗変化素子の製造方法を模式的に示す別の工程の断面図である。
【
図4C】本発明の第1の実施形態に係る抵抗変化素子の製造方法を模式的に示す他の工程の断面図である。
【
図5A】本発明の第1の実施形態に係る抵抗変化素子の製造方法を模式的に示す一工程の断面図である。
【
図5B】本発明の第1の実施形態に係る抵抗変化素子の製造方法を模式的に示す別の工程の断面図である。
【
図5C】本発明の第1の実施形態に係る抵抗変化素子の製造方法を模式的に示す他の工程の断面図である。
【
図6】第1の実施形態に係る絶縁膜スペーサの拡大図である。
【
図7A】絶縁膜スペーサの厚みを変化させた時のリーク電流の変化を示すグラフである。
【
図7B】絶縁膜スペーサ厚みを変化させた時のプログラム電圧の変化を示すグラフである。
【
図8】本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の断面を示す断面図である。
【
図9】本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の断面を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明を詳細に説明する前に、本発明の理解を容易にするために、抵抗変化素子の基本的な動作原理、および用語について説明する。
【0023】
抵抗変化素子には、ユニポーラ型抵抗変化素子と、バイポーラ型抵抗変化素子との2種類がある。
【0024】
ユニポーラ型抵抗変化素子とは、印加電圧により高抵抗状態(オフ状態)と低抵抗状態(オン状態)とを切り替えるスイッチング素子である。ユニポーラ型抵抗変化素子としては、例えばReRAMを用いることができる。
【0025】
バイポーラ型抵抗変化素子とは、印加電圧の極性に応じて高抵抗状態と低抵抗状態とを切り替えるスイッチング素子である。バイポーラ型抵抗変化素子としては、例えばReRAM、およびNanoBridge(登録商標)を用いることができる。
【0026】
ここで、
図1を参照して、バイポーラ型抵抗変化素子について具体的に説明する。
図1は、バイポーラ型抵抗変化素子の電流-電圧特性を示すグラフである。ここでは、バイポーラ型抵抗変化素子の構成が、ユニポーラ型抵抗変化素子と同様であるときの電流-電圧特性を示している。
【0027】
図1(a)は、バイポーラ型抵抗変化素子がオフ状態の時に第1電極に正電圧が印加された場合の電流-電圧特性を示している。
図1(a)に示すように、バイポーラ型抵抗変化素子は、第1電極に正電圧が印加されると、印加された電圧が所望のセット電圧(閾値電圧)を超えた時に、オフ状態からオン状態へ遷移する。
【0028】
図1(b)は、バイポーラ型抵抗変化素子がオン状態の時に第1電極に正電圧が印加された場合の電流-電圧特性を示している。
図1(b)に示すように、バイポーラ型抵抗変化素子は、オン状態の時に第1電極に正電圧が印加されると、オン状態を維持してオーミックな電流-電圧特性を示す。
【0029】
図1(c)は、バイポーラ型抵抗変化素子がオン状態の時に第1電極に負電圧が印加された場合の電流-電圧特性を示している。
図1(c)に示すように、バイポーラ型抵抗変化素子は、オン状態の時に第1電極に負電圧が印加されると、所望のリセット電圧(閾値電圧)を超えた時にオン状態からオフ状態へ遷移する。
【0030】
図1(d)は、バイポーラ型抵抗変化素子がオン状態からオフ状態に遷移した後に、第1電極に正電圧が印加された場合の電流-電圧特性を示している。
図1(d)に示すように、バイポーラ型抵抗変化素子は、オフ状態の時に第1電極に正電圧が印加されると、所望のセット電圧(閾値電圧)を超えた時に、オフ状態からオン状態へ遷移する。
【0031】
上述の通り、バイポーラ型抵抗変化素子は、第1電極に正電圧を受けた場合にのみオフ状態からオン状態へ遷移し、第1電極に負電圧を印加した場合にのみオン状態からオフ状態へ遷移する。
【0032】
ここで、バイポーラ型抵抗変化素子に用いられる電極について、次のように定義する。
【0033】
図1(a)~
図1(d)を参照して説明したように、バイポーラ型抵抗変化素子が有する2つの電極の内、正電圧が印加された場合に、バイポーラ型抵抗変化素子がオフ状態からオフ状態に遷移する電極を「第1電極」、または「活性電極」と定義する。一方で、正電圧が印加された場合に、バイポーラ型抵抗変化素子がオン状態からオフ状態に遷移する電極を「第2電極」、または「不活性電極」と定義する。
【0034】
(第1の実施形態)
図2を参照して、本発明の第1の実施形態に係る抵抗変化素子の構造について説明する。
図2(a)は本実施形態に係る抵抗変化素子の断面の模式図であり、
図2(b)は本実施形態に係る抵抗変化素子の上面の模式図を示している。
【0035】
抵抗変化素子100は、第1電極101と、第1層間絶縁膜102と、絶縁性バリア膜103と、第2層間絶縁膜104と、抵抗変化膜105と、第2電極106と、上部電極107と、第1電極鋭角点108と、第2電極角点109、絶縁膜スペーサ110とを備える。
【0036】
第1電極101は、金属イオンを抵抗変化膜105に供給する活性電極を含んでおり、第1層間絶縁膜の内部に形成された電極である。本実施形態においては、第1電極101は、銅から構成された銅配線101aを含んでいる。すなわち、第1電極101は、銅イオンを抵抗変化膜105に供給する。また、銅配線101aの側面、および底面は、バリアメタル層101bによって覆われている。ここで、バリアメタル層101bは、抵抗変化素子100の内部に銅イオンが拡散することを防止する導電性膜である。具体的には、バリアメタル層101bは、例えばTa(タンタル)のような高融点金属や、Taの窒化物であるTaN(窒化タンタル)、TiN(窒化チタン)、およびWCN(炭窒化タングステン)等を含む導電膜である。また、バリアメタル層101bは、Ta、TaN、TiN、およびWCN等を含む導電膜を積層した積層膜であってもよい。なお、本実施形態において、第1電極101の内、銅配線101aは、抵抗変化素子100の配線としても機能する。
【0037】
第1層間絶縁膜102は、半導体基板上(図示しない)に形成された絶縁膜である。第1層間絶縁膜102としては、例えばシリコン酸化膜、およびシリコン酸化膜等よりも比誘電率の低い低誘電率膜(例えば、SiOCH膜)等を用いることができる。また、第1層間絶縁膜102は、シリコン酸化膜、またはシリコン酸化膜等よりも比誘電率の低い低誘電率膜等を積層した積層膜であってもよい。さらに、第1層間絶縁膜102は、垂直上方から厚さ方向に逆テーパー形状の開口部を有している。具体的には後述するが、第1層間絶縁膜102に逆テーパー形状の開口部を形成することで、バリアメタル層101bの側面と、抵抗変化膜105との間に絶縁膜スペーサ110を形成することができる。なお、本発明の実施形態において、半導体基板としては、例えばシリコン基板、単結晶基板、SOI(Silicon on Insulator)基板、TFT(Thin Film Transistor)基板、および液晶製造用基板等を用いることができる。
【0038】
絶縁性バリア膜103は、銅配線101aの上面、および第1層間絶縁膜102の上面に形成された絶縁膜である。絶縁性バリア膜103は、銅配線101aに含まれる銅イオンが抵抗変化素子100中に拡散することを防止する。このような、絶縁性バリア膜103としては、例えばSiN(窒化ケイ素)膜、SiC(炭化ケイ素)膜、およびSiCN(炭窒化ケイ素)膜等を用いることができる。また、絶縁性バリア膜103は、SiN膜、SiC膜、およびSiCN膜等を積層した積層膜であってもよい。また、絶縁性バリア膜103は、垂直上方から厚さ方向に逆テーパー形状の開口部111を有する。なお、開口部111は、銅配線101a、およびバリアメタル層101bの上面が露出するように形成されている。
【0039】
第2層間絶縁膜104は、絶縁性バリア膜103の上面に形成された絶縁膜である。第2層間絶縁膜104としては、第1層間絶縁膜102と同様に、例えばシリコン酸化膜、およびシリコン酸化膜よりも比誘電率の低い低誘電率膜等を用いることができる。また、第2層間絶縁膜104は、シリコン酸化膜、およびシリコン酸化膜よりも比誘電率の低い低誘電率膜等を積層した積層膜であってもよい。
【0040】
抵抗変化膜105は、第1層間絶縁膜102に形成された開口部の壁面、および絶縁性バリア膜103に形成された開口部111の壁面に沿って形成された抵抗変化膜である。そのため、抵抗変化膜105は、開口部111において、銅配線101a、およびバリアメタル層101bと電気的に接続されている。本実施形態において、抵抗変化膜105としては、例えば固体電解質を用いることができる。ここで、固体電解質は、酸化物、有機物、および硫化物等を含んでいてもよい。具体的には、抵抗変化膜105としては、例えばTa2O5(五酸化タンタル)膜、およびTaSiO膜等のTaを含む酸化物絶縁膜を用いることができる。また、抵抗変化膜105は、例えばTa2O5膜、およびTaSiO膜の順に積層した積層膜であってもよい。さらに、抵抗変化膜105は、CHを主成分とするポリマー膜、SiO(酸化ケイ素)を少量含むポリマー膜、Cu2S(硫化銅)、GeS(硫化ゲルマニウム)等の硫化物、および酸化物とを含む膜を積層した積層膜であってもよい。なお、本実施形態において、抵抗変化素子105は固体電解質に限定されず、その他の抵抗変化素子であってもよい。
【0041】
第2電極106は、抵抗変化膜105上に形成された電極である。第2電極106は、開口部111よりも幅の広い電極形状112を有している。また、第2電極106は、第1電極101が含む、可動イオンに対して不活性な材料で形成されていることが好ましい。本実施形態においては、第2電極106は、第1電極101が含む銅よりもイオン化しにくく、抵抗変化膜105において拡散、およびイオン電導しにくい金属で構成することが好ましい。具体的には、第2電極106は、第1電極が含む銅よりも酸化の自由エネルギーの絶対値が小さい金属材料を用いることが好ましい。このような金属材料として、例えばRu(ルテニウム)、Pt(プラチナ)等の貴金属系の材料をあげることができる。なお、本実施形態においては、第2電極106は、少なくともRuと、窒素と、第1金属とを含んでいる。ここで、第1金属としては、第1電極が含む銅よりも酸化の自由エネルギーが負に大きい金属を用いることが好ましい。具体的には、第1金属は、例えばTi、Ta、Al(アルミニウム)、Mn(マンガン)、Zr(ジルコニウム)、Hf(ハフニウム)、Mg(マグネシウム)、Co(コバルト)、Zn(亜鉛)、およびW(タングステン)の少なくとも1つを含むことが好ましい。
【0042】
上部電極107は、第2電極106上に形成された電極である。上部電極107は、第2電極106と同様に、開口部111よりも幅の広い電極形状112を有している。また、上部電極107は、抵抗変化素子100を製造する際に、エッチング等から第2電極106を保護する。このような、上部電極107としては、例えばTa、Ti、TaN、およびTiN等を用いることができる。
【0043】
第1電極鋭角点108は、銅配線101aの上面における鋭角部である。第2電極角点109は、第2電極106における角部である。鋭角点間経路113は、第1電極鋭角点108と、第2電極角点109との間の距離を示している。ここで、鋭角点間経路113が、第1電極101と、第2電極106との間の最短距離となるように、第2電極角点109は形成されている。
【0044】
絶縁膜スペーサ110は、第1電極101、抵抗変化膜105との間に第1層間絶縁膜102によって形成されている。すなわち、第1電極101の側面のバリアメタル層101bと、抵抗変化膜105とは直接接しておらず、絶縁膜スペーサ110を介して接している。そのため、絶縁膜スペーサ110と、抵抗変化膜105とは、それぞれの界面の密着性を高めることが好ましい。具体的には、抵抗変化膜105の主成分が、例えば炭化水素、および硫化物等である場合に、抵抗変化膜105の下層に酸化物層を形成し、抵抗変化膜105を2層構造にすることで、絶縁膜スペーサ110と、抵抗変化膜105との界面の密着性を高めることができる。この場合、絶縁膜スペーサ110は、抵抗変化膜105の下層に形成された酸化物層と接する。ここで、酸化物層としては、例えばジルコニア、ハフニア、チタニア、およびマグネシア等を含む酸化物層を用いることができる。これにより、抵抗変化膜105は、シリコン、酸素等を含む絶縁膜スペーサ110との密着性を改善しつつ、固体電解質としての機能を発揮することができる。
【0045】
[抵抗変化素子100の動作]
ここで、抵抗変化素子100が高抵抗状態と低抵抗状態との間を遷移する動作について説明する。なお、以下において、抵抗変化素子100は、例えば第1電極101が銅、第2電極106がルテニウム、抵抗変化膜105がポリマー固体電解質である。
【0046】
まず、抵抗変化素子100が高抵抗状態(オフ状態)から低抵抗状態(オン状態)に遷移する動作(セット動作)について説明する。
【0047】
まず、抵抗変化素子100において、第2電極106を0Vに接地した状態で、第1電極101と、第2電極106との間に正電圧を印加することで、抵抗変化膜105の内部に電界を誘起させる。ここで、第1電極101と、第2電極106との間の電界は、鋭角点間経路113で最大となる。これは、電界の強さは、距離に反比例するので、第1電極101と、第2電極106との間を結ぶ経路の内、鋭角点間経路113が最短の経路であるためである。この場合、第1電極101から溶解した銅イオンは、鋭角点間経路113に析出し、金属架橋を形成する。これにより、第1電極101と、第2電極106とは、銅イオンからなる金属架橋を介して電気的に接続される。したがって、抵抗変化素子100は、高抵抗状態(オフ状態)から低抵抗状態(オン状態)へ遷移する。
【0048】
次に、抵抗変化素子100が低抵抗状態(オン状態)から高抵抗状態(オフ状態)に遷移させる動作(リセット動作)について説明する。
【0049】
この場合、まず、第1電極を0Vに接地した状態で、第2電極106と、第1電極101との間に正電圧を印加する。流れる電流の大きさは電界の強さに比例するので、第2電極106と、第1電極101との間に印加された電圧により流れる電流は、鋭角点間経路113で最大となる。これは、抵抗変化膜105の内部に形成された金属架橋の位置と一致する。したがって、第2電極106と、第1電極101との間に正電圧が印加されると、鋭角点間経路113上の銅からなる金属架橋は、所定の閾値電流(あるいは電圧)に達すると一部が切れる。これにより、抵抗変化素子100は、第1電極101と、第2電極106との電気的接続が切断されるので、低抵抗状態(オン状態)から高抵抗状態(オフ状態)へ遷移する。
【0050】
このように、抵抗変化素子100は、第1電極101、および第2電極106の鋭角部を設けることで、電界が最大となる箇所が固定されるので、安定したスイッチング動作ができるようになる。また、抵抗変化素子100は、鋭角部を有することで、鋭角点を有しない抵抗変化素子と比較して、電界が最大となる箇所を固定できるので、低電圧でプログラミング(書き換え)することができる。
【0051】
なお、セット動作、およびリセット動作のいずれか一方のプログラミング時に電界を集中させたい場合には、第1電極101、および第2電極106のいずれか一方に鋭角部を形成することも可能である。
【0052】
したがって、本発明の第1の実施形態に係る抵抗変化素子100は、第1電極101、および第2電極106のそれぞれが鋭角部を有することで、鋭角部間の最短経路が一義的に定まり、金属架橋の形成位置を特定できるようになるので、プログラミング特性をさらに改善することができる。
【0053】
図3を参照して、本発明の実施形態に係る抵抗変化素子と、通常の抵抗変化素子との構造の違いについて説明する。
【0054】
図3(a)は本発明の第1の実施形態に係る抵抗変化素子100の断面の拡大図、および
図3(b)は通常の抵抗変化素子100’の断面の拡大図を示している。
【0055】
図3に示すように、抵抗変化素子100と、抵抗変化素子100’とを比較すると、
図3(a)に示された抵抗変化素子100において、バリアメタル層101bは絶縁膜スペーサ110を介して抵抗変化膜105に接している。それに対し、
図3(b)に示された抵抗変化素子100’において、バリアメタル層101bは抵抗変化膜105と直接接している。
【0056】
抵抗変化素子100’は、抵抗変化膜105が特に保護されていないので、オフ状態の時にバリアメタル層101bから抵抗変化膜105へリーク電流が流れ込んでしまう可能性がある。この場合、抵抗変化素子100’は、高抵抗状態と低抵抗状態との間を安定して遷移できない可能性がある。
【0057】
それに対して、本発明の実施形態に係る抵抗変化素子100は、バリアメタル層101bと、抵抗変化膜105との間に絶縁膜スペーサ110を有しているので、オフ状態の時にバリアメタル層101bからのリーク電流から抵抗変化膜105を保護することができる。そのため、抵抗変化素子100は、抵抗変化素子100’と比べて、安定したプログラミング特性を有することができる。
【0058】
(抵抗変化素子の製造方法)
次に、本発明の実施形態に係る抵抗変化素子100の製造方法について説明する。
【0059】
図4A~
図4Cは、抵抗変化素子100の製造工程において、ハードマスク膜を形成する工程までを示す工程断面図である。
【0060】
図4Aに示すように、まず、半導体基板上(図示せず)に、第1層間絶縁膜102を形成する。そして、第1層間絶縁膜102の内部に、第1電極101を形成する。ここで、第1電極101を形成する方法としては、第1層間絶縁膜102に対して、例えばリソグラフィ法を用いて第1層間絶縁膜102に対して第1電極101を形成するための溝を生成する。次いで、溝の内部に沿ってバリアメタル層101bを形成し、バリアメタル層101b上に銅配線101aを埋め込む。これにより、銅配線101aの底面、および側面がバリアメタル層101bで覆われた第1電極101を形成することができる。
【0061】
次に、
図4Bに示すように、第1電極101、および第1層間絶縁膜102上に絶縁性バリア膜103を形成する。絶縁性バリア膜103は、例えばプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法で形成することができる。
【0062】
次に、
図4Cに示すように、絶縁性バリア膜103上にハードマスク膜114を形成する。ここで、ハードマスク膜114は、ドライエッチング加工においてエッチング選択比を大きく保つために、絶縁性バリア膜103とは異なる材料であることが好ましい。このような材料であれば、ハードマスク膜114は、絶縁膜であってもよいし、導電膜であってもよい。
【0063】
次に、
図5A~
図5Cを参照して、抵抗変化膜を形成するに至るまでの工程を説明する。
【0064】
図5Aに示すように、ハードマスク膜114に開口部を形成する。ハードマスク膜114に開口部を形成するためには、例えば最初にハードマスク膜114上にフォトレジスト(図示しない)を用いて開口部をパターニングする。次に、フォトレジストをマスクとしてドライエッチングすることでハードマスク膜114に開口部を形成する。最後に、例えば酸素プラズマアッシング等でハードマスク膜114に残存するフォトレジストを剥離する。なお、
図5Aにおいて開口部は、絶縁性バリア膜103上で停止する必要はなく、絶縁性バリア膜103の内部に達していてもよい。
【0065】
次に、
図5Bに示すように、ハードマスク膜114をマスクとして、ハードマスク膜114の開口部から露出する絶縁性バリア膜103を、例えばエッチバック(ドライエッチング)することで、絶縁性バリア膜103に開口部を形成する。絶縁性バリア膜103に形成する開口部は、銅配線101aの上面、およびバリアメタル層101bの上面が露出するように、垂直上方から見て逆テーパー形状に形成する。ここで、絶縁性バリア膜103に開口部を形成する際に、反応性ドライエッチングを用いることで、逆テーパー形状の開口部を容易に形成することができる。このように開口部を形成することで、後の工程において抵抗変化膜105、および第2電極106の埋め込み特性を良好に維持できるようになる。
【0066】
また、絶縁性バリア膜103に開口部を形成する際に、開口部は第1層間絶縁膜102に第1電極101が形成されていない領域を含むように形成される。このとき、第1層間絶縁膜102の開口部は、バリアメタル層101bの側面が露出しないように、絶縁性バリア膜103の開口部と同様に垂直上方から見て逆テーパー形状に形成する。ここで、バリアメタル層101bに接する第1層間絶縁膜102が、本発明の第1の実施形態における絶縁膜スペーサ110となる。なお、本発明の第1の実施形態において、開口部を形成する際にドライエッチング装置の基板バイアスを300Wから100Wに低減することで、絶縁膜スペーサ110を厚く形成することができる。そして、銅配線101a、およびバリアメタル層101bの露出面に形成された酸化銅、およびエッチバック時に発生したエッチング副生成物等を、例えばアミン系の剥離液等で除去する。
【0067】
なお、ハードマスク膜114は、第1層間絶縁膜102、および絶縁性バリア膜103に開口部を形成する際に完全に除去されることが好ましいが、ハードマスク膜114が絶縁材料である場合には残存していてもよい。
【0068】
次に、
図5Cに示すように、絶縁性バリア膜103上、および絶縁性バリア膜103に形成した開口部の壁面に沿って抵抗変化膜105を形成する。ここで、抵抗変化膜105は、例えばPVD(Physical Vapor Deposition)法、およびCVD法等で形成することができる。また、本発明の第1の実施形態において、
図5Cに示すように抵抗変化膜105は、絶縁膜スペーサ110と直接接するので、抵抗変化膜105と絶縁膜スペーサ110との界面における密着性を十分に高めることが望ましい。なお、これ以降の製造方法に関しては、関連する抵抗変化素子と同様なので説明は省略する。
【0069】
(絶縁膜スペーサ110の比較)
図6は、実際に作製した抵抗変化素子の、絶縁膜スペーサ110の拡大図である。本実施形態において、絶縁膜スペーサ110の厚みは、ドライエッチングプロセスの制御によって、任意に制御することができる。
【0070】
次に、
図7A、および
図7Bを参照して、絶縁膜スペーサ110の厚みを変化させたときの、抵抗変化素子の特性の変化について説明する。ここで、
図7Aは絶縁膜スペーサ110の厚みを変化させた時のリーク電流の変化を示し、
図7Bは絶縁膜スペーサ110の厚みを変化させた時のプログラム電圧の変化を示している。具体的には、絶縁膜スペーサ110を挿入しない形態、絶縁膜スペーサ110の厚さが1nm,および2nmの抵抗変化素子100を作製し、それぞれ素子特性の評価を行った。
【0071】
図7Aは、第1電極101と、抵抗変化膜105との間に絶縁膜スペーサ110を挿入することで、オフ状態のリーク電流が低減することを示している。これは、絶縁膜スペーサ110を挿入することで、抵抗変化素子100のスイッチングに寄与しないバリアメタル層101bと、第2電極106との間の距離が離れるので、電極間の電界が低減したためである。すなわち、抵抗変化素子100は、絶縁膜スペーサ110を厚くすることで、バリアメタル層101bと、第2電極106との間の距離がさらに離れるので、リークをさらに低減することができる。
【0072】
一方、
図7Bは、プログラム電圧と、絶縁膜スペーサ110の厚さの関係を示している。
図7Bに示すように、抵抗変化素子100において、絶縁膜スペーサ110の厚みが変化しても、プログラム電圧にはほとんど影響を与えない。これは、バリアメタル層101bと抵抗変化膜105との間のスペーサは、スイッチングに寄与しないためである。
【0073】
したがって、本発明の実施形態に係る抵抗変化素子100は、抵抗変化素子のプログラム電圧を変えないまま、リーク電流を低減することができる。
【0074】
(第2の実施形態)
図8は、本発明に係る第2の実施形態に係る半導体装置の一例を示す断面図である。
【0075】
図8に示された半導体装置200Aは、上述した抵抗変化素子100の上部電極107の上面に絶縁膜等を設けるとともに、さらに、第3電極115を設けた構造を有している。また、図示された第3電極115の上面には絶縁性バリア膜116が形成されている。
【0076】
第3電極115は、銅から構成された銅配線115aを含んでいる。すなわち、銅配線115aの側面、および底面は、バリアメタル層115bによって覆われている。ここで、バリアメタル層115bは、半導体装置200Aの内部に銅イオンが拡散することを防止する導電性膜である。具体的には、バリアメタル層115bは、例えばTaのような高融点金属や、Taの窒化物であるTaN、TiN、およびWCN等を含む導電膜である。また、バリアメタル層115bは、Ta、TaN、TiN、およびWCN等を含む導電膜を積層した積層膜であってもよい。
【0077】
絶縁性バリア膜116は、銅配線115aの酸化を防止し、銅配線115aに含まれる金属イオンの拡散を防止する絶縁膜である。このような、絶縁性バリア膜116としては、例えばSiC膜、SiCN膜、SiN膜等を用いることができる。また、絶縁性バリア膜116は、SiC膜、SiCN膜、SiN膜等を積層した積層膜であってもよい。
【0078】
上述のように、半導体装置200Aは、絶縁膜スペーサ110を有する磁気抵抗素子を搭載することで、プログラミング動作を安定させることができる。
【0079】
(第3の実施形態)
図9は、本発明の第3の実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【0080】
半導体装置200Bは、絶縁層間膜102の内部において、第1電極101に隣接する第4電極117を備える半導体装置である。
【0081】
第4電極117は、銅から構成された銅配線117aを含んでいる。すなわち、銅配線117aの側面、および底面は、バリアメタル層117bによって覆われている。ここで、バリアメタル層117bは、半導体装置200Aの内部に銅イオンが拡散することを防止する導電性膜である。具体的には、バリアメタル層117bは、例えばTaのような高融点金属や、Taの窒化物であるTaN、TiN、およびWCN等を含む導電膜である。また、バリアメタル層117bは、Ta、TaN、TiN、およびWCN等を含む導電膜を積層した積層膜であってもよい。
【0082】
また、半導体装置200Bは、バリアメタル層101bと、抵抗変化膜105との間に絶縁膜スペーサ110Aを有し、バリアメタル層117bと、抵抗変化膜105との間に絶縁膜スペーサ110Bを有する。これにより、半導体装置200Bは、第1電極101に流れ込むリーク電流を防止するだけでなく、第4電極117に流れ込むリーク電流を防止することができる。
【0083】
したがって、半導体装置200Bは、絶縁層間膜102の内部に複数の電極が形成された場合であっても、各電極と抵抗変化膜105との間に絶縁膜スペーサを形成することで、プログラミング動作を安定させることができる。
【0084】
上述の実施形態では、本発明の適用例として、本願発明者によってなされた発明の背景となった利用分野であるCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)回路を有する半導体製造装置技術に関して詳しく説明し、半導体基板上の銅多層配線内部に抵抗変化素子を形成する構成について説明した。しかし、これは本発明を限定するものではない。
【0085】
本発明は、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)、フラッシュメモリ、FRAM(登録商標)(Ferro Electric Random Access Memory)、MRAM(Magnetic Random Access Memory)、抵抗変化型メモリ、およびバイポーラトランジスタ等のようなメモリ回路を有する半導体製品にも適用することができる。また、本発明は、マイクロプロセッサなどの論理回路を有する半導体製品、あるいはそれらを同時に掲載したボードやパッケージの銅配線上等へも適用することができる。さらに、本発明は、半導体装置への、電子回路装置、光回路装置、量子回路装置、マイクロマシン、およびMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)等の接合にも適用することができる。
【0086】
なお、上述の実施形態では、本発明をスイッチ機能に適用した場合を中心に説明したが、本発明は不揮発性と抵抗変化特性の双方を利用したメモリ素子等にも適用することができる。
【0087】
また本発明に係る抵抗変化素子は、製造後のデバイスからも構造を確認することが可能である。具体的には、観察対象のデバイスの断面をTEM(Transmission Electron Microscope:透過型電子顕微鏡)観察することで、多層配線に銅配線が用いられていることを確認できる。また、TEM観察によって、半導体デバイスに抵抗変化素子が搭載されている場合には、抵抗変化素子の電極を同定することができる。さらに、TEM観察によって、半導体デバイスの稼働電極の側面にバリアメタルがあることを確認した場合には、バリアメタルと抵抗変化膜との間に絶縁膜スペーサが挿入されているか否かを確認することができる。
【0088】
さらに、製造後の半導体デバイスに対してEDX(Energy Dispersive X-ray Spectroscopy:エネルギー分散型X線分光法)、EELS(Electron Energy-Loss Spectroscopy:電子エネルギー損失分光法)などの組成分析を行うことで、本発明に含まれる材料であるかを確認することができる。
【0089】
以上、実施形態および実施例を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態および実施例に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。例えば、当業者であれば、上述の実施形態および実施例の説明を読めば、これらの実施形態および実施例に含まれる内容と等価な構成要素や技術による数多くの変更および置換が容易であるが、このような変更および置換は、本願発明のスコープに属する。
【0090】
上記の各実施形態の一部、または全部は、以下の付記のようにも記載されうる。なお、以下の付記は本発明をなんら限定するものではない。
[付記1]
層間絶縁膜と、
前記層間絶縁膜の内部に形成され、側面、および底面がバリアメタルで覆われた活性電極を含む第1電極と、
前記第1電極の上面に形成された抵抗変化膜と、
前記抵抗変化膜上に形成された第2電極と、
前記第1電極の側面を覆う前記バリアメタルと、前記抵抗変化膜との間に形成された絶縁膜スペーサ、とを備え、
前記第1電極の側面を覆う前記バリアメタル、および前記抵抗変化膜は、それぞれ、前記絶縁膜スペーサと接している、抵抗変化素子。
[付記2]
前記絶縁膜スペーサは、前記層間絶縁膜で形成されている、付記1に記載の抵抗変化素子。
[付記3]
前記絶縁膜スペーサは、少なくとも酸素、およびシリコンを含む、付記1または2に記載の抵抗変化素子。
[付記4]
前記層間絶縁膜の内部に、側面、および底面がバリアメタルで覆われた前記活性電極を含む複数の電極を含み、前記複数の電極と、前記抵抗変化膜との間に、それぞれ、前記絶縁膜スペーサを有する、付記1~3のいずれか1つに記載の抵抗変化素子。
[付記5]
前記絶縁膜スペーサの膜厚は、10nm以下である、付記1~4のいずれか1つに記載の抵抗変化素子。
[付記6]
前記第1電極は第1鋭角部を含み、
前記第2電極は第2鋭角部を含み、
前記第1鋭角部と、前記第2鋭角部との間の距離は、前記第1電極と、前記第2電極との間の距離の最短距離である、付記1~5のいずれか1つに記載の抵抗変化素子。
[付記7]
前記活性電極は銅を含み、
前記第2電極は、少なくともルテニウムと、窒素と、第1金属と、を含み、
前記第1金属は、チタン、タンタル、アルミニウム、マンガン、ジルコニウム、ハフニウム、マグネシウム、コバルト、亜鉛、およびタングステンの少なくとも1つを含む、付記1~6のいずれか1つに記載の抵抗変化素子。
[付記8]
前記第1電極上に形成され、前記第1電極の上面の内、前記活性電極の端部を露出させる開口部が設けられた絶縁性バリア膜をさらに備え、
前記抵抗変化膜は、前記端部の上面に形成されている、付記1~7のいずれか1つに記載の抵抗変化素子。
[付記9]
前記開口部は、前記絶縁性バリア膜の垂直上方から見て逆テーパー形状を有している、付記8に記載の抵抗変化素子。
[付記10]
前記第1電極の端部を覆う前記バリアメタルは、テーパー形状を有している、付記8または9に記載の抵抗変化素子。
[付記11]
前記抵抗変化膜は、酸化物層を有する積層膜であって、
前記酸化物層が、前記絶縁膜スペーサと接している、付記1~10のいずれか1つに記載の抵抗変化素子。
[付記12]
前記酸化物層は、ジルコニア、ハフニア、チタニア、およびマグネシアの少なくとも1つを含む、付記11に記載の抵抗変化素子。
[付記13]
前記抵抗変化素子は、固体電解質である、付記1~12のいずれか1つに記載の抵抗変化素子。
[付記14]
層間絶縁膜を形成し、
前記層間絶縁膜の内部に上面が露出するように側面、および底面にバリアメタル層が形成された活性電極を含む第1電極を形成し、
前記層間絶縁膜、および前記第1電極上に上面に絶縁性バリア膜を形成し、
前記絶縁性バリア膜に前記第1電極の上面の少なくとも端部を露出させる開口部を形成し、
前記層間絶縁膜に開口部を形成するとともに、前記第1電極の側面に形成された前記バリアメタル層に隣接する絶縁膜スペーサを形成し、
前記第1電極の端部の上面に抵抗変化膜を形成し、
前記抵抗変化膜上に第2電極を形成する、抵抗変化素子の製造方法。
[付記15]
前記絶縁膜スペーサを、前記層間絶縁膜で形成する、付記14に記載の抵抗変化素子の製造方法。
[付記16]
前記層間絶縁膜の内部に、側面、および底面がバリアメタルで覆われた活性電極を含む複数の電極形成し、
前記複数の電極と、前記抵抗変化膜との間に、それぞれ、前記絶縁膜スペーサを形成する、付記14または15に記載の抵抗変化素子の製造方法。
[付記17]
前記絶縁膜スペーサの膜厚は、10nm以下に形成する、付記14~16のいずれか1つに記載の抵抗変化素子の製造方法。
[付記18]
前記絶縁性バリア膜の開口部、および前記層間絶縁膜の開口部を、それぞれ、垂直上方から見て逆テーパー形状に形成する、付記14~17のいずれか1つに記載の抵抗変化素子の製造方法。
【0091】
この出願は、2016年3月30日に出願された日本出願特願2016-67159号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0092】
100・・・抵抗変化素子
101・・・第1電極
101a,115a,117a・・・銅配線
101b,115b,117b・・・バリアメタル層
102・・・第1層間絶縁膜
103,116・・・絶縁性バリア膜
104・・・第2層間絶縁膜
105・・・抵抗変化膜
106・・・第2電極
107・・・上部電極
108・・・第1電極鋭角点
109・・・第2電極角点
110,110A,110B・・・絶縁膜スペーサ
111・・・開口部
112・・・電極形状
113・・・鋭角点間経路
114・・・ハードマスク膜
115・・・第3電極
117・・・第4電極